説明

追尾撮像装置およびこれを利用した追尾撮像システム

【課題】被写体の背景にある重要な情報も逃さず撮影するとともに、見る人に見やすい映像を撮影することができる追尾撮像装置およびこれを利用した追尾撮像システムを提供する。
【解決手段】指定された基準画角内を撮影した画像から被写体の位置を検出する被写体検出部202と、被写体による任意の場所を指し示す特定のジェスチャが行われた位置を検出するジェスチャ検出部203と、ジェスチャにより指し示された意味のある情報が集合した領域である指示領域の位置を検出する図形検出部205と、特定された前記被写体の位置と前記指示領域の位置との中心を重心とした表示画角を撮影された画像から抽出する画像切り出し部209とを備え、被写体および被写体の背景にある重要な情報の画像を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の被写体を検出するとともに追尾して撮影する追尾撮像装置およびこれを利用した追尾撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大学や予備校などでは、講義の風景を撮影した映像を衛星やインターネットを介して遠隔地にいる受講者が受信して視聴するような遠隔講義が行われている。特に最近における生涯学習がさかんになるにつれて、その需要が増えてきている。
【0003】
従来の遠隔講義は、テレビ放送の製作会社などが作成したプログラム番組の中で行われるものや、大手の予備校が衛星回線を使用して行うサテライト講義など多大な費用や手間がかかる大規模なものが多かったが、近年はインターネットの普及および接続回線のブロードバンド化により撮影した講義風景の映像を安価で容易に受講者に配信することが可能になっている。
【0004】
これらの遠隔講義の映像を撮影する際は、講師が自在に移動したり、黒板やスクリーンに写し出された資料や機材など(以下、「講義情報」と称する)を使用したりする状況に伴って撮像装置の向きを変えるパン、チルト機能やズーム機能などの操作が必要となる。しかし、これらの機能操作は手動で行われており、手間がかかるものであった。このとき、常に講師と講義情報とがすべて画角に入るように広いエリアを撮影すれば操作の手間はかからないが、講義情報の細部などが画面上で見づらくなるため、適宜カメラの向きやズーム倍率を変更して撮影する必要がある。
【0005】
このようなパン、チルト、ズーム機能の操作を自動化する技術が特許文献1および特許文献2に記載されている。
【0006】
特許文献1には、教壇など撮影すべきエリアをすべて収める広角カメラと、駆動部を持ちターゲット(被写体)を追尾して撮影する追尾カメラとを配置することにより、広角カメラで検出したターゲットの重心が画角の中心となるように追尾カメラでズーム拡大して撮影する技術が記載されている。
【0007】
この特許文献1の技術により、講師などの被写体をカメラが自動で認識するため、人的な手間を大幅に削減して拡大された被写体を撮影することができる。
【0008】
また、特許文献2には、予めいくつかのショット(撮影画角)を登録しておき、撮影により検出した被写体の重心座標に基づいて、被写体が撮影画角に収まるようなショットを登録されたショットの中から選出し、そのショットで撮影を行う技術が記載されている。
【0009】
この特許文献2の技術により、カメラの動作を極力少なくして、見やすい映像により被写体を自動追尾して撮影することが可能になる。
【特許文献1】特開2004−289779号公報
【特許文献2】特開2001−160916号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記の特許文献1の技術は、広角カメラと追尾カメラとの2台のカメラを使用するため、システムが大掛かりになり設定が複雑になるという問題があった。また、この技術では被写体の重心位置が画面の中心になるように追尾カメラで追尾を行っているので、被写体をはっきりと映すことが重要である監視用カメラなどには適している。しかし、講義のように被写体として認識される講師の背景にある講義情報も重要な情報であるようなものの撮影には適さない場合があるという問題があった。
【0011】
また、特許文献2の技術は、予め登録された撮影画角で撮影が行われるため、講師がダイナミックに移動したときや異なる撮影画角の境界付近にいるときには、多少の撮影画角の重なりをオーバーラップエリアとして考慮したとしても講師の少しの動きで撮影画角が頻繁に切り替わり、受講者に見づらい映像になってしまう可能性があるという問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、被写体の背景にある重要な情報も逃さず撮影するとともに、見やすい映像を撮影することができる追尾撮像装置およびこれを利用した追尾撮像システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するための本発明の請求項1に記載の追尾撮像装置は、追尾撮影エリア内を移動する人物を第1被写体として追尾して撮影するとともに、追尾撮影エリア内の重要背景エリア内にある第2被写体を撮影するカメラ部を備えたものであり、カメラ部が、追尾撮影エリア内を撮影して得られた画像から第1被写体を検出するとともに、この検出された第1被写体の重心位置座標を取得する被写体検出部と、検出された第1被写体が重要背景エリア内の任意の位置を差し示す所定のジェスチャを検出するとともに、検出されたジェスチャによって指し示された位置の位置座標を取得するジェスチャ検出部と、取得された位置座標に基づいて第2被写体を検出するとともに、この検出された第2被写体の重心位置座標を取得する図形検出部と、取得された第1及び第2被写体の各重心位置座標の中点座標を画角の中心として、第1及び第2被写体の画像を所定の画角で撮影画像から抽出する画像切り出し部とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項2は請求項1に記載の追尾撮像装置であり、被写体検出部は、画像切り出し部から抽出された第1画像から検出した第1被写体の重心位置座標と、第1画像よりも後に撮影されて抽出された第2画像から検出した第1被写体の重心位置座標との距離が、あらかじめ設定された移動許容値以下である場合は、第2画像の画角を第1画像の画角と同一にするように構成したことを特徴とする。
【0015】
また、請求項3に記載の追尾撮像装置は、追尾撮影エリア内を移動する人物を第1被写体として追尾して撮影するとともに、追尾撮影エリア内の重要背景エリア内にある第2被写体を撮影するパン、チルト、及びズーム機能を有するカメラ部を備えたものであり、カメラ部が、追尾撮影エリア内を撮影して得られた画像から第1被写体を検出するとともに、この検出された第1被写体の重心位置座標を取得する被写体検出部と、検出された第1被写体が重要背景エリア内の任意の位置を指し示す所定のジェスチャを検出するとともに、検出されたジェスチャによって指し示された位置の位置座標を取得するジェスチャ検出部と、取得された位置座標に基づいて第2被写体を検出するとともに、この検出された第2被写体の重心位置座標を取得する図形検出部と、取得された第1及び第2被写体の各重心位置座標の中点座標を画角の中心として、パン、チルト、及びズームのうち少なくとも一の撮影制御機能により、第1及び第2被写体の画像を所定の画角で撮影するようにカメラ部を制御するカメラ制御部とを備えたことを特徴とする。
【0016】
また、請求項4は請求項3に記載の追尾撮像装置は、被写体検出部は、カメラ制御部の制御によってカメラ部で撮影された第1画像から検出した第1被写体の重心位置座標と、第1画像よりも後に撮影されて抽出された第2画像から検出した第1被写体の重心位置座標との距離が、あらかじめ設定された移動許容値以下である場合は、第2画像の画角を第1画像の画角と同一にするように構成したことを特徴とする。
【0017】
また、請求項5に記載の追尾撮像システムは、追尾撮影エリア内を移動する人物を第1被写体として追尾して撮影するとともに、追尾撮影エリア内の重要背景エリア内にある第2被写体を撮影するカメラ部を備えた追尾撮像装置と、カメラ部で撮影された画像を表示する表示端末とがネットワークを介してそれぞれ接続されたものであり、追尾撮像装置は、カメラ部が、追尾撮影エリア内を撮影して得られた画像から第1被写体を検出するとともに、この検出された第1被写体の重心位置座標を取得する被写体検出部と、検出された第1被写体が重要背景エリア内の任意の位置を差し示す所定のジェスチャを検出するとともに、検出されたジェスチャによって指し示された位置の位置座標を取得するジェスチャ検出部と、取得された位置座標に基づいて第2被写体を検出するとともに、この検出された第2被写体の重心位置座標を取得する図形検出部と、取得された第1及び第2被写体の各重心位置座標の中点座標を画角の中心として、第1及び第2被写体の画像を所定の画角で撮影画像から抽出する画像切り出し部と、抽出された画像をネットワークに送出するための通信制御部とを備えるとともに、表示端末は、追尾撮像装置から送出された画像を受信する通信制御部と、受信された画像を表示出力する出力部とを備えたことを特徴とする。
【0018】
また、請求項6に記載の追尾撮像システムは、追尾撮影エリア内を移動する人物を第1被写体として追尾して撮影するとともに、追尾撮影エリア内の重要背景エリア内にある第2被写体を撮影するパン、チルト、及びズーム機能を有するカメラ部を備えた追尾撮像装置と、カメラ部で撮影された画像を表示する表示端末とがネットワークを介してそれぞれ接続されたものであり、追尾撮像装置は、カメラ部が、追尾撮影エリア内を撮影して得られた画像から第1被写体を検出するとともに、この検出された第1被写体の重心位置座標を取得する被写体検出部と、検出された第1被写体が重要背景エリア内の任意の位置を指し示す所定のジェスチャを検出するとともに、検出されたジェスチャによって指し示された位置の位置座標を取得するジェスチャ検出部と、取得された位置座標に基づいて第2被写体を検出するとともに、この検出された第2被写体の重心位置座標を取得する図形検出部と、取得された第1及び第2被写体の各重心位置座標の中点座標を画角の中心として、パン、チルト、及びズームのうち少なくとも一の撮影制御機能により、第1及び第2被写体の画像を所定の画角で撮影するようにカメラ部を制御するカメラ制御部と、撮影された画像をネットワークに送出するための通信制御部とを備えるとともに、表示端末は、追尾撮像装置から送出された画像を受信する通信制御部と、受信された画像を表示出力する出力部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の追尾撮像装置およびこれを利用した追尾撮像システムによれば、被写体の背景にある重要な情報も確実に逃さず捉えることができ、見やすく且つ講義など内容の把握に効果的な映像を撮影することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
《第1実施形態》
本発明の第1実施形態による追尾撮像装置は、遠隔講義などに利用するための講義の映像を撮影し、検出した被写体を中心とした画角を切り出して表示するものである。
【0021】
〈第1実施形態による追尾撮像装置の構成〉
本実施形態による追尾撮像装置1の構成を、図1〜図3を用いて説明する。図1は、本実施形態による追尾撮像装置1の構成を示すブロック図である。図2は、本実施形態による追尾撮像装置1により撮影が行われる空間を示す説明図であり、図3は、図2の空間内で実際に撮影が行われるエリアを示す説明図である。
【0022】
本実施形態による追尾撮像装置1は、空間30内の講義が行われる教壇がすべて含まれる基準画角301で撮影するカメラ部10と、カメラ部10で撮影した映像を処理する制御端末20とを有する。
【0023】
カメラ部10は、人物(第1被写体)を撮影するとともに実際にモニタなどに表示する講義の映像よりも高解像度な映像の撮影が可能であり、撮影された黒板などに書かれた文字や図、スクリーンに映し出された資料、必要な機材などの講義情報(第2被写体)をユーザが認識可能な状態に表示できる解像度で撮影する。
【0024】
制御端末20は、プリセット部201と、被写体検出部202と、ジェスチャ検出部203と、カメラ制御部204と、図形検出部205と、表示部206と、入力部207と、記憶装置208と、画像切り出し部209と、スケーリング部210と、制御部211とを有する。
【0025】
プリセット部201は、被写体の検出および追尾を行う追尾エリア302の設定と、この追尾エリア302内で講義情報が含まれる重要背景エリア303の設定と、講義風景を遠隔地などのモニタやスクリーンに表示するための画像として、撮影した画像から被写体および後述する指示領域などの対象物部分を切り出す範囲である表示画角と、実際にモニタなどにスケーリングして表示を行う際の映像のサイズである表示画角サイズの設定とを含む初期設定を行う。
【0026】
被写体検出部202は、指定されたエリア内を撮影して得られた画像において追尾エリア302内に入った第1被写体の検出を行うとともに、検出された第1被写体の位置を特定する。
【0027】
ジェスチャ検出部203は、検出された第1被写体による重要背景エリア303内の任意の場所を指し示す特定のジェスチャを検出するとともに、検出されたジェスチャによって指し示された位置の位置座標を取得する。
【0028】
カメラ制御部204は、カメラ部10の起動、撮影の開始および停止等を制御する。
【0029】
図形検出部205は、特定されたジェスチャが行われた位置から、重要背景エリア303内にあるユーザに必要な講義情報のうちジェスチャにより指し示された意味のある情報が集合した領域を指示領域として検出するとともに、この指示領域の重心位置座標を取得する。
【0030】
表示部206は、撮影した映像を確認のためなどに表示する。
【0031】
入力部207は、プリセット部201で行う設定や撮影の開始および停止などの命令を入力する。
【0032】
記憶装置208は、プリセット部201で行った設定内容や撮影した映像データを記録する。
【0033】
画像切り出し部209は、撮影した基準画角301のフレーム画像から被写体304や指示領域が映っている部分など必要な情報を含む表示画角を所定の画角で撮影画像から抽出する。
【0034】
スケーリング部210は、画像切り出し部209で切り出された表示画角がプリセット部201で設定された表示画角サイズと異なる場合に切り出された表示画角の画像サイズの調整を行う。
【0035】
制御部211は、上記のプリセット部201〜スケーリング部210を制御する。
【0036】
〈第1実施形態による追尾撮像装置の動作〉
本発明の第1実施形態による追尾撮像装置1の動作を、図4〜図7のフローチャートを参照して説明する。
【0037】
まず、制御端末20のプリセット部201で行われる初期設定の動作について図4を参照して説明する。
【0038】
図2に示す教室などのような空間30で被写体の検出、追尾を行いたいエリア、例えば講義を行う教壇がすべて含まれる画像が撮影できる場所にカメラ部10が設置され、その画角が基準画角301として図3のように設定される(S401)。
【0039】
次に、図3の基準画角301内で被写体の検出および追尾が行われる領域が、追尾エリア302として設定される(S402)。
【0040】
次に、設定された追尾エリア302内で講義情報が含まれる領域が、重要背景エリア303として設定される(S403)。
【0041】
さらに、この講義風景が遠隔地などのモニタやスクリーンに表示されるときの画角であり、検出した被写体および指示領域などの対象物を切り出す範囲である表示画角と、その表示時の解像度になる表示画角サイズが設定される(S404)。このとき、表示画角サイズ≦カメラの解像度サイズとなるように設定される。
【0042】
さらに、表示画角が切り出された画像である第1画像で検出された被写体の位置と、この第1画像よりも後に撮影された第2画像で検出された被写体の位置との移動距離が所定値(移動許容値)以下のときには表示画角が変わらないように、被写体の移動許容量が設定される。これは、被写体の微量の移動によって頻繁に表示画角が変わると見る人にとって見づらい映像になるためである。この移動許容量は、想定される被写体の動作スピードおよび移動量によって設定値が定められる。
【0043】
これらのステップS401〜ステップS404の初期設定は入力部207により行われ、記憶装置208に記憶される。
【0044】
次に、カメラ部10で行われる講義の撮影の動作について図5、6、8を参照して説明する。
【0045】
まず、制御端末20のカメラ制御部204によりカメラ部10が起動されると(S410の「Yes」)、図6のフローチャートに従って撮影処理(A)が行われる(S411)。図6の撮影処理(A)について説明する。
【0046】
カメラ部10が起動されると、まず基準画角301の撮影が開始される(S412)。ここでは基準画角301全体が表示画角として設定され(S413)、被写体検出部202により追尾エリア302内での被写体304の検出が行われる(S414)。
【0047】
追尾エリア302内に誰も存在せず、被写体検出部202において被写体未検出の間(S414の「No」)は、ステップS413に戻りそのまま基準画角301全体が表示画角として設定されるとともに、後述する保存処理(B)に従って撮影された画像が記憶装置208に保存される。
【0048】
追尾エリア302内に被写体304が入り、被写体検出部202により被写体304が検出されたときは(S414の「Yes」)、この被写体304の位置304Aおよび被写体304の重心位置305Aが求められる(S415)。
【0049】
次に、ジェスチャ検出部203により被写体304による特定のジェスチャの検出が行われる(S416)。ここで言う特定のジェスチャとは、被写体304が重要背景内のある部位を指し示す動作のことであり、腕や手指、指し棒などの形状や動く方向、移動の仕方、滞留時間などによって検出される。
【0050】
ジェスチャ検出部203において被写体304の特定のジェスチャが未検出であったときは(S416の「No」)、被写体304を含み被写体位置304Aにおける被写体304の重心位置305Aが中心となるような位置に表示画角306Aが設定される(S417)。
【0051】
設定された表示画角306Aの画像は、図7のフローチャートに従って保存処理(B)が行われる(S418)。図7の保存処理(B)について説明する。
【0052】
まず、設定された表示画角306A部分が、画像切り出し部209により基準画角から切り出される(S419)。
【0053】
切り出された表示画角306Aの画像サイズT(Tx,Ty)が予め初期設定で設定された表示画角の画像サイズD(Dx,Dy)より大きい場合(S420の(1))は、スケーリング部210において(Tx≦Dx)∩(Ty≦Dy)となる最大サイズに表示画角306Aの画像が縮小される(S421)。
【0054】
また、切り出された表示画角306Aの画像サイズT(Tx,Ty)が予め初期設定で設定された表示画角の画像サイズD(Dx,Dy)より小さい場合(S420の(3))は、スケーリング部210において(Tx≦Dx)∩(Ty≦Dy)となる最大サイズに表示画角306Aの画像が拡大される(S422)。
【0055】
また、切り出された表示画角306Aの画像サイズT(Tx,Ty)と予め初期設定で設定された表示画角の画像サイズD(Dx,Dy)とが同じ場合(S420の(2))は、縮小または拡大のスケーリングは行われない。
【0056】
表示画角306Aの画像が予め設定された表示画角の画像サイズにスケーリングされた状態の画像を図9に示す。図9では、被写体304の重心位置305Aが表示画角306Aの中心に位置している。
【0057】
所定サイズにスケーリングされた表示画角306Aの画像は記憶装置208に保存される(S423)。以上で保存処理(B)が終了する。
【0058】
保存処理(B)が終了すると、追尾エリア302内での被写体304の検出が継続して行われ(S424)、被写体304が未検出であれば(S424の「No」)ステップS413に戻り基準画角301全体が表示画角として設定され、ステップS414以降の処理が行われる。
【0059】
ステップS424において被写体304が検出されたときは、被写体304が移動したかどうかが判定される(S425)。判定の結果、被写体304が移動していれば(S425の「Yes」)、移動距離がプリセット部201に設定された移動許容量の範囲内であるかどうかが判定される(S426)。
【0060】
判定の結果、被写体304の移動距離が移動許容量の範囲を超えていた場合は(S426の「No」)、ステップS415に戻り、図8に示すように移動後の被写体の位置304Bおよび被写体の重心位置305Bが求められ、ステップS416以降の処理が行われる。このときの、被写体304の重心位置305Bが中心となるような位置の画像としては、表示画角306Bが切り出される。
【0061】
ステップS425において被写体304が移動しなかったと判定された場合(S425の「No」)、およびステップS426において被写体の移動距離が設定された移動許容量の範囲内であると判定された場合(S426の「Yes」)は、ステップS416に戻り、ジェスチャ検出部203により被写体304による特定のジェスチャの検出が行われる。
【0062】
ステップS416において、ジェスチャ検出部203により被写体304による特定のジェスチャ307が検出された場合について図10〜図12を参照して説明する(S416の「Yes」)。
【0063】
被写体304による特定のジェスチャ307が検出されたときは、このジェスチャ307の検出位置が重要背景エリア303内であるかどうかが判定される(S427)。
【0064】
判定の結果、重要背景エリア303内であると判定された場合は(S427の「Yes」)、図形検出部205により重要背景エリア303内からジェスチャ307で指し示された指示領域308が検出される(S428)。
【0065】
次に、検出された指示領域308の重心位置309が求められ(S429)、さらに被写体304の重心位置305Cと指示領域308の重心位置309との中心位置が求められる。
【0066】
この被写体304の重心位置305Cと指示領域308の重心位置309との中心位置を重心位置310とし、被写体304および指示領域308を含む画角が表示画角306Dとして設定される(S430)。
【0067】
設定された表示画角306Dは、上述したとおり、図7のフローチャートに従って保存処理(B)が行われる(S418)。
【0068】
これらの処理により、図10において、ジェスチャ307が検出される前は図8と同様に被写体304のみに基づいて重心位置305Cを重心とした表示画角306Cが切り出され図11のようになるが、ジェスチャ307が検出されると被写体304および指示領域308に基づいて求められた重心位置310を重心として表示画角306Dが切り出され、モニタに表示される画像は図12のように切り替わる。
【0069】
また、ステップS427において、検出されたジェスチャ307の検出位置が重要背景エリア303内ではなかったと判定された場合は(S427の「No」)、ステップ417に進み、被写体304を含み被写体位置304Cにおける被写体304の重心位置305Cが中心となるような位置に表示画角306Cが設定される。
【0070】
以上の撮影処理(A)は講義風景が撮影されている間繰り返し実行され、ユーザにより撮影を停止する操作が入力部207により行われた場合は(S431の「Yes」)、撮影処理(A)に停止を指示する割り込み信号が送信され(S432)、カメラ制御部204によってカメラ部10の撮影が停止されるとともに、制御端末20も一連の検出動作および撮影動作が停止される。
【0071】
ユーザにより撮影を停止する操作が行われていないときは(S431の「No」)、撮影処理(A)は継続して行われる。
【0072】
以上の第1実施形態による追尾撮像装置によれば、被写体と被写体の背景にある重要な情報とを確実に逃さず捉えることができるとともに、これらの重要な情報は認識可能な解像度で撮影されているため講義内容の把握に効果的な映像を得ることができる。
【0073】
《第2実施形態》
本発明の第2実施形態による追尾撮像システムは、第1実施形態による追尾撮像装置を用いて撮影された講義等の映像を、ネットワークを介して遠隔地の受講生が受信して視聴する遠隔講義に用いるものである。
【0074】
〈第2実施形態による追尾撮像システムの構成〉
本実施形態による追尾システムの構成を、図13を用いて説明する。図13は、本実施形態による追尾システムの構成を示すブロック図であり、追尾撮像装置2と、ネットワーク3と、ネットワーク3を介して追尾撮像装置2に接続されている表示端末4とから構成されている。
【0075】
追尾撮像装置2の主な構成は、第1実施形態における追尾撮像装置1の構成と同様であるため詳細な説明は省略する。追尾撮像装置1と異なる点は、講義の音声を録音する音声入力部11と、制御端末20に設けられネットワーク3を介して表示端末4と通信を行う通信制御部212を有することである。音声入力部11は、被写体すなわち講師に装着したピンマイクもしくは集音マイクなどである。
【0076】
ネットワーク3は、インターネット網、公衆網、衛星回線、テレビ回線などが利用できる。
【0077】
表示端末4は、通信制御部41と、出力部42と、入力部43と、記憶装置44と、制御部45とを有する。
【0078】
通信制御部41は、制御端末20とネットワーク3を介して通信を行う。
【0079】
出力部42は、コンテンツを再生するスクリーンやモニタなどの映像表示装置およびスピーカなどの音声出力装置から構成される。
【0080】
入力部43は、ユーザが出力部42及び表示端末全体を操作するときに用いる。
【0081】
記憶装置44は、必要な設定やコンテンツなどのデータを記憶する。
【0082】
制御部45は、上記の通信制御部41〜記憶装置44を制御する。
【0083】
〈第2実施形態による追尾撮像システムの動作〉
本発明の第2実施形態による追尾撮像システムの動作を、図4〜図6、図14および図15のフローチャートを参照して説明する。
【0084】
本実施形態において、講義が撮影されている間、カメラ部10で撮影された画像は第1実施形態と同様に図4の初期設定が行われた後、図5および図6のフローチャートに従って撮影処理(A)が継続して行われ、音声入力部11から入力した講義の音声も継続して集音されているものとする。
【0085】
追尾撮像装置2により撮影された映像および集音された音声であるコンテンツの配信処理について、図14を参照して説明する。
【0086】
まず、制御端末20において撮影および集音されたコンテンツをリアルタイムに配信するか否かが判定される(S501)。リアルタイムに配信しないと判定された場合は(S507の「No」)、記憶装置208にコンテンツが保存される(S502)。保存は撮影が終了するまで継続される。
【0087】
次に、保存されたコンテンツを配信するか否かが判定され、配信すると判定された場合(S503の「Yes」)は、配信先の表示端末4が指定される(S504)。このとき、配信がネットワーク3としてインターネット網を利用して行われるときはIPアドレスなどを用いて配信先の表示端末4の指定が行われ、必要があれば表示端末4と所定の通信手続きが行われて接続が確認される。配信先の表示端末4の設定はコンテンツの撮影前に予め行っておいてもよい。また、配信がテレビ放送などのように相手が不特定なブロードキャスト送信による場合は、特定の相手先の指定は行わないが、放送に必要な所定の配信手続きが行われる。
【0088】
これらの通信準備が完了している状態で、ネットワーク3を介して追尾撮像装置2の通信制御部212から表示端末4へのコンテンツの配信が開始される(S505)。
【0089】
コンテンツの配信が終わるまで、もしくは配信が必要なシーンまでコンテンツの配信が継続され(S506、S507の「No」)、必要な配信が完了すると配信処理が終了する(S507の「Yes」)。
【0090】
ステップS503において保存されたコンテンツがここでは配信されず、後で別途配信が行われる場合は(S503の「No」)、処理が終了される。
【0091】
また、ステップS501において、リアルタイムに配信すると判定された場合は(S501の「Yes」)、ステップS504における処理と同様に配信先の指定および確認が行われる(S508)。
【0092】
ここで、コンテンツを保存する必要があれば(S509の「Yes」)保存し(S510)、その後ネットワーク3を介して追尾撮像装置2の通信制御部212から表示端末4へのコンテンツの配信が開始される(S505)。
【0093】
講義が撮影されている間、コンテンツの配信が継続され(S506)、講義の撮影が終了したときはコンテンツの配信および保存(S509で「Yes」だった場合)が停止されて配信が完了し(S507)、コンテンツの配信処理が終了される。
【0094】
次に、表示端末4におけるコンテンツの受信処理について、図15を参照して説明する。
【0095】
まず、表示端末4はコンテンツを受信するために待機しており、(S601、S602の「No」)、ネットワーク3を介して通信制御部41で所望のコンテンツが受信されると(S602の「Yes」)処理が開始される。
【0096】
所望のコンテンツが受信されると、まずこのコンテンツがストリーミングであるかファイル形式であるかが判定される(S603)。
【0097】
コンテンツがストリーミングの場合は(S603の(1))、制御部45で受信したコンテンツが再生可能な形式に変換された後、出力部42から出力され再生、表示される(S604)。このコンテンツの変換および出力はコンテンツの受信が完了するまで継続して行われる(S605の「No」)。
【0098】
コンテンツの受信が完了すると(S605の「Yes」)、出力部42からのコンテンツの再生、表示が停止され(S606)、処理が終了する。
【0099】
ステップS603において受信されたコンテンツがファイル形式であった場合は(S603の(2))、記憶装置44にコンテンツが保存される(S607)。このコンテンツの保存はコンテンツの受信が完了するまで継続して行われる(S608の「No」)。
【0100】
コンテンツの受信が完了すると(S608の「Yes」)、コンテンツがすぐに再生される場合は(S609の「Yes」)コンテンツが再生可能な形式に変換された後、出力部42から出力され再生、表示される(S610)。このコンテンツの変換および出力はコンテンツの再生が完了するまで継続して行われる(S611の「No」)。
【0101】
コンテンツの再生が完了すると(S611の「Yes」)、出力部42からのコンテンツの再生、表示が停止され、処理が終了する。
【0102】
ステップS609においてコンテンツがすぐに再生されない場合には、処理が終了される(S609の「No」)。
【0103】
ストリーミングで受信したときも、保存が行われる場合には記憶装置44にコンテンツの保存が行われると同時に再生、表示が行われる。
【0104】
ここでは追尾撮像装置2から能動的にコンテンツを配信する例を示したが、必要に応じて表示端末4の入力部43から追尾撮像装置2の制御端末20に所望のコンテンツの配信要求を行い、追尾撮像装置2から受信するようにしてもよい。
【0105】
以上の第2実施形態による追尾撮像制御システムによれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、ネットワークを介して遠隔地に撮影したコンテンツを配信することができる。
【0106】
《第3実施形態》
本発明の第3実施形態による追尾撮像システムは、第2実施形態による追尾撮像システムを用いて撮影された講義等の映像を表示する際に、被写体と指示領域とを別々の映像として表示して遠隔講義に用いるものである。
【0107】
〈第3実施形態による追尾撮像システムの構成〉
本実施形態による追尾撮像システムの構成は、第2実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0108】
〈第3実施形態による追尾撮像システムの動作〉
本発明の第3実施形態による追尾撮像システムの動作を、図2、図3、図16〜図25を参照して説明する。
【0109】
まず、追尾撮像装置2により撮影した映像および集音した音声であるコンテンツの配信処理について、図14を参照して説明する。
【0110】
まず、制御端末20のプリセット部201で行われる初期設定の動作について図16を参照して説明する。
【0111】
図2に示す教室などのような空間30で被写体の検出、追尾を行いたいエリア、例えば講義を行う教壇がすべて含まれる画像が撮影できる場所にカメラ部10が設置され、その画角が基準画角301として図3のように設定される(S701)。
【0112】
次に、図3の基準画角301内で被写体の検出および追尾が行われる領域が、追尾エリア302として設定される(S702)。
【0113】
次に、設定された追尾エリア302内で講義情報が含まれる領域が、重要背景エリア303として設定される(S703)。
【0114】
さらに、この講義風景を遠隔地などのモニタやスクリーンに表示するときの画角であり、検出した被写体を中心として画像を切り出す範囲である第1表示画角と、指示領域を中心とした画像を切り出す範囲である第2表示画角と、被写体の表示時の解像度である第1表示画角サイズと、指示領域の表示時の解像度である第2表示画角サイズとが設定される(S704)。
【0115】
ここで、第1の表示画角は、図18に示すように検出した被写体304(身体全体もしくは顔、頭部など)から表示したい領域の重心位置311を中心に領域312(Hx,Hy)が抜き出され、第1の表示画角に対して被写体が常に同じ比率で表示されるように横方向にhx、縦方向にhyの枠領域部分が追加される。ここでは、バストショットになるような画角を第1の表示画角313(X1,Y1)としている。
【0116】
また、第2の表示画角は、図19に示すように検出した指示領域の重心位置309を中心に領域308(Sx,Sy)が抜き出され、第2の表示画角に対して指示領域が常に同じ比率で表示されるように横方向にsx、縦方向にsyの枠領域部分が追加される。このようにして、第2の表示画角314(X2,Y2)が設定される。
【0117】
指示領域のアスペクト比は一定ではないので、sx、syは検出されたアスペクト比によって変更できるように複数の値を設定して保存しておいてもよい。または、sx、syはアスペクト比にあわせて計算によって求めるようにしてもよい。
【0118】
このとき、カメラ部10が撮影する映像の解像度を(X,Y)とすると、第1の表示画角のサイズは(X1≦X)∩(Y1≦Y)であり、第2の表示画角サイズは(X2≦X)∩(Y2≦Y)となる最大サイズになるように設定される。
【0119】
さらに、第1実施形態と同様に被写体の移動許容量が設定される。これらのステップS701〜ステップS704の初期設定は入力部207により行われ、記憶装置208に記憶される。
【0120】
次に、カメラ部10で行われる講義の撮影の動作について図5および図17を参照して説明する。
【0121】
まず、第1実施形態と同様に制御端末20のカメラ制御部204によりカメラ部10が起動されると(S410の「Yes」)、図17のフローチャートに従って撮影処理(C)が行われる(S411)。図17の撮影処理(C)について説明する。
【0122】
カメラ部10が起動されると、まず基準画角301の撮影が開始される(S801)。ここでは基準画角301全体が第1の表示画角および第2の表示画角として設定され(S802)、被写体検出部202により追尾エリア302内での被写体304の検出が行われる(S803)。
【0123】
追尾エリア302内に誰も存在せず、被写体検出部202において被写体未検出の間(S803の「No」)は、ステップS802に戻りそのまま基準画角301全体が第1の表示画角および第2の表示画角として設定されるとともに、第1実施形態と同様に保存処理(B)に従って撮影された画像が記憶装置208に保存される(S804)。
【0124】
このとき、第1の表示画角または第2の表示画角として設定され切り出された画像サイズがプリセット部201で予め設定された各表示画角サイズと異なっている場合は、同じサイズになるように、スケーリング部210において第1の表示画角または第2の表示画角として切り出された画像が拡大または縮小される。
【0125】
このように調整された画像がモニタに出力された状態を、図20に示す。図20において、画像315は予め設定された第1の表示画角として切り出された基準画角301の画像であり、画像316は第2の表示画角として切り出された基準画角301の画像である。
【0126】
追尾エリア302内に被写体が入った場合を、図21を参照して説明する。
【0127】
追尾エリア302内に被写体304が入り、被写体検出部202により検出されたときは(S803の「Yes」)、この被写体304の位置304Aおよび被写体304の重心位置305Aが求められる(S805)。
【0128】
次に、求められた被写体304の重心位置305Aを基準に表示画角306Aが第1の表示画角として設定され切り出される(S806)。ここで、第2の表示画角は基準画角301のままであり、このときの第1の表示画角として切り出された表示画角306Aの画像317および第2の表示画角として切り出された基準画角301の画像318がモニタに出力された状態を図22に示す。
【0129】
次に、ジェスチャ検出部203により被写体304による特定のジェスチャの検出が行われる(S807)。
【0130】
ジェスチャ検出部203において被写体304の特定のジェスチャが未検出であったときは(S807の「No」)、図7のフローチャートに従って保存処理(B)が行われる。(S804)
保存処理(B)が終了すると、追尾エリア302内での被写体304の検出が継続して行われ(S812)、被写体304が未検出であれば(S812の「No」)ステップS802に戻り基準画角301が第1の表示画角および第2の表示画角として設定され、ステップS803以降の処理が行われる。
【0131】
ステップS812において被写体304が検出されたときは、被写体304が移動したかどうかが判定される(S813)。判定の結果、被写体304が移動していれば(S813の「Yes」)、移動距離がプリセット部201に設定された移動許容量の範囲内であるかどうかが判定される(S814)。
【0132】
判定の結果、被写体304の移動距離が移動許容量の範囲を超えていた場合は(S814の「No」)、ステップS805に戻り、図21に示すように移動後の被写体304の位置304Bおよび被写体304の重心位置305Bが求められ、ステップS806以降の処理が行われる。このときの、被写体304の重心位置305Bが中心となるような位置の第1の表示画角として、表示画角306Bが切り出される。
【0133】
ステップS813において被写体304が移動しなかったと判定された場合(S813の「No」)、およびステップS814において被写体304の移動距離が設定された移動許容量の範囲内であると判定された場合(S814の「Yes」)は、ステップS806に戻り、ジェスチャ検出部203により被写体304による特定のジェスチャの検出が行われる。
【0134】
ステップS807において、ジェスチャ検出部203により被写体304による特定のジェスチャ307が検出された場合について図23〜図25を参照して説明する(S807の「Yes」)。
【0135】
被写体304による特定のジェスチャ307が検出されたときは、このジェスチャ307の検出位置が重要背景エリア303内であるかどうかが判定される(S808)。
【0136】
判定の結果、重要背景エリア303内であると判定された場合は(S808の「Yes」)、図形検出部205により重要背景エリア303内からジェスチャ307で指し示された指示領域308が検出される(S809)。
【0137】
次に、検出された指示領域308の重心位置309が求められ(S810)、この指示領域308を含み、指示領域308の重心位置309を基準にした表示画角319が第2の表示画角として設定され切り出される(S811)。
【0138】
第2の表示画角として設定された表示画角319は、上述したとおり、図7のフローチャートに従って保存処理(B)が行われる(S804)。
【0139】
これらの処理により、図23において、ジェスチャ307が検出される前は図21と同様に被写体304の位置304Cに基づいて重心位置305Cを重心とした表示画角306Cが第1の表示画角として切り出されるとともに基準画角301が第2の表示画角として切り出され、図22の画像317および画像318のように表示されるが、ジェスチャ307が検出されると指示領域308に基づいて求められた重心位置309を重心とした表示画角319が第2の表示画角として切り出され、モニタに表示される画像は図24の画像320および画像321のように切り替わる。
【0140】
さらに、図23に示すように、被写体304の位置304Cが位置304Dに移動した場合は、第1の表示画角として切り出される画角は表示画角306Cから表示画角306Dに移動して図25の画像322のように表示されるが、第2の表示画角は次のジェスチャが行われるまで画角位置が維持され、直前に被写体304が指した指示領域308を中心とする表示画角319が表示され続け、画像323のように表示される。
【0141】
以上の撮影処理(C)は講義風景が撮影されている間繰り返し行われ、ユーザにより撮影を停止する操作が入力部207により行われた場合は、第1実施形態と同様に図5のフローチャートに基づいて撮影処理(C)に停止を指示する割り込み信号が送信され(S432)、カメラ制御部204によってカメラ部10の撮影が停止されるとともに、制御端末20も一連の検出動作および撮影動作が停止される。
【0142】
撮影されたコンテンツは、第2実施形態と同様に図14のフローチャートに従って表示端末4に送信され、表示端末4の制御部45で第1の表示画角の画像として切り出された画像と第2の表示画角として切り出された画像とが同期がとられ出力部42に出力される。
【0143】
以上の第3実施形態によれば、第1の表示画角の画像および第2の表示画角として切り出された2つの画像が表示されるため、随時移動する被写体を検出および追尾しながら、指示領域を別途固定画角で表示でき、被写体も指示領域も逃さずより見やすい映像を作成することができる。
【0144】
本実施形態において、第1の表示画角および第2の表示画角はそれぞれの表示したい(検出した)領域の重心位置を基準に設定したが、これには限定されず、見やすい映像を作成するために算出された位置を中心位置とすれば重心位置以外を基準としてもよい。
【0145】
《第4実施形態》
本発明の第4実施形態による追尾撮像装置は、遠隔講義などに利用するための講義の映像を撮影し、検出した被写体を中心としてパン、チルト、ズームの処理を行って表示するものである。
【0146】
〈第4実施形態による追尾撮像装置の構成〉
本発明の第4実施形態による追尾撮像装置5の構成を、図2、図3、図26〜図33を用いて説明する。
【0147】
図26は本実施形態による追尾撮像装置5の構成を示すブロック図である。
【0148】
本実施形態による追尾撮像装置5は、空間30内の講義が行われる教壇がすべて含まれる基準画角301で撮影するカメラ部10と、カメラ部10で撮影した映像を処理する制御端末20とを有する。
【0149】
カメラ部10は、制御端末20からの制御により撮影可能な画角の範囲内で任意の位置にパン、チルト、ズーム処理(以下、「PTZ」と称する)を行う駆動部101を有する。またカメラ部10は、PTZにより画角が変わっても、ステッピングモータで現在自分がいる位置およびズーム率を記憶しており、現在、画角内のどの範囲を撮影しているかを記憶している。
【0150】
制御端末20は、プリセット部201と、被写体検出部202と、ジェスチャ検出部203と、カメラ制御部204と、表示部206と、入力部207と、記憶装置208と、図形検出部213とを有する。
【0151】
プリセット部201、被写体検出部202、ジェスチャ検出部203、表示部206、入力部207、および記憶装置208の機能は第1実施形態〜第3実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0152】
カメラ制御部204は、被写体や指示領域が撮影画角内に収まるようにカメラのPTZを制御する。
【0153】
図形検出部213は、特定されたジェスチャが行われた位置から、重要背景エリア303内にあるユーザに必要な講義情報のうちジェスチャにより指し示された意味のある情報が集合した領域を指示領域として認識する。
【0154】
〈第4実施形態による追尾撮像装置の動作〉
本発明の第4実施形態による追尾撮像装置5の動作を、図2、図3、図5、図27、図28のフローチャートを参照して説明する。
【0155】
まず、制御端末20のプリセット部201で行われる初期設定の動作について図27を参照して説明する。
【0156】
図2に示す教室などのような空間30で被写体の検出、追尾を行いたいエリア、例えば講義を行う教壇がすべて含まれる画像が撮影できる場所にカメラ部10が設置され、その画角が基準画角301として図3のように設定される(S901)。
【0157】
次に、図3の基準画角301内で被写体の検出および追尾が行われる領域が、追尾エリア302として設定される(S902)。
【0158】
次に、設定された追尾エリア302内で講義情報が含まれる領域が、重要背景エリア303として設定される(S903)。
【0159】
さらに、第1実施形態と同様に被写体の移動許容量が設定される。これらのステップS901〜ステップS903の初期設定は入力部207により行われ、記憶装置208に記憶される。
【0160】
次に、カメラ部10で行われる講義の撮影の動作について図5、図8、および図28〜図32を参照して説明する。
【0161】
まず、制御端末20のカメラ制御部204によりカメラ部10が起動されると(S410の「Yes」)、図28のフローチャートに従って撮影処理(D)が行われる(S411)。図28の撮影処理(D)について説明する。
【0162】
カメラ部10が起動されると、まず基準画角301の撮影が開始される(S911)。ここでは基準画角301全体が表示画角として設定され、被写体検出部202により追尾エリア302内での被写体304の検出が行われる(S912)。
【0163】
追尾エリア302内に誰も存在せず、被写体検出部202において被写体未検出の間(S912の「No」)は、ステップS911に戻りそのまま基準画角301全体が表示画角として設定されるとともに、撮影された画像が記憶装置208に保存される(S913)。
【0164】
追尾エリア302内に被写体304が入り、被写体検出部202により被写体304が検出されたときは(S912の「Yes」)、この被写体304の位置および被写体304の重心位置305が求められる(S914)。
【0165】
次に、ジェスチャ検出部203により被写体304による特定のジェスチャの検出が行われる(S915)。
【0166】
ジェスチャ検出部203において被写体304の特定のジェスチャが未検出であったときは(S915の「No」)、被写体304を含み被写体304の重心位置305が中心となるような位置にカメラ制御部204により駆動部101が制御され、PTZ機能により撮影画角が図29に示すように設定される(S916)。
【0167】
設定された撮影画角の画像は、記憶装置208に保存される(S913)。保存処理が終了すると、追尾エリア302内で被写体304が移動したかどうかが判定される(S917)。
【0168】
判定の結果、被写体304が移動していれば(S917の「Yes」)、移動距離がプリセット部201に設定された移動許容量の範囲内であるかどうかが判定される(S918)。
【0169】
判定の結果、被写体304の移動距離が移動許容量の範囲を超えていた場合は(S918の「No」)、ステップS914に戻り、移動後の被写体の位置および被写体の重心位置が求められ、ステップS915以降の処理が行われる。
【0170】
ステップS917において被写体304が移動しなかったと判定された場合(S917の「No」)、およびステップS918において被写体の移動距離が設定された移動許容量の範囲内であると判定された場合(S918の「Yes」)は、ステップS915に戻り、ジェスチャ検出部203により被写体304による特定のジェスチャの検出が行われる。
【0171】
ステップS915において、ジェスチャ検出部203により被写体304による特定のジェスチャ307が検出された場合について図30〜図32を参照して説明する(S915の「Yes」)。
【0172】
被写体304による特定のジェスチャ307が検出されたときは、このジェスチャ307の検出位置が重要背景エリア303内であるかどうかが判定される(S919)。
【0173】
判定の結果、重要背景エリア303内であると判定された場合は(S919の「Yes」)、図形検出部213により重要背景エリア303内から、ジェスチャ307で指し示された指示領域308が検出される(S920)。
【0174】
次に、重要背景エリア303全体がこのときの撮影画角に含まれているかもしくは、指示領域308がこのときの撮影画角に収まっている場合は(S921の「Yes」)指示領域308の重心位置309が求められ(S922)、さらに被写体304の重心位置305と指示領域308の重心位置309との中心位置が求められる。
【0175】
この被写体304の重心位置305と指示領域308の重心位置309との中心位置を重心位置310とし、カメラ制御部204により駆動部101が制御され、PTZ機能により図30に示すように被写体304および指示領域308が収まるように撮影画角が変更される(S923)。
【0176】
変更された撮影画角は、記憶装置208に保存される(S913)。
【0177】
ステップS921において、指示領域308が撮影画角の端を含む形で検出され、撮影画角内に収まっていないと判断された場合は(S921の「No」)、被写体304が含まれたままカメラ制御部204により駆動部101が制御され、PTZ機能により指示領域308の撮影画角端の方向に撮影画角が広げられ、指示領域308全体が含まれるように撮影画角が変更される(S924)。
【0178】
例えば、図31のように指示領域308が撮影画角に収まっていない場合は、指示領域308が右端にはみ出ていると判断され、図32に示すように被写体304および指示領域308を含むように右側に一定量パンされるとともに、被写体304と指示領域308とが両方共フレームアウトしないように一定量ズームアウトされる。
【0179】
そして、再びステップS921に戻り、指示領域308が撮影画角に収まっているか判断される。このステップS921およびS924の処理は、指示領域308が撮影画角に収まるまで繰り返される。
【0180】
これらの処理により、ジェスチャ307が検出される前は被写体304のみに基づいて重心位置305を重心とした撮影画角が図29に示すように設定されるが、ジェスチャ307が検出されると被写体304および指示領域308に基づいて求められた重心位置310を重心として撮影画角に変更され、モニタに表示される画像は図30のように切り替わる。
【0181】
また、ステップS915において、検出されたジェスチャ307の検出位置が重要背景エリア303内ではなかったと判定された場合は(S919の「No」)、ステップS916に進み、被写体304を含み被写体304の重心位置305が中心となるような位置にカメラ制御部204により駆動部101が制御され、PTZ機能により撮影画角が設定される。
【0182】
以上の撮影処理(D)は講義風景が撮影されている間繰り返し行われ、ユーザにより撮影を停止する操作が入力部207により行われた場合は(S431の「Yes」)、撮影処理(D)に停止を指示する割り込み信号が送信され(S432)、カメラ制御部204によってカメラ部10の撮影が停止されるとともに、制御端末20も一連の検出動作および撮影動作が停止される。
【0183】
ユーザにより撮影を停止する操作が行われていないときは(S431の「No」)、撮影処理(D)は継続して行われる。
【0184】
以上の第4実施形態による追尾撮像装置によれば、被写体と被写体の背景にある重要な情報とを確実に逃さず捉えることができるとともに、これらの重要な情報はズーム機能を用いて認識可能な大きさで撮影されているため講義内容の把握に効果的な映像を得ることができる。
【0185】
《第5実施形態》
本発明の第5実施形態による追尾撮像システムは、第4実施形態による追尾撮像装置を用いて撮影された講義等の映像を、ネットワークを介して遠隔地の受講生が受信して視聴する遠隔講義に用いるものである。
【0186】
〈第5実施形態による追尾撮像システムの構成〉
本実施形態による追尾システムの構成を、図33を用いて説明する。図33は、本実施形態による追尾システムの構成を示すブロック図であり、追尾撮像装置6と、ネットワーク3と、ネットワーク3を介して追尾撮像装置6に接続されている表示端末4とから構成されている。
【0187】
追尾撮像装置6の主な構成は、第4実施形態における追尾撮像装置5の構成と同様であるため詳細な説明は省略する。追尾撮像装置5と異なる点は、講義の音声を録音する音声入力部11と、制御端末20に設けられネットワーク3を介して表示端末4と通信を行う通信制御部212を有することである。音声入力部11は、被写体すなわち講師に装着したピンマイクもしくは集音マイクなどである。
【0188】
ネットワーク3および表示端末4の構成は第2実施形態と同様であるため、詳しい説明は省略する。
【0189】
〈第5実施形態による追尾撮像システムの動作〉
本発明の第2実施形態による追尾撮像システムの動作について説明する。本実施形態において、講義が撮影されている間、カメラ部10で撮影された画像は第4実施形態と同様に図28のフローチャートに従って撮影処理(D)が継続して行われ、音声入力部11から入力した講義の音声も継続して集音されているものとする。
【0190】
追尾撮像装置6により撮影された映像および集音された音声であるコンテンツの配信処理は、第2実施形態と同様であるため、詳しい説明は省略する。
【0191】
以上の第5実施形態による追尾撮像制御システムによれば、第4実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、ネットワークを介して遠隔地に撮影したコンテンツを配信することができる。
【0192】
《その他の実施形態》
上記の第1実施形態〜第5実施形態において、下記のような形態で処理を行うことも可能である。
【0193】
〈ジェスチャの検出に関する他の実施形態〉
第1実施形態〜第5実施形態において、撮影した映像から被写体およびそのジェスチャを検出したが、これには限定されず、黒板などの重要背景エリアにタッチセンサーを設置し、被写体が黒板に触れたときにその位置を指示した位置をジェスチャが行われた位置として検出し、さらに指示領域を検出したり、被写体や指示領域の検出精度を向上させるためにその他の位置サンサーを併用したりしてもよい。
【0194】
〈トラッキングに関する他の実施形態〉
第1実施形態〜第5実施形態の撮影中の映像において、被写体が追尾エリアの中程で突然消えることはないので、撮影した映像のある画像フレームでそれまで検出していた被写体が未検出になった場合、すぐに表示画角を基準画角に変更せず、その後数フレーム内に被写体が再検出された場合には継続して検出されていたものとみなして処理を続けるトラッキング機能を使用してもよい。このような機能を使用することで、表示画角が頻繁に変わってしまうことを防ぎ、より見やすい映像にすることができる。
【0195】
〈表示画角を切り出す位置に関する他の実施形態〉
第1実施形態〜第5実施形態において、撮影したフレーム画像から表示画角を切り出す際、カメラ部10で撮影した基準画角の映像全体を制御端末20に送信し、制御端末20側で表示画角の切り出しを行っているが、カメラ部10内に切り出し部209の機能を持たせ、カメラ制御部204からカメラ部10に切り出す部分の位置座標などの情報を送信し、撮影した映像の中で表示画角だけをカメラ部10内で切り出して制御端末20に送信するようにしてもよい。
【0196】
また、カメラ部10に制御端末20の被写体検出部202、ジェスチャ検出部203、図形検出部205、スケーリング部210などの機能を持たせ、カメラ部10に中で各種検出から表示画角の切り出しまで行うようにしてもよい。
【0197】
〈重心位置、中心位置に関する他の実施形態〉
第1実施形態〜第5実施形態において、ジェスチャが検出されていないときは被写体の重心位置から表示画角を求めているが、被写体の表示範囲はこれには限定されず、必要な部分が映っていれば他の画角でもよい。
【0198】
また、被写体のジェスチャが検出されたとき、被写体の重心位置と指示領域の重心位置とから表示画角の中心位置を求めたが、これには限定されず、例えば被写体が表示画角の端に位置するようにするとともに指示領域の重心位置を表示画角の中心位置にするようにするなど、被写体と指示領域とが含まれ、見る人が見やすい表示画角であれば別の画角でもよい。
【0199】
〈移動許容量に関する他の実施形態〉
第1実施形態〜第5実施形態において、被写体の移動許容量は予め想定される被写体の動作スピードと移動量によって設定しているが、これには限定されず、撮影中に被写体の動きベクトルを求め、被写体の移動スピードによってその移動許容量や、被写体や指示領域の表示画角および表示画角サイズを変更するようなダイナミックな設定を行うようにしてもよい。
【0200】
〈撮影した映像の保存場所に関する他の実施形態〉
第1実施形態〜第5実施形態において、撮影した映像のデータは追尾撮像装置内の記憶装置208に記録したが、これには限定されず、制御端末20に通信手段(図示せず)を設け、この通信手段を介して別の記憶装置に記録するようにしてもよい。このとき、リアルタイム配信をする場合は、記憶バッファ(図示せず)に映像のデータを一時保存するか、もしくはそのまま所定のデータ形式に変換して配信する。
【図面の簡単な説明】
【0201】
【図1】本発明の第1実施形態における追尾撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態における追尾撮像装置により撮影が行われる空間を示す概略図である。
【図3】本発明の第1実施形態における追尾撮像装置により撮影された基準画角を示す概略図である。
【図4】本発明の第1実施形態における追尾撮像装置における初期設定の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態における追尾撮像装置における起動および停止の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態における追尾撮像装置における撮影処理の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1実施形態における追尾撮像装置における保存処理の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第1実施形態における追尾撮像装置により撮影された基準画角の画像を示す概略図である。
【図9】本発明の第1実施形態における追尾撮像装置により撮影された画像から切り出した被写体を中心とした表示画角の概略図である。
【図10】本発明の第1実施形態における追尾撮像装置により撮影された基準画角の画像を示す概略図である。
【図11】本発明の第1実施形態における追尾撮像装置により撮影された画像から切り出された被写体を中心とした表示画角の概略図である。
【図12】本発明の第1実施形態における追尾撮像装置により撮影された画像から切り出された被写体および指示領域を中心とした表示画角の概略図である。
【図13】本発明の第2実施形態における追尾撮像システムの構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の第2実施形態における追尾撮像システムにおけるコンテンツ配信処理の動作を示すフローチャートである。
【図15】本発明の第2実施形態における追尾撮像システムにおけるコンテンツ受信処理および表示処理の動作を示すフローチャートである。
【図16】本発明の第3実施形態における追尾撮像システムにおける初期設定の動作を示すフローチャートである。
【図17】本発明の第3実施形態における追尾撮像システムにおける撮影処理の動作を示すフローチャートである。
【図18】本発明の第3実施形態における追尾撮像システムにおいて検出された被写体を示す概略図である。
【図19】本発明の第3実施形態における追尾撮像システムにおいて検出された指示領域を示す概略図である。
【図20】本発明の第3実施形態における追尾撮像システムにおいて撮影された画像が表示された状態を示す概略図である。
【図21】本発明の第3実施形態における追尾撮像システムにより撮影された基準画角を示す概略図である。
【図22】本発明の第3実施形態における追尾撮像システムにおいて撮影された画像が表示された状態を示す概略図である。
【図23】本発明の第3実施形態における追尾撮像システムにより撮影された基準画角を示す概略図である。
【図24】本発明の第3実施形態における追尾撮像システムにおいて撮影された画像が表示された状態を示す概略図である。
【図25】本発明の第3実施形態における追尾撮像システムにおいて撮影された画像が表示された状態を示す概略図である。
【図26】本発明の第4実施形態における追尾撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図27】本発明の第4実施形態における追尾撮像装置における初期設定の動作を示すフローチャートである。
【図28】本発明の第4実施形態における追尾撮像装置における撮影処理の動作を示すフローチャートである。
【図29】本発明の第4実施形態における追尾撮像装置により撮影された被写体を中心とした撮影画角の概略図である。
【図30】本発明の第4実施形態における追尾撮像装置により撮影された被写体および指示領域を中心とした撮影画角の概略図である。
【図31】本発明の第4実施形態における追尾撮像システムにより撮影された被写体を中心とした撮影画角の概略図である。
【図32】本発明の第4実施形態における追尾撮像装置により撮影された被写体を中心とした撮影画角の概略図である。
【図33】本発明の第5実施形態における追尾撮像システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0202】
1、2、5、6、…追尾撮像装置
3…ネットワーク
4…表示端末
10…カメラ部
11…音声入力部
20…制御端末
30…空間
41…通信制御部
42…出力部
43…入力部
44…記憶装置
45…制御部
101…駆動部
201…プリセット部
202…被写体検出部
203…ジェスチャ検出部
204…カメラ制御部
205…図形検出部
206…表示部
207…入力部
208…記憶装置
209…画像切り出し部
210…スケーリング部
211…制御部
212…通信制御部
213…図形検出部
301…基準画角
302…追尾エリア
303…重要背景エリア
304…被写体
304A、304B、304C、304D…被写体位置
305…被写体の重心位置
305A、305B、305C、305D…重心位置
306…領域
306A、306B、306C、306D…表示画角
307…ジェスチャ
308…指示領域
309…指示領域の重心位置
310…重心位置
311…重心位置
312…領域
313…第1の表示画角
314…第2の表示画角
315〜318…画像
319…表示画角
320〜323…画像


【特許請求の範囲】
【請求項1】
追尾撮影エリア内を移動する人物を第1被写体として追尾して撮影するとともに、前記追尾撮影エリア内の重要背景エリア内にある第2被写体を撮影するカメラ部を備えた追尾撮像装置であって、
前記カメラ部が、前記追尾撮影エリア内を撮影して得られた画像から前記第1被写体を検出するとともに、この検出された第1被写体の重心位置座標を取得する被写体検出部と、
前記検出された第1被写体が前記重要背景エリア内の任意の位置を差し示す所定のジェスチャを検出するとともに、前記検出されたジェスチャによって指し示された位置の位置座標を取得するジェスチャ検出部と、
前記取得された位置座標に基づいて前記第2被写体を検出するとともに、この検出された第2被写体の重心位置座標を取得する図形検出部と、
前記取得された第1及び第2被写体の各重心位置座標の中点座標を画角の中心として、前記第1及び第2被写体の画像を所定の画角で撮影画像から抽出する画像切り出し部と、
を備えた構成の追尾撮像装置。
【請求項2】
前記被写体検出部は、前記画像切り出し部から抽出された第1画像から検出した前記第1被写体の重心位置座標と、前記第1画像よりも後に撮影されて抽出された第2画像から検出した前記第1被写体の重心位置座標との距離が、あらかじめ設定された移動許容値以下である場合は、前記第2画像の画角を前記第1画像の画角と同一にするように構成したことを特徴とする請求項1に記載の追尾撮像装置。
【請求項3】
追尾撮影エリア内を移動する人物を第1被写体として追尾して撮影するとともに、前記追尾撮影エリア内の重要背景エリア内にある第2被写体を撮影するパン、チルト、及びズーム機能を有するカメラ部を備えた追尾撮像装置であって、
前記カメラ部が、前記追尾撮影エリア内を撮影して得られた画像から前記第1被写体を検出するとともに、この検出された第1被写体の重心位置座標を取得する被写体検出部と、
前記検出された第1被写体が前記重要背景エリア内の任意の位置を指し示す所定のジェスチャを検出するとともに、前記検出されたジェスチャによって指し示された位置の位置座標を取得するジェスチャ検出部と、
前記取得された位置座標に基づいて前記第2被写体を検出するとともに、この検出された第2被写体の重心位置座標を取得する図形検出部と、
前記取得された第1及び第2被写体の各重心位置座標の中点座標を画角の中心として、前記パン、チルト、及びズームのうち少なくとも一の撮影制御機能により、前記第1及び第2被写体の画像を所定の画角で撮影するように前記カメラ部を制御するカメラ制御部と、
を備えた構成の追尾撮像装置。
【請求項4】
前記被写体検出部は、前記カメラ制御部の制御によって前記カメラ部で撮影された第1画像から検出した前記第1被写体の重心位置座標と、前記第1画像よりも後に撮影されて抽出された第2画像から検出した前記第1被写体の重心位置座標との距離が、あらかじめ設定された移動許容値以下である場合は、前記第2画像の画角を前記第1画像の画角と同一にするように構成したことを特徴とする請求項3に記載の追尾撮像装置。
【請求項5】
追尾撮影エリア内を移動する人物を第1被写体として追尾して撮影するとともに、前記追尾撮影エリア内の重要背景エリア内にある第2被写体を撮影するカメラ部を備えた追尾撮像装置と、前記カメラ部で撮影された画像を表示する表示端末とがネットワークを介してそれぞれ接続された追尾撮像システムであって、
前記追尾撮像装置は、
前記カメラ部が、前記追尾撮影エリア内を撮影して得られた画像から前記第1被写体を検出するとともに、この検出された第1被写体の重心位置座標を取得する被写体検出部と、
前記検出された第1被写体が前記重要背景エリア内の任意の位置を差し示す所定のジェスチャを検出するとともに、前記検出されたジェスチャによって指し示された位置の位置座標を取得するジェスチャ検出部と、
前記取得された位置座標に基づいて前記第2被写体を検出するとともに、この検出された第2被写体の重心位置座標を取得する図形検出部と、
前記取得された第1及び第2被写体の各重心位置座標の中点座標を画角の中心として、前記第1及び第2被写体の画像を所定の画角で撮影画像から抽出する画像切り出し部と、
前記抽出された画像を前記ネットワークに送出するための通信制御部とを備えるとともに、
前記表示端末は、
前記追尾撮像装置から送出された画像を受信する通信制御部と、
前記受信された画像を表示出力する出力部と、
を備えた構成の追尾撮像システム。
【請求項6】
追尾撮影エリア内を移動する人物を第1被写体として追尾して撮影するとともに、前記追尾撮影エリア内の重要背景エリア内にある第2被写体を撮影するパン、チルト、及びズーム機能を有するカメラ部を備えた追尾撮像装置と、前記カメラ部で撮影された画像を表示する表示端末とがネットワークを介してそれぞれ接続された追尾撮像システムであって、
前記追尾撮像装置は、
前記カメラ部が、前記追尾撮影エリア内を撮影して得られた画像から前記第1被写体を検出するとともに、この検出された第1被写体の重心位置座標を取得する被写体検出部と、
前記検出された第1被写体が前記重要背景エリア内の任意の位置を指し示す所定のジェスチャを検出するとともに、前記検出されたジェスチャによって指し示された位置の位置座標を取得するジェスチャ検出部と、
前記取得された位置座標に基づいて前記第2被写体を検出するとともに、この検出された第2被写体の重心位置座標を取得する図形検出部と、
前記取得された第1及び第2被写体の各重心位置座標の中点座標を画角の中心として、前記パン、チルト、及びズームのうち少なくとも一の撮影制御機能により、前記第1及び第2被写体の画像を所定の画角で撮影するように前記カメラ部を制御するカメラ制御部と、
前記撮影された画像を前記ネットワークに送出するための通信制御部とを備えるとともに、
前記表示端末は、
前記追尾撮像装置から送出された画像を受信する通信制御部と、
前記受信された画像を表示出力する出力部と、
を備えた構成の追尾撮像システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2007−158680(P2007−158680A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−350674(P2005−350674)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】