透明導電体及びその製造方法
【課題】凹凸部に導電性材料を斜め蒸着することによりパターニングなしで、部分的に補助電極層を形成可能であり、高透明性と高導電性を両立することができ、発光素子に用いると光取り出し効率の向上を図れる透明導電体、及び該透明導電体を効率よく製造することができる透明導電体の製造方法の提供。
【解決手段】基材の一の表面に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部と、前記凹凸部の少なくとも斜面部分に形成された導電性材料からなる補助電極層と、前記凹凸部及び前記補助電極層の表面に形成された透明導電層とを有する透明導電体である。
【解決手段】基材の一の表面に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部と、前記凹凸部の少なくとも斜面部分に形成された導電性材料からなる補助電極層と、前記凹凸部及び前記補助電極層の表面に形成された透明導電層とを有する透明導電体である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子(有機EL素子)、無機電界発光素子(無機EL素子)、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子に好適に用いられる透明導電体及び透明導電体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、有機EL素子、無機EL素子、LED等の発光素子に用いられる透明導電膜においては、高導電性と高透明性を両立できることが望まれている。
例えば特許文献1には、透明な絶縁基板上に透明導電膜を形成し、更に、所定形状の絶縁性マスクを用いて所定形状の透明電極を形成し、前記透明電極の上面を前記絶縁性マスクで被覆したままの状態で無電解メッキ浴に浸漬して透明電極が露出している部分に金属メッキを施し、しかる後、絶縁性マスクを剥離し、除去することにより、透明電極部に金属補助電極を形成する方法が提案されている。
前記特許文献1では、エッチングした透明導電層にマスクを行い、部分的にめっきを形成して補助電極を作製しており、パターニングなしで部分的に補助電極を効率よく形成できるものではなく、エッチングでパターニングすると材料の無駄が生じてしまうという課題がある。
【0003】
また、特許文献2には、基板の表裏両面に形成された凹凸構造上に斜め金属蒸着により凸部頂上及びその近傍に金属細線を形成してなるワイヤーグリッド型偏光子が提案されている。この提案によれば、良好な偏光特性は得られるが、透明電極に応用することについては開示も示唆もされておらず、導電性の高い透明電極をパターニングなしで簡便かつ効率よく形成することを意図したものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−151840号公報
【特許文献2】特開2001−330728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高透明性と高導電性を両立することができ、発光素子に用いた場合に光取り出し効率の向上を図れる透明導電体、及び該透明導電体を効率よく製造することができる透明導電体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明者が鋭意検討を重ねた結果、ヒートモード材料を用いたレーザ直接描画やインプリント法により形成した凹凸部に導電性材料を斜め蒸着することにより、パターニングなしで部分的に補助電極層を形成し得、高透明性と高導電性を両立できる透明導電体が得られ、該透明導電体を発光素子に用いた場合に光取り出し効率の向上を図れることを知見した。
【0007】
本発明は、本発明者による前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 基材の一の表面に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部と、
前記凹凸部の少なくとも斜面部分に形成された導電性材料からなる補助電極層と、
前記凹凸部及び前記補助電極層の表面に形成された透明導電層と、を有することを特徴とする透明導電体である。
<2> 斜面部分の補助電極層における透明導電体の垂直方向に対する角度が0度〜45度の鋭角である前記<1>に記載の透明導電体である。
<3> 凹凸部の断面形状が、非対称形状である前記<1>から<2>のいずれかに記載の透明導電体である。
<4> 凹凸部の平面視形状が、ライン状及び格子状のいずれかである前記<1>から<3>のいずれかに記載の透明導電体である。
<5> 凸部の平坦幅aの隣接する凸部間の最短距離Pに対する割合〔(a/P)×100〕が、50%以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載の透明導電体である。
<6> 透明導電層が、導電性ポリマーからなる前記<1>から<5>のいずれかに記載の透明導電体である。
<7> 基材の一の表面に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を形成する凹凸部形成工程と、
前記凹凸部の少なくとも斜面部分に導電性材料からなる補助電極層を形成する補助電極層形成工程と、
前記凹凸部及び前記補助電極層の表面に透明導電層を形成する透明導電層形成工程と、を含むことを特徴とする透明導電体の製造方法である。
<8> 凹凸部形成工程において、基材の一の表面にヒートモードの形状変化が可能な有機層を設け、該有機層に集光した光を照射することで凹凸部を形成する前記<7>に記載の透明導電体の製造方法である。
<9> 凹凸部形成工程において、基材の一の表面にインプリント層を設け、該インプリント層にインプリントモールドを押し付けるインプリント法により凹凸部を形成する前記<7>に記載の透明導電体の製造方法である。
<10> インプリントモールドが、ヒートモードの形状変化が可能な有機層に集光した光を照射して凹凸部を形成した該有機層をマスクとしてエッチングにより形成される前記<9>に記載の透明導電体の製造方法である。
<11> 補助電極層の形成が真空蒸着で行われ、該真空蒸着が、表面に凹凸部が形成された基材の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基材の鉛直方向に対する角度を1度〜80度にして行われる前記<7>から<10>のいずれかに記載の透明導電体の製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、凹凸部に導電性材料を斜め蒸着することによりパターニングなしで、部分的に補助電極層を形成可能であり、高透明性と高導電性を両立することができ、発光素子に用いた場合に光取り出し効率の向上を図れる透明導電体、及び該透明導電体を効率よく製造することができる透明導電体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、凹凸部の断面形状の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、凹凸部の断面形状の他の一例を示す概略図である
【図3】図3は、凹凸部の断面形状の他の一例を示す概略図である。
【図4】図4は、凹凸部の断面形状の他の一例を示す概略図である。
【図5A】図5Aは、有機層の表面を平面的に見た一例を示す図である。
【図5B】図5Bは、有機層の表面を平面的に見た他の一例を示す図である。
【図5C】図5Cは、凹部が形成された有機層及び基材の一例を示す断面図である。
【図6】図6は、インプリント法により凹凸部を形成する工程を示す図である。
【図7A】図7Aは、本発明の透明導電体の製造方法における凹凸部形成工程を示す模式図である。
【図7B】図7Bは、本発明の透明導電体の製造方法における透明導電層形成工程を示す模式図である。
【図7C】図7Cは、本発明の透明導電体の製造方法における透明導電層形成工程を示す模式図である。
【図8】図8は、実施例1における凹凸部形成工程及び補助電極層形成工程を説明するための概略図である。
【図9】図9は、実施例1の補助電極層形成工程における斜め真空蒸着の様子を示す概略図である。
【図10】図10は、実施例1の補助電極層形成工程において凹凸部の斜面部分に形成された補助電極層を示す概略図である。
【図11】図11は、実施例1の透明導電層形成工程において透明導電層を形成した状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(透明導電体及び透明導電体の製造方法)
本発明の透明導電体は、基材の一の表面に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部と、
前記凹凸部の少なくとも斜面部分に形成された導電性材料からなる補助電極層と、
前記凹凸部及び前記補助電極層の表面に形成された透明導電層とを有し、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
本発明の透明導電体の製造方法は、凹凸部形成工程と、補助電極層形成工程と、透明導電層形成工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
本発明の透明導電体は、本発明の透明導電体の製造方法により好適に製造される。
以下、本発明の透明導電体の製造方法の説明を通して本発明の透明導電体の詳細についても明らかにする。
【0011】
本発明の透明導電体においては、凹凸部の斜面部分の補助電極層における透明導電体の垂直方向に対する角度は、0度〜45度の鋭角であることが好ましく、1度〜30度がより好ましく、5度〜20度が更に好ましい。
前記角度が、0度未満であると、凹凸部を転写にて形成するときに、型から抜くのが困難になることがあり、45度を超えると、補助電極層によって光透過率が低下してしまうことがある。
【0012】
図1に示すように、隣接する凸部間の最短距離(ピッチ)Pは、10nm〜10,000nmであることが好ましく、100nm〜1,000nmであることがより好ましい。
また、図1に示すように、凸部の平坦幅aの前記ピッチPに対する割合〔(a/P)×100〕は、50%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましく、10%以下であることが更に好ましく、0%であることが最も好ましい。前記凸部の平坦幅のピッチに対する割合〔(a/P)×100〕が、50%を超えると、補助電極層を形成時に導電性材料が平坦部に付着して、光透過率が低下してしまうことがある。
また、図1に示すように、傾斜部の幅bの前記ピッチPに対する割合〔(b/P)×100〕は、0%〜50%であることが好ましい。また、底部の平坦幅cのピッチPに対する割合〔(c/P)×100〕は、0%〜100%であることが好ましい。また、凸部高さdのピッチPに対する割合〔(d/P)×100〕は、10%〜100%であることが好ましい。
したがって凹凸部の断面形状は、図3に示す断面形状(底部の平坦幅cが0nm)よりも図2に示す断面形状(凸部の平坦幅aが0nm)であること、即ち凹凸部において凸部に平坦な部分がなく、かつ底部がある断面形状であることが、透過率を高める点で好ましい。
【0013】
また、前記凹凸部の断面形状が、図4に示すように、対称形状ではなく非対称形状であることが、補助電極層の形成のしやすさは同等で、凹凸部形成工程での転写時の剥離がしやすくなる点で好ましい。
ここで、前記凹凸部の断面形状とは、特に断りがない限り、凸部の配列方向(凸部が列設されている方向)における断面(形状)を指し、例えば矩形状、三角形状、長方形状、台形状などが挙げられる。
【0014】
前記凹凸部の平面視形状としては、例えばライン状、メッシュ状、六角形状を多数並べた形状、三角形状を多数並べた形状、多角形状を多数並べた形状、ストライプ状(格子状)などが挙げられる。これらの中でも、ライン状、格子状が形成しやすく、斜め蒸着が行い易い点で特に好ましい。
【0015】
<凹凸部形成工程>
前記凹凸部形成工程は、基材の一の表面に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を形成する工程である。
【0016】
−基材−
前記基材としては、その材質、形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記材質としては、金属、無機物、有機物などが挙げられ、前記形状としては、平板状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、用途等に応じて適宜選択することができる。
前記金属としては、遷移金属が好ましい。該遷移金属としては、例えばNi、Cu、Al、Mo、Co、Cr、Ta、Pd、Pt、Au等の各種金属、又はこれらの合金、などが挙げられる。
前記無機物としては、例えばガラス、シリコン(Si)、石英(SiO2)などが挙げられる。
前記樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、低融点フッ素樹脂、ポリメタアクリル酸メチル(PMMA)、トリアセテートセルロース(TAC)、などが挙げられる。これらの中でも、PET、PC、TACが特に好ましい。
【0017】
−凹凸部の形成−
前記凹凸部は、珪酸土からなる基材のように最初から凹凸部を有するものであっても構わないが、フォトリソグラフィやインプリンティングなどの方法で任意に凹凸部を形成することが好ましい。
ここで、図5Cに示すように、基材1の一方の表面1aに、複数の凸部13及び凹部15が一定のピッチで形成されている。この場合、凸部13と、複数の凸部13間に形成された凹部15とを総称して凹凸部とする。
なお、前記凹凸部の断面形状は、直線的な形状に限られず、曲線的な形状であっても構わない。
【0018】
前記凹凸部の形成においては、基材そのものをサンドブラスト加工して凹凸部を形成しても構わないが、基材上に凹凸部を形成可能な層(ヒートモード層、インプリント層、レジスト層)を設けて凹凸部を形成する方法が好ましい。具体的には、(1)基材の一の表面に、ヒートモードの形状変化が可能な有機層を設け、該有機層に集光した光を照射することで凹凸部を形成する方法、(2)基材の一の表面にインプリント層を設け、該インプリント層にインプリントモールドを押し付けるインプリント法により凹凸部を形成する方法、(3)基材の一の表面にレジスト層を設け、フォトリソグラフィにより凹凸部を形成する方法、などが挙げられる。
【0019】
−−前記(1)の凹凸部の形成方法−−
前記ヒートモードの形状変化が可能な有機層は、強い光の照射により光が熱に変換されてこの熱により材料が形状変化して凹部を形成することが可能な層であり、例えば、シアニン系、フタロシアニン系、キノン系、スクワリリウム系、アズレニウム系、チオール錯塩系、メロシアニン系などを用いることができる。
好適な例としては、例えばメチン色素(シアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素、オキソノール色素、メロシアニン色素など)、大環状色素(フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポルフィリン色素など)、アゾ色素(アゾ金属キレート色素を含む)、アリリデン色素、錯体色素、クマリン色素、アゾール誘導体、トリアジン誘導体、1−アミノブタジエン誘導体、桂皮酸誘導体、キノフタロン系色素などが挙げられる。これらの中でも、メチン色素、アゾ色素が特に好ましい。
【0020】
なお、前記有機層は、レーザ光源の波長に応じて適宜色素を選択したり、構造を改変することができる。例えば、レーザ光源の発振波長が780nm付近であった場合、ペンタメチンシアニン色素、ヘプタメチンオキソノール色素、ペンタメチンオキソノール色素、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素などから選択することが有利である。
また、レーザ光源の発振波長が660nm付近であった場合は、トリメチンシアニン色素、ペンタメチンオキソノール色素、アゾ色素、アゾ金属錯体色素、ピロメテン錯体色素などから選択することが有利である。
更に、レーザ光源の発振波長が405nm付近であった場合は、モノメチンシアニン色素、モノメチンオキソノール色素、ゼロメチンメロシアニン色素、フタロシアニン色素、アゾ色素、アゾ金属錯体色素、ポルフィリン色素、アリリデン色素、錯体色素、クマリン色素、アゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、1−アミノブタジエン誘導体、キノフタロン系色素などから選択することが有利である。
【0021】
以下、レーザ光源の発振波長が405nm付近であった場合に対し、有機層として好ましい化合物の例を挙げる。下記III−1〜III−14で表される化合物は、レーザ光源の発振波長が405nm付近であった場合の化合物である。また、レーザ光源の発振波長が780nm付近であった場合、660nm付近であった場合の好ましい化合物は、特開2008−252056号公報の段落〔0024〕〜〔0028〕に記載されている化合物が挙げられる。なお、本発明は、これらの化合物を用いた場合に限定されるものではない。
【0022】
<レーザ光源の発振波長が405nm付近であった場合の化合物例>
【化1】
【0023】
<レーザ光源の発振波長が405nm付近であった場合の化合物例>
【化2】
【0024】
また、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、特開平11−53758号公報、特開平11−334204号公報、特開平11−334205号公報、特開平11−334206号公報、特開平11−334207号公報、特開2000−43423号公報、特開2000−108513号公報、特開2000−158818号公報等に記載されている色素も好適に用いられる。
【0025】
このような色素型の有機層は、色素を、結合剤等と共に適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いで、この塗布液を、基材上に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成できる。その際、塗布液を塗布する面の温度は、10℃〜40℃の範囲であることが好ましい。下限値が、15℃以上であることがより好ましく、20℃以上であることが更に好ましく、23℃以上であることが特に好ましい。また、上限値としては、35℃以下であることがより好ましく、30℃以下であることが更に好ましく、27℃以下であることが特に好ましい。このように被塗布面温度が上記範囲にあると、塗布ムラや塗布故障の発生を防止し、塗膜の厚さを均一にすることができる。なお、前記上限値及び下限値は、それぞれが任意で組み合わせることができる。
ここで、前記有機層は、単層でも重層でもよく、重層構造の場合、塗布工程を複数回行うことによって形成される。
塗布液中の色素の濃度は、有機溶媒に対して0.3質量%以上30質量%以下で溶解することが好ましく、1質量%以上20質量%以下で溶解することがより好ましく、テトラフルオロプロパノールに1質量%以上20質量%以下で溶解することが特に好ましい。
【0026】
塗布液の溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;メチルシクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコール等のアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;などが挙げられる。これらの中でも、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート、メチルエチルケトン、イソプロパノール、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールが特に好ましい。
前記溶剤は、使用する色素の溶解性を考慮して1種単独で、或いは2種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中には、更に、酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等の各種添加剤を目的に応じて添加してもよい。
【0027】
前記塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばスプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法などが挙げられる。これらの中でも、生産性に優れ、膜厚のコントロールが容易であるという点でスピンコート法を採用することが特に好ましい。
前記有機層における色素は、スピンコート法による形成に有利であるという点から、有機溶媒に対して0.3質量%以上30質量%以下で溶解することが好ましく、1質量%以上20質量%以下で溶解することがより好ましい。
また、前記色素は、その熱分解温度が150℃以上500℃以下であることが好ましく、200℃以上400℃以下であることがより好ましい。
塗布の際、塗布液の温度は、23℃〜50℃であることが好ましく、24℃〜40℃であることがより好ましく、25℃〜30℃であることが更に好ましい。
【0028】
塗布液が結合剤を含有する場合、該結合剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴム等の天然有機高分子物質;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂;ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体;フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物などが挙げられる。
前記有機層の材料として結合剤を併用する場合に、前記結合剤の使用量は、一般に色素に対して0.01倍量〜50倍量(質量比)が好ましく、0.1倍量〜5倍量(質量比)がより好ましい。
【0029】
また、前記有機層には、該有機層の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。
前記褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。
その具体例としては、特開昭58−175693号公報、特開昭59−81194号公報、特開昭60−18387号公報、特開昭60−19586号公報、特開昭60−19587号公報、特開昭60−35054号公報、特開昭60−36190号公報、特開昭60−36191号公報、特開昭60−44554号公報、特開昭60−44555号公報、特開昭60−44389号公報、特開昭60−44390号公報、特開昭60−54892号公報、特開昭60−47069号公報、特開昭63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報、特公平6−26028号公報、ドイツ特許第350399号明細書、日本化学会誌1992年10月号第1141頁などに記載のものを挙げることができる。
前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、色素の量に対して、0.1質量%〜50質量%の範囲が好ましく、0.5質量%〜45質量%の範囲がより好ましく、3質量%〜40質量%の範囲が更に好ましく、5質量%〜25質量%の範囲が特に好ましい。
【0030】
以上、前記有機層の溶剤塗布法について述べたが、該有機層は、蒸着、スパッタリング、CVD等の成膜法によって形成することもできる。
【0031】
なお、前記色素は、後述する凹部の加工に用いるレーザ光の波長において、他の波長よりも光の吸収率が高いものが用いられる。
前記色素の吸収ピークの波長は、必ずしも可視光の波長域内であるものに限定されず、紫外域や、赤外域にあるものであっても構わない。
【0032】
レーザで凹部を形成する波長λwは、λa<λwの関係であることが好ましい。このような関係にあれば、色素の光吸収量が適切で記録効率が高まるし、きれいな凹凸形状が形成できる場合がある。また、λw<λcの関係であることが好ましい。λwは、色素が吸収する波長であるべきなので、このλwの波長よりも長波長側に発光素子の中心波長λcがあることで、発光素子の発する光が色素に吸収されず透過率が向上し、結果として発光効率が向上できるからである。
以上のような観点から、λa<λw<λcの関係にあることが最も好ましいといえる。
【0033】
なお、凹部を形成するためのレーザ光の波長λwは、大きなレーザパワーが得られる波長であればよく、例えば、有機層に色素を用いる場合は、193nm、210nm、266nm、365nm、405nm、488nm、532nm、633nm、650nm、680nm、780nm、830nmなど、1,000nm以下が好ましい。
【0034】
また、レーザ光の種類としては、ガスレーザ、固体レーザ、半導体レーザなどのどのようなレーザであってもよい。ただし、光学系を簡単にするために、固体レーザや半導体レーザを採用するのが好ましい。レーザ光は、連続光でもパルス光でもよいが、自在に発光間隔が変更可能なレーザ光を採用するのが好ましい。例えば、半導体レーザを採用するのが好ましい。レーザを直接オンオフ変調できない場合は、外部変調素子で変調するのが好ましい。
【0035】
また、レーザパワーは、加工速度を高めるためには高い方が好ましい。ただし、レーザパワーを高めるにつれ、スキャン速度(レーザ光で有機層を走査する速度)を上げなければならない。そのため、レーザパワーの上限値は、スキャン速度の上限値を考慮して、100Wが好ましく、10Wがより好ましく、5Wが更に好ましく、1Wが特に好ましい。また、レーザパワーの下限値は、0.1mWが好ましく、0.5mWがより好ましく、1mWが更に好ましい。
【0036】
更に、レーザ光は、発信波長幅及びコヒーレンシが優れていて、波長並みのスポットサイズに絞ることができるような光であることが好ましい。また、凹部を適正に形成するための光パルス照射条件は、光ディスクで使われているようなストラテジを採用するのが好ましい。即ち、光ディスクで使われているような、記録速度や照射するレーザ光の波高値、パルス幅などの条件を採用するのが好ましい。
【0037】
前記有機層の厚さは、後述する凹部15の深さに対応させるのがよい。
前記有機層の厚さは、例えば、1nm〜10,000nmの範囲で適宜設定することができ、厚さの下限は、10nm以上が好ましく、30nm以上がより好ましい。前記厚さが薄すぎると、凹部15が浅く形成されるため、光学的な効果が得られなくなることがある。また、厚さの上限は、1,000nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましい。前記厚さが厚すぎると、大きなレーザパワーが必要になるとともに、深い穴を形成することが困難になることがあり、更には、加工速度が低下することがある。
【0038】
また、前記有機層の厚さtと、凹部の直径dとは、以下の関係であることが好ましい。即ち、前記有機層の厚さtの上限値は、t<10dを満たす値とするのが好ましく、t<5dを満たす値とするのがより好ましく、t<3dを満たす値とするのが更に好ましい。また、有機層の厚さtの下限値は、t>d/100を満たす値とするのが好ましく、t>d/10を満たす値とするのがより好ましく、t>d/5を満たす値とするのが更に好ましい。このように凹部の直径dとの関係で有機層の厚さtの上限値及び下限値を設定する理由は、前記した理由と同様である。
【0039】
前記有機層を形成するときは、色素を適当な溶剤に溶解又は分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコートなどの塗布法により基材の表面に塗布することにより形成することができる。
【0040】
前記有機層には、周期的に複数の凹部が形成されている。前記凹部は、有機層に集光した光を照射することで、該照射部分を変形(消失による変形を含む)させて形成されたものである。
【0041】
なお、凹部が形成される原理は、以下の通りとなっている。
前記有機層に、材料の光吸収がある波長(材料で吸収される波長)のレーザ光を照射すると、前記有機層によってレーザ光が吸収され、この吸収された光が熱に変換され、光の照射部分の温度が上昇する。これにより、有機層が、軟化、液化、気化、昇華、分解などの化学乃至物理変化を起こす。そして、このような変化を起こした材料が移動乃至消失することで、凹部が形成される。
【0042】
なお、前記凹部の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ライトワンス光ディスクや追記型光ディスクなどで公知となっているピットの形成方法を適用することができる。具体的には、ピットサイズによって変化するレーザの反射光の強度を検出し、この反射光の強度が一定となるようにレーザの出力を補正することで、均一なピットを形成するといった、公知のランニングOPC技術(特許第3096239号公報)を適用することができる。
【0043】
また、前記したような有機層の気化、昇華又は分解は、その変化の割合が大きく、急峻であることが好ましい。具体的には、色素の気化、昇華又は分解時の示差熱天秤(TG−DTA)による質量減少率は、5%以上であることが好ましく、10%以上がより好ましく、20%以上が更に好ましい。また、色素の気化、昇華又は分解時の示差熱天秤(TG−DTA)による質量減少の傾き(昇温1℃あたりの質量減少率が0.1%/℃以上であることが好ましく、0.2%/℃以上がより好ましく、0.4%/℃以上が更に好ましい。
【0044】
また、軟化、液化、気化、昇華、分解などの化学乃至物理変化の転移温度は、その上限値が、2,000℃以下であることが好ましく、1,000℃以下であることがより好ましく、500℃以下であることが更に好ましい。前記転移温度が高すぎると、大きなレーザパワーが必要となることがある。また、転移温度の下限値は、50℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることが更に好ましい。前記転移温度が低すぎると、周囲との温度勾配が少ないため、明瞭な穴エッジ形状を形成することができなくなる場合がある。
【0045】
図5Aは、有機層を平面的に見た一例の図であり、図5Bは、有機層を平面的に見た他の一例の図であり、図5Cは、基材及び有機層の断面図である。図5Aに示すように、凹部15は、ドット状に形成され、このドットが格子状に配列されたものを採用することができる。また、図5Bに示すように、凹部15は、細長い溝状に形成され、これが断続的につながったものでもよい。更に、図示は省略するが、連続した溝形状として形成することもできる。
【0046】
隣接する凹部15同士のピッチPは、発光体であるLED素子10が発光する光の中心波長λcの0.01倍〜100倍であることが好ましい。
【0047】
凹部15のピッチPは、中心波長λcの0.05倍〜20倍が好ましく、0.1倍〜5倍がより好ましく、0.5倍〜2倍が更に好ましい。具体的には、ピッチPの下限値は、中心波長λcの0.01倍以上が好ましく、0.05倍以上がより好ましく、0.1倍以上が更に好ましく、0.2倍以上が特に好ましい。また、ピッチPの上限値は、中心波長λcの100倍以下が好ましく、50倍以下がより好ましく、10倍以下が更に好ましく、5倍以下が特に好ましい。
【0048】
凹部15の直径又は溝の幅は、中心波長λcの0.005倍〜25倍が好ましく、0.025倍〜10倍がより好ましく、0.05倍〜2.5倍が更に好ましく、0.25倍〜2倍が特に好ましい。
ここでいう直径又は溝の幅は、凹部15の半分の深さにおける大きさ、いわゆる半値幅である。
【0049】
凹部15の直径又は溝の幅は、上記の範囲で適宜設定することができるが、発光面18から離れるにつれ、巨視的に徐々に屈折率が小さくなるように、ピッチPの大きさに応じて調整するのが好ましい。即ち、ピッチPが大きい場合には、凹部15の直径又は溝の幅も大きくし、ピッチPが小さい場合には、凹部15の直径又は溝の幅も小さくするのが好ましい。この観点から、直径又は溝の幅は、ピッチPに対して2分の1程度の大きさであるのが好ましく、例えば、ピッチPの20%〜80%が好ましく、30%〜70%がより好ましく、40%〜60%が更に好ましい。
【0050】
凹部15の深さは、中心波長λcの0.01倍〜20倍が好ましく、0.05倍〜10倍がより好ましく、0.1倍〜5倍が更に好ましく、0.2倍〜2倍が特に好ましい。
【0051】
−−前記(2)の凹凸部の形成方法(インプリント法)−−
前記インプリント方法としては、熱ナノインプリント方式と、光ナノインプリント方式とがある。
前記熱ナノインプリント方式は、基体の表面に形成されたインプリント層にインプリントモールドの複数の凸部を押し当てて凹凸パターンを形成する。ここでは、系を前記インプリント層のガラス転移温度(Tg)付近に維持しておき、転写後、インプリント層に含まれる熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも低下することにより硬化する。インプリントモールドを剥離すると、インプリント層に凹凸パターンが形成される。
【0052】
前記光インプリント方式は、光透過性を有し、インプリントモールドとして機能する強度を有する材料(例えば、石英(SiO2)、有機樹脂(PET、PEN、ポリカーボネート、低融点フッ素樹脂)等)からなるインプリントモールドを用いてレジスト凹凸パターンを形成する。
その後、少なくとも光硬化性樹脂を含むインプリント組成物からなるインプリント層に紫外線等を照射して転写されたパターンを硬化させる。なお、パターニング後であってモールドモールドと基材とを剥離した後に紫外線を照射して硬化してもよい。
【0053】
前記インプリントモールドとしては、ヒートモードの形状変化が可能な有機層に集光した光を照射して凹凸部を形成した該有機層をマスクとしてエッチングにより形成されたものが好ましい。
【0054】
ここで、図6は、インプリント方法により凹凸部を形成する方法を示す工程図である。
図6のAに示すように、アルミニウム、ガラス、シリコン、石英、又はシリコン等の基板40上に、ポリメタアクリル酸メチル(PMMA)等のインプリントレジスト液を塗布してなるインプリント層24を有する基板に対して、表面に凹凸パターンが形成されたインプリントモールド1を押し当てる。
【0055】
次に、図6のBに示すように、インプリント層24にインプリントモールド1を押し当てた際には、系を前記インプリントレジスト液のガラス転移温度(Tg)付近に維持しておき、転写後、インプリント層24が前記インプリントレジスト液のガラス転移温度よりも低下することにより硬化する。また、必要に応じて加熱又はUV照射により硬化処理を行ってもよい。これにより、インプリントモールド1上に形成された凹凸パターンがインプリント層24に転写される。
【0056】
次に、図6のCに示すように、インプリントモールド1を剥離すると、インプリント層24に凹凸パターンが形成される。
【0057】
<補助電極層形成工程>
前記補助電極層形成工程は、前記凹凸部の少なくとも斜面部分に導電性材料からなる補助電極層を形成する工程である。
【0058】
前記凹凸部の少なくとも斜面部分に補助電極層を形成することが好ましく、その形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、凹凸部上に斜め方向から導電性材料を蒸着することにより、凹部の蒸着源に面した箇所のみに成膜を行うことができる。
前記補助電極層形成方法としては、凹凸部の少なくとも斜面部分を選択して補助電極層を形成できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば真空蒸着、スパッタリング、CVD、めっき、溶液中析出、スプレー法などが挙げられる。これらの中でも、真空蒸着、低圧力スパッタリング、スプレー法が好ましく、真空蒸着が特に好ましい。
【0059】
前記真空蒸着としては、例えば電子ビーム蒸着、イオンプレーティングなどが挙げられる。
前記スパッタリングとしては、例えば低圧力成膜、高圧力成膜などが挙げられる。
前記低圧力成膜は、成膜時圧力を下げると、被成膜面に到達する微粒子の進行方向分布が狭くなり、異方性が高まるので好ましい。被成膜面圧力は0.1Pa以下が好ましく、0.01Pa以下がより好ましく、0.001Pa以下が更に好ましい。被成膜面エリアのみを圧力下げるか、イオンビームスパッタのような方法により実現できる。
前記高圧力成膜は、成膜時圧力を上げ、凸部へ選択的に成膜される方法も好ましい。前記被成膜面圧力は、0.5Pa以上が好ましく、5Pa以上がより好ましい。
【0060】
−真空蒸着−
前記真空蒸着は、表面に凹凸部が形成された基材の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基材の鉛直方向に対する角度(蒸着角度)を1度〜80度にして行うことが好ましい。
前記真空蒸着を行うときの角度の下限は、1度以上が好ましく、5度以上がより好ましく、10度以上が更に好ましい。前記角度があまり小さすぎると、蒸着効率が低下する場合がある。
前記蒸着角度の上限は、80度以下が好ましく、70度以下がより好ましく、60度以下が更に好ましく、50度以下が特に好ましい。前記蒸着角度が、80度を超えると、被蒸着面に蒸着材料がほとんど付着しなくなり、蒸着効率が下がる、また更にその付着強度が弱くなることがある。
ただし、凹部深さが、真空蒸着厚さより大きくて、凹部の斜面が急な場合は、90度(角度を設けない)でなくても構わない。
前記真空蒸着時の圧力は、上限は1×10-3Torrが好ましく、5×10-4Torrがより好ましく、1×10-4Torrが更に好ましい。下限は、1×10-8Torrが好ましく、5×10-7Torrがより好ましく、1×10-6Torrが更に好ましい。前記蒸着速度は、上限は、100nm/sが好ましく、20nm/sがより好ましく、5nm/sが更に好ましい。下限は、0.001nm/sが好ましく、0.01nm/sがより好ましく、0.1nm/sが更に好ましい。
【0061】
前記導電性材料としては、蒸着可能な材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、Ag、Ni、Cu、Al、Mo、Co、Cr、Ta、Pd、Pt、Au等の各種金属、又はこれらの合金を用いることが好適である。
【0062】
前記補助電極層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10nm〜50,000nmが好ましく、50nm〜5,000nmがより好ましく、100nm〜1,000nmが更に好ましい。
【0063】
<透明導電層形成工程>
前記透明導電層形成工程は、前記凹凸部及び前記補助電極層の表面に透明導電層を形成する工程である。即ち、図11に示すように、前記凹凸部における補助電極層が形成されていない凹凸部表面、及び凹凸部上に形成された補助電極層3表面に透明導電層5を形成する。
【0064】
前記透明導電層は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばPEDOT/PSS、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリイソチアナフテン等の透明導電性ポリマー;金属酸化物、金属微粒子、金属ナノロッド・ナノワイヤ等の導電性金属;カーボンナノチューブ等の導電性無機微粒子、又は有機水溶性塩のいずれかを、塗布、印刷等の方法で付着し、成膜することで得られる。これらの中でも、導電性ポリマーが特に好ましい。
これらの塗布液は塗布適性向上や膜物性調整のために他の非導電性ポリマーやラテックス等をブレンドして用いてもよい。また、銀の薄膜を高屈折率層で挟んだ多層構造を用いてもよい。これら透明導電性材料に関しては、東レリサーチセンター株式会社発行「電磁波シールド材料の現状と将来」、特開平9−147639号公報などに記載されている。
前記塗布及び印刷の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばスライドコータ、スロットダイコータ、カーテンコータ、ロールコータ、バーコータ、グラビアコータ等の塗布コータやスクリーン印刷などが挙げられる。
【0065】
前記導電性ポリマーとしては、透光性及び導電性の高いものが好ましく、ポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリアニリン類等の電子伝導性導電性ポリマーが好ましい。
前記電子伝導性ポリマーとしては、当該技術分野で既知のポリマー、例えばポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン等である。その詳細については、例えば“Advances in Synthetic Metals”,ed.P.Bernier,S.Lefrant,and G.Bidan,Elsevier,1999;“Intrinsically Conducting Polymers:An Emerging Technology”,Kluwer(1993);“Conducting Polymer Fundamentals and Applications,A Practical Approach”,P.Chandrasekhar,Kluwer,1999;及び“Handbook of Organic Conducting Molecules and Polymers”,Ed.Walwa,Vol.1−4,Marcel Dekker Inc.(1997)のような教本に記載されている。これらの電子伝導性ポリマーは1種単独で用いてもよいし、ポリマーブレンドのように複数種のポリマーを混合して用いてもよい。
【0066】
前記透明導電層の厚み(ただし、凸部は除く)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10nm〜50,000nmが好ましく、50nm〜5,000nmがより好ましい。100nm〜1,000nmが更に好ましい。
【0067】
ここで、本発明の透明導電体の製造方法の一例について、図7A〜図7Cを参照して説明する。
図7Aは、基材1の一の表面に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を形成する凹凸部形成工程を示す図である。凹凸部の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、ヒートモードの形状変化が可能な有機層2に集光した光を照射することで凹凸部を形成する方法、ナノインプリント方法などが挙げられる。
図7Bは、前記凹凸部の少なくとも斜面部分に導電性材料からなる補助電極層3を形成する補助電極層形成工程を示す図である。表面に凹凸部が形成された基材1の該凹凸部側を真空蒸着装置4に向けて、該基材の鉛直方向に対する角度θ1を1度〜80度に傾けて真空蒸着することにより、凹凸部の斜面部分に補助電極層を形成できる。
図7Cは、前記凹凸部及び前記補助電極層の表面に透明導電層を形成する透明導電層形成工程を示す図である。凹凸部及び前記補助電極層3の表面に透明導電層5を塗布により形成することで、透明導電体が得られる。
【0068】
本発明の透明導電体の製造方法によれば、補助電極層形成工程の斜め蒸着により形成した補助電極層及び凹凸部表面に、導電性ポリマー溶液を用いた塗布法により透明導電層を形成すると、表面がフラットな透明導電層を形成することができる。
また、凹凸部に形成された補助電極層は、光透過方向に対して厚いが、開口方向には狭い立体構造となり、その結果、従来に比べて透明性及び導電性を向上させることができる。
【0069】
−用途−
本発明の透明導電体は、例えば液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、エレクトロクロミックディスプレイ、太陽電池、タッチパネルなどの透明電極、電子ペーパー、電磁波シールド材などに幅広く用いることができる。
【実施例】
【0070】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0071】
(実施例1)
直径4インチの円盤状シリコン基板を用い、該シリコン基板上に、下記構造式で表されるオキソノール有機物(ヒートモード材料1)15mgを、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール1mlに溶解した溶液を、スピンコーターを用いて回転数300rpmで塗布し、その後回転数1,000rpmで乾燥させ、厚さ70nmの有機層を形成した。
【化3】
【0072】
次に、シリコン基板上の有機層にNEO1000(パルステック工業株式会社製)にて、5m/s、4mW、円周方向に500nmピッチで、レーザ照射を行った。これにより、表面に凹凸部が形成された有機層を有する基板が得られた。
次に、凹凸部が形成された有機層をマスクとしてシリコン基板をドライエッチングして、シリコン基板上に深さ200nmの凹部を形成し、シリコン基板表面の残存有機層を、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールで溶解除去した。なお、ドライエッチング条件は、ガスSF6、出力150W、40秒の反応性イオンエッチング(RIE)で行った。以上により、インプリントモールドを作製した。
次に、厚み80μmのポリカーボネート基板上に、光硬化性樹脂(PAK01、東洋合成株式会社製)を塗布し、厚み10μmのインプリント層を形成した。
作製したインプリントモールドを、ポリカーボネート基板上のインプリント層に押し付け、UV硬化させて、インプリントモールドの凹凸パターンを転写し、インプリントモールドを剥離することでポリカーボネート基板上に凹凸部を形成した(凹凸部形成工程;図8(A)参照)。
ポリカーボネート基板に形成された凹凸部は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察したところ、図1において、ピッチPが500nm、凸部の平坦幅aが50nm、傾斜部幅bが150nm、底部の平坦幅cが150nm、凸部の高さdが150nm、傾斜部の傾斜角度θが45度であった。
次に、図8(B)に示すように、凹凸部を形成したポリカーボネート基板を1/4にカットし、図8(C)に示すように、導電性材料として銀を用いた真空蒸着を、表面に凹凸部が形成されたポリカーボネート基板の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基板の鉛直方向に対する角度θ1を27度にして行い、図9に示すように、凹凸部の少なくとも斜面部に銀からなる補助電極層を20nmの厚さに成膜した(補助電極層形成工程;図10参照)。
斜面部分の補助電極層における基板の垂直方向に対する角度は45度であった。
その後、凹凸部及び補助電極層の表面に導電性ポリマー溶液(Baytron P、H.C.Starck社製)を1,000rpmでスピンコートし、乾燥させて、厚み100nm〜200nmの透明導電層を形成した(透明導電層形成工程;図11参照)。以上により、実施例1の透明導電体を作製した。
【0073】
(実施例2)
直径4インチの円盤状シリコン基板を用い、該シリコン基板上に、下記構造式で表されるオキソノール有機物(ヒートモード材料2)15mgを、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール1mlに溶解した溶液を、スピンコーターを用いて回転数300rpmで塗布し、その後回転数1,000rpmで乾燥させ、厚さ70nmの有機層を形成した。
【化4】
【0074】
次に、シリコン基板上の有機層にNEO1000(パルステック工業株式会社製)にて、5m/s、6mW、円周方向に600nmピッチで、レーザ照射を行った。これにより、表面に凹凸部が形成された有機層を有する基板が得られた。
次に、凹凸部が形成された有機層をマスクとしてシリコン基板をドライエッチングして、シリコン基板上に深さ200nmの凹部を形成し、シリコン基板表面の残存有機層を、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールで溶解除去した。なお、ドライエッチング条件は、ガスSF6、出力150W、40秒の反応性イオンエッチング(RIE)で行った。以上により、インプリントモールドを作製した。
次に、厚み80μmのポリカーボネート基板上に、光硬化性樹脂(PAK01、東洋合成株式会社製)を塗布し、厚み10μmのインプリント層を形成した。
作製したインプリントモールドを、ポリカーボネート基板上のインプリント層に押し付け、UV硬化させて、インプリントモールドの凹凸パターンを転写し、インプリントモールドを剥離することでポリカーボネート基板上に凹凸部を形成した(凹凸部形成工程)。
ポリカーボネート基板に形成された凹凸部は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察したところ、図1において、ピッチPが600nm、凸部の平坦幅aが100nm、傾斜部幅bが150nm、底部の平坦幅cが200nm、凸部の高さdが150nm、傾斜部の傾斜角度θが45度であった。
次に、凹凸部を形成したポリカーボネート基板を1/4にカットし、導電性材料として銀を用いた真空蒸着を、表面に凹凸部が形成されたポリカーボネート基板の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基板の鉛直方向に対する角度θ1を23度にして行い、凹凸部の少なくとも斜面部に銀からなる補助電極層を20nmの厚さに成膜した(補助電極層形成工程)。
斜面部分の補助電極層における基板の垂直方向に対する角度は45度であった。
その後、凹凸部及び補助電極層の表面に導電性ポリマー溶液(Baytron P、H.C.Starck社製)を1,000rpmでスピンコートし、乾燥させて、厚み100nm〜200nmの透明導電層を形成した(透明導電層形成工程)。以上により、実施例2の透明導電体を作製した。
【0075】
(実施例3)
直径4インチの円盤状シリコン基板を用い、該シリコン基板上に、ヒートモード材料3としてのフタロシアニン有機物〔(ZnPc(α−SO2Bu−sec)4〕15mgを、アセトン1mlに溶解した溶液を、スピンコーターを用いて回転数300rpmで塗布し、その後回転数1,000rpmで乾燥させ、厚さ70nmの有機層を形成した。
次に、シリコン基板上の有機層にNEO1000(パルステック工業株式会社製)にて、5m/s、5mW、円周方向に700nmピッチで、レーザ照射を行った。これにより、表面に凹凸部が形成された有機層を有する基板が得られた。
次に、凹凸部が形成された有機層をマスクとしてシリコン基板をドライエッチングして、シリコン基板上に深さ200nmの凹部を形成し、シリコン基板表面の残存有機層を、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールで溶解除去した。なお、ドライエッチング条件は、ガスSF6、出力150W、25秒の反応性イオンエッチング(RIE)で行った。以上により、インプリントモールドを作製した。
次に、厚み80μmのポリカーボネート基板上に、光硬化性樹脂(PAK01、東洋合成株式会社製)を塗布し、厚み10μmのインプリント層を形成した。
作製したインプリントモールドを、ポリカーボネート基板上のインプリント層に押し付け、UV硬化させて、インプリントモールドの凹凸パターンを転写し、インプリントモールドを剥離することでポリカーボネート基板上に凹凸部を形成した(凹凸部形成工程)。
ポリカーボネート基板に形成された凹凸部は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察したところ、図1において、ピッチPが700nm、凸部の平坦幅aが200nm、傾斜部幅bが150nm、底部の平坦幅cが200nm、凸部の高さdが100nm、傾斜部の傾斜角度θが34度であった。
次に、凹凸部を形成したポリカーボネート基板を1/4にカットし、導電性材料として銀を用いた真空蒸着を、表面に凹凸部が形成されたポリカーボネート基板の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基板の鉛直方向に対する角度θ1を16度にして行い、凹凸部の少なくとも斜面部に銀からなる補助電極層を20nmの厚さに成膜した(補助電極層形成工程)。
斜面部分の補助電極層における基板の垂直方向に対する角度は34度であった。
その後、凹凸部及び補助電極層の表面に導電性ポリマー溶液(Baytron P、H.C.Starck社製)を1,000rpmでスピンコートし、乾燥させて、厚み100nm〜200nmの透明導電層を形成した(透明導電層形成工程)。以上により、実施例3の透明導電体を作製した。
【0076】
(実施例4)
実施例1において、シリコン基板上の有機層にNEO1000(パルステック工業株式会社製)にて、5m/s、3mW、円周方向に500nmピッチで、レーザ照射を行い、導電性材料として銀を用いた真空蒸着を、表面に凹凸部が形成されたポリカーボネート基板の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基板の鉛直方向に対する角度θ1を22度にして行った以外は、実施例1と同様にして、実施例4の透明導電体を作製した。
ポリカーボネート基板に形成された凹凸部は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察したところ、図1において、ピッチPが500nm、凸部の平坦幅aが0nm、傾斜部幅bが120nm、底部の平坦幅cが260nm、凸部の高さdが150nm、傾斜部の傾斜角度θが51度であった。
斜面部分の補助電極層における基板の垂直方向に対する角度は51度であった。
【0077】
(実施例5)
実施例1において、シリコン基板上の有機層にNEO1000(パルステック工業株式会社製)にて、5m/s、3mW、円周方向に500nmピッチで、レーザ照射を行い、
ドライエッチング条件を、ガスSF6、出力150W、50秒の反応性イオンエッチング(RIE)で行い、導電性材料として銀を用いた真空蒸着を、表面に凹凸部が形成されたポリカーボネート基板の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基板の鉛直方向に対する角度θ1を28度にして行った以外は、実施例1と同様にして、実施例5の透明導電体を作製した。
ポリカーボネート基板に形成された凹凸部は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察したところ、図1において、ピッチPが500nm、凸部の平坦幅aが0nm、傾斜部幅bが120nm、底部の平坦幅cが260nm、凸部の高さdが200nm、傾斜部の傾斜角度θが59度であった。
斜面部分の補助電極層における基板の垂直方向に対する角度は59度であった。
【0078】
(実施例6)
実施例1において、シリコン基板上の有機層にNEO1000(パルステック工業株式会社製)にて、5m/s、6mW、円周方向に500nmピッチで、レーザ照射を行い、導電性材料として銀を用いた真空蒸着を、表面に凹凸部が形成されたポリカーボネート基板の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基板の鉛直方向に対する角度θ1を10度にして行った以外は、実施例1と同様にして、実施例6の透明導電体を作製した。
ポリカーボネート基板に形成された凹凸部は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察したところ、図1において、ピッチPが500nm、凸部の平坦幅aが200nm、傾斜部幅bが150nm、底部の平坦幅cが0nm、凸部の高さdが150nm、傾斜部の傾斜角度θが45度であった。
斜面部分の補助電極層における基板の垂直方向に対する角度は45度であった。
【0079】
(実施例7)
実施例1において、シリコン基板上の有機層にNEO1000(パルステック工業株式会社製)にて、5m/s、6mW、円周方向に500nmピッチで、レーザ照射を行い、導電性材料として銀を用いた真空蒸着を、表面に凹凸部が形成されたポリカーボネート基板の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基板の鉛直方向に対する角度θ1を45度にして行った以外は、実施例1と同様にして、実施例7の透明導電体を作製した。
ポリカーボネート基板に形成された凹凸部は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察したところ、図1において、ピッチPが500nm、凸部の平坦幅aが200nm、傾斜部幅bが150nm、底部の平坦幅cが0nm、凸部の高さdが150nm、傾斜部の傾斜角度θが45度であった。
斜面部分の補助電極層における基板の垂直方向に対する角度は45度であった。
【0080】
(比較例1)
実施例1において、表面に凹凸部のないポリカーボネート基板を、マスクなしで、該基板の鉛直方向に対する角度を90度にして蒸着を行った以外は、実施例1と同様にして、比較例1の透明導電体を作製した。
【0081】
次に、実施例1〜7及び比較例1の各透明導電体について、以下のようにして、透過率、抵抗率、及び照明取り付け時の光取り出し効率を評価した。結果を表1に示す。
【0082】
<透過率>
透過率を、オーシャンオプティクス社製USB2000で測定した。
【0083】
<抵抗率>
抵抗率を、マルチメータ289(Fluka社製)で測定した。
【0084】
<照明取り付け時の光取り出し効率>
蛍光体照明に各透明導電体を取り付け、出射光量をオーシャンオプティクス社製USB2000で測定した。蛍光照明体に透明導電体を取り付けないときの出射光量を100として表した。
【0085】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の透明導電体は、例えば液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、エレクトロクロミックディスプレイ、太陽電池、タッチパネルなどの透明電極、電子ペーパー、電磁波シールド材などに幅広く用いられる。
【符号の説明】
【0087】
1 基材
2 有機層
3 補助電極層
4 真空蒸着装置
5 透明導電層
12 有機層
13 凸部
15 凹部
P ピッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子(有機EL素子)、無機電界発光素子(無機EL素子)、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子に好適に用いられる透明導電体及び透明導電体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、有機EL素子、無機EL素子、LED等の発光素子に用いられる透明導電膜においては、高導電性と高透明性を両立できることが望まれている。
例えば特許文献1には、透明な絶縁基板上に透明導電膜を形成し、更に、所定形状の絶縁性マスクを用いて所定形状の透明電極を形成し、前記透明電極の上面を前記絶縁性マスクで被覆したままの状態で無電解メッキ浴に浸漬して透明電極が露出している部分に金属メッキを施し、しかる後、絶縁性マスクを剥離し、除去することにより、透明電極部に金属補助電極を形成する方法が提案されている。
前記特許文献1では、エッチングした透明導電層にマスクを行い、部分的にめっきを形成して補助電極を作製しており、パターニングなしで部分的に補助電極を効率よく形成できるものではなく、エッチングでパターニングすると材料の無駄が生じてしまうという課題がある。
【0003】
また、特許文献2には、基板の表裏両面に形成された凹凸構造上に斜め金属蒸着により凸部頂上及びその近傍に金属細線を形成してなるワイヤーグリッド型偏光子が提案されている。この提案によれば、良好な偏光特性は得られるが、透明電極に応用することについては開示も示唆もされておらず、導電性の高い透明電極をパターニングなしで簡便かつ効率よく形成することを意図したものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−151840号公報
【特許文献2】特開2001−330728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高透明性と高導電性を両立することができ、発光素子に用いた場合に光取り出し効率の向上を図れる透明導電体、及び該透明導電体を効率よく製造することができる透明導電体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明者が鋭意検討を重ねた結果、ヒートモード材料を用いたレーザ直接描画やインプリント法により形成した凹凸部に導電性材料を斜め蒸着することにより、パターニングなしで部分的に補助電極層を形成し得、高透明性と高導電性を両立できる透明導電体が得られ、該透明導電体を発光素子に用いた場合に光取り出し効率の向上を図れることを知見した。
【0007】
本発明は、本発明者による前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 基材の一の表面に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部と、
前記凹凸部の少なくとも斜面部分に形成された導電性材料からなる補助電極層と、
前記凹凸部及び前記補助電極層の表面に形成された透明導電層と、を有することを特徴とする透明導電体である。
<2> 斜面部分の補助電極層における透明導電体の垂直方向に対する角度が0度〜45度の鋭角である前記<1>に記載の透明導電体である。
<3> 凹凸部の断面形状が、非対称形状である前記<1>から<2>のいずれかに記載の透明導電体である。
<4> 凹凸部の平面視形状が、ライン状及び格子状のいずれかである前記<1>から<3>のいずれかに記載の透明導電体である。
<5> 凸部の平坦幅aの隣接する凸部間の最短距離Pに対する割合〔(a/P)×100〕が、50%以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載の透明導電体である。
<6> 透明導電層が、導電性ポリマーからなる前記<1>から<5>のいずれかに記載の透明導電体である。
<7> 基材の一の表面に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を形成する凹凸部形成工程と、
前記凹凸部の少なくとも斜面部分に導電性材料からなる補助電極層を形成する補助電極層形成工程と、
前記凹凸部及び前記補助電極層の表面に透明導電層を形成する透明導電層形成工程と、を含むことを特徴とする透明導電体の製造方法である。
<8> 凹凸部形成工程において、基材の一の表面にヒートモードの形状変化が可能な有機層を設け、該有機層に集光した光を照射することで凹凸部を形成する前記<7>に記載の透明導電体の製造方法である。
<9> 凹凸部形成工程において、基材の一の表面にインプリント層を設け、該インプリント層にインプリントモールドを押し付けるインプリント法により凹凸部を形成する前記<7>に記載の透明導電体の製造方法である。
<10> インプリントモールドが、ヒートモードの形状変化が可能な有機層に集光した光を照射して凹凸部を形成した該有機層をマスクとしてエッチングにより形成される前記<9>に記載の透明導電体の製造方法である。
<11> 補助電極層の形成が真空蒸着で行われ、該真空蒸着が、表面に凹凸部が形成された基材の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基材の鉛直方向に対する角度を1度〜80度にして行われる前記<7>から<10>のいずれかに記載の透明導電体の製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、凹凸部に導電性材料を斜め蒸着することによりパターニングなしで、部分的に補助電極層を形成可能であり、高透明性と高導電性を両立することができ、発光素子に用いた場合に光取り出し効率の向上を図れる透明導電体、及び該透明導電体を効率よく製造することができる透明導電体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、凹凸部の断面形状の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、凹凸部の断面形状の他の一例を示す概略図である
【図3】図3は、凹凸部の断面形状の他の一例を示す概略図である。
【図4】図4は、凹凸部の断面形状の他の一例を示す概略図である。
【図5A】図5Aは、有機層の表面を平面的に見た一例を示す図である。
【図5B】図5Bは、有機層の表面を平面的に見た他の一例を示す図である。
【図5C】図5Cは、凹部が形成された有機層及び基材の一例を示す断面図である。
【図6】図6は、インプリント法により凹凸部を形成する工程を示す図である。
【図7A】図7Aは、本発明の透明導電体の製造方法における凹凸部形成工程を示す模式図である。
【図7B】図7Bは、本発明の透明導電体の製造方法における透明導電層形成工程を示す模式図である。
【図7C】図7Cは、本発明の透明導電体の製造方法における透明導電層形成工程を示す模式図である。
【図8】図8は、実施例1における凹凸部形成工程及び補助電極層形成工程を説明するための概略図である。
【図9】図9は、実施例1の補助電極層形成工程における斜め真空蒸着の様子を示す概略図である。
【図10】図10は、実施例1の補助電極層形成工程において凹凸部の斜面部分に形成された補助電極層を示す概略図である。
【図11】図11は、実施例1の透明導電層形成工程において透明導電層を形成した状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(透明導電体及び透明導電体の製造方法)
本発明の透明導電体は、基材の一の表面に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部と、
前記凹凸部の少なくとも斜面部分に形成された導電性材料からなる補助電極層と、
前記凹凸部及び前記補助電極層の表面に形成された透明導電層とを有し、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
本発明の透明導電体の製造方法は、凹凸部形成工程と、補助電極層形成工程と、透明導電層形成工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
本発明の透明導電体は、本発明の透明導電体の製造方法により好適に製造される。
以下、本発明の透明導電体の製造方法の説明を通して本発明の透明導電体の詳細についても明らかにする。
【0011】
本発明の透明導電体においては、凹凸部の斜面部分の補助電極層における透明導電体の垂直方向に対する角度は、0度〜45度の鋭角であることが好ましく、1度〜30度がより好ましく、5度〜20度が更に好ましい。
前記角度が、0度未満であると、凹凸部を転写にて形成するときに、型から抜くのが困難になることがあり、45度を超えると、補助電極層によって光透過率が低下してしまうことがある。
【0012】
図1に示すように、隣接する凸部間の最短距離(ピッチ)Pは、10nm〜10,000nmであることが好ましく、100nm〜1,000nmであることがより好ましい。
また、図1に示すように、凸部の平坦幅aの前記ピッチPに対する割合〔(a/P)×100〕は、50%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましく、10%以下であることが更に好ましく、0%であることが最も好ましい。前記凸部の平坦幅のピッチに対する割合〔(a/P)×100〕が、50%を超えると、補助電極層を形成時に導電性材料が平坦部に付着して、光透過率が低下してしまうことがある。
また、図1に示すように、傾斜部の幅bの前記ピッチPに対する割合〔(b/P)×100〕は、0%〜50%であることが好ましい。また、底部の平坦幅cのピッチPに対する割合〔(c/P)×100〕は、0%〜100%であることが好ましい。また、凸部高さdのピッチPに対する割合〔(d/P)×100〕は、10%〜100%であることが好ましい。
したがって凹凸部の断面形状は、図3に示す断面形状(底部の平坦幅cが0nm)よりも図2に示す断面形状(凸部の平坦幅aが0nm)であること、即ち凹凸部において凸部に平坦な部分がなく、かつ底部がある断面形状であることが、透過率を高める点で好ましい。
【0013】
また、前記凹凸部の断面形状が、図4に示すように、対称形状ではなく非対称形状であることが、補助電極層の形成のしやすさは同等で、凹凸部形成工程での転写時の剥離がしやすくなる点で好ましい。
ここで、前記凹凸部の断面形状とは、特に断りがない限り、凸部の配列方向(凸部が列設されている方向)における断面(形状)を指し、例えば矩形状、三角形状、長方形状、台形状などが挙げられる。
【0014】
前記凹凸部の平面視形状としては、例えばライン状、メッシュ状、六角形状を多数並べた形状、三角形状を多数並べた形状、多角形状を多数並べた形状、ストライプ状(格子状)などが挙げられる。これらの中でも、ライン状、格子状が形成しやすく、斜め蒸着が行い易い点で特に好ましい。
【0015】
<凹凸部形成工程>
前記凹凸部形成工程は、基材の一の表面に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を形成する工程である。
【0016】
−基材−
前記基材としては、その材質、形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記材質としては、金属、無機物、有機物などが挙げられ、前記形状としては、平板状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、用途等に応じて適宜選択することができる。
前記金属としては、遷移金属が好ましい。該遷移金属としては、例えばNi、Cu、Al、Mo、Co、Cr、Ta、Pd、Pt、Au等の各種金属、又はこれらの合金、などが挙げられる。
前記無機物としては、例えばガラス、シリコン(Si)、石英(SiO2)などが挙げられる。
前記樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、低融点フッ素樹脂、ポリメタアクリル酸メチル(PMMA)、トリアセテートセルロース(TAC)、などが挙げられる。これらの中でも、PET、PC、TACが特に好ましい。
【0017】
−凹凸部の形成−
前記凹凸部は、珪酸土からなる基材のように最初から凹凸部を有するものであっても構わないが、フォトリソグラフィやインプリンティングなどの方法で任意に凹凸部を形成することが好ましい。
ここで、図5Cに示すように、基材1の一方の表面1aに、複数の凸部13及び凹部15が一定のピッチで形成されている。この場合、凸部13と、複数の凸部13間に形成された凹部15とを総称して凹凸部とする。
なお、前記凹凸部の断面形状は、直線的な形状に限られず、曲線的な形状であっても構わない。
【0018】
前記凹凸部の形成においては、基材そのものをサンドブラスト加工して凹凸部を形成しても構わないが、基材上に凹凸部を形成可能な層(ヒートモード層、インプリント層、レジスト層)を設けて凹凸部を形成する方法が好ましい。具体的には、(1)基材の一の表面に、ヒートモードの形状変化が可能な有機層を設け、該有機層に集光した光を照射することで凹凸部を形成する方法、(2)基材の一の表面にインプリント層を設け、該インプリント層にインプリントモールドを押し付けるインプリント法により凹凸部を形成する方法、(3)基材の一の表面にレジスト層を設け、フォトリソグラフィにより凹凸部を形成する方法、などが挙げられる。
【0019】
−−前記(1)の凹凸部の形成方法−−
前記ヒートモードの形状変化が可能な有機層は、強い光の照射により光が熱に変換されてこの熱により材料が形状変化して凹部を形成することが可能な層であり、例えば、シアニン系、フタロシアニン系、キノン系、スクワリリウム系、アズレニウム系、チオール錯塩系、メロシアニン系などを用いることができる。
好適な例としては、例えばメチン色素(シアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素、オキソノール色素、メロシアニン色素など)、大環状色素(フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポルフィリン色素など)、アゾ色素(アゾ金属キレート色素を含む)、アリリデン色素、錯体色素、クマリン色素、アゾール誘導体、トリアジン誘導体、1−アミノブタジエン誘導体、桂皮酸誘導体、キノフタロン系色素などが挙げられる。これらの中でも、メチン色素、アゾ色素が特に好ましい。
【0020】
なお、前記有機層は、レーザ光源の波長に応じて適宜色素を選択したり、構造を改変することができる。例えば、レーザ光源の発振波長が780nm付近であった場合、ペンタメチンシアニン色素、ヘプタメチンオキソノール色素、ペンタメチンオキソノール色素、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素などから選択することが有利である。
また、レーザ光源の発振波長が660nm付近であった場合は、トリメチンシアニン色素、ペンタメチンオキソノール色素、アゾ色素、アゾ金属錯体色素、ピロメテン錯体色素などから選択することが有利である。
更に、レーザ光源の発振波長が405nm付近であった場合は、モノメチンシアニン色素、モノメチンオキソノール色素、ゼロメチンメロシアニン色素、フタロシアニン色素、アゾ色素、アゾ金属錯体色素、ポルフィリン色素、アリリデン色素、錯体色素、クマリン色素、アゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、1−アミノブタジエン誘導体、キノフタロン系色素などから選択することが有利である。
【0021】
以下、レーザ光源の発振波長が405nm付近であった場合に対し、有機層として好ましい化合物の例を挙げる。下記III−1〜III−14で表される化合物は、レーザ光源の発振波長が405nm付近であった場合の化合物である。また、レーザ光源の発振波長が780nm付近であった場合、660nm付近であった場合の好ましい化合物は、特開2008−252056号公報の段落〔0024〕〜〔0028〕に記載されている化合物が挙げられる。なお、本発明は、これらの化合物を用いた場合に限定されるものではない。
【0022】
<レーザ光源の発振波長が405nm付近であった場合の化合物例>
【化1】
【0023】
<レーザ光源の発振波長が405nm付近であった場合の化合物例>
【化2】
【0024】
また、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、特開平11−53758号公報、特開平11−334204号公報、特開平11−334205号公報、特開平11−334206号公報、特開平11−334207号公報、特開2000−43423号公報、特開2000−108513号公報、特開2000−158818号公報等に記載されている色素も好適に用いられる。
【0025】
このような色素型の有機層は、色素を、結合剤等と共に適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いで、この塗布液を、基材上に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成できる。その際、塗布液を塗布する面の温度は、10℃〜40℃の範囲であることが好ましい。下限値が、15℃以上であることがより好ましく、20℃以上であることが更に好ましく、23℃以上であることが特に好ましい。また、上限値としては、35℃以下であることがより好ましく、30℃以下であることが更に好ましく、27℃以下であることが特に好ましい。このように被塗布面温度が上記範囲にあると、塗布ムラや塗布故障の発生を防止し、塗膜の厚さを均一にすることができる。なお、前記上限値及び下限値は、それぞれが任意で組み合わせることができる。
ここで、前記有機層は、単層でも重層でもよく、重層構造の場合、塗布工程を複数回行うことによって形成される。
塗布液中の色素の濃度は、有機溶媒に対して0.3質量%以上30質量%以下で溶解することが好ましく、1質量%以上20質量%以下で溶解することがより好ましく、テトラフルオロプロパノールに1質量%以上20質量%以下で溶解することが特に好ましい。
【0026】
塗布液の溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;メチルシクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコール等のアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;などが挙げられる。これらの中でも、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート、メチルエチルケトン、イソプロパノール、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールが特に好ましい。
前記溶剤は、使用する色素の溶解性を考慮して1種単独で、或いは2種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中には、更に、酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等の各種添加剤を目的に応じて添加してもよい。
【0027】
前記塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばスプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法などが挙げられる。これらの中でも、生産性に優れ、膜厚のコントロールが容易であるという点でスピンコート法を採用することが特に好ましい。
前記有機層における色素は、スピンコート法による形成に有利であるという点から、有機溶媒に対して0.3質量%以上30質量%以下で溶解することが好ましく、1質量%以上20質量%以下で溶解することがより好ましい。
また、前記色素は、その熱分解温度が150℃以上500℃以下であることが好ましく、200℃以上400℃以下であることがより好ましい。
塗布の際、塗布液の温度は、23℃〜50℃であることが好ましく、24℃〜40℃であることがより好ましく、25℃〜30℃であることが更に好ましい。
【0028】
塗布液が結合剤を含有する場合、該結合剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴム等の天然有機高分子物質;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂;ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体;フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物などが挙げられる。
前記有機層の材料として結合剤を併用する場合に、前記結合剤の使用量は、一般に色素に対して0.01倍量〜50倍量(質量比)が好ましく、0.1倍量〜5倍量(質量比)がより好ましい。
【0029】
また、前記有機層には、該有機層の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。
前記褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。
その具体例としては、特開昭58−175693号公報、特開昭59−81194号公報、特開昭60−18387号公報、特開昭60−19586号公報、特開昭60−19587号公報、特開昭60−35054号公報、特開昭60−36190号公報、特開昭60−36191号公報、特開昭60−44554号公報、特開昭60−44555号公報、特開昭60−44389号公報、特開昭60−44390号公報、特開昭60−54892号公報、特開昭60−47069号公報、特開昭63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報、特公平6−26028号公報、ドイツ特許第350399号明細書、日本化学会誌1992年10月号第1141頁などに記載のものを挙げることができる。
前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、色素の量に対して、0.1質量%〜50質量%の範囲が好ましく、0.5質量%〜45質量%の範囲がより好ましく、3質量%〜40質量%の範囲が更に好ましく、5質量%〜25質量%の範囲が特に好ましい。
【0030】
以上、前記有機層の溶剤塗布法について述べたが、該有機層は、蒸着、スパッタリング、CVD等の成膜法によって形成することもできる。
【0031】
なお、前記色素は、後述する凹部の加工に用いるレーザ光の波長において、他の波長よりも光の吸収率が高いものが用いられる。
前記色素の吸収ピークの波長は、必ずしも可視光の波長域内であるものに限定されず、紫外域や、赤外域にあるものであっても構わない。
【0032】
レーザで凹部を形成する波長λwは、λa<λwの関係であることが好ましい。このような関係にあれば、色素の光吸収量が適切で記録効率が高まるし、きれいな凹凸形状が形成できる場合がある。また、λw<λcの関係であることが好ましい。λwは、色素が吸収する波長であるべきなので、このλwの波長よりも長波長側に発光素子の中心波長λcがあることで、発光素子の発する光が色素に吸収されず透過率が向上し、結果として発光効率が向上できるからである。
以上のような観点から、λa<λw<λcの関係にあることが最も好ましいといえる。
【0033】
なお、凹部を形成するためのレーザ光の波長λwは、大きなレーザパワーが得られる波長であればよく、例えば、有機層に色素を用いる場合は、193nm、210nm、266nm、365nm、405nm、488nm、532nm、633nm、650nm、680nm、780nm、830nmなど、1,000nm以下が好ましい。
【0034】
また、レーザ光の種類としては、ガスレーザ、固体レーザ、半導体レーザなどのどのようなレーザであってもよい。ただし、光学系を簡単にするために、固体レーザや半導体レーザを採用するのが好ましい。レーザ光は、連続光でもパルス光でもよいが、自在に発光間隔が変更可能なレーザ光を採用するのが好ましい。例えば、半導体レーザを採用するのが好ましい。レーザを直接オンオフ変調できない場合は、外部変調素子で変調するのが好ましい。
【0035】
また、レーザパワーは、加工速度を高めるためには高い方が好ましい。ただし、レーザパワーを高めるにつれ、スキャン速度(レーザ光で有機層を走査する速度)を上げなければならない。そのため、レーザパワーの上限値は、スキャン速度の上限値を考慮して、100Wが好ましく、10Wがより好ましく、5Wが更に好ましく、1Wが特に好ましい。また、レーザパワーの下限値は、0.1mWが好ましく、0.5mWがより好ましく、1mWが更に好ましい。
【0036】
更に、レーザ光は、発信波長幅及びコヒーレンシが優れていて、波長並みのスポットサイズに絞ることができるような光であることが好ましい。また、凹部を適正に形成するための光パルス照射条件は、光ディスクで使われているようなストラテジを採用するのが好ましい。即ち、光ディスクで使われているような、記録速度や照射するレーザ光の波高値、パルス幅などの条件を採用するのが好ましい。
【0037】
前記有機層の厚さは、後述する凹部15の深さに対応させるのがよい。
前記有機層の厚さは、例えば、1nm〜10,000nmの範囲で適宜設定することができ、厚さの下限は、10nm以上が好ましく、30nm以上がより好ましい。前記厚さが薄すぎると、凹部15が浅く形成されるため、光学的な効果が得られなくなることがある。また、厚さの上限は、1,000nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましい。前記厚さが厚すぎると、大きなレーザパワーが必要になるとともに、深い穴を形成することが困難になることがあり、更には、加工速度が低下することがある。
【0038】
また、前記有機層の厚さtと、凹部の直径dとは、以下の関係であることが好ましい。即ち、前記有機層の厚さtの上限値は、t<10dを満たす値とするのが好ましく、t<5dを満たす値とするのがより好ましく、t<3dを満たす値とするのが更に好ましい。また、有機層の厚さtの下限値は、t>d/100を満たす値とするのが好ましく、t>d/10を満たす値とするのがより好ましく、t>d/5を満たす値とするのが更に好ましい。このように凹部の直径dとの関係で有機層の厚さtの上限値及び下限値を設定する理由は、前記した理由と同様である。
【0039】
前記有機層を形成するときは、色素を適当な溶剤に溶解又は分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコートなどの塗布法により基材の表面に塗布することにより形成することができる。
【0040】
前記有機層には、周期的に複数の凹部が形成されている。前記凹部は、有機層に集光した光を照射することで、該照射部分を変形(消失による変形を含む)させて形成されたものである。
【0041】
なお、凹部が形成される原理は、以下の通りとなっている。
前記有機層に、材料の光吸収がある波長(材料で吸収される波長)のレーザ光を照射すると、前記有機層によってレーザ光が吸収され、この吸収された光が熱に変換され、光の照射部分の温度が上昇する。これにより、有機層が、軟化、液化、気化、昇華、分解などの化学乃至物理変化を起こす。そして、このような変化を起こした材料が移動乃至消失することで、凹部が形成される。
【0042】
なお、前記凹部の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ライトワンス光ディスクや追記型光ディスクなどで公知となっているピットの形成方法を適用することができる。具体的には、ピットサイズによって変化するレーザの反射光の強度を検出し、この反射光の強度が一定となるようにレーザの出力を補正することで、均一なピットを形成するといった、公知のランニングOPC技術(特許第3096239号公報)を適用することができる。
【0043】
また、前記したような有機層の気化、昇華又は分解は、その変化の割合が大きく、急峻であることが好ましい。具体的には、色素の気化、昇華又は分解時の示差熱天秤(TG−DTA)による質量減少率は、5%以上であることが好ましく、10%以上がより好ましく、20%以上が更に好ましい。また、色素の気化、昇華又は分解時の示差熱天秤(TG−DTA)による質量減少の傾き(昇温1℃あたりの質量減少率が0.1%/℃以上であることが好ましく、0.2%/℃以上がより好ましく、0.4%/℃以上が更に好ましい。
【0044】
また、軟化、液化、気化、昇華、分解などの化学乃至物理変化の転移温度は、その上限値が、2,000℃以下であることが好ましく、1,000℃以下であることがより好ましく、500℃以下であることが更に好ましい。前記転移温度が高すぎると、大きなレーザパワーが必要となることがある。また、転移温度の下限値は、50℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることが更に好ましい。前記転移温度が低すぎると、周囲との温度勾配が少ないため、明瞭な穴エッジ形状を形成することができなくなる場合がある。
【0045】
図5Aは、有機層を平面的に見た一例の図であり、図5Bは、有機層を平面的に見た他の一例の図であり、図5Cは、基材及び有機層の断面図である。図5Aに示すように、凹部15は、ドット状に形成され、このドットが格子状に配列されたものを採用することができる。また、図5Bに示すように、凹部15は、細長い溝状に形成され、これが断続的につながったものでもよい。更に、図示は省略するが、連続した溝形状として形成することもできる。
【0046】
隣接する凹部15同士のピッチPは、発光体であるLED素子10が発光する光の中心波長λcの0.01倍〜100倍であることが好ましい。
【0047】
凹部15のピッチPは、中心波長λcの0.05倍〜20倍が好ましく、0.1倍〜5倍がより好ましく、0.5倍〜2倍が更に好ましい。具体的には、ピッチPの下限値は、中心波長λcの0.01倍以上が好ましく、0.05倍以上がより好ましく、0.1倍以上が更に好ましく、0.2倍以上が特に好ましい。また、ピッチPの上限値は、中心波長λcの100倍以下が好ましく、50倍以下がより好ましく、10倍以下が更に好ましく、5倍以下が特に好ましい。
【0048】
凹部15の直径又は溝の幅は、中心波長λcの0.005倍〜25倍が好ましく、0.025倍〜10倍がより好ましく、0.05倍〜2.5倍が更に好ましく、0.25倍〜2倍が特に好ましい。
ここでいう直径又は溝の幅は、凹部15の半分の深さにおける大きさ、いわゆる半値幅である。
【0049】
凹部15の直径又は溝の幅は、上記の範囲で適宜設定することができるが、発光面18から離れるにつれ、巨視的に徐々に屈折率が小さくなるように、ピッチPの大きさに応じて調整するのが好ましい。即ち、ピッチPが大きい場合には、凹部15の直径又は溝の幅も大きくし、ピッチPが小さい場合には、凹部15の直径又は溝の幅も小さくするのが好ましい。この観点から、直径又は溝の幅は、ピッチPに対して2分の1程度の大きさであるのが好ましく、例えば、ピッチPの20%〜80%が好ましく、30%〜70%がより好ましく、40%〜60%が更に好ましい。
【0050】
凹部15の深さは、中心波長λcの0.01倍〜20倍が好ましく、0.05倍〜10倍がより好ましく、0.1倍〜5倍が更に好ましく、0.2倍〜2倍が特に好ましい。
【0051】
−−前記(2)の凹凸部の形成方法(インプリント法)−−
前記インプリント方法としては、熱ナノインプリント方式と、光ナノインプリント方式とがある。
前記熱ナノインプリント方式は、基体の表面に形成されたインプリント層にインプリントモールドの複数の凸部を押し当てて凹凸パターンを形成する。ここでは、系を前記インプリント層のガラス転移温度(Tg)付近に維持しておき、転写後、インプリント層に含まれる熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも低下することにより硬化する。インプリントモールドを剥離すると、インプリント層に凹凸パターンが形成される。
【0052】
前記光インプリント方式は、光透過性を有し、インプリントモールドとして機能する強度を有する材料(例えば、石英(SiO2)、有機樹脂(PET、PEN、ポリカーボネート、低融点フッ素樹脂)等)からなるインプリントモールドを用いてレジスト凹凸パターンを形成する。
その後、少なくとも光硬化性樹脂を含むインプリント組成物からなるインプリント層に紫外線等を照射して転写されたパターンを硬化させる。なお、パターニング後であってモールドモールドと基材とを剥離した後に紫外線を照射して硬化してもよい。
【0053】
前記インプリントモールドとしては、ヒートモードの形状変化が可能な有機層に集光した光を照射して凹凸部を形成した該有機層をマスクとしてエッチングにより形成されたものが好ましい。
【0054】
ここで、図6は、インプリント方法により凹凸部を形成する方法を示す工程図である。
図6のAに示すように、アルミニウム、ガラス、シリコン、石英、又はシリコン等の基板40上に、ポリメタアクリル酸メチル(PMMA)等のインプリントレジスト液を塗布してなるインプリント層24を有する基板に対して、表面に凹凸パターンが形成されたインプリントモールド1を押し当てる。
【0055】
次に、図6のBに示すように、インプリント層24にインプリントモールド1を押し当てた際には、系を前記インプリントレジスト液のガラス転移温度(Tg)付近に維持しておき、転写後、インプリント層24が前記インプリントレジスト液のガラス転移温度よりも低下することにより硬化する。また、必要に応じて加熱又はUV照射により硬化処理を行ってもよい。これにより、インプリントモールド1上に形成された凹凸パターンがインプリント層24に転写される。
【0056】
次に、図6のCに示すように、インプリントモールド1を剥離すると、インプリント層24に凹凸パターンが形成される。
【0057】
<補助電極層形成工程>
前記補助電極層形成工程は、前記凹凸部の少なくとも斜面部分に導電性材料からなる補助電極層を形成する工程である。
【0058】
前記凹凸部の少なくとも斜面部分に補助電極層を形成することが好ましく、その形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、凹凸部上に斜め方向から導電性材料を蒸着することにより、凹部の蒸着源に面した箇所のみに成膜を行うことができる。
前記補助電極層形成方法としては、凹凸部の少なくとも斜面部分を選択して補助電極層を形成できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば真空蒸着、スパッタリング、CVD、めっき、溶液中析出、スプレー法などが挙げられる。これらの中でも、真空蒸着、低圧力スパッタリング、スプレー法が好ましく、真空蒸着が特に好ましい。
【0059】
前記真空蒸着としては、例えば電子ビーム蒸着、イオンプレーティングなどが挙げられる。
前記スパッタリングとしては、例えば低圧力成膜、高圧力成膜などが挙げられる。
前記低圧力成膜は、成膜時圧力を下げると、被成膜面に到達する微粒子の進行方向分布が狭くなり、異方性が高まるので好ましい。被成膜面圧力は0.1Pa以下が好ましく、0.01Pa以下がより好ましく、0.001Pa以下が更に好ましい。被成膜面エリアのみを圧力下げるか、イオンビームスパッタのような方法により実現できる。
前記高圧力成膜は、成膜時圧力を上げ、凸部へ選択的に成膜される方法も好ましい。前記被成膜面圧力は、0.5Pa以上が好ましく、5Pa以上がより好ましい。
【0060】
−真空蒸着−
前記真空蒸着は、表面に凹凸部が形成された基材の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基材の鉛直方向に対する角度(蒸着角度)を1度〜80度にして行うことが好ましい。
前記真空蒸着を行うときの角度の下限は、1度以上が好ましく、5度以上がより好ましく、10度以上が更に好ましい。前記角度があまり小さすぎると、蒸着効率が低下する場合がある。
前記蒸着角度の上限は、80度以下が好ましく、70度以下がより好ましく、60度以下が更に好ましく、50度以下が特に好ましい。前記蒸着角度が、80度を超えると、被蒸着面に蒸着材料がほとんど付着しなくなり、蒸着効率が下がる、また更にその付着強度が弱くなることがある。
ただし、凹部深さが、真空蒸着厚さより大きくて、凹部の斜面が急な場合は、90度(角度を設けない)でなくても構わない。
前記真空蒸着時の圧力は、上限は1×10-3Torrが好ましく、5×10-4Torrがより好ましく、1×10-4Torrが更に好ましい。下限は、1×10-8Torrが好ましく、5×10-7Torrがより好ましく、1×10-6Torrが更に好ましい。前記蒸着速度は、上限は、100nm/sが好ましく、20nm/sがより好ましく、5nm/sが更に好ましい。下限は、0.001nm/sが好ましく、0.01nm/sがより好ましく、0.1nm/sが更に好ましい。
【0061】
前記導電性材料としては、蒸着可能な材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、Ag、Ni、Cu、Al、Mo、Co、Cr、Ta、Pd、Pt、Au等の各種金属、又はこれらの合金を用いることが好適である。
【0062】
前記補助電極層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10nm〜50,000nmが好ましく、50nm〜5,000nmがより好ましく、100nm〜1,000nmが更に好ましい。
【0063】
<透明導電層形成工程>
前記透明導電層形成工程は、前記凹凸部及び前記補助電極層の表面に透明導電層を形成する工程である。即ち、図11に示すように、前記凹凸部における補助電極層が形成されていない凹凸部表面、及び凹凸部上に形成された補助電極層3表面に透明導電層5を形成する。
【0064】
前記透明導電層は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばPEDOT/PSS、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリイソチアナフテン等の透明導電性ポリマー;金属酸化物、金属微粒子、金属ナノロッド・ナノワイヤ等の導電性金属;カーボンナノチューブ等の導電性無機微粒子、又は有機水溶性塩のいずれかを、塗布、印刷等の方法で付着し、成膜することで得られる。これらの中でも、導電性ポリマーが特に好ましい。
これらの塗布液は塗布適性向上や膜物性調整のために他の非導電性ポリマーやラテックス等をブレンドして用いてもよい。また、銀の薄膜を高屈折率層で挟んだ多層構造を用いてもよい。これら透明導電性材料に関しては、東レリサーチセンター株式会社発行「電磁波シールド材料の現状と将来」、特開平9−147639号公報などに記載されている。
前記塗布及び印刷の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばスライドコータ、スロットダイコータ、カーテンコータ、ロールコータ、バーコータ、グラビアコータ等の塗布コータやスクリーン印刷などが挙げられる。
【0065】
前記導電性ポリマーとしては、透光性及び導電性の高いものが好ましく、ポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリアニリン類等の電子伝導性導電性ポリマーが好ましい。
前記電子伝導性ポリマーとしては、当該技術分野で既知のポリマー、例えばポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン等である。その詳細については、例えば“Advances in Synthetic Metals”,ed.P.Bernier,S.Lefrant,and G.Bidan,Elsevier,1999;“Intrinsically Conducting Polymers:An Emerging Technology”,Kluwer(1993);“Conducting Polymer Fundamentals and Applications,A Practical Approach”,P.Chandrasekhar,Kluwer,1999;及び“Handbook of Organic Conducting Molecules and Polymers”,Ed.Walwa,Vol.1−4,Marcel Dekker Inc.(1997)のような教本に記載されている。これらの電子伝導性ポリマーは1種単独で用いてもよいし、ポリマーブレンドのように複数種のポリマーを混合して用いてもよい。
【0066】
前記透明導電層の厚み(ただし、凸部は除く)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10nm〜50,000nmが好ましく、50nm〜5,000nmがより好ましい。100nm〜1,000nmが更に好ましい。
【0067】
ここで、本発明の透明導電体の製造方法の一例について、図7A〜図7Cを参照して説明する。
図7Aは、基材1の一の表面に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を形成する凹凸部形成工程を示す図である。凹凸部の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、ヒートモードの形状変化が可能な有機層2に集光した光を照射することで凹凸部を形成する方法、ナノインプリント方法などが挙げられる。
図7Bは、前記凹凸部の少なくとも斜面部分に導電性材料からなる補助電極層3を形成する補助電極層形成工程を示す図である。表面に凹凸部が形成された基材1の該凹凸部側を真空蒸着装置4に向けて、該基材の鉛直方向に対する角度θ1を1度〜80度に傾けて真空蒸着することにより、凹凸部の斜面部分に補助電極層を形成できる。
図7Cは、前記凹凸部及び前記補助電極層の表面に透明導電層を形成する透明導電層形成工程を示す図である。凹凸部及び前記補助電極層3の表面に透明導電層5を塗布により形成することで、透明導電体が得られる。
【0068】
本発明の透明導電体の製造方法によれば、補助電極層形成工程の斜め蒸着により形成した補助電極層及び凹凸部表面に、導電性ポリマー溶液を用いた塗布法により透明導電層を形成すると、表面がフラットな透明導電層を形成することができる。
また、凹凸部に形成された補助電極層は、光透過方向に対して厚いが、開口方向には狭い立体構造となり、その結果、従来に比べて透明性及び導電性を向上させることができる。
【0069】
−用途−
本発明の透明導電体は、例えば液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、エレクトロクロミックディスプレイ、太陽電池、タッチパネルなどの透明電極、電子ペーパー、電磁波シールド材などに幅広く用いることができる。
【実施例】
【0070】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0071】
(実施例1)
直径4インチの円盤状シリコン基板を用い、該シリコン基板上に、下記構造式で表されるオキソノール有機物(ヒートモード材料1)15mgを、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール1mlに溶解した溶液を、スピンコーターを用いて回転数300rpmで塗布し、その後回転数1,000rpmで乾燥させ、厚さ70nmの有機層を形成した。
【化3】
【0072】
次に、シリコン基板上の有機層にNEO1000(パルステック工業株式会社製)にて、5m/s、4mW、円周方向に500nmピッチで、レーザ照射を行った。これにより、表面に凹凸部が形成された有機層を有する基板が得られた。
次に、凹凸部が形成された有機層をマスクとしてシリコン基板をドライエッチングして、シリコン基板上に深さ200nmの凹部を形成し、シリコン基板表面の残存有機層を、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールで溶解除去した。なお、ドライエッチング条件は、ガスSF6、出力150W、40秒の反応性イオンエッチング(RIE)で行った。以上により、インプリントモールドを作製した。
次に、厚み80μmのポリカーボネート基板上に、光硬化性樹脂(PAK01、東洋合成株式会社製)を塗布し、厚み10μmのインプリント層を形成した。
作製したインプリントモールドを、ポリカーボネート基板上のインプリント層に押し付け、UV硬化させて、インプリントモールドの凹凸パターンを転写し、インプリントモールドを剥離することでポリカーボネート基板上に凹凸部を形成した(凹凸部形成工程;図8(A)参照)。
ポリカーボネート基板に形成された凹凸部は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察したところ、図1において、ピッチPが500nm、凸部の平坦幅aが50nm、傾斜部幅bが150nm、底部の平坦幅cが150nm、凸部の高さdが150nm、傾斜部の傾斜角度θが45度であった。
次に、図8(B)に示すように、凹凸部を形成したポリカーボネート基板を1/4にカットし、図8(C)に示すように、導電性材料として銀を用いた真空蒸着を、表面に凹凸部が形成されたポリカーボネート基板の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基板の鉛直方向に対する角度θ1を27度にして行い、図9に示すように、凹凸部の少なくとも斜面部に銀からなる補助電極層を20nmの厚さに成膜した(補助電極層形成工程;図10参照)。
斜面部分の補助電極層における基板の垂直方向に対する角度は45度であった。
その後、凹凸部及び補助電極層の表面に導電性ポリマー溶液(Baytron P、H.C.Starck社製)を1,000rpmでスピンコートし、乾燥させて、厚み100nm〜200nmの透明導電層を形成した(透明導電層形成工程;図11参照)。以上により、実施例1の透明導電体を作製した。
【0073】
(実施例2)
直径4インチの円盤状シリコン基板を用い、該シリコン基板上に、下記構造式で表されるオキソノール有機物(ヒートモード材料2)15mgを、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール1mlに溶解した溶液を、スピンコーターを用いて回転数300rpmで塗布し、その後回転数1,000rpmで乾燥させ、厚さ70nmの有機層を形成した。
【化4】
【0074】
次に、シリコン基板上の有機層にNEO1000(パルステック工業株式会社製)にて、5m/s、6mW、円周方向に600nmピッチで、レーザ照射を行った。これにより、表面に凹凸部が形成された有機層を有する基板が得られた。
次に、凹凸部が形成された有機層をマスクとしてシリコン基板をドライエッチングして、シリコン基板上に深さ200nmの凹部を形成し、シリコン基板表面の残存有機層を、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールで溶解除去した。なお、ドライエッチング条件は、ガスSF6、出力150W、40秒の反応性イオンエッチング(RIE)で行った。以上により、インプリントモールドを作製した。
次に、厚み80μmのポリカーボネート基板上に、光硬化性樹脂(PAK01、東洋合成株式会社製)を塗布し、厚み10μmのインプリント層を形成した。
作製したインプリントモールドを、ポリカーボネート基板上のインプリント層に押し付け、UV硬化させて、インプリントモールドの凹凸パターンを転写し、インプリントモールドを剥離することでポリカーボネート基板上に凹凸部を形成した(凹凸部形成工程)。
ポリカーボネート基板に形成された凹凸部は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察したところ、図1において、ピッチPが600nm、凸部の平坦幅aが100nm、傾斜部幅bが150nm、底部の平坦幅cが200nm、凸部の高さdが150nm、傾斜部の傾斜角度θが45度であった。
次に、凹凸部を形成したポリカーボネート基板を1/4にカットし、導電性材料として銀を用いた真空蒸着を、表面に凹凸部が形成されたポリカーボネート基板の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基板の鉛直方向に対する角度θ1を23度にして行い、凹凸部の少なくとも斜面部に銀からなる補助電極層を20nmの厚さに成膜した(補助電極層形成工程)。
斜面部分の補助電極層における基板の垂直方向に対する角度は45度であった。
その後、凹凸部及び補助電極層の表面に導電性ポリマー溶液(Baytron P、H.C.Starck社製)を1,000rpmでスピンコートし、乾燥させて、厚み100nm〜200nmの透明導電層を形成した(透明導電層形成工程)。以上により、実施例2の透明導電体を作製した。
【0075】
(実施例3)
直径4インチの円盤状シリコン基板を用い、該シリコン基板上に、ヒートモード材料3としてのフタロシアニン有機物〔(ZnPc(α−SO2Bu−sec)4〕15mgを、アセトン1mlに溶解した溶液を、スピンコーターを用いて回転数300rpmで塗布し、その後回転数1,000rpmで乾燥させ、厚さ70nmの有機層を形成した。
次に、シリコン基板上の有機層にNEO1000(パルステック工業株式会社製)にて、5m/s、5mW、円周方向に700nmピッチで、レーザ照射を行った。これにより、表面に凹凸部が形成された有機層を有する基板が得られた。
次に、凹凸部が形成された有機層をマスクとしてシリコン基板をドライエッチングして、シリコン基板上に深さ200nmの凹部を形成し、シリコン基板表面の残存有機層を、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールで溶解除去した。なお、ドライエッチング条件は、ガスSF6、出力150W、25秒の反応性イオンエッチング(RIE)で行った。以上により、インプリントモールドを作製した。
次に、厚み80μmのポリカーボネート基板上に、光硬化性樹脂(PAK01、東洋合成株式会社製)を塗布し、厚み10μmのインプリント層を形成した。
作製したインプリントモールドを、ポリカーボネート基板上のインプリント層に押し付け、UV硬化させて、インプリントモールドの凹凸パターンを転写し、インプリントモールドを剥離することでポリカーボネート基板上に凹凸部を形成した(凹凸部形成工程)。
ポリカーボネート基板に形成された凹凸部は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察したところ、図1において、ピッチPが700nm、凸部の平坦幅aが200nm、傾斜部幅bが150nm、底部の平坦幅cが200nm、凸部の高さdが100nm、傾斜部の傾斜角度θが34度であった。
次に、凹凸部を形成したポリカーボネート基板を1/4にカットし、導電性材料として銀を用いた真空蒸着を、表面に凹凸部が形成されたポリカーボネート基板の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基板の鉛直方向に対する角度θ1を16度にして行い、凹凸部の少なくとも斜面部に銀からなる補助電極層を20nmの厚さに成膜した(補助電極層形成工程)。
斜面部分の補助電極層における基板の垂直方向に対する角度は34度であった。
その後、凹凸部及び補助電極層の表面に導電性ポリマー溶液(Baytron P、H.C.Starck社製)を1,000rpmでスピンコートし、乾燥させて、厚み100nm〜200nmの透明導電層を形成した(透明導電層形成工程)。以上により、実施例3の透明導電体を作製した。
【0076】
(実施例4)
実施例1において、シリコン基板上の有機層にNEO1000(パルステック工業株式会社製)にて、5m/s、3mW、円周方向に500nmピッチで、レーザ照射を行い、導電性材料として銀を用いた真空蒸着を、表面に凹凸部が形成されたポリカーボネート基板の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基板の鉛直方向に対する角度θ1を22度にして行った以外は、実施例1と同様にして、実施例4の透明導電体を作製した。
ポリカーボネート基板に形成された凹凸部は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察したところ、図1において、ピッチPが500nm、凸部の平坦幅aが0nm、傾斜部幅bが120nm、底部の平坦幅cが260nm、凸部の高さdが150nm、傾斜部の傾斜角度θが51度であった。
斜面部分の補助電極層における基板の垂直方向に対する角度は51度であった。
【0077】
(実施例5)
実施例1において、シリコン基板上の有機層にNEO1000(パルステック工業株式会社製)にて、5m/s、3mW、円周方向に500nmピッチで、レーザ照射を行い、
ドライエッチング条件を、ガスSF6、出力150W、50秒の反応性イオンエッチング(RIE)で行い、導電性材料として銀を用いた真空蒸着を、表面に凹凸部が形成されたポリカーボネート基板の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基板の鉛直方向に対する角度θ1を28度にして行った以外は、実施例1と同様にして、実施例5の透明導電体を作製した。
ポリカーボネート基板に形成された凹凸部は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察したところ、図1において、ピッチPが500nm、凸部の平坦幅aが0nm、傾斜部幅bが120nm、底部の平坦幅cが260nm、凸部の高さdが200nm、傾斜部の傾斜角度θが59度であった。
斜面部分の補助電極層における基板の垂直方向に対する角度は59度であった。
【0078】
(実施例6)
実施例1において、シリコン基板上の有機層にNEO1000(パルステック工業株式会社製)にて、5m/s、6mW、円周方向に500nmピッチで、レーザ照射を行い、導電性材料として銀を用いた真空蒸着を、表面に凹凸部が形成されたポリカーボネート基板の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基板の鉛直方向に対する角度θ1を10度にして行った以外は、実施例1と同様にして、実施例6の透明導電体を作製した。
ポリカーボネート基板に形成された凹凸部は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察したところ、図1において、ピッチPが500nm、凸部の平坦幅aが200nm、傾斜部幅bが150nm、底部の平坦幅cが0nm、凸部の高さdが150nm、傾斜部の傾斜角度θが45度であった。
斜面部分の補助電極層における基板の垂直方向に対する角度は45度であった。
【0079】
(実施例7)
実施例1において、シリコン基板上の有機層にNEO1000(パルステック工業株式会社製)にて、5m/s、6mW、円周方向に500nmピッチで、レーザ照射を行い、導電性材料として銀を用いた真空蒸着を、表面に凹凸部が形成されたポリカーボネート基板の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基板の鉛直方向に対する角度θ1を45度にして行った以外は、実施例1と同様にして、実施例7の透明導電体を作製した。
ポリカーボネート基板に形成された凹凸部は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察したところ、図1において、ピッチPが500nm、凸部の平坦幅aが200nm、傾斜部幅bが150nm、底部の平坦幅cが0nm、凸部の高さdが150nm、傾斜部の傾斜角度θが45度であった。
斜面部分の補助電極層における基板の垂直方向に対する角度は45度であった。
【0080】
(比較例1)
実施例1において、表面に凹凸部のないポリカーボネート基板を、マスクなしで、該基板の鉛直方向に対する角度を90度にして蒸着を行った以外は、実施例1と同様にして、比較例1の透明導電体を作製した。
【0081】
次に、実施例1〜7及び比較例1の各透明導電体について、以下のようにして、透過率、抵抗率、及び照明取り付け時の光取り出し効率を評価した。結果を表1に示す。
【0082】
<透過率>
透過率を、オーシャンオプティクス社製USB2000で測定した。
【0083】
<抵抗率>
抵抗率を、マルチメータ289(Fluka社製)で測定した。
【0084】
<照明取り付け時の光取り出し効率>
蛍光体照明に各透明導電体を取り付け、出射光量をオーシャンオプティクス社製USB2000で測定した。蛍光照明体に透明導電体を取り付けないときの出射光量を100として表した。
【0085】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の透明導電体は、例えば液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、エレクトロクロミックディスプレイ、太陽電池、タッチパネルなどの透明電極、電子ペーパー、電磁波シールド材などに幅広く用いられる。
【符号の説明】
【0087】
1 基材
2 有機層
3 補助電極層
4 真空蒸着装置
5 透明導電層
12 有機層
13 凸部
15 凹部
P ピッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の一の表面に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部と、
前記凹凸部の少なくとも斜面部分に形成された導電性材料からなる補助電極層と、
前記凹凸部及び前記補助電極層の表面に形成された透明導電層と、を有することを特徴とする透明導電体。
【請求項2】
斜面部分の補助電極層における透明導電体の垂直方向に対する角度が0度〜45度の鋭角である請求項1に記載の透明導電体。
【請求項3】
凹凸部の断面形状が、非対称形状である請求項1から2のいずれかに記載の透明導電体。
【請求項4】
凹凸部の平面視形状が、ライン状及び格子状のいずれかである請求項1から3のいずれかに記載の透明導電体。
【請求項5】
凸部の平坦幅aの隣接する凸部間の最短距離Pに対する割合〔(a/P)×100〕が、50%以下である請求項1から4のいずれかに記載の透明導電体。
【請求項6】
透明導電層が、導電性ポリマーからなる請求項1から5のいずれかに記載の透明導電体。
【請求項7】
基材の一の表面に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を形成する凹凸部形成工程と、
前記凹凸部の少なくとも斜面部分に導電性材料からなる補助電極層を形成する補助電極層形成工程と、
前記凹凸部及び前記補助電極層の表面に透明導電層を形成する透明導電層形成工程と、を含むことを特徴とする透明導電体の製造方法。
【請求項8】
凹凸部形成工程において、基材の一の表面にヒートモードの形状変化が可能な有機層を設け、該有機層に集光した光を照射することで凹凸部を形成する請求項7に記載の透明導電体の製造方法。
【請求項9】
凹凸部形成工程において、基材の一の表面にインプリント層を設け、該インプリント層にインプリントモールドを押し付けるインプリント法により凹凸部を形成する請求項7に記載の透明導電体の製造方法。
【請求項10】
インプリントモールドが、ヒートモードの形状変化が可能な有機層に集光した光を照射して凹凸部を形成した該有機層をマスクとしてエッチングにより形成される請求項9に記載の透明導電体の製造方法。
【請求項11】
補助電極層の形成が真空蒸着で行われ、該真空蒸着が、表面に凹凸部が形成された基材の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基材の鉛直方向に対する角度を1度〜80度にして行われる請求項7から10のいずれかに記載の透明導電体の製造方法。
【請求項1】
基材の一の表面に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部と、
前記凹凸部の少なくとも斜面部分に形成された導電性材料からなる補助電極層と、
前記凹凸部及び前記補助電極層の表面に形成された透明導電層と、を有することを特徴とする透明導電体。
【請求項2】
斜面部分の補助電極層における透明導電体の垂直方向に対する角度が0度〜45度の鋭角である請求項1に記載の透明導電体。
【請求項3】
凹凸部の断面形状が、非対称形状である請求項1から2のいずれかに記載の透明導電体。
【請求項4】
凹凸部の平面視形状が、ライン状及び格子状のいずれかである請求項1から3のいずれかに記載の透明導電体。
【請求項5】
凸部の平坦幅aの隣接する凸部間の最短距離Pに対する割合〔(a/P)×100〕が、50%以下である請求項1から4のいずれかに記載の透明導電体。
【請求項6】
透明導電層が、導電性ポリマーからなる請求項1から5のいずれかに記載の透明導電体。
【請求項7】
基材の一の表面に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を形成する凹凸部形成工程と、
前記凹凸部の少なくとも斜面部分に導電性材料からなる補助電極層を形成する補助電極層形成工程と、
前記凹凸部及び前記補助電極層の表面に透明導電層を形成する透明導電層形成工程と、を含むことを特徴とする透明導電体の製造方法。
【請求項8】
凹凸部形成工程において、基材の一の表面にヒートモードの形状変化が可能な有機層を設け、該有機層に集光した光を照射することで凹凸部を形成する請求項7に記載の透明導電体の製造方法。
【請求項9】
凹凸部形成工程において、基材の一の表面にインプリント層を設け、該インプリント層にインプリントモールドを押し付けるインプリント法により凹凸部を形成する請求項7に記載の透明導電体の製造方法。
【請求項10】
インプリントモールドが、ヒートモードの形状変化が可能な有機層に集光した光を照射して凹凸部を形成した該有機層をマスクとしてエッチングにより形成される請求項9に記載の透明導電体の製造方法。
【請求項11】
補助電極層の形成が真空蒸着で行われ、該真空蒸着が、表面に凹凸部が形成された基材の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基材の鉛直方向に対する角度を1度〜80度にして行われる請求項7から10のいずれかに記載の透明導電体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−272466(P2010−272466A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125328(P2009−125328)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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