説明

通信システム

【課題】マスタの第1のデバイスからスレーブの第2のデバイスに確実且つ容易にアクセスすることである。
【解決手段】バスコントローラFPGA1と、バスコントローラFPGA1と通信接続され、ライトクロック信号WCLKが一線路で順に伝送される複数のローカルFPGA21〜24と、を備え、バスコントローラFPGA1からのライトクロック信号WCLKの線路が最も長いローカルFPGA24は、リードクロック信号RCLKを出力して他のローカルFPGA23〜21を一線路で順に介してバスコントローラFPGA1に伝送し、各ローカルFPGA21〜24は、リードクロック信号RCLKに同期して入力信号を出力してバスコントローラFPGA1へ伝送し、各ローカルFPGA21〜24及びバスコントローラFPGA1の間のリードクロック信号RCLKの線路長と、前記入力信号の線路長とが等しい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1つのマスタ回路と、複数のスレーブ回路と、を備え、そのマスタ回路と複数のスレーブ回路とがバスを介してデータ転送するデータ転送方式が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、半導体チップを試験する半導体試験装置が知られている。半導体試験装置では、例えば、テストヘッドに複数のモジュール(ボード)を搭載し、各モジュール上のFPGA(Field Programmable Gate Array)間で通信を行っていた。
【0004】
図4を参照して、半導体試験装置に搭載される従来の通信システム200を説明する。図4に、従来の通信システム200の構成を示す。図4においては、制御信号の線路を図示省略している。
【0005】
通信システム200は、マスタ回路としてのバスコントローラFPGA4と、複数のスレーブ回路としてのローカルFPGA51〜5n(n:任意の2以上の整数)と、を備えて構成され、各部がバス3を介して接続されている。
【0006】
バスコントローラFPGA4は、ローカルFPGA51〜5nのメモリ(図示略)にリードアクセス又はライトアクセスを行う。また、バスコントローラFPGA4は、システムクロック信号及びシステムリセット信号が入力され、図示しないシステム制御部とデータ通信を行う。システムクロック信号の周波数は、例えば、100[MHz]とする。また、バスコントローラFPGA4は、ローカルFPGA51〜5n用のクロック信号CLKを出力し、ローカルFPGA51〜5nとのデータ通信を行う。
【0007】
ローカルFPGA51〜5nは、それぞれメモリを備える。ローカルFPGA51〜5nは、それぞれ、バスコントローラFPGA4から出力されるクロック信号CLKに同期して、バスコントローラFPGA4から入力されるデータをメモリに書き込み、又はメモリからデータを読み出してバスコントローラFPGA4に伝送する。クロック信号CLKは、全てのローカルFPGA51〜5nに共通とする。また、バスコントローラFPGA4のデータバスは、全てのローカルFPGA51〜5nに共通とする。
【特許文献1】特開平6−60021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記通信システム200では、バスコントローラFPGA4から出力されるクロック信号CLKは、ローカルFPGA51→ローカルFPGA52→…→ローカルFPGA5nのように、順に一筆書きの線路で伝送される。このため、各部間の線路長が数10[cm]になれば、各ローカルFPGAでクロック信号CLKに数[ns]の遅延が生じるという問題があった。例えば、ローカルFPGA51〜5nへのリードアクセス時に、周期10[ns]のクロック信号CLKで通信システム200を動作させる場合、ローカルFPGA51〜5nから読み出されてバスコントローラFPGA4に入力されるリードデータと、クロック信号CLKとの同期が困難であった。
【0009】
また、ローカルFPGA51〜5nに入力されるクロック信号CLKと、ローカルFPGA51〜5nのリードデータとの遅延時間Tcoは、ローカルFPGA51〜5nのチップに依存していた。つまり、各ローカルFPGA51〜5nの遅延時間Tcoが異なるおそれがあった。
【0010】
また、リードデータを故意に遅延させる技術(遅延設定)もあるが、バスコントローラFPGA4とローカルFPGA51〜5nとの間の線路長が、各ローカルFPGA51〜5nにより異なるため、アクセスするローカルFPGAを変更する度に遅延設定を要するため、高速化が困難であった。また、上記遅延設定には、数10クロックかかるので、設定用にさらに高速のクロック信号を要し、ノイズ原因となっていた。
【0011】
また、ローカルFPGAの接続数が多ければクロック信号CLKがなまり、終端(ローカルFPGA5n)では注意が必要であるという問題があった。
【0012】
さらに、リードアクセス、ライトアクセスに関わらず、ローカルFPGA51〜5nから、アクセスを許可する旨のACK信号をバスコントローラFPGA4に出力する際、ACK信号とクロック信号CLKとの同期が困難であった。
【0013】
本発明の課題は、マスタの第1のデバイスからスレーブの第2のデバイスに確実且つ容易にアクセスすることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の通信システムは、
第1のクロック信号を出力する第1のデバイスと、
前記第1のデバイスと通信接続され、前記第1のクロック信号が一線路で順に伝送される複数の第2のデバイスと、を備え、
前記第1のデバイスからの前記第1のクロック信号の線路が最も長い前記第2のデバイスは、第2のクロック信号を出力して他の前記第2のデバイスを一線路で順に介して前記第1のデバイスに伝送し、
前記各第2のデバイスは、前記第2のクロック信号に同期して入力信号を出力して前記第1のデバイスへ伝送し、
前記各第2のデバイス及び前記第1のデバイスの間の前記第2のクロック信号の線路長と、当該各第2のデバイス及び前記第1のデバイスの間の前記入力信号の線路長とが等しい。
【0015】
請求項2に記載の発明の通信システムは、請求項1に記載の通信システムにおいて、
前記各第2のデバイスは、データを記憶する記憶部を有し、
前記入力信号は、前記第1のデバイスから前記各第2のデバイスの前記記憶部へのアクセス許可信号と、前記記憶部から読み出したデータのデータ信号と、の少なくとも一つである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、第1のデバイスから第2のデバイスに確実且つ容易にアクセスできる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、第1のデバイスから第2のデバイスの記憶部へのライトアクセス及びリードアクセスの少なくとも一つを確実且つ容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施の形態について説明する。但し、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0019】
先ず、図1を参照して、本実施の形態の装置構成を説明する。図1に、本実施の形態の通信システム100の構成を示す。
【0020】
本実施の形態の通信システム100は、例えば、半導体チップの各種試験を行う半導体試験装置のテストヘッドに搭載される。半導体試験装置は、テストヘッド、本体及びワークステーションを備え、ワークステーションにおけるユーザ操作に基づいて、本体を介してテストヘッドにより半導体チップの各種測定等の試験を行う。このテストヘッドには、複数のモジュール(ボード、カード)が搭載され、本体に接続されるバスコントローラ側のモジュールと、ローカル側のボードとがバス接続されている。各ローカル側のモジュールは、例えば、各種アナログ回路に接続され、ワークステーション側のデジタル信号と、アナログ回路側のアナログ信号とを変換して中継する。
【0021】
図1に示すように、通信システム100は、第1のデバイスとしてのバスコントローラFPGA1と、第2のデバイスとしてのローカルFPGA21〜24と、を備えて構成され、各部がバス3A,3Bを介して接続されている。バスコントローラFPGA1が、上記テストヘッド内のバスコントローラ側のモジュールに設けられている。ローカルFPGA21〜24が、上記テストヘッド内のローカル側の4つのモジュールそれぞれに設けられている。
【0022】
バスコントローラFPGA1は、ローカルFPGA21〜24の記憶部としてのメモリ又はレジスタ(図示略)にリードアクセス(データ読み出し)又はライトアクセス(データ書き込み)を行う。また、バスコントローラFPGA1は、システムクロック信号及びシステムリセット信号が入力され、図示しないシステム制御部(ワークステーションのCPU(Central Processing Unit))とデータ通信を行う。システムクロック信号の周波数は、例えば、100[MHz]とする。また、バスコントローラFPGA1は、ローカルFPGA21〜24に対し第1のクロック信号としてのライトアクセス用のクロック信号であるライトクロック信号WCLKを出力し、またローカルFPGA21〜24とのデータ通信を行う。
【0023】
ローカルFPGA21〜24は、それぞれメモリ、レジスタ及びFIFO(First In First Out)メモリ(図示略)を備える。メモリ及びレジスタは、リードアクセス及びライトアクセスの対象であり、各種データを記憶する。FIFOメモリは、リード及びライト時にデータを先出し先入れ方式で一時的に格納するメモリである。
【0024】
ローカルFPGA21〜24は、それぞれ、バスコントローラFPGA1から入力されるライトクロック信号WCLKに同期して、バスコントローラFPGA1から入力されるデータ(ライトデータ)をメモリに書き込む。ライトクロック信号WCLKは、全てのローカルFPGA21〜24に共通とする。バスコントローラFPGA1から出力されるライトクロック信号WCLKは、バスコントローラFPGA1→ローカルFPGA21→ローカルFPGA22→ローカルFPGA23→ローカルFPGA24のように、順に一筆書きの線路で伝送される。
【0025】
ローカルFPGA24は、第2のクロック信号としてのリードアクセス用のリードクロック信号RCLKを出力する。ローカルFPGA24から出力されるリードクロック信号RCLKは、ローカルFPGA24→ローカルFPGA23→ローカルFPGA22→ローカルFPGA21→バスコントローラFPGA1のように、順に一筆書きの線路で伝送される。ローカルFPGA24は、バスコントローラFPGA1からの信号線路の終端となる。また、ローカルFPGA21〜24は、それぞれ、リードクロック信号RCLKに同期して、メモリからデータ(リードデータ)を読み出してバスコントローラFPGA1へ伝送する。
【0026】
バス3Aは、ローカルFPGA21〜24に共通のコントロールバスである。バスコントローラFPGA1から出力される制御信号は、バスコントローラFPGA1→ローカルFPGA21→ローカルFPGA22→ローカルFPGA23→ローカルFPGA24のように、順に一筆書きの線路で送信先のローカルFPGAに伝送される。制御信号としては、後述するバースト信号BURST、信号RNW、アドレスストローブ信号XAS、データストローブ信号XDS等である。
【0027】
バス3Bは、ローカルFPGA21〜24に共通のデータバスである。バスコントローラFPGA1から出力されるデータ信号は、バスコントローラFPGA1→ローカルFPGA21→ローカルFPGA22→ローカルFPGA23→ローカルFPGA24のように、順に一筆書きの線路で伝送先のローカルFPGAに伝送される。ローカルFPGAから出力されるデータ信号は、伝送元のローカルFPGA→…→バスコントローラFPGA1のように、伝送元のローカルFPGAから順に一筆書きの線路でバスコントローラFPGA1に伝送される。データ信号としては、後述するアドレス信号A0、データ信号D0〜D33である。
【0028】
また、バスコントローラFPGA1からローカルFPGA21〜24にリード又はライトを行う場合に、先ずバスコントローラFPGA1からリード対象又はライト対象のローカルFPGAへリード又はライトのリクエストを示すREQ信号が伝送される。本実施の形態では、後述するアドレスストローブ信号XAS、データストローブ信号XDSがREQ信号として使用される。リード対象又はライト対象のローカルFPGAでREQ信号が受信され、リード又はライトの準備ができ(例えば、FIFOメモリの空き領域確保)次第、リード対象又はライト対象のローカルFPGAからバスコントローラFPGA1へリード又はライトの許可を示すアクセス許可信号としてのACK信号が送信される。本実施の形態では、ACK信号として、ローアクティブの信号XACK0〜XACK3が使用される。信号XACK0〜XACK3は、ライト時にライトクロック信号WCLKに同期され、リード時にリードクロック信号RCLKに同期される。また、信号XACK0〜XACK3は、互いに独立している。
【0029】
図1に示すように、バスコントローラFPGA1とローカルFPGA21との間の距離(線路長)を長さL1とする。ローカルFPGA21とローカルFPGA22との間の距離を長さL2とする。同様に、ローカルFPGA22とローカルFPGA23との間の距離を長さL3とし、ローカルFPGA23とローカルFPGA24との間の距離を長さL4とする。
【0030】
通信システム100では、バスコントローラFPGA1から出力されるデータ信号及び制御信号、ライトクロック信号WCLK、リードクロック信号RCLK、の線路長は、(L1+L2+L3+L4)で共通するように、各線路の線路長が設定されている。また、信号XACK0〜XACK3の線路長は、接続される各ローカルFPGAで異なり、それぞれのデータバス長、クロック長に合わせて設定されている。
【0031】
すなわち、ローカルFPGA21からバスコントローラFPGA1への信号XACK0の線路長は、L1に設定されている。ローカルFPGA22からバスコントローラFPGA1への信号XACK1の線路長は、(L1+L2)に設定されている。ローカルFPGA23からバスコントローラFPGA1への信号XACK2の線路長は、(L1+L2+L3)に設定されている。ローカルFPGA24からバスコントローラFPGA1への信号XACK3の線路長は、(L1+L2+L3+L4)に設定されている。
【0032】
次に、図2及び図3を参照して、通信システム100の動作を説明する。図2に、リードサイクルの各信号の流れを示す。図3に、ライトサイクルの各信号の流れを示す。リードサイクルは、バスコントローラFPGA1からローカルFPGAのメモリ又はレジスタにリードアクセスするサイクルである。ライトサイクルは、バスコントローラFPGA1からローカルFPGAのメモリ又はレジスタにライトアクセスするサイクルである。
【0033】
図2及び図3において、それぞれ、ライトクロック信号WCLK、リードクロック信号RCLK、アドレス信号A0、データ信号D0〜D33、バースト信号BURST、信号XACK、信号RNW、アドレスストローブ信号XAS、データストローブ信号XDSを示した。
【0034】
バースト信号BURSTは、ハイアクティブで、データをバースト信号で転送するバーストモードを示す信号である。信号RNWは、ハイのときにリードサイクルを示し、ローのときにライトサイクルを示す信号である。アドレスストローブ信号XASは、ローアクティブで、アドレス信号の有効区間を示す信号である。データストローブ信号XDSは、ローアクティブで、1バーストのデータ信号の有効区間を示す信号である。また、図2及び図3のoutput,inputについては、バスコントローラFPGA1を基準として、出力される信号にoutputを記載し、入力される信号にoutputを記載した。
【0035】
図2及び図3では、一例として、1バーストとして、32個の4バイトデータを伝送する構成とし、代表的に、ローカルFPGA24にリード又はライトする構成とした。また、信号XACKは、信号XACK3を代表的に示した。
【0036】
図2に示すリードサイクルでは、先ず、バスコントローラFPGA1において、ライトクロック信号WCLKに同期して、バースト信号BURSTがローにされバーストモードがオンされ、信号RNWがハイにされリードサイクルが開始される。また、バスコントローラFPGA1において、ライトクロック信号WCLKに同期して、アドレスストローブ信号XASがローにされ、バスコントローラFPGA1からアドレス信号A0が出力される。アドレス信号A0は、リードするメモリ又はレジスタのアドレスを示し、例えば、全てのローカルFPGAのメモリ及びレジスタの絶対アドレスで表される。ここでは、アドレス信号A0が、ローカルFPGA24のメモリ及びレジスタのアドレスを示すものとする。アドレス信号A0は、バス3Bを介してローカルFPGA24に伝送される。そして、バスコントローラFPGA1において、アドレス信号A0が出力し終わると、ライトクロック信号WCLKに同期して、アドレスストローブ信号XASがハイにされ、データストローブ信号XDSがローにされて出力される。
【0037】
そして、ローカルFPGA24において、ライトクロック信号WCLKに同期してバスコントローラFPGA1からアドレス信号A0が受信されると、リードデータを格納するためFIFOメモリの空き領域が確保され、アドレス信号A0に基づいてメモリ又はレジスタからリードデータが読み出されてFIFOメモリに格納される。そして、ローカルFPGA24において、リードクロック信号RCLKに同期して、信号XACKがロー(アクティブ)にされ、リードデータのデータ信号D0(in)がバス3Bを介してバスコントローラFPGA1に伝送される。信号XACKとリードクロック信号RCLKとは、ローカルFPGA24からバスコントローラFPGA1への線路長が等しい線路を伝送されるので、その遅延時間も同一となる。このため、バスコントローラFPGA1において、リードクロック信号RCLKに同期して信号XACK(ロー)及びデータ信号D0(in)が受信される。
【0038】
そして、ローカルFPGA24において、データ信号D0(in)に引き続き、リードクロック信号RCLKに同期して、データ信号D1(in)〜D31(in)がバスコントローラFPGA1へ伝送される。バスコントローラFPGA1において、データ信号D0(in)に引き続き、リードクロック信号RCLKに同期してデータ信号D1(in)〜D31(in)が受信される。そして、ローカルFPGA24において、リードクロック信号RCLKに同期して信号XACKがハイにされる。
【0039】
そして、バスコントローラFPGA1において、ライトクロック信号WCLKに同期してデータストローブ信号XDSがハイにされ、1バーストが終了される。そして、バスコントローラFPGA1において、所定時間経過後、ライトクロック信号WCLKに同期してデータストローブ信号XDSがローにされ、次のバーストが開始される。そして、ローカルFPGA24において、リードクロック信号RCLKに同期して信号XACKがロー(アクティブ)にされる。そして、同様に、ローカルFPGA24において、リードクロック信号RCLKに同期してデータ信号D32(in)、D33(in)、リードデータの最後を示すデータ信号(不要)がバスコントローラFPGA1に伝送される。バスコントローラFPGA1において、リードクロック信号RCLKに同期してデータ信号D32(in)〜データ信号(不要)が受信される。
【0040】
このようにして、ローカルFPGA24のメモリ又はレジスタの全てのリード対象のデータがリードされ、バスコントローラFPGA1において、最後のデータ信号(不要)の入力終了前に、ライトクロック信号WCLKに同期して、データストローブ信号XDSがハイにされ、バースト信号BURSTがローにされてバーストモードが終了され、信号RNWがローにされてリードサイクルが終了される。また、信号RNWは、リードサイクル中ずっとハイであってもよい。
【0041】
後述するライトデータの長さは、決まっているが、リードデータの長さは、ばらばらである。また、バスコントローラFPGA1とローカルFPGA21〜24との間の線路長やローカルFPGA21〜24の遅延時間(Tco)により、信号XACK及びデータ信号を仮にライトクロック信号WCLKに同期させても、バスコントローラFPGA1においてリードデータの読み出し(受信)が行えない。しかし、信号XACK及びデータ信号をリードクロック信号RCLKに同期させると、信号XACK、データ信号及びリードクロック信号RCLKが同じだけ遅延してバスコントローラFPGA1に到達するので、バスコントローラFPGA1においてリードデータの読み出し(受信)が可能となる。
【0042】
図3に示すライトサイクルでは、先ず、バスコントローラFPGA1において、ライトクロック信号WCLKに同期して、バースト信号BURSTがローにされバーストモードがオンされ、信号RNWがローにされライトサイクルが開始される。また、バスコントローラFPGA1において、ライトクロック信号WCLKに同期して、アドレスストローブ信号XASがローにされ、バスコントローラFPGA1からアドレス信号A0が出力される。アドレス信号A0は、ライトするメモリ又はレジスタのアドレスを示し、例えば、全てのローカルFPGAのメモリ及びレジスタの絶対アドレスで表される。ここでは、アドレス信号A0が、ローカルFPGA24のメモリ及びレジスタのアドレスを示すものとする。アドレス信号A0は、バス3Bを介してローカルFPGA24に伝送される。そして、バスコントローラFPGA1において、アドレス信号A0が出力し終わると、ライトクロック信号WCLKに同期して、アドレスストローブ信号XASがハイにされる。
【0043】
そして、ローカルFPGA24において、ライトクロック信号WCLKに同期してバスコントローラFPGA1からアドレス信号A0が受信されると、リードクロック信号RCLKに同期して、信号XACKがロー(アクティブ)にされ、ライトデータを格納するため128バイトのFIFOメモリの空き領域が確保される。そして、バスコントローラFPGA1において、ローの信号XACKが受信され、信号XACK受信から所定時間後に、ライトクロック信号WCLKに同期してデータストローブ信号XDSがローにされる。
【0044】
そして、バスコントローラFPGA1において、1バーストのライトデータのデータ信号D0〜D31がバス3Bを介してローカルFPGA24に伝送される。そして、バスコントローラFPGA1における最後のデータ信号D31入力終了前に、ローカルFPGA24において、リードクロック信号RCLKに同期して、信号XACKがハイにされる。そして、バスコントローラFPGA1において、データ信号D31の出力終了とともに、ライトクロック信号WCLKに同期して、信号RNWがハイにされ、データストローブ信号XDSがハイにされる。
【0045】
そして、ローカルFPGA24において、リードクロック信号RCLKに同期して信号XACKがローにされてFIFOメモリの空き領域が確保される。そして、バスコントローラFPGA1において、ライトクロック信号WCLKに同期して、信号RNWがローにされ、データストローブ信号XDSがローにされる。そして、バスコントローラFPGA1において、次のバーストのライトデータのデータ信号D32〜D33がバス3Bを介してローカルFPGA24に伝送される。そして、バスコントローラFPGA1における最後のデータ信号D33入力終了前に、ローカルFPGA24において、リードクロック信号RCLKに同期して、バースト信号BURSTがローにされてバーストモードが終了され、信号XACKがハイにされる。そして、バスコントローラFPGA1において、データ信号D33の出力終了とともに、ライトクロック信号WCLKに同期して、信号RNWがハイにされてライトサイクルが終了され、データストローブ信号XDSがハイにされる。また、信号RNWは、リードサイクル中ずっとローであってもよい。
【0046】
以上、本実施の形態の通信システム100によれば、ローカルFPGA24がリードクロック信号RCLKを出力し、リードサイクル時に、リード対象のローカルFPGAが、アドレス信号を受信して、アドレス信号に対応するメモリ又はレジスタに記憶されたリードデータを読み出し、リードクロック信号RCLKに同期して、信号XACKとリードデータとをバスコントローラFPGA1に伝送する。バスコントローラFPGA1は、リードクロック信号RCLKに同期して、信号XACK及びリードデータを受信する。このため、バスコントローラFPGA1、ローカルFPGA21〜24を搭載する基板が大きく(例えば、数10cm)、動作周波数が高速(例えば、数百MHz)且つバス3A,3B上に多くのローカルFPGA21〜24が接続される場合にも、信号XACK、データ信号及びリードクロック信号RCLKが同じだけ遅延してバスコントローラFPGA1に到達するので、バスコントローラFPGA1からローカルFPGA21〜24のメモリ又はレジスタに確実且つ容易にリードアクセスできる。
【0047】
また、通信システム100によれば、ライトサイクル時に、リード対象のローカルFPGAが、アドレス信号を受信して、リードクロック信号RCLKに同期して、信号XACKをバスコントローラFPGA1に伝送する。バスコントローラFPGA1は、リードクロック信号RCLKに同期して、信号XACKを受信する。このため、リードアクセスと同様に、バスコントローラFPGA1、ローカルFPGA21〜24を搭載する基板が大きく、動作周波数が高速且つバス3A,3B上に多くのローカルFPGA21〜24が接続される場合にも、信号XACK及びリードクロック信号RCLKが同じだけ遅延してバスコントローラFPGA1に到達するので、バスコントローラFPGA1からローカルFPGA21〜24のメモリ又はレジスタに確実且つ容易にライトアクセスできる。
【0048】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る通信システムの一例であり、これに限定されるものではない。
【0049】
上記実施の形態では、通信システム100を、半導体試験装置のテストヘッドに搭載する構成として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、通信システム100が、他の機器やシステムに搭載される構成としてもよい。
【0050】
また、上記実施の形態では、通信システム100において、ローカルFPGAの数が4の構成を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ローカルFPGAの数が4以外の複数である構成としてもよい。
【0051】
また、上記実施の形態では、通信システム100において、バスコントローラFPGA1及びローカルFPGA21〜24を備える構成を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、バスコントローラFPGA1及びローカルFPGA21〜24に代えて、FPGA以外のデジタル回路等、他のデバイスとしてもよい。
【0052】
その他、上記実施の形態における通信システム100の細部構成及び詳細動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係る実施の形態の通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】リードサイクルの各信号を示すタイミングチャートである。
【図3】ライトサイクルの各信号を示すタイミングチャートである。
【図4】従来の通信システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0054】
100,200 通信システム
1,4 バスコントローラFPGA
21〜24,51〜5n ローカルFPGA
3,3A,3B バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のクロック信号を出力する第1のデバイスと、
前記第1のデバイスと通信接続され、前記第1のクロック信号が一線路で順に伝送される複数の第2のデバイスと、を備え、
前記第1のデバイスからの前記第1のクロック信号の線路が最も長い前記第2のデバイスは、第2のクロック信号を出力して他の前記第2のデバイスを一線路で順に介して前記第1のデバイスに伝送し、
前記各第2のデバイスは、前記第2のクロック信号に同期して入力信号を出力して前記第1のデバイスへ伝送し、
前記各第2のデバイス及び前記第1のデバイスの間の前記第2のクロック信号の線路長と、当該各第2のデバイス及び前記第1のデバイスの間の前記入力信号の線路長とが等しい通信システム。
【請求項2】
前記各第2のデバイスは、データを記憶する記憶部を有し、
前記入力信号は、前記第1のデバイスから前記各第2のデバイスの前記記憶部へのアクセス許可信号と、前記記憶部から読み出したデータのデータ信号と、の少なくとも一つである請求項1に記載の通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−33617(P2009−33617A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197337(P2007−197337)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】