説明

通信料金予測装置、通信装置、通信システム、並びに、課金方法

【課題】広域ネットワークにおけるトラフィックを分散する。
【解決手段】通信事業者は、ネットワーク負荷に応じた通信料金をリアルタイムに設定して、トラヒックの負荷分散を図るとともに、ネットワークの混雑による通信品質の低下を避ける。また、ネットワークから端末に、現在の通信料金や通信料金の時間推移の予想値を通知する。ユーザーは、通信料金が安いときに通信サービスを起動することが可能となる。複数の通信路を選択可能なデータ通信端末の場合、通信路毎に現在の通信料金と通信料金の時間推移予想値を表示する。ユーザーは、通信料金の安い通信路を選択して、通信料金を抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信を行なうデータ通信端末に課金される通信料金を予測する通信料金予測装置、通信アプリケーションを起動して通信を行なう通信装置、データ通信端末がデータ通信を行なう通信システム、並びに、ネットワークを使用して通信を行なうデータ通信端末に対する単位データ当たりの通信料金を課金する課金方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットや携帯電話システムなどの広域ネットワークが広範に利用されているが、そのトラフィックは一定ではなく、時間帯に応じて推移することが知られている。例えば日本国内では、インターネットにおけるトラフィックのピークは、ダウンロード並びにアップロードともに19時から23時頃に分布している(例えば、非特許文献1を参照のこと)。昨今の急激なトラヒックの増加により、特にトラヒックのピーク時間帯にネットワークが混雑し、対策が求められている。
【0003】
携帯電話サービスの料金体系は、一般に、基本使用料、通話料、パケット通信料などで構成される。例えば、通話料は単位時間の通話に対する基本単価としての料金であり、パケット通信料は単位データ量に対する基本単価としての料金として設定されている。また、例えば通話料やパケット通信料は、時間帯に応じて基本単価の値を設定している場合がある。また、例えば通話料やパケット通信料は、ある時間範囲あるいはデータ量範囲内の使用について固定の料金とする場合がある。
【0004】
多くのユーザーは、ネットワークの混雑状況を知ることなく、コンテンツのダウンロードなどの通信アプリケーションを起動して、通信サービスを利用している。ところが、想定された容量を超えてトラヒックが集中すると、データの損失が起こり、再送などの無駄な処理が発生し、ネットワークに過大な負荷が掛かかるとともにユーザーの通信速度は著しく低下する。このような状況に陥ることなくネットワークを安定に運用するためには、予想されるトラヒックに余裕を持ったネットワーク設備を構築する必要があり、通信事業者は、トラヒックのピークを考慮した設備投資を行なわなければならなくなる。
【0005】
今後ますますデータ通信のトラヒックは増大することが予想されるが、トラヒックの集中に対応するように設備を増強するのは膨大な費用が掛かる。また、いくら設備を増強しても、無線リソースが有限であることに変わりはない。したがって、多くのユーザーにデータ通信を使用可能にするためには、トラヒックを分散させることが求められる。
【0006】
例えば、ネットワークが混雑しているときは通信料金を割り増しにしてこれを端末に表示し、そのような場合にはなるべくユーザーが通信の起動を差し控えるように仕向けることで、トラフィックを分散させる無線通信システムについて提案がなされている(例えば、特許文献1を参照のこと)。このようなシステムによれば、ユーザーが表示を見た時点で重要度の低い通信アプリケーションの起動を辞退する可能性があり、ネットワークの混雑を解消することが期待される。しかしながら、このシステムは、ネットワークの混雑時に、通信の需要を抑制してネットワークの安定を図ることはできるものの、通信の需要の負荷変動の軽減すなわちトラフィックを分散させるために直接的に作用しているとは言い難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−109418号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】http://www.soumu.go.jp/main_content/000055966.pdf(2010年2月現在)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、通信の需要の負荷変動の軽減すなわちトラフィックを分散させるために直接的に作用することができる、優れた通信料金予測装置、通信装置、通信システム、並びに、課金方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願は、上記課題を参酌してなされたものであり、請求項1に記載の発明は、
通信部と、
前記通信部を通じて各基地局のネットワーク負荷情報を収集して保持するネットワーク負荷情報管理部と、
前記通信部を通じてユーザーのデータ通信端末の位置情報を収集して保持するユーザー行動履歴管理部と、
前記ユーザー行動履歴管理部に保持されているデータ通信端末の過去の位置情報に基づいて、データ通信端末の今後の移動経路を推定するとともに、前記ネットワーク負荷情報管理部に保持されている各基地局のネットワーク負荷情報に基づいて、データ通信端末が前記の推定された移動経路上の基地局を通過する際のネットワーク負荷状態を推定し、前記の推定された基地局のネットワーク負荷状態に基づいて、現在データ通信端末が位置登録している基地局のネットワーク負荷状態に応じた通信料金と、前記の推定された移動経路上の基地局のネットワーク負荷状態に応じた通信料金を予測する料金予測部と、
を具備し、
現在の通信料金及び通信料金の予測値を、前記通信部を通じてデータ通信端末に通知する、
通信料金予測装置である。
【0011】
また、本願の請求項2に記載の発明は、
無線通信を行なう通信部と、
現在位置の情報を取得する位置情報取得部と、
各種の処理を実行する制御部と、
ネットワークを使用して通信を行なう通信アプリケーションの起動条件を設定する起動条件設定手段と、
を具備し、
前記位置情報取得部が取得した位置情報の通知と、ネットワークを使用する際の通信料金の問合せを、前記通信部を通じて行ない、
前記の設定された起動条件を満たすときに、前記制御部が前記通信アプリケーションを起動して、ネットワークを使用して通信を行なう、
通信装置である。
【0012】
本願の請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の通信装置は表示部をさらに備えている。そして、問合せにより受け取った通信料金を前記表示部に表示するとともに、前記通信アプリケーションの起動条件を選択する画面を前記表示部に表示し、前記起動条件設定手段は、前記画面を通じて選択された起動条件を設定し、問合せにより受け取った通信料金が前記の設定された起動条件を満たすときに、前記制御部が前記通信アプリケーションを起動して、ネットワークを使用して通信を行なうように構成されている。
【0013】
本願の請求項4に記載の発明によれば、請求項2に記載の通信装置の起動条件設定手段は、前記通信部を通じて他のホストから受け取った指示に従って前記通信アプリケーションの起動条件を設定し、又は、あらかじめ記憶している起動条件を設定し、現在の通信料金が前記の設定された起動条件を満たすときに、前記制御部が前記通信アプリケーションを起動して、ネットワークを使用して通信を行なうように構成されている。
【0014】
本願の請求項5に記載の発明によれば、請求項2に記載の通信装置は、ユーザーの操作を受け取る操作部をさらに備えている。そして、操作部を通じて前記通信アプリケーションの起動が指示されたことに応じて、通信料金の問合せを行なうように構成されている。
【0015】
本願の請求項6に記載の発明によれば、請求項4に記載の通信装置は、他のホストから前記通信部を通じて前記通信アプリケーションの起動が指示されたことに応じて、通信料金の問合せを行なうように構成されている。
【0016】
本願の請求項7に記載の発明によれば、請求項2に記載の通信装置は、定期的に通信料金の問合せを行なうように構成されている。
【0017】
本願の請求項8に記載の発明によれば、請求項2に記載の通信装置は、ユーザーの操作を受け取る操作部をさらに備えている。そして、操作部を通じて通信料金の問合せが指示されたことに応じて、通信料金の問合せを行なうように構成されている。
【0018】
本願の請求項9に記載の発明によれば、請求項2に記載の通信装置は、通信部における無線測定結果に応じて、通信料金の問合せを行なうように構成されている。
【0019】
本願の請求項10に記載の発明によれば、請求項2に記載の通信装置は、ユーザーの操作を受け取る操作部をさらに備えている。そして、起動条件設定手段は、前記操作部を通じて前記通信アプリケーションの起動が指示されたことに応じて、起動条件の設定を行なうように構成されている。
【0020】
本願の請求項11に記載の発明によれば、請求項2に記載の通信装置は、起動条件設定手段が所定の記憶部にあらかじめ記憶されている情報に基づいて起動条件を設定するように構成されている。
【0021】
本願の請求項12に記載の発明によれば、請求項2に記載の通信装置は、通信料金の閾値をあらかじめ記憶する記憶部をさらに備えている。そして、起動条件設定手段は、問合せにより受け取った通信料金が前記閾値を超えるときに、ユーザーに起動条件の選択を促すように構成されている。
【0022】
本願の請求項13に記載の発明によれば、請求項2に記載の通信装置の起動条件設定手段は、無条件で直ちに通信アプリケーションを起動する、通信アプリケーションの起動を許可する通信料金の範囲、通信アプリケーションを起動させる時刻、のうち少なくとも1つを起動条件として設定することができる。
【0023】
本願の請求項14に記載の発明によれば、請求項2に記載の通信装置は、通信アプリケーションを起動してデータ通信を行なう相手に関する情報を通知して、通信料金の問合せを行なうように構成されている。
【0024】
本願の請求項15に記載の発明によれば、請求項2に記載の通信装置は、ユーザーの移動目的地を通知して、通信料金の問合せを行なうように構成されている。
【0025】
本願の請求項16に記載の発明によれば、請求項2に記載の通信装置の通信部は、複数の通信事業者が運用する各通信路に対応している。そして、ネットワークを使用する際の通信路毎の通信料金の問合せを、前記通信部を通じて行ない、問合せにより受け取った各通信路の通信料金のうち少なくとも1つが前記の設定された起動条件を満たすときに、前記制御部が前記通信アプリケーションを起動して、当該通信路を使用して通信を行なうように構成されている。
【0026】
また、本願の請求項17に記載の発明は、
ネットワーク負荷の傾向予測から通信料金を予測する料金予測サーバーと、
ネットワークを使用して通信を行なう通信アプリケーションを起動して、データ通信を行なうデータ通信端末と、
を具備し、
前記データ通信端末は、前記通信アプリケーションの起動条件を設定するとともに、前記料金予測サーバーが予測した通信料金を受け取り、通信料金が起動条件を満たすときに、前記制御部が前記通信アプリケーションを起動する、
通信システムである。
【0027】
但し、ここで言う「システム」とは、複数の装置(又は特定の機能を実現する機能モジュール)が論理的に集合した物のことを言い、各装置や機能モジュールが単一の筐体内にあるか否かは特に問わない。
【0028】
また、本願の請求項18に記載の発明は、 所定の標準的なネットワーク負荷状態のときの通信料金を標準通信料金に設定し、前記標準的なネットワーク負荷状態よりも高いネットワーク負荷状態のときには該ネットワーク負荷状態に応じて前記標準通過料金より割増とし、前記標準的なネットワーク負荷状態よりも低いネットワーク負荷状態のときには該ネットワーク負荷状態に応じて前記標準通過料金より割引として、ネットワークを使用して通信を行なうデータ通信端末に対する単位データ当たりの通信料金を課金する課金方法である。
【0029】
本願の請求項19に記載の発明によれば、請求項18に記載の課金方法は、基地局へのデータ通信端末の収容数を基地局の最大収容数で割った値に基づいてネットワーク負荷状態を検出するように構成されている。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、通信の需要の負荷変動の軽減すなわちトラフィックを分散させるために直接的に作用することができる、優れた通信料金予測装置、通信装置、通信システム、並びに、課金方法を提供することができる。
【0031】
本発明によれば、ネットワーク負荷に応じた通信料金をリアルタイムに設定することにより、通信事業者はトラヒックの負荷分散が期待できる。トラヒックの負荷を分散できる結果として、ネットワークの混雑による通信品質の低下を避けることが可能になり、また過剰な設備投資を避けることが可能になる。
【0032】
また、本発明によれば、ネットワークから端末に、現在の通信料金や通信料金の時間推移の予想値を通知することができる。また、データ通信端末のユーザーは、通信アプリケーションを起動する条件を複数の選択肢から選び、最適な料金となる起動条件及び通信路を選択することができる。したがって、データ通信端末のユーザーは、通信料金が安いときに通信サービスを起動することが可能となる。データ通信端末が複数の通信路を選択可能な場合には、通信路毎に現在の通信料金と通信料金の時間推移予想値を表示するので、データ通信端末のユーザーは、通信料金の安い通信路を選択して、通信料金を抑えることができる。
【0033】
すなわち、本発明によれば、ネットワークが混雑しているときに通信しようとするユーザーに対してネットワーク負荷の低い(つまり通信料金が安い)他の選択肢を提示してそこに誘導することによって、複数存在する通信路における時間や場所に応じたネットワーク負荷の変動を動的に且つ効率的に軽減することができる。
【0034】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、本発明を適用可能な通信ネットワークの構成例を示した図である。
【図2】図2は、データ通信端末10の構成例を模式的に示した図である。
【図3】図3は、料金予測サーバー41の構成例を模式的に示した図である。
【図4】図4は、ユーザーが料金予測サーバー41に料金を問い合わせて回答を得るまでのプロセスを説明するための図(ユーザーが通過する基地局経路の予測を示した図)である。
【図5】図5は、ユーザーが料金予測サーバー41に料金を問い合わせて回答を得るまでのプロセスを説明するための図(ネットワーク負荷と通信料金の予測を示した図)である。
【図6】図6は、データ通信端末側で、料金予測サーバー41から通知された情報を表示する画面の構成例を示した図である。
【図7】図7は、複数の通信路に対応するデータ通信端末側で、料金予測サーバー41から通知された情報を表示する画面の構成例を示した図である。
【図8】図8は、複数の通信路に対応するデータ通信端末側で、料金予測サーバー41から通知された情報を表示する画面の他の構成例を示した図である。
【図9】図9は、複数の通信路に対応するデータ通信端末側で、料金予測サーバー41から通知された情報を表示する画面のさらに他の構成例を示した図である。
【図10】図10は、データ通信端末の起動条件の設定表示例を示した図である。
【図11】図11は、データ通信端末がコンテンツ・サーバーからコンテンツをダウンロードする通信アプリケーションを起動するときの、データ通信端末、料金予測サーバー、コンテンツ・サーバー間で実行される通信シーケンス例を示した図である。
【図12】図12は、データ通信端末がコンテンツ・サーバーからコンテンツをダウンロードする通信アプリケーションを起動するときの、データ通信端末、料金予測サーバー、コンテンツ・サーバー間で実行される通信シーケンスの他の例を示した図である。
【図13】図13は、表示機能を持たないデータ通信端末が制御用ホストに対してデータをアップロードする通信アプリケーションを起動するときの、データ通信端末、料金予測サーバー、制御用ホスト間で実行される通信シーケンス例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0037】
本発明を適用する通信ネットワークでは、ネットワーク負荷を勘案した通信料金を導入している。例えば、ネットワークが空いているときには安く、混んでいるときには割高な通信料金を設定する。そして、この通信料金を、ネットワークからデータ通信端末に、定期的に通知する。また、将来のネットワーク負荷を予測し、これに基づいて通信料金も予測し、この予測値をユーザーに通知する。したがって、ユーザーは、緊急性が低い通信アプリケーションを安い料金のときに自動的に起動するように、通信アプリケーションの起動条件をデータ通信端末に設定することで、通信費用を節約することができる。また、各ユーザーがそれぞれこのような設定を行なうことで、システム全体として、トラヒックの集中を回避することができる。
【0038】
また、データ通信端末のユーザーが複数の事業者と契約している、あるいはデータ通信端末が複数の通信事業者の通信方式に対応しているなどして、データ通信端末が複数の通信路を利用可能な場合には、通信路毎の通信料金をユーザーに通知する。若しくは、各通信路の時間帯毎の通信料金を予測し、ユーザーに通知する。ユーザーは、より安い通信路を選択できるとともに、複数の通信路に負荷を分散することが可能になる。
【0039】
ネットワーク負荷を勘案した通信料金は、単位データ量当たりの料金の絶対値であってもよいし、通常料金からの割増率若しくは割引率であってもよい。いずれにせよ、ユーザーのデータ通信端末に通信料金を通知したり表示したりする。例えば、ネットワーク負荷を、基地局への通信端末の収容数(その基地局に位置登録した端末数とその基地局内で通信中の端末数に基づいた値)を基地局の最大収容数で割った値と定義してもよい。そして、ネットワーク負荷のランクに応じて、通信料金を段階的に設定してもよい。
【0040】
以下の表には、ネットワーク負荷のランクに応じた通信料金の一例を示している。同表では、ネットワーク負荷の状態を5つのランクに分け、標準的ネットワーク負荷状態を30〜70%とし、その負荷状態での通信料金を標準通信料金R3とし、ネットワークの負荷状態に応じた料金割増率又は割引率で他のランクの通信料金を設定している。ユーザーのデータ通信端末には、現在のネットワーク負荷の状態に応じて、通常料金に対する料金割増率並びに割引率を通知するようにしてもよい。例えば通信事業者毎に、下表に示したような料金体系を設定することもできる。
【0041】
【表1】

【0042】
ネットワーク負荷は、例えばデータ通信端末が位置登録している基地局と同じ基地局に位置登録している他のデータ通信端末の数、通信を行なっているデータ通信端末の数に基づいて判断することができる。ネットワーク上の基地局以外のノードでトラヒックが集中する箇所が検出された場合には、ネットワーク負荷の値にさらに適切な係数を乗算することも可能である。
【0043】
データ通信端末の通信相手は、インターネット上のホストである場合もあれば、無線ネットワーク上に存在する場合もある。後者の場合、データ通信端末を位置登録する基地局だけでなく通信相手を位置登録する基地局に関するネットワーク負荷も考慮し、両方のネットワーク負荷を適切な配分比で混合した総合のネットワーク負荷で、料金を算出するようにしてもよい。
【0044】
したがって、ネットワーク負荷を予測する際、基地局の混雑度やユーザーの行動が持つ特徴を考慮する必要がある。
【0045】
ここで、基地局の混雑度は月日、時刻によって刻々と変化し、それぞれの基地局の地理的な特徴も含んで、さまざまな傾向を持っている。例えば、駅周辺の基地局は朝晩の通勤時間帯に混雑度が大きくなる傾向を持っているとか、オフィス街周辺の基地局は昼休みや就業後の時間帯に混雑度が大きくなる傾向を持っているとか、ショッピング・センター周辺の基地局は週末の混雑度が大きいがオフィス街周辺の基地局は平日の混雑度が大きいなど、地域的な特徴を持っていることが想定される。
【0046】
また、ユーザーの行動は、ユーザー毎に時刻や曜日に応じた特徴を持っていることが想定される。平日の通勤通学の時刻や経路は比較的決まったパターンを持ち、どのような通信サービスをどのようなタイミングで起動するかなどの行動パターンも決まった傾向を持つ可能性が高い。
【0047】
以下では、複数の通信路に対応したデータ通信端末を使用するユーザーが、コンテンツのダウンロードなどの通信アプリケーションを起動する際に、所定の料金ランクを指定して自動選択する実施形態について説明する。
【0048】
図1には、本発明を適用可能な通信ネットワークの構成例を示している。図示の通信ネットワークは、携帯データ通信ネットワークを想定している。
【0049】
基地局11は、通信事業者Aが運用する基地局であり、コア・ネットワーク20に接続している。一方、基地局12、13、14は、通信事業者Bが運用する基地局であり、コア・ネットワーク30に接続している。
【0050】
各コア・ネットワーク20、30内には、基地局制御装置21、31がそれぞれ設置されている。各基地局制御装置21、31は、基地局に接続され無線回線の接続制御、ハンドオーバー制御などを行なう。
【0051】
パケット・アクセス制御ノード22は、基地局11に位置登録されたデータ通信端末の位置を把握し、パケット・ゲートウェイ・ノード23と基地局との間でユーザー・トラヒックの転送を行なう。同様に、パケット・アクセス制御ノード32は、各基地局12〜14に位置登録されたデータ通信端末の位置を把握し、パケット・ゲートウェイ・ノード33と基地局12〜14との間でユーザー・トラヒックの転送を行なう。
【0052】
パケット・ゲートウェイ・ノード23、33は、データ通信端末を所持するユーザーからの接続要求に従ってインターネット40へのアクセス・サーバーとして動作するノードであり、それぞれパケット・アクセス制御ノード22、23との間で携帯データ通信のパケット転送プロトコルを用いてユーザーIPパケットを送受信する。
【0053】
ホーム・ロケーション・レジスター(HLR)24、34は、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)やMSISDN(MS International PSTN/ISDN Number)などのユーザー識別情報や、パケット交換サービスの加入情報を保持している。ユーザーのHLRには、現在在圏しているパケット・アクセス制御ノード22、32からユーザーの位置情報が通知され、HLRがユーザーの所在位置を把握している。
【0054】
データ通信端末10は、通信事業者Aの通信方式、及び、通信事業者Bの通信方式のいずれにも対応した端末である。図1に示した通信ネットワークの構成例では、データ通信端末10は、現在、基地局11に位置登録しているが、基地局12の電波も充分受信できる位置にある。図示しないが、通信ネットワークにはその他の複数のデータ通信端末が散在することが、想定される。
【0055】
インターネット40上には、料金予測サーバー41が設置されている。各基地局11〜14は、コア・ネットワークA、Bとインターネット10を介して、料金予測サーバー41に接続している。料金予測サーバー41は、将来のネットワーク負荷を予測し、これに基づいて通信料金も予測し、各データ通信端末に定期的に通知する。
【0056】
図2には、データ通信端末10の構成例を模式的に示している。図示のデータ通信端末10は、携帯電話機である。
【0057】
CPU(Central Processing Unit)201は、ROM(Read Only Memory)202に記憶されているプログラム、又は記憶部204からRAM(Random Access Memory)203にロードされたプログラムに従って、各部の動作を制御し、各種の処理を実行する。RAM203には、CPU201が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0058】
CPU201が実行するプログラムとして、ネットワークを使用してデータ通信を行なう通信アプリケーションを挙げることができる。通信アプリケーションは、コンテンツ・サーバーからデータをダウンロードし、若しくは、制御用ホスト(他のデータ通信端末など)にデータをアップロードする機能を有する。また、通信アプリケーションの起動条件を、ユーザーの選択又は外部からの指示に従って設定することができ、設定した起動条件は記憶部204などで保持される。
【0059】
CPU201、ROM202、及びRAM203は、バス207を介して相互に接続されている。また、バス207には、記憶部204、GPS受信部205、携帯電話送受信部206、操作部208、音声入出力制御部209、ディスプレイ212が接続されている。
【0060】
携帯電話送受信部206は、完全に機能するセルラー無線送受信機として、例えばW−CDMA、LTEなどの標準規格を含む任意の既知の標準規格に従って動作することができる。携帯電話送受信部206は、図1に示した通信ネットワークにおいて、通信事業者Aの通信方式、及び、通信事業者Bの通信方式のいずれにも対応しているものとする。
【0061】
操作部208は、ボタン類やジョグダイヤルなどにより構成され、ユーザーからの操作を受け付ける。ユーザー操作としては、電話番号の入力や当該データ通信端末10に対する各種設定の他、メール作成やスケジュール記入などの文字入力を挙げることができる。
【0062】
マイクロフォン210は、ユーザーの音声を電気オーディオ信号に変換して入力する。また、スピーカー211は、オーディオ信号を、ユーザーが聴くことのできる可聴信号に変換して出力する。音声入出力制御部209は、基本的なアナログ・オーディオ信号をスピーカー211に供給するとともに、マイクロフォン210からアナログ・オーディオ入力を受け入れる。
【0063】
ディスプレイ212は、データ通信端末10を通常の携帯電話として使用するときには、ユーザーがダイヤルされた数字やイメージ、呼出し状況、メニュー・オプション、及び他のサービス情報を見ることを可能にする。
【0064】
GPS受信部205は、複数の周回衛星からのGPS(Global Positioning System)信号を受信して、3次元測位の原理に基づいて、測位することができる。本実施形態では、データ通信端末10は、GPS受信部205を用いて定期的に測位を行ない、携帯電話送受信部206を介して料金予測サーバー41に、定期的に位置情報を通知するようになっている。なお、データ通信端末10が位置情報を取得するデバイスとして、GPS受信部205の他にも、加速度センサー・モジュール、地磁気センサー・モジュールを挙げることができる。
【0065】
図1に示した通信ネットワークの構成例では、インターネット上に料金予測サーバー41が設置されている(前述)。料金予測サーバー41は、ネットワーク負荷を予測する際、基地局の混雑度やユーザーの行動が持つ特徴を考慮する必要がある。
【0066】
図3には、料金予測サーバー41の構成例を模式的に示している。図示の料金予測サーバー41は、ユーザーのデータ通信端末と通信する通信部301と、ネットワーク負荷データベース302と、ユーザー行動パターン・データベース303と、料金予測部304を備え、基地局の混雑度やユーザーの行動が持つ特徴を考慮しながら料金の予測を行なう点に特徴がある。
【0067】
料金予測サーバー41は、例えば定期的に複数の基地局のネットワーク負荷情報を、通信部301を通して収集し、ネットワーク負荷データベース302に保持する。また、料金予測サーバー41は、例えば定期的に複数のユーザーのデータ通信端末の位置情報や通信履歴を始めとするユーザーの行動履歴を、通信部301を通して収集し、ユーザー行動パターン・データベース303に保持する。
【0068】
ユーザーのデータ通信端末は、現在の位置あるいは位置登録している基地局を特定する情報(基地局IDなど)を料金予測サーバー41に通知して、通信料金を問い合わせる。これに対し、料金予測サーバー41の料金予測部304は、要求元ユーザーのデータ通信端末の過去の位置情報をユーザー行動パターン・データベース303から取り出し、これを解析して、このユーザーが今後通過する基地局の経路を推定し、次いで、通過すると推定された基地局のネットワーク負荷情報をネットワーク負荷データベース302から取り出し、これを解析して、ユーザーが通過する際のネットワーク負荷を推定する。そして、表1に示したような料金表を参照して、推定したネットワーク負荷から要求元ユーザーの現在の通信料金を割り出すとともに、今後の通信料金を推定する。料金予測サーバー41は、通信部304を通して、要求元ユーザーのデータ通信端末に、現在の通信料金、及び、通信料金の予測値を通知する。
【0069】
ユーザーが料金予測サーバー41に料金を問い合わせる際に、今後の移動目的地及び出発予定時間などの通信経路の予測や経路上の基地局を通過する時刻を予測する際に参考となる情報を併せて料金予測サーバー41に通知するようにしてもよい。料金予測サーバー41は、これらの情報を基に、通信料金予測の確度を上げることが可能である。
【0070】
また、ユーザーが料金予測サーバー41に料金を問い合わせる際に、通信相手のアドレス情報を併せて料金予測サーバー41に通知するようにしてもよい。このような場合、料金予測サーバー41は、要求元のユーザー側だけでなく通信相手側のネットワーク混雑度を勘案して、通信料金を推定することが可能になる。
【0071】
ユーザーが料金予測サーバー41に料金を問い合わせて回答を得るまでのプロセスについて、図4、図5を参照しながら説明する。
【0072】
例えば、ユーザーが日常的に行なっているニュース・コンテンツのダウンロードをするために、所持しているデータ端末上で通信アプリケーションを起動し、このデータ通信端末が現在位置登録している基地局10のID情報を料金予測サーバー41に通知して、通信料金を問い合わせる。
【0073】
料金予測サーバー41の料金予測部304は、要求元ユーザーのデータ通信端末の過去の位置情報をユーザー行動パターン・データベース303から取り出し、これを解析する。そして、ユーザーが今後通過する基地局経路とその通過時刻を、図4に示すように、基地局1→基地局2→基地局3、と予測する。
【0074】
続いて、料金予測サーバー41の料金予測部304は、通過すると推定された各基地局のネットワーク負荷情報をネットワーク負荷データベース302から取り出し、これを解析して、各通過基地局の予想通過時刻におけるネットワーク負荷の推定値を得る。図5の上段に示すように、各通過基地局1〜3のネットワーク負荷の時間的推移をネットワーク負荷データベース302から読み出すと、予想通過時刻において位置登録することが予測される基地局のネットワーク負荷を、当該データ通信端末のネットワーク負荷の推定値とする。そして、料金予測サーバー41の料金予測部は、表1に示したような料金表を参照して、図5の下段に示すようにネットワーク負荷の予測値に応じた現在の通信料金及び今後の通信料金を推定する。
【0075】
そして、料金予測サーバー41は、現在の通信料金及び今後の通信料金の推定値を通信部304から送信して、ユーザーのデータ通信端末に通知する。
【0076】
また、料金予測サーバー41の料金予測部304は、要求元ユーザーのデータ通信端末上での過去の通信履歴をユーザー行動パターン・データベース303から取り出して、これを解析して、ユーザーがダウンロードする予定の大体のデータ・サイズを予測して、図5の下段に示すように通信予測時間を推定することができる。したがって、料金予測サーバー41は、最も低料金で通信アプリケーションの実行を完了できる通信アプリケーションの起動タイミングを、ユーザーに推薦することもできる。
【0077】
ここで、データ通信端末における通信料金に関する情報表示方法及びユーザーによる選択方法について例示しておく。
【0078】
(1)ユーザーが通信アプリケーションの起動操作を行なったときに、データ通信端末が料金予測サーバー41に通信料金を問い合わせ、データ通信端末が通信料金を表示し、ユーザーが通信アプリケーションの起動条件を選択することを可能にする方法。
【0079】
(2)ユーザーが通信アプリケーションの起動操作を行なったときに、データ通信端末が料金予測サーバー41に通信料金を問い合わせ、現在の通信料金があらかじめ定めた料金ランク以上の場合にのみ、データ通信端末が通信料金を表示して、ユーザーが通信アプリケーションの起動条件を選択することを可能にする方法。この方法によれば、例えば割増料金となる場合のみ起動条件の設定をユーザーに求めることが可能となり、通信アプリケーション起動時にユーザーが毎回起動条件を設定する面倒を避けることができる。
【0080】
(3)ユーザーが通信アプリケーションの起動条件をあらかじめデータ通信端末に登録しておき、ユーザーが通信アプリケーションを起動する操作をした後、所定の期間内にこの起動条件を満たした場合に、データ通信端末が通信アプリケーションを起動する方法。この方法も、通信アプリケーション起動時に毎回起動条件を設定する面倒を避けることができる。さらに、料金情報を他のデータ通信端末に転送し、他のデータ通信端末から通信アプリケーション起動条件を選択することで、表示機能を持たないデータ通信端末でも通信料金を通信アプリケーションの起動条件とすることが可能になる。表示機能を持たないデータ通信端末として、例えば、人が直接通信に利用しないMTC(Machine Type Communication)端末を挙げることができる。メーター、自動販売機、電子広告などがMTC端末に相当する。
【0081】
(4)ユーザーがデータ通信端末に所定の操作を行なったとき、データ通信端末が料金予測サーバー41に料金を問い合わせて、データ通信端末に通信料金を表示する方法。
【0082】
(5)通信状態あるいは待ち受け状態において、データ通信端末が定期的に料金予測サーバー41に料金を問い合わせて、データ通信端末に料金を常時表示する方法。
【0083】
(6)通信状態あるいは待ち受け状態において、データ通信端末が定期的に料金予測サーバー41に料金を問い合わせて、料金のランクが変わったときに、所定の時間、データ通信端末に通信料金を表示する方法。
【0084】
(7)通信状態あるいは待ち受け状態において、データ通信端末が周辺の無線電波強度の測定を行ない、測定の結果がある条件となったときに、データ通信端末が料金予測サーバー41に通信料金を問い合わせて、データ通信端末に通信料金を表示する方法。この方法では、基地局から送信されるパイロット・チャネルの電波強度と帯域内雑音の比に基づいて基地局の混雑度を推測することが可能である。データ通信端末は、この電力測定を定期的に行なうことで、料金予測サーバー41との通信を行なわずに、通信料金の変化を推測することが可能となる。
【0085】
データ通信端末の設定として、上記の複数の表示方法及び通信アプリケーション起動条件の選択方法の中から、ユーザーがいずれかを選択できるようにしてもよい。
【0086】
ユーザーの位置情報をデータ通信端末から料金予測サーバー41へ定期的に通知するような通信も、データ通信端末が料金予測サーバー41に通信料金を問い合わせる通信も、データ通信によるものである。但し、これらのデータ量は、映像や音楽などのコンテンツのダウンロードなどの通信アプリケーションが取り扱うデータ量に比べて極めて小さいデータ量であるので、上記(1)〜(7)では大きなデータ量を扱う通信アプリケーションのみに起動条件を適用する方法を示している。
【0087】
データ通信端末が定期的に料金予測サーバー41に通信料金を問い合わせ、定期的にユーザーの位置情報を料金サーバー41に通知する通信も、データ通信端末が料金予測サーバー41に通信料金を問い合わせる通信も、常に低料金と想定される時間帯にのみ行なうようにしてもよい。また、複数の通信路に対応したデータ通信端末では、常に低料金の通信路を選択しておくという方法でもよい。
【0088】
データ通信端末のユーザーは、図10に示すような設定画面を介して、通信アプリケーションの起動条件をあらかじめ設定して、データ通信端末内の記憶部204に記憶しておく。図示の設定画面では、「現在の通信路で直ちに起動する」、「安い方の通信路で直ちに起動する」、「推薦条件で起動する」、「通信料金ランクが5割引以下のときに起動する」が選択可能な起動条件としてメニュー表示され、このうち通信料金ランクが5割引以下のときに起動する」が選択されている状態である。
【0089】
ユーザーがデータ通信端末の通信アプリケーションの起動操作を行なうと、データ通信端末は、携帯電話送受信部206を通して、現在位置登録している基地局の基地局IDを指定して、料金予測サーバー41に料金を問い合わせる。料金予測サーバー41は、ユーザー行動パターン・データベース303からこのユーザーの行動パターンを取り出して解析する。例えば、データ通信端末が2つの通信事業者A、Bの通信方式に対応していることをユーザー行動パターン・データベース303から判断することができ、このような場合には、料金予測サーバー41は、各通信事業者A、Bの運用する基地局についての通信料金をデータ通信端末に通知できる。
【0090】
料金予測サーバー41は、ユーザー行動パターン・データベース303から取り出した情報に基づいて、例えば図1中の矢印で示したようなユーザーの移動予測経路を推測すると、続いて、ユーザーが通過する基地局の予想通過時刻におけるネットワーク負荷の推定値をネットワーク負荷データベースから得て、現在の通信料金と今後の通信料金の推定値をデータ通信端末に通知する。データ通信端末は、携帯電話送受信部206を通して、料金予測サーバー41からの料金情報を受信する。
【0091】
図6には、データ通信端末側で、料金予測サーバー41から通知された情報を表示する画面の構成例を示している。図示の画面の上段には、現在の通信料金の情報「現在の通信料金レートは5割増です」と、予測された基地局経路に基づく料金ランク予測と、通信アプリケーションの推薦起動タイミングが表示されている。また、図示の画面の下段には、通信料金の予測値を通知されたユーザーが通信アプリケーションの起動条件などを選択するメニューが表示されている。図示の例では、メニューとして、「直ちに起動する」、「推薦タイミングで起動する」、「通信料金ランクが□□のときに起動する」、「時刻□□:□□に起動する」、「目的地を入力する」、…が用意され、このうち「推薦タイミングで起動する」が選択されている状態である。データ通信端末は、バックグラウンドで定期的に料金予測サーバー41に料金を問い合わせて、想定された起動条件と料金情報が一致したときに自動的に通信アプリケーションを起動することができる。
【0092】
同様に、「通信料金ランクが□□のときに起動する」のように所望の料金あるいは料金範囲が起動条件として指定されているときには、この起動条件と料金情報が一致したときに自動的に通信アプリケーションを起動することができる。
【0093】
また、データ通信端末は、ある一定期間内に起動条件と料金情報が一致しなかった場合は、通信アプリケーションの起動を取り止めるように、この期間を指定することもできる。
【0094】
あるいは、ユーザーは、定期的な料金予測サーバーへの問い合わせの処理をなくしたい場合には、「時刻□□:□□に起動する」のように、料金の予測値から通信アプリケーションの起動時刻を設定して、この起動時刻に通信アプリケーションを自動起動するようにすることもできる。
【0095】
データ通信中にも、基地局におけるネットワーク負荷の変動や、位置登録する基地局の切り替えなどに伴って、通信料金が変動することも想定される。このため、通信アプリケーションが動作を維持する料金幅若しくは料金閾値をあらかじめ設定しておけるようにしてもよい。この料金幅を超えて料金ランクから変わったとき、通信を中断するか継続するかを、ユーザーにあらかじめ確認しておくようにすることもできる。
【0096】
また、データ通信端末が複数の通信路に対応する場合、通信経路毎の現在の通信料金及び今後の通信料金を通知するようにしてもよい。例えば、データ通信端末が通信事業者Aの通信路と通信事業者Bの通信路に対応しており、現時点で通信事業者Aの基地局に位置登録している場合に、データ通信端末は、通信アプリケーションを起動する際に、通信事業者Aの現在位置登録している基地局IDを料金予測サーバー41に通知して通信料金を問い合わせるが、同時に同エリアにある通信事業者Bの基地局のネットワーク負荷率も問い合わせすることで、通信経路毎の現在の通信料金及び今後の通信料金の推定値を得ることができる。
【0097】
図7には、複数の通信路に対応するデータ通信端末側で、料金予測サーバー41から通知された情報を表示する画面の構成例を示している。図示の画面の上段には、対応する各通信路1、2についてそれぞれ予測された基地局経路に基づく料金ランク予測と、通信アプリケーションの推薦起動タイミングが表示されている。図示の例では、現在は通信路1が選択され、且つ、その通信料金レートが「R4」であることがハイライト表示により示されるとともに、現在の通信料金の情報「現在の通信料金レートは5割増です」が表示されている。
【0098】
図7に示す画面の下段には、通信料金の予測値を通知されたユーザーが通信アプリケーションの起動条件などを選択するメニューが表示されている。図示の例では、メニューとして、「直ちに起動する」、「通信路を□□に変更して直ちに起動する」、「通信料金ランクがR2のときに起動する」、「時刻□□:□□に起動する」、…が用意され、このうち「通信料金ランクがR2のときに起動する」が選択された状態であることがハイライト表示で示されている。
【0099】
例えば、通信アプリケーションの起動条件と最初に一致したのが通信事業者Bの通信路の料金であった場合に、データ通信端末は通信事業者Aへの位置登録を解除した後に、通信事業者Bの基地局に位置登録して、通信事業者Bの基地局を介して通信アプリケーションを起動することが可能である。
【0100】
なお、例えば起動条件として設定した料金ランク以下の通信路がないなど、通信アプリケーションを起動しようとした際に、起動条件を満足する当てがない場合には、データ通信端末は、ディスプレイ212で警告を発するなどして、ユーザーに起動条件の再選択を促すようにしてもよい。
【0101】
また、図8には、複数の通信路に対応するデータ通信端末側で、料金予測サーバー41から通知された情報を表示する画面の他の構成例を示している。図示の画面の上段には、各通信路1、2についての現在の料金ランクが表示されている。図示の例では、通信路1、2の現在の料金ランクがそれぞれR4、R3であること、並びに、現在は通信路1が選択されていることがハイライト表示により示されるとともに、現在の通信料金の情報「現在の通信料金レートは5割増です」が表示されている。
【0102】
図8に示す画面の下段には、通信料金の予測値を通知されたユーザーが通信アプリケーションの起動条件などを選択するメニューが表示されている。図示の例では、メニューとして、「直ちに起動する」、「通信路を□□に変更して直ちに起動する」、「通信料金ランクが□□のときに起動する」、「時刻□□:□□に起動する」、…が用意されているが(同上)、このうち「通信路を□□に変更して直ちに起動する」が選択された状態であることがハイライト表示で示されている。
【0103】
例えば、「通信路を□□に変更して直ちに起動する」の「□□」に通信路2を台に有すると、データ通信端末は通信事業者Aへの位置登録を解除して、通信事業者Bの基地局に位置登録して、通信事業者Bの基地局を介して通信アプリケーションを起動することが可能である。
【0104】
また、図9には、複数の通信路に対応するデータ通信端末側で、料金予測サーバー41から通知された情報を表示する画面のさらに他の構成例を示している。同図は、メニュー「目的地を入力する」が選択されたときの目的地の入力画面を例示している。データ通信端末が料金予測サーバー41に料金を問い合わせる際に、この画面で入力された目的地の情報が併せて料金予測サーバー41に通知される。料金予測サーバー41は、目的地の情報を基に、通信料金予測の確度を上げることが可能である(前述)。
【0105】
図11には、データ通信端末がコンテンツ・サーバーからコンテンツをダウンロードする通信アプリケーションを起動するときの、データ通信端末、料金予測サーバー、コンテンツ・サーバー間で実行される通信シーケンス例を示している。
【0106】
ユーザーAがデータ通信端末に対して通信アプリケーションの起動操作を行なうと(S1101)、データ通信端末は、現在の位置あるいは位置登録している基地局を特定する情報(基地局IDなど)を料金予測サーバー41に通知して、通信料金を問い合わせる。
【0107】
データ通信端末は、通信アプリケーションの起動操作が操作部208に行なわれたときではなく、料金問合せの操作が操作部208に行なわれたときや、定期的に通信料金の問合せを行なうようにしてもよい。あるいは、データ通信端末は、ハンドオーバーを検知するなど、携帯電話送受信部208における無線測定結果に応じて通信料金の問合せを行なうようにしてもよい。
【0108】
料金予測サーバー41の料金予測部304は、データ通信端末からの問合せを受け取ると、ユーザーAのデータ通信端末の過去の位置情報や通信履歴などの行動履歴をユーザー行動パターン・データベース303から取り出し、これを解析して、今後通過する基地局の経路やダウンロードする予定の大体のデータ・サイズなどのユーザーAの行動を予測する(S1121)。さらに料金予測サーバー41の料金予測部304は、通過すると推定された基地局のネットワーク負荷情報をネットワーク負荷データベース302から取り出し、これを解析して、ユーザーが通過する際に、予定のデータをダウンロードするためのネットワーク負荷を推定する(S1122)。そして、料金予測サーバー41の料金予測部304は、推定したネットワーク負荷からユーザーAの現在の通信料金を割り出すとともに、今後の通信料金を推定して、ユーザーAのデータ通信端末に通知する。
【0109】
ユーザーAのデータ通信端末は、料金予測サーバー41から通知された通信料金の情報をディスプレイ212に画面表示する(S1102)。画面の構成例は、図6を参照しながら既に説明した通りである。
【0110】
ここで、コンテンツをダウンロードする通信アプリケーションを起動する起動条件がデータ通信端末でまだ設定されていないときには(S1103のNo)、図10に示したような起動条件の設定画面をディスプレイ212に表示して、ユーザーAに通信アプリケーションの起動条件の選択を行なわせる(S1104)。S1104の起動条件の選択は、料金予測サーバー41から通知された通信料金が、記憶部204に記憶されている料金閾値を超える場合にのみ行なうようにしてもよい。あるいは、ユーザーAに起動条件を選択させるのではなく、データ通信端末の記憶部204に起動条件があらかじめ記憶されているのでもよい。
【0111】
そして、データ通信端末は、設定されている起動条件をチェックする(S1105)。起動条件として、「直ちに起動」が設定されているときには(S1106)、直ちに通信アプリケーションを起動する(S1112)。
【0112】
また、起動条件として、「設定時刻に起動」が設定されているときには(S1107)、設定時刻が到来するまで、通信アプリケーションの起動を待機する(S1109のNo)。
【0113】
また、起動条件として、「料金ランクがR2以下で起動」が設定されているときには、タイムアウトするまでの間(S1110のNo)、料金予測サーバー41への通信料金の問合せを繰り返し、通知された通信料金のランクがR2以下になるまで、通信アプリケーションの起動を待機する(S1111のNo)。なお、料金ランクがR2以下になる前に(S1111のNo)、タイムアウトしてしまうと(S1110のYes)、データ通信端末は、本処理ルーチンを終了する。
【0114】
データ通信端末は、設定された起動条件を満たし、通信アプリケーションを起動すると(S1112)、コンテンツ・サーバーに対してダウンロード要求処理を行ない、該当するデータのダウンロードを行なう。そして、データのダウンロードが完了すると、データ通信端末は、所定の終了処理を行なってから、通信アプリケーションを終了する(S1113)。
【0115】
また、図12には、データ通信端末がコンテンツ・サーバーからコンテンツをダウンロードする通信アプリケーションを起動するときの、データ通信端末、料金予測サーバー、コンテンツ・サーバー間で実行される通信シーケンスの他の例を示している。同図では、ユーザーAのデータ通信端末が通信事業者A(基地局A)及び通信事業者B(基地局B)の両方の通信路に対応していることを想定している。
【0116】
ユーザーAがデータ通信端末の操作部208に対して通信アプリケーションの起動操作を行なうと(S1201)、データ通信端末は、現在の位置あるいは位置登録している基地局を特定する情報(基地局IDなど)を料金予測サーバー41に通知して、通信料金を問い合わせる。
【0117】
データ通信端末は、通信アプリケーションの起動操作が操作部208で行なわれたときではなく、料金問合せの操作が操作部208に行なわれたときや、定期的に通信料金の問合せを行なうようにしてもよい。あるいは、データ通信端末は、ハンドオーバーを検知するなど、携帯電話送受信部208における無線測定結果に応じて通信料金の問合せを行なうようにしてもよい。
【0118】
料金予測サーバー41の料金予測部304は、データ通信端末からの問合せを受け取ると、ユーザーAのデータ通信端末の過去の位置情報や通信履歴などの行動履歴をユーザー行動パターン・データベース303から取り出し、これを解析して、ユーザーAの行動を予測する(S1221)。さらに料金予測サーバー41の料金予測部304は、通過すると推定された基地局のネットワーク負荷情報をネットワーク負荷データベース302から取り出し、これを解析して、ユーザーが通過する際に、予定のデータをダウンロードするためのネットワーク負荷を推定する(S1222)。そして、料金予測サーバー41の料金予測部304は、推定したネットワーク負荷からユーザーAの通信路毎の現在の通信料金並びに今後の通信料金を推定して、ユーザーAのデータ通信端末に通知する。
【0119】
ユーザーAのデータ通信端末は、料金予測サーバー41から通知された通信料金の情報をディスプレイ212に画面表示する(S1202)。画面の構成例は、図7〜図9を参照しながら既に説明した通りである。
【0120】
ここで、コンテンツをダウンロードする通信アプリケーションを起動する起動条件がデータ通信端末でまだ設定されていないときには(S1203のNo)、図7〜図9に示したような起動条件の設定画面をディスプレイ212に表示して、ユーザーAに通信アプリケーションの起動条件の選択を行なわせる(S1204)。S1204の起動条件の選択は、料金予測サーバー41から通知された通信料金が、記憶部204に記憶されている料金閾値を超える場合にのみ行なうようにしてもよい。あるいは、ユーザーAに起動条件を選択させるのではなく、データ通信端末の記憶部204に起動条件があらかじめ記憶されているのでもよい。
【0121】
そして、データ通信端末は、設定されている起動条件をチェックする(S1205)。起動条件として、「設定時刻に起動」が設定されているときには(S1207)、設定時刻が到来するまで、通信アプリケーションの起動を待機する(S1209のNo)。
【0122】
また、起動条件として、「料金ランクがR2以下で起動」が設定されているときには(S1208)、タイムアウトするまでの間(S1210のNo)、料金予測サーバー41への通信料金の問合せを繰り返し、通知された通信料金のランクがR2以下になるまで、通信アプリケーションの起動を待機する(S1211のNo)。なお、料金ランクがR2以下になる前に(S1211のNo)、タイムアウトしてしまうと(S1210のYes)、データ通信端末は、本処理ルーチンを終了する。
【0123】
この通信シーケンス例では、現在最も通信料金が安い通信路を選択するものとする。したがって、起動条件として、「直ちに起動」が設定されている(S1206)、設定時刻が到来したとき(S1209のYes)、又は、料金ランクがR2以下になったときには(S1211のYes)、現在位置登録している基地局の通信路が最も通信料金が安いか、言い換えれば、通信路を変更すべきか否かをチェックする(S1212)。例えば、現在は基地局Aに位置登録しているが、基地局Bを経由した通信路の通信料金方が安いときには(S1212のYes)、データ通信端末は、基地局Aに位置登録の解除を要求して位置登録を解除した後、基地局Bに位置登録要求して位置登録を行ない、通信路の変更を行なう。
【0124】
データ通信端末は、設定された起動条件を満たし、通信アプリケーションを起動すると(S1213)、コンテンツ・サーバーに対してダウンロード要求処理を行ない、該当するデータのダウンロードを行なう。そして、データのダウンロードが完了すると、データ通信端末は、所定の終了処理を行なってから、通信アプリケーションを終了する(S1214)。
【0125】
料金情報を他のデータ通信端末に転送し、他のデータ通信端末から通信アプリケーション起動条件を選択することで、MTC端末などの表示機能を持たないデータ通信端末でも通信料金を通信アプリケーションの起動条件とすることが可能である(前述)。図13には、表示機能を持たないデータ通信端末が制御用ホストに対してデータをアップロードする通信アプリケーションを起動するときの、データ通信端末、料金予測サーバー、制御用ホスト間で実行される通信シーケンス例を示している。同図では、ユーザーAのデータ通信端末が通信事業者A(基地局A)及び通信事業者B(基地局B)の両方の通信路に対応していることを想定している。
【0126】
データ通信端末は、制御用ホスト(他のデータ通信端末など)から通信アプリケーションの起動要求を受信するなどして、通信アプリケーションの起動が指示されると(S1301)、現在の位置あるいは位置登録している基地局を特定する情報(基地局IDなど)を料金予測サーバー41に通知して、通信料金を問い合わせる。
【0127】
データ通信端末は、通信アプリケーションの起動が指示されたときではなく、定期的に通信料金の問合せを行なうようにしてもよい。あるいは、データ通信端末は、ハンドオーバーを検知するなど、携帯電話送受信部208における無線測定結果に応じて通信料金の問合せを行なうようにしてもよい。
【0128】
なお、通信アプリケーションの起動要求に、起動条件が付加されているときには、データ通信端末はこれを記憶部204に保持しておく。あるいは、制御用ホストから事前に起動条件が送信されることもあり、データ通信端末は、同様に、受信した起動条件を記憶部204に保持しておく。あるいは、制御用ホストから起動条件を送信するのではなく、データ通信端末の記憶部204に起動条件があらかじめ記憶されているのでもよい。いずれにせよ、データ通信端末は、ユーザー・インターフェースなしに、通信アプリケーションの起動条件を自分に設定することができる。
【0129】
料金予測サーバー41は、データ通信端末からの問合せを受信すると、現在位置登録している基地局のネットワーク負荷情報をネットワーク負荷データベース302から取り出し、これを解析して、予定のデータをアップロードするためのネットワーク負荷を推定し、推定したネットワーク負荷から通信路毎の現在の通信料金並びに今後の通信料金を推定して、データ通信端末に通知する。
【0130】
そして、データ通信端末は、記憶部204から、通信アプリケーションの起動条件を読み込むと(S1302)、設定されている起動条件をチェックする(S1303)。
【0131】
起動条件として、「設定時刻に起動」が設定されているときには(S1305)、設定時刻が到来するまで、通信アプリケーションの起動を待機する(S1307のNo)。
【0132】
また、起動条件として、「料金ランクがR2以下で起動」が設定されているときには(S1306)、タイムアウトするまでの間(S1308のNo)、料金予測サーバー41への通信料金の問合せを繰り返し、通知された通信料金のランクがR2以下になるまで、通信アプリケーションの起動を待機する(S1309のNo)。なお、料金ランクがR2以下になる前に(S1309のNo)、タイムアウトしてしまうと(S1308のYes)、データ通信端末は、本処理ルーチンを終了する。
【0133】
この通信シーケンス例では、現在最も通信料金が安い通信路を選択するものとする。したがって、起動条件として、「直ちに起動」が設定されている(S1304)、設定時刻が到来したとき(S1307のYes)、又は、料金ランクがR2以下になったときには(S1309のYes)、現在位置登録している基地局の通信路が最も通信料金が安いか、言い換えれば、通信路を変更すべきか否かをチェックする(S1310)。例えば、現在は基地局Aに位置登録しているが、基地局Bを経由した通信路の通信料金方が安いときには(S1310のYes)、データ通信端末は、基地局Aに位置登録の解除を要求して位置登録を解除した後、基地局Bに位置登録要求して位置登録を行ない、通信路の変更を行なう。
【0134】
データ通信端末は、設定された起動条件を満たし、通信アプリケーションを起動すると(S1311)、制御用ホストに対してアップロード要求処理を行ない、該当するデータの制御用ホストへのアップロードを行なう。そして、データのアップロードが完了すると、データ通信端末は、所定の終了処理を行なってから、通信アプリケーションを終了する(S1312)。
【0135】
ここで、データ通信端末として、監視用カメラ機能を持った端末を想定して、図13に示した通信シーケンスについて説明する。
【0136】
データ通信端末は、図2に示した構成要素の他にカメラを備えているものとする。そして、データ通信端末は、制御用ホストから要求があったときに、定期的に撮影して記憶部204に保存してあるカメラ映像を制御用ホストにアップロードする、という通信アプリケーションを実装している。また、この通信アプリケーションの起動条件として、「5割引(料金ランクR2)以下で起動する」という条件があらかじめ制御用ホストから指定されて、記憶部204に記憶してある。また、現在のデータ通信端末は、通信事業者Aの基地局Aに位置登録しているものとする。
【0137】
制御用ホストが、データ通信端末に、通信アプリケーションの起動要求を送信する。データ通信端末は、この起動要求に応答して、料金予測サーバー41に料金を問い合わせ、料金予測サーバー41から料金通知を受け取る。
【0138】
さらにデータ通信端末は、記憶部204から通信アプリケーションの起動条件を読み出すと、その起動条件に従って通信アプリケーションを起動する。この場合には、データ通信端末は指定の料金条件(料金ランクがR2以下となること)になるまで定期的に料金予測サーバー41に料金を問い合わせる。
【0139】
ここで、通信事業者Bの運用する基地局Bの通信路を通過する際に料金ランクが先にR2になった場合には、データ通信端末は、通信事業者Aの基地局Aの位置登録を解除してから、通信事業者Bの基地局Bに位置登録する。
【0140】
そして、データ通信端末は、通信アプリケーションを起動して、カメラ映像データを制御用ホストにアップロードすると、通信アプリケーションを終了する。
【0141】
図1に示した通信ネットワークでは、料金予測サーバー41が、データ通信端末に、時間、場所、通信路によって変化する各通信路のデータ通信料金と通信料金の予測値を通知するようになっている。したがって、データ通信端末又はそのユーザーは、通信アプリケーションを起動する条件を複数の選択肢から選び、最適な料金となる起動条件及び通信路を選択することができる。また、複数のデータ通信端末が選択する通信路が分散することから、通信事業者は、トラヒックの負荷分散を期待することができる。
【0142】
図11〜図13にも示したように、ネットワークからデータ通信端末に、現在の通信料金や通信料金の時間推移の予想値を通知するようになっている。したがって、データ通信端末側では、通信料金が安いときに通信サービスを起動することが可能となる。データ通信端末が複数の通信路を選択可能な場合には、通信路毎に現在の通信料金と通信料金の時間推移予想値を表示するので、データ通信端末が通信料金の安い通信路を選択して、通信料金を抑えることができる。
【0143】
また、通信事業者は、ネットワーク負荷に応じた通信料金をリアルタイムに設定することにより、ラヒックの負荷分散を期待することができる。ネットワークの混雑による通信品質の低下を避けることが可能になることから、通信事業者は、過剰な設備投資を避けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0144】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳細に説明してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
【0145】
本明細書では、携帯データ通信ネットワークに適用した実施形態を中心に説明したが、本発明の要旨はこれに限定されるものではなく、さまざまなタイプの無線ネットワークからなる通信システムに対して同様に適用することができる。
【0146】
要するに、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【符号の説明】
【0147】
10…データ通信端末
11〜14…基地局
20、30…コア・ネットワーク
21、31…基地局制御装置
22、32…パケット・アクセス制御ノード
23、33…パケット・ゲートウェイ・ノード
24、34…ホーム・ロケーション・レジスター(HLR)
40…インターネット
41…料金予測サーバー
201…CPU
202…ROM
203…RAM
204…記憶部
205…GPS受信部
206…携帯電話送受信部
207…バス
208…操作部
209…音声入出力制御部
210…マイクロフォン
211…スピーカー
212…ディスプレイ
301…通信部
302…ネットワーク負荷データベース
303…ユーザー行動パターン・データベース
304…料金予測部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信部と、
前記通信部を通じて各基地局のネットワーク負荷情報を収集して保持するネットワーク負荷情報管理部と、
前記通信部を通じてユーザーのデータ通信端末の位置情報を収集して保持するユーザー行動履歴管理部と、
前記ユーザー行動履歴管理部に保持されているデータ通信端末の過去の位置情報に基づいて、データ通信端末の今後の移動経路を推定するとともに、前記ネットワーク負荷情報管理部に保持されている各基地局のネットワーク負荷情報に基づいて、データ通信端末が前記の推定された移動経路上の基地局を通過する際のネットワーク負荷状態を推定し、前記の推定された基地局のネットワーク負荷状態に基づいて、現在データ通信端末が位置登録している基地局のネットワーク負荷状態に応じた通信料金と、前記の推定された移動経路上の基地局のネットワーク負荷状態に応じた通信料金を予測する料金予測部と、
を具備し、
現在の通信料金及び通信料金の予測値を、前記通信部を通じてデータ通信端末に通知する、
通信料金予測装置。
【請求項2】
無線通信を行なう通信部と、
現在位置の情報を取得する位置情報取得部と、
各種の処理を実行する制御部と、
ネットワークを使用して通信を行なう通信アプリケーションの起動条件を設定する起動条件設定手段と、
を具備し、
前記位置情報取得部が取得した位置情報の通知と、ネットワークを使用する際の通信料金の問合せを、前記通信部を通じて行ない、
前記の設定された起動条件を満たすときに、前記制御部が前記通信アプリケーションを起動して、ネットワークを使用して通信を行なう、
通信装置。
【請求項3】
表示部をさらに備え、
問合せにより受け取った通信料金を前記表示部に表示するとともに、前記通信アプリケーションの起動条件を選択する画面を前記表示部に表示し、
前記起動条件設定手段は、前記画面を通じて選択された起動条件を設定し、
問合せにより受け取った通信料金が前記の設定された起動条件を満たすときに、前記制御部が前記通信アプリケーションを起動して、ネットワークを使用して通信を行なう、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記起動条件設定手段は、前記通信部を通じて他のホストから受け取った指示に従って前記通信アプリケーションの起動条件を設定し、又は、あらかじめ記憶している起動条件を設定し、
現在の通信料金が前記の設定された起動条件を満たすときに、前記制御部が前記通信アプリケーションを起動して、ネットワークを使用して通信を行なう、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項5】
ユーザーの操作を受け取る操作部をさらに備え、
前記操作部を通じて前記通信アプリケーションの起動が指示されたことに応じて、通信料金の問合せを行なう、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項6】
前記他のホストから前記通信部を通じて前記通信アプリケーションの起動が指示されたことに応じて、通信料金の問合せを行なう、
請求項4に記載の通信装置。
【請求項7】
定期的に通信料金の問合せを行なう、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項8】
ユーザーの操作を受け取る操作部をさらに備え、
前記操作部を通じて通信料金の問合せが指示されたことに応じて、通信料金の問合せを行なう、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項9】
前記通信部における無線測定結果に応じて、通信料金の問合せを行なう、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項10】
ユーザーの操作を受け取る操作部をさらに備え、
前記起動条件設定手段は、前記操作部を通じて前記通信アプリケーションの起動が指示されたことに応じて、起動条件の設定を行なう、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項11】
前記起動条件設定手段は、所定の記憶部にあらかじめ記憶されている情報に基づいて起動条件を設定する、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項12】
通信料金の閾値をあらかじめ記憶する記憶部をさらに備え、
前記起動条件設定手段は、問合せにより受け取った通信料金が前記閾値を超えるときに、ユーザーに起動条件の選択を促す、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項13】
起動条件設定手段は、無条件で直ちに通信アプリケーションを起動する、通信アプリケーションの起動を許可する通信料金の範囲、通信アプリケーションを起動させる時刻、のうち少なくとも1つを起動条件として設定することができる、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項14】
前記通信アプリケーションを起動してデータ通信を行なう相手に関する情報を通知して、通信料金の問合せを行なう、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項15】
ユーザーの移動目的地を通知して、通信料金の問合せを行なう、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項16】
前記通信部は、複数の通信事業者が運用する各通信路に対応し、
ネットワークを使用する際の通信路毎の通信料金の問合せを、前記通信部を通じて行ない、
問合せにより受け取った各通信路の通信料金のうち少なくとも1つが前記の設定された起動条件を満たすときに、前記制御部が前記通信アプリケーションを起動して、当該通信路を使用して通信を行なう、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項17】
ネットワーク負荷の傾向予測から通信料金を予測する料金予測サーバーと、
ネットワークを使用して通信を行なう通信アプリケーションを起動して、データ通信を行なうデータ通信端末と、
を具備し、
前記データ通信端末は、前記通信アプリケーションの起動条件を設定するとともに、前記料金予測サーバーが予測した通信料金を受け取り、通信料金が起動条件を満たすときに、前記制御部が前記通信アプリケーションを起動する、
通信システム。
【請求項18】
所定の標準的なネットワーク負荷状態のときの通信料金を標準通信料金に設定し、前記標準的なネットワーク負荷状態よりも高いネットワーク負荷状態のときには該ネットワーク負荷状態に応じて前記標準通過料金より割増とし、前記標準的なネットワーク負荷状態よりも低いネットワーク負荷状態のときには該ネットワーク負荷状態に応じて前記標準通過料金より割引として、ネットワークを使用して通信を行なうデータ通信端末に対する単位データ当たりの通信料金を課金する課金方法。
【請求項19】
基地局へのデータ通信端末の収容数を基地局の最大収容数で割った値に基づいてネットワーク負荷状態を検出する、
請求項18に記載の課金方法。


【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図1】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−151803(P2012−151803A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10851(P2011−10851)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】