説明

通信装置、情報記憶方法、及び、情報記憶プログラム

【課題】 接続先情報の記憶処理と画像情報の記憶処理とを並行的に行うことができ、手間を軽減して効率の改善を図る。
【解決手段】 人物Aの顔を含む上半身と携帯電話機1Aの所定面とがカメラの撮影画角内に充分に収まるようにカメラの構図を調整すると、携帯電話機1Aからのデータ受信終了を判定し(ステップS23)、データ受信終了を判定すると、次に、携帯電話機1Bの撮影構図内の画像(人物Aの上半身像と光信号)を静止画撮影する(ステップS28)。そして、受信されたデータに接続先を示す情報であるアドレス帳データが含まれているか否かを判定し(ステップS29)、アドレス帳データが含まれる場合は、新規レコードを追加し、その新規レコードに、受信したアドレス帳データと上記画像ファイルの保存先アドレスとを記憶させる(ステップS31)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、情報記憶方法、及び、情報記憶プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に商取引等においては、初対面の相手と名刺(電話番号等の連絡先を含め、自己を紹介するための様々な情報を記した小型の紙札)を交換する習わしになっているが、紙媒体による名刺は管理が面倒であることなどから、紙を用いることなく名刺情報を赤外線データ等で送受信して交換することができる、いわゆる電子名刺の技術が一部で普及しつつある。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、赤外線通信や無線通信あるいは有線通信等の名刺情報送受信手段を備えたカード型の電子名刺装置(同文献中では電子名刺Pと表記)が開示されている(以下、従来技術という)。これによれば、電子名刺Pを所持した者同士の間で、名刺情報送受信手段を介し、赤外線通信や無線通信あるいは有線通信等により、相互に名刺情報を交換することができるので、紙媒体の名刺のように、受け取り後に名刺情報を記憶させるなどといった作業が不要となり、管理の面倒さをなくすことができる。
【0004】
【特許文献1】特開2001−229351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来技術にあっては、紙媒体による名刺を用いることなく、名刺情報を相互に交換して記憶させることができる点で優れているものの、次の点で未だ改善すべき余地がある。
【0006】
前記のとおり、名刺とは、「自己を紹介するための様々な情報を記した小型の紙札」のことをいう。このうち、自己を紹介するための様々な情報は、一般的に名前や所属組織(会社名等)、住所、電話番号、電子メールアドレスなどの、いわゆる文字情報であるが、昨今、これらの文字情報に加えて、顔写真等の画像情報も名刺情報として扱われる傾向にある。これは、文字情報だけではなかなか相手の記憶に残らないからであり、とりわけ、商取引の現場においては、まずは顔を覚えてもらうのが先決だからである。
【0007】
さて、上記の従来技術では、特に顔写真の記憶については特段言及されていないものの、例えば、カメラ付き携帯電話機の普及を考慮すると、このカメラ付き携帯電話機に、従来技術の電子名刺Pの機能を組み込むことが充分に考えられる。このようにした場合、(1)カメラ付き携帯電話機の電子名刺Pの機能を利用して、相手の名刺情報(この場合は、名前等の文字情報)を記憶させることができ、また、(2)その携帯電話機のカメラ機能を利用して、相手の顔写真を撮影し、相手の名刺情報に関連付けして記憶させることができるようになる。
【0008】
しかしながら、この方法は、名刺情報のうちの文字情報を記憶させる動作(1)と画像情報を記憶させる動作(2)とを別々に行っているため、手間がかかり、効率的でないという欠点がある。
【0009】
そこで、本発明は、接続先情報の記憶処理と画像情報の記憶処理とを並行的に行うことができ、手間を軽減して効率の改善を図ることができる通信装置、情報記憶方法、及び、情報記憶プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、第1の観点に係る請求項1記載の発明は、接続先を示す情報に基づいて外部と通信を行う通信装置において、撮像手段と、この撮像手段によって連続的に撮像された撮像領域に含まれる、所定の輝度領域の時系列的な輝度変化から、輝度変調された情報を復調する復調手段と、この復調手段によって復調された情報に接続先を示す情報が含まれているか否かを判断する第1の判断手段と、この第1の判断手段により接続先を示す情報が含まれていると判断すると、この接続先を示す情報を記憶する連絡先情報記憶手段と、前記撮像手段によって撮像された画像を前記接続先を示す情報と対応付けて記憶する画像記憶手段とを備えたことを特徴とする。
また、請求項2記載の発明は、上記請求項1の発明において、データ転送を優先する第1のモードと解像度を優先する第2のモードとを切り替えるモード切替手段と、前記復調手段により情報を復調する場合は前記モード切替手段により前記第1のモードに切り替えて前記撮像手段を駆動させるよう制御する一方、前記画像記憶手段に画像を記憶させる場合は前記モード切替手段により前記第2のモードに切り替えて前記撮像手段を駆動させるよう制御する撮像制御手段とを更に備えたことを特徴とする。
また、請求項3記載の発明は、上記請求項1又は2記載の発明において、前記復調手段によって復調された情報に、当該情報に対応付けて画像の記憶を指定する指定情報が含まれているか否かを判断する第2の判断手段を更に備え、前記画像記憶手段は、この第2の判断手段により画像の記憶を指定する指定情報が含まれていると判断した場合に、前記撮像手段によって撮像された画像を前記接続先を示す情報と対応付けて記憶することを特徴とする。
上記課題を解決するため、第2の観点に係る請求項4記載の発明は、撮像ステップと、この撮像ステップにて連続的に撮像された撮像領域に含まれる、所定の輝度領域の時系列的な輝度変化から、輝度変調された情報を復調する復調ステップと、この復調ステップにて復調された情報に接続先を示す情報が含まれているか否かを判断する第1の判断ステップと、この第1の判断ステップにて接続先を示す情報が含まれていると判断すると、この接続先を示す情報をメモリに記憶させる連絡先情報記憶ステップと、前記撮像ステップにて撮像された画像を前記接続先を示す情報と対応付けてメモリに記憶させる画像記憶ステップとからなることを特徴とする。
上記課題を解決するため、第2の観点に係る請求項5記載の発明は、コンピュータを、撮像手段、この撮像手段によって連続的に撮像された撮像領域に含まれる、所定の輝度領域の時系列的な輝度変化から、輝度変調された情報を復調する復調手段、この復調手段によって復調された情報に接続先を示す情報が含まれているか否かを判断する第1の判断手段、この第1の判断手段により接続先を示す情報が含まれていると判断すると、この接続先を示す情報を記憶する連絡先情報記憶手段、前記撮像手段によって撮像された画像を前記接続先を示す情報と対応付けて記憶する画像記憶手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、連続的に撮像された撮像領域に含まれる、所定の輝度領域の時系列的な輝度変化から、輝度変調された情報を復調し、この復調された情報に接続先を示す情報が含まれているか否かを判断する。そして、接続先を示す情報が含まれていると判断すると、この接続先を示す情報を記憶するとともに、撮像された画像をこの接続先を示す情報と対応付けて記憶するので、接続先情報の記憶処理と画像情報の記憶処理とを並行的に行うことができ、手間を軽減して効率の改善を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、携帯電話機への適用を例にして、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明における様々な細部の特定ないし実例および数値や文字列その他の記号の例示は、本発明の思想を明瞭にするための、あくまでも参考であって、それらのすべてまたは一部によって本発明の思想が限定されないことは明らかである。また、周知の手法、周知の手順、周知のアーキテクチャおよび周知の回路構成等(以下「周知事項」)についてはその細部にわたる説明を避けるが、これも説明を簡潔にするためであって、これら周知事項のすべてまたは一部を意図的に排除するものではない。かかる周知事項は本発明の出願時点で当業者の知り得るところであるので、以下の説明に当然含まれている。
【0013】
図1は、実施形態における利用状態図である。この図において、人物A、Bは、いずれもカメラ付きの携帯電話機1、1を所持している。ここでは、人物Aがアドレス帳データの送信側、人物Bがそのアドレス帳データの受信・記憶側とし、また、人物Aが所持する携帯電話機1を特に符号1Aで識別するとともに、人物Bが所持する携帯電話機1を特に符号1Bで識別することにする。
【0014】
図示の携帯電話機1(1A、1B)は、通常のカメラ付き携帯電話機の基本的な機能、すなわち、接続先情報として電話番号を利用し、加入電話機や携帯電話機等との間で音声による相互通話を行う「電話機能」、接続先情報として電子メールのメールアドレスを利用し、加入電話機や携帯電話機等との間で電子メールによるデータ交換を行う「電子メール機能」、及び、被写体の画像を撮影してその画像を電子的に記録して、例えばアドレス帳データに対応付けて記憶する、いわゆる「電子カメラ機能」などを有するものである。
【0015】
更に、携帯電話機1(1A、1B)を使用して人物Aと人物Bの間では、以下の行程でアドレス帳データの送受信を行うことができるものとする。
【0016】
まず、アドレス帳データの提供者である人物Aは、自己が所有する携帯電話機1Aの所定面(後述の発光部4が設けられている面)を前面にして顔の横で構える。一方、人物Bは、自己が所有する携帯電話機1Bの所定面(後述の撮影レンズ3が設けられている面)を前面にして構え、少なくとも、人物Aの顔を含む上半身と携帯電話機1Aの所定面とがカメラの撮影画角内に充分に収まるようにカメラの構図を調整する。このような撮像処理により、人物Aのアドレス帳データ(接続先情報)と人物Aの顔写真とを携帯電話機1Bに記憶させる。
【0017】
詳細は後述するが、携帯電話機1Aは、自己のアドレス帳データ(電話番号やメールアドレス等の接続先情報を含むデータ)を変調し、携帯電話機1Aの発光部を、この変調に基づく時系列的な輝度変化を伴って発光させることができるようになっており、また、一方の携帯電話機1Bは、電子カメラ機能を利用して、その輝度変化を含む画像を毎秒数十フレームの周期で時系列的に撮像し、そのフレーム画像に含まれる発光部の輝度変化からアドレス帳データへ復調し、アドレス帳に記憶させると共に、同電子カメラ機能を利用し、人物Aの顔写真を静止画で撮影して、その画像ファイルを当該アドレス帳データと対応付けてアドレス帳に記憶することができるようになっており、かくして、人物Aのアドレス帳データ(名前や所属組織名、住所、電話番号、電子メールアドレスなどの文字情報)と顔写真とを、人物Bが所持する携帯電話機1Bに関連付けして記憶させることができる仕組みになっている。
【0018】
なお、ここでは、携帯電話機1Aから携帯電話機1Bへのアドレス帳データの送信を輝度変化で行うこととしているが、これは、ワイヤレスによる情報転送の一例を示しているに過ぎない。ワイヤレスであればよく、例えば、赤外線によるもの、あるいは、無線電波によるものであっても構わない。
【0019】
図2は、実施形態における、携帯電話機1の一例外観図である。この図において、携帯電話機1は、例えば、折りたたみ式のボディ2を有しており、(a)はボディ2を閉じた状態、(b)はボディ2を開いた状態を示している。なお、アドレス帳データを送信するときは、ボディ2を閉じた状態(a)で使用し、アドレス帳データを受信・記憶するときは、ボディ2を開いた状態(b)で使用する。
【0020】
ボディ2は、蓋部2aと本体部2bとからなり、これらの蓋部2aと本体部2bはヒンジ部2cによって折り畳み可能に連結されている。蓋部2aの表面(折り畳み状態で露出する面)には撮影レンズ3と、LEDからなる発光部4及びサブ表示部5が設けられている。蓋部2aの裏面(折り畳み状態で隠れる面)にはメイン表示部6と拡声穴7が設けられており、拡声穴7の裏にスピーカ8が収められている。本体部2bの前面(折り畳み状態で隠れる面)には様々なスイッチ(電源スイッチ、オンフックキー、オフフックキー、カーソル移動キー、各種機能キー、0〜9までのテンキー、*や#の記号キー等)からなる操作子9と送話穴10が設けられており、送話穴10の裏にマイク11が収められている。
【0021】
図3は、実施形態における携帯電話機1の内部ブロック図である。この図において、携帯電話機1は、CPU12、メッセージメモリ13、変調・光源駆動部14、発光部4、表示部15(サブ表示部5及びメイン表示部6)、送受話部16(スピーカ8及びマイク11)、ユーザメモリ17、撮像画像メモリ18、撮像部19、情報光捕捉及び情報復号部20、メッセージ/座標リストメモリ21、操作子9、通信アンテナ22、通信処理部23を備えている。
【0022】
CPU12は、携帯電話機1の全体動作を統括制御する。変調・光源駆動部14は、CPU12の制御に従って発光部4を輝度変化を伴わせて駆動し、その輝度変化パターンによって所要のデータを光で送信する。この光によるデータの送信には、例えば、送信対象のデータを論理0と論理1からなる二値データとした場合、論理0に一の輝度変化パターン系列を割当て、論理1に二の輝度変化パターン系列を割当てるようにしてもよい。これら二つの輝度変化パターン系列は、同一の周期であって、且つ、自然界に存在しない(又は存在確率が低い)互いに異なるパターン系列を持つものとすることができる。
【0023】
携帯電話機1をアドレス帳データを送信する側として用いる場合、変調・光源駆動部14は、CPU12から送られてくる接続先情報、すなわち、携帯電話機1の所有者のアスドレ帳データ(名前や所属組織名、住所、電話番号、電子メールアドレスなどの文字情報;図4の自アドレス帳データレコード171aに記憶されている文字情報)に従って発光部4を輝度変化を伴わせて駆動し、その輝度変化パターンによって、当該アドレス帳データを光で送信する。
【0024】
ユーザメモリ17は、アドレス帳領域171、画像保存領域172、及び、その他ファイル保存領域173とからなる、不揮発性の記憶装置(例えば、フラッシュメモリ等の半導体メモリ)である。アドレス帳領域171は、携帯電話機1の所有者のアドレス帳データを記憶すると共に、必要に応じて記憶されている他者のアドレス帳データを多数記憶するための領域である。画像保存領域172は、撮像部19を駆動させることにより取得した画像ファイルや、後述する通信アンテナ22、通信処理部23を介して外部から受信した画像ファイルを保存先アドレスを付加して保存するための領域である。その他ファイル保存領域173は、携帯電話機1自身が操作されることにより作成されたファイルや、通信アンテナ22、通信処理部23を駆動させて外部のサーバにアクセスすることにより取得したファイルを保存するための領域である。
【0025】
図4は、アドレス帳領域171の概念構造図である。この図において、アドレス帳領域171は、一つの自アドレス帳データレコード171aと、多数の他アドレス帳データレコード171b、171c、171d、171e、171f・・・・とからなり、自アドレス帳データレコード171aには、少なくとも携帯電話機1を呼び出すための電話番号や、メールアドレスを含む所有者のアドレス帳データが記憶され、他アドレス帳データレコード171b、171c、171d、171e、171f・・・・には、それぞれ必要に応じて電話番号や、メールアドレスを含む他者のアドレス帳データが記憶されるようになっている。ここで、自アドレス帳データレコード171aと他アドレス帳データレコード171b、171c、171d、171e、171f・・・・の全てには、名前や所属組織名、住所、電話番号、電子メールアドレスなどの文字情報格納フィールド171gが確保されているが、他アドレス帳データレコード171b、171c、171d、171e、171f・・・・については、この文字情報格納フィールド171gに加えて、さらに、画像保存領域172における顔写真等の画像ファイルの保存先を示すアドレス格納フィールド171iが確保されている。
【0026】
表示部15は、サブ表示部5とメイン表示部6とを含む。サブ表示部5は、携帯電話機1の待ち受け画面等を表示し、メイン表示部6は、この携帯電話機1を電話機として用いる場合に着信画面や呼び出し画面を表示し、又は、この携帯電話機1を電子カメラとして用いる場合に撮影構図調整のための電子ファインダー画面、撮影済み画像の再生画面を表示する。あるいは、この携帯電話機1をアドレス帳データの送受信に用いるための選択メニュー画面を表示し、また、受信したアドレス帳データの再生確認画面を表示する他、必要に応じて初期設定等の設定画面を表示する。
【0027】
操作子9は、携帯電話機1の電源をオンオフしたり、ダイヤリングしたりするための各種キーを備え、また、この携帯電話機1を電子カメラとして用いたり、アドレス帳データを送受信する際の機能選択キーを備える他、電子カメラのシャッターキーなどを備える。
【0028】
送受話部16は、携帯電話機1を電話機として用いる際の拡声器(スピーカ8)と集音器(マイク11)を備える。なお、拡声器(スピーカ8)は、この用途の他にシャッターレリーズ音や各種の警告音の拡声にも用いられる。
【0029】
撮像部19は、CCDやCMOSなどからなる二次元イメージセンサである。この撮影部19は、毎秒数十フレームの周期で高解像度の画像(例えば、特に限定しないが1024×768ドットのXGA規格の画像)を生成出力することができるものである。撮像画像メモリ18は、撮像部19で生成出力された画像を一時的に記憶する、いわゆる画像バッファであり、バッファ1面当たり、少なくとも、撮影部19から出力される画像1枚を支障なく格納できる容量を有している。
【0030】
情報光捕捉及び情報復号部20は、撮像部19で生成出力された毎秒数十フレームの周期的な画像を信号捕捉用フレームバッファ20a、20b、20c、20d・・・・に順次に取り込み、それらの画像に基づいて、送信側の携帯電話機1Aから光の輝度変化パターンで送信されたアドレス帳データを再生して復元する。例えば、送信側の輝度変化光が、論理0を一の輝度変化パターン系列とし、論理1を二の輝度変化パターン系列として変調されたものであった場合は、一の輝度変化パターン系列を検出したときにそのパターンを論理0に置き換え、二の輝度変化パターン系列を検出したときにそのパターンを論理1に置き換えることにより、携帯電話機1Aで光変調されたアドレス帳データ、つまり、人物Aの名前や所属組織名、住所、電話番号、電子メールアドレスなどの文字情報の再生・復元を行う。
【0031】
なお、信号捕捉用フレームバッファ20a、20b、20c、20d・・・・のバッファ1面当たりの容量は、撮像画像メモリ18の同容量よりも少なくてよい。これは、光源捕捉のための必要最低限の解像度は、例えば、160×120ドット程度であるからである。ちなみに、160×160ドットの画像は、例えば、撮影部19の部分読み出しや、ハードウェアローパスフィルタ付きの飛越し読み出しなどによって得ることができる。加えて、このような部分読み出しや飛び越し読み出しを行うことにより、携帯電話機1Aと携帯電話機1Bとの間のデータ転送レートを高めることができるから好ましい。本実施形態における撮像部19は、画質優先であり、且つ、肌色を強調する色補正を行うポートレート撮影モードとデータ転送優先の信号受信モードとを切り替えることができるようになっているものとする。
【0032】
メッセージメモリ13は、送信用のメッセージデータ(自アドレス帳データ)を一時的に記憶し、メッセージ/座標リストメモリ21は、再生・復元された受信データと座標情報を記憶する。通信アンテナ22は、後述の通信処理部23により変調された情報を、携帯電話機1が加入者端末として登録されている無線通信ネットワークの基地局(不図示)に放射する一方、この基地局を介して受信される着呼要求信号、音声信号、及び、パケットデータ等の自己宛てのデータを受信する。通信処理部23は、CPU12からの制御に基づいて駆動制御され、当該携帯電話機1を加入者端末として登録している無線通信サービス事業者が採用する無線通信方式、符号化/復号化方式にしたがって、アドレス帳領域171に記憶されている他者の電話番号やメールアドレスを変調して通信アンテナ22に出力することで、その他者と回線接続を行い音声通話処理を行ったり、電子メールの送信を行う一方、通信アンテナ22を介して受信されたデータが自アドレス帳データレコード171aに記憶されている電話番号である場合には、当該受信されたデータを携帯電話1に対する着呼要求と判断して回線接続処理を行い、受信されたデータが自アドレス帳データレコード171aに記憶されているメールアドレスである場合には、当該受信されたデータを携帯電話1に対するメール受信と判断して後続のパケットデータを受信する処理を行う。
【0033】
次に、作用を説明する。
図5は、送信側の携帯電話機1Aで実行されるフローチャートを示す図である。この図において、携帯電話機1Aの操作者(人物A)によってメニュー内の「自アドレス出力」が選択(ステップS11)されると、CPU12は、アドレス帳領域171の自アドレス帳データレコード171aのデータ(名前や所属組織名、住所、電話番号、電子メールアドレスなどの文字情報)を読み込み、メッセージデータを作成して、メッセージメモリ13に出力する(ステップS12)。このとき、携帯電話機1Aの操作者(人物A)は、その携帯電話機1Aの所定面(後述の発光部4が設けられている面)を前面にして顔の横で構える。
【0034】
次いで、CPU12は、メッセージメモリ13の記憶情報に従い、変調・光源駆動部14を制御して発光部4を輝度変化を伴って駆動する。これにより、メッセージメモリ13の記憶情報が発光部4からの光の輝度変化によって光送信される(ステップS13)。携帯電話機1Aの操作者(人物A)は、以上の動作を継続して実行し、撮影者(人物B)の撮影が完了すると、アドレス帳データの出力終了指示を実行する(ステップS14)。
【0035】
図6は、携帯電話機1Bで実行されるフローチャートを示す図である。この図において、携帯電話機1Bの操作者(人物B)によってメニュー内の「光メッセージ付き撮影」が選択(ステップS21)されると、CPU12は、撮像部19を信号受信モード(転送レート優先の低解像度撮影モード)にすると共に、情報光捕捉及び情報復号部20を起動する(ステップS22)。
【0036】
このとき、アドレス帳データの受信・記憶側である人物Bは、携帯電話機1Bの所定面(撮影レンズ3が設けられている面)を前面にして構え、少なくとも、人物Aの顔を含む上半身と携帯電話機1Aの所定面とがカメラの撮影画角内に充分に収まるようにカメラの構図を調整する。
【0037】
この間、CPU12は、携帯電話機1Aからのデータ受信終了を判定し(ステップS23)、データ受信未完了であれば、タイムアウトを判定し(ステップS24)、タイムアウトになると、何らかの原因によってデータを受信できなかった旨の警告メッセージ(例えば、“メッセージが見つかりません”)を表示(ステップS25)した後、ステップS1に復帰する。
【0038】
一方、データ受信終了を判定すると、次に、データ受信の終了音を出力(ステップS26)すると共に、撮像部19をデータ転送優先の信号受信モードから画質優先であり、且つ、肌色を強調する色補正を行うポートレート撮影モードに切り替え(ステップS27)、携帯電話機1Bの撮影構図内の画像(人物Aの上半身像と光信号)を静止画撮影する(ステップS28)。
【0039】
次に、CPU12は、先に受信されたデータに所定長の番号列や半角英数字と@マークやドットを組み合わせた文字列が存在するかにより、接続先を示す情報であるアドレス帳データが含まれているか否かを判定し(ステップS29)、受信データにアドレス帳データが含まれなていなかった場合は、受信データを合成した画像ファイルを生成し(ステップS33)、その合成画像ファイルをメイン表示部6に表示して、画像保存領域172に保存するが、アドレス帳データが含まれていた場合は、まず、その撮像された画像をファイル化して画像保存領域172に保存してその保存先保存先アドレスを取得する(ステップS30)。そして、アドレス帳領域171に新規レコードを追加し、その新規レコードに、受信したアドレス帳データと上記画像ファイルの保存先アドレスとを記憶させる(ステップS31)と共に、アドレス帳の該当ページ、及び保存した画像ファイルに基づく画像をメイン表示部6に表示する(ステップS32)。
【0040】
すなわち、新規レコードを、例えば、他アドレス帳データレコード171bとすれば、当該他アドレス帳データレコード171bの文字情報格納フィールド171gに受信したアドレス帳データ(人物Aの名前や所属組織名、住所、電話番号、電子メールアドレスなどの文字情報)を記憶させると共に、当該他アドレス帳データレコード171bの画像ファイル格納フィールド17iに、撮像され画像保存領域172に保存された人物Aの上半身像を画像ファイルの保存先アドレスを記憶させ、それらのデータをメイン表示部6に表示する。なお、表示される画像は、撮像部19で撮影されたXGA規格の画像を、例えば、120×90ドット程度に縮小したサムネイル画像とすることもできる。
【0041】
以上のとおりであるから、本実施形態によれば、携帯電話機1Aを所持する人物Aのアドレス帳データ及び顔写真を、人物Bが所持する携帯電話機1Bに簡単に記憶させることができる。
【0042】
なお、以上の実施形態では、常に“顔写真付き”のアドレス帳データを記憶させるようにしているが、状況によっては、顔写真が不要なケースもあり得る。次に説明する変形例は、この点に留意して、顔写真の記憶の可否を記憶される対象者が選択できるようにしたものである。
【0043】
図7は、携帯電話機1Aで実行されるフローチャートを示す図であり、前記の図5のフローチャートを改良したものである。
図8は、携帯電話機1Bで実行されるフローチャートを示す図であり、前記の図6のフローチャートを改良したものである。
【0044】
図7において、前記の図5のフローチャートとの相違は、ステップS12とステップS13の間で、画像撮影指定の有無を判定する処理(ステップS15)と、画像撮影指定ありのとき、メッセージメモリに「画像撮影指定フラグ」をセットする処理(ステップS16)とを実行する点にある。
【0045】
図8において、前記の図6のフローチャートとの相違は、ステップS26の後に、「受信データにアドレス帳データが含まれる?」の判定を行う処理(ステップS29)を実行し、その判定結果がYESの場合に、受信データ内に「画像撮影指定フラグ」がセットされているか否かを判定する処理(ステップS34)を実行する点にある。
【0046】
そして、この図8のフローチャートにおいては、画像撮影指定なしの場合(「画像撮影指定フラグ」がセットされていない場合)には、アドレス帳に受信データのみを記憶させ(ステップS35)、アドレス帳の該当ページのデータをメイン表示部6に表示する(ステップS32)一方、画像撮影指定ありの場合(「画像撮影指定フラグ」がセットされている場合)には、撮像部19をデータ転送優先の信号受信モードから画質優先であり、且つ、肌色を強調する色補正を行うポートレート撮影モードに切り替え(ステップS27)、画像撮影と撮影音を出力(ステップS28)した後、その撮像された画像をファイル化して画像保存領域172に保存してその保存先保存先アドレスを取得する(ステップS30)。そして、アドレス帳領域171に新規レコードを追加し、その新規レコードに、受信したアドレス帳データと上記画像ファイルの保存先アドレスとを記憶させる(ステップS31)と共に、アドレス帳の該当ページ、及び保存した画像ファイルに基づく画像をメイン表示部6に表示する(ステップS32)。
【0047】
このように、改良された図7及び図8のフローチャートによれば、携帯電話機1Aで「撮影画像の有無」、すなわち、顔写真の記憶の可否を任意に指定できるので、顔写真の不要なケースにも柔軟に対応することができるようになる。したがって、より使い勝手が良い通信装置、情報記憶方法、及び、情報記憶プログラムを提供することができる。
【0048】
なお、本発明は、以上の実施形態に限定されず、その技術思想内において様々な変形例や発展例を包含することはもちろんであり、例えば、以下のようにしてもよい。
【0049】
上記の実施形態では、アドレス帳データを送信するための専用の発光部4を備えているが、この発光部4は必ずしも専用である必要はなく、例えば、カメラ付き携帯電話機に既設の光源(例:ストロボ発光器やオートフォーカスのための測距用の赤外線発光器等)を利用してもよい。必要充分な光量とデータ転送に過不足のない応答性を有している光源であれば、その形態にかかわらず利用可能である。あるいは、例えば、サブ表示部5を光源にしてアドレス帳データを送信することも可能である。一般的に携帯電話機1のサブ表示部5は、バックライトを有する透過型の液晶表示パネルであり、そのバックライトを発光部4の代わりに(光源として)用いることができるからである。
【0050】
また、上記の実施形態では、カメラ付き携帯電話機への適用を例にしたが、これに限定されない。カメラ付きの携帯型電子機器であれば、如何なるものであっても構わない。例えば、携帯情報端末やデジタルカメラなどであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施形態における利用状態図である。
【図2】実施形態における携帯電話機1の一例外観図である。
【図3】実施形態における携帯電話機1の内部ブロック図である。
【図4】ユーザメモリ17の概念構造図である。
【図5】携帯電話機1Aで実行されるフローチャートを示す図である。
【図6】携帯電話機1Bで実行されるフローチャートを示す図である。
【図7】変形例における携帯電話機1Aで実行されるフローチャートを示す図である。
【図8】変形例における携帯電話機1Bで実行されるフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1A、1B 携帯電話機
4 発光部
12 CPU
171 アドレス帳領域
171h 画像ファイルの保存先アドレス
19 撮像部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続先を示す情報に基づいて外部と通信を行う通信装置において、
撮像手段と、
この撮像手段によって連続的に撮像された撮像領域に含まれる、所定の輝度領域の時系列的な輝度変化から、輝度変調された情報を復調する復調手段と、
この復調手段によって復調された情報に接続先を示す情報が含まれているか否かを判断する第1の判断手段と、
この第1の判断手段により接続先を示す情報が含まれていると判断すると、この接続先を示す情報を記憶する連絡先情報記憶手段と、
前記撮像手段によって撮像された画像を前記接続先を示す情報と対応付けて記憶する画像記憶手段と
を備えたことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
データ転送を優先する第1のモードと解像度を優先する第2のモードとを切り替えるモード切替手段と、
前記復調手段により情報を復調する場合は前記モード切替手段により前記第1のモードに切り替えて前記撮像手段を駆動させるよう制御する一方、前記画像記憶手段に画像を記憶させる場合は前記モード切替手段により前記第2のモードに切り替えて前記撮像手段を駆動させるよう制御する撮像制御手段と
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記復調手段によって復調された情報に、当該情報に対応付けて画像の記憶を指定する指定情報が含まれているか否かを判断する第2の判断手段を更に備え、
前記画像記憶手段は、この第2の判断手段により画像の記憶を指定する指定情報が含まれていると判断した場合に、前記撮像手段によって撮像された画像を前記接続先を示す情報と対応付けて記憶することを特徴とする請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
撮像ステップと、
この撮像ステップにて連続的に撮像された撮像領域に含まれる、所定の輝度領域の時系列的な輝度変化から、輝度変調された情報を復調する復調ステップと、
この復調ステップにて復調された情報に接続先を示す情報が含まれているか否かを判断する第1の判断ステップと、
この第1の判断ステップにて接続先を示す情報が含まれていると判断すると、この接続先を示す情報をメモリに記憶させる連絡先情報記憶ステップと、
前記撮像ステップにて撮像された画像を前記接続先を示す情報と対応付けてメモリに記憶させる画像記憶ステップと
からなることを特徴とする情報記憶方法。
【請求項5】
コンピュータを、
撮像手段、
この撮像手段によって連続的に撮像された撮像領域に含まれる、所定の輝度領域の時系列的な輝度変化から、輝度変調された情報を復調する復調手段、
この復調手段によって復調された情報に接続先を示す情報が含まれているか否かを判断する第1の判断手段、
この第1の判断手段により接続先を示す情報が含まれていると判断すると、この接続先を示す情報を記憶する連絡先情報記憶手段、
前記撮像手段によって撮像された画像を前記接続先を示す情報と対応付けて記憶する画像記憶手段
として機能させることを特徴とする情報記憶プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−35155(P2008−35155A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−205668(P2006−205668)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】