説明

通信装置

【課題】外部からの電力の供給に頼らずに、公衆交換電話網および携帯電話網の通信ケーブルが切断された地域と他の地域との間での電話回線を介した通信が半永久的に可能な通信装置を提供する。
【解決手段】直線翼垂直軸風車12が回転すると、発電機13から交流電力が出力される(風力発電)。発電機13からの交流電力は、風力用コントローラ22により、直流電力に変換される。一方、太陽電池パネル3が太陽光を受けると、太陽電池パネル3から直流電力が出力される(太陽光発電)。直流電力は、DC−ACインバータ25により、交流電力に変換される。DC−ACインバータ25から出力される交流電力は、衛星電話端末4の動作電力として使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話回線を使用して通信する通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地震などによる災害に伴い、被災地域の電話回線が不通になることがある。
【0003】
たとえば、被災地域で公衆交換電話網の通信ケーブルが切断されると、被災地域の固定電話回線が不通になる。
【0004】
また、被災地域で携帯電話網の基地局間を接続する通信ケーブルが切断されると、被災地域の携帯電話回線が不通になる。
【0005】
携帯電話回線は、停電が原因で不通になることもある。被災地域において、送電線が切断され、携帯電話網の基地局への電力の供給が途絶えると、その基地局と移動局との間で電波を送受信することができなくなる。その結果、被災地域の携帯電話回線が不通になる。これを回避するため、基地局には、非常用のバックアップ電源(バッテリ)が備えられている。しかし、バックアップ電源に蓄えられている電力は、1日程度で使い果たされるため、バックアップ電源のみでは、基地局を一時的に稼働させることができるにすぎない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−215906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
被災地域において、通信ケーブルおよび送電線が切断され、固定電話回線および携帯電話回線の両方が不通になる状況が想定されうる。しかしながら、現在のところ、そのような状況下の被災地域と他の地域との間での電話回線を使用した通信が長期にわたって可能である装置は提供されておらず、今後の災害に備えて、そのような装置の提供が切望されている。
【0008】
本発明の目的は、外部からの電力の供給に頼らずに、公衆交換電話網および携帯電話網の通信ケーブルが切断された地域と他の地域との間での電話回線を介した通信が半永久的に可能な通信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、本発明に係る通信装置は、風力を受けて、交流電力を発生する風力発電装置と、前記風力発電装置からの交流電力を直流電力に変換するAC−DC変換器と、太陽光を受け、光電変換によって直流電力を発生する太陽電池パネルと、直流電力を交流電力に変換するDC−AC変換器と、前記DC−AC変換器から出力される交流電力を使用して、衛星電話網を介して通信可能な衛星電話端末とを含む。そして、前記風力発電装置は、支持軸と、前記支持軸の周囲で前記支持軸の周方向に並べられた複数の巻線を有し、前記支持軸に固定的に設けられた固定子と、前記支持軸に対して前記支持軸の中心軸線を中心に回転可能に設けられ、その回転に伴って前記複数の巻線と順次に対向する永久磁石を有する回転子と、前記回転子の周囲に前記回転子から前記回転子の回転半径方向に間隔を空けて、前記支持軸の前記中心軸線を中心とする等角度間隔で設けられ、それぞれ前記中心軸線に沿う方向に延びる複数のブレードと、前記回転子から各ブレードに向けて延び、前記回転子と各ブレードとを連結するためのアームとを備えている。
【0010】
風力発電装置では、固定子(ステータ)は、複数の巻線を有し、支持軸に固定的に設けられている。複数の巻線は、支持軸の周囲で支持軸の周方向に並べられている。一方、回転子(ロータ)は、永久磁石を有し、支持軸に対して支持軸の中心軸線を中心に回転可能に設けられている。回転子の回転に伴って、永久磁石が複数の巻線と順次に対向し、各巻線に誘導電流が流れる。
【0011】
回転子の周囲には、回転子から回転子の回転半径方向に間隔を空けて、複数のブレードが支持軸の中心軸線を中心とする等角度間隔で設けられている。そして、回転子とブレードとは、回転子から各ブレードに向けて延びるアームによって連結されている。
【0012】
これにより、支持軸が支柱の上端部に固定されても、ブレードおよびアームと一体的に回転子が回転する時、つまり発電時に生じる支柱の振動を低減でき、また、支柱とその他の部材との共振が生じることを防止できる。その結果、振動による騒音を低減することができる。また、振動による各部の摩耗を防止することができる。たとえば、支持軸と回転子との間にベアリングが介在される場合、そのベアリングにおけるフレッティング摩耗を防止することができる。
【0013】
ブレードおよびアームと一体的に回転子が回転すると、風力発電装置から交流電力が出力される(風力発電)。風力発電装置からの交流電力は、AC−DC変換器により、直流電力に変換される。一方、太陽電池パネルが太陽光を受けると、太陽電池パネルから直流電力が出力される(太陽光発電)。直流電力は、DC−AC変換器により、交流電力に変換される。DC−AC変換器から出力される交流電力は、衛星電話端末の動作電力として使用される。
【0014】
これにより、昼間は、風力発電および/または太陽光発電による電力を使用して、衛星電話端末を動作させることができる。夜間は、風力発電による電力を使用して、衛星電話端末を動作させることができる。そして、風力発電装置は、風速0.7m/sの微風でも発電する。そのため、昼夜を問わず、通信装置内で衛星電話端末の動作に必要な電力を発生させることができる。その結果、外部からの電力の供給がなくても、ほぼ常時、衛星電話端末による通信が可能である。
【0015】
衛星電話端末は、衛星電話網を介して通信可能な端末である。したがって、この通信装置が設置されている地域において、公衆交換電話網および携帯電話網の通信ケーブルが切断される被害が生じても、衛星電話端末により、その地域と他の地域との間で通信を行うことができる。
【0016】
よって、通信装置が設置されている地域において、送電線ならびに公衆交換電話網および携帯電話網の通信ケーブルが切断される被害が生じても、外部からの電力の供給に頼らずに、他の地域との間で電話回線を介した通信を半永久的に行うことができる。
【0017】
風力発電装置で発生する電力は、ブレードが受ける風の風速によって変動する。また、太陽電池パネルから発生する電力は、日射強度および気温によって変動する。そこで、DC−AC変換器に入力される直流電力を安定させるために、AC−DC変換器から出力される直流電力および太陽電池パネルから出力される直流電力をバッファ的に蓄えるための蓄電池が備えられて、その蓄電池から出力される直流電力がDC−AC変換器によって交流電力に変換されることが好ましい。
【0018】
従来の風力または太陽光を利用する発電装置には、比較的大容量の蓄電池を備えるものがある。この蓄電池は、発電停止時のバックアップ電源として備えられている。すなわち、風力または太陽光による発電が停止したときにも、発電装置に接続されている負荷に電力を供給することができるように、発電装置には、その負荷の消費電力に応じた大容量の蓄電池が備えられている。大容量の蓄電池は、サイズが大きいので、その蓄電池を備える発電装置のサイズは、必然的に大きくなる。
【0019】
これに対し、この通信装置では、発電がほぼ停止しないので、バックアップ電源は不可欠な要素ではない。そのため、蓄電池として、バックアップ電源として使用可能な大容量のものは必要ではなく、比較的小容量のもので必要十分である。よって、蓄電池を備えることによるサイズの大型化を招くことはない。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、送電線ならびに公衆交換電話網および携帯電話網の通信ケーブルが切断される被害が生じた地域において、外部からの電力の供給に頼らずに、他の地域との間で電話回線を介した通信を半永久的に行うことができる。しかも、風力発電時の振動が小さく、振動による騒音が小さいので、通信装置が住宅街に設置されても、騒音による苦情が出ない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る通信装置の構成を図解的に示す図である。
【図2】図2は、その通信装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3A】図3Aは、上ステータの各相巻線と下ステータの各相巻線とが直列接続された状態を示す図である。
【図3B】図3Bは、上ステータの各相巻線と下ステータの各相巻線とが並列接続された状態を示す図である。
【図4】図4は、切替回路の構成を図解的に示す図である。
【図5】図5は、風力用コントローラの構成を示す図である。
【図6】図6は、他の構成に係る風力発電装置の使用状態における側面図である。
【図7】図7は、図6に示される風力発電装置の断面図である。
【図8】図8は、図6に示される風力発電装置の要部の分解断面図である。
【図9】図9は、さらに他の構成に係る風力発電装置の要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る通信装置の構成を図解的に示す図である。図2は、その通信装置の電気的構成を示すブロック図である。
【0024】
通信装置1は、風力によって交流電力を発生(風力発電)する風力発電装置2と、太陽光によって直流電力を発生(太陽光発電)する太陽電池パネル3と、衛星電話網を介して通信可能な衛星電話端末4と、風力発電装置2からの交流電力および太陽電池パネル3からの直流電力を衛星電話端末4の動作電力に変換する電力変換器5とを備えている。
【0025】
風力発電装置2および太陽電池パネル3は、図1に示されるように、略円柱状の支柱11に支持されている。支柱11は、屋外で地上または建物の屋上などに、鉛直方向に延びるように立設される。
【0026】
風力発電装置2は、支柱11の上端に回転可能に設けられた直線翼垂直軸風車12と、支柱11の上端部に内蔵された発電機13とを含む。
【0027】
直線翼垂直軸風車12は、回転軸14および3枚のブレード15を備えている。
【0028】
回転軸14は、支柱11の上端部に支持されて、支柱11の上端から鉛直上方に延びている。回転軸14は、その中心軸線を中心に回転可能に設けられている。
【0029】
3枚のブレード15は、回転軸14のまわりに、回転軸14の中心軸線(回転軸線)を中心とする等角度間隔(120°間隔)を空けて配置されている。各ブレード15は、CFRP(carbon fiber reinforced plastics)からなり、中空の略長方形板状に形成されている。各ブレード15は、鉛直方向に延びるように設けられ、2本のアーム16により、回転軸14の上端部および上下方向の途中部に連結されている。
【0030】
ブレード15の軽量化および形状の工夫により、直線翼垂直軸風車12は、風速0.7m/s以上の風で回転する。
【0031】
発電機13は、3相交流発電機であり、ロータおよびステータを備えている。
【0032】
ロータは、直線翼垂直軸風車12の回転軸14と一体的に回転可能に設けられている。ロータには、永久磁石が保持されている。
【0033】
ステータは、図3A,3Bに示されるように、上ステータUSおよび下ステータLSに2分割されている。上ステータUSには、U相巻線17U、V相巻線17VおよびW相巻線17Wが設けられている。U相巻線17U、V相巻線17VおよびW相巻線17Wは、Y結線されている。また、下ステータLSには、U相巻線18U、V相巻線18VおよびW相巻線18Wが設けられている。
【0034】
直線翼垂直軸風車12が回転すると、発電機13のロータが直線翼垂直軸風車12の回転軸14と一体的に回転し、電磁誘導により、発電機13のU相巻線17U,18U、V相巻線17V,18VおよびW相巻線17W,18Wに交流電流が流れる。その結果、発電機13から3相交流電力が出力される。
【0035】
太陽電池パネル3は、たとえば、電気的に接続された複数の多結晶シリコン太陽電池をパネル状をなすように並べて形成されている。太陽電池パネル3は、図1に示されるように、支柱11から延びるアーム19の先端に固定されて、受光面20を斜め上方に向けた傾斜姿勢に設けられている。
【0036】
太陽電池パネル3の受光面20に太陽光が照射されると、光起電力効果が生じ、太陽電池パネル3から直流電力が出力される。
【0037】
衛星電話端末4は、通信衛星(静止衛星)を介して、地上に設置されている衛星電話基地局と通信を行うことができる。衛星電話基地局は、公衆交換電話網(固定電話回線)に接続されている。これにより、衛星電話端末4は、通信衛星、衛星電話基地局および公衆交換電話網を介して、固定電話端末や携帯電話端末などと通信することができる。
【0038】
電力変換器5は、支柱11の基端部に内蔵されている。電力変換器5は、図2に示されるように、切替回路21、風力用コントローラ22、太陽光用コントローラ23、蓄電池24およびDC−ACインバータ25を備えている。
【0039】
図4は、切替回路の構成を図解的に示す図である。
【0040】
切替回路21は、図4に示されるように、第1リレーRy1、第2リレーRy2、第3リレーRy3、第4リレーRy4、第5リレーRy5、第6リレーRy6および第7リレーRy7を含む。
【0041】
第1リレーRy1は、上ステータUSのU相巻線17Uの一端に設けられた端子T1の接続先を下ステータLSのU相巻線18Uの一端に設けられた端子T4とその他端に設けられた端子T5とに切り替えるためのものである。端子T4は、第1リレーRy1を介して、風力用コントローラ22のU相入力端子TUに接続されている。
【0042】
第2リレーRy2は、上ステータUSのV相巻線17Vの一端に設けられた端子T2の接続先を下ステータLSのV相巻線18Vの一端に設けられた端子T6とその他端に設けられた端子T7とに切り替えるためのものである。端子T6は、第2リレーRy2を介して、風力用コントローラ22のV相入力端子TVに接続されている。
【0043】
第3リレーRy3は、上ステータUSのW相巻線17Wの一端に設けられた端子T3の接続先を下ステータLSのW相巻線18Wの一端に設けられた端子T8とその他端に設けられた端子T9とに切り替えるためのものである。端子T8は、第3リレーRy3を介して、風力用コントローラ22のW相入力端子TWに接続されている。
【0044】
第4リレーRy4は、下ステータLSのU相巻線18Uの端子T5とV相巻線18Vの端子T7とを接続するか否かを切り替えるためのものである。
【0045】
第5リレーRy5は、下ステータLSのU相巻線18Uの端子T5とW相巻線18Wの端子T9とを接続するか否かを切り替えるためのものである。
【0046】
第1リレーRy1、第2リレーRy2および第3リレーRyが制御されて、上ステータUSのU相巻線17Uの端子T1と下ステータLSのU相巻線18Uの端子T5とが接続され、上ステータUSのV相巻線17Vの端子T2と下ステータLSのV相巻線18Vの端子T7とが接続され、上ステータUSのW相巻線17Wの端子T3と下ステータLSのW相巻線18Wの端子T9とが接続される。また、第4リレーRy4および第5リレーRy5が制御されて、下ステータLSのU相巻線18Uの端子T5とV相巻線18Vの端子T7とW相巻線18Wの端子T9とが相互に切り離される。
【0047】
これにより、図3Aに示されるように、上ステータUSのU相巻線17U、V相巻線17VおよびW相巻線17Wの中性点と風力用コントローラ22のU相入力端子TUとの間で、上ステータUSのU相巻線17Uと下ステータLSのU相巻線18Uとが直列に接続される。また、その中性点と風力用コントローラ22のV相入力端子TVとの間で、上ステータUSのV相巻線17Vと下ステータLSのV相巻線18Vとが直列に接続される。さらに、その中性点と風力用コントローラ22のW相入力端子TWとの間で、上ステータUSのW相巻線17Wと下ステータLSのW相巻線18Wとが直列に接続される。
【0048】
そして、この状態で、直線翼垂直軸風車12が回転すると、U相巻線17U,18U、V相巻線17V,18VおよびW相巻線17W,18Wに交流電圧が生じ、風力用コントローラ22のU相入力端子TU、V相入力端子TVおよびW相入力端子TWに交流電力が入力される。
【0049】
一方、第1リレーRy1、第2リレーRy2および第3リレーRyが制御されて、上ステータUSのU相巻線17Uの端子T1と下ステータLSのU相巻線18Uの端子T4とが接続され、上ステータUSのV相巻線17Vの端子T2と下ステータLSのV相巻線18Vの端子T6とが接続され、上ステータUSのW相巻線17Wの端子T3と下ステータLSのW相巻線18Wの端子T8とが接続される。また、第4リレーRy4および第5リレーRy5が制御されて、下ステータLSのU相巻線18Uの端子T5とV相巻線18Vの端子T7とW相巻線18Wの端子T9とが相互に接続される。
【0050】
これにより、図3Bに示されるように、上ステータUSのU相巻線17U、V相巻線17VおよびW相巻線17Wの中性点と風力用コントローラ22のU相入力端子TUとの間で、上ステータUSのU相巻線17Uと下ステータLSのU相巻線18Uとが並列に接続される。また、その中性点と風力用コントローラ22のV相入力端子TVとの間で、上ステータUSのV相巻線17Vと下ステータLSのV相巻線18Vとが並列に接続される。さらに、その中性点と風力用コントローラ22のW相入力端子TWとの間で、上ステータUSのW相巻線17Wと下ステータLSのW相巻線18Wとが並列に接続される。
【0051】
そして、この状態で、直線翼垂直軸風車12が回転すると、U相巻線17U,18U、V相巻線17V,18VおよびW相巻線17W,18Wに交流電圧が生じ、風力用コントローラ22のU相入力端子TU、V相入力端子TVおよびW相入力端子TWに交流電力が入力される。
【0052】
第6リレーRy6は、風力用コントローラ22のV相入力端子TVとW相入力端子TWとを接続するか否かを切り替えるためのものである。
【0053】
第7リレーRy7は、風力用コントローラ22のV相入力端子TVとU相入力端子TUとを接続するか否かを切り替えるためのものである。
【0054】
第6リレーRy6および第7リレーRy7が制御されて、風力用コントローラ22のU相入力端子TU、V相入力端子TVおよびW相入力端子TWが相互に接続されることにより、風力用コントローラ22への3相交流電力の入力が遮断される。
【0055】
図5は、風力用コントローラの構成を示す図である。
【0056】
風力用コントローラ22は、整流回路31、低電圧変換部32、中電圧変換部33、高電圧変換部34および電圧変換制御部35を備えている。
【0057】
整流回路31は、風力用コントローラ22のU相入力端子TU、V相入力端子TVおよびW相入力端子TWから入力される3相交流電力(交流電圧)を直流電力(直流電圧)に変換する。
【0058】
低電圧変換部32、中電圧変換部33および高電圧変換部34は、整流回路31から出力される直流電圧を24Vの直流電圧に変換する。
【0059】
低電圧変換部32は、トランス41、スイッチング素子42および整流平滑回路43を含む電圧変換回路を備えている。トランス41の1次巻線は、整流回路31に接続されている。スイッチング素子42は、整流回路31とトランス41の1次巻線との間に介装されている。整流平滑回路43は、トランス41の2次巻線に接続されている。
【0060】
また、低電圧変換部32には、マイクロコンピュータで構成されるスイッチング制御部44が備えられている。スイッチング素子42のオン/オフは、スイッチング制御部44によって制御される。
【0061】
低電圧変換部32の動作時には、スイッチング素子42のオン/オフが周期的に繰り返される。これにより、トランス41の1次巻線に、整流回路31から出力される電圧が交流電圧として印加される。トランス41の1次巻線に交流電圧が印加されると、電磁誘導により、トランス41の2次巻線に交流電圧が発生し、トランス41における交流電圧の変圧が達成される。トランス41から出力される交流電圧は、整流平滑回路43に入力されて、整流平滑回路43により、24Vの直流電圧に変換される。整流平滑回路43から出力される直流電圧は、蓄電池24に与えられる。
【0062】
さらに、低電圧変換部32には、整流平滑回路43から出力される直流電圧を検出して、その電圧値が所定の下限値未満であるか否かを判断する低電圧検出部45と、整流平滑回路43から出力される直流電圧を検出して、その電圧値が所定の上限値以上であるか否かを判断する過電圧検出部46とが備えられている。低電圧検出部45および過電圧検出部46は、マイクロコンピュータで構成される。低電圧検出部45および過電圧検出部46の判断結果は、それぞれフォトカプラ47,48を介して、スイッチング制御部44に送信される。
【0063】
スイッチング制御部44は、低電圧検出部45から電圧値が下限値未満である旨の判断結果(信号)または過電圧検出部46から電圧値が上限値以上である旨の判断結果(信号)を受信すると、スイッチング素子42をオフにする。これにより、低電圧変換部32は、整流回路31から切り離される。
【0064】
中電圧変換部33は、トランス51、スイッチング素子52および整流平滑回路53を含む電圧変換回路を備えている。トランス51の1次巻線は、整流回路31に接続されている。スイッチング素子52は、整流回路31とトランス51の1次巻線との間に介装されている。整流平滑回路53は、トランス51の2次巻線に接続されている。
【0065】
また、中電圧変換部33には、マイクロコンピュータで構成されるスイッチング制御部54が備えられている。スイッチング素子52のオン/オフは、スイッチング制御部54によって制御される。
【0066】
中電圧変換部33の動作時には、スイッチング素子52のオン/オフが周期的に繰り返される。これにより、トランス51の1次巻線に、整流回路31から出力される電圧が交流電圧として印加される。トランス51の1次巻線に交流電圧が印加されると、電磁誘導により、トランス51の2次巻線に交流電圧が発生し、トランス51における交流電圧の変圧が達成される。トランス51から出力される交流電圧は、整流平滑回路53に入力されて、整流平滑回路53により、24Vの直流電圧に変換される。整流平滑回路53から出力される直流電圧は、蓄電池24に与えられる。
【0067】
さらに、中電圧変換部33には、整流平滑回路53から出力される直流電圧を検出して、その電圧値が所定の下限値未満であるか否かを判断する低電圧検出部55と、整流平滑回路53から出力される直流電圧を検出して、その電圧値が所定の上限値以上であるか否かを判断する過電圧検出部56とが備えられている。低電圧検出部55および過電圧検出部56は、マイクロコンピュータで構成される。低電圧検出部55および過電圧検出部56の判断結果は、それぞれフォトカプラ57,58を介して、スイッチング制御部54に送信される。
【0068】
スイッチング制御部54は、低電圧検出部55から電圧値が下限値未満である旨の判断結果(信号)を受信すると、スイッチング素子52をオフにする。また、スイッチング制御部54は、過電圧検出部56から電圧値が上限値以上である旨の判断結果(信号)を受信しても、スイッチング素子42を周期的にオン/オフさせる。これにより、高電圧変換部34の動作から中電圧変換部33の動作に切り替えられたときに、中電圧変換部33から直流電圧を速やかに出力させることができる。
【0069】
高電圧変換部34は、トランス61、スイッチング素子62,63および整流平滑回路64を含む電圧変換回路を備えている。トランス61の1次巻線の一端は、スイッチング素子62を介して、整流回路31の一方の出力端子に接続されている。また、トランス61の1次巻線の他端は、スイッチング素子63を介して、整流回路31の一方の出力端子に接続されている。また、1次巻線の中間点は、整流回路31の他方の出力端子に接続されている。整流平滑回路64の一方の出力端子は、トランス61の2次巻線の一端に接続されている。整流平滑回路64の他方の出力端子は、トランス61の2次巻線の中間点に接続されている。
【0070】
また、高電圧変換部34には、マイクロコンピュータで構成されるスイッチング制御部65が備えられている。スイッチング素子62,63のオン/オフは、スイッチング制御部65によって制御される。
【0071】
高電圧変換部34は、低出力モードおよび高出力モードの2つの出力モードを有している。低出力モードでの高電圧変換部34の動作時には、スイッチング素子63がオフにされた状態で、スイッチング素子62のオン/オフが周期的に繰り返される。これにより、トランス61の1次巻線の一端と中間点との間に、整流回路31から出力される電圧が交流電圧として印加される。一方、高出力モードでの高電圧変換部34の動作時には、スイッチング素子62,63の両方が同期して周期的にオン/オフされる。これにより、トランス61の1次巻線の一端と中間点との間および他端と中間点との間に、整流回路31から出力される電圧が交流電圧として印加される。トランス61の1次巻線に交流電圧が印加されると、電磁誘導により、トランス61の2次巻線に交流電圧が発生し、トランス61における交流電圧の変圧が達成される。トランス61から出力される交流電圧は、整流平滑回路64に入力されて、整流平滑回路64により、24Vの直流電圧に変換される。整流平滑回路64から出力される直流電圧は、蓄電池24に与えられる。
【0072】
さらに、高電圧変換部34には、整流平滑回路64から出力される直流電圧を検出して、その電圧値が所定の下限値未満であるか否かを判断する低電圧検出部66が備えられている。低電圧検出部66は、マイクロコンピュータで構成される。低電圧検出部66の判断結果は、それぞれフォトカプラ67を介して、スイッチング制御部65に送信される。
【0073】
スイッチング制御部65は、低電圧検出部66から電圧値が下限値未満である旨の判断結果(信号)を受信すると、スイッチング素子62,63をオフにする。
【0074】
そして、低電圧変換部32、中電圧変換部33および高電圧変換部34は、それらの定格電圧および出力容量がこの順に大きくなるように、電圧変換回路の回路定数やトランス41,51,61の1次巻線および2次巻線の巻数などが設定されている。
【0075】
電圧変換制御部35は、マイクロコンピュータからなる。電圧変換制御部35は、切替回路21からU相入力端子TU、V相入力端子TVおよびW相入力端子TWに入力される交流電圧の周波数を常に監視している。電圧変換制御部35は、交流電圧の周波数に基づいて、切替回路21の第1リレーRy1、第2リレーRy2、第3リレーRy3、第4リレーRy4、第5リレーRy5、第6リレーRy6および第7リレーRy7を制御して、U相巻線17U,18U、V相巻線17V,18VおよびW相巻線17W,18Wの直列接続および並列接続を切り替える。また、電圧変換制御部35は、U相入力端子TU、V相入力端子TVおよびW相入力端子TWに入力される交流電圧の電圧値(以下「入力電圧値」という。)に基づいて、低電圧変換部32、中電圧変換部33および高電圧変換部34を選択的に動作させる。入力電圧値は、たとえば、スイッチング制御部44,54,65内で検出される。
【0076】
具体的には、風速が小さく、U相入力端子TU、V相入力端子TVおよびW相入力端子TWに入力される交流電圧の周波数が0〜25.3Hzの範囲内(入力電圧値が0〜190Vの範囲内)である場合には、電圧変換制御部35は、U相巻線17U,18U、V相巻線17V,18VおよびW相巻線17W,18Wがそれぞれ直列に接続されるように、第1リレーRy1、第2リレーRy2、第3リレーRy3、第4リレーRy4および第5リレーRy5を制御する。また、U相入力端子TU、V相入力端子TVおよびW相入力端子TWが相互に切り離されるように、第6リレーRy6および第7リレーRy7を制御する。
【0077】
そして、入力電圧値が80V未満である場合には、電圧変換制御部35は、低電圧変換部32を動作させる。すなわち、中電圧変換部33のスイッチング素子52および高電圧変換部34のスイッチング素子62,63をオフにした状態で、低電圧変換部32のスイッチング素子42を周期的にオン/オフする。これにより、低電圧変換部32から24Vの直流電圧が出力される。低電圧変換部32の出力容量は、たとえば、7.8Wである。
【0078】
風速が上がり、入力電圧値が80V以上になると、電圧変換制御部35は、中電圧変換部33を動作させる。すなわち、低電圧変換部32のスイッチング素子42および高電圧変換部34のスイッチング素子62,63をオフにした状態で、中電圧変換部33のスイッチング素子52を周期的にオン/オフする。これにより、中電圧変換部33から24Vの直流電圧が出力される。中電圧変換部33の出力容量は、たとえば、32Wである。
【0079】
風速がさらに上がり、入力電圧値が150V以上になると、電圧変換制御部35は、高電圧変換部34を低出力モードで動作させる。すなわち、低電圧変換部32のスイッチング素子42をオフにし、高電圧変換部34のスイッチング素子63をオフにした状態で、スイッチング素子62を周期的にオン/オフする。これにより、高電圧変換部34から24Vの直流電圧が出力される。高電圧変換部34の低出力モードでの出力容量は、たとえば、210Wである。
【0080】
風速がさらに上がり、U相入力端子TU、V相入力端子TVおよびW相入力端子TWに入力される交流電圧の周波数が25.3Hzを超えると、電圧変換制御部35は、U相巻線17U,18U、V相巻線17V,18VおよびW相巻線17W,18Wがそれぞれ並列に接続されるように、第1リレーRy1、第2リレーRy2、第3リレーRy3、第4リレーRy4および第5リレーRy5を制御する。これにより、入力電圧値は、190Vから95Vに低下する。そのため、これに応答して、電圧変換制御部35は、中電圧変換部33を動作させる。
【0081】
その後、風速がさらに上がり、入力電圧値が150V以上になると、電圧変換制御部35は、高電圧変換部34を低出力モードで動作させる。
【0082】
風速がさらに上がり、入力電圧値が200V以上になると、電圧変換制御部35は、高電圧変換部34を高出力モードで動作させる。すなわち、低電圧変換部32のスイッチング素子42をオフにした状態で、高電圧変換部34のスイッチング素子62,63を周期的にオン/オフする。これにより、高電圧変換部34から24Vの直流電圧が出力される。高電圧変換部34の低出力モードでの出力容量は、たとえば、500Wである。
【0083】
U相入力端子TU、V相入力端子TVおよびW相入力端子TWに入力される交流電圧の周波数が61.3Hz以上(入力電圧値が230V以上)になると、電圧変換制御部35は、U相入力端子TU、V相入力端子TVおよびW相入力端子TWが相互に接続されるように、第6リレーRy6および第7リレーRy7を制御する。その後、10分間が経過すると、U相入力端子TU、V相入力端子TVおよびW相入力端子TWが相互に切り離されるように、第6リレーRy6および第7リレーRy7を制御する。そして、U相巻線17U,18U、V相巻線17V,18VおよびW相巻線17W,18Wがそれぞれ直列に接続されるように、第1リレーRy1、第2リレーRy2、第3リレーRy3、第4リレーRy4および第5リレーRy5を制御する。
【0084】
このように、風速に応じて、U相巻線17U,18U、V相巻線17V,18VおよびW相巻線17W,18Wの直列接続および並列接続が切り替えられ、また、低電圧変換部32、中電圧変換部33および高電圧変換部34が選択的に動作される。そのため、風力用コントローラ22が過負荷によって破壊されることを防止できながら、低風速から高風速の広範囲において、風力用コントローラ22から直流電力(直流電圧)を安定して出力することができる。
【0085】
太陽光用コントローラ23は、図2に示されるように、太陽電池パネル3および蓄電池24に接続されている。太陽電池パネル3から出力される直流電力は、その電圧値が太陽光用コントローラ23によって24Vに変圧されて、太陽光用コントローラ23から出力される。
【0086】
そして、風力用コントローラ22および太陽光用コントローラ23から出力される直流電力は、蓄電池24をバッファ的に経由して、DC−ACインバータ25に入力される。蓄電池24は、その容量が50Ah未満であるものが用いられ、具体的には、その容量が20Ahであるものが用いられる。
【0087】
DC−ACインバータ25に入力される直流電力は、所定周波数および所定振幅の交流電力に変換されて、DC−ACインバータ25から衛星電話端末4に動作電力として与えられる。
【0088】
以上のように、直線翼垂直軸風車12が回転すると、発電機13から交流電力が出力される(風力発電)。発電機13からの交流電力は、風力用コントローラ22により、直流電力に変換される。一方、太陽電池パネル3が太陽光を受けると、太陽電池パネル3から直流電力が出力される(太陽光発電)。直流電力は、DC−ACインバータ25により、交流電力に変換される。DC−ACインバータ25から出力される交流電力は、衛星電話端末4の動作電力として使用される。
【0089】
これにより、昼間は、風力発電および/または太陽光発電による電力を使用して、衛星電話端末4を動作させることができる。夜間は、風力発電による電力を使用して、衛星電話端末4を動作させることができる。そして、直線翼垂直軸風車12は、風速0.7m/sの微風でも回転する。したがって、微風状態においても、発電機13から電力を発生させることができる。そのため、昼夜を問わず、通信装置1内で衛星電話端末4の動作に必要な電力を発生させることができる。その結果、外部からの電力の供給がなくても、ほぼ常時、衛星電話端末4による通信が可能である。
【0090】
衛星電話端末4は、衛星電話網を介して通信可能な端末である。したがって、この通信装置1が設置されている地域において、公衆交換電話網および携帯電話網の通信ケーブルが切断される被害が生じても、衛星電話端末4により、その地域と他の地域との間で通信を行うことができる。
【0091】
よって、通信装置1が設置されている地域において、送電線ならびに公衆交換電話網および携帯電話網の通信ケーブルが切断される被害が生じても、外部からの電力の供給に頼らずに、他の地域との間で電話回線を介した通信を半永久的に行うことができる。
【0092】
発電機13で発生する電力は、直線翼垂直軸風車12が受ける風の風速によって変動する。また、太陽電池パネル3から発生する電力は、日射強度および気温によって変動する。そこで、DC−ACインバータ25に入力される直流電力を安定させるために、風力用コントローラ22から出力される直流電力および太陽電池パネル3から出力される直流電力をバッファ的に蓄えるための蓄電池24が備えられており、その蓄電池24から出力される直流電力がDC−ACインバータ25によって交流電力に変換される。
【0093】
通信装置1では、発電がほぼ停止しないので、蓄電池24としては、バックアップ電源として使用可能な大容量のものは必要ではなく、DC−ACインバータ25に入力される直流電力を安定させることができる程度の比較的小容量のもので必要十分である。よって、蓄電池24を備えることによるサイズの大型化を招くことはない。
【0094】
図6は、他の構成に係る風力発電装置の使用状態における側面図である。
【0095】
風力発電装置101は、鉛直方向に延びる略円筒状の支柱102の上端部に取り付けられて、屋外で使用される。
【0096】
図7は、図6に示される風力発電装置の断面図である。図8は、図6に示される風力発電装置の要部の分解断面図である。
【0097】
風力発電装置101は、略円筒状の支持軸111と、支持軸111に固定的に設けられたステータ112と、支持軸111に対して支持軸111の中心軸線Cを中心に回転可能に設けられたロータ113と、支持軸111を支柱102(図6参照)の上端部に固定するための固定部材114とを備えている。
【0098】
支持軸111は、その中心軸線Cが鉛直方向に延びている。
【0099】
ステータ112は、支持軸111の上端から少し下方の位置に設けられ、全体として支持軸111の周囲を取り囲む略円環板状(フランジ状)をなしている。ステータ112には、それぞれ複数のU相巻線、V相巻線およびW相巻線(いずれも図示せず)が支持軸111の周方向に並べて設けられている。
【0100】
ロータ113は、たとえば、上下2つに分割して構成されている。そして、ロータ113は、その2つの分割部分が互いに結合した状態で、ステータ112を包囲するように設けられ、扁平な略円環板状をなしている。より具体的には、ロータ113は、2つの分割部分が違いに結合した状態で、支持軸111の周囲を取り囲む円筒状の円筒部115と、円筒部115の上下方向の中央部から周囲に張り出すフランジ状の本体部116とを有している。ロータ113の上下方向の中央部には、円筒部115の内周面から本体部116の径方向の途中部に至るスペース117が形成されており、ロータ113は、そのスペース117に収容されている。
【0101】
円筒部115には、スペース117の上方および下方に、それぞれ円筒部115の内周面から径方向に窪む凹部118が形成されている。各凹部118には、ベアリング119が収容されている。ベアリング119の内輪の内周面は、円筒部115の内周面とほぼ段差なく連続しており、ベアリング119の内輪は、支持軸111に相対回転不能に外嵌されている。
【0102】
本体部116には、複数の永久磁石(図示せず)がロータ113の回転に伴ってU相巻線、V相巻線およびW相巻線と順次に対向するように設けられている。
【0103】
固定部材114は、略円筒状の挿入部120と、挿入部120の周囲に張り出すフランジ状のフランジ部121とを一体的に有している。
【0104】
挿入部120は、支持軸111の外径とほぼ等しい内径を有している。挿入部120には、支持軸111の下端部が上方から挿入されて、ねじ122(図8参照)により、その支持軸111の下端部が固定されている。
【0105】
また、挿入部120は、支柱102の外径よりやや大きい内径を有している。風力発電装置101が支柱102に取り付けられるときには、図6に示されるように、挿入部120の下端部が支柱102の上端部に上方から冠着される。そして、フランジ部121が支柱102の上端に当接した状態で、ねじ(図示せず)により、挿入部120が支柱102に対して固定される。これにより、支持軸111が固定部材114を介して支柱102に対して相対回転不能に固定される。
【0106】
風力発電装置101は、1対(2枚)のベース板131、3枚のブレード132、6本のアーム133、各アーム133をベース板131に連結するための6個の基端側連結部材134および各アーム133をブレード132に連結するための6個の先端側連結部材135をさらに備えている。
【0107】
ベース板131は、ロータ113とほぼ同じ外径の略円板状をなし、ロータ113の上下にそれぞれ設けられている。上側のベース板131は、図7に示されるように、平面視でロータ113と同じ位置に配置されて、ロータ113の円筒部115に上方から当接した状態で、ねじ136でロータ113に固定されている。下側のベース板131は、図7に示されるように、平面視でロータ113と同じ位置に配置されて、ロータ113の円筒部115に下方から当接した状態で、ねじ137でロータ113に固定されている。
【0108】
3枚のブレード132は、ロータ113の周囲にロータ113から水平方向(ロータ113の回転半径方向)に間隔を空けて、支持軸111の中心軸線(ロータ113の回転軸線)を中心とする等角度間隔(120°間隔)で設けられている。各ブレード132は、CFRP(carbon fiber reinforced plastics)からなり、鉛直方向に延びる略長方形板状の中空体に形成されている。
【0109】
アーム133は、図6に示されるように、各ブレード132に対して2本設けられている。各ブレード132に対する2本のアーム133は、それぞれ上側のベース板131とブレード132との間および下側のベース板131とブレード132との間で直線状に延びている。具体的には、上側のアーム133は、上側のベース板131の近傍からブレード132に向かって、水平面(支持軸111の中心軸線Cと直交する平面)に対して上方に約26°の傾斜角で傾斜して延びている。下側のアーム133は、下側のベース板131の近傍からブレード132に向かって、水平面に対して下方に約26°の傾斜角で傾斜して延びている。
【0110】
基端側連結部材134は、アーム133と同じ幅を有する細長い板状部材を途中部で屈曲させて形成されており、図7に示されるように、ベース板131の表面(上面または下面)に沿って延びるベース板側部分138およびアーム133に沿って延びるアーム側部分139を一体的に有している。
【0111】
ベース板側部分138が上側のベース板131の上面に接した状態で、ベース板側部分138がベース板131にボルト140およびナット141で固定され、アーム側部分139がアーム133の下面に接した状態で、アーム側部分139がアーム133にボルト142およびナット143で固定されることにより、アーム133の基端部が上側のベース板131に基端側連結部材134を介して連結固定されている。
【0112】
また、ベース板側部分138が下側のベース板131の下面に接した状態で、ベース板側部分138がベース板131にボルト144およびナット145で固定され、アーム側部分139がアーム133の上面に接した状態で、アーム側部分139がアーム133にボルト146およびナット147で固定されることにより、アーム133の基端部が下側のベース板131に基端側連結部材134を介して連結固定されている。
【0113】
上側のベース板131に固定される基端側連結部材134と下側のベース板131に固定される基端側連結部材134とは、平面視で互いに重なるように配置されている。これにより、各ブレード132に対する2本のアーム133は、平面視で互いに重なり、水平面に対してそれぞれ上方および下方に同じ傾斜角度で傾斜して延びている。そして、図7に示されるように、各アーム133の基端部からアーム133に沿ってベース板131側に延ばした直線L1,L2が中心軸線C上かつロータ113の上下方向の中央で交差するように、水平面に対するアーム133の傾斜角度が設定されている。
【0114】
先端側連結部材135は、アーム133と同じ幅を有する細長い板状部材を途中部で屈曲させて形成されており、アーム133に沿って延びるアーム側部分148および水平面に沿って延びる水平部分149を一体的に有している。
【0115】
アーム側部分148が上側のアーム133の下面に接した状態で、アーム側部分148がアーム133にボルト150およびナット151で固定され、水平部分149がブレード132に突設された接続板152の下面に接した状態で、水平部分149が接続板152にボルト153およびナット154で固定されることにより、上側のアーム133がブレード132に先端側連結部材135を介して連結固定されている。
【0116】
また、アーム側部分148が下側のアーム133の上面に接した状態で、アーム側部分148がアーム133にボルト155およびナット156で固定され、水平部分149がブレード132に突設された接続板157の下面に接した状態で、水平部分149が接続板157にボルト158およびナット159で固定されることにより、下側のアーム133がブレード132に先端側連結部材135を介して連結固定されている。
【0117】
ブレード132に突設された接続板152,157は、ブレード132の上下方向の中央に対してそれぞれ上方および下方に等間隔を空けた位置に配置されている。これにより、各ブレード132に関して、ブレード132、アーム133、基端側連結部材134、先端側連結部材135および接続板152,157を含む構造物は、上下対称の構成を有している。また、ブレード132の上下方向の中央は、ロータ113の上下方向の中央と上下方向の位置がほぼ一致している。
【0118】
ブレード132が風を受けると、各ブレード132とアーム133を介して連結されたロータ113が回転する。ロータ113が回転すると、その回転に伴って、ロータ113に保持された永久磁石がステータ112のU相巻線、V相巻線およびW相巻線と順次に対向し、U相巻線、V相巻線およびW相巻線に電磁誘導による交流電流が流れ、風力による発電が達成される。
【0119】
以上のように、風力発電装置101では、ステータ112は、複数のU相巻線、V相巻線およびW相巻線を有し、支持軸111に固定的に設けられている。U相巻線、V相巻線およびW相巻線は、支持軸111の周囲で支持軸111の周方向に並べられている。一方、ロータ113は、永久磁石を有し、支持軸111に対して支持軸111の中心軸線Cを中心に回転可能に設けられている。ロータ113の回転に伴って、永久磁石が複数のU相巻線、V相巻線およびW相巻線と順次に対向し、各U相巻線、V相巻線およびW相巻線に誘導電流が流れる。
【0120】
ロータ113の周囲には、ロータ113からロータ113の回転半径方向に間隔を空けて、3枚のブレード132が支持軸111の中心軸線Cを中心とする等角度間隔で設けられている。そして、ロータ113とブレード132とは、ロータ113から各ブレード132に向けて延びるアーム133によって連結されている。
【0121】
この構成では、図1に示される回転軸14に相当する部材が存在しないので、支持軸111が支柱102の上端部に固定されても、ロータ113の回転時、つまり発電時に生じる支柱102の振動を低減でき、また、支柱102とその他の部材との共振が生じることを防止できる。その結果、振動による騒音を低減することができる。また、振動による各部の摩耗を防止することができる。たとえば、支持軸111とロータ113との間にベアリングが介在される場合、そのベアリングにおけるフレッティング摩耗を防止することができる。
【0122】
また、図1に示される回転軸14に相当する部材が不要であるので、図1に示される構成と比較して、その分のコストを低減することができる。
【0123】
ロータ113に対して中心軸線Cに沿う方向の上側および下側にベース板131が設けられ、各ベース板131がロータ113に固定されている。そして、各ブレード132に対して2本のアーム133が設けられて、そのうちの一方のアーム133は、基端部が上側のベース板131に固定され、ブレード132に向けて上方に傾斜して直線的に延び、先端部がブレード132に固定されており、他方のアーム133は、基端部が下側のベース板131に固定され、ブレード132に向けて上方に傾斜して直線的に延び、先端部がブレード132に固定されている。
【0124】
そして、各アーム133の基端部から当該アーム133に沿ってベース板131側に延ばした直線が中心軸線C上かつロータ113の中心軸線Cに沿う方向の中央で交差するように、各ブレード132に対する2本のアーム133が延びている。言い換えれば、各アーム133の基端部から当該アーム133に沿って延ばした直線の交点がロータ113の重心と一致するように、各ブレード132に対する2本のアーム133が延びている。
【0125】
これにより、ブレード132と一体的にロータ113が回転するときに、ロータ113に生じる応力のバランスを保つことができる。その結果、ロータ113の回転時の振動を低減することができる。
【0126】
図9は、さらに他の構成に係る風力発電装置の要部の断面図である。
【0127】
図9において、図7に示される各部に相当する部分には、それらの各部と同一の参照符号が付されている。また、以下では、その同一の参照符号が付された部分の説明を省略する。
【0128】
図7に示される構成では、ロータ113の上側および下側にそれぞれベース板131が設けられている。これに対し、図9に示される構成では、ロータ113の上側のみにベース板161が設けられている。
【0129】
ベース板161は、ロータ113より大きい外径の略円環板状をなしている。ベース板161は、平面視でその中心がロータ113の中心と重なるように配置されて、中央の円形孔にロータ113の円筒部115が挿通されて、ロータ113の本体部116に上方から当接した状態で、ねじ162で本体部116に固定されている。
【0130】
そして、各ブレード132に対する2本のアーム133は、基端側連結部材134を介して、それぞれベース板161の上面および下面に連結固定されている。すなわち、上側のアーム133に固定された基端側連結部材134のベース板側部分138がベース板131の上面に接し、下側のアーム133に固定された基端側連結部材134のベース板側部分138がベース板131の下面に接した状態、言い換えれば、2本のアーム133に固定された基端側連結部材134のベース板側部分138でベース板161を挟んだ状態で、それらのベース板側部分138がベース板161にボルト163およびナット164で一括して固定されている。
【0131】
このように、図9に示される構成は、図7に示される構成よりも簡素化されている。よって、図9に示される構成では、図7に示される構成と比較して、コストを低減することができる。
【0132】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0133】
1 通信装置
2 風力発電装置
3 太陽電池パネル
4 衛星電話端末
5 電力変換器
12 直線翼垂直軸風車
13 発電機
22 風力用コントローラ(AC−DC変換器)
24 蓄電池
25 DC/ACインバータ(DC−AC変換器)
101 風力発電装置
102 支柱
111 支持軸
112 ステータ(固定子)
113 ロータ(回転子)
131 ベース板
132 ブレード
133 アーム
161 ベース板
C 中心軸線
L1 直線
L2 直線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力を受けて、交流電力を発生する風力発電装置と、
前記風力発電装置からの交流電力を直流電力に変換するAC−DC変換器と、
太陽光を受け、光電変換によって直流電力を発生する太陽電池パネルと、
直流電力を交流電力に変換するDC−AC変換器と、
前記DC−AC変換器から出力される交流電力を使用して、衛星電話網を介して通信可能な衛星電話端末とを含み、
前記風力発電装置は、
支持軸と、
前記支持軸の周囲で前記支持軸の周方向に並べられた複数の巻線を有し、前記支持軸に固定的に設けられた固定子と、
前記支持軸に対して前記支持軸の中心軸線を中心に回転可能に設けられ、その回転に伴って前記複数の巻線と順次に対向する永久磁石を有する回転子と、
前記回転子の周囲に前記回転子から前記回転子の回転半径方向に間隔を空けて、前記支持軸の前記中心軸線を中心とする等角度間隔で設けられ、それぞれ前記中心軸線に沿う方向に延びる複数のブレードと、
前記回転子から各ブレードに向けて延び、前記回転子と各ブレードとを連結するためのアームとを備えている、通信装置。
【請求項2】
前記AC−DC変換器から出力される直流電力および前記太陽電池パネルから出力される直流電力をバッファ的に蓄えるための蓄電池をさらに含み、
前記DC−AC変換器は、前記蓄電池から出力される直流電力を交流電力に変換する、請求項1に記載の通信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−70190(P2013−70190A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206555(P2011−206555)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(511209321)有限会社プライマリー (2)
【出願人】(595112867)株式会社西山電器製作所 (2)
【出願人】(504368413)オーハツ株式会社 (7)
【Fターム(参考)】