説明

通話不可理由の案内方法および通話システム

【課題】ディスプレイ付きの電話機端末ではディスプレイを見なくても通話不可状態を判定することが出来るようになり、一方、ディスプレイ無しの電話機端末でも、着信相手と通話不可の理由を判定することができるようにする。
【解決手段】IP電話網102を介して、着信側IP電話機端末104に対して接続を要求した発信側IP電話機端末100が、着信側IP電話機端末104との間で通話路を確立できない場合には、通話路が確立できない通話不可理由のSIPレスポンスコードを検出し、検出した通話不可理由のSIPレスポンスコードに対応する音声ガイダンスを発信側IP電話機端末100において発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通話不可理由の案内方法および通話システムに関し、特に、PBX(IP-PBX、サーバ型PBX、キャリア型セントレックスを含む)を利用して通話を行う通話不可理由の案内方法および電話システムの技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図10は従来の通信システムの構成を示す図である。図10に示す通信システムは、発信側電話機端末500を収容接続する発信側PBX501と、着信側電話機端末504を収容接続する着信側PBX503と、これら発信側PBX501及び着信側PBX503を通信接続する電話網502とを有し、発信側PBX501は、通信線510を通じて発信側電話機端末500と通信接続すると共に、通信線511を通じて電話網502と通信接続し、着信側PBX503は、通信線513を通じて着信側電話機端末504と通信接続すると共に、通信線512を通じて電話網502と通信接続するものである。
【0003】
図11は従来の通信システムの発信動作フローである。図11において発信側電話機端末500は発信すると(ステップS200)、発信側電話機端末500を収容する発信側PBX501は、自拠点発信可否状態を検出し、この検出結果に基づき発信可能であるか否かを判定する(ステップS201)。電話網502は、発信側PBX501にて発信可能であると判定されると、網内発信可否状態を検出し、この検出結果に基づき発信可能であるか否かを判定する(ステップS202)。
【0004】
着信側PBX503は、電話網502にて発信可能であると判定されると、着信側拠点着信可否状態を検出し、この検出結果に基づき、発信側電話機端末500の発信に対して着信可能であるか否かを判定する(ステップS203)。
【0005】
また、着信側PBX503は、着信側PBX503にて着信可能であると判定されると、発信側電話機端末500の着信先である着信側電話機端末504の着信側端末着信可否状態を検出し(ステップS204)、この検出結果に基づき着信可能であると判定されると、発信側電話機端末500に対してリングバックトーン(RBT)を送出することになる(ステップS205)。
【0006】
また、発信側PBX501は、ステップS201にて自拠点発信不可であると判定されると、発信側電話機端末500に対してビジートーン(BT)を送出、又は発信不可のディスプレイ表示を通知することになる(ステップS210)。
【0007】
また、電話網502は、ステップS202にて網内発信不可であると判定されると、発信側電話機端末500に対してBTを送出することになる(ステップS211)。
【0008】
また、着信側PBX503は、ステップS203にて発信側電話機端末500の発信に対して着信側拠点着信不可であると判定されると、発信側電話機端末500に対してBTを送出することになる(ステップS212)。
【0009】
また、着信側PBX503は、ステップS204にて着信側電話機端末504が着信側端末着信不可であると判定されると、発信側電話機端末500に対してBTを送出することになる(ステップS213)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のような従来の技術では、発信者が着信相手の状態を知る方法として、着信側が通話可能な時はRBTの聴取か、着信側が通話不可、例えば、着信側が話中、自拠点の外向けチャネルビシー、相手拠点の外向けチャネルビジー、相手端末不在、不完全番号、キャリア網故障・輻輳による無応答などの時はBTが聞こえるのみで、着信相手の状態はRBT若しくはBTによる着信可否しか認識することができなかった。
【0011】
また、発信側電話機端末500側は、発信不可を表示できるタイプであったとしても、そのディスプレイ内容を見るまでは発信不可を認識することはできず、しかも、ディスプレイ無し電話機端末においては全く判定が不可能であった。
【0012】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、ディスプレイ付きの電話機端末ではディスプレイを見なくても通話不可状態を判定することが出来るようになり、一方、ディスプレイ無しの電話機端末でも、着信相手と通話不可の理由を判定することができるようになることを目的とする。
【0013】
また、本発明は、キャリア網が故障・輻輳時などで無応答時の動作の場合でも、着信相手に繋ぐことが出来るようになることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の通話不可理由の案内方法は、インターネットプロトコルの通信網を介して着信側の電話機端末に対して接続を要求した発信側の電話機端末が、当該着信側の電話機端末との間で通話路を確立できない場合には、通話路が確立できない通話不可理由を検出し、検出した通話不可理由を示す音声情報を当該発信側の電話機端末において発生させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の通話不可理由の案内方法において、前記通話不可理由を検出したときは、前記通話不可理由を識別する識別情報を前記発信側の電話機端末に送信し、当該識別情報を受信した前記発信側の電話機端末は、当該識別情報を音声情報に変換して発生することを特徴とする。
【0016】
さらにまた、本発明の通話不可理由の案内方法において、前記発信側の電話機端末は、アクセス中の前記通信網から前記通話不可理由を識別する識別情報を受信できない場合には、前記通信網が送信する識別情報とは独立した他の識別情報を音声情報に変換して発生することを特徴とする。
【0017】
さらにまた、本発明の通話不可理由の案内方法において、前記発信側の電話機端末は、前記アクセス中の通信網から前記通話不可理由を識別する識別情報を受信できない場合には、他の通信網に迂回して発信することを特徴とする。
【0018】
さらにまた、本発明の通話不可理由の案内方法において、前記通話不可理由を示す音声情報は、前記発信側の電話機端末の内部音源によって発生させることを特徴とする。
【0019】
さらにまた、本発明の通話不可理由の案内方法において、前記通話不可理由を示す音声情報は、通信網を介して前記発信側の電話機端末に接続される外部音源装置によって発生させることを特徴とする。
【0020】
本発明は、インターネットプロトコルによって通話を行う電話機端末、および、収容する任意の電話機端末からの発信および任意の電話機端末への着信に応じて当該発信又は着信に係る電話機端末と通信網とを接続する回線制御装置を有する通信システムであって、前記回線制御装置は、任意の電話機端末からの発信に応じてインターネットプロトコルの通信網にアクセスした際に、当該発信側の電話機端末と着信側の電話機端末との間で通話路を確立できない場合に、通話路が確立できない通話不可理由を前記通信網から得られないときは、独自の識別情報を当該発信側の電話機端末に送信し、前記発信側の電話機端末は、前記回線制御装置から前記独自の識別情報を受信したときは、当該独自の識別情報に基づく音声情報を発生し、および/又は、他の通信網に迂回して発信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の通話不可理由の案内方法および通話システムによれば、ディスプレイ付きの電話機端末ではディスプレイを見なくても通話不可状態を判定することが出来るようになり、一方、ディスプレイ無しの電話機端末でも、着信相手と通話不可の理由を判定することができるようになる。したがって、発信者は、着信不可理由がガイダンスで聞けるようになることで、状態に合わせた行動が起こしやすくなる。さらに、着信相手が話中の状態であればすぐに再発信をしても繋がる可能性は低く、時間を空けての再発信が有効となる。
【0022】
また、本発明の通話不可理由の案内方法および通話システムによれば、キャリア網が故障・輻輳時などで無応答時の動作の場合でも、着信相手に繋ぐことが出来るようになる。すなわち、網設備が故障・輻輳などの要因で通話不可な時は電話網に代わり、IPサーバ等の回線制御装置によってガイダンスを流すことで、発信者に電話網の故障を知らせることが出来るので、例えば、携帯電話などの通信網を介して別ルートへ迂回するなど、次の行動を起こすための手がかりとなる。あるいは、無応答時にはIPサーバ等の回線制御装置によって自動的に別ルートへ迂回することで、発信者が電話網の障害を意識することなく、着信相手に繋ぐことが出来るようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図1乃至図9を参照して、本発明の通信システムおよび通話不可理由の案内方法の実施形態について説明する。
【0024】
図1は本実施の形態を示す通信システムの構成を示す図である。図1に示す通信システムは、発信側IP電話機端末100を収容接続する発信側サーバ101と、着信側IP電話機端末104を収容接続する着信側サーバ103と、これら発信側サーバ101及び着信側サーバ103を通信接続するIP電話網102とを有し、発信側サーバ101は、通信線110を通じて発信側IP電話機端末100と通信接続すると共に、通信線111を通じてIP電話網102と通信接続し、着信側サーバ103は、通信線113を通じて着信側IP電話機端末104と通信接続すると共に、通信線112を通じてIP電話網102と通信接続するものである。
【0025】
尚、請求項に記載のインターネットプロトコルの通信網はIP電話網102、回線制御装置は発信側サーバ101および着信側サーバ103、着信側の電話機端末はIP電話機端末104、発信側の電話機端末はIP電話機端末100、音声情報は音声ガイダンスに相当するものである。
【0026】
図2は、発信側IP電話機端末100内部の概略構成を示すブロック図である。図2に示す発信側IP電話機端末100は、発信側サーバ101との通信インタフェースを行うIP I/F131と、ハンドセット132とのインタフェースを行うハンドセット部133と、ダイヤル盤134と、後述する音声ガイダンスを出力する音声部135と、この発信側IP電話機端末100全体を制御する制御部136と、これらIP I/F131、ハンドセット接続部133、ダイヤル盤134、音声部135及び制御部136間の制御信号や音声ガイダンス等のデータ経路を構成する主バス137とを有している。
【0027】
尚、請求項に記載の内部音源は音声部135に相当するものである。
【0028】
発信側IP電話機端末100の制御部136は、発信側IPサーバ101を通じて着信側IP電話機端末104に発信する際、発信側IPサーバ101、IP電話網102、着信側IPサーバ103若しくは着信側IP電話機端末104側の何れかが原因で着信IP電話機端末104の間に通話路を確立することができない場合、すなわち、何らかの原因で通話不可が発生した場合には、発信側IPサーバ101、IP電話網102、又は、着信側IPサーバ103から通話不可理由の原因を識別するSIPレスポンスコードを受信する。
【0029】
尚、請求項に記載の識別情報はSIPレスポンスコードに相当するものである。
【0030】
制御部136は、通話不可理由の原因を識別するSIPレスポンスコードを受信したときは、後述するSIPコードメモリ143に予め登録しているSIPレスポンスコードに対応する音声ガイダンスを検索して、登録した音声ガイダンスがある場合には、主バス137を介して、音声部135に対して該当する音声ガイダンスの送出を指示し、ハンドセット接続部133を経由しハンドセット132で音声ガイダンスを発音させる。一方、制御部136は、受信したSIPレスポンスコードに対応する音声ガイダンスがメモリに登録されていない場合には、主バス137を介して、ハンドセット接続部133を経由しハンドセット132でビジートーン(BT)を発音させる。
【0031】
図3は、図2の制御部136の内部構成を示すブロック図である。制御部136は、内部バス140を介して接続されたSIPコード検索部141、呼制御動作制御部142、SIPコードメモリ143、および外部I/F(インタフェース)144で構成されている。SIPコードメモリ143には、通話不可理由の原因に対応する種類のSIPレスポンスコードが登録されている。SIPコード検索部141は、SIPコードメモリ143を検索して、受信したSIPレスポンスコードの登録の有無を検索する。呼制御動作制御部142は、呼制御に関する情報の制御を行う。外部I/F144は、制御部136の内部バス140と主バス137とを接続して、制御部136が受信したSIPレスポンスコードを内部バス140に取り込むと共に、内部バス140と外部の主バス137との間で呼制御に関する情報を送受信する。
【0032】
図4は、図2の音声部135の構成を示すブロック図である。音声部135は、内部バス145を介して接続された音声ガイダンス内容制御部146、音源147、外部I/F148で構成されている。音声ガイダンス内容制御部146は、SIPレスポンスコードに応じた制御部136からの音声ガイダンス送出の指示により、音源部147に対して音声ガイダンス送出の指示を行う。音源部147は、音声ガイダンス内容制御部146からに対応する音声ガイダンスデータを送出する。外部I/F148は、音声部135の内部バス145と外部の主バス137とを接続して、音源部147から送出された音声ガイダンスデータを主バス137に送出する。
【0033】
次に、実施形態における通信システムの通話不可理由の案内方法について、図1および図5を参照して説明する。図5は、通信システムの発信動作フローである。発信側IP電話機端末100が発信すると(ステップS300)、IP電話機端末100を収容する発信側サーバ101は、自拠点発信可否状態を検出し、この検出結果に基づき発信可能であるか否かを判定する(ステップS301)。IP電話網102は、発信側サーバ101にて発信可能であると判定されると、網内発信可否状態を検出し、この検出結果に基づき発信可能であるか否かを判定する(ステップS302)。
【0034】
着信側サーバ103は、IP電話網102にて発信可能であると判定されると、着信側拠点着信可否状態を検出し、この検出結果に基づき、発信側IP電話機端末100の発信に対して着信可能であるか否かを判定する(ステップS303)。
【0035】
また、着信側サーバ103は、着信側サーバ103にて着信可能であると判定されると、発信側IP電話機端末100の着信先である着信側IP電話機端末104の着信側端末着信可否状態を検出し(ステップS304)、この検出結果に基づき着信可能であると判定されると、発信側IP電話機端末100に対してリングバックトーン(RBT)を送出することになる(ステップS305)。
【0036】
また、発信側サーバ101は、ステップS301にて自拠点発信不可であると判定されると、発信側IP電話機端末100に対して不可理由のSIPレスポンスコードを送出することになる(ステップS306)。
【0037】
また、IP電話網102は、ステップS302にて網内発信不可であると判定されると、発信側IP電話機端末100に対して不可理由のSIPレスポンスコードを送出することになる(ステップS307)。
【0038】
また、着信側サーバ103は、ステップS303にて発信側IP電話機端末100の発信に対して着信側拠点着信不可であると判定されると、発信側IP電話機端末100に対して不可理由のSIPレスポンスコードを送出することになる(ステップS308)。
【0039】
また、着信側サーバ103は、ステップS304にて着信側IP電話機端末104が着信不可であると判定されると、発信側IP電話機端末100に対して不可理由のSIPレスポンスコードを送出することになる(ステップS309)。
【0040】
発信側IP電話機端末100は、ステップS306、ステップS307、ステップS308、又はステップS309の処理によって、不可理由のSIPレスポンスコードを受信したときは、その不可理由のSIPレスポンスコードの検索を実施して、SIPレスポンスコードの登録の有無を判定する(ステップS310)。
【0041】
発信側IP電話機端末100は、登録があると判定した場合には、その不可理由のSIPレスポンスコードに対応する音声ガイダンスのマッピングを行って、対応する音声ガイダンスが登録されているか否かを判定する(ステップS311)。
【0042】
発信側IP電話機端末100は、ステップS311において、対応する音声ガイダンスが登録されていると判定した場合には、その該当する音声ガイダンスを送出して、ハンドセット132から発音させる(ステップS312)。
【0043】
また、発信側IP電話機端末100は、ステップS311において、対応する音声ガイダンスが登録されていないと判定した場合には、別ルートにて再発信を行う(ステップS313)。
【0044】
また、発信側IP電話機端末100は、ステップS310において、不可理由のSIPレスポンスコードに対応する音声ガイダンスのマッピングを行った結果、対応する音声ガイダンスが登録されていないと判定した場合には、ビジートーン(BT)を送出して、ハンドセット132から発音させる(ステップS314)。
【0045】
図6は、他の実施の形態における音源が外部端末の場合のサーバ型タイプの構成を示すブロック図である。図6において、外部音源装置105は、発信側サーバ101との通信インタフェースを行うIP I/F150と、音声ガイダンスを出力する音声部151と、この外部音源装置105全体を制御する制御部152と、これらIP I/F150、音声部151、制御部152間の制御信号や音声ガイダンス等のデータ経路を構成する主バス153とを有している。また、発信側サーバ101には、IP電話機端末106が接続されている。このIP電話機端末106は、図2に示したIP電話機端末100における音声部135を除き、他の構成要素は同じである。すなわち、このIP電話機端末106は、発信側サーバ101を介して接続された外部音源装置105から受信した音声ガイダンスを出力する。
【0046】
尚、請求項に記載の外部音源は音声部151に相当するものである。
【0047】
図6において、IP電話機端末106は、発信側IPサーバ101、IP電話網102、および着信側IPサーバ103を通じて着信側IP電話機端末104に発信する際、発信側IPサーバ101、IP電話網102、着信側IPサーバ103若しくは着信側IP電話機端末104側の何れかが原因で着信IP電話機端末104の間に通話路を確立することができない場合、すなわち、何らかの原因で通話不可が発生した場合には、発信側IPサーバ101、IP電話網102、又は、着信側IPサーバ103から通話不可理由の原因を識別するSIPレスポンスコードを受信する。IP電話機端末106は、SIPレスポンスコードを受信した際には、発信側IPサーバ101を介して外部音源装置105に接続して、その受信したSIPレスポンスコードを送信する。
【0048】
外部音源装置105の制御部152は、IP I/F150を介して、IP電話機端末106から送信されたSIPレスポンスコードを受信した際には、予め登録しているSIPレスポンスコードに対応する音声ガイダンスを検索して、登録した音声ガイダンスがある場合には、主バス153を介して、音声部151に対して該当する音声ガイダンスの送出を指示し、IP I/F150および発信側IPサーバ101を介して、音声ガイダンスをIP電話機端末106に送信し、IP電話機端末106のハンドセット132で音声ガイダンスを発音させる。一方、制御部152は、受信したSIPレスポンスコードに対応する音声ガイダンスが登録されていない場合には、IP I/F150および発信側IPサーバ101を介して、該当する音声ガイダンスが登録されていない旨の応答データをIP電話機端末106に送信する。この場合には、IP電話機端末106は、ハンドセット132でビジートーン(BT)を発音させる。
【0049】
したがって、図6のように音源が外部端末の通信システムにおいても、外部音源装置105とIP電話機端末106と間の通信処理が追加されるだけであり、発信動作フローは図5に示したものと基本的に同じであるので、図面および説明は省略する。また、次に説明するSIPレスポンスコードに対応する音声ガイダンスの内容、および発信手順のシーケンスも図2の場合と基本的に同じである。
【0050】
図7は、通話不可理由であるSIPレスポンスコードの内容、発生条件、および音声ガイダンスの内容(音声ガイダンスデータ)を示す図である。図7において、項目番号「1」から「9」までは、IP電話サービスの仕様として従来も利用されている。一方、項目番号「10」から「13」までは、本発明において新たに適用された独自の音声ガイダンスの内容である。
【0051】
尚、請求項に記載の独自の識別情報は図7の項目番号「11」から「13」までのSIPレスポンスコードおよび無応答(タイムアウト)の場合に相当する。
【0052】
項目番号「10」の場合には、発信側サーバ101が一定時間以上もSIPレスポンスコードが受信できない無応答(タイムアウト)の場合であり、IP電話機端末100の内部において、「現在電話網設備が故障中のためお繋ぎできません」という音声ガイダンスが発音される。
【0053】
項目番号「11」の場合には、自拠点発信不可が発生条件であり、図5のフローのステップS306において、不可理由「XXA」のSIPレスポンスコードが送出される。この場合には、「現在交換機が混みあっているためお繋ぎできません」という音声ガイダンスが発音される。
【0054】
尚、この場合において、IPサーバと交換機(PBX)とは異なる装置であるが、双方とも回線制御装置の一例であるので、ユーザに理解できるように「現在交換機が混みあっているためお繋ぎできません」という音声ガイダンスが発音される。
【0055】
項目番号「12」の場合には、網内発信不可が発生条件であり、図5のフローのステップS307において、不可理由「XXB」のSIPレスポンスコードが送出される。この場合には、「現在電話網設備が混みあっているためお繋ぎできません」という音声ガイダンスが発音される。
【0056】
項目番号「13」の場合には、着信側発信不可が発生条件であり、図5のフローのステップS308において、不可理由「XXC」のSIPレスポンスコードが送出される。この場合には、「現在お客様拠点が混みあっているためお繋ぎできません」という音声ガイダンスが発音される。
【0057】
次に、SIPレスポンスコードが受信できず、無応答(タイムアウト)の時の動作について説明する。無応答(タイムアウト)の時の動作は、設定により、ガイダンス送出又は再発信の2種類の動作がある。図8は、無応答時のガイダンス送出動作の手順を示すシーケンス図である。図8において、発信側IP電話機端末100は、発信側サーバ101を介してIP電話網102へINVITE490を送信する。
【0058】
発信側IP電話機端末100は、IP電話網102から無応答の場合はあらかじめ設定された時間t1経過後INVITE490Aを再送する。発信側IP電話機端末100は、INVITE490Aに対しても無応答の際は、同様にあらかじめ設定された時間経過t2後に再送を行う。
【0059】
発信側IP電話機端末100は、再送があらかじめ決められた回数nに達すると、発信側サーバ101からタイムアウト491を受信して、IP電話機端末100のハンドセット132から「現在電話網設備が故障中のためお繋ぎできません」という音声ガイダンス492が発音される。すなわち、図7の項目番号「10」の場合に相当する。
【0060】
図9は、無応答時の再発信の動作の手順を示すシーケンス図である。図9において、発信側IP電話機端末100から発信側サーバ101を介してIP電話網102へINVITE490を送信する。
【0061】
発信側IP電話機端末100は、IP電話網102から無応答の場合はあらかじめ設定された時間経t1過後INVITE490Aを再送する。INVITE490Aに対しても無応答の際は、同様にあらかじめ設定された時間t2経過後に再送を行う。
【0062】
発信側IP電話機端末100は、再送があらかじめ決められた回数nに達すると、発信側サーバ101からタイムアウト491を受信する。
【0063】
次に、発信側IP電話機端末100は、別ルート網202に対してINVITE490Bを送信する。別ルート網202は、このINVITE490Bに応答して100Trying491Aを発信側IP電話機端末100に送信する。また、別ルート網202は、着信側サーバ103を介して着信側IP電話機端末104にINVITE490Cを送信する。別ルート網202は、着信側サーバ103から100Trying491Bを受信し、さらに、着信側IP電話機端末104から180Ringing492Aを受信すると、180Ringing492Bを発信側IP電話機端末100に送信する。
【0064】
次に、別ルート網202は、INVITE490Cに応答した着信側IP電話機端末104から200OK493Aを受信すると、200OK493を発信側IP電話機端末100に送信する。
【0065】
発信側IP電話機端末100は、200OK493に応答して、ACK494を別ルート網202に送信する。別ルート網202は、ACK494を受信すると、ACK494Aを着信側IP電話機端末104に送信する。
【0066】
この後は、発信側サーバ101、別ルート網202、および着信側サーバ103を介して、発信側IP電話機端末100と着信側IP電話機端末104との間で通話路495が確立する。
【0067】
上記のように本実施形態の通話不可理由の案内方法によれば、IP電話網102を介して、着信側IP電話機端末104に対して接続を要求した発信側IP電話機端末100が、着信側IP電話機端末104との間で通話路を確立できない場合には、通話路が確立できない通話不可理由を検出し、検出した通話不可理由を示す音声ガイダンスを発信側IP電話機端末100において発生させる。
【0068】
この場合において、発信側サーバ101、IP電話網102、着信側サーバ103は、それぞれ通話不可理由を検出したときは、通話不可理由を識別するSIPレスポンスコードを発信側IP電話機端末100に送信し、そのSIPレスポンスコードを受信した発信側IP電話機端末100は、そのSIPレスポンスコードを音声ガイダンスに変換して発生する。
【0069】
また、この場合において、発信側IP電話機端末100は、アクセス中のIP電話網102から通話不可理由を識別するSIPレスポンスコードを受信できない場合には、IP電話網102が送信するSIPレスポンスコードとは独立した他のSIPレスポンスコード、すなわち、図7の「XXA」、「XXB」、「XXC」を対応する音声ガイダンスに変換して発生する。
【0070】
あるいは、この場合において、発信側IP電話機端末100は、アクセス中のIP電話網102から通話不可理由を識別するSIPレスポンスコードを受信できない場合、すなわち、無応答(タイムアウト)の場合には、別ルート網202に迂回して発信する。
【0071】
図2に示したように、通話不可理由を示す音声ガイダンスは、発信側IP電話機端末100の内部音源である音声部135によって発生させる。
【0072】
したがって、ディスプレイ付きのIP電話機端末ではディスプレイを見なくても通話不可状態を判定することが出来るようになる。さらに、ディスプレイ無しのIP電話機端末でも、着信相手と通話不可の理由を判定することが可能になる。この結果、着信相手と通話不可の際にその通話不可理由がわかることで、着信相手が話中にもかかわらず何度も掛けなおしてしまう事などを避けることができ、無駄をなくすことで作業の効率化につなげることが可能となる。
【0073】
また、キャリア網が故障・輻輳時などで無応答時の動作、すなわち、音声ガイダンスや別ルート再発信が出来るようになることで網が故障・輻輳時の対応が行いやすくなる。
【0074】
図6に示した他の実施形態のように、通話不可理由を示す音声ガイダンスは、発信側IPサーバ101を含む通信網を介して、発信側IP電話機端末100に接続される外部音源装置105によって発生させることも可能である。
【0075】
したがって、外部音源を用いる方式であれば多数設置されているIP電話機端末を交換することなく本発明が利用できるようになる。
【0076】
また、本実施形態の通信システムは、収容する任意のIP電話機端末100からの発信および任意のIP電話機端末104への着信に応じて当該発信又は着信に係るIP電話機端末100とIP電話網102とを接続する発信側IPサーバ101、着信側IPサーバ103を有し、発信側IPサーバ101は、IP電話機端末100からの発信に応じてIP電話網102にアクセスした際に、その発信側IP電話機端末100と着信側IP電話機端末104との間で通話路を確立できない場合に、通話路が確立できない通話不可理由をIP電話網102から得られないときは、独自の識別情報であるSIPレスポンスコードを発信側IP電話機端末100に送信し、発信側IP電話機端末100は、発信側IPサーバ101から独自の識別情報を受信したときは、その独自の識別情報に基づく音声ガイダンスを発生するか、又は、他の別ルート網に迂回して発信する。
【0077】
したがって、ディスプレイ付きのIP電話機端末ではディスプレイを見なくても通話不可状態を判定することが出来るようになる。さらに、ディスプレイ無しのIP電話機端末でも、着信相手と通話不可の理由を判定することが可能になる。この結果、着信相手と通話不可の際にその通話不可理由がわかることで、着信相手が話中にもかかわらず何度も掛けなおしてしまう事などを避けることができ、無駄をなくすことで作業の効率化につなげることが可能となる。
【0078】
また、キャリア網が故障・輻輳時などで無応答時の動作、すなわち、音声ガイダンスや別ルート再発信が出来るようになることで網が故障・輻輳時の対応が行いやすくなる。
【0079】
尚、上記実施の形態および変形例においては、発信側の電話機端末および着信側の電話機端末として、IP電話機端末100およびIP電話機端末104を例に採って、本発明の通話不可理由の案内方法および通話システムを説明したが、IP電話機端末以外の他の電話機端末、例えば、一般のアナログの電話機端末、デジタル電話機端末、多機能電話機端末、携帯電話機端末によっても、本発明の通話不可理由の案内方法および通話システムを構築することができる。要は、電話網を介して、着信側の電話機端末に対して接続を要求した発信側の電話機端末が、着信側の電話機端末との間で通話路を確立できない場合には、通話路が確立できない通話不可理由を検出し、検出した通話不可理由を示す音声ガイダンスを発信側の電話機端末において発生させる構成であればよい。
【0080】
すなわち、他の実施形態の通信システムとして、IP電話網とPBXとの間に、回線接続制御を行うVoIPGW(ボイスIPゲートウェイ)を設けて、IP電話網に接続されたIP電話機端末と、PBXに接続されたアナログ電話機端末との間において、着信側の電話機端末に対して接続を要求した発信側の電話機端末が、着信側の電話機端末との間で通話路を確立できない場合には、通話路が確立できない通話不可理由を検出し、検出した通話不可理由を示す音声ガイダンスを発信側の電話機端末において発生させる構成でもよい。
【0081】
この場合においても、発信側の電話機端末の内部音源によって音声ガイダンスを発生させる構成でもよいし、発信側の電話機端末に接続される外部音源装置によって音声ガイダンスを発生させる構成でもよい。
【0082】
また、さらに他の実施形態の通信システムとして、PBXに接続された2つのアナログ電話機端末の間において、着信側の電話機端末に対して接続を要求した発信側の電話機端末が、着信側の電話機端末との間で通話路を確立できない場合には、通話路が確立できない通話不可理由を検出し、検出した通話不可理由を示す音声ガイダンスを発信側の電話機端末において発生させる構成でもよい。
【0083】
この場合においても、発信側の電話機端末の内部音源によって音声ガイダンスを発生させる構成でもよいし、発信側の電話機端末に接続される外部音源装置によって音声ガイダンスを発生させる構成でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の通話不可理由の案内方法および通話システムによれば、ディスプレイ付きの電話機端末ではディスプレイを見なくても通話不可状態を判定することが出来るようになり、一方、ディスプレイ無しの電話機端末でも、着信相手と通話不可の理由を判定することができるようになるため、電話機端末同士の通信システム、例えばIP電話システム等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施形態における通信システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態における発信側IP電話機端末内部の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図2の制御部の内部構成を示すブロック図である。
【図4】図2の音声部の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態における通信システムの発信動作フローである。
【図6】本発明の他の実施の形態における音源が外部端末の場合のサーバ型タイプの構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施形態における通話不可理由であるSIPレスポンスコードの内容、発生条件、および音声ガイダンスの内容を示す図である。
【図8】本発明の実施形態における無応答時のガイダンス送出動作の手順を示すシーケンス図である。
【図9】本発明の実施形態における無応答時の再発信の動作の手順を示すシーケンス図である。
【図10】従来の通信システムの構成を示す図である。
【図11】従来の通信システムの発信動作フローである。
【符号の説明】
【0086】
100 発信側IP電話機端末
101 発信側IPサーバ
102 IP電話網
103 着信側IPサーバ
104 着信側IP電話機端末
105 外部音源装置
135 音声部
136 制御部
202 別ルート網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネットプロトコルの通信網を介して着信側の電話機端末に対して接続を要求した発信側の電話機端末が、当該着信側の電話機端末との間で通話路を確立できない場合には、通話路が確立できない通話不可理由を検出し、検出した通話不可理由を示す音声情報を当該発信側の電話機端末において発生させることを特徴とする通話不可理由の案内方法。
【請求項2】
前記通話不可理由を検出したときは、前記通話不可理由を識別する識別情報を前記発信側の電話機端末に送信し、当該識別情報を受信した前記発信側の電話機端末は、当該識別情報を音声情報に変換して発生することを特徴とする請求項1に記載の通話不可理由の案内方法。
【請求項3】
前記発信側の電話機端末は、アクセス中の前記通信網から前記通話不可理由を識別する識別情報を受信できない場合には、前記通信網が送信する識別情報とは独立した他の識別情報を音声情報に変換して発生することを特徴とする請求項2に記載の通話不可理由の案内方法。
【請求項4】
前記発信側の電話機端末は、前記アクセス中の通信網から前記通話不可理由を識別する識別情報を受信できない場合には、他の通信網に迂回して発信することを特徴とする請求項2に記載の通話不可理由の案内方法。
【請求項5】
前記通話不可理由を示す音声情報は、前記発信側の電話機端末の内部音源によって発生させることを特徴とする請求項1に記載の通話不可理由の案内方法。
【請求項6】
前記通話不可理由を示す音声情報は、通信網を介して前記発信側の電話機端末に接続される外部音源装置によって発生させることを特徴とする請求項1に記載の通話不可理由の案内方法。
【請求項7】
インターネットプロトコルによって通話を行う電話機端末、および、収容する任意の電話機端末からの発信および任意の電話機端末への着信に応じて当該発信又は着信に係る電話機端末と通信網とを接続する回線制御装置を有する通信システムであって、
前記回線制御装置は、任意の電話機端末からの発信に応じてインターネットプロトコルの通信網にアクセスした際に、当該発信側の電話機端末と着信側の電話機端末との間で通話路を確立できない場合に、通話路が確立できない通話不可理由を前記通信網から得られないときは、独自の識別情報を当該発信側の電話機端末に送信し、
前記発信側の電話機端末は、前記回線制御装置から前記独自の識別情報を受信したときは、当該独自の識別情報に基づく音声情報を発生し、および/又は、他の通信網に迂回して発信することを特徴とする通話システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−219485(P2008−219485A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−54296(P2007−54296)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(000153465)株式会社日立コミュニケーションテクノロジー (770)
【Fターム(参考)】