説明

速報受信装置

【課題】速報受信装置が同一の地震に基づく、同一の速報を複数回告知するとことで、受信装置の視聴者が告知を煩雑に感じることがあり、又はいたずらに心配を煽られるという問題を有していた。
【解決手段】速報受信装置1は、速報の内容が、複数の符号化方式に基づいてデータ化された複数の速報データを受信する受信部3、11と、前記速報データを特定の符号化方式に基づいて新たな速報データに変換するフォーマット変換部15と、前記新たな速報データを逐次記憶する記憶部17と、逐次記憶された前記新たな速報データを互いに比較する制御部20と、前記制御部20で比較した結果に基づいて前記新たな速報データから速報の内容を告知処理する告知部8、9を有する速報受信装置とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急地震速報や、天災速報や、ニュース速報などの速報を受信する速報受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2007年から気象庁により緊急地震速報の運用が開始された。緊急地震速報とは、地震の初期微動を検知して震源や地震の規模(マグニチュード)を直ちに推定し、これに基づいて各地での主要動の到達時刻や震度を予測し、可能な限り素早く知らせて地震の被害をできるかぎり未然に防止、または低減しようとするものである。
【0003】
緊急地震速報をデータ化した緊急地震速報データの送信に用いる伝送経路としては、地上デジタル放送を用いる経路と、携帯端末向けメールを用いる経路が考えられている。
【0004】
地上デジタル放送を用いる経路で緊急地震速報をデータ化して送信する伝送手段としては、第一に非同期PESを使った文字スーパーを使う伝送手段、第二にデータカルーセルを使ったイベントメッセージを使う伝送手段、第三にワンセグメント放送のAuxiliary Channel(以下、ACと記述する)に地域情報や震源地情報を符号化して伝送する伝送手段が検討されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
ここで送信されるデータは従来の地上デジタル放送の規格に基づいて運用されるので、文字スーパーはARIB規格TR−B14第3編に従って運用され、文字符号体系としてはARIB STD−B24第1編に規定された8単位文字符号を用いて送信される。イベントメッセージは文字スーパーと同じくARIB規格TR−B14第3編に従って運用され、文字符号体系としてはSTD−B24第2編に規定された文字符号を用いて送信される。地上デジタル放送のACでは新たに規格化されるコードに符号化されて送信される。
【0006】
また、携帯端末向けメールを用いる経路では、同報メールを使用した伝送手段が検討されている。同報メールではISO−2022−jpに準拠して符号化された緊急地震速報データとして送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−243936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来の方式では、緊急地震速報が地上デジタル放送事業者あるいは携帯電話事業者によってそれぞれの伝送手段に対応する符号化方式に基づいて変換された緊急地震速報データとして複数並行して送信される。各緊急地震速報データは伝送手段の違いにより、若干のタイムラグを伴って受信されることが知られている。この場合、受信装置が複数の伝送手段で並行して送信された緊急地震速報データを、複数受信する機能を有している場合は、当然に緊急地震速報の内容を複数回告知することになる。
【0009】
このように、同一の地震に基づく、同一の緊急地震速報を複数回告知するということは、受信装置の視聴者が告知を煩雑に感じることがあり、又はいたずらに心配を煽られるという問題を有していた。
【0010】
このような問題は緊急地震速報に限られたものではなく、天災速報やニュース速報のようなものが複数の伝送手段で並行して送信された場合にも生ずる。
【0011】
本発明は上記問題を解決するもので、すでに告知したものと関連のある速報の内容を、不要に繰り返して告知することなく、視聴者の利便性を向上した速報受信装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記従来の課題を解決するために本発明の受信装置は、速報の内容が、複数の符号化方式に基づいてデータ化された複数の速報データを受信する受信部と、前記速報データを特定の符号化方式に基づいて新たな速報データに変換するフォーマット変換部と、前記新たな速報データを逐次記憶する記憶部と、逐次記憶された前記新たな速報データを互いに比較する制御部と、前記制御部で比較した結果に基づいて前記新たな速報データから速報の内容を告知処理する告知部を有する速報受信装置とした。
【発明の効果】
【0013】
本発明の速報受信装置によれば、速報データの符号化方式を特定の符号化方式に変換することにより速報データ同士の比較が可能となるので、速報の内容が今までに受信した速報と関連のあるものであるか否かが判明し、その判明結果を告知処理に反映することが可能である為、視聴者の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態における緊急地震速報受信装置の構成を示したブロック図
【図2】本発明の実施の形態における緊急地震速報データの構成を示したパケット図
【図3】本発明の実施の形態における緊急地震速報受信装置の表示例を示したイメージ図
【図4】本発明の実施の形態における緊急地震速報受信装置の動作の様子を説明するフローチャート
【図5】本発明の実施の形態における緊急地震速報受信装置の異なる動作の様子を説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1から図5を用いて、本発明の実施の形態について説明する。
<装置の説明>
図1は本発明の速報受信装置の実施の形態の一例である、地上デジタル放送受信機能および携帯端末向けメール機能を備えた緊急地震速報受信装置1のブロック図である。緊急地震速報受信装置1は緊急地震速報のほか、地上デジタル放送、携帯端末向けメールをも受信することができる。ここで視聴者は普段、地上デジタル放送などを視聴する用途として緊急地震速報受信装置1を使用していることを想定する。
【0016】
以下、図1を参照しながら実施の形態について詳しく説明する。
<地上デジタル放送の視聴>
地上デジタル放送は、地上デジタル放送受信用アンテナ2で受信されると、受信部の一部であるチューナ3で選局される。チューナ3によって選局受信されたデジタル放送のデータは復調部4でトランスポートストリームに復調される。
【0017】
復調されたトランスポートストリームはトランスポートデコード部5によって映像・音声をはじめ必要なデータがフィルタリングして取り出される。
【0018】
取り出された映像データおよび音声データはAVデコード部6によって各種出力装置に出力可能な形式にデコードされる。映像データは表示制御部7における表示の制御によって、表示部8に表示される。音声データはスピーカ9から出力される。
<携帯端末向けメールの受信機能>
次に、緊急地震速報受信装置1に備えられた携帯端末機能について説明する。ここでは、携帯端末機能のうち、説明上緊急地震速報のメールの受信機能に絞って説明する。
【0019】
まず、携帯端末用アンテナ10が携帯電話の基地局(図示せず)と通信を行ってメールを受信する。次いで受信部の一部であるRF部11が携帯端末用アンテナ10で受信したメールを復調する。そして、ベースバンド部12が復調したメールデータを文字情報に復号する。
【0020】
緊急地震速報受信装置1は地上デジタル放送受信装置であるので、復号した緊急地震速報メールの本文については地震速報表示処理部13で見やすい形式に調整し、表示制御部7で地上デジタル放送の映像に重畳し、表示部8に表示する。
<緊急地震速報データの受信>
続いて、緊急地震速報受信装置1が異なる符号化方式に基づいて生成された緊急地震速報データを受信する際の動作について説明する。ここで、各説明において場面は異なるものとし、緊急地震速報データを一種類だけ受信した場合の動作を説明しているものとする。
<緊急地震速報データの内容>
図2は緊急地震速報データの有するパケット構成の例である。緊急地震速報データには、送信されるデータが緊急地震速報であることを示す緊急地震速報の記述子、データの区切りを示すstart_end_flag、地域情報、震源地情報、予測震度などが符号化されたものが含まれている。
【0021】
緊急地震速報の内容には速報の内容を示す「緊急地震速報」からなる文字列、震源地および地域を特定するために必要な都道府県、一定基準以上の大きさの島、半島、湾の情報を示す文字列、都道府県・島・半島・湾を基準にして震源を示す方位・方向などの情報を示す文字列、震度を示す数字および強弱の情報を示す文字列が含まれる。
【0022】
それぞれの文字列を、文字スーパーとして送信する場合はARIB STD−B24第1編に記載の8単位文字符号、イベントメッセージとして送信する場合はSTD−B24第2編に規定された文字符号であるEUC−JP、ACで送信する場合は現時点では未定であるが表1に示した緊急地震速報記述子用コード符号、メールで使用されるISO−2022−jpで規定された符号が表1のように対応し、変換され送信されるのである。
【0023】
表1から表4に緊急地震速報の内容と符号の対応表を示す。
【0024】
表1は「緊急地震速報」からなる文字列が、各符号化方式においてどのように符号化されるかを示した符号化対応表である。
【0025】
【表1】

【0026】
表2は震源地および地域を特定するために必要な都道府県、一定基準以上の大きさの島、半島、湾の情報を示す文字列が、各符号化方式においてどのように符号化されるかを示した符号化対応表である。
【0027】
【表2】

【0028】
表3は都道府県・島・半島・湾を基準にして震源を示す方位・方向などの情報を示す文字列が、各符号化方式においてどのように符号化されるかを示した符号化対応表である。本実施例では震源を示す手段として、上記のように都道府県・島・半島・湾を基準にして方位・方向を用いたが、緯度・経度の具体的な数値を用いても差し支えない。
【0029】
【表3】

【0030】
表4は震度を示す数字および強弱の情報を示す文字列が、各符号化方式においてどのように符号化されるかを示した符号化対応表である。
【0031】
【表4】

【0032】
<ワンセグメント放送のACによる緊急地震速報データの受信>
第一に、ワンセグメント放送のACを用いて緊急地震速報データを受信した場合の動作を説明する。ここで緊急地震速報データの符号化方式は、緊急情報記述子がARIB TR−B14第4編の規定に準じた形式に、地域情報がARIB TR−B14第7編で規定されている地域識別に準じた形式に基づいて符号化されたものとする。
【0033】
AC検出部14は、復調部4からワンセグメント放送のACで送信されているデータを抽出し、緊急地震速報記述子が送信されているか監視するものである。
【0034】
例えば、start_end_flagに続いて、地域情報を表すループで「0a」を検出すると表2に示すように「北海道」であると認識される。
【0035】
続いて、震源地情報を表すループで例えば「0a c0 d0」を検出すれば表2及び表3に示すように「北海道東方沖」であると認識される。同様に、予測震度を表すループで例えば「e5 ee」を検出すれば表4に示すように「震度5弱」であると認識される。
【0036】
フォーマット変換部15aでは、ACで検出された緊急地震速報データのうち地域情報、震源地情報、予測震度などのデータを、文字列データベース16を参照しISO−2022−jpコードに表1から表4の対応に従って変換して、表5に示すように記憶部17に記憶する。
【0037】
ここで文字列データベース16は表1から表4に示した符号化対応表に相当するデータテーブルを有するものであり、緊急地震速報に含まれる文字列と、緊急地震速報データに含まれるデータとの対応を記憶しているものである。このような文字列データベース16を備えることによって、緊急地震速報に含まれるデータを後々比較可能な状態に変換するのに役立つ。
【0038】
「北海道」を表す地域コード「0a」は表2に示すようにコード「4b 4c 33 24 46 3b」に、「北海道東方沖」を表す震源地コード「0a c0 d0」は表2及び表3に示すようにコード「4b 4c 33 24 46 3b 45 6c 4a 7d 32 3d」に、「震度5弱」を表す予測震度コード「e5 ee」は表4に示すようにコード「23 35 3c 65」に変換して、伝送手段および記憶するデータのバイト数を付加して記憶部17に記憶する。
【0039】
ACに割り当てられるデータ量は限られるため、例えば地域情報として都道府県名を特定のビットに割り当てたり、震源地情報として緯度・経度などの具体的な数値を用いても差し支えない。
【0040】
伝送手段を表すデータとしては、例えば携帯端末向けメールが「0」、ワンセグACが「1」、文字スーパーが「2」、イベントメッセージが「3」としている。よって、ワンセグメント放送のACによる緊急地震速報データの受信の場合は「1」を付加する。
【0041】
同時にトランスポートデコード部5が地上デジタル放送で送信されるTOT(Time Offset Table)から現在時刻を得ることができるので、緊急地震速報を検出した時刻を取得し記憶部17に記憶する。
【0042】
地震速報表示処理部13は記憶部17からACで受信した緊急地震速報データを取得し、
あらかじめ決められたフォーマットでメッセージを作成し、メッセージは表示制御部7で映像信号に重畳される。
【0043】
視聴者に対する緊急地震速報の告知は告知部が告知処理を行うことによって行う。告知とは音声、映像その他視聴者が知覚できるもので視聴者に伝えることを言う。告知処理とは、緊急地震速報の内容を発声、表示するような処理のことを言う。
【0044】
本実施の形態では告知部の告知処理は、表示部8が文字情報を表示することによって行う。具体的には表示部8は前記重畳されたメッセージを表示することによって視聴者に告知処理をする。表示例を図3に示す。また、本実施の形態では告知部の告知処理は、スピーカ9が文字情報を発声によって行う。
<文字スーパーによる緊急地震速報データの受信>
次に、文字スーパーで緊急地震速報が送信された場合の緊急地震速報受信装置1の動作について説明する。
【0045】
文字スーパーが独立PESで送信されていれば、文字スーパーのデータはトランスポートデコード部5においてフィルタリングされ文字スーパー検出部18に送られる。
【0046】
文字スーパー検出部18においては、文字スーパーのデータをARIB STD−B24第1編に記載の8単位文字符号体系に準拠して解析する。文字スーパーのデータには文字スーパーを表示部8に表示する際の表示制御コードも含まれるが、文字スーパー検出部18では文字列データベース16を参照して文字コードを検索する。
【0047】
文字スーパーの本文として、例えば「緊急地震速報」「震源地は北海道東方沖」「予想震度5弱」「北海道地域では強い地震に注意して下さい」と送信されたとすると、文字スーパー検出部18では地震を特徴付ける文字列として「緊急地震速報」、「北海道東方沖」、「5弱」、「北海道」を検出すると同時に、トランスポートデコード部5からTOTから再生した現在時刻情報を取得する。
【0048】
検出された文字列はフォーマット変換部15bが文字列データベース16を参照しISO−2022−jpコードに変換して、伝送手段を表すデータ(文字スーパーであるので「2」)、データのバイト数および取得した現在時刻情報を付加して、記憶部17に記憶する。
【0049】
また、文字スーパーのデータは、トランスポートデコード部5からAVデコード部6に送られて文字スーパーとして映像に重畳され、表示制御部7で表示制御を行い、表示部8に表示して視聴者に告知する。
<イベントメッセージによる緊急地震速報データの受信>
次に、イベントメッセージで緊急地震速報が送信された場合の緊急地震速報受信装置1の動作について説明する。
【0050】
データカルーセルにイベントメッセージが存在する場合、イベントメッセージのデータはトランスポートデコード部5においてフィルタリングされ、イベントメッセージ検出部19に送られる。
【0051】
イベントメッセージ検出部19においては、イベントメッセージのデータをARIB STD−B24第2編に記載の文字符号体系に準拠して解析するが、以下の説明ではEUC−JPのコードを参照して説明する。
【0052】
イベントメッセージ検出部19では文字列データベース16を参照して文字コードを検索する。イベントメッセージ本文として、例えば「緊急地震速報」「震源地は北海道東方沖」「予想震度5弱」「北海道地域では強い地震に注意して下さい」と送信されたとすると、イベントメッセージ検出部19では地震を特徴付ける文字列として「緊急地震速報」、「北海道東方沖」、「5弱」、「北海道」を検出すると同時に、トランスポートデコード部5からTOTから再生した現在時刻情報を取得する。
【0053】
検出された文字列はフォーマット変換部15cが文字列データベース16を参照しISO−2022−jpコードに変換して、伝送手段を表すデータ(イベントメッセージであるので「3」)、データのバイト数および取得した現在時刻情報を付加して、記憶部17に記憶する。
【0054】
また、イベントメッセージのデータは、トランスポートデコード部5からAVデコード部6に送られてマルチメディアデータとして映像に重畳され、表示制御部7で表示制御を行い、表示部8に表示して視聴者に告知する。
<携帯端末向けメールによる緊急地震速報データの受信>
次に、携帯端末向けメールで緊急地震速報が送信された場合の緊急地震速報受信装置1の動作について説明する。
【0055】
携帯電話の基地局(図示せず)から携帯端末用アンテナ10を介して緊急地震速報メールを受信すると、RF部11では緊急地震速報であることを表す信号を検出し、復調してメール本文を抽出し、ベースバンド部12に送る。
【0056】
ベースバンド部12ではメール本文のデータをISO−2022−jpに準拠して解析する。ベースバンド部12では文字列データベース16を参照して文字コードを検索する。
【0057】
なお、このように、本実施の形態において本発明における特定の符号化方式に対応するISO−2022−jpと同一の符号化方式に基づいた緊急地震速報データを受信した場合には、処理時間短縮の為にも、符号化方式を変換する必要はない。
【0058】
変換していない文字列と、伝送手段を表すデータ(携帯端末向けメールであるので「0」)、データのバイト数および取得した現在時刻情報を付加して、記憶部17に記憶する。
【0059】
ここで、文字情報として例えば「緊急地震速報」「震源地は北海道東方沖」「予想震度5弱」「北海道地域では強い地震に注意して下さい」と送信されたとすると、文字列データを検出して記憶部17にデータを記憶する動作は上記文字スーパーの場合と同様である。緊急地震速報メールの本文のデータは、地震速報表示処理部13で見やすい形式に調整し表示制御部7で映像に重畳し、表示部8に表示することにより視聴者に告知する。
【0060】
なお、告知の手段も表示処理の他、音声処理によるものであってもよい。
<複数の伝送手段による緊急地震速報データの受信>
次に、複数の伝送手段で連続して受信された複数の緊急地震速報の処理について、図4を参照しながら説明する。図4においてステップS0からステップS7は以下の各推移状態に対応する。
【0061】
まず、緊急地震速報受信装置1は、地上デジタル放送の視聴などを行っており、緊急地震速報受信の機能としては待機状態にあるとする。(ステップS0)。上記で説明した伝送手段のいずれかから緊急地震速報データを受信したかどうかを判断する(ステップS1)。ステップS1において緊急地震速報データを受信すると、特定の符号化方式であるISO−2022−jpに準拠した符号化方式に変換される(ステップS2)。ステップS1において緊急地震速報データを受信しない場合はステップS0の待機状態に戻る。
【0062】
次いで変換後の地震速報データが記憶部17に記憶される(ステップS3)。既に記憶部17に前もって受信した緊急地震速報データがあるかどうかを判断する(ステップS4)。ステップS4において記憶部17に緊急地震速報データがある場合は、制御部20が受信した緊急地震速報データと、記憶部17に存在する緊急地震速報データとの比較を行う(ステップS5)。
【0063】
ここで、先に各フォーマット変換部において、異なる符号化方式に基づいて生成されていた緊急地震速報データを、特定の符号化方式であるISO−2022−jpに準拠した符号化方式に統一して変換しておいたことにより、制御部20によって比較が可能となるという本発明特有の効果が発揮される。
【0064】
ステップS5の比較結果によって、記憶部17に記憶された緊急地震速報データに等しいものか否か判断する(ステップS6)。ステップS6において記憶部17に記憶された緊急地震速報データに等しいものでなければ、受信した緊急地震速報の内容を表示部8に表示することにより視聴者に告知する(ステップ7)。また、ステップS4において記憶部17に緊急地震速報が存在しない場合も同様にステップS7の告知処理を行う。
【0065】
ステップS7の告知処理後は、記憶部17に緊急地震速報データを1個追記記憶した状態でのステップS0の待機状態に移行する。また、ステップS6において記憶部17に記憶された緊急地震速報データに等しいものであれば、同内容の緊急地震速報を通知することなくステップS0の待機状態に移行する。
【0066】
このような処理によって、緊急地震速報受信装置1の視聴者はいたずらに同一の緊急地震速報を告知されることがなくなり、無駄な心労を重ねる必要がないという利点がある。
【0067】
また、制御部20は受信した緊急地震速報データに対して記憶部17に記憶された全データと比較を行ってもよいし、最近に受信したデータのみと比較を行ってもよい。最近に受信したデータのみと比較を行う場合はデータの比較に要する時間が少ないという利点がある。
【0068】
上記のように各伝送手段で緊急地震速報を受信した場合の記憶部17に記憶されたデータの一例を表5に示す。
【0069】
【表5】

【0070】
データNo.1からNo.4は、1秒間隔で受信した緊急地震速報データに付与される番号であり、データNo.2からNo.3においては、図4のステップS6において、この場合はデータNo.2はデータNo.1と、データNo.3はデータNo.2またはNo.1と、データNo.4はデータNo.3ないしNo.1と緊急地震速報データの内容が一致していると判断する。そして、視聴者への告知はデータNo.1について、すなわち1番最初の緊急地震速報データの受信時のみ行う。
【0071】
ここで、緊急地震速報データの比較によって、内容が一致していると判断した場合は、記憶部17の内容から内容が一致したデータのいずれか一方を削除しても良い。このようにすると記憶部17の容量を節約しつつ、いずれか一方のデータは残るので、比較用のデータが記憶部17上に存在しないといった事態も生じないという利点がある。
【0072】
また、制御部20が行う緊急地震速報データの内容の比較は、同一性を確認するのみならず、様々な用途が可能であるし、比較した結果に基づく告知処理の内容も、視聴者の用途に応じて様々なものが考えられる。例えば、直前に告知した緊急地震速報と比べて、地域は同一であるが震度が異なるという場合には「先ほどの地震とは異なるものです。」などとあえて強調した表示を表示部8に付加して行うことにより、視聴者に一層の注意を喚起させることができる。
<時限制御>
また比較の結果、本来ならば例えば告知処理を行わないと判断するような状況であっても、受信日時があらかじめ決めた時間、例えば1分以上差があれば別の緊急地震速報と判断して表示を行うというように時限制御を行わせてもよい。
【0073】
時限制御について再び表5を参照しながら緊急地震速報受信装置1の動作を説明する。表5においてデータNo.5はデータNo.4の30分後に受信したものである。よって1分以上の受信時刻の差があるので、時限制御を行う場合は緊急地震速報データの内容が一致していたとしても、緊急地震速報受信装置1は告知処理を行う。
【0074】
一般に、同一の緊急地震速報が緊急地震速報データとして複数異なる伝送経路、伝達手段で並列して送信されてくる場合であっても、受信装置で計測されるタイムラグはそれほど長大なものにはならないと想定される。よって、このような時限制御を行うことにより、同一の地震速報を重複して告知するといったリスクはわずかに残るが、内容が偶然同一で実は異なる地震により報じられた緊急地震速報を告知しないというリスクを回避することができる。
【0075】
ここで、時刻の比較にはTOTに基づくデータを用いることに限定されることはない。要は直近の緊急地震速報データ受信時点からの経過時間を確認できる構成であれば良い。例えば、タイマのような回路を別途用いて、直近の緊急地震速報データの受信時点からタイマを作動させ、続いて緊急地震速報データを受信した際に、タイマの作動時間範囲内であるか否かを確かめるなどして、一定時間内の処理であることを担保するような制御を行ってもよい。
【0076】
ここで、緊急地震速報データを受信した時刻と直近に緊急地震速報データを受信した時刻の差が所定の間隔以上であれば、緊急地震速報データの変換および又は比較を行うことなく、即座に緊急地震速報を告知するような構成としてもよい。
【0077】
図5はそのような構成とした場合の緊急地震速報受信装置1の動作を示すフロー図である。図4と比較して異なる点は以下の通りである。
【0078】
緊急地震速報データが上記で説明したいずれかの伝送手段により受信したかどうかを判断するステップS1において緊急地震速報データを受信したと判断した後に、前記緊急時新データを受信した時刻と、直前に緊急時新データを受信した時刻との差を計算し、所定の時間以上か否かを判断する(ステップS1a)。ステップS1aにおいて所定の時間以上の間隔が存在すると判断すれば、すぐに受信した緊急地震速報の内容を表示部8に表示することにより視聴者に告知する(ステップS1b)。
【0079】
このようにすることによって、既に通知したものと別の緊急地震速報の内容を含んでいるとみなすことができる緊急地震速報データを、比較、変換といった処理を行う前に通知できるので、同一の緊急地震速報に対する本発明における効果を維持しつつ、必要に応じて通知の速報性を確保することができるという利点がある。
【0080】
ステップS1aの判断において所定の間隔以上の差が存在しなかった場合は、緊急地震速報データを特定の符号化方式であるISO−2022−jpに準拠した符号化方式に変換する(ステップS2)。ステップS2以降は、図4と同様の処理を行う。ただし、ステップS6aの判断により緊急地震速報データの内容が異なるなどして、告知が必要となった場合であっても、既にステップS1bで告知を行っている場合は、短時間に同内容の告知処理を行うことを避ける為にステップS7には進まず、待機状態へと戻る。
【0081】
ここで直前に受信した緊急地震速報の受信時刻の検出は記憶部17に付加的に記録されたTOTを参照してもよいし、受信の都度カウントダウンを開始するタイマのような構成を用いてもよい。
【0082】
データNo.6はデータNo.5の30秒後に受信をしたものであるから、時限制御によって緊急地震速報を即座に告知されるといったものではない。しかしながら、緊急地震速報データの比較によって、30秒前の緊急地震速報データとは別のものと判断されるので告知を行う必要がある。ここで例えば、緊急地震速報データの内容が比較によって異なる場合と判明した後であっても告知を行う場合は「30秒前の緊急地震速報とは異なるものです。」などと視聴者の注意喚起を促すメッセージを表示部8に表示したりすることが考えられる。
【0083】
また、データNo.6はデータNo.5に比べて、記憶部17に記憶されたデータの容量が異なるので、このような情報を比較材料に用いて、他の要素の比較を行わず告知を行うものとしてもよい。
【0084】
地上デジタル放送の受信機能としては、12セグメント放送を受信する家庭用などの固定受信装置が考えられる。地震速報の伝送手段として、ワンセグメント放送のAC、文字スーパー、イベントメッセージ、携帯端末向けメールを例に挙げて説明したが、地震速報の伝送手段としてこれらの手段すべてを備えている必要がないことは言うまでもない。
【0085】
また、特定の符号化方式についてはISO−2022−jpを例として採用したが、他のコードでも差し支えない。受信可能な緊急地震速報データの生成に用いられる符号化方式の一つとすれば、少なくとも当該符号化方式に基づいて生成された緊急地震速報データの変換処理を省略できる利点があることは先に述べたところであるし、受信可能な緊急地震速報データの生成に用いられる符号化方式のうち最も多く受信される符号化方式とすれば、多くの緊急地震速報データの変換処理を省略できる利点があることからさらに望ましい。
【0086】
また、時限制御に用いるしきい値である所定の時間は本実施の形態のように1分に限られるものではなく、さらに、適宜視聴者が設定できるものとしてもよい。
【0087】
なお、本実施の形態では緊急地震速報を受信、告知する緊急地震速報受信装置の例について示したが、本発明は緊急地震速報のみならず、天災速報、ニュース速報などを受信、告知する速報受信装置にも適用可能なものである。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の受信装置によれば、視聴者の使用性を向上させることができるので速報の受信装置等として有用である。
【符号の説明】
【0089】
1 緊急地震速報受信装置
2 地上デジタル放送受信用アンテナ
3 チューナ
4 復調部
5 トランスポートデコード部
6 AVデコード部
7 表示制御部
8 表示部
9 スピーカ
10 携帯端末用アンテナ
11 RF部
12 ベースバンド部
13 地震速報表示処理部
14 AC検出部
15 フォーマット変換部
16 文字列データベース
17 記憶部
18 文字スーパー検出部
19 イベントメッセージ検出部
20 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
速報の内容が、複数の符号化方式に基づいてデータ化された複数の速報データを受信する受信部と、
前記速報データを特定の符号化方式に基づいて新たな速報データに変換するフォーマット変換部と、
前記新たな速報データを逐次記憶する記憶部と、
逐次記憶された前記新たな速報データを互いに比較する制御部と、
前記制御部で比較した結果に基づいて前記新たな速報データから速報の内容を告知処理する告知部を有する速報受信装置。
【請求項2】
前記特定の符号化方式は、前記複数の符号化方式のうちの一つであることを特徴とする請求項1に記載の速報受信装置。
【請求項3】
前記特定の符号化方式は、前記複数の符号化方式のうちの最も多く受信される符号化方式であることを特徴とする請求項1に記載の速報受信装置。
【請求項4】
前記記憶部に逐次記憶された前記新たな速報データの内、先に記憶された前記新たな速報データと後に記憶された前記新たな速報データが互いに等しいものであれば、後に記憶された前記新たな速報データの速報の内容を告知しないことを特徴とする請求項1に記載の速報受信装置。
【請求項5】
前記記憶部に逐次記憶された前記新たな速報データの内、先に記憶された前記新たな速報データと後に記憶された前記新たな速報データが互いに等しいものであれば、先に記憶された前記新たな速報データ又は後に記憶された前記新たな速報データのいずれか一方の速報データを前記記憶部から削除することを特徴とする請求項1に記載の速報受信装置。
【請求項6】
前記記憶部に逐次記憶された前記新たな速報データの内、先に記憶された新たな速報データを前記受信部が受信した受信時刻と後に記憶された新たな速報データを前記受信部が受信した受信時刻との差を計測し、前記受信時刻の差に基づいて後に記憶された新たな緊急地震データから速報の内容を告知処理することを特徴とする請求項1に記載の速報受信装置。
【請求項7】
逐次記憶された前記新たな速報データを前記比較部で互いに比較する前に、先に記憶された新たな速報データを前記受信部が受信した受信時刻と後に記憶された新たな速報データを前記受信部が受信した受信時刻との差を計測し、前記受信時刻の差が所定時間以上ならば後に記憶された新たな速報データから緊急地震速報の内容を告知処理することを特徴とする請求項1に記載の速報受信装置。
【請求項8】
災害内容を特徴付ける文字列を格納したデータベースを備え、前記速報データを前記新たな速報データに前記フォーマット変換部で変換する際に、前記速報データから前記データベースに格納された文字列を参照することを特徴とした請求項1に記載の速報受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−124676(P2011−124676A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279160(P2009−279160)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】