説明

遊技媒体貸出システム

【課題】夜間の遊技店に侵入した不審者による遊技機の不正改竄を抑制できる遊技媒体貸出システムを提供する。
【解決手段】夜間監視モードで動作中のCRユニット10は、対応するCR遊技機20の椅子に不審者が座った状態、あるいはCR遊技機20に触れるぐらい近づいた状態を着座状態として着座センサ部16によって検知し、音声信号生成部14により侵入警告の音声を出力して不審者が遊技機に改竄を施すことを牽制し、さらに不審者侵入の履歴データを記録し、夜間監視モードの終了後、プリペイドシステム管理コンピュータ50からのデータ要求を受けると、夜間監視モード中に記録した不審者侵入の履歴データをプリペイド管理コンピュータ50へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技店に設置された遊技機と、前記遊技機に夫々対応して設けられ、情報記録媒体に記憶された情報に基づいて、対応する遊技機で使用する遊技媒体の貸出制御を行う遊技媒体貸出装置と、前記遊技媒体貸出装置との相互通信が可能で、且つ当該遊技店での管理対象である全ての情報記録媒体の管理情報を随時更新記憶する管理コンピュータと、を含む遊技媒体貸出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、遊技店に導入されている遊技媒体貸出システムにおいては、プリペイド媒体(購入金額に相当する価値を記憶させた磁気カードやICカード等)や現金の投入、あるいは会員カードによる貯玉引き出しサービスを用いた遊技媒体(遊技球や遊技メダル等)の貸出に際して、プリペイド媒体等の情報記録媒体を受入れて遊技媒体の貸出制御を行う遊技媒体貸出装置(いわゆるCRユニット)と、遊技媒体貸出機能を備えた遊技機(いわゆるCR遊技機)とを並設している。
【0003】
そして、情報記録媒体を取り扱う遊技媒体貸出装置においては、投入された情報記録媒体の所有者等に関する属性情報、または、エラー等の内部状態を報知することが必要な場合もある。そこで、操作表示部のランプやLED等の点灯・消灯パターン等を変えたり、あるいは、利用可能ランプの点灯色や点滅パターンを変えたりして、遊技客へ視覚的に報知するようにした遊技媒体貸出装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−58389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された遊技媒体貸出装置における報知方法では、必ずしも効果的な報知が行えるとは言えない点があった。例えば、遊技中の遊技者は遊技機に注目しているため、遊技機の側方に設置された遊技媒体貸出装置で警告を発していても、遊技者の注意を喚起できない場合もある。
【0006】
加えて、特許文献1に記載されたような従来の遊技媒体貸出装置は、遊技客が遊技機で遊技を行うために着座している状態を検知する術を備えていないため、残価値のあるプリペイド媒体や貯玉情報のある会員カード等の情報記録媒体を遊技媒体貸出装置に入れっぱなしで遊技客が席を離れても、情報記録媒体を取り忘れている旨の注意喚起を適切に行うことはできない。このため、情報記録媒体の真正な所有者が取り忘れに気付いて戻ってくる前に、第三者に不正使用されていたり、情報記録媒体が持ち去られているようなケースもあり、保安上の観点からも望ましいことではない。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、動作モードに応じた適切な報知制御を行うことができる遊技媒体貸出装置を含む遊技媒体貸出システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、遊技店に設置された遊技機と、前記遊技機に夫々対応して設けられ、情報記録媒体に記憶された情報に基づいて、対応する遊技機で使用する遊技媒体の貸出制御を行う遊技媒体貸出装置と、前記遊技媒体貸出装置との相互通信が可能な管理コンピュータと、を含む遊技媒体貸出システムにおいて、前記遊技媒体貸出装置は、遊技機に正対する椅子に誰かが座った蓋然性の高い着座状態の判定に用いる着座情報を取得する着座情報取得手段と、前記着座情報取得手段により取得した着座情報が予め定めた着座条件を満たすことで着座状態を判定する着座状態判定手段と、前記着座情報取得手段により取得した着座情報が予め定めた退座条件を満たすことで退座状態を判定する退座状態判定手段と、予め設定された夜間監視開始時刻から夜間監視終了時刻までの間における動作モードとなる夜間監視モード中、退座状態から変化した着座状態が一定時間以上継続することに基づいて不審者侵入と判定し、侵入警告の報知を行うと共に不審者侵入の履歴データを記録する報知制御手段と、を備え、前記管理コンピュータは、各遊技媒体貸出装置へデータ要求を行うことで、夜間監視モード中の履歴データを取得するようにしたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載の遊技媒体貸出システムにおいて、前記報知制御手段は、不審者侵入判定に基づく侵入警告の報知を所定時間だけ行い、報知終了時に着座状態が継続していた場合は、退座状態に変わるまで監視を続け、不審者立ち去り履歴を記録するようにしたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の遊技媒体貸出システムにおいて、前記管理コンピュータは、遊技店の営業時間が終わって閉店操作されることに基づき、各遊技媒体貸出装置へ監視待機モードへの移行を指示し、前記管理コンピュータからの監視待機モードへの移行指示を受けた各遊技媒体貸出装置の報知制御手段は、前記夜間監視モードになるまで監視待機モードへ移行し、該監視待機モード中には、前記管理コンピュータからの指示によって夜間監視の開始を早めることができるようにしたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係る発明は、前記請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の遊技媒体貸出システムにおいて、前記遊技媒体貸出装置は、報知制御手段により不審者侵入を検知したとき、他の遊技媒体貸出装置に対して警告応援要請を行い、複数の遊技媒体貸出装置から侵入警告の報知を行うようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る遊技媒体貸出システムによれば、前記遊技媒体貸出装置は、遊技機に正対する椅子に誰かが座った蓋然性の高い着座状態の判定に用いる着座情報を取得する着座情報取得手段と、前記着座情報取得手段により取得した着座情報が予め定めた着座条件を満たすことで着座状態を判定する着座状態判定手段と、前記着座情報取得手段により取得した着座情報が予め定めた退座条件を満たすことで退座状態を判定する退座状態判定手段と、予め設定された夜間監視開始時刻から夜間監視終了時刻までの間における動作モードとなる夜間監視モード中、退座状態から変化した着座状態が一定時間以上継続することに基づいて不審者侵入と判定し、侵入警告の報知を行うと共に不審者侵入の履歴データを記録する報知制御手段と、を備え、前記管理コンピュータは、各遊技媒体貸出装置へデータ要求を行うことで、夜間監視モード中の履歴データを取得するようにしたので、夜間監視モード中に遊技店へ侵入した不審者が遊技機に対する不正改竄を目的として、遊技機に正対する椅子に座ったり、椅子よりも遊技機の正面へ身を乗り出したりすると、これを遊技媒体貸出装置が不審者侵入と判定し、そのタイミングで不審者侵入の報知を行って遊技機の不正改竄行為を牽制でき、また、管理コンピュータは遊技媒体貸出装置より不審者侵入の履歴データを取得できることから、不審者侵入の履歴データに基づいて、通常営業の前に不審者侵入検知の対象となった遊技機の改竄状況を確認して適切に対処できるので、遊技店の営業終了後の遊技機に対する不正改竄防止に好適である。
【0013】
また、請求項2に係る遊技媒体貸出システムによれば、前記報知制御手段は、不審者侵入判定に基づく侵入警告の報知を所定時間だけ行い、報知終了時に着座状態が継続していた場合は、退座状態に変わるまで監視を続け、不審者立ち去り履歴を記録するようにしたので、不審者の検知対象となった遊技機から不審者が立ち去った時間を有用な情報として取得できる。
【0014】
また、請求項3に係る遊技媒体貸出システムによれば、前記管理コンピュータは、遊技店の営業時間が終わって閉店操作されることに基づき、各遊技媒体貸出装置へ監視待機モードへの移行を指示し、前記管理コンピュータからの監視待機モードへの移行指示を受けた各遊技媒体貸出装置の報知制御手段は、前記夜間監視モードになるまで監視待機モードへ移行し、該監視待機モード中には、前記管理コンピュータからの指示によって夜間監視の開始を早めることができるので、予め設定された夜間監視開始時刻になる前から夜間監視モードへ移行でき、遊技店の営業形態に応じて夜間監視の開始タイミングを変更できる自由度の高いものとなる。
【0015】
また、請求項4に係る遊技媒体貸出システムによれば、前記遊技媒体貸出装置は、報知制御手段により不審者侵入を検知したとき、他の遊技媒体貸出装置に対して警告応援要請を行い、複数の遊技媒体貸出装置から侵入警告の報知を行うようにしたので、遊技機の不正改竄行為に対する牽制効果が一層高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るCRユニット概略構成図である。
【図2】CRユニットにおける着座検知部の検知エリア説明図である。
【図3】プリペイドシステム管理コンピュータによるCRユニットへの設定操作説明図である。
【図4】盗難防止報知処理を示すフローチャートである。
【図5】取り忘れ報知処理を示すフローチャートである。
【図6】夜間監視における設定パターン例の説明図である。
【図7】夜間監視処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明に係る遊技媒体貸出装置の実施形態として、遊技媒体として遊技球を貸し出す球貸装置に適用した例を添付図面に基づき詳細に説明するが、遊技媒体としてコイン形状の遊技メダルを貸し出すメダル貸出装置にも適用可能である。図1は、遊技媒体である遊技球の貸出制御機能を備えた遊技媒体貸出装置であるCRユニット10の概略構成を示し、貨幣投入口11aから投入された貨幣Mによって、プリペイド媒体(例えば、磁気記録部に有価価値を記録したカード形状のプリペイドカードやICを内蔵した硬貨形状のプリペイドコイン等)の有価価値記録媒体Cを発行したり、媒体挿排口11bから投入された有価価値記録媒体Cに残っている有価価値に基づいて遊技球の貸出制御を行う。
【0018】
なお、CRユニット10で遊技球貸出のために使用できるのは、購入金額に応じた有価価値が記録されたプリペイド媒体に限定されるものではなく、遊技で獲得した遊技球を貯めておける貯玉システムを利用可能な会員カードを媒体挿排口11bから受け入れ、会員カードにより特定される顧客番号に応じた貯玉を引き出すように遊技球貸出を行うようにしても良い。
【0019】
また、CRユニット10は、主たる動作制御を行う主制御回路12を有し、投入された貨幣Mの真贋や金額を識別する貨幣識別部13、スピーカ等の音声信号生成部15、表示パネルや操作ボタンからなる表示/操作部14、検知エリア内における障害物の有無を検出するエリアセンサを用いた着座センサ部16、媒体挿排口11bから投入された有価価値記録媒体Cを保持する記録媒体保持部17(有価価値記録媒体Cに記録された記録情報の読出/書換を行う媒体R/W部17a、有価価値記録媒体Cが媒体挿排口11bに残っている状態を検出可能な挿排口センサ17bを有する。)等と接続され、種々の情報を受信すると共に制御信号を送出する。電源部18は、外部から電源供給を受けて、主制御回路12等へ所要の電源を供給する。
【0020】
さらに、CRユニット10は、外部機器接続用中継基板19を介して、CR遊技機20、ホールコンピュータ30、顧客管理システムサーバ40、プリペイドシステム管理コンピュータ50等と接続される。CR遊技機20は、CRユニット10と1対1で接続されるもので、CRユニット10からの遊技球貸出信号を受けたCR遊技機20は、貸出要求に応じて遊技球排出装置から所定数の遊技球を払い出す。ホールコンピュータ30は、CRユニット10で遊技球の貸出に消費した有価価値記録媒体Cの有価価値情報や新たに発行した有価価値記録媒体Cの金額情報などの各種売上信号を受信する。顧客管理システムサーバ40は、プリペイド機能あるいは貯玉機能を有する会員カードがCRユニット10へ投入されたときに、その会員カードについての顧客データ等を送信するものである。プリペイドシステム管理コンピュータは、CRユニット10において新たに発行された有価価値記録媒体Cの発行情報や遊技媒体貸出に伴う有価価値消費情報等の取引データを受信するものであり、この収集情報はプリペイドシステムの管理会社で管理される。なお、CRユニット10は、他のCRユニット10と相互通信が可能な構成としても良い(図1中、一点鎖線で示す)。
【0021】
上述したCRユニット10は、図2に示すように、CR遊技機20と対になって島設備60に設置され、CR遊技機20に正対する椅子70の上方空間を検知エリアAとして含むエリアセンサ(例えば、投光部から照射した光が対象物で反射した光を受光部で受ける光センサ等)よりなる着座センサ部16によって、椅子70に人が座っているか否か(或いは、CR遊技機20に触れるぐらいCR遊技機20の前面に近づいているか否か)の着座情報を取得可能であり、更に、スピーカ等の音声信号生成部14から、少なくともCR遊技機20に正対する椅子70に座っている者および近傍にいる者には聞き取り可能な音声を出力できる。
【0022】
なお、着座センサ部16の検知エリアAは上下左右に角度調整可能とし、CRユニット10の設置状況に応じて、最も適切な着座情報を取得できるように設定できることが望ましい。また、センサの受光部に透過率を調整できるフィルタを設けて検知距離を物理的に調節し、椅子70の後方に居る遊技客を着座と誤検知させないようにしても良い。或いは、着座検知用のエリアセンサを数箇所に設けておき、各センサからの検出情報に基づいて、遊技客の着座・退座を判定するようにしても良い。
【0023】
そして、CRユニット10の主制御回路12は、「遊技機に正対する椅子に誰かが座った蓋然性の高い着座状態の判定に用いる着座情報を取得する着座情報取得手段」と、「着座情報取得手段により取得した着座情報が予め定めた着座条件を満たすことで着座状態を判定する着座状態判定手段」と、「着座情報取得手段により取得した着座情報が予め定めた退座条件を満たすことで退座状態を判定する退座状態判定手段」と、「着座状態判定手段および退座状態判定手段により判定された着座状態および退座状態が、予め設定された動作モードに対応して定まる報知条件を満たすことで、報知制御を行う報知制御手段」としての機能を有し、着座センサ部16からのセンサ入力を検知情報とし、音声信号生成部14を作動させるように報知制御を行うことで、椅子70の着座あるいは退座のタイミングで報知条件に応じた適切な報知を実行することができるのである。
【0024】
より具体的な報知態様の第1例としては、CRユニット10が内部的に通常営業時の盗難防止報知モードに設定されたとき、利用可能な情報記録媒体(残価値のある有価価値記録媒体Cや会員カード等)の取出操作(返却ボタンの押下)が行われていない状態で着座状態から退座状態へ変化する盗難防止報知条件が満たされることで、情報媒体の盗難防止に関する報知制御を行う。例えば、CRユニット10の記録媒体保持部17に有価価値記録媒体Cを投入したまま遊技客が席を立った場合に、「カードをお取りください」といった音声がCRユニット10の音声信号生成部14より出力され、遊技客に有価価値記録媒体Cの取出操作を促すのである。この報知態様によれば、遊技者が席を立つタイミングで情報記録媒体の盗難防止報知を行うことが可能となり、情報記録媒体の盗難防止に好適である。
【0025】
また、報知態様の第2例としては、CRユニット10が内部的に通常営業時の取り忘れ報知モードに設定されたとき、利用可能な情報記録媒体が媒体挿排口に残っている状態(媒体挿排口11bから出て来た情報記録媒体を遊技者が受け取っていないために、挿排口センサ17bの出力がONになっている状態)で着座状態から退座状態へ変化する取り忘れ報知条件が満たされることで、情報媒体の取り忘れに関する報知制御を行う。例えば、遊技者が返却ボタンを操作して情報記録媒体を取り出したものの、媒体挿排口11bから有価価値記録媒体Cを取り忘れて席を立った場合に、「カードをお取りください」といった音声がCRユニット10の音声信号生成部14より出力され、遊技客に有価価値記録媒体Cの受取を促すのである。この報知態様によれば、遊技者が席を立つタイミングで情報記録媒体の取り忘れ報知を行うことが可能となり、遊技媒体貸出装置の媒体挿排口に情報記録媒体を残したまま退座する取り忘れ防止に好適である。
【0026】
また、報知態様の第3例としては、CRユニット10が内部的に非営業時の夜間監視モードに設定されたとき、退座状態から着座状態へ変化する不審者侵入報知条件が満たされることで、不審者の侵入に関する報知制御を行う。例えば、遊技店員らはホールから退店し、遊技店内には誰も居ない筈の時間帯に、CR遊技機20に近づいて着座センサ16の検知エリアAに入った者が検知された場合に、「侵入者発見」といった音声がCRユニット10の音声信号生成部14より出力され、不審な侵入者に対する警告・警報が行われるのである。この報知態様によれば、夜間に遊技店へ侵入した不審者が遊技機に対する不正改竄を目的として遊技機の正面に近づいたタイミングで不審者侵入の報知を行うことが可能となり、遊技機に対する不正改竄防止に好適である。
【0027】
このほか、CRユニット10の動作モードに応じて種々の報知条件を設定することで、各遊技店の営業形態に相応しい報知態様を実現することができ、柔軟性に富んだ報知動作の可能なCRユニット10を提供できる。
【0028】
なお、CRユニット10に対する動作モードの設定は、各CRユニット10に設けた設定操作部を介して行うようにしても良いが、図3に示すように、プリペイドシステム管理コンピュータ50と店内のLAN回線80を介して各CRユニット10を接続し、プリペイドシステム管理コンピュータ50から設定情報を各CRユニット10へ送信すれば、効率的な設定操作を行うことができる。
【0029】
上記プリペイドシステム管理コンピュータ50によって設定可能な項目は、特に限定されるものではないが、例えば、盗難防止音声の内容(音声データの指定)や再生方法(継続時間や繰返し回数など)をCRユニット10へ指示したり、盗難防止の報知に伴う追加動作(遊技球の貸出を無効、有価価値記録媒体Cの返却を無効、適正な暗証番号が入力された場合に有価価値記録媒体Cを返却など)を指示したり、夜間監視の開始時間や終了時間を指示したりする。
【0030】
CRユニット10による聴覚的報知(音声信号生成部14による音声出力)を行うために、予めCRユニット10に音声データを記憶する領域(例えば、5秒×5種類以上の音声データを記憶できる容量のもの)を設けておき、成立した報知条件に応じて音声出力する音声データを選定するようにしても良いし、その成立した報知条件に対応する音声データをプリペイドシステム管理コンピュータ50からダウンロードして再生するようにしても良い。無論、音声データは随時変更が可能なように、プリペイド管理コンピュータ50から変更用の音声データをダウンロードして更新できるようにしたり、音声データを記録可能な音声データ用記録媒体(USBフラッシュメモリ、CD、DVD等)を物理的に交換するような構成としても良い。また、音声データの配信は、プリペイドシステム管理コンピュータ50とは別に設けた音声配信専用サーバから行うようにしても良いし、音声出力時に音声データの配信を受ける場合には、CRユニット10側で音声データをリングバッファにバッファリングしておき、頻度の高いデータをCRユニット10内でキャッシュするようにしても良い。
【0031】
更に、CRユニット10による報知は、聴覚的報知に限定されるものではなく、液晶表示パネルやランプ等の表示手段を用いた視覚的報知を併せて行うようにしても良い。画像表示と音声出力を同期させて報知すれば、一層高い報知効果を期待できる。この視覚的報知のための画像データ(動画・静止画)も、CRユニット10内の画像データ記憶領域に予め記憶しておいても良いし、プリペイドシステム管理コンピュータ50や画像配信専用サーバから配信を受けて適宜データ更新できるようにしても良いし、動画データ用記録媒体を物理的に交換する構成でも良い。
【0032】
上述した本実施形態に係るCRユニット10においては、着座検知手段としての着座センサ部16と音声出力手段としての音声信号生成部14をCRユニット10が備えるものとしたが、これらはCRユニット10の外部、例えば、CR遊技機10や島設備60や椅子70に設けても構わない。このように、着座検知手段と音声出力手段を外部に設けてもCRユニット10は着座検知手段からの着座情報を受信可能で、音声出力手段に対する音声出力制御が可能であれば、報知条件に応じた報知制御を行うことができる。外部に設けた着座検知手段および音声出力手段と、CRユニット10との接続は、有線で行っても良いし、電波、赤外線通信、可視光変調等の無線装置を用いて行っても良い。
【0033】
また、着座検知手段による着座の検知手法も、上述したエリアセンサに限定されず、種々の手法を適宜採用して構わない。例えば、電波や超音波を用いて遊技客の着座を検知しても良いし、温度センサによって椅子70に座った遊技者の体温から着座を検知しても良いし、椅子70に重量センサを設けて、荷重から遊技者の着座を検知しても良い。また、遊技機前面から椅子70側を映すようにカメラを設け、その入力画像からパターン認識により遊技者の着座を検知しも良い。
【0034】
次に、上述したCRユニット10による報知動作として、遊技店の通常営業中に行う盗難防止報知処理を図4に基づいて説明する。
【0035】
盗難防止報知処理を開始すると、先ず、有価価値記録媒体Cが投入されているか否かを判定し(ステップS101)、有価価値記録媒体Cが投入されていれば、着座センサ部16から着座情報を取り込み(ステップS102)、取り込んだ着座情報に基づき着座状態か否かを判定し(ステップS103)、着座検知と判定した場合には、着座状態の継続時間を計時する着座タイマをリセットし(ステップS104)、着座状態の継続時間計時に備える。なお、着座センサ部16の着座情報取込は、割り込み処理で一定時間毎に繰り返すものとする。
【0036】
続いて、着座センサ部16からの着座情報の取込を行い(ステップS105)、取り込んだ着座情報に基づき着座状態か否かを判定し(ステップS106)、着座状態であると判定した場合には、着座タイマをインクリメント(着座情報の取込間隔である割り込み処理の割り込み時間を計数値に加算)する(ステップS107)。これらステップS105〜106を繰り返すことで、着座状態の継続時間を着座タイマで計ることができる。
【0037】
上記ステップS106において、着座状態ではないと判定された場合には、着座タイマの計数値が所定の閾値を越えているか否か(例えば、遊技者が椅子に座ってから180秒が経過したか否か)を判定し、着座タイマが閾値を越えていると判定された場合(CR遊技機20で遊技を行った蓋然性の高い遊技者が席を立ったと考えられる場合)には、一定時間(例えば、02秒)のウェイト経過後に着座センサ部16からの着座情報を取り込み(ステップS109)、着座情報に基づき着座状態か否かを判定する(ステップS110)。このステップS110で着座状態であると判定された場合は、遊技中の遊技者が姿勢を変える等して、一時的に着座センサ部16の検知エリアから外れただけと考えられるので、改めてステップS101からの処理を繰り返す。
【0038】
一方、上記ステップS101で、やはり着座状態ではない(退座状態である)と判定された場合には、CRユニット10に投入中の有価価値記録媒体Cに残価値が有るか否かを判定し(ステップS111)、CRユニット10に投入されている有価価値記録媒体Cが残価値のないものと判定された場合には、退座した遊技者が有価価値記録媒体Cを取り忘れた訳ではないので、そのまま盗難防止報知処理を終了する。
【0039】
しかしながら、上記ステップS111にて、残価値のある有価価値記録媒体CがCRユニット10に投入中であると判定された場合には、盗難注意喚起用の音声ファイルの再生を行い、残価値のある有価価値記録媒体Cの持ち主である遊技者が有価価値記録媒体Cを取出忘れたまま立ち去ることがないように報知するのである。
【0040】
なお、営業中の遊技店内では、様々な音が溢れており、その騒音の中で遊技者の耳に届く音量で報知しなければならないが、余りにも大音量で盗難防止を報知すると、有価価値記録媒体Cを取出忘れた遊技者に対しても周囲の遊技者に対しても不快な思いをさせてしまうので、遊技店側で音声信号生成部14の出力レベルを適切な音量に調整できるようにしておくことが望ましい。音量調整は、CRユニット10に音量調整ダイアル等を設けて行うようにしても良いし、プリペイドシステム管理コンピュータ50から設定するようにしても良い。
【0041】
続いて、一定時間毎に行われる割り込み処理等で取り込んだ表示/操作部15の操作状態に基づいて返却ボタンが操作されたか否かを判定し(ステップS113)、返却ボタンが操作されたと判定されれば、上記ステップS112で行った音声ファイルの再生を停止し(ステップS114)、盗難防止報知処理を終了する。しかしながら、ステップS113で返却ボタンが操作されていないと判定された場合には、ステップS112で開始した音声ファイルの再生時間が所定時間に達したか(或いは、所定長さのフレーズを所定回繰り返すのに必要十分な時間が経過したか)を判定し(ステップS115)、未だ所定の音声再生時間が経過していなければ、ステップS113の処理へ戻る。
【0042】
そして、上記ステップS115で所定の音声再生時間が経過したと判定された場合、すなわち、盗難注意を喚起する音声報知を行ってから所定時間が経過したにもかかわらず、遊技者による有価価値記録媒体Cの返却動作(返却ボタンの操作)が実行されなかった場合には、音声ファイルの再生を停止し(ステップS116)、表示/操作部14の貸出ボタンを無効化する(ステップS117)。このように、貸出ボタンを無効化することで、CRユニット10に投入されたままの有価価値記録媒体Cが第三者に盗用されることを防止できる。
【0043】
なお、この貸出ボタンの無効化と併せて、有価価値記録媒体Cの返却に使う返却ボタンも無効化するようにしても良いし、返却ボタンの操作は有効なままにしておいても良い。この盗難報知後の貸出ボタン無効化に際して返却ボタン操作を有効にするか無効にするかは、当該遊技店において適宜に設定変更できる仕様としておけば、利便性の高いものとなる。図4に示す盗難防止報知処理においては、有価価値記録媒体Cの真正な所有者が取り忘れに気付いて戻ってきたときに、暗証番号入力という比較的簡単な操作で返却動作が行えるように、返却ボタンは無効化しないものとした。
【0044】
すなわち、ステップS117で貸出ボタンが無効化された後、係員の操作によってCRユニット10内の有価価値記録媒体が取り出されたか否かを判定し(ステップS118)、未だ有価価値記録媒体Cが取り出されていなければ、表示/操作部14の返却ボタンが操作されたか否かを判定し(ステップS119)、返却ボタンが操作されていれば、表示操作部14の暗証番号入力操作部から正しい暗証番号が入力されたか否かを判定し(ステップS120)、正しい暗証番号の入力があったと判定された場合には、投入中の有価価値記録媒体Cの返却を行う(ステップS121)。
【0045】
このように、有価価値記録媒体(或いは、会員カード)を取り出し忘れて遊技者が退座した時に、盗難注意を喚起する音声報知を行ったにも拘わらず、有価価値記録媒体Cの返却動作が行われなかった場合には、CRユニット10の動作に機能制限を課し、投入されたままCRユニット10に残された有価価値記録媒体Cが盗難されたり、盗用されたりすることを防止することで、CRユニット10から取り出し忘れた有価価値記録媒体Cの真正な所持者を保護できるし、取出忘れに気付いた遊技者が戻ってきた場合には、わざわざ係員を呼ばずに自分で有価価値記録媒体Cの返却操作を行うことができるので、利便性も良い。
【0046】
なお、取出忘れの有価価値記録媒体CをCRユニット10から取り出す操作を係員の手に委ねていると、なかなか係員が作業に行けないためにCRユニット10が長時間に亘って使用不能な状態で放置される可能性もある。有価価値記録媒体Cが投入されたままのCRユニット10をいつまでも使用できない状態にしておくと、遊技機の稼働率が低下して、遊技店にとって好ましくないので、操作ロックの発生から所定時間が経過したら自動的に貸出ボタンを有効化するようにしても良い。或いは、プリペイドシステム管理コンピュータ50からの解除指示によって貸出ボタンの操作ロックを解除するようにしても良い。このとき、取り出し忘れた有価価値記録媒体Cは、CRユニット10内の取出忘れ媒体回収部(使用済み媒体回収部とは別途設けた部位)へストックしておくようにしても良い。
【0047】
或いは、取出忘れ報知を実行することと併せて、有価価値記録媒体Cの取出忘れが発生した旨をCRユニット10からプリペイドシステム管理コンピュータ50へ通知し、これを受けたプリペイドシステム管理コンピュータ50が媒体管理のデータベースから該当する有価価値記録媒体Cの管理情報を検索し、その有価価値記録媒体Cの最新状態保持レコードに“使用禁止フラグ”を自動的に立てることで、その有価価値記録媒体Cを用いた遊技媒体の貸出を不可能とすれば、係員らの対応が間に合わずに有価価値記録媒体Cが既にCRユニット10から第三者に持ち去られていた場合でも、その盗難された有価価値記録媒体Cが使用されることを防止できるので、セキュリティの高いものとなる。
【0048】
また、有価価値記録媒体CをCRユニット10に残したまま遊技客が席を立ったときには、CRユニット10が、取出忘れの報知動作を行うことと併せて、有価価値記録媒体Cを媒体挿排口11bから強制的に排出するようにしても良い。このとき、上述した“使用禁止フラグ”によって有価価値記録媒体Cのセキュリティを担保しておけば、その有価価値記録媒体Cを第三者が持ち去っても不正に使用することはできないので、有価価値記録媒体Cの真正な所持者に損失を与えることを防げる。
【0049】
次に、上述したCRユニット10による報知動作として、遊技店の通常営業中に行う取り忘れ報知処理について説明する。なお、以下の説明においては、上述した盗難防止処理とは別個独立した処理として、取り忘れ報知処理を行うものとする。
【0050】
取り忘れ報知処理を開始すると、先ず、有価価値記録媒体Cが投入されているか否かを判定し(ステップS151)、有価価値記録媒体Cが投入されていれば、着座センサ部16から着座情報を取り込み(ステップS152)、取り込んだ着座情報に基づき着座状態か否かを判定し(ステップS153)、着座検知と判定した場合には、着座状態の継続時間を計時する着座タイマをリセットし(ステップS154)、着座状態の継続時間計時に備える。なお、着座センサ部16の着座情報取込は、割り込み処理で一定時間毎に繰り返すものとする。
【0051】
続いて、着座センサ部16からの着座情報の取込を行い(ステップS155)、取り込んだ着座情報に基づき着座状態か否かを判定し(ステップS156)、着座状態であると判定した場合には、着座タイマをインクリメント(着座情報の取込間隔である割り込み処理の割り込み時間を計数値に加算)する(ステップS157)。これらステップS155〜106を繰り返すことで、着座状態の継続時間を着座タイマで計ることができる。
【0052】
上記ステップS156において、着座状態ではないと判定された場合には、着座タイマの計数値が所定の閾値を越えているか否か(例えば、遊技者が椅子に座ってから180秒が経過したか否か)を判定し、着座タイマが閾値を越えていると判定された場合(CR遊技機20で遊技を行った蓋然性の高い遊技者が席を立ったと考えられる場合)には、一定時間(例えば、02秒)のウェイト経過後に着座センサ部16からの着座情報を取り込み(ステップS159)、着座情報に基づき着座状態か否かを判定する(ステップS160)。このステップS160で着座状態であると判定された場合は、遊技中の遊技者が姿勢を変える等して、一時的に着座センサ部16の検知エリアから外れただけと考えられるので、改めてステップS151からの処理を繰り返す。
【0053】
一方、上記ステップS151で、やはり着座状態ではない(退座状態である)と判定された場合には、一定時間毎に行われる割り込み処理等で取り込んだ記録媒体保持部17における挿排口センサ17bの検出状態に基づいてCRユニット10の媒体挿排口11bに有価価値記録媒体Cが残っていないか、すなわち、挿排口センサ17bがOFFになっているか否かを判定する(ステップS161)。このステップS161で挿排口センサ17bがOFFであると判定された場合には、退座した遊技者が有価価値記録媒体Cを媒体挿排口11bから取り忘れた訳ではないので、そのまま取り忘れ報知処理を終了する。
【0054】
しかしながら、上記ステップS161にて、挿排口センサ17bがOFFではないと判定された場合には、取り忘れ注意喚起用の音声ファイルの再生を行い、CRユニット10から返却された有価価値記録媒体Cの持ち主である遊技者が、挿排口17bから有価価値記録媒体Cを取り忘れたまま立ち去ることがないように報知するのである。なお、この取り忘れ報知音声の出力レベルも、適宜に調整できることが望ましい。
【0055】
続いて、挿排口センサ17bがOFFになっているか否かを判定し(ステップS163)、挿排口センサ17bがOFFになっていれば、CRユニット10から返却された有価価値記録媒体Cの持ち主である遊技者が、挿排口17bから有価価値記録媒体Cを受け取ったと判断できるので、上記ステップS162で行った音声ファイルの再生を停止し、取り忘れ報知処理を終了する。しかしながら、ステップS163で挿排口センサ17bがOFFになっていないと判定された場合には、ステップS162で開始した音声ファイルの再生時間が所定時間に達したか(或いは、所定長さのフレーズを所定回繰り返すのに必要十分な時間が経過したか)を判定し(ステップS165)、未だ所定の音声再生時間が経過していなければ、ステップS163の処理へ戻る。
【0056】
そして、上記ステップS165で所定の音声再生時間が経過したと判定された場合、すなわち、取り忘れ注意を喚起する音声報知を行ってから所定時間が経過し、遊技者が有価価値記録媒体Cを媒体挿排口11bから取り忘れたまま立ち去ってしまったと想定される場合には、音声ファイルの再生を停止し(ステップS164)、取り忘れ報知処理を終了する。
【0057】
このように、有価価値記録媒体C(或いは、会員カード)を媒体挿排口11bから取り忘れて遊技者が退座した時に、取り忘れ注意を喚起する音声報知を行う取り忘れ報知処理によれば、遊技者が席を立つタイミングで有価価値記録媒体Cの取り忘れ報知を行うことが可能となり、CRユニット10の媒体挿排口11bに有価価値記録媒体Cを残したまま退座する取り忘れ防止に好適である。
【0058】
なお、取り忘れ報知に遊技者が気付かなかったために、CRユニット10の媒体挿排口11bに残されたままとなった有価価値記録媒体Cを係員の手で逐次回収するものとした場合、なかなか係員が作業に行けないために媒体挿排口11bに残っていた有価価値記録媒体Cを第三者が持ち去ってしまう可能性もあることから、直前まで投入されていた有価価値記録媒体Cの取り忘れが発生した旨をCRユニット10からプリペイドシステム管理コンピュータ50へ通知し、これを受けたプリペイドシステム管理コンピュータ50が媒体管理のデータベースから該当する有価価値記録媒体Cの管理情報を検索し、その有価価値記録媒体Cの最新状態保持レコードに“使用禁止フラグ”を自動的に立てることで、その有価価値記録媒体Cを用いた遊技媒体の貸出を不可能とすれば、その盗難された有価価値記録媒体Cが使用されることを防止できるので、セキュリティの高いものとなる。
【0059】
また、この取り忘れ報知処理における取り忘れ報知動作を、前述した盗難防止処理と連携させて行うようにしても良い。例えば、盗難防止報知処理におけるステップS113で返却ボタン操作有りと判定された後、或いは、ステップS121で有価記録媒体Cを返却した後に、挿排口センサ17bの検出状態を取り込んでOFFかONか判定し、媒体挿排口11bに有価価値記録媒体Cが残っていると判定した場合には、取り忘れ注意喚起用の音声を出力し、有価価値記録媒体Cの受取を遊技者に促すようにしても良い。
【0060】
次に、上述したCRユニット10による報知動作として、遊技店の非営業中に行う夜間監視処理について説明する。なお、CRユニット10による夜間監視の開始・終了は、逐一、プリペイドシステム管理コンピュータ50からの指示で行っても良いが、予め設定された夜間監視開始時刻および夜間監視終了時刻に則って自律的に行うようにしても良い。本実施形態のCRユニット10においては、営業時間が終わって閉店操作された後、自動で夜間監視モードへ移行するまでの間を監視待機モードとし、この監視待機モードにおいては、プリペイドシステム管理コンピュータ50からの指示を受けることで、予め設定された夜間監視開始時刻になる前から夜間監視モードへ移行できるようにし、遊技店の営業形態に応じて変更できる自由度の高いものとした。
【0061】
例えば、図6に示す設定パターン例1では、営業終了時刻(例えば、02:30)になるよりも前に、CRユニット10が設置されているホールから居なくなっていることを想定し、営業終了時刻よりも早い時間(例えば、01:00)に夜間監視開始時刻を設定した場合で、閉店操作から夜間監視開始時刻までの間(A1)においては、プリペイドシステム管理コンピュータ50からの指示によって、夜間監視の開始を早めることが可能な監視待機モードとなる。
【0062】
また、図6に示す設定パターン例2では、CRユニット10が設置されているホールから全ての店員が居なくなる時刻が、営業終了時刻(例えば、02:30)よりも遅くなるケースを想定し、営業終了時刻よりも遅い時間(例えば、03:00)に夜間監視開始時刻を設定した場合で、閉店操作から夜間監視開始時刻までの間(A2)においては、プリペイドシステム管理コンピュータ50からの指示によって、夜間監視の開始を早めることが可能な監視待機モードとなる。
【0063】
予め設定されている夜間監視開始時刻から夜間監視終了時刻までの間(B)においては、CRユニット10は自動で夜間監視モードとなり、夜間監視終了時刻(例えば、05:00)になると、営業開始時刻(例えば、06:00)より前であっても、開店準備のために店員がホール内に入店していることを想定し、夜間監視終了時刻から営業開始時刻までの間(C)においては夜間監視を行わない。無論、営業開始時刻から開店操作時刻までの間(D)においても夜間監視は行わない。
【0064】
図6に示す夜間監視処理は、プリペイドシステム管理コンピュータ50からの指示を受けて夜間監視モードへ移行する場合を示す。
【0065】
先ず、プリペイドシステム管理コンピュータ50から夜間監視設定情報を受信し(ステップS201)、この受信した夜間監視設定情報に基づいて、夜間監視開始時刻になると夜間監視モードへ移行する(ステップS202)。夜間監視モードへ移行した後は、夜間監視終了時刻になったか否かを判定し(ステップS203)、未だ夜間監視終了時刻に到達していなければ、着座センサ部16からの着座情報を取り込んで着座状態か否かを判定し(ステップS204)、着座検知と判定した場合には、着座状態の継続時間を計時する着座タイマをリセットし(ステップS205)、着座状態の継続時間計時に備える。なお、着座センサ部16の着座情報取込は、割り込み処理で一定時間毎に繰り返すものとする。
【0066】
続いて、一定時間のウェイト(例えば、着座情報の取込間隔である割り込み処理の繰返しサイクル時間)後に着座センサ部16から着座情報の取込を行い(ステップS206)、取り込んだ着座情報に基づき着座状態か否かを判定し(ステップS207)、着座状態であると判定した場合には、着座タイマをインクリメント(割り込み処理の割り込み時間を計数値に加算)し(ステップS208)、着座タイマの値(着座状態の継続時間)が所定の閾値を越えているか否か(例えば、不審者がCRユニット10に対応するCR遊技機20の前面側に来てから10秒が経過したか否か)を判定する(ステップS209)。
【0067】
上記ステップS209で着座タイマの計数値が閾値を越えていると判定された場合には、侵入警告音声ファイルを再生中か否かを判定し(ステップS210)、音声再生中でなければ、不審者侵入履歴を履歴データとして記録し(ステップS211)、侵入警告音声ファイルの再生を開始する(ステップS212)。すなわち、ホール内に誰も居ないはずの夜間監視中に、着座状態が一定時間以上継続していることから、不審者がホール内に侵入したと判断できるので、これを記録すると共に、不審者に対する警告を音声報知で行うのである。なお、不審者侵入の判定に伴って、CRユニット10から別途設置してある警備システムへ発報することで、警備システムを稼働させるようにしても良い。
【0068】
続いて、ステップS212で開始した音声ファイルの再生時間が所定時間に達したか(或いは、所定長さのフレーズを所定回繰り返すのに必要十分な時間が経過したか)を判定し(ステップS213)、未だ所定の音声再生時間が経過していなければ、ステップS206の処理へ戻る。一方、ステップS213で所定の音声再生時間が経過したと判定された場合には、音声ファイルの再生を停止し(ステップS214)、ステップS206へ戻る。すなわち、侵入警告の報知を所定時間行っても不審者が退去しない場合には、音声出力を一旦停止するが、着座タイマによる不審者の滞在時間は引き続き計時する。
【0069】
そして、上記ステップS207において着座状態が検知されなかった場合は、一定時間(例えば、02秒)のウェイト経過後に着座センサ部16からの着座情報を取り込み(ステップS215)、着座情報に基づき着座状態か否かを判定する(ステップS216)。このステップS216で着座状態であると判定された場合は、不審者が姿勢を変える等して、一時的に着座センサ部16の検知エリアから外れただけと考えられるので、ステップS215のウェイト時間を着座タイマにインクリメントし(ステップS217)、引き続きステップS206からの処理を繰り返す。
【0070】
一方、上記ステップS216で、やはり着座状態ではない(退座状態である)と判定された場合には、着座タイマが所定の閾値を越えているか否かを判定し(ステップS218)、着座タイマが閾値を越えていない場合、すなわち、不審者がCR遊技機20に近づいた蓋然性が高いと判断するのに必要十分な時間が経過する前に着座状態から退座状態に変わってしまった場合には、センサの誤検出とも考えられるので、ステップS203へ飛び、着座タイマによる着座状態の計時を中止するのである。
【0071】
しかしながら、上記ステップS218で着座タイマの計時時間が所定の閾値を越えていると判定された場合、すなわち、不審者がCR遊技機20に近づいた蓋然性が高いと判断するのに必要十分な時間が経過して侵入警告の音声報知が実行された後、不審者がCR遊技機20の前から立ち去ったと考えられる場合には、不審者立ち去り履歴の記録を行う(ステップS219)。
【0072】
続いて、侵入警告の音声ファイルを再生中か否かを判定し(ステップS220)、音声ファイルの再生が終了していれば、そのままステップS203へ戻るが、音声ファイルの再生が終了していなければ、所定の音声再生時間が経過するまで待ち(ステップS221)、所定の音声再生時間経過後に音声ファイルの再生を停止し(ステップS222)、ステップS203へ戻る。すなわち、不審者がCR遊技機20の近く(着座センサ部16の検知エリア)から立ち去ったと判定されても、直ぐには警告音声の出力を停止せず、所定の音声再生時間が経過するまで音声出力を継続するのである。
【0073】
上記ステップS203において、監視終了時刻に到達したと判定されると(ステップS203)、着座センサ部16からの着座情報に基づく不審者監視は行わず、プリペイドシステム管理コンピュータ50からのデータ要求信号を受信するまで待機し(ステップS223)、プリペイドシステム管理コンピュータ50からデータ要求信号を受信すると、プリペイドシステム管理コンピュータ50へ不審者侵入履歴や不審者立ち去り履歴の記録された履歴データを送信し(ステップS224)、夜間監視処理を終了する。
【0074】
上述した夜間監視処理においては、不審者の侵入時刻と立ち去り時刻を不審者侵入履歴データとしてプリペイドシステム管理コンピュータ50へ送信するものとしたが、その他の情報を履歴データに含ませて送信するようにしても良い。例えば、CR遊技機20の略正面から座席側を撮影した画像を処理して着座状態の判定を行う場合、不審者検出時の画像を保存しておき、その不審者画像を不審者侵入履歴データの一部としてプリペイドシステム管理コンピュータ50へ送信すると、通路天井等に設置される一般的な監視カメラよりも顔正面方向に近い至近距離から撮影した不審者画像を得ることができ、不審者を特定する上で貢献度の高い情報として有用である。また、CRユニット10に画像表示手段を設けてある場合には、遊技店員の操作によって、その画像表示手段に不審者画像を表示できるようにしても良い。
【0075】
また、不審者の侵入警告動作は、不審者を検出したCRユニット10が単独で行うものに限らず、不審者を検出していない他のCRユニット10…と連携して行うようにしても良い。例えば、不審者を検出したCRユニット10が遊技店内のLAN80を介して他のCRユニット10に対して警告応援要請を行い、これを受けたCRユニット10も警告音声の出力を行うことで、複数のCRユニット10…から不審者に対する警告を実現できる。不審者を検出したCRユニット10と連携して警告を行う他のCRユニット10…としては、不審者を検出したCRユニット10に隣接するCRユニット10,10のように、予め定めた数台程度のCRユニット10…で行うようにしても良いし、不審者を検出したCRユニット10を含む島設備60の片面あるいは両面に設置された全てのCRユニット10…、店内全てのCRユニット10…で警告を行うようにしても良い。或いは、不審者侵入検知からの時間経過に伴って、警告動作を行うCRユニット10の数を順次増加させて行くことにより、警告レベルが刻々と上がって行くような報知態様としても良い。
【0076】
以上、本発明に係る遊技媒体貸出装置の実施形態を添付図面に基づいて説明したが、本発明の包摂範囲は、これらの実施形態に限定されるものではなく、公知既存の手法を適宜転用することで実現しても構わない。
【符号の説明】
【0077】
10 遊技媒体貸出装置
11b 媒体挿排口
12 主制御回路
14 音声信号生成部
16 着座センサ部
17 記録媒体保持部
17a 媒体R/W部
20 CR遊技機
C 有価価値記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技店に設置された遊技機と、
前記遊技機に夫々対応して設けられ、情報記録媒体に記憶された情報に基づいて、対応する遊技機で使用する遊技媒体の貸出制御を行う遊技媒体貸出装置と、
前記遊技媒体貸出装置との相互通信が可能な管理コンピュータと、
を含む遊技媒体貸出システムにおいて、
前記遊技媒体貸出装置は、
遊技機に正対する椅子に誰かが座った蓋然性の高い着座状態の判定に用いる着座情報を取得する着座情報取得手段と、
前記着座情報取得手段により取得した着座情報が予め定めた着座条件を満たすことで着座状態を判定する着座状態判定手段と、
前記着座情報取得手段により取得した着座情報が予め定めた退座条件を満たすことで退座状態を判定する退座状態判定手段と、
予め設定された夜間監視開始時刻から夜間監視終了時刻までの間における動作モードとなる夜間監視モード中、退座状態から変化した着座状態が一定時間以上継続することに基づいて不審者侵入と判定し、侵入警告の報知を行うと共に不審者侵入の履歴データを記録する報知制御手段と、
を備え、
前記管理コンピュータは、各遊技媒体貸出装置へデータ要求を行うことで、夜間監視モード中の履歴データを取得するようにしたことを特徴とする遊技媒体貸出システム。
【請求項2】
前記報知制御手段は、不審者侵入判定に基づく侵入警告の報知を所定時間だけ行い、報知終了時に着座状態が継続していた場合は、退座状態に変わるまで監視を続け、不審者立ち去り履歴を記録するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の遊技媒体貸出システム。
【請求項3】
前記管理コンピュータは、遊技店の営業時間が終わって閉店操作されることに基づき、各遊技媒体貸出装置へ監視待機モードへの移行を指示し、
前記管理コンピュータからの監視待機モードへの移行指示を受けた各遊技媒体貸出装置の報知制御手段は、前記夜間監視モードになるまで監視待機モードへ移行し、該監視待機モード中には、前記管理コンピュータからの指示によって夜間監視の開始を早めることができるようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技媒体貸出システム。
【請求項4】
前記遊技媒体貸出装置は、報知制御手段により不審者侵入を検知したとき、他の遊技媒体貸出装置に対して警告応援要請を行い、複数の遊技媒体貸出装置から侵入警告の報知を行うようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の遊技媒体貸出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−96086(P2012−96086A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−33498(P2012−33498)
【出願日】平成24年2月20日(2012.2.20)
【分割の表示】特願2006−267019(P2006−267019)の分割
【原出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(501468770)株式会社ジョイコシステムズ (66)
【Fターム(参考)】