説明

遊技機

【課題】ボーナスゲーム等の特別遊技状態の獲得の有無に対する興味という基本的な遊技姿勢を遊技者に維持させつつ、新たな遊技形態を提供して遊技の興趣の向上を図る。
【解決手段】制御装置51は、スタートレバー31の操作に基づいてボーナスゲームの獲得等の抽選を行った後に、ストップスイッチ32,33,34の操作に基づいて抽選結果に応じた図柄が停止するように各リール17,18,19を停止制御する。ここで、ボーナスゲーム等の特別遊技状態とは別にメダルの投入数と払出数とがほぼ一定となる特別なゲームを用意しておき、所定条件成立時にはかかる特別なゲームが実行されるようにしておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシン等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一種として、複数の図柄(識別情報の一種)がリールに付される等により構成された図柄列を可変表示した後に停止図柄を表示する可変表示手段を備えたパチンコ機やスロットマシン等が知られている。この種の遊技機では、可変表示手段の有効ラインに表示される停止図柄が特定図柄であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる。特別遊技状態の一例としては、例えば大入賞口を有する特別役物を備えたパチンコ機では大入賞口が開放されて遊技者に大量の景品球を獲得させ得る状態等があり、スロットマシンではビッグボーナスゲームやレギュラーボーナスゲームといった所定のゲームの進行に伴ってコインの大量の払出を実現させ得る状態等がある。即ち、これらの遊技機はいずれも、所定の投資価値の入力を条件として、最終的には所定の遊技価値を遊技者に返還することで、遊技者に所定の利益を確保させようとしている。
【0003】
ところで、従来の遊技機の中には、前記可変表示中の図柄を停止させるべくストップスイッチが備えられたものが存在する。スロットマシンにおいては寧ろストップスイッチが備えられているのが一般的である。これらの内、最も一般的なタイプの遊技機は、可変表示手段に左・中・右の3列の図柄列が設けられるとともに、各図柄列に対応して3つのストップスイッチが設けられたものである。
【0004】
そして、各図柄列が可変表示されている状況において、各ストップスイッチを適当な順序で操作すると、操作されたストップスイッチに対応する図柄列が順次停止されていく。その停止は、各図柄列が機械式のリールの表面に付設されたものである場合には、ストップスイッチの操作後、数コマ(例えば4コマ)までのリールの滑りのみが許容されるに止まり、あたかも遊技者の操作によって図柄が確定しているようにみせている。これによって、遊技者は自身の技量によって所定の利益状態を獲得したかのような気分が味わえるようになっている。
【0005】
近年、これらの遊技機においては、遊技の興趣を向上させるべく、所定条件成立時に少量のコインの払出を可能とする小役図柄が揃い易くなる小役集中ゲームを有したもの等が提案されている。かかる小役集中ゲームでは、場合によってはビッグボーナスゲーム時に得られる遊技価値よりも大きな遊技価値の返還が可能なように設定されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の小役集中モード時には、ビッグボーナスゲーム中よりも大きな遊技価値の返還が期待されることから、ビッグボーナスゲームやレギュラーボーナスゲームの獲得自体が遊技者にとって重要な意味をもたなくなってしまい、遊技者の興味は小役集中ゲームを獲得できるか否かという点に集約されてしまう。即ち、本来遊技者に興味をもってもらいたいビッグボーナス等のボーナスゲームの獲得に対する興味が希薄なものとなってしまう問題がある。
【0007】
しかも、小役集中ゲームによって得られる遊技価値が大きい程、その小役集中ゲームに移行する確率は低く設定せざるを得ず、投資価値と遊技価値とのバランスを考慮するとビッグボーナスゲーム等へ移行する確率も必然的に低くなる。その結果、ギャンブル性が高くなるばかりか、ビッグボーナスゲーム等の遊技機本来の面白味の中心たる特別なボーナスゲームへなかなか移行しないことが遊技者の不満となって表れるという問題もある。
【0008】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、ボーナスゲーム等の特別遊技状態の獲得の有無に対する興味という基本的な遊技姿勢を遊技者に維持させつつ、新たな遊技形態を提供して遊技の興趣の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく、本発明では、複数の図柄が周方向に付された複数の周回体と、
前記各周回体について各図柄のうち一部の図柄を視認可能とする表示窓と、
前記各周回体の回転を始動させるべく操作される始動操作手段と、
前記周回体毎に設けられて当該周回体を回転させる駆動手段と、
前記各周回体の回転を停止させるべく操作される停止操作手段と、
前記始動操作手段の操作に基づいて前記各周回体の回転を開始させ、前記停止操作手段の操作に基づいて前記各周回体の回転を停止させる1ゲームが実行されるように、前記各駆動手段を駆動制御する駆動制御手段と、
前記表示窓から視認できる有効位置に停止した前記図柄に基づいて、予め設定した数の遊技媒体を付与する付与手段と、
前記始動操作手段の操作に基づき、ボーナスゲームの抽選を行うボーナスゲーム抽選手段と、
前記ボーナスゲーム抽選手段によりボーナスゲーム当選とされた場合、前記有効位置に前記各図柄のうちボーナス図柄を停止させるよう制御するボーナス制御手段と、
を備え、
前記有効位置に前記ボーナス図柄が停止している場合に複数ゲームによって構成されるボーナスゲームへ移行するように構成された遊技機において、
前記有効位置に予め定めた特定図柄が停止している場合に次の1ゲームを前記遊技媒体の使用なくして無償で行うことのできる再遊技ゲームが設定されており、
前記再遊技ゲームを繰り返し行うスペシャルゲーム制御手段と、
前記スペシャルゲーム制御手段によるスペシャルゲームへの移行を前記ボーナスゲームの終了に引き続き行うことを決定するスペシャルゲーム開始決定手段と、
を備え、
前記スペシャルゲーム開始決定手段により開始決定された場合には、前記ボーナスゲームの終了に引き続き前記スペシャルゲームへ移行するととともに、前記スペシャルゲーム制御手段によるスペシャルゲーム中にも前記ボーナスゲーム抽選手段による抽選を行うよう構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ボーナスゲーム等の特別遊技状態の獲得の有無に対する興味という基本的な遊技姿勢を遊技者に維持させつつ、新たな遊技形態を提供して遊技の興趣の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施の形態におけるスロットマシンの正面図。
【図2】スロットマシンの左側面図。
【図3】スロットマシンのブロック回路図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
はじめに、本実施の形態から抽出され得る発明群を手段1,2,3として区分して示し、それらを効果等を示しつつ説明する。
【0013】
1.所定の投資価値を入力する入力手段と、複数の識別情報を可変表示する可変表示手段と、該可変表示手段の可変表示を停止させるべく操作される操作手段と、所定の作動条件成立に基づいて前記可変表示手段を可変表示させるとともに、前記操作手段の操作に基づいて前記可変表示手段の可変表示を停止させるべく、前記可変表示手段を表示制御する表示制御手段と、前記可変表示手段にて停止された識別情報が特定識別情報である場合には所定の遊技価値を付与する出力手段とを備えた遊技機において、前記入力手段にて入力される投資価値と前記出力手段にて付与される遊技価値とを近づけるように制御する均等制御手段を有し、該均等制御手段は所定の第1条件の成立を必要条件として作動し、所定の第2条件成立を必要条件として作動終了することを特徴とする遊技機。
【0014】
かかる手段によれば、第1条件が成立することを必要条件として、均等制御手段は、入力手段にて入力される投資価値と出力手段にて付与される遊技価値とを近づけるように制御することとなる。この制御状態は第2条件の成立までは続行される。従って、投資価値と遊技価値との収支をほぼ一定に保持しつつ、特別遊技状態等の確保を期待させることができる。
【0015】
2.所定の投資価値を入力する入力手段と、複数の識別情報を可変表示する可変表示手段と、該可変表示手段の可変表示を始動させるべく操作される始動操作手段と、該可変表示手段の可変表示を停止させるべく操作される停止操作手段と、前記始動操作手段の操作を必要条件として前記可変表示手段を可変表示させるとともに、前記停止操作手段の操作に基づいて前記可変表示手段の可変表示を停止させるべく、前記可変表示手段を表示制御する表示制御手段と、前記可変表示手段にて停止された識別情報が特定識別情報である場合には所定の遊技価値を付与する出力手段とを備えた遊技機において、前記始動操作手段による先の操作に起因する可変表示手段の可変表示開始から次の操作に起因する可変表示開始までの時間を所定時間内とならないように設定する時間設定手段と、該時間設定手段を所定条件成立に基づいて解除する解除手段とを備えたことを特徴とする遊技機。
【0016】
かかる手段によれば、通常は始動操作手段による先の操作に起因する可変表示手段の可変表示開始から次の操作に起因する可変表示開始までの時間が所定時間内にならないように設定されていることから、次回の遊技の再開までに時間がかかる。即ち、素早く遊技を進行する遊技者にとっては待ち時間が発生する。ただし、所定条件成立に起因して解除手段によって前記待ち時間が解消され、次々と遊技を進めることが可能となる。
【0017】
3.所定の投資価値を入力する入力手段と、複数の識別情報を可変表示する可変表示手段と、該可変表示手段の可変表示を始動させるべく操作される始動操作手段と、該可変表示手段の可変表示を停止させるべく操作される停止操作手段と、前記始動操作手段の操作を必要条件として前記可変表示手段を可変表示させるとともに、前記停止操作手段の操作に基づいて前記可変表示手段の可変表示を停止させるべく、前記可変表示手段を表示制御する表示制御手段と、前記可変表示手段にて停止された識別情報が特定識別情報である場合には所定の遊技価値を付与する出力手段とを備えた遊技機において、前記始動操作手段による先の操作に起因する可変表示手段の可変表示開始から次の操作に起因する可変表示開始までの時間を所定時間内とならないように設定する時間設定手段と、該時間設定手段を所定条件成立に基づいて解除する解除手段と、前記入力手段にて入力される投資価値と前記出力手段にて付与される遊技価値とを近づけるように制御する均等制御手段を有し、該均等制御手段は所定の第1条件の成立を必要条件として作動し、所定の第2条件成立を必要条件として作動終了し、前記解除手段による解除は均等制御手段の作動開始とともに行われ作動終了とともに解除中止となることを特徴とする遊技機。
【0018】
かかる手段3によれば、手段1及び手段2の利点を共有して、収支が均等となる制御下でのみ迅速な遊技が可能となる。
【0019】
以下に、遊技機をスロットマシンに具体化した一実施の形態につき図面に基づいて説明する。
【0020】
図1に示すように、スロットマシン11は、前面を開放した箱状のスロットマシン本体12を有している。スロットマシン本体12の前面側には開閉扉としてのフロントパネル13が開閉自在に取り付けられている。フロントパネル13が閉状態となっている場合、フロントパネル13によってスロットマシン本体12の前面開放側が閉鎖される。フロントパネル13は常には閉状態にロックされており、そのロックは所定のキー操作により解除される。
【0021】
フロントパネル13には、縦長の3つの表示窓14,15,16が横並びとなるように設けられている。表示窓14,15,16は透明又は半透明な材質により構成されており、各表示窓14,15,16を通して内部を視認可能な状態とされている。
【0022】
スロットマシン本体12内には3つのリール17,18,19が収納されている。各リール17,18,19はそれぞれ円筒状に形成されていて、その中心軸線が回転軸線となるように回転可能に支持されている。各リール17,18,19の回転軸線は略水平方向に延びる同一軸線上に配設され、それぞれのリール17,18,19が各表示窓14,15,16と1対1で対応している。従って、各リール17,18,19の表面の一部はそれぞれ対応する表示窓14,15,16を通して視認可能な状態とされている。また、リール17,18,19が回転すると、各表示窓14,15,16を通してリール17,18,19は上下方向へ移動しているかのように映し出される。これら各リール17,18,19はそれぞれステッピングモータ等のリールモータ20,21,22(図3参照)に連結されており、各リールモータ20,21,22の駆動により各リール17,18,19が個別に、即ちそれぞれ独立して回転駆動し得る。
【0023】
各リール17,18,19の外周面には、それぞれ識別情報としての図柄が多数設けられている。これらの図柄のうち、表示窓14,15,16を介して視認可能な図柄数は、主として表示窓14,15,16の上下方向の長さによって決定される所定数に限られている。本実施形態では各リール17,18,19毎に全体を視認可能な図柄数は3個ずつとされている。
【0024】
なお、図柄としては、ビッグボーナスゲームに移行するための第1特別図柄としての「7」、レギュラーボーナスゲームに移行するための第2特別図柄としての「BAR」、小役の払出が行われる小役図柄としての「スイカ」「チェリー」等、シングルボーナスゲームに移行するための第3特別図柄としての「S」、及び外れ図柄その他の図柄が設けられている。ここでは、図1において「7」「BAR」「スイカ」のみ図示した。
【0025】
ここで、払出枚数については、通常は、小役図柄として「スイカ」「スイカ」「スイカ」が後述する有効ライン上に揃った場合には10枚、小役図柄として左側のリールにて「チェリー」が有効ライン上に出現した場合には2枚、第1特別図柄(ビッグボーナス図柄)の組合せである「7」「7」「7」が有効ライン上に揃った場合には15枚、第2特別図柄(レギュラーボーナス図柄)の組合せである「BAR」「BAR」「BAR」が有効ライン上に揃った場合には15枚、第3特別図柄(シングルボーナス図柄)の組合せである「S」「S」「S」が有効ライン上に揃った場合には1枚のメダルの払出が行われる。
【0026】
なお、各リール17,18,19は識別情報を可変表示する可変表示手段の一例であり、可変表示手段はこれ以外の構成であってもよい。例えば、機械的なリール構成に代えて、或いはこれに加えて、液晶表示器等の電気的表示により識別情報を可変表示させるものを設けてもよく、この場合は表示形態に豊富なバリエーションをもたせることが可能となる。
【0027】
フロントパネル13には、各表示窓14,15,16を結ぶように、横方向へ平行となるように3本、斜め方向へたすき掛けとなるように2本、計5本の有効ラインが付されている。これら各有効ラインに対応して、表示窓14,15,16群の両側には有効ライン表示部23,24,25が設けられている。第1の有効ライン表示部23は中央の横ラインが有効化された場合に点灯等によって表示報知される。第2の有効ライン表示部24は上下の横ラインが有効化された場合に点灯等によって表示報知される。第3の有効ライン表示部25は一対の斜めラインが有効化された場合に点灯等によって表示報知される。
【0028】
フロントパネル13の表面のうち表示窓14,15,16の下方左側には、各リール17,18,19を一斉に回転開始させるために操作されるスタートレバー31が設けられている。スタートレバー31は可変表示を開始させるべく操作される開始操作手段を構成する。スタートレバー31の右側には、回転しているリール17,18,19を個別に停止させるために操作されるボタン状のストップスイッチ32,33,34が設けられている。各ストップスイッチ32,33,34は停止対象となるリール17,18,19に対応する表示窓14,15,16の直下にそれぞれ配置されている。ストップスイッチ32,33,34は可変表示を停止させるべく操作される停止操作手段を構成する。
【0029】
フロントパネル13の表面のうち表示窓14,15,16の下方右側には、投資価値としてのメダルを投入するためのメダル投入口35が設けられている。メダル投入口35は投資価値を入力する入力手段を構成する。また、メダル投入口35が遊技者によりメダルを直接投入するという動作を伴う点に着目すれば、投資価値を直接入力する直接入力手段を構成するものともいえる。
【0030】
フロントパネル13の表面のうち表示窓14,15,16の下方左側には、投資価値としてのクレジットされた仮想メダルを1枚ずつ投入するためのボタン状のクレジット投入スイッチ36が設けられている。クレジット投入スイッチ36は前記メダル投入口35とともに投資価値を入力する入力手段を構成する。また、メダル投入口35が遊技者によりメダルを直接投入するという動作を伴うのに対しクレジット投入スイッチ36は貯留記憶に基づく仮想メダルの投入という動作を伴うに過ぎない点に着目すれば、投資価値を間接入力する間接入力手段を構成するものともいえる。なお、クレジット投入スイッチ36は1操作につき仮想メダルを1枚ずつ投入するものとしたが、1操作につき最大投入可能枚数だけ投入されるようにしてもよく、このような一括投入スイッチを別途設けてもよい。
【0031】
フロントパネル13の表面のうちメダル投入口35の左側には、ボタン状の切換スイッチ37が設けられている。切換スイッチ37は、メダル投入口35に必要量より多く投入された投入メダルや、所定の遊技の結果遊技者に返還される獲得メダルの取扱形式を変更するために操作される。即ち、例えば電源投入時には、所定の最大値(例えばコイン50枚分)となるまでの余剰の投入メダルはクレジットメダルとして貯留記憶するとともに獲得メダルもクレジットメダルとして貯留記憶するように設定しておくクレジットモードとし、切換スイッチ37が操作されると、クレジットメダルがある場合にはその分を現実のメダルとして払い出すとともに余剰の投入メダルや獲得メダルも現実のメダルとして払い出すように設定された直接モードに切り換えられるようにしておく。そして、この切換スイッチ37が操作される度にクレジットモードと直接モードとを交互に切り換えるようにしておけば、遊技者は自身の好みに応じた形式で遊技を実行することができる。かかる切換スイッチ37は投入価値及び遊技価値の取扱形式を切り換える切換操作手段を構成する。また、クレジットされた仮想メダルを現実のメダルとして払い出すという機能に着目すれば、切換スイッチ37は貯留記憶された遊技価値を実際に払い出すための精算操作手段を構成するものともいえる。
【0032】
フロントパネル13には、クレジットモード時に有効化されて貯留記憶されたメダル数を表示する残数表示部38と、獲得メダルの枚数を表示する獲得数表示部39とがそれぞれ設けられている。これら両表示部38,39は2桁の7セグメント表示器によって構成されているが、液晶表示器等によって代替することは当然可能である。
【0033】
スロットマシン11の下部には、スロットマシン本体12の内部に収納されたホッパ装置41からのメダルが排出されるメダル排出口42と、メダル排出口42から排出された現実のメダルが貯留される受皿43とが設けられている。ホッパ装置41は遊技価値たる現実のメダルを返還する出力手段を構成する。
【0034】
スロットマシン11の上部には、BB報知部45,RB報知部46,SB報知部47,OM報知部48,SP報知部49が設けられている。BB報知部45は、各リール17,18,19の回転停止時に第1特別図柄としての「7」が有効ライン上に揃った場合、ビッグボーナスゲームを獲得したことを点灯、点滅等によって表示報知する。RB報知部46は、各リール17,18,19の回転停止時に第2特別図柄としての「BAR」が有効ライン上に揃った場合、レギュラーボーナスゲームを獲得したことを点灯、点滅等によって表示報知する。SB報知部47は、各リール17,18,19の回転停止時に第3特別図柄としての「S」が有効ライン上に揃った場合、シングルボーナスゲームを獲得したことを点灯、点滅等によって表示報知する。OM報知部48は、各リール17,18,19の回転停止時に小役図柄としての「スイカ」「チェリー」等が有効ライン上に揃った場合、所定数のメダルを獲得したことを点灯、点滅等によって表示報知する。SP報知部49は後に詳述するスペシャルゲームを獲得したことを点灯、点滅等によって表示報知する。なお、これら各報知部45〜49は表示によって報知することとしたが、これに代えて或いはこれに加えて、スロットマシン11に備えられるスピーカ50によって音声により報知してもよい。
【0035】
スロットマシン11には、遊技に関する各種の制御を行うための制御装置51が備えられている。制御装置51は、制御を司るCPU,遊技プログラムを記憶したROM,遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM,各種機器との連絡をとるポート,各種抽選の際に用いられる乱数発生器,時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む制御回路基板を有し、その制御回路基板をボックスに収納してなる制御基盤ボックスによって構成されている。
【0036】
制御装置51の入力側には、スタートレバー31の操作を検出するスタート検出センサ61、各ストップスイッチ32,33,34の操作を個別に検出するストップ検出センサ62,63,64、メダル投入口35から投入されたメダルを検出する投入メダル検出センサ65、クレジット投入スイッチ36の操作を検出するクレジット投入検出センサ66、切換スイッチ37の操作を検出する切換検出センサ67、各リール17,18,19の回転位置を個別に検出するリール位置検出センサ68,69,70、ホッパ装置41から払い出されるメダルを検出するホッパ検出センサ71等の各種センサが接続されている。
【0037】
制御装置51の出力側には、各リールモータ20,21,22を駆動させるモータ駆動回路75、各種表示部23〜25,38,39や各種報知部45〜49を表示駆動させる表示駆動回路76、ホッパ装置41を駆動させるホッパ駆動回路77、スピーカ50を駆動させるスピーカ駆動回路78等が接続されている。
【0038】
制御装置51は、上述のとおりCPU,ROM,RAM等を備えているが、以下の説明では、それらの現実の構成自体に拘束されず、制御装置51を機能実現手段の集合体としてとらえて説明する。即ち、以下に説明する各種機能はCPUの制御下で実現される機能であり、その制御プログラムはROMの記憶内容に基づくものであるが、それらのプログラム上の構成等については当業者が適宜なし得るものであるため、個々には説明しない。
【0039】
制御装置51は、「小役抽選手段」を備えている。小役抽選手段は、スタート検出センサ61からの検出信号が入力されたタイミングによって、小役払出条件が成立したか否かの抽選を行う。なお、小役に複数の種類がある場合には、小役抽選手段は、どの種類の小役払出条件が成立したかの抽選を併せて行う。
【0040】
制御装置51は、「シングルボーナス抽選手段」を備えている。シングルボーナス抽選手段は、スタート検出センサ61からの検出信号が入力されたタイミングによって、シングルボーナス移行条件が成立したか否かの抽選を行う。制御装置51は、「シングルボーナス制御手段」を備えている。シングルボーナス制御手段は、通常遊技中或いはビッグボーナスゲーム中に、前記シングルボーナス抽選手段による抽選結果がシングルボーナス移行条件の成立を意味する場合に、各リール17,18,19の停止時に一定の停止制御を加えて半強制的に第3特別図柄(シングルボーナス図柄)を有効ライン上に停止させる。そして、有効ライン上にシングルボーナス図柄が停止することを条件に、予め設定された所定の遊技回数(ここでは1回)だけ、現状遊技状態である通常遊技或いはビッグボーナスゲームからシングルボーナスゲームに移行させ、その後元の遊技状態に復帰させるものである。制御装置51は、「シングルボーナス中抽選手段」を備えている。シングルボーナス中抽選手段は、シングルボーナス中にのみ有効化され、スタート検出センサ61からの検出信号が入力されたタイミングによって、図柄の抽選を行う。
【0041】
制御装置51は、「レギュラーボーナス抽選手段」を備えている。レギュラーボーナス抽選手段は、スタート検出センサ61からの検出信号が入力されたタイミングによって、レギュラーボーナス移行条件が成立したか否かの抽選を行う。制御装置51は、「レギュラーボーナス制御手段」を備えている。レギュラーボーナス制御手段は、通常遊技中或いはビッグボーナスゲーム中に、前記レギュラーボーナス抽選手段による抽選結果がレギュラーボーナス移行条件の成立を意味する場合に、各リール17,18,19の停止時に一定の停止制御を加えて半強制的に第2特別図柄(レギュラーボーナス図柄)を有効ライン上に停止させる。そして、有効ライン上にレギュラーボーナス図柄が停止することを条件に、予め設定された所定の遊技回数(ここでは12回)を上限として、現状遊技状態である通常遊技或いはビッグボーナスゲームからレギュラーボーナスゲームに移行させ、その後元の遊技状態に復帰させるものである。制御装置51は、「レギュラーボーナス中抽選手段」を備えている。レギュラーボーナス中抽選手段は、レギュラーボーナス中にのみ有効化され、スタート検出センサ61からの検出信号が入力されたタイミングによって、図柄の抽選を行う。かかる図柄の抽選は、通常の抽選とは異なり、例えばレギュラーボーナス中は第3図柄(シングルボーナス図柄)が有効ライン上に揃った場合に所定枚数(例えば15枚)のメダルが払い出されるように設定しておき、かかるシングルボーナス図柄をメダル払出図柄として、当該メダル払出図柄が揃う条件を満たすか否かの抽選とされている。そして、前記レギュラーボーナス制御手段は、前記メダル払出図柄以外の図柄が有効ライン上に揃わないように各リール17,18,19を制御するものであり、しかもメダル払出図柄が所定回数(例えば8回)揃った場合には前記所定の遊技回数(12回)に達していなくともレギュラーボーナスゲームを終了させる。
【0042】
制御装置51は、「ビッグボーナス抽選手段」を備えている。ビッグボーナス抽選手段は、スタート検出センサ61からの検出信号が入力されたタイミングによって、ビッグボーナス移行条件が成立したか否かの抽選を行う。制御装置51は、「ビッグボーナス制御手段」を備えている。ビッグボーナス制御手段は、通常遊技中に、前記ビッグボーナス抽選手段による抽選結果がビッグボーナス移行条件の成立を意味する場合に、各リール17,18,19の停止時に一定の停止制御を加えて半強制的に第1特別図柄(ビッグボーナス図柄)を有効ライン上に停止させる。そして、有効ライン上にビッグボーナス図柄が停止することを条件に、予め設定された所定の遊技回数(ここでは30回)を上限として、現状遊技状態である通常遊技からビッグボーナスゲームに移行させ、その後、原則的には元の遊技状態に復帰させるものである。制御装置51は、「ビッグボーナス中抽選手段」を備えている。ビッグボーナス中抽選手段は、ビッグボーナス中にのみ有効化され、スタート検出センサ61からの検出信号が入力されたタイミングによって、図柄の抽選を行う。そして、前記ビッグボーナス制御手段は、前記ビッグボーナス中抽選手段によって抽選された結果に応じた図柄を有効ライン上に半強制的に揃わせるべく各リール17,18,19を停止制御する。ここで、ビッグボーナスゲームは、前記所定の遊技回数(30回)内で所定回数(例えば3回)を上限とするレギュラーボーナスへの移行が可能であり、ビッグボーナスゲーム中のレギュラーボーナスにおける遊技回数は前記30回の回数には加算されないようになっている。そして、ビッグボーナス制御手段は、前記所定の遊技回数(30回)内であっても、レギュラーボーナスゲームが所定回数(3回)終了した時点でビッグボーナスゲームを終了させる。
【0043】
制御装置51は、「スペシャルゲーム開始決定手段」を備えている。スペシャルゲーム開始決定手段は、スペシャルゲーム移行条件を成立させるか否かを決定する。制御装置51は、「スペシャルゲーム制御手段」を備えている。スペシャルゲーム制御手段は、前記スペシャルゲーム開始決定手段による決定内容がスペシャルゲーム移行条件の成立を意味する場合に、スペシャルゲームを進行させるべく各リール17,18,19の停止時に一定の停止制御を加える。制御装置51は、「スペシャルゲーム終了決定手段」を備えている。スペシャルゲーム終了決定手段は、スペシャルゲーム終了条件を成立させるか否かを決定する。ここで、スペシャルゲーム制御手段は、スペシャルゲーム終了決定手段によってスペシャルゲーム終了条件の決定がなされると、スペシャルゲームを終了させる。
【0044】
ここで、スペシャルゲームの内容及びスペシャルゲームに関連した上記各手段について説明する。
【0045】
スペシャルゲームは、投入されるメダル数と払出されるメダル数とを完全に又は極力均等化するような制御下において進行されるゲームである。即ち投資価値と返還される遊技価値とを均等化するように制御されている。いわば投資と返還との収支を一定化する制御状態である。かかるスペシャルゲーム中では、上記均等化制御(あるいは収支一定化制御)によってメダルの実質的な投資が抑えられた状態でゲームが進行される。そして、このスペシャルゲーム中であってもビッグボーナス抽選手段による抽選は毎回行われることにより、投資を抑制しつつ或いは別の視点からみれば返還を抑制しつつビッグボーナスゲームへの移行を遊技者に期待させることができる新たなゲーム内容となっている。
【0046】
具体的内容は各種考えられるが、ここでは一例を示す。上述したとおり、小役図柄として左側のリール17の有効ライン上に「チェリー」が出現すれば2枚のメダル払出となる。勿論、この「チェリー」が上下の有効ライン上に出現した場合には斜めの有効ライン上にも存在することとなることで、4枚のメダル払出となる。そこで、スペシャルゲーム中は、スペシャルゲーム制御手段によって、左側のリール17において有効ライン上に「チェリー」図柄が出現し易くなるように停止制御する一方、かかる「チェリー」図柄及びビッグボーナス図柄以外の遊技者に有利な図柄が有効ライン上に揃わないように停止制御する。これにより、殆ど毎回2枚或いは4枚のコインの払出が行われることとなる。
【0047】
かかるスペシャルゲーム中のメダル払出数はホッパ検出センサ71等からの検出信号に基づいてスペシャルゲーム制御手段が常に把握できるようにしておく。一方、スペシャルゲーム制御手段は投入メダル検出センサ65及びクレジット投入検出センサ66からの検出信号に基づいてスペシャルゲーム中のメダル投入数を常に把握できるようにしておく。そして、スペシャルゲーム制御手段はスペシャルゲーム中の前記払出数と前記投入数との差が0に近づくように制御する。かかる制御は、例えば投入数が払出数を下回った場合には「チェリー」が出現しないように、投入数が払出数を上回った場合には「チェリー」に基づく4枚の払出が行われるような制御である。以上により、スペシャルゲーム中は収支がほぼ一定に保持される。
【0048】
前記スペシャルゲーム開始決定手段及びスペシャルゲーム終了決定手段についても、その開始条件及び終了条件としては、各種の例が考えられるが、ここでは開始条件としてビッグボーナスゲーム終了後に抽選によって行われることとし、終了条件として次回のビッグボーナスゲーム移行条件成立までとする。従って、ビッグボーナスゲーム終了後にスペシャルゲーム開始決定手段の抽選結果としてスペシャルゲーム移行条件の成立という結果が得られると、スペシャルゲーム制御手段の制御下でスペシャルゲームが進行される。一方、ビッグボーナス抽選手段によってビッグボーナスゲーム移行条件が成立したことに起因して、スペシャルゲーム終了決定手段はスペシャルゲームを終了させる決定を下すこととなる。
【0049】
なお、スペシャルゲーム中以外ではスタートレバー31の操作に基づく各リール17,18,19の回転開始から、次回のスタートレバー31の操作に基づく各リール17,18,19の回転開始までの時間が4.1秒以上となるように設定されている(時間設定手段)。しかしながら、スペシャルゲーム中ではスタートレバー31の操作に基づく各リール17,18,19の回転開始から、次回のスタートレバー31の操作に基づく各リール17,18,19の回転開始までの待ち時間がないように制御装置51に設けられた解除手段が機能するようになっている。これにより、スペシャルゲーム中は、待ち時間のない迅速な遊技が可能となる。
【0050】
次に、以上の構成からなるスロットマシン11の作用につき、遊技方法を踏まえて説明する。
【0051】
遊技の開始に際し、遊技者は、メダル投入口35からメダルを投入するか、またはクレジット投入スイッチ36を操作することにより貯留記憶に基づく仮想メダルを投入する。メダル投入口35に投入されたメダルは投入メダル検出センサ65によって検出され、その検出信号を受けて制御装置51はメダルの投入があったことを判断する。一方、クレジット投入スイッチ36の操作はクレジット投入検出センサ66によって検出され、その検出信号を受けて制御装置51は仮想メダルの投入があったことを判断する。これらのメダル投入枚数に応じて制御装置51は表示駆動回路76を介して有効ライン表示部23,24,25を点灯させる。ここで、1枚のメダル投入であれば有効ライン表示部23のみが点灯されて中央の横ラインのみが有効化され、2枚のメダル投入であれば有効ライン表示部23,24が点灯されて中央及び上下の横ラインが有効化され、3枚のメダル投入であれば全ての有効ライン表示部23,24,25が点灯されて全てのラインが有効化されたことを報知する。なお、クレジット投入スイッチ36の操作によるメダル投入の場合には、制御装置51はクレジットされているメダルの貯留記憶数をその分減算し、その減算値に応じた表示を残数表示部38に行わせるように表示制御する。
【0052】
少なくとも1ラインが有効化されている時点で、遊技者がスタートレバー31を操作すると、その操作がスタート検出センサ61によって検出され、その検出信号を受けて制御装置51はスタートレバー31の操作があったことを判断する。すると、制御装置51は、全てのリール17,18,19を一斉に回転させるべく、モータ制御回路75を介して各リールモータ20,21,22を駆動制御する。その結果、各リール17,18,19は遊技者にとっては表面に付された図柄を目視することが困難な程の速度で一方向に回転し、各表示窓14,15,16を介して各図柄があたかも上下方向に可変表示されているかのように映し出される。
【0053】
前記スタートレバー31の操作に基づく検出信号が制御装置51に入力されたタイミングで、通常遊技中では、小役抽選手段、シングルボーナス抽選手段、レギュラーボーナス抽選手段、ビッグボーナス抽選手段による各抽選が行われる。なお、各抽選手段の抽選結果において、小役払出条件成立、シングルボーナス移行条件成立、レギュラーボーナス移行条件成立、ビッグボーナス移行条件成立といった遊技者に有利な条件成立が重なった場合は、有利度合の大きい方の抽選結果のみを有効化する。具体的には、ビッグボーナス移行条件成立が優先順位が最も高く、以降レギュラーボーナス移行条件成立、小役払出条件成立、シングルボーナス移行条件成立の順に優先順位が低くなる。
【0054】
小役抽選手段による抽選結果が、小役払出条件成立を意味する場合は、適宜の小役図柄を有効ライン上に停止させ得る権利が与えられる。また、シングルボーナス抽選手段による抽選結果が、シングルボーナス移行条件成立を意味する場合は、シングルボーナスゲームへ移行する権利が与えられる。また、レギュラーボーナス抽選手段による抽選結果がレギュラーボーナス移行条件成立を意味する場合は、レギュラーボーナスゲームへ移行する権利が与えられる。また、ビッグボーナス抽選手段による抽選結果がビッグボーナス移行条件成立を意味する場合は、ビッグボーナスゲームへ移行する権利が与えられる。さらに、各抽選手段の抽選結果が、いずれの条件成立をも意味しない場合には、小役払出や各種ボーナスゲームへ移行する権利は与えられない。
【0055】
以上の各抽選手段による抽選が終了した後、遊技者がストップスイッチ32,33,34を任意の順序で操作すると、その操作がそれぞれストップ検出センサ62,63,64によって個別に検出され、各検出信号を受けて制御装置51は各ストップスイッチ32,33,34の操作があったことを判断する。すると、制御装置51は、操作された各ストップスイッチ32,33,34に対応したリール17,18,19を個別に停止させるべく、モータ制御回路75を介して各リールモータ20,21,22を停止制御する。前記小役払出条件、シングルボーナス移行条件、レギュラーボーナス移行条件、ビッグボーナス移行条件のいずれかの条件成立時であれば、それに対応した図柄が有効ライン上に揃うように半強制的に一定の停止制御を行う。かかる停止制御においては、制御装置51がストップ検出センサ62,63,64からの検出信号を受けてから、1図柄を1コマとした場合に数コマ(例えば4コマ)までの余分な回転を許容する範囲内において各リール17,18,19の停止位置を制御することができるという意味で半強制的な停止制御としている。これにより、遊技者が熟練していなくとも制御装置51側で成立した条件の内容に応じた図柄を有効ライン上に極力停止させることが可能となる。また、いずれの条件も成立していない場合には、上記各条件に対応した図柄が有効ライン上に揃わないように強制的に一定の停止制御を行うこととなる。
【0056】
各リール17,18,19の回転方向の停止位置は、個別にリール位置検出センサ68,69,70によって検出される。従って、制御装置51は各リール位置検出センサ68,69,70からの各検出信号を受けて有効ライン上に停止された実際の図柄を把握することができる。これら各リール17,18,19の停止時において、有効ライン上の停止図柄の組合せが、予め定められた所定の図柄の組合せである場合、即ち小役図柄の組合せ、第1特別図柄(ビッグボーナス図柄)の組合せ、第2特別図柄(レギュラーボーナス図柄)の組合せ、第3特別図柄(シングルボーナス図柄)の組合せである場合、制御装置51は表示駆動回路76を介して各停止図柄の組合せに応じて払い出されるメダル数を獲得数表示部39に表示させる。
【0057】
制御装置51は、獲得数表示部39への表示と並行して、各停止図柄の組合せに応じた数のメダルを遊技価値として払い出すための払出制御を行う。かかるメダルの払出は、制御装置51がホッパ駆動回路77を介してホッパ装置41を駆動することにより、メダル排出口42から受皿43へ直接的に現実のメダルとして払い出される。ただし、切換スイッチ37の操作を切換検出センサ67が検出し、制御装置51がクレジットモードであると判断した場合において貯留記憶できる最大値(50枚分)に達していない場合には、その分が直接ホッパ装置41を駆動することなく、クレジットメダルとして貯留記憶する。この場合、制御装置51はクレジットされているメダルの貯留記憶数に今回獲得したメダル数分を加算し、その加算値に応じた表示を残数表示部38に行わせるように表示制御する。勿論、この場合でも貯留記憶できる最大値である50枚分を越えた分はホッパ装置41より直接メダルが払い出される。
【0058】
一方、クレジット投入スイッチ36の操作はクレジット投入検出センサ66によって検出され、その検出信号を受けて制御装置51は仮想メダルの投入があったことを判断する。これらのメダル投入枚数に応じて制御装置51は表示駆動回路76を介して有効ライン表示部23,24,25を点灯させる。ここで、1枚のメダル投入であれば有効ライン表示部23のみが点灯されて中央の横ラインのみが有効化され、2枚のメダル投入であれば有効ライン表示部23,24が点灯されて中央及び上下の横ラインが有効化され、3枚のメダル投入であれば全ての有効ライン表示部23,24,25が点灯されて全てのラインが有効化されたことを報知する。なお、クレジット投入スイッチ36の操作によるメダル投入の場合には、制御装置51はクレジットされているメダルの貯留記憶数をその分減算し、その減算値に応じた表示を残数表示部38に行わせるように表示制御する。
【0059】
そして、有効ライン上に揃った図柄が小役図柄或いは何ら払出のない図柄の組合せである場合には、通常遊技が続行される。一方、有効ライン上に揃った図柄の組合せがシングルボーナス図柄の組合せである場合にはシングルボーナス制御手段によってシングルボーナスゲームが行われる。また、有効ライン上に揃った図柄の組合せがレギュラーボーナス図柄の組合せである場合にはレギュラーボーナス制御手段によってレギュラーボーナスゲームが行われる。また、有効ライン上に揃った図柄の組合せがビッグボーナス図柄の組合せである場合にはビッグボーナス制御手段によってビッグボーナスゲームが行われる。
【0060】
なお、小役図柄が揃った場合、制御装置51は、表示駆動回路76を介してOM報知部48を表示制御して小役成立を表示報知するとともに、スピーカ駆動回路78を介してスピーカ50を駆動制御して小役成立を音声報知する。また、シングルボーナス図柄が揃った場合、制御装置51は、表示駆動回路76を介してSB報知部47を表示制御してシングルボーナスゲームへの移行を表示報知するとともに、スピーカ駆動回路78を介してスピーカ50を駆動制御してシングルボーナスゲームへの移行を音声報知する。また、レギュラーボーナス図柄が揃った場合、制御装置51は、表示駆動回路76を介してRB報知部46を表示制御してレギュラーボーナスゲームへの移行を表示報知するとともに、スピーカ駆動回路78を介してスピーカ50を駆動制御してレギュラーボーナスゲームへの移行を音声報知する。また、ビッグボーナス図柄が揃った場合、制御装置51は、表示駆動回路76を介してBB報知部45を表示制御してビッグボーナスゲームへの移行を表示報知するとともに、スピーカ駆動回路78を介してスピーカ50を駆動制御してビッグボーナスゲームへの移行を音声報知する。これらスピーカ50による音声報知は、遊技者への遊技価値返還による利益が大きいもの程大袈裟なものとすることが好ましい。各報知部45〜48の表示態様についても同様であり、例えばビッグボーナスゲームではめまぐるしく点滅させる等によって得られる利益の大きさを遊技者に推し量らせることができる。
【0061】
ここで、ビッグボーナスゲームに移行した場合、ビッグボーナス制御手段によって、所定の遊技回数(30回)又は所定のレギュラーボーナス回数(3回)の実行後に当該ビッグボーナスゲームが終了することとなるが、この終了時点でスペシャルゲーム開始決定手段によって所定の抽選が行われる。かかる抽選結果がスペシャルゲーム移行条件の成立を意味するものである場合、スペシャルゲーム制御手段によってスペシャルゲームへの移行が図られる。この時、制御装置51は、制御装置51は、表示駆動回路76を介してSP報知部49を表示制御してスペシャルゲームへの移行を表示報知するとともに、スピーカ駆動回路78を介してスピーカ50を駆動制御してスペシャルゲームへの移行を音声報知する。これらの表示報知及び音声報知も他の報知の場合と差別化することが好ましい。
【0062】
スペシャルゲーム中は、スペシャルゲーム制御手段によって、左側のリール17において有効ライン上に「チェリー」図柄が出現し易くなるように停止制御される。また、スペシャルゲーム中におけるコイン投入数とコイン払出数とがほぼ一定となるように均等化制御(収支一定制御)が実行される。そして、このゲーム中であっても、ビッグボーナス抽選手段による抽選が実行される。従って、遊技者はビッグボーナスゲーム終了後、コインを減らすことなく、また増えることもなく、次回のビッグボーナスゲームへの移行を期待することとなる。
【0063】
やがて、ビッグボーナス抽選手段によってビッグボーナス移行条件の成立結果が得られると、この時点でスペシャルゲーム終了決定手段はスペシャルゲームを終了させる決定を下すこととなり、スペシャルゲーム制御手段はこの決定を受けてスペシャルゲームを終了させる。この場合、制御装置51はSP報知部49を消灯させるため、遊技者はその報知内容の確認によってスペシャルゲームの終了を知ることができる。また、このSP報知部49の消灯は、上記ビッグボーナス移行条件の成立をも意味することとなるため、遊技者はビッグボーナス図柄を停止させる前にビッグボーナスゲームへの移行が目前に迫っていることを知ることができる。即ち、この実施形態においてSP報知部49の消灯は遊技者への連続的なビッグボーナスゲームの報知を意味することとなるのである。
【0064】
なお、以降のビッグボーナスゲームの終了後も、再度、スペシャルゲーム開始決定手段による抽選が実行されることとなり、場合によってはビッグボーナスゲームとスペシャルゲームとが交互に繰り返されて遊技者に多くの遊技価値たるメダルを返還することができる。しかも、この場合にあっても、ビッグボーナスゲームへの移行に関する確率を変更することはしていないため、ビッグボーナスゲーム間のスペシャルゲーム時間は比較的長くなることが想定され、必要以上にメダルが払い出されることによるギャンブル性は抑えられている。
【0065】
以上説明したスロットマシン11によれば、既存のビッグボーナスゲームやレギュラーボーナスゲームその他のゲームに加え、スペシャルゲームを備えたことで、新たな遊技形態が実現されることとなり、遊技の興趣を向上させることができる。
【0066】
特に、スペシャルゲームは、投入されるメダル数と払出されるメダル数とを完全に又は極力均等化するような制御下において進行されるゲームであるとともに、その最中にもビッグボーナスゲームの抽選が実行されることから、スペシャルゲーム時における必要以上の遊技価値の返還を行わずに次回のビッグボーナスゲームを獲得させることができる。これにより、スロットマシン11本来の面白味をもたらすビッグボーナスゲーム獲得の有無に対する興味という基本的な遊技姿勢を遊技者に維持させつつ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0067】
以下、他の実施形態について説明する。
【0068】
(a)スペシャルゲーム制御手段によるスペシャルゲームとしては、所定の小役図柄である「チェリー」のみが出現するような制御としなくても、複数種のうち任意の小役図柄が揃い得るように各リール17,18,19を停止制御するようにしてもよい。この場合であっても、収支を一定化すべく、必要以上にメダル払出が行われた場合にはその後の所定回数の遊技ではメダル払出が行われないように適宜停止制御すればよい。
【0069】
(b)スペシャルゲーム制御手段によるスペシャルゲームの別例として、所定図柄が揃う等の条件を満たすと次回は無償で遊技を行うことができる再遊技ゲームを制御装置51による制御可能なゲームとして設定しておき、かかる再遊技ゲームをスペシャルゲーム中に繰り返し行うようにすることも可能である。この場合、再遊技ゲームを行っても再度再遊技ゲームの成立図柄が有効ライン上に揃うようにしておけば、スペシャルゲーム中には遊技者に何らメダル払出を行うことがなく、逆にメダル投入を行うこともないので、スペシャルゲーム中におけるメダル収支を何ら演算しなくとも、収支を一定化することができる。
【0070】
(c)スペシャルゲーム制御手段によるスペシャルゲームの別例として、所定枚数分の遊技が繰り返されるとレギュラーボーナスゲームを強制的に実行するように構成することもできる。この場合、前記所定枚数と、レギュラーボーナスゲームで得られる予定枚数とをほぼ一致させておけば、途中の一時期では収支に差異が生じるものの、必要以上に収支のバランスが崩れることがなくなる。
【0071】
(d)スペシャルゲーム制御手段によるスペシャルゲームの別例として、スペシャルゲーム中はクレジット投入スイッチ36からの入力のみを許容することとしてメダル投入口35からのメダル投入を無効とすることにより、クレジットモードでの遊技とすることが考えられる。この場合、クレジットされた貯留記憶がなくならないように又は遅くともなくなった時に、各リール17,18,19を強制的に所定位置となるように停止制御することによって、貯留記憶内という収支一定化の要求下での遊技を実現することができる。
【0072】
(e)スペシャルゲーム制御手段によるスペシャルゲームの別例として、小役図柄の組合せパターンを通常遊技時よりも増大させることも考えられる。例えば「スイカ」「スイカ」「7」等の組合せであっても小役成立としてメダル払出を行うようにする。このようにすれば、遊技者に対してはスペシャルゲーム時において意図的に小役図柄が揃っているかのような印象を与えることなく通常遊技時と同様の自然な印象をもたせつつ、収支を一定に近づけることができる。
【0073】
(f)スペシャルゲーム開始決定手段は、抽選によってスペシャルゲームへの移行を行うか否かを決定するものであったが、そのスペシャルゲーム移行結果を抽選する確率を例えば1/2とすることができる。また、1/3等のようにスペシャルゲームへ移行する確率と移行しない確率とを不等分にすることも可能である。
【0074】
(g)スペシャルゲーム開始決定手段は、ビッグボーナスゲームの終了時点での抽選によって決定するものであったが、これに代えて或いはこれに加えてレギュラーボーナスゲームの終了時点での抽選によってスペシャルゲームへの移行を行うか否かを決定するものとしてもよい。同様の趣旨に沿って、シングルボーナスゲームの終了時点での抽選によるものであってもよい。また、各ゲームの終了時点ではなく開始時点で決定されるものであってもよい。
【0075】
(h)スペシャルゲーム開始決定手段によるスペシャルゲームへの移行を行うか否かの抽選は、所定のゲームを契機としなくても、例えば毎回行うようにしてもよい。このように構成すれば、ビッグボーナスゲーム等を獲得せずともスペシャルゲームへの移行が可能となる。
【0076】
(i)スペシャルゲーム開始決定手段によるスペシャルゲームへの移行の決定を抽選によるものに加え、又はこれに代えて、別の決定方式としてもよい。別の決定方式としては、例えば所定の遊技回数目を条件にスペシャルゲームへの移行を決定するものとしてもよい。また、ビッグボーナスゲーム又はレギュラーボーナスゲームが所定回行われる毎にスペシャルゲームへの移行を決定することも可能である。
【0077】
(j)スペシャルゲーム終了決定手段は、次回のビッグボーナス移行条件成立時にスペシャルゲームの終了を決定することとしていたが、スペシャルゲーム中においてレギュラーボーナス抽選手段による抽選も有効化しておき、次回のレギュラーボーナス移行条件成立時にも終了するように決定してもよい。
【0078】
(k)スペシャルゲーム終了決定手段は、次回のビッグボーナス移行条件成立時にスペシャルゲームの終了を決定することとしていたが、これに代えて、スペシャルゲーム開始後終了までの遊技回数を例えば100回等の所定回数に予め決めておくことで、当該所定回数の終了時点でスペシャルゲームを終了させてもよい。また、この遊技回数は抽選等によって50回、100回、200回というように段階的なものとしてもよい。
【0079】
(l)スペシャルゲーム終了決定手段として、スペシャルゲーム中に随時抽選を行うこととし、その抽選結果がスペシャルゲームの終了を示す結果となった場合にスペシャルゲームの終了を決定することとしてもよい。
【0080】
(m)既存のビッグボーナスゲーム、レギュラーボーナスゲーム、シングルボーナスゲームを有するスロットマシン11について説明したが、これ以外にも、所定図柄が揃う等の条件を満たすと次回は無償で遊技を行うことができる再遊技ゲーム、所定回数等の条件を満たすまでは各リール17,18,19の停止を特別な制御を極力加えることなくストップスイッチ32,33,34の操作によって行うことで所定の遊技価値の返還を期待させるチャンスタイムゲーム等のゲームを付加してもよい。逆に、これらのゲームのうち適宜のゲームを省略して実施してもよい。
【0081】
(n)各リール17,18,19の図柄としては、絵、数字、文字等に限らず、幾何学的な線や図形等であってもよい。また、光や色等によって図柄を構成することも可能であるし、立体的形状等によっても図柄を構成し得るし、これらを複合したものであっても図柄を構成し得る。即ち、図柄は識別性を有した情報(識別情報)としての機能を有するものであればよい。
【0082】
(o)遊技機として回胴式遊技機、特にスロットマシン11について具体化した例を示したが、ストップスイッチ等の停止操作機能を有するパチンコ機に具体化してもよい。また、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機に適用してもよい。即ち、スロットマシンのうち、コイン投入及びコイン払出機能に代えて、パチンコ機のような球投入及び球払出機能をもたせた遊技機としてもよい。かかる遊技機をスロットマシンに代えて使用すれば、遊技ホールでは球のみを遊技価値として取り扱うことができるため、パチンコ機とスロットマシンとが混在している現在の遊技ホールにおいてみられる、遊技価値たるコインと球との別個の取扱による設備上の負担や遊技機設置個所の制約といった問題を解消し得る。
【符号の説明】
【0083】
11…遊技機としてのスロットマシン、14,15,16…表示窓、17,18,19…可変表示手段としてのリール、20,21,22…可変表示手段としてのリールモータ、23,24,25…有効ライン表示部、31…始動操作手段としてのスタートレバー、32,33,34…停止操作手段としてのストップスイッチ、35…入力手段としてのメダル投入口、36…入力手段としてのクレジット投入スイッチ、38…残数表示部、39…獲得数表示部、41…出力手段としてのホッパ装置、45…表示報知手段としてのBB報知部、46…表示報知手段としてのRB報知部、47…表示報知手段としてのSB報知部、48…表示報知手段としてのOM報知部、49…表示報知手段としてのSP報知部、50…音声報知手段としてのスピーカ、51…表示制御手段,均等制御手段等の各種手段を構成する制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の図柄が周方向に付された複数の周回体と、
前記各周回体について各図柄のうち一部の図柄を視認可能とする表示窓と、
前記各周回体の回転を始動させるべく操作される始動操作手段と、
前記周回体毎に設けられて当該周回体を回転させる駆動手段と、
前記各周回体の回転を停止させるべく操作される停止操作手段と、
前記始動操作手段の操作に基づいて前記各周回体の回転を開始させ、前記停止操作手段の操作に基づいて前記各周回体の回転を停止させる1ゲームが実行されるように、前記各駆動手段を駆動制御する駆動制御手段と、
前記表示窓から視認できる有効位置に停止した前記図柄に基づいて、予め設定した数の遊技媒体を付与する付与手段と、
前記始動操作手段の操作に基づき、ボーナスゲームの抽選を行うボーナスゲーム抽選手段と、
前記ボーナスゲーム抽選手段によりボーナスゲーム当選とされた場合、前記有効位置に前記各図柄のうちボーナス図柄を停止させるよう制御するボーナス制御手段と、
を備え、
前記有効位置に前記ボーナス図柄が停止している場合に複数ゲームによって構成されるボーナスゲームへ移行するように構成された遊技機において、
前記有効位置に予め定めた特定図柄が停止している場合に次の1ゲームを前記遊技媒体の使用なくして無償で行うことのできる再遊技ゲームが設定されており、
前記再遊技ゲームを繰り返し行うスペシャルゲーム制御手段と、
前記スペシャルゲーム制御手段によるスペシャルゲームへの移行を前記ボーナスゲームの終了に引き続き行うことを決定するスペシャルゲーム開始決定手段と、
を備え、
前記スペシャルゲーム開始決定手段により開始決定された場合には、前記ボーナスゲームの終了に引き続き前記スペシャルゲームへ移行するととともに、前記スペシャルゲーム制御手段によるスペシャルゲーム中にも前記ボーナスゲーム抽選手段による抽選を行うよう構成されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記付与手段は、前記遊技媒体としてのコインを払い出すコイン払出機能を備えている請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記付与手段は、前記遊技媒体としての遊技球を払い出す遊技球払出機能を備えている請求項1に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−291653(P2009−291653A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216962(P2009−216962)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【分割の表示】特願2007−59767(P2007−59767)の分割
【原出願日】平成12年3月22日(2000.3.22)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】