遊技機
【課題】遊技球に糸を取り付けて行う不正行為を防止するための構造をより安価に製造することが可能な遊技機を提供する。
【解決手段】球送り装置30は、入り口30aを持つケース31と、出口30bを持つケース32と、を備えている。球送り装置30に形成される切れ込み状のスリット50は、ケース31の縁部とケース32の縁部とにより構成されるスリット部分53を含んでいる。スリット部分53は、ケース31の縁部とケース32の縁部とが互いに突き合うようにして構成されている。糸状部材Sがスリット部分53に進入した状態に張力が付与されると、糸状部材Sはスリット部分53に捕捉される。
【解決手段】球送り装置30は、入り口30aを持つケース31と、出口30bを持つケース32と、を備えている。球送り装置30に形成される切れ込み状のスリット50は、ケース31の縁部とケース32の縁部とにより構成されるスリット部分53を含んでいる。スリット部分53は、ケース31の縁部とケース32の縁部とが互いに突き合うようにして構成されている。糸状部材Sがスリット部分53に進入した状態に張力が付与されると、糸状部材Sはスリット部分53に捕捉される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球の入賞によって大当たりの抽選を行うパチンコ遊技機等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機等の遊技機では、遊技球が始動口等の役物に入賞することにより大当たりの抽選が行われる。そして、大当たりに当選した場合には、遊技機は、大入賞口が開放されて、多くの賞球を獲得し得る大当たり遊技状態となる。したがって、遊技機が設置されたホールでは、遊技者は、遊技機を大当たり遊技状態にすべく、遊技球を打つことで入賞による大当たりの抽選が行われるように遊技を行う。
【0003】
このようなホールにて磁石を用いて遊技球を獲得しようとする不正な行為の対策として、従来から種々の技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、磁石を検知するセンサに万一、故障や破損などが発生しても不正行為を検知し続けることができるようにする構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−240274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ホールでの不正行為は、様々な手法により行われるものであり、磁石を用いることなく不正行為が行われる場合がある。例えば、糸を取り付けた遊技球を盤面に発射させることで不正に遊技球を獲得する不正行為に対しては、従来の技術で十分に対応することが困難である。また、かかる不正行為を防止するための構造を採用した場合に、一般的にコストの上昇の要因になることから、追加の不正対策に伴うコスト上昇を抑制することが求められる。
本発明は、遊技球に糸を取り付けて行う不正行為を防止するための構造をより安価に製造することが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が適用される遊技機は、遊技球による遊技を行うための遊技領域111に向けて遊技球を発射レール41から発射する遊技機100であって、前記発射レール41に遊技球を送る球送り装置30は、前記発射レール41に送られる遊技球が排出される出口30bと、前記球送り装置30の外面32d,30cを構成するカバー31,32に形成され、前記出口30bから前記発射レール41の発射の方向に延びて当該発射の方向の下流側に位置し、当該カバー31,32の外側の空間と内側の空間Tとを互いに連通するスリット50と、を備え、前記カバー31,32は、第1の部品31および当該第1の部品31に組み合わされる第2の部品32を含んで構成され、前記スリット50は、前記第1の部品31の縁部と当該縁部に隣接する前記第2の部品32の縁部とにより形成されることを特徴とするものである。
ここで、前記第1の部品31の縁部と前記第2の部品32の縁部とが互いに突き合うようにして配設して前記スリット50を形成し、前記第1の部品31の縁部と前記第2の部品32の縁部のうち少なくとも一方は、肉厚を減じて形成されていることを特徴とすることができる。また、前記第1の部品31の縁部と前記第2の部品32の縁部は、厚さ方向に延びる端面の形状により前記スリット50を形成するものであることを特徴とすることができる。
【0007】
なお、本欄における上記符号は、本発明の説明に際して例示的に付したものであり、この符号により本発明が減縮されるものではない。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、遊技球に糸を取り付けて行う不正行為を防止するための構造をより安価に製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施の形態に係るパチンコ遊技機の概略正面図である。
【図2】本実施の形態のパチンコ遊技機の部分平面拡大図である。
【図3】本実施の形態のパチンコ遊技機の制御ユニットの内部構成を示す図である。
【図4】本実施の形態の遊技制御部の機能構成を示すブロック図である。
【図5】本実施の形態の遊技制御部の主要動作を示すフローチャートである。
【図6】始動口スイッチ処理の内容を示すフローチャートである。
【図7−1】左側ゲートに対するゲートスイッチ処理の内容を示すフローチャートである。
【図7−2】右側ゲートに対するゲートスイッチ処理の内容を示すフローチャートである。
【図8】特別図柄処理の内容を示すフローチャートである。
【図9】大当たり判定処理の内容を示すフローチャートである。
【図10】変動パターン選択処理の内容を示すフローチャートである。
【図11】停止中処理の内容を示すフローチャートである。
【図12】客待ち設定処理の内容を示すフローチャートである。
【図13】普通図柄処理の内容を示すフローチャートである。
【図14】大入賞口処理の内容を示すフローチャートである。
【図15】遊技状態設定処理の内容を示すフローチャートである。
【図16】電動チューリップ処理の内容を示すフローチャートである。
【図17】Vゾーンスイッチ処理の内容を示すフローチャートである。
【図18】入賞役物処理の内容を示すフローチャートである。
【図19】開閉入賞装置処理の内容を示すフローチャートである。
【図20】本実施の形態で用いられる乱数の構成例を示す図である。
【図21】演出制御部の動作を示すフローチャートである。
【図22】枠部材の構成を説明する斜視図である。
【図23】発射ユニットの構成を説明する図である。
【図24】発射装置の発射機構を説明する図である。
【図25】透明板保持枠側に配設された発射ユニットの構成を説明する図である。
【図26】第1の実施の形態に係る球送り装置の構成を説明する分解斜視図である。
【図27】球送り装置の作用を説明する図である。
【図28】球送り装置のスリットの構成を説明する図である。
【図29】球送り装置のスリットの作用を説明する図である。
【図30】球送り装置のスリットの作用を説明する図である。
【図31】球送り装置のスリットの作用を説明する図である。
【図32】球送り装置の一応用例を説明する図である。
【図33】球送り装置の別の応用例を説明する図である。
【図34】球送り装置のまた別の応用例を説明する図である。
【図35】第2の実施の形態に係る球送り装置の構成を説明する概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〔遊技機の基本構成〕
図1は、本実施の形態に係るパチンコ遊技機100の概略正面図である。
同図に示す遊技機の一例としてのパチンコ遊技機100は、遊技者の指示操作により打ち出された遊技球が入賞すると賞球を払い出すように構成されたものである。このパチンコ遊技機100は、遊技球が打ち出される遊技盤110と、遊技盤110を囲む枠部材150とを備えている。遊技盤110は、枠部材150に着脱自在に取り付けられている。
【0011】
遊技盤110は、前面に、遊技球により遊技を行うための遊技領域111と、下方から発射された遊技球が上昇して遊技領域111の上部位置へ向かう通路を形成するレール部材112と、遊技領域111の右側に遊技球を案内する案内部材113とを備えている。
本実施の形態では、遊技者により視認され易い遊技領域111の位置に、演出のための各種の画像を表示する画像表示部114が配設されている。この画像表示部114は、液晶ディスプレイ等による表示画面を備え、遊技者によるゲームの進行に伴い、例えば、図柄抽選結果(図柄変動結果)を遊技者に報知するための装飾図柄を表示したり、キャラクタの登場やアイテムの出現による演出画像を表示したりする。
また、遊技盤110の前面に、各種の演出に用いられる可動役物115および盤ランプ116を備えている。可動役物115は、遊技盤110上で動作することにより各種の演出を行い、また、盤ランプ116は、発光することで各種の演出を行う。
【0012】
遊技領域111には、遊技球が落下する方向に変化を与えるための図示しない遊技くぎおよび風車等が配設されている。また、遊技領域111には、入賞や抽選に関する種々の役物が所定の位置に配設されている。また、遊技領域111には、遊技領域111に打ち出された遊技球のうち入賞口に入賞しなかったものを遊技領域111の外に排出する排出口117が配設されている。
【0013】
本実施の形態では、入賞や抽選に関する種々の役物として、遊技球が入ると入賞して特別図柄抽選(大当たり抽選)が始動する第1始動口121および第2始動口122と、遊技球が通過すると普通図柄抽選(開閉抽選)が始動する始動ゲート(以下、単にゲートと呼ぶ)124と、が遊技盤110に配設されている。ここにいう第1始動口121および第2始動口122とは、予め定められた1の特別図柄表示器を作動させることとなる遊技球の入賞に係る入賞口をいう。
第2始動口122は、チューリップの花の形をした一対の羽根が電動ソレノイドにより開閉すると共に点灯する普通電動役物としての電動チューリップ(開閉部材)123を備えている。電動チューリップ123は、羽根が閉じていると、遊技球が第2始動口122へ入り難い一方で、羽根が開くと第2始動口122の入口が拡大して遊技球が第2始動口122へ入り易くなるように構成されている。そして、電動チューリップ123は、普通図柄抽選に当選すると、点灯ないし点滅しながら羽根が規定時間(例えば6秒間)および規定回数(例えば3回)だけ開く。
【0014】
なお、パチンコ遊技機100は、所定の条件下で、特別図柄抽選時の特別図柄変動時間が短縮されたり、普通図柄抽選時の当選する確率が高まったり、普通図柄抽選時の普通図柄変動時間が短縮されたり、電動チューリップ123の羽根の開時間が延長されたり、電動チューリップ123の羽根が開く回数が増えたりする場合がある。
【0015】
また、本実施の形態では、遊技盤110の中央付近に、役物としてさらに、開閉入賞装置140が設けられている。開閉入賞装置140の上部の左右両側には、開閉自在な一対の羽根141(141L、141R)が設けられている。開閉入賞装置140の内部には、ステージ142が設けられており、ステージ142の中央付近に特定領域としてのVゾーン143が設けられている。また、図示のように、本実施の形態では、開閉入賞装置140の内部に画像表示部114が設けられている。なお、詳細は省略するが、ステージ142には、適当な傾斜や凹凸等が設けられ、ステージ142に到達した遊技球が一定程度の確率でVゾーン143に誘導されるように構成される。また、ステージ142に傾斜や凹凸等を設ける代わりに、あるいはそれらと共に、ステージ142付近に稼働物を設けて、遊技球のVゾーン143への誘導を制御しても良い。
【0016】
また、本実施の形態では、入賞や抽選に関するその他の役物として、特別図柄抽選の結果に応じて開放する特別電動役物としての大入賞口125と、遊技球が入賞しても抽選が始動しない普通入賞口126と、が遊技盤110に配設されている。
なお、図1に示す本実施の形態では、遊技領域111の中央付近下部に第1始動口121が配設され、遊技領域111の右半分の領域内に第2始動口122および大入賞口125が配設されている。また、ゲート124は、遊技領域111の左半分の領域と右半分の領域に、それぞれ設けられている。図1においては、左側のゲート124には添え字Lを付して124Lと記載し、右側のゲート124には添え字Rを付して124Rと記載している。以下の説明においても、2つのゲート124を区別する必要がある場合には、同様に添え字LとRを付して区別する。
本実施の形態では、遊技盤110の右下の位置に、抽選結果や保留数に関する表示を行う表示器130が配設されている。
【0017】
ここで、図1に示す遊技盤110の各入賞口の配置に着目すると、遊技領域111の右半分の領域内に第2始動口122および大入賞口125が集約されて配設されている。すなわち、本実施の形態のパチンコ遊技機100は、第2始動口122の電動チューリップ123および大入賞口125が閉じている通常の遊技状態では遊技領域111の左側から第1始動口121を狙って遊技球を発射(左打ち)し、第2始動口122の電動チューリップ123または大入賞口125が開いている遊技者に有利な遊技状態では遊技領域111の右側へ第2始動口122または大入賞口125を狙って遊技球を発射(右打ち)するように、盤面がデザインされている。ここで、遊技領域111の左半分の領域と右側半分の領域への遊技球の打ち分けは、ハンドル151のレバー152の回転量を調整し、遊技球の打球力を変更することによって行うことができる。本実施の形態のパチンコ遊技機100に設けられた2つのゲート124のうち、ゲート124Lは、左打ち時に遊技球が通過(ゲート入賞)するように設けられたゲートであり、ゲート124Rは、右打ち時に遊技球が通過するように設けられたゲートである。
【0018】
枠部材150は、遊技者がハンドル151に触れてレバー152を時計方向に回転させる操作を行うとその操作角度に応じた打球力にて遊技球を所定の時間間隔(例えば1分間に100個)で電動発射する発射装置(打球装置)40(図23参照)を備えている。また、枠部材150は、遊技者のレバー152による操作と連動したタイミングで発射装置40に遊技球を1つずつ順に供給する球送り装置30(図23参照)と、球送り装置30が発射装置40に供給する遊技球を一時的に溜めておく皿153と、を備えている。この皿153には、例えば払い出しユニット560(図22参照)による払出球が払い出される。
なお、本実施の形態では、皿153を上下皿一体で構成しているが、上皿と下皿とを分離する構成例も考えられる。また、発射装置40のハンドル151を所定条件下で発光させる構成例も考えられる。
【0019】
また、枠部材150は、発射装置のハンドル151に遊技者が触れている状態であっても遊技球の発射を一時的に停止させるための停止ボタン154と、皿153に溜まっている遊技球を箱(不図示)に落下させて取り出すための取り出しボタン155と、を備えている。
また、枠部材150は、パチンコ遊技機100の遊技状態や状況を告知したり各種の演出を行ったりするスピーカ156および枠ランプ157を備えている。スピーカ156は、楽曲や音声、効果音による各種の演出を行い、また、枠ランプ157は、点灯点滅によるパターンや発光色の違い等で光による各種の演出を行う。なお、枠ランプ157については、光の照射方向を変更する演出を行うことを可能にする構成例が考えられる。
また、枠部材150は、遊技盤110を遊技者と隔てるための透明板159を備えている。
【0020】
図2は、本実施の形態に係るパチンコ遊技機100を説明する図であり、(a)は、遊技盤110の右下に配設された表示器130の一例を示す拡大図であり、(b)は、パチンコ遊技機100の部分平面図である。
パチンコ遊技機100の表示器130は、図2の(a)に示すように、第1始動口121の入賞に対応して作動する第1特別図柄表示器221と、第2始動口122の入賞に対応して作動する第2特別図柄表示器222と、ゲート124の通過に対応して作動する普通図柄表示器223と、を備えている。第1特別図柄表示器221は、第1始動口121の入賞による特別図柄を変動表示しその抽選結果を表示する。第2特別図柄表示器222は、第2始動口122の入賞による特別図柄を変動表示しその抽選結果を表示する。普通図柄表示器223は、遊技球がゲート124を通過することにより普通図柄を変動表示しその抽選結果を表示する。本実施の形態では、第1特別図柄表示器221、第2特別図柄表示器222および普通図柄表示器223は、各々LEDを配列した表示装置で構成されている。
【0021】
また、表示器130は、第1特別図柄表示器221での保留に対応して作動する第1特別図柄保留表示器218と、第2特別図柄表示器222での保留に対応して作動する第2特別図柄保留表示器219と、普通図柄表示器223での保留に対応して作動する普通図柄保留表示器220と、を備えている。本実施の形態では、第1特別図柄保留表示器218、第2特別図柄保留表示器219および普通図柄保留表示器220の各々は、一列に配設したLED表示装置で構成され、その点灯態様によって保留数が表示される。
【0022】
ここで、保留について説明する。特別図柄や普通図柄の変動表示動作中(入賞1回分の変動表示が行なわれている間)にさらに他の遊技球による入賞があった場合、図柄が変動中であるために、後の入賞に基づく図柄の変動表示動作を開始することができない。そのため、後の入賞は規定個数(例えば4個)を限度に記憶され、その入賞した遊技球に対する図柄の変動表示動作は、先に入賞した遊技球に対する変動表示動作が終了するまで、保留される。このような保留がなされていることおよびその保留の数(未抽選数)が、第1特別図柄保留表示器218、第2特別図柄保留表示器219および普通図柄保留表示器220に表示される。
【0023】
さらに、表示器130は、パチンコ遊技機100の状態を表示する状態表示器224を備えている。本実施の形態では、状態表示器224は、2個のLEDを配列した表示装置で構成されている。2個のLEDのうち1つは、パチンコ遊技機100の遊技状態が変動しているか否かを点灯により報知するものであり、他の1つは、右打ちすることによって大入賞口125や第2始動口122に入賞しやすい遊技者に有利な遊技状態となっているか否かを点灯により報知するものである。
【0024】
パチンコ遊技機100の枠部材150は、遊技者が演出に対する入力を行うための入力装置を備えている。図2の(b)に示すように、本実施の形態では、入力装置の一例として、演出ボタン161と、演出ボタン161に隣接し、略十字に配列された複数のキーからなる演出キー162と、が枠部材150に配設されている。演出キー162は、その中央に1つの中央キーを配置し、また、中央キーの周囲に略同一形状の4つの周囲キーを配置して構成されている。遊技者は、4つの周囲キーを操作することにより、画像表示部114に表示されている複数の画像のいずれかを選ぶことが可能であり、また、中央キーを操作することにより、選んだ画像を情報として入力することが可能である。
【0025】
〔本実施の形態による遊技〕
ここで、本実施の形態におけるパチンコ遊技機100の一般的な遊技の流れについて説明する。
本実施の形態のパチンコ遊技機100は、図1を参照して説明したように、第2始動口122の電動チューリップ123または大入賞口125が開いている遊技者に有利な遊技状態のときに右打ちをすることで入賞し易くなるように盤面がデザインされている。一方、第2始動口122の電動チューリップ123および大入賞口125が閉じている通常の遊技状態では、大入賞口125に入賞することはなく、第2始動口122にも入賞が困難であるため、遊技者は、左打ちにより第1始動口121への入賞を狙うこととなる。そして、遊技領域111の左右に1つずつゲート124が設けられているため、左打ちされた遊技球がゲート124を通過(ゲート入賞)する場合は、主にゲート124Lを通過し、右打ちされた遊技球がゲート124を通過(ゲート入賞)する場合は、主にゲート124Rを通過することとなる。遊技球がゲート入賞すると、普通図柄抽選が行われ、この普通図柄抽選に当選すると、一定の態様で電動チューリップ123が開放され、第2始動口122への入賞が容易となる。
【0026】
遊技球が、第1始動口121または第2始動口122に入賞すると、特別図柄抽選が行われる。詳しくは後述するが、この特別図柄抽選では、予め定められた確率で、大当たりや小当たりに当選する。大当たりに当選すると、所定の態様で大入賞口125が開放される大当たり遊技が行われる。また、小当たりに当選すると、所定の態様で開閉入賞装置140の羽根141が開放される小当たり遊技が行われる。
【0027】
小当たりによる羽根141の開放中に、遊技球が開閉入賞装置140に入賞し、Vゾーン143を通過すると、特別図柄抽選の抽選結果に応じて定まるラウンド数だけ大入賞口125を開放させる大当たり遊技状態となる。大当たり遊技状態の終了後は、特別図柄抽選の抽選結果である小当たりの種類に応じて、特別図柄抽選の際の特別図柄変動時間が短縮される時短遊技状態となる。
【0028】
時短遊技状態に移行すると、電動チューリップ123の開放による第2始動口122への入賞サポート(いわゆる電チューサポート)が行われる(補助遊技状態)。この入賞サポートが行われている時には、入賞サポートが行われていない通常遊技状態と比較して、普通図柄抽選に当選した場合の電動チューリップ123の開放回数が増え、一回の開放時間も長くなる。また、普通図柄抽選の当選確率自体も上がる。
【0029】
〔制御ユニットの構成〕
次に、パチンコ遊技機100での動作制御や信号処理を行う制御ユニットについて説明する。
図3は、制御ユニットの内部構成を示すブロック図である。同図に示すように、制御ユニットは、メイン制御手段として、内部抽選および当選の判定等といった払い出す賞球数に関する各種制御を行う遊技制御部200を備えている。また、サブ制御手段として、演出を統括的に制御する演出制御部300と、画像および音響を用いた演出を制御する画像/音響制御部310と、各種のランプおよび可動役物115を用いた演出を制御するランプ制御部320と、払出球の払い出し制御を行う払出制御部400と、を備えている。
【0030】
前述したように、遊技制御部200、演出制御部300、画像/音響制御部310、ランプ制御部320、および払出制御部400各々は、遊技盤110の後面に配設されたメイン基板としての遊技制御基板、サブ基板としての演出制御基板、画像制御基板、ランプ制御基板、および払出制御基板において個別に構成されている。
【0031】
〔遊技制御部の構成・機能〕
遊技制御部200は、内部抽選および当選の判定等といった払い出し賞球数に関連する各種制御を行う際の演算処理を行うCPU201と、CPU201にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM202と、CPU201の作業用メモリ等として用いられるRAM203と、を備えている。
遊技制御部200は、第1始動口121または第2始動口122に遊技球が入賞すると特別図柄抽選を行い、特別図柄抽選での当選か否かの判定結果を演出制御部300に送る。また、特別図柄抽選時の特別図柄変動時間の短縮設定、および普通図柄抽選時の普通図柄変動時間の短縮設定を行い、設定内容を演出制御部300に送る。
さらに、遊技制御部200は、電動チューリップ123の羽根の開時間の延長、および電動チューリップ123の羽根が開く回数の設定、さらには羽根が開く際の開閉動作間隔の設定を制御する。また、遊技球が連続的に第1始動口121または第2始動口122へ入賞したときの未抽選分の限度個数(例えば4個)までの保留や、遊技球が連続的にゲート124を通過したときの未抽選分の限度個数(例えば4個)までの保留を設定する。
また、遊技制御部200は、特別図柄抽選の結果に応じて、大入賞口125が所定条件(例えば30秒経過または遊技球10個の入賞)を満たすまで開状態を維持するラウンドを所定回数だけ繰り返すように制御する。さらには、大入賞口125が開く際の開閉動作間隔を制御する。同様に、遊技制御部200は、特別図柄抽選の結果に応じて、開閉入賞装置140の羽根141が所定条件(例えば開閉回数18回または遊技球10個の入賞)を満たすまで会場対を維持するラウンドを所定回数だけ繰り返すように制御する。さらには、羽根141が開く際の開閉動作間隔を制御する。
【0032】
さらに、遊技制御部200は、第1始動口121、第2始動口122、大入賞口125および普通入賞口126に遊技球が入賞すると、遊技球が入賞した場所に応じて1つの遊技球当たり所定数の賞球を払い出すように、払出制御部400に対する指示を行う。例えば、第1始動口121に遊技球が入賞すると3個の賞球、第2始動口122に遊技球が入賞すると4個の賞球、大入賞口125に遊技球が入賞すると13個の賞球、普通入賞口126に遊技球が入賞すると10個の賞球をそれぞれ払い出すように、払出制御部400に指示命令(コマンド)を送る。なお、ゲート124を遊技球が通過したことを検出しても、それに連動した賞球の払い出しは払出制御部400に指示しない。
払出制御部400が遊技制御部200の指示に従って賞球の払い出しを行った場合には、遊技制御部200は、払い出した賞球の個数に関する情報を払出制御部400から取得する。それにより、払い出した賞球の個数を管理する。
【0033】
遊技制御部200には、図3に示すように、第1始動口121への遊技球の入賞を検出する第1始動口検出部(第1始動口スイッチ(SW))211と、第2始動口122への遊技球の入賞を検出する第2始動口検出部(第2始動口スイッチ(SW))212と、電動チューリップ123を開閉する電動チューリップ開閉部213と、ゲート124への遊技球の通過を検出するゲート検出部(ゲートスイッチ(SW))214と、が接続されている。
また、遊技制御部200には、開閉入賞装置140の羽根141を開閉する羽根開閉部225と、開閉入賞装置140へ入賞した遊技球を検出する装置入賞検出部(装置入賞スイッチ(SW))226と、Vゾーン143へ入賞した遊技球を検出するVゾーン検出部(Vゾーンスイッチ(SW))227と、が接続されている。
さらに、遊技制御部200には、大入賞口125への遊技球の入賞を検出する大入賞口検出部(大入賞口スイッチ(SW))215と、大入賞口125を閉状態と突出傾斜した開状態とに設定する大入賞口開閉部216と、普通入賞口126への遊技球の入賞を検出する普通入賞口検出部(普通入賞口スイッチ(SW))217と、が接続されている。
【0034】
また、遊技制御部200には、第1始動口121への遊技球の入賞により始動した特別図柄抽選(大当たり抽選)の未抽選分の保留個数を限度個数内(例えば4個)で表示する第1特別図柄保留表示器218と、第2始動口122への遊技球の入賞により始動した特別図柄抽選の未抽選分の保留個数を限度個数内で表示する第2特別図柄保留表示器219と、ゲート124への遊技球の通過により始動した普通図柄抽選(開閉抽選)が始動する未抽選分の保留個数を限度個数内で表示する普通図柄保留表示器220と、が接続されている。
さらに、遊技制御部200には、第1始動口121への遊技球の入賞により始動した特別図柄抽選の結果を表示する第1特別図柄表示器221と、第2始動口122への遊技球の入賞により始動した特別図柄抽選の結果を表示する第2特別図柄表示器222と、普通図柄抽選の結果を表示する普通図柄表示器223と、が接続されている。
【0035】
そして、第1始動口スイッチ211、第2始動口スイッチ212、ゲートスイッチ214、装置入賞スイッチ226、Vゾーンスイッチ227、大入賞口スイッチ215および普通入賞口スイッチ217にて検出された検出信号が、遊技制御部200に送られる。また、遊技制御部200からの制御信号が、電動チューリップ開閉部213、羽根開閉部225、大入賞口開閉部216、第1特別図柄保留表示器218、第2特別図柄保留表示器219、普通図柄保留表示器220、第1特別図柄表示器221、第2特別図柄表示器222および普通図柄表示器223に送られる。それにより、遊技制御部200は、上記した払い出し賞球数に関連する各種制御を行う。
【0036】
さらに、遊技制御部200には、ホールに設置されたホストコンピュータ(不図示)に対して各種の情報を送信する盤用外部情報端子基板250が接続されている。そして、遊技制御部200は、払出制御部400から取得した、払い出した賞球数に関する情報や遊技制御部200の状態等を示す情報を、盤用外部情報端子基板250を介してホストコンピュータに送信する。
【0037】
〔演出制御部の構成・機能〕
演出制御部300は、演出を制御する際の演算処理を行うCPU301と、CPU301にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM302と、CPU301の作業用メモリ等として用いられるRAM303と、日時を計測するリアルタイムクロック(RTC)304と、を備えている。
演出制御部300は、例えば遊技制御部200から送られる特別図柄抽選での当選か否かの判定結果に基づいて、演出内容を設定する。その際、演出ボタン等(演出ボタン161および演出キー162)を用いたユーザからの操作入力を受けて、操作入力に応じた演出内容を設定する場合もある。この場合、例えば演出ボタン等のコントローラ(不図示)から操作に応じた信号(操作信号)を受け付け、この操作信号により識別される操作内容を演出の設定に反映させる。また、遊技が所定期間中断された場合には、演出の一つとして客待ち用の画面表示の設定を指示する。
さらには、遊技制御部200が特別図柄抽選時の特別図柄変動時間を短縮させた場合、および普通図柄抽選時の普通図柄変動時間を短縮させた場合には、演出制御部300は設定された内容に対応させて演出内容を設定する。
また、演出制御部300は、設定した演出内容の実行を指示するコマンドを画像/音響制御部310およびランプ制御部320に送る。
【0038】
〔画像/音響制御部の構成・機能〕
画像/音響制御部310は、演出内容を表現する画像および音響を制御する際の演算処理を行うCPU311と、CPU311にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM312と、CPU311の作業用メモリ等として用いられるRAM313と、を備えている。
そして、画像/音響制御部310は、演出制御部300から送られたコマンドに基づいて、画像表示部114に表示する画像およびスピーカ156から出力する音響を制御する。
具体的には、画像/音響制御部310のROM312には、画像表示部114において遊技中に表示する図柄画像や背景画像、遊技者に抽選結果を報知するための装飾図柄、遊技者に予告演出を表示するためのキャラクタやアイテム等といった画像データが記憶されている。さらには、画像データと同期させて、または画像データとは独立にスピーカ156から出力させる楽曲や音声、さらにはジングル等の効果音等といった各種音響データが記憶されている。CPU311は、ROM312に記憶された画像データや音響データの中から、演出制御部300から送られたコマンドに対応したものを選択して読み出す。さらには、読み出した画像データを用いて背景画像表示、図柄画像表示、図柄画像変動、およびキャラクタ/アイテム表示等のための画像処理と、読み出した音響データを用いた音声処理とを行う。
そして、画像/音響制御部310は、画像処理された画像データにより画像表示部114での画面表示を制御する。また、音声処理された音響データによりスピーカ156から出力される音響を制御する。
【0039】
〔ランプ制御部の構成・機能〕
ランプ制御部320は、盤ランプ116や枠ランプ157の発光、および可動役物115の動作を制御する際の演算処理を行うCPU321と、CPU321にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM322と、CPU321の作業用メモリ等として用いられるRAM323と、を備えている。
そして、ランプ制御部320は、演出制御部300から送られたコマンドに基づいて、盤ランプ116や枠ランプ157の点灯/点滅や発光色等を制御する。また、可動役物115の動作を制御する。
具体的には、ランプ制御部320のROM322には、演出制御部300にて設定される演出内容に応じた盤ランプ116や枠ランプ157での点灯/点滅パターンデータおよび発光色パターンデータ(発光パターンデータ)が記憶されている。CPU321は、ROM322に記憶された発光パターンデータの中から、演出制御部300から送られたコマンドに対応したものを選択して読み出す。そして、ランプ制御部320は、読み出した発光パターンデータにより盤ランプ116や枠ランプ157の発光を制御する。
また、ランプ制御部320のROM322には、演出制御部300にて設定される演出内容に応じた可動役物115の動作パターンデータが記憶されている。CPU321は、可動役物115に対しては、読み出した動作パターンデータによりその動作を制御する。
【0040】
〔払出制御部の構成・機能〕
払出制御部400は、払出球の払い出しを制御する際の演算処理を行うCPU401と、CPU401にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM402と、CPU401の作業用メモリ等として用いられるRAM403と、を備えている。
そして、払出制御部400は、遊技制御部200から送られたコマンドに基づいて、払出球の払い出しを制御する。
具体的には、払出制御部400は、遊技制御部200から、遊技球が入賞した場所(第1始動口121等)に応じた所定数の賞球を払い出すコマンドを取得する。そして、コマンドに指定された数だけの賞球を払い出すように払出駆動部411を制御する。ここでの払出駆動部411は、遊技球の貯留部から遊技球を送り出す駆動モータで構成される。
【0041】
また、払出制御部400には、払出駆動部411により遊技球の貯留部から実際に払い出された賞球の数を検出する払出球検出部412と、貯留部(不図示)での遊技球の貯留の有無を検出する球有り検出部413と、遊技者が遊技する際に使用する遊技球や払い出された賞球が保持される皿153が満タン状態に有るか否かを検出する満タン検出部414と、が接続されている。そして、払出制御部400は、払出球検出部412、球有り検出部413および満タン検出部414にて検出された検出信号を受け取り、これらの検出信号に応じた所定の処理を行う。
さらに、払出制御部400には、ホールに設置されたホストコンピュータに対して各種の情報を送信する枠用外部情報端子基板450が接続されている。そして、払出制御部400は、例えば払出駆動部411に対して払い出すように指示した賞球数に関する情報や払出球検出部412にて検出された実際に払い出された賞球数に関する情報等を枠用外部情報端子基板450を介してホストコンピュータに送信する。また、遊技制御部200に対しても、同様の情報を送信する。
【0042】
〔遊技制御部の機能構成〕
続いて、遊技制御部200の機能構成を説明する。
図4は、遊技制御部200の機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、遊技制御部200は、各種抽選処理を実行する機能部として、特別図柄抽選部231と、普通図柄抽選部232と、特別図柄変動制御部233と、特別図柄抽選結果判定部234と、普通図柄制御部237と、を備えている。
また、遊技制御部200は、特別図柄変動に伴う処理を実行する機能部として、変動パターン選択部235と、遊技進行制御部236と、を備えている。
さらに、遊技制御部200は、各種役物の動作制御や賞球等に関するデータ処理を実行する機能部として、大入賞口動作制御部238と、電動チューリップ動作制御部239と、賞球処理部240と、出力制御部241と、乱数制御部242と、開閉入賞装置動作制御部243と、を備えている。
【0043】
特別図柄抽選部231は、第1始動口121や第2始動口122に遊技球が入賞した場合に、特別図柄の抽選を行う。
普通図柄抽選部232は、ゲート124を遊技球が通過した場合に、普通図柄抽選を行う。
特別図柄変動制御部233は、特別図柄の抽選が行われた場合に、その抽選結果に応じて特別図柄の変動を制御する。
【0044】
特別図柄抽選結果判定部234は、特別図柄の抽選が行われた場合に、その抽選結果が「大当たりか否か」、「小当たりか否か」、「大当たりに当選した場合の大当たりの種類」、「小当たりに当選した場合の小当たりの種類」を判定する。
ここで、「大当たり」は、大当たり遊技の終了後に発生する遊技状態に応じて複数の種類に分けられる。具体的には、特別図柄の変動時間が短縮される時短遊技状態の有無によって大当たりの種類が決まる。すなわち、大当たりの種類としては、大当たり遊技の終了後に時短遊技状態が発生する大当たりと、時短遊技状態が発生しない大当たりとがある。同様に、「小当たり」についても、小当たり遊技の終了後に時短遊技状態が発生する小当たりと、時短遊技状態が発生しない小当たりとがある。以下、これらの当たり(大当たりおよび小当たり)を区別する場合は、大当たり遊技の終了後に発生する遊技状態に基づき、「時短有り」、「時短無し」等と記載して区別する。これらの当たりは、各々個別の特別図柄に対応付けられており、特別図柄抽選において当選した特別図柄の種類に応じて当たりの種類が確定する。
【0045】
また、本実施の形態では、小当たりの際に開閉入賞装置140へ入賞し、Vゾーン143を通過した場合にも、大当たりとなる。そこで、この特別図柄抽選に当選してVゾーン143の通過を経ずに大当たりとなる場合を「直撃大当たり」等とも呼ぶ。
また、「はずれ」は、「大当たり」でも「小当たり」でもなく、大入賞口125も開閉入賞装置140の羽根141も作動しない。また、時短遊技状態への移行もない。
【0046】
変動パターン選択部235は、特別図柄の抽選結果が「大当たり」や「小当たり」であった場合に、第1特別図柄表示器221や第2特別図柄表示器222にて表示する特別図柄の変動パターン(変動時間)を選択する。また、「リーチ演出を行うか否か」を判定する。ここでの「リーチ演出」とは、遊技者に大当たりや小当たりを期待させるための画像表示部114等にて行われる演出である。
遊技進行制御部236は、各遊技状態において遊技の進行を制御する。
【0047】
普通図柄制御部237は、普通図柄の抽選が行われた場合に、普通図柄の抽選結果が「当選かはずれであるか」を判定する。また、その抽選結果に応じて普通図柄の変動を制御する。この普通図柄抽選の当選確率は、主に時短遊技状態において行われる、電動チューリップの開放による第2始動口122への入賞サポート(いわゆる電チューサポート)がある場合には高くなる。
「当選」と判定された場合には、電動チューリップ123を規定時間および規定回数だけ開放し、第2始動口122への遊技球の入賞確率が高まる状態(補助遊技状態)を発生させる。上記の入賞サポート(電チューサポート)時には、この規定回数や規定時間が増える。また、「はずれ」と判定された場合には、電動チューリップ123のこのような開放状態は発生しない。
【0048】
開閉入賞装置動作制御部243は、開閉入賞装置140の羽根141の開放動作を制御する。また、開閉入賞装置140の内部に遊技球の動きに影響を与える稼働物が設けられている場合は、その動作の制御も行う。
【0049】
大入賞口動作制御部238は、大入賞口125の開放動作を制御する。
電動チューリップ動作制御部239は、電動チューリップ123の開放動作を制御する。
賞球処理部240は、入賞や抽選に関する種々の役物への入賞個数の管理および入賞に応じた賞球の払い出しを制御する。
出力制御部241は、遊技制御部200から演出制御部300および払出制御部400へ制御用コマンドの出力を制御する。
乱数制御部242は、メイン制御手段やサブ制御手段による処理で用いられる各種の乱数値の更新を制御する。
【0050】
〔遊技機の基本動作〕
次に、上記のように構成されたパチンコ遊技機100の基本動作を説明する。
パチンコ遊技機100の基本的な動作は、メイン制御手段である遊技制御部200により行われる。そして、この遊技制御部200の制御の下、サブ制御手段である演出制御部300により遊技上の演出の制御が行われ、払出制御部400により賞球の払い出しの制御が行われる。
【0051】
図5は、遊技制御部200の主要動作を示すフローチャートである。
遊技制御部200は、電源投入時や電源断時等の特殊な場合を除く通常の動作時において、図5に示す各処理を一定時間(例えば4ミリ秒)ごとに繰り返し実行する。図5を参照すると、乱数更新処理、スイッチ処理、図柄処理、電動役物処理、賞球処理、出力処理が順次実行される(ステップ501〜506)。
【0052】
乱数更新処理(ステップ501)では、遊技制御部200の乱数制御部242は、メイン制御手段やサブ制御手段による処理で用いられる各種の乱数の値を更新する。乱数の設定および乱数値の更新の詳細については後述する。
【0053】
スイッチ処理(ステップ502)としては、始動口スイッチ処理、ゲートスイッチ処理、Vゾーンスイッチ処理が行われる。
始動口スイッチ処理では、遊技制御部200の特別図柄抽選部231は、図3の第1始動口スイッチ211および第2始動口スイッチ212の状態を監視し、スイッチがONとなった場合に、特別図柄抽選のための処理を実行する。
ゲートスイッチ処理では、遊技制御部200の普通図柄抽選部232は、図3のゲートスイッチ214の状態を監視し、スイッチがONとなった場合に、普通図柄抽選のための処理を実行する。
Vゾーンスイッチ処理では、遊技制御部200の遊技進行制御部236は、図3のVゾーンスイッチ227の状態を監視し、スイッチがONとなった場合に、V入賞に関する処理を実行する。
これらのスイッチ処理の詳細な内容については後述する。
【0054】
図柄処理(ステップ503)としては、特別図柄処理、普通図柄処理が行われる。
特別図柄処理では、遊技制御部200の特別図柄変動制御部233、特別図柄抽選結果判定部234、変動パターン選択部235、および遊技進行制御部236により、特別図柄変動およびこの図柄変動に伴う処理が行われる。
普通図柄処理では、遊技制御部200の普通図柄制御部237により、普通図柄変動およびこの図柄変動に伴う処理が行われる。
これらの図柄処理の詳細な内容については後述する。
【0055】
電動役物処理(ステップ504)としては、大入賞口処理、電動チューリップ処理、入賞役物処理、開閉入賞装置処理が行われる。
大入賞口処理では、遊技制御部200の大入賞口動作制御部238は、所定の条件に基づいて大入賞口125の開放動作を制御する。
電動チューリップ処理では、遊技制御部200の電動チューリップ動作制御部239は、所定の条件に基づいて電動チューリップ123の開放動作を制御する。
入賞役物処理および開閉入賞装置処理では、遊技制御部200の開閉入賞装置動作制御部243は、所定の条件に基づいて開閉入賞装置140の羽根141や稼働物の動作を制御する。
これらの電動役物処理の詳細な内容については後述する。
【0056】
賞球処理(ステップ505)では、遊技制御部200の賞球処理部240は、入賞個数の管理および入賞に応じた賞球の払い出しを制御する。
出力処理(ステップ506)では、遊技制御部200の出力制御部241は、演出制御部300および払出制御部400へ制御用コマンドを出力する。制御用コマンドは、ステップ505までの各処理において生成され、RAM203にセットされており、この出力処理で出力される。
【0057】
〔遊技制御部での始動口スイッチ処理〕
図6は、図5のステップ502に示したスイッチ処理のうちの始動口スイッチ処理の内容を示すフローチャートである。
この始動口スイッチ処理は、第1始動口121における入賞に対する処理と、第2始動口122における入賞に対する処理とが順次行われる。図6を参照すると、遊技制御部200の特別図柄抽選部231は、まず、第1始動口121に遊技球が入賞して第1始動口スイッチ211がONとなったか否かを判断する(ステップ601)。第1始動口スイッチ211がONとなったならば、次に特別図柄抽選部231は、第1始動口121の入賞における未抽選分の保留数U1が上限値未満か否かを判断する(ステップ602)。図6に示す例では、上限値を4個としている。保留数U1が上限値に達している場合は(ステップ602でNo)、それ以上未抽選分の入賞を保留することができないので、第1始動口121における入賞に対する処理を終了する。
【0058】
一方、保留数U1が上限値未満である場合(ステップ602でYes)、次に特別図柄抽選部231は、保留数U1の値を1加算する(ステップ603)。そして、今回の入賞による抽選のための乱数値を取得し、RAM203に格納する(ステップ604)。ここでは、第1始動口121の入賞なので、特別図柄抽選のための乱数値が取得される。このとき取得される乱数値は、ステップ501の乱数更新処理で更新された値である。そして、この乱数値により特別図柄抽選の結果が確定される。ここにいう乱数値としては、大当たり、小当たりまたははずれを決定する大当たり乱数値、大当たり遊技または小当たり遊技の終了後における時短遊技状態の有無を決定する図柄乱数値(大当たり図柄乱数値)、図柄変動における変動パターンを特定するための変動パターン乱数、リーチ有り演出をするか否かを決定するリーチ乱数値、等が含まれる。
【0059】
次に、特別図柄抽選部231は、特別図柄の変動表示動作が保留されている(すなわち未抽選の)入賞球(保留球)に対して、抽選結果の予告演出を行うための事前判定処理を行う(ステップ605)。この事前判定処理は、抽選結果の判定を図柄変動開始時ではなく始動口入賞時に(すなわちステップ605において)行うものであり、画像表示部114での演出に用いるための情報を取得するためのものである。なお、抽選結果の予告演出を行わない遊技機においては、この事前判定処理を省略する場合がある。
この後、特別図柄抽選部231は、ステップ603による保留数U1の増加を演出制御部300に通知するための保留数U1増加コマンドをRAM203にセットし(ステップ606)、第1始動口121における入賞に対する処理を終了する。ステップ605の事前判定処理が行われた場合は、保留数U1増加コマンドには、ステップ605で得られた事前判定の判定結果の情報が含まれる。
【0060】
次に、第2始動口122における入賞に対する処理が行われる。図6を参照すると、次に特別図柄抽選部231は、第2始動口122に遊技球が入賞して第2始動口スイッチ212がONとなったか否かを判断する(ステップ607)。第2始動口スイッチ212がONとなったならば、次に特別図柄抽選部231は、第2始動口122の入賞における未抽選分の保留数U2が上限値未満か否かを判断する(ステップ608)。図6に示す例では、上限値を4個としている。保留数U2が上限値に達している場合は(ステップ608でNo)、それ以上未抽選分の入賞を保留することができないので、第2始動口122における入賞に対する処理を終了する。
【0061】
一方、保留数U2が上限値未満である場合(ステップ608でYes)、次に特別図柄抽選部231は、保留数U2の値を1加算する(ステップ609)。そして、今回の入賞による抽選のための乱数値を取得し、RAM203に格納する(ステップ610)。ここでは、第2始動口122の入賞なので、上記のステップ604と同様に、特別図柄抽選のための乱数値(大当たり乱数、大当たり図柄乱数、リーチ乱数、変動パターン乱数など)が取得される。このとき取得される乱数値は、ステップ501の乱数更新処理で更新された値である。そして、この乱数値により特別図柄抽選の結果が確定される。
【0062】
次に、特別図柄抽選部231は、特別図柄の変動表示動作が保留されている(すなわち未抽選の)入賞球(保留球)に対して、抽選結果の予告演出を行うための事前判定処理を行う(ステップ611)。この事前判定処理の内容は、上記のステップ605と同様である。この事前判定処理も、抽選結果の予告演出を行わない遊技機においては、この事前判定処理を省略する場合がある。
この後、特別図柄抽選部231は、ステップ609による保留数U2の増加を演出制御部300に通知するための保留数U2増加コマンドをRAM203にセットし(ステップ612)、第2始動口122における入賞に対する処理を終了する。ステップ611の事前判定処理が行われた場合は、保留数U2増加コマンドには、ステップ611で得られた事前判定の判定結果の情報が含まれる。
【0063】
〔遊技制御部でのゲートスイッチ処理〕
次に、図5のステップ502に示したスイッチ処理のうちのゲートスイッチ処理について説明する。本実施の形態では、2つのゲート124のうち、遊技盤110の左側領域のゲート124Lを遊技球が通過した場合と遊技盤110の右側領域のゲート124Rを遊技球が通過した場合とで、ゲートスイッチ処理の内容が異なる。具体的には、ゲート124Lを遊技球が通過した場合には、これを契機とする普通図柄抽選に用いられる乱数に基づいて事前判定を行う。
【0064】
図7−1は、ゲート124Lを遊技球が通過した場合のゲートスイッチ処理の内容を示すフローチャートである。
このゲートスイッチ処理において、遊技制御部200の普通図柄抽選部232は、まず、ゲート124を遊技球が通過してゲートスイッチ214がONとなったか否かを判断する(ステップ701)。ゲートスイッチ214がONとなったならば、次に普通図柄抽選部232は、未抽選分の保留数Gが上限値未満か否かを判断する(ステップ702)。図7−1に示す例では、上限値を4個としている。保留数Gが上限値に達している場合は(ステップ702でNo)、それ以上未抽選分の入賞を保留することができないので、ゲートスイッチ処理を終了する。
【0065】
一方、保留数Gが上限値未満である場合(ステップ702でYes)、次に普通図柄抽選部232は、保留数Gの値を1加算する(ステップ703)。そして、今回の入賞による抽選のための乱数値を取得し、RAM203に格納する(ステップ704)。ここでは、ゲート124の入賞なので、普通図柄抽選のための乱数値(当たり乱数など)が取得される。
【0066】
ステップ704で乱数値が取得された後、普通図柄抽選部232は、普通図柄の変動表示動作が保留されている(すなわち未抽選の)入賞球(保留球)に対して、抽選結果の予告演出を行うための事前判定処理を行う(ステップ705)。この事前判定処理は、抽選結果の判定を図柄変動開始時ではなくゲート入賞時に(すなわちステップ705において)行うものである。
【0067】
この後、普通図柄抽選部232は、ステップ703による保留数Gの増加を演出制御部300に通知するための保留数G増加コマンドをRAM203にセットし(ステップ706)、ゲート124Lにおける入賞に対する処理を終了する。ゲート124Lに入賞した場合にセットされる保留数G増加コマンドには、ステップ705で得られた事前判定の判定結果の情報(事前判定情報)が含まれる。
【0068】
図7−2は、ゲート124Rを遊技球が通過した場合のゲートスイッチ処理の内容を示すフローチャートである。
図7−2に示す動作において、ステップ711からステップ714までの動作は、図7−1に示したステップ701からステップ704までの動作と同様なので、説明を省略する。
【0069】
ステップ714で乱数値が取得された後、普通図柄抽選部232は、ステップ713による保留数Gの増加を演出制御部300に通知するための保留数G増加コマンドをRAM203にセットし(ステップ715)、ゲート124Rにおける入賞に対する処理を終了する。
【0070】
以上のように、本実施の形態におけるゲートスイッチ処理では、普通図柄抽選の保留に関する情報を、画像表示部114等を用いた演出においても報知するため、保留数G増加コマンドが生成されて、図5に示した出力処理(ステップ506)で遊技制御部200から演出制御部300へ送信される。なお、本実施の形態では、遊技球がゲート124Lを通過した場合とゲート124Rを通過した場合とを区別せずに、保留数Gを増加した(ステップ703、713)。これに対し、始動口スイッチ処理において第1始動口121へ入賞した場合の保留数U1と第2始動口122へ入賞した場合の保留数U2とを個別に数えたように、各ゲート124L、124Rへの入賞を区別して保留数を数えても良い。この場合、図2(a)に示した表示器130において、普通図柄保留表示器220をゲート124ごとに設けることが必要である。
【0071】
〔遊技制御部での特別図柄処理〕
図8は、図5のステップ503に示した図柄処理のうちの特別図柄処理の内容を示すフローチャートである。
この特別図柄処理において、遊技制御部200の特別図柄変動制御部233は、まず、RAM203においてセットされるフラグの設定(以下、フラグ設定)において当たり遊技フラグがONになっているか否かを調べる(ステップ801)。ここで、当たり遊技フラグは、特別図柄抽選の結果が大当たりまたは小当たりである場合に、これらの当たりに応じた遊技状態であることを識別するためにセットされるフラグである。当たりの種類に応じて、大当たり遊技フラグまたは小当たり遊技フラグのいずれかがセットされる。本実施の形態では、これらを総称して当たり遊技フラグと呼ぶ。
【0072】
当たり遊技フラグがONである場合、既にパチンコ遊技機100は何らかの当たりによる遊技状態(特別図柄が選択されて停止している状態)であるので、特別図柄変動を開始することなく特別図柄処理を終了する(ステップ801でYes)。一方、当たり遊技フラグがOFFである場合(ステップ801でNo)、次に特別図柄変動制御部233は、パチンコ遊技機100の現在の状態が特別図柄変動中か否かを判断する(ステップ802)。特別図柄変動中でない場合(ステップ802でNo)、次に特別図柄変動制御部233は、特別図柄の未抽選分の保留数U1、U2(図6参照)に関する処理を行う(ステップ803〜806)。本実施の形態では、第1始動口121の入賞に係る保留数U1と第2始動口122の入賞に係る保留数U2とを区別しているので、この処理も対応する始動口ごとに個別に行う。
【0073】
具体的には、特別図柄変動制御部233は、まず第2始動口122の入賞に係る保留数U2が1以上か判断する(ステップ803)。保留数U2が1以上である場合(ステップ803でYes)、特別図柄変動制御部233は、保留数U2の値を1減算する(ステップ804)。一方、保留数U2=0である場合は(ステップ803でNo)、特別図柄変動制御部233は、次に第1始動口121の入賞に係る保留数U1が1以上か判断する(ステップ805)。保留数U1が1以上である場合(ステップ805でYes)、特別図柄変動制御部233は、保留数U1の値を1減算する(ステップ806)。一方、保留数U1=0である場合は(ステップ805でNo)、特別図柄の抽選を始動するための入賞が無いことを意味するため、特別図柄変動を開始せず、別ルーチンの客待ち設定処理を実行して処理を終了する(ステップ816)。
【0074】
ステップ804またはステップ806で保留数U1または保留数U2を減算した後、特別図柄変動制御部233は、RAM203のフラグ設定においてセットされた客待ちフラグをOFFとする(ステップ807)。客待ちフラグは、パチンコ遊技機100が客待ち状態であることを識別するためのフラグであり、客待ち設定処理においてセットされる。
【0075】
次に、特別図柄変動制御部233は、別ルーチンによる大当たり判定処理および変動パターン選択処理を実行する(ステップ808、809)。詳しくは後述するが、この大当たり判定処理および変動パターン選択処理によって、演出制御部300に送られる変動開始コマンドに含まれる設定情報(図柄、遊技状態、変動パターン等)が決定される。
【0076】
この後、特別図柄変動制御部233は、大当たり判定処理および変動パターン選択処理で決定された設定内容に基づき、図2に示す第1特別図柄表示器221、第2特別図柄表示器222により表示される特別図柄の変動を開始する(ステップ810)。そして、この設定内容を示す設定情報(図柄、遊技状態、変動パターン等)を含んだ変動開始コマンドを生成し、RAM203にセットする(ステップ811)。ステップ811でセットされた変動開始コマンドは、図5のステップ506に示した出力処理で演出制御部300へ送信される。
【0077】
ステップ802で特別図柄変動中と判断された場合(ステップ802でYes)、またはステップ811で変動開始コマンドがセットされた後、特別図柄変動制御部233は、変動時間を経過したか否かを判断する(ステップ812)。すなわち、ステップ810で特別図柄の変動を開始してからの経過時間がステップ809の変動パターン選択処理で設定された変動時間に達したか否かが判断される。変動時間を経過していなければ(ステップ812でNo)、特別図柄変動が継続されるので、そのまま特別図柄処理が終了する。
【0078】
一方、変動時間を経過した場合(ステップ812でYes)、特別図柄変動制御部233は、まず、第1特別図柄表示器221、第2特別図柄表示器222における特別図柄の変動をステップ808の大当たり判定処理で決定された図柄で停止する(ステップ813)。この特別図柄の変動が停止した際の図柄の情報を含んだ変動停止コマンドをRAM203にセットする(ステップ814)。そして、別ルーチンの停止中処理を実行する(ステップ815)。停止中処理の内容については後述する。ステップ814でセットされた変動停止コマンドは、図5のステップ506に示した出力処理で演出制御部300へ送信される。
【0079】
〔遊技制御部による大当たり判定処理〕
図9は、大当たり判定処理(図8のステップ808)の内容を示すフローチャートである。
この大当たり判定処理において、遊技制御部200の特別図柄抽選結果判定部234は、まず、今回の特別図柄抽選における大当たり乱数の判定を行い(ステップ901)、大当たりまたは小当たりしたか否かを判断する(ステップ902、905)。大当たりまたは小当たりしたか否かは、図6のステップ604またはステップ610で取得した大当たり乱数の値が、大当たりの当選値として設定された値または小当たりの当選値として設定された値と一致したか否かを判断することによって決定される(図20(a)参照)。
【0080】
ステップ901の乱数判定の結果が大当たりだった場合(ステップ902でYes)、次に特別図柄抽選結果判定部234は、大当たり図柄乱数の判定を行う(ステップ903)。この判定の結果に応じて、大当たりの種類(時短有り、時短無しのいずれか)が決定される。いずれの大当たりとなるかは、図6のステップ604で取得した大当たり図柄乱数の値が、大当たりの種類ごとに予め設定された値のうちのいずれと一致したかによって決定される(図20(b)参照)。
以上の判定の後、特別図柄抽選結果判定部234は、大当たり図柄乱数の判定により決定された大当たりの種類を表す図柄(大当たり図柄)を設定情報としてRAM203にセットする(ステップ904)。
【0081】
ステップ901の乱数判定の結果が小当たりだった場合(ステップ902でNo、ステップ905でYes)、次に特別図柄抽選結果判定部234は、小当たり図柄乱数の判定を行う(ステップ906)。この判定の結果に応じて、大当たりの種類(時短有り、時短無しのいずれか)が決定される。いずれの大当たりとなるかは、図6のステップ604で取得した大当たり図柄乱数の値が、小当たりの種類ごとに予め設定された値のうちのいずれと一致したかによって決定される(図20(b)参照)。
以上の判定の後、特別図柄抽選結果判定部234は、大当たり図柄乱数の判定により決定された小当たりの種類を表す図柄(以下、小当たり図柄)を設定情報としてRAM203にセットする(ステップ907)。
【0082】
ステップ901の乱数判定の結果が大当たりでも小当たりでもない場合(ステップ902、ステップ905でNo)、次に特別図柄抽選結果判定部234は、抽選にはずれたことを表す図柄(以下、はずれ図柄)を設定情報としてRAM203にセットする(ステップ908)。
【0083】
〔遊技制御部による変動パターン選択処理〕
図10は、変動パターン選択処理(図8のステップ809)の内容を示すフローチャートである。
この変動パターン選択処理において、遊技制御部200の変動パターン選択部235は、まず、今回の特別図柄抽選で大当たりまたは小当たりに当選したか否かを判断する(ステップ1001、1003)。この判断は、大当たり判定処理(図9)のステップ901、902、905と同様である(ステップ902、905の判断結果を用いても良い)。そして、大当たりに当選した場合(ステップ1001でYes)、変動パターン選択部235は、大当たり用の変動パターンテーブルをROM202から読み出してRAM203にセットする(ステップ1002)。また、小当たりに当選した場合、(ステップ1001でNo、ステップ1003でYes)、変動パターン選択部235は、小当たり用の変動パターンテーブルをROM202から読み出してRAM203にセットする(ステップ1004)。
【0084】
一方、大当たりも小当たりもしなかった場合(ステップ1001、1003でNo)、次に変動パターン選択部235は、遊技者に大当たりを期待させるためのいわゆるリーチ演出を行うか否かを決定するための乱数の判定を行う(ステップ1005)。リーチ演出を行うか否かは、図6のステップ604で取得したリーチ乱数の値が予め設定された値と一致したか否かを判断することによって決定される(図20(c)参照)。
乱数を用いた判定の結果、リーチ演出を行う場合(ステップ1006でYes)、変動パターン選択部235は、リーチ用の変動パターンテーブルをROM202から読み出してRAM203にセットする(ステップ1007)。また、リーチ演出を行わない場合(ステップ1006でNo)、変動パターン選択部235は、はずれ用の変動パターンテーブルをROM202から読み出してRAM203にセットする(ステップ1008)。
ここで、変動パターンテーブルとは、予め用意されている複数の変動パターン(変動時間10秒、30秒、60秒、90秒など)と変動パターン乱数の値とを対応付けたテーブルである。
【0085】
次に、変動パターン選択部235は、図6のステップ604またはステップ610で取得した変動パターン乱数およびステップ1002、1004、1007、1008でセットされた変動パターンテーブルを用いて、変動パターン乱数の判定を行う(ステップ1009)。すなわち、変動パターン選択部235は、RAM203にセットされた変動パターンテーブルを参照し、変動パターン乱数の乱数値に応じた変動パターンを選択する。したがって、同じ乱数値が取得された場合でも、特別図柄抽選の結果が、大当たりしたか否か、大当たりしていない場合はリーチ演出を行うか否か、といった状態の違いに応じて参照される変動パターンテーブルが異なるので、決定される変動パターンが異なる場合がある。
【0086】
この後変動パターン選択部235は、ステップ1009で選択した変動パターンを設定情報としてRAM203にセットする(ステップ1010)。ステップ1010でセットされた変動パターンの設定情報は、図8のステップ811でセットされる変動開始コマンドに含まれ、図5のステップ506に示した出力処理で演出制御部300へ送信される。
【0087】
〔遊技制御部による停止中処理〕
図11は、停止中処理(図8のステップ815)の内容を示すフローチャートである。
この停止中処理において、遊技制御部200の遊技進行制御部236は、まず、RAM203のフラグ設定において時短フラグがONになっているか否かを調べる(ステップ1101)。時短フラグとは、パチンコ遊技機100の遊技状態が時短遊技状態であることを識別するためのフラグである。時短フラグがONである場合(ステップ1101でYes)、遊技進行制御部236は、時短遊技状態での抽選回数(変動回数)Jの値を1減算し(ステップ1102)、抽選回数Jが0になったか否かを調べる(ステップ1103)。そして、抽選回数J=0であれば(ステップ1103でYes)、時短フラグをOFFにする(ステップ1104)。なお、時短フラグをONにする操作と、抽選回数Jの初期値の設定は、後述の大入賞口処理(図14)における遊技状態設定処理(図15)で行われる。
【0088】
時短フラグがOFFであった場合(ステップ1101でNo)またはステップ1104で時短フラグをOFFにした後、あるいは抽選回数Jの値が0でない場合(ステップ1103でNo)、次に遊技進行制御部236は、今回の特別図柄抽選で大当たりしたか否かを判断する(ステップ1105)。そして、大当たりだった場合(ステップ1105でYes)、次に遊技進行制御部236は、大当たり遊技フラグをONにする(ステップ1106)。これにより、RAM203の遊技状態の設定が、大当たり遊技状態となる。
【0089】
この後、遊技進行制御部236は、抽選回数Jの値を初期化する(ステップ1107)。すなわち、特別図柄抽選で大当たりした(ステップ1105)のであるから、抽選回数Jの値を0に戻して新たに数え直す。また、遊技進行制御部236は、ステップ1101において時短フラグがONであって、ステップ1103において抽選回数Jが0でなかった場合に、時短フラグをOFFにする(ステップ1108)。
【0090】
次に、遊技進行制御部236は、オープニング動作を開始する(ステップ1109)。そしてこの後、遊技進行制御部236は、演出制御部300において当たり遊技フラグに応じたオープニング動作における演出を行うためのオープニングコマンドをRAM203にセットして(ステップ1110)、停止中処理を終了する。このオープニングコマンドは、図5のステップ506に示した出力処理で演出制御部300へ送信される。
【0091】
一方、今回の特別図柄抽選の結果が大当たりでなかった場合(ステップ1105でNo)、次に遊技進行制御部236は、今回の特別図柄抽選の結果が小当たりであったか否かを判断する(ステップ1111)。小当たりであった場合(ステップ1111でYes)、遊技進行制御部236は、小当たり遊技フラグをONにする(ステップ1112)。これにより、RAM203の遊技状態の設定が小当たり遊技状態となる。一方、小当たりでなかった場合は(ステップ1111でNo)、停止中処理を終了する。
【0092】
〔遊技制御部による客待ち設定処理〕
図12は、客待ち設定処理(図8のステップ816)の内容を示すフローチャートである。
この客待ち設定処理において、遊技制御部200の遊技進行制御部236は、まず、RAM203のフラグ設定において客待ちフラグがONになっているか否かを調べる(ステップ1201)。ここで、客待ちフラグは、パチンコ遊技機100が客待ち状態であることを識別するためにセットされるフラグである。
【0093】
客待ちフラグがONである場合、パチンコ遊技機100は客待ち状態であるので、そのまま処理を終了する(ステップ1201でYes)。一方、客待ちフラグがOFFである場合、遊技進行制御部236は、客待ちコマンドを生成してRAM203にセットし(ステップ1202)、客待ちフラグをONにする(ステップ1203)。ステップ1202でセットされた客待ちコマンドは、図5のステップ506に示した出力処理で演出制御部300へ送信される。
【0094】
〔遊技制御部による普通図柄処理〕
図13は、図5のステップ503に示した図柄処理のうちの普通図柄処理の内容を示すフローチャートである。
この普通図柄処理において、遊技制御部200の普通図柄制御部237は、まず、RAM203のフラグ設定において補助遊技フラグがONになっているか否かを調べる(ステップ1301)。ここで、補助遊技フラグは、普通図柄抽選で当選した場合に、これに応じた遊技状態(補助遊技状態)であることを識別するためにセットされるフラグである。補助遊技状態では、電動チューリップ123が後述の電動チューリップ処理(図16)にしたがって開放され、第2始動口122に入賞し易くなる(補助される)。
【0095】
補助遊技フラグがONである場合、既に普通図柄が選択されて停止している状態なので、普通図柄変動を開始することなく普通図柄処理を終了する(ステップ1301でYes)。一方、補助遊技フラグがOFFである場合(ステップ1301でNo)、次に普通図柄制御部237は、パチンコ遊技機100の現在の状態が普通図柄変動中か否かを判断する(ステップ1302)。普通図柄変動中でない場合(ステップ1302でNo)、次に普通図柄制御部237は、普通図柄の未抽選分の保留数G(図7−1および図7−2参照)が1以上か判断する(ステップ1303)。保留数G=0である場合は(ステップ1303でNo)、普通図柄の抽選を始動するための入賞が無いことを意味するため、普通図柄変動を開始せずに処理を終了する。
【0096】
これに対し、保留数Gが1以上である場合(ステップ1303でYes)、普通図柄制御部237は、保留数Gの値を1減算し(ステップ1304)、今回の普通図柄抽選における当たり乱数の判定を行って、普通図柄抽選に当選したか否かを判断する(ステップ1305)。当選したか否かは、図7−1のステップ704および図7−2のステップ714で取得した当たり乱数の値が、後述する図20(d)に示すテーブル等において当選値として設定された値と一致したか否かを判断することによって決定される。
【0097】
次に、普通図柄制御部237は、普通図柄抽選の結果に応じて普通図柄の設定を行う(ステップ1306)。すなわち、普通図柄抽選に当選した場合は、当選したことを表す図柄(以下、当たり図柄)を設定情報としてRAM203にセットする。一方、普通図柄抽選に当選しなかった場合は、抽選にはずれたことを表す図柄(以下、はずれ図柄)を設定情報としてRAM203にセットする。
【0098】
次に、普通図柄制御部237は、普通図柄の変動時間の設定を行う(ステップ1307)。この変動時間は、図11におけるステップ1104、1114、後述の図15におけるステップ1506等の処理で設定される時短フラグに基づいて設定される。すなわち、ステップ1307による設定の際に時短フラグがONである場合は、短時間(例えば1.5秒)に設定され、時短フラグがOFFである場合は、長時間(例えば4.0秒)に設定される。この設定の後、普通図柄制御部237は、ステップ1307の設定内容に基づき、図2に示す普通図柄表示器223における普通図柄の変動を開始する(ステップ1308)。
【0099】
ステップ1308で普通図柄の変動を開始した後、またはステップ1302で普通図柄変動中と判断された場合(ステップ1302でYes)、普通図柄制御部237は、変動時間を経過したか否かを判断する(ステップ1309)。すなわち、ステップ1308で普通図柄の変動を開始してからの経過時間がステップ1307で設定された変動時間に達したか否かが判断される。変動時間を経過していなければ(ステップ1309でNo)、普通図柄変動が継続されるので、そのまま普通図柄処理が終了する。
【0100】
一方、変動時間が終了した場合(ステップ1309でYes)、普通図柄制御部237は、普通図柄表示器223における普通図柄の変動を停止する(ステップ1310)。そして、普通図柄制御部237は、停止した普通図柄に基づき普通図柄抽選に当選したか否かを判断する(ステップ1311)。当選したならば(ステップ1311でYes)、補助遊技フラグをONにする(ステップ1312)。一方、抽選にはずれたならば(ステップ1311でNo)、補助遊技フラグをONにすること無く普通図柄処理を終了する。
【0101】
なお、ゲートスイッチ処理(図7−1および7−2参照)の説明において述べたように、複数のゲート124ごとに保留数を数える場合は、ステップ1303の保留数の判定およびステップ1304の保留数の減算を、特別図柄処理における保留数の扱い(ステップ803〜ステップ806参照)と同様に、対応するゲート124ごとに行う必要がある。
【0102】
〔遊技制御部による大入賞口処理〕
図14は、図5のステップ504に示した電動役物処理のうちの大入賞口処理の内容を示すフローチャートである。
この大入賞口処理において、遊技制御部200の大入賞口動作制御部238は、まず、RAM203のフラグ設定において当たり遊技フラグがONになっているか否かを調べる(ステップ1401)。当たり遊技フラグがOFFである場合、大入賞口125への入賞はないので、大入賞口処理を終了する(ステップ1401でNo)。一方、当たり遊技フラグがONである場合(ステップ1401でYes)、次に大入賞口動作制御部238は、パチンコ遊技機100が停止中処理(図11)で開始された大当たり時の動作制御におけるオープニング動作の最中か否かを判断する(ステップ1402)。
【0103】
パチンコ遊技機100がオープニング中である場合(ステップ1402でYes)、次に大入賞口動作制御部238は、予め設定されたオープニング動作が行われるべき時間(オープニング時間)を経過したか否かを判断する(ステップ1403)。オープニング時間を経過していないならば、大入賞口125でのオープニング動作が継続されるので、大入賞口処理を終了する(ステップ1403でNo)。一方、オープニング時間を経過したならば(ステップ1403でYes)、次に大入賞口動作制御部238は、大入賞口125の作動設定を行い(ステップ1404)、入賞個数Cを初期化(C=0)し(ステップ1405)、大入賞口125の作動ラウンド数Rの値を現在の値から1加算して(ステップ1406)、大入賞口125を作動開始(開放)する(ステップ1407)。
【0104】
ステップ1404の作動設定では、大入賞口125の作動パターンと、その作動パターンで作動させるラウンド数(作動ラウンド数)とが設定される。作動パターンおよびラウンド数は、大当たりの種類に応じて様々に設定される。例えば、時短有りの大当たりの場合は15ラウンド(15R)作動させ、1ラウンドでは29.5秒の開放を1回行う。時短無しの大当たりの場合は、15ラウンドよりも少ないラウンド数で作動させ、1ラウンドの開放時間を短くする、等としても良い。
【0105】
次に、大入賞口動作制御部238は、ステップ1404で設定された作動パターンにおける開放時間を経過したか否かを判断する(ステップ1408)。大入賞口125での開放状態が開放時間を経過していない場合(ステップ1408でNo)、次に大入賞口動作制御部238は、大入賞口125への入賞個数Cが規定の個数(例えば9個)以上か否かを判断する(ステップ1409)。開放時間を経過しておらず、かつ入賞個数Cが規定個数未満である場合は、大入賞口125の作動状態(開放状態)が継続されるので、大入賞口処理を終了する(ステップ1409でNo)。一方、開放時間を経過したか(ステップ1408でYes)、または入賞個数Cが規定個数に達した場合(ステップ1409でYes)、大入賞口動作制御部238は、大入賞口125を作動終了(閉口)する(ステップ1410)。
【0106】
次に、大入賞口動作制御部238は、大入賞口125の作動のラウンド数Rがステップ1404で設定された最大値に達したか否かを判断する(ステップ1411)。そして、最大値に達していないならば、残りの作動が行われるため、大入賞口処理を終了する(ステップ1411でNo)。
【0107】
大入賞口125の作動のラウンド数Rが最大値に達したならば(ステップ1411でYes)、次に大入賞口動作制御部238は、エンディング動作を開始する(ステップ1412)。ここで、エンディング動作の内容は、大当たり遊技、小当たり遊技の各遊技状態において設定されたエンディング動作のうち、当たり遊技フラグの状態に対応するものとなる。
この後、大入賞口動作制御部238は、演出制御部300において当たり遊技フラグに応じたエンディング動作における演出を行うためのエンディングコマンドをRAM203にセットする(ステップ1413)。このオープニングコマンドは、図5のステップ506に示した出力処理で演出制御部300へ送信される。
【0108】
次に、大入賞口動作制御部238は、大入賞口125の作動のラウンド数Rを0にリセットした後(ステップ1414)、エンディング動作の開始からの経過時間が予め設定されたエンディング動作が行われるべき時間(エンディング時間)を経過したか否かを判断する(ステップ1417)。エンディング時間を経過していないならば、エンディング動作が継続されるので、大入賞口処理を終了する(ステップ1417でNo)。一方、エンディング時間を経過したならば(ステップ1417でYes)、次に大入賞口動作制御部238は、遊技状態設定処理を行った後(ステップ1418)、当たり遊技フラグをOFFにして、大入賞口処理を終了する(ステップ1419)。遊技状態設定処理の内容については後述する。
【0109】
ステップ1402で、パチンコ遊技機100がオープニング中ではないと判断した場合(ステップ1402でNo)、次に大入賞口動作制御部238は、エンディング中か否かを判断する(ステップ1415)。そして、エンディング中であるならば(ステップ1415でYes)、上記ステップ1417以降の動作を実行する。
【0110】
一方、パチンコ遊技機100がエンディング中でもないならば(ステップ1415でNo)、次に大入賞口動作制御部238は、大入賞口125が作動(開放)中か否かを判断する(ステップ1416)。そして、作動中でないならば(ステップ1416でNo)、上記ステップ1405以降の動作を実行し、作動中であるならば(ステップ1416でYes)、上記ステップ1408以降の動作を実行する。
【0111】
〔遊技状態設定処理〕
エンディング時間が経過した場合(ステップ1417でYes)に実行される遊技状態設定処理(ステップ1418)の内容を図15に示す。
図15に示すように、大入賞口動作制御部238は、まず、図14のステップ1401で当たり遊技フラグがONとなっているので、その当たりの種類を判断する(ステップ1501)。この判断は、例えば大当たり判定処理(図9)でRAM203に設定情報としてセットされた図柄の種類に基づいて判断することができる。なお、これらの判断は大当たり判定処理(図9)のステップ902、903、905、906と概ね同様であるので、ステップ902、903、905、906の判断結果を用いても良い。
【0112】
当たりの種類が時短有りの当たり(大当たりまたは小当たり)である場合(ステップ1501でYes)、大入賞口動作制御部238は、時短フラグをONにする(ステップ1502)。これにより、RAM203の遊技状態の設定が時短遊技状態となる。また、大入賞口動作制御部238は、抽選回数Jの初期値を設定し(ステップ1503)、遊技状態設定処理を終了する。抽選回数Jの初期値は、図示の例では100回である。したがって、時短遊技状態における抽選が100回行われたならば、時短遊技状態が終了する。
【0113】
一方、当たりの種類が時短無しの当たり(大当たりまたは小当たり)である場合(ステップ1501でNo)、大入賞口動作制御部238は、時短フラグをONにせず、抽選回数Jの初期値も設定せずに処理を終了する。したがって、この大当たりの後の遊技に対するRAM203の遊技状態の設定は、時短遊技状態にはならない。
【0114】
〔遊技制御部による電動チューリップ処理〕
図16は、図5のステップ504に示した電動役物処理のうちの電動チューリップ処理の内容を示すフローチャートである。
電動チューリップ処理において、遊技制御部200の電動チューリップ動作制御部239は、まず、RAM203のフラグ設定において補助遊技フラグがONになっているか否かを調べる(ステップ1601)。補助遊技フラグがOFFである場合、電動チューリップ123は開放しないため、電動チューリップ処理を終了する(ステップ1601でNo)。一方、補助遊技フラグがONである場合(ステップ1601でYes)、次に電動チューリップ動作制御部239は、電動チューリップ123が作動中か否かを判断する(ステップ1602)。
【0115】
電動チューリップ123が作動中でない場合(ステップ1602でNo)、電動チューリップ動作制御部239は、電動チューリップ123の作動パターンの設定を行い(ステップ1603)、設定した作動パターンで電動チューリップ123を作動させる(ステップ1604)。ここで、作動パターンは、図11におけるステップ1104、1114、図15におけるステップ1503、1506等の処理で設定される時短フラグに基づいて設定される。例えば、ステップ1603による設定の際に時短フラグがOFFである場合は、0.15秒の開放時間で1回開放する作動パターンが設定され、時短フラグがONである場合は、1.80秒の開放時間で3回開放する作動パターンが設定される。このように、通常、時短フラグがONであるとき(時短遊技状態のとき)は、電動チューリップ123が長時間、複数回開放され、第2始動口122に入賞し易くなる入賞サポート(電チューサポート)が行われる。
【0116】
ステップ1602で電動チューリップが作動中と判断された場合(ステップ1602でYes)、またはステップ1604で電動チューリップを作動させた後、電動チューリップ動作制御部239は、設定されている作動パターンにおける開放時間が経過したか否かを判断する(ステップ1605)。開放時間を経過していなければ、電動チューリップの作動状態(開放状態)が継続されるので、電動チューリップ処理を終了する(ステップ1605でNo)。一方、開放時間を経過したならば(ステップ1605でYes)、電動チューリップ動作制御部239は、補助遊技フラグをOFFとして、電動チューリップ処理を終了する(ステップ1606)。
【0117】
〔遊技制御部によるVゾーンスイッチ処理〕
図17は、図5のステップ502に示したスイッチ処理のうちのVゾーンスイッチ処理の内容を示すフローチャートである。
Vゾーンスイッチ処理は、開閉入賞装置140に入賞した遊技球がVゾーン143を通過(V入賞)した場合に実行される。図17を参照すると、遊技制御部200の遊技進行制御部236は、まずVゾーンスイッチ227がONとなったか否かを判断する(ステップ1701)。VゾーンスイッチがONとなったならば、次に遊技進行制御部230は、開閉入賞装置140内のVゾーン143の有効期間(以下、V有効期間)中、すなわち、小当たりを開始してから所定期間内であるか否かを判定する(ステップ1702)。V有効期間中ではない場合(ステップ1702でNo)、そのまま処理を終了する。
【0118】
V有効期間中である場合(ステップ1702でYes)、次に遊技進行制御部230は、小当たり中を示す小当たり遊技フラグがONであるか否かを判定する(ステップ1703)。なお、小当たり遊技フラグは、図11に示した停止中処理のステップ1112でセットされるフラグである。
【0119】
小当たり遊技フラグがONである場合(ステップ1703でYes)、V入賞した旨を示す小当たりVフラグをONにする(ステップ1704)。そして、大当たりを示す大当たり用V入賞コマンドをセットし(ステップ1705)、処理を終了する。一方、小当たり遊技フラグがOFFである場合(ステップ1703でNo)、すなわち、図9に示した大当たり判定処理にてセットされた図柄が「はずれ」である場合、そのまま処理を終了する。
【0120】
〔入賞役物処理〕
図18は、図5のステップ504に示した電動役物処理のうちの入賞役物処理の内容を示すフローチャートである。
この入賞役物処理において、遊技制御部の開閉入賞装置動作制御部243は、まず、RAM203のフラグ設定において大当たり遊技フラグがONになっているか否かを調べる(ステップ1711)。大当たり遊技フラグがONである場合(ステップ1711でYes)、大入賞口遊技処理(図14参照)を実行し(ステップ1712)、処理を終了する。
【0121】
一方、大当たり遊技フラグがOFFである場合(ステップ1711でNo)、開閉入賞装置動作制御部243は、小当たり遊技フラグがONであるか否かを判定する(ステップ1713)。小当たり遊技フラグがONである場合(ステップ1713でYes)、開閉入賞装置処理(図19参照)を実行し(ステップ1714)、処理を終了する。小当たり遊技フラグがOFFである場合(ステップ1713でNo)、そのまま処理を終了する。
【0122】
〔開閉入賞装置処理〕
図19は、図5のステップ504に示した電動役物処理のうちの開閉入賞装置処理の内容を示すフローチャートである。
この開閉入賞装置処理において、遊技制御部200の開閉入賞装置動作制御部243は、まず、羽根141の作動終了後のV有効期間中であるか否か、またはV入賞時に行う変動演出(以下、第2変動演出)中であるか否かを判定する(ステップ1721)。
【0123】
羽根141の作動終了後のV有効期間中である場合または第2変動演出中である場合(ステップ1721でYes)、ステップ1729に移行する。一方、羽根141の作動終了後のV有効期間中ではなく、第2変動演出中でもない場合(ステップ1721でNo)、次に開閉入賞装置動作制御部243は、羽根141の作動中であるか否かを判定する(ステップ1722)。
【0124】
羽根141の作動中である場合(ステップ1722でYes)、ステップ1727に移行する。一方、羽根141の作動中ではない場合(ステップ1722でNo)、次に開閉入賞装置動作制御部243は、大当たり判定処理(図9参照)でセットされた特別図柄に基づいて、大当たり遊技における大入賞口125の作動ラウンド数Rまたは羽根141の作動パターンを設定する(ステップ1723)。
【0125】
次に、開閉入賞装置動作制御部243は、羽根141の開放作動中および開放作動終了後の有効期間を含むV有効期間を設定する(ステップ1724)。そして、ステップ1803で設定した作動ラウンド数Rに「1」を加算し(ステップ1725)、羽根141の作動を開始する(ステップ1726)。
【0126】
この後、開閉入賞装置動作制御部243は、羽根141の作動時間が経過したか否かを判定する(ステップ1727)。羽根141の作動時間が経過していない場合(ステップ1727でNo)、そのまま処理を終了する。そして、羽根141の作動時間が経過したならば(ステップ1727でYes)、次に開閉入賞装置動作制御部243は、羽根141の作動を終了し(ステップ1728)、羽根141の作動終了後のV有効期間が終了したか否かまたは第2変動演出が終了したか否かを判定する(ステップ1729)。
【0127】
羽根141の作動終了後のV有効期間が終了していない場合または第2変動演出が終了していない場合(ステップ1729でNo)、そのまま処理を終了する。一方、羽根141の作動終了後のV有効期間が終了し、第2変動演出も終了した場合(ステップ1729でYes)、次に開閉入賞装置動作制御部243は、小当たり時のV入賞を示す小当たりVフラグがONであるか否かを判定する(ステップ1730)。小当たりVフラグがONである場合(ステップ1730でYes)、次に開閉入賞装置動作制御部243は、大当たりを示す大当たり遊技フラグをONにし(ステップ1731)、時短遊技フラグをOFFにする(ステップ1732)。
【0128】
そして、開閉入賞装置動作制御部243は、大当たりのオープニングを開始し(ステップ1733)、大当たりオープニングコマンドをセットする(ステップ1734)。この後、開閉入賞装置動作制御部243は、小当たりVフラグをOFFにし(ステップ1735)、さらに小当たり遊技フラグをOFFにして(ステップ1737)、処理を終了する。
【0129】
ステップ1730において、小当たりVフラグがOFFである場合(ステップ1730でNo)、すなわち小当たり中にV入賞がなかった場合、次に開閉入賞装置動作制御部243は、ラウンド数Rを「0」にし(ステップ1736)、小当たり遊技フラグをOFFにして(ステップ1737)、処理を終了する。
【0130】
〔乱数による判定の手法〕
ここで、大当たり判定処理(図9)、変動パターン選択処理(図10)、普通図柄処理(図13)等で行われる、乱数による判定の手法について詳細に説明する。
図20は、本実施の形態で用いられる乱数の構成例を示す図である。
図20(a)には大当たり乱数の構成例、図20(b)には大当たり図柄乱数の構成例、図20(c)にはリーチ乱数の構成例、図20(d)には当たり乱数の構成例が、それぞれ示されている。
【0131】
図20(a)を参照すると、大当たり乱数は、大当たりと小当たりの2種類の当たりが設定されている。乱数(大当たり乱数)の値の範囲は、いずれも0〜399の400個である。大当たりの当選値は1つだけが設定され、当選確率は1/400である。また、小当たりの当選値は300個設定され、当選確率は300/400(=3/4)である。
【0132】
図20(b)を参照すると、大当たり図柄には、時短有りの大当たり、時短無しの大当たり、時短有りの小当たり、時短無しの小当たりの4種類が用意されている。乱数の値の範囲は、大当たりおよび小当たりのいずれも0〜99の100個である。大当たりの図柄は、時短有り、時短無しとも50個の当選値が設定され、当選確率は50/100(=1/2)である。また、小当たりの図柄も、時短有り、時短無しとも50個の当選値が設定され、当選確率は50/100(=1/2)である。
【0133】
図20(c)を参照すると、乱数の値の範囲は0〜249の250個であり、リーチ演出を行う抽選結果(リーチ有)に22個の乱数値が割り当てられ、リーチ演出を行わない抽選結果(リーチ無)に228個の乱数値が割り当てられている。すなわち図示の例では、特別図柄抽選で大当たりしなかった場合に、22/250(=11/125)の確率でリーチ演出が行われる。
【0134】
図20(d)を参照すると、乱数の値の範囲は0〜9の10個であり、時短フラグOFFのときの当選値として1個の値が割り当てられ、時短フラグONのときの当選値として9個の値が割り当てられている。したがって、時短遊技状態が発生していないときにゲート124を遊技球が通過して普通図柄抽選(開閉抽選)が行われると、1/10の確率で当選する。これに対し、時短遊技状態が発生しているときにゲート124を遊技球が通過して普通図柄抽選(開閉抽選)が行われると、9/10の確率で当選する。このようなテーブルを用いることにより、時短遊技状態では、ゲート入賞により電動チューリップ123が開放される可能性が非常に高く、第2始動口122への入賞が容易な入賞サポートが実現される。
【0135】
これらの乱数値は、所定の初期値から始まって、図5に示す乱数更新処理(ステップ501)が行われるたびに1ずつ加算される。そして、各抽選が行われた時点の値が始動口スイッチ処理(図6)およびゲートスイッチ処理(図7−1および7−2)で取得され、特別図柄処理(図8)や普通図柄処理(図13)で使用される。なお、この乱数値のカウンタは無限ループカウンタであり、設定されている乱数の最大値(例えば大当たり乱数では299)に達した後は再び0に戻る。また、乱数更新処理は一定時間ごとに行われるため、各乱数の初期値が特定されてしまうと、これらの情報に基づいて当選値が推定される恐れがある。そこで、一般に、適当なタイミングで各乱数の初期値をランダムに変更する仕組みが導入されている。
【0136】
〔演出制御部の動作〕
次に、演出制御部300の動作を説明する。
図21は、演出制御部300の動作を示すフローチャートである。
演出制御部300の動作は、図21(a)に示すメイン処理と、図21(b)に示す割り込み処理とからなる。図21(a)を参照すると、演出制御部300は、まず起動時に初期設定を行い(ステップ1801)、CTC(Counter/Timer Circuit)の周期設定を行った後(ステップ1802)、設定された周期にしたがって、演出制御において用いられる乱数を更新しながら(ステップ1803)、割り込み処理を受け付ける。
【0137】
割り込み処理は、ステップ1802で設定された周期にしたがって定期的に行われる。図21(b)を参照すると、この割り込み処理において、演出制御部300は、遊技制御部200からのコマンドを受信してコマンド受信処理を行う(ステップ1811)。このコマンド受信処理において、演出パターンが選択される。また、演出制御部300は、遊技者による演出ボタン等の操作を受け付けるための演出ボタン処理を行う(ステップ1812)。この後、演出制御部300は、選択した演出パターンの情報を含むコマンドを画像/音響制御部310およびランプ制御部320に送信するコマンド送信処理を行う(ステップ1813)。これにより、画像表示部114への画像表示や音響出力、可動役物115の動作、盤ランプ116や枠ランプ157の発光等による演出が行われる。
【0138】
〔枠部材150の構成〕
次に、パチンコ遊技機100の枠部材150の構成について説明する。
図22は、枠部材150の構成を説明する斜視図である。
同図に示すように、枠部材150は、縦長の所謂フレーム構造である枠部材本体としての外枠10と、外枠10に開閉自在に装着される前面枠(内枠)20と、を備えている。
【0139】
外枠10は、4つの金属製の枠部材である右縦枠部材11、左縦枠部材12、上横枠部材13および下横枠部材14と、外枠10の四隅に位置し、隣り合う枠部材を相互に連結する角部材15とを有する。
外枠10の前面下部には、下横枠部材14と同じ方向(横方向、左右方向)に延びる幕板16が取り付けられている。なお、幕板16の上端の縦方向の位置は、下横枠部材14の上端の縦方向の位置と略同一である。また、幕板16の前面(遊技者側の面)には、例えば社名やロゴ等を付すことで意匠的な装飾を施すことが可能である。
また、外枠10は、前面枠20が開閉する際に前面枠20と摺動する樹脂製の摺動部17を有する。より具体的には、この摺動部17は、下横枠部材14に取り付けられている。また、摺動部17は、下横枠部材14の上面に位置し、かつ、前面枠20の回転軸が位置する側とは反対側(同図での右側)に片寄って位置している。そして、摺動部17は、前面枠20の遊技盤保持枠22が閉じている状態で遊技盤保持枠22の下面と当接して前面枠20を保持する。このため、前面枠20が閉じている状態には、前面枠20と幕板16との間に、隙間が形成されることになる。
【0140】
前面枠20は、上下方向に回転軸が延びるように一側部(図1での左側部)が外枠10に取り付けられている。付言すると、前面枠20は、透明板159(図1または図23参照)を所定位置に保持する透明板保持枠21と、遊技盤110を所定位置に保持する遊技盤保持枠22と、を備えている。そして、図22に示すように、閉めた状態の透明板保持枠21および遊技盤保持枠22を一体で外枠10に対して回転させて開けることが可能である。また、後述するように、透明板保持枠21および遊技盤保持枠22を閉めた状態において、遊技盤保持枠22を単独で外枠10および遊技盤保持枠22に対して回転させて開けることが可能である(図23参照)。
なお、前面枠20の遊技盤保持枠22には、外枠10の右縦枠部材11と係合して前面枠20が開かないように施錠するための施錠部材23,24,25が設けられている。この施錠部材23,24,25は、パチンコ遊技機100の正面側に配設されている鍵穴158(図1参照)に不図示の鍵を差し込んで所定の方向に回転することで、連動して施錠動作および開錠動作を行う。
【0141】
なお、遊技盤110の後面には、各種の基板等が取り付けられ、また、これら各種の基板等は、内部が視認可能な透明のカバー510によって覆われている。この各種の基板等について付言すると、遊技盤110の後面には、メイン基板およびサブ基板が配設されている。すなわち、遊技盤110の後面には、メイン基板として、内部抽選および当選の判定等を行う遊技制御部が構成された遊技制御基板520が配設されている。この遊技制御基板520は、開封することにより痕跡が残るように透明部材で構成されたメイン基板ケース540に密封されている。
【0142】
また、サブ基板として、演出を統括的に制御する演出制御部が構成された演出制御基板530、画像および音による演出を制御する画像/音響制御部が構成された画像制御基板(不図示)、および、各種のランプおよび可動役物115による演出を制御するランプ制御部が構成されたランプ制御基板(不図示)等が配設されている。また、遊技盤110の後面には、供給された24VのAC電源をDC電源に変換して各種の基板等に出力するスイッチング電源550が配設されている。
付言すると、払出球の払い出し制御を行う払出制御部が構成された払出制御基板(不図示)と、払出制御基板により制御され、外部から補給された補給球を一時的に溜めておき、賞球の払い出しや貸し球の払い出しを行う払い出しユニット560と、が枠部材150の前面枠20に配設されている。
【0143】
〔発射ユニット〕
次に、パチンコ遊技機100が備える発射ユニットについて説明する。この発射ユニットは、遊技者がハンドル151(図1参照)に触れてレバー152(同図参照)を操作したことを検知すると、レバー152の操作角度に対応する打球力で皿153(図2の(a)参照)の遊技球を発射する等の機能を果たすものである。
図23は、発射ユニットの構成を説明する図である。同図の(a)は、透明板保持枠21および遊技盤保持枠22に取り付けられる各種の装置を説明する斜視図であり、遊技盤保持枠22を遊技盤保持枠22に対して回転させて開けた状態を示している。同図の(b)は、発射装置40を拡大して示す斜視図である。
図23の(a)に示すように、発射ユニットは、透明板保持枠21に取り付けられた球送り装置30と、遊技盤保持枠22に取り付けられた発射装置40と、を備えている。なお、発射ユニットは、透明板保持枠21に取り付けられた上述のハンドル151およびレバー152(図1参照)並びに皿153(図2の(a)参照)をさらに備えている。
球送り装置30、皿153および球通路レール163は、供給装置の一例である。
【0144】
透明板保持枠21を開けた状態(図23の(a)参照)では、球送り装置30が発射装置40から離れて位置する一方で、透明板保持枠21を閉めた状態では(図22参照)、球送り装置30が発射装置40に隣接して位置する。
ハンドル151のレバー152が操作されると、球送り装置30は、皿153(図2の(a)参照)に投入された遊技球を出口30bから1個ずつ排出する。透明板保持枠21を閉めた状態では、かかる球送り装置30の出口30bからの遊技球の排出によって、発射装置40が備える発射レール(Mレール)41に遊技球が供給される。出口30bは、排出口の一例である。
球送り装置30についての詳細は後述する。
【0145】
遊技盤保持枠22側にて発射ユニットが備える構成について説明する。
発射装置40は、図23の(b)に示すように、球送り装置30から遊技球が供給される発射レール41を備えている。この発射レール41は、遊技球が乗る上面が横断面でM字状になるように形成されている。発射レール41は、水平面に対して傾斜するように配設されている。発射された遊技球は、傾斜する発射レール41を駆け上がるように進み、レール部材112(図1参照)により形成される通路を上昇していく。
なお、発射装置40において、遊技球は、発射レール41の下端から上端の方向に発射される。すなわち、発射レール41の発射の方向は、下端から上端へ向かう方向である。
【0146】
さらに説明すると、発射装置40は、発射レール41とレール部材112(図1参照)との間に位置する接続レール42を備えている。この接続レール42は、発射レール41に隣接して配設されている。
遊技盤保持枠22側にて発射される遊技球は、発射レール41から接続レール42およびレール部材112を通って遊技盤110の遊技領域111へと進む。
【0147】
ここで、図23の(a)に示すように、透明板保持枠21には、接続レール42とレール部材112(図1参照)との間にて遊技球を通すように配設されている接続レール26が取り付けられている。すなわち、接続レール26は、透明板保持枠21を開けた状態(図23の(a)参照)では、発射装置40と離れて位置する一方で、透明板保持枠21を閉めた状態では(図22参照)、発射された遊技球が通る通路を接続レール42と共に形成する。
【0148】
図24は、発射装置40の発射機構を説明する図であり、(a)は未通電時の状態を示し、(b)は通電時の状態を示している。なお、図24は、図23の(b)の矢印Aから見た状態を示している。
図24に示すように、発射装置40は、上述の発射レール41および接続レール42のほかに、回転可能な打球槌43と、打球槌43に回転させる駆動源としてのロータリーソレノイド44と、をさらに備えている。また、発射装置40は、打球槌43の回転範囲を規制するストッパ45,46と、打球槌43を所定位置に保持するためのマグネット47と、を備えている。球送り装置40から供給された遊技球は、発射レール41における発射位置40aに停止する。なお、発射位置40aは、マグネット47の下側部分が傾斜して発射レール41との離間距離が遊技球の直径よりも小さくなることにより形成されている。
【0149】
発射装置40の打球槌43は、回転軸43a周りを回転可能であり、また、ロータリーソレノイド44に直結されている。ロータリーソレノイド44へ通電がなされていないときには、図24の(a)に示すように、打球槌43は、マグネット47の磁力によりストッパ45の位置で保持される。
ロータリーソレノイド44は、不図示の制御回路からのパルスに応答して打球槌43を回転させる。すなわち、ロータリーソレノイド44通電時には、図24の(b)に示すように、打球槌43がストッパ46に接する位置まで回転することで、槌先端部43bで発射レール41の遊技球を打球し、遊技球は発射位置40a(図24の(a)参照)にて発射される。発射装置40は、かかる発射機構により、上述したように1分間に例えば100個を電動発射可能である。
付言すると、打球槌43による打球後にはロータリーソレノイド44の回転トルクが消失する。そして、打球槌43は、打球槌43がストッパ46に衝突した反動および打球槌43の自重によって逆方向に回転し、ストッパ45に接して停止する。
【0150】
透明板保持枠21側にて発射ユニットが備える構成について説明する。
図25は、透明板保持枠21側に配設された発射ユニットの構成を説明する図である。図25の(a)は、透明板保持枠21の概略右側面図であり、(b)は、球送り装置30を出口30b側から見た状態を拡大して示す斜視図である。
図25の(a)に示すように、発射ユニットは、皿153(図2の(a)参照)の遊技球を一列に整列する球通路レール163をさらに備えている。この球通路レール163は、整列した遊技球を球送り装置30の入り口30aに供給する。
入り口30aは、球通路レール163に近接する球送り装置30の面に形成され、また、出口30bは、発射装置40に近接する球送り装置30の面に形成されている。言い換えると、入り口30aが形成されている面と出口30bが形成されている面とは、互いに反対側に位置する。
【0151】
球送り装置30は、図25の(b)に示すように、出口30bは、入り口30aよりも下方に位置する。球送り装置30は、入り口30aから出口30bに至る内部通路T(例えば図27参照)の途中に、例えば数珠繋ぎで入り口30aに入った一列の遊技球が発射装置40の作動タイミングに合わせて1個ずつ出口30bから排出するための機構が形成されている。詳細は後述する。
【0152】
〔第1の実施の形態〕
図26は、第1の実施の形態に係る球送り装置30の構成を説明する分解斜視図である。
図26に示すように、球送り装置30は、入り口30aを持つケース31と、出口30bを持つケース32と、を備えている。ケース31,32は外装部品であり、互いに係合してネジで組み立てられるものである。球送り装置30の外面は、これらケース31,32によって構成されている。ケース31,32は、ケース部材の一例であり、カバーの一例である。また、ケース31は、第1の部品の一例であり、また、ケース32は、第2の部品の一例である。
なお、球送り装置30の入り口30aは、ケース31に形成した開口ないし切欠きにより構成され、また、球送り装置30の出口30bは、ケース32に形成した開口ないし切欠きにより構成されている。
【0153】
球送り装置30は、内蔵部品として、ケース31,32に挟み込まれる形で取り付けられる軸部材33と、軸部材33が挿入される貫通孔が形成され、この貫通孔に軸部材33が挿入されることで回転可能に保持される球送りクランク34と、を備えている。
また、球送り装置30は、球送りクランク34に連結され、球送りクランク34を駆動する駆動源としての球送りソレノイド35をさらに備えている。この球送りソレノイド35は、不図示の制御回路からのパルスに応答して作動するものであり、より具体的には、発射装置40のロータリーソレノイド44と連動するように駆動制御される。
なお、球送り装置30は、ケース31に取り付けられるシールド板としての板状部材36をさらに備えている。
【0154】
球送り装置30のケース31は、球送りソレノイド35の作動により発生した熱を放出するための放熱口31aと、球送りソレノイド35の突出部35cを受け入れて球送りソレノイド35を取り付けるためのスロット穴31bと、を備えている。付言すると、これらケース31の放熱口31aおよびスロット穴31bは、球送りソレノイド35のために形成されたものである。
また、ケース31は、球送り装置30を透明板保持枠21に対して位置決めするために外面に突出する位置決めピン31c(図28の(a)も参照)と、位置決めピン31cにより位置決めされた球送り装置30を透明板保持枠21に固定して取り付けるための取り付け穴31dと、をさらに備えている。付言すると、これらケース31の位置決めピン31cおよび取り付け穴31dは、球送り装置30を透明板保持枠21に取り付けるために形成されたものである。
ケース31は、ケース31の内面に形成されて軸部材33を保持するボス31eと、ケース32との互いの係合の際に用いられる2つの取り付け穴31fと、板状部材36を取り付けるための取り付け穴31gと、をさらに備えている。
【0155】
球送り装置30のケース32は、球送りソレノイド35の作動により発生した熱を放出するための放熱口32aと、球送りソレノイド35の突出部35cを受け入れて球送りソレノイド35を取り付けるためのスロット穴32bと、を備えている。これらケース32の放熱口32aおよびスロット穴32bは、ケース31の放熱口31aおよびスロット穴31bと同じく、球送りソレノイド35のために形成されたものである。
また、ケース32は、球送り装置30を透明板保持枠21に対して保持するための2つの保持ピン32cをさらに備えている。2つの保持ピン32cは、上下方向に延びて同軸である。ケース32の保持ピン32cは、透明板保持枠21に形成された不図示の保持穴に挿入されて用いられる。すなわち、保持ピン32cを透明板保持枠21の保持穴(不図示)に挿入することで、球送り装置30は透明板保持枠21に回転可能に保持される。なお、球送り装置30は、保持ピン32cにて透明板保持枠21に保持された後には、位置決めピン31cで位置決めされた状態で取り付け穴31dを用いて透明板保持枠21にねじ等の締結部材にて固定される。
【0156】
球送り装置30の球送りクランク34は、球送りソレノイド35が非作動のときには遊技球が出口30bから排出されないように、入り口30aから出口30bまで延びる球送り装置30の内部通路T(図27参照)の途中で遊技球を一時的に止めることが可能なストッパ部34aおよびアーム部34bを備えている。
このアーム部34bは、ストッパ部34aよりも球送り装置30の内部通路T(図27参照)の下流側に配設されている。さらに説明すると、アーム部34bは、ストッパ部34aと所定距離だけ離れて位置する。より具体的には、ストッパ部34aとアーム部34bとの離間距離は、遊技球の略直径分であり、ストッパ部34aとアーム部34bがアーチ状に形成されている面を有する。すなわち、球送りクランク34は、ストッパ部34aとアーム部34bとの間に1つの遊技球を保持ないし把持することが可能に構成されている。
【0157】
球送りクランク34のストッパ部34aは、球送りソレノイド35が非作動のときに内部通路T(図27参照)内に位置し、球送りソレノイド35が作動のときに内部通路Tから退避する。また、球送りクランク34のアーム部34bは、球送りソレノイド35が非作動のときに内部通路Tから退避し、球送りソレノイド35が作動のときに内部通路T内に位置する。すなわち、ストッパ部34aとアーム部34bは、内部通路Tに対する挙動が互いに逆である。
球送りクランク34は、球送りソレノイド35の揺動片35bに連結される連結部34cをさらに備えている。
付言すると、球送りクランク34は、ストッパ部34a、アーム部34bおよび連結部34cが一体成型されている。
【0158】
球送り装置30の球送りソレノイド35は、球送りソレノイド35の外面の一部を構成する金属片35aを備えている。また、球送りソレノイド35は、金属片35aに長手方向(図26における紙面略左右方向)中間部にて支持されると共に長手方向一端部(図26における紙面手前側の端部)にて球送りクランク34の連結部34cと連結される上述の揺動片35bをさらに備えている。なお、球送りソレノイド35は、ケース31,32のスロット穴31b,32bに受け入れられる上述の突出部35cを備えている。
さらに説明すると、揺動片35bは、球送りソレノイド35の作動と非作動とで互いに姿勢が異なるものであり、これにより、球送りクランク34が駆動される。なお、揺動片35bの長手方向他端部(図26における紙面奥側の端部)と金属片35aとの間では、引っ張られると元に戻ろうとする付勢力を生じる引っ張りコイルバネ37(図27参照)により連結されている。
【0159】
図27は、球送り装置30の作用を説明する図であり、球送り装置30を出口30bの側から見た投影図である。同図の(a)は、球送りソレノイド35が非作動時の状態を示し、(b)は、球送りソレノイド35が作動時の状態を示している。
球送りソレノイド35非作動時には、図27の(a)に示すように、引っ張りコイルバネ37の付勢力によって、球送りクランク34のストッパ部34aは、内部通路Tに位置する。このため、内部通路Tを遊技球が通過できず、その意味において内部通路Tは塞がっている。すなわち、入り口30aから内部通路Tに入った遊技球は、一時的に停止する。なお、内部通路Tは、入り口30aから出口30bへと延びて形成されている遊技球の通過経路であり、上下方向に延びている。内部通路Tは、内側の空間の一例である。
【0160】
球送りソレノイド35作動時には、図27の(b)に示すように、引っ張りコイルバネ37の付勢力に抗して、球送りクランク34が軸部材33を中心に反時計回りの方向に回転する。これにより、球送りクランク34のストッパ部34aは、内部通路Tから退避する一方で、球送りクランク34のアーム部34bは、内部通路Tに進入する。したがって、それまでストッパ部34aにより停止していた先頭の遊技球は、アーム部34bの位置まで内部通路Tを進む。
このようにして進んだ先頭の遊技球は、球送りクランク34のストッパ部34aとアーム部34bとの間に位置する。これにより、球送りクランク34は、ストッパ部34aおよびアーム部34bにより先頭の遊技球を1つだけ把持する。
【0161】
球送りソレノイド35の作動後に球送りソレノイド35が非作動になると、引っ張りコイルバネ37の付勢力により球送りクランク34が軸部材33を中心に時計回りの方向に回転して元の位置に戻る。これにより、ストッパ部34aおよびアーム部34bにより内部通路T内に把持されている先頭の遊技球は、球送りクランク34の回転力と遊技球自身の重さ(自重)によって内部通路Tを勢いよく落下する。
このようにして内部通路Tを落下する遊技球は、球送り装置30の出口30bから排出され、発射装置40の発射レール41に供給されることで、発射装置40の発射位置40aにて遊技盤110(図1または図23の(a)参照)に向けて発射される。
【0162】
ここで、図26に戻って説明を続ける。
球送り装置30が備えているケース32の外面32dに、発射装置40の発射レール41(図23参照)に供給する遊技球を排出する上述の出口30bが形成されている。
なお、ケース32の外面32eは、外面32dに連続すると共に外面32dと交差する方向に延びて形成されている。また、ケース31の外面31hは、ケース32の外面32eと同じ方向に延びるように形成されている。
より詳細には、ケース31の外面31hは、ケース32の外面32eと共に、球送り装置30の外面(横面)30cを構成する。この外面30cは、出口30bよりも発射レール41による発射方向の下流側に位置し、かつ、発射レール41を横断する方向に延びている。言い換えると、外面30cは、発射装置40により遊技球が発射される側に位置する球送り装置30の面である。また、別の言い方をすると、外面30cは、発射装置40から発射される遊技球が進む方向を向いている球送り装置30の面である。
球送り装置30の外面30cおよびケース32の外面32dは、外面の一例である。
【0163】
〔球送り装置30のスリット50の構成〕
さらに説明すると、図26に示すように、球送り装置30には、出口30bから細長く延びる切れ込み状のスリット50が形成されている(図27も参照)。このスリット50は、細長の切欠き部ないし開口部ということもできる。スリット50は、球送り装置30の出口30bに対して発射方向の下流側に位置する。
【0164】
スリット50についてより具体的に説明する。スリット50は、ケース32の外面32dに形成され、出口30bから一方向に延びるスリット部分51と、ケース32の外面32eに形成され、スリット部分51に連続して形成され、発射レール41を横断する方向に延びるスリット部分52と、を含んで構成されている。
このスリット部分51は、出口30bにおける上側に位置するように形成されている。
【0165】
ここにいう一方向とは、例えば発射装置40による遊技球の発射の方向をいう。この場合の遊技球の発射の方向としては、傾斜する発射レール41の下端から上端に向かう方向になるが(例えば図24参照)、発射レール41が延びる方向と完全に同一の方向であるという厳密な意味ではなく、後述するように、不正行為の目的で糸状部材(紐状部材)Sを付着した遊技球が発射レール41から発射された場合にその糸状部材S(例えば図29参照)を捕捉可能な方向を意味する。
別の言い方をすると、ここにいう一方向とは、発射装置40により発射される遊技球に糸状部材S(例えば図29参照)が付着していると共に糸状部材Sがパチンコ遊技機100の外部から内部に続いているときに、発射装置40による遊技球の発射に伴ってパチンコ遊技機100の内部において糸状部材Sが案内される方向をいう。
【0166】
図28は、球送り装置30のスリット50の構成を説明する図である。同図の(a)は、図27の線B−Bによる断面図であり、球送り装置30の外面30cに関して説明するための図である。図28の(b)は、同図の(a)の線C−Cによる断面図であり、スリット50のスリット部分53の横断面を示す図である。
図28の(a)に示すように、スリット50は、上述のスリット部分51,52のほかに、スリット部分52に連続して形成され、発射レール41を横断する方向に延びるスリット部分53をさらに含んで構成されている。このスリット部分53は、球送り装置30の外面30cをスリット部分52から斜め上方に延びるように形成されている。さらに説明すると、スリット部分53は、球送り装置30の外面30cをクランク形状(階段形状)に延びるように形成されている。別の言い方をすると、球送り装置30の外面30cに、互いに異なる複数の曲率半径を持つ蛇のような湾曲形状(蛇行する形状)のスリット部分53が形成されている。スリット部分53は、上方に延びるように形成されている。
より詳細には、スリット部分53は、スリット部分53に沿ってスリット部分52から離れる方向に行くに従って幅寸法が細くなる区間を有する。すなわち、スリット部分53は、先の方に行くとだんだんと細くなっている(先細の形状)。このように、先の方が細くなっているスリット部分53は、2つの保持ピン32cのうち上側の保持ピン32cが形成される基部32fで行き止まりになっている。すなわち、スリット部分53は、奥側で行き止まりになっている。
【0167】
図28の(b)に示すように、スリット50のスリット部分53は、球送り装置30の外面30c側の空間と内面30d側の空間(内部通路T)とを互いに連通するように形成されている。すなわち、不正行為の目的で遊技球に付着させた糸状部材S(例えば図29参照)が遊技球の発射に伴ってスリット部分53を通るように、スリット部分53を形成している。
【0168】
さらに説明すると、スリット部分53は、ケース31の縁部とケース32の縁部とにより形成されている。すなわち、スリット部分53は、ケース31のみにより形成されているのではなく、また、ケース32のみにより形成されているのではない。
なお、スリット部分53を構成するケース31の縁部とケース32の縁部とは、互いに隣接するものである。ケース31の縁部とケース32の縁部とは、互いに突き合うように配設されている。
【0169】
このように、スリット50のスリット部分53をケース31の縁部とケース32の縁部との組み合わせにより形成することで、金型による製造がより容易になる。すなわち、スリット50を構成するスリット部分51,52,53のうち最も細長く形成されるスリット部分53を、ケース31またはケース32だけで形成するのは、ケース31,32が比較的大きい外形形状であることから、技術的な困難性を伴うものである。そのために、金型の構造が複雑になり、コスト上昇を抑制することが困難である。しかしながら、本実施の形態のように、2つの部品の向かい合う面(合わせ面。隣接する面)を利用することで、コスト上昇を抑制することが可能になる。
なお、上述したように、スリット50のスリット部分51,52は、ケース32のみにより形成されている。
【0170】
さらにまた説明すると、スリット50のスリット部分53は、ケース31,32の厚さ方向に関して形状が異なるように形成されている。より具体的に説明すると、ケース31の縁部には、この縁部に沿ってケース31の厚さDよりも小さい寸法の厚さd1を持つ薄肉部(リブ)54が形成されている(D>d1)。また、ケース32の縁部には、この縁部に沿ってケース32の厚さDよりも小さい寸法の厚さd3を持つ薄肉部(リブ)55が形成されている(D>d3)。言い換えると、薄肉部54は、ケース31の縁部を寸法d2だけ内面側(図28の(b)における紙面右側)の肉厚を減じることで形成され(d2=D−d1)、また、薄肉部55は、ケース32の縁部を寸法d4だけ外面側(図28の(b)における紙面左側)の肉厚を減じることで形成されている(d4=D−d3)。
このように、ケース31の薄肉部54とケース32の薄肉部55とが互い違いになるように、スリット50のスリット部分53は形成されている。ケース31の縁部およびケース32の縁部は、板状であり、また、厚さ方向に延びる端面の形状によりスリット部分53を形成している。
別の見方をすると、ケース31は、寸法d1の面と寸法d2の面という段違いの面を縁部に有する。また、ケース32は、寸法d3の面と寸法d4の面という段違いの面を縁部に有する。
薄肉部54,55は、突出部の一例である。
【0171】
なお、厚さd1と厚さd3とは互いに異なる値を採用することができ、また、互いに同じ値を採用することもできる。また、寸法d2と寸法d4とは互いに異なる値を採用することができ、また、互いに同じ値を採用することもできる。
また、ケース31の薄肉部54とケース32の薄肉部55のいずれか一方または両方を、ケース31,32の厚さ方向に複数並ぶように形成することも考えられる。
【0172】
またさらに説明すると、スリット50のスリット部分53は、ケース31の縁部とケース32の縁部との間の隙間を隠すように形成されている。すなわち、ケース31の薄肉部54は、薄肉部55において肉厚が減じられて生じた領域にその一部が位置し、また、ケース32の薄肉部55は、薄肉部54において肉厚が減じられて生じた領域にその一部が位置する。言い換えると、スリット部分53は、ケース31,32の厚さ方向に関して、球送り装置30の外面30cから内面30dへとまっすぐに貫通するように形成されておらず、回りこむように形成されている。より具体的には、球送り装置30の外面30cからスリット部分53をケース31,32の厚さ方向に進入すると、ケース32の薄肉部55が壁になり、薄肉部55を回りこむように進むことになる。また、球送り装置30の内面30dからスリット部分53をケース31,32の厚さ方向に進入すると、ケース31の薄肉部54が壁になり、薄肉部54を回りこむように進むことになる。
ケース31の薄肉部54とケース32の薄肉部55とは、互いに接触せず、互いに離間するようにして形成されている。
このように、スリット部分53は、ケース31の縁部とケース32の縁部との隙間が横断面においてクランク形状になるように形成されており、これにより、球送り装置30の外面30c側の空間と内面30d側の空間である内部通路Tとを互いに連通する。また、スリット部分53は、球送り装置30の外面30c側から内面30d側の内部通路Tが容易には見えないように形成され、また、球送り装置30の内面30d側から外面30c側の空間が容易には見えないように形成されている。
【0173】
〔球送り装置30のスリット50の作用〕
図29、図30および図31は、球送り装置30のスリット50の作用を説明する図である。図29は、球送り装置30および発射装置40の発射レール41の概略平面図である。また、図30は、糸状部材Sに張力がない状態を示し、図31は、糸状部材Sに張力がある状態を示している。図30および図31の(a)は、図28の(b)と同じく図28の(a)の線C−Cによる断面図であり、より具体的には、糸付き球の糸状部材Sがスリット50のスリット部分53を通るときの糸状部材Sの状態を説明するスリット部分53の横断面図である。図30および図31の(b)は、球送り装置30の斜視図である。
図29の(a)に示すように、比較的長い糸状部材Sを付着させた遊技球(以下、不正の球技球という)が、球送り装置30の内部通路Tを通って出口30bから出ると、発射レール41に供給される。糸状部材Sは緩んだ状態であり、不正の遊技球の移動を制限しない。
糸状部材Sは、不正の遊技球と共に移動し、不正の遊技球が通った経路(軌跡)に沿って進んでいく。すなわち、糸状部材Sは、球送り装置30の入り口30a、内部通路Tおよび出口30bを通っている。
【0174】
発射レール41に供給された不正の遊技球は、傾斜している発射レール41を転がり、図29の(b)に示すように、発射位置40aにセットされる。その後、不正の遊技球は、発射位置40aから所定のタイミングで勢いよく発射される。
発射された不正の遊技球は遊技領域111(図1参照)の方向に進み、それに伴い、糸状部材Sは、図29の(c)に示すように、不正の遊技球が通った経路から外れて球送り装置30のスリット50に進入する。すなわち、糸状部材Sは、近道をするようにスリット50に入っていく。
なお、球送り装置30の外面30cに隣接する空間には、空きスペースが形成されている。すなわち、外面30cのとなりには、糸状部材Sの動きを邪魔するような他の装置ないし部品が配設されていない。
【0175】
ここで、糸状部材Sの移動を邪魔するように糸状部材Sがスリット50に噛まれるまでは、不正な遊技球の動きは規制されない。上述したように、スリット50は球送り装置30の外面30cにも形成されているので、糸状部材Sがスリット50の奥側に到達するまでの時間は、比較的長くなる。すなわち、スリット50は、ある程度の勢いのところまでは糸状部材Sを噛まず、ある程度の勢いのところで糸状部材Sを噛む構成である。スリット50は、より確実に糸状部材Sを噛むので、不正の遊技球を用いたことの痕跡を残せる可能性が高いと言える。
【0176】
図30および図31を用いてさらに詳細に説明する。
横断面クランク形状のスリット50に進入した糸状部材Sは、緩んだ状態では例えば図30の(a)に示すようにスリット50内に位置する。そして、糸状部材Sは、引っ張られた状態では例えば図31の(a)に示すようにスリット50内で直線的に折れ曲がり、薄肉部54,55の表面に当接する。
【0177】
より詳細に説明すると、糸状部材Sを付着させた遊技球が球送り装置30の内部通路Tを通って出口30bから発射装置40の発射装置40の発射レール41(例えば図29参照)に供給され、発射レール41から斜め上方に向けて勢いよく発射されると、これに伴い、糸状部材Sは、スリット部分51からスリット50に進入する。そして、糸状部材Sは、図30の(b)に示すように、さらにスリット50のスリット部分52,53へと案内されていく。
より具体的には、糸状部材Sがスリット50のスリット部分53に入って、張力を持つと、図31の(a)に示すように、糸状部材Sは、スリット50内では一直線状にはならず、屈折する。スリット50のスリット部分53では、薄肉部54,55によって糸状部材Sが一直線状になるのが阻止される。すなわち、ピンと張った状態の糸状部材Sは、ケース31の薄肉部54の角部およびケース32の薄肉部55の角部にて直線的に折れる。この状態では、糸状部材Sが、薄肉部54の角部と薄肉部55の角部とにそれぞれ押し当てられ、スリット50から外れ難い。このような糸状部材Sが外れ難い形状をスリット部分53に採用することで、糸状部材Sがスリット部分53から外れてしまう事態を防止することが可能になる。
【0178】
このような効果をより高めるために、例えばケース31の薄肉部54の表面およびケース31の薄肉部54の表面を他の部分よりも粗く形成するという変形例が考えられる。このようなケース31,32の粗面加工によって、糸状部材Sとの摩擦抵抗力を増やすことが可能になり、糸状部材Sが容易に外れないようになる。
なお、糸状部材Sを切ることが可能なように、薄肉部54の角部と薄肉部55の角部をより鋭角に形成したり不図示の刃部材を球送り装置30に配設したりすることが考えられる。
【0179】
図31の(b)に示すように、スリット50内の糸状部材Sは、スリット部分53に沿って移動して先に進むことで、糸状部材Sがスリット部分53に挟まることで捕捉され、最終的には、球送り装置30に対する相対的な移動ができなくなる。このため、不正の球技球が発射装置40により発射されたとしても、不正行為をしようとする遊技者の意図(始動口121等でのリフティングやワープルート(不図示)への過剰通過等による遊技球の不正獲得)に沿わない結果になる。
【0180】
より具体的に説明すると、不正の球技球を皿153(図2の(b)参照)に投入すると、不正の遊技球は、球通路レール163(図25の(a)参照)から球送り装置30の入り口30aに入る。ハンドル151のレバー152が遊技者により回転操作されることで、不正の遊技球は、球送り装置30の内部通路Tを落下し(図27参照)、球送り装置30の出口30bから排出された後に発射装置40の発射レール41に供給され(図23参照)、遊技領域111に向けて発射される。
【0181】
このような場合に、不正の遊技球に付着している糸状部材Sの端がパチンコ遊技機100の外部に位置し、例えば遊技者が手で握っていると、図30の(b)に示すように、糸状部材Sは、不正の遊技球が進んだ経路に沿って進むことになる。
より詳細には、糸状部材Sは、不正の遊技球が上方に向けて発射されることで、スリット50のスリット部分51に入り、次にスリット部分52に進んだ後に、スリット部分53に至る。これにより、糸状部材Sがスリット部分53に嵌まり込む。このため、不正の遊技球は、糸状部材Sにぶら下がるようにして糸状部材Sの長さに応じた遊技領域111の位置で止まってしまう。
【0182】
このようにして、不正行為を行おうとする遊技者は、糸状部材Sの操作が困難になり、また、糸状部材Sを回収しようとしても回収することが困難になることから、パチンコ遊技機100に不正行為の証拠を残すことが可能になる。
また、不正行為を行おうとする遊技者の意図に反し、不正の遊技球が飛んでいったら影響が大きい遊技領域111の所定場所(例えば、始動口121,122等)に不正の遊技球が届かないようになることから、不正の遊技球による不正行為の実行を防止することが可能になる。
【0183】
〔各種の応用例〕
次に、上述した第1の実施の形態を応用した各種の構成例(応用例)について説明する。
図32は、球送り装置30の一応用例を説明する図である。同図の(a)〜(c)の各々は、スリット50のスリット部分53の横断面を示す図であり、図28の(b)に対応するものである。なお、図32の(a)〜(c)の応用例は、第1の実施の形態と同じく、スリット50のスリット部分53は、ケース31の縁部とケース32の縁部との間の隙間を隠すように形成されている。
図32の(a)に示す場合には、薄肉部54は、外面側の肉厚を減じると共に内面側の肉厚を減じることで端面が凸形状に構成されている。また、薄肉部55は、中央の肉厚を減じることで端面が凹形状に構成されている。そして、薄肉部54の凸形状の部分が、薄肉部55の凹形状の部分に入り込むように配設されることで、ケース31の薄肉部54とケース32の薄肉部55とが互い違いになるように、スリット部分53が形成されている。
なお、薄肉部54の横断面形状と薄肉部55の横断面形状とを互いに逆に形成することも考えられる。
【0184】
図32の(b)に示す場合には、肉厚を減じた部分が一方にしか形成されていない。すなわち、スリット50のスリット部分53を構成する部位として、薄肉部55を含み、薄肉部54を含んでいない。より具体的には、ケース32の薄肉部55は、外面側の肉厚が減じられて形成されている。そして、ケース31には、肉厚が減じられて形成される薄肉部54が形成されていない。ケース32の薄肉部55において肉厚が減じられて生じた領域にケース31の縁部が位置する。ケース31とケース32は、厚さ方向(紙面における左右方向)に関して互いにずれて位置する。これにより、スリット50のスリット部分53は、L字状に形成される。
なお、ケース31の横断面形状とケース32の横断面形状とを互いに逆に形成すると共にケース31とケース32との厚さ方向の位置関係を逆にすることも考えられる。
【0185】
図32の(c)に示す場合には、肉厚を減じた部分が形成されていない。すなわち、スリット50のスリット部分53を構成する部位として、薄肉部54および薄肉部55を含んでいない。すなわち、ケース31およびケース32は、厚さ方向に関して形状が異ならないように形成されている。そして、ケース31とケース32は、厚さ方向(紙面における左右方向)に関して互いにずれて位置している。このように、ケース31の縁部とケース32の縁部との隙間により、スリット50のスリット部分53が構成されている。
なお、ケース31とケース32との厚さ方向の位置関係を逆にすることも考えられる。
【0186】
図33は、球送り装置30の別の応用例を説明する図であり、球送り装置30の斜視図である。
図33の(a)に示すように、一応用例に係る球送り装置30は、スリット50が形成されている位置に配設された検出部(センサ)60を備えている。この検出部60は、アクチュエータ61を持つマイクロスイッチであり、検出手段の一例である。なお、検出部60として、他の形式のセンサを用いることも考えられる。
さらに説明すると、検出部60は、アクチュエータ61がスリット50のスリット部分53を横切るように、球送り装置30の外面30cに取り付けられている。検出部60は、アクチュエータ61が所定の動きを行うと、オン信号を出力する。言い換えると、スリット50は、糸状部材Sを奥側に誘導(案内)し、検出部60が検出可能な位置まで追い込んでいく。
【0187】
このため、図33の(b)に示すように、糸状部材Sがスリット部分52の奥まで達すると、糸状部材Sは、検出部60のアクチュエータ61を移動させる。これにより、検出部60は、オン信号を出力する。このようなオン信号の出力により、不正行為に対して積極的な対応を行うことが可能になる。
ここで、検出部60の出力先としては、例えば払出制御部400(図3参照)である。払出制御部400が検出部60からオン信号を受け付けると、予め定められた制御が行われる。より具体的には、払出制御部400は、検出部60からオン信号を受け付けた場合に、不正行為があったことを示す信号を遊技制御部200(図3参照)に送信することで、遊技制御部200は遊技の中止を行う。また、不正行為があったことを示す信号を、遊技制御部200を介して演出制御部300(図3参照)に送信することで、演出制御部300は、所定の警告演出や報知演出を行う。また、不正行為があったことを示す信号を、枠用外部情報端子基板450(図3参照)を介してホールコンピュータ(不図示)に送信することで、パチンコ遊技機100を設置しているホール側で不正行為の事実を速やかに把握し、これに対処することが可能になる。
【0188】
図34は、球送り装置30のまた別の応用例を説明する図であり、球送り装置30の斜視図である。
図34に示すように、他の応用例に係る球送り装置30は、ケース32にスリット部品70が固定して取り付けられている。このスリット部品70は、スリット部分51,52,53からなるスリット50を備えている。なお、スリット部品70のスリット50は、ケース31,32に形成されている上述のスリット50(図26〜図28参照)と同じ構成を採用している。
さらに説明すると、ケース31,32には、スリット部品70のスリット50の範囲を逃げるように比較的大きな切欠き(破線で図示)が形成されている。言い換えると、球送り装置30の内部通路Tは、ケース31,32のみならず、スリット部品70によっても構成されている。
【0189】
スリット50は、上述したように、比較的高精度に形成する必要があり、そのために、スリット50を形成する部品を樹脂成型する金型が高価になる傾向がある。かかる観点から、他の応用例では、スリット50をケース31の縁部およびケース32の縁部に形成せず、ケース31,32とは別の部品であるスリット部品70に形成している。このスリット部品70は、ケース31,32よりも外形が小さい部品である。
このため、球送り装置30を、比較的高精度に形成する必要がないケース31,32と、比較的高精度に形成する必要があるスリット部品70と、に分けて構成することで、スリット50を形成するに伴うコスト上昇を抑制することが可能になる。
また、スリット部品70を球送り装置30に後付けすることが可能である。その場合には、球送り装置30の全体を交換しなくても、事後的な不正対策を行うことが可能になるので、不正対策が施されていない機種に対して不正対策を施すことが比較的容易に行える。
なお、スリット部品70を球送り装置30の本体部(ケース31,32)に取り付ける手法としては、接着剤によるものや締結ねじによるもの等が考えられる。また、スリット部品70を球送り装置30の本体部に対して位置決めするための構造として、例えば不図示の凸部および不図示の凹部を用いることが考えられる。
【0190】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態に係る球送り装置30について説明する。なお、第2の実施の形態は、第1の実施の形態と共通する構成・機能を有することから、共通する構成には、同じ符号を用い、また、共通する構成・機能の説明および図示を省略することがある。
図35は、第2の実施の形態に係る球送り装置30の構成を説明する概略斜視図であり第1の実施の形態における図31の(b)に対応する図である。
図35に示すように、第2の実施の形態に係る球送り装置30は、スリット50を備えている。このスリット50は、ケース32の外面32dに形成されているスリット部分51からなるものである。言い換えると、第2の実施の形態でのスリット50は、第1の実施の形態の場合のような外面(横面)30cのスリット部分52,53(例えば図28参照)を含んでおらず、第1の実施の形態の場合よりも長さが短い。
【0191】
第2の実施の形態では、スリット50のスリット部分51は、第1の実施の形態でのスリット部分53の横断面形状(図28の(b)または図32の(a)〜(c)参照)に形成され、また、出口30bから離れる方向(紙面における右方向)に行くに従って幅寸法が細くなる先細形状に形成されている。
第2の実施の形態では、スリット50のスリット部分51を直線状に延びるように形成しているが、第1の実施の形態でのスリット部分53のクランク形状(段階形状)ないし蛇のような湾曲形状(蛇行する形状)に形成することも考えられる。
なお、第1の実施の形態についてすでに説明した各種の応用例を第2の実施の形態に適用することも考えられる。第2の実施の形態に係る球送り装置30に検出部60(図33参照)を配設することが考えられる。また、第2の実施の形態では、スリット50のスリット部分51がケース32に形成されているが、ケース32とは別の部品であるスリット部品70(図34参照)にスリット50を形成し、スリット部品70をケース32に固定して取り付ける構成も考えられる。
【0192】
第2の実施の形態の場合には、スリット50のスリット部分51の先で糸状部材Sが捕捉され、これにより、遊技者は糸状部材Sの操作が困難になり、また、糸状部材Sの回収も困難になる。
このように、第2の実施の形態におけるスリット50によっても、第1の実施の形態の場合と同じく、パチンコ遊技機100に不正行為の証拠を残すことが可能になり、また、不正の遊技球による不正行為の実行を防止することが可能になる。付言すると、より簡素にスリット50を構成することが可能になり、コスト上昇を抑制することが可能になる。
【0193】
以上説明したように、第1および第2の実施の形態では、糸状部材Sを用いた不正行為が行われた場合に、簡易な構造のスリット50で糸状部材Sをより確実に捕捉するので、コスト上昇を抑制しつつ不正対策に万全を期すことが可能になる。
【符号の説明】
【0194】
30…球送り装置、30b…出口、30c,32d…外面、31,32…ケース、40…発射装置、41…発射レール、50…スリット、51,52,53…スリット部分、54,55…薄肉部、T…内部通路、100…パチンコ遊技機、110…遊技盤、111…遊技領域、163…球通路レール、S…糸状部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球の入賞によって大当たりの抽選を行うパチンコ遊技機等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機等の遊技機では、遊技球が始動口等の役物に入賞することにより大当たりの抽選が行われる。そして、大当たりに当選した場合には、遊技機は、大入賞口が開放されて、多くの賞球を獲得し得る大当たり遊技状態となる。したがって、遊技機が設置されたホールでは、遊技者は、遊技機を大当たり遊技状態にすべく、遊技球を打つことで入賞による大当たりの抽選が行われるように遊技を行う。
【0003】
このようなホールにて磁石を用いて遊技球を獲得しようとする不正な行為の対策として、従来から種々の技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、磁石を検知するセンサに万一、故障や破損などが発生しても不正行為を検知し続けることができるようにする構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−240274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ホールでの不正行為は、様々な手法により行われるものであり、磁石を用いることなく不正行為が行われる場合がある。例えば、糸を取り付けた遊技球を盤面に発射させることで不正に遊技球を獲得する不正行為に対しては、従来の技術で十分に対応することが困難である。また、かかる不正行為を防止するための構造を採用した場合に、一般的にコストの上昇の要因になることから、追加の不正対策に伴うコスト上昇を抑制することが求められる。
本発明は、遊技球に糸を取り付けて行う不正行為を防止するための構造をより安価に製造することが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が適用される遊技機は、遊技球による遊技を行うための遊技領域111に向けて遊技球を発射レール41から発射する遊技機100であって、前記発射レール41に遊技球を送る球送り装置30は、前記発射レール41に送られる遊技球が排出される出口30bと、前記球送り装置30の外面32d,30cを構成するカバー31,32に形成され、前記出口30bから前記発射レール41の発射の方向に延びて当該発射の方向の下流側に位置し、当該カバー31,32の外側の空間と内側の空間Tとを互いに連通するスリット50と、を備え、前記カバー31,32は、第1の部品31および当該第1の部品31に組み合わされる第2の部品32を含んで構成され、前記スリット50は、前記第1の部品31の縁部と当該縁部に隣接する前記第2の部品32の縁部とにより形成されることを特徴とするものである。
ここで、前記第1の部品31の縁部と前記第2の部品32の縁部とが互いに突き合うようにして配設して前記スリット50を形成し、前記第1の部品31の縁部と前記第2の部品32の縁部のうち少なくとも一方は、肉厚を減じて形成されていることを特徴とすることができる。また、前記第1の部品31の縁部と前記第2の部品32の縁部は、厚さ方向に延びる端面の形状により前記スリット50を形成するものであることを特徴とすることができる。
【0007】
なお、本欄における上記符号は、本発明の説明に際して例示的に付したものであり、この符号により本発明が減縮されるものではない。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、遊技球に糸を取り付けて行う不正行為を防止するための構造をより安価に製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施の形態に係るパチンコ遊技機の概略正面図である。
【図2】本実施の形態のパチンコ遊技機の部分平面拡大図である。
【図3】本実施の形態のパチンコ遊技機の制御ユニットの内部構成を示す図である。
【図4】本実施の形態の遊技制御部の機能構成を示すブロック図である。
【図5】本実施の形態の遊技制御部の主要動作を示すフローチャートである。
【図6】始動口スイッチ処理の内容を示すフローチャートである。
【図7−1】左側ゲートに対するゲートスイッチ処理の内容を示すフローチャートである。
【図7−2】右側ゲートに対するゲートスイッチ処理の内容を示すフローチャートである。
【図8】特別図柄処理の内容を示すフローチャートである。
【図9】大当たり判定処理の内容を示すフローチャートである。
【図10】変動パターン選択処理の内容を示すフローチャートである。
【図11】停止中処理の内容を示すフローチャートである。
【図12】客待ち設定処理の内容を示すフローチャートである。
【図13】普通図柄処理の内容を示すフローチャートである。
【図14】大入賞口処理の内容を示すフローチャートである。
【図15】遊技状態設定処理の内容を示すフローチャートである。
【図16】電動チューリップ処理の内容を示すフローチャートである。
【図17】Vゾーンスイッチ処理の内容を示すフローチャートである。
【図18】入賞役物処理の内容を示すフローチャートである。
【図19】開閉入賞装置処理の内容を示すフローチャートである。
【図20】本実施の形態で用いられる乱数の構成例を示す図である。
【図21】演出制御部の動作を示すフローチャートである。
【図22】枠部材の構成を説明する斜視図である。
【図23】発射ユニットの構成を説明する図である。
【図24】発射装置の発射機構を説明する図である。
【図25】透明板保持枠側に配設された発射ユニットの構成を説明する図である。
【図26】第1の実施の形態に係る球送り装置の構成を説明する分解斜視図である。
【図27】球送り装置の作用を説明する図である。
【図28】球送り装置のスリットの構成を説明する図である。
【図29】球送り装置のスリットの作用を説明する図である。
【図30】球送り装置のスリットの作用を説明する図である。
【図31】球送り装置のスリットの作用を説明する図である。
【図32】球送り装置の一応用例を説明する図である。
【図33】球送り装置の別の応用例を説明する図である。
【図34】球送り装置のまた別の応用例を説明する図である。
【図35】第2の実施の形態に係る球送り装置の構成を説明する概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〔遊技機の基本構成〕
図1は、本実施の形態に係るパチンコ遊技機100の概略正面図である。
同図に示す遊技機の一例としてのパチンコ遊技機100は、遊技者の指示操作により打ち出された遊技球が入賞すると賞球を払い出すように構成されたものである。このパチンコ遊技機100は、遊技球が打ち出される遊技盤110と、遊技盤110を囲む枠部材150とを備えている。遊技盤110は、枠部材150に着脱自在に取り付けられている。
【0011】
遊技盤110は、前面に、遊技球により遊技を行うための遊技領域111と、下方から発射された遊技球が上昇して遊技領域111の上部位置へ向かう通路を形成するレール部材112と、遊技領域111の右側に遊技球を案内する案内部材113とを備えている。
本実施の形態では、遊技者により視認され易い遊技領域111の位置に、演出のための各種の画像を表示する画像表示部114が配設されている。この画像表示部114は、液晶ディスプレイ等による表示画面を備え、遊技者によるゲームの進行に伴い、例えば、図柄抽選結果(図柄変動結果)を遊技者に報知するための装飾図柄を表示したり、キャラクタの登場やアイテムの出現による演出画像を表示したりする。
また、遊技盤110の前面に、各種の演出に用いられる可動役物115および盤ランプ116を備えている。可動役物115は、遊技盤110上で動作することにより各種の演出を行い、また、盤ランプ116は、発光することで各種の演出を行う。
【0012】
遊技領域111には、遊技球が落下する方向に変化を与えるための図示しない遊技くぎおよび風車等が配設されている。また、遊技領域111には、入賞や抽選に関する種々の役物が所定の位置に配設されている。また、遊技領域111には、遊技領域111に打ち出された遊技球のうち入賞口に入賞しなかったものを遊技領域111の外に排出する排出口117が配設されている。
【0013】
本実施の形態では、入賞や抽選に関する種々の役物として、遊技球が入ると入賞して特別図柄抽選(大当たり抽選)が始動する第1始動口121および第2始動口122と、遊技球が通過すると普通図柄抽選(開閉抽選)が始動する始動ゲート(以下、単にゲートと呼ぶ)124と、が遊技盤110に配設されている。ここにいう第1始動口121および第2始動口122とは、予め定められた1の特別図柄表示器を作動させることとなる遊技球の入賞に係る入賞口をいう。
第2始動口122は、チューリップの花の形をした一対の羽根が電動ソレノイドにより開閉すると共に点灯する普通電動役物としての電動チューリップ(開閉部材)123を備えている。電動チューリップ123は、羽根が閉じていると、遊技球が第2始動口122へ入り難い一方で、羽根が開くと第2始動口122の入口が拡大して遊技球が第2始動口122へ入り易くなるように構成されている。そして、電動チューリップ123は、普通図柄抽選に当選すると、点灯ないし点滅しながら羽根が規定時間(例えば6秒間)および規定回数(例えば3回)だけ開く。
【0014】
なお、パチンコ遊技機100は、所定の条件下で、特別図柄抽選時の特別図柄変動時間が短縮されたり、普通図柄抽選時の当選する確率が高まったり、普通図柄抽選時の普通図柄変動時間が短縮されたり、電動チューリップ123の羽根の開時間が延長されたり、電動チューリップ123の羽根が開く回数が増えたりする場合がある。
【0015】
また、本実施の形態では、遊技盤110の中央付近に、役物としてさらに、開閉入賞装置140が設けられている。開閉入賞装置140の上部の左右両側には、開閉自在な一対の羽根141(141L、141R)が設けられている。開閉入賞装置140の内部には、ステージ142が設けられており、ステージ142の中央付近に特定領域としてのVゾーン143が設けられている。また、図示のように、本実施の形態では、開閉入賞装置140の内部に画像表示部114が設けられている。なお、詳細は省略するが、ステージ142には、適当な傾斜や凹凸等が設けられ、ステージ142に到達した遊技球が一定程度の確率でVゾーン143に誘導されるように構成される。また、ステージ142に傾斜や凹凸等を設ける代わりに、あるいはそれらと共に、ステージ142付近に稼働物を設けて、遊技球のVゾーン143への誘導を制御しても良い。
【0016】
また、本実施の形態では、入賞や抽選に関するその他の役物として、特別図柄抽選の結果に応じて開放する特別電動役物としての大入賞口125と、遊技球が入賞しても抽選が始動しない普通入賞口126と、が遊技盤110に配設されている。
なお、図1に示す本実施の形態では、遊技領域111の中央付近下部に第1始動口121が配設され、遊技領域111の右半分の領域内に第2始動口122および大入賞口125が配設されている。また、ゲート124は、遊技領域111の左半分の領域と右半分の領域に、それぞれ設けられている。図1においては、左側のゲート124には添え字Lを付して124Lと記載し、右側のゲート124には添え字Rを付して124Rと記載している。以下の説明においても、2つのゲート124を区別する必要がある場合には、同様に添え字LとRを付して区別する。
本実施の形態では、遊技盤110の右下の位置に、抽選結果や保留数に関する表示を行う表示器130が配設されている。
【0017】
ここで、図1に示す遊技盤110の各入賞口の配置に着目すると、遊技領域111の右半分の領域内に第2始動口122および大入賞口125が集約されて配設されている。すなわち、本実施の形態のパチンコ遊技機100は、第2始動口122の電動チューリップ123および大入賞口125が閉じている通常の遊技状態では遊技領域111の左側から第1始動口121を狙って遊技球を発射(左打ち)し、第2始動口122の電動チューリップ123または大入賞口125が開いている遊技者に有利な遊技状態では遊技領域111の右側へ第2始動口122または大入賞口125を狙って遊技球を発射(右打ち)するように、盤面がデザインされている。ここで、遊技領域111の左半分の領域と右側半分の領域への遊技球の打ち分けは、ハンドル151のレバー152の回転量を調整し、遊技球の打球力を変更することによって行うことができる。本実施の形態のパチンコ遊技機100に設けられた2つのゲート124のうち、ゲート124Lは、左打ち時に遊技球が通過(ゲート入賞)するように設けられたゲートであり、ゲート124Rは、右打ち時に遊技球が通過するように設けられたゲートである。
【0018】
枠部材150は、遊技者がハンドル151に触れてレバー152を時計方向に回転させる操作を行うとその操作角度に応じた打球力にて遊技球を所定の時間間隔(例えば1分間に100個)で電動発射する発射装置(打球装置)40(図23参照)を備えている。また、枠部材150は、遊技者のレバー152による操作と連動したタイミングで発射装置40に遊技球を1つずつ順に供給する球送り装置30(図23参照)と、球送り装置30が発射装置40に供給する遊技球を一時的に溜めておく皿153と、を備えている。この皿153には、例えば払い出しユニット560(図22参照)による払出球が払い出される。
なお、本実施の形態では、皿153を上下皿一体で構成しているが、上皿と下皿とを分離する構成例も考えられる。また、発射装置40のハンドル151を所定条件下で発光させる構成例も考えられる。
【0019】
また、枠部材150は、発射装置のハンドル151に遊技者が触れている状態であっても遊技球の発射を一時的に停止させるための停止ボタン154と、皿153に溜まっている遊技球を箱(不図示)に落下させて取り出すための取り出しボタン155と、を備えている。
また、枠部材150は、パチンコ遊技機100の遊技状態や状況を告知したり各種の演出を行ったりするスピーカ156および枠ランプ157を備えている。スピーカ156は、楽曲や音声、効果音による各種の演出を行い、また、枠ランプ157は、点灯点滅によるパターンや発光色の違い等で光による各種の演出を行う。なお、枠ランプ157については、光の照射方向を変更する演出を行うことを可能にする構成例が考えられる。
また、枠部材150は、遊技盤110を遊技者と隔てるための透明板159を備えている。
【0020】
図2は、本実施の形態に係るパチンコ遊技機100を説明する図であり、(a)は、遊技盤110の右下に配設された表示器130の一例を示す拡大図であり、(b)は、パチンコ遊技機100の部分平面図である。
パチンコ遊技機100の表示器130は、図2の(a)に示すように、第1始動口121の入賞に対応して作動する第1特別図柄表示器221と、第2始動口122の入賞に対応して作動する第2特別図柄表示器222と、ゲート124の通過に対応して作動する普通図柄表示器223と、を備えている。第1特別図柄表示器221は、第1始動口121の入賞による特別図柄を変動表示しその抽選結果を表示する。第2特別図柄表示器222は、第2始動口122の入賞による特別図柄を変動表示しその抽選結果を表示する。普通図柄表示器223は、遊技球がゲート124を通過することにより普通図柄を変動表示しその抽選結果を表示する。本実施の形態では、第1特別図柄表示器221、第2特別図柄表示器222および普通図柄表示器223は、各々LEDを配列した表示装置で構成されている。
【0021】
また、表示器130は、第1特別図柄表示器221での保留に対応して作動する第1特別図柄保留表示器218と、第2特別図柄表示器222での保留に対応して作動する第2特別図柄保留表示器219と、普通図柄表示器223での保留に対応して作動する普通図柄保留表示器220と、を備えている。本実施の形態では、第1特別図柄保留表示器218、第2特別図柄保留表示器219および普通図柄保留表示器220の各々は、一列に配設したLED表示装置で構成され、その点灯態様によって保留数が表示される。
【0022】
ここで、保留について説明する。特別図柄や普通図柄の変動表示動作中(入賞1回分の変動表示が行なわれている間)にさらに他の遊技球による入賞があった場合、図柄が変動中であるために、後の入賞に基づく図柄の変動表示動作を開始することができない。そのため、後の入賞は規定個数(例えば4個)を限度に記憶され、その入賞した遊技球に対する図柄の変動表示動作は、先に入賞した遊技球に対する変動表示動作が終了するまで、保留される。このような保留がなされていることおよびその保留の数(未抽選数)が、第1特別図柄保留表示器218、第2特別図柄保留表示器219および普通図柄保留表示器220に表示される。
【0023】
さらに、表示器130は、パチンコ遊技機100の状態を表示する状態表示器224を備えている。本実施の形態では、状態表示器224は、2個のLEDを配列した表示装置で構成されている。2個のLEDのうち1つは、パチンコ遊技機100の遊技状態が変動しているか否かを点灯により報知するものであり、他の1つは、右打ちすることによって大入賞口125や第2始動口122に入賞しやすい遊技者に有利な遊技状態となっているか否かを点灯により報知するものである。
【0024】
パチンコ遊技機100の枠部材150は、遊技者が演出に対する入力を行うための入力装置を備えている。図2の(b)に示すように、本実施の形態では、入力装置の一例として、演出ボタン161と、演出ボタン161に隣接し、略十字に配列された複数のキーからなる演出キー162と、が枠部材150に配設されている。演出キー162は、その中央に1つの中央キーを配置し、また、中央キーの周囲に略同一形状の4つの周囲キーを配置して構成されている。遊技者は、4つの周囲キーを操作することにより、画像表示部114に表示されている複数の画像のいずれかを選ぶことが可能であり、また、中央キーを操作することにより、選んだ画像を情報として入力することが可能である。
【0025】
〔本実施の形態による遊技〕
ここで、本実施の形態におけるパチンコ遊技機100の一般的な遊技の流れについて説明する。
本実施の形態のパチンコ遊技機100は、図1を参照して説明したように、第2始動口122の電動チューリップ123または大入賞口125が開いている遊技者に有利な遊技状態のときに右打ちをすることで入賞し易くなるように盤面がデザインされている。一方、第2始動口122の電動チューリップ123および大入賞口125が閉じている通常の遊技状態では、大入賞口125に入賞することはなく、第2始動口122にも入賞が困難であるため、遊技者は、左打ちにより第1始動口121への入賞を狙うこととなる。そして、遊技領域111の左右に1つずつゲート124が設けられているため、左打ちされた遊技球がゲート124を通過(ゲート入賞)する場合は、主にゲート124Lを通過し、右打ちされた遊技球がゲート124を通過(ゲート入賞)する場合は、主にゲート124Rを通過することとなる。遊技球がゲート入賞すると、普通図柄抽選が行われ、この普通図柄抽選に当選すると、一定の態様で電動チューリップ123が開放され、第2始動口122への入賞が容易となる。
【0026】
遊技球が、第1始動口121または第2始動口122に入賞すると、特別図柄抽選が行われる。詳しくは後述するが、この特別図柄抽選では、予め定められた確率で、大当たりや小当たりに当選する。大当たりに当選すると、所定の態様で大入賞口125が開放される大当たり遊技が行われる。また、小当たりに当選すると、所定の態様で開閉入賞装置140の羽根141が開放される小当たり遊技が行われる。
【0027】
小当たりによる羽根141の開放中に、遊技球が開閉入賞装置140に入賞し、Vゾーン143を通過すると、特別図柄抽選の抽選結果に応じて定まるラウンド数だけ大入賞口125を開放させる大当たり遊技状態となる。大当たり遊技状態の終了後は、特別図柄抽選の抽選結果である小当たりの種類に応じて、特別図柄抽選の際の特別図柄変動時間が短縮される時短遊技状態となる。
【0028】
時短遊技状態に移行すると、電動チューリップ123の開放による第2始動口122への入賞サポート(いわゆる電チューサポート)が行われる(補助遊技状態)。この入賞サポートが行われている時には、入賞サポートが行われていない通常遊技状態と比較して、普通図柄抽選に当選した場合の電動チューリップ123の開放回数が増え、一回の開放時間も長くなる。また、普通図柄抽選の当選確率自体も上がる。
【0029】
〔制御ユニットの構成〕
次に、パチンコ遊技機100での動作制御や信号処理を行う制御ユニットについて説明する。
図3は、制御ユニットの内部構成を示すブロック図である。同図に示すように、制御ユニットは、メイン制御手段として、内部抽選および当選の判定等といった払い出す賞球数に関する各種制御を行う遊技制御部200を備えている。また、サブ制御手段として、演出を統括的に制御する演出制御部300と、画像および音響を用いた演出を制御する画像/音響制御部310と、各種のランプおよび可動役物115を用いた演出を制御するランプ制御部320と、払出球の払い出し制御を行う払出制御部400と、を備えている。
【0030】
前述したように、遊技制御部200、演出制御部300、画像/音響制御部310、ランプ制御部320、および払出制御部400各々は、遊技盤110の後面に配設されたメイン基板としての遊技制御基板、サブ基板としての演出制御基板、画像制御基板、ランプ制御基板、および払出制御基板において個別に構成されている。
【0031】
〔遊技制御部の構成・機能〕
遊技制御部200は、内部抽選および当選の判定等といった払い出し賞球数に関連する各種制御を行う際の演算処理を行うCPU201と、CPU201にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM202と、CPU201の作業用メモリ等として用いられるRAM203と、を備えている。
遊技制御部200は、第1始動口121または第2始動口122に遊技球が入賞すると特別図柄抽選を行い、特別図柄抽選での当選か否かの判定結果を演出制御部300に送る。また、特別図柄抽選時の特別図柄変動時間の短縮設定、および普通図柄抽選時の普通図柄変動時間の短縮設定を行い、設定内容を演出制御部300に送る。
さらに、遊技制御部200は、電動チューリップ123の羽根の開時間の延長、および電動チューリップ123の羽根が開く回数の設定、さらには羽根が開く際の開閉動作間隔の設定を制御する。また、遊技球が連続的に第1始動口121または第2始動口122へ入賞したときの未抽選分の限度個数(例えば4個)までの保留や、遊技球が連続的にゲート124を通過したときの未抽選分の限度個数(例えば4個)までの保留を設定する。
また、遊技制御部200は、特別図柄抽選の結果に応じて、大入賞口125が所定条件(例えば30秒経過または遊技球10個の入賞)を満たすまで開状態を維持するラウンドを所定回数だけ繰り返すように制御する。さらには、大入賞口125が開く際の開閉動作間隔を制御する。同様に、遊技制御部200は、特別図柄抽選の結果に応じて、開閉入賞装置140の羽根141が所定条件(例えば開閉回数18回または遊技球10個の入賞)を満たすまで会場対を維持するラウンドを所定回数だけ繰り返すように制御する。さらには、羽根141が開く際の開閉動作間隔を制御する。
【0032】
さらに、遊技制御部200は、第1始動口121、第2始動口122、大入賞口125および普通入賞口126に遊技球が入賞すると、遊技球が入賞した場所に応じて1つの遊技球当たり所定数の賞球を払い出すように、払出制御部400に対する指示を行う。例えば、第1始動口121に遊技球が入賞すると3個の賞球、第2始動口122に遊技球が入賞すると4個の賞球、大入賞口125に遊技球が入賞すると13個の賞球、普通入賞口126に遊技球が入賞すると10個の賞球をそれぞれ払い出すように、払出制御部400に指示命令(コマンド)を送る。なお、ゲート124を遊技球が通過したことを検出しても、それに連動した賞球の払い出しは払出制御部400に指示しない。
払出制御部400が遊技制御部200の指示に従って賞球の払い出しを行った場合には、遊技制御部200は、払い出した賞球の個数に関する情報を払出制御部400から取得する。それにより、払い出した賞球の個数を管理する。
【0033】
遊技制御部200には、図3に示すように、第1始動口121への遊技球の入賞を検出する第1始動口検出部(第1始動口スイッチ(SW))211と、第2始動口122への遊技球の入賞を検出する第2始動口検出部(第2始動口スイッチ(SW))212と、電動チューリップ123を開閉する電動チューリップ開閉部213と、ゲート124への遊技球の通過を検出するゲート検出部(ゲートスイッチ(SW))214と、が接続されている。
また、遊技制御部200には、開閉入賞装置140の羽根141を開閉する羽根開閉部225と、開閉入賞装置140へ入賞した遊技球を検出する装置入賞検出部(装置入賞スイッチ(SW))226と、Vゾーン143へ入賞した遊技球を検出するVゾーン検出部(Vゾーンスイッチ(SW))227と、が接続されている。
さらに、遊技制御部200には、大入賞口125への遊技球の入賞を検出する大入賞口検出部(大入賞口スイッチ(SW))215と、大入賞口125を閉状態と突出傾斜した開状態とに設定する大入賞口開閉部216と、普通入賞口126への遊技球の入賞を検出する普通入賞口検出部(普通入賞口スイッチ(SW))217と、が接続されている。
【0034】
また、遊技制御部200には、第1始動口121への遊技球の入賞により始動した特別図柄抽選(大当たり抽選)の未抽選分の保留個数を限度個数内(例えば4個)で表示する第1特別図柄保留表示器218と、第2始動口122への遊技球の入賞により始動した特別図柄抽選の未抽選分の保留個数を限度個数内で表示する第2特別図柄保留表示器219と、ゲート124への遊技球の通過により始動した普通図柄抽選(開閉抽選)が始動する未抽選分の保留個数を限度個数内で表示する普通図柄保留表示器220と、が接続されている。
さらに、遊技制御部200には、第1始動口121への遊技球の入賞により始動した特別図柄抽選の結果を表示する第1特別図柄表示器221と、第2始動口122への遊技球の入賞により始動した特別図柄抽選の結果を表示する第2特別図柄表示器222と、普通図柄抽選の結果を表示する普通図柄表示器223と、が接続されている。
【0035】
そして、第1始動口スイッチ211、第2始動口スイッチ212、ゲートスイッチ214、装置入賞スイッチ226、Vゾーンスイッチ227、大入賞口スイッチ215および普通入賞口スイッチ217にて検出された検出信号が、遊技制御部200に送られる。また、遊技制御部200からの制御信号が、電動チューリップ開閉部213、羽根開閉部225、大入賞口開閉部216、第1特別図柄保留表示器218、第2特別図柄保留表示器219、普通図柄保留表示器220、第1特別図柄表示器221、第2特別図柄表示器222および普通図柄表示器223に送られる。それにより、遊技制御部200は、上記した払い出し賞球数に関連する各種制御を行う。
【0036】
さらに、遊技制御部200には、ホールに設置されたホストコンピュータ(不図示)に対して各種の情報を送信する盤用外部情報端子基板250が接続されている。そして、遊技制御部200は、払出制御部400から取得した、払い出した賞球数に関する情報や遊技制御部200の状態等を示す情報を、盤用外部情報端子基板250を介してホストコンピュータに送信する。
【0037】
〔演出制御部の構成・機能〕
演出制御部300は、演出を制御する際の演算処理を行うCPU301と、CPU301にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM302と、CPU301の作業用メモリ等として用いられるRAM303と、日時を計測するリアルタイムクロック(RTC)304と、を備えている。
演出制御部300は、例えば遊技制御部200から送られる特別図柄抽選での当選か否かの判定結果に基づいて、演出内容を設定する。その際、演出ボタン等(演出ボタン161および演出キー162)を用いたユーザからの操作入力を受けて、操作入力に応じた演出内容を設定する場合もある。この場合、例えば演出ボタン等のコントローラ(不図示)から操作に応じた信号(操作信号)を受け付け、この操作信号により識別される操作内容を演出の設定に反映させる。また、遊技が所定期間中断された場合には、演出の一つとして客待ち用の画面表示の設定を指示する。
さらには、遊技制御部200が特別図柄抽選時の特別図柄変動時間を短縮させた場合、および普通図柄抽選時の普通図柄変動時間を短縮させた場合には、演出制御部300は設定された内容に対応させて演出内容を設定する。
また、演出制御部300は、設定した演出内容の実行を指示するコマンドを画像/音響制御部310およびランプ制御部320に送る。
【0038】
〔画像/音響制御部の構成・機能〕
画像/音響制御部310は、演出内容を表現する画像および音響を制御する際の演算処理を行うCPU311と、CPU311にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM312と、CPU311の作業用メモリ等として用いられるRAM313と、を備えている。
そして、画像/音響制御部310は、演出制御部300から送られたコマンドに基づいて、画像表示部114に表示する画像およびスピーカ156から出力する音響を制御する。
具体的には、画像/音響制御部310のROM312には、画像表示部114において遊技中に表示する図柄画像や背景画像、遊技者に抽選結果を報知するための装飾図柄、遊技者に予告演出を表示するためのキャラクタやアイテム等といった画像データが記憶されている。さらには、画像データと同期させて、または画像データとは独立にスピーカ156から出力させる楽曲や音声、さらにはジングル等の効果音等といった各種音響データが記憶されている。CPU311は、ROM312に記憶された画像データや音響データの中から、演出制御部300から送られたコマンドに対応したものを選択して読み出す。さらには、読み出した画像データを用いて背景画像表示、図柄画像表示、図柄画像変動、およびキャラクタ/アイテム表示等のための画像処理と、読み出した音響データを用いた音声処理とを行う。
そして、画像/音響制御部310は、画像処理された画像データにより画像表示部114での画面表示を制御する。また、音声処理された音響データによりスピーカ156から出力される音響を制御する。
【0039】
〔ランプ制御部の構成・機能〕
ランプ制御部320は、盤ランプ116や枠ランプ157の発光、および可動役物115の動作を制御する際の演算処理を行うCPU321と、CPU321にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM322と、CPU321の作業用メモリ等として用いられるRAM323と、を備えている。
そして、ランプ制御部320は、演出制御部300から送られたコマンドに基づいて、盤ランプ116や枠ランプ157の点灯/点滅や発光色等を制御する。また、可動役物115の動作を制御する。
具体的には、ランプ制御部320のROM322には、演出制御部300にて設定される演出内容に応じた盤ランプ116や枠ランプ157での点灯/点滅パターンデータおよび発光色パターンデータ(発光パターンデータ)が記憶されている。CPU321は、ROM322に記憶された発光パターンデータの中から、演出制御部300から送られたコマンドに対応したものを選択して読み出す。そして、ランプ制御部320は、読み出した発光パターンデータにより盤ランプ116や枠ランプ157の発光を制御する。
また、ランプ制御部320のROM322には、演出制御部300にて設定される演出内容に応じた可動役物115の動作パターンデータが記憶されている。CPU321は、可動役物115に対しては、読み出した動作パターンデータによりその動作を制御する。
【0040】
〔払出制御部の構成・機能〕
払出制御部400は、払出球の払い出しを制御する際の演算処理を行うCPU401と、CPU401にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM402と、CPU401の作業用メモリ等として用いられるRAM403と、を備えている。
そして、払出制御部400は、遊技制御部200から送られたコマンドに基づいて、払出球の払い出しを制御する。
具体的には、払出制御部400は、遊技制御部200から、遊技球が入賞した場所(第1始動口121等)に応じた所定数の賞球を払い出すコマンドを取得する。そして、コマンドに指定された数だけの賞球を払い出すように払出駆動部411を制御する。ここでの払出駆動部411は、遊技球の貯留部から遊技球を送り出す駆動モータで構成される。
【0041】
また、払出制御部400には、払出駆動部411により遊技球の貯留部から実際に払い出された賞球の数を検出する払出球検出部412と、貯留部(不図示)での遊技球の貯留の有無を検出する球有り検出部413と、遊技者が遊技する際に使用する遊技球や払い出された賞球が保持される皿153が満タン状態に有るか否かを検出する満タン検出部414と、が接続されている。そして、払出制御部400は、払出球検出部412、球有り検出部413および満タン検出部414にて検出された検出信号を受け取り、これらの検出信号に応じた所定の処理を行う。
さらに、払出制御部400には、ホールに設置されたホストコンピュータに対して各種の情報を送信する枠用外部情報端子基板450が接続されている。そして、払出制御部400は、例えば払出駆動部411に対して払い出すように指示した賞球数に関する情報や払出球検出部412にて検出された実際に払い出された賞球数に関する情報等を枠用外部情報端子基板450を介してホストコンピュータに送信する。また、遊技制御部200に対しても、同様の情報を送信する。
【0042】
〔遊技制御部の機能構成〕
続いて、遊技制御部200の機能構成を説明する。
図4は、遊技制御部200の機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、遊技制御部200は、各種抽選処理を実行する機能部として、特別図柄抽選部231と、普通図柄抽選部232と、特別図柄変動制御部233と、特別図柄抽選結果判定部234と、普通図柄制御部237と、を備えている。
また、遊技制御部200は、特別図柄変動に伴う処理を実行する機能部として、変動パターン選択部235と、遊技進行制御部236と、を備えている。
さらに、遊技制御部200は、各種役物の動作制御や賞球等に関するデータ処理を実行する機能部として、大入賞口動作制御部238と、電動チューリップ動作制御部239と、賞球処理部240と、出力制御部241と、乱数制御部242と、開閉入賞装置動作制御部243と、を備えている。
【0043】
特別図柄抽選部231は、第1始動口121や第2始動口122に遊技球が入賞した場合に、特別図柄の抽選を行う。
普通図柄抽選部232は、ゲート124を遊技球が通過した場合に、普通図柄抽選を行う。
特別図柄変動制御部233は、特別図柄の抽選が行われた場合に、その抽選結果に応じて特別図柄の変動を制御する。
【0044】
特別図柄抽選結果判定部234は、特別図柄の抽選が行われた場合に、その抽選結果が「大当たりか否か」、「小当たりか否か」、「大当たりに当選した場合の大当たりの種類」、「小当たりに当選した場合の小当たりの種類」を判定する。
ここで、「大当たり」は、大当たり遊技の終了後に発生する遊技状態に応じて複数の種類に分けられる。具体的には、特別図柄の変動時間が短縮される時短遊技状態の有無によって大当たりの種類が決まる。すなわち、大当たりの種類としては、大当たり遊技の終了後に時短遊技状態が発生する大当たりと、時短遊技状態が発生しない大当たりとがある。同様に、「小当たり」についても、小当たり遊技の終了後に時短遊技状態が発生する小当たりと、時短遊技状態が発生しない小当たりとがある。以下、これらの当たり(大当たりおよび小当たり)を区別する場合は、大当たり遊技の終了後に発生する遊技状態に基づき、「時短有り」、「時短無し」等と記載して区別する。これらの当たりは、各々個別の特別図柄に対応付けられており、特別図柄抽選において当選した特別図柄の種類に応じて当たりの種類が確定する。
【0045】
また、本実施の形態では、小当たりの際に開閉入賞装置140へ入賞し、Vゾーン143を通過した場合にも、大当たりとなる。そこで、この特別図柄抽選に当選してVゾーン143の通過を経ずに大当たりとなる場合を「直撃大当たり」等とも呼ぶ。
また、「はずれ」は、「大当たり」でも「小当たり」でもなく、大入賞口125も開閉入賞装置140の羽根141も作動しない。また、時短遊技状態への移行もない。
【0046】
変動パターン選択部235は、特別図柄の抽選結果が「大当たり」や「小当たり」であった場合に、第1特別図柄表示器221や第2特別図柄表示器222にて表示する特別図柄の変動パターン(変動時間)を選択する。また、「リーチ演出を行うか否か」を判定する。ここでの「リーチ演出」とは、遊技者に大当たりや小当たりを期待させるための画像表示部114等にて行われる演出である。
遊技進行制御部236は、各遊技状態において遊技の進行を制御する。
【0047】
普通図柄制御部237は、普通図柄の抽選が行われた場合に、普通図柄の抽選結果が「当選かはずれであるか」を判定する。また、その抽選結果に応じて普通図柄の変動を制御する。この普通図柄抽選の当選確率は、主に時短遊技状態において行われる、電動チューリップの開放による第2始動口122への入賞サポート(いわゆる電チューサポート)がある場合には高くなる。
「当選」と判定された場合には、電動チューリップ123を規定時間および規定回数だけ開放し、第2始動口122への遊技球の入賞確率が高まる状態(補助遊技状態)を発生させる。上記の入賞サポート(電チューサポート)時には、この規定回数や規定時間が増える。また、「はずれ」と判定された場合には、電動チューリップ123のこのような開放状態は発生しない。
【0048】
開閉入賞装置動作制御部243は、開閉入賞装置140の羽根141の開放動作を制御する。また、開閉入賞装置140の内部に遊技球の動きに影響を与える稼働物が設けられている場合は、その動作の制御も行う。
【0049】
大入賞口動作制御部238は、大入賞口125の開放動作を制御する。
電動チューリップ動作制御部239は、電動チューリップ123の開放動作を制御する。
賞球処理部240は、入賞や抽選に関する種々の役物への入賞個数の管理および入賞に応じた賞球の払い出しを制御する。
出力制御部241は、遊技制御部200から演出制御部300および払出制御部400へ制御用コマンドの出力を制御する。
乱数制御部242は、メイン制御手段やサブ制御手段による処理で用いられる各種の乱数値の更新を制御する。
【0050】
〔遊技機の基本動作〕
次に、上記のように構成されたパチンコ遊技機100の基本動作を説明する。
パチンコ遊技機100の基本的な動作は、メイン制御手段である遊技制御部200により行われる。そして、この遊技制御部200の制御の下、サブ制御手段である演出制御部300により遊技上の演出の制御が行われ、払出制御部400により賞球の払い出しの制御が行われる。
【0051】
図5は、遊技制御部200の主要動作を示すフローチャートである。
遊技制御部200は、電源投入時や電源断時等の特殊な場合を除く通常の動作時において、図5に示す各処理を一定時間(例えば4ミリ秒)ごとに繰り返し実行する。図5を参照すると、乱数更新処理、スイッチ処理、図柄処理、電動役物処理、賞球処理、出力処理が順次実行される(ステップ501〜506)。
【0052】
乱数更新処理(ステップ501)では、遊技制御部200の乱数制御部242は、メイン制御手段やサブ制御手段による処理で用いられる各種の乱数の値を更新する。乱数の設定および乱数値の更新の詳細については後述する。
【0053】
スイッチ処理(ステップ502)としては、始動口スイッチ処理、ゲートスイッチ処理、Vゾーンスイッチ処理が行われる。
始動口スイッチ処理では、遊技制御部200の特別図柄抽選部231は、図3の第1始動口スイッチ211および第2始動口スイッチ212の状態を監視し、スイッチがONとなった場合に、特別図柄抽選のための処理を実行する。
ゲートスイッチ処理では、遊技制御部200の普通図柄抽選部232は、図3のゲートスイッチ214の状態を監視し、スイッチがONとなった場合に、普通図柄抽選のための処理を実行する。
Vゾーンスイッチ処理では、遊技制御部200の遊技進行制御部236は、図3のVゾーンスイッチ227の状態を監視し、スイッチがONとなった場合に、V入賞に関する処理を実行する。
これらのスイッチ処理の詳細な内容については後述する。
【0054】
図柄処理(ステップ503)としては、特別図柄処理、普通図柄処理が行われる。
特別図柄処理では、遊技制御部200の特別図柄変動制御部233、特別図柄抽選結果判定部234、変動パターン選択部235、および遊技進行制御部236により、特別図柄変動およびこの図柄変動に伴う処理が行われる。
普通図柄処理では、遊技制御部200の普通図柄制御部237により、普通図柄変動およびこの図柄変動に伴う処理が行われる。
これらの図柄処理の詳細な内容については後述する。
【0055】
電動役物処理(ステップ504)としては、大入賞口処理、電動チューリップ処理、入賞役物処理、開閉入賞装置処理が行われる。
大入賞口処理では、遊技制御部200の大入賞口動作制御部238は、所定の条件に基づいて大入賞口125の開放動作を制御する。
電動チューリップ処理では、遊技制御部200の電動チューリップ動作制御部239は、所定の条件に基づいて電動チューリップ123の開放動作を制御する。
入賞役物処理および開閉入賞装置処理では、遊技制御部200の開閉入賞装置動作制御部243は、所定の条件に基づいて開閉入賞装置140の羽根141や稼働物の動作を制御する。
これらの電動役物処理の詳細な内容については後述する。
【0056】
賞球処理(ステップ505)では、遊技制御部200の賞球処理部240は、入賞個数の管理および入賞に応じた賞球の払い出しを制御する。
出力処理(ステップ506)では、遊技制御部200の出力制御部241は、演出制御部300および払出制御部400へ制御用コマンドを出力する。制御用コマンドは、ステップ505までの各処理において生成され、RAM203にセットされており、この出力処理で出力される。
【0057】
〔遊技制御部での始動口スイッチ処理〕
図6は、図5のステップ502に示したスイッチ処理のうちの始動口スイッチ処理の内容を示すフローチャートである。
この始動口スイッチ処理は、第1始動口121における入賞に対する処理と、第2始動口122における入賞に対する処理とが順次行われる。図6を参照すると、遊技制御部200の特別図柄抽選部231は、まず、第1始動口121に遊技球が入賞して第1始動口スイッチ211がONとなったか否かを判断する(ステップ601)。第1始動口スイッチ211がONとなったならば、次に特別図柄抽選部231は、第1始動口121の入賞における未抽選分の保留数U1が上限値未満か否かを判断する(ステップ602)。図6に示す例では、上限値を4個としている。保留数U1が上限値に達している場合は(ステップ602でNo)、それ以上未抽選分の入賞を保留することができないので、第1始動口121における入賞に対する処理を終了する。
【0058】
一方、保留数U1が上限値未満である場合(ステップ602でYes)、次に特別図柄抽選部231は、保留数U1の値を1加算する(ステップ603)。そして、今回の入賞による抽選のための乱数値を取得し、RAM203に格納する(ステップ604)。ここでは、第1始動口121の入賞なので、特別図柄抽選のための乱数値が取得される。このとき取得される乱数値は、ステップ501の乱数更新処理で更新された値である。そして、この乱数値により特別図柄抽選の結果が確定される。ここにいう乱数値としては、大当たり、小当たりまたははずれを決定する大当たり乱数値、大当たり遊技または小当たり遊技の終了後における時短遊技状態の有無を決定する図柄乱数値(大当たり図柄乱数値)、図柄変動における変動パターンを特定するための変動パターン乱数、リーチ有り演出をするか否かを決定するリーチ乱数値、等が含まれる。
【0059】
次に、特別図柄抽選部231は、特別図柄の変動表示動作が保留されている(すなわち未抽選の)入賞球(保留球)に対して、抽選結果の予告演出を行うための事前判定処理を行う(ステップ605)。この事前判定処理は、抽選結果の判定を図柄変動開始時ではなく始動口入賞時に(すなわちステップ605において)行うものであり、画像表示部114での演出に用いるための情報を取得するためのものである。なお、抽選結果の予告演出を行わない遊技機においては、この事前判定処理を省略する場合がある。
この後、特別図柄抽選部231は、ステップ603による保留数U1の増加を演出制御部300に通知するための保留数U1増加コマンドをRAM203にセットし(ステップ606)、第1始動口121における入賞に対する処理を終了する。ステップ605の事前判定処理が行われた場合は、保留数U1増加コマンドには、ステップ605で得られた事前判定の判定結果の情報が含まれる。
【0060】
次に、第2始動口122における入賞に対する処理が行われる。図6を参照すると、次に特別図柄抽選部231は、第2始動口122に遊技球が入賞して第2始動口スイッチ212がONとなったか否かを判断する(ステップ607)。第2始動口スイッチ212がONとなったならば、次に特別図柄抽選部231は、第2始動口122の入賞における未抽選分の保留数U2が上限値未満か否かを判断する(ステップ608)。図6に示す例では、上限値を4個としている。保留数U2が上限値に達している場合は(ステップ608でNo)、それ以上未抽選分の入賞を保留することができないので、第2始動口122における入賞に対する処理を終了する。
【0061】
一方、保留数U2が上限値未満である場合(ステップ608でYes)、次に特別図柄抽選部231は、保留数U2の値を1加算する(ステップ609)。そして、今回の入賞による抽選のための乱数値を取得し、RAM203に格納する(ステップ610)。ここでは、第2始動口122の入賞なので、上記のステップ604と同様に、特別図柄抽選のための乱数値(大当たり乱数、大当たり図柄乱数、リーチ乱数、変動パターン乱数など)が取得される。このとき取得される乱数値は、ステップ501の乱数更新処理で更新された値である。そして、この乱数値により特別図柄抽選の結果が確定される。
【0062】
次に、特別図柄抽選部231は、特別図柄の変動表示動作が保留されている(すなわち未抽選の)入賞球(保留球)に対して、抽選結果の予告演出を行うための事前判定処理を行う(ステップ611)。この事前判定処理の内容は、上記のステップ605と同様である。この事前判定処理も、抽選結果の予告演出を行わない遊技機においては、この事前判定処理を省略する場合がある。
この後、特別図柄抽選部231は、ステップ609による保留数U2の増加を演出制御部300に通知するための保留数U2増加コマンドをRAM203にセットし(ステップ612)、第2始動口122における入賞に対する処理を終了する。ステップ611の事前判定処理が行われた場合は、保留数U2増加コマンドには、ステップ611で得られた事前判定の判定結果の情報が含まれる。
【0063】
〔遊技制御部でのゲートスイッチ処理〕
次に、図5のステップ502に示したスイッチ処理のうちのゲートスイッチ処理について説明する。本実施の形態では、2つのゲート124のうち、遊技盤110の左側領域のゲート124Lを遊技球が通過した場合と遊技盤110の右側領域のゲート124Rを遊技球が通過した場合とで、ゲートスイッチ処理の内容が異なる。具体的には、ゲート124Lを遊技球が通過した場合には、これを契機とする普通図柄抽選に用いられる乱数に基づいて事前判定を行う。
【0064】
図7−1は、ゲート124Lを遊技球が通過した場合のゲートスイッチ処理の内容を示すフローチャートである。
このゲートスイッチ処理において、遊技制御部200の普通図柄抽選部232は、まず、ゲート124を遊技球が通過してゲートスイッチ214がONとなったか否かを判断する(ステップ701)。ゲートスイッチ214がONとなったならば、次に普通図柄抽選部232は、未抽選分の保留数Gが上限値未満か否かを判断する(ステップ702)。図7−1に示す例では、上限値を4個としている。保留数Gが上限値に達している場合は(ステップ702でNo)、それ以上未抽選分の入賞を保留することができないので、ゲートスイッチ処理を終了する。
【0065】
一方、保留数Gが上限値未満である場合(ステップ702でYes)、次に普通図柄抽選部232は、保留数Gの値を1加算する(ステップ703)。そして、今回の入賞による抽選のための乱数値を取得し、RAM203に格納する(ステップ704)。ここでは、ゲート124の入賞なので、普通図柄抽選のための乱数値(当たり乱数など)が取得される。
【0066】
ステップ704で乱数値が取得された後、普通図柄抽選部232は、普通図柄の変動表示動作が保留されている(すなわち未抽選の)入賞球(保留球)に対して、抽選結果の予告演出を行うための事前判定処理を行う(ステップ705)。この事前判定処理は、抽選結果の判定を図柄変動開始時ではなくゲート入賞時に(すなわちステップ705において)行うものである。
【0067】
この後、普通図柄抽選部232は、ステップ703による保留数Gの増加を演出制御部300に通知するための保留数G増加コマンドをRAM203にセットし(ステップ706)、ゲート124Lにおける入賞に対する処理を終了する。ゲート124Lに入賞した場合にセットされる保留数G増加コマンドには、ステップ705で得られた事前判定の判定結果の情報(事前判定情報)が含まれる。
【0068】
図7−2は、ゲート124Rを遊技球が通過した場合のゲートスイッチ処理の内容を示すフローチャートである。
図7−2に示す動作において、ステップ711からステップ714までの動作は、図7−1に示したステップ701からステップ704までの動作と同様なので、説明を省略する。
【0069】
ステップ714で乱数値が取得された後、普通図柄抽選部232は、ステップ713による保留数Gの増加を演出制御部300に通知するための保留数G増加コマンドをRAM203にセットし(ステップ715)、ゲート124Rにおける入賞に対する処理を終了する。
【0070】
以上のように、本実施の形態におけるゲートスイッチ処理では、普通図柄抽選の保留に関する情報を、画像表示部114等を用いた演出においても報知するため、保留数G増加コマンドが生成されて、図5に示した出力処理(ステップ506)で遊技制御部200から演出制御部300へ送信される。なお、本実施の形態では、遊技球がゲート124Lを通過した場合とゲート124Rを通過した場合とを区別せずに、保留数Gを増加した(ステップ703、713)。これに対し、始動口スイッチ処理において第1始動口121へ入賞した場合の保留数U1と第2始動口122へ入賞した場合の保留数U2とを個別に数えたように、各ゲート124L、124Rへの入賞を区別して保留数を数えても良い。この場合、図2(a)に示した表示器130において、普通図柄保留表示器220をゲート124ごとに設けることが必要である。
【0071】
〔遊技制御部での特別図柄処理〕
図8は、図5のステップ503に示した図柄処理のうちの特別図柄処理の内容を示すフローチャートである。
この特別図柄処理において、遊技制御部200の特別図柄変動制御部233は、まず、RAM203においてセットされるフラグの設定(以下、フラグ設定)において当たり遊技フラグがONになっているか否かを調べる(ステップ801)。ここで、当たり遊技フラグは、特別図柄抽選の結果が大当たりまたは小当たりである場合に、これらの当たりに応じた遊技状態であることを識別するためにセットされるフラグである。当たりの種類に応じて、大当たり遊技フラグまたは小当たり遊技フラグのいずれかがセットされる。本実施の形態では、これらを総称して当たり遊技フラグと呼ぶ。
【0072】
当たり遊技フラグがONである場合、既にパチンコ遊技機100は何らかの当たりによる遊技状態(特別図柄が選択されて停止している状態)であるので、特別図柄変動を開始することなく特別図柄処理を終了する(ステップ801でYes)。一方、当たり遊技フラグがOFFである場合(ステップ801でNo)、次に特別図柄変動制御部233は、パチンコ遊技機100の現在の状態が特別図柄変動中か否かを判断する(ステップ802)。特別図柄変動中でない場合(ステップ802でNo)、次に特別図柄変動制御部233は、特別図柄の未抽選分の保留数U1、U2(図6参照)に関する処理を行う(ステップ803〜806)。本実施の形態では、第1始動口121の入賞に係る保留数U1と第2始動口122の入賞に係る保留数U2とを区別しているので、この処理も対応する始動口ごとに個別に行う。
【0073】
具体的には、特別図柄変動制御部233は、まず第2始動口122の入賞に係る保留数U2が1以上か判断する(ステップ803)。保留数U2が1以上である場合(ステップ803でYes)、特別図柄変動制御部233は、保留数U2の値を1減算する(ステップ804)。一方、保留数U2=0である場合は(ステップ803でNo)、特別図柄変動制御部233は、次に第1始動口121の入賞に係る保留数U1が1以上か判断する(ステップ805)。保留数U1が1以上である場合(ステップ805でYes)、特別図柄変動制御部233は、保留数U1の値を1減算する(ステップ806)。一方、保留数U1=0である場合は(ステップ805でNo)、特別図柄の抽選を始動するための入賞が無いことを意味するため、特別図柄変動を開始せず、別ルーチンの客待ち設定処理を実行して処理を終了する(ステップ816)。
【0074】
ステップ804またはステップ806で保留数U1または保留数U2を減算した後、特別図柄変動制御部233は、RAM203のフラグ設定においてセットされた客待ちフラグをOFFとする(ステップ807)。客待ちフラグは、パチンコ遊技機100が客待ち状態であることを識別するためのフラグであり、客待ち設定処理においてセットされる。
【0075】
次に、特別図柄変動制御部233は、別ルーチンによる大当たり判定処理および変動パターン選択処理を実行する(ステップ808、809)。詳しくは後述するが、この大当たり判定処理および変動パターン選択処理によって、演出制御部300に送られる変動開始コマンドに含まれる設定情報(図柄、遊技状態、変動パターン等)が決定される。
【0076】
この後、特別図柄変動制御部233は、大当たり判定処理および変動パターン選択処理で決定された設定内容に基づき、図2に示す第1特別図柄表示器221、第2特別図柄表示器222により表示される特別図柄の変動を開始する(ステップ810)。そして、この設定内容を示す設定情報(図柄、遊技状態、変動パターン等)を含んだ変動開始コマンドを生成し、RAM203にセットする(ステップ811)。ステップ811でセットされた変動開始コマンドは、図5のステップ506に示した出力処理で演出制御部300へ送信される。
【0077】
ステップ802で特別図柄変動中と判断された場合(ステップ802でYes)、またはステップ811で変動開始コマンドがセットされた後、特別図柄変動制御部233は、変動時間を経過したか否かを判断する(ステップ812)。すなわち、ステップ810で特別図柄の変動を開始してからの経過時間がステップ809の変動パターン選択処理で設定された変動時間に達したか否かが判断される。変動時間を経過していなければ(ステップ812でNo)、特別図柄変動が継続されるので、そのまま特別図柄処理が終了する。
【0078】
一方、変動時間を経過した場合(ステップ812でYes)、特別図柄変動制御部233は、まず、第1特別図柄表示器221、第2特別図柄表示器222における特別図柄の変動をステップ808の大当たり判定処理で決定された図柄で停止する(ステップ813)。この特別図柄の変動が停止した際の図柄の情報を含んだ変動停止コマンドをRAM203にセットする(ステップ814)。そして、別ルーチンの停止中処理を実行する(ステップ815)。停止中処理の内容については後述する。ステップ814でセットされた変動停止コマンドは、図5のステップ506に示した出力処理で演出制御部300へ送信される。
【0079】
〔遊技制御部による大当たり判定処理〕
図9は、大当たり判定処理(図8のステップ808)の内容を示すフローチャートである。
この大当たり判定処理において、遊技制御部200の特別図柄抽選結果判定部234は、まず、今回の特別図柄抽選における大当たり乱数の判定を行い(ステップ901)、大当たりまたは小当たりしたか否かを判断する(ステップ902、905)。大当たりまたは小当たりしたか否かは、図6のステップ604またはステップ610で取得した大当たり乱数の値が、大当たりの当選値として設定された値または小当たりの当選値として設定された値と一致したか否かを判断することによって決定される(図20(a)参照)。
【0080】
ステップ901の乱数判定の結果が大当たりだった場合(ステップ902でYes)、次に特別図柄抽選結果判定部234は、大当たり図柄乱数の判定を行う(ステップ903)。この判定の結果に応じて、大当たりの種類(時短有り、時短無しのいずれか)が決定される。いずれの大当たりとなるかは、図6のステップ604で取得した大当たり図柄乱数の値が、大当たりの種類ごとに予め設定された値のうちのいずれと一致したかによって決定される(図20(b)参照)。
以上の判定の後、特別図柄抽選結果判定部234は、大当たり図柄乱数の判定により決定された大当たりの種類を表す図柄(大当たり図柄)を設定情報としてRAM203にセットする(ステップ904)。
【0081】
ステップ901の乱数判定の結果が小当たりだった場合(ステップ902でNo、ステップ905でYes)、次に特別図柄抽選結果判定部234は、小当たり図柄乱数の判定を行う(ステップ906)。この判定の結果に応じて、大当たりの種類(時短有り、時短無しのいずれか)が決定される。いずれの大当たりとなるかは、図6のステップ604で取得した大当たり図柄乱数の値が、小当たりの種類ごとに予め設定された値のうちのいずれと一致したかによって決定される(図20(b)参照)。
以上の判定の後、特別図柄抽選結果判定部234は、大当たり図柄乱数の判定により決定された小当たりの種類を表す図柄(以下、小当たり図柄)を設定情報としてRAM203にセットする(ステップ907)。
【0082】
ステップ901の乱数判定の結果が大当たりでも小当たりでもない場合(ステップ902、ステップ905でNo)、次に特別図柄抽選結果判定部234は、抽選にはずれたことを表す図柄(以下、はずれ図柄)を設定情報としてRAM203にセットする(ステップ908)。
【0083】
〔遊技制御部による変動パターン選択処理〕
図10は、変動パターン選択処理(図8のステップ809)の内容を示すフローチャートである。
この変動パターン選択処理において、遊技制御部200の変動パターン選択部235は、まず、今回の特別図柄抽選で大当たりまたは小当たりに当選したか否かを判断する(ステップ1001、1003)。この判断は、大当たり判定処理(図9)のステップ901、902、905と同様である(ステップ902、905の判断結果を用いても良い)。そして、大当たりに当選した場合(ステップ1001でYes)、変動パターン選択部235は、大当たり用の変動パターンテーブルをROM202から読み出してRAM203にセットする(ステップ1002)。また、小当たりに当選した場合、(ステップ1001でNo、ステップ1003でYes)、変動パターン選択部235は、小当たり用の変動パターンテーブルをROM202から読み出してRAM203にセットする(ステップ1004)。
【0084】
一方、大当たりも小当たりもしなかった場合(ステップ1001、1003でNo)、次に変動パターン選択部235は、遊技者に大当たりを期待させるためのいわゆるリーチ演出を行うか否かを決定するための乱数の判定を行う(ステップ1005)。リーチ演出を行うか否かは、図6のステップ604で取得したリーチ乱数の値が予め設定された値と一致したか否かを判断することによって決定される(図20(c)参照)。
乱数を用いた判定の結果、リーチ演出を行う場合(ステップ1006でYes)、変動パターン選択部235は、リーチ用の変動パターンテーブルをROM202から読み出してRAM203にセットする(ステップ1007)。また、リーチ演出を行わない場合(ステップ1006でNo)、変動パターン選択部235は、はずれ用の変動パターンテーブルをROM202から読み出してRAM203にセットする(ステップ1008)。
ここで、変動パターンテーブルとは、予め用意されている複数の変動パターン(変動時間10秒、30秒、60秒、90秒など)と変動パターン乱数の値とを対応付けたテーブルである。
【0085】
次に、変動パターン選択部235は、図6のステップ604またはステップ610で取得した変動パターン乱数およびステップ1002、1004、1007、1008でセットされた変動パターンテーブルを用いて、変動パターン乱数の判定を行う(ステップ1009)。すなわち、変動パターン選択部235は、RAM203にセットされた変動パターンテーブルを参照し、変動パターン乱数の乱数値に応じた変動パターンを選択する。したがって、同じ乱数値が取得された場合でも、特別図柄抽選の結果が、大当たりしたか否か、大当たりしていない場合はリーチ演出を行うか否か、といった状態の違いに応じて参照される変動パターンテーブルが異なるので、決定される変動パターンが異なる場合がある。
【0086】
この後変動パターン選択部235は、ステップ1009で選択した変動パターンを設定情報としてRAM203にセットする(ステップ1010)。ステップ1010でセットされた変動パターンの設定情報は、図8のステップ811でセットされる変動開始コマンドに含まれ、図5のステップ506に示した出力処理で演出制御部300へ送信される。
【0087】
〔遊技制御部による停止中処理〕
図11は、停止中処理(図8のステップ815)の内容を示すフローチャートである。
この停止中処理において、遊技制御部200の遊技進行制御部236は、まず、RAM203のフラグ設定において時短フラグがONになっているか否かを調べる(ステップ1101)。時短フラグとは、パチンコ遊技機100の遊技状態が時短遊技状態であることを識別するためのフラグである。時短フラグがONである場合(ステップ1101でYes)、遊技進行制御部236は、時短遊技状態での抽選回数(変動回数)Jの値を1減算し(ステップ1102)、抽選回数Jが0になったか否かを調べる(ステップ1103)。そして、抽選回数J=0であれば(ステップ1103でYes)、時短フラグをOFFにする(ステップ1104)。なお、時短フラグをONにする操作と、抽選回数Jの初期値の設定は、後述の大入賞口処理(図14)における遊技状態設定処理(図15)で行われる。
【0088】
時短フラグがOFFであった場合(ステップ1101でNo)またはステップ1104で時短フラグをOFFにした後、あるいは抽選回数Jの値が0でない場合(ステップ1103でNo)、次に遊技進行制御部236は、今回の特別図柄抽選で大当たりしたか否かを判断する(ステップ1105)。そして、大当たりだった場合(ステップ1105でYes)、次に遊技進行制御部236は、大当たり遊技フラグをONにする(ステップ1106)。これにより、RAM203の遊技状態の設定が、大当たり遊技状態となる。
【0089】
この後、遊技進行制御部236は、抽選回数Jの値を初期化する(ステップ1107)。すなわち、特別図柄抽選で大当たりした(ステップ1105)のであるから、抽選回数Jの値を0に戻して新たに数え直す。また、遊技進行制御部236は、ステップ1101において時短フラグがONであって、ステップ1103において抽選回数Jが0でなかった場合に、時短フラグをOFFにする(ステップ1108)。
【0090】
次に、遊技進行制御部236は、オープニング動作を開始する(ステップ1109)。そしてこの後、遊技進行制御部236は、演出制御部300において当たり遊技フラグに応じたオープニング動作における演出を行うためのオープニングコマンドをRAM203にセットして(ステップ1110)、停止中処理を終了する。このオープニングコマンドは、図5のステップ506に示した出力処理で演出制御部300へ送信される。
【0091】
一方、今回の特別図柄抽選の結果が大当たりでなかった場合(ステップ1105でNo)、次に遊技進行制御部236は、今回の特別図柄抽選の結果が小当たりであったか否かを判断する(ステップ1111)。小当たりであった場合(ステップ1111でYes)、遊技進行制御部236は、小当たり遊技フラグをONにする(ステップ1112)。これにより、RAM203の遊技状態の設定が小当たり遊技状態となる。一方、小当たりでなかった場合は(ステップ1111でNo)、停止中処理を終了する。
【0092】
〔遊技制御部による客待ち設定処理〕
図12は、客待ち設定処理(図8のステップ816)の内容を示すフローチャートである。
この客待ち設定処理において、遊技制御部200の遊技進行制御部236は、まず、RAM203のフラグ設定において客待ちフラグがONになっているか否かを調べる(ステップ1201)。ここで、客待ちフラグは、パチンコ遊技機100が客待ち状態であることを識別するためにセットされるフラグである。
【0093】
客待ちフラグがONである場合、パチンコ遊技機100は客待ち状態であるので、そのまま処理を終了する(ステップ1201でYes)。一方、客待ちフラグがOFFである場合、遊技進行制御部236は、客待ちコマンドを生成してRAM203にセットし(ステップ1202)、客待ちフラグをONにする(ステップ1203)。ステップ1202でセットされた客待ちコマンドは、図5のステップ506に示した出力処理で演出制御部300へ送信される。
【0094】
〔遊技制御部による普通図柄処理〕
図13は、図5のステップ503に示した図柄処理のうちの普通図柄処理の内容を示すフローチャートである。
この普通図柄処理において、遊技制御部200の普通図柄制御部237は、まず、RAM203のフラグ設定において補助遊技フラグがONになっているか否かを調べる(ステップ1301)。ここで、補助遊技フラグは、普通図柄抽選で当選した場合に、これに応じた遊技状態(補助遊技状態)であることを識別するためにセットされるフラグである。補助遊技状態では、電動チューリップ123が後述の電動チューリップ処理(図16)にしたがって開放され、第2始動口122に入賞し易くなる(補助される)。
【0095】
補助遊技フラグがONである場合、既に普通図柄が選択されて停止している状態なので、普通図柄変動を開始することなく普通図柄処理を終了する(ステップ1301でYes)。一方、補助遊技フラグがOFFである場合(ステップ1301でNo)、次に普通図柄制御部237は、パチンコ遊技機100の現在の状態が普通図柄変動中か否かを判断する(ステップ1302)。普通図柄変動中でない場合(ステップ1302でNo)、次に普通図柄制御部237は、普通図柄の未抽選分の保留数G(図7−1および図7−2参照)が1以上か判断する(ステップ1303)。保留数G=0である場合は(ステップ1303でNo)、普通図柄の抽選を始動するための入賞が無いことを意味するため、普通図柄変動を開始せずに処理を終了する。
【0096】
これに対し、保留数Gが1以上である場合(ステップ1303でYes)、普通図柄制御部237は、保留数Gの値を1減算し(ステップ1304)、今回の普通図柄抽選における当たり乱数の判定を行って、普通図柄抽選に当選したか否かを判断する(ステップ1305)。当選したか否かは、図7−1のステップ704および図7−2のステップ714で取得した当たり乱数の値が、後述する図20(d)に示すテーブル等において当選値として設定された値と一致したか否かを判断することによって決定される。
【0097】
次に、普通図柄制御部237は、普通図柄抽選の結果に応じて普通図柄の設定を行う(ステップ1306)。すなわち、普通図柄抽選に当選した場合は、当選したことを表す図柄(以下、当たり図柄)を設定情報としてRAM203にセットする。一方、普通図柄抽選に当選しなかった場合は、抽選にはずれたことを表す図柄(以下、はずれ図柄)を設定情報としてRAM203にセットする。
【0098】
次に、普通図柄制御部237は、普通図柄の変動時間の設定を行う(ステップ1307)。この変動時間は、図11におけるステップ1104、1114、後述の図15におけるステップ1506等の処理で設定される時短フラグに基づいて設定される。すなわち、ステップ1307による設定の際に時短フラグがONである場合は、短時間(例えば1.5秒)に設定され、時短フラグがOFFである場合は、長時間(例えば4.0秒)に設定される。この設定の後、普通図柄制御部237は、ステップ1307の設定内容に基づき、図2に示す普通図柄表示器223における普通図柄の変動を開始する(ステップ1308)。
【0099】
ステップ1308で普通図柄の変動を開始した後、またはステップ1302で普通図柄変動中と判断された場合(ステップ1302でYes)、普通図柄制御部237は、変動時間を経過したか否かを判断する(ステップ1309)。すなわち、ステップ1308で普通図柄の変動を開始してからの経過時間がステップ1307で設定された変動時間に達したか否かが判断される。変動時間を経過していなければ(ステップ1309でNo)、普通図柄変動が継続されるので、そのまま普通図柄処理が終了する。
【0100】
一方、変動時間が終了した場合(ステップ1309でYes)、普通図柄制御部237は、普通図柄表示器223における普通図柄の変動を停止する(ステップ1310)。そして、普通図柄制御部237は、停止した普通図柄に基づき普通図柄抽選に当選したか否かを判断する(ステップ1311)。当選したならば(ステップ1311でYes)、補助遊技フラグをONにする(ステップ1312)。一方、抽選にはずれたならば(ステップ1311でNo)、補助遊技フラグをONにすること無く普通図柄処理を終了する。
【0101】
なお、ゲートスイッチ処理(図7−1および7−2参照)の説明において述べたように、複数のゲート124ごとに保留数を数える場合は、ステップ1303の保留数の判定およびステップ1304の保留数の減算を、特別図柄処理における保留数の扱い(ステップ803〜ステップ806参照)と同様に、対応するゲート124ごとに行う必要がある。
【0102】
〔遊技制御部による大入賞口処理〕
図14は、図5のステップ504に示した電動役物処理のうちの大入賞口処理の内容を示すフローチャートである。
この大入賞口処理において、遊技制御部200の大入賞口動作制御部238は、まず、RAM203のフラグ設定において当たり遊技フラグがONになっているか否かを調べる(ステップ1401)。当たり遊技フラグがOFFである場合、大入賞口125への入賞はないので、大入賞口処理を終了する(ステップ1401でNo)。一方、当たり遊技フラグがONである場合(ステップ1401でYes)、次に大入賞口動作制御部238は、パチンコ遊技機100が停止中処理(図11)で開始された大当たり時の動作制御におけるオープニング動作の最中か否かを判断する(ステップ1402)。
【0103】
パチンコ遊技機100がオープニング中である場合(ステップ1402でYes)、次に大入賞口動作制御部238は、予め設定されたオープニング動作が行われるべき時間(オープニング時間)を経過したか否かを判断する(ステップ1403)。オープニング時間を経過していないならば、大入賞口125でのオープニング動作が継続されるので、大入賞口処理を終了する(ステップ1403でNo)。一方、オープニング時間を経過したならば(ステップ1403でYes)、次に大入賞口動作制御部238は、大入賞口125の作動設定を行い(ステップ1404)、入賞個数Cを初期化(C=0)し(ステップ1405)、大入賞口125の作動ラウンド数Rの値を現在の値から1加算して(ステップ1406)、大入賞口125を作動開始(開放)する(ステップ1407)。
【0104】
ステップ1404の作動設定では、大入賞口125の作動パターンと、その作動パターンで作動させるラウンド数(作動ラウンド数)とが設定される。作動パターンおよびラウンド数は、大当たりの種類に応じて様々に設定される。例えば、時短有りの大当たりの場合は15ラウンド(15R)作動させ、1ラウンドでは29.5秒の開放を1回行う。時短無しの大当たりの場合は、15ラウンドよりも少ないラウンド数で作動させ、1ラウンドの開放時間を短くする、等としても良い。
【0105】
次に、大入賞口動作制御部238は、ステップ1404で設定された作動パターンにおける開放時間を経過したか否かを判断する(ステップ1408)。大入賞口125での開放状態が開放時間を経過していない場合(ステップ1408でNo)、次に大入賞口動作制御部238は、大入賞口125への入賞個数Cが規定の個数(例えば9個)以上か否かを判断する(ステップ1409)。開放時間を経過しておらず、かつ入賞個数Cが規定個数未満である場合は、大入賞口125の作動状態(開放状態)が継続されるので、大入賞口処理を終了する(ステップ1409でNo)。一方、開放時間を経過したか(ステップ1408でYes)、または入賞個数Cが規定個数に達した場合(ステップ1409でYes)、大入賞口動作制御部238は、大入賞口125を作動終了(閉口)する(ステップ1410)。
【0106】
次に、大入賞口動作制御部238は、大入賞口125の作動のラウンド数Rがステップ1404で設定された最大値に達したか否かを判断する(ステップ1411)。そして、最大値に達していないならば、残りの作動が行われるため、大入賞口処理を終了する(ステップ1411でNo)。
【0107】
大入賞口125の作動のラウンド数Rが最大値に達したならば(ステップ1411でYes)、次に大入賞口動作制御部238は、エンディング動作を開始する(ステップ1412)。ここで、エンディング動作の内容は、大当たり遊技、小当たり遊技の各遊技状態において設定されたエンディング動作のうち、当たり遊技フラグの状態に対応するものとなる。
この後、大入賞口動作制御部238は、演出制御部300において当たり遊技フラグに応じたエンディング動作における演出を行うためのエンディングコマンドをRAM203にセットする(ステップ1413)。このオープニングコマンドは、図5のステップ506に示した出力処理で演出制御部300へ送信される。
【0108】
次に、大入賞口動作制御部238は、大入賞口125の作動のラウンド数Rを0にリセットした後(ステップ1414)、エンディング動作の開始からの経過時間が予め設定されたエンディング動作が行われるべき時間(エンディング時間)を経過したか否かを判断する(ステップ1417)。エンディング時間を経過していないならば、エンディング動作が継続されるので、大入賞口処理を終了する(ステップ1417でNo)。一方、エンディング時間を経過したならば(ステップ1417でYes)、次に大入賞口動作制御部238は、遊技状態設定処理を行った後(ステップ1418)、当たり遊技フラグをOFFにして、大入賞口処理を終了する(ステップ1419)。遊技状態設定処理の内容については後述する。
【0109】
ステップ1402で、パチンコ遊技機100がオープニング中ではないと判断した場合(ステップ1402でNo)、次に大入賞口動作制御部238は、エンディング中か否かを判断する(ステップ1415)。そして、エンディング中であるならば(ステップ1415でYes)、上記ステップ1417以降の動作を実行する。
【0110】
一方、パチンコ遊技機100がエンディング中でもないならば(ステップ1415でNo)、次に大入賞口動作制御部238は、大入賞口125が作動(開放)中か否かを判断する(ステップ1416)。そして、作動中でないならば(ステップ1416でNo)、上記ステップ1405以降の動作を実行し、作動中であるならば(ステップ1416でYes)、上記ステップ1408以降の動作を実行する。
【0111】
〔遊技状態設定処理〕
エンディング時間が経過した場合(ステップ1417でYes)に実行される遊技状態設定処理(ステップ1418)の内容を図15に示す。
図15に示すように、大入賞口動作制御部238は、まず、図14のステップ1401で当たり遊技フラグがONとなっているので、その当たりの種類を判断する(ステップ1501)。この判断は、例えば大当たり判定処理(図9)でRAM203に設定情報としてセットされた図柄の種類に基づいて判断することができる。なお、これらの判断は大当たり判定処理(図9)のステップ902、903、905、906と概ね同様であるので、ステップ902、903、905、906の判断結果を用いても良い。
【0112】
当たりの種類が時短有りの当たり(大当たりまたは小当たり)である場合(ステップ1501でYes)、大入賞口動作制御部238は、時短フラグをONにする(ステップ1502)。これにより、RAM203の遊技状態の設定が時短遊技状態となる。また、大入賞口動作制御部238は、抽選回数Jの初期値を設定し(ステップ1503)、遊技状態設定処理を終了する。抽選回数Jの初期値は、図示の例では100回である。したがって、時短遊技状態における抽選が100回行われたならば、時短遊技状態が終了する。
【0113】
一方、当たりの種類が時短無しの当たり(大当たりまたは小当たり)である場合(ステップ1501でNo)、大入賞口動作制御部238は、時短フラグをONにせず、抽選回数Jの初期値も設定せずに処理を終了する。したがって、この大当たりの後の遊技に対するRAM203の遊技状態の設定は、時短遊技状態にはならない。
【0114】
〔遊技制御部による電動チューリップ処理〕
図16は、図5のステップ504に示した電動役物処理のうちの電動チューリップ処理の内容を示すフローチャートである。
電動チューリップ処理において、遊技制御部200の電動チューリップ動作制御部239は、まず、RAM203のフラグ設定において補助遊技フラグがONになっているか否かを調べる(ステップ1601)。補助遊技フラグがOFFである場合、電動チューリップ123は開放しないため、電動チューリップ処理を終了する(ステップ1601でNo)。一方、補助遊技フラグがONである場合(ステップ1601でYes)、次に電動チューリップ動作制御部239は、電動チューリップ123が作動中か否かを判断する(ステップ1602)。
【0115】
電動チューリップ123が作動中でない場合(ステップ1602でNo)、電動チューリップ動作制御部239は、電動チューリップ123の作動パターンの設定を行い(ステップ1603)、設定した作動パターンで電動チューリップ123を作動させる(ステップ1604)。ここで、作動パターンは、図11におけるステップ1104、1114、図15におけるステップ1503、1506等の処理で設定される時短フラグに基づいて設定される。例えば、ステップ1603による設定の際に時短フラグがOFFである場合は、0.15秒の開放時間で1回開放する作動パターンが設定され、時短フラグがONである場合は、1.80秒の開放時間で3回開放する作動パターンが設定される。このように、通常、時短フラグがONであるとき(時短遊技状態のとき)は、電動チューリップ123が長時間、複数回開放され、第2始動口122に入賞し易くなる入賞サポート(電チューサポート)が行われる。
【0116】
ステップ1602で電動チューリップが作動中と判断された場合(ステップ1602でYes)、またはステップ1604で電動チューリップを作動させた後、電動チューリップ動作制御部239は、設定されている作動パターンにおける開放時間が経過したか否かを判断する(ステップ1605)。開放時間を経過していなければ、電動チューリップの作動状態(開放状態)が継続されるので、電動チューリップ処理を終了する(ステップ1605でNo)。一方、開放時間を経過したならば(ステップ1605でYes)、電動チューリップ動作制御部239は、補助遊技フラグをOFFとして、電動チューリップ処理を終了する(ステップ1606)。
【0117】
〔遊技制御部によるVゾーンスイッチ処理〕
図17は、図5のステップ502に示したスイッチ処理のうちのVゾーンスイッチ処理の内容を示すフローチャートである。
Vゾーンスイッチ処理は、開閉入賞装置140に入賞した遊技球がVゾーン143を通過(V入賞)した場合に実行される。図17を参照すると、遊技制御部200の遊技進行制御部236は、まずVゾーンスイッチ227がONとなったか否かを判断する(ステップ1701)。VゾーンスイッチがONとなったならば、次に遊技進行制御部230は、開閉入賞装置140内のVゾーン143の有効期間(以下、V有効期間)中、すなわち、小当たりを開始してから所定期間内であるか否かを判定する(ステップ1702)。V有効期間中ではない場合(ステップ1702でNo)、そのまま処理を終了する。
【0118】
V有効期間中である場合(ステップ1702でYes)、次に遊技進行制御部230は、小当たり中を示す小当たり遊技フラグがONであるか否かを判定する(ステップ1703)。なお、小当たり遊技フラグは、図11に示した停止中処理のステップ1112でセットされるフラグである。
【0119】
小当たり遊技フラグがONである場合(ステップ1703でYes)、V入賞した旨を示す小当たりVフラグをONにする(ステップ1704)。そして、大当たりを示す大当たり用V入賞コマンドをセットし(ステップ1705)、処理を終了する。一方、小当たり遊技フラグがOFFである場合(ステップ1703でNo)、すなわち、図9に示した大当たり判定処理にてセットされた図柄が「はずれ」である場合、そのまま処理を終了する。
【0120】
〔入賞役物処理〕
図18は、図5のステップ504に示した電動役物処理のうちの入賞役物処理の内容を示すフローチャートである。
この入賞役物処理において、遊技制御部の開閉入賞装置動作制御部243は、まず、RAM203のフラグ設定において大当たり遊技フラグがONになっているか否かを調べる(ステップ1711)。大当たり遊技フラグがONである場合(ステップ1711でYes)、大入賞口遊技処理(図14参照)を実行し(ステップ1712)、処理を終了する。
【0121】
一方、大当たり遊技フラグがOFFである場合(ステップ1711でNo)、開閉入賞装置動作制御部243は、小当たり遊技フラグがONであるか否かを判定する(ステップ1713)。小当たり遊技フラグがONである場合(ステップ1713でYes)、開閉入賞装置処理(図19参照)を実行し(ステップ1714)、処理を終了する。小当たり遊技フラグがOFFである場合(ステップ1713でNo)、そのまま処理を終了する。
【0122】
〔開閉入賞装置処理〕
図19は、図5のステップ504に示した電動役物処理のうちの開閉入賞装置処理の内容を示すフローチャートである。
この開閉入賞装置処理において、遊技制御部200の開閉入賞装置動作制御部243は、まず、羽根141の作動終了後のV有効期間中であるか否か、またはV入賞時に行う変動演出(以下、第2変動演出)中であるか否かを判定する(ステップ1721)。
【0123】
羽根141の作動終了後のV有効期間中である場合または第2変動演出中である場合(ステップ1721でYes)、ステップ1729に移行する。一方、羽根141の作動終了後のV有効期間中ではなく、第2変動演出中でもない場合(ステップ1721でNo)、次に開閉入賞装置動作制御部243は、羽根141の作動中であるか否かを判定する(ステップ1722)。
【0124】
羽根141の作動中である場合(ステップ1722でYes)、ステップ1727に移行する。一方、羽根141の作動中ではない場合(ステップ1722でNo)、次に開閉入賞装置動作制御部243は、大当たり判定処理(図9参照)でセットされた特別図柄に基づいて、大当たり遊技における大入賞口125の作動ラウンド数Rまたは羽根141の作動パターンを設定する(ステップ1723)。
【0125】
次に、開閉入賞装置動作制御部243は、羽根141の開放作動中および開放作動終了後の有効期間を含むV有効期間を設定する(ステップ1724)。そして、ステップ1803で設定した作動ラウンド数Rに「1」を加算し(ステップ1725)、羽根141の作動を開始する(ステップ1726)。
【0126】
この後、開閉入賞装置動作制御部243は、羽根141の作動時間が経過したか否かを判定する(ステップ1727)。羽根141の作動時間が経過していない場合(ステップ1727でNo)、そのまま処理を終了する。そして、羽根141の作動時間が経過したならば(ステップ1727でYes)、次に開閉入賞装置動作制御部243は、羽根141の作動を終了し(ステップ1728)、羽根141の作動終了後のV有効期間が終了したか否かまたは第2変動演出が終了したか否かを判定する(ステップ1729)。
【0127】
羽根141の作動終了後のV有効期間が終了していない場合または第2変動演出が終了していない場合(ステップ1729でNo)、そのまま処理を終了する。一方、羽根141の作動終了後のV有効期間が終了し、第2変動演出も終了した場合(ステップ1729でYes)、次に開閉入賞装置動作制御部243は、小当たり時のV入賞を示す小当たりVフラグがONであるか否かを判定する(ステップ1730)。小当たりVフラグがONである場合(ステップ1730でYes)、次に開閉入賞装置動作制御部243は、大当たりを示す大当たり遊技フラグをONにし(ステップ1731)、時短遊技フラグをOFFにする(ステップ1732)。
【0128】
そして、開閉入賞装置動作制御部243は、大当たりのオープニングを開始し(ステップ1733)、大当たりオープニングコマンドをセットする(ステップ1734)。この後、開閉入賞装置動作制御部243は、小当たりVフラグをOFFにし(ステップ1735)、さらに小当たり遊技フラグをOFFにして(ステップ1737)、処理を終了する。
【0129】
ステップ1730において、小当たりVフラグがOFFである場合(ステップ1730でNo)、すなわち小当たり中にV入賞がなかった場合、次に開閉入賞装置動作制御部243は、ラウンド数Rを「0」にし(ステップ1736)、小当たり遊技フラグをOFFにして(ステップ1737)、処理を終了する。
【0130】
〔乱数による判定の手法〕
ここで、大当たり判定処理(図9)、変動パターン選択処理(図10)、普通図柄処理(図13)等で行われる、乱数による判定の手法について詳細に説明する。
図20は、本実施の形態で用いられる乱数の構成例を示す図である。
図20(a)には大当たり乱数の構成例、図20(b)には大当たり図柄乱数の構成例、図20(c)にはリーチ乱数の構成例、図20(d)には当たり乱数の構成例が、それぞれ示されている。
【0131】
図20(a)を参照すると、大当たり乱数は、大当たりと小当たりの2種類の当たりが設定されている。乱数(大当たり乱数)の値の範囲は、いずれも0〜399の400個である。大当たりの当選値は1つだけが設定され、当選確率は1/400である。また、小当たりの当選値は300個設定され、当選確率は300/400(=3/4)である。
【0132】
図20(b)を参照すると、大当たり図柄には、時短有りの大当たり、時短無しの大当たり、時短有りの小当たり、時短無しの小当たりの4種類が用意されている。乱数の値の範囲は、大当たりおよび小当たりのいずれも0〜99の100個である。大当たりの図柄は、時短有り、時短無しとも50個の当選値が設定され、当選確率は50/100(=1/2)である。また、小当たりの図柄も、時短有り、時短無しとも50個の当選値が設定され、当選確率は50/100(=1/2)である。
【0133】
図20(c)を参照すると、乱数の値の範囲は0〜249の250個であり、リーチ演出を行う抽選結果(リーチ有)に22個の乱数値が割り当てられ、リーチ演出を行わない抽選結果(リーチ無)に228個の乱数値が割り当てられている。すなわち図示の例では、特別図柄抽選で大当たりしなかった場合に、22/250(=11/125)の確率でリーチ演出が行われる。
【0134】
図20(d)を参照すると、乱数の値の範囲は0〜9の10個であり、時短フラグOFFのときの当選値として1個の値が割り当てられ、時短フラグONのときの当選値として9個の値が割り当てられている。したがって、時短遊技状態が発生していないときにゲート124を遊技球が通過して普通図柄抽選(開閉抽選)が行われると、1/10の確率で当選する。これに対し、時短遊技状態が発生しているときにゲート124を遊技球が通過して普通図柄抽選(開閉抽選)が行われると、9/10の確率で当選する。このようなテーブルを用いることにより、時短遊技状態では、ゲート入賞により電動チューリップ123が開放される可能性が非常に高く、第2始動口122への入賞が容易な入賞サポートが実現される。
【0135】
これらの乱数値は、所定の初期値から始まって、図5に示す乱数更新処理(ステップ501)が行われるたびに1ずつ加算される。そして、各抽選が行われた時点の値が始動口スイッチ処理(図6)およびゲートスイッチ処理(図7−1および7−2)で取得され、特別図柄処理(図8)や普通図柄処理(図13)で使用される。なお、この乱数値のカウンタは無限ループカウンタであり、設定されている乱数の最大値(例えば大当たり乱数では299)に達した後は再び0に戻る。また、乱数更新処理は一定時間ごとに行われるため、各乱数の初期値が特定されてしまうと、これらの情報に基づいて当選値が推定される恐れがある。そこで、一般に、適当なタイミングで各乱数の初期値をランダムに変更する仕組みが導入されている。
【0136】
〔演出制御部の動作〕
次に、演出制御部300の動作を説明する。
図21は、演出制御部300の動作を示すフローチャートである。
演出制御部300の動作は、図21(a)に示すメイン処理と、図21(b)に示す割り込み処理とからなる。図21(a)を参照すると、演出制御部300は、まず起動時に初期設定を行い(ステップ1801)、CTC(Counter/Timer Circuit)の周期設定を行った後(ステップ1802)、設定された周期にしたがって、演出制御において用いられる乱数を更新しながら(ステップ1803)、割り込み処理を受け付ける。
【0137】
割り込み処理は、ステップ1802で設定された周期にしたがって定期的に行われる。図21(b)を参照すると、この割り込み処理において、演出制御部300は、遊技制御部200からのコマンドを受信してコマンド受信処理を行う(ステップ1811)。このコマンド受信処理において、演出パターンが選択される。また、演出制御部300は、遊技者による演出ボタン等の操作を受け付けるための演出ボタン処理を行う(ステップ1812)。この後、演出制御部300は、選択した演出パターンの情報を含むコマンドを画像/音響制御部310およびランプ制御部320に送信するコマンド送信処理を行う(ステップ1813)。これにより、画像表示部114への画像表示や音響出力、可動役物115の動作、盤ランプ116や枠ランプ157の発光等による演出が行われる。
【0138】
〔枠部材150の構成〕
次に、パチンコ遊技機100の枠部材150の構成について説明する。
図22は、枠部材150の構成を説明する斜視図である。
同図に示すように、枠部材150は、縦長の所謂フレーム構造である枠部材本体としての外枠10と、外枠10に開閉自在に装着される前面枠(内枠)20と、を備えている。
【0139】
外枠10は、4つの金属製の枠部材である右縦枠部材11、左縦枠部材12、上横枠部材13および下横枠部材14と、外枠10の四隅に位置し、隣り合う枠部材を相互に連結する角部材15とを有する。
外枠10の前面下部には、下横枠部材14と同じ方向(横方向、左右方向)に延びる幕板16が取り付けられている。なお、幕板16の上端の縦方向の位置は、下横枠部材14の上端の縦方向の位置と略同一である。また、幕板16の前面(遊技者側の面)には、例えば社名やロゴ等を付すことで意匠的な装飾を施すことが可能である。
また、外枠10は、前面枠20が開閉する際に前面枠20と摺動する樹脂製の摺動部17を有する。より具体的には、この摺動部17は、下横枠部材14に取り付けられている。また、摺動部17は、下横枠部材14の上面に位置し、かつ、前面枠20の回転軸が位置する側とは反対側(同図での右側)に片寄って位置している。そして、摺動部17は、前面枠20の遊技盤保持枠22が閉じている状態で遊技盤保持枠22の下面と当接して前面枠20を保持する。このため、前面枠20が閉じている状態には、前面枠20と幕板16との間に、隙間が形成されることになる。
【0140】
前面枠20は、上下方向に回転軸が延びるように一側部(図1での左側部)が外枠10に取り付けられている。付言すると、前面枠20は、透明板159(図1または図23参照)を所定位置に保持する透明板保持枠21と、遊技盤110を所定位置に保持する遊技盤保持枠22と、を備えている。そして、図22に示すように、閉めた状態の透明板保持枠21および遊技盤保持枠22を一体で外枠10に対して回転させて開けることが可能である。また、後述するように、透明板保持枠21および遊技盤保持枠22を閉めた状態において、遊技盤保持枠22を単独で外枠10および遊技盤保持枠22に対して回転させて開けることが可能である(図23参照)。
なお、前面枠20の遊技盤保持枠22には、外枠10の右縦枠部材11と係合して前面枠20が開かないように施錠するための施錠部材23,24,25が設けられている。この施錠部材23,24,25は、パチンコ遊技機100の正面側に配設されている鍵穴158(図1参照)に不図示の鍵を差し込んで所定の方向に回転することで、連動して施錠動作および開錠動作を行う。
【0141】
なお、遊技盤110の後面には、各種の基板等が取り付けられ、また、これら各種の基板等は、内部が視認可能な透明のカバー510によって覆われている。この各種の基板等について付言すると、遊技盤110の後面には、メイン基板およびサブ基板が配設されている。すなわち、遊技盤110の後面には、メイン基板として、内部抽選および当選の判定等を行う遊技制御部が構成された遊技制御基板520が配設されている。この遊技制御基板520は、開封することにより痕跡が残るように透明部材で構成されたメイン基板ケース540に密封されている。
【0142】
また、サブ基板として、演出を統括的に制御する演出制御部が構成された演出制御基板530、画像および音による演出を制御する画像/音響制御部が構成された画像制御基板(不図示)、および、各種のランプおよび可動役物115による演出を制御するランプ制御部が構成されたランプ制御基板(不図示)等が配設されている。また、遊技盤110の後面には、供給された24VのAC電源をDC電源に変換して各種の基板等に出力するスイッチング電源550が配設されている。
付言すると、払出球の払い出し制御を行う払出制御部が構成された払出制御基板(不図示)と、払出制御基板により制御され、外部から補給された補給球を一時的に溜めておき、賞球の払い出しや貸し球の払い出しを行う払い出しユニット560と、が枠部材150の前面枠20に配設されている。
【0143】
〔発射ユニット〕
次に、パチンコ遊技機100が備える発射ユニットについて説明する。この発射ユニットは、遊技者がハンドル151(図1参照)に触れてレバー152(同図参照)を操作したことを検知すると、レバー152の操作角度に対応する打球力で皿153(図2の(a)参照)の遊技球を発射する等の機能を果たすものである。
図23は、発射ユニットの構成を説明する図である。同図の(a)は、透明板保持枠21および遊技盤保持枠22に取り付けられる各種の装置を説明する斜視図であり、遊技盤保持枠22を遊技盤保持枠22に対して回転させて開けた状態を示している。同図の(b)は、発射装置40を拡大して示す斜視図である。
図23の(a)に示すように、発射ユニットは、透明板保持枠21に取り付けられた球送り装置30と、遊技盤保持枠22に取り付けられた発射装置40と、を備えている。なお、発射ユニットは、透明板保持枠21に取り付けられた上述のハンドル151およびレバー152(図1参照)並びに皿153(図2の(a)参照)をさらに備えている。
球送り装置30、皿153および球通路レール163は、供給装置の一例である。
【0144】
透明板保持枠21を開けた状態(図23の(a)参照)では、球送り装置30が発射装置40から離れて位置する一方で、透明板保持枠21を閉めた状態では(図22参照)、球送り装置30が発射装置40に隣接して位置する。
ハンドル151のレバー152が操作されると、球送り装置30は、皿153(図2の(a)参照)に投入された遊技球を出口30bから1個ずつ排出する。透明板保持枠21を閉めた状態では、かかる球送り装置30の出口30bからの遊技球の排出によって、発射装置40が備える発射レール(Mレール)41に遊技球が供給される。出口30bは、排出口の一例である。
球送り装置30についての詳細は後述する。
【0145】
遊技盤保持枠22側にて発射ユニットが備える構成について説明する。
発射装置40は、図23の(b)に示すように、球送り装置30から遊技球が供給される発射レール41を備えている。この発射レール41は、遊技球が乗る上面が横断面でM字状になるように形成されている。発射レール41は、水平面に対して傾斜するように配設されている。発射された遊技球は、傾斜する発射レール41を駆け上がるように進み、レール部材112(図1参照)により形成される通路を上昇していく。
なお、発射装置40において、遊技球は、発射レール41の下端から上端の方向に発射される。すなわち、発射レール41の発射の方向は、下端から上端へ向かう方向である。
【0146】
さらに説明すると、発射装置40は、発射レール41とレール部材112(図1参照)との間に位置する接続レール42を備えている。この接続レール42は、発射レール41に隣接して配設されている。
遊技盤保持枠22側にて発射される遊技球は、発射レール41から接続レール42およびレール部材112を通って遊技盤110の遊技領域111へと進む。
【0147】
ここで、図23の(a)に示すように、透明板保持枠21には、接続レール42とレール部材112(図1参照)との間にて遊技球を通すように配設されている接続レール26が取り付けられている。すなわち、接続レール26は、透明板保持枠21を開けた状態(図23の(a)参照)では、発射装置40と離れて位置する一方で、透明板保持枠21を閉めた状態では(図22参照)、発射された遊技球が通る通路を接続レール42と共に形成する。
【0148】
図24は、発射装置40の発射機構を説明する図であり、(a)は未通電時の状態を示し、(b)は通電時の状態を示している。なお、図24は、図23の(b)の矢印Aから見た状態を示している。
図24に示すように、発射装置40は、上述の発射レール41および接続レール42のほかに、回転可能な打球槌43と、打球槌43に回転させる駆動源としてのロータリーソレノイド44と、をさらに備えている。また、発射装置40は、打球槌43の回転範囲を規制するストッパ45,46と、打球槌43を所定位置に保持するためのマグネット47と、を備えている。球送り装置40から供給された遊技球は、発射レール41における発射位置40aに停止する。なお、発射位置40aは、マグネット47の下側部分が傾斜して発射レール41との離間距離が遊技球の直径よりも小さくなることにより形成されている。
【0149】
発射装置40の打球槌43は、回転軸43a周りを回転可能であり、また、ロータリーソレノイド44に直結されている。ロータリーソレノイド44へ通電がなされていないときには、図24の(a)に示すように、打球槌43は、マグネット47の磁力によりストッパ45の位置で保持される。
ロータリーソレノイド44は、不図示の制御回路からのパルスに応答して打球槌43を回転させる。すなわち、ロータリーソレノイド44通電時には、図24の(b)に示すように、打球槌43がストッパ46に接する位置まで回転することで、槌先端部43bで発射レール41の遊技球を打球し、遊技球は発射位置40a(図24の(a)参照)にて発射される。発射装置40は、かかる発射機構により、上述したように1分間に例えば100個を電動発射可能である。
付言すると、打球槌43による打球後にはロータリーソレノイド44の回転トルクが消失する。そして、打球槌43は、打球槌43がストッパ46に衝突した反動および打球槌43の自重によって逆方向に回転し、ストッパ45に接して停止する。
【0150】
透明板保持枠21側にて発射ユニットが備える構成について説明する。
図25は、透明板保持枠21側に配設された発射ユニットの構成を説明する図である。図25の(a)は、透明板保持枠21の概略右側面図であり、(b)は、球送り装置30を出口30b側から見た状態を拡大して示す斜視図である。
図25の(a)に示すように、発射ユニットは、皿153(図2の(a)参照)の遊技球を一列に整列する球通路レール163をさらに備えている。この球通路レール163は、整列した遊技球を球送り装置30の入り口30aに供給する。
入り口30aは、球通路レール163に近接する球送り装置30の面に形成され、また、出口30bは、発射装置40に近接する球送り装置30の面に形成されている。言い換えると、入り口30aが形成されている面と出口30bが形成されている面とは、互いに反対側に位置する。
【0151】
球送り装置30は、図25の(b)に示すように、出口30bは、入り口30aよりも下方に位置する。球送り装置30は、入り口30aから出口30bに至る内部通路T(例えば図27参照)の途中に、例えば数珠繋ぎで入り口30aに入った一列の遊技球が発射装置40の作動タイミングに合わせて1個ずつ出口30bから排出するための機構が形成されている。詳細は後述する。
【0152】
〔第1の実施の形態〕
図26は、第1の実施の形態に係る球送り装置30の構成を説明する分解斜視図である。
図26に示すように、球送り装置30は、入り口30aを持つケース31と、出口30bを持つケース32と、を備えている。ケース31,32は外装部品であり、互いに係合してネジで組み立てられるものである。球送り装置30の外面は、これらケース31,32によって構成されている。ケース31,32は、ケース部材の一例であり、カバーの一例である。また、ケース31は、第1の部品の一例であり、また、ケース32は、第2の部品の一例である。
なお、球送り装置30の入り口30aは、ケース31に形成した開口ないし切欠きにより構成され、また、球送り装置30の出口30bは、ケース32に形成した開口ないし切欠きにより構成されている。
【0153】
球送り装置30は、内蔵部品として、ケース31,32に挟み込まれる形で取り付けられる軸部材33と、軸部材33が挿入される貫通孔が形成され、この貫通孔に軸部材33が挿入されることで回転可能に保持される球送りクランク34と、を備えている。
また、球送り装置30は、球送りクランク34に連結され、球送りクランク34を駆動する駆動源としての球送りソレノイド35をさらに備えている。この球送りソレノイド35は、不図示の制御回路からのパルスに応答して作動するものであり、より具体的には、発射装置40のロータリーソレノイド44と連動するように駆動制御される。
なお、球送り装置30は、ケース31に取り付けられるシールド板としての板状部材36をさらに備えている。
【0154】
球送り装置30のケース31は、球送りソレノイド35の作動により発生した熱を放出するための放熱口31aと、球送りソレノイド35の突出部35cを受け入れて球送りソレノイド35を取り付けるためのスロット穴31bと、を備えている。付言すると、これらケース31の放熱口31aおよびスロット穴31bは、球送りソレノイド35のために形成されたものである。
また、ケース31は、球送り装置30を透明板保持枠21に対して位置決めするために外面に突出する位置決めピン31c(図28の(a)も参照)と、位置決めピン31cにより位置決めされた球送り装置30を透明板保持枠21に固定して取り付けるための取り付け穴31dと、をさらに備えている。付言すると、これらケース31の位置決めピン31cおよび取り付け穴31dは、球送り装置30を透明板保持枠21に取り付けるために形成されたものである。
ケース31は、ケース31の内面に形成されて軸部材33を保持するボス31eと、ケース32との互いの係合の際に用いられる2つの取り付け穴31fと、板状部材36を取り付けるための取り付け穴31gと、をさらに備えている。
【0155】
球送り装置30のケース32は、球送りソレノイド35の作動により発生した熱を放出するための放熱口32aと、球送りソレノイド35の突出部35cを受け入れて球送りソレノイド35を取り付けるためのスロット穴32bと、を備えている。これらケース32の放熱口32aおよびスロット穴32bは、ケース31の放熱口31aおよびスロット穴31bと同じく、球送りソレノイド35のために形成されたものである。
また、ケース32は、球送り装置30を透明板保持枠21に対して保持するための2つの保持ピン32cをさらに備えている。2つの保持ピン32cは、上下方向に延びて同軸である。ケース32の保持ピン32cは、透明板保持枠21に形成された不図示の保持穴に挿入されて用いられる。すなわち、保持ピン32cを透明板保持枠21の保持穴(不図示)に挿入することで、球送り装置30は透明板保持枠21に回転可能に保持される。なお、球送り装置30は、保持ピン32cにて透明板保持枠21に保持された後には、位置決めピン31cで位置決めされた状態で取り付け穴31dを用いて透明板保持枠21にねじ等の締結部材にて固定される。
【0156】
球送り装置30の球送りクランク34は、球送りソレノイド35が非作動のときには遊技球が出口30bから排出されないように、入り口30aから出口30bまで延びる球送り装置30の内部通路T(図27参照)の途中で遊技球を一時的に止めることが可能なストッパ部34aおよびアーム部34bを備えている。
このアーム部34bは、ストッパ部34aよりも球送り装置30の内部通路T(図27参照)の下流側に配設されている。さらに説明すると、アーム部34bは、ストッパ部34aと所定距離だけ離れて位置する。より具体的には、ストッパ部34aとアーム部34bとの離間距離は、遊技球の略直径分であり、ストッパ部34aとアーム部34bがアーチ状に形成されている面を有する。すなわち、球送りクランク34は、ストッパ部34aとアーム部34bとの間に1つの遊技球を保持ないし把持することが可能に構成されている。
【0157】
球送りクランク34のストッパ部34aは、球送りソレノイド35が非作動のときに内部通路T(図27参照)内に位置し、球送りソレノイド35が作動のときに内部通路Tから退避する。また、球送りクランク34のアーム部34bは、球送りソレノイド35が非作動のときに内部通路Tから退避し、球送りソレノイド35が作動のときに内部通路T内に位置する。すなわち、ストッパ部34aとアーム部34bは、内部通路Tに対する挙動が互いに逆である。
球送りクランク34は、球送りソレノイド35の揺動片35bに連結される連結部34cをさらに備えている。
付言すると、球送りクランク34は、ストッパ部34a、アーム部34bおよび連結部34cが一体成型されている。
【0158】
球送り装置30の球送りソレノイド35は、球送りソレノイド35の外面の一部を構成する金属片35aを備えている。また、球送りソレノイド35は、金属片35aに長手方向(図26における紙面略左右方向)中間部にて支持されると共に長手方向一端部(図26における紙面手前側の端部)にて球送りクランク34の連結部34cと連結される上述の揺動片35bをさらに備えている。なお、球送りソレノイド35は、ケース31,32のスロット穴31b,32bに受け入れられる上述の突出部35cを備えている。
さらに説明すると、揺動片35bは、球送りソレノイド35の作動と非作動とで互いに姿勢が異なるものであり、これにより、球送りクランク34が駆動される。なお、揺動片35bの長手方向他端部(図26における紙面奥側の端部)と金属片35aとの間では、引っ張られると元に戻ろうとする付勢力を生じる引っ張りコイルバネ37(図27参照)により連結されている。
【0159】
図27は、球送り装置30の作用を説明する図であり、球送り装置30を出口30bの側から見た投影図である。同図の(a)は、球送りソレノイド35が非作動時の状態を示し、(b)は、球送りソレノイド35が作動時の状態を示している。
球送りソレノイド35非作動時には、図27の(a)に示すように、引っ張りコイルバネ37の付勢力によって、球送りクランク34のストッパ部34aは、内部通路Tに位置する。このため、内部通路Tを遊技球が通過できず、その意味において内部通路Tは塞がっている。すなわち、入り口30aから内部通路Tに入った遊技球は、一時的に停止する。なお、内部通路Tは、入り口30aから出口30bへと延びて形成されている遊技球の通過経路であり、上下方向に延びている。内部通路Tは、内側の空間の一例である。
【0160】
球送りソレノイド35作動時には、図27の(b)に示すように、引っ張りコイルバネ37の付勢力に抗して、球送りクランク34が軸部材33を中心に反時計回りの方向に回転する。これにより、球送りクランク34のストッパ部34aは、内部通路Tから退避する一方で、球送りクランク34のアーム部34bは、内部通路Tに進入する。したがって、それまでストッパ部34aにより停止していた先頭の遊技球は、アーム部34bの位置まで内部通路Tを進む。
このようにして進んだ先頭の遊技球は、球送りクランク34のストッパ部34aとアーム部34bとの間に位置する。これにより、球送りクランク34は、ストッパ部34aおよびアーム部34bにより先頭の遊技球を1つだけ把持する。
【0161】
球送りソレノイド35の作動後に球送りソレノイド35が非作動になると、引っ張りコイルバネ37の付勢力により球送りクランク34が軸部材33を中心に時計回りの方向に回転して元の位置に戻る。これにより、ストッパ部34aおよびアーム部34bにより内部通路T内に把持されている先頭の遊技球は、球送りクランク34の回転力と遊技球自身の重さ(自重)によって内部通路Tを勢いよく落下する。
このようにして内部通路Tを落下する遊技球は、球送り装置30の出口30bから排出され、発射装置40の発射レール41に供給されることで、発射装置40の発射位置40aにて遊技盤110(図1または図23の(a)参照)に向けて発射される。
【0162】
ここで、図26に戻って説明を続ける。
球送り装置30が備えているケース32の外面32dに、発射装置40の発射レール41(図23参照)に供給する遊技球を排出する上述の出口30bが形成されている。
なお、ケース32の外面32eは、外面32dに連続すると共に外面32dと交差する方向に延びて形成されている。また、ケース31の外面31hは、ケース32の外面32eと同じ方向に延びるように形成されている。
より詳細には、ケース31の外面31hは、ケース32の外面32eと共に、球送り装置30の外面(横面)30cを構成する。この外面30cは、出口30bよりも発射レール41による発射方向の下流側に位置し、かつ、発射レール41を横断する方向に延びている。言い換えると、外面30cは、発射装置40により遊技球が発射される側に位置する球送り装置30の面である。また、別の言い方をすると、外面30cは、発射装置40から発射される遊技球が進む方向を向いている球送り装置30の面である。
球送り装置30の外面30cおよびケース32の外面32dは、外面の一例である。
【0163】
〔球送り装置30のスリット50の構成〕
さらに説明すると、図26に示すように、球送り装置30には、出口30bから細長く延びる切れ込み状のスリット50が形成されている(図27も参照)。このスリット50は、細長の切欠き部ないし開口部ということもできる。スリット50は、球送り装置30の出口30bに対して発射方向の下流側に位置する。
【0164】
スリット50についてより具体的に説明する。スリット50は、ケース32の外面32dに形成され、出口30bから一方向に延びるスリット部分51と、ケース32の外面32eに形成され、スリット部分51に連続して形成され、発射レール41を横断する方向に延びるスリット部分52と、を含んで構成されている。
このスリット部分51は、出口30bにおける上側に位置するように形成されている。
【0165】
ここにいう一方向とは、例えば発射装置40による遊技球の発射の方向をいう。この場合の遊技球の発射の方向としては、傾斜する発射レール41の下端から上端に向かう方向になるが(例えば図24参照)、発射レール41が延びる方向と完全に同一の方向であるという厳密な意味ではなく、後述するように、不正行為の目的で糸状部材(紐状部材)Sを付着した遊技球が発射レール41から発射された場合にその糸状部材S(例えば図29参照)を捕捉可能な方向を意味する。
別の言い方をすると、ここにいう一方向とは、発射装置40により発射される遊技球に糸状部材S(例えば図29参照)が付着していると共に糸状部材Sがパチンコ遊技機100の外部から内部に続いているときに、発射装置40による遊技球の発射に伴ってパチンコ遊技機100の内部において糸状部材Sが案内される方向をいう。
【0166】
図28は、球送り装置30のスリット50の構成を説明する図である。同図の(a)は、図27の線B−Bによる断面図であり、球送り装置30の外面30cに関して説明するための図である。図28の(b)は、同図の(a)の線C−Cによる断面図であり、スリット50のスリット部分53の横断面を示す図である。
図28の(a)に示すように、スリット50は、上述のスリット部分51,52のほかに、スリット部分52に連続して形成され、発射レール41を横断する方向に延びるスリット部分53をさらに含んで構成されている。このスリット部分53は、球送り装置30の外面30cをスリット部分52から斜め上方に延びるように形成されている。さらに説明すると、スリット部分53は、球送り装置30の外面30cをクランク形状(階段形状)に延びるように形成されている。別の言い方をすると、球送り装置30の外面30cに、互いに異なる複数の曲率半径を持つ蛇のような湾曲形状(蛇行する形状)のスリット部分53が形成されている。スリット部分53は、上方に延びるように形成されている。
より詳細には、スリット部分53は、スリット部分53に沿ってスリット部分52から離れる方向に行くに従って幅寸法が細くなる区間を有する。すなわち、スリット部分53は、先の方に行くとだんだんと細くなっている(先細の形状)。このように、先の方が細くなっているスリット部分53は、2つの保持ピン32cのうち上側の保持ピン32cが形成される基部32fで行き止まりになっている。すなわち、スリット部分53は、奥側で行き止まりになっている。
【0167】
図28の(b)に示すように、スリット50のスリット部分53は、球送り装置30の外面30c側の空間と内面30d側の空間(内部通路T)とを互いに連通するように形成されている。すなわち、不正行為の目的で遊技球に付着させた糸状部材S(例えば図29参照)が遊技球の発射に伴ってスリット部分53を通るように、スリット部分53を形成している。
【0168】
さらに説明すると、スリット部分53は、ケース31の縁部とケース32の縁部とにより形成されている。すなわち、スリット部分53は、ケース31のみにより形成されているのではなく、また、ケース32のみにより形成されているのではない。
なお、スリット部分53を構成するケース31の縁部とケース32の縁部とは、互いに隣接するものである。ケース31の縁部とケース32の縁部とは、互いに突き合うように配設されている。
【0169】
このように、スリット50のスリット部分53をケース31の縁部とケース32の縁部との組み合わせにより形成することで、金型による製造がより容易になる。すなわち、スリット50を構成するスリット部分51,52,53のうち最も細長く形成されるスリット部分53を、ケース31またはケース32だけで形成するのは、ケース31,32が比較的大きい外形形状であることから、技術的な困難性を伴うものである。そのために、金型の構造が複雑になり、コスト上昇を抑制することが困難である。しかしながら、本実施の形態のように、2つの部品の向かい合う面(合わせ面。隣接する面)を利用することで、コスト上昇を抑制することが可能になる。
なお、上述したように、スリット50のスリット部分51,52は、ケース32のみにより形成されている。
【0170】
さらにまた説明すると、スリット50のスリット部分53は、ケース31,32の厚さ方向に関して形状が異なるように形成されている。より具体的に説明すると、ケース31の縁部には、この縁部に沿ってケース31の厚さDよりも小さい寸法の厚さd1を持つ薄肉部(リブ)54が形成されている(D>d1)。また、ケース32の縁部には、この縁部に沿ってケース32の厚さDよりも小さい寸法の厚さd3を持つ薄肉部(リブ)55が形成されている(D>d3)。言い換えると、薄肉部54は、ケース31の縁部を寸法d2だけ内面側(図28の(b)における紙面右側)の肉厚を減じることで形成され(d2=D−d1)、また、薄肉部55は、ケース32の縁部を寸法d4だけ外面側(図28の(b)における紙面左側)の肉厚を減じることで形成されている(d4=D−d3)。
このように、ケース31の薄肉部54とケース32の薄肉部55とが互い違いになるように、スリット50のスリット部分53は形成されている。ケース31の縁部およびケース32の縁部は、板状であり、また、厚さ方向に延びる端面の形状によりスリット部分53を形成している。
別の見方をすると、ケース31は、寸法d1の面と寸法d2の面という段違いの面を縁部に有する。また、ケース32は、寸法d3の面と寸法d4の面という段違いの面を縁部に有する。
薄肉部54,55は、突出部の一例である。
【0171】
なお、厚さd1と厚さd3とは互いに異なる値を採用することができ、また、互いに同じ値を採用することもできる。また、寸法d2と寸法d4とは互いに異なる値を採用することができ、また、互いに同じ値を採用することもできる。
また、ケース31の薄肉部54とケース32の薄肉部55のいずれか一方または両方を、ケース31,32の厚さ方向に複数並ぶように形成することも考えられる。
【0172】
またさらに説明すると、スリット50のスリット部分53は、ケース31の縁部とケース32の縁部との間の隙間を隠すように形成されている。すなわち、ケース31の薄肉部54は、薄肉部55において肉厚が減じられて生じた領域にその一部が位置し、また、ケース32の薄肉部55は、薄肉部54において肉厚が減じられて生じた領域にその一部が位置する。言い換えると、スリット部分53は、ケース31,32の厚さ方向に関して、球送り装置30の外面30cから内面30dへとまっすぐに貫通するように形成されておらず、回りこむように形成されている。より具体的には、球送り装置30の外面30cからスリット部分53をケース31,32の厚さ方向に進入すると、ケース32の薄肉部55が壁になり、薄肉部55を回りこむように進むことになる。また、球送り装置30の内面30dからスリット部分53をケース31,32の厚さ方向に進入すると、ケース31の薄肉部54が壁になり、薄肉部54を回りこむように進むことになる。
ケース31の薄肉部54とケース32の薄肉部55とは、互いに接触せず、互いに離間するようにして形成されている。
このように、スリット部分53は、ケース31の縁部とケース32の縁部との隙間が横断面においてクランク形状になるように形成されており、これにより、球送り装置30の外面30c側の空間と内面30d側の空間である内部通路Tとを互いに連通する。また、スリット部分53は、球送り装置30の外面30c側から内面30d側の内部通路Tが容易には見えないように形成され、また、球送り装置30の内面30d側から外面30c側の空間が容易には見えないように形成されている。
【0173】
〔球送り装置30のスリット50の作用〕
図29、図30および図31は、球送り装置30のスリット50の作用を説明する図である。図29は、球送り装置30および発射装置40の発射レール41の概略平面図である。また、図30は、糸状部材Sに張力がない状態を示し、図31は、糸状部材Sに張力がある状態を示している。図30および図31の(a)は、図28の(b)と同じく図28の(a)の線C−Cによる断面図であり、より具体的には、糸付き球の糸状部材Sがスリット50のスリット部分53を通るときの糸状部材Sの状態を説明するスリット部分53の横断面図である。図30および図31の(b)は、球送り装置30の斜視図である。
図29の(a)に示すように、比較的長い糸状部材Sを付着させた遊技球(以下、不正の球技球という)が、球送り装置30の内部通路Tを通って出口30bから出ると、発射レール41に供給される。糸状部材Sは緩んだ状態であり、不正の遊技球の移動を制限しない。
糸状部材Sは、不正の遊技球と共に移動し、不正の遊技球が通った経路(軌跡)に沿って進んでいく。すなわち、糸状部材Sは、球送り装置30の入り口30a、内部通路Tおよび出口30bを通っている。
【0174】
発射レール41に供給された不正の遊技球は、傾斜している発射レール41を転がり、図29の(b)に示すように、発射位置40aにセットされる。その後、不正の遊技球は、発射位置40aから所定のタイミングで勢いよく発射される。
発射された不正の遊技球は遊技領域111(図1参照)の方向に進み、それに伴い、糸状部材Sは、図29の(c)に示すように、不正の遊技球が通った経路から外れて球送り装置30のスリット50に進入する。すなわち、糸状部材Sは、近道をするようにスリット50に入っていく。
なお、球送り装置30の外面30cに隣接する空間には、空きスペースが形成されている。すなわち、外面30cのとなりには、糸状部材Sの動きを邪魔するような他の装置ないし部品が配設されていない。
【0175】
ここで、糸状部材Sの移動を邪魔するように糸状部材Sがスリット50に噛まれるまでは、不正な遊技球の動きは規制されない。上述したように、スリット50は球送り装置30の外面30cにも形成されているので、糸状部材Sがスリット50の奥側に到達するまでの時間は、比較的長くなる。すなわち、スリット50は、ある程度の勢いのところまでは糸状部材Sを噛まず、ある程度の勢いのところで糸状部材Sを噛む構成である。スリット50は、より確実に糸状部材Sを噛むので、不正の遊技球を用いたことの痕跡を残せる可能性が高いと言える。
【0176】
図30および図31を用いてさらに詳細に説明する。
横断面クランク形状のスリット50に進入した糸状部材Sは、緩んだ状態では例えば図30の(a)に示すようにスリット50内に位置する。そして、糸状部材Sは、引っ張られた状態では例えば図31の(a)に示すようにスリット50内で直線的に折れ曲がり、薄肉部54,55の表面に当接する。
【0177】
より詳細に説明すると、糸状部材Sを付着させた遊技球が球送り装置30の内部通路Tを通って出口30bから発射装置40の発射装置40の発射レール41(例えば図29参照)に供給され、発射レール41から斜め上方に向けて勢いよく発射されると、これに伴い、糸状部材Sは、スリット部分51からスリット50に進入する。そして、糸状部材Sは、図30の(b)に示すように、さらにスリット50のスリット部分52,53へと案内されていく。
より具体的には、糸状部材Sがスリット50のスリット部分53に入って、張力を持つと、図31の(a)に示すように、糸状部材Sは、スリット50内では一直線状にはならず、屈折する。スリット50のスリット部分53では、薄肉部54,55によって糸状部材Sが一直線状になるのが阻止される。すなわち、ピンと張った状態の糸状部材Sは、ケース31の薄肉部54の角部およびケース32の薄肉部55の角部にて直線的に折れる。この状態では、糸状部材Sが、薄肉部54の角部と薄肉部55の角部とにそれぞれ押し当てられ、スリット50から外れ難い。このような糸状部材Sが外れ難い形状をスリット部分53に採用することで、糸状部材Sがスリット部分53から外れてしまう事態を防止することが可能になる。
【0178】
このような効果をより高めるために、例えばケース31の薄肉部54の表面およびケース31の薄肉部54の表面を他の部分よりも粗く形成するという変形例が考えられる。このようなケース31,32の粗面加工によって、糸状部材Sとの摩擦抵抗力を増やすことが可能になり、糸状部材Sが容易に外れないようになる。
なお、糸状部材Sを切ることが可能なように、薄肉部54の角部と薄肉部55の角部をより鋭角に形成したり不図示の刃部材を球送り装置30に配設したりすることが考えられる。
【0179】
図31の(b)に示すように、スリット50内の糸状部材Sは、スリット部分53に沿って移動して先に進むことで、糸状部材Sがスリット部分53に挟まることで捕捉され、最終的には、球送り装置30に対する相対的な移動ができなくなる。このため、不正の球技球が発射装置40により発射されたとしても、不正行為をしようとする遊技者の意図(始動口121等でのリフティングやワープルート(不図示)への過剰通過等による遊技球の不正獲得)に沿わない結果になる。
【0180】
より具体的に説明すると、不正の球技球を皿153(図2の(b)参照)に投入すると、不正の遊技球は、球通路レール163(図25の(a)参照)から球送り装置30の入り口30aに入る。ハンドル151のレバー152が遊技者により回転操作されることで、不正の遊技球は、球送り装置30の内部通路Tを落下し(図27参照)、球送り装置30の出口30bから排出された後に発射装置40の発射レール41に供給され(図23参照)、遊技領域111に向けて発射される。
【0181】
このような場合に、不正の遊技球に付着している糸状部材Sの端がパチンコ遊技機100の外部に位置し、例えば遊技者が手で握っていると、図30の(b)に示すように、糸状部材Sは、不正の遊技球が進んだ経路に沿って進むことになる。
より詳細には、糸状部材Sは、不正の遊技球が上方に向けて発射されることで、スリット50のスリット部分51に入り、次にスリット部分52に進んだ後に、スリット部分53に至る。これにより、糸状部材Sがスリット部分53に嵌まり込む。このため、不正の遊技球は、糸状部材Sにぶら下がるようにして糸状部材Sの長さに応じた遊技領域111の位置で止まってしまう。
【0182】
このようにして、不正行為を行おうとする遊技者は、糸状部材Sの操作が困難になり、また、糸状部材Sを回収しようとしても回収することが困難になることから、パチンコ遊技機100に不正行為の証拠を残すことが可能になる。
また、不正行為を行おうとする遊技者の意図に反し、不正の遊技球が飛んでいったら影響が大きい遊技領域111の所定場所(例えば、始動口121,122等)に不正の遊技球が届かないようになることから、不正の遊技球による不正行為の実行を防止することが可能になる。
【0183】
〔各種の応用例〕
次に、上述した第1の実施の形態を応用した各種の構成例(応用例)について説明する。
図32は、球送り装置30の一応用例を説明する図である。同図の(a)〜(c)の各々は、スリット50のスリット部分53の横断面を示す図であり、図28の(b)に対応するものである。なお、図32の(a)〜(c)の応用例は、第1の実施の形態と同じく、スリット50のスリット部分53は、ケース31の縁部とケース32の縁部との間の隙間を隠すように形成されている。
図32の(a)に示す場合には、薄肉部54は、外面側の肉厚を減じると共に内面側の肉厚を減じることで端面が凸形状に構成されている。また、薄肉部55は、中央の肉厚を減じることで端面が凹形状に構成されている。そして、薄肉部54の凸形状の部分が、薄肉部55の凹形状の部分に入り込むように配設されることで、ケース31の薄肉部54とケース32の薄肉部55とが互い違いになるように、スリット部分53が形成されている。
なお、薄肉部54の横断面形状と薄肉部55の横断面形状とを互いに逆に形成することも考えられる。
【0184】
図32の(b)に示す場合には、肉厚を減じた部分が一方にしか形成されていない。すなわち、スリット50のスリット部分53を構成する部位として、薄肉部55を含み、薄肉部54を含んでいない。より具体的には、ケース32の薄肉部55は、外面側の肉厚が減じられて形成されている。そして、ケース31には、肉厚が減じられて形成される薄肉部54が形成されていない。ケース32の薄肉部55において肉厚が減じられて生じた領域にケース31の縁部が位置する。ケース31とケース32は、厚さ方向(紙面における左右方向)に関して互いにずれて位置する。これにより、スリット50のスリット部分53は、L字状に形成される。
なお、ケース31の横断面形状とケース32の横断面形状とを互いに逆に形成すると共にケース31とケース32との厚さ方向の位置関係を逆にすることも考えられる。
【0185】
図32の(c)に示す場合には、肉厚を減じた部分が形成されていない。すなわち、スリット50のスリット部分53を構成する部位として、薄肉部54および薄肉部55を含んでいない。すなわち、ケース31およびケース32は、厚さ方向に関して形状が異ならないように形成されている。そして、ケース31とケース32は、厚さ方向(紙面における左右方向)に関して互いにずれて位置している。このように、ケース31の縁部とケース32の縁部との隙間により、スリット50のスリット部分53が構成されている。
なお、ケース31とケース32との厚さ方向の位置関係を逆にすることも考えられる。
【0186】
図33は、球送り装置30の別の応用例を説明する図であり、球送り装置30の斜視図である。
図33の(a)に示すように、一応用例に係る球送り装置30は、スリット50が形成されている位置に配設された検出部(センサ)60を備えている。この検出部60は、アクチュエータ61を持つマイクロスイッチであり、検出手段の一例である。なお、検出部60として、他の形式のセンサを用いることも考えられる。
さらに説明すると、検出部60は、アクチュエータ61がスリット50のスリット部分53を横切るように、球送り装置30の外面30cに取り付けられている。検出部60は、アクチュエータ61が所定の動きを行うと、オン信号を出力する。言い換えると、スリット50は、糸状部材Sを奥側に誘導(案内)し、検出部60が検出可能な位置まで追い込んでいく。
【0187】
このため、図33の(b)に示すように、糸状部材Sがスリット部分52の奥まで達すると、糸状部材Sは、検出部60のアクチュエータ61を移動させる。これにより、検出部60は、オン信号を出力する。このようなオン信号の出力により、不正行為に対して積極的な対応を行うことが可能になる。
ここで、検出部60の出力先としては、例えば払出制御部400(図3参照)である。払出制御部400が検出部60からオン信号を受け付けると、予め定められた制御が行われる。より具体的には、払出制御部400は、検出部60からオン信号を受け付けた場合に、不正行為があったことを示す信号を遊技制御部200(図3参照)に送信することで、遊技制御部200は遊技の中止を行う。また、不正行為があったことを示す信号を、遊技制御部200を介して演出制御部300(図3参照)に送信することで、演出制御部300は、所定の警告演出や報知演出を行う。また、不正行為があったことを示す信号を、枠用外部情報端子基板450(図3参照)を介してホールコンピュータ(不図示)に送信することで、パチンコ遊技機100を設置しているホール側で不正行為の事実を速やかに把握し、これに対処することが可能になる。
【0188】
図34は、球送り装置30のまた別の応用例を説明する図であり、球送り装置30の斜視図である。
図34に示すように、他の応用例に係る球送り装置30は、ケース32にスリット部品70が固定して取り付けられている。このスリット部品70は、スリット部分51,52,53からなるスリット50を備えている。なお、スリット部品70のスリット50は、ケース31,32に形成されている上述のスリット50(図26〜図28参照)と同じ構成を採用している。
さらに説明すると、ケース31,32には、スリット部品70のスリット50の範囲を逃げるように比較的大きな切欠き(破線で図示)が形成されている。言い換えると、球送り装置30の内部通路Tは、ケース31,32のみならず、スリット部品70によっても構成されている。
【0189】
スリット50は、上述したように、比較的高精度に形成する必要があり、そのために、スリット50を形成する部品を樹脂成型する金型が高価になる傾向がある。かかる観点から、他の応用例では、スリット50をケース31の縁部およびケース32の縁部に形成せず、ケース31,32とは別の部品であるスリット部品70に形成している。このスリット部品70は、ケース31,32よりも外形が小さい部品である。
このため、球送り装置30を、比較的高精度に形成する必要がないケース31,32と、比較的高精度に形成する必要があるスリット部品70と、に分けて構成することで、スリット50を形成するに伴うコスト上昇を抑制することが可能になる。
また、スリット部品70を球送り装置30に後付けすることが可能である。その場合には、球送り装置30の全体を交換しなくても、事後的な不正対策を行うことが可能になるので、不正対策が施されていない機種に対して不正対策を施すことが比較的容易に行える。
なお、スリット部品70を球送り装置30の本体部(ケース31,32)に取り付ける手法としては、接着剤によるものや締結ねじによるもの等が考えられる。また、スリット部品70を球送り装置30の本体部に対して位置決めするための構造として、例えば不図示の凸部および不図示の凹部を用いることが考えられる。
【0190】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態に係る球送り装置30について説明する。なお、第2の実施の形態は、第1の実施の形態と共通する構成・機能を有することから、共通する構成には、同じ符号を用い、また、共通する構成・機能の説明および図示を省略することがある。
図35は、第2の実施の形態に係る球送り装置30の構成を説明する概略斜視図であり第1の実施の形態における図31の(b)に対応する図である。
図35に示すように、第2の実施の形態に係る球送り装置30は、スリット50を備えている。このスリット50は、ケース32の外面32dに形成されているスリット部分51からなるものである。言い換えると、第2の実施の形態でのスリット50は、第1の実施の形態の場合のような外面(横面)30cのスリット部分52,53(例えば図28参照)を含んでおらず、第1の実施の形態の場合よりも長さが短い。
【0191】
第2の実施の形態では、スリット50のスリット部分51は、第1の実施の形態でのスリット部分53の横断面形状(図28の(b)または図32の(a)〜(c)参照)に形成され、また、出口30bから離れる方向(紙面における右方向)に行くに従って幅寸法が細くなる先細形状に形成されている。
第2の実施の形態では、スリット50のスリット部分51を直線状に延びるように形成しているが、第1の実施の形態でのスリット部分53のクランク形状(段階形状)ないし蛇のような湾曲形状(蛇行する形状)に形成することも考えられる。
なお、第1の実施の形態についてすでに説明した各種の応用例を第2の実施の形態に適用することも考えられる。第2の実施の形態に係る球送り装置30に検出部60(図33参照)を配設することが考えられる。また、第2の実施の形態では、スリット50のスリット部分51がケース32に形成されているが、ケース32とは別の部品であるスリット部品70(図34参照)にスリット50を形成し、スリット部品70をケース32に固定して取り付ける構成も考えられる。
【0192】
第2の実施の形態の場合には、スリット50のスリット部分51の先で糸状部材Sが捕捉され、これにより、遊技者は糸状部材Sの操作が困難になり、また、糸状部材Sの回収も困難になる。
このように、第2の実施の形態におけるスリット50によっても、第1の実施の形態の場合と同じく、パチンコ遊技機100に不正行為の証拠を残すことが可能になり、また、不正の遊技球による不正行為の実行を防止することが可能になる。付言すると、より簡素にスリット50を構成することが可能になり、コスト上昇を抑制することが可能になる。
【0193】
以上説明したように、第1および第2の実施の形態では、糸状部材Sを用いた不正行為が行われた場合に、簡易な構造のスリット50で糸状部材Sをより確実に捕捉するので、コスト上昇を抑制しつつ不正対策に万全を期すことが可能になる。
【符号の説明】
【0194】
30…球送り装置、30b…出口、30c,32d…外面、31,32…ケース、40…発射装置、41…発射レール、50…スリット、51,52,53…スリット部分、54,55…薄肉部、T…内部通路、100…パチンコ遊技機、110…遊技盤、111…遊技領域、163…球通路レール、S…糸状部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球による遊技を行うための遊技領域に向けて遊技球を発射レールから発射する遊技機であって、
前記発射レールに遊技球を送る球送り装置は、
前記発射レールに送られる遊技球が排出される出口と、
前記球送り装置の外面を構成するカバーに形成され、前記出口から前記発射レールの発射の方向に延びて当該発射の方向の下流側に位置し、当該カバーの外側の空間と内側の空間とを互いに連通するスリットと、
を備え、
前記カバーは、第1の部品および当該第1の部品に組み合わされる第2の部品を含んで構成され、
前記スリットは、前記第1の部品の縁部と当該縁部に隣接する前記第2の部品の縁部とにより形成されることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記第1の部品の縁部と前記第2の部品の縁部とが互いに突き合うようにして配設して前記スリットを形成し、
前記第1の部品の縁部と前記第2の部品の縁部のうち少なくとも一方は、肉厚を減じて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記第1の部品の縁部と前記第2の部品の縁部は、厚さ方向に延びる端面の形状により前記スリットを形成するものであることを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項1】
遊技球による遊技を行うための遊技領域に向けて遊技球を発射レールから発射する遊技機であって、
前記発射レールに遊技球を送る球送り装置は、
前記発射レールに送られる遊技球が排出される出口と、
前記球送り装置の外面を構成するカバーに形成され、前記出口から前記発射レールの発射の方向に延びて当該発射の方向の下流側に位置し、当該カバーの外側の空間と内側の空間とを互いに連通するスリットと、
を備え、
前記カバーは、第1の部品および当該第1の部品に組み合わされる第2の部品を含んで構成され、
前記スリットは、前記第1の部品の縁部と当該縁部に隣接する前記第2の部品の縁部とにより形成されることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記第1の部品の縁部と前記第2の部品の縁部とが互いに突き合うようにして配設して前記スリットを形成し、
前記第1の部品の縁部と前記第2の部品の縁部のうち少なくとも一方は、肉厚を減じて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記第1の部品の縁部と前記第2の部品の縁部は、厚さ方向に延びる端面の形状により前記スリットを形成するものであることを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7−1】
【図7−2】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7−1】
【図7−2】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【公開番号】特開2013−17697(P2013−17697A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154231(P2011−154231)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】
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