説明

運転支援装置

【課題】渋滞をより緩和することが可能な運転支援装置を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る運転支援装置1は、定常速度で走行するための運転支援装置において、直前車の発進とともに加速制御を行い、直前車を追従する追従制御手段23と、車速を直前車よりも小さくし、直前車との車間距離を次第に拡大する車間拡大制御手段24と、車速を直前車よりも大きくし、直前車との車間距離を次第に縮小する車間縮小制御手段25とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、渋滞緩和のための運転支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
渋滞の発生及び延伸の一要因は、従属車両それぞれが減速、停止、発進、加速を繰り返すことにより、停止からの発進遅れや、加速時の加速遅れが累積するためであると考えられている。この点に関し、特許文献1及び2には、発進遅れや加速遅れを低減することが可能な運転支援装置が開示されている。
【0003】
特許文献1には、停車している複数台の車両に対して信号機が通行可の指示となった時点でほぼ同時に発進させるように走行制御信号を送信する路上機を設け、各車両に搭載される運転支援装置が路上機からの走行制御信号に応じて走行制御を行うことが記載されている。これにより、複数台の車両は、信号機が通行可能な表示状態となった時点でほぼ同時に発進するようになり、発進遅れを解消することができ、渋滞を緩和させることができるとしている。
【0004】
特許文献2には、設定速度での走行をする定速度制御を行う運転支援装置であって、先行車が存在する場合にこの先行車との車間距離が目標車間距離となるように追従制御を行う運転支援装置において、先行車の追従中に、自車の速度が所定速度よりも小さい状態にあるときに先行車が加速したときは、先行車の加速度に基づいて目標加速度を設定し、この目標加速度に基づいて先行車に追従する加速度制御を行う運転支援装置が開示されている。これにより、先行車との車間距離が予め設定した目標車間距離となる前に自車が発進するので、先行車の挙動に対する応答性が向上するとしている。すなわち、発進遅れや加速遅れを低減することができ、渋滞を緩和させることができるものと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−79099号公報
【特許文献2】特開2001−26226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2に記載の運転支援装置は、渋滞の発生及び延伸の一要因を解消するに過ぎず、更なる渋滞緩和対策が要望されている。
【0007】
そこで、本発明は、より渋滞を緩和することが可能な運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の運転支援装置は、定常速度で走行するための運転支援装置において、直前車の発進とともに加速制御を行い、直前車を追従する追従制御手段と、車速を直前車よりも小さくし、直前車との車間距離を次第に拡大する車間拡大制御手段と、車速を直前車よりも大きくし、直前車との車間距離を次第に縮小する車間縮小制御手段と、を備える。
【0009】
この運転支援装置によれば、追従制御手段によって、直前車の発進とともに加速制御を行って直前車を追従するので、自車の発進遅れを低減することができると共に、後続車の発進を早めることができる。その結果、交通流を改善することができ、渋滞を緩和することが可能となる。
【0010】
更に、この運転支援装置によれば、車間拡大制御手段によって、直前車との車間距離を拡大するので、減速制御を行う際に、車間縮小制御手段によって、直前車との車間距離を縮小しながら減速制御を抑制し、直前車よりも停止のタイミングを遅らせることができる。その結果、自車の停止発進回数を低減することができる。また、後続車の発進を早めることができ、更には、後続車の停止発進回数をも低減することが可能である。その結果、交通流をより改善することができ、渋滞をより緩和することが可能となる。
【0011】
上記した運転支援装置は、渋滞情報を取得する情報取得手段を更に備え、情報取得手段によって取得した渋滞情報が示す渋滞区間において、自車の速度が第1の所定速度以下である場合に、直前車が加速するときには上記した追従制御手段が動作し、自車の速度が第1の所定速度より大きい場合には、上記した車間拡大制御手段が動作し、減速中に、直前車の速度が第2の所定速度以下である場合には、上記した車間縮小制御手段が動作することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、より渋滞を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る運転支援装置の構成を示す図である。
【図2】図1に示す運転支援装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】図1に示す運転支援装置による自車の動作を示す図である。
【図4】本発明の運転支援装置を有さない比較例による自車の動作を示す図である。
【図5】図1に示す運転支援装置による自車の動作に関するシミュレーション結果を示す図である。
【図6】図5に示すシミュレーション結果の分析結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る運転支援装置の構成を示す図である。図1に示す運転支援装置1は、路車間通信機11と、自律センサ12と、電子制御ユニット(以下、ECU:Electronic Control Unitという。)20と、スロットルアクチュエータ31と、ブレーキアクチュエータ32とを備える。
【0016】
路車間通信機11は、道路の渋滞情報、例えば、渋滞の場所、渋滞の長さ、渋滞通過平均速度などを取得する。自律センサ12は、直前車(前方車両)情報、例えば、直前車の有無、直前車の速度、直前車と自車との車間距離などを取得する。また、自律センサ12は、自車情報、例えば、自車の速度などを取得する。これらの路車間通信機11及び自律センサ12が、特許請求の範囲に記載する情報取得手段に相当する。なお、情報取得手段としては本実施形態に限定されるものではなく、様々な態様が適用可能である。路車間通信機11及び自律センサ12は、取得した情報をECU20へ送信する。
【0017】
ECU20は、演算を行うCPU(Central Processing Unit)、CPUに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM(ReadOnly Memory)、演算結果などの各種データを記憶するRAM(Random Access Memory)などから構成されている。このような構成により、ECU20には、情報処理部21、定常走行制御部22、追従制御部23、車間拡大制御部24、及び、車間縮小制御部25が構築されている。
【0018】
情報処理部21は、取得した情報に基づいて各種情報処理を行う。具体的には、情報処理部21は、渋滞情報に基づいて、渋滞の場所や渋滞の長さなどを判断する。また、情報処理部21は、直前車情報に基づいて、直前車の有無を判断すると共に、直前車の速度、加速度、減速度、及び、直前車と自車との車間距離などを求める。また、情報処理部21は、自車情報に基づいて、自車の速度、加速度、及び、減速度などを求めると共に、停止の有無などを判断する。また、情報処理部21は、求めた直前車の速度、加速度、及び、求めた自車の速度、加速度と、予め定めた所定の速度、所定の加速度とを比較し、定常走行制御部22、追従制御部23、車間拡大制御部24、及び、車間縮小制御部25の何れが動作すべきかの判断を行う。
【0019】
定常走行制御部22は、自車を定常速度で走行させると共に、直前車が存在する場合には直前車の加速又は減速に応じて自車を加速又は減速させる。例えば、定常走行制御部22は、スロットルアクチュエータ31及びブレーキアクチュエータ32を制御して、ACC(Adaptive Cruise Control)走行制御を行う。
【0020】
追従制御部23は、直前車の発進及び加速とともに加速制御を行い、直前車を追従する。例えば、追従制御部23は、情報処理部21によって直前車の加速度がゼロより大きいと判断されたときに、直前車の加速度に応じて自車の加速度を設定し、スロットルアクチュエータ31を制御して、加速制御を行う。
【0021】
車間拡大制御部24は、自車の速度を直前車よりも小さくし、直前車との車間距離を次第に拡大する。例えば、車間拡大制御部24は、情報処理部21によって自車の速度が第1の所定速度より大きいと判断されたときに、直前車の速度に対して自車の速度を小さく設定し、スロットルアクチュエータ31及びブレーキアクチュエータ32を制御して、加速制御、減速制御、又は、定常速度走行制御を行う。
【0022】
車間縮小制御部25は、自車の速度を直前車よりも大きくし、直前車との車間距離を次第に縮小する。例えば、車間縮小制御部25は、減速制御を行う際に、情報処理部21によって直前車の速度が第2の所定速度以下であると判断されたときに、直前車の速度に対して自車の速度を大きく設定し、スロットルアクチュエータ31及びブレーキアクチュエータ32を制御して、減速制御の抑制を行う。
【0023】
これらの定常走行制御部22、追従制御部23、車間拡大制御部24、及び、車間縮小制御部25は、それぞれ、上記した走行制御を実現するように目標加速度を設定し、この目標加速度から生成する目標速度パターンに基づいて、各種走行制御を行うことが好ましい。各部における目標加速度の設定では、それぞれ、直前車と自車との相対速度及び車間距離(時間)を入力し、相対速度ゲインや車間距離ゲイン、設定車間時間から目標加速度を設定すればよい。このとき、相対速度ゲイン、車間距離ゲイン、及び、設定車間時間は、各部の制御モードの狙いに合わせてそれぞれ設定する。
【0024】
一例として、直前車と自車との相対速度及び車間距離を用いる場合には、例えば、下式を用いて自車の目標加速度aを求める。
a=kaReIV(Vpre−V)+kaS(L−L)
=max(T・V,Lmin
aReIV:相対速度ゲイン
pre:直前車の速度
V:自車の速度
aS:車間距離ゲイン
L:車間距離
:設定車間時間
min:最低車間距離
【0025】
また、他の一例として、直前車と自車の相対速度及び車間距離に加えて、直前車の加速度を用いる場合には、例えば、下式を用いて自車の目標加速度aを求める。
=apre+kaReIV(Vpre−V)+kaS(L−L)
pre:直前車の加速度
【0026】
図2は、本実施形態の運転支援装置1の動作を示すフローチャートであり、図3は、本実施形態の運転支援装置1による自車の動作を示す図である。図3には、自車の速度と共に直前車及び後続車の速度と、直前車と自車との車間距離とを示す。
【0027】
図2に示すように、まず、路車間通信機11によって、前方道路の渋滞情報及び自車情報を取得する。渋滞情報としては、渋滞の場所、渋滞の長さ、渋滞通過平均速度などであり、自車情報としては、自車の速度などである(S01)。この渋滞情報に基づき、情報処理部21によって、前方道路で渋滞が発生しているか否かを判断する(S02)。渋滞が発生していない場合、定常走行制御部22によって、自車情報に基づいて定常速度での走行制御を行い(S03)、ステップ01に戻る。一方、渋滞が発生している場合には、自律センサ12によって、直前車情報及び自車情報を取得する。直前車情報としては、直前車の有無、直前車の速度、直前車と自車との車間距離などである(S04)。この直前車情報に基づき、情報処理部21によって、直前車が検出されたか否かを判断する(S05)。直前車が検出されていない場合、定常走行制御部22によって、自車情報に基づいて定常速度での走行制御を継続し(S06)、ステップ04に戻る。一方、直前車が検出された場合には、情報処理部21によって、自車が停止したか否かを判断する(S07)。停止していない場合、定常走行制御部22によって、自車情報及び直前車情報に基づいて、直前車との車間距離や直前車の速度、加速度、減速度などに応じて定常速度での走行制御を継続し(S06)、ステップ04に戻る(図3の時点t1〜t2)。一方、停止した場合には、以下の渋滞区間走行制御に移行する。
(渋滞区間走行制御)
【0028】
まず、自律センサ12によって、直前車情報及び自車情報を取得する(S11)。次に、情報処理部21によって、直前車の速度に基づいて直前車の加速度apreを求め、この加速度apreがゼロより大きいか否かを判断する(S12)。
(渋滞区間走行制御:加速側)
【0029】
直前車の加速度apreがゼロより大きい場合、すなわち、直前車が発進又は加速を行う場合には、情報処理部21によって、自車の現在の速度Vが第1の所定速度Vより大きいか否かを判断する(S13)。自車の速度Vが第1の所定速度V以下である場合、追従制御部23によって、直前車の速度、加速度に応じて自車の速度、加速度を設定し、直前車の追従制御を行い(S14)、ステップ19へ移行する(図3の時点t2〜t3)。一方、自車の速度Vが第1の所定速度Vより大きい場合には、車間拡大制御部24によって、直前車の速度に対して自車の速度を小さく設定し、直前車との車間距離を拡大する制御を行い(S15)、ステップ19へ移行する(図3の時点t3〜t4)。
(渋滞区間走行制御:減速側)
【0030】
一方、ステップ12において、直前車の加速度apreがゼロ以下である場合、すなわち、直前車が減速する場合には、情報処理部21によって、直前車の現在の速度Vpreが第2の所定速度Vより大きいか否かを判断する(S16)。直前車の速度Vpreが第2の所定速度Vより大きい場合、車間拡大制御部24によって、直前車の速度に対して自車の速度を小さく設定し、直前車との車間距離を拡大する制御を行い(S17)、ステップ19へ移行する(図3の時点t4〜t5)。一方、直前車の速度Vpreが第2の所定速度V以下である場合には、車間縮小制御部25によって、直前車の速度に対して自車の速度を大きく設定し、直前車との車間距離を縮小する制御、すなわち減速制御の抑制を行い(S18)、ステップ19へ移行する(図3の時点t5〜t6)。なお、図3では、第1及び第2の所定速度V,Vが同一であるが、後述するシミュレーションのように(図5)のように、異なってもよい。
【0031】
ステップ19では、情報処理部21によって、渋滞区間を通過したか否かを判断し(S19)、まだ通過していない場合にはステップ11に戻って渋滞区間走行制御を継続し、通過した場合には、渋滞区間の走行制御を終了すると共に、定常速度での走行制御を行う。
【0032】
ここで、渋滞中の車両は、主に、減速、停止、発進、加速を繰り返すこととなる。このとき、停止からの発進遅れや加速時の加速遅れが、後続車の減速や停止を招き、渋滞の継続や延伸の原因となる。
【0033】
図4は、本実施形態の運転支援装置1を有さない比較例による自車の動作を示す図である。図4には、自車の速度と共に直前車及び後続車の速度と、直前車と自車との車間距離とを示す。
【0034】
図4に示すように、本実施形態の運転支援装置1を有さない比較例の場合、停止から発進するときに、直前車の発進(時点t2、t6)に対して自車の発進が時間Δt1だけ遅れてしまう。この発進遅れは後続車においても発生してしまう。また、停止発進を繰り返すたびに発生してしまう。このように、発進遅れや加速遅れは、渋滞を引き起こすだけでなく、渋滞の継続や延伸を助長してしまうこととなる。
【0035】
また、本実施形態の運転支援装置1を有さない比較例の場合、直前車が減速するときに(時点t4)、減速遅れΔt2が生じ、車間距離が縮まってしまう。その結果、急減速や停止動作が発生し、渋滞の継続や延伸を助長してしまう。
【0036】
しかしながら、本実施形態の運転支援装置1によれば、図3の時点t2〜t3に示されるように、追従制御部23によって、直前車の発進とともに加速制御を行って直前車を追従するので、自車の発進遅れや加速遅れを低減することができると共に、後続車の発進を早めることができる。その結果、交通流を改善することができ(交通量回復、平均速度向上、停止回数低減)、渋滞を緩和することが可能となる。
【0037】
更に、本実施形態の運転支援装置1によれば、図3の時点t3〜t5に示されるように、車間拡大制御部24によって、直前車との車間距離を拡大するので、減速制御を行う際に、時点t5〜t6に示されるように、車間縮小制御部25によって、直前車との車間距離を次第に詰めながら減速制御を抑制し、できる限り停止しないように速度を保ちつつ直前車との車間距離が必要最低車間距離になるまで走行し、直前車よりも停止のタイミングを遅らせることができる。その結果、図3の時点t6に示されるように、直前車が再発進するまで停止することなく、自車の停止発進回数を低減することができる。また、後続車の発進を早めることができ、更には、後続車の停止発進回数をも低減することができる。その結果、交通流をより改善することができ、渋滞をより緩和することが可能となる。
【0038】
更に、本実施形態の運転支援装置1によれば、車間拡大制御部24によって、直前車に対して相対速度差を設けているので、直前車に対する減速遅れに起因して車間距離が縮まることがない(図3の時点t4)。その結果、減速遅れに起因する急減速や停止動作が発生することがなく、渋滞をより緩和することが可能となる。
【0039】
また、本実施形態の運転支援装置1は、上記した停止発進回数の低減により、CO排出量の削減をも実現する。
【0040】
図5は、本実施形態の運転支援装置1による自車の動作に関するシミュレーション結果を示す図であり、図6は、図5に示すシミュレーション結果の分析結果を示す図である。図5には、自車の速度と共に直前車及び後続車の速度と、直前車と自車との車間距離とを示しており、シミュレーション結果における1サイクル(減速、停止、発進、加速)部分を示す。
【0041】
図5によれば、時点t2〜t3に示されるように、追従制御部23によって、直前車の発進とともに直前車を追従し、自車の発進遅れや加速遅れを低減すると共に、後続車の発進を早めていることがわかる。
【0042】
また、時点t3〜t5に示されるように、車間拡大制御部24によって、直前車との車間距離を拡大し、減速制御を行う際に、時点t5〜t6に示されるように、車間縮小制御部25によって、直前車との車間距離を次第に詰めながら減速制御を抑制し、できる限り停止しないように速度を保ちつつ直前車との車間距離が必要最低車間距離になるまで走行し、直前車よりも停止のタイミングを遅らせ、直前車が再発進するまで停止することなく、自車の停止発進回数を低減すると共に、後続車の発進を早めていることがわかる。なお、直前車の停止時間によっては、後続車の停止発進回数をも低減可能であることがわかる。
【0043】
また、時点t3〜t5に示されるように、車間拡大制御部24によって、直前車に対して相対速度差を設けることにより、直前車に対する減速遅れに起因して車間距離が縮まることがないことがわかる。
【0044】
次に、このシミュレーション結果の分析結果の図6によれば、目標車間時間として減速度2.5sに設定した場合、渋滞区間の停止回数が約2.23回低減し、その低減効果は約29.30%であった。また、渋滞区間の旅行時間が約16.82s低減し、通過時間の低減効果は約3.87%であった。また、渋滞区間のCO排出量が約30.25g削減し、その削減効果は約2.25%であった。また、渋滞区間の平均速度が約0.56m/s回復し、その回復効果は約3.86%であった。
【0045】
また、図6によれば、目標車間時間として減速度1.9sに設定した場合、渋滞区間の停止回数が約3.95回低減し、その低減効果は約51.95%であった。また、渋滞区間の旅行時間が約67.26s低減し、通過時間の低減効果は約15.46%であった。また、渋滞区間のCO排出量が約180.21g削減し、その削減効果は約13.43%であった。また、渋滞区間の平均速度が約2.58m/s回復し、その回復効果は約17.69%であった。
【0046】
また、図6によれば、目標車間時間として減速度1.3sに設定した場合、渋滞区間の停止回数が約4.14回低減し、その低減効果は約54.42%であった。また、渋滞区間の旅行時間が約90.12s低減し、通過時間の低減効果は約20.72%であった。また、渋滞区間のCO排出量が約225.63g削減し、その削減効果は約16.82%であった。また、渋滞区間の平均速度が約3.80m/s回復し、その回復効果は約26.06%であった。
【0047】
なお、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。本実施形態では、スロットルアクチュエータ31及びブレーキアクチュエータ32を自律的に制御するACC走行制御を例示したが、アクチュエータに代えて報知手段を備え、ドライバによる運転操作を誘導するような運転支援を行ってもよい。この種の報知手段としては、例えばナビゲーション装置による表示案内や音声案内などがある。
【符号の説明】
【0048】
1…運転支援装置、11…路車間通信機(情報取得手段)、12…自律センサ、20…ECU(電子制御ユニット)、21…情報処理部、22…定常走行制御部、23…追従制御部(追従制御手段)、24…車間拡大制御部(車間拡大制御手段)、25…車間縮小制御部(車間縮小制御手段)、31…スロットルアクチュエータ、32…ブレーキアクチュエータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定常速度で走行するための運転支援装置において、
直前車の発進とともに加速制御を行い、直前車を追従する追従制御手段と、
車速を直前車よりも小さくし、直前車との車間距離を次第に拡大する車間拡大制御手段と、
車速を直前車よりも大きくし、直前車との前記車間距離を次第に縮小する車間縮小制御手段と、
を備える、運転支援装置。
【請求項2】
渋滞情報を取得する情報取得手段を更に備え、
前記情報取得手段によって取得した前記渋滞情報が示す渋滞区間において、
自車の速度が第1の所定速度以下である場合に、直前車が加速するときには前記追従制御手段が動作し、
自車の速度が前記第1の所定速度より大きい場合には、前記車間拡大制御手段が動作し、
減速中に、直前車の速度が第2の所定速度以下である場合には、前記車間縮小制御手段が動作する、
請求項1に記載の運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−116187(P2011−116187A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273632(P2009−273632)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】