説明

過給機付きエンジン

【課題】低速トルクを確実に向上させることが出来る過給機付きガソリンエンジンを提供する。
【解決手段】本発明は、点火順序が不連続である第1気筒群(4b、4c)及び第2気筒群(4a、4d)を有するエンジン本体(2)と、第1気筒群の気筒に分岐して接続されると共に下流側で集合され第1の容積を有する第1排気通路(6)と、第2気筒群の気筒に分岐して接続されると共に下流側で集合され第1の容積より大きい第2の容積を有する第2排気通路(8)と、可変容量式過給機(14)と、を有し、この可変容量式過給機は、タービンの周囲に形成された内周スクロール室(20)及び外周スクロール室(22)と、内周スクロール室から外周スクロール室への排気の流れを制御する制御弁(30)と、を備え、第1排気通路は内周スクロール室に接続され、第2排気通路は外周スクロール室に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過給機付きエンジンに係り、特に可変容量式過給機付きエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
排気圧を利用した過給機(所謂ターボチャージャー)を設けたエンジンは、高い出力が得られるものの、排気エネルギの小さいエンジン低回転時に過給効率が低下するので、低速トルクが比較的小さいという特性を有する。
このような過給機において、タービンの半径方向にスクロール室を区画して内周スクロール室及び外周スクロール室を設けた可変容量式過給機が知られている(例えば、特許文献1)。このような従来の可変容量式過給機の例を図7に示す。図7に示すように、従来の可変容量式過給機では、例えば4気筒エンジンであれば、それらの4つの気筒の排気通路を1つの排気通路200に集合させて過給機202に流入させ、タービン224を回転させるようにしている。そして、低回転時には制御弁204を閉じて、内周スクロール室206にそれら4つの気筒の排気をすべて流入させて過給圧を高めている。一方、高回転時には制御弁204を開いて、内周スクロール室206及び外周スクロール室208の両方に排気を流入させて過給圧を調整している。このようにして、低速から高速まで広い回転域で過給能力を高めるようにしている。
【0003】
また、タービン軸線方向にスクロールを区画して容量及び流速のほぼ等しい2つのスクロール室を設けたツインスクロール式過給機が知られている(特許文献2)。この特許文献2に記載のツインスクロール式過給機では、各気筒の排気通路を、点火順序が連続しないグループ(例えば、点火順序が、第1気筒→第3気筒→第4気筒→第2気筒であれば、第2気筒及び第3気筒のグループと、第1気筒及び第4気筒のグループ)に分けている。そして、それらのグループの排気通路をそれぞれ各スクロール室に接続して、排気干渉を防止するようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−263078号公報
【特許文献2】特開2004−124749号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、近年、燃費の向上や環境問題への対応が強く要望されている。燃費の向上や環境問題に対しては、エンジンの排気量はなるべく小さい方が有利である。しかし、排気量を下げるとエンジン出力が低下するので、走行性能が犠牲になってしまう。このような問題の解決の一つとして、過給機によりエンジン出力を向上させて、結果として、燃費等と走行性能とを両立させることが考えられる。このようなエンジンの実用化には、上述した従来技術による過給機よりも、低速トルク、特に極低速の領域におけるトルクを向上させることが求められている。
【0006】
本出願の発明者は、排気通路の容積が小さい程排気圧力が高いことに着目し、上述した従来技術の問題の解決を試みた。
本発明は、低速トルクを確実に向上させることが出来る過給機付きガソリンエンジンを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本発明による過給機付きエンジンは、所定の点火順序で点火される複数の気筒を備え、点火順序が不連続である第1気筒群及び第2気筒群を有するエンジン本体と、第1気筒群の気筒に分岐して接続されると共に下流側で集合され第1の容積を有する第1排気通路と、第2気筒群の気筒に分岐して接続されると共に下流側で集合され第1の容積より大きい第2の容積を有する第2排気通路と、第1及び第2の排気通路の下流側に設けられこれらの排気通路を流れる排気エネルギにより作動する可変容量式過給機と、を有し、この可変容量式過給機は、タービンハウジングと、このタービンハウジングに収容され排気エネルギにより回転させられるタービンと、このタービンの周囲に形成された内周スクロール室及び外周スクロール室と、内周スクロール室から外周スクロール室への排気の流れを制御する制御弁と、を備え、第1排気通路は内周スクロール室に接続され、第2排気通路は外周スクロール室に接続されていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、点火順序が不連続である気筒群に対してそれぞれ第1或いは第2の排気通路が接続されているので、排気干渉による排気エネルギの低下が抑制され、さらに、第1排気通路は、第2排気通路より排気の容積が小さいので、その排圧の低下が少ない。そして、この第1排気通路は、過給効率の高い内周スクロール室に接続されているので、低速時の過給能力を高めることが出来る。その結果、低速トルクを確実に向上させることが出来る。
【0008】
また、本発明において、好ましくは、エンジンは、直列4気筒エンジンであり、第1気筒群は、第2気筒及び第3気筒の群であり、第2気筒群は、第1気筒及び第4気筒の群である。
このように構成された本発明においては、隣接した気筒である第2及び第3の気筒に第1排気通路が接続されるので、第1排気通路の容積を小さくし易い。従って、排圧の低下を確実に抑制して、低速トルクをより確実に向上させることが出来る。
【0009】
また、本発明において、好ましくは、タービンハウジングは、第1排気通路の下流端部が接続される第1開口部と、第2排気通路の下流端部が接続される第2開口部と、内周スクロール室及び外周スクロール室を区画する区画壁とを備え、この区画壁は、その上流側に、制御弁で開閉され内周スクロール室から外周スクロール室へ排気を流入させる第3開口部を備え、第2開口部は、この第3開口部に対向してタービンハウジングの外縁部に形成されている。
このように構成された本発明においては、第2開口部は、この第3開口部に対向してタービンハウジングの外縁部に形成されているので、第2開口部を、タービンハウジング内に制御弁を取り付けるための取付け口と、第2排気通路の接続部として兼用させることが出来る。
【0010】
また、本発明において、好ましくは、さらに、タービンをバイパスする排気バイパス通路と、過給圧が所定値以上になったときにバイパス通路を開く過給圧制御弁と、を有し、バイパス通路は、第1排気通路の排気をバイパスさせるように内周スクロール室或いは第1排気通路に接続されている。
このように構成された本発明においては、排圧が高い第1排気通路の排気がバイパスされるので、排圧が低い第2排気通路から流入する排気の量の割合の方が多くなる。また、この第2排気通路から流入する排気は、内周スクロール室より過給効率が低い外周スクロール室に流入する。従って、排圧を効果的に低下させることが出来る。
【発明の効果】
【0011】
本発明の過給機付きガソリンエンジンによれば、低速トルクを確実に向上させることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
先ず、図1及び図2により、本発明の実施形態による過給機付きエンジンの主な構成を説明する。図1は、本発明の実施形態による過給機付きエンジンの概略構成を示す上面図であり、図2は、図1のIIで示す矢印の方向から見た過給機付きエンジンの概略構成を示す側面図である。
図1に示すように、エンジン1は、エンジンブロック2に第1〜第4の気筒4a〜4dが形成された直列4気筒ガソリンエンジンである。このエンジン1では、点火が、第1気筒4a、第3気筒4c、第4気筒4d、第2気筒4bの順に行われるようになっている。従って、第2気筒4bと第3気筒4c(第1気筒群)、及び、第1気筒4aと第4気筒4d(第2気筒群)では、いずれも、排気工程が連続しない。これらの気筒4a〜4dには、気筒4a〜4dに吸気を導入する吸気通路(図示せず)が、吸気ポート(図示せず)を介して接続されている。
【0013】
次に、図1及び図2に示すように、気筒4a〜4dには、気筒4a〜4dから排気を導出する第1排気通路6及び第2排気通路8が、排気ポート(図示せず)を介して接続されている。これらの排気通路6、8は、複数の排気通路をグループ化したものであり、第1排気通路6は、第2及び第3気筒4b、4c用の分岐排気通路10b、10cと、これらの分岐排気通路10b、10cを集合させて形成された集合排気通路12aとで構成されている。第2排気通路8は、第1及び第4気筒4a、4d用の分岐排気通路10a、10dと、これらの分岐排気通路10a、10dを集合させて形成された集合排気通路12bとで構成されている。
【0014】
このように、第2気筒4b及び第3気筒4cの排気を導出するための排気通路10b、10c、12aがグループ化されて第1排気通路グループ(第1排気通路6)を構成し、第1気筒4a及び第4気筒4dの排気を導出するための排気通路10a、10d、12bがグループ化されて第2排気通路グループ(第2排気通路8)を構成している。
ここで、本実施形態では、図1に示すように、第1排気通路6は隣接した気筒4b、4c用の排気通路であるので、離間した気筒4a、4d用の排気通路10b、10cよりも、管の長さが短くなっている。従って、本実施形態では、第1排気通路6の排気容積(排気通路10b、10c、12aの容積)が、第2排気通路8の排気容積(排気通路10a、10d、12bの容積)よりも小さくなっている。
【0015】
各集合排気通路12a、12bの下流端は、可変容量式ターボ過給機14のタービン部16に接続されている。次に、図3により、この可変容量式ターボ過給機14のタービン部16の構造を説明する。図3は、図1のIII-III線に沿って見た可変容量式ターボ過給機のタービン部の断面図である。
タービン部16のタービンハウジング18内には、タービン24が設けられ、その周囲には、内周スクロール室20及び外周スクロール室22が形成されている。内周スクロール室20及び外周スクロール室22は、区画壁26によって区画されている。タービン部16の下流側には、タービン24を通過した排気が流れる共通排気通路25(図1参照)設けられている。
タービン24は、タービンハウジング18内に流入した排気エネルギにより回転し、この回転力が、吸気通路(図示せず)に設けたコンプレッサ(図示せず)を回転させ、このコンプレッサの回転により、吸気通路内の吸気が圧縮されるようになっている。
【0016】
タービンハウジング18には、内周スクロール室20の上流側に第1開口部27が形成され、外周スクロール室22の上流側に第2開口部28が形成されている。第1開口部27には、第1排気通路6の集合排気通路12aが接続され、第2開口部28には、第2排気通路8の集合排気通路12bが接続されている。このように、本実施形態では、内周スクロール室20には、第2及び第3気筒4b、4cからの排気が流入し、外周スクロール室22には、第1及び第4気筒4a、4dからの排気が流入するようになっている。
【0017】
区画壁26には、その上流側の部分に、第2及び第3気筒4b、4cから流入する排気を外周スクロール室22に流入させるための連通開口部29が形成されている。この連通開口部29は、制御弁アクチュエータ32(図1参照)により作動する制御弁30により開閉されるようになっている。また、区画壁26には、連通開口部29より下流側の部分に、外周スクロール室22の排気を内周スクロール室20に流入させるための複数の連通孔34が形成されている。
【0018】
ここで、上述した第2開口部28は、タービンハウジング18の外周壁36に、連通開口部29に対向するように形成されている。本実施形態では、この第2開口部28は、第2排気通路8の排気を導入する役割を果たすと共に、制御弁30をタービンハウジング18内に取り付けるための所謂サービスホールとしての役割を果たしている。つまり、このサービスホール28を介して制御弁30を取り付けた後に、この第2開口部28に集合排気通路12bを接続して、図3のような構成を得ている。
【0019】
本実施形態では、制御弁30は、エンジン低回転時には図3に実線で示すように閉じられるようになっている。従って、低回転時には、第2及び第3気筒4b、4cからの排気は、すべて、内周スクロール室20に流入し、第1及び第4気筒4a、4dからの排気は、すべて、外周スクロール室22に流入するようになっている。
一方、エンジン高回転時には、制御弁30は、図3に破線で示すように開かれるようになっている。従って、高回転時には、第2及び第3気筒4b、4cからの排気の一部が外周スクロール室22に流入し、過給圧が調整されるようになっている。
【0020】
ここで、内周スクロール室20に流入した排気は、タービン24の接線方向(タービン24の軸心に対する円周方向)に近い角度でタービン24に当たり、一方、外周スクロール室22に流入した排気は、連通孔34を通った後に、タービン24の接線方向に対し半径方向に傾いた角度でタービン24に当たるようになっている。従って、本実施形態では、内周スクロール室20に流入した排気による過給効率の方が高くなる。
【0021】
次に、タービン部16には、過過給の状態となったときにタービン24をバイパスさせて排気を流すバイパス通路が設けられている。図1乃至図4により、排気のバイパス通路に関する構成を説明する。図4は、排気のバイパス通路及びウェイストゲートバルブを説明するためのタービン部の断面図であり、図5は、ウェイストゲートバルブを開閉するW/Gアクチュエータの断面図である。
図4に示すように、タービンハウジング18には、内周スクロール室20に流入する排気をバイパスさせるバイパス通路40が形成されている。バイパス通路40の入口開口部42は、内周スクロール室20の上流側の部分に形成され(図3参照)、出口開口部44は、共通排気通路25に形成されている。なお、バイパス通路40の入口開口部を、第1排気通路6の集合排気通路12aに形成しても良い。
【0022】
入口開口部42は、ウェイストゲートバルブ46により開閉されるようになっている。図1及び図2に示すように、ウェイストゲートバルブ46は、リンク機構48を介してW/G(ウェイストゲートバルブ)アクチュエータ50に連結されている。なお、図1及び図2では、バイパス通路40の図示を省略している。
図5に示すように、W/Gアクチュエータ50には、隔室51及びばね52が設けられている。隔室51は吸気通路(図示せず)に接続されている。このW/Gアクチュエータ50では、吸気通路の過給圧が過過給となる所定の圧力値を超えると、過給圧がばね51の力に勝り、図5の矢印で示す方向にリンク機構48を作動させるようになっている。このようなリンク機構48の作動により、図4で破線で示すように、ウェイストゲートバルブ46が開かれる。
【0023】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
本実施形態では、第1排気通路6が、排気工程が連続しない第2気筒4bと第3気筒4c用の排気通路となっており、また、第2排気通路8が、排気工程が連続しない第1気筒4aと第4気筒4d用の排気通路となっているので、排気干渉が起こりにくくなっている。従って、排気干渉による排気エネルギの低下を抑制することが出来、その結果、過給効率を高めることが出来る。
【0024】
ここで、従来は、図7に示すように、例えば4気筒エンジンでは4つの気筒の排気通路(図示せず)を単一の集合排気通路200に接続し、この集合排気通路を可変容量式過給機202に接続していた。このような形式では、4つの気筒分のすべての排気通路を集合させているので、排気通路の容積が大きくなってしまい、排圧の低下量が大きい。一方、本実施形態では、排気通路を第1排気通路6及び第2排気通路8の2つのグループに分けているので、各排気通路6、8のそれぞれの容積が、従来の排気通路の容積よりも小さくなる。従って、排圧の低下量を小さくすることが出来る。
【0025】
さらに、上述したように、第1排気通路6の排気容積(排気通路10b、10c、12aの容積)が、第2排気通路8の排気容積(排気通路10a、10d、12bの容積)よりも小さくなっている。従って、排圧は、第1排気通路6の方が、第2排気通路8よりも大きくなる。つまり、過給能力も高くなる。そして、第1排気通路6は、上述したように、排気がタービン24の接線方向に流れることで過給効率が高くなっている内周スクロール室20に接続され、エンジン低回転時には、制御弁30が閉じられる。従って、低回転時には、過給効率を確実に且つ従来より大きく高めることが出来、その結果、低速トルクも向上する。
一方、エンジンの回転数が高まるにつれて内周スクロール室20内の排圧も高まるが、上述したように高回転時に制御弁30を開き、内周スクロール室20に流入する排気を外周スクロール室22へ逃がすようにして、過給圧を調整することが出来る。
【0026】
次に、本実施形態では、排気を共通排気通路25にリリーフするためのバイパス通路40及びウェイストゲートバルブ(過給圧制御弁)46が設けられているので、過過給時に排圧を低下させることが出来る。特に、バイパス通路40の入口開口部42が内周スクロール室20の上流側の部分に形成されているので、過過給時には、排圧が高い第1排気通路6の排気がリリーフされ、排圧が低い第2排気通路8から流入する排気の量の割合の方が多くなる。従って、効果的に排圧を低下させることが出来る。ここで、第2排気通路8から流入する排気は外周スクロール室22に流入し、この外周スクロール室22に流入した排気による過給効率は、上述したように内周スクロール20に流入した排気による過給効率より低い。従って、過過給となった過給量を効果的に低下させることが出来る。
【0027】
次に、本実施形態では、第2開口部28に第2排気通路6の集合排気通路12bを接続している。この第2開口部28は、制御弁30をタービンハウジング18内に取り付けるための所謂サービスホールを兼ねている。図7に示すように、従来、このようなサービスホール228は、制御弁204の取付後に蓋部材210で覆われる。本実施形態では、このようなサービスホールを排気の流入口として利用することにより、従来用いていた図7に示すような可変容量式過給機を、形状の変更無しに流用することが出来る。
【0028】
なお、タービン部16を、図6に示す変形例によるタービン部116のような構成としても良い。この変形例では、第2排気通路8の集合排気通路112bを接続する第2開口部128を、タービンハウジング外周壁136ではなく、第1排気通路6の集合排気通路112aを接続する第1開口部127と同じ側面部に並べて形成するようにしている。その他の基本構成は上述した実施形態と同様であり、同じ符号で示す。この変形例によるタービン部116を用いても、基本的に、上述した作用効果と同様の作用効果が得られる。
【0029】
ここで、一般に、直列4気筒型エンジンでは、点火順序を考慮すると、排気干渉が起こりにくい排気通路のグループは上述したようになる(図1参照)。つまり、第2及び第3の気筒(4b、4c)に接続される第1排気通路(6)と、第1及び第4の気筒(4a、4d)に接続される第2排気通路(8)にグループ分けされる。このような場合、第2及び第3気筒が隣接し、第1及び第4気筒が離間しているので、レイアウト上、各排気通路に容積の差が生じやすい。言い換えれば、第1排気通路(6)の容積を非常に小さくすることも可能である。また、直列4気筒エンジンでは、グループ分けにより排気干渉は非常に小さくなる。従って、直列4気筒エンジンは、本発明を適用するのに特に適したエンジン形式であると考えられる。一方、直列4気筒型以外にも、点火順序を考慮して、排気干渉が起こりにくい排気管のグループ化及び排気管の取り回しを行うことにより、例えばV型6気筒型などの他の型のエンジンにも適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態による過給機付きエンジンの概略構成を示す上面図である。
【図2】図2は、図1のIIで示す矢印の方向から見た過給機付きエンジンの概略構成を示す側面図である。
【図3】図1のIII-III線に沿って見た可変容量式ターボ過給機のタービン部の断面図である。
【図4】排気のバイパス通路及びウェイストゲートバルブを説明するためのタービン部の断面図である。
【図5】ウェイストゲートバルブを開閉するW/Gアクチュエータの断面図である。
【図6】可変容量式ターボ過給機の変形例によるタービン部の断面図である。
【図7】従来技術による可変容量式ターボ過給機のタービン部の断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 エンジン
4a〜4d 第1〜第4気筒
6 第1排気通路
8 第2排気通路
10a〜10d 分岐排気通路
12a、12b、112a、112b 集合排気通路
14 可変容量式ターボ過給機
16、116 タービン部
18 タービンハウジング
20 内周スクロール室
22 外周スクロール室
24 タービン
25 共通排気通路
26 区画壁
27、127 第1開口部
28、128 第2開口部
29 連通開口部
30 制御弁
34 連通孔
36、136 タービンハウジングの外周壁
40 バイパス通路
42 入口開口部
46 ウェイストゲートバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の点火順序で点火される複数の気筒を備え、点火順序が不連続である第1気筒群及び第2気筒群を有するエンジン本体と、
上記第1気筒群の気筒に分岐して接続されると共に下流側で集合され第1の容積を有する第1排気通路と、
上記第2気筒群の気筒に分岐して接続されると共に下流側で集合され上記第1の容積より大きい第2の容積を有する第2排気通路と、
上記第1及び第2の排気通路の下流側に設けられこれらの排気通路を流れる排気エネルギにより作動する可変容量式過給機と、を有し、
この可変容量式過給機は、タービンハウジングと、このタービンハウジングに収容され排気エネルギにより回転させられるタービンと、このタービンの周囲に形成された内周スクロール室及び外周スクロール室と、上記内周スクロール室から上記外周スクロール室への排気の流れを制御する制御弁と、を備え、
上記第1排気通路は上記内周スクロール室に接続され、上記第2排気通路は上記外周スクロール室に接続されていることを特徴とする過給機付きエンジン。
【請求項2】
上記エンジンは、直列4気筒エンジンであり、
上記第1気筒群は、第2気筒及び第3気筒の群であり、上記第2気筒群は、第1気筒及び第4気筒の群である請求項1記載の過給機付きエンジン。
【請求項3】
上記タービンハウジングは、上記第1排気通路の下流端部が接続される第1開口部と、上記第2排気通路の下流端部が接続される第2開口部と、上記内周スクロール室及び上記外周スクロール室を区画する区画壁とを備え、
この区画壁は、その上流側に、上記制御弁で開閉され上記内周スクロール室から上記外周スクロール室へ排気を流入させる第3開口部を備え、
上記第2開口部は、この第3開口部に対向して上記タービンハウジングの外縁部に形成されている請求項1記載の過給機付きエンジン。
【請求項4】
さらに、上記タービンをバイパスする排気バイパス通路と、過給圧が所定値以上になったときに上記バイパス通路を開く過給圧制御弁と、を有し、
上記バイパス通路は、上記第1排気通路の排気をバイパスさせるように上記内周スクロール室或いは上記第1排気通路に接続されている請求項1に記載の過給機付きエンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−211606(P2007−211606A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−29725(P2006−29725)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】