説明

過電流検出回路および負荷駆動装置

【課題】回路用電源電圧としてむやみに高い電圧を用いることなく、シャント抵抗の低電位側端子の電圧がグランド電位付近となる異常が原因で生じる過電流を検出する。
【解決手段】検出電流出力部11は、シャント抵抗Rsの各端子電圧を入力し、その入力した電圧から負荷2に流れる電流に応じた検出電流を出力する。過電流判定部12は、検出電流に基づいて負荷2に過電流が流れているか否かを判定する。検出電流出力部11において、通常時に駆動用電源電圧Vdに近い電圧が印加される部分と、回路用電源電圧Vcに近い電圧が印加される部分との間の経路に第1ダイオードD1および第2ダイオードD2を逆方向に介在させることにより、第1トランジスタT1および第2トランジスタT2がブレークダウンして電流が流れることを阻止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷に流れる過電流を検出する過電流検出回路およびその過電流検出回路を備えた負荷駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駆動用電源から負荷に対する電力供給を制御して負荷を駆動する負荷駆動装置には、負荷に流れる過電流を検出する過電流検出回路が設けられることが一般的である。このような過電流検出回路としては、負荷電流が流れる経路に介在するシャント抵抗の各端子電圧を入力し、その入力した電圧に基づいて負荷に過大な電流が流れているか否かを判断するという構成が広く用いられている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−225087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の過電流検出回路には次のような問題があった。すなわち、一般に過電流検出回路に供給される回路用電源電圧は、上記駆動用電源から出力される駆動用電源電圧に比べて低い。そのため、従来の過電流検出回路により、シャント抵抗の低電位側端子の電圧がグランド電位付近となる異常(地絡)が原因で生じる過電流を検出するためには、過電流検出回路の入力に定常的に高い電圧が加わる構成を採用せざるを得ない。そのため、回路用電源電圧として高い電圧を用いるなどして過電流検出回路を構成するトランジスタに対してその耐圧を超える電圧が加わらないようにするなどの対策が必要であった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、回路用電源電圧としてむやみに高い電圧を用いることなく、シャント抵抗の低電位側端子の電圧がグランド電位付近となる異常が原因で生じる過電流を検出することができる過電流検出回路および負荷駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の手段によれば、シャント抵抗、検出電流出力部および過電流判定部を備えた過電流検出回路である。シャント抵抗は、負荷駆動用電源から一対の電源線を通じて駆動用電源電圧の供給を受ける負荷と、それら一対の電源線のうち高電位側の電源線との間の給電経路に介在するように設けられる。従って、シャント抵抗の各端子のうち、高電位側の電源線側に接続される端子が高電位側端子となり、負荷側に接続される端子が低電位側端子となる。検出電流出力部は、シャント抵抗の各端子電圧を入力し、その入力した電圧から負荷に流れる電流に応じた検出電流を出力するものであり、具体的には次のように構成される。
【0007】
すなわち、検出電流出力部は、PNP形の第1トランジスタ、NPN形の第2トランジスタ、第1ダイオードおよび第2ダイオードを備えている。第1トランジスタは、駆動用電源電圧に比べて低い回路用電源電圧を供給するための回路用電源供給端子とシャント抵抗の低電位側端子との間にエミッタ・コレクタ間が接続される。第2トランジスタは、回路用電源供給端子とシャント抵抗の低電位側端子との間にコレクタ・エミッタ間が接続される。第1ダイオードは、第1トランジスタのエミッタと回路用電源供給端子との間に逆方向に介在して設けられる。第2ダイオードは、シャント抵抗の低電位側端子と第2トランジスタのエミッタとの間に逆方向に介在して設けられる。抵抗は、第2トランジスタのエミッタとシャント抵抗の低電位側端子との間に介在して設けられる。また、第1トランジスタのエミッタと第2トランジスタのベースとの間は、第1ダイオードを逆方向に介して接続される。
【0008】
このような構成によれば、シャント抵抗の高電位側端子の電圧が第1トランジスタのベース・エミッタ間、第1ダイオードのカソード・アノード間、第2トランジスタのベース・エミッタ間および第2ダイオードのアノード・カソード間を通じて抵抗の一方の端子に印加されるとともに、シャント抵抗の低電位側端子の電圧が抵抗の他方の端子に印加されることになる。あるいは、シャント抵抗の高電位側端子の電圧が第1トランジスタのベース・エミッタ間、第1ダイオードのカソード・アノード間および第2トランジスタのベース・エミッタ間を通じて抵抗の一方の端子に印加されるとともに、シャント抵抗の低電位側端子の電圧が第2ダイオードのカソード・アノード間を通じて抵抗の他方の端子に印加されることになる。これにより、抵抗の端子間には、シャント抵抗の端子間電圧と同程度の電圧が印加される。そのため、抵抗には負荷に流れる電流に応じた電流が流れることになる。検出電流出力部は、このような抵抗に流れる電流に応じた検出電流を出力する。
【0009】
過電流判定部は、上記した構成の検出電流出力部から出力される検出電流に基づいて負荷に過電流が流れているか否かを判定する。このような構成によれば、負荷のシャント抵抗側の端子(=シャント抵抗の低電位側端子)の電圧がグランド電位(接地電位=0V)付近となる異常(地絡)が原因で生じる過電流を検出することができる。
【0010】
さらに、本手段によれば、次のような作用が得られる。すなわち、過電流が流れることなく通常どおり負荷が駆動されているとき(通常動作時)、第1トランジスタのベースには駆動用電源電圧に近い電圧が与えられており、第1トランジスタのエミッタには回路用電源電圧に近い電圧が与えられている。そのため、第1トランジスタのベース・エミッタ間には、駆動用電源電圧および回路用電源電圧の差に応じた電圧が印加される。また、第1トランジスタのコレクタには駆動用電源電圧よりシャント抵抗の端子間電圧だけ低い電圧が与えられている。なお、通常、過電流が流れていないときのシャント抵抗の端子間電圧は極めて低い値となる。そのため、第1トランジスタのコレクタ・エミッタ間には、駆動用電源電圧および回路用電源電圧の差に応じた電圧が印加される。一方、通常動作時、第2トランジスタのエミッタには駆動用電源電圧よりシャント抵抗の端子間電圧だけ低い電圧が与えられており、第2トランジスタのコレクタには回路用電源電圧に近い電圧が与えられている。そのため、第2トランジスタのエミッタ・コレクタ間には、駆動用電源電圧および回路用電源電圧の差に応じた電圧が印加される。
【0011】
従って、駆動用電源電圧および回路用電源電圧の差が大きいほど、通常動作時に第1トランジスタのベース・エミッタ間、第1トランジスタのコレクタ・エミッタ間および第2トランジスタのエミッタ・コレクタ間に高い電圧(過電圧)が印加されることになる。その印加される過電圧が第1、第2トランジスタの耐圧(エミッタ・ベース間またはコレクタ・エミッタ間の耐圧)を超えた場合、第1、第2トランジスタがブレークダウンして電流が流れ、第1、第2トランジスタが故障に至る可能性がある。
【0012】
しかし、本手段の構成では、第1、第2トランジスタがブレークダウンすることにより流れる電流の経路には、その電流経路に対して逆方向となるように第1、第2ダイオードが設けられている。そのため、第1、第2トランジスタがブレークダウンして電流が流れることが抑止され、第1、第2トランジスタが故障する事態は生じない。従って、本手段によれば、回路用電源電圧を高くするなどして駆動用電源電圧と回路用電源電圧との差を小さくする必要がなくなるため、回路用電源電圧を設定する上での設計自由度が増すという効果が得られる。このように、本手段によれば、回路用電源電圧としてむやみに高い電圧を用いることなく、シャント抵抗の低電位側端子の電圧がグランド電位付近となる異常が原因で生じる過電流を検出することができる。
【0013】
請求項2に記載の手段によれば、過電流判定部は、一方の端子に基準電位が与えられる検出抵抗を備えている。そして、過電流判定部は、その検出抵抗に検出電流を流すことにより検出抵抗の端子間に生じる検出電圧と、基準電位を基準に生成される判定電圧とを比較し、検出電圧が判定電圧を超えると負荷に過電流が流れていると判定する。この場合、検出電圧および判定電圧は、いずれも基準電位を基準として生成される電圧であるため、例えば回路用電源電圧の変動の影響を受けることがない。そのため、本手段によれば、電源電圧の変動などの影響を極力排除した上で過電流の判定が行われるため、その判定精度が高くなるという効果が得られる。
【0014】
請求項3に記載の手段によれば、第1ダイオードおよび第2ダイオードは、バイポーラトランジスタのPN接合を利用して構成されている。このような構成の第1ダイオードおよび第2ダイオードを採用した場合であっても、上記各手段と同様の作用および効果を得ることができる。
【0015】
請求項4に記載の手段によれば、検出電流出力部は、第2トランジスタのコレクタ電流を入力とするカレントミラー回路を備えている。そして、検出電流出力部は、そのカレントミラー回路の出力電流を検出電流として出力する。このように、カレントミラー回路を主体として検出電流出力部を構成することにより、回路規模を比較的小さくすることができる。
【0016】
請求項5に記載の手段によれば、上記各手段のいずれか一つに記載の過電流検出回路と、駆動制御回路とを備えた負荷駆動装置である。駆動制御回路は、負荷駆動用電源から負荷への給電を制御することにより、負荷の駆動を制御する。また、駆動制御回路は、過電流判定部により負荷に過電流が流れていると判定されると、負荷に対する給電について所定の保護動作を実行する。このような構成によれば、シャント抵抗の低電位側端子の電圧がグランド電位付近となる異常(地絡)が原因で負荷に過電流が流れると、その状態を検出して所定の保護動作が実行されるため、過電流による負荷や回路の故障を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すもので、負荷駆動装置の概略的な構成図
【図2】第2の実施形態を示す図1相当図
【図3】第3の実施形態を示すもので、過電流検出回路の概略的な構成図
【図4】耐圧保持部の段数を変更した変形例を示す図3相当図
【図5】トランジスタのPN接合を利用して構成されるダイオードを示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1を参照しながら説明する。
図1は、負荷駆動装置の概略的な構成を示している。図1に示す負荷駆動装置1は、負荷駆動用電源(図示せず)から負荷2への給電を制御することにより負荷2の駆動を制御する駆動制御回路3と、負荷2に流れる過電流を検出する過電流検出回路4とを備えている。負荷2は、抵抗性負荷であり、その抵抗値は例えば4.99Ωとなっている。負荷駆動装置1には、上記負荷駆動用電源から一対の電源線5、6を通じて駆動用電源電圧Vdが供給される。駆動用電源電圧Vdの定常値は、例えば+50Vとなっている。また、負荷駆動装置1には、回路用電源(図示せず)から一対の電源線7、6を通じて回路用電源電圧Vcが供給される。回路用電源電圧Vcの定常値は、駆動用電源電圧Vdに比べて低い値であり、例えば+5Vとなっている。
【0019】
駆動制御回路3は、Pチャネル型のパワーMOSFETである負荷駆動用のトランジスタM1、抵抗R1、制御部8、駆動部9などを備えている。トランジスタM1のソースは、高電位側の電源線5に接続されている。トランジスタM1のドレインは、過電流検出回路4のシャント抵抗Rs、負荷接続端子P1および負荷2を通じて低電位側の電源線6に接続されている。トランジスタM1のゲート・ソース間は、抵抗R1を介して接続されている。抵抗R1は、トランジスタM1のゲートが駆動されていないときにトランジスタM1を確実にオフするために設けられている。制御部8は、図示しない上位の制御回路から与えられる指令信号に従いトランジスタM1のゲートを駆動するゲート信号Sgを生成する。そのゲート信号Sgは、制御部8の出力段に設けられたAND回路10を通じて駆動部9に与えられる。
【0020】
AND回路10の非反転入力端子には、ゲート信号Sgが与えられる。AND回路10の反転入力端子には、過電流検出回路4から出力される過電流判定信号Saが与えられる。このような構成により、過電流判定信号SaがLレベル(例えば電源線6の電位=0V)であるとき、ゲート信号Sgがそのまま駆動部9に与えられる。一方、過電流判定信号SaがHレベル(例えば電源線7の電位=+5V)であるとき、ゲート信号Sgは常時Lレベルに固定された状態で駆動部9に与えられる。
【0021】
駆動部9は、図示しないチャージポンプ回路などを備えており、制御部8から与えられるゲート信号Sgに従ったゲート駆動信号Sdを出力する。ゲート駆動信号Sdは、ゲート信号Sgを、反転するとともにトランジスタM1のゲートを駆動可能な電圧まで昇圧した信号である。駆動部9から出力されるゲート駆動信号Sdは、トランジスタM1のゲートに与えられる。
【0022】
過電流検出回路4は、シャント抵抗Rsと、検出電流出力部11と、過電流判定部12とを備えている。シャント抵抗Rsの一方の端子はトランジスタM1のドレインに接続され、他方の端子は負荷2に接続されている。つまり、シャント抵抗Rsは、高電位側の電源線5と負荷2との間の給電経路に介在している。従って、シャント抵抗Rsの各端子のうち、高電位側の電源線5側に接続される端子が高電位側端子となり、負荷2側に接続される端子が低電位側端子となる。シャント抵抗Rsの抵抗値は、例えば10mΩ(=0.01Ω)となっている。
【0023】
検出電流出力部11は、シャント抵抗Rsの各端子電圧を入力し、その入力した電圧から電流IL(負荷2に流れる電流)に応じた検出電流を生成して出力する。検出電流出力部11は、PNP形バイポーラトランジスタである第1トランジスタT1と、NPN形バイポーラトランジスタである第2トランジスタT2と、第1ダイオードD1と、第2ダイオードD2と、抵抗R2と、所定の定電流を出力する電流源13と、カレントミラー回路14とを備えている。
【0024】
第1トランジスタT1のベースは、シャント抵抗Rsの高電位側端子に接続されている。第1トランジスタT1のコレクタは、シャント抵抗Rsの低電位側端子に接続されている。第1トランジスタT1のエミッタは、第1ダイオードD1のカソードに接続されている。第1ダイオードD1のアノードは、電流源13を通じて電源線7(回路用電源供給端子に相当)に接続されている。つまり、第1ダイオードD1は、第1トランジスタT1のエミッタと電源線7との間に逆方向に介在している。
【0025】
第2トランジスタT2のベースは、第1ダイオードD1のアノードに接続されている。つまり、第1トランジスタT1のエミッタと第2トランジスタT2のベースとの間は、第1ダイオードD1を逆方向に介して接続されている。第2トランジスタT2のコレクタは、カレントミラー回路14を通じて電源線7に接続されている。第2トランジスタT2のエミッタは、第2ダイオードD2のアノードに接続されている。第2ダイオードD2のカソードは、抵抗R2を介してシャント抵抗Rsの低電位側端子に接続されている。つまり、第2ダイオードD2は、シャント抵抗Rsの低電位側端子と第2トランジスタT2のエミッタとの間に逆方向に介在している。なお、抵抗R2の抵抗値は、例えば10kΩとなっている。
【0026】
カレントミラー回路14は、2つのトランジスタT3、T4により構成されている。トランジスタT3、T4は、いずれもPNP形バイポーラトランジスタであり、互いのエミッタおよび互いのベースがそれぞれ共通接続されている。トランジスタT3、T4の共通のエミッタは、電源線7に接続されている。入力側のトランジスタT3のベースおよびコレクタは共通接続されるとともに、第2トランジスタT2のコレクタに接続されている。この場合、出力側のトランジスタT4のコレクタ電流が検出電流となる。また、カレントミラー回路14のミラー比は1:1となっている。このような構成により、カレントミラー回路14は、第2トランジスタT2のコレクタ電流を入力とし、そのコレクタ電流と同等の検出電流を出力する。
【0027】
過電流判定部12は、検出抵抗Rdと、電圧源15と、コンパレータCP1とを備えている。検出抵抗Rdの一方の端子は、電源線6に接続されている。つまり、検出抵抗Rdの一方の端子には、電源線6の電位である0V(グランド電位)が与えられている。本実施形態では、電源線6の電位が基準電位に相当する。検出抵抗Rdの他方の端子は、検出電流出力部11のトランジスタT4のコレクタに接続されている。検出抵抗Rdの抵抗値は、例えば30kΩとなっている。電圧源15は、電源線6の電位を基準に判定電圧Vrefを生成する。判定電圧Vrefの電圧値は、例えば+0.9Vとなっている。
【0028】
コンパレータCP1の非反転入力端子には、検出抵抗Rdの他方の端子の電圧である検出電圧Vdetが与えられる。コンパレータの反転入力端子には、判定電圧Vrefが与えられる。コンパレータCP1は、検出電圧Vdetおよび判定電圧Vrefを比較し、その比較結果を示す過電流判定信号Saを出力する。過電流判定信号Saは、検出電圧Vdetが判定電圧Vrefを上回るとHレベル(例えば電源線7の電位=+5V)となる。また、過電流判定信号Saは、検出電圧Vdetが判定電圧Vrefを下回るとLレベル(例えば電源線6の電位=0V)となる。
【0029】
次に、上記構成の作用について説明する。
まず、負荷2に過大な電流が流れることなく、負荷駆動装置1による負荷2の駆動が正常に行われているとき(通常時)の動作について説明する。通常時、トランジスタM1がオン駆動されていれば、負荷2に流れる電流ILは10A(=50V/(0.01Ω+4.99Ω))となる。このとき、シャント抵抗Rsの高電位側端子の電圧は約50Vであり、低電位側端子の電圧は約49.9Vである。シャント抵抗Rsの高電位側端子の電圧は、第1トランジスタT1のベース・エミッタ間、第1ダイオードD1のカソード・アノード間、第2トランジスタT2のベース・エミッタ間および第2ダイオードD2のアノード・カソード間を通じて抵抗R2の一方の端子に印加される。また、シャント抵抗Rsの低電位側端子の電圧は、抵抗R2の他方の端子に印加される。ここで、第1トランジスタT1、第2トランジスタT2、第1ダイオードD1および第2ダイオードD2の順方向電圧VFが互いに等しいとすると、抵抗R2の端子間には、シャント抵抗Rsの端子間電圧と等しい電圧(0.1V)が印加される。
【0030】
上記構成においては、回路用電源電圧Vcが下記(1)式の条件を満たす場合には第2トランジスタT2のコレクタ電流が流れる。ただし、V(R2)は抵抗R2の端子間電圧を示し、VF(D2)は第2ダイオードD2の順方向電圧を示し、Vce(sat)は第2トランジスタT2のコレクタ・エミッタ間飽和電圧を示し、VF(T3)はトランジスタT3の順方向電圧を示している。
Vc≧V(R2)+VF(D2)+Vce(sat)+VF(T3) …(1)
【0031】
回路用電源電圧Vcの定常値は+5Vであるため、回路用電源電圧Vcが通常どおり供給されていれば上記条件が満たされる。そのため、第2トランジスタT2に10μA(=0.1V/10kΩ)のコレクタ電流が流れ、これによりカレントミラー回路14から10μAの検出電流が出力される。その検出電流が検出抵抗Rdに流れることにより生じる検出電圧Vdetは0.3Vとなり、判定電圧Vref(0.9V)を下回る。従って、コンパレータCP1から出力される過電流判定信号SaはLレベルとなり、駆動制御回路3において制御部8から出力されるゲート信号Sgに従ってトランジスタM1が駆動される。
【0032】
続いて、負荷2に過大な電流が流れたとき(過電流時)の動作について説明する。例えば負荷接続端子P1(シャント抵抗Rsおよび負荷2の相互接続点)と電源線6との間が短絡した場合(地絡状態)、最大で5000Aの電流ILが流れることになる。なお、このような地絡状態は、例えば、負荷接続端子P1、または負荷接続端子P1と負荷2とを接続するための配線などが接地電位を持つ部分(筐体の金属部分など)に接触するなどした場合に起こり得る。しかし、実際には配線などのインダクタンス(L成分)およびキャパシタンス(C成分)が存在するため、直ちに5000Aもの大電流が流れることはなく、その電流値は定常時の電流値(10A)から徐々に上昇する。
【0033】
上述したように電流ILが徐々に上昇し、30Aに至った時点におけるシャント抵抗Rsの各端子電圧は次のとおりとなる。すなわち、シャント抵抗Rsの高電位側端子の電圧(第1トランジスタT1のベース電位)は0.3Vとなり、低電位側端子の電圧(第1トランジスタT1のコレクタ電位)は0Vとなる。従って、抵抗R2の端子間には、0.3Vの電圧が印加される。そのため、第2トランジスタT2に30μAのコレクタ電流が流れ、これによりカレントミラー回路14から30μAの検出電流が出力される。その検出電流が検出抵抗Rdに流れることにより生じる検出電圧Vdetは0.9Vとなり、判定電圧Vref(0.9V)と等しくなる。
【0034】
従って、電流ILが30Aを少しでも上回ると、検出電圧Vdetが判定電圧Vrefを上回り、コンパレータCP1から出力される過電流判定信号SaがHレベルに転じる。すると、駆動制御回路3において駆動部9から出力されるゲート駆動信号SdがHレベル(電源線5の電位=駆動用電源電圧Vd)に固定され、トランジスタM1がオフ駆動される。これにより、駆動用電源から負荷2に対する電力供給が断たれることになる。上記した各動作(過電流保護動作)が行われることにより、30Aを超える電流Iが流れることが防止される。
【0035】
本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
通常時(定常時)、トランジスタM1がオン駆動されていれば、第1トランジスタT1のベースには、駆動用電源電圧Vdに近い電圧(駆動用電源電圧Vdからオン状態のトランジスタM1のソース・ドレイン間電圧を減じた電圧)が与えられている。また、第1トランジスタT1のエミッタには、回路用電源電圧Vcに近い電圧(電流源13における電圧降下が無視できる程度であるとすれば、回路用電源電圧Vcから第1ダイオードD1の順方向電圧VFを減じた電圧)が与えられている。このようなことから、第1トランジスタT1のベース・エミッタ間には、駆動用電源電圧Vdおよび回路用電源電圧Vcの差に応じた電圧が印加されていると言える。
【0036】
また、第1トランジスタT1のコレクタにも、そのベースと同様に、駆動用電源電圧Vdに近い電圧(駆動用電源電圧Vdからオン状態のトランジスタM1のソース・ドレイン間電圧およびシャント抵抗Rsの端子間電圧を減じた電圧)が与えられている。このようなことから、第1トランジスタT1のコレクタ・エミッタ間には、駆動用電源電圧Vdおよび回路用電源電圧Vcの差に応じた電圧が印加されていると言える。
【0037】
一方、第2トランジスタT2のエミッタにも、第1トランジスタT1のベースおよびコレクタと同様に、駆動用電源電圧Vdに近い電圧が与えられている。具体的には、第2トランジスタT2のエミッタには、駆動用電源電圧Vdからオン状態のトランジスタM1のソース・ドレイン間電圧およびシャント抵抗Rsの端子間電圧を減じた電圧に対し、電圧V(R2)および電圧VF(D2)を加えた電圧が与えられている。また、第2トランジスタT2のコレクタには、回路用電源電圧Vcに近い電圧(回路用電源電圧Vcから電圧VF(T3)を減じた電圧)が与えられている。このようなことから、第2トランジスタT2のエミッタ・コレクタ間には、駆動用電源電圧Vdおよび回路用電源電圧Vcの差に応じた電圧が印加されていると言える。
【0038】
従って、上記構成においては、駆動用電源電圧Vdおよび回路用電源電圧Vcの差が大きいほど、通常時に第1トランジスタT1のベース・エミッタ間、第1トランジスタT1のコレクタ・エミッタ間および第2トランジスタT2のエミッタ・コレクタ間に高い電圧(過電圧)が印加されることになる。その印加される過電圧がトランジスタT1、T2の耐圧(エミッタ・ベース間またはコレクタ・エミッタ間の耐圧)を超えた場合、トランジスタT1、T2がブレークダウンして電流が流れ、トランジスタT1、T2が故障に至る可能性がある。
【0039】
しかし、本実施形態の構成では、トランジスタT1、T2がブレークダウンした場合に流れる電流の経路には、その電流経路に対して逆方向となるように第1ダイオードD1および第2ダイオードD2が設けられている。そのため、トランジスタT1、T2がブレークダウンして電流が流れることが抑止され、トランジスタT1、T2が故障する事態は生じない。従って、本実施形態によれば、例えば回路用電源電圧Vcを高くするなどして駆動用電源電圧Vdとの差を小さくする必要がなくなるため、回路用電源電圧Vcを設定する上での設計自由度が増すという効果が得られる。
【0040】
このように、本実施形態の過電流検出回路4は、回路用電源電圧Vcとしてむやみに高い電圧を用いることなく、シャント抵抗Rsの低電位側端子の電圧がグランド電位(0V)付近となる異常(地絡)が原因で生じる過電流を検出することができる。そして、過電流検出回路4は、負荷2に過電流が流れていることを検出すると、駆動制御回路3に対してHレベルの過電流判定信号Saを出力する。駆動制御回路3は、Hレベルの過電流判定信号Saが与えられると、ゲート駆動信号SdをHレベルに固定してトランジスタM1をオフ駆動し、駆動用電源から負荷2に対する電力供給を停止する(保護動作)。このように、本実施形態によれば、地絡が原因で負荷2に過電流が流れると、その状態を検出して保護動作が実行されるため、過電流による負荷2や駆動制御回路3などの各回路の故障を未然に防止することができる。
【0041】
検出電流出力部11は、第2トランジスタT2のコレクタ電流を入力とするカレントミラー回路14を備えた構成とした。このような構成を採用することにより、後述する第2の実施形態の構成に比べると、回路規模を低減することができる。また、過電流判定部12は、一方の端子に電源線6の電位(0V)が与えられる検出抵抗Rdに検出電流出力部11から出力される検出電流を流すことにより生じる検出電圧Vdetと、電源線6の電位を基準に生成される判定電圧Vrefとを比較し、その比較結果に基づいて過電流を判定する。この場合、検出電圧Vdetおよび判定電圧Vrefは、いずれも電源線6の電位を基準として生成される電圧である。そのため、検出電圧Vdetおよび判定電圧Vrefの比較については、回路用電源電圧Vcが変動してもその変動の影響を受けることがない。従って、過電流判定部12は、電源電圧の変動などの影響を極力排除した上で過電流の判定を行うことができるため、その判定精度が高められるという効果が得られる。
【0042】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について図2を参照しながら上記実施形態と異なる点を主体に説明する。
図2は、第1の実施形態における図1相当図であり、本実施形態の負荷駆動装置の構成を示している。図2に示す負荷駆動装置31が備える過電流検出回路32は、図1に示した過電流検出回路4に対し、検出電流出力部11に代えて検出電流出力部33を備えている点と、過電流判定部12に代えて過電流判定部34を備えている点とが異なる。
【0043】
検出電流出力部33は、検出電流出力部11に対し、カレントミラー回路14が省かれている。つまり、検出電流出力部33では、第2トランジスタT2のコレクタ電流がそのまま検出電流となる。過電流判定部34は、過電流判定部12に対し、電圧源15に代えて電流源35および抵抗R31を備えている点と、検出抵抗Rdの接続位置が変更されている点とが異なる。
【0044】
検出抵抗Rdは、電源線7と検出電流出力部33の第2トランジスタT2のコレクタとの間に接続されている。このような構成によれば、検出電流が検出抵抗Rdに流れることにより、検出抵抗Rdの端子間に電源線7の電位(+5V)を基準とした検出電圧Vdetが生じる。コンパレータCP1の非反転入力端子には、検出抵抗Rdおよび第2トランジスタT2のコレクタの相互接続点を通じて検出電圧Vdetが与えられる。
【0045】
電源線7、6間には、抵抗R31および電流源35の直列回路が接続されている。電流源35は、所定の定電流を出力する。このような構成によれば、抵抗R31の端子間に電源線7の電位(+5V)を基準とした判定電圧Vrefが生じる。コンパレータCP1の反転入力端子には、抵抗R31および電流源35の相互接続点を通じて判定電圧Vrefが与えられる。この場合、検出電圧Vdetおよび判定電圧Vrefは、いずれも電源線7の電位(回路用電源電圧Vc)を基準として生成されている。つまり、本実施形態では、電源線7の電位が基準電位に相当する。そのため、検出電圧Vdetおよび判定電圧Vrefの比較については、回路用電源電圧Vcが変動したとしてもその変動の影響を受けることがない。
【0046】
上記構成においても、コンパレータCP1は、負荷2に流れる電流に応じた検出電圧Vdetおよび判定電圧Vrefを比較し、その比較結果を示す過電流判定信号Saを出力する。そして、駆動制御回路3は、第1の実施形態と同様に、過電流判定信号Saに基づいて所定の保護動作を実行する。また、本実施形態の構成においても、トランジスタT1、T2がブレークダウンすることにより流れる電流の経路には、その電流経路に対して逆方向となるように第1ダイオードD1および第2ダイオードD2が設けられている。従って、本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の作用および効果が得られる。
【0047】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態について図3および図4を参照しながら上記各実施形態と異なる点を主体に説明する。
上記各実施形態では、負荷2のシャント抵抗Rs側の端子の電圧がグランド電位付近となる異常(地絡)が原因で生じる過電流について検出することができるものの、高電圧(駆動用電源電圧Vd)付近となる異常が原因で生じる過電流について検出することはできない。そこで、上記各実施形態の構成に加え、図3に示す構成の過電流検出回路を追加的に設ける。
【0048】
図3に示す過電流検出回路41において、シャント抵抗Rs’は、図示しない駆動用電源から負荷に対する給電経路に介在して設けられる。シャント抵抗Rs’の一方の端子は電源線42に接続されている。その電源線42と、グランド電位(0V)が与えられる電源線43との間には、トランジスタTr1、2つのトランジスタTraおよび電流源44が直列接続されている。また、電源線42、43間には、抵抗R41、トランジスタTr2、2つのトランジスタTrbおよび抵抗R42が直列接続されている。なお、トランジスタTr1、Tra、Trbは、いずれもNPN形バイポーラトランジスタであり、トランジスタTr2はPNP形バイポーラトランジスタである。さらに、電源線42、43間には、抵抗Ra、Rb、Rcが直列接続されている。
【0049】
トランジスタTr1のエミッタは、トランジスタTr2のベースに接続されている。トランジスタTraおよびトランジスタTrbは、互いのベースが共通接続されている。トランジスタTraおよびトランジスタTrbの共通のベースは、抵抗Rbの各端子に接続されている。このような構成において、トランジスタTr1、Tr2、抵抗R41および電流源44によりI/V変換部45が構成される。また、トランジスタTra、Trbおよび抵抗Ra、Rb、Rcにより、耐圧保持部46が構成される。
【0050】
I/V変換部45は、シャント抵抗Rs’に流れる電流Iを出力電圧Voutに変換するものである。出力電圧Voutは、トランジスタTrbおよび抵抗R42の相互接続点を通じて出力される。耐圧保持部46は、各素子にかかる電圧を各々の素子耐圧以下になるように分散して回路全体としての耐圧を確保するものである。なお、抵抗Ra、Rb、Rcは、各々の素子耐圧以下となるように抵抗値が選定されている。
【0051】
上記構成によれば、電流Iがシャント抵抗Rs’に流れることにより、入力電圧Vinが生じる。トランジスタTr1、Tr2として、順方向電圧VFが互いに等しいものを用いた場合、抵抗R41の端子間に印加される電圧は入力電圧Vinに等しくなる。そのため、抵抗R41に流れる電流I41は、下記(2)式に示すようになる。ただし、抵抗R41の抵抗値をそのままR41として示している。
I41=Vin/R41 …(2)
【0052】
トランジスタTr2の直流電流増幅率hFEが十分に高い場合、抵抗R42には、電流I41に等しい電流が流れることになる。従って、出力電圧Voutは、下記(3)式に示すようになる。ただし、抵抗R42の抵抗値をそのままR42として示し、シャント抵抗Rs’の抵抗値をRsとして示している。
Vout=(R42/R41)・I・Rs …(3)
上記(3)式に示すように、出力電圧Voutは、電流Iに応じてリニアに変化する。
【0053】
このような出力電圧Voutと、所定の判定電圧とを比較することにより、電流Iが過大な値であるか否か、つまり負荷に過電流が流れているか否かを判定することができる。従って、上記各実施形態の構成に対し、本実施形態の過電流検出回路41を追加的に設けることにより、グランド付近から高電圧付近までの過電流を検出することが可能となる。
なお、耐圧保持部の段数は適宜変更することができる。その段数の変更は、図4に示す過電流検出回路51のように、耐圧保持部52のトランジスタTra、Trbおよび抵抗Rbの数を変更することにより実現できる。
【0054】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に記載した各実施形態に限定されるものではなく、次のような変形または拡張が可能である。
上記各実施形態において例示した抵抗値、電圧値などの各値については、回路の仕様(過電流の検出値など)に応じて適宜変更可能である。
駆動制御回路は、図1に示す構成に限らずともよく、負荷駆動用電源から負荷2への給電を制御する構成であればよい。例えば、負荷駆動用トランジスタM1として、Nチャネル型のパワーMOSFET、バイポーラトランジスタ、IGBTなど、他のトランジスタを用いる構成を採用することができる。検出電流出力部は、図1および図2に示す構成に限らずともよく、シャント抵抗Rsの各端子電圧から電流ILに応じた検出電流を生成して出力する構成であればよい。過電流判定部は、図1および図2に示す構成に限らずともよく、検出電流出力部から出力される検出電流に基づいて負荷2に過電流が流れているか否かを判定する構成であればよい。
【0055】
駆動制御回路3による保護動作としては、トランジスタM1をオフ駆動する動作に限らずともよく、過電流が原因で負荷2や各回路が故障する事態を未然に防止することができる動作であれば適宜変更可能である。例えば、過電流が検出されると、トランジスタM1のオン状態を制御して負荷2に流れる電流を所定値に制御する(絞る)といった動作などを採用することができる。
第2ダイオードD2および抵抗R2の接続位置を入れ替えてもよい。このように接続位置を入れ替えた場合であっても、接続位置を入れ替えない場合と同様の作用および効果が得られる。
【0056】
第1ダイオードD1および第2ダイオードD2は、図5に示すように、バイポーラトランジスタのPN接合を利用して構成することも可能である。NPN形バイポーラトランジスタを用いる場合、ベースおよびエミッタを共通接続するパターン(a)、ベースおよびコレクタを共通接続するパターン(b)、コレクタおよびエミッタを共通接続するパターン(c)が挙げられる。また、PNP形バイポーラトランジスタを用いる場合、ベースおよびコレクタを共通接続するパターン(d)、ベースおよびエミッタを共通接続するパターン(e)、コレクタおよびエミッタを共通接続するパターン(f)が挙げられる。ただし、上記各パターンは、バイポーラトランジスタのデバイス構造により、耐圧および順方向電圧VFの値がそれぞれ異なるため、それらの特性を考慮した上で用いる必要がある。
【0057】
検出電流出力部11、33において、第1トランジスタT1、第2トランジスタT2、第1ダイオードD1および第2ダイオードD2の順方向電圧VFが互いに等しい場合であれば、生成される検出電流の精度に問題はない。しかし、実際には、NPN形バイポーラトランジスタ、PNP形バイポーラトランジスタおよびダイオードの順方向電圧VFは互いに僅かながら差が存在することが一般的である。このような差により、シャント抵抗Rsの端子間に印加される電圧と抵抗R2の端子間に印加される電圧とに差が生じ、検出電流の精度が若干低下する可能性がある。この対策として、第1ダイオードD1および第2ダイオードD2として図5に示したようなバイポーラトランジスタのPN接合を利用した構成を採用するとよい。具体的には、例えば、第1ダイオードD1としてNPN形バイポーラトランジスタのPN接合を利用した構成(図5(a)〜(c))を用いるとともに、第2ダイオードD2としてPNP形バイポーラトランジスタのPN接合を利用した構成(図5(d)〜(f))を用いるとよい。このような構成によれば、シャント抵抗Rsの端子間に印加される電圧と抵抗R2の端子間に印加される電圧とに差が生じ難くなり、検出電流の精度を向上することができる。
【符号の説明】
【0058】
図面中、1、31は負荷駆動装置、2は負荷、3は駆動制御回路、4、32は過電流検出回路、5、6は電源線、7は電源線(回路用電源供給端子)、11、33は検出電流出力部、12、34は過電流判定部、14はカレントミラー回路、D1は第1ダイオード、D2は第2ダイオード、T1は第1トランジスタ、T2は第2トランジスタ、R2は抵抗、Rdは検出抵抗、Rsはシャント抵抗を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷駆動用電源から一対の電源線を通じて駆動用電源電圧の供給を受ける負荷と前記一対の電源線のうち高電位側の電源線との間の給電経路に介在するように設けられるシャント抵抗と、
前記シャント抵抗の各端子電圧を入力し、その入力した電圧から前記負荷に流れる電流に応じた検出電流を出力する検出電流出力部と、
前記検出電流に基づいて前記負荷に過電流が流れているか否かを判定する過電流判定部と、
を備え、
前記検出電流出力部は、前記駆動用電源電圧に比べて低い回路用電源電圧を供給するための回路用電源供給端子および前記シャント抵抗の前記負荷側に接続される低電位側端子の間にエミッタ・コレクタ間が接続されるPNP形の第1トランジスタと、前記回路用電源供給端子および前記シャント抵抗の低電位側端子の間にコレクタ・エミッタ間が接続されるNPN形の第2トランジスタと、前記第1トランジスタのエミッタおよび前記回路用電源供給端子の間に逆方向に介在して設けられる第1ダイオードと、前記シャント抵抗の低電位側端子および前記第2トランジスタのエミッタの間に逆方向に介在して設けられる第2ダイオードと、前記第2トランジスタのエミッタおよび前記シャント抵抗の低電位側端子の間に介在して設けられる抵抗とを備え、
前記第1トランジスタのエミッタおよび前記第2トランジスタのベースの間は、前記第1ダイオードを逆方向に介して接続されており、
前記抵抗に流れる電流に応じた検出電流を出力することを特徴とする過電流検出回路。
【請求項2】
前記過電流判定部は、
一方の端子に基準電位が与えられる検出抵抗を備え、
前記検出抵抗に前記検出電流を流すことにより前記検出抵抗の端子間に生じる検出電圧と、前記基準電位を基準に生成される判定電圧とを比較し、前記検出電圧が前記判定電圧を超えると前記負荷に過電流が流れていると判定することを特徴とする請求項1に記載の過電流検出回路。
【請求項3】
前記第1ダイオードおよび前記第2ダイオードは、バイポーラトランジスタのPN接合を利用して構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の過電流検出回路。
【請求項4】
前記検出電流出力部は、
前記第2トランジスタのコレクタ電流を入力とするカレントミラー回路を備え、
前記カレントミラー回路の出力電流を前記検出電流として出力することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の過電流検出回路。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の過電流検出回路と、
前記負荷駆動用電源から前記負荷への給電を制御することにより、前記負荷の駆動を制御する駆動制御回路と、
を備え、
前記駆動制御回路は、前記過電流判定部により前記負荷に過電流が流れていると判定されると、前記負荷に対する給電について所定の保護動作を実行することを特徴とする負荷駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−115479(P2013−115479A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257483(P2011−257483)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】