道路情報取得装置およびそれを用いた車両走行制御システム
【課題】 道路に情報提供装置を備えたり、車両側に受信機を設置したりしなくても、道路情報を取得することができる道路情報取得装置を提供する。
【解決手段】 道路に形成した凹凸パターン60を車輪速度センサの検出信号から検出することで、凹凸パターン60によって示される道路情報を取得する。これにより、道路に情報提供装置を備えたり、車両側に受信機を設置したりしなくても、道路情報を取得することができ、ドライバに対して道路情報を提供することができると共に、取得した道路情報に応じて車両走行制御を行うことが可能となる。
【解決手段】 道路に形成した凹凸パターン60を車輪速度センサの検出信号から検出することで、凹凸パターン60によって示される道路情報を取得する。これにより、道路に情報提供装置を備えたり、車両側に受信機を設置したりしなくても、道路情報を取得することができ、ドライバに対して道路情報を提供することができると共に、取得した道路情報に応じて車両走行制御を行うことが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の凹凸を利用して、例えば走行中の道路の制限速度や道路の曲率などの道路情報を取得する道路情報取得装置およびそれを用いた車両走行制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ITS(高度道路交通システム:Intelligent Transport Systems)のキー技術となる道路から自動車への情報伝達、つまり道路に設置された情報提供装置から車両に搭載された受信機への無線通信を行う路−車間通信が知られている。
【特許文献1】特開平11−312282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような路−車間通信では、道路側に情報提供装置を設置したり、車両側に受信機を設置したりする必要がある。このため、ユーザが特に特別な装備を装備しなくても道路情報を取得できるようにすることが望まれる。
【0004】
本発明は上記点に鑑みて、道路に情報提供装置を備えたり、車両側に受信機を設置したりしなくても、道路情報を取得することができる道路情報取得装置およびそれを用いた車両走行制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、変動検出手段(130)にて、車輪速度センサ(5FL〜5RR)の検出信号の変動を検出し、データ受信手段(160、170)にて、検出信号の変動から道路に形成された凹凸パターンによって示される道路情報を示すデータを受信する。そして、記憶手段(240)に受信されたデータをストアし、データ解析手段(270)にて、道路情報を示すデータフォーマットに基づいて、記憶手段にストアされたデータを解析し、該データに示される道路情報を取得することを特徴としている。
【0006】
このように、道路に形成した凹凸パターンを車輪速度センサ(5FL〜5RR)の検出信号から検出することで、凹凸パターンによって示される道路情報を取得することが可能となる。これにより、道路に情報提供装置を備えたり、車両側に受信機を設置したりしなくても、道路情報を取得することができる。
【0007】
例えば、請求項2に示されるように、凹凸パターンは、道路の所定距離毎にデータの1ビット分を表しており、所定距離毎に凹部もしくは凸部を1つ形成するか形成しないかによって、データフォーマットに対応するデータを示す。
【0008】
この場合において、請求項3に示されるように、データ受信手段が所定距離毎にデータを受信していくときに、データのうち受信したビットがデータフォーマットの上位ビットと一致するか否かを判定する判定手段(250)を備えることができる。このようにすれば、記憶手段は、判定手段によってデータの上位ビットがデータフォーマットの上位ビットと一致すると判定された場合にのみ、データのストアを続け、一致しないと判定された場合には、ストアしているデータを消去することができる。
【0009】
請求項4に記載の発明では、データのうち上位複数ビットによって道路情報の種類を示し、残りのビットによって道路情報の種類別の数値を示していることを特徴としている。
【0010】
このように、上位複数ビットと残りのビットによって、道路情報の種類と数値を示すようにすれば、上記複数ビットを確認することで、どのような種類の道路情報が示されているかを判別することができる。これにより、例えば、道路情報を画面表示する場合には、その道路情報の種類を判別した上で、表示内容を選択することができる。例えば、道路情報の種類としては、請求項8に示されるように、制限速度、路面勾配および旋回曲率などが挙げられる。
【0011】
請求項5に記載の発明では、道路のうち車両の右車輪(4FR、4RR)が通過する領域と左車輪(4FL、4RL)が通過する領域とで凹凸パターンを異なるものとし、右車輪(4FR、4RR)に対応して備えられた車輪速度センサ(5FR、5RR)の検出信号と左車輪(4FL、4RL)に対応して備えられた車輪速度センサ(5FL、5RL)の検出信号からデータを取得することを特徴としている。
【0012】
このように、道路のうち(4FR、4RR)が通過する領域と左車輪(4FL、4RL)が通過する領域とで凹凸パターンを異なるものとすることができる。このようにすれば、距離あたりのデータ量を多くすることができるため、凹凸パターンの形成される距離の短縮化を図ることができる。
【0013】
この場合、請求項6に示されるように、右前輪(4FR)に対応して備えられた車輪速度センサ(5FR)の検出信号から得られるデータと右後輪(4RR)に対応して備えられた車輪速度センサ(5RR)の検出信号から得られるデータを比較して整合性を検証し、左前輪(4FL)に対応して備えられた車輪速度センサ(5FL)の検出信号から得られるデータと左後輪(4RL)に対応して備えられた車輪速度センサ(5RL)の検出信号から得られるデータを比較して整合性を検証することができる。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8に記載の道路情報取得装置を用い、道路情報取得装置に備えられたデータ解析手段での解析結果に基づいて、制動力発生手段(2、3)により制動力を発生させることで、車両走行制御を実行することを特徴としている。
【0015】
このように、取得した道路情報に基づいて車両走行制御を行うことが可能である。例えば、道路情報が制限速度であった場合において、現在車速が制限速度を超過しているような場合には、車速を減少させるように、制動力を発生させることができる。また、道路情報が曲率半径で有った場合において、現在車速と曲率半径から求められる横加速度(横G)が横滑り防止制御の開始しきい値を超えているような場合には、所望の車輪に対して制動力を発生させることで横滑りを防止することができる。
【0016】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1実施形態)
本発明の一実施形態を適用した道路情報取得装置が備えられる車両走行制御システムについて、図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本実施形態の車両走行制御システムの全体構成を示す図である。図中、車両VLの右前輪、左前輪、右後輪、左後輪をそれぞれに対応する構成要素にFL、FR、RL、RRを付して表わしてある。
【0019】
本実施形態の車両走行制御システムは、ブレーキ制御ECU1、油圧ブレーキ装置2、電動パーキングブレーキ(以下、PKBという)3、各車輪4FL、4FR、4RL、4RR毎に備えられたホイールシリンダ(以下、W/Cという)41FL、41FR、41RL、41RRと車輪速度センサ5FL、5FR、5RL、5RR、車内LANバス6および警告表示・警報装置7を備えた構成となっている。
【0020】
これらの構成要素のうち、ブレーキ制御ECU1および警告表示・警報装置7は、車内LANバス6に接続され、車内LANバス6を介してブレーキ制御ECU1が出力する信号を警告表示・警報装置7に伝えられるようになっている。
【0021】
ブレーキ制御ECU1は、コンピュータにより構成されており、各車輪速度センサ5FL〜5RRの検出信号を入力し、この検出信号に基づいて各種演算を行って、後述する油圧ブレーキ装置2およびPKB3を制御するための制御信号を出力する。具体的には、ブレーキ制御ECU1は、各車輪速度センサ5FL〜5RRから送られるパルス信号として表される検出信号を受け取ると、例えば所定時間当たりのパルス数から各車輪4FL〜4RRの車輪速度を求めると共に、求めた車輪速度から周知の手法によって車速(車体速度)を求める。そして、ブレーキ制御ECU1は、各車輪4FL〜4RRの車輪速度と車速との偏差として表されるスリップ率が所定のしきい値を超えるか否かを判定することで、ABS制御を行うか否かを決定し、ABS制御を実行する際には、油圧ブレーキ装置2に対して制御信号を出力することで、制御対象輪がロックに至ることを防止する。
【0022】
また、ブレーキ制御ECU1は、各車輪速度センサ5FL〜5RRの検出信号を利用して路面の凹凸を検出し、この凹凸から道路情報を得る。ブレーキ制御ECU1のうち、このように道路情報の取得を行う部分が道路情報取得装置に相当する。この道路情報の取得に関しては、後で詳細に説明する。
【0023】
油圧ブレーキ装置2は、各車輪4FL〜4RRに対して制動力を付与する制動力発生手段に相当するものである。図2は、この油圧ブレーキ装置2の具体的な配管構成を示した図である。この図を参照して、油圧ブレーキ装置2について説明する。
【0024】
マスタシリンダ(以下、M/Cという)10は、運転者により図示しないブレーキペダルが踏み込まれると、そのブレーキペダルの踏力に応じたM/C圧を発生させる。このM/C10には、第1配管系統11および第2配管系統21が接続されており、これら各配管系統11、21に対して各W/C41FL〜41RRがダイアゴナル接続されている。
【0025】
M/C10で発生させられたブレーキ液圧は、それぞれ第1配管系統11および第2配管系統21を介して各車輪に備えられたW/C41FL〜41RRに伝達され、第1の制動力を発生するようになっている。
【0026】
以下では、第1配管系統11、特に、右前輪4FRに関わる配管系統を中心に説明するが、他の車輪および第2配管系統についても同様である。
【0027】
第1配管系統11には、右前輪4FRおよび左後輪4RLのそれぞれに対して、ABS制御時に各W/C41FR、41RLの増圧および保持を調整する増圧制御弁14a、14bが設けられている。増圧制御弁14a、14bそれぞれに並列に逆止弁141a、141bが設けられ、増圧制御弁14a、14bの遮断時にW/C圧が過剰となった場合に液流をM/C10側へ逃がすようになっている。
【0028】
増圧制御弁14a、14bとW/C41FR、41RLの間から伸びる減圧管路12にはABS制御におけるW/C41FR、41RLの減圧、保持を調整する減圧制御弁15a、15bが設けられている。この減圧管路12はリザーバ16と接続されている。
【0029】
リザーバ16に貯溜されるブレーキ液は、モータ20により駆動されるポンプ17によって汲み上げられたのち、増圧制御弁14a、14bと後述するマスタカット弁(以下、SM弁という)18の間に返流される。なお、ポンプ17の吐出口には逆止弁171が設けられ、ポンプ17の吐出口に高いブレーキ液圧が加えられないようになっている。
【0030】
M/C10と増圧制御弁14a、14bの間には、SM弁18が配置されている。このSM弁18は、非通電時は連通状態、通電時には図示方向の逆止弁による遮断状態となる2位置弁である。SM弁18は、遮断状態のときには、W/C41FR、41RL側の圧が逆止弁のばねによるクラッキング圧分だけM/C10側の圧よりも高くなったときにリリースされ、圧を逃がす構造となっている。このSM弁18には、並列に逆止弁181が設けられており、M/C10側からW/C41FR、41RL側への流動のみが許容されるようになっている。
【0031】
M/C10およびSM弁18の間とリザーバ16は吸引管路13で接続されている。
【0032】
第1配管系統11のM/C10とSM弁18の間には油圧センサ30が設けられ、M/C10が発生したブレーキ液圧が検出できるようになっている。この油圧センサ30で検出されるブレーキ液圧は、M/C10の図示しないセカンダリ室の発生圧力であるが、第2配管系統が接続されるプライマリ室にも同圧が発生しているので、油圧センサ30により実質的にM/C圧を検出することができる。
【0033】
また、増圧制御弁14a、14bとW/C41FR、41RLの間にも油圧センサ19a、19bが設けられ、それぞれのW/C圧が検出できるようになっている。
【0034】
これら、油圧センサ30および油圧センサ19a、19bの出力信号は、ブレーキ制御ECU1に入力される。
【0035】
上記増圧制御弁14a、14b、減圧制御弁15a、15bは2位置弁であり、ブレーキペダルの非操作時および通常ブレーキ時などの非通電(OFF)時には図示の弁体位置、すなわち、増圧制御弁14a、14bは連通状態、減圧制御弁15a、15bは遮断(カット)状態にある。また、SM弁18も通常の非通電時には図示の弁体位置、すなわち連通状態にある。
【0036】
これら各制御弁は、ブレーキ制御ECU1からの作動信号により駆動される。また、ポンプ17、27を駆動するモータ20もブレーキ制御ECU1からの作動信号により駆動される。
【0037】
続いて、この油圧ブレーキ装置2の基本的な制御方法について説明する。
【0038】
運転者によりブレーキペダルが踏み込まれるときの通常のブレーキ操作においては、全ての制御弁(SM弁18、増圧制御弁14a、減圧制御弁15a)は非通電(OFF)状態とされる。このため、M/C圧がそのままW/C41FR、41RLに作用し、W/C圧=M/C圧となる。
【0039】
ABS制御中は、タイヤロックを回避するためにW/C圧を減圧する過程と制動力を回復するためにW/C圧を増圧する過程とでそれぞれ動作が異なる。なお、SM弁18はABS制御中は、通常OFF(連通状態)にするとともに、ポンプ17を駆動してリザーバ16よりブレーキ液を吸引する。
【0040】
ABS制御の減圧過程では、増圧制御弁14aを通電状態(ON)すなわち遮断(カット)状態とし、かつ、減圧制御弁15aをON/OFFのデューティー比制御する。これにより、連通/カットの切換えが繰り返されて、W/C41FRよりブレーキ液が所定の変化勾配でリザーバ16へ流れ出しW/C圧が減圧される。
【0041】
ABS制御の増圧過程では、減圧制御弁15aを非通電状態(OFF)すなわちカット状態とし、かつ、増圧制御弁14aをOFF/ONのデューティー比制御する。これにより、連通/カットの切換えが繰り返されて、M/C10よりブレーキ液がW/C41FRに供給されてW/C圧は増圧される。
【0042】
また、車両走行制御に基づいて制動力を発生させるときには、ブレーキ制御ECU1が油圧ブレーキ装置2に対して制御信号を出力することで、各車輪4FL〜4RRに対して所望のW/C圧が発生させられる。
【0043】
具体的には、W/C圧を増加させようとするときには、SM弁18をON(カット状態)に、かつ、減圧制御弁15aをOFF(カット状態)にする。また、ポンプ17を駆動してリザーバ16よりブレーキ液を吸引して吐出圧を発生させた状態で、油圧センサ19aの検出値との比較を行いながら、増圧制御弁14aをOFF/ONのデューティー比制御により所定の変化勾配で、あるいは設定された目標の圧力までW/C圧を増加させる。このとき、必要に応じてM/C10から吸引管路13、リザーバ16を介してブレーキ液がポンプ17の吸引口に補充される。
【0044】
一方、W/C圧を減少させようとするときには、SM弁18をON(カット状態)に、かつ、増圧制御弁14aをON(カット状態)にするとともに、ポンプ17を駆動してリザーバ16よりブレーキ液を吸引して吐出圧を発生させた状態で、油圧センサ19aの検出値との比較を行いながら、減圧制御弁15aをON/OFFのデューティー比制御により所定の勾配で、あるいは設定された目標の圧力までW/C41FRよりブレーキ液を吸引してW/C圧を減少させる。このとき、増圧制御弁14aおよびSM弁18がともにカット状態であるため、ポンプ17の吐出圧は増大するが、その圧がSM弁18の逆止弁のばねのクラッキング力より大きくなるとリリースされて圧力が低下する。
【0045】
続いて、PKB3について説明する。PKB3は、基本的にはドライバによるパーキングブレーキスイッチ(図示せず)の操作によって駆動されるものであるが、取得する道路情報に基づいて実行される車両走行制御での制動にも適宜用いられる。このため、このPKB3も、上述した油圧ブレーキ装置2と共に制動力付加手段に相当するものとなる。
【0046】
PKB3は、ブレーキワイヤ31R、31Lにて後輪4RL、4RRの各ブレーキキャリパと接続されている。このPKB31は、ブレーキ制御ECU1からの制御信号により動作する図示しないモータおよびギア機構からなるアクチュエータが、ブレーキワイヤ31R、31Lを介して左右後輪4RR、4RLのブレーキキャリパを駆動することにより、制動力を発生させる。PKB3のモータは、制御信号に基づきデューティー駆動されて正転または逆転させられる。これにより、制動力の大きさが制御される。
【0047】
このとき、デューティー比に応じた制動力が発生し、目標の制動力となったらPKB3のモータがロックし、モータロックが検出されるとモータの駆動電流が遮断、すなわち、制御信号が解除されて、PKB3は制御停止(制御禁止)の状態となる。このPKB3の制御停止状態ではギア機構は動かないので、制動力は維持され、ロック状態となる。
【0048】
このPKB3は、車両走行制御中にブレーキ制御ECU1からの制御信号によって行われる以外に、運転者により図示しないパーキングブレーキスイッチをON/OFF操作した場合にも、その操作信号に基づきブレーキ制御ECU1がPKB3の駆動信号を出力することにより駆動される。
【0049】
車輪速度センサ5FL〜5RRは、各車輪4FL〜4RRの回転速度を検出できるように、各車輪4FL〜4RRそれぞれに備えられ、それぞれの検出信号が直接ブレーキ制御ECU1に入力されるように構成されている。車輪速度センサ5FL〜5RRには、例えばホール素子による半導体式速度センサが用いられ、低速度でも確実な車輪回転パルスを得ることで、正確な車速が検出できるようになっている。
【0050】
警告表示・警報装置7は、ランプやディスプレイ等の警告表示器およびブザーやスピーカ等の警報器を備えたもので、各種制御を実行していること等をランプ点灯やディスプレイ表示、ブザーやスピーカを通じての警告音によってドライバに報知するものである。
【0051】
次に、ブレーキ制御ECU1による道路情報の取得について説明する。
【0052】
図3は、車輪速度センサ5FL〜5RRによる車輪速度の検出の様子を示した模式図である。この図に示されるように、車輪4FL〜4RRと共に回転する歯車状のロータ50の山と谷の入れ替わりにより、検出信号がsin波形となる。このsin波形の周期は、基本的に車輪4FL〜4RRの回転速度に応じて変わる。
【0053】
車輪4FL〜4RRの回転速度は、車輪4FL〜4RRがスリップすることなく車両VLが平坦な路面を走行しているのであれば、大きく変化することはなく、ほぼ一定になる。しかしながら、車輪4FL〜4RRが路面の凹凸を乗り越えるときには、車輪4FL〜4RRの回転速度が瞬間的に変化する。例えば、転動輪が路面の凸部を乗り越えるときには、車輪4FL〜4RRが凸部に衝突して浮き上がった瞬間に回転速度が小さくなり、その後、再び車輪4FL〜4RRが接地した瞬間に急激に車速に追従するために回転速度が大きくなる。
【0054】
このため、車輪4FL〜4RRが路面の凹凸を乗り越える場合には、車輪4FL〜4RRの回転速度の瞬間的な変化が車輪速度センサ5FL〜5RRの検出信号に現れることになる。すなわち、回転速度が瞬間的に小さくなったときにはsin波形の周期が長く(1周期分のsin波形の幅が広く)なり、逆に瞬間的に大きくなったときにはsin波形の周期が短く(1周期分のsin波形の幅が狭く)なる。
【0055】
この現象に基づいて、車輪速度センサ5FL〜5RRの検出信号を利用して路面の凹凸を検出することが可能となる。したがって、道路に意図的に凹部もしくは凸部を形成した凹凸パターンを形成したり、現状既に道路に備えられている設置物(例えばキャッツアイ)の凹凸パターンを認識することで、凹凸パターンから道路情報を取得することが可能となる。
【0056】
例えば、図4は、道路50に凹凸パターン60を形成したときの一例を示したものである。また、図5は、図4の断面に相当するもので、図5(a)が凸パターン61を形成したときの断面図、図5(b)が凹パターン62を形成したときの断面図である。
【0057】
図4に示されるように、道路には、車両VLの進行方向と垂直な方向に延設された凹凸パターン60が形成されている。ここでいう凹凸パターン60は、図5(a)に示されるように凸パターン61であっても良いし、図5(b)に示されるように凹パターン62であっても良い。
【0058】
また、凹凸パターン60は、図4、図5に示されるように、道路50を所定の距離(ここでは1m)ごとに区画し、区画された各領域を1ビットとして見立て、領域中に凸部61aもしくは凹部62aを形成するか否かにより、道路情報を示している。例えば、凹凸パターン60により、領域中に凸部61aもしくは凹部62aを形成されている場合には“1(ON)”、形成されていない場合には“0(OFF)”のデータを示すことができる。したがって、このように道路50に凹凸パターン60を形成することで、道路50に道路情報を書き込むことができる。
【0059】
図6は、凹凸パターン60による道路情報を示すフレーム(データフォーマット)の構造を示した概略図である。この図に示されるように、スタートビット、スタートビットの後に続くデータ、パリティビットおよびストップビットによって道路情報を示すフレームが構成されている。
【0060】
スタートビットは、ブレーキ制御ECU1に道路情報が書き込まれたフレームの存在を知らせるためのものである。データは、具体的な道路情報、例えば、制限速度、路面勾配、曲率半径などの情報を示すものである。パリティビットは、道路情報を示したデータが誤っていないかチェックするためのものである。ストップビットは、道路情報が書き込まれたフレームの終了を知らせるためのものである。
【0061】
図7は、フレーム内のデータが表す内容の一例を示した図表である。この図に示されるように、例えばデータの上位4ビットと下位8ビットで道路情報の種類および具体的な道路情報の数値を示すことができる。すなわち、“0101”は制限速度、“1010”は路面勾配、“1110”は曲率半径、“0111”は一旦停止というように、道路情報の種類が示される。そして、下位8ビットで具体的な数値が表され、例えば、図中に示したように、制限速度の場合には1LSB=1km/h、路面勾配の場合には1LSB=1%、曲率半径の場合には1LSB=5mとして表すことができる。
【0062】
次に、本実施形態の車両走行制御システムの作動について説明する。なお、ここでは、図6および図7に示すフレームで道路情報を示し、車両走行制御システムがその道路情報を認識して車両走行制御を行う場合について説明する。
【0063】
図8は、ブレーキ制御ECU1が実行するビット認識処理のフローチャートである。この処理は、図示しないイグニッションスイッチがオフからオンに切替ると、各車輪4FL〜4RR毎に順番に所定の演算周期ごとに実行される。
【0064】
まず、ステップ100では、車輪速度演算を行う。すなわち、ブレーキ制御ECU1は、各車輪速度センサ5FL〜5RRから送られるパルス信号として表される検出信号を受け取り、例えば所定時間当たりのパルス数から各車輪4FL〜4RRの車輪速度を求める。
【0065】
続いて、ステップ110では、ステップ100で求めた車輪速度を用いて車両VLが1m走行したか否かを判定する。ここでいう1mとは、フレームの1ビット分を表すために用いている距離のことを示している。このため、フレームの1ビット分を表すために用いている距離が変われば、このステップで判定に用いる距離も変わることになる。なお、車両VLの距離の積算は、このステップで肯定判定された際にリセットされるようになっており、ブレーキ制御ECU1は、車両VLが1m走行する毎に本ステップ以降の処理を繰り返し行う。
【0066】
このステップで否定判定された場合には、ステップ120に進み、車輪加速度の演算を行う。車輪加速度は、ステップ100で求められた車輪速度の微分値として求められる。そして、ステップ130に進み、ステップ120で求めた車輪加速度が所定のしきい値G1を超えているか否かを判定する。
【0067】
上述したように、車輪4FL〜4RRが凹凸パターン60を乗り越える際には、車輪速度が変化し、例えば転動輪の場合には、車輪4FL〜4RRが浮き上がった瞬間に車輪速度が低下して、車輪4FL〜4RRが接地すると同時に車輪速度が急激に増加する。このため、車輪速度が増加する瞬間を車輪加速度を利用して検出すれば、凹凸パターン60を検出することができる。なお、ここでいうしきい値G1は、通常の加速では想定できない大きさとされるため、通常の加速と区別することが可能である。
【0068】
したがって、ステップ130で肯定判定された場合には、ステップ140に進む。この場合、車輪4FL〜4RRが道路50に形成された凸部61aもしくは凹部62aを乗り越えたと考えられる。このため、ステップ140では、ON受信あり、つまり凸部61aもしくは凹部62aがあったと判定して、ON受信ありのフラグをセットする。
【0069】
一方、ステップ110において、1m走行したと判定された場合には、車両VLの走行距離の積算値をリセットしてステップ150に進む。そして、ステップ150にて、ON受信ありのフラグがセットされているか否かを判定する。すなわち、車両VLが1m走行する間にON受信があったか否かを判定する。ここで、ON受信ありのフラグがセットされていれば、ステップ160に進んでON受信確定処理として、1ビット分に相当する区画、つまり1m分の領域で“1(ON)”のデータが示されていたことを記憶しておく。その後、ON受信ありのフラグをリセットして本処理を完了する。
【0070】
逆に、ON受信ありのフラグがセットされていない場合、すなわち、車両VLが1m走行する間にON受信がなかった場合には、ステップ170に進んでOFF受信確定処理として、1ビット分に相当する区画で“0(OFF)”のデータが示されていたことを記憶しておく。その後、本処理を完了する。このようにして、ビット認識処理が行われる。
【0071】
続いて、ビット認識処理に基づいて、ブレーキ制御ECU1が行う受信動作について説明する。図9は、受信動作のフローチャートを示したものであり、この図を参照して説明する。
【0072】
図9に示される受信動作は、ビット認識処理での結果を参照して行われるもので、所定の演算周期毎に実行される。
【0073】
ステップ200では、データストア中であるか否かを判定する。ここでいうデータストア中であるか否かについては、後述するステップ220において、データストア中フラグがセットされているか否かによって判断する。そして、データストア中フラグがセットされていなければ、ステップ210に進み、スタートビットが認識されたか否かを判定する。
【0074】
スタートビットは、図6に示したように道路情報を示すフレームの最初の1ビットとして示されるものである。このため、上述したビット認識処理において“1(ON)”のデータを記憶していた場合に、スタートビットが認識されたものと想定される。
【0075】
このため、ビット認識処理において“1(ON)”のデータを記憶していれば、ステップ220に進んで、ビットデータストア開始すべく、データストア中フラグをセットする。逆に、ビット認識処理において“0(OFF)”のデータを記憶していれば、フレームを受信するタイミングではない。このため、この場合にはそのまま処理が完了となる。
【0076】
また、このステップ220でデータストア中フラグがセットされたときには、ステップ200で肯定判定される。このため、ステップ230に進み、ストップビットを認識したか否かを判定する。
【0077】
ここでいうストップビットも、上述したスタートビットと同様、図6に示したように道路情報を示すフレームの最後の1ビットとして示されるものである。
【0078】
データ、パリティビットがストアされたのち、ストップビットも認識したときには、フレームの全ビットのストアが完了したと考えられる。したがって、ストップビットを認識していない状態であれば、ステップ240に進み、ビットデータストアを行う。具体的には、スタートビットが認識されてからも、上述したビット認識処理において、データを示すビットの“1(ON)”、“0(OFF)”を順に認識しているため、認識したデータを順番に記憶していく。
【0079】
そして、ステップ250に進み、ストアされたビットデータが決まったフォーマットであるか否かを判定する。例えば、データの上位4桁が図7に示されるように“0101”、“1010”、“1110”、“0111”として決まっている場合、それらと一致しないものであれば、道路情報を示すフレームとは考えられない。このため、データをストアする毎に、道路情報を示すフレームとして決まったフォーマットと一致しているか否かを判定する。このとき、例えば、ストアしたデータが“00”で始まっていた場合には、決まったフォーマットではないため、ステップ250で否定判定されることになる。
【0080】
なお、ここではデータをストアする毎に、決まったフォーマットであるか否かを判定するようにしているが、道路情報を示すフレームであるが否かを判定できるビット数分だけデータをストアしたときに判定を行っても良い。
【0081】
ステップ250で肯定判定された場合には、そのまま処理を終了させる。したがって、この場合には、再び上記各処理が繰り返されることになり、ビットデータストアが継続される。逆に、ステップ250で否定判定された場合には、ステップ260に進み、今までストアしたデータを消去すると共に、データストア中フラグをリセットして処理を終了する。
【0082】
一方、ステップ230において、ストップビットを認識したと判定した場合には、ステップ270に進み、受信データ解析を行う。つまり、ストアしたデータが示す道路情報の解析を行う。これにより、図7に示されるように、例えばストアしたデータの上位4ビットが“0111”、下位8ビットが“00000000”であれば、前方に一旦停止ありと解析する。
【0083】
この後、ステップ280に進み、受信データに対するアクションを実行すると共に、データストア中フラグをリセットして処理を終了する。例えば、受信データに対するアクションとして、警告表示・警報装置7により、前方に一旦停止があることをランプ点灯やディスプレイ表示、ブザーやスピーカを通じての警告音によってドライバに報知する。また、ブレーキ制御ECU1から油圧ブレーキ装置2に対して制御信号を出力することで、油圧ブレーキ装置2により制動力を発生させ、車両VLが一旦停止できるように車速を低下させるような車両走行制御を行うこともできる。
【0084】
このように、本実施形態の車両走行制御システムによれば、道路50に形成した凹凸パターン60を車輪速度センサ5FL〜5RRの検出信号から検出することで、凹凸パターン60によって示される道路情報を取得することが可能となる。これにより、道路50に情報提供装置を備えたり、車両側に受信機を設置したりしなくても、道路情報を取得することができ、ドライバに対して道路情報を提供することができると共に、取得した道路情報に応じて車両走行制御を行うことが可能となる。
【0085】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、上記第1実施形態で示した図9の受信動作によって得た受信データに対するアクションの一例を示したものである。
【0086】
図10は、ブレーキ制御ECU1が実行する制限速度超過時の減速処理のフローチャートである。この図に示される処理は、上述した図9に示す受信動作によって得た受信データに基づいて行われ、所定の演算周期毎に実行される。
【0087】
まず、ステップ300では、フレーム受信完了しているか否かを判定する。例えば、図9に示すステップ230において、ストップビット認識が行われたときに、そのフラグをセットしておけば、このフラグがセットされているか否かを判定することで本ステップの判定を行うことができる。
【0088】
そして、ステップ300で否定判定されれば、まだブレーキ受信を完了していないため、具体的なアクションを行うことができない。したがって、この場合にはそのまま処理を完了する。
【0089】
一方、ステップ300で肯定判定されれば、ステップ310に進み、上位4ビットが“0101”であるか否かを判定する。上位4ビットが“0101”の受信データは、図7に示されるように道路情報として制限速度を示したものである。このように、道路情報として制限速度を示した受信データであれば、ステップ320以降の処理に進み、違っていればそのまま処理を完了する。
【0090】
ステップ320では、受信データが示す制限速度(制限速度受信値)をV1[km/h]として設定する。そして、ステップ330において、現在の車速Vが制限速度受信値V1を超えているか否かを判定する。なお、現在の車速V[km/h]は、上述したように、ブレーキ制御ECU1が各車輪速度から周知の手法を用いて求める。
【0091】
ここで、現在の車速Vが制限速度受信値V1以下であれば、車速Vを減少させる必要はない。したがって、ステップ330で否定判定された場合にはそのまま処理を完了し、肯定判定された場合にはステップ340に進む。
【0092】
ステップ340では、制動力の発生処理を行う。具体的には、ブレーキ制御ECU1から油圧ブレーキ装置2に対して制御信号を出力し、SM弁18、28やポンプ17、27を駆動することで、制動力を発生させる。このとき発生させる制動力は、一定値であっても構わないが、例えば、現在車速Vと制限速度受信値V1との差が大きい程大きな値となるようにしても良い。
【0093】
続いて、ステップ350に進み、警告表示・警報装置7に対して、現在車速Vが制限速度受信値V1を超過していることを示す信号を送る。これにより、警告表示・警報装置7では、ランプ点灯やディスプレイ表示、ブザーやスピーカを通じての警告音によって、ドライバに現在車速Vが制限速度受信値V1を超過していることを報知する。
【0094】
以上説明した本実施形態の車両走行制御システムによれば、道路50に形成した凹凸パターン60を車輪速度センサ5FL〜5RRの検出信号から検出することで、凹凸パターン60によって示される制限速度情報を取得することが可能となる。これにより、ドライバに対して制限速度を報知することができると共に、取得した制限速度情報に応じて車両走行制御を行うことが可能となる。
【0095】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態も、上記第2実施形態と同様に、上記第1実施形態で示した図9の受信動作によって得た受信データに対するアクションの一例を示したものである。
【0096】
図11は、ブレーキ制御ECU1が実行する速度超過カーブ突入時の減速処理のフローチャートである。この図に示される処理は、上述した図9に示す受信動作によって得た受信データに基づいて行われ、所定の演算周期毎に実行される。
【0097】
まず、ステップ400では、上記図10のステップ300と同様の処理により、フレーム受信完了しているか否かを判定する。このステップ400で肯定判定されれば、ステップ410に進み、上位4ビットが“1110”であるか否かを判定する。上位4ビットが“1110”の受信データは、図7に示されるように道路情報として道路50の曲率半径を示したものである。このように、道路情報として曲率半径を示した受信データであれば、ステップ420以降の処理に進み、違っていればそのまま処理を完了する。
【0098】
ステップ420では、受信データが示す曲率半径(受信曲率半径)をR[m]として設定すると共に、現在車速V[m/s]を求め、これら受信曲率半径Rと現在車速Vから横加速度(横G)推定値GY[m/s2]を求める。なお、現在の車速Vの求め方は、従来の手法で構わないが、受信曲率半径Rの単位と合わせている。
【0099】
そして、ステップ430に進み、ステップ420で求めた横G推定値GYが横滑り防止制御(ESC:Electronic stability control)の開始しきい値に相当する所定値G1を超えているか否かを判定する。
【0100】
ここで、横G推定値GYが横滑り防止制御の開始しきい値以下であれば、横滑り防止制御を実行する必要がない。したがって、ステップ430で否定判定された場合にはそのまま処理を完了し、肯定判定された場合にはステップ440に進む。
【0101】
ステップ440では、制動力の発生処理を行う。具体的には、ブレーキ制御ECU1から油圧ブレーキ装置2に対して制御信号を出力し、横滑り防止制御の対象車輪に対して制動力を発生させるべく、SM弁18、28やポンプ17、27を駆動すると共に、非対象車輪に対して制動力が加えられないように非対称車輪に対応する増圧制御弁14a、14b、24a、24bをON状態(カット状態)にする。これにより、横滑り防止制御が行われる。
【0102】
続いて、ステップ450に進み、警告表示・警報装置7に対して、横滑りが発生し得る状況であることを示す信号を送る。これにより、警告表示・警報装置7では、ランプ点灯やディスプレイ表示、ブザーやスピーカを通じての警告音によって、ドライバに横滑りが発生し得る状況であることを報知する。
【0103】
以上説明した本実施形態の車両走行制御システムによれば、道路50に形成した凹凸パターン60を車輪速度センサ5FL〜5RRの検出信号から検出することで、凹凸パターン60によって示される横G情報(速度超過カーブ突入情報)を取得することが可能となる。これにより、ドライバに対して横滑りし得る状況であることを報知することができると共に、取得した横G情報に応じて車両走行制御(横滑り防止制御)を行うことが可能となる。
【0104】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態も、上記第1、第2実施形態と同様に、上記第1実施形態で示した図9の受信動作によって得た受信データを利用するものであるが、受信データに基づいて車両走行制御を行うのではなく、警告表示・警報装置7によってドライバに受信データが示す内容に応じた報知を行うものである。
【0105】
図12は、ブレーキ制御ECU1が実行する道路情報表示処理のフローチャートである。この図に示される処理は、上述した図9に示す受信動作によって得た受信データに基づいて行われ、所定の演算周期毎に実行される。
【0106】
まず、ステップ500では、上記図10のステップ300と同様の処理により、フレーム受信完了しているか否かを判定する。このステップ500で肯定判定されれば、ステップ510に進み、上位4ビットが“1010”であるか否かを判定する。上位4ビットが“1010”の受信データは、図7に示されるように道路情報として路面勾配を示したものである。このように、道路情報として路面勾配を示した受信データであれば、ステップ520に進み、路面勾配を示す受信データを警告表示・警報装置7に出力して画像表示させる。図13は、警告表示・警報装置7で路面勾配の画像表示を行ったときの一例を示す模式図である。このようにして、路面勾配の画像表示を行うことができる。
【0107】
一方、ステップ510で否定判定された場合にはステップ530に進む。ステップ530では、上位4ビットが“0101”であるか否かを判定する。上位4ビットが“0101”の受信データは、図7に示されるように道路情報として制限速度を示したものである。このように、道路情報として制限速度を示した受信データであれば、ステップ540に進み、制限速度を示す受信データを警告表示・警報装置7に出力して画像表示させる。図14は、警告表示・警報装置7で制限速度の画像表示を行ったときの一例を示す模式図である。このようにして、制限速度の画像表示を行うことができる。
【0108】
また、ステップ530で否定判定された場合にはステップ550に進む。ステップ550では、上位4ビットが“1110”であるか否かを判定する。上位4ビットが“1110”の受信データは、図7に示されるように道路情報として曲率半径を示したものである。このように、道路情報として曲率半径を示した受信データであれば、ステップ560に進み、曲率半径を示す受信データを警告表示・警報装置7に出力して画像表示させる。このようにして、カーブ路の画像表示を行うことができる。
【0109】
以上説明した本実施形態の車両走行制御システムによれば、道路50に形成した凹凸パターン60を車輪速度センサ5FL〜5RRの検出信号から検出することで、凹凸パターン60によって示される各種道路情報を取得することが可能となる。これにより、ドライバに対して各種道路情報を報知することができ、ドライバにその道路情報に基づく車両操作を行わせることが可能となる。
【0110】
(他の実施形態)
上記実施形態では、道路50に道路情報を示す凹凸パターン60を積極的に形成する場合について説明したが、既存の設備等を凹凸パターン60に見立てて道路情報を得ることも可能である。
【0111】
例えば、高速道路や単調な道路などに形成された居眠り防止用のパターンを居眠りしがちな道路であるものとして、その旨を警告表示・警報装置7に表示させたり、振動的な制動力を発生させることでドライバに注意を喚起させることも可能である。
【0112】
また、中央分離用のキャッツアイなども所定間隔で形成されていることから、これを凹凸パターン60に見立てて、車両VLの道路50からのはみ出しなどを警告表示・警報装置7に表示させたり、振動的な制動力を発生させることでドライバに注意を喚起させることも可能である。
【0113】
さらに、上記実施形態では、左右両輪4FL〜4RRが同じ内容のデータを取得するような形態、つまり道路50のうち右車輪4RL、4RRが通過する領域と左車輪4FL、4FRが通過する領域に同じ凹凸パターン60が形成されている場合を例に挙げて説明したが、異なる凹凸パターン60とすることもできる。図15は、そのような凹凸パターン60を形成した場合の道路50の正面図である。
【0114】
このような凹凸パターン60を用いれば、右車輪4FR、4RRに対応して備えられた車輪速度センサ5FR、5RRの検出信号と左車輪4FL、4RLに対応して備えられた車輪速度センサ5FL、5RLの検出信号から異なるデータを取得することができる。このようにすれば、距離あたりのデータ量を多くすることができるため、上記各実施形態と同じ内容のデータを得るための凹凸パターン60を形成するのに必要とされる距離を短縮化を図ることができる。
【0115】
なお、異なるデータそれぞれで全く種類の異なる道路情報を示しても良いが、この場合には上記各実施形態と同じ距離を使っても、複数のデータを得ることが可能になる。
【0116】
また、道路50のうち右車輪4RL、4RRが通過する領域と左車輪4FL、4FRが通過する領域に異なる凹凸パターン60を形成する場合には、ブレーキ制御ECU1は、右前輪4FRに対応して備えられた車輪速度センサ5FRの検出信号から得られるデータと右後輪4RRに対応して備えられた車輪速度センサ5RRの検出信号から得られるデータを比較して整合性を検証し、左前輪4FLに対応して備えられた車輪速度センサ5FLの検出信号から得られるデータと左後輪4RLに対応して備えられた車輪速度センサ5RLの検出信号から得られるデータを比較して整合性を検証することができる。
【0117】
上記各実施形態では、車両走行制御を行うときの制動力を発生させる制動力発生手段として油圧ブレーキ装置2を用いることを示したが、油圧ブレーキ装置2に限らず、PKB3によって制動力を発生させるようにしても良い。また、これら油圧ブレーキ装置2とPKB3の協調によって制動力を発生させても良い。
【0118】
なお、各図中に示したステップは、各種処理を実行する手段に対応するものである。具体的には、ブレーキ制御ECU1のうち、ステップ130の処理を実行する部分が変動検出手段、ステップ160、170の処理を実行する部分がデータ受信手段、ステップ240の処理を実行する部分が記憶手段、ステップ250の処理を実行する部分が判定手段、ステップ270の処理を実行する部分がデータ解析手段にそれぞれ相当する。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の第1実施形態における車両走行制御システムの全体構成を示す図である。
【図2】車両走行制御システムに備えられる油圧ブレーキ装置2の具体的な配管構成を示した図である。
【図3】車輪速度センサ5FL〜5RRによる車輪速度の検出の様子を示した模式図である。
【図4】道路50に凹凸パターン60を形成したときの一例を示した上面図である。
【図5】(a)は凸パターンを形成したときの断面図、(b)は凹パターンを形成したときの断面図である。
【図6】凹凸パターン60による道路情報を示すフレームの構造を示した概略図である。
【図7】フレーム内のデータが表す内容の一例を示した図表である。
【図8】ブレーキ制御ECU1が実行するビット認識処理のフローチャートである。
【図9】ブレーキ制御ECU1が実行する受信動作のフローチャートである。
【図10】ブレーキ制御ECU1が実行する制限速度超過時の減速処理のフローチャートである。
【図11】ブレーキ制御ECU1が実行する速度超過カーブ突入時の減速処理のフローチャートである。
【図12】ブレーキ制御ECU1が実行する道路情報表示処理のフローチャートである。
【図13】警告表示・警報装置7で路面勾配の画像表示を行ったときの一例を示す模式図である。
【図14】警告表示・警報装置7で制限速度の画像表示を行ったときの一例を示す模式図である。
【図15】道路50のうち右車輪4RL、4RRが通過する領域と左車輪4FL、4FRが通過する領域に異なる凹凸パターン60を形成した場合の道路50の正面図である。
【符号の説明】
【0120】
1 ブレーキ制御ECU、2…油圧ブレーキ装置、3…PKB、4FL〜4RR…車輪、5FL〜5RR…車輪速度センサ、6…車内LANバス、7…警告表示・警報装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の凹凸を利用して、例えば走行中の道路の制限速度や道路の曲率などの道路情報を取得する道路情報取得装置およびそれを用いた車両走行制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ITS(高度道路交通システム:Intelligent Transport Systems)のキー技術となる道路から自動車への情報伝達、つまり道路に設置された情報提供装置から車両に搭載された受信機への無線通信を行う路−車間通信が知られている。
【特許文献1】特開平11−312282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような路−車間通信では、道路側に情報提供装置を設置したり、車両側に受信機を設置したりする必要がある。このため、ユーザが特に特別な装備を装備しなくても道路情報を取得できるようにすることが望まれる。
【0004】
本発明は上記点に鑑みて、道路に情報提供装置を備えたり、車両側に受信機を設置したりしなくても、道路情報を取得することができる道路情報取得装置およびそれを用いた車両走行制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、変動検出手段(130)にて、車輪速度センサ(5FL〜5RR)の検出信号の変動を検出し、データ受信手段(160、170)にて、検出信号の変動から道路に形成された凹凸パターンによって示される道路情報を示すデータを受信する。そして、記憶手段(240)に受信されたデータをストアし、データ解析手段(270)にて、道路情報を示すデータフォーマットに基づいて、記憶手段にストアされたデータを解析し、該データに示される道路情報を取得することを特徴としている。
【0006】
このように、道路に形成した凹凸パターンを車輪速度センサ(5FL〜5RR)の検出信号から検出することで、凹凸パターンによって示される道路情報を取得することが可能となる。これにより、道路に情報提供装置を備えたり、車両側に受信機を設置したりしなくても、道路情報を取得することができる。
【0007】
例えば、請求項2に示されるように、凹凸パターンは、道路の所定距離毎にデータの1ビット分を表しており、所定距離毎に凹部もしくは凸部を1つ形成するか形成しないかによって、データフォーマットに対応するデータを示す。
【0008】
この場合において、請求項3に示されるように、データ受信手段が所定距離毎にデータを受信していくときに、データのうち受信したビットがデータフォーマットの上位ビットと一致するか否かを判定する判定手段(250)を備えることができる。このようにすれば、記憶手段は、判定手段によってデータの上位ビットがデータフォーマットの上位ビットと一致すると判定された場合にのみ、データのストアを続け、一致しないと判定された場合には、ストアしているデータを消去することができる。
【0009】
請求項4に記載の発明では、データのうち上位複数ビットによって道路情報の種類を示し、残りのビットによって道路情報の種類別の数値を示していることを特徴としている。
【0010】
このように、上位複数ビットと残りのビットによって、道路情報の種類と数値を示すようにすれば、上記複数ビットを確認することで、どのような種類の道路情報が示されているかを判別することができる。これにより、例えば、道路情報を画面表示する場合には、その道路情報の種類を判別した上で、表示内容を選択することができる。例えば、道路情報の種類としては、請求項8に示されるように、制限速度、路面勾配および旋回曲率などが挙げられる。
【0011】
請求項5に記載の発明では、道路のうち車両の右車輪(4FR、4RR)が通過する領域と左車輪(4FL、4RL)が通過する領域とで凹凸パターンを異なるものとし、右車輪(4FR、4RR)に対応して備えられた車輪速度センサ(5FR、5RR)の検出信号と左車輪(4FL、4RL)に対応して備えられた車輪速度センサ(5FL、5RL)の検出信号からデータを取得することを特徴としている。
【0012】
このように、道路のうち(4FR、4RR)が通過する領域と左車輪(4FL、4RL)が通過する領域とで凹凸パターンを異なるものとすることができる。このようにすれば、距離あたりのデータ量を多くすることができるため、凹凸パターンの形成される距離の短縮化を図ることができる。
【0013】
この場合、請求項6に示されるように、右前輪(4FR)に対応して備えられた車輪速度センサ(5FR)の検出信号から得られるデータと右後輪(4RR)に対応して備えられた車輪速度センサ(5RR)の検出信号から得られるデータを比較して整合性を検証し、左前輪(4FL)に対応して備えられた車輪速度センサ(5FL)の検出信号から得られるデータと左後輪(4RL)に対応して備えられた車輪速度センサ(5RL)の検出信号から得られるデータを比較して整合性を検証することができる。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8に記載の道路情報取得装置を用い、道路情報取得装置に備えられたデータ解析手段での解析結果に基づいて、制動力発生手段(2、3)により制動力を発生させることで、車両走行制御を実行することを特徴としている。
【0015】
このように、取得した道路情報に基づいて車両走行制御を行うことが可能である。例えば、道路情報が制限速度であった場合において、現在車速が制限速度を超過しているような場合には、車速を減少させるように、制動力を発生させることができる。また、道路情報が曲率半径で有った場合において、現在車速と曲率半径から求められる横加速度(横G)が横滑り防止制御の開始しきい値を超えているような場合には、所望の車輪に対して制動力を発生させることで横滑りを防止することができる。
【0016】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1実施形態)
本発明の一実施形態を適用した道路情報取得装置が備えられる車両走行制御システムについて、図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本実施形態の車両走行制御システムの全体構成を示す図である。図中、車両VLの右前輪、左前輪、右後輪、左後輪をそれぞれに対応する構成要素にFL、FR、RL、RRを付して表わしてある。
【0019】
本実施形態の車両走行制御システムは、ブレーキ制御ECU1、油圧ブレーキ装置2、電動パーキングブレーキ(以下、PKBという)3、各車輪4FL、4FR、4RL、4RR毎に備えられたホイールシリンダ(以下、W/Cという)41FL、41FR、41RL、41RRと車輪速度センサ5FL、5FR、5RL、5RR、車内LANバス6および警告表示・警報装置7を備えた構成となっている。
【0020】
これらの構成要素のうち、ブレーキ制御ECU1および警告表示・警報装置7は、車内LANバス6に接続され、車内LANバス6を介してブレーキ制御ECU1が出力する信号を警告表示・警報装置7に伝えられるようになっている。
【0021】
ブレーキ制御ECU1は、コンピュータにより構成されており、各車輪速度センサ5FL〜5RRの検出信号を入力し、この検出信号に基づいて各種演算を行って、後述する油圧ブレーキ装置2およびPKB3を制御するための制御信号を出力する。具体的には、ブレーキ制御ECU1は、各車輪速度センサ5FL〜5RRから送られるパルス信号として表される検出信号を受け取ると、例えば所定時間当たりのパルス数から各車輪4FL〜4RRの車輪速度を求めると共に、求めた車輪速度から周知の手法によって車速(車体速度)を求める。そして、ブレーキ制御ECU1は、各車輪4FL〜4RRの車輪速度と車速との偏差として表されるスリップ率が所定のしきい値を超えるか否かを判定することで、ABS制御を行うか否かを決定し、ABS制御を実行する際には、油圧ブレーキ装置2に対して制御信号を出力することで、制御対象輪がロックに至ることを防止する。
【0022】
また、ブレーキ制御ECU1は、各車輪速度センサ5FL〜5RRの検出信号を利用して路面の凹凸を検出し、この凹凸から道路情報を得る。ブレーキ制御ECU1のうち、このように道路情報の取得を行う部分が道路情報取得装置に相当する。この道路情報の取得に関しては、後で詳細に説明する。
【0023】
油圧ブレーキ装置2は、各車輪4FL〜4RRに対して制動力を付与する制動力発生手段に相当するものである。図2は、この油圧ブレーキ装置2の具体的な配管構成を示した図である。この図を参照して、油圧ブレーキ装置2について説明する。
【0024】
マスタシリンダ(以下、M/Cという)10は、運転者により図示しないブレーキペダルが踏み込まれると、そのブレーキペダルの踏力に応じたM/C圧を発生させる。このM/C10には、第1配管系統11および第2配管系統21が接続されており、これら各配管系統11、21に対して各W/C41FL〜41RRがダイアゴナル接続されている。
【0025】
M/C10で発生させられたブレーキ液圧は、それぞれ第1配管系統11および第2配管系統21を介して各車輪に備えられたW/C41FL〜41RRに伝達され、第1の制動力を発生するようになっている。
【0026】
以下では、第1配管系統11、特に、右前輪4FRに関わる配管系統を中心に説明するが、他の車輪および第2配管系統についても同様である。
【0027】
第1配管系統11には、右前輪4FRおよび左後輪4RLのそれぞれに対して、ABS制御時に各W/C41FR、41RLの増圧および保持を調整する増圧制御弁14a、14bが設けられている。増圧制御弁14a、14bそれぞれに並列に逆止弁141a、141bが設けられ、増圧制御弁14a、14bの遮断時にW/C圧が過剰となった場合に液流をM/C10側へ逃がすようになっている。
【0028】
増圧制御弁14a、14bとW/C41FR、41RLの間から伸びる減圧管路12にはABS制御におけるW/C41FR、41RLの減圧、保持を調整する減圧制御弁15a、15bが設けられている。この減圧管路12はリザーバ16と接続されている。
【0029】
リザーバ16に貯溜されるブレーキ液は、モータ20により駆動されるポンプ17によって汲み上げられたのち、増圧制御弁14a、14bと後述するマスタカット弁(以下、SM弁という)18の間に返流される。なお、ポンプ17の吐出口には逆止弁171が設けられ、ポンプ17の吐出口に高いブレーキ液圧が加えられないようになっている。
【0030】
M/C10と増圧制御弁14a、14bの間には、SM弁18が配置されている。このSM弁18は、非通電時は連通状態、通電時には図示方向の逆止弁による遮断状態となる2位置弁である。SM弁18は、遮断状態のときには、W/C41FR、41RL側の圧が逆止弁のばねによるクラッキング圧分だけM/C10側の圧よりも高くなったときにリリースされ、圧を逃がす構造となっている。このSM弁18には、並列に逆止弁181が設けられており、M/C10側からW/C41FR、41RL側への流動のみが許容されるようになっている。
【0031】
M/C10およびSM弁18の間とリザーバ16は吸引管路13で接続されている。
【0032】
第1配管系統11のM/C10とSM弁18の間には油圧センサ30が設けられ、M/C10が発生したブレーキ液圧が検出できるようになっている。この油圧センサ30で検出されるブレーキ液圧は、M/C10の図示しないセカンダリ室の発生圧力であるが、第2配管系統が接続されるプライマリ室にも同圧が発生しているので、油圧センサ30により実質的にM/C圧を検出することができる。
【0033】
また、増圧制御弁14a、14bとW/C41FR、41RLの間にも油圧センサ19a、19bが設けられ、それぞれのW/C圧が検出できるようになっている。
【0034】
これら、油圧センサ30および油圧センサ19a、19bの出力信号は、ブレーキ制御ECU1に入力される。
【0035】
上記増圧制御弁14a、14b、減圧制御弁15a、15bは2位置弁であり、ブレーキペダルの非操作時および通常ブレーキ時などの非通電(OFF)時には図示の弁体位置、すなわち、増圧制御弁14a、14bは連通状態、減圧制御弁15a、15bは遮断(カット)状態にある。また、SM弁18も通常の非通電時には図示の弁体位置、すなわち連通状態にある。
【0036】
これら各制御弁は、ブレーキ制御ECU1からの作動信号により駆動される。また、ポンプ17、27を駆動するモータ20もブレーキ制御ECU1からの作動信号により駆動される。
【0037】
続いて、この油圧ブレーキ装置2の基本的な制御方法について説明する。
【0038】
運転者によりブレーキペダルが踏み込まれるときの通常のブレーキ操作においては、全ての制御弁(SM弁18、増圧制御弁14a、減圧制御弁15a)は非通電(OFF)状態とされる。このため、M/C圧がそのままW/C41FR、41RLに作用し、W/C圧=M/C圧となる。
【0039】
ABS制御中は、タイヤロックを回避するためにW/C圧を減圧する過程と制動力を回復するためにW/C圧を増圧する過程とでそれぞれ動作が異なる。なお、SM弁18はABS制御中は、通常OFF(連通状態)にするとともに、ポンプ17を駆動してリザーバ16よりブレーキ液を吸引する。
【0040】
ABS制御の減圧過程では、増圧制御弁14aを通電状態(ON)すなわち遮断(カット)状態とし、かつ、減圧制御弁15aをON/OFFのデューティー比制御する。これにより、連通/カットの切換えが繰り返されて、W/C41FRよりブレーキ液が所定の変化勾配でリザーバ16へ流れ出しW/C圧が減圧される。
【0041】
ABS制御の増圧過程では、減圧制御弁15aを非通電状態(OFF)すなわちカット状態とし、かつ、増圧制御弁14aをOFF/ONのデューティー比制御する。これにより、連通/カットの切換えが繰り返されて、M/C10よりブレーキ液がW/C41FRに供給されてW/C圧は増圧される。
【0042】
また、車両走行制御に基づいて制動力を発生させるときには、ブレーキ制御ECU1が油圧ブレーキ装置2に対して制御信号を出力することで、各車輪4FL〜4RRに対して所望のW/C圧が発生させられる。
【0043】
具体的には、W/C圧を増加させようとするときには、SM弁18をON(カット状態)に、かつ、減圧制御弁15aをOFF(カット状態)にする。また、ポンプ17を駆動してリザーバ16よりブレーキ液を吸引して吐出圧を発生させた状態で、油圧センサ19aの検出値との比較を行いながら、増圧制御弁14aをOFF/ONのデューティー比制御により所定の変化勾配で、あるいは設定された目標の圧力までW/C圧を増加させる。このとき、必要に応じてM/C10から吸引管路13、リザーバ16を介してブレーキ液がポンプ17の吸引口に補充される。
【0044】
一方、W/C圧を減少させようとするときには、SM弁18をON(カット状態)に、かつ、増圧制御弁14aをON(カット状態)にするとともに、ポンプ17を駆動してリザーバ16よりブレーキ液を吸引して吐出圧を発生させた状態で、油圧センサ19aの検出値との比較を行いながら、減圧制御弁15aをON/OFFのデューティー比制御により所定の勾配で、あるいは設定された目標の圧力までW/C41FRよりブレーキ液を吸引してW/C圧を減少させる。このとき、増圧制御弁14aおよびSM弁18がともにカット状態であるため、ポンプ17の吐出圧は増大するが、その圧がSM弁18の逆止弁のばねのクラッキング力より大きくなるとリリースされて圧力が低下する。
【0045】
続いて、PKB3について説明する。PKB3は、基本的にはドライバによるパーキングブレーキスイッチ(図示せず)の操作によって駆動されるものであるが、取得する道路情報に基づいて実行される車両走行制御での制動にも適宜用いられる。このため、このPKB3も、上述した油圧ブレーキ装置2と共に制動力付加手段に相当するものとなる。
【0046】
PKB3は、ブレーキワイヤ31R、31Lにて後輪4RL、4RRの各ブレーキキャリパと接続されている。このPKB31は、ブレーキ制御ECU1からの制御信号により動作する図示しないモータおよびギア機構からなるアクチュエータが、ブレーキワイヤ31R、31Lを介して左右後輪4RR、4RLのブレーキキャリパを駆動することにより、制動力を発生させる。PKB3のモータは、制御信号に基づきデューティー駆動されて正転または逆転させられる。これにより、制動力の大きさが制御される。
【0047】
このとき、デューティー比に応じた制動力が発生し、目標の制動力となったらPKB3のモータがロックし、モータロックが検出されるとモータの駆動電流が遮断、すなわち、制御信号が解除されて、PKB3は制御停止(制御禁止)の状態となる。このPKB3の制御停止状態ではギア機構は動かないので、制動力は維持され、ロック状態となる。
【0048】
このPKB3は、車両走行制御中にブレーキ制御ECU1からの制御信号によって行われる以外に、運転者により図示しないパーキングブレーキスイッチをON/OFF操作した場合にも、その操作信号に基づきブレーキ制御ECU1がPKB3の駆動信号を出力することにより駆動される。
【0049】
車輪速度センサ5FL〜5RRは、各車輪4FL〜4RRの回転速度を検出できるように、各車輪4FL〜4RRそれぞれに備えられ、それぞれの検出信号が直接ブレーキ制御ECU1に入力されるように構成されている。車輪速度センサ5FL〜5RRには、例えばホール素子による半導体式速度センサが用いられ、低速度でも確実な車輪回転パルスを得ることで、正確な車速が検出できるようになっている。
【0050】
警告表示・警報装置7は、ランプやディスプレイ等の警告表示器およびブザーやスピーカ等の警報器を備えたもので、各種制御を実行していること等をランプ点灯やディスプレイ表示、ブザーやスピーカを通じての警告音によってドライバに報知するものである。
【0051】
次に、ブレーキ制御ECU1による道路情報の取得について説明する。
【0052】
図3は、車輪速度センサ5FL〜5RRによる車輪速度の検出の様子を示した模式図である。この図に示されるように、車輪4FL〜4RRと共に回転する歯車状のロータ50の山と谷の入れ替わりにより、検出信号がsin波形となる。このsin波形の周期は、基本的に車輪4FL〜4RRの回転速度に応じて変わる。
【0053】
車輪4FL〜4RRの回転速度は、車輪4FL〜4RRがスリップすることなく車両VLが平坦な路面を走行しているのであれば、大きく変化することはなく、ほぼ一定になる。しかしながら、車輪4FL〜4RRが路面の凹凸を乗り越えるときには、車輪4FL〜4RRの回転速度が瞬間的に変化する。例えば、転動輪が路面の凸部を乗り越えるときには、車輪4FL〜4RRが凸部に衝突して浮き上がった瞬間に回転速度が小さくなり、その後、再び車輪4FL〜4RRが接地した瞬間に急激に車速に追従するために回転速度が大きくなる。
【0054】
このため、車輪4FL〜4RRが路面の凹凸を乗り越える場合には、車輪4FL〜4RRの回転速度の瞬間的な変化が車輪速度センサ5FL〜5RRの検出信号に現れることになる。すなわち、回転速度が瞬間的に小さくなったときにはsin波形の周期が長く(1周期分のsin波形の幅が広く)なり、逆に瞬間的に大きくなったときにはsin波形の周期が短く(1周期分のsin波形の幅が狭く)なる。
【0055】
この現象に基づいて、車輪速度センサ5FL〜5RRの検出信号を利用して路面の凹凸を検出することが可能となる。したがって、道路に意図的に凹部もしくは凸部を形成した凹凸パターンを形成したり、現状既に道路に備えられている設置物(例えばキャッツアイ)の凹凸パターンを認識することで、凹凸パターンから道路情報を取得することが可能となる。
【0056】
例えば、図4は、道路50に凹凸パターン60を形成したときの一例を示したものである。また、図5は、図4の断面に相当するもので、図5(a)が凸パターン61を形成したときの断面図、図5(b)が凹パターン62を形成したときの断面図である。
【0057】
図4に示されるように、道路には、車両VLの進行方向と垂直な方向に延設された凹凸パターン60が形成されている。ここでいう凹凸パターン60は、図5(a)に示されるように凸パターン61であっても良いし、図5(b)に示されるように凹パターン62であっても良い。
【0058】
また、凹凸パターン60は、図4、図5に示されるように、道路50を所定の距離(ここでは1m)ごとに区画し、区画された各領域を1ビットとして見立て、領域中に凸部61aもしくは凹部62aを形成するか否かにより、道路情報を示している。例えば、凹凸パターン60により、領域中に凸部61aもしくは凹部62aを形成されている場合には“1(ON)”、形成されていない場合には“0(OFF)”のデータを示すことができる。したがって、このように道路50に凹凸パターン60を形成することで、道路50に道路情報を書き込むことができる。
【0059】
図6は、凹凸パターン60による道路情報を示すフレーム(データフォーマット)の構造を示した概略図である。この図に示されるように、スタートビット、スタートビットの後に続くデータ、パリティビットおよびストップビットによって道路情報を示すフレームが構成されている。
【0060】
スタートビットは、ブレーキ制御ECU1に道路情報が書き込まれたフレームの存在を知らせるためのものである。データは、具体的な道路情報、例えば、制限速度、路面勾配、曲率半径などの情報を示すものである。パリティビットは、道路情報を示したデータが誤っていないかチェックするためのものである。ストップビットは、道路情報が書き込まれたフレームの終了を知らせるためのものである。
【0061】
図7は、フレーム内のデータが表す内容の一例を示した図表である。この図に示されるように、例えばデータの上位4ビットと下位8ビットで道路情報の種類および具体的な道路情報の数値を示すことができる。すなわち、“0101”は制限速度、“1010”は路面勾配、“1110”は曲率半径、“0111”は一旦停止というように、道路情報の種類が示される。そして、下位8ビットで具体的な数値が表され、例えば、図中に示したように、制限速度の場合には1LSB=1km/h、路面勾配の場合には1LSB=1%、曲率半径の場合には1LSB=5mとして表すことができる。
【0062】
次に、本実施形態の車両走行制御システムの作動について説明する。なお、ここでは、図6および図7に示すフレームで道路情報を示し、車両走行制御システムがその道路情報を認識して車両走行制御を行う場合について説明する。
【0063】
図8は、ブレーキ制御ECU1が実行するビット認識処理のフローチャートである。この処理は、図示しないイグニッションスイッチがオフからオンに切替ると、各車輪4FL〜4RR毎に順番に所定の演算周期ごとに実行される。
【0064】
まず、ステップ100では、車輪速度演算を行う。すなわち、ブレーキ制御ECU1は、各車輪速度センサ5FL〜5RRから送られるパルス信号として表される検出信号を受け取り、例えば所定時間当たりのパルス数から各車輪4FL〜4RRの車輪速度を求める。
【0065】
続いて、ステップ110では、ステップ100で求めた車輪速度を用いて車両VLが1m走行したか否かを判定する。ここでいう1mとは、フレームの1ビット分を表すために用いている距離のことを示している。このため、フレームの1ビット分を表すために用いている距離が変われば、このステップで判定に用いる距離も変わることになる。なお、車両VLの距離の積算は、このステップで肯定判定された際にリセットされるようになっており、ブレーキ制御ECU1は、車両VLが1m走行する毎に本ステップ以降の処理を繰り返し行う。
【0066】
このステップで否定判定された場合には、ステップ120に進み、車輪加速度の演算を行う。車輪加速度は、ステップ100で求められた車輪速度の微分値として求められる。そして、ステップ130に進み、ステップ120で求めた車輪加速度が所定のしきい値G1を超えているか否かを判定する。
【0067】
上述したように、車輪4FL〜4RRが凹凸パターン60を乗り越える際には、車輪速度が変化し、例えば転動輪の場合には、車輪4FL〜4RRが浮き上がった瞬間に車輪速度が低下して、車輪4FL〜4RRが接地すると同時に車輪速度が急激に増加する。このため、車輪速度が増加する瞬間を車輪加速度を利用して検出すれば、凹凸パターン60を検出することができる。なお、ここでいうしきい値G1は、通常の加速では想定できない大きさとされるため、通常の加速と区別することが可能である。
【0068】
したがって、ステップ130で肯定判定された場合には、ステップ140に進む。この場合、車輪4FL〜4RRが道路50に形成された凸部61aもしくは凹部62aを乗り越えたと考えられる。このため、ステップ140では、ON受信あり、つまり凸部61aもしくは凹部62aがあったと判定して、ON受信ありのフラグをセットする。
【0069】
一方、ステップ110において、1m走行したと判定された場合には、車両VLの走行距離の積算値をリセットしてステップ150に進む。そして、ステップ150にて、ON受信ありのフラグがセットされているか否かを判定する。すなわち、車両VLが1m走行する間にON受信があったか否かを判定する。ここで、ON受信ありのフラグがセットされていれば、ステップ160に進んでON受信確定処理として、1ビット分に相当する区画、つまり1m分の領域で“1(ON)”のデータが示されていたことを記憶しておく。その後、ON受信ありのフラグをリセットして本処理を完了する。
【0070】
逆に、ON受信ありのフラグがセットされていない場合、すなわち、車両VLが1m走行する間にON受信がなかった場合には、ステップ170に進んでOFF受信確定処理として、1ビット分に相当する区画で“0(OFF)”のデータが示されていたことを記憶しておく。その後、本処理を完了する。このようにして、ビット認識処理が行われる。
【0071】
続いて、ビット認識処理に基づいて、ブレーキ制御ECU1が行う受信動作について説明する。図9は、受信動作のフローチャートを示したものであり、この図を参照して説明する。
【0072】
図9に示される受信動作は、ビット認識処理での結果を参照して行われるもので、所定の演算周期毎に実行される。
【0073】
ステップ200では、データストア中であるか否かを判定する。ここでいうデータストア中であるか否かについては、後述するステップ220において、データストア中フラグがセットされているか否かによって判断する。そして、データストア中フラグがセットされていなければ、ステップ210に進み、スタートビットが認識されたか否かを判定する。
【0074】
スタートビットは、図6に示したように道路情報を示すフレームの最初の1ビットとして示されるものである。このため、上述したビット認識処理において“1(ON)”のデータを記憶していた場合に、スタートビットが認識されたものと想定される。
【0075】
このため、ビット認識処理において“1(ON)”のデータを記憶していれば、ステップ220に進んで、ビットデータストア開始すべく、データストア中フラグをセットする。逆に、ビット認識処理において“0(OFF)”のデータを記憶していれば、フレームを受信するタイミングではない。このため、この場合にはそのまま処理が完了となる。
【0076】
また、このステップ220でデータストア中フラグがセットされたときには、ステップ200で肯定判定される。このため、ステップ230に進み、ストップビットを認識したか否かを判定する。
【0077】
ここでいうストップビットも、上述したスタートビットと同様、図6に示したように道路情報を示すフレームの最後の1ビットとして示されるものである。
【0078】
データ、パリティビットがストアされたのち、ストップビットも認識したときには、フレームの全ビットのストアが完了したと考えられる。したがって、ストップビットを認識していない状態であれば、ステップ240に進み、ビットデータストアを行う。具体的には、スタートビットが認識されてからも、上述したビット認識処理において、データを示すビットの“1(ON)”、“0(OFF)”を順に認識しているため、認識したデータを順番に記憶していく。
【0079】
そして、ステップ250に進み、ストアされたビットデータが決まったフォーマットであるか否かを判定する。例えば、データの上位4桁が図7に示されるように“0101”、“1010”、“1110”、“0111”として決まっている場合、それらと一致しないものであれば、道路情報を示すフレームとは考えられない。このため、データをストアする毎に、道路情報を示すフレームとして決まったフォーマットと一致しているか否かを判定する。このとき、例えば、ストアしたデータが“00”で始まっていた場合には、決まったフォーマットではないため、ステップ250で否定判定されることになる。
【0080】
なお、ここではデータをストアする毎に、決まったフォーマットであるか否かを判定するようにしているが、道路情報を示すフレームであるが否かを判定できるビット数分だけデータをストアしたときに判定を行っても良い。
【0081】
ステップ250で肯定判定された場合には、そのまま処理を終了させる。したがって、この場合には、再び上記各処理が繰り返されることになり、ビットデータストアが継続される。逆に、ステップ250で否定判定された場合には、ステップ260に進み、今までストアしたデータを消去すると共に、データストア中フラグをリセットして処理を終了する。
【0082】
一方、ステップ230において、ストップビットを認識したと判定した場合には、ステップ270に進み、受信データ解析を行う。つまり、ストアしたデータが示す道路情報の解析を行う。これにより、図7に示されるように、例えばストアしたデータの上位4ビットが“0111”、下位8ビットが“00000000”であれば、前方に一旦停止ありと解析する。
【0083】
この後、ステップ280に進み、受信データに対するアクションを実行すると共に、データストア中フラグをリセットして処理を終了する。例えば、受信データに対するアクションとして、警告表示・警報装置7により、前方に一旦停止があることをランプ点灯やディスプレイ表示、ブザーやスピーカを通じての警告音によってドライバに報知する。また、ブレーキ制御ECU1から油圧ブレーキ装置2に対して制御信号を出力することで、油圧ブレーキ装置2により制動力を発生させ、車両VLが一旦停止できるように車速を低下させるような車両走行制御を行うこともできる。
【0084】
このように、本実施形態の車両走行制御システムによれば、道路50に形成した凹凸パターン60を車輪速度センサ5FL〜5RRの検出信号から検出することで、凹凸パターン60によって示される道路情報を取得することが可能となる。これにより、道路50に情報提供装置を備えたり、車両側に受信機を設置したりしなくても、道路情報を取得することができ、ドライバに対して道路情報を提供することができると共に、取得した道路情報に応じて車両走行制御を行うことが可能となる。
【0085】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、上記第1実施形態で示した図9の受信動作によって得た受信データに対するアクションの一例を示したものである。
【0086】
図10は、ブレーキ制御ECU1が実行する制限速度超過時の減速処理のフローチャートである。この図に示される処理は、上述した図9に示す受信動作によって得た受信データに基づいて行われ、所定の演算周期毎に実行される。
【0087】
まず、ステップ300では、フレーム受信完了しているか否かを判定する。例えば、図9に示すステップ230において、ストップビット認識が行われたときに、そのフラグをセットしておけば、このフラグがセットされているか否かを判定することで本ステップの判定を行うことができる。
【0088】
そして、ステップ300で否定判定されれば、まだブレーキ受信を完了していないため、具体的なアクションを行うことができない。したがって、この場合にはそのまま処理を完了する。
【0089】
一方、ステップ300で肯定判定されれば、ステップ310に進み、上位4ビットが“0101”であるか否かを判定する。上位4ビットが“0101”の受信データは、図7に示されるように道路情報として制限速度を示したものである。このように、道路情報として制限速度を示した受信データであれば、ステップ320以降の処理に進み、違っていればそのまま処理を完了する。
【0090】
ステップ320では、受信データが示す制限速度(制限速度受信値)をV1[km/h]として設定する。そして、ステップ330において、現在の車速Vが制限速度受信値V1を超えているか否かを判定する。なお、現在の車速V[km/h]は、上述したように、ブレーキ制御ECU1が各車輪速度から周知の手法を用いて求める。
【0091】
ここで、現在の車速Vが制限速度受信値V1以下であれば、車速Vを減少させる必要はない。したがって、ステップ330で否定判定された場合にはそのまま処理を完了し、肯定判定された場合にはステップ340に進む。
【0092】
ステップ340では、制動力の発生処理を行う。具体的には、ブレーキ制御ECU1から油圧ブレーキ装置2に対して制御信号を出力し、SM弁18、28やポンプ17、27を駆動することで、制動力を発生させる。このとき発生させる制動力は、一定値であっても構わないが、例えば、現在車速Vと制限速度受信値V1との差が大きい程大きな値となるようにしても良い。
【0093】
続いて、ステップ350に進み、警告表示・警報装置7に対して、現在車速Vが制限速度受信値V1を超過していることを示す信号を送る。これにより、警告表示・警報装置7では、ランプ点灯やディスプレイ表示、ブザーやスピーカを通じての警告音によって、ドライバに現在車速Vが制限速度受信値V1を超過していることを報知する。
【0094】
以上説明した本実施形態の車両走行制御システムによれば、道路50に形成した凹凸パターン60を車輪速度センサ5FL〜5RRの検出信号から検出することで、凹凸パターン60によって示される制限速度情報を取得することが可能となる。これにより、ドライバに対して制限速度を報知することができると共に、取得した制限速度情報に応じて車両走行制御を行うことが可能となる。
【0095】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態も、上記第2実施形態と同様に、上記第1実施形態で示した図9の受信動作によって得た受信データに対するアクションの一例を示したものである。
【0096】
図11は、ブレーキ制御ECU1が実行する速度超過カーブ突入時の減速処理のフローチャートである。この図に示される処理は、上述した図9に示す受信動作によって得た受信データに基づいて行われ、所定の演算周期毎に実行される。
【0097】
まず、ステップ400では、上記図10のステップ300と同様の処理により、フレーム受信完了しているか否かを判定する。このステップ400で肯定判定されれば、ステップ410に進み、上位4ビットが“1110”であるか否かを判定する。上位4ビットが“1110”の受信データは、図7に示されるように道路情報として道路50の曲率半径を示したものである。このように、道路情報として曲率半径を示した受信データであれば、ステップ420以降の処理に進み、違っていればそのまま処理を完了する。
【0098】
ステップ420では、受信データが示す曲率半径(受信曲率半径)をR[m]として設定すると共に、現在車速V[m/s]を求め、これら受信曲率半径Rと現在車速Vから横加速度(横G)推定値GY[m/s2]を求める。なお、現在の車速Vの求め方は、従来の手法で構わないが、受信曲率半径Rの単位と合わせている。
【0099】
そして、ステップ430に進み、ステップ420で求めた横G推定値GYが横滑り防止制御(ESC:Electronic stability control)の開始しきい値に相当する所定値G1を超えているか否かを判定する。
【0100】
ここで、横G推定値GYが横滑り防止制御の開始しきい値以下であれば、横滑り防止制御を実行する必要がない。したがって、ステップ430で否定判定された場合にはそのまま処理を完了し、肯定判定された場合にはステップ440に進む。
【0101】
ステップ440では、制動力の発生処理を行う。具体的には、ブレーキ制御ECU1から油圧ブレーキ装置2に対して制御信号を出力し、横滑り防止制御の対象車輪に対して制動力を発生させるべく、SM弁18、28やポンプ17、27を駆動すると共に、非対象車輪に対して制動力が加えられないように非対称車輪に対応する増圧制御弁14a、14b、24a、24bをON状態(カット状態)にする。これにより、横滑り防止制御が行われる。
【0102】
続いて、ステップ450に進み、警告表示・警報装置7に対して、横滑りが発生し得る状況であることを示す信号を送る。これにより、警告表示・警報装置7では、ランプ点灯やディスプレイ表示、ブザーやスピーカを通じての警告音によって、ドライバに横滑りが発生し得る状況であることを報知する。
【0103】
以上説明した本実施形態の車両走行制御システムによれば、道路50に形成した凹凸パターン60を車輪速度センサ5FL〜5RRの検出信号から検出することで、凹凸パターン60によって示される横G情報(速度超過カーブ突入情報)を取得することが可能となる。これにより、ドライバに対して横滑りし得る状況であることを報知することができると共に、取得した横G情報に応じて車両走行制御(横滑り防止制御)を行うことが可能となる。
【0104】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態も、上記第1、第2実施形態と同様に、上記第1実施形態で示した図9の受信動作によって得た受信データを利用するものであるが、受信データに基づいて車両走行制御を行うのではなく、警告表示・警報装置7によってドライバに受信データが示す内容に応じた報知を行うものである。
【0105】
図12は、ブレーキ制御ECU1が実行する道路情報表示処理のフローチャートである。この図に示される処理は、上述した図9に示す受信動作によって得た受信データに基づいて行われ、所定の演算周期毎に実行される。
【0106】
まず、ステップ500では、上記図10のステップ300と同様の処理により、フレーム受信完了しているか否かを判定する。このステップ500で肯定判定されれば、ステップ510に進み、上位4ビットが“1010”であるか否かを判定する。上位4ビットが“1010”の受信データは、図7に示されるように道路情報として路面勾配を示したものである。このように、道路情報として路面勾配を示した受信データであれば、ステップ520に進み、路面勾配を示す受信データを警告表示・警報装置7に出力して画像表示させる。図13は、警告表示・警報装置7で路面勾配の画像表示を行ったときの一例を示す模式図である。このようにして、路面勾配の画像表示を行うことができる。
【0107】
一方、ステップ510で否定判定された場合にはステップ530に進む。ステップ530では、上位4ビットが“0101”であるか否かを判定する。上位4ビットが“0101”の受信データは、図7に示されるように道路情報として制限速度を示したものである。このように、道路情報として制限速度を示した受信データであれば、ステップ540に進み、制限速度を示す受信データを警告表示・警報装置7に出力して画像表示させる。図14は、警告表示・警報装置7で制限速度の画像表示を行ったときの一例を示す模式図である。このようにして、制限速度の画像表示を行うことができる。
【0108】
また、ステップ530で否定判定された場合にはステップ550に進む。ステップ550では、上位4ビットが“1110”であるか否かを判定する。上位4ビットが“1110”の受信データは、図7に示されるように道路情報として曲率半径を示したものである。このように、道路情報として曲率半径を示した受信データであれば、ステップ560に進み、曲率半径を示す受信データを警告表示・警報装置7に出力して画像表示させる。このようにして、カーブ路の画像表示を行うことができる。
【0109】
以上説明した本実施形態の車両走行制御システムによれば、道路50に形成した凹凸パターン60を車輪速度センサ5FL〜5RRの検出信号から検出することで、凹凸パターン60によって示される各種道路情報を取得することが可能となる。これにより、ドライバに対して各種道路情報を報知することができ、ドライバにその道路情報に基づく車両操作を行わせることが可能となる。
【0110】
(他の実施形態)
上記実施形態では、道路50に道路情報を示す凹凸パターン60を積極的に形成する場合について説明したが、既存の設備等を凹凸パターン60に見立てて道路情報を得ることも可能である。
【0111】
例えば、高速道路や単調な道路などに形成された居眠り防止用のパターンを居眠りしがちな道路であるものとして、その旨を警告表示・警報装置7に表示させたり、振動的な制動力を発生させることでドライバに注意を喚起させることも可能である。
【0112】
また、中央分離用のキャッツアイなども所定間隔で形成されていることから、これを凹凸パターン60に見立てて、車両VLの道路50からのはみ出しなどを警告表示・警報装置7に表示させたり、振動的な制動力を発生させることでドライバに注意を喚起させることも可能である。
【0113】
さらに、上記実施形態では、左右両輪4FL〜4RRが同じ内容のデータを取得するような形態、つまり道路50のうち右車輪4RL、4RRが通過する領域と左車輪4FL、4FRが通過する領域に同じ凹凸パターン60が形成されている場合を例に挙げて説明したが、異なる凹凸パターン60とすることもできる。図15は、そのような凹凸パターン60を形成した場合の道路50の正面図である。
【0114】
このような凹凸パターン60を用いれば、右車輪4FR、4RRに対応して備えられた車輪速度センサ5FR、5RRの検出信号と左車輪4FL、4RLに対応して備えられた車輪速度センサ5FL、5RLの検出信号から異なるデータを取得することができる。このようにすれば、距離あたりのデータ量を多くすることができるため、上記各実施形態と同じ内容のデータを得るための凹凸パターン60を形成するのに必要とされる距離を短縮化を図ることができる。
【0115】
なお、異なるデータそれぞれで全く種類の異なる道路情報を示しても良いが、この場合には上記各実施形態と同じ距離を使っても、複数のデータを得ることが可能になる。
【0116】
また、道路50のうち右車輪4RL、4RRが通過する領域と左車輪4FL、4FRが通過する領域に異なる凹凸パターン60を形成する場合には、ブレーキ制御ECU1は、右前輪4FRに対応して備えられた車輪速度センサ5FRの検出信号から得られるデータと右後輪4RRに対応して備えられた車輪速度センサ5RRの検出信号から得られるデータを比較して整合性を検証し、左前輪4FLに対応して備えられた車輪速度センサ5FLの検出信号から得られるデータと左後輪4RLに対応して備えられた車輪速度センサ5RLの検出信号から得られるデータを比較して整合性を検証することができる。
【0117】
上記各実施形態では、車両走行制御を行うときの制動力を発生させる制動力発生手段として油圧ブレーキ装置2を用いることを示したが、油圧ブレーキ装置2に限らず、PKB3によって制動力を発生させるようにしても良い。また、これら油圧ブレーキ装置2とPKB3の協調によって制動力を発生させても良い。
【0118】
なお、各図中に示したステップは、各種処理を実行する手段に対応するものである。具体的には、ブレーキ制御ECU1のうち、ステップ130の処理を実行する部分が変動検出手段、ステップ160、170の処理を実行する部分がデータ受信手段、ステップ240の処理を実行する部分が記憶手段、ステップ250の処理を実行する部分が判定手段、ステップ270の処理を実行する部分がデータ解析手段にそれぞれ相当する。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の第1実施形態における車両走行制御システムの全体構成を示す図である。
【図2】車両走行制御システムに備えられる油圧ブレーキ装置2の具体的な配管構成を示した図である。
【図3】車輪速度センサ5FL〜5RRによる車輪速度の検出の様子を示した模式図である。
【図4】道路50に凹凸パターン60を形成したときの一例を示した上面図である。
【図5】(a)は凸パターンを形成したときの断面図、(b)は凹パターンを形成したときの断面図である。
【図6】凹凸パターン60による道路情報を示すフレームの構造を示した概略図である。
【図7】フレーム内のデータが表す内容の一例を示した図表である。
【図8】ブレーキ制御ECU1が実行するビット認識処理のフローチャートである。
【図9】ブレーキ制御ECU1が実行する受信動作のフローチャートである。
【図10】ブレーキ制御ECU1が実行する制限速度超過時の減速処理のフローチャートである。
【図11】ブレーキ制御ECU1が実行する速度超過カーブ突入時の減速処理のフローチャートである。
【図12】ブレーキ制御ECU1が実行する道路情報表示処理のフローチャートである。
【図13】警告表示・警報装置7で路面勾配の画像表示を行ったときの一例を示す模式図である。
【図14】警告表示・警報装置7で制限速度の画像表示を行ったときの一例を示す模式図である。
【図15】道路50のうち右車輪4RL、4RRが通過する領域と左車輪4FL、4FRが通過する領域に異なる凹凸パターン60を形成した場合の道路50の正面図である。
【符号の説明】
【0120】
1 ブレーキ制御ECU、2…油圧ブレーキ装置、3…PKB、4FL〜4RR…車輪、5FL〜5RR…車輪速度センサ、6…車内LANバス、7…警告表示・警報装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(VL)の車輪(4FL〜4RR)に対して取り付けられた車輪速度センサ(5FL〜5RR)の検出信号を受け取り、該検出信号の変動を検出する変動検出手段(130)と、
前記変動検出手段での検出結果から道路に形成された凹凸パターンによって示される道路情報を示すデータを受信するデータ受信手段(160、170)と、
前記データ受信手段に受信された前記データをストアする記憶手段(240)と、
道路情報を示すデータフォーマットに基づいて、前記記憶手段にストアされた前記データを解析し、該データに示される道路情報を取得するデータ解析手段(270)と、を備えていることを特徴とする道路情報取得装置。
【請求項2】
前記凹凸パターンは、前記道路の所定距離毎に前記データの1ビット分を表しており、前記所定距離毎に凹部もしくは凸部を1つ形成するか形成しないかによって、前記データフォーマットに対応する前記データが示されていることを特徴とする請求項1に記載の道路情報取得装置。
【請求項3】
前記データ受信手段が前記所定距離毎に前記データを受信していくと、前記データのうち受信したビットが前記データフォーマットの上位ビットと一致するか否かを判定する判定手段(250)を備え、
前記記憶手段は、前記判定手段によって前記データの上位ビットが前記データフォーマットの上位ビットと一致すると判定された場合にのみ、該記憶手段による前記データのストアを続け、一致しないと判定された場合には、該記憶手段にストアしている前記データを消去することを特徴とする請求項2に記載の道路情報取得装置。
【請求項4】
前記データのうち上位複数ビットによって前記道路情報の種類を示し、残りのビットによって前記道路情報の種類別の数値を示していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の道路情報取得装置。
【請求項5】
前記道路のうち前記車両の右車輪(4FR、4RR)が通過する領域と左車輪(4FL、4RL)が通過する領域とで前記凹凸パターンを異なるものとし、前記右車輪(4FR、4RR)に対応して備えられた前記車輪速度センサ(5FR、5RR)の検出信号と前記左車輪(4FL、4RL)に対応して備えられた前記車輪速度センサ(5FL、5RL)の検出信号から前記データを取得することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の道路情報取得装置。
【請求項6】
右前輪(4FR)に対応して備えられた前記車輪速度センサ(5FR)の検出信号から得られる前記データと右後輪(4RR)に対応して備えられた前記車輪速度センサ(5RR)の検出信号から得られる前記データを比較して整合性を検証し、左前輪(4FL)に対応して備えられた前記車輪速度センサ(5FL)の検出信号から得られる前記データと左後輪(4RL)に対応して備えられた前記車輪速度センサ(5RL)の検出信号から得られる前記データを比較して整合性を検証する手段を備えていることを特徴とする請求項5に記載の道路情報取得装置。
【請求項7】
前記データ解析手段での解析結果をドライバに報知する報知手段(7)を備えていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の道路情報取得装置。
【請求項8】
前記データにより、制限速度、路面勾配および旋回曲率の少なくとも1つが示されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の道路情報取得装置。
【請求項9】
請求項1ないし7に記載の道路情報取得装置を備えた車両走行制御システムであって、
前記車輪(4FL〜4RR)それぞれに対して制動力を発生させる制動力発生手段(2、3)を備え、
前記道路情報取得装置に備えられた前記データ解析手段での解析結果に基づいて、前記制動力発生手段により前記車輪(4FL〜4RR)のうち制御対象となる車輪に対して前記制動力を発生させることで、車両走行制御を実行することを特徴とする車両走行制御システム。
【請求項1】
車両(VL)の車輪(4FL〜4RR)に対して取り付けられた車輪速度センサ(5FL〜5RR)の検出信号を受け取り、該検出信号の変動を検出する変動検出手段(130)と、
前記変動検出手段での検出結果から道路に形成された凹凸パターンによって示される道路情報を示すデータを受信するデータ受信手段(160、170)と、
前記データ受信手段に受信された前記データをストアする記憶手段(240)と、
道路情報を示すデータフォーマットに基づいて、前記記憶手段にストアされた前記データを解析し、該データに示される道路情報を取得するデータ解析手段(270)と、を備えていることを特徴とする道路情報取得装置。
【請求項2】
前記凹凸パターンは、前記道路の所定距離毎に前記データの1ビット分を表しており、前記所定距離毎に凹部もしくは凸部を1つ形成するか形成しないかによって、前記データフォーマットに対応する前記データが示されていることを特徴とする請求項1に記載の道路情報取得装置。
【請求項3】
前記データ受信手段が前記所定距離毎に前記データを受信していくと、前記データのうち受信したビットが前記データフォーマットの上位ビットと一致するか否かを判定する判定手段(250)を備え、
前記記憶手段は、前記判定手段によって前記データの上位ビットが前記データフォーマットの上位ビットと一致すると判定された場合にのみ、該記憶手段による前記データのストアを続け、一致しないと判定された場合には、該記憶手段にストアしている前記データを消去することを特徴とする請求項2に記載の道路情報取得装置。
【請求項4】
前記データのうち上位複数ビットによって前記道路情報の種類を示し、残りのビットによって前記道路情報の種類別の数値を示していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の道路情報取得装置。
【請求項5】
前記道路のうち前記車両の右車輪(4FR、4RR)が通過する領域と左車輪(4FL、4RL)が通過する領域とで前記凹凸パターンを異なるものとし、前記右車輪(4FR、4RR)に対応して備えられた前記車輪速度センサ(5FR、5RR)の検出信号と前記左車輪(4FL、4RL)に対応して備えられた前記車輪速度センサ(5FL、5RL)の検出信号から前記データを取得することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の道路情報取得装置。
【請求項6】
右前輪(4FR)に対応して備えられた前記車輪速度センサ(5FR)の検出信号から得られる前記データと右後輪(4RR)に対応して備えられた前記車輪速度センサ(5RR)の検出信号から得られる前記データを比較して整合性を検証し、左前輪(4FL)に対応して備えられた前記車輪速度センサ(5FL)の検出信号から得られる前記データと左後輪(4RL)に対応して備えられた前記車輪速度センサ(5RL)の検出信号から得られる前記データを比較して整合性を検証する手段を備えていることを特徴とする請求項5に記載の道路情報取得装置。
【請求項7】
前記データ解析手段での解析結果をドライバに報知する報知手段(7)を備えていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の道路情報取得装置。
【請求項8】
前記データにより、制限速度、路面勾配および旋回曲率の少なくとも1つが示されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の道路情報取得装置。
【請求項9】
請求項1ないし7に記載の道路情報取得装置を備えた車両走行制御システムであって、
前記車輪(4FL〜4RR)それぞれに対して制動力を発生させる制動力発生手段(2、3)を備え、
前記道路情報取得装置に備えられた前記データ解析手段での解析結果に基づいて、前記制動力発生手段により前記車輪(4FL〜4RR)のうち制御対象となる車輪に対して前記制動力を発生させることで、車両走行制御を実行することを特徴とする車両走行制御システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−58718(P2007−58718A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−245419(P2005−245419)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】
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