説明

道路標示認識装置及び道路標示認識方法

【課題】走行している車線が特定車線か否かを正確かつ高速に判定することのできる「道路標示認識装置及び道路標示認識方法」を提供すること。
【解決手段】道路標示認識装置は、カメラと、カメラで撮影された画像を基に、車線マークを検出する車線マーク検出部と、カメラで撮影された画像を基に、特定の道路標示を検出する特定道路標示検出部と、自車両の走行距離を算出する走行距離算出部と、所定の距離を走行するまでに、自車両が走行する車線に特定の道路標示を検出したときに、自車両が特定の車線を走行していると判定する特定道路標示存在判定部と、を備える。車線マーク検出部は、自車両が走行している車線の右側の車線マーク及び左側の車線マークを特定し、特定道路標示存在判定部は、特定の道路標示の位置が右側の車線マークの位置と左側の車線マークの位置の間であるとき、自車両が特定の車線を走行していると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路標示認識装置及び道路標示認識方法に関し、特に、自車両の走行車線に標示されたマークを正確かつ高速に検出可能な道路標示認識装置及び道路標示認識方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の典型的な車載用ナビゲーション装置は、ナビゲーションに係る一切の処理を制御するCPU等の制御装置、地図データを予め記憶させたDVD(Digital Versatile Disk)−ROMやICメモリカード等の記憶装置、表示装置、GPS(Global Positioning System)受信機、ジャイロや車速センサ等の車両の現在位置及び現在方位を検出する検出装置等を有している。そして、制御装置により、車両の現在位置を含む地図データを記憶装置から読み出し、該地図データに基づいて車両位置の周囲の地図画像を表示装置の画面に表示すると共に、自車の現在位置を指示する車両位置マークを地図画像に重ね合わせて表示し、車両の移動に応じて地図画像をスクロール表示したり、地図画像を画面に固定し車両位置マークを移動させたりして、車両が現在どこを走行しているのかを一目で判るようにしている。
【0003】
車載用ナビゲーション装置には、通常、ユーザが目的地に向けて道路を間違うことなく容易に走行できるように案内する機能(経路誘導機能)が搭載されている。この経路誘導機能によれば、制御装置により、地図データを用いて出発地(典型的には自車の現在位置)から目的地までを結ぶ最適な経路を、横型探索法やダイクストラ法等のシミュレーション計算を行って自動探索し、その探索した経路を誘導経路として記憶しておき、走行中、地図画像上にその誘導経路を他の道路とは識別可能に(例えば、色を変えたり、線幅を太くして)表示したり、また、自車が誘導経路上で進路を変更すべき交差点まで所定距離に近づいたときに、地図画像上にその交差点の案内図(交差点拡大図、該交差点での進行方向を示す矢印など)を表示したりすることで、いずれの道路を走行すればよいかをユーザが把握できるようになっている。
【0004】
このような誘導経路の探索において、走行レーンに応じた探索が必要になる場合がある。例えば、米国のフリーウェイには、一般レーンとともに、カープールレーンと呼ばれる特別な車線を備えた道路が存在する。カープールレーンは、交通渋滞の解消、排気ガスの軽減、通勤時間の短縮等のために設けられた車線であり、公共バス、搭乗者が2名以上(具体的な人数は州によって異なる)の車両やバイクが利用することが可能とされている。このようなカープールレーンは、所定の進入許可区間からでなければ一般レーンからの適法な進入が許されていない。また、所定の離脱許可区間からでなければ一般レーンへの適法な離脱が許されていない。
【0005】
このような特殊な道路形態に応じた適切な誘導経路を探索する技術として、特許文献1には、車載のカメラで得られた撮像画像上で道路標示を検出し、所定時間内にカープールレーンの道路標示を検出することにより車両がカープールレーンを走行しているか否かを判定し、カープールレーンを走行しているときに、一般車線への進入許可区間に関する情報を案内することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−086052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、車載用ナビゲーション装置では、カープールレーンのような特殊な道路であっても、一般車線とカープールレーンとの間の進入許可区間を介して通行できるように誘導経路を探索することができるようになっている。
【0008】
また、特許文献1では、カープールレーンを走行中か否かを判定して、カープールレーンを走行中のときにカープールレーンに関する情報を案内するようにしている。
【0009】
しかし、自車両がカープールレーンを走行しているか否かの判定を正確に行えない場合も考えられる。例えば、車載カメラで撮影した画像を基に特定のマークを検出することができたとしても、そのマークが自車両の走行車線ではなく、隣接するレーンに標示されている可能性もある。
【0010】
このように、マークの検出だけでは自車両が走行している車線に標示されたマークかどうかを判定することは困難である。
【0011】
また、自車両の走行車線に特定のマークが存在することが検出できたとしても、自車両が車線変更をしたときには、車線変更後に取得した画像を基にマークの検出等を行うことになるため、特定車線を走行中かどうかの判定を高速に行うことが困難である。
【0012】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑みなされたものであり、走行している車線が特定車線か否かを正確かつ高速に判定することのできる道路標示認識装置及び道路標示認識方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した従来技術の課題を解決するため、本発明の基本形態によれば、車両の少なくとも前方又は後方の画像を撮影するカメラと、前記カメラで撮影された画像を基に、車線マークを検出する車線マーク検出部と、前記カメラで撮影された画像を基に、特定の道路標示を検出する特定道路標示検出部と、自車両の走行距離を算出する走行距離算出部と、所定の距離を走行するまでに、自車両が走行する車線に前記特定の道路標示を検出したときに、自車両が特定の車線を走行していると判定する特定道路標示存在判定部と、を備え、前記車線マーク検出部は、前記自車両が走行している車線の右側の車線マーク及び左側の車線マークを特定し、前記特定道路標示存在判定部は、前記特定の道路標示の位置が前記右側の車線マークの位置と前記左側の車線マークの位置の間であるとき、前記自車両が前記特定の車線を走行していると判定することを特徴とする道路標示認識装置が提供される。
【0014】
この形態に係る道路標示認識装置において、前記道路標示認識の判定結果は、特定の車線を走行している状態、一般車線を走行している状態、及び走行車線が決定されていない不定の状態のいずれかであるようにしてもよく、前記特定道路標示存在判定部は、前記所定の距離を走行する前に特定の車線を走行していると判定したとき、前記走行距離算出部は走行距離をリセットするようにしてもよく、さらに表示部を備え、前記道路標示認識の判定結果の3つの状態を表示するようにしてもよい。
【0015】
また、この形態に係る道路標示認識装置において、さらに、自車両が走行車線を変更したことを認識する車線変更認識部を備え、前記特定道路標示存在判定部は、自車両が右車線に車線変更したとき、車線変更直前の右車線における所定の情報を車線変更後の自車両の走行車線における所定の情報とするとともに、車線変更直前の自車両の走行車線における所定の情報を車線変更後の左車線における所定の情報とし、自車両が左車線に車線変更したとき、車線変更直前の左車線における所定の情報を車線変更後の自車両の走行車線における所定の情報とするとともに、車線変更直前の自車両の走行車線における所定の情報を車線変更後の右車線における所定の情報とするようにしてもよい。
【0016】
また、本発明の他の形態によれば、自車両の少なくとも前方又は後方の画像を取得するステップと、前記画像を基に、前記自車両が走行している車線の右側の車線マーク及び左側の車線マークを検出するステップと、前記画像を基に、特定の道路標示を検出するステップと、自車両の走行距離を算出するステップと、所定の距離を走行するまでに、前記車線マークと特定の道路標示とが所定の位置関係のときに、自車両が特定の走行車線を走行していると判定する特定道路標示存在判定ステップと、を有することを特徴とする道路標示認識方法が提供される。
【0017】
この形態に係る道路標示認識方法において、前記特定道路標示存在判定ステップでは、前記特定の道路標示の位置が前記右側の車線マークの位置と前記左側の車線マークの位置の間であるとき、前記自車両が前記特定の車線を走行していると判定するようにしてもよく、前記特定道路標示存在判定ステップでは、前記所定の距離を走行する前に特定の車線を走行していると判定したとき、前記走行距離をリセットするようにしてもよい。
【0018】
また、前記特定道路標示存在判定ステップの前に、自車両が走行車線を変更したことを認識する車線変更認識ステップを有し、前記特定道路標示存在判定ステップは、自車両が右車線に車線変更したとき、車線変更直前の右車線における所定の情報を車線変更後の自車両の走行車線における所定の情報とするとともに、車線変更直前の自車両の走行車線における所定の情報を車線変更後の左車線における所定の情報とするステップと、自車両が左車線に車線変更したとき、車線変更直前の左車線における所定の情報を車線変更後の自車両の走行車線における所定の情報とするとともに、車線変更直前の自車両の走行車線における所定の情報を車線変更後の右車線における所定の情報とするステップとを有するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の道路標示認識装置及び道路標示認識方法によれば、車載カメラにより取得した車両前方又は後方の画像を基に、特定のマーク及び自車両が走行する車線の左右の車線マークを検出し、特定のマークが左右の車線マークの間に存在することを所定時間内に検出したとき、自車両が特定の車線を走行中であると判定している。
【0020】
このように、特定マークだけでなく、車線マークの情報も考慮しているため、特定車線を走行しているか否かを正確に判定することが可能となる。
【0021】
また、自車両が車線変更したときには、車線変更する前までの自車両の走行車線及び左右の走行車線における特定マークの認識情報や走行距離の情報を、車線変更後の自車両の走行車線及び左右の走行車線におけるそれぞれの情報となるようにしている。
【0022】
これにより、車線変更するまでの情報を有効に利用でき、車線変更後に改めて走行距離の計測等をする必要がなくなるため、車線変更をした場合であっても、自車両が特定車線を走行中か否かを高速に判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の車載用ナビゲーション装置における道路標示認識装置の構成(その1)を示すブロック図である。
【図3】カープールレーンを有する道路の一例を示す図である。
【図4】カープールレーンの判定処理を説明する図(その1)である。
【図5】特定道路標示存在判定処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】走行車線内におけるダイヤモンド型マークの検出処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】図1の車載用ナビゲーション装置における道路標示認識装置の構成(その2)を示すブロック図である。
【図8】車線変更認識処理を説明する図である。
【図9】カープールレーンの判定処理を説明する図(その2)である。
【図10】車線変更判定処理を含む特定道路標示存在判定処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】車線変更認識処理の一例を示すフローチャートである。
【図12】特定車線走行認識処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0025】
(1)第1の実施形態
(車載用ナビゲーション装置の構成)
図1は本発明の実施形態に係る車載用ナビゲーション装置100の構成を示すブロック図である。
【0026】
図中、1はDVDドライブであり、1aは地図データその他の案内データが記憶されている記憶媒体である。本実施形態では、このようなデータを記憶する記憶媒体としてDVD−ROM1aを使用しているが、ハードディスク又はその他の記憶媒体を使用してもよい。ここに格納されている地図は、1/12500、1/25000、1/50000、1/100000等の各縮尺レベルに応じて適当な大きさの経度幅及び緯度幅に区切られており、この地図に含まれる道路、建築物、施設その他の各種物件は、経度及び緯度で表現された点(ノード)の座標集合として記憶されている。地図データは、(1)道路リンクデータ、交差点データ、ノードデータ等からなる道路レイヤ、(2)地図画像上に道路、建築物、公園、河川等を表示するための背景レイヤ、(3)市町村名などの行政区画名、道路名、交差点名などを指示する文字や地図記号等を表示するための文字・記号レイヤなどから構成されている。
【0027】
道路レイヤにおいて、道路リンクデータは各道路の属性情報を供給するものであり、道路を構成するリンク毎に道路の種別(国道、高速道路、都道府県道、その他の道路)、道路ネットワークの階層化レベル、リンクを構成するノードの数、道路番号(道路名称)、各ノードを接続するリンクの幅などのデータで構成される。交差点データは、交差点に結合されたリンク上のノードのうち交差点に最も近いノードのセットである。ノードデータは、道路を構成するすべてのノードのリストであり、各ノードに対する位置情報やノードが交差点か交差点でないかを識別する情報等で構成される。
【0028】
また、2はナビゲーション装置本体10を操作するための操作ボタン等が設けられた操作部である。本実施形態では、操作部2にリモコン送信機が含まれており、ユーザは手元のリモコン送信機でナビゲーション装置本体10を操作することもできる。
【0029】
また、3は複数のGPS衛星から送られてくるGPS信号を受信して車両の現在位置の経度、緯度、PDOP(Position DOP)値及びHDOP(Horizontal DOP)値等のGPSデータを生成して出力するGPS受信機を示す。4は自立航法センサを示す。この自立航法センサ4は、車両回転角度を検出するジャイロ等の角度センサと、一定の走行距離毎にパルスを発生する走行距離センサとにより構成されている。
【0030】
また、5は各種のサービスセンタと通信するための車載電話機等の通信機、6は電波ビーコン又は光ビーコンから送られてくるVICS(登録商標)(道路交通情報通信システム)情報を受信するVICS受信機を示す。これらのビーコンは路側に設置され、警察署、道路管理者及び統合センターに接続され、周辺の渋滞情報等を提供する。
【0031】
また、7は液晶パネル等の表示部であり、ナビゲーション装置本体10は、この表示部7に車両の現在位置の周囲の地図を表示したり、出発地から目的地までの誘導経路や車両マーク及びその他の案内情報を表示する。表示部7はその画面上にタッチパネルが設けられ、表示画面の表示内容と対になった各種のボタンが構成される。また、タッチパネルはこれら各種のボタンで示されるメニュー等を選択するための入力装置となる。8は音声によりユーザに案内情報を提供するためのスピーカーである。
【0032】
また、9は車両の前部中央又は後部中央に配設された車載カメラであり、車両前方又は車両後方に所定角度の範囲の領域を撮影する。
【0033】
ナビゲーション装置本体10は以下のものから構成されている。11はDVDドライブ1を介してDVD−ROM1aから読み出された地図データを一時的に格納するバッファメモリを示す。
【0034】
12はマイクロコンピュータにより構成される制御部を示す。制御部12は、ナビゲーション用のプログラムを内蔵しており、このプログラムに従い、GPS受信機3から出力される信号や、自立航法センサ4から出力される信号に基づいて自車の現在位置を算出したり、表示させたい地図のデータをDVDドライブ1を介してDVD−ROM1aからバッファメモリ11に読み出したり、バッファメモリ11に読み出された地図データを用いて設定された探索条件で出発地から目的地までの誘導径路を探索するなど、種々の処理を実行する。
【0035】
13はバッファメモリ11に読み出された地図データを用いて地図画像を生成する地図描画部、14は動作状況に応じた各種メニュー画面(操作画面)や車両位置マーク及びカーソル等の各種マークを生成する操作画面・マーク発生部である。
【0036】
15は制御部12で探索した誘導経路を記憶する誘導経路記憶部、16は誘導経路を描画する誘導経路描画部を示す。誘導経路記憶部15には、制御部12によって探索された誘導経路の全ノードが出発地から目的地まで記憶される。誘導経路描画部16は、地図を表示する際に、誘導経路記憶部15から誘導経路情報を読み出して、誘導経路を他の道路とは異なる色及び線幅で描画する。
【0037】
17はハードディスクや半導体メモリで構成された記憶部を示し、後述するように、自車両が走行しているレーンが特定の走行レーンか否かの判定結果や、その判定の際に使用するダイヤモンド型マークや所定の文字等のデータが格納されている。
【0038】
18は音声出力部を示し、制御部12からの信号に基づいて音声信号をスピーカー8に供給する。19は画像合成部を示し、地図描画部13で描画された地図画像に、操作画面・マーク発生部14で生成した各種マークや操作画面、誘導経路描画部22で描画した誘導経路などを重ね合わせて表示部7に表示させる。
【0039】
図2は、図1の車載用ナビゲーション装置100の一部である道路標示認識装置200の構成を示すブロック図である。
【0040】
道路標示認識装置200は、カメラ9と、GPS受信機3と、自立航法センサ4と、表示7と、記憶部17と、制御部12とで構成され、制御部12には、特定道路標示認識部21と、車線マーク認識部22と、走行距離算出部23と、特定道路標示存在判定部24とが含まれている。
【0041】
特定道路標示認識部21は、カメラ9で取得した映像から特定の道路標示を認識する。特定の道路標示は、カープールレーンを示すダイヤモンド型マークや“CAR POOL ONLY”の文字等、認識の対象となる道路標示である。
【0042】
車線マーク認識部22は、カメラ9で取得した画像を基に車線マークを認識する。車線マークの認識は周知の方法、例えば、画像に対してハフ変換をすることにより、直線を検出して認識する。
【0043】
走行距離算出部23は、特定の道路標示を認識してからの車両の走行距離を算出する。
【0044】
特定道路標示存在判定部24は、所定距離を走行する間に車線マーク認識部22で認識した自車両が走行する車線内に特定道路標示認識部21で特定の道路標示を認識したか否かを判定する。
【0045】
このように構成された道路標示認識装置200において、自車両が走行している道路の画像をカメラ9で取得し、その画像を基に道路に標示されている特定のマーク及び車線マークを検出して、自車両が特定の走行車線を走行しているか否かの判断を行う。
【0046】
特定のマークの検出だけでなく、車線マークの検出を行い、これらのマークの位置関係を基に自車両の走行位置を検出することにより、自車両が特定車線を走行中であるか否かを正確に判定することが可能となる。
【0047】
以下、特定車線として米国で使用されているカープールレーンを対象とし、特定車線を走行中か否かの判定処理について図3から図6を参照しながら説明する。
【0048】
図3は、カメラ9で撮影された車両前方の画像であり、カープールレーン33を有する道路の一例を示した図である。図3では、自車両が走行している一般レーン34と、車線マーク(白線)32と、車線マーク32の左側のカープールレーン33が表示されている。
【0049】
カープールレーン33は、交通渋滞を緩和するために導入されたものであり、複数人が乗車している車両などが利用することのできるレーンである。カープールレーン33には、図3に示すようなダイヤモンド型マーク31が道路に標示されていたり、“CAR POOL ONLY”の文字が標示されていたりする。このようなマークは、カープールレーンの進入口に連続して数個あり、その後は、所定の間隔、例えば1km毎に標示されている。
【0050】
図4(a)は、カメラ9で撮像した車両前方の画像の一例であり、図4(b)は、図4(a)の画像を基にダイヤモンド型マークが走行車線に存在するか否かの処理を説明する図である。図4(a)は、自車両が走行している車線の道路にダイヤモンド型マーク43が標示され、左側の車線マーク41及び右側の車線マーク42が標示されている画像を示している。
【0051】
図4(b)は、図4(a)の画像において、自車両が特定車線を走行しているか否かを判定するために必要となる自車両から車線マークまでの距離等を示した図である。
【0052】
図4(b)の画像は、画像中心線44で左右の画像に分割されている。画像中心線44を基準として、画面の右方向を正の値、左方向を負の値とし、画像中心線44から車線マーク(41、42)までの画像の横方向(道路の幅方向)の距離(L2、L1)を画像処理して算出する。
【0053】
また、ダイヤモンド型マーク43の位置として画像中心線44からダイヤモンド型マーク43の中心線45までの距離L3を算出する。なお、カメラ取り付け位置が車両の中央からずれているときは、そのずれを補正して距離を算出する。
【0054】
図4(a)は、カメラ9で撮影された、ある時点の画像であり、カメラ9で撮影された映像は、所定時間毎の画像として記憶部17に格納され、各画像に対して画像処理により図4(b)に示すような各距離が算出される。
【0055】
以下、第1の実施形態にかかる道路標示認識装置200の制御部12が行う特定道路標示存在判定処理について、その処理フローの一例を示す図5、図6及びカープールレーンの判定処理を説明する図4を参照しながら説明する。
【0056】
まず、図5のステップS11において、初期設定を行う。初期設定では、処理中に使用される各種変数を初期化する。走行距離の算出には、画像を取得した2つの時点(現時点と一つ前の画像を取得した前時点)における車速と時間を用いて行う。現時点の車速(curSpeed)を“0”に、前時点の車速(preSpeed)に処理開始時の車速を設定し、現時点の時間(curTime)を“0”に、前時点の時間(preTime)に処理開始時の時間を設定する。
【0057】
また、走行距離(D)を“0”にし、走行距離の判定の際に使用される所定の走行距離をD1とする。例えば、所定の走行距離は、ダイヤモンド型マーク43が標示される間隔(1km)とする。なお、所定の走行距離D1は、道路の状況に合うように、操作部2を介して、適宜距離数を設定できるようにしてもよい。
【0058】
また、走行レーンの種別を認識した結果を表す認識結果(result)に、特定レーンか一般レーンか未判定の状態であることを示す「不定」を設定する。
【0059】
次のステップS12において、カメラ9により撮影され記憶部17に格納された現時点での画像を取得する。
【0060】
次のステップS13において、ステップS12で取得した画像を基に実線で示された車線マークや破線で示された車線マークを検出する。車線マークの検出は、周知の方法、例えば画像に対してハフ変換をすることにより直線を検出して行う。
【0061】
車線マークが検出されたときは、車線マークから自車両までの横方向(道路の幅方向)の距離を算出する。図4(b)に示したように、自車両から車線マークまでの距離(L1,L2)を算出する。
【0062】
次のステップS14において、ステップS12で取得した画像から特定マーク(ダイヤモンド型マーク)を検出する。この検出は、予め用意し記憶部17に格納されたダイヤモンド型マークのテンプレートと比較することによって検出する。なお、車両からの距離に応じて取得されたダイヤモンド型マークの形状は異なるが、これらの異なる形状もテンプレートとして用意しておく。
【0063】
ダイヤモンド型マークが検出されたときは、ダイヤモンド型マークの中央位置から自車両までの横方向(道路の幅方向)の距離を算出する。図4(b)に示したように、自車両からダイヤモンド型マークまでの距離L3を算出する。
【0064】
次のステップS15において、自車両の走行車線内にダイヤモンド型マークが存在するか否かを判定する。このマークが走行車線内に存在するときはステップS21に移行し、マークが存在しないときはステップS16に移行する。
【0065】
ここで、走行車線内におけるダイヤモンド型マークの検出処理について、以下に図6のフローチャートを参照しながら説明する。
【0066】
最初のステップS31において、初期設定を行う。初期設定では、左車線−車両間距離(left)を“0”とし、右車線−車両間距離(right)を“0”とする。また、ダイヤモンド型マークのインデックス変数(di)を“0”とする。
【0067】
次のステップS32において、車線マークの位置を示す値のうち、負の値の最大値を左側の車線を示す変数(left)に設定する。
【0068】
次のステップS33において、車線マークの位置を示す値のうち、正の値の最小値を右側の車線を示す変数(right)に設定する。
【0069】
次のステップS34において、インデックス変数(di)が認識したダイヤモンド型マークの数以上か否かを判定する。インデックス変数(di)が認識した数以上のときはステップS37に移行し、インデックス変数(di)が認識した数未満のときは、ステップS35に移行する。
【0070】
次のステップS35において、di番目のダイヤモンド型マークの中央位置が車線内に存在するか否かを判定する。すなわち、di番目のダイヤモンド型マークの中央位置が左車線変数leftより大きく、右車線変数rightより小さいか否かを判定する。車線内に存在するときは、ステップS36に移行し、車線内に存在しないときはステップS38に移行する。
【0071】
次のステップS36において、自車両の走行車線内にダイヤモンド型マークが存在することを記憶部17に記録する。
【0072】
一方、ステップS34においてインデックス変数diが認識したダイヤモンド型マーク数以上のときは、ステップS37において自車両の走行車線内にダイヤモンド型マークが存在しないことを記憶部17に記録する。
【0073】
また、ステップS35においてdi番目のダイヤモンド型マークの中央位置が自車両の走行車線内に存在しないと判定されたときは、ステップS38においてインデックス変数diを1プラスしてステップS34に戻り、本処理を継続する。
【0074】
図5に戻り、ステップS16において、自車両の走行距離Dを算出する。走行距離の算出は、自車の速度及び時間を基に算出する。
【0075】
GPS受信機3や自立航法センサ4からの情報を基に現時点の車速(curSpeed)に設定し、現時点の時間(curTime)に現在の時刻を設定する。次に、これらの値とひとつ前の画像を基に走行距離を算出したときの前時点の車速(preSpeed)と前時点の時間(preTime)を用いて、前時点から現時点までの走行距離を算出し、走行距離を示す変数Dに加算する。すなわち、D + ((curSpeed + preSpeed)/2)×(curTime - preTime)を新たに走行距離Dとする。次の走行距離算出のために、現在の車速と現在の時刻をそれぞれ前時点の車速(preSpeed)と前時点の時間(preTime)に設定する。
【0076】
次のステップS17において、自車両の走行距離Dが所定の走行距離D1以上か否かを判定する。所定の走行距離以上のときはステップS18に移行し、所定の走行距離未満のときはステップS19に移行する。
【0077】
次のステップS18において、認識結果変数resultに「一般レーン」を設定し、自車両が走行しているレーンは一般レーンであることを記録する。
【0078】
一方、ステップS15において、走行車線内にダイヤモンド型マークが存在すると判定されたときに移行するステップS21において、認識結果変数resultに「カープールレーン」を設定し、自車両が走行しているレーンはカープールレーンであることを記録する。
【0079】
次のステップS22において、自車両の走行距離Dをリセットし、ステップS19に移行する。走行距離Dを“0”にリセットすることにより、次のダイヤモンド型マークの検出の際に、車両が所定距離走行していないにもかかわらず所定距離走行したと判断されることによる、走行レーンの識別の誤りを防止することができる。
【0080】
ステップS19において、認識結果変数resultを認識結果として出力する。この認識結果は、表示部7に出力するようにしてもよい。例えば、カープールレーンを走行中であると認識されたときは、「現在、カープールレーンを走行中です。」と表示し、一般レーンを走行中であると認識されたときは、「現在、一般レーンを走行中です。」と表示し、どのレーンを走行中か不定のときは、「走行レーンを確認中です。」のように表示する。
【0081】
次のステップS29において、操作部2を介してナビゲーションの終了操作があったか否かを検出し、終了操作があった場合には本処理は終了し、終了操作がないときはステップS12に戻り本処理を継続する。
【0082】
以上説明したように第1の実施形態の道路標示認識装置及び道路標示認識方法によれば、カメラ9により取得した車両前方又は後方の画像を基に、特定のマーク及び自車両が走行する車線の左右の車線マークを検出し、特定のマークが左右の車線マークの間に存在することを所定時間内に検出したとき、自車両が特定の車線を走行中であると判定している。
【0083】
このように、特定マークだけでなく、車線マークの情報も考慮しているため、特定車線を走行しているか否かを正確に判定することが可能となる。
【0084】
(2)第2の実施形態
第2の実施形態では、自車両が車線変更したときに、特定車線を走行中か否かを高速に判定する処理について説明する。なお、車載用ナビゲーション装置の構成は第1の実施形態と同一であるため、説明は省略する。
【0085】
図7は、第2の実施形態における道路標示認識装置200のブロック図を示している。第1の実施形態における道路標示認識装置200との違いは、車線変更認識部25が追加されていることである。
【0086】
この車線変更認識部25では、自車両が走行車線を変更したか否かを撮像画像を基に判定する。車線変更の認識は、2つの時点の取得画像における車両から車線マークまでの距離の変化を基に判断する。2つの時点は、現時点と前時点とし、現時点における車両から左車線マークまでの距離は、左車線−車両間距離leftに、現時点における車両から右車線マークまでの距離は、右車線−車両間距離rightに設定される。
【0087】
また、前時点における車両から左車線マークまでの距離は、前時点左車線−車両間距離preLeftに、前時点における車両から右車線マークまでの距離は、前時点右車線−車両間距離preRightに設定される。
【0088】
図8を参照しながら、車線変更認識処理について説明する。図8(a)は、自車両81が車線82から車線83へ左車線変更した場合を示している。この場合、車線変更前の自車両81から左車線マーク85までの距離がpreLeftに設定され、自車両81から右車線マーク86までの距離がpreRightに設定される。車線変更後の自車両81bから左車線マーク84までの距離がleftに設定され、自車両81bから右車線マーク85までの距離がrightに設定される。
【0089】
これら設定された値において、preLeft < priRight、かつ、left > right であって、preLeft < 0.4[m]、かつ、right < 0.4[m]のとき、左側に車線変更したと判定する。この判定条件は、車線変更する直前は車両が変更する側の車線寄りであり、車線変更直後は、車線変更する前の車線寄りであることを考慮したものである。また、より確実に判定するため、車線変更直前は、車両が車線変更する側の車線マークにかかっており、車線変更直後は、車両が車線変更する前の車線の車線マークにかかっていることを考慮して、preLeft及びrightの距離を設定している。
【0090】
図8(b)は、自車両81が車線82から車線84へ右車線変更した場合を示している。この場合も図8(a)と同様に、車線変更前後の自車両から各車線の車線マークまでの距離が算出され、その関係を基に右車線変更したことを判定する。すなわち、preLeft > preRight、かつ、left < rightであって、preRight < 0.4[m]、かつ、left < 0.4[m]のときに右車線変更したと判定する。
【0091】
図9(a)は、カメラで撮像した車両前方の画像の一例であり、図9(b)は、図9(a)の画像を基にダイヤモンド型マークが走行車線に存在するか否かの処理を説明する図である。
【0092】
図9(a)の画像には、自車線及び自車線の左右の車線の3車線の道路が示されている。自車線及び左車線にはダイヤモンド型マーク(96,95)が標示され、右車線にはダイヤモンド型マークが標示されていない状況である。
【0093】
車線変更処理を含む特定道路標示存在判定処理では、まず第1の実施形態の特定道路標示存在判定処理と同様に、標示されているダイヤモンド型マーク及び3車線の車線マークを認識する。
【0094】
図9(a)に示すように、取得した画像から3車線分の4つの車線マーク91,92,93,94、及び2つのダイヤモンド型マーク95,96が認識される。これらの認識されたマークの位置を画像中心44の位置を基準に、画像中心44から右側を正の値、左側を負の値として、画像の横方向(道路の幅方向)の距離を測定する。
【0095】
図9(b)に算出する距離を示している。各車線マークに対して、画像中心44から車線マーク91までの距離L6、画像中心44から車線マーク92までの距離L7、画像中心44から車線マーク93までの距離L8、画像中心44から車線マーク94までの距離L9を算出する。また、ダイヤモンド型マークに対して、画像中心44からダイヤモンド型マーク95の中心線98までの距離L4、及び画像中心44からダイヤモンド型マーク96の中心線97までの距離L5を算出する。カメラの取り付け位置が車両の中央からずれている場合には、そのずれを補正する。
【0096】
以下に、制御部12が行う車線変更認識処理を含む特定道路標示存在判定処理について図10のフローチャートを参照しながら説明する。
【0097】
図10のステップS41において、初期設定を行う。この初期設定では、認識結果の初期化、走行距離算出結果の初期化及び車線変更認識結果の初期化を行う。左車線、自車線、または右車線の各車線の認識結果を示す認識結果変数(それぞれ、result[0]、result[1]、またはresult[2])に「不定」を設定して初期化する。また、左車線、自車線、または右車線の各車線における走行距離を示す走行距離変数(それぞれ、distance[0]、distance[1]、またはdistance[2])に“0”を設定して初期化する。また、車線変更の認識結果を示す車線変更変数cdに車線変更していないことを示す値“0”を設定して初期化する。
【0098】
また、左車線−車両間距離left、右車線−車両間距離right、前時点左車線−車両間距離preLeft、前時点右車線−車両間距離preRightにそれぞれ“0”を設定する。
【0099】
また、各車線において、現時点の車速curSpeedに“0”を、前時点の車速preSpeedに処理開始時の車速を設定し、現時点の時間curTimeに“0”を、前時点の時間preTimeに処理開始時の時間を設定する。
【0100】
次のステップS42において、カメラ9により撮影され記憶部17に格納された現時点の画像を取得する。
【0101】
次のステップS43において、ステップS42で取得した画像を基に、車線の認識処理を行う。車線の認識は、周知の方法、例えば画像に対してハフ変換をすることにより、直線を検出して行う。
【0102】
次のステップS44において、車線変更の判定処理を行う。図8を参照して説明したように、自車両が車線変更をしたか否か、車線変更をした場合には左車線に変更したのか、右車線に変更したのかを示す車線変更変数cdを介して判定結果を取得する。
【0103】
ここで、車線変更認識処理について、図11のフローチャートを参照しながら説明する。
【0104】
図11のステップS51において、初期設定を行う。初期設定では、現在の走行車線の左側の車線マークまでの距離の絶対値を、左車線−車両間距離leftに設定し、右側の車線マークまでの距離の絶対値を右車線−車両間距離rightに設定する。また、車線変更変数cdを車線変更なしを示す値(0)に設定する。
【0105】
次のステップS52において、左車線に車線変更したか否かを判定する。図8(a)に示したように、算出したpreLeft、priRight、left及びrightの値の関係を基に判断する。左車線に車線変更したときはステップS54に移行し、車線変更変数cdに左車線への車線変更を示す値(−1)を設定して、ステップS56に移行する。
【0106】
次のステップS53において、右車線に車線変更したか否かを判定する。図8(a)に示したように、算出したpreLeft、priRight、left及びrightの値の関係を基に判断する。右車線に車線変更したときはステップS55に移行し、車線変更変数cdに右車線への車線変更を示す値(+1)を設定して、ステップS56に移行する。
【0107】
次のステップS56において、後処理を行う。すなわち、左車線−車両間距離leftを前時点左車線−車両間距離preleftに設定し、右車線‐車両間距離rightを前時点右車線−車両間距離prerightに設定する。
【0108】
次のステップS57において、車線変更変数cdの値を返し、本処理は終了する。
【0109】
図10に戻り、ステップS45において、自車両が左車線に車線変更したか否かを判定する。この判定は、ステップS44において得られた結果を用いて行う。自車両が左車線に車線変更したときは、ステップS46に移行し、左車線に車線変更していないときはステップS47に移行する。
【0110】
ステップS46では、左車線変更処理を行う。左車線変更処理では、自車線の認識結果result[1]を右車線の認識結果result[2]とし、左車線の認識結果result[0]を自車線の認識結果result[1]とし、左車線の認識結果result[0]はまだ認識されていないため不定とする。
【0111】
また、自車線における走行距離distance[1]を右車線における走行距離distance[2]とし、左車線における走行距離distance[0]を自車線における走行距離distance[1]とし、左車線における走行距離distance[0]は“0”とする。
【0112】
次のステップS47において、自車両が右車線に車線変更したか否かを判定する。この判定は、ステップS44において得られた結果を用いて行う。自車両が右車線に車線変更したときは、ステップS48に移行し、車線変更していないときはステップS49に移行する。
【0113】
ステップS48では、右車線変更処理を行う。右車線変更処理では、自車線の認識結果result[1]を左車線の認識結果result[0]とし、右車線の認識結果result[2]を自車線の認識結果result[1]とし、右車線の認識結果result[2]はまだ認識されていないため不定とする。
【0114】
また、自車線における走行距離distance[1]を左車線における走行距離distance[0]とし、右車線における走行距離distance[2]を自車線における走行距離distance[1]とし、右車線における走行距離distance[2]は“0”とする。
【0115】
次のステップS49において、特定の車線を走行していることを検出する特定車線走行認識処理を行う。この処理については後述する。
【0116】
次のステップS50において、終了操作が指示されたか否かを判定し、終了指示があったときは本処理は終了し、終了指示がないときはステップS42に戻り本処理を継続して行う。
【0117】
次に、ステップS49の特定車線走行認識処理について、図12のフローチャートを参照しながら説明する。
【0118】
まず、図12のステップS61において、特定マーク、例えばダイヤモンド型マークの認識処理を行う。ステップS42で取得した画像を基に、予め用意されたダイヤモンド型マークのパターンを基にパターンマッチングを行い、このマークが画像に存在するか否かを検出する。
【0119】
次のステップS62において、GPS受信機3や自立航法センサ4からの情報を基に、現時点の車速を取得してcurSpeedに設定し、時刻を取得して、現時点の時間curTimeに設定する。
【0120】
次のステップS63において、車線を識別する車線番号変数LNを“0”に設定する。なお、車線番号変数LNは、自車両の走行車線(自車線)を1、自車線の左側の車線を0、自車線の右側の車線を2として表している。
【0121】
次のステップS64において、車線番号変数LNが3より小さいか否かを判定する。小さいときはステップS65に移行し、車線番号変数LNが3になったときにはステップS82に移行する。すなわち、自車線の左側の車線、自車線及び自車線の右側の車線のすべてについてステップS65以降の処理が終了したか否かを判定する。
【0122】
次のステップS65において、LN番目の車線に特定マークが存在するか否かを判定する。特定マークが存在するときは、ステップS70に移行し、特定マークが存在しないときは、ステップS66に移行する。特定マークが存在するか否かの判定は、第1の実施形態で説明した図6の処理と同様である。ただし、変数leftには、画像中心44から各車線における左側車線マークまでの距離、変数rightには、画像中心44から各車線における右側車線マークまでの距離が設定される。
【0123】
次のステップS66において、LN番目の車線の走行距離を算出する。走行距離の算出は、第1の実施形態で説明した図5のステップS16の処理と同様である。
【0124】
次のステップS67において、自車両の走行距離が予め規定された所定の走行距離以上になったか否かを判定する。所定の走行距離以上のときはステップS68に移行し、所定の走行距離に満たないときはステップS69に移行する。
【0125】
次のステップS68において、LN番目の車線を「一般レーン」に設定する。
【0126】
一方、ステップS65においてLN番目の車線に特定マークが存在する場合に移行するステップS70では、LN番目の車線を「カープールレーン」に設定する。
【0127】
次のステップS71において、LN番目の車線の走行距離をリセットし、ステップS69に移行する。
【0128】
次のステップS69において、次の車線について特定マークが存在するか否かを検証するために変数LNをプラス1し、ステップS64に移行する。
【0129】
ステップS64において、変数LNが3になったときに移行するステップS72では、車速及び時刻を次の処理に使用するために前のデータとして保存する。すなわち、curTimeをpreTImeに設定し、curSpeedをpreSpeedに設定する。
【0130】
次のステップS73において、自車線の認識結果を表示部7を介して出力する。
【0131】
以上説明したように、第2の実施形態の道路標示認識装置及び道路標示認識方法によれば、自車両が車線変更したときには、車線変更する前までの自車両の走行車線及び左右の走行車線における特定マークの認識情報や走行距離の情報を、車線変更後の自車両の走行車線及び左右の走行車線におけるそれぞれの情報となるように、データをシフトするようにしている。
【0132】
これにより、車線変更するまでの情報を有効に利用でき、車線変更後に改めて走行距離の計測等をする必要がなくなるため、車線変更をした場合であっても、自車両が特定車線を走行中か否かを高速に判定することが可能となる。
【0133】
なお、上記実施形態では、特定車線としてカープールレーンを対象とし、ダイヤモンド型マークを特定の道路表示としたが、これに限らず、予め決められた形状や文字の特定のマークが所定の間隔で道路に表示されている場合に、自車両がその特定のマークが標示されているレーンを走行しているか否かを判定する際に適用可能である。
【符号の説明】
【0134】
100…車載用ナビゲーション装置、
200…道路標示認識装置、
2…操作部、
3…GPS受信機、
4…自立航法センサ、
7…表示部、
9…カメラ、
10…ナビゲーション装置本体、
12…制御部、
17…記憶部、
21…特定道路標示認識部、
22…車線マーク認識部、
23…走行距離算出部、
24…特定道路標示存在判定部、
25…車線変更認識部、
31…ダイヤモンド型マーク(特定の道路標示)、
33…カープールレーン、
34…一般レーン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の少なくとも前方又は後方の画像を撮影するカメラと、
前記カメラで撮影された画像を基に、車線マークを検出する車線マーク検出部と、
前記カメラで撮影された画像を基に、特定の道路標示を検出する特定道路標示検出部と、
自車両の走行距離を算出する走行距離算出部と、
所定の距離を走行するまでに、自車両が走行する車線に前記特定の道路標示を検出したときに、自車両が特定の車線を走行していると判定する特定道路標示存在判定部と、
を備え、
前記車線マーク検出部は、前記自車両が走行している車線の右側の車線マーク及び左側の車線マークを特定し、
前記特定道路標示存在判定部は、前記特定の道路標示の位置が前記右側の車線マークの位置と前記左側の車線マークの位置の間であるとき、前記自車両が前記特定の車線を走行していると判定することを特徴とする道路標示認識装置。
【請求項2】
前記道路標示認識の判定結果は、特定の車線を走行している状態、一般車線を走行している状態、及び走行車線が決定されていない不定の状態のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の道路標示認識装置。
【請求項3】
前記特定道路標示存在判定部は、前記所定の距離を走行する前に特定の車線を走行していると判定したとき、前記走行距離算出部は走行距離をリセットすることを特徴とする請求項2に記載の道路標示認識装置。
【請求項4】
さらに表示部を備え、
前記道路標示認識の判定結果の3つの状態を表示することを特徴とする請求項3に記載の道路標示認識装置。
【請求項5】
さらにユーザの指示を入力する操作部を備え、
前記所定の距離は前記操作部を介して設定されることを特徴とする請求項1に記載の道路標示認識装置。
【請求項6】
さらに、自車両が走行車線を変更したことを認識する車線変更認識部を備え、
前記特定道路標示存在判定部は、自車両が右車線に車線変更したとき、車線変更直前の右車線における所定の情報を車線変更後の自車両の走行車線における所定の情報とするとともに、車線変更直前の自車両の走行車線における所定の情報を車線変更後の左車線における所定の情報とし、
自車両が左車線に車線変更したとき、車線変更直前の左車線における所定の情報を車線変更後の自車両の走行車線における所定の情報とするとともに、車線変更直前の自車両の走行車線における所定の情報を車線変更後の右車線における所定の情報とすることを特徴とする請求項1に記載の道路標示認識装置。
【請求項7】
前記所定の情報は、特定標示の認識結果及び走行算出距離数であることを特徴とする請求項6に記載の道路標示認識装置。
【請求項8】
自車両の少なくとも前方又は後方の画像を取得するステップと、
前記画像を基に、前記自車両が走行している車線の右側の車線マーク及び左側の車線マークを検出するステップと、
前記画像を基に、特定の道路標示を検出するステップと、
自車両の走行距離を算出するステップと、
所定の距離を走行するまでに、前記車線マークと特定の道路標示とが所定の位置関係のときに、自車両が特定の走行車線を走行していると判定する特定道路標示存在判定ステップと、
を有することを特徴とする道路標示認識方法。
【請求項9】
前記特定道路標示存在判定ステップでは、前記特定の道路標示の位置が前記右側の車線マークの位置と前記左側の車線マークの位置の間であるとき、前記自車両が前記特定の車線を走行していると判定することを特徴とする請求項8に記載の道路標示認識方法。
【請求項10】
前記特定道路標示存在判定ステップでは、前記所定の距離を走行する前に特定の車線を走行していると判定したとき、前記走行距離をリセットすることを特徴とする請求項8に記載の道路標示認識方法。
【請求項11】
前記特定道路標示存在判定ステップの前に、自車両が走行車線を変更したことを認識する車線変更認識ステップを有し、
前記特定道路標示存在判定ステップは、
自車両が右車線に車線変更したとき、車線変更直前の右車線における所定の情報を車線変更後の自車両の走行車線における所定の情報とするとともに、車線変更直前の自車両の走行車線における所定の情報を車線変更後の左車線における所定の情報とするステップと、
自車両が左車線に車線変更したとき、車線変更直前の左車線における所定の情報を車線変更後の自車両の走行車線における所定の情報とするとともに、車線変更直前の自車両の走行車線における所定の情報を車線変更後の右車線における所定の情報とするステップと を有することを特徴とする請求項8に記載の道路標示認識方法。
【請求項12】
前記所定の情報は、特定標示の認識結果及び走行算出距離数であることを特徴とする請求項11に記載の道路標示認識方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−128049(P2011−128049A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287531(P2009−287531)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】