説明

避難誘導システム

【課題】災害発生時に自律的に機能し、適切な避難誘導を含む災害対策機能を発揮できる避難誘導システムを提供すること。
【解決手段】火災発生場所の情報をもとに地図情報表示部5に掲示されている案内用の地図情報に対応させて該当する地図上の火災発生位置のLEDを点灯または点滅させる。さらに、火災発生場所についての情報と、案内用の地図情報と、避難場所の位置情報とをもとに、火災発生場所から離れた方向にある避難場所を特定し、特定した避難場所までの経路を検索し地図情報表示部5に掲示されている案内用の地図情報に対応させて該当する経路上のLEDを点灯または点滅させる。このとき検索された避難場所までの経路上に現在位置(当該避難誘導装置が設置されている位置)が存在していると、現在位置における避難方向を判定し、避難方向指示器3の光照射方向を避難方向へ制御し案内誘導する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平常時には住居案内を行う案内板として機能し、地震、火災を含む災害発生時には避難経路を分かりやすく提示できる避難誘導システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地震などの災害発生に対し住民が安全に避難する目的で、地域ごとに避難場所が予め定められている場合が多い。このような災害発生時の避難経路を住民に提示するものとしては、災害発生時に自動的に災害情報を入手し、避難誘導経路を報知する避難誘導システムがある。この避難誘導システムは、地震が発生した後、予め定められた各地区の被害有り情報および被害無し情報を含む地震被害情報を収集して記憶する地震被害情報記憶手段と、収集された前記地震被害情報から地震被害情報未収集地区の被害状況として被害有りまたは被害無しに推定した被害状況推定情報を記憶する未収集地区の被害状況推定情報記憶手段と、前記各地区から予め定められた避難場所までの避難誘導経路図が記憶された避難経路テーブルと、前記地震被害情報および被害状況推定情報から各地区ごとに最適な避難誘導経路図が、予め記憶された前記避難経路テーブルから自動的に検索されて出力される避難経路図選択手段と、検索された最適な避難経路図を各地区ごとに自動的に報知する避難誘導情報報知手段とを備えている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−162784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
かかる従来の避難誘導システムは、各種センサなどの被害検出手段や監視システムなどの装置が広範囲の地域に分散して配備されるため、災害発生時に停電が発生すると避難誘導システム自体が機能不能に陥る可能性があり、災害発生に対応しきれないという課題があった。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、平常時には案内板として機能する一方、災害発生時には自律的に機能し、適切な避難誘導を含む災害対策機能を発揮できる避難誘導システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明にかかる避難誘導システムは、掲示されている所定の地域の案内地図上で避難場所への避難誘導を行う機能を備えた避難誘導システムであって、災害発生場所の位置を特定する災害発生場所特定情報を災害対策センタから受信する受信手段と、前記受信手段により受信した災害発生場所特定情報と、前記掲示されている所定の地域の案内地図に対応する地図情報と、前記所定の地域内の避難場所の位置情報と、前記掲示されている案内地図上の現在位置情報とをもとに、最適な避難場所を特定する避難場所特定手段と、前記災害発生場所特定情報をもとに特定した災害発生場所の位置から、前記避難場所特定手段により特定した避難場所への避難経路を、前記掲示されている案内地図に対応する地図情報をもとに検索する避難経路検索手段と、前記避難経路検索手段により検索した避難経路に対応する前記掲示されている案内地図上の経路を他の領域に対し識別可能に表示する避難経路識別手段と、前記避難経路検索手段により検索した避難経路上に現在位置が存在すると、前記現在位置における避難方向を判定する避難方向判定手段と、前記避難方向判定手段により判定した避難方向に対し光を照射する避難方向指示手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このような本発明による避難誘導システムによれば、災害発生時には自律的に機能し、適切な避難誘導を含む災害対策機能を発揮できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による避難誘導システムに用いられる避難誘導装置の構成を示す斜視図である。
この避難誘導装置は、市街地・住居・公園など多数の市民が往来する場所に設置されており、緊急災害や事故が発生していない平常時においては、地図上で地域や住居の案内を行う地図表示装置として機能しており、ひとたび緊急災害や事故が発生した場合には、夜間でも最新情報として安全確実な避難場所を住民に知らせ誘導する。
このため、市内の多数個所に設置されており、緊急避難や事故発生時には警告表示及び発信機能を有する双方向伝達可能な省電力自家発電式の避難誘導装置として機能し、安心な住み良い街づくりに貢献する。なおかつ、この避難誘導システムは官公庁との提携により緊急災害時携帯電話等が使用不可能になった場合の対応を考慮し、避難場所への退避認識確認ができるよう特殊無線や有線対応を備えている。
【0008】
また、この避難誘導システムは、緊急災害が夜間や停電等に生じた場合に、混乱を抑え安全な避難場所へ住民を確実に誘導できるようにしたものである。
また、視認性の高いLEDライトにより避難場所を、表示面上にひと目で判るようにする機能を備えている。さらに灯光により避難する方向を明るく照らし誘導することが出来るような機能を備えている。
また、市民や市街地を利用する多くの人々が通常の生活に於いて、安心して健やかに生活するために、平常時はもちろん緊急・夜間でも安全な避難場所へ誘導できる官公庁と一体化した情報化時代に適合した避難誘導システムである。
また、緊急ボタンを有し、散歩等の祭に身体の不調を感じた場合や、身の危険を感じた際は警報伝達と同時に集音マイクとして機能する双方向性を有している。
また、テロップによる緊急表示や目の不自由な方には点字による表示と、音声による伝達機能も有している。通常時は夕方にチャイム等で時刻を告げ平常時から所在地を市民に知らせる機能を有している。
また、緊急避難時には、道路情報・火災情報・医療情報・炊き出し情報・安否情報・避難居場所を状況によって表示・伝達送信が可能な公的緊急避難警告・通報する機能を備えている。また、火災の拡散や収束状況・道路の状況をLEDで色分別表示し、安全度・信頼度を増し、信憑性の有る生の地域情報を知らせる機能を備えている。
【0009】
図1に示す避難誘導装置100は、市街地・住居・公園など多数の市民達が往来する場所に設置されており、ソーラパネル1A,1B、センサーユニット2、避難方向へ光を照射することで避難方向が容易に理解できるようにした避難方向指示器3、監視カメラ4A,4B、地図情報表示部5、身体の不調を感じた場合や、身の危険を感じた際は警報伝達と同時に集音マイクとして機能する双方向性を有したスピーカシステム6A,6B、緊急ボタン7A,7B、点字による案内書9を出力する点字案内書排出システムを操作するための点字案内機能操作ボタン8、テロップによる緊急表示を行うテロップ表示器10、平常時の地理案内を行うための地図案内用操作ボタン11を備えている。
【0010】
ソーラパネル1A,1Bは、災害により電源が遮断されたときの自家発電用の電源装置であり、また、太陽光により発電した電力はバッテリに蓄えられている。センサーユニット2は、熱センサ(赤外線センサ)、地震センサおよび風向センサを内蔵している。避難方向指示器3は、避難方向へ光を照射することで住民が避難方向を容易に理解できるようにするものである。監視カメラ4A,4Bは赤外線カメラを含む撮像装置であり、可視光線による映像を撮像するものにあってはカラー映像を監視画像として出力するため、この監視画像をネットワークNWを介して災害対策センタ200で収集し保存することが可能である。地図情報表示部5は住居案内用の地図情報であり、例えばプラスチック板に印刷されており、避難誘導装置ごとに、設置されている地域の地図が印刷されている。スピーカシステム6A,6Bは、身体の不調を感じた場合や、身の危険を感じた際は警報伝達と同時に集音マイクとして機能する双方向性を有している。緊急ボタン7A,7Bは、緊急時に押下されることで緊急通報が自動的に災害対策センタ200に通報される。点字案内機能操作ボタン8は、点字による避難誘導案内9を出力する避難誘導案内排出機構22を操作するための操作ボタンである。この点字による案内書9は排出孔12から出力される。また、この操作ボタンの近傍には点字による説明書きが付されている。テロップ表示器10は、災害発生時にはテロップによる緊急表示を行う一方、平常時には公的な案内やニュース、生活情報、広告などをテロップにより表示する。地図案内用操作ボタン11は平常時に使用される操作ボタンであり、地図情報表示部5の地図上の地域、建物、施設、住所などに対応して設けられており、目的とする地域、建物、施設、住所などの場所が不明であるときに対応する操作ボタンを操作することで、目的とする地域、建物、施設、住所などの場所が、LEDの点灯あるいは点滅などにより他と識別できる形態で表示される。
【0011】
図2は、図1に示した避難誘導装置を含む避難誘導システムの構成を示すブロック図である。この避難誘導システムは、複数の避難誘導装置100と、これら複数の避難誘導装置100とネットワークNWにより接続し避難誘導装置100を管理する災害対策センタ200とから構成されている。そして、避難誘導装置100のセンサユニット2は、熱センサ(赤外線センサ)、地震センサおよび風向センサを内蔵している。熱センサは、赤外線に反応し熱を検出するセンサであり、人体から放出される赤外線以外に火災現場や炎などの熱源から放出される赤外線を検出できる。地震センサは所定の震度を超える地震の発生を検出する。風向センサは東西南北の絶対方位に対する風向きを検出するセンサである。テロップ表示器インタフェース10Aは、制御部31がテロップ表示器10を制御してテロップによる緊急表示を行う際の制御部31とテロップ表示器10との間の各種信号やデータの授受を行う装置である。
【0012】
マップ上LED表示器13は、地図情報表示部5に埋め込まれており、目的とする地域、建物、施設、住所などの場所をLEDの点灯あるいは点滅などにより他と識別できる形態で表示する。避難方向表示用モータ14は、災害発生時に避難方向表示器3を住民が避難する方向へ自動的に向け、住民が避難する方向を避難方向表示器3で光により照らし出し、住民が避難する方向を一目瞭然にする。避難方向表示用モータドライバ14Aは、制御部31が避難方向表示用モータ14を制御する際に制御部31との間で制御データの送受信を行う。スピーカシステム6A,6Bは、スピーカとして機能して警報伝達を行い、また同時に集音マイクとして機能する双方向性を有している。そして、2つの集音マイクとして機能することで音源の方向や距離などを知ることが可能である。スピーカシステムインタフェース16A,16Bは、スピーカシステム6A,6Bのスピーカとしての機能と集音マイクとしての機能の切り替えを制御部31から制御したり、集音マイクまたはスピーカとして機能する際のアンプゲインを制御するための各種信号の送受信を制御部31との間で行なったり、ディジタルデータとして記憶されている音声をスピーカから出力するためにアナログ音声信号に変換するためのDAコンバータを含む。さらに集音マイクとして機能したときに取り込んだ音声の信号を音声認識のためのディジタルデータに変換するADコンバータを含む。操作ボタン21は地図案内用操作ボタン11、緊急ボタン7A,7B、展示案内用操作ボタン8を含む。
点字による避難誘導案内排出機構22は、点字が印刷された紙片を避難誘導案内として出力することで避難誘導を行うシステムであり、発生した災害場所の位置と避難場所の位置とから、現在位置から最短距離にある最も安全な避難場所への経路を点字により提示した紙片を避難誘導案内として出力する。
【0013】
電源部41は、平常時は商用電源から電力を避難誘導装置100へ供給し、災害が発生し停電になると、ソーラパネル1A,1Bにより発電した電力、またはソーラパネル1A,1Bにより発電し蓄電池に蓄えた電力が避難誘導装置100へ供給され、避難誘導装置100は商用電力が遮断されても自律的に動作することが可能である。
通信手段51は通信用ソフトウェアを備えており、災害対策センタ200に配置されているサーバの通信用ソフトウェアとの間、または他の避難誘導装置との間でデータの送受信を行う。双方向カメラシステム61は、カメラサーバ71と複数の監視カメラ4A,4Bとから構成されており、カメラサーバ71には固定IPが設定されている。そして、災害対策センタ200からはカメラサーバ71の固定IPにアクセスし、監視カメラ4A,4Bの映像を受信し周囲を監視し、また通信手段51を介して送信した制御データにより監視カメラ4A,4Bの向きや照明を制御できる。
無線通信装置81は、災害対策センタ200との間の通信用ネットワークNWが使用不能になったり、他の避難誘導装置や災害発生時の災害対策センタとの間で各種データを無線により送受信する際に用いられる通信装置であり、緊急時、災害発生時に対応するために予め定められている所定の周波数帯域を使用して無線通信を行う。
【0014】
制御部31はマイクロコンピュータにより構成されている。このマイクロコンピュータのメモリには、避難誘導装置が備えている各種機能を実現するためのプログラムが格納されている。
例えば、緊急災害や事故が発生していない平常時においては地図上で地域案内を行う地図案内装置として機能させ、緊急災害や事故が発生した場合には、災害対策センタから送られてくる情報をもとに夜間でも最新情報として安全確実な場所を住民に知らせ誘導する機能を実現するプログラムAを備えている。
また、災害対策センタから送られてくる情報をもとに、避難場所を、視認性の高いLEDライトにより表示面上にひと目で認識できるようにし、さらに避難方向表示器3による投光により避難する方向を明るく照らし誘導する機能を実現するプログラムBを備えている。
また、他の避難誘導装置と連携して各種情報を送受信することで、災害対策センタから送られてくる情報をもとに、避難場所を、視認性の高いLEDライトにより表示面上にひと目で認識できるようにし、さらに避難方向表示器3による投光により避難する方向を明るく照らし誘導する機能を実現するプログラムCを備えている。
また、災害対策センタから送られてくる情報をもとに、テロップによる緊急表示や目の不自由な方には点字による表示機能と、音声による伝達機能を実現するプログラムDを備えている。
【0015】
また、緊急避難時には、通信用ネットワークNWや無線通信装置81により災害発生時の災害対策センタと接続し、災害対策センタ200から送られてくる情報をもとに、道路情報・火災情報・医療情報・炊き出し情報・安否情報・避難居場所を状況によって表示・伝達する機能を実現するプログラムEを備えている。
また、火災害対策センタから送られてくる情報をもとに、災の拡散や収束状況・道路の状況をLEDで色分別表示し、安全度・信頼度を増し、信憑性の有る生の地域情報を知らせる機能を実現するプログラムFを備えている。
また、集音マイクとして機能したときに取り込んだ音声信号を音声認識するための音声認識用プログラムGを備えている。この声認識用プログラムは、災害発生時に住民が集音マイクから音声により入力した、例えば、“関係者に避難場所を知らせるための伝言”を音声認識し、その伝言内容を、入力した本人の識別情報と対応させて記憶手段に保存しておくためのものである。この場合、入力した本人の識別情報とは“姓名”などの本人を特定できる情報である。そして、前記関係者が当該本人の識別情報を入力することで前記音声入力した本人の安否情報を前記記憶手段から読み出し、スピーカシステム6A,6Bをスピーカとして機能させ、前記安否情報を音声として再生出力するというような安否情報出力システムに用いることが可能である。
【0016】
なお、この避難誘導装置は、平常時における一利用形態として、地域の散歩ルートやジョギングルートなどの案内板として機能することも可能である。また、このときのテロップ表示器10は、散歩やジョギングなどに関連した内容の例えば健康管理に関するテロップ表示を行うが可能である。
【0017】
次に、この避難誘導システムの動作について説明する。
先ず、災害発生時の動作について説明する。
図3は、例えば特定の地域の駅前広場に設置された避難誘導装置の地図情報表示部5に掲示されている案内用の地図情報を示す説明図である。また、図4は、地図情報表示部5に掲示されている案内用の地図上における避難誘導装置のシンボルの説明図である。図3に示す地図情報において符号501および符号502は例えば火災の発生場所を示し、符号701,702は避難場所を示している。また、符号601〜608は避難誘導装置を示しており、図3は難誘導装置601の地図情報表示部5に掲示されている案内用の地図情報を示している。
【0018】
この避難誘導システムは、特定の地域内で火災が発生すると火災の発生した場所についての情報が消防署から災害対策センタ200を介して、火災が発生した特定の地域内に設置されている避難誘導装置601〜608に送られてくる。このため特定の地域内に設置されている避難誘導装置601〜608、例えば避難誘導装置601では送られてきた火災の発生した場所についての情報をもとに符号501、符号502で示すように避難誘導装置601の地図情報表示部5に掲示されている案内用の地図情報に対応させて該当する火災の発生した地図上の位置のLEDを点灯または点滅させる。さらに、火災の発生した場所についての位置情報と、案内用の地図情報と、避難場所701,702の位置情報とをもとに、火災の発生した場所から出来るだけ離れた方向にある避難場所701を特定し、避難誘導装置601から避難場所701までの経路を検索して避難誘導装置601の地図情報表示部5に掲示されている案内用の地図情報に対応させて該当する経路上のLEDを点灯または点滅させる。
【0019】
また、各避難誘導装置602〜608でも、避難誘導装置601と同様に送られてきた火災の発生した場所についての情報をもとに符号501、符号502で示すように地図情報表示部に掲示されている案内用の地図情報に対応させて該当する火災の発生した地図上の位置のLEDを点灯または点滅させる。さらに、火災の発生した場所についての情報と、案内用の地図情報と、避難場所の位置情報とをもとに、火災の発生した場所から出来るだけ離れた方向にある避難場所701を特定し、特定した避難場所までの経路を検索して地図情報表示部5に掲示されている案内用の地図情報に対応させて該当する経路上のLEDを点灯または点滅させる。
【0020】
また、このとき例えば避難誘導装置601では、検索された避難場所までの経路上に現在位置(避難誘導装置601が設置されている位置)が存在していると、現在位置における避難方向を判定し、避難方向指示器3の光照射方向を前記避難方向へ制御し投光するようにして案内誘導する。すなわち、避難誘導装置601では、避難方向指示器3は鉄道線路に沿って東京方面の方向である東側へ向くように制御され光を照射し、避難誘導装置606,607では、避難方向指示器3は鉄道線路から離れる方向である北側へ向くように制御され光を照射する。また、避難誘導装置603では、避難方向指示器3は北側へ向くように制御され光を照射する。また、避難誘導装置605では、避難方向指示器3は東側へ向くように制御され光を照射する。
【0021】
図5は、以上説明したこの避難誘導システムにおける避難誘導装置601の災害発生時の動作の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す機能は、制御部31を構成するマイクロコンピュータのメモリに格納されているプログラムCを、前記マイクロコンピュータのCPUが実行することで実現される。このフローチャートによれば、災害対策センタ200から通信手段(受信手段)51または無線通信装置(受信手段)81が災害発生場所の位置を特定する災害発生場所特定情報を受信する(ステップS1)。次に、前記受信した災害発生場所特定情報と、地図情報表示部5に掲示されている一例として図3に示される所定の地域の案内地図に対応する地図情報と、前記所定の地域内の避難場所701,702の位置情報と、前記掲示されている案内地図上の現在位置情報(避難誘導装置601が設置されている位置を示す情報)とをもとに、CPU(避難場所特定手段)が最適な避難場所を特定する(ステップS2)。そして、前記特定した災害発生場所の位置から、前記特定した避難場所への避難経路を、前記掲示されている案内地図に対応する地図情報をもとにCPU(避難経路検索手段)が検索する(ステップS3)。さらに、前記検索した避難経路に対応する前記掲示されている案内地図上の経路を他の領域に対し識別可能にCPU(避難経路識別手段)が表示する(ステップS4)。次に、前記検索した避難経路上に現在位置(避難誘導装置601が設置されている位置)が存在するか否かを判定し(ステップS5)、前記避難経路上に現在位置が存在すると判断すると、前記現在位置における避難方向をCPU(避難方向判定手段)が判定する(ステップS6)。そして、前記判定した避難方向へ避難方向指示器3が向くようにCPUが制御して、避難方向指示器3により避難方向に対し光を照射する(ステップS7)。
【0022】
次に平常時の動作について説明する。
災害が発生していない平常時では、地図上で地域や住居の案内を行う地図表示装置として機能する。
【0023】
以上説明したように、この実施の形態1の避難誘導システムによれば、平常時には案内板として機能する一方、災害発生時には自律的に機能し、避難誘導を含む災害対策機能を発揮できる避難誘導システムを提供できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1による避難誘導システムに用いられる避難誘導装置の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1による避難誘導システムの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1における避難誘導装置の地図情報表示部に掲示されている案内用の地図情報を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1における避難誘導装置のシンボルの説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1の避難誘導システムにおける避難誘導装置の災害発生時の動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0025】
3……避難方向指示器、22……避難誘導案内排出機構、51……通信手段(受信手段)、81……無線通信装置(受信手段)、200……防災対策センタ、601……避難誘導装置、31……制御部(避難場所特定手段、避難経路検索手段、避難経路識別手段、避難方向判定手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掲示されている所定の地域の案内地図上で避難場所への避難誘導を行う機能を備えた避難誘導システムであって、
災害発生場所の位置を特定する災害発生場所特定情報を災害対策センタから受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した災害発生場所特定情報と、前記掲示されている所定の地域の案内地図に対応する地図情報と、前記所定の地域内の避難場所の位置情報と、前記掲示されている案内地図上の現在位置情報とをもとに、最適な避難場所を特定する避難場所特定手段と、
前記災害発生場所特定情報をもとに特定した災害発生場所の位置から、前記避難場所特定手段により特定した避難場所への避難経路を、前記掲示されている案内地図に対応する地図情報をもとに検索する避難経路検索手段と、
前記避難経路検索手段により検索した避難経路に対応する前記掲示されている案内地図上の経路を他の領域に対し識別可能に表示する避難経路識別手段と、
前記避難経路検索手段により検索した避難経路上に現在位置が存在すると、前記現在位置における避難方向を判定する避難方向判定手段と、
前記避難方向判定手段により判定した避難方向に対し光を照射する避難方向指示手段と、
を備えたことを特徴とする避難誘導システム。
【請求項2】
点字による避難誘導案内を出力する避難誘導案内排出機構を備えたことを特徴とする請求項1記載の避難誘導システム。
【請求項3】
取り込んだ伝言の内容を音声認識するための音声認識手段を備え、前記伝言が取り込まれた本人を特定する本人識別情報に対応させて前記伝言の内容をメモリに記憶し、前記本人識別情報を入力することで前記メモリから対応する本人の伝言の内容を読み出す安否情報出力システムを備えたことを特徴とする請求項1記載の避難誘導システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−234250(P2008−234250A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−71959(P2007−71959)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(593027473)リードエンジニアリング株式会社 (5)
【出願人】(500396872)シップ電機株式会社 (1)
【出願人】(000155724)株式会社雄島試作研究所 (34)
【Fターム(参考)】