部品実装方法
【課題】スクリーン印刷機における段取り替え作業に伴う時間のロスが生じないようにした部品実装方法を提供することを目的とする。
【解決手段】スクリーン印刷機5が備える2つの印刷機構10のうちの一方について段取り作業を行ってその印刷機構10にスクリーン印刷作業を実行させ、その一方の印刷機構10にスクリーン印刷作業を実行させている間、他方の印刷機構10において、機種切り替えのための段取り替え作業を行う。
【解決手段】スクリーン印刷機5が備える2つの印刷機構10のうちの一方について段取り作業を行ってその印刷機構10にスクリーン印刷作業を実行させ、その一方の印刷機構10にスクリーン印刷作業を実行させている間、他方の印刷機構10において、機種切り替えのための段取り替え作業を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に対してスクリーン印刷を施すスクリーン印刷機及びスクリーン印刷機によりスクリーン印刷が施された基板に部品を装着する部品装着機を含んで構成される部品実装システムを用いた部品実装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
部品実装システムは、上流側から搬入した基板に対してスクリーン印刷作業を実行して下流側に搬出する印刷機構を有したスクリーン印刷機及びスクリーン印刷機の下流側に配置され、スクリーン印刷機によりスクリーン印刷が施された基板を受け取ってその基板に部品を装着する部品装着機のほか、検査機やリフロー炉等の他の部品実装用装置を含んで構成されている。
【0003】
このような部品実装システムでは、複数の種類の基板の生産を行うことができ、基板の種類(機種)の切り替えをするときは、スクリーン印刷機についてはマスクやスキージ、制御データの変更等の諸作業から成る段取りの切り替え作業(段取り替え作業)を行う必要がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−125684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなスクリーン印刷機について機種切り替えのための段取り替え作業を行う場合には、マスクの交換作業が必要不可欠であることからスクリーン印刷機の稼働を一時的に中断せざるを得ず、したがってその下流側の部品装着機における作業も行うことができないことから時間のロスが生じ、基板の生産効率が低下してしまうという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、スクリーン印刷機における段取り替え作業に伴う時間のロスが生じないようにした部品実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の部品実装方法は、基板に対してスクリーン印刷を行う2つの印刷機構を備えたスクリーン印刷機と、スクリーン印刷が施された基板に部品を装着する部品装着機とを含んで構成される部品実装システムを用い、スクリーン印刷機により基板にスクリーン印刷を施した後、その基板に対して部品装着機による部品装着を施して部品実装を行う部品実装方法であって、スクリーン印刷機が備える2つの印刷機構のうちの一方について段取り作業を行う工程と、段取り作業を行った前記一方の印刷機構にスクリーン印刷作業を実行させる工程と、前記一方の印刷機構にスクリーン印刷作業を実行させている間、他方の印刷機構において、機種切り替えのための段取り替え作業を行う工程と、前記一方の印刷機構にスクリーン印刷作業を行わせる工程及び前記他方の印刷機構において段取り替え作業を行う工程が終了した後、前記他方の印刷機構に機種切り替え後の基板についてのスクリーン印刷作業を実行させる工程とを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、部品実装システムが備えるスクリーン印刷機は2つの印刷機構を有し、これら2つの印刷機構のうちの一方の印刷機構にスクリーン印刷作業を実行させている間、他方の印刷機構において機種切り替えのための段取り替え作業を行うようになっているので、段取り替え作業のためにスクリーン印刷機の稼働を停止させることがない。このため段取り替え作業に伴う時間のロスがなく、基板の生産効率の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態における部品実装システムの平面図
【図2】本発明の一実施の形態における部品実装システムが備えるスクリーン印刷機の側面図
【図3】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の平面図
【図4】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の正面図
【図5】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の側面図
【図6】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるマスクホルダ及びマスクの平面図
【図7】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の制御系統を示すブロック図
【図8】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備える印刷機構が実行するスクリーン印刷工程の流れを示すフローチャート
【図9】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備える印刷機構が実行するスクリーン印刷工程の実行手順を説明する図
【図10】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備える印刷機構が実行するスクリーン印刷工程の実行手順を説明する図
【図11】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備える印刷機構が実行するスクリーン印刷工程の実行手順を説明する図
【図12】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備える印刷機構が実行するスクリーン印刷工程の実行手順を説明する図
【図13】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備える印刷機構が実行するスクリーン印刷工程の実行手順を説明する図
【図14】本発明の一実施の形態における部品実装システムが備える基板振り分けコンベアの側面図
【図15】本発明の一実施の形態における部品実装システムが備える部品装着機の平面図
【図16】本発明の一実施の形態における部品装着機の側面図
【図17】本発明の一実施の形態における部品装着機の制御系統を示すブロック図
【図18】本発明の一実施の形態における部品装着機が実行する部品実装工程の流れを示すフローチャート
【図19】本発明の一実施の形態における部品装着機が備えるスクリーン印刷機の作業手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1において、本実施の形態における部品実装システム1は、基板2の表面の電極3上に部品(電子部品)4の実装を行う諸作業に関連する部品実装用作業を実行する複数台の部品実装用装置が連結されて成る。基板2は部品実装用装置が連結される水平面内方向に流れ、この方向を各部品実装用装置のX軸方向とし、X軸方向と直交する水平面内方向をY軸方向、上下方向をZ軸とする。更に、Y軸方向を各部品実装用装置の前後方向、X軸方向を横(左右)方向とし、前後方向のうち、各部品実装用装置に対してオペレータOP(図1)が作業を行う側(図1の紙面下方)を各部品実装用装置の前方、その反対側(図1の紙面上方)を後方とする。
【0011】
図1において、部品実装システム1を構成する複数台の部品実装用装置の中には、少なくともスクリーン印刷機5とその下流側(基板2の流れの下流側)に配置された基板振り分け装置6及び部品装着機7が含まれている。これらスクリーン印刷機5、基板振り分け装置6及び部品装着機7はそれぞれ信号伝送線SCによってホストコンピュータHCと繋がっている。
【0012】
図2においてスクリーン印刷機5は、上流側から投入された基板2を搬入して位置決めし、基板2の表面の電極3上に半田ペーストや導電性ペースト等のペーストPst(図4参照)を転写するスクリーン印刷を行って下流側に搬出する動作を連続実行する印刷機構10(図3)を2つY軸方向に並べた状態で備えている(図1も参照)。
【0013】
図4及び図5において、各印刷機構10は、このスクリーン印刷機5の基台11上に設けられた基板保持移動ユニット12のほか、基板保持移動ユニット12の上方に設けられた金属製の薄板材料から成るプレート状のマスク13、前後一対のスキージ14及びカメラユニット15を備えている。
【0014】
図4及び図5において、基板保持移動ユニット12は、水平移動部21、昇降部22、コンベア部23、基板支持部24及び基板クランプ部25から成る。
【0015】
図4及び図5において、水平移動部21は、Yテーブル駆動モータMyの作動によって基台11に対してY軸方向に移動するYテーブル21a、Xテーブル駆動モータMxの作動によってYテーブル21aに対してX軸方向に移動するXテーブル21b、Xテーブル21bに対してZ軸回りに回転するθテーブル21c、θテーブル21cの上面に固定されたベーステーブル21d及びベーステーブル21dの上面から上方に延びて設けられた複数の昇降テーブルガイド21eから成る。
【0016】
図4及び図5において、昇降部22は、水平移動部21の複数の昇降テーブルガイド21eにガイドされてベーステーブル21dに対して昇降する昇降テーブル22a及び昇降テーブル22aの上面から上方に延びて設けられた複数の下受けユニット昇降ガイド22bから成る。
【0017】
図4及び図5において、コンベア部23は下受けユニット昇降ガイド22bの上端に取り付けられて昇降テーブル22aとともにベーステーブル21dに対して昇降する前後一対のベルトコンベア支持部材23aと、各ベルトコンベア支持部材23aに支持された前後一対のベルトコンベア23bから成っており、これら前後のベルトコンベア23bが同期して作動することにより、基板2のX軸方向への搬送がなされる。
【0018】
図4及び図5において、基板支持部24は、コンベア部23の下方において、下受けユニット昇降ガイド22bにガイドされて昇降する下受けユニット支持テーブル24a及び下受けユニット支持テーブル24aの上面に設けられた下受けユニット24bから成り、下受けユニット24bの上面には複数の下受けピン24cが上方に延びて設けられている。基板支持部24は、下受けユニット24bが下受けユニット支持テーブル24aとともに昇降テーブル22aに対して昇降し、複数の下受けピン24cを前後のベルトコンベア23bによって両端が支持された基板2の下面に当接させることによって基板2を下方から支持する。
【0019】
図4及び図5において、基板クランプ部25は、コンベア部23が備える前後のベルトコンベア支持部材23aそれぞれの上部にY軸方向に移動自在に設けられた前後一対のクランプ部材25a(図3も参照)から成り、前後のベルトコンベア23bによって両端部が支持され、下受けユニット24bによって下面が支持された基板2のY軸方向の両側部(両端面)を基板2の外方から挟んでクランプする。
【0020】
図3及び図4において、基板保持移動ユニット12を構成するコンベア部23の上流側には前後一対のベルトコンベア26aから成る基板搬入コンベア26が設けられており、コンベア部23の下流側には前後一対のベルトコンベア27aから成る基板搬出コンベア27が設けられている。基板搬入コンベア26は、スクリーン印刷機5の外部(上流側)から投入された基板2を搬入して基板保持移動ユニット12のコンベア部23に受け渡し、基板搬出コンベア27は、基板保持移動ユニット12のコンベア部23から受け渡された基板2をスクリーン印刷機5の外部に搬出する。このように、基板搬入コンベア26、基板保持移動ユニット12のコンベア部23及び基板搬出コンベア27は基板2の搬送を行う基板搬送路28(図3)として機能する。
【0021】
図3及び図4において、基台11上には基板搬入コンベア26及び基板搬出コンベア27をそれぞれY軸方向に跨ぐ一対の門型フレーム31が設けられており、これら一対の門型フレーム31によってマスクホルダ32が支持されている。
【0022】
図3及び図6において、マスクホルダ32は、門型フレーム31に両端が取り付けられて基板保持移動ユニット12の上方をX軸方向に延びて配置された前後一対のガイド部材33と、一対のガイド部材33上をY軸方向に延びて設けられた左右一対のマスク支持レール34とから成る。マスク13はマスクホルダ32が備える左右一対のマスク支持レール34によって左右両端が支持されて基板保持移動ユニット12の上方に水平姿勢に保持される(図4及び図5参照)。
【0023】
図3及び図6において、マスク13は平面視において矩形の枠状部材から成るマスク枠13wによって四辺が支持されており、マスク枠13wによって囲まれた矩形の領域には、基板2上の複数の電極3に対応した多数のパターン孔13aが設けられている。すなわちマスク13は、基板2の電極3の配置に応じて形成された多数のパターン孔13aを有したものとなっている。
【0024】
図3において、基板2の対角位置には2つ一組の基板側位置決め用マークmkが設けられている。一方、図6において、マスク13には、基板側位置決め用マークmkに対応して配置された2つ一組のマスク側位置決め用マークMKが設けられている。これら基板側位置決め用マークmkとマスク側位置決め用マークMKが上下に合致する状態で基板2をマスク13に接触させると、基板2の電極3とマスク13のパターン孔13aは上下に合致した状態となる。
【0025】
図3及び図4において、一対の門型フレーム31には、X軸方向に延びたX軸ステージ35の両端部がY軸方向にスライド自在に支持されている。X軸ステージ35上にはカメラ支持ステージ36がX軸方向に移動自在に設けられており、カメラ支持ステージ36には前述のカメラユニット15が取り付けられている。カメラユニット15は、撮像視野を下方に向けた第1カメラ15aと撮像視野を上方に向けた第2カメラ15bを備えている(図5)。
【0026】
図3及び図4において、一対の門型フレーム31にはX軸方向に延びたスキージベース37の両端が支持されており、スキージベース37は門型フレーム31に沿ってY軸方向に往復移動自在となっている。
【0027】
図4及び図5において、スキージベース37の上面中央部のY軸方向に対向する位置には2つのスキージ昇降シリンダ38が設けられている。これら2つのスキージ昇降シリンダ38からはそのピストンロッドから成るスキージ昇降軸38aがスキージベース37を上下方向に貫通して下方に延びている。
【0028】
図4及び図5において、各スキージ昇降シリンダ38が備えるスキージ昇降軸38aの下端にはX軸方向に延びたスキージホルダ39が取り付けられており、各スキージホルダ39には前述のスキージ14が保持されている。各スキージ14は、スキージホルダ39に沿ってX軸方向に延びた「へら」状の部材から成る。
【0029】
各スキージ昇降シリンダ38によりスキージ昇降軸38aが下方に突没されると、スキージ昇降軸38aの下端にスキージホルダ39を介して取り付けられたスキージ14がスキージベース37に対して昇降する。ここで、マスク13とスキージベース37の上下方向の間隔は変化しないので、スキージ14はマスク13に対して昇降することになる。
【0030】
基板2の搬送を行う基板搬送路28としての基板搬入コンベア26、基板保持移動ユニット12のコンベア部23及び基板搬出コンベア27の各動作は、基台11内に設けられた制御装置40(図7)が図示しないアクチュエータ等から成る基板搬送路作動機構41(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
【0031】
基板保持移動ユニット12の水平移動部21の作動(Yテーブル21aのY軸方向への移動、Yテーブル21aに対するXテーブル21bのX軸方向への移動及びXテーブル21bに対するθテーブル21cの(すなわちベーステーブル21dの)Z軸回りの回転)は、制御装置40が前述のYテーブル駆動モータMyやXテーブル駆動モータMxを含むアクチュエータ等から成る水平面内方向移動機構42(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
【0032】
基板保持移動ユニット12の昇降部22の作動(ベーステーブル21dに対する昇降テーブル22aの昇降)動作は、制御装置40が図示しないアクチュエータ等から成る上下方向移動機構43(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
【0033】
基板保持移動ユニット12の下受けユニット24bの昇降動作、すなわち昇降テーブル22aに対する下受けユニット支持テーブル24aの昇降動作は、制御装置40が図示しないアクチュエータ等から成る下受けユニット昇降機構44(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
【0034】
基板保持移動ユニット12の基板クランプ部25の作動(前後のクランプ部材25aの開閉作動)による基板2のクランプ及びその解除動作は、制御装置40が図示しないアクチュエータ等から成るクランプ部作動機構45(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
【0035】
カメラユニット15の水平面内での移動動作(一対の門型フレーム31に対するX軸ステージ35のY軸方向への移動動作及びX軸ステージ35に対するカメラ支持ステージ36のX軸方向への移動動作)は、制御装置40が図示しないアクチュエータから成るカメラユニット移動機構46(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
【0036】
前後のスキージ14をY軸方向に往復移動させるスキージベース37の作動制御は、制御装置40が図示しないアクチュエータ等から成るスキージベース移動機構47(図7)の制御を行うことによってなされる。また、各スキージ14のスキージベース37に対する昇降動作は、制御装置40がスキージベース37の上部に取り付けられた2つのスキージ昇降シリンダ38の作動制御を行うことによってなされる。
【0037】
カメラユニット15を構成する第1カメラ15aは、制御装置40に制御されて、基板保持移動ユニット12の基板支持部24及び基板クランプ部25から成る基板保持部によって保持された基板2の基板側位置決め用マークmkの撮像を行い、第2カメラ15bは、制御装置40に制御されて、マスク13に設けられたマスク側位置決め用マークMKの撮像を行う。第1カメラ15aの撮像によって得られた画像データと第2カメラ15bの撮像によって得られた画像データはともに制御装置40に入力される(図7)。
【0038】
図7に示すように、制御装置40には入出力装置51が設けられており、オペレータOPは、この入出力装置51から所定の操作を行うことにより、スクリーン印刷機5によるスクリーン印刷動作、例えば、2つの印刷機構10のうちの一方を選択してスクリーン印刷作業を行わせる操作や、実行中のスクリーン印刷作業を停止させる操作等を行うことができるようになっている。なお、制御装置40は、図1及び図2に示すように、信号伝送線SCを介してホストコンピュータHCと繋がっている。
【0039】
次に、図8のフローチャート及び図9〜図13の説明図を加えてスクリーン印刷機5が備える印刷機構10によるスクリーン印刷作業の実行手順を説明する。
【0040】
スクリーン印刷機5の制御装置40は、印刷機構10によりスクリーン印刷作業を行う場合、先ず、その印刷機構10が備える基板搬入コンベア26とコンベア部23を連動作動させ、スクリーン印刷機5の上流側に設置された他の装置から送られてきた基板2を印刷機構10内に搬入したうえで、基板2をコンベア部23上の所定の作業位置に静止させる(図9(a)。図8に示すステップST1の基板搬入工程)。
【0041】
制御装置40は、ステップST1の基板搬入工程が終了したら、前後のクランプ部材25aを閉作動させて、コンベア部23上の基板2をY軸方向からクランプする(図9(b)。図中に示す矢印A1)。そして、昇降テーブル22aをベーステーブル21dに対する下降位置に位置させたまま、下受けユニット24bを上昇させる(図9(c)中に示す矢印B1)。
【0042】
制御装置40は、下受けユニット24bを上昇させることによって、下受けユニット24bの下受けピン24cを基板2の中央部の下面に下方から当接させて基板2を上方に押し上げ、基板2の両端部を前後のベルトコンベア23bから上方に離間させ、かつ、基板2の両端部(両側面)を前後のクランプ部材25aに対して摺動させながら基板2を上方に移動させる。そして、基板2の上面の高さがクランプ部材25aの上面と同じ高さとなったところで下受けユニット24bの上昇を停止させる。これにより基板2は基板保持部(基板支持部24及び基板クランプ部25)によって保持された状態となる(図9(c)。図8に示すステップST2の基板保持工程)。
【0043】
制御装置40は、ステップST2の基板保持工程が終了したら、カメラユニット移動機構46の作動制御を行い、X軸ステージ35をY軸方向に移動させるとともに、カメラ支持ステージ36をX軸方向に移動させることによって、第1カメラ15aを基板2に設けられた基板側位置決め用マークmkの直上に位置させる。そして、第1カメラ15aに基板側位置決め用マークmkの撮像を行わせてその画像データを取得し、基板2の位置を検出する(図10(a)。図8に示すステップST3の基板位置検出工程)。また制御装置40は、第2カメラ15bをマスク13に設けられたマスク側位置決め用マークMKの直下に位置させ、第2カメラ15bにマスク側位置決め用マークMKの撮像を行わせることによってその画像データを取得し、マスク13の位置を検出する(図10(b)。図8に示すステップST4のマスク位置検出工程)。
【0044】
制御装置40は、ステップST4のマスク位置検出工程が終了したら、基板保持移動ユニット12が備える水平移動部21の作動制御を行って基板保持部(基板支持部24及び基板クランプ部25)により保持した基板2を水平面内方向に移動させ、基板側位置決め用マークmkとマスク側位置決め用マークMKが上下に対向するようにして、マスク13に対する基板2の水平面内方向の位置決めを行う(図8に示すステップST5の位置決め工程)。
【0045】
制御装置40は、ステップST5の位置決め工程が終了したら、昇降テーブル22aをベーステーブル21dに対して上昇させることにより(図10(c)中に示す矢印C1)、基板2の上面(被印刷面)をマスク13の下面に接触させる(図10(c)。図8に示すステップST6の接触工程)。これにより基板2の電極3とマスク13のパターン孔13aは上下に合致し、基板2はスキージ14によるペーストPstの転写作業が行われる位置に位置した状態となる。
【0046】
制御装置40は、ステップST6で基板2をマスク13に接触させたら、スクリーン印刷機5の動作を一時中断したうえで、このスクリーン印刷機5が備える前述の入出力装置51を介した画像表示等により、オペレータOPにペーストPstの供給を促す。オペレータOPは、現在マスク13上に残っているペーストPstを目視し、そのペーストPstの量に基づいてペーストPstの供給(補充)を行うべきかどうかの判断を行う。そして、ペーストPstの供給を行うべきと判断したときには、別途用意したペースト供給シリンジ52(図11(a))により、マスク13上へのペーストPstの供給を行い(図11(a))、ペーストPstの供給が終わったら、入出力装置51から動作再開操作を行う。オペレータOPは、ペーストPstの供給が不要と判断した場合においても、入出力装置51から動作再開操作を行う。
【0047】
制御装置40はステップST6の後、入出力装置51から動作再開操作信号が出力されたか否かに基づいて、オペレータOPによって動作再開操作がなされたことの検知待ちに入る(図8に示すステップST7の動作再開操作検知待ち工程)。そして、制御装置40は、オペレータOPによって動作再開操作がなされたことを検知したときにはスクリーン印刷機5の動作中断を解除し、2つのスキージ14のうちの一方のスキージ14を下降させて、そのスキージ14の下端を基板2に接触されているマスク13に上方から当接させる(図11(b)。図7示すステップST8のスキージ当接工程)。
【0048】
なお、このときマスク13に当接させるスキージ14は、スキージベース37が前方のクランプ部材25aの上方に位置しているときには(図11(a))、前方のスキージ14(図11(a),(b)における紙面左側のスキージ14)であり、スキージベース37が後方のクランプ部材25aの上方に位置しているときには、後方のスキージ14(図11(a),(b)における紙面右側のスキージ14)である。
【0049】
制御装置40は、スキージ14をマスク13の上面に当接させたら、そのスキージ14がペースト掻き寄せ方向に移動するようにスキージベース37を移動させる。ここで、マスク13に当接させたスキージ14が前方のスキージ14であればスキージベース37は後方に移動され(図12(a)中に示す矢印D1)、マスク13に当接させたスキージ14が後方のスキージ14であればスキージベース37は前方に移動される(図12(b)中に示す矢印D2)。
【0050】
これによりスキージ14はマスク13に対して相対移動(摺動)し、マスク13上のペーストPstはスキージ14のペースト掻き寄せ面で掻き寄せられてマスク13のパターン孔13a内に押し込まれるので、基板2の電極3上にペーストPstが転写された状態となる(図8に示すステップST9のペースト転写工程)。
【0051】
制御装置40は、メインルーチンのステップST9のペースト転写工程が終了したら、スキージ14を上昇させて、スキージ14をマスク13から離間させる(図8に示すステップST10のスキージ離間工程)。
【0052】
制御装置40は、ステップST10のスキージ離間工程が終了したら、昇降テーブル22aをベーステーブル21dに対して下降させ(図13(a)中に示す矢印C2)、マスク13から基板2を離間させる(図13(a))。これにより版離れが行われる(図8に示すステップST11の版離れ工程)。
【0053】
制御装置40は、ステップST11の版離れ工程が終了したら、クランプ部材25aを作動させて基板2のクランプを解除したうえで(図13(b)中に示す矢印A2)、下受けユニット24bを昇降テーブル22aに対して下降させる(図13(c)中に示す矢印B2)。これにより基板2はコンベア部23上に降ろされて基板保持部(基板支持部24及び基板クランプ部25)による基板2の保持が解除される(図13(c)。図8に示すステップST12の基板保持解除工程)。
【0054】
制御装置40は、ステップST12の基板保持解除工程が終了したら、基板保持移動ユニット12が備える水平移動部21を作動させ、基板搬出コンベア27に対するコンベア部23の位置調整を行ったうえで、コンベア部23と基板搬出コンベア27を連動作動させ、コンベア部23上の基板2を基板搬出コンベア27に受け渡してそのまま基板2をスクリーン印刷機5の外部に搬出する(図8に示すステップST13の基板搬出工程)。
【0055】
制御装置40は、ステップST13の基板搬出工程が終了したら、他にスクリーン印刷を施す基板2があるかどうかの判断を行う(図8に示すステップST14の基板有無判断工程)。その結果、他にスクリーン印刷を施す基板2があった場合にはステップST1に戻って新たな基板2の搬入を行い、他にスクリーン印刷を施す基板2がなかった場合には一連のスクリーン印刷作業を終了する。
【0056】
スクリーン印刷機5から搬出された基板2は、スクリーン印刷機5の下流側に位置する基板振り分け装置6に受け渡される。
【0057】
図14において、基板振り分け装置6は、スクリーン印刷機5の下流側に設置された基台61と、基台61上をY軸方向に移動自在に設けられたコンベア装置62から成る。コンベア装置62には一対のベルトコンベア63が設けられている。
【0058】
基台61に対するコンベア装置62のY軸方向への移動動作は、基台61内に設けられた制御装置64(図14)が図示しないコンベア装置移動機構65(図14)の作動制御を行うことによってなされる。また、ベルトコンベア63による基板2の搬送動作は、制御装置64が図示しないアクチュエータ等から成るコンベア作動機構66(図14)の作動制御を行うことによってなされる。
【0059】
スクリーン印刷機5の制御装置40は、2つの印刷機構10の一方からスクリーン印刷作業を終えた基板2を搬出するときは、その情報を信号伝送線SC経由でホストコンピュータHCに送信し、ホストコンピュータHCは、その基板2の搬出情報を基板振り分け装置6の制御装置64に送信する。ホストコンピュータHCから基板2の搬出情報を受け取った基板振り分け装置6の制御装置64は、コンベア装置移動機構65の作動制御を行ってコンベア装置62をY軸方向に移動させるとともに、コンベア作動機構66の作動制御を行ってベルトコンベア63を作動させることにより、スクリーン印刷機5から搬出された基板2を受け取り、その受け取った基板2を下流側に設置された部品装着機7に受け渡す。
【0060】
図15及び図16において、部品装着機7は、基台71上に基板2の搬送及び位置決めを行う基板搬送路72、部品4を供給する部品供給手段としての複数のテープフィーダ73、ロボット機構74により水平面内方向に移動され、基板搬送路72により位置決めされた基板2にテープフィーダ73よりピックアップした部品4の装着を行う2つの装着ヘッド75を備えている。
【0061】
図15において、基板搬送路72は、基台71の中央部に設けられて基板2を所定の作業位置(図15に示す位置)に位置決めする位置決めコンベア72aのほか、上流側及び下流側に隣接する他の部品装着機7との間で基板2の受け渡し用に用いる搬入コンベア72bと搬出コンベア72cを備えている。
【0062】
図15及び図16において、ロボット機構74は、X軸方向に対向する基台71の両端部の一端側において、基板搬送路72を跨ぐようにY軸方向に延びて設けられたビーム状のY軸テーブル74a、Y軸テーブル74aに一端が支持されてX軸方向に延び、Y軸テーブル74aに沿って移動自在に設けられた2つのビーム状のX軸テーブル74b及び各X軸テーブル74b上をX軸方向に移動自在に設けられた2つのプレート状の移動ステージ74cから成り、2つの移動ステージ74cのそれぞれには、下方に延びた複数の吸着ノズル75N(図16)が昇降及び上下軸(Z軸)回り回転自在に設けられた前述の装着ヘッド75がひとつずつ取り付けられている。
【0063】
図15及び図16において、ロボット機構74が備える2つの移動ステージ74cのそれぞれには、撮像視野を下方に向けた基板カメラ76が設けられており、基板搬送路72を挟んでY軸方向に対向する基台71上の両領域のそれぞれには、撮像視野を上方に向けた部品カメラ77が設けられている。
【0064】
図15及び図16において、複数のテープフィーダ73は基板搬送路72を挟んでY軸方向に対向する基台71の両端部のそれぞれにX軸方向に並んで設けられており、それぞれ基台71の中央部側(基板搬送路72側)の端部に設けられた部品供給口73aに部品4を連続的に供給する。
【0065】
基板搬送路72(搬入コンベア72b、位置決めコンベア72a及び搬出コンベア72c)による基板2の搬送及び位置決め動作は、基台71内に設けられた制御装置80(図17)が図示しないアクチュエータ等から成る基板搬送路駆動部81(図17)の作動制御を行うことによってなされ、各テープフィーダ73による部品供給口73aへの部品4の供給動作は、制御装置80が図示しないアクチュエータ等から成るテープフィーダ駆動部82(図17)の作動制御を行うことによってなされる。
【0066】
ロボット機構74による各装着ヘッド75の水平面内での移動動作は、制御装置80が図示しないアクチュエータ等から成るロボット機構駆動部83(図17)の作動制御(Y軸テーブル74aに対する各X軸テーブル74bのY軸方向への移動制御及び各X軸テーブル74bに対する各移動ステージ74cのX軸方向への移動制御)を行うことによってなされ、各吸着ノズル75Nの装着ヘッド75に対する昇降及び上下軸回りの回転動作は、制御装置80が図示しないアクチュエータ等から成るノズル駆動部84(図17)の作動制御を行うことによってなされる。また、各吸着ノズル75Nによる部品4の吸着及び離脱動作は、制御装置80が図示しないアクチュエータ等から成る真空圧供給部85(図17)の作動制御を行って吸着ノズル75N内に真空圧を供給し、或いは真空圧の供給を解除することによってなされる。
【0067】
基板カメラ76及び部品カメラ77による撮像動作は、制御装置80によって制御される(図17)。基板カメラ76及び部品カメラ77の撮像動作によって得られた画像データは制御装置80に取り込まれて画像認識される。なお、制御装置80は、図16及び図17に示すように、信号伝送線SCを介してホストコンピュータHCと繋がっている。
【0068】
部品装着機7が実行する部品実装工程では、制御装置80は先ず、基板搬送路72を構成する搬入コンベア72b及び位置決めコンベア72aの作動制御を行って、基板振り分け装置6を介してスクリーン印刷機5から供給される基板2を搬入し、所定の作業位置に位置決めする(図18に示すステップST21の基板搬入及び位置決め工程)。
【0069】
制御装置80は、上記ステップST21の基板搬入及び位置決め工程を行ったら、ロボット機構駆動部83の作動制御を行って基板2の上方に基板カメラ76を(装着ヘッド75を)移動させ、基板2に設けられた基板マーク(図示せず)の撮像をおこなう。そして、得られた基板マークの画像を画像認識し、基板2の正規の作業位置からの位置ずれを求める(図18に示すステップST22の基板位置ずれ検出工程)。
【0070】
制御装置80は、ステップST22で基板2の位置ずれを求めたら、ロボット機構駆動部83の作動制御を行って装着ヘッド75をテープフィーダ73の上方に移動させ、テープフィーダ73の部品供給口73aに供給された部品4を吸着ノズル75Nによって真空吸着によりピックアップする(図18に示すステップST23のピックアップ工程)。そして、ピックアップした部品4が部品カメラ77の上方を通過するように装着ヘッド75を移動させ、部品カメラ77による部品4の撮像を行って画像認識し、部品4の異常(変形や欠損など)の有無の検査を行うとともに、部品4の吸着ノズル75Nに対する位置ずれ(吸着ずれ)を求める(図18に示すステップST24の画像認識工程)。
【0071】
制御装置80はステップST24で部品4の画像認識を行ったら、装着ヘッド75を基板2の上方に移動させ、吸着ノズル75Nによりピックアップした部品4が基板2上の目標装着位置である電極3(この電極3上にはスクリーン印刷機5によってペーストPstが印刷されている)に接触させるとともに、吸着ノズル75Nへの真空圧の供給を解除して部品4を基板2に装着する(図18に示すステップST25の部品装着工程)。このとき制御装置80は、基板2の位置決め時に求めた基板2の位置ずれと、部品4の画像認識時に求めた部品4の吸着ずれが修正されるように、基板2に対する吸着ノズル75Nの位置補正(回転補正を含む)を行う。
【0072】
制御装置80は、ステップST25の部品装着工程を行ったら、現在位置決めしている基板2に対して装着すべき全ての部品4を装着したか否かの判断を行う(図18に示すステップST26の装着終了判断工程)。そして、その結果、現在位置決めしている基板2に対して装着すべき全ての部品4を装着していなかった場合にはステップST23に戻って部品4のピックアップを行い、現在位置決めしている基板2に対して装着すべき全ての部品4を装着していた場合には、位置決めコンベア72aと搬出コンベア72cを連動作動させて、現在位置決めしている基板2の部品装着機7の下流側の他の部品実装用装置(例えば、検査機やリフロー炉等)への搬出を行う(図18に示すステップST27の基板搬出工程)。
【0073】
制御装置80は、ステップST27の基板搬出工程が終了したら、まだ部品実装を行う基板2があるかどうかの判断を行い(図18に示すステップST28の基板有無判断工程)、その結果、まだ部品実装を行う基板2がある場合にはステップST21に戻って新たな基板2の搬入及び位置決めを行い、もう部品実装を行う基板2がなかった場合には、部品実装工程を終了する。
【0074】
このような構成の部品実装システム1により基板の生産を行うときは、オペレータOPは、スクリーン印刷機5が備える2つの印刷機構10のうちの一方において、これから生産しようとする基板2の種類(機種)に対応した段取り作業(初期段取り)を行う(図19に示すステップST31の初期段取り作業実行工程)。
【0075】
オペレータOPは、ステップST31の初期段取り作業実行工程が終了したら、制御装置40に繋がる前述の入出力装置51からスクリーン印刷機5に対して所定の操作を行い、現在段取り作業がなされている印刷機構10により、段取りに対応した機種の全基板2についてスクリーン印刷作業を実行させる(図19に示すステップST32のスクリーン印刷作業実行工程)。
【0076】
この印刷作業実行工程では、オペレータOPは、スクリーン印刷機5の上流側に設置された図示しない基板供給装置より、初期段取り工程を実行した側の印刷機構10に基板2が連続的に供給されるように基板供給装置の設定を行う。これによりスクリーン印刷機5は、基板供給装置より供給される基板2を印刷機構10(ステップST21で段取りがなされた印刷機構10)により搬入し、基板2にスクリーン印刷を施して下流側の基板振り分け装置6に搬出する。そして、その搬出した基板2は基板振り分け装置6を介して部品装着機7が備える2つの基板搬送路72の一方に投入され、部品装着機7は投入された基板2を位置決めして装着ヘッド75により部品4の実装を行って下流側に搬出する。
【0077】
オペレータOPは、上記ステップST32におけるスクリーン印刷作業実行工程と並行し、現在スクリーン印刷機5にスクリーン印刷作業を行わせている機種とは異なる機種(異機種)についてスクリーン印刷を実行する予定があるかどうか、すなわち機種変更する予定があるかどうかの判断を行う(図19に示すステップST33の機種変更判断工程)。そして、その結果、機種変更の予定があるときには他方の(現在スクリーン印刷を行っている側とは反対の側の)印刷機構10において段取り(スクリーン印刷機5としては段取り替え)を行う(図19に示すステップST34の段取り替え作業工程)。
【0078】
ステップST33では、機種変更する予定があるかどうかの判断を、オペレータOPが自身の記憶に基づいて行うのではなく、スクリーン印刷機5の制御装置40或いはスクリーン印刷機5に基板2を供給する前述の図示しない基板供給装置の制御装置が、予め記憶した機種変更の予定のデータ(生産データ)に基づいて機種変更の予定の有無の情報を出力装置(スクリーン印刷機5では前述の入出力装置51)に出力し、オペレータOPはその出力装置に出力された情報に基づいて機種変更する予定があるかどうかの判断を行うようにしてもよい。
【0079】
或いは、スクリーン印刷機5の制御装置40又は基板供給装置の制御装置が機種変更の予定のデータを予め記憶しておくのではなく、基板供給装置が、スクリーン印刷機5に供給しようとしている基板2に設けられたバーコード等の情報タグからその基板2の情報データを読み取り、そのデータに基づいて、その基板2の機種が現在スクリーン印刷を行っている機種と同一でないことが分かったときには、その異なる機種の基板2をスクリーン印刷機5に投入せずに所定の基板待機所に待機させたうえで、異なる機種の基板2が将来投入される予定である旨を、その機種名とともに出力装置(図示せず)に表示するようにしてもよい。
【0080】
オペレータOPは、ステップST32のスクリーン印刷作業実行工程が終了したら、ステップST33と同様、異機種についてスクリーン印刷を実行する予定があるか否かの判断を行う(図19に示すステップST35の機種変更判断工程)。この判断ステップST35の判断は、ステップST34において他方の印刷機構10において段取り替えを行ったときには、その段取り替えが終了してから行う。
【0081】
オペレータOPはステップST35で異機種についてスクリーン印刷を実行する予定がある場合には、入出力装置51からスクリーン印刷作業を実行する印刷機構10の切り替えを、それまでスクリーン印刷を行っていた側の印刷機構10から、これからスクリーン印刷を行おうとする側の(段取り替えを行った側の)印刷機構10に変更する印刷機構切り替え操作を行ったうえで(図19に示すステップST36の印刷機構切り替え工程)、入出力装置51から所定の操作を行って、段取り替えを行った側の印刷機構10の段取りに対応した機種の全基板2についてスクリーン印刷作業を実行させる(ステップST36を経過した後のステップST32のスクリーン印刷作業実行工程)。
【0082】
一方、オペレータOPは、ステップST35で異機種についてスクリーン印刷を実行する予定がない場合は、入出力装置51から所定の操作を行って、スクリーン印刷機5によるスクリーン印刷作業を終了させる。
【0083】
以上説明したように、本実施の形態における部品実装方法は、基板2に対してスクリーン印刷を行う2つの印刷機構10を備えたスクリーン印刷機5と、スクリーン印刷が施された基板2に部品4を装着する部品装着機7とを含んで構成される部品実装システム1を用い、スクリーン印刷機5により基板2にスクリーン印刷を施した後、その基板2に対して部品装着機7による部品装着を施して部品実装を行う部品実装方法であり、スクリーン印刷機5が備える2つの印刷機構10のうちの一方の印刷機構10について段取り作業を行う工程(ステップST31の初期段取り作業実行工程)と、段取り作業を行った一方の印刷機構10にスクリーン印刷作業を実行させる工程(ステップST32のスクリーン印刷作業実行工程)と、一方の印刷機構10にスクリーン印刷作業を実行させている間、他方の印刷機構10において、機種切り替えのための段取り替え作業を行う工程(ステップST34の段取り替え作業工程)と、一方の印刷機構10にスクリーン印刷作業を行わせる工程及び他方の印刷機構10において段取り替え作業を行う工程が終了した後、他方の印刷機構10に機種切り替え後の基板2についてのスクリーン印刷作業を実行させる工程(ステップST36を経過した後のステップST32のスクリーン印刷作業実行工程)を含むものとなっている。
【0084】
このように本実施の形態における部品実装方法では、部品実装システムが備えるスクリーン印刷機5は2つの印刷機構10を有し、これら2つの印刷機構10のうちの一方の印刷機構10にスクリーン印刷作業を行わせている間、他方の印刷機構10において機種切り替えのための段取り替え作業を行うようになっているので、段取り替え作業のためにスクリーン印刷機5の稼働を停止させることがない。このため段取り替え作業に伴う時間のロスがなく、基板の生産効率の低下を防止することができる。
【0085】
これまで本発明の実施の形態について説明していたが、本発明は上述の実施の形態に示したものに限定されない。例えば、スクリーン印刷機は上流側から搬入した基板に対してスクリーン印刷作業を実行して下流側に搬出する2つの印刷機構を有していればよく、印刷機構の構成は上述したものに限定されない。
【0086】
また、上述の実施の形態では、部品装着機7は基板搬送路72及び装着ヘッド75はそれぞれ2つずつ有する構成であったが、これは一例であり、基板搬送路72及び装着ヘッド75は少なくともひとつずつ有していればよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
スクリーン印刷機における段取り替え作業に伴う時間のロスが生じないようにした部品実装方法を提供する。
【符号の説明】
【0088】
1 部品実装システム
2 基板
4 部品
5 スクリーン印刷機
7 部品装着機
10 印刷機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に対してスクリーン印刷を施すスクリーン印刷機及びスクリーン印刷機によりスクリーン印刷が施された基板に部品を装着する部品装着機を含んで構成される部品実装システムを用いた部品実装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
部品実装システムは、上流側から搬入した基板に対してスクリーン印刷作業を実行して下流側に搬出する印刷機構を有したスクリーン印刷機及びスクリーン印刷機の下流側に配置され、スクリーン印刷機によりスクリーン印刷が施された基板を受け取ってその基板に部品を装着する部品装着機のほか、検査機やリフロー炉等の他の部品実装用装置を含んで構成されている。
【0003】
このような部品実装システムでは、複数の種類の基板の生産を行うことができ、基板の種類(機種)の切り替えをするときは、スクリーン印刷機についてはマスクやスキージ、制御データの変更等の諸作業から成る段取りの切り替え作業(段取り替え作業)を行う必要がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−125684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなスクリーン印刷機について機種切り替えのための段取り替え作業を行う場合には、マスクの交換作業が必要不可欠であることからスクリーン印刷機の稼働を一時的に中断せざるを得ず、したがってその下流側の部品装着機における作業も行うことができないことから時間のロスが生じ、基板の生産効率が低下してしまうという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、スクリーン印刷機における段取り替え作業に伴う時間のロスが生じないようにした部品実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の部品実装方法は、基板に対してスクリーン印刷を行う2つの印刷機構を備えたスクリーン印刷機と、スクリーン印刷が施された基板に部品を装着する部品装着機とを含んで構成される部品実装システムを用い、スクリーン印刷機により基板にスクリーン印刷を施した後、その基板に対して部品装着機による部品装着を施して部品実装を行う部品実装方法であって、スクリーン印刷機が備える2つの印刷機構のうちの一方について段取り作業を行う工程と、段取り作業を行った前記一方の印刷機構にスクリーン印刷作業を実行させる工程と、前記一方の印刷機構にスクリーン印刷作業を実行させている間、他方の印刷機構において、機種切り替えのための段取り替え作業を行う工程と、前記一方の印刷機構にスクリーン印刷作業を行わせる工程及び前記他方の印刷機構において段取り替え作業を行う工程が終了した後、前記他方の印刷機構に機種切り替え後の基板についてのスクリーン印刷作業を実行させる工程とを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、部品実装システムが備えるスクリーン印刷機は2つの印刷機構を有し、これら2つの印刷機構のうちの一方の印刷機構にスクリーン印刷作業を実行させている間、他方の印刷機構において機種切り替えのための段取り替え作業を行うようになっているので、段取り替え作業のためにスクリーン印刷機の稼働を停止させることがない。このため段取り替え作業に伴う時間のロスがなく、基板の生産効率の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態における部品実装システムの平面図
【図2】本発明の一実施の形態における部品実装システムが備えるスクリーン印刷機の側面図
【図3】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の平面図
【図4】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の正面図
【図5】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の側面図
【図6】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるマスクホルダ及びマスクの平面図
【図7】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の制御系統を示すブロック図
【図8】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備える印刷機構が実行するスクリーン印刷工程の流れを示すフローチャート
【図9】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備える印刷機構が実行するスクリーン印刷工程の実行手順を説明する図
【図10】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備える印刷機構が実行するスクリーン印刷工程の実行手順を説明する図
【図11】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備える印刷機構が実行するスクリーン印刷工程の実行手順を説明する図
【図12】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備える印刷機構が実行するスクリーン印刷工程の実行手順を説明する図
【図13】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備える印刷機構が実行するスクリーン印刷工程の実行手順を説明する図
【図14】本発明の一実施の形態における部品実装システムが備える基板振り分けコンベアの側面図
【図15】本発明の一実施の形態における部品実装システムが備える部品装着機の平面図
【図16】本発明の一実施の形態における部品装着機の側面図
【図17】本発明の一実施の形態における部品装着機の制御系統を示すブロック図
【図18】本発明の一実施の形態における部品装着機が実行する部品実装工程の流れを示すフローチャート
【図19】本発明の一実施の形態における部品装着機が備えるスクリーン印刷機の作業手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1において、本実施の形態における部品実装システム1は、基板2の表面の電極3上に部品(電子部品)4の実装を行う諸作業に関連する部品実装用作業を実行する複数台の部品実装用装置が連結されて成る。基板2は部品実装用装置が連結される水平面内方向に流れ、この方向を各部品実装用装置のX軸方向とし、X軸方向と直交する水平面内方向をY軸方向、上下方向をZ軸とする。更に、Y軸方向を各部品実装用装置の前後方向、X軸方向を横(左右)方向とし、前後方向のうち、各部品実装用装置に対してオペレータOP(図1)が作業を行う側(図1の紙面下方)を各部品実装用装置の前方、その反対側(図1の紙面上方)を後方とする。
【0011】
図1において、部品実装システム1を構成する複数台の部品実装用装置の中には、少なくともスクリーン印刷機5とその下流側(基板2の流れの下流側)に配置された基板振り分け装置6及び部品装着機7が含まれている。これらスクリーン印刷機5、基板振り分け装置6及び部品装着機7はそれぞれ信号伝送線SCによってホストコンピュータHCと繋がっている。
【0012】
図2においてスクリーン印刷機5は、上流側から投入された基板2を搬入して位置決めし、基板2の表面の電極3上に半田ペーストや導電性ペースト等のペーストPst(図4参照)を転写するスクリーン印刷を行って下流側に搬出する動作を連続実行する印刷機構10(図3)を2つY軸方向に並べた状態で備えている(図1も参照)。
【0013】
図4及び図5において、各印刷機構10は、このスクリーン印刷機5の基台11上に設けられた基板保持移動ユニット12のほか、基板保持移動ユニット12の上方に設けられた金属製の薄板材料から成るプレート状のマスク13、前後一対のスキージ14及びカメラユニット15を備えている。
【0014】
図4及び図5において、基板保持移動ユニット12は、水平移動部21、昇降部22、コンベア部23、基板支持部24及び基板クランプ部25から成る。
【0015】
図4及び図5において、水平移動部21は、Yテーブル駆動モータMyの作動によって基台11に対してY軸方向に移動するYテーブル21a、Xテーブル駆動モータMxの作動によってYテーブル21aに対してX軸方向に移動するXテーブル21b、Xテーブル21bに対してZ軸回りに回転するθテーブル21c、θテーブル21cの上面に固定されたベーステーブル21d及びベーステーブル21dの上面から上方に延びて設けられた複数の昇降テーブルガイド21eから成る。
【0016】
図4及び図5において、昇降部22は、水平移動部21の複数の昇降テーブルガイド21eにガイドされてベーステーブル21dに対して昇降する昇降テーブル22a及び昇降テーブル22aの上面から上方に延びて設けられた複数の下受けユニット昇降ガイド22bから成る。
【0017】
図4及び図5において、コンベア部23は下受けユニット昇降ガイド22bの上端に取り付けられて昇降テーブル22aとともにベーステーブル21dに対して昇降する前後一対のベルトコンベア支持部材23aと、各ベルトコンベア支持部材23aに支持された前後一対のベルトコンベア23bから成っており、これら前後のベルトコンベア23bが同期して作動することにより、基板2のX軸方向への搬送がなされる。
【0018】
図4及び図5において、基板支持部24は、コンベア部23の下方において、下受けユニット昇降ガイド22bにガイドされて昇降する下受けユニット支持テーブル24a及び下受けユニット支持テーブル24aの上面に設けられた下受けユニット24bから成り、下受けユニット24bの上面には複数の下受けピン24cが上方に延びて設けられている。基板支持部24は、下受けユニット24bが下受けユニット支持テーブル24aとともに昇降テーブル22aに対して昇降し、複数の下受けピン24cを前後のベルトコンベア23bによって両端が支持された基板2の下面に当接させることによって基板2を下方から支持する。
【0019】
図4及び図5において、基板クランプ部25は、コンベア部23が備える前後のベルトコンベア支持部材23aそれぞれの上部にY軸方向に移動自在に設けられた前後一対のクランプ部材25a(図3も参照)から成り、前後のベルトコンベア23bによって両端部が支持され、下受けユニット24bによって下面が支持された基板2のY軸方向の両側部(両端面)を基板2の外方から挟んでクランプする。
【0020】
図3及び図4において、基板保持移動ユニット12を構成するコンベア部23の上流側には前後一対のベルトコンベア26aから成る基板搬入コンベア26が設けられており、コンベア部23の下流側には前後一対のベルトコンベア27aから成る基板搬出コンベア27が設けられている。基板搬入コンベア26は、スクリーン印刷機5の外部(上流側)から投入された基板2を搬入して基板保持移動ユニット12のコンベア部23に受け渡し、基板搬出コンベア27は、基板保持移動ユニット12のコンベア部23から受け渡された基板2をスクリーン印刷機5の外部に搬出する。このように、基板搬入コンベア26、基板保持移動ユニット12のコンベア部23及び基板搬出コンベア27は基板2の搬送を行う基板搬送路28(図3)として機能する。
【0021】
図3及び図4において、基台11上には基板搬入コンベア26及び基板搬出コンベア27をそれぞれY軸方向に跨ぐ一対の門型フレーム31が設けられており、これら一対の門型フレーム31によってマスクホルダ32が支持されている。
【0022】
図3及び図6において、マスクホルダ32は、門型フレーム31に両端が取り付けられて基板保持移動ユニット12の上方をX軸方向に延びて配置された前後一対のガイド部材33と、一対のガイド部材33上をY軸方向に延びて設けられた左右一対のマスク支持レール34とから成る。マスク13はマスクホルダ32が備える左右一対のマスク支持レール34によって左右両端が支持されて基板保持移動ユニット12の上方に水平姿勢に保持される(図4及び図5参照)。
【0023】
図3及び図6において、マスク13は平面視において矩形の枠状部材から成るマスク枠13wによって四辺が支持されており、マスク枠13wによって囲まれた矩形の領域には、基板2上の複数の電極3に対応した多数のパターン孔13aが設けられている。すなわちマスク13は、基板2の電極3の配置に応じて形成された多数のパターン孔13aを有したものとなっている。
【0024】
図3において、基板2の対角位置には2つ一組の基板側位置決め用マークmkが設けられている。一方、図6において、マスク13には、基板側位置決め用マークmkに対応して配置された2つ一組のマスク側位置決め用マークMKが設けられている。これら基板側位置決め用マークmkとマスク側位置決め用マークMKが上下に合致する状態で基板2をマスク13に接触させると、基板2の電極3とマスク13のパターン孔13aは上下に合致した状態となる。
【0025】
図3及び図4において、一対の門型フレーム31には、X軸方向に延びたX軸ステージ35の両端部がY軸方向にスライド自在に支持されている。X軸ステージ35上にはカメラ支持ステージ36がX軸方向に移動自在に設けられており、カメラ支持ステージ36には前述のカメラユニット15が取り付けられている。カメラユニット15は、撮像視野を下方に向けた第1カメラ15aと撮像視野を上方に向けた第2カメラ15bを備えている(図5)。
【0026】
図3及び図4において、一対の門型フレーム31にはX軸方向に延びたスキージベース37の両端が支持されており、スキージベース37は門型フレーム31に沿ってY軸方向に往復移動自在となっている。
【0027】
図4及び図5において、スキージベース37の上面中央部のY軸方向に対向する位置には2つのスキージ昇降シリンダ38が設けられている。これら2つのスキージ昇降シリンダ38からはそのピストンロッドから成るスキージ昇降軸38aがスキージベース37を上下方向に貫通して下方に延びている。
【0028】
図4及び図5において、各スキージ昇降シリンダ38が備えるスキージ昇降軸38aの下端にはX軸方向に延びたスキージホルダ39が取り付けられており、各スキージホルダ39には前述のスキージ14が保持されている。各スキージ14は、スキージホルダ39に沿ってX軸方向に延びた「へら」状の部材から成る。
【0029】
各スキージ昇降シリンダ38によりスキージ昇降軸38aが下方に突没されると、スキージ昇降軸38aの下端にスキージホルダ39を介して取り付けられたスキージ14がスキージベース37に対して昇降する。ここで、マスク13とスキージベース37の上下方向の間隔は変化しないので、スキージ14はマスク13に対して昇降することになる。
【0030】
基板2の搬送を行う基板搬送路28としての基板搬入コンベア26、基板保持移動ユニット12のコンベア部23及び基板搬出コンベア27の各動作は、基台11内に設けられた制御装置40(図7)が図示しないアクチュエータ等から成る基板搬送路作動機構41(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
【0031】
基板保持移動ユニット12の水平移動部21の作動(Yテーブル21aのY軸方向への移動、Yテーブル21aに対するXテーブル21bのX軸方向への移動及びXテーブル21bに対するθテーブル21cの(すなわちベーステーブル21dの)Z軸回りの回転)は、制御装置40が前述のYテーブル駆動モータMyやXテーブル駆動モータMxを含むアクチュエータ等から成る水平面内方向移動機構42(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
【0032】
基板保持移動ユニット12の昇降部22の作動(ベーステーブル21dに対する昇降テーブル22aの昇降)動作は、制御装置40が図示しないアクチュエータ等から成る上下方向移動機構43(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
【0033】
基板保持移動ユニット12の下受けユニット24bの昇降動作、すなわち昇降テーブル22aに対する下受けユニット支持テーブル24aの昇降動作は、制御装置40が図示しないアクチュエータ等から成る下受けユニット昇降機構44(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
【0034】
基板保持移動ユニット12の基板クランプ部25の作動(前後のクランプ部材25aの開閉作動)による基板2のクランプ及びその解除動作は、制御装置40が図示しないアクチュエータ等から成るクランプ部作動機構45(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
【0035】
カメラユニット15の水平面内での移動動作(一対の門型フレーム31に対するX軸ステージ35のY軸方向への移動動作及びX軸ステージ35に対するカメラ支持ステージ36のX軸方向への移動動作)は、制御装置40が図示しないアクチュエータから成るカメラユニット移動機構46(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
【0036】
前後のスキージ14をY軸方向に往復移動させるスキージベース37の作動制御は、制御装置40が図示しないアクチュエータ等から成るスキージベース移動機構47(図7)の制御を行うことによってなされる。また、各スキージ14のスキージベース37に対する昇降動作は、制御装置40がスキージベース37の上部に取り付けられた2つのスキージ昇降シリンダ38の作動制御を行うことによってなされる。
【0037】
カメラユニット15を構成する第1カメラ15aは、制御装置40に制御されて、基板保持移動ユニット12の基板支持部24及び基板クランプ部25から成る基板保持部によって保持された基板2の基板側位置決め用マークmkの撮像を行い、第2カメラ15bは、制御装置40に制御されて、マスク13に設けられたマスク側位置決め用マークMKの撮像を行う。第1カメラ15aの撮像によって得られた画像データと第2カメラ15bの撮像によって得られた画像データはともに制御装置40に入力される(図7)。
【0038】
図7に示すように、制御装置40には入出力装置51が設けられており、オペレータOPは、この入出力装置51から所定の操作を行うことにより、スクリーン印刷機5によるスクリーン印刷動作、例えば、2つの印刷機構10のうちの一方を選択してスクリーン印刷作業を行わせる操作や、実行中のスクリーン印刷作業を停止させる操作等を行うことができるようになっている。なお、制御装置40は、図1及び図2に示すように、信号伝送線SCを介してホストコンピュータHCと繋がっている。
【0039】
次に、図8のフローチャート及び図9〜図13の説明図を加えてスクリーン印刷機5が備える印刷機構10によるスクリーン印刷作業の実行手順を説明する。
【0040】
スクリーン印刷機5の制御装置40は、印刷機構10によりスクリーン印刷作業を行う場合、先ず、その印刷機構10が備える基板搬入コンベア26とコンベア部23を連動作動させ、スクリーン印刷機5の上流側に設置された他の装置から送られてきた基板2を印刷機構10内に搬入したうえで、基板2をコンベア部23上の所定の作業位置に静止させる(図9(a)。図8に示すステップST1の基板搬入工程)。
【0041】
制御装置40は、ステップST1の基板搬入工程が終了したら、前後のクランプ部材25aを閉作動させて、コンベア部23上の基板2をY軸方向からクランプする(図9(b)。図中に示す矢印A1)。そして、昇降テーブル22aをベーステーブル21dに対する下降位置に位置させたまま、下受けユニット24bを上昇させる(図9(c)中に示す矢印B1)。
【0042】
制御装置40は、下受けユニット24bを上昇させることによって、下受けユニット24bの下受けピン24cを基板2の中央部の下面に下方から当接させて基板2を上方に押し上げ、基板2の両端部を前後のベルトコンベア23bから上方に離間させ、かつ、基板2の両端部(両側面)を前後のクランプ部材25aに対して摺動させながら基板2を上方に移動させる。そして、基板2の上面の高さがクランプ部材25aの上面と同じ高さとなったところで下受けユニット24bの上昇を停止させる。これにより基板2は基板保持部(基板支持部24及び基板クランプ部25)によって保持された状態となる(図9(c)。図8に示すステップST2の基板保持工程)。
【0043】
制御装置40は、ステップST2の基板保持工程が終了したら、カメラユニット移動機構46の作動制御を行い、X軸ステージ35をY軸方向に移動させるとともに、カメラ支持ステージ36をX軸方向に移動させることによって、第1カメラ15aを基板2に設けられた基板側位置決め用マークmkの直上に位置させる。そして、第1カメラ15aに基板側位置決め用マークmkの撮像を行わせてその画像データを取得し、基板2の位置を検出する(図10(a)。図8に示すステップST3の基板位置検出工程)。また制御装置40は、第2カメラ15bをマスク13に設けられたマスク側位置決め用マークMKの直下に位置させ、第2カメラ15bにマスク側位置決め用マークMKの撮像を行わせることによってその画像データを取得し、マスク13の位置を検出する(図10(b)。図8に示すステップST4のマスク位置検出工程)。
【0044】
制御装置40は、ステップST4のマスク位置検出工程が終了したら、基板保持移動ユニット12が備える水平移動部21の作動制御を行って基板保持部(基板支持部24及び基板クランプ部25)により保持した基板2を水平面内方向に移動させ、基板側位置決め用マークmkとマスク側位置決め用マークMKが上下に対向するようにして、マスク13に対する基板2の水平面内方向の位置決めを行う(図8に示すステップST5の位置決め工程)。
【0045】
制御装置40は、ステップST5の位置決め工程が終了したら、昇降テーブル22aをベーステーブル21dに対して上昇させることにより(図10(c)中に示す矢印C1)、基板2の上面(被印刷面)をマスク13の下面に接触させる(図10(c)。図8に示すステップST6の接触工程)。これにより基板2の電極3とマスク13のパターン孔13aは上下に合致し、基板2はスキージ14によるペーストPstの転写作業が行われる位置に位置した状態となる。
【0046】
制御装置40は、ステップST6で基板2をマスク13に接触させたら、スクリーン印刷機5の動作を一時中断したうえで、このスクリーン印刷機5が備える前述の入出力装置51を介した画像表示等により、オペレータOPにペーストPstの供給を促す。オペレータOPは、現在マスク13上に残っているペーストPstを目視し、そのペーストPstの量に基づいてペーストPstの供給(補充)を行うべきかどうかの判断を行う。そして、ペーストPstの供給を行うべきと判断したときには、別途用意したペースト供給シリンジ52(図11(a))により、マスク13上へのペーストPstの供給を行い(図11(a))、ペーストPstの供給が終わったら、入出力装置51から動作再開操作を行う。オペレータOPは、ペーストPstの供給が不要と判断した場合においても、入出力装置51から動作再開操作を行う。
【0047】
制御装置40はステップST6の後、入出力装置51から動作再開操作信号が出力されたか否かに基づいて、オペレータOPによって動作再開操作がなされたことの検知待ちに入る(図8に示すステップST7の動作再開操作検知待ち工程)。そして、制御装置40は、オペレータOPによって動作再開操作がなされたことを検知したときにはスクリーン印刷機5の動作中断を解除し、2つのスキージ14のうちの一方のスキージ14を下降させて、そのスキージ14の下端を基板2に接触されているマスク13に上方から当接させる(図11(b)。図7示すステップST8のスキージ当接工程)。
【0048】
なお、このときマスク13に当接させるスキージ14は、スキージベース37が前方のクランプ部材25aの上方に位置しているときには(図11(a))、前方のスキージ14(図11(a),(b)における紙面左側のスキージ14)であり、スキージベース37が後方のクランプ部材25aの上方に位置しているときには、後方のスキージ14(図11(a),(b)における紙面右側のスキージ14)である。
【0049】
制御装置40は、スキージ14をマスク13の上面に当接させたら、そのスキージ14がペースト掻き寄せ方向に移動するようにスキージベース37を移動させる。ここで、マスク13に当接させたスキージ14が前方のスキージ14であればスキージベース37は後方に移動され(図12(a)中に示す矢印D1)、マスク13に当接させたスキージ14が後方のスキージ14であればスキージベース37は前方に移動される(図12(b)中に示す矢印D2)。
【0050】
これによりスキージ14はマスク13に対して相対移動(摺動)し、マスク13上のペーストPstはスキージ14のペースト掻き寄せ面で掻き寄せられてマスク13のパターン孔13a内に押し込まれるので、基板2の電極3上にペーストPstが転写された状態となる(図8に示すステップST9のペースト転写工程)。
【0051】
制御装置40は、メインルーチンのステップST9のペースト転写工程が終了したら、スキージ14を上昇させて、スキージ14をマスク13から離間させる(図8に示すステップST10のスキージ離間工程)。
【0052】
制御装置40は、ステップST10のスキージ離間工程が終了したら、昇降テーブル22aをベーステーブル21dに対して下降させ(図13(a)中に示す矢印C2)、マスク13から基板2を離間させる(図13(a))。これにより版離れが行われる(図8に示すステップST11の版離れ工程)。
【0053】
制御装置40は、ステップST11の版離れ工程が終了したら、クランプ部材25aを作動させて基板2のクランプを解除したうえで(図13(b)中に示す矢印A2)、下受けユニット24bを昇降テーブル22aに対して下降させる(図13(c)中に示す矢印B2)。これにより基板2はコンベア部23上に降ろされて基板保持部(基板支持部24及び基板クランプ部25)による基板2の保持が解除される(図13(c)。図8に示すステップST12の基板保持解除工程)。
【0054】
制御装置40は、ステップST12の基板保持解除工程が終了したら、基板保持移動ユニット12が備える水平移動部21を作動させ、基板搬出コンベア27に対するコンベア部23の位置調整を行ったうえで、コンベア部23と基板搬出コンベア27を連動作動させ、コンベア部23上の基板2を基板搬出コンベア27に受け渡してそのまま基板2をスクリーン印刷機5の外部に搬出する(図8に示すステップST13の基板搬出工程)。
【0055】
制御装置40は、ステップST13の基板搬出工程が終了したら、他にスクリーン印刷を施す基板2があるかどうかの判断を行う(図8に示すステップST14の基板有無判断工程)。その結果、他にスクリーン印刷を施す基板2があった場合にはステップST1に戻って新たな基板2の搬入を行い、他にスクリーン印刷を施す基板2がなかった場合には一連のスクリーン印刷作業を終了する。
【0056】
スクリーン印刷機5から搬出された基板2は、スクリーン印刷機5の下流側に位置する基板振り分け装置6に受け渡される。
【0057】
図14において、基板振り分け装置6は、スクリーン印刷機5の下流側に設置された基台61と、基台61上をY軸方向に移動自在に設けられたコンベア装置62から成る。コンベア装置62には一対のベルトコンベア63が設けられている。
【0058】
基台61に対するコンベア装置62のY軸方向への移動動作は、基台61内に設けられた制御装置64(図14)が図示しないコンベア装置移動機構65(図14)の作動制御を行うことによってなされる。また、ベルトコンベア63による基板2の搬送動作は、制御装置64が図示しないアクチュエータ等から成るコンベア作動機構66(図14)の作動制御を行うことによってなされる。
【0059】
スクリーン印刷機5の制御装置40は、2つの印刷機構10の一方からスクリーン印刷作業を終えた基板2を搬出するときは、その情報を信号伝送線SC経由でホストコンピュータHCに送信し、ホストコンピュータHCは、その基板2の搬出情報を基板振り分け装置6の制御装置64に送信する。ホストコンピュータHCから基板2の搬出情報を受け取った基板振り分け装置6の制御装置64は、コンベア装置移動機構65の作動制御を行ってコンベア装置62をY軸方向に移動させるとともに、コンベア作動機構66の作動制御を行ってベルトコンベア63を作動させることにより、スクリーン印刷機5から搬出された基板2を受け取り、その受け取った基板2を下流側に設置された部品装着機7に受け渡す。
【0060】
図15及び図16において、部品装着機7は、基台71上に基板2の搬送及び位置決めを行う基板搬送路72、部品4を供給する部品供給手段としての複数のテープフィーダ73、ロボット機構74により水平面内方向に移動され、基板搬送路72により位置決めされた基板2にテープフィーダ73よりピックアップした部品4の装着を行う2つの装着ヘッド75を備えている。
【0061】
図15において、基板搬送路72は、基台71の中央部に設けられて基板2を所定の作業位置(図15に示す位置)に位置決めする位置決めコンベア72aのほか、上流側及び下流側に隣接する他の部品装着機7との間で基板2の受け渡し用に用いる搬入コンベア72bと搬出コンベア72cを備えている。
【0062】
図15及び図16において、ロボット機構74は、X軸方向に対向する基台71の両端部の一端側において、基板搬送路72を跨ぐようにY軸方向に延びて設けられたビーム状のY軸テーブル74a、Y軸テーブル74aに一端が支持されてX軸方向に延び、Y軸テーブル74aに沿って移動自在に設けられた2つのビーム状のX軸テーブル74b及び各X軸テーブル74b上をX軸方向に移動自在に設けられた2つのプレート状の移動ステージ74cから成り、2つの移動ステージ74cのそれぞれには、下方に延びた複数の吸着ノズル75N(図16)が昇降及び上下軸(Z軸)回り回転自在に設けられた前述の装着ヘッド75がひとつずつ取り付けられている。
【0063】
図15及び図16において、ロボット機構74が備える2つの移動ステージ74cのそれぞれには、撮像視野を下方に向けた基板カメラ76が設けられており、基板搬送路72を挟んでY軸方向に対向する基台71上の両領域のそれぞれには、撮像視野を上方に向けた部品カメラ77が設けられている。
【0064】
図15及び図16において、複数のテープフィーダ73は基板搬送路72を挟んでY軸方向に対向する基台71の両端部のそれぞれにX軸方向に並んで設けられており、それぞれ基台71の中央部側(基板搬送路72側)の端部に設けられた部品供給口73aに部品4を連続的に供給する。
【0065】
基板搬送路72(搬入コンベア72b、位置決めコンベア72a及び搬出コンベア72c)による基板2の搬送及び位置決め動作は、基台71内に設けられた制御装置80(図17)が図示しないアクチュエータ等から成る基板搬送路駆動部81(図17)の作動制御を行うことによってなされ、各テープフィーダ73による部品供給口73aへの部品4の供給動作は、制御装置80が図示しないアクチュエータ等から成るテープフィーダ駆動部82(図17)の作動制御を行うことによってなされる。
【0066】
ロボット機構74による各装着ヘッド75の水平面内での移動動作は、制御装置80が図示しないアクチュエータ等から成るロボット機構駆動部83(図17)の作動制御(Y軸テーブル74aに対する各X軸テーブル74bのY軸方向への移動制御及び各X軸テーブル74bに対する各移動ステージ74cのX軸方向への移動制御)を行うことによってなされ、各吸着ノズル75Nの装着ヘッド75に対する昇降及び上下軸回りの回転動作は、制御装置80が図示しないアクチュエータ等から成るノズル駆動部84(図17)の作動制御を行うことによってなされる。また、各吸着ノズル75Nによる部品4の吸着及び離脱動作は、制御装置80が図示しないアクチュエータ等から成る真空圧供給部85(図17)の作動制御を行って吸着ノズル75N内に真空圧を供給し、或いは真空圧の供給を解除することによってなされる。
【0067】
基板カメラ76及び部品カメラ77による撮像動作は、制御装置80によって制御される(図17)。基板カメラ76及び部品カメラ77の撮像動作によって得られた画像データは制御装置80に取り込まれて画像認識される。なお、制御装置80は、図16及び図17に示すように、信号伝送線SCを介してホストコンピュータHCと繋がっている。
【0068】
部品装着機7が実行する部品実装工程では、制御装置80は先ず、基板搬送路72を構成する搬入コンベア72b及び位置決めコンベア72aの作動制御を行って、基板振り分け装置6を介してスクリーン印刷機5から供給される基板2を搬入し、所定の作業位置に位置決めする(図18に示すステップST21の基板搬入及び位置決め工程)。
【0069】
制御装置80は、上記ステップST21の基板搬入及び位置決め工程を行ったら、ロボット機構駆動部83の作動制御を行って基板2の上方に基板カメラ76を(装着ヘッド75を)移動させ、基板2に設けられた基板マーク(図示せず)の撮像をおこなう。そして、得られた基板マークの画像を画像認識し、基板2の正規の作業位置からの位置ずれを求める(図18に示すステップST22の基板位置ずれ検出工程)。
【0070】
制御装置80は、ステップST22で基板2の位置ずれを求めたら、ロボット機構駆動部83の作動制御を行って装着ヘッド75をテープフィーダ73の上方に移動させ、テープフィーダ73の部品供給口73aに供給された部品4を吸着ノズル75Nによって真空吸着によりピックアップする(図18に示すステップST23のピックアップ工程)。そして、ピックアップした部品4が部品カメラ77の上方を通過するように装着ヘッド75を移動させ、部品カメラ77による部品4の撮像を行って画像認識し、部品4の異常(変形や欠損など)の有無の検査を行うとともに、部品4の吸着ノズル75Nに対する位置ずれ(吸着ずれ)を求める(図18に示すステップST24の画像認識工程)。
【0071】
制御装置80はステップST24で部品4の画像認識を行ったら、装着ヘッド75を基板2の上方に移動させ、吸着ノズル75Nによりピックアップした部品4が基板2上の目標装着位置である電極3(この電極3上にはスクリーン印刷機5によってペーストPstが印刷されている)に接触させるとともに、吸着ノズル75Nへの真空圧の供給を解除して部品4を基板2に装着する(図18に示すステップST25の部品装着工程)。このとき制御装置80は、基板2の位置決め時に求めた基板2の位置ずれと、部品4の画像認識時に求めた部品4の吸着ずれが修正されるように、基板2に対する吸着ノズル75Nの位置補正(回転補正を含む)を行う。
【0072】
制御装置80は、ステップST25の部品装着工程を行ったら、現在位置決めしている基板2に対して装着すべき全ての部品4を装着したか否かの判断を行う(図18に示すステップST26の装着終了判断工程)。そして、その結果、現在位置決めしている基板2に対して装着すべき全ての部品4を装着していなかった場合にはステップST23に戻って部品4のピックアップを行い、現在位置決めしている基板2に対して装着すべき全ての部品4を装着していた場合には、位置決めコンベア72aと搬出コンベア72cを連動作動させて、現在位置決めしている基板2の部品装着機7の下流側の他の部品実装用装置(例えば、検査機やリフロー炉等)への搬出を行う(図18に示すステップST27の基板搬出工程)。
【0073】
制御装置80は、ステップST27の基板搬出工程が終了したら、まだ部品実装を行う基板2があるかどうかの判断を行い(図18に示すステップST28の基板有無判断工程)、その結果、まだ部品実装を行う基板2がある場合にはステップST21に戻って新たな基板2の搬入及び位置決めを行い、もう部品実装を行う基板2がなかった場合には、部品実装工程を終了する。
【0074】
このような構成の部品実装システム1により基板の生産を行うときは、オペレータOPは、スクリーン印刷機5が備える2つの印刷機構10のうちの一方において、これから生産しようとする基板2の種類(機種)に対応した段取り作業(初期段取り)を行う(図19に示すステップST31の初期段取り作業実行工程)。
【0075】
オペレータOPは、ステップST31の初期段取り作業実行工程が終了したら、制御装置40に繋がる前述の入出力装置51からスクリーン印刷機5に対して所定の操作を行い、現在段取り作業がなされている印刷機構10により、段取りに対応した機種の全基板2についてスクリーン印刷作業を実行させる(図19に示すステップST32のスクリーン印刷作業実行工程)。
【0076】
この印刷作業実行工程では、オペレータOPは、スクリーン印刷機5の上流側に設置された図示しない基板供給装置より、初期段取り工程を実行した側の印刷機構10に基板2が連続的に供給されるように基板供給装置の設定を行う。これによりスクリーン印刷機5は、基板供給装置より供給される基板2を印刷機構10(ステップST21で段取りがなされた印刷機構10)により搬入し、基板2にスクリーン印刷を施して下流側の基板振り分け装置6に搬出する。そして、その搬出した基板2は基板振り分け装置6を介して部品装着機7が備える2つの基板搬送路72の一方に投入され、部品装着機7は投入された基板2を位置決めして装着ヘッド75により部品4の実装を行って下流側に搬出する。
【0077】
オペレータOPは、上記ステップST32におけるスクリーン印刷作業実行工程と並行し、現在スクリーン印刷機5にスクリーン印刷作業を行わせている機種とは異なる機種(異機種)についてスクリーン印刷を実行する予定があるかどうか、すなわち機種変更する予定があるかどうかの判断を行う(図19に示すステップST33の機種変更判断工程)。そして、その結果、機種変更の予定があるときには他方の(現在スクリーン印刷を行っている側とは反対の側の)印刷機構10において段取り(スクリーン印刷機5としては段取り替え)を行う(図19に示すステップST34の段取り替え作業工程)。
【0078】
ステップST33では、機種変更する予定があるかどうかの判断を、オペレータOPが自身の記憶に基づいて行うのではなく、スクリーン印刷機5の制御装置40或いはスクリーン印刷機5に基板2を供給する前述の図示しない基板供給装置の制御装置が、予め記憶した機種変更の予定のデータ(生産データ)に基づいて機種変更の予定の有無の情報を出力装置(スクリーン印刷機5では前述の入出力装置51)に出力し、オペレータOPはその出力装置に出力された情報に基づいて機種変更する予定があるかどうかの判断を行うようにしてもよい。
【0079】
或いは、スクリーン印刷機5の制御装置40又は基板供給装置の制御装置が機種変更の予定のデータを予め記憶しておくのではなく、基板供給装置が、スクリーン印刷機5に供給しようとしている基板2に設けられたバーコード等の情報タグからその基板2の情報データを読み取り、そのデータに基づいて、その基板2の機種が現在スクリーン印刷を行っている機種と同一でないことが分かったときには、その異なる機種の基板2をスクリーン印刷機5に投入せずに所定の基板待機所に待機させたうえで、異なる機種の基板2が将来投入される予定である旨を、その機種名とともに出力装置(図示せず)に表示するようにしてもよい。
【0080】
オペレータOPは、ステップST32のスクリーン印刷作業実行工程が終了したら、ステップST33と同様、異機種についてスクリーン印刷を実行する予定があるか否かの判断を行う(図19に示すステップST35の機種変更判断工程)。この判断ステップST35の判断は、ステップST34において他方の印刷機構10において段取り替えを行ったときには、その段取り替えが終了してから行う。
【0081】
オペレータOPはステップST35で異機種についてスクリーン印刷を実行する予定がある場合には、入出力装置51からスクリーン印刷作業を実行する印刷機構10の切り替えを、それまでスクリーン印刷を行っていた側の印刷機構10から、これからスクリーン印刷を行おうとする側の(段取り替えを行った側の)印刷機構10に変更する印刷機構切り替え操作を行ったうえで(図19に示すステップST36の印刷機構切り替え工程)、入出力装置51から所定の操作を行って、段取り替えを行った側の印刷機構10の段取りに対応した機種の全基板2についてスクリーン印刷作業を実行させる(ステップST36を経過した後のステップST32のスクリーン印刷作業実行工程)。
【0082】
一方、オペレータOPは、ステップST35で異機種についてスクリーン印刷を実行する予定がない場合は、入出力装置51から所定の操作を行って、スクリーン印刷機5によるスクリーン印刷作業を終了させる。
【0083】
以上説明したように、本実施の形態における部品実装方法は、基板2に対してスクリーン印刷を行う2つの印刷機構10を備えたスクリーン印刷機5と、スクリーン印刷が施された基板2に部品4を装着する部品装着機7とを含んで構成される部品実装システム1を用い、スクリーン印刷機5により基板2にスクリーン印刷を施した後、その基板2に対して部品装着機7による部品装着を施して部品実装を行う部品実装方法であり、スクリーン印刷機5が備える2つの印刷機構10のうちの一方の印刷機構10について段取り作業を行う工程(ステップST31の初期段取り作業実行工程)と、段取り作業を行った一方の印刷機構10にスクリーン印刷作業を実行させる工程(ステップST32のスクリーン印刷作業実行工程)と、一方の印刷機構10にスクリーン印刷作業を実行させている間、他方の印刷機構10において、機種切り替えのための段取り替え作業を行う工程(ステップST34の段取り替え作業工程)と、一方の印刷機構10にスクリーン印刷作業を行わせる工程及び他方の印刷機構10において段取り替え作業を行う工程が終了した後、他方の印刷機構10に機種切り替え後の基板2についてのスクリーン印刷作業を実行させる工程(ステップST36を経過した後のステップST32のスクリーン印刷作業実行工程)を含むものとなっている。
【0084】
このように本実施の形態における部品実装方法では、部品実装システムが備えるスクリーン印刷機5は2つの印刷機構10を有し、これら2つの印刷機構10のうちの一方の印刷機構10にスクリーン印刷作業を行わせている間、他方の印刷機構10において機種切り替えのための段取り替え作業を行うようになっているので、段取り替え作業のためにスクリーン印刷機5の稼働を停止させることがない。このため段取り替え作業に伴う時間のロスがなく、基板の生産効率の低下を防止することができる。
【0085】
これまで本発明の実施の形態について説明していたが、本発明は上述の実施の形態に示したものに限定されない。例えば、スクリーン印刷機は上流側から搬入した基板に対してスクリーン印刷作業を実行して下流側に搬出する2つの印刷機構を有していればよく、印刷機構の構成は上述したものに限定されない。
【0086】
また、上述の実施の形態では、部品装着機7は基板搬送路72及び装着ヘッド75はそれぞれ2つずつ有する構成であったが、これは一例であり、基板搬送路72及び装着ヘッド75は少なくともひとつずつ有していればよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
スクリーン印刷機における段取り替え作業に伴う時間のロスが生じないようにした部品実装方法を提供する。
【符号の説明】
【0088】
1 部品実装システム
2 基板
4 部品
5 スクリーン印刷機
7 部品装着機
10 印刷機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対してスクリーン印刷を行う2つの印刷機構を備えたスクリーン印刷機と、スクリーン印刷が施された基板に部品を装着する部品装着機とを含んで構成される部品実装システムを用い、スクリーン印刷機により基板にスクリーン印刷を施した後、その基板に対して部品装着機による部品装着を施して部品実装を行う部品実装方法であって、
スクリーン印刷機が備える2つの印刷機構のうちの一方について段取り作業を行う工程と、
段取り作業を行った前記一方の印刷機構にスクリーン印刷作業を実行させる工程と、
前記一方の印刷機構にスクリーン印刷作業を実行させている間、他方の印刷機構において、機種切り替えのための段取り替え作業を行う工程と、
前記一方の印刷機構にスクリーン印刷作業を行わせる工程及び前記他方の印刷機構において段取り替え作業を行う工程が終了した後、前記他方の印刷機構に機種切り替え後の基板についてのスクリーン印刷作業を実行させる工程とを含むことを特徴とする部品実装方法。
【請求項1】
基板に対してスクリーン印刷を行う2つの印刷機構を備えたスクリーン印刷機と、スクリーン印刷が施された基板に部品を装着する部品装着機とを含んで構成される部品実装システムを用い、スクリーン印刷機により基板にスクリーン印刷を施した後、その基板に対して部品装着機による部品装着を施して部品実装を行う部品実装方法であって、
スクリーン印刷機が備える2つの印刷機構のうちの一方について段取り作業を行う工程と、
段取り作業を行った前記一方の印刷機構にスクリーン印刷作業を実行させる工程と、
前記一方の印刷機構にスクリーン印刷作業を実行させている間、他方の印刷機構において、機種切り替えのための段取り替え作業を行う工程と、
前記一方の印刷機構にスクリーン印刷作業を行わせる工程及び前記他方の印刷機構において段取り替え作業を行う工程が終了した後、前記他方の印刷機構に機種切り替え後の基板についてのスクリーン印刷作業を実行させる工程とを含むことを特徴とする部品実装方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−74431(P2012−74431A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216451(P2010−216451)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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