説明

部品実装装置および部品実装装置におけるツール配列データ作成方法

【課題】ツールストッカにおけるツール配列データの作成に際し、作業者への負荷を減少させるとともに、ツール配列データの正確さを確保することができる部品実装装置および部品実装装置におけるツール配列データ作成方法を提供する。
【解決手段】部品実装装置において複数の部品保持ノズル71などの作業ツールを収納するツールストッカの上方にカメラ21やカラーセンサ25を位置させ、作業ツールの上面に形成された識別マークとしての形状マークM1や色彩マークM2を光学的に検出して作業ツールの種類を識別し、この識別結果に基づいて当該ツールストッカにおける作業ツールの配列を示すツール配列データをツール配列データ作成部によって自動的に作成する。これにより、ツールストッカにおけるツール配列データの作成に際し作業者への負荷を減少させるとともに、ツール配列データの正確さを確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品供給部から半導体チップなどの部品を取り出して基板に実装する部品実装装置およびこの部品実装装置においてツールストッカにおける作業ツールの配列状態を示すツール配列データを作成するツール配列データ作成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体チップなどの部品は部品供給ステージから取り出され、リードフレームや樹脂基板などの基板に実装される。このような部品の実装の形態には、部品の搭載姿勢や部品を基板に接合する方法、さらには部品の特性によって要求される実装精度などの相違によって多様なバリエーションがある。このため部品を部品供給ステージから取り出して基板に実装する実装作業を実行する部品実装装置には、実装形態に応じて異なった機能が求められる。
【0003】
このため、このような実装形態の異なる複数種類の部品を対象とする場合には、各実装形態に対応した機能を有する作業ヘッドを備えた部品実装装置が用いられ、各作業ヘッドには作業や部品種類に応じた作業ツールが交換自在に装着される。このような作業ツールは、装置内において作業ヘッドがアクセス可能な位置に配置されたツールストッカに複数の部品種に対応して収納される(特許文献1参照)。そして部品種が切り替えられる度に、作業ヘッドはツールストッカにアクセスし、ここで作業ヘッドがツール交換動作を行うことにより、作業ヘッドには部品種に応じた作業ツールが装着される。
【0004】
このツール交換動作に際しては、ツールストッカにおける作業ツールの配列状態が特定されている必要があることから、ツールストッカを備えた部品実装装置においては、作業ツールの配列を示すツール配列データが予め作成される。このツール配列データは、従来より作業者がツールストッカに設けられた収納凹部に作業ツールを収納する作業を行う際に、操作パネルから作業ツールの種類を示すデータを収納凹部の番地に対応させて入力するいわゆるティーチングを行うことにより作成されていた。
【特許文献1】特開平4−188742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年電子機器製造分野においては広い範囲の部品種を作業対象とすることができるよう生産設備の汎用性の向上が求められており、単一の装置においてツールストッカが収納して常備すべき作業ツールの個数も増大している。このため、上述例のように作業者が作業ツールを収納する作業を行う際に作業ツールの種類を入力するティーチングを行う方式を採用すると、作業者への負荷が増大するとともに、入力時の人為ミスによって不正確なツール配列データが作成されるおそれが排除できない。このように、従来の部品実装装置においては、ツールストッカにおけるツール配列データの作成に際し、作業者への負荷を減少させるとともに、ツール配列データの正確さを確保することが困難であるという課題があった。
【0006】
そこで本発明は、ツールストッカにおけるツール配列データの作成に際し、作業者への負荷を減少させるとともに、ツール配列データの正確さを確保することができる部品実装装置および部品実装装置におけるツール配列データ作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の部品実装装置は、部品を供給する部品供給部と、基板を保持する基板保持部と、前記部品供給部によって供給された前記部品を受け取って前記基板保持部に保持された基板に実装する第1ヘッドと、前記基板もしくは前記第1ヘッドによって前記基板に搭載された部品に対して所定の作業を行い、部品接合用のペーストを吐出して前記基板に供給するペースト塗布機能、前記ペーストを転写して前記基板に供給するペースト転写機能および前記基板に搭載された部品を加熱しながら基板に対して押圧する加熱・押圧機能のうち少なくともいずれか1つの機能を有する作業ユニットを選択的に搭載可能な第2ヘッドと、前記第1ヘッドおよび第2ヘッドがいずれもアクセス可能な領域に配置され、対象となる部品の種類に応じて前記第1ヘッド、第2ヘッドに交換自在に装着される複数の作業ツールを収納するための複数の収納凹部が設けられたツールストッカと、前記ツールストッカの前記収納凹部上に位置して、当該収納凹部に収納された前記作業ツールの上面に形成された識別マークを光学的に検出して作業ツールの種類を識別するツール識別手段と、前記ツール識別手段による識別結果に基づいて、当該ツールストッカにおける作業ツールの配列を示すツール配列データを作成する配列データ作成部とを備えた。
【0008】
本発明の部品実装装置におけるツール配列データ作成方法は、部品を供給する部品供給部と、基板を保持する基板保持部と、前記部品供給部によって供給された前記部品を受け取って前記基板保持部に保持された基板に実装する第1ヘッドと、前記基板もしくは前記第1ヘッドによって前記基板に搭載された部品に対して所定の作業を行い、部品接合用のペーストを吐出して前記基板に供給するペースト塗布機能、前記ペーストを転写して前記基板に供給するペースト転写機能および前記基板に搭載された部品を加熱しながら基板に対して押圧する加熱・押圧機能のうち少なくともいずれか1つの機能を有する作業ユニットを選択的に搭載可能な第2ヘッドと、前記第1ヘッドおよび第2ヘッドがいずれもアクセス可能な領域に配置され、対象となる部品の種類に応じて前記第1ヘッド、第2ヘッドに交換自在に装着される複数の作業ツールを収納するための複数の収納凹部が設けられたツールストッカとを備えた部品実装装置において、前記ツールストッカにおける作業ツールの配列状態を示すツール配列データを作成する部品実装装置におけるツール配列データ作成方法であって、前記ツールストッカの前記収納凹部の上方にツール識別手段を位置させて、当該収納凹部に収納された前記作業ツールの上面に形成された識別マークを光学的に検出して作業ツールの種類を識別するツール識別工程と、前記ツール識別工程における識別結果に基づいて、当該ツールストッカにおける作業ツールの配列を示すツール配列データを作成する配列データ作成工程とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ツールストッカの上方にツール識別手段を位置させて作業ツールの上面に形成された識別マークを光学的に検出して作業ツールの種類を識別し、この識別結果に基づいて当該ツールストッカにおける作業ツールの配列を示すツール配列データをツール配列データ作成部によって自動的に作成することにより、種類の異なる複数の作業ツールが収納されたツールストッカを対象とするツール配列データの作成に際し、作業者への負荷を減少させるとともにツール配列データの正確さを確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態の部品実装装置の全体斜視図、図2は本発明の一実施の形態の部品実装装置の部分斜視図、図3は本発明の一実施の形態の部品実装装置の正面図、図4は本発明の一実施の形態の部品実装装置のユニット集合ステージの斜視図、図5は本発明の一実施の形態の部品実装装置に設けられたツールストッカの構成説明図、図6は本発明の一実施の形態の部品実装装置に用いられる作業ツールの斜視図、図7は本発明の一実施の形態の部品実装装置の第2ヘッドに装着される作業ユニットの説明図、図8は本発明の一実施の形態の部品実装装置の制御系の構成を示すブロック図、図9、図10は本発明の一実施の形態の部品実装装置に
おけるツール識別動作の説明図である。
【0011】
まず図1を参照して、部品実装装置1の全体構成を説明する。部品実装装置1は基板に半導体チップなどの部品をボンディングによって実装する機能を有するものである。図1において基台2上には、部品供給ステージ3(部品供給部)、ユニット集合ステージ4および基板保持ステージ5(基板保持部)がこれらの並び方向をY方向(第1方向)に合わせて配列されている。部品供給ステージ3に備えられたウェハ保持テーブル3aには、実装対象となる部品である複数の半導体チップ6aが配列された半導体ウェハ6が保持されている。
【0012】
ユニット集合ステージ4は、直動機構(図4に示すX軸移動機構40参照)によってX方向(第2方向)に往復動する移動テーブル4aに、後述するツールストッカ15、部品回収部16、較正基準マーク17、中継ステージ18、部品認識カメラ24などの機能ユニットを集合的に配設した構成となっている。基板保持ステージ5は、基板7を保持する基板保持ステージ5aをXYテーブル機構53(図3参照)によって水平駆動する構成となっており、基板7には半導体チップ6aが実装される。
【0013】
部品供給ステージ3、ユニット集合ステージ4および基板保持ステージ5の上方には、基台2のX方向の端部に位置して、Y軸フレーム8が支持ポスト8aによって両端部を支持されてY方向に架設されている。Y軸フレーム8の前面には、以下に説明する第1ヘッド11、第2ヘッド12をリニアモータ駆動によりY方向に案内して駆動するヘッド移動機構9が組み込まれている。第1ヘッド11には半導体チップ6aを保持して基板7に搭載する機能を有する搭載ユニット19が装着されており、第2ヘッド12には基板7に電子部品接合用の接着剤を塗布する機能を有する塗布ユニット20が装着されている。
【0014】
部品供給ステージ3、中継ステージ18および基板保持ステージ5の上方には、位置認識のために第1カメラ21、第2カメラ22、第3カメラ23が配設されている。第1カメラ21は部品供給ステージ3において取り出し対象の半導体チップ6aを撮像する。第2カメラ22は部品供給ステージ3から取り出されて中継ステージ18に位置補正のために仮置きされた半導体チップ6aを撮像するとともに、ユニット集合ステージ4に配置されたツールストッカ15に収納された作業ツールを撮像して種類を識別する機能を有している。また第3カメラ23は、基板保持ステージ5に保持された基板7を撮像して部品実装点の位置を認識する。またユニット集合ステージ4に配設された部品認識カメラ24は、部品供給ステージ3から取り出された半導体チップ6aを下方から撮像する。
【0015】
次に、図2、図3を参照して各部の構造を説明する。部品供給ステージ3はXYテーブル機構31を備えており、XYテーブル機構31の上面に装着された水平な移動プレート32には、複数の支持部材33が立設されている。支持部材33は、上面に半導体ウェハ6が装着保持されるウェハ保持テーブル3aを支持している。半導体ウェハ6はウェハシート6bに複数の半導体チップ6aを所定配列で貼着した構成となっている。ウェハシート6bには、能動面を上向きにしたフェイスアップ姿勢で個片に分割された状態の複数の半導体チップ6aが貼着保持されている。
【0016】
部品供給ステージ3には、半導体ウェハ6から半導体チップ6aをピックアップするためのピックアップ作業位置[P1]が設定されている。第1カメラ21の位置はピックアップ作業位置[P1]に対応しており、第1カメラ21によって半導体ウェハ6を撮像した撮像結果を認識処理することにより、ピックアップ対象の半導体チップ6aの位置が検出される。ウェハ保持テーブル3aの内部においてピックアップ作業位置[P1]に対応する位置には、エジェクタ機構34が配設されている。
【0017】
エジェクタ機構34は、ウェハシート6bの下面側から半導体チップ6aをピンで突き上げることにより、半導体チップ6aのウェハシート6bからの剥離を促進する機能を有している。半導体チップ6aの取り出し時にエジェクタ機構34を昇降させてウェハシート6bの下面に当接させることにより、後述するピックアップヘッド14による半導体チップ6aのウェハシート6bからの取り出しを容易に行うことができる。
【0018】
部品取り出し動作においては、XYテーブル機構31を駆動してウェハシート6bをXY方向に水平移動させる(矢印a)ことにより、ウェハシート6bに貼着された複数の半導体チップ6aのうち、取り出し対象となる所望の半導体チップ6aをピックアップ作業位置[P1]に位置させる。なおここでは、部品供給ステージ3として、ウェハシート6bに貼着されたウェハ状態の部品を供給する方式のウェハテーブルを用いる例を示したが、複数の部品を所定の平面配列で供給する部品トレイを、ウェハテーブルと交換自在に部品供給ステージ3に配置するようにしてもよい。
【0019】
部品供給ステージ3の上方には、半導体チップ6aを吸着して保持するピックアップノズル70がノズル装着部14aに着脱自在に装着された構成のピックアップヘッド14が配設されている。ピックアップヘッド14はピックアップアーム13aによって保持されており、ピックアップアーム13aは、Y軸フレーム8の下面に縣吊して配置されたピックアップヘッド移動機構13から、部品供給ステージ3の上方に延出して設けられている。ピックアップヘッド移動機構13を駆動することにより、ピックアップアーム13aはXYZ方向に移動する(矢印b)とともに、X方向の軸廻りに回転する(矢印c)。
【0020】
これにより、ピックアップヘッド14は部品供給ステージ3の上方とユニット集合ステージ4の上方との間でY方向に移動するとともに、X方向に進退する。これによりピックアップヘッド14は、部品供給ステージ3から半導体チップ6aをピックアップして、ユニット集合ステージ4に設けられた中継ステージ18に移送する動作を行う。また必要時には、ピックアップヘッド14をピックアップ作業位置[P1]の上方からX方向に退避させることが可能となっており、さらにピックアップアーム13aを回転させてピックアップヘッド14を反転させることにより、ピックアップノズル70に保持した半導体チップ6aの姿勢を表裏反転させることが可能となっている。
【0021】
図3に示すように、ユニット集合ステージ4および基板保持ステージ5は、ベースプレート52の上面に設けられており、ベースプレート52は基台2の上面に立設された複数の支持ポスト51によって下方から支持されている。ここでユニット集合ステージ4の詳細構造について、図4を参照して説明する。図4においてX軸移動機構40は、移動テーブル4aをX方向に移動させる機能を有しており、ベース部41に以下に説明する機構要素を配設して構成されている。ベース部41の上面にはX方向にガイドレール42aが配設されており、ガイドレール42aにスライド自在に嵌合したスライダ42bは、移動テーブル4aの下面に固着されている。
【0022】
ベース部41の両端部に立設されたブラケット43a、43bには、送りねじ45が軸支されており、送りねじ45はブラケット43bに保持されたモータ44によって回転駆動される。送りねじ45は移動テーブル4aの下面に結合されたナット部材(図示省略)に螺合しており、モータ44を正逆方向に回転駆動することにより、移動テーブル4aはX方向に往復移動する(矢印g)。これにより、移動テーブル4aに配設された以下の機能ユニットを一体的にX方向に移動させることができ、これらの機能ユニットを第1ヘッド11、第2ヘッド12がアクセス可能な領域に位置させることが可能となっている。
【0023】
移動テーブル4aには、ツールストッカ15、部品回収部16、較正基準マーク17、中継ステージ18および部品認識カメラ24が集合的に配設されている。ここでツールス
トッカ15の構造および動作機能を図5を参照して説明する。図5(a)に示すように、ツールストッカ15は作業ツールを収納する複数の収納凹部27aが所定配列(ここではX方向、Y方向の格子配列)で設けられた収納ブロック27の上面に、係止プレート28をX方向にスライド自在に配設した構成となっている。
【0024】
収納凹部27aは段付部27bを有する円筒穴形状の凹部であり、段付部27bに作業ツールに設けられた鍔部(例えば図5(b)に示す部品保持ノズル71に設けられた鍔部71b)を載置した姿勢でこれらの作業ツールを収納する。収納凹部27aの格子配列における各行にはY1,Y2の行番号が、各列にはX1,X2,X3・・・の列番号が割り振られており、これらの行番号/列番号の組み合わせが、ツールストッカ15における個々の収納凹部27aの位置に対応している。そして本実施の形態においては、後述するように、個々の収納凹部27aの位置と当該収納凹部27aに収納された作業ツールの種類とを対応させたツール配列データを作成して記憶させておくようにしている。
【0025】
係止プレート28には、収納凹部27aの列位置に対応して列状の装着開口部28aが設けられており、装着開口部28aには収納凹部27aのピッチ毎に係止爪部28bが両側から内側方向に延出して設けられている。図5(b)の(イ)に示すように、係止爪部28bが隣接する2つの収納凹部27aの中間に位置するように係止プレート28をX方向に移動させることにより、鍔部71bは装着開口部28aを通過可能となる(矢印k)。
【0026】
これに対し、(ロ)に示すように、係止爪部28bが収納凹部27aの位置に一致するように係止プレート28をX方向に移動させることにより、収納凹部27a内に収納された部品保持ノズル71の本体部71aは2つの係止爪部28bの間から上方に突出した状態となり、鍔部71bは上側から係止爪部28bによって係止される状態となる。これにより、装着部19aに装着された部品保持ノズル71を収納凹部27a内に位置させた状態から、搭載ユニット19を上昇させることにより、部品保持ノズル71のみを収納凹部27a内に残留させることができる。このような動作を組み合わせることにより、搭載ユニット19に装着された部品保持ノズル71を下降させて収納凹部27aに収納し、また収納凹部27aに収納された部品保持ノズル71を搭載ユニット19によって取り出すことができ、これにより搭載ユニット19に装着される部品保持ノズル71を対象とする部品に応じて交換することが可能となっている。
【0027】
ツールストッカ15には、図4に示すように、搭載ユニット19に装着される部品保持ノズル71など、部品種に応じて交換されて使用される複数の作業ツールが各部品種毎に収納される。個々に収納される作業ツールには、ピックアップヘッド14に装着されるピックアップノズル70、図7に示す転写ユニット54、加熱・押圧ユニット57にそれぞれ装着される転写ツール72、加熱・押圧ツール73が含まれる。そしてツールストッカ15を第1ヘッド11、第2ヘッド12がアクセス可能な領域に移動させた状態において、第1ヘッド11、第2ヘッド12をユニット集合ステージ4に移動させることにより、搭載ユニット19、転写ユニット54、加熱・押圧ユニット57に装着される部品保持ノズル71、転写ツール72、加熱・押圧ツール73を、対象とする部品種に応じたものに交換することができるようになっている。すなわちX軸移動機構40は、ツールストッカ15をY方向(第1方向)と直交するX方向(第2方向)へ移動させて、第1ヘッド11および第2ヘッド12がいずれもアクセス可能な領域に位置させるストッカ移動手段となっている。
【0028】
すなわち、本実施の形態に示す部品実装装置1においては、第1ヘッド11および第2ヘッド12がいずれもアクセス可能な位置に、対象となる部品の種類に応じて第1ヘッド11の搭載ユニット19に交換自在に装着される部品保持ノズル71および対象となる部
品の種類に応じて第2ヘッド12に選択的に装着される作業ユニット、すなわち転写ユニット54、加熱・押圧ユニット57に交換自在に装着される転写ツール72、加熱・押圧ツール73などの作業ツールを収納したツールストッカ15が配置された構成となっている。このような構成を採用することにより、複数の部品種を対象として交換用の作業ツールが多数必要とされる場合にあっても、ツール交換機能に要する機構部の占有面積を極力小さくして、装置のコンパクト化を図ることが可能となっている。
【0029】
次に図6を参照して、ツールストッカ15に収納される作業ツールに形成された識別マークについて説明する。部品保持ノズル71などの作業ツールの上面には、各作業ツールの種類を示す識別マークが形成されている。図6(a)は、この識別マークとして各作業ツールの種類毎に異なる幾何形状で設けられた形状マークを採用した例を示している。すなわち作業ツール(ここでは部品保持ノズル71)の上面(ここでは鍔部71bの上面)には、特定形状(ここでは円環形状)の形状マークM1が形成されている。ここで特定形状としては、円環形状の他、単純円形状、正方形、3角形など、画像認識によって相互に識別容易な形状が選択され、これらの各形状が当該装置において用いられる作業ツールの種類と対応している。このように作業ツールの種類と対応付けられた形状マークM1を第2カメラ22で撮像し、この撮像結果を認識処理部62(図8も参照)によって認識処理することにより、形状マークM1が円環形状であることが認識され、これにより当該作業ツールが円環形状に対応した部品保持ノズル71であることが識別される。
【0030】
すなわち、形状マークM1を撮像するマーク撮像カメラである第2カメラ22および第2カメラ22の撮像結果を認識処理することにより作業ツールの種類を識別する認識処理部62は、ツールストッカ15の収納凹部27a上に位置して、当該収納凹部27aに収納された作業ツールの上面に形成された識別マークを光学的に検出して作業ツールの種類を識別するツール識別手段となっている。そして作業ツールの識別に際しては、ストッカ移動手段であるX軸移動機構40を駆動することにより、ツールストッカ15の複数の収納凹部27aのうちの撮像対象となる収納凹部27aを、第1ヘッド11および第2ヘッド12がいずれもアクセス可能な領域の上方に固定配置された第2カメラ22の撮像視野内に位置させる。
【0031】
次に図6(b)は、識別マークとして各作業ツールの種類毎に異なる色彩を付した色彩マークを採用した例を示している。すなわち作業ツール(ここでは部品保持ノズル71)の上面(ここでは鍔部71bの上面)には、特定色(赤色、緑色、青色など、カラー認識によって相互に判別容易な色彩)が付された色彩マークM2が形成されている。これらの色彩は、当該装置において用いられる作業ツールの種類と対応している。このように作業ツールの種類と対応付けられた色彩の色彩マークM2をカラーセンサ25(図2参照)の色判別対象とすることにより、色彩マークM2が特定色のいずれかであることが判別される。そしてこの判別結果に基づき、識別処理部63(図8も参照)は当該作業ツールがこの特定色に対応した部品保持ノズル71であることを識別する。
【0032】
すなわち、色彩マークM2の色彩を判別するカラーセンサ25とこのカラーセンサ25の判別結果に基づき作業ツールの種類を識別する識別処理部63は、ツールストッカ15の収納凹部27a上に位置して、当該収納凹部27aに収納された作業ツールの上面に形成された識別マークを光学的に検出して作業ツールの種類を識別するツール識別手段となっている。なおツール識別手段としては、図6(a)に示す第2カメラ22と認識処理部62との組み合わせよるものと、カラーセンサ25と識別処理部63との組み合わせによるものとを選択的に備えるようにしてもよく、またこれらの双方を備えるようにしてもよい。
【0033】
部品回収部16は、部品供給ステージ3から取り出された後に、不良部品や混入した異
種部品など基板7への実装が不適と判断された部品を廃棄回収する機能を有している。較正基準マーク17は、X軸移動機構40を継続して駆動する際に熱伸縮によって生じる機構的な位置誤差を、上方に配設された第2カメラ22によって撮像して較正するために設けられた基準マークである。
【0034】
中継ステージ18は、部品供給ステージ3と基板保持ステージ5との間に配置されてツールストッカ15と一体的に設けられた形態となっており、中継ステージ18には、部品供給ステージ3からピックアップヘッド14によって取り出された半導体チップ6aが位置補正のために載置される。中継ステージ18には中継位置[P2]が設定されており、第2カメラ22は中継位置[P2]に対応して配置されている。X軸移動機構40によって中継ステージ18を移動させることにより、中継ステージ18に載置された半導体チップ6aを中継位置[P2]に位置させて第2カメラ22によって撮像することができ、これにより中継ステージ18に載置された半導体チップ6aの位置が検出される。部品認識カメラ24は撮像面24aを中継ステージ18に隣接させて配置されており、同様にX軸移動機構40を駆動することにより、撮像面24aを部品認識位置[P3]に位置させることができる。中継ステージ18に仮置きされて位置認識の後に取り出された半導体チップ6aは、部品認識位置[P3]にて部品認識カメラ24によって撮像され位置検出が行われる。
【0035】
さらに、ユニット集合ステージ4には、中継ステージ18の表面をクリーニングするためのクリーニングユニット46が配設されている。図4に示すように、クリーニングユニット46は移動テーブル4aを装置手前側(図2において左側)に移動させた状態において、水平な棒状のクリーニング部材46aが中継ステージ18の上方に位置するように配置されている。クリーニング部材46aの下面には下方に延出したブラシ46bが中継ステージ18の上面に摺接するように設けられており、この状態でX軸移動機構40を駆動して移動テーブル4aを往復動させることにより、中継ステージ18の表面に付着堆積した異物がブラシ46bによって除去される。クリーニング部材46aの内部には吸引孔が設けられており、吸引配管46cを介してクリーニング部材46aの内部を真空吸引する(矢印h)ことにより、ブラシ46bによって除去された微細な異物を吸引して排出することができる。
【0036】
基板保持ステージ5は、XYテーブル機構53上に基板7を保持する基板保持テーブル5aを設けた構成となっている。基板保持ステージ5には、半導体チップ6aを基板保持テーブル5aに保持された基板7に実装するための実装作業位置[P4]が設定されており、第3カメラ23は実装作業位置[P4]に対応して配置されている。第3カメラ23によって基板7を撮像することにより、基板7に設定された部品実装点7aの位置が検出される。そしてXYテーブル機構53を駆動することにより、基板保持テーブル5aは基板7とともにXY方向に水平移動し(矢印f)、基板7に設定された任意の部品実装点7aを実装作業位置[P4]に位置させることができる。
【0037】
次に、第1ヘッド11、第2ヘッド12について説明する。図2においてY軸フレーム8に設けられたヘッド移動機構9の前面には、第1ヘッド11および第2ヘッド12をY方向にガイドするための2条のガイドレール9aが設けられており、これらのガイドレール9aの間には以下に説明する第1ヘッド11および第2ヘッド12をY方向に駆動するためのリニアモータを構成する固定子9bが配設されている。ガイドレール9aには図示しないスライダがY方向にスライド自在に嵌合しており、このスライダは垂直な移動プレート11a,12aの背面に固着されている。
【0038】
移動プレート11a,12aの背面には、固定子9bに対向してリニアモータを構成するする可動子(図示省略)が配設されている。これらのリニアモータを駆動することによ
り、第1ヘッド11および第2ヘッド12はガイドレール9aによってガイドされて、それぞれY方向に移動する(矢印d)。移動プレート11a,12aの前面には、それぞれ昇降機構11b,12bが配設されており、昇降機構11b,12bの前面には昇降プレート11c,12cが垂直方向にスライド自在に配設されている。昇降機構11b,12bを駆動することにより、昇降プレート11c,12cはそれぞれ昇降する(矢印e)。昇降プレート11cには、下部に部品保持ノズル71を備えた搭載ユニット19が着脱自在に装着されており、昇降プレート12cには、2基の塗布ユニット20が着脱自在に装着されている。
【0039】
搭載ユニット19は部品保持ノズル71によって実装対象の部品である半導体チップ6aを保持する機能を有しており、第1ヘッド11をY方向に水平移動させて昇降プレート11cが昇降することにより、搭載ユニット19は部品供給ステージ3から供給された半導体チップ6aを、基板保持ステージ5に保持された基板7に搭載する。ここでは、搭載ユニット19が装着された第1ヘッド11による実装形態として、ピックアップヘッド14によって部品供給ステージ3から取り出され中継ステージ18上に載置された半導体チップ6aを搭載ユニット19によって保持して基板7に搭載するプリセンタ実装形態と、部品供給ステージ3の半導体チップ6aを直接搭載ユニット19によって保持して基板7に搭載するダイレクト実装形態と、ピックアップヘッド14によって部品供給ステージ3から取り出され表裏反転状態でピックアップヘッド14に保持された半導体チップ6aを搭載ユニット19によって保持して基板7に搭載するフェイスダウン実装形態とを選択的に実行できるようになっている。すなわち搭載ユニット19が装着された第1ヘッド11は、部品供給ステージ3によって供給された半導体チップ6aを受け取って、基板保持ステージ5に保持された基板7に搭載する機能を有している。
【0040】
第2ヘッド12に装着された塗布ユニット20は、部品接着用の樹脂接着剤であるペーストを収納したシリンジ20aおよびペーストを吐出する塗布ノズル20bを備えている。第2ヘッド12を基板保持ステージ5に保持された基板7の上方に移動させて、塗布ユニット20による塗布動作を行わせることにより、塗布ノズル20bから吐出したペーストを基板7の部品実装点7aに塗布する。なお第2ヘッド12には、図2に示す塗布ユニット20以外にも、以下に説明する転写ユニット54、加熱・押圧ユニット57の2種類の作業ユニットが対象となる部品種の実装形態に応じて選択的に装着される。
【0041】
昇降プレート11cには、図6(b)に示す色彩マークM2の色彩を判別するためのカラーセンサ25が検出面を垂直下向きにした姿勢で装着されている。ヘッド移動機構9およびストッカ移動手段であるX軸移動機構40を駆動することにより、複数の収納凹部27aのうちの判別対象となる収納凹部27aの上方に、カラーセンサ25を位置させることができる。
【0042】
なお本実施の形態においては、カラーセンサ25を第1ヘッド11に設けた例を示したが、第2ヘッド12にカラーセンサ25を設けるようにしてもよく、また第1ヘッド11および第2ヘッド12の双方にカラーセンサ25を設けるようにしてもよい。さらには独立のツール識別用ヘッドをツールストッカ15の上方に位置して設けてもよい。すなわち第1ヘッド11、第2ヘッド12のY方向の移動と位置的な干渉が生じない位置に同様のカラーセンサを配置し、X軸移動機構40によってツールストッカ15をX方向に移動させることにより、ツールストッカ15の各収納凹部27a内の作業ツールに形成された色彩マークM2の色彩を判別する。なお、この場合にはツールストッカ15における収納凹部27aの列位置に対応してカラーセンサをY方向に移動させるようにする。図5に示す例では、収納凹部27aは2列設けられていることから、各列の上方にカラーセンサが位置するようY方向の位置を切り換える機構が必要となる。
【0043】
次に図7を参照して、第2ヘッド12に選択的に装着される作業ユニットについて説明する。図7(a)、(b)は、第2ヘッド12に転写ユニット54、加熱・押圧ユニット57を装着した状態をそれぞれ示している。転写ユニット54は基板7にペースト56を転写により供給する機能を有するものであり、対象とする部品が小サイズで必要とされるペースト56の供給量が少量であるような場合に選択的に第2ヘッド12に装着される。
【0044】
図7(a)に示すように、転写ユニット54は装着部54aに着脱自在に装着される転写ツール72を備えており、ペースト56を転写膜の形態で供給する転写テーブル55とともに用いられる。転写テーブル55は、平滑な塗膜形成面55aを有する略円板形状の容器であり、塗膜形成面55aには部品接着用のペースト56の塗膜が所定の膜厚で形成されている。転写ユニット54によってペースト56を転写により供給する際には、まず転写ツール72を転写テーブル55に対して下降させて転写ツール72の下端部にペースト56を付着させる。次いで第2ヘッド12を移動させて転写ユニット54を基板保持テーブル5aに保持された基板7の上方に移動させ、転写ツール72を下降させてペースト56を転写ツール72によって基板7の上面に転写により供給する(矢印i)。
【0045】
また加熱・押圧ユニット57は、搭載ユニット19によって基板7に搭載された後の半導体チップ6aを加熱しながら所定の押圧力で加圧する機能を有するものであり、DAF(ダイアタッチフィルム)が予め貼着された半導体チップ6aを実装対象とする場合に用いられる。加熱・押圧ユニット57は装着部57aに着脱自在に装着される加熱・押圧ツール73備えており、加熱・押圧ユニット57を第2ヘッド12に装着しておくことにより、図7(b)に示すように、第1ヘッド11が搭載ユニット19によって半導体チップ6aを基板7に搭載した後に、第2ヘッド12を直ちに基板7へ移動させて、加熱・押圧ツール73を半導体チップ6aに当接させて加熱・押圧を行うことができる(矢印j)。これにより、搭載ユニット19は半導体チップ6aを基板7に搭載した後に直ちに次の半導体チップ6aを搭載するための作業動作に移行することができ、搭載ユニット19によって加熱・押圧を含めた全ての作業動作を行う場合と比較して、作業効率を大幅に向上させることができる。
【0046】
すなわちここでは第2ヘッド12は、基板7もしくは第1ヘッド11によって基板7に搭載された半導体チップ6aに対して、ペースト塗布、ペースト転写、加熱・押圧などの所定の作業を行う機能を有しており、第1ヘッド11と第2ヘッド12とは交互に基板7上の作業位置にアクセスする。そして、Y軸フレーム8に設けられたヘッド移動機構9、すなわち固定子9bと第1ヘッド11、第2ヘッド12に備えられた可動子とで構成されるリニアモータは、第1ヘッド11および第2ヘッド12を部品供給ステージ3および基板保持ステージ5の並び方向であるY方向に移動させて、交互に基板7上の作業位置にアクセスさせる共通のヘッド移動機構となっている。
【0047】
なお上記構成例では、第2ヘッド12に交換自在に装着される作業ユニットとして、それぞれ部品接合用のペースト56を塗布ノズル20bから吐出して基板7に供給するペースト塗布機能、ペースト56を転写ツール72によって転写して基板7に供給するペースト転写機能、基板7に搭載された半導体チップ6aを加熱しながら基板7に対して押圧する加熱・押圧機能を、それぞれ個別に有する単一機能の塗布ユニット20、転写ユニット54、加熱・押圧ユニット57を用いる例を示したが、これらの機能のうち2つを兼ね備えた複数機能の作業ユニットを用いてもよい。
【0048】
すなわち、本発明においては、第2ヘッド12は、ペースト塗布機能、ペースト転写機能および加熱・押圧機能のうち少なくともいずれか1つの機能を有する作業ユニットを選択的に装着可能となっている。そして、搭載ユニット19、転写ユニット54、加熱・押圧ユニット57に部品種に応じて着脱自在に装着される部品保持ノズル71、転写ツール
72、加熱・押圧ツール73は、前述のようにユニット集合ステージ4に配置されたツールストッカ15に収納されており(図4参照)、第1ヘッド11、第2ヘッド12をツールストッカ15にアクセスさせることにより、搭載ユニット19、転写ユニット54、加熱・押圧ユニット57に装着される部品保持ノズル71、転写ツール72、加熱・押圧ツール73を、対象とする部品種に応じたものに交換することができるようになっている。
【0049】
次に、図8を参照して制御系の構成を説明する。図8において、制御部60は、機構制御部61を介して以下の機構部を制御する。これにより、部品供給ステージ3から半導体チップ6aを取り出し、さらに取り出した半導体チップ6aを基板保持ステージ5に保持された基板7に実装するための各動作が実行される。まず、部品供給ステージ3、ユニット集合ステージ4、基板保持ステージ5を制御することにより、部品供給ステージ3におけるXYテーブル機構31やエジェクタ機構34による部品供給動作が制御され、またユニット集合ステージ4におけるX軸移動機構40の動作が制御され、さらに基板保持ステージ5におけるXYテーブル機構53の動作が制御される。
【0050】
次いで、ヘッド移動機構9、第1ヘッド11、第2ヘッド12、ピックアップヘッド移動機構13を制御することにより、部品供給ステージ3から半導体チップ6aを取り出すピックアップ動作や、取り出された半導体チップ6aを基板7に移送搭載してボンディングする実装動作が実行される。すなわちピックアップヘッド移動機構13を制御することによりピックアップ動作が実行され、また搭載ユニット19が装着された第1ヘッド11をヘッド移動機構9と併せて制御することにより、半導体チップ6aを基板7に移送搭載する搭載動作が実行される。
【0051】
また塗布ユニット20、転写ユニット54、加熱・押圧ユニット57の3種類の作業ユニットが選択的に装着された第2ヘッド12をヘッド移動機構9と併せて制御することにより、部品接着用のペーストを塗布ノズル19aから吐出して基板に供給するペースト塗布機能、ペーストを転写ツール72によって転写して基板に供給するペースト転写機能および基板7に搭載された半導体チップ6aを加熱しながら基板7に対して押圧する加熱・押圧機能のいずれかが実行される。なおペースト転写機能を実行する際には、転写テーブル55が併せて制御される。
【0052】
上述の各種動作制御に際しては、制御部60が認識処理部62を制御することにより、以下の各カメラによる撮像結果の認識処理が行われる。第1カメラ21による撮像結果を認識処理することにより、部品供給ステージ3に保持された半導体ウェハ6における半導体チップ6aの位置が検出され、この検出結果に基づいて制御部60がXYテーブル機構31を制御することにより、ピックアップ対象の半導体チップ6aをピックアップ作業位置[P1]に正しく位置合わせすることができる。また第2カメラ22による撮像結果を認識処理することにより、中継ステージ18に載置された状態における半導体チップ6aの位置が検出され、この検出結果に基づいて制御部60が第1ヘッド11およびX軸移動機構40を制御することにより、ピックアップ対象の半導体チップ6aに対して部品保持ノズル71を正しく位置合わせすることができる。また第2カメラ22によってツールストッカ15の収納凹部27aに収納された作業ツールを撮像することにより、前述のように当該作業ツールの種類を識別することができる。
【0053】
さらに第3カメラ23による撮像結果を認識処理することにより、基板保持テーブル5aに保持された状態における基板7の部品実装点7aの位置が検出され、この検出結果に基づいて制御部60がXYテーブル機構53を制御することにより、部品実装点7aを実装作業位置[P4]に対して位置合わせして、部品保持ノズル71に保持された半導体チップ6aを部品実装点7aに正しく搭載することができる。そして部品認識カメラ24による撮像結果を認識処理することにより、部品保持ノズル71に保持された状態における
半導体チップ6aの位置が検出され、搭載ユニット19による搭載動作においては、この検出結果を加味して搭載時の位置補正が行われる。識別処理部63は、カラーセンサ25から出力される色彩マークM2の判別信号に基づき、ツールストッカ15の収納凹部27a内に収納された作業ツールの種類を識別する。
【0054】
配列データ作成部64は、ツール識別手段である認識処理部62、識別処理部63による作業ツールの識別結果に基づいて、当該ツールストッカ15における作業ツールの配列を示すツール配列データを作成する。このツール配列データは、ツールストッカ15における収納凹部27aの格子配列の行番号Y1,Y2,列番号X1,X2,X3・・・によって特定される個々の収納凹部27a毎に、作業ツールの種類A,B・・を対応させたものである。そして作成されたツール配列データは、配列データ記憶部65にデータテーブルの形で記憶される。第1ヘッド11、第2ヘッド12をツールストッカ15にアクセスさせて、搭載ユニット19、転写ユニット54、加熱・押圧ユニット57に装着された作業ツールの交換を行う場合には、制御部60が配列データ記憶部65に記憶されたツール配列データを参照することにより、ツールストッカ15における作業ツールの所在を確認した上で、第1ヘッド11、第2ヘッド12の動作制御を行う。
【0055】
次に上述構成の部品実装装置1において、ツールストッカ15における作業ツールの配列状態を示すツール配列データを作成するツール配列データ作成方法について説明する。ここでは、作業者が複数種類の作業ツールをランダムに収納した状態のツールストッカ15を対象として、ツール配列データを自動的に作成する。このツール配列データ作成方法においては、まずツールストッカ15の複数の収納凹部27aの上方にツール識別手段を順次位置させて、各収納凹部27aに収納された作業ツールの上面に形成された識別マークを光学的に検出して、各作業ツールの種類を識別する(ツール識別工程)。次いでこのツール識別工程における識別結果に基づいて、当該ツールストッカ15における作業ツールの配列を示すツール配列データを、配列データ作成部64によって自動的に作成する(配列データ作成工程)。
【0056】
図9は、識別マークが各作業ツールの種類毎に異なる幾何学形状で設けられた形状マークM1(図6(a)参照)である場合を示している。ツールストッカ15に設けられた複数の収納凹部27aには、ピックアップノズル70、部品保持ノズル71、転写ツール72、加熱・押圧ツール73などの各種の作業ツールが、ランダムな配列で収納されている。このような状態のツールストッカ15を対象としたツール識別工程において、形状マークM1をマーク撮像カメラである第2カメラ22によって撮像した撮像結果を認識処理部62によって認識処理することにより、作業ツールの種類を識別する。ここでは、ストッカ移動手段であるX軸移動機構40を駆動することにより、移動テーブル4aをX方向に移動させて(矢印l)、複数の収納凹部27aのうちの撮像対象となる収納凹部27aを、第2カメラ22の撮像視野内に位置させる。そして各収納凹部27aについてのツール識別処理を順次実行し、全ての収納凹部27aについてツール識別処理が終了したならば、これらの識別結果に基づきツール配列データを作成する。
【0057】
図10は、識別マークが各作業ツールの種類毎に異なる色彩を付した色彩マークM2(図6(b)参照)である場合を示している。ツールストッカ15に設けられた複数の収納凹部27aには、同様に、ピックアップノズル70、部品保持ノズル71、転写ツール72、加熱・押圧ツール73などの各種の作業ツールが、ランダムな配列で収納されている。このような状態のツールストッカ15を対象としたツール識別工程において、色彩マークM2の色彩をカラーセンサ25によって判別した判別結果に基づき、識別処理部63によって作業ツールの種類を識別する。ここでは、ストッカ移動手段であるX軸移動機構40を駆動することにより、移動テーブル4aをX方向に移動させて(矢印l)、複数の収納凹部27aのうちの撮像対象となる各収納凹部27aの上方に、第1ヘッド11に設け
られたカラーセンサ25を順次位置させる。そして各収納凹部27aについてのツール識別処理を順次実行し、全ての収納凹部27aについてツール識別処理が終了したならば、これらの識別結果に基づきツール配列データを作成する。
【0058】
上記説明したように本発明は、ツールストッカ15の上方にツール識別手段を位置させて作業ツールの上面に形成された識別マークを光学的に検出して作業ツールの種類を識別し、この識別結果に基づいて当該ツールストッカ15における作業ツールの配列を示すツール配列データをツール配列データ作成部64によって自動的に作成するようにしたものである。これにより従来技術のように手動操作によるティーチングを行う必要がなく、種類の異なる複数の作業ツールが収納されたツールストッカを対象とする場合にあっても、ツール配列データの作成における作業者への負荷を減少させるとともに、ツール配列データの正確さを確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の部品実装装置および部品実装装置におけるツール配列データ作成方法は、ツールストッカにおけるツール配列データの作成に際し、作業者への負荷を減少させるとともに、ツール配列データの正確さを確保することができるという効果を有し、リードフレームや樹脂基板などに部品を実装する分野に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施の形態の部品実装装置の全体斜視図
【図2】本発明の一実施の形態の部品実装装置の部分斜視図
【図3】本発明の一実施の形態の部品実装装置の正面図
【図4】本発明の一実施の形態の部品実装装置のユニット集合ステージの斜視図
【図5】本発明の一実施の形態の部品実装装置に設けられたツールストッカの構成説明図
【図6】本発明の一実施の形態の部品実装装置に用いられる作業ツールの斜視図
【図7】本発明の一実施の形態の部品実装装置の第2ヘッドに装着される作業ユニットの説明図
【図8】本発明の一実施の形態の部品実装装置の制御系の構成を示すブロック図
【図9】本発明の一実施の形態の部品実装装置におけるツール識別動作の説明図
【図10】本発明の一実施の形態の部品実装装置におけるツール識別動作の説明図
【符号の説明】
【0061】
1 部品実装装置
3 部品供給ステージ(部品供給部)
4 ユニット集合ステージ
4a 移動テーブル
5 基板保持ステージ(基板保持部)
5a 基板保持テーブル
6 半導体ウェハ
6a 半導体チップ
7 基板
9 ヘッド移動機構
11 第1ヘッド
12 第2ヘッド
13 ピックアップヘッド移動機構
14 ピックアップヘッド
15 ツールストッカ
18 中継ステージ
19 搭載ユニット
20 塗布ユニット
20b 塗布ノズル
21 第1カメラ
22 第2カメラ
23 第3カメラ
24 部品認識カメラ
25 カラーセンサ
27a 収納凹部
31 XYテーブル機構
40 X軸移動機構
53 XYテーブル機構
54 転写ユニット
55 転写テーブル
56 ペースト
57 加熱・押圧ユニット
70 ピックアップノズル
71 部品保持ノズル
72 転写ツール
73 加熱・押圧ツール
[P1] ピックアップ作業位置
[P2] 中継位置
[P3] 部品認識位置
[P4] 実装作業位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を供給する部品供給部と、基板を保持する基板保持部と、前記部品供給部によって供給された前記部品を受け取って前記基板保持部に保持された基板に実装する第1ヘッドと、
前記基板もしくは前記第1ヘッドによって前記基板に搭載された部品に対して所定の作業を行い、部品接合用のペーストを吐出して前記基板に供給するペースト塗布機能、前記ペーストを転写して前記基板に供給するペースト転写機能および前記基板に搭載された部品を加熱しながら基板に対して押圧する加熱・押圧機能のうち少なくともいずれか1つの機能を有する作業ユニットを選択的に搭載可能な第2ヘッドと、
前記第1ヘッドおよび第2ヘッドがいずれもアクセス可能な領域に配置され、対象となる部品の種類に応じて前記第1ヘッド、第2ヘッドに交換自在に装着される複数の作業ツールを収納するための複数の収納凹部が設けられたツールストッカと、
前記ツールストッカの前記収納凹部上に位置して、当該収納凹部に収納された前記作業ツールの上面に形成された識別マークを光学的に検出して作業ツールの種類を識別するツール識別手段と、
前記ツール識別手段による識別結果に基づいて、当該ツールストッカにおける作業ツールの配列を示すツール配列データを作成する配列データ作成部とを備えたことを特徴とする部品実装装置。
【請求項2】
前記識別マークは各作業ツールの種類毎に異なる幾何形状で設けられた形状マークであり、前記ツール識別手段は、前記形状マークを撮像するマーク撮像カメラとこのマーク撮像カメラの撮像結果を認識処理することにより前記作業ツールの種類を識別する認識処理部とを含むことを特徴とする請求項1記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記ツールストッカを移動させて前記第1ヘッドおよび第2ヘッドがいずれもアクセス可能な領域に位置させるストッカ移動手段と備え、
前記ストッカ移動手段を駆動することにより、前記複数の収納凹部のうちの撮像対象となる収納凹部を、前記領域の上方に固定配置された前記マーク撮像カメラの撮像視野内に位置させることを特徴とする請求項2記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記識別マークは各作業ツールの種類毎に異なる色彩を付した色彩マークであり、前記ツール識別手段は、前記色彩マークの色彩を判別するカラーセンサとこのカラーセンサの判別結果に基づき前記作業ツールの種類を識別する識別処理部とを含むことを特徴とする請求項1記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記第1ヘッドおよび第2ヘッドを前記部品供給部と基板保持部の並び方向である第1方向へ移動させて前記基板上の作業位置にアクセスさせる共通のヘッド移動機構と、前記ツールストッカを前記第1方向と直交する第2方向へ移動させて前記第1ヘッドおよび第2ヘッドがいずれもアクセス可能な領域に位置させるストッカ移動手段とを備え、
前記ヘッド移動機構および前記ストッカ移動手段を駆動することにより、前記複数の収納凹部のうちの判別対象となる収納凹部の上方に、前記第1ヘッドおよびまたは第2ヘッドに設けられた前記カラーセンサを位置させることを特徴とする請求項4記載の部品実装装置。
【請求項6】
部品を供給する部品供給部と、基板を保持する基板保持部と、前記部品供給部によって供給された前記部品を受け取って前記基板保持部に保持された基板に実装する第1ヘッドと、前記基板もしくは前記第1ヘッドによって前記基板に搭載された部品に対して所定の作業を行い、部品接合用のペーストを吐出して前記基板に供給するペースト塗布機能、前記ペーストを転写して前記基板に供給するペースト転写機能および前記基板に搭載された
部品を加熱しながら基板に対して押圧する加熱・押圧機能のうち少なくともいずれか1つの機能を有する作業ユニットを選択的に搭載可能な第2ヘッドと、前記第1ヘッドおよび第2ヘッドがいずれもアクセス可能な領域に配置され、対象となる部品の種類に応じて前記第1ヘッド、第2ヘッドに交換自在に装着される複数の作業ツールを収納するための複数の収納凹部が設けられたツールストッカとを備えた部品実装装置において、前記ツールストッカにおける作業ツールの配列状態を示すツール配列データを作成する部品実装装置におけるツール配列データ作成方法であって、
前記ツールストッカの前記収納凹部の上方にツール識別手段を位置させて、当該収納凹部に収納された前記作業ツールの上面に形成された識別マークを光学的に検出して作業ツールの種類を識別するツール識別工程と、
前記ツール識別工程における識別結果に基づいて、当該ツールストッカにおける作業ツールの配列を示すツール配列データを作成する配列データ作成工程とを含むことを特徴とする部品実装装置におけるツール配列データ作成方法。
【請求項7】
前記識別マークは各作業ツールの種類毎に異なる幾何学形状で設けられた形状マークであり、前記ツール識別工程において、前記形状マークをマーク撮像カメラによって撮像した撮像結果を認識処理することにより前記作業ツールの種類を識別することを特徴とする請求項6記載の部品実装装置におけるツール配列データ作成方法。
【請求項8】
前記部品実装装置は前記ツールストッカを移動させて前記第1ヘッドおよび第2ヘッドがいずれもアクセス可能な領域に位置させるストッカ移動手段と備え、
前記ストッカ移動手段を駆動することにより、前記複数の収納凹部のうちの撮像対象となる収納凹部を、前記領域の上方に固定配置された前記マーク撮像カメラの撮像視野内に位置させることを特徴とする請求項7記載の部品実装装置におけるツール配列データ作成方法。
【請求項9】
前記識別マークは各作業ツールの種類毎に異なる色彩を付した色彩マークであり、前記ツール識別工程において、前記色彩マークの色彩をカラーセンサによって判別した判別結果に基づき前記作業ツールの種類を識別することを特徴とする請求項6記載の部品実装装置におけるツール配列データ作成方法。
【請求項10】
前記部品実装装置は、前記第1ヘッドおよび第2ヘッドを前記部品供給部と基板保持部とを結ぶ第1方向へ移動させて前記基板上の作業位置にアクセスさせる共通のヘッド移動機構と、前記ツールストッカを前記第1方向と直交する第2方向へ移動させて前記第1ヘッドおよび第2ヘッドがいずれもアクセス可能な領域に位置させるストッカ移動手段とを備え、
前記ヘッド移動機構および前記ストッカ移動手段を駆動することにより、前記複数の収納凹部のうちの判別対象となる収納凹部の上方に、前記第1ヘッドおよびまたは第2ヘッドに設けられた前記カラーセンサを位置させることを特徴とする請求項9記載の部品実装装置におけるツール配列データ作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−135363(P2010−135363A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−307166(P2008−307166)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】