説明

配線回路基板および配線回路基板の製造方法

【課題】 簡易な構成により、フライングリードからなる第1端子部の断線を有効に防止しながら、第2端子部における優れた追従性を確保することのできる、配線回路基板、および、その配線回路基板の製造方法を提供すること。
【解決手段】 回路付サスペンション基板1において、ベース絶縁層3、ベース絶縁層3の上に形成された導体層4、ベース絶縁層3の上に導体層4を被覆するように形成されたカバー絶縁層5、導体層4の同一位置においてベース絶縁層3およびカバー絶縁層5が開口されることにより、その表面および裏面が露出する導体層4(導体基部6および導体積層部7)からなる外部端子部8と、カバー絶縁層5のみが開口されることにより、その表面のみが露出する導体層4(導体基部6)からなる磁気ヘッド搭載部9とを備え、外部端子部8の厚みを、磁気ヘッド搭載部9の厚みよりも厚く形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線回路基板および配線回路基板の製造方法に関し、詳しくは、回路付サスペンション基板として好適に用いられる配線回路基板、および、その配線回路基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子・電気機器などに用いられる配線回路基板は、通常、ベース絶縁層と、ベース絶縁層の上に配線回路パターンとして形成された導体パターンと、ベース絶縁層の上に導体パターンを被覆するように形成されたカバー絶縁層と、カバー絶縁層から、その表面が露出する導体パターンからなる端子部とを備えている。
このような端子部として、近年、電子・電気機器の高密度化および小型化に対応するため、ベース絶縁層およびカバー絶縁層から、その表面および裏面が露出するフライングリードが形成されることが知られている。このフライングリードは、例えば、ボンディングツールなどを用いて、超音波振動を加えることにより、外部端子と接続される。
【0003】
また、ハードディスクドライブに用いられる回路付サスペンション基板には、外部端子と接続するためのフライングリードと、磁気ヘッドが搭載される磁気ヘッド搭載部とが設けられている。磁気ヘッド搭載部は、カバー絶縁層から導体パターンの表面が露出するように形成されており、この磁気ヘッド搭載部に、磁気ディスクに対して読み取りおよび書き込みが可能な磁気ヘッドが搭載されている。
【0004】
しかるに、上記したフライングリードでは、ベース絶縁層およびカバー絶縁層から、その表面および裏面が露出しているので、物理的強度が低く、外部端子と接続するときの超音波振動などにより、フライングリードに応力が集中して、断線しやすいという不具合がある。
このようなフライングリードにおける断線を防ぐために、例えば、支持基板、支持基板の上に形成されたベース絶縁層、ベース絶縁層の上に形成された導体パターン、ベース絶縁層の上に導体パターンを被覆するように形成されたカバー絶縁層、および、導体パターンの同一位置においてベース絶縁層とカバー絶縁層とが開口されることにより、ベース絶縁層およびカバー絶縁層から、その表面および裏面が露出する導体パターンからなる端子部を備える回路付サスペンション基板において、端子部の端縁部と導体パターンとが交差する交差部分において、導体パターンが延びる方向と実質的に直交する幅方向に広がる幅広部が形成された回路付サスペンション基板が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−31915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の回路付サスペンション基板においても、この端子部は、幅広部が形成されているものの、ベース絶縁層およびカバー絶縁層から、その表面および裏面が露出しているため、厚み方向における物理的強度は低く、そのため、端子部における断線を確実に防ぐには不十分である。
一方、導体パターンの厚みを厚くすれば、厚み方向における物理的強度が高くなり、端子部における断線を防止することができるが、磁気ヘッド搭載部の厚みも厚くなるため、磁気ヘッド搭載部における柔軟性が低下する。そうすると、このような回路付サスペンション基板では、その磁気ヘッド搭載部に搭載された磁気ヘッドを、磁気ディスクに対して確実に追従させることが困難となる。
【0006】
本発明の目的は、簡易な構成により、フライングリードからなる第1端子部の断線を有効に防止しながら、第2端子部における優れた追従性を確保することのできる、配線回路基板、および、その配線回路基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の配線回路基板は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上に、配線回路パターンとして形成された導体層と、前記第1絶縁層の上に前記導体層を被覆するように形成された第2絶縁層と、前記導体層の同一位置において前記第1絶縁層および前記第2絶縁層が開口されることにより、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層から、その表面および裏面が露出する前記導体層からなる第1端子部と、前記第2絶縁層のみが開口されることにより、前記第2絶縁層のみから、その表面のみが露出する前記導体層からなる第2端子部とを備え、前記第1端子部の厚みが、前記第2端子部の厚みよりも、厚いことを特徴としている。
【0008】
また、本発明の配線回路基板では、前記第1端子部の厚みは、前記第2端子部の厚みよりも、3〜12μm厚いことが好適である。
また、本発明の配線回路基板では、前記配線回路基板が、回路付サスペンション基板であることが好適である。
また、本発明の配線回路基板の製造方法は、第1絶縁層を用意する工程、前記第1絶縁層の上に、配線回路パターンの反転パターンで第1めっきレジストを形成する工程、前記第1めっきレジストから露出する前記第1絶縁層の上に導体層を配線回路パターンで形成する工程、前記導体層の上に、第1端子部を形成する部分が開口されるように、第2めっきレジストを形成する工程、前記第2めっきレジストから露出する前記導体層の上に、前記第1端子部を形成するための導体層をさらに形成する工程、前記第2めっきレジストおよび前記第1めっきレジストを除去する工程、前記第1絶縁層の上に、前記第1端子部を形成する部分と第2端子部を形成する部分とが開口するように、前記導体層を被覆する第2絶縁層を形成する工程、および、前記第1絶縁層における前記第1端子部を形成する部分を開口する工程を備えていることを特徴としている。
【0009】
また、本発明の配線回路基板の製造方法は、第1絶縁層を用意する工程、前記第1絶縁層の上に、配線回路パターンの反転パターンでめっきレジストを形成する工程、前記めっきレジストから露出する前記第1絶縁層の上に導体層を配線回路パターンで形成する工程、前記導体層の上に、第1端子部を形成する部分を被覆するエッチングレジストを形成する工程、前記エッチングレジストから露出する前記導体層を、厚さ方向途中までエッチングする工程、前記めっきレジストおよび前記エッチングレジストを除去する工程、前記第1絶縁層の上に、前記第1端子部を形成する部分と第2端子部を形成する部分とが開口するように、前記導体層を被覆する第2絶縁層を形成する工程、および、前記第1絶縁層における前記第1端子部を形成する部分を開口する工程を備えていることを特徴としている。
【0010】
また、本発明の配線回路基板の製造方法は、第1絶縁層の上に導体層が形成された二層基材を用意する工程、前記導体層の上に、配線回路パターンで第1エッチングレジストを形成する工程、前記第1エッチングレジストから露出する前記導体層を、配線回路パターンにエッチングする工程、前記第1エッチングレジストを除去する工程、前記導体層の上に、第1端子部を形成する部分を被覆する第2エッチングレジストを形成する工程、前記第2エッチングレジストから露出する前記導体層を、厚さ方向途中までエッチングする工程、前記第2エッチングレジストを除去する工程、前記第1絶縁層の上に、前記第1端子部を形成する部分と第2端子部を形成する部分とが開口するように、前記導体層を被覆する第2絶縁層を形成する工程、および、前記第1絶縁層における前記第1端子部を形成する部分を開口する工程を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の配線回路基板によれば、第1端子部の厚みが、第2端子部の厚みよりも厚いので、第1端子部における物理的強度が高く、そのため、第1端子部における断線を有効に防止することができる。また、第2端子部の厚みが、第1端子部の厚みよりも薄いので、第2端子部における柔軟性が高く、そのため、第2端子部における優れた追従性を確保することができる。その結果、配線回路基板における接続信頼性を向上させることができる。
【0012】
また、本発明の配線回路基板の製造方法によれば、簡易な構成により、確実に上記した配線回路基板を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明の配線回路基板の一実施形態である回路付サスペンション基板を示す要部平面図であり、図2は、図1のA−A’線断面図であり、図3は、図1のB−B’線断面図である。
この回路付サスペンション基板1は、ハードディスクドライブに装着され、磁気ヘッドを搭載して、その磁気ヘッドを磁気ディスクと対向するように支持するものであり、図2に示すように、金属支持基板2、金属支持基板2の上に形成された第1絶縁層としてのベース絶縁層3、ベース絶縁層3の上に配線回路パターンとして形成された導体層4、および、ベース絶縁層3の上に導体層4を被覆するように形成された第2絶縁層としてのカバー絶縁層5を備えている。
【0014】
金属支持基板2は、図1に示すように、長手方向に延びる平面視矩形薄板形状をなし、可撓性の金属箔や金属薄板から形成されている。また、金属支持基板2は、その厚みが、例えば、10〜60μm、好ましくは、15〜30μmである。
ベース絶縁層3は、図2に示すように、金属支持基板2の表面全面に積層されるように、形成されている。また、ベース絶縁層3は、その厚みが、例えば、1〜30μm、好ましくは、2〜20μmである。
【0015】
導体層4は、導体基部6と、その導体基部6の上に積層される導体積層部7とから一体的に形成されている。
導体基部6は、図1の点線に示すように、ベース絶縁層3の上に、複数の配線4a、4b、4cおよび4dからなる配線回路パターンとして形成されている。各配線4a、4b、4cおよび4dは、金属支持基板2の長手方向(以下、単に長手方向という。)に沿って延び、互いに幅方向(長手方向と直交する方向、以下同じ。)において間隔を隔てて並列配置されている。
【0016】
また、導体積層部7は、各配線4a、4b、4cおよび4dにおいて、後述する外部端子部8を形成する部分に形成されている。より具体的には、図2に示すように、各配線4a、4b、4cおよび4dの長手方向一方側端部近傍において、各配線4a、4b、4cおよび4dの上に、その長手方向に沿う所定の長さで、それぞれ形成されている。また、各配線4a、4b、4cおよび4dの上に形成される導体積層部7は、図3に示すように、各配線4a、4b、4cおよび4dの幅方向中央において、各配線4a、4b、4cおよび4dの幅よりも幅狭に形成されている。これによって、各配線4a、4b、4cおよび4dにおいて、導体積層部7が形成されている部分は、その断面形状が、凸形状に形成されている。
【0017】
また、導体基部6は、その厚みが、例えば、3〜20μm、好ましくは、5〜15μmである。また、導体積層部7は、その厚みが、例えば、1〜15μm、好ましくは、3〜12μmである。また、各配線4a、4b、4cおよび4dの幅は、例えば、50〜500μm、好ましくは、80〜300μmであり、各配線4a、4b、4cおよび4dの上に形成される導体積層部7の幅は、例えば、50〜500μm、好ましくは、80〜300μmである。
【0018】
カバー絶縁層5は、ベース絶縁層3の上に、導体層4を被覆するように形成されており、図1に示すように、ベース絶縁層3の周端部が露出するように、ベース絶縁層3よりもやや小さい相似形状であって、長手方向に延びる平面視矩形薄板形状に形成されている。
また、カバー絶縁層5は、その厚みが、例えば、1〜20μm、好ましくは、2〜8μmである。
【0019】
また、この回路付サスペンション基板1には、第1端子部として外部端子部8が形成されるとともに、第2端子部として磁気ヘッド搭載部9が形成されている。
外部端子部8は、図2に示すように、この回路付サスペンション基板1の長手方向一端部に配置され、導体層4の同一位置において、金属支持基板2、ベース絶縁層3およびカバー絶縁層5が開口されることにより、金属支持基板2、ベース絶縁層3およびカバー絶縁層5から、その表面および裏面が露出する導体層4から形成されている。
【0020】
より具体的には、カバー絶縁層5には、導体基部6と導体積層部7とが一体的に形成されている部分において、厚み方向を貫通する第1開口部10が形成されている。この第1開口部10は、図1に示すように、すべての配線4a、4b、4cおよび4dを含むように開口されており、図2に示すように、各導体積層部7の長手方向両端部がわずかに被覆され、その長手方向内側の各導体積層部7の長手方向大部分が露出するように、カバー絶縁層5を幅方向に沿って横切る帯状に形成されている。これによって、第1開口部10は、図1に示すように、カバー絶縁層5の長手方向途中に介在され、カバー絶縁層5を長手方向において分断するように形成される。
【0021】
また、ベース絶縁層3には、導体基部6と導体積層部7とが一体的に形成されている部分において、厚み方向を貫通する第2開口部11が形成されている。この第2開口部11は、すべての配線4a、4b、4cおよび4dを含むように開口されており、ベース絶縁層3における導体層4を挟んで第1開口部10と対向する位置において、その長手方向長さが第1開口部10と同じ長さであり、その幅方向長さが第1開口部10よりもやや幅広である底面視略矩形状に形成されている。
【0022】
また、金属支持層2には、導体基部6と導体積層部7とが一体的に形成されている部分において、厚み方向を貫通する第3開口部12が形成されている。この第3開口部11は、すべての配線4a、4b、4cおよび4dを含むように開口されており、図2に示すように、第2開口部11と同一位置に同一形状で形成されている。
そして、カバー絶縁層5の第1開口部10からは、各導体積層部7の表面が露出し、ベース絶縁層3の第2開口部11および金属支持層2の第3開口部12からは、導体基部6の裏面が露出し、この露出する導体基部6および導体積層部7(導体層4)が、外部端子部8とされている。
【0023】
外部端子部8は、図3に示すように、その表面が、カバー絶縁層5の第1開口部10から露出し、その裏面が、ベース絶縁層3の第2開口部11および金属支持層2の第3開口部12から露出し、互いに幅方向に間隔を隔てて並列配置されるフライングリードとして形成されている。
外部端子部8は、その厚み(導体基部6および導体積層部7の合計の厚み)が、例えば、6〜25μm、好ましくは、7〜15μmである。また、その長手方向の長さが、例えば、100〜2000μm、好ましくは、500〜1200μmである。
【0024】
また、外部端子部8には、その外周面(表面、裏面および両側面)に、金属めっき層13が形成されている。金属めっき層13は、その厚みが、例えば、1〜5μmである。
磁気ヘッド搭載部9は、図2に示すように、この回路付サスペンション基板1の長手方向他端部に配置され、カバー絶縁層5が開口されることにより、そのカバー絶縁層5から、その表面が露出する導体層4から形成されている。
【0025】
より具体的には、カバー絶縁層5には、導体層4の長手方向他端部近傍と対向するように、厚み方向を貫通する第4開口部14が形成されている。この第4開口部14は、図1に示すように、各配線4a、4b、4cおよび4dごとに対向してそれぞれ開口され、導体基部6の表面がそれぞれ露出するように、平面視矩形状に形成されている。
そして、カバー絶縁層5の各第4開口部14からは、導体基部6の表面が露出し、この露出する導体基部6が、磁気ヘッド搭載部9とされている。
【0026】
磁気ヘッド搭載部9は、その表面のみが、カバー絶縁層5の第4開口部14から露出する端子部として形成されている。
磁気ヘッド搭載部9は、導体基部6のみからなり、その厚みが、上記した導体基部6の厚みと同一であり、導体基部6および導体積層部7からなる外部端子部8の厚みよりも薄く形成されている。より具体的には、磁気ヘッド搭載部9の厚みは、外部端子部8の厚みよりも、3〜12μm薄く、好ましくは、5〜10μm薄く形成されている。
【0027】
また、磁気ヘッド搭載部9にも、その表面に、金属めっき層13が形成されている。金属めっき層13は、その厚みが、例えば、0.2〜5μmである。
次に、本発明の配線回路基板の製造方法の第1実施形態を、図1に示す回路付サスペンション基板1の製造方法として、図4を参照して説明する。なお、この図4は、図2に対応する断面として示している。
【0028】
この方法では、まず、図4(a)に示すように、金属支持基板2を用意する。金属支持基板2には、例えば、ステンレス、42アロイなどが用いられ、好ましくは、ステンレスが用いられる。
次いで、この方法では、図4(b)に示すように、金属支持基板2の上に、ベース絶縁層3を形成する。ベース絶縁層3には、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、アクリル、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂などの合成樹脂が用いられ、好ましくは、感光性合成樹脂が用いられ、さらに好ましくは、感光性ポリイミドが用いられる。
【0029】
例えば、感光性ポリイミドを用いて、金属支持基板2の上に、ベース絶縁層3を形成する場合には、まず、感光性ポリイミド樹脂前駆体のワニス(感光性ポリアミック酸樹脂溶液)を、金属支持基板2の表面全面に均一に塗布し、乾燥して皮膜を形成する。次いで、この皮膜を、必要により露光および現像し、その後、これを加熱して硬化することにより、金属支持基板2の上に、ベース絶縁層3を形成する。
【0030】
なお、ベース絶縁層3は、予め加工されたドライフィルムを、接着剤層などを介して金属支持基板2の上に貼着して、形成することもできる。
次いで、この方法では、図4(c)に示すように、ベース絶縁層3の表面全面に、金属薄膜15を形成する。金属薄膜15には、例えば、クロム、金、銀、白金、ニッケル、チタン、ケイ素、マンガン、ジルコニウム、およびそれらの合金、またはそれらの酸化物などが用いられる。金属薄膜15の形成は、めっきや真空蒸着法などが用いられ、好ましくは、真空蒸着法、とりわけ、スパッタ蒸着法が用いられる。より具体的には、例えば、ベース絶縁層3の表面全面に、クロム薄膜と銅薄膜とをスパッタ蒸着法によって順次形成する。なお、金属薄膜15は、厚みが、例えば、100〜3000Å、好ましくは、200〜2000Åである。
【0031】
次いで、図4(d)に示すように、金属薄膜15の上に、上記した配線回路パターンの反転パターンで第1めっきレジスト16を形成する。
第1めっきレジスト16は、特に制限されないが、例えば、ドライフィルムレジストを、金属薄膜15の表面全面に積層した後、露光および現像することにより、配線回路パターンの反転パターンとして形成する。
【0032】
次いで、この方法では、図4(e)に示すように、第1めっきレジスト16から露出する金属薄膜15の表面に、導体基部6を、上記した各配線4a、4b、4cおよび4dからなる配線回路パターンで形成する。
導体基部6には、例えば、銅、ニッケル、金、はんだ、またはそれらの合金などの金属が用いられ、好ましくは、銅が用いられる。また、導体基部6の形成は、無電解めっき、電解めっきなどのめっきが用いられ、好ましくは、電解めっきが用いられる。
【0033】
より具体的には、金属薄膜15の表面における第1めっきレジスト16が形成されていない部分に、電解銅めっきにより、銅からなる導体基部6を、配線回路パターンとして形成する。
次いで、この方法では、図4(f)に示すように、導体基部6の上に、外部端子部8を形成する部分が開口されるように、第2めっきレジスト17を形成する。
【0034】
第2めっきレジスト17は、特に制限されないが、例えば、第1めっきレジスト16と同様のドライフィルムレジストを、第1めっきレジスト16および導体基部6の表面全面に積層した後、露光および現像することにより、外部端子部8を形成する部分を開口するパターンとして形成する。
次いで、この方法では、図4(g)に示すように、第2めっきレジスト17から露出する導体基部6の表面に、外部端子部8を形成するための導体積層部7をさらに形成する。
【0035】
導体積層部7には、導体基部6と同様の金属が用いられる。導体積層部7の形成は、導体基部6の形成と同様に、めっき、好ましくは、電解めっきが用いられる。より具体的には、導体基部6の表面における第2めっきレジスト17が形成されていない部分に、電解銅めっきにより、銅からなる導体積層部7を形成する。
これによって、導体基部6の上に導体積層部7が一体的に積層された導体層4が形成される。
【0036】
次いで、この方法では、図4(h)に示すように、第2めっきレジスト17および第1めっきレジスト16、および、導体層4から露出する金属薄膜15を順次除去する。
第2めっきレジスト17および第1めっきレジスト16の除去は、例えば、プラズマやレーザによるドライエッチングや、アルカリ溶液を用いるウェットエッチングなどの公知のエッチング法または剥離が用いられる。
【0037】
また、金属薄膜15の除去は、例えば、プラズマやレーザによるドライエッチングや、塩化第二鉄水溶液を用いるウェットエッチングなどの公知のエッチング法が用いられる。
次いで、この方法では、図4(i)に示すように、ベース絶縁層3の上に、第1開口部10および第4開口部14が形成されるように、導体層4を被覆するカバー絶縁層5を形成する。カバー絶縁層5には、ベース絶縁層3と同様の材料が用いられ、好ましくは、感光性ポリイミドが用いられる。
【0038】
例えば、感光性ポリイミドを用いて、ベース絶縁層3の上に、カバー絶縁層5を形成する場合には、まず、感光性ポリアミック酸樹脂溶液を、ベース絶縁層3および導体層4の表面全面に塗布し、乾燥して皮膜を形成する。次いで、この皮膜を、公知のフォト加工において、フォトマスクを介して、露光および現像し、第1開口部10および第4開口部14が開口するパターンとして形成する。その後、これを加熱して硬化する。
【0039】
なお、感光性合成樹脂を用いない場合には、例えば、ベース絶縁層3の上に、導体層4を被覆するように、予め加工されたドライフィルムを、必要により接着剤層を介して貼着して、その貼着の前後において、ドライフィルムに、第1開口部10および第4開口部14を、例えば、ドリル加工やレーザ加工により穿孔する。
カバー絶縁層5の第4開口部14が形成されることにより、その第4開口部14から表面が露出する導体層4が、磁気ヘッド搭載部9とされる。
【0040】
次いで、この方法では、図4(j)に示すように、金属支持基板2に第3開口部12を形成する。第3開口部12の形成は、ドライエッチングやウェットエッチングなどの公知のエッチング法、ドリル加工やレーザ加工が用いられる。
例えば、ウェットエッチングでは、まず、第3開口部12を形成する部分を除く金属支持基板2の裏面と、ベース絶縁層3およびカバー絶縁層5の表面とに、エッチングレジストを形成する。エッチングレジストは、ドライフィルムフォトレジストなどを用いて、露光および現像する公知のフォト加工により形成する。その後、エッチングレジストから露出する金属支持基板2をエッチングする。金属支持基板2のエッチングは、例えば、エッチング液として、塩化第二鉄水溶液を用いて、浸漬法またはスプレー法によって、ウェットエッチングする。その後、エッチングレジストを、公知のエッチング法または剥離により除去する。
【0041】
次いで、この方法では、図4(k)に示すように、ベース絶縁層3に第2開口部11を形成する。第2開口部11の形成は、ドライエッチングやウェットエッチングなどの公知のエッチング法、ドリル加工やレーザ加工が用いられる。
例えば、ウェットエッチングでは、まず、第2開口部11を形成する部分を除く金属支持基板2の裏面と、ベース絶縁層3およびカバー絶縁層5の表面とに、エッチングレジストを形成する。エッチングレジストは、ドライフィルムフォトレジストなどを用いて、露光および現像する公知のフォト加工により形成する。その後、エッチングレジストから露出するベース絶縁層3をエッチングする。ベース絶縁層3のエッチングは、例えば、エッチング液として、アルカリ水溶液を用いて、浸漬法またはスプレー法によって、ウェットエッチングする。その後、エッチングレジストを、公知のエッチング法または剥離により除去する。
【0042】
これによって、カバー絶縁層5の第1開口部10から表面が露出し、ベース絶縁層3の第2開口部11および金属支持層2の第3開口部12から裏面が露出する導体層4が、外部端子部8とされる。
次いで、この方法では、図4(l)に示すように、外部端子部8の外周面と、磁気ヘッド搭載部9の表面とに、金属めっき層13を形成する。
【0043】
金属めっき層13には、金やニッケルなどの金属が用いられる。金属めっき層13の形成は、無電解めっきや電解めっきが用いられる。好ましくは、電解金めっきにより、金からなる金属めっき層13を形成する。
そして、このようにして得られた回路付サスペンション基板1では、外部端子部8が、その両面が露出するフライングリードとして形成されているが、導体基部6および導体積層部7から厚く形成されているので、厚み方向における物理的強度が高く、そのため、外部端子部8における断線を確実に防止することができる。しかも、磁気ヘッド搭載部9が、導体基部6のみから薄く形成されているので、磁気ヘッド搭載部9における柔軟性が高く、そのため、磁気ヘッド搭載部9に搭載された磁気ヘッドを、磁気ディスクに対して確実に追従させることができる。その結果、回路付サスペンション基板1における接続信頼性を向上させることができる。
【0044】
また、図4に示す回路付サスペンション基板1の製造方法によれば、導体層4を、アディティブ法により2段階で形成するので、導体層4を形成するためのめっき量を低減しつつ、簡易な構成により、確実に上記した回路付サスペンション基板1を製造することができる。
次に、本発明の配線回路基板の製造方法の第2実施形態を、図1に示す回路付サスペンション基板1の製造方法として、図5を参照して説明する。なお、図5は、図2に対応する断面として示しており、図4と同一の工程については、その詳細な説明は省略する。
【0045】
この方法では、まず、図5(a)に示すように、金属支持基板2を用意する。金属支持基板2には、上記と同様の金属が用いられる。
次いで、この方法では、図5(b)に示すように、金属支持基板2の上に、上記と同様の材料および方法により、ベース絶縁層3を形成する。
次いで、この方法では、図5(c)に示すように、ベース絶縁層3の表面全面に、上記と同様の金属および方法により、金属薄膜15を形成する。
【0046】
次いで、図5(d)に示すように、ベース絶縁層3の上に、配線回路パターンの反転パターンでめっきレジスト18を形成する。
めっきレジスト18は、第1の実施形態の第1めっきレジスト16の形成と同様の形成方法により、配線回路パターンの反転パターンとして形成する。
なお、めっきレジスト18は、上記と同様の方法でよいが、導体基部6および導体積層部7を形成するための厚みで形成される。
【0047】
次いで、この方法では、図5(e)に示すように、めっきレジスト18から露出する金属薄膜15の上に導体層4を、上記と同様の金属および方法により、配線回路パターンで形成する。
次いで、この方法では、図5(f)に示すように、導体層4における導体積層部7を形成する部分を被覆するように、エッチングレジスト19を形成する。エッチングレジスト19の形成は、上記と同様に、ドライフィルムフォトレジストなどを用いて、露光および現像する公知のフォト加工が用いられる。
【0048】
次いで、この方法では、図5(g)に示すように、エッチングレジスト19から露出する導体層4を、厚さ方向途中までエッチングする。
導体層4のエッチングは、例えば、ドライエッチングやウェットエッチングなどの公知のエッチング法が用いられる。このエッチングにより、導体層4において、エッチングされた部分が導体基部6となり、エッチングレジスト19の被覆により、エッチングされなかった部分が導体積層部7となる。
【0049】
次いで、この方法では、図5(h)に示すように、上記と同様の方法により、エッチングレジスト19、めっきレジスト18、および、導体層4から露出する金属薄膜15を順次除去する。
次いで、この方法では、図5(i)に示すように、ベース絶縁層3の上に、上記と同様の材料および方法により、第1開口部10および第4開口部14が形成されるように、導体層4を被覆するカバー絶縁層5を形成する。
【0050】
なお、カバー絶縁層5の第4開口部14が形成されることにより、その第4開口部14から表面が露出する導体層4が、磁気ヘッド搭載部9とされる。
次いで、この方法では、図5(j)に示すように、金属支持基板2に第3開口部12を、上記と同様の方法により形成し、次いで、図5(k)に示すように、ベース絶縁層3に第2開口部11を、上記と同様の方法により形成する。
【0051】
これによって、カバー絶縁層5の第1開口部10から表面が露出し、ベース絶縁層3の第2開口部11および金属支持層2の第3開口部12から裏面が露出する導体層4が、外部端子部8とされる。
次いで、この方法では、図5(l)に示すように、外部端子部8の外周面と、磁気ヘッド搭載部9の表面とに、上記と同様の金属および方法により、金属めっき層13を形成し、回路付サスペンション基板1を得る。
【0052】
図5に示す回路付サスペンション基板1の製造方法によれば、まず、導体層4を、アディティブ法により形成した後、サブトラクティブ法(エッチング)により、導体基部6および導体積層部7を形成するので、何度もめっきする手間を省略することができながら、簡易な構成により、確実に上記した回路付サスペンション基板1を製造することができる。
【0053】
なお、上記の説明では、本発明の配線回路基板を、回路付サスペンション基板を例示して説明したが、本発明の配線回路基板は、回路付サスペンション基板に限らず、通常のフレキシブル配線回路基板として形成することもできる。
次に、本発明の配線回路基板の製造方法の第3実施形態を、フレキシブル配線回路基板の製造方法として、図6を参照して説明する。なお、図6の説明において、図4または図5と同一の工程については、その詳細な説明は省略する。
【0054】
また、図6においては、上記した外部端子部8に代替して、フライングリードからなる第1端子部8が形成され、上記した磁気ヘッド搭載部9に代替して、カバー絶縁層5の第4開口部14から露出する第2端子部9が形成される。
この方法では、まず、図6(a)に示すように、ベース絶縁層3の上に導体層4が形成された二層基材を用意する。
【0055】
ベース絶縁層3には、上記した合成樹脂フィルムが用いられ、導体層4には、上記した金属が用いられている。このような二層基材は、例えば、市販の銅張積層板などを用いることができる。
次いで、この方法では、図6(b)に示すように、二層基材の導体層4の上に、配線回路パターンで第1エッチングレジスト20を形成する。
【0056】
第1エッチングレジスト20の形成は、ドライフィルムフォトレジストなどを用いて、露光および現像する公知のフォト加工により形成する。これによって、導体層4における配線回路パターンの形成部分が、第1エッチングレジスト20によって被覆される。
次いで、この方法では、図6(c)に示すように、第1エッチングレジスト20から露出する導体層4をエッチングして、導体層4を配線回路パターンに形成する。
【0057】
導体層4のエッチングは、特に制限されないが、例えば、ドライエッチングまたはウェットエッチングなどの公知のエッチング法が用いられる。より具体的には、エッチング液として、塩化第二鉄水溶液を用いて、浸漬法またはスプレー法によって、ウェットエッチングする。
次いで、この方法では、図6(d)に示すように、第1エッチングレジスト20を除去する。第1エッチングレジスト20の除去は、例えば、ドライエッチングやウェットエッチングなどの公知のエッチング法または剥離が用いられる。
【0058】
次いで、この方法では、図6(e)に示すように、導体層4における導体積層部7を形成する部分を被覆するように、第2エッチングレジスト21を形成する。第2エッチングレジスト21の形成は、上記と同様に、ドライフィルムフォトレジストなどを用いて、露光および現像する公知のフォト加工が用いられる。
次いで、この方法では、図6(f)に示すように、第2エッチングレジスト21から露出する導体層4を、厚さ方向途中までエッチングする。
【0059】
導体層4のエッチングは、例えば、ドライエッチングやウェットエッチングなどの公知のエッチング法が用いられる。このエッチングにより、導体層4において、エッチングされた部分が導体基部6となり、第2エッチングレジスト21の被覆により、エッチングされなかった部分が導体積層部7となる。
次いで、この方法では、図6(g)に示すように、上記と同様の方法により、第2エッチングレジスト21を除去する。
【0060】
次いで、この方法では、図6(h)に示すように、ベース絶縁層3の上に、上記と同様の材料および方法により、第1開口部10および第4開口部14が形成されるように、導体層4を被覆するカバー絶縁層5を形成する。
なお、カバー絶縁層5の第4開口部14が形成されることにより、その第4開口部14から表面が露出する導体層4が、第2端子部9とされる。
【0061】
次いで、この方法では、図6(i)に示すように、ベース絶縁層3に第2開口部11を、上記と同様の方法により形成する。
これによって、カバー絶縁層5の第1開口部10から表面が露出し、ベース絶縁層3の第2開口部11から裏面が露出する導体層4が、第2端子部8とされる。
次いで、この方法では、図6(j)に示すように、第1端子部8の外周面と、第2端子部9の表面とに、上記と同様の金属および方法により、金属めっき層13を形成し、フレキシブル配線回路基板を得る。
【0062】
図6に示すフレキシブル配線回路基板の製造方法によれば、二層基材から、導体層4を、サブトラクティブ法により2段階で形成するので、めっきする手間を省略することができながら、簡易な構成により、確実にフレキシブル配線回路基板を製造することができる。
【実施例】
【0063】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、何ら実施例に制限されることはない。
実施例1
厚み20μmのステンレス(SUS304)箔からなる金属支持基板を用意した(図4(a)参照)。次いで、金属支持基板の表面全面に、感光性ポリアミック酸樹脂溶液を均一に塗布し、乾燥して皮膜を形成した後、加熱して硬化することにより、厚み10μmのポリイミドからなるベース絶縁層を形成した(図4(b)参照)。
【0064】
次いで、ベース絶縁層の表面全面に、スパッタ蒸着法によって、金属薄膜として、厚み500Åのクロム薄膜と厚み1000Åの銅薄膜とを順次形成した(図4(c)参照)。その後、金属薄膜の表面全面に、ドライフィルムレジストを積層した後、露光および現像することにより、配線回路パターンの反転パターンの第1めっきレジストを形成した(図4(d)参照)。その後、金属薄膜の表面における第1めっきレジストが形成されていない部分に、電解銅めっきにより、銅からなる厚み8μmの導体基部を、上記した配線回路パターンで形成した(図4(e)参照)。
【0065】
次いで、ドライフィルムレジストを、第1めっきレジストおよび導体基部の表面全面に積層した後、露光および現像することにより、外部端子部を形成する部分を開口するパターンとし、これによって、第2めっきレジストを形成した(図4(f)参照)。その後、導体基部の表面における第2めっきレジストが形成されていない部分に、電解銅めっきにより、銅からなる厚み7μmの導体積層部を形成した(図4(g)参照)。これによって、導体基部の上に導体積層部を一体的に積層した導体層を形成した。
【0066】
次いで、第2めっきレジストおよび第1めっきレジストを剥離した後、導体層から露出する金属薄膜を、塩化第二鉄水溶液を用いてエッチングした(図4(h)参照)。
その後、感光性ポリアミック酸樹脂溶液を、ベース絶縁層および導体層の表面全面に塗布し、乾燥して皮膜を形成した後、この皮膜を、フォトマスクを介して露光および現像し、第1開口部および第4開口部が開口するパターンとして形成し、その後、これを加熱して硬化することにより、厚み5μmのカバー絶縁層を形成した(図4(i)参照)。これによって、第4開口部から露出する導体層を、磁気ヘッド搭載部とした。
【0067】
次いで、第3開口部を形成する部分を除く金属支持基板の裏面と、ベース絶縁層およびカバー絶縁層の表面とに、ドライフィルムフォトレジストからなるエッチングレジストを、フォト加工により形成した。その後、エッチングレジストから露出する金属支持基板を塩化第二鉄水溶液を用いてエッチングした後、エッチングレジストを剥離することにより、金属支持基板に第3開口部を形成した(図4(j)参照)。
【0068】
続いて、第2開口部を形成する部分を除く金属支持基板の裏面と、ベース絶縁層およびカバー絶縁層の表面とに、ドライフィルムフォトレジストからなるエッチングレジストを、フォト加工により形成した。その後、エッチングレジストから露出するベース絶縁層をアルカリ水溶液を用いてエッチングした後、エッチングレジストを剥離することにより、ベース絶縁層に第2開口部を形成した(図4(k)参照)。これによって、カバー絶縁層の第1開口部から表面が露出し、ベース絶縁層の第2開口部および金属支持層の第3開口部から裏面が露出する導体層を、外部端子部とした。
【0069】
次いで、外部端子部の外周面と、磁気ヘッド搭載部の表面とに、電解金めっきにより、厚み2μmの金からなる金属めっき層を形成することにより、回路付サスペンション基板を得た(図4(l)参照)。
実施例2
厚み20μmのステンレス(SUS304)箔からなる金属支持基板を用意した(図5(a)参照)。次いで、金属支持基板の表面全面に、感光性ポリアミック酸樹脂溶液を均一に塗布し、乾燥して皮膜を形成した後、加熱して硬化することにより、厚み10μmのポリイミドからなるベース絶縁層を形成した(図5(b)参照)。
【0070】
次いで、ベース絶縁層の表面全面に、スパッタ蒸着法によって、金属薄膜として、厚み500Åのクロム薄膜と厚み1000Åの銅薄膜とを順次形成した(図5(c)参照)。その後、金属薄膜の表面全面に、ドライフィルムレジストを積層した後、露光および現像することにより、配線回路パターンの反転パターンのめっきレジストを形成した(図5(d)参照)。その後、金属薄膜の表面におけるめっきレジストが形成されていない部分に、電解銅めっきにより、銅からなる厚み15μmの導体層を、上記した配線回路パターンで形成した(図5(e)参照)。
【0071】
次いで、導体層における導体積層部を形成する部分を被覆するように、ドライフィルムフォトレジストをフォト加工により積層して、エッチングレジストを形成した(図5(f)参照)。その後、エッチングレジストから露出する導体層を、厚さ方向途中までエッチングした(図5(g)参照)。これによって、導体層において、エッチングされた部分を導体基部とし、エッチングされなかった部分を導体積層部とした。
【0072】
次いで、エッチングレジストおよびめっきレジストを剥離した後、導体層から露出する金属薄膜を、塩化第二鉄水溶液を用いてエッチングした(図5(h)参照)。
その後、感光性ポリアミック酸樹脂溶液を、ベース絶縁層および導体層の表面全面に塗布し、乾燥して皮膜を形成した後、この皮膜を、フォトマスクを介して露光および現像し、第1開口部および第4開口部が開口するパターンとして形成し、その後、これを加熱して硬化することにより、厚み5μmのカバー絶縁層を形成した(図5(i)参照)。これによって、第4開口部から露出する導体層を、磁気ヘッド搭載部とした。
【0073】
次いで、第3開口部を形成する部分を除く金属支持基板の裏面と、ベース絶縁層およびカバー絶縁層の表面とに、ドライフィルムフォトレジストからなるエッチングレジストを、フォト加工により形成した。その後、エッチングレジストから露出する金属支持基板を塩化第二鉄水溶液を用いてエッチングした後、エッチングレジストを剥離することにより、金属支持基板に第3開口部を形成した(図5(j)参照)。
【0074】
続いて、第2開口部を形成する部分を除く金属支持基板の裏面と、ベース絶縁層およびカバー絶縁層の表面とに、ドライフィルムフォトレジストからなるエッチングレジストを、フォト加工により形成した。その後、エッチングレジストから露出するベース絶縁層をアルカリ水溶液を用いてエッチングした後、エッチングレジストを剥離することにより、ベース絶縁層に第2開口部を形成した(図5(k)参照)。これによって、カバー絶縁層の第1開口部から表面が露出し、ベース絶縁層の第2開口部および金属支持層の第3開口部から裏面が露出する導体層を、外部端子部とした。
【0075】
次いで、外部端子部の外周面と、磁気ヘッド搭載部の表面とに、電解金めっきにより、厚み2μmの金からなる金属めっき層を形成することにより、回路付サスペンション基板を得た(図5(l)参照)。
実施例3
厚み10μmのポリイミドからなるベース絶縁層の上に、厚み18μmの銅箔からなる導体層が形成された二層基材(銅張積層板)を用意し(図6(a)参照)、その導体層の上に、ドライフィルムフォトレジストをフォト加工することにより配線回路パターンで第1エッチングレジストを形成した(図6(b)参照)。
【0076】
その後、第1エッチングレジストから露出する導体層を、塩化第二鉄水溶液を用いてエッチングして、導体層を配線回路パターンに形成した(図6(c)参照)。
次いで、第1エッチングレジストを剥離した後(図6(d)参照)、導体層における導体積層部を形成する部分を被覆するように、ドライフィルムフォトレジストをフォト加工により積層して、第2エッチングレジストを形成した(図6(e)参照)。その後、第2エッチングレジストから露出する導体層を、厚さ方向途中までエッチングした(図6(f)参照)。これによって、導体層において、エッチングされた部分を導体基部とし、エッチングされなかった部分を導体積層部とした。その後、第2エッチングレジストを剥離した(図6(g)参照)。
【0077】
その後、感光性ポリアミック酸樹脂溶液を、ベース絶縁層および導体層の表面全面に塗布し、乾燥して皮膜を形成した後、この皮膜を、フォトマスクを介して露光および現像し、第1開口部および第4開口部が開口するパターンとして形成し、その後、これを加熱して硬化することにより、厚み5μmのカバー絶縁層を形成した(図6(h)参照)。これによって、第4開口部から露出する導体層を、第2端子部とした。
【0078】
続いて、第2開口部を形成する部分を除くベース絶縁層の裏面と、カバー絶縁層の表面とに、ドライフィルムフォトレジストからなるエッチングレジストを、フォト加工により形成した。その後、エッチングレジストから露出するベース絶縁層をアルカリ水溶液を用いてエッチングした後、エッチングレジストを剥離することにより、ベース絶縁層に第2開口部を形成した(図6(i)参照)。これによって、カバー絶縁層の第1開口部から表面が露出し、ベース絶縁層の第2開口部から裏面が露出する導体層を、第2端子部とした。
【0079】
次いで、第2端子部の外周面と、第1端子部の表面とに、電解金めっきにより、厚み2μmの金からなる金属めっき層を形成することにより、フレキシブル配線回路基板を得た(図6(j)参照)。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の配線回路基板の一実施形態である回路付サスペンション基板を示す要部平面図である。
【図2】図1のA−A’線断面図である。
【図3】図1のB−B’線断面図である。
【図4】本発明の配線回路基板の製造方法の第1実施形態としての回路付サスペンション基板の製造方法を示す製造工程図であって、(a)は、金属支持基板を用意する工程、(b)は、金属支持基板の上に、ベース絶縁層を形成する工程、(c)は、ベース絶縁層の表面全面に、金属薄膜を形成する工程、(d)は、金属薄膜の上に、配線回路パターンの反転パターンで第1めっきレジストを形成する工程、(e)は、第1めっきレジストから露出する金属薄膜の表面に、導体基部を配線回路パターンで形成する工程、(f)は、導体基部の上に、外部端子部を形成する部分が開口されるように、第2めっきレジストを形成する工程、(g)は、第2めっきレジストから露出する導体基部の表面に、導体積層部を形成する工程、(h)は、第2めっきレジスト、第1めっきレジストおよび導体層から露出する金属薄膜を順次除去する工程、(i)は、ベース絶縁層の上に、第1開口部および第4開口部が形成されるように、導体層を被覆するカバー絶縁層を形成する工程、(j)は、金属支持基板に第3開口部を形成する工程、(k)は、ベース絶縁層に第2開口部を形成する工程、(l)は、外部端子部の外周面と磁気ヘッド搭載部の表面とに、金属めっき層を形成する工程を示す。
【図5】本発明の配線回路基板の製造方法の第2実施形態としての回路付サスペンション基板の製造方法を示す製造工程図であって、(a)は、金属支持基板を用意する工程、(b)は、金属支持基板の上に、ベース絶縁層を形成する工程、(c)は、ベース絶縁層の表面全面に、金属薄膜を形成する工程、(d)は、金属薄膜の上に、配線回路パターンの反転パターンでめっきレジストを形成する工程、(e)は、めっきレジストから露出する金属薄膜の表面に、導体層を配線回路パターンで形成する工程、(f)は、導体層における導体積層部を形成する部分を被覆するように、エッチングレジストを形成する工程、(g)は、エッチングレジストから露出する導体層を、厚さ方向途中までエッチングする工程、(h)は、エッチングレジスト、めっきレジストおよび導体層から露出する金属薄膜を順次除去する工程、(i)は、ベース絶縁層の上に、第1開口部および第4開口部が形成されるように、導体層を被覆するカバー絶縁層を形成する工程、(j)は、金属支持基板に第3開口部を形成する工程、(k)は、ベース絶縁層に第2開口部を形成する工程、(l)は、外部端子部の外周面と磁気ヘッド搭載部の表面とに、金属めっき層を形成する工程を示す。
【図6】本発明の配線回路基板の製造方法の第3実施形態としてのフレキシブル配線回路基板の製造方法を示す製造工程図であって、(a)は、ベース絶縁層の上に導体層が形成された二層基材を用意する工程、(b)は、導体層の上に、配線回路パターンで第1エッチングレジストを形成する工程、(c)は、第1エッチングレジストから露出する導体層をエッチングして、導体層を配線回路パターンに形成する工程、(d)は、第1エッチングレジストを除去する工程、(e)は、導体層における導体積層部を形成する部分を被覆するように、第2エッチングレジストを形成する工程、(f)は、第2エッチングレジストから露出する導体層を、厚さ方向途中までエッチングする工程、(g)は、第2エッチングレジストを除去する工程、(h)は、ベース絶縁層の上に、第1開口部および第4開口部が形成されるように、導体層を被覆するカバー絶縁層を形成する工程、(i)は、ベース絶縁層に第2開口部を形成する工程、(j)は、第1端子部の外周面と第2端子部の表面とに、金属めっき層を形成する工程を示す。
【符号の説明】
【0081】
1 回路付サスペンション基板
2 金属支持層
3 ベース絶縁層
4 導体層
5 カバー絶縁層
8 外部端子部(第1端子部)
9 磁気ヘッド端子部(第2端子部)
16 第1めっきレジスト
17 第2めっきレジスト
18 めっきレジスト
19 エッチングレジスト
20 第1エッチングレジスト
21 第2エッチングレジスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の上に、配線回路パターンとして形成された導体層と、
前記第1絶縁層の上に前記導体層を被覆するように形成された第2絶縁層と、
前記導体層の同一位置において前記第1絶縁層および前記第2絶縁層が開口されることにより、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層から、その表面および裏面が露出する前記導体層からなる第1端子部と、
前記第2絶縁層のみが開口されることにより、前記第2絶縁層のみから、その表面のみが露出する前記導体層からなる第2端子部とを備え、
前記第1端子部の厚みが、前記第2端子部の厚みよりも、厚いことを特徴とする、配線回路基板。
【請求項2】
前記第1端子部の厚みは、前記第2端子部の厚みよりも、3〜12μm厚いことを特徴とする、請求項1に記載の配線回路基板。
【請求項3】
前記配線回路基板が、回路付サスペンション基板であることを特徴とする、請求項1または2に記載の配線回路基板。
【請求項4】
第1絶縁層を用意する工程、
前記第1絶縁層の上に、配線回路パターンの反転パターンで第1めっきレジストを形成する工程、
前記第1めっきレジストから露出する前記第1絶縁層の上に導体層を配線回路パターンで形成する工程、
前記導体層の上に、第1端子部を形成する部分が開口されるように、第2めっきレジストを形成する工程、
前記第2めっきレジストから露出する前記導体層の上に、前記第1端子部を形成するための導体層をさらに形成する工程、
前記第2めっきレジストおよび前記第1めっきレジストを除去する工程、
前記第1絶縁層の上に、前記第1端子部を形成する部分と第2端子部を形成する部分とが開口するように、前記導体層を被覆する第2絶縁層を形成する工程、および、
前記第1絶縁層における前記第1端子部を形成する部分を開口する工程
を備えていることを特徴とする、配線回路基板の製造方法。
【請求項5】
第1絶縁層を用意する工程、
前記第1絶縁層の上に、配線回路パターンの反転パターンでめっきレジストを形成する工程、
前記めっきレジストから露出する前記第1絶縁層の上に導体層を配線回路パターンで形成する工程、
前記導体層の上に、第1端子部を形成する部分を被覆するエッチングレジストを形成する工程、
前記エッチングレジストから露出する前記導体層を、厚さ方向途中までエッチングする工程、
前記めっきレジストおよび前記エッチングレジストを除去する工程、
前記第1絶縁層の上に、前記第1端子部を形成する部分と第2端子部を形成する部分とが開口するように、前記導体層を被覆する第2絶縁層を形成する工程、および、
前記第1絶縁層における前記第1端子部を形成する部分を開口する工程
を備えていることを特徴とする、配線回路基板の製造方法。
【請求項6】
第1絶縁層の上に導体層が形成された二層基材を用意する工程、
前記導体層の上に、配線回路パターンで第1エッチングレジストを形成する工程、
前記第1エッチングレジストから露出する前記導体層を、配線回路パターンにエッチングする工程、
前記第1エッチングレジストを除去する工程、
前記導体層の上に、第1端子部を形成する部分を被覆する第2エッチングレジストを形成する工程、
前記第2エッチングレジストから露出する前記導体層を、厚さ方向途中までエッチングする工程、
前記第2エッチングレジストを除去する工程、
前記第1絶縁層の上に、前記第1端子部を形成する部分と第2端子部を形成する部分とが開口するように、前記導体層を被覆する第2絶縁層を形成する工程、および、
前記第1絶縁層における前記第1端子部を形成する部分を開口する工程
を備えていることを特徴とする、配線回路基板の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−310491(P2006−310491A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−130421(P2005−130421)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】