説明

配線基板の製造方法及び配線基板

【課題】本発明は仮基板上に配線基板を形成した後、当該仮基板を除去する工程を含む配線基板の製造方法及び配線基板関し、実装される電子部品との接続性の向上を図ることを課題とする。
【解決手段】半導体チップ40を搭載した配線基板の製造方法であって、支持体10の表面接続パッド18の形成位置と対応する位置に窪んだ凹状の曲面状凹部13を形成する工程と、配線部材30を形成する工程と、配線部材30から支持体10を除去することにより、支持体10に形成された曲面状凹部13に対応し基板表面から突出した曲面凸状パッド18を形成する工程と、半導体チップ40の外部接続端子となるポスト状端子40aを前記接続パッド18にはんだ付けする工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配線基板の製造方法及び配線基板に係り、特に曲面部を有する接続パッドが設けられた配線基板や、支持体上に配線基板を形成した後に当該支持体を除去する工程を含む配線基板の製造方法及び配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子部品が実装される配線基板を製造する方法として、支持体の上に剥離できる状態で所要の配線層を形成した後に、配線層を支持体から分離して配線基板を得る方法がある。特許文献1及び2には、樹脂基板の上に銅箔をその周縁側のみを接着層で接着して形成することにより仮基板(支持体)を形成し、その上にビルドアップ配線層を形成した後に、その接着層の内側部分を切断することにより、銅箔及びビルドアップ配線層を仮基板から分離して配線基板を得る方法が記載されている。
【0003】
この種の配線基板の製造方法では、ビルドアップ配線層の形成時には仮基板が支持体として機能するため、ビルドアップ配線層を確実に制度よく形成することができる。また、ビルドアップ配線層が形成された後に仮基板は除去されるため、製造される配線基板の薄型化及び電気的特性の向上を図ることができる。
【0004】
ところで、従来では支持体のビルドアップ配線層が形成される面は平坦な面とされており、その表面に特に加工を行うことはされていなかった。このため、ビルドアップ配線層の金属配線の外部に露出した接続端子となる部位(以下、外部接続端子部という)は、仮基板の表面が転写されるために平坦面となっていた。
【特許文献1】特開2005−236244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、外部接続端子部が平坦面である配線基板は、この配線基板に電子部品を実装し接合金属(例えば、はんだ)で接合しようとした場合、接合強度に問題が生じる場合がある。例えば、電子部品と配線基板の熱膨張率の相違に起因した応力が発生した場合、この応力は外部接続端子と電子部品の端子との接触部分に印加されてしまう。このため、外部接続端子が平坦面であると、電子部品の端子との接合部分の接合強度が不足し接続不良が発生してしまうおそれがあるという問題点があった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、実装される電子部品との接続性の向上を図りうる配線基板の製造方法及び配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、本発明の第1の観点からは、
半導体チップを搭載した配線基板の製造方法であって、
支持体の表面で、配線基板の接続パッドの形成位置と対応する位置に窪んだ凹状の曲面を形成する工程と、
前記支持体上に、配線層と絶縁層を積層した配線部材を形成する工程と、
前記配線部材から前記支持体を除去することにより、前記支持体に形成された凹状の曲面に対応し基板表面から突出した曲面形状を有する接続パッドを形成する工程と、
前記半導体チップの外部接続端子となるポスト状端子を前記接続パッドにはんだ付けする工程とを有することを特徴とする配線基板の製造方法により解決することができる。
【0008】
また上記の課題は、本発明の第2の観点からは、
配線層と絶縁層が積層された配線部材と、
前記配線層に接続されており、基板表面から突出すると共にその表面が曲面形状とされた接続パッドと、
半導体チップとを有する配線基板であって、
前記半導体チップの外部接続端子となるポスト状端子を前記接続パッドにはんだ付けしてなる構成の配線基板により解決することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、接続パッドとポスト状端子は点接触することとなるため、この点接触位置以外の接続パッドとポスト状端子との間にははんだが介在することになる。よって、接続パッドとポスト状端子に対するはんだの接触面積を増大することができ、接続パッドとポスト状端子の背号強度を高めることができる。
【0010】
また、接続パッドとポスト状端子との間に介在するはんだは、一種の緩衝材として機能する。このため、接続パッドとポスト状端子との接合位置に応力が印加されたいとしても、この応力ははんだが変形することにより吸収され、よって接続パッドとポスト状端子の接合信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面と共に説明する。
(本発明の実施形態)
図1〜図6は本発明の一実施形態の配線基板の製造方法を順に示す断面図である。配線基板を製造するには、先ず図1(A)に示すように、一対の銅箔12(支持体)を用意する。この銅箔12の厚さは、例えば35〜100μmである。また銅箔12には、配線形成領域Aとその外側の外周部Bがそれぞれ画定されている。
【0012】
上記の一対の銅箔12は、接着剤11により接着されて一体化し、支持体10(支持体の複合体)を形成する。図1(B)は、一対の銅箔12が接着剤11により接着され、支持体10が形成された状態を示している。
【0013】
接着剤11の配設位置は、外周部B内に設定されている。よって、外周部Bを除く配線形成領域Aにおいては、一対の銅箔12は接着されておらず、単に対峙した状態となっている。尚、図1(B)では理解を容易とするために、接着剤11の厚さを実際より誇張して示し、よって一対の銅箔12が離間しているように図示している。しかしながら、実際の接着剤11は薄い膜となっており、よって一対の銅箔12は略密着した状態となっている。
【0014】
次いで、図1(C)に示すように、支持体10の両面側に、所要部(後述する曲面凸状接続パッド18の形成位置に対応する位置)に開口部16Xが設けられたレジスト膜16を形成する。このレジスト膜16としては、例えばドライフィルムを利用することができる。
【0015】
支持体10にレジスト膜16が形成されると、この支持体10はエッチング装置内に投入される。図2(A)は、支持体10がエッチング装置内に投入された状態を模式的に示す図である。エッチング装置内に投入された支持体10は、図示しない搬送ローラに案内されて装置内を図中左方向に速度Vで移動する。
【0016】
また、同図に示すようにエッチング装置内には、支持体10の移動位置を挟んでその上下に複数のシャワーノズル19が配設されている。この各シャワーノズル19からは、銅箔12をエッチングするエッチング液が噴射される構成とされている。
【0017】
シャワーノズル19からのエッチング液は、レジスト膜16に形成された開口部16Xを介して銅箔12に噴射され、よって銅箔12はこのエッチング液によりエッチングされる。この際、シャワーノズル19からのエッチング液による銅箔12のエッチング量は、銅箔12の厚さの範囲内で行われるよう設定されている。このエッチング量の調整は、エッチング装置内における支持体10の搬送速度により制御することが可能である。
【0018】
図2(B)は、エッチング装置で銅箔12がエッチングされた状態を示している。シャワーノズル19からのエッチング液は、開口部16Xの中央部分に多く噴射され、レジスト膜16の外周近傍においては噴射量が少なくなるため、開口部16Xの中央位置における銅箔12のエッチング量は大きくなり、外周に行くほどエッチング量は小さくなる。このため、エッチング後における開口部16X内における銅箔12の表面形状は、球面状の曲面を有した凹部となる(以下、この部位を曲面状凹部13という)。この曲面状凹部13は、後述する曲面凸状接続パッド18の形成位置に対応する位置に形成される。
【0019】
尚、本実施形態では上記のように曲面状凹部13を形成するのにエッチング法を用いているが、曲面状凹部13の形成はエッチング法に限定されるものではなく、例えばサンドブラスト処理やプレス加工等によっても形成することが可能である。
【0020】
上記のように銅箔12の曲面凸状接続パッド18の形成位置に対応する位置に、曲面状凹部13が形成されると、銅箔12をめっき給電層に利用する電解めっきにより、図3(A)に示すように曲面状凹部13上には第1配線層となる曲面凸状接続パッド18が形成される。この曲面凸状接続パッド18は、レジスト膜16に形成された開口部16X内に形成されており、パッド表面めっき層25とパッド本体26とにより構成されている。
【0021】
パッド表面めっき層25は図5(C)に拡大して示すように、Au膜25a,Pd膜25b,Ni膜25cにより形成されている。よって、曲面凸状接続パッド18を形成するには、先ずAu膜25a,Pd膜25b,Ni膜25cを順にめっきすることによりパッド表面めっき層25を形成し、続いてこのパッド表面めっき層25上にCuからなるパッド本体26をめっきにより形成する。
【0022】
この際、曲面凸状接続パッド18は、前記のように曲面状凹部13上に形成される。また、曲面状凹部13の形状は、従来のような平坦面ではなく球面状の曲面を有した凹部である。このため図5(C)に示されるように、パッド本体26の配線基板表面(具体的には、第1絶縁層20の表面)から露出する部分に曲面部26aが形成され、この曲面部26aの表面にパッド表面めっき層25が形成された構成となる。
【0023】
このように曲面凸状接続パッド18が形成されると、その後に図3(B)に示すように、レジスト膜16が除去される。尚、曲面凸状接続パッド18は、後に説明するように第1の接続端子C1として機能する。
【0024】
続いて、図3(C)に示すように、支持体10の上下両面に曲面凸状接続パッド18及び接続端子C1を被覆する第1絶縁層20をそれぞれ形成する。第1絶縁層20の材料としては、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂などが使用される。第1絶縁層20の形成方法の一例としては、支持体10の両面側に樹脂フィルムをそれぞれラミネートした後に、樹脂フィルムをプレス(押圧)しながら130〜150℃の温度で熱処理して硬化させることにより第1絶縁層20を得ることができる。
【0025】
次いで、図3(D)に示すように、支持体10の上下両面に形成された第1絶縁層20に、曲面凸状接続パッド18が露出するようにレーザ加工法等を用いて第1ビアホール20Xをそれぞれ形成する。尚、第1絶縁層20は、感光性樹脂膜をフォトリソグラフィによりパターニングして形成してもよいし、またスクリーン印刷により開口部が設けられた樹脂膜をパターニングする方法を用いてもよい。
【0026】
続いて、図3(E)に示すように、支持体10の両面側に、第1ビアホール20Xを介して曲面凸状接続パッド18(第1配線層)18に接続される銅(Cu)などからなる第2配線層18aを第1絶縁層20上にそれぞれ形成する。第2配線層18aは、例えばセミアディティブ法により形成される。
【0027】
詳しく説明すると、先ず、無電解めっき又はスパッタ法により、第1ビアホール20X内及び第1絶縁層20の上にCuシード層(不図示)を形成した後に、第2配線層18aに対応する開口部を備えたレジスト膜(不図示)を形成する。次いで、Cuシード層をめっき給電層に利用した電解めっきにより、レジスト膜の開口部にCu層パターン(不図示)を形成する。
【0028】
続いて、レジスト膜を除去した後に、Cu層パターンをマスクにしてCuシード層をエッチングすることにより、第2配線層18aを得る。尚、第2配線層18aの形成方法としては、上記したセミアディティブ法の他にサブトラクティブ法などの各種の配線形成方法を採用できる。
【0029】
次いで、図4(A)に示すように、上記と同様な工程を繰り返すことにより、支持体10の上下両面側に、第2配線層18aを被覆する第2絶縁層20aをそれぞれ形成した後に、第2配線層18a上の第2絶縁層20aの部分に第2ビアホール20Yをそれぞれ形成する。更に、第2ビアホール20Yを介して第2配線層18aに接続される第3配線層18bを支持体10の両面側の第2絶縁層20a上にそれぞれ形成する。
【0030】
更に、支持体10の上下両面側に、第3配線層18bを被覆する第3絶縁層20bをそれぞれ形成した後に、第3配線層18b上の第3絶縁層20bの部分に第3ビアホール20Zをそれぞれ形成する。更に、第3ビアホール20Zを介して第3配線層18bに接続される第4配線層18cを、支持体10の両面側の第第3絶縁層20b上にそれぞれ形成する。
【0031】
続いて、支持体10の両面側の第4配線層18c上には、開口部22Xが設けられたソルダーレジスト膜22がそれぞれ形成される。これにより、ソルダーレジスト膜22の開口部22X内に露出する第4配線層18cが第2の接続端子C2となる。尚、必要に応じてソルダーレジスト膜22の開口部22X内の第4配線層18cにNi/Auめっき層などのコンタクト層43を形成してもよい。
【0032】
このようにして、支持体10上の曲面凸状接続パッド18(接続端子C1)の上に所要のビルドアップ配線層が形成される。上記した例では、4層のビルドアップ配線層(第1〜第4配線層18〜18c)を形成したが、n層(nは1以上の整数)のビルドアップ配線層を形成してもよい。
【0033】
次いで、図4(B)に示すように、ビルドアップ配線層が形成された支持体10の周縁に対応する部分(接着剤11により接続されている部分)を切断し外周部Bを廃棄する。前記ように一対の銅箔12は、接着剤11により接着された以外の部分(配線形成領域A)は、単に一対の銅箔12が対峙した状態となっている。このため、接着剤11により接続されている外周部Bを除去することにより、図5(A)に示すように、支持体10は一対の銅箔12が対向する位置で容易に分離することができる。これによって、銅箔12とビルドアップ配線層とからなる配線部材30がそれぞれ得られる。
【0034】
その後に、図5(B)に示すように、配線部材30の銅箔12を第1配線層18及び第1絶縁層20に対して選択的に除去する。例えば、塩化第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶液又は過硫酸アンモニウム水溶液などを用いたウェットエッチングにより、第1配線層18(Auなど)及び第1絶縁層20に対して銅箔12を選択的にエッチングして除去することができる。
【0035】
銅箔12を除去することにより、第1絶縁層20から第1の接続端子C1として機能する曲面凸状接続パッド18が露出した状態となる。図5(C)は、第1絶縁層20から露出した曲面凸状接続パッド18を拡大して示している。
【0036】
同図に示すように、曲面凸状接続パッド18はパッド本体26の上部にパッド表面めっき層25が形成された構成とされている。また、曲面凸状接続パッド18の形状は、図2(B)に示した曲面状凹部13の形状を転写した形状となっている。具体的には、パッド本体26の配線基板表面(第1絶縁層20の表面)から露出する部分に曲面部26aが形成され、この曲面部26aの表面にパッド表面めっき層25が形成された構成となっている。
【0037】
次いで、第1絶縁層20から露出した曲面凸状接続パッド18にはんだが印刷され、このはんだ印刷がされた配線部材30はリフロー炉に装着されてリフロー処理が行われる。これにより、曲面凸状接続パッド18にはんだバンプ29(接合金属)を形成する。以上の各種製造工程を経ることにより、図6に示すように、配線基板1が製造される。
【0038】
尚、支持体10が多数個取りの基板であった場合には、はんだバンプ29の形成工程が終了した後、配線部材30を個々の配線基板1に対応する領域で切断(ダイシング等)し、これにより配線基板1を個片化する工程が追加される。
【0039】
図7は、上記のように製造された配線基板1に半導体チップ40を実装した状態を示している。同図に示す例では、半導体チップ40はポスト状端子40aを外部接続端子としており、このポスト状端子40aを第1の接続端子C1として機能する曲面凸状接続パッド18に接続した構成としている。
【0040】
この接続状態で、ポスト状端子40aの先端部は曲面凸状接続パッド18の上面と接触しており、またポスト状端子40aと曲面凸状接続パッド18ははんだバンプ29によりはんだ付けされている。更に、半導体チップ40と第1絶縁層20との間にはアンダーフィル樹脂41が充填された構成とされている。尚、第4配線層18cは、配線基板1を例えばマザーボード(図示せず)等に実装するときの外部接続端子(第2の接続端子C2)として機能する。
【0041】
図8は、ポスト状端子40aと曲面凸状接続パッド18との接合位置を拡大して示す図である。ポスト状端子40aの下端部は、同図に示すように、通常は平坦面となっている。これに対し、本実施形態に係る製造方法により製造される配線基板1は、曲面凸状接続パッド18のポスト状端子40aと接触する形状が平坦ではなく曲面形状となっている。
【0042】
具体的には、本実施形態では曲面凸状接続パッド18の先端形状が球面状の曲面を有した凸形状となっている。このため、ポスト状端子40aと曲面凸状接続パッド18は、図8に矢印P1で示す点でのみ接触(即ち、点接触)することとなる。
【0043】
また、このようにポスト状端子40aと曲面凸状接続パッド18が点P1において点接触することにより、この点P1の周囲にはポスト状端子40aの底面と曲面凸状接続パッド18の表面との間に離間領域(図中、矢印P2で示す)が形成される。そして、この矢印P2で示す離間領域には、はんだ(はんだバンプ29)が進入する。
【0044】
よって、ポスト状端子40aと曲面凸状接続パッド18が直接接触するのは点P1のみであり、この点P1以外のポスト状端子40aの底面と曲面凸状接続パッド18の表面とが対向する部分では、曲面凸状接続パッド18とポスト状端子40aとの間にはんだが介在した構成となっている。はんだは、曲面凸状接続パッド18(銅が主材料)及びポスト状端子40a(例えば銅合金)の材料よりもやわらかい。
【0045】
従って、曲面凸状接続パッド18とポスト状端子40aとの間にはんだが介在することにより、このはんだが一種の緩衝材としての機能を奏する。これにより、例えば配線基板1と半導体チップ40との熱膨張率の相違等に起因して曲面凸状接続パッド18とポスト状端子40aとの接合位置に応力が印加されたいとしても、この応力は曲面凸状接続パッド18とポスト状端子40aとの間に介在するはんだが変形することにより吸収される。
【0046】
よって、配線基板1と半導体チップ40との間に発生する機械的ストレスを軽減することができ、曲面凸状接続パッド18とポスト状端子40aとの接合信頼性を高めることができる。また、はんだバンプ29の曲面凸状接続パッド18及びポスト状端子40aとの接触面積が増大するため、曲面凸状接続パッド18とポスト状端子40aとの接合強度を高めることができる。
【0047】
図9は、半導体チップ40を配線基板1に実装する際の他の実装構造を示している。即ち、図7を用いて先に説明した半導体チップ40を配線基板1に実装する構造では、第1の接続端子C1である曲面凸状接続パッド18に半導体チップ40を実装した例を示した。これに対して図9に示す実装構造では、ボール状端子40bを用いて配線基板1の第4配線層18c(接続端子C2)に半導体チップ40を接続すると共に、配線基板1をマザーボード(図示せず)に実装するための接続端子C1として曲面凸状接続パッド18を用いる構成とした。
【0048】
図9(A)は、曲面凸状接続パッド18にはんだバンプ29を配設した例を示している。また、図9(B)は曲面凸状接続パッド18にリードピン45を配設した例を示している。
【0049】
リードピン45は、曲面凸状接続パッド18と接合されるヘッド部45aと、このヘッド部45aから下方に延出するピン部45bとにより構成される。また、曲面凸状接続パッド18とヘッド部45aは、はんだ46を用いて接合される。この際、曲面凸状接続パッド18は表面が曲面とされているため、はんだ46との接合面背かが増加し、よってリードピン45と曲面凸状接続パッド18との接合強度を高めることができる。
【0050】
上記のように、配線基板1に形成される曲面凸状接続パッド18は、必ずしも半導体チップ40との接続に限定的にしようされるものではなく、マザーボード等の外部装置と配線基板1とを接続する外部接続端子としても用いることが可能である。この場合、曲面凸状接続パッド18自体が球面状に既に突出した構成であるため、使用するはんだバンプ29の量を削減することができる。
【0051】
図10は、上記した第1実施形態に係る配線基板1の製造方法の変形例により製造された配線基板1を示している。上記した配線基板1の製造方法では、図5(B)を用いて説明した工程において、銅箔12を完全に除去することとした。これに対して、本変形例に係る製造方法では、銅箔12を完全に除去するのではなく、半導体チップ40の実装エリア以外の銅箔12は除去せずに枠状に残す構成したことを特徴としている。
【0052】
この枠状の銅箔12は、図5(A)の処理により得られた配線部材30に対し、半導体チップ40の実装エリアのみを露出させたエッチングレジスト材を銅箔12上に形成し、これを用いて銅箔12の前記実装エリアのエッチングを行い、その後にエッチングレジスト材を除去することにより得ることができる。このようにした半導体チップ40の実装エリアの外周に残存するよう形成された銅箔12はスティフナーとして機能し、よって配線基板1の機械的な強度を高めることができる。
(本発明の第1参考例)
次に、図11及び図12を用いて、本発明の第1参考例に係る配線基板の製造方法について説明する。尚、図11及び図12において、図1〜図10に示した構成と対応する構成については同一符号を付してその説明を省略する。
【0053】
図11(A)は、一対の銅箔12を接着剤11により接合した構成の支持体10に対し、レジスト膜16が形成された状態を示している。この図11(A)に示す状態は、図1(C)に示した状態と対応している。
【0054】
図1(C)に示す例では、レジスト膜16に単に開口部16Xを形成したのみの構成としていた。これに対して本参考例では、開口部16Xの内部にリング状パターン16Yを形成したことを特徴としている。
【0055】
このリング状パターン16Yはレジスト膜16と一体的に形成されており、レジスト膜16に開口部16Xを形成する際に同時に形成されるものである。尚、本参考例では、開口部16X内に形成するパターンとしてリング状パターン16Yを用いた例を示したが、パターン16Yの形状はリング状に限定されるものではなく、種々の形状とすることが可能である。
【0056】
このように銅箔12上に開口部16X及びリング状パターン16Yが形成されたレジスト膜16が形成された支持体10は、図2に示したと同様のエッチング装置に送り込まれ、シャワーノズル19から噴射されるエッチング液により開口部16Xから露出した銅箔12に対してエッチングが行われる。
【0057】
図11(B)は、銅箔12に対するエッチング処理が終了した状態を示している。前記のようにシャワーノズル19からのエッチング液は、レジスト膜16に形成された開口部16Xを介して銅箔12に噴射され、よって銅箔12はこのエッチング液によりエッチングされる。
【0058】
この際、銅箔12のエッチング量はエッチング液の噴射される量が多い部位ほどエッチング量が多く、噴射される量が少ない部位ではエッチング量が少なくなる。本参考例において開口部16X内に形成したリング状パターン16Yは、シャワーノズル19からのエッチング液が銅箔12に噴射されるのを阻害する機能を奏する。このため、銅箔12のリング状パターン16Yと対向する位置は、開口部16X内の他の部位に比べてエッチング量が少ないため凸部14aが形成される。従って本参考例では、銅箔12の開口部16Xと対向する位置には、凹凸部14が形成される。
【0059】
このように銅箔12に凹凸部14が形成されると、銅箔12をめっき給電層に利用する電解めっきにより、図11(C)に示すように凹凸部14上には凹凸状接続パッド28が形成される。この凹凸状接続パッド28は、レジスト膜16に形成された開口部16X内に形成されており、パッド表面めっき層25とパッド本体26とにより構成されている。
【0060】
パッド表面めっき層25は図12(A)に拡大して示すように、Au膜25a,Pd膜25b,Ni膜25cにより形成されている。よって本参考例においても、凹凸状接続パッド28を形成するには、先ずAu膜25a,Pd膜25b,Ni膜25cを順にめっきすることによりパッド表面めっき層25を形成し、続いてこのパッド表面めっき層25上にCuからなるパッド本体26をめっきにより形成する。
【0061】
このように銅箔12の凹凸部14上に凹凸状接続パッド28が形成されると、上記した実施形態で図3(B)〜図6を用いて説明した各製造工程が実施され、配線基板1Aが製造される。尚、図3(B)〜図6で実施される製造工程の各処理は上記した実施形態で説明したのと同一処理であるため、その説明は省略するものとする。
【0062】
図12(A)は、第1絶縁層20から露出した凹凸状接続パッド28を拡大して示している。同図に示すように、凹凸状接続パッド28の表面形状は、図11(B)に示した凹凸部14の形状を転写した形状となっており、その形状は凸状とされた球面状の曲面の一部に凹部が部分的に形成された形状とされている。具体的には、凹凸状接続パッド28の配線基板表面(第1絶縁層20の表面)から露出する部分に凹凸形状を有した曲面部28aが形成され、この曲面部28aの表面にパッド表面めっき層25が形成された構成となっている。
【0063】
図12(B)は、第1参考例に係る製造方法により製造された配線基板1Aに半導体チップ40が実装された状態を示している。同図に示す例では、半導体チップ40にはんだからなるボール状端子40bが設けられており、このボール状端子40bを配線基板1Aの凹凸状接続パッド28に接合している。
【0064】
前記のように凹凸状接続パッド28の表面は球面状の曲面の一部に凹部が部分的に形成された形状、換言すると表面に凹凸が形成された形状となっている。このため、ボール状端子40bと接する凹凸状接続パッド28の表面積は凹凸が存在しない構成に比べて増大し、よってボール状端子40bと凹凸状接続パッド28との接合強度を高めることができる。従って、本参考例により製造される配線基板1Aにおいても、これに実装される半導体チップ40(電子装置)との機械的及び電気的な接続性を高めることができる。
(本発明の第2参考例)
次に、本発明の第2参考例について説明する。図13及び図14は、本発明の第2参考例に係る配線基板の製造方法を示している。尚、図13及び図14において、図1〜図12に示した構成と対応する構成については同一符号を付してその説明を省略する。
【0065】
図13(A)は、一対の銅箔12が接着剤11により接着された支持体10に対し、レジスト膜16が形成された状態を示している。この図11(A)に示す状態は、図1(C)に示した状態と対応している。
【0066】
前記した実施形態及び第1参考例では、レジスト膜16をエッチングレジストとして使用し、銅箔12にエッチング処理を行うことにより、この銅箔12上に形成さる曲面凸状接続パッド18及び凹凸状接続パッド28の表面形状を平坦ではない曲面状の凹部及び凸部を有した形状とする方法を用いた。
【0067】
これに対して本参考例では、レジスト膜16をめっきレジストとして使用し、銅箔12に銅めっきにより曲面状凸部15を形成したことを特徴としている。図13(B)は、銅箔12にめっきを行うことにより曲面状凸部15を形成した状態を示している。
【0068】
このめっき法としては、例えば特開2001−291954に開示された方法を用いることが望ましい。このめっき方法では、電流密度を10〜20パーセント増加(1.1〜1.2A/dm2)とすることで、開口部16X内の平らな銅箔12上に曲面状凸部15を形成することができる。この方法を用いることにより、曲面状凸部15の表面は球面状の曲面となり、また外側に向け凸となる形状となる。
【0069】
尚、後の工程において曲面状凸部15は銅箔12と共にエッチングにより除去される。このため、上記のめっき法で形成される曲面状凸部15の材質は、銅箔12がエッチングにより除去される際、同時にエッチングされる材質を選定することが望ましい。
【0070】
このように銅箔12に曲面状凸部15が形成されると、銅箔12をめっき給電層に利用する電解めっきにより、図13(C)に示すよう曲面状凸部15上には曲面凹状接続パッド38が形成される。この曲面凹状接続パッド38は、レジスト膜16に形成された開口部16X内に形成されており、パッド表面めっき層25とパッド本体26とにより構成されている。本参考例においても、曲面凹状接続パッド38を形成するには、先ずAu膜25a,Pd膜25b,Ni膜25cを順にめっきすることによりパッド表面めっき層25を形成し、続いてこのパッド表面めっき層25上にCuからなるパッド本体26をめっきにより形成する。
【0071】
このように銅箔12の曲面状凸部15上に曲面凹状接続パッド38が形成されると、上記した実施形態で説明した図3(B)〜図6を用いて説明した各製造工程が実施され、配線基板1Bが製造される。この際、本参考例では曲面状凸部15が銅箔12の表面よりも突出した構成であるため、図4(B)及び図5(A)で説明した支持体10から配線部材30を分離する工程を実施し、その後に銅箔12を除去すると、曲面状凸部15も除去される。このため、各曲面凹状接続パッド38は図14(A)に示すように窪んだ凹状のパッド形状となる。
【0072】
曲面凹状接続パッド38の具体的な形状は、曲面凹状接続パッド38の配線基板表面(第1絶縁層20の表面)から露出する部分に窪んだ形状の曲面部38aが形成され、この曲面部38aの表面にパッド表面めっき層25が形成された構成となる。
【0073】
尚、前記のようにめっき法で形成される曲面状凸部15の材質は、銅箔12がエッチングにより除去される際、同時にエッチングされる材質を選定することが望ましい。しかしながら、曲面状凸部15の材質を銅箔12と異なる材質とし、銅箔12をエッチング液(第1のエッチング液)により除去した後、銅箔12のエッチング液とは異なる曲面状凸部15の材質をエッチングし得るエッチング液(第2のエッチング液)により除去することも可能である。
【0074】
このように銅箔12が除去された曲面凹状接続パッド38には、図14(B)に示すようにはんだボール29aが搭載され、その後にリフロー処理を実施することにより、図14(C)に示すようなはんだバンプ29が接合した曲面凹状接続パッド38が形成される。
【0075】
このはんだバンプ29を形成する際、曲面凹状接続パッド38は球面状の凹形状を有しているため、はんだボール29aは曲面凹状接続パッド38の中央位置にセルフアライメントされ、よってはんだボール29aの位置決めを容易に行うことができる。また、曲面凹状接続パッド38とはんだバンプ29との接合面積を増大することができ、はんだバンプ29と曲面凹状接続パッド38との接合信頼性を高めることができる。図14(D)は、本参考例に係る製造方法により製造された配線基板1Bに半導体チップ40が実装された状態を示している。
【0076】
尚、上記した参考例では、曲面凹状接続パッド38にはんだバンプ29を形成した例について説明したが、曲面凹状接続パッド38にはんだバンプ29を形成せず、半導体チップ40側にはんだボールを搭載した構成としてもよい。この構成では、前記のように半導体チップ40側に配設されたはんだボールが曲面凹状接続パッド38によりセルフアライメントされるため、配線基板1Bに対する半導体チップ40の位置決めを容易に行うことができる。
【0077】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。
【0078】
具体的には、一対の銅箔12をプリプレグ(仮基板)を介して配設すると共に、その外縁部のみを接着することにより支持体として機能する複合体を形成し、この複合体の両面にビルドアップ配線層を形成する構成としてもよい。また、一枚の銅箔(支持体)の片面のみにビルドアップ配線層を形成する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1(A)〜(C)は、本発明の一実施形態の配線基板の製造方法を説明するための断面図(その1)である。
【図2】図2(A)及び(B)は、本発明の一実施形態の配線基板の製造方法を説明するための断面図(その2)である。
【図3】図3(A)〜(E)は、本発明の一実施形態の配線基板の製造方法を説明するための断面図(その3)である。
【図4】図4(A)及び(B)は、本発明の一実施形態の配線基板の製造方法を説明するための断面図(その4)である。
【図5】図5(A)〜(C)は、本発明の一実施形態の配線基板の製造方法を説明するための断面図(その5)である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態の配線基板の製造方法を説明するための断面図(その6)である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態の配線基板の製造方法により製造された配線基板に半導体チップを搭載した状態を示す断面図(その1)である。
【図8】図8は、図7において曲面凸状パッドとポスト状端子との接合位置を拡大して示す図である。
【図9】図9(A),(B)は、本発明の一実施形態の配線基板の製造方法により製造された配線基板に半導体チップを搭載した状態を示す断面図(その2)である。
【図10】図10は、本発明の一実施形態の変形例である配線基板の製造方法により製造された配線基板に半導体チップを搭載した状態を示す断面図である。
【図11】図11(A)〜(C)は、本発明の第1参考例の配線基板の製造方法を説明するための断面図(その1)である。
【図12】図12(A)及び(B)は、本発明の第1参考例の配線基板の製造方法を説明するための断面図(その2)である。
【図13】図11(A)〜(C)は、本発明の第2参考例の配線基板の製造方法を説明するための断面図(その1)である。
【図14】図12(A)〜(D)は、本発明の第2参考例の配線基板の製造方法を説明するための断面図(その2)である。
【符号の説明】
【0080】
1,1A,1B 配線基板
10 支持体
12 銅箔
13 曲面状凹部
14 凹凸部
15 曲面状凸部
16 レジスト膜
16X 開口部
16Y リング状パターン
18 曲面凸状パッド
18a 第2配線層
18b 第3配線層
18c 第4配線層
19 シャワーノズル
20 第1絶縁層
22 ソルダーレジスト
25 パッド表面めっき層
26 パッド本体
28 凹凸状パッド
29 はんだバンプ
30 配線部材
38 曲面凹状パッド
40 半導体チップ
A 配線形成領域
B 外周部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップを搭載した配線基板の製造方法であって、
支持体の表面で、配線基板の接続パッドの形成位置と対応する位置に窪んだ凹状の曲面を形成する工程と、
前記支持体上に、配線層と絶縁層を積層した配線部材を形成する工程と、
前記配線部材から前記支持体を除去することにより、前記支持体に形成された凹状の曲面に対応し基板表面から突出した曲面形状を有する接続パッドを形成する工程と、
前記半導体チップの外部接続端子となるポスト状端子を前記接続パッドにはんだ付けする工程と
を有することを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項2】
配線層と絶縁層が積層された配線部材と、
前記配線層に接続されており、基板表面から突出すると共にその表面が曲面形状とされた接続パッドと、
半導体チップとを有する配線基板であって、
前記半導体チップの外部接続端子となるポスト状端子を前記接続パッドにはんだ付けしてなる構成の配線基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−65116(P2009−65116A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124581(P2008−124581)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【分割の表示】特願2007−231756(P2007−231756)の分割
【原出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】