説明

配線基板用フィルム基材の作製方法及びフレキシブルプリント基板

【課題】 液晶ポリマー(LCP)を基材に用いた高精細且つ高周波用途に適した配線基板用フィルム基材の作製方法を提供すること。
【解決手段】 液晶ポリマー(LCP)からなる樹脂フィルム11表面をカーボファンクショナルシランを用いて活性化されたCFシラン被膜111を形成し、次いで、樹脂フィルム11上に無電解メッキ処理により金属膜12を形成し、続いて、温度200℃で30分間程度の加熱処理を行い、樹脂フィルム11と金属膜12との密着性を高めた配線基板用フィルム基材10を作製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板用フィルム基材の作製方法等に関し、より詳しくは、液晶ポリマーを基板に有する高精密且つ高周波用途に適した配線基板用フィルム基材の作成方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
各種電子機器の高速化、高密度化に伴い、配線基板の高機能化が要求されており、高周波対応並びに高密度化の検討が活発に行われている。特に、モバイル機器の進展に伴う携帯電話用途や液晶ディスプレイ用途においては配線基板のフレキシブル性が必須であり、これに対応した、いわゆるフレキシブルプリント基板(以下、「フレキ基板」と記すことがある。)の開発が活発に進められている。
【0003】
現在量産されているフレキ基板の配線ルールは、ライン/スペースとして50μm〜100μm程度であるが、最近では、薄銅箔を用いたファインエッチング、あるいはレジストパターン内にメッキ配線膜を成長させる、いわゆるセミアディティブ法を用いることにより高精細配線が形成されている。一般に、銅箔即ち配線厚さの極端な低下は実装性等に支障を来たすため、セミアディティブ法が主たる方策と考えられている。
さらに、高周波対応の面では、パターンの平坦性が重要であり、基板との界面の凹凸ができるだけ少ないことが望まれる。この意味でも、銅箔の貼り付けを必要としないセミアディティブ法が有利であり検討が進められている。また、フレキ基板の基材であるプラスチックフィルムとして、従来からポリイミドが使用されており、最近では、高周波用途において、低吸湿性且つ絶縁性に優れた液晶ポリマー(LCP)が研究されている(非特許文献1参照。)。
【0004】
【非特許文献1】小野寺稔、「マイクロファブリケーションを支える新材料技術−3.回路基板用液晶ポリマーフィルムの開発と応用」、マイクロファブリケーション研究会第14回公開研究会、社団法人エレクトロニクス実装学会、平成16年9月8日、p.16−22
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、セミアディティブ法には、実用的な観点から幾つかの課題があり、その1つとして、シード層の形成が挙げられる。即ち、配線用のパターンメッキを行う上で、フレキ基板用フィルム上に通電用のシード層を形成する必要がある。現状では、このシード層はスパッタ等の乾式成膜法により形成されるため、プロセス効率の低下及びコスト高の原因となっている。
また、ポリイミド等のフレキ基板用フィルム上にCu膜をスパッタする際、密着性を確保するために、通常、NiまたはCr等の薄膜を接着層として形成する必要がある。これらのNi、Cr等は、パターニングにおけるエッチング工程が追加されるという問題がある。また、Niは磁性金属であるため、高周波用途において支障を来たすおそれがある。
【0006】
乾式成膜法によるシード層の形成に関するこのような問題は、例えば、無電界メッキ等の湿式法を採用することによりある程度解消される。即ち、無電界メッキによれば、プロセス効率が高まるとともに、フレキ基板用フィルム上にCu膜等のシード層を直接形成することが可能になると考えられる。
しかし、従来行われているプラスチックフィルム上の無電界メッキは、前処理によりプラスチックフィルム表面に凹凸を形成し、いわゆるアンカー効果によってメッキ層を付着させるため、前述したような高周波用途には適さない。例えば、ポリイミドの場合は、一般に、コンディショナーとよばれる前処理剤によってフレキ基板用フィルムの表面粗化処理が行われている。
【0007】
特に、液晶ポリマー(LCP)の場合は、スパッタ等の乾式法及びメッキ等の湿式法のいずれの方法を採用しても、液晶ポリマー(LCP)に対する金属膜の付着性が低く、現状では、液晶ポリマー(LCP)のフィルム上にシード層を形成することが困難である。これは、液晶ポリマー(LCP)の分子が、主としてベンゼン環を骨格とした構造を有するため、高周波基板としての高い絶縁性及び低吸湿性を示すにも拘らず、液晶ポリマー(LCP)の表面安定性が高く、その結果、表面付着性が低下するものと考えられる。
このため、液晶ポリマー(LCP)を用いた配線基板は、銅箔貼り付けタイプに限られ、液晶ポリマー(LCP)は、素材自体の絶縁性質が優れているにも拘らず、高周波用途の高精細基板としての使用形態が制約されているという問題がある。
このように、液晶ポリマー(LCP)を基材に用いて、簡単且つ低コストの工程によりシード層を形成した配線基板用フィルム基材の作製方法及びフレキシブルプリント基板が望まれている。
【0008】
本発明は、上述した技術的課題を解決するためになされたものである。
即ち、本発明の目的は、液晶ポリマー(LCP)を基材に用いた高精細且つ高周波用途に適した配線基板用フィルム基材の作製方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、液晶ポリマー(LCP)を基材に用いた高精細且つ高周波用途に適したフレキシブルプリント基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的のもと、本発明によれば、液晶ポリマーからなる樹脂フィルムの少なくとも片面にメッキ処理により金属膜を形成するメッキ処理ステップと、メッキ処理ステップにより形成された金属膜を有する樹脂フィルムを加熱する加熱処理ステップと、を有することを特徴とする配線基板用フィルム基材の作製方法が提供される。
本発明が適用される配線基板用フィルム基材の作製方法において、メッキ処理は無電解メッキが好ましく、具体的には、メッキ処理ステップは、樹脂フィルムと無電解メッキ液とを接触させることが好ましい。
ここで、無電解メッキ液は、Ni−B系無電解メッキ液、Ni−P系無電解メッキ液及びCu系無電解メッキ液から選ばれるいずれか一種類であることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明が適用される配線基板用フィルム基材の作製方法において、メッキ処理ステップ前に、樹脂フィルムの表面をカーボンファンクショナルシランにより活性化する前処理工程をさらに有することにより、無電解メッキ処理により形成される金属膜の密着性を高めることができる。
ここで、メッキ処理ステップ前に、樹脂フィルムの表面を乾式処理により活性化することが好ましい。このような乾式処理としては、プラズマ照射処理が好ましく、なかでも、大気中における空気プラズマ照射処理であることが特に好ましい。
また、本発明が適用される配線基板用フィルム基材の作製方法における加熱処理ステップは、メッキ処理における温度より高温で、且つ、液晶ポリマーの耐熱温度より低温で、樹脂フィルムを加熱することが好ましい。このような条件で樹脂フィルムを加熱することにより、金属膜と液晶ポリマー(LCP)との付着性を高めることができる。
【0011】
一方、本発明によれば、配線基板用フィルム基材上に形成された配線パターンを有するフレキシブルプリント基板であって、配線基板用フィルム基材は、液晶ポリマーからなる樹脂フィルムの少なくとも片面に、無電解メッキ処理の後に加熱されて形成された金属膜、を備え、配線パターンは、金属膜をシード層として電気メッキ処理により形成されたものであるフレキシブルプリント基板が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、液晶ポリマー(LCP)を基材に用いた高精細且つ高周波用途に適した配線基板用フィルム基材の作製方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(実施の形態)について詳細に説明する。尚、本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
図1は、本実施の形態が適用される配線基板用フィルム基材作製方法を説明するための図である。尚、図1は、配線基板用フィルム基材の実際の大きさを表わすものではない。
先ず、図1(a)に示すように、所定の厚さの液晶ポリマー(LPC)からなる樹脂フィルム11を調製する(樹脂フィルムの調製)。
樹脂フィルム11を構成する液晶ポリマー(LCP)としては、公知のサーモトロピック液晶等の従来公知の各種液晶ポリマー(LCP)を使用することができる。サーモトロピック液晶ポリマーとしては、例えば、液晶性ポリエステル、液晶性ポリエステルイミド等、具体的には(全)芳香族ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリエステルカーボネート等が挙げられる。これらのなかでも、液晶性ポリエステルが好ましい。
【0014】
サーモトロピック液晶ポリエステルを構成するモノマーの代表例としては、(イ)芳香族ジカルボン酸の少なくとも1種、(ロ)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合物の少なくとも1種、(ハ)芳香族ジオール系化合物の少なくとも1種、(ニ−1)芳香族ジチオール、(ニ−2)芳香族チオフェノール及び(ニ−3)芳香族チオールカルボン酸化合物の少なくとも1種、(ホ)芳香族ヒドロキシルアミン及び芳香族ジアミン系化合物の少なくとも1種、等が挙げられる。これらは通常、(イ)及び(ニ);(イ)及び(ニ);(イ)、(ロ)及び(ハ);(イ)、(ロ)及び(ホ);または(イ)、(ロ)、(ハ)及び(ホ)等のように組合せて構成される。
【0015】
(イ)芳香族ジカルボン酸系化合物としては、例えば、テレフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−トリフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシブタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−4,4’−ジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテル−3,3’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−3,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−3,3’−ジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;クロロテレフタル酸、ジクロロテレフタル酸、ブロモテレフタル酸、メチルテレフタル酸、ジメチルテレフタル酸、エチルテレフタル酸、メトキシテレフタル酸、エトキシテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が挙げられる。
【0016】
(ロ)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合物としては、例えば、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸;3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−5−メチル−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5−メトキシ−2−ナフトエ酸、2−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−ブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−5−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−7−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5,7−ジクロロ−2−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が挙げられる。
【0017】
(ハ)芳香族ジオールとしては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシテルフェニル、ハイドロキノン、レゾルシン、2,6−ナフタレンジオール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)エタン、3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,6−ナフタレンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン等の芳香族ジオール;クロロハイドロキノン、メチルハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、フェノキシハイドロキノン、4−クロロレゾルシン、4−メチルレゾルシン等の芳香族ジオールのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が挙げられる。
【0018】
(ニ−1)芳香族ジチオールとしては、例えば、ベンゼン−1,4−ジチオール、ベンゼン−1,3−ジチオール、2,6−ナフタレン−ジチオール、2,7−ナフタレン−ジチオール等が挙げられる。
(ニ−2)芳香族チオフェノールとしては、4−メルカプトフェノール、3−メルカプトフェノール、6−メルカプトフェノール等が挙げられる。
(ニ−3)芳香族チオールカルボン酸としては、4−メルカプト安息香酸、3−メルカプト安息香酸、6−メルカプト−2−ナフトエ酸、7−メルカプト−2−ナフトエ酸等が挙げられる。
【0019】
(ホ)芳香族ヒドロキシルアミンまたは芳香族ジアミン系化合物としては、例えば、4−アミノフェノール、N−メチル−4−アミノフェノール、1,4−フェニレンジアミン、N−メチル−1,4−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノール、2−クロロ−4−アミノフェノール、4−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニル、4−アミノ−4’−ヒドロキシジフェニルエーテル、4−アミノ−4’−ヒドロキシジフェニルメタン、4−アミノ−4’−ヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノフェニルスルフィド(チオジアニリン)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,5−ジアミノトルエン、4,4’−エチレンジアニリン、4,4’−ジアミノジフェノキシエタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(メチレンジアニリン)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(オキシジアニリン)等が挙げられる。
【0020】
液晶ポリマー(LCP)は、これらの原料化合物の種々の組合せによる重合体として形成される。例えば、サーモトロピック液晶ポリエステルは、上述したモノマーから、溶融アシドリシス法やスラリー重合法等の各種のエステル形成法等により製造することができる。サーモトロピック液晶ポリエステルの分子量は、通常、2,000〜200,000、好ましくは10,000〜100,000である。尚、液晶ポリマー(LCP)は、樹脂フィルム11としての物性を損なわない範囲で、例えば、ポリアリレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド等の熱可塑性樹脂が配合されていてもよい。
【0021】
樹脂フィルム11の厚さは、特に限定されないが、通常、5μm〜300μm、好ましくは、10μm〜200μm、特に好ましくは、20μm〜150μmである。樹脂フィルム11の厚さが過度に小さいと、強度が保てず、小さい外力で破断する傾向がある。樹脂フィルム11の厚さが過度に大きいと、屈曲性が低下し、用途が制約される傾向がある。
【0022】
次に、図1(b)に示すように、樹脂フィルム11表面をカーボファンクショナルシラン(以下、「CFシラン」と記すことがある。)を用いて活性化処理し、液晶ポリマー(LPC)表面に活性化したCFシラン被膜111を形成する(CFシラン処理)。樹脂フィルム11上にCFシラン被膜111を形成することにより、後述する無電解メッキ処理において、樹脂フィルム11上に触媒金属塩が容易に捕捉され、密着性が高いメッキ膜を形成することができる。
尚、樹脂フィルム11の表面にCFシラン被膜111を形成する前に、予め、乾式処理により樹脂フィルム11表面を活性化することが好ましい。乾式処理としては特に限定されないが、例えば、プラズマ等のイオンを利用するプラズマ照射処理、紫外線(UV)光等による光照射処理、EB照射処理等が挙げられる。これらのなかでもプラズマ照射処理が好ましく、特に、真空装置を用いずに大気圧下で行う空気プラズマ照射処理が好ましい。
【0023】
CFシランは、シランカップリング剤として知られる化合物であって、特に下記式(1)で示されるものが好ましい。
Y−(CH−SiR(OR)3−a (1)
(式(1)中、Yは、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基から選ばれるいずれか1種の官能基である。Rは、置換されることがある一価の炭化水素基である。nは0〜3の整数であり、aは0又は1である。)
ここで、ビニル基としては、(CH=CH−)等が挙げられる。エポキシ基としては、γ−グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基等が挙げられる。アミノ基としては、(NH−)、(NHCHCHNH−)等が挙げられる。メルカプト基としては、メルカプト基が挙げられる。メタクリロキシ基、アクリロキシ基としてはメタクリロキシ基、アクリロキシ基等が挙げられる。
【0024】
Rとしては、置換されることがある脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基又は脂環式炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、シクロアルキル基等が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、フェニルエチル基等の、炭素数6〜14、好ましくは炭素数6〜10のアリール基、ベンジル基、アラルキル基等が挙げられる。また、置換された炭化水素基としては、上述した脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基又は芳香族炭化水素基の水素原子の一部又は全部を、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、アミノアルキル基等で置換したものが挙げられる。このような置換基としては、例えば、モノフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、p−ジメチルアミノフェニル基、m−ジメチルアミノフェニル基等が挙げられる。これらの中でも、Rとしては、特に、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。
【0025】
CFシラン化合物の具体例としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。これらの中でも、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有アルコキシシランが好ましい。
【0026】
CFシランは、通常、適当な有機溶媒に溶解した溶液の形態で使用される。溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素溶媒;テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル等のエーテル系溶媒;メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒;エチルセルソルブ、メチルセルソルブ等のアルコキシエタノール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル系溶媒;エーテルエステル系溶媒が挙げられる。
CFシランを含有する溶液の塗布方法としては、スピンコート、ディッピング、ロール塗布、ブレードコート、アプリケータコート、バーコート、スクリーン印刷等が挙げられる。
【0027】
続いて、図1(c)に示すように、樹脂フィルム11上に無電解メッキ処理により金属膜12を形成する(無電解メッキ)。無電解メッキ処理は、通常、樹脂フィルム11を、パラジウム塩、銀塩等の触媒金属塩の溶液中に浸漬させた後、無電解メッキ液に浸漬することにより行われる。触媒金属塩としては、パラジウム塩が好ましい。
パラジウム塩としては、Pd2+を含み、通常、Pd−Zの形で表われる金属塩が挙げられる。ここで、Zは、CI、Br、I等のハロゲン;アセテート、トリフルオロアセテート、アセチルアセトネート、カーボネート、パークロレート、ナイトレート、スルフェート、オキサイド等が用いられる。パラジウム塩の具体例としては、例えば、PdCl、PdBr、PdI、Pd(OCOCH、PdSO、Pd(NO、PdO等が挙げられる。また、触媒金属塩溶液の安定性を増すために、塩酸や塩化ナトリウム等のハロゲン化物を添加してもよい。
【0028】
触媒金属塩を溶解する溶媒としては、例えば、水;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;メタノール、エタノール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒;ニトロメタン、アセトニトリル等が挙げられる。これらの中でも、水が好ましい。
【0029】
樹脂フィルム11を触媒金属塩の溶液に、1秒間〜10分間程度浸漬し、水洗後、乾燥することにより、樹脂フィルム11表面に還元された触媒金属粒子を付着させる。また、必要に応じて、40℃〜200℃の温度で熱処理することにより、樹脂フィルム11表面の触媒金属の還元が促進される。乾燥温度は、通常、10℃〜200℃、常圧又は減圧で行う。
【0030】
次に、触媒金属がフィルム表面に付与された樹脂フィルム11を無電解メッキ液中に浸漬し、パラジウム等の金属を触媒として金属膜12を形成する。
無電解メッキ処理に使用する無電解メッキ液としては、例えば、銅、ニッケル、パラジウム、金、白金、ロジウム等の金属イオンを含んだものが好ましく用いられる。無電解メッキ液は、通常、上記金属イオンの水溶性金属塩に、次亜リン酸ナトリウム、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤、酢酸ナトリウム、フェニレンジアミンや酒石酸ナトリウムカリウム等の錯化剤が配合されており、一般には無電解メッキ液として市販されており容易にかつ安価に入手することができる。これらの無電解メッキ液中でも、金属イオンとして、銅及び/またはニッケルを含有するものが好ましい。
【0031】
このような無電解メッキ液としては、例えば、Ni−B系無電解メッキ液、Ni−P系無電解メッキ液、Ni−Cu−P系無電解メッキ液、Cu系無電解メッキ液等が挙げられる。Ni−B系無電解メッキ液は、硫酸ニッケル、錯化剤、ホウ素含有有機還元剤を含み、さらに、メッキ液の建浴用または補充用液として2,2’−チオジエタノール、チオジグリコール酸等が含まれる。Ni−P系無電解メッキ液は、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、炭酸ニッケル等のニッケル塩;クエン酸、リンゴ酸、コハク酸等の錯化剤;次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム等の還元剤;鉄、タングステン、モリブデン、クロム等の成分の水溶性化合物を含有し、さらに、必要に応じて、公知の安定剤等を含有する。水溶性化合物としては、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム等の水溶性鉄化合物;タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム、タングステン酸アンモニウム等の水溶性タングステン化合物;モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸アンモニウム、塩化モリブデン等の水溶性モリブデン化合物;塩化クロム、臭化クロム、硫酸クロム等の水溶性クロム化合物が例示できる。これらの水溶性化合物は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。各成分配合量については、上述した組成の無電解ニッケル多元合金めっき皮膜を形成できる範囲内で適宜調整すればよい。
【0032】
Ni−Cu−P系無電解メッキ液は、硫酸ニッケル等のニッケル塩、硫酸銅等の銅塩、ホスフィン酸ナトリウム等の還元剤及びクエン酸三ナトリウム等の錯化剤を主成分として含有する。Cu系無電解メッキ液は、硫酸銅、塩化銅、酸化銅等の第二銅塩;エチレンジアミン四酢酸またはその塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、ロッシェル塩等の銅錯化剤;ホルムアルデヒド等の還元剤を含有する。さらに、三塩化砒素、三酢酸砒素、ひ酸、三酸化二ひ素、二水酸化トリフェニルひ素、アルサニル酸等のAs化合物;三酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン、塩化アンチモン、吐酒石、しゅう酸アンチモンカリウム、ヘキサフルオロアンチモン酸塩、ヘキサクロロアンチモン酸塩等のSb化合物;硝酸ビスマス、水酸化ビスマス、しゅう酸ビスマス、酢酸酸化ビスマス、ホウ酸ビスマス、酸化ビスマス等のBi化合物;硫酸ベリリウム、塩化ベリリウム、硝酸ベリリウム、酢酸ベリリウム、臭化ベリリウム、ベリリウム酸ナトリウム、しゅう酸ベリリウム、フッ化ベリリウム等のBe化合物を含有するものが挙げられる。
【0033】
無電解メッキ液に樹脂フィルム11を接触させる方法としては、樹脂フィルム11を無電解メッキ液中に浸漬することが好ましい。無電解メッキ液と樹脂フィルム11とを接触させる温度としては、15℃〜120℃が好ましく、さらに好ましくは25℃〜85℃である。接触させる時間は、例えば、30秒〜16時間であり、1分間〜30分間程度であることが好ましい。
【0034】
金属膜12の厚さは、特に限定されないが、通常、0.01μm〜5μm、好ましくは、0.05μm〜1μm、特に好ましくは、0.1μm〜0.5μmである。金属膜12の厚さが過度に小さいと、膜化が不十分でムラが生じるとともに、通電膜等としての機能を損なう傾向がある。金属膜12の厚さが過度に大きいと、膜質の劣化、歪の増大をまねく傾向がある。
【0035】
次に、図1(d)に示すように、無電解メッキ処理により形成された金属膜12を有する樹脂フィルム11を加熱処理し、金属膜12と樹脂フィルム11との密着性が高められた配線基板用フィルム基材10を作製する(加熱処理)。加熱処理の条件は、樹脂フィルム11の種類により適宜選択されるが、通常、無電解メッキ処理の処理温度(通常、15℃〜120℃程度)よりも高温で、且つ、樹脂フィルム11に用いた液晶ポリマー(LCP)の耐熱温度より低温において適当な時間行われる。例えば、温度200℃で30分間程度の加熱処理が好ましい。
【0036】
このように、無電解メッキ処理により、液晶ポリマー(LCP)からなる樹脂フィルム11表面に金属膜12を形成した後、樹脂フィルム11を加熱処理することにより、樹脂フィルム11と金属膜12との密着力が高められる。これは、加熱処理により、樹脂フィルム11を構成する液晶ポリマー(LPC)の微細構造(ミクロ構造)が、例えば、スメクティック構造からネマティック構造またはランダム構造へと変化する過程で、液晶ポリマー(LPC)と金属膜12との界面が一種の活性化された状態になり、その結果、樹脂フィルム11と金属膜12との結合が強まるためと考えられる。
尚、液晶ポリマー(LPC)は、耐熱温度以下であれば、微細構造(ミクロ構造)は変化するが、電気的性質、吸水性、寸法安定性等のフィルムとしての実用的性質に変化が生じるほどのマクロな変化は生じない。また、無電解メッキ処理は、通常、100℃程度の温度において行われるので、樹脂フィルム11を構成する液晶ポリマー(LPC)の微細構造(ミクロ構造)の変化は軽微であり、実質的影響は生じない。
【0037】
次に、フレキシブルプリント基板について説明する。
図2は、本実施の形態が適用されるフレキシブルプリント基板を説明するための図である。尚、図2は、フレキシブルプリント基板の実際の大きさを表わすものではない。
図2に示されたフレキシブルプリント基板20は、図1に示された配線基板用フィルム基材10の金属膜12をシード層として電気メッキを行うセミアディティブ法によって配線パターンを形成し、必要に応じて、電極端子形成、カバーレイ附与等の通常のプロセスを施して作製されたものである。フレキシブルプリント基板20は、液晶ポリマー(LCP)からなる樹脂フィルム11と、樹脂フィルム11上に無電解メッキ処理により形成されたメッキ膜である金属膜12と、金属膜12上に形成された回路パターン16とを備えている。回路パターン16は、金属膜12と、後述するように金属膜12を下地層として電気メッキ処理により形成されたメッキ層15とから構成されている。尚、金属膜12は、後述するように電気メッキ処理後に行われる短時間のエッチング処理により、メッキ層15が形成されない部分が除去されている。
【0038】
次に、フレキシブルプリント基板の作製方法について説明する。
図3は、本実施の形態が適用されるフレキシブルプリント基板の作製方法を説明するための図である。尚、図3は、フレキシブルプリント基板の実際の大きさを表わすものではない。
図3(a)に示すように、配線基板用フィルム基材10を調製した後(配線基板用フィルム基材の調製)、図3(b)に示すように、配線基板用フィルム基材10の金属膜12上に、例えば、ポジ型のフォトレジストを塗布し、レジスト膜13を形成する(フォトレジスト塗布)。塗布方法としては、スピンコート、ディッピング、ロール塗布、ブレードコート、アプリケータコート、バーコート、スクリーン印刷等が挙げられる。
【0039】
次に、図3(c)に示すように、フォトリソグラフィー処理により、レジスト膜13の回路パターンを形成を予定する部分のフォトレジストを除去する(フォトリソグラフィー処理)。即ち、露光装置(図示せず)を用いてレジスト膜13に回路パターンの潜像を形成し、現像を行ってレジスト膜13の回路パターンの形成を予定する部分を除去して、その部分に対応する金属膜12を露出させる。続いて、図3(d)に示すように、金属膜12の露出した部分を給電電極として電気メッキを行い、回路パターンの形成を予定する部分にメッキ層15を形成する(電気メッキ処理)。電気メッキは公知の方法が適用でき、例えば、硫酸銅メッキ、青化銅メッキ、ピロリン酸銅メッキ等が挙げられる。これらの中でも、メッキ液の取り扱い性、生産性、皮膜の特性などから硫酸銅メッキが好ましい。
【0040】
次に、図3(e)に示すように、例えば、アセトン等のケトン系剥離液等を用いてフォトレジストを除去し、回路パターンの形成を予定する部分の金属膜12を露出させる(レジスト除去)。続いて、図3(f)に示すように、短時間のエッチングを行い、回路パターンの形成を予定する部分以外の不要な金属膜12を除去し、回路パターンが形成されたフレキシブルプリント基板20を作製する(エッチング処理)。尚、必要に応じて、カバーレイ等の加工が行われる。
上述したように、本実施の形態が適用される配線基板用フィルム基材10は、液晶ポリマーからなる樹脂フィルム11の表面に、スパッタ等によりシード層を形成する工程を経ることなく、無電解メッキによる金属膜12が形成されている。このような配線基板用フィルム基材10を用いることにより、工程の簡素化、接着層の不要化及び連続プロセスが実現し、安価で高機能のフレキシブルプリント基板20を作製することができる。
【実施例】
【0041】
以下に、実施例に基づき本実施の形態をさらに詳細に説明する。なお、本実施の形態は実施例に限定されるものではない。
(テープ剥離試験)
予め調製した配線基板用フィルム基材のメッキ膜面に、幅15mm、長さ40mmの粘着テープを、接着面長さ20mmになるように貼り付け、その後、粘着テープの他端を引き上げて、そのときの剥離状況を目視で観察した。
【0042】
(実施例1)
厚さ50μmの液晶ポリマーフィルム(株式会社クラレ製;Vecstar(登録商標) CT)を準備し、この液晶ポリマーフィルム表面を、CFシランである3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製:シランカップリング剤KBM−903)を塗布して活性化した。次に、表面を水洗した液晶ポリマーフィルムを触媒金属塩溶液(シプレ・ファーイースト株式会社製:CATALYST 6F)に浸漬し、取り出した後水洗し、さらに塩酸により酸活性処理を行って、液晶ポリマーフィルム表面に触媒金属を付与した。続いて、液晶ポリマフィルムを無電解メッキ液(奥野製薬工業株式会社製:無電解ニッケル−ホウ素メッキ液トップケミアロイB)中に、温度65℃で2分間浸漬し、表面に付与した触媒金属を核として無電解ニッケルメッキ処理を行い、次いで、窒素雰囲気中で、温度200℃で30分間の熱処理を行い、液晶ポリマーフィルム上にNiメッキ膜が形成された配線基板用フィルム基材を調製した。
このように調製した配線基板用フィルム基材のテープ剥離試験を行ったが、テープが剥離せず、液晶ポリマーフィルムとNiメッキ膜との高い付着強度が確認された。
【0043】
(実施例2)
無電解メッキ液としてニッケル−リン系メッキ液(奥野製薬工業株式会社製:無電解ニッケル−リン系メッキ液トップニコロンNAC)を用いること以外は、実施例1と同様な操作を行い、液晶ポリマフィルムを基材とした配線基板用フィルム基材を調製した。
このように調製した配線基板用フィルム基材のテープ剥離試験を行ったが、テープが剥離せず、液晶ポリマーフィルムとNiメッキ膜との高い付着強度が確認された。
【0044】
(実施例3)
無電解メッキ液として銅系メッキ液(奥野製薬工業株式会社製:無電解メッキ液ATSアドカッパ)を用いること以外は、実施例1と同様な操作を行い、Cuメッキ膜が形成された液晶ポリマフィルムを基材とした配線基板用フィルム基材を調製した。
このように調製した配線基板用フィルム基材のテープ剥離試験を行ったが、テープが剥離せず、液晶ポリマーフィルムとメッキ膜との高い付着強度が確認された。
【0045】
(実施例4)
厚さ50μmの液晶ポリマーフィルム(株式会社クラレ製;Vecstar(登録商標) CT)を準備し、この液晶ポリマーフィルム表面を、CFシランである3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製:シランカップリング剤KBM−903)を塗布して活性化した。次に、表面を水洗した液晶ポリマーフィルムを触媒金属塩溶液(奥野製薬株式会社製:OPC−80キャタリストM+OPC SALM)に浸漬し、取り出した後水洗し、さらに、酸活性処理(奥野製薬株式会社製:OPC−500 アクセレータMX)を行って、液晶ポリマーフィルム表面に触媒金属を付与した。続いて、液晶ポリマフィルムを無電解メッキ液(奥野製薬工業株式会社製:ATSアドカッパIW)中に、温度30℃で5分間浸漬し、表面に付与した触媒金属を核として無電解銅メッキ処理を行い、次いで、窒素雰囲気中で、温度200℃で30分間の熱処理を行い、液晶ポリマーフィルム上にCuメッキ膜が形成された配線基板用フィルム基材を調製した。
続いて、このように調製した配線基板用フィルム基材のCuメッキ膜上に、スピンコートによりポジ型のフォトレジストを塗布し、厚さ6μmのレジスト膜を形成した。次に、露光装置を用いてレジスト膜に回路パターンの潜像を形成し、現像を行ってレジスト膜の回路パターンの形成を予定する部分を除去して、その部分に対応するCuメッキ膜を露出させた。続いて、Cuメッキ膜の露出した部分をシード層として硫酸銅電気メッキを行い、回路パターンの形成を予定する部分にCu電気メッキ層を形成した。次に、アセトンによりフォトレジストを除去し、回路パターンの形成を予定する部分のCuメッキ膜を露出させ、続いて、短時間のエッチングを行い、回路パターンの形成を予定する部分以外の不要なCuメッキ膜を除去し、Cu配線パターンが形成されたフレキシブルプリント基板を作製した。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明が適用される配線基板用フィルム基材の作製方法によれば、液晶ポリマー(LCP)フィルムとの密着性が高いメッキ膜を設けたフレキ基板を作製することができる。このようなフレキ基板は、配線基板以外の種々の用途に適用が可能であり、例えば、電磁シールド、反射フィルム等が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施の形態が適用される配線基板用フィルム基材の作製方法を説明するための図である。
【図2】本実施の形態が適用されるフレキシブルプリント基板を説明するための図である。
【図3】本実施の形態が適用されるフレキシブルプリント基板の作製方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0048】
10…配線基板用フィルム基材、11…樹脂フィルム、12…金属膜、13…レジスト膜、15…メッキ層、16…回路パターン、20…フレキシブルプリント基板、111…CFシラン被膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶ポリマーからなる樹脂フィルムの少なくとも片面にメッキ処理により金属膜を形成するメッキ処理ステップと、
前記メッキ処理ステップにより形成された前記金属膜を有する前記樹脂フィルムを加熱する加熱処理ステップと、
を有することを特徴とする配線基板用フィルム基材の作製方法。
【請求項2】
前記メッキ処理ステップは、前記樹脂フィルムと無電解メッキ液とを接触させることを特徴とする請求項1記載の配線基板用フィルム基材の作製方法。
【請求項3】
前記無電解メッキ液は、Ni−B系無電解メッキ液、Ni−P系無電解メッキ液及びCu系無電解メッキ液から選ばれるいずれか一種類であることを特徴とする請求項2記載の配線基板用フィルム基材の作製方法。
【請求項4】
前記メッキ処理ステップ前に、前記樹脂フィルムの表面をカーボンファンクショナルシランにより活性化する前処理工程をさらに有することを特徴とする請求項1記載の配線基板用フィルム基材の作製方法。
【請求項5】
前記メッキ処理ステップ前に、前記樹脂フィルムの表面を乾式処理により活性化することを特徴とする請求項1記載の配線基板用フィルム基材の作製方法。
【請求項6】
前記乾式処理が、プラズマ照射処理であることを特徴とする請求項5記載の配線基板用フィルム基材の作製方法。
【請求項7】
前記乾式処理が、大気中における空気プラズマ照射処理であることを特徴とする請求項5記載の配線基板用フィルム基材の作製方法。
【請求項8】
前記加熱処理ステップは、前記メッキ処理における温度より高温で、且つ、前記液晶ポリマーの耐熱温度より低温で、前記樹脂フィルムを加熱することを特徴とする請求項1記載の配線基板用フィルム基材の作製方法。
【請求項9】
配線基板用フィルム基材上に形成された配線パターンを有するフレキシブルプリント基板であって、
前記配線基板用フィルム基材は、液晶ポリマーからなる樹脂フィルムの少なくとも片面に、無電解メッキ処理の後に加熱されて形成された金属膜、を備え、
前記配線パターンは、前記金属膜をシード層として電気メッキ処理により形成されたものであることを特徴とするフレキシブルプリント基板。
【請求項10】
前記液晶ポリマーが、前記無電解メッキ処理後の状態と実質的に異なるミクロ構造を有することを特徴とする請求項9記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項11】
前記金属膜は、Ni−B系、Ni−P系及びCu系から選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項9記載のフレキシブルプリント基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−135179(P2006−135179A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−324024(P2004−324024)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】