説明

配線部材の製造方法、配線部材及び液体移送装置

【課題】高密度に配置された配線同士が導通しないような配線部材を製造する。
【解決手段】COFを製造するには、まず、基材51の上面に印刷などにより配線53bを形成し、続いて、基材51における配線53aの間の部分の上面を除去することによって凹部51aを形成する。次に、蒸着などにより、基材51の上面に、配線53b及び凹部51aを覆うように、酸化物又は窒化物からなる材料57aを設け、続いて、エッチングにより、材料57aの配線53bに隣接する部分を除いた部分を除去することによって側壁57を形成する。次に、蒸着あるいはインクジェットヘッドなどで液滴を吐出することにより、凹部51a上の側壁57の間の部分に配線53aを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動信号を伝送する配線部材の製造方法、配線部材、及び配線部材を有する液体移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器を駆動するための駆動信号を伝送する配線部材として、例えば、可動性を有しで絶縁性の基材表面に複数の配線が配線されているフレキシブル配線材などがある。特許文献1においては、記録装置において、複数の圧力室に対応して設けられた複数の個別電極と駆動回路とが、フレキシブル配線材の基材表面に形成された複数の配線によってそれぞれ接続されている。
【0003】
【特許文献1】特開2008−80548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載されているような記録装置においては、高速化や高画質印刷の実現などのために、ノズルを高密度に多数配置することが行われる。そのため、ノズルの数が増えると対応する圧力室および、圧力室に対応するアクチュエータの活性部および表面個別電極も増加し、また、表面電極に接続されるフレキシブル配線材の表面に形成される接続端子も増加し、配線の数も増加することになる。
【0005】
しかしながら、フレキシブル配線材の大きさを変えることなく、複数の配線を配置しようとすると、配線同士の間隔を狭くしなくてはいけない。このような微細配線パターンを有するフレキシブル配線部材の一般的な製造方法の一つとして、ポリイミドなどの絶縁性の基材に銅箔などの導電材料層を形成したのち、所望の配線を成すようにマスクし、エッチング液にて不要な部分を除去して配線パターンを製造する方法がある。このような製造方法においては、エッチングの精度によって、配線として必要な配線高さ(厚み)と、配線同士の間隔が決定されるが、エッチングの性質上、垂直方向だけでなく横方向にも同じようにエッチングが進む(等方性エッチング)のため、配線が高密度化して所望の配線間隔が狭くなると、エッチング前にマスクした配線となりうるマスク部分の側面から削り取られてしまうため、配線としての必要な高さ(厚み)が得られなかったり、不要部分が除去されきれず配線同士が導通された状態のままになってしまうなど製造上に限界があった。
【0006】
また、配線同士の間隔が小さくなると、配線部材を介して駆動信号が伝送されたときの配線間の電位差により、配線を形成する材料が金属イオンとなって溶出して、電界により基材表面上において隣接する配線間を移動し金属として析出して隣接する配線と導通してしまったり、基材の表面に生じる微小さなイオン性の異物などが隣接する配線間に介在されて導通してしまうといった、いわゆるマイグレーションが生じやすくなるという虞がある。
【0007】
一方、配線の数の増加に伴い、フレキシブル配線材の幅を広くすると、配線の間隔は
大きくできるものの、装置の大型化やコストアップにしてしまい、他に、フレキシブル配線材を多層化させて配線数を増加させることもできるが、コストが大幅に上がってしまう。
【0008】
本発明の目的は、高密度に配線を配置しても配線同士が導通してしまわないような配線部材の製造方法、配線部材、及び、このような配線部材を有する液体移送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明に係る配線部材の製造方法は、基材上に複数の第1配線を形成する第1配線形成工程と、前記複数の第1配線の側面に絶縁性を有する複数の側壁を形成する側壁形成工程と、前記基材上の前記複数の第1配線の間であって、前記複数の側壁に挟まれた部分に、第2配線を形成する第2配線形成工程とを備えていることを特徴とするものである。
【0010】
これによると、第1配線の側面に側壁を形成した後で、基材上の側壁に挟まれた部分に第2配線を形成することにより、高密度に配線を形成することが可能となる。
【0011】
また、第1配線と第2配線との間に絶縁性材料からなる側壁が介在しているので、第1配線と第2配線とが導通してしまうのが防止され、高密度で信頼性のある配線部材を製造することができる。
【0012】
第2の発明に係る配線部材の製造方法は、第1の発明に係る配線部材の製造方法であって、前記側壁形成工程において、前記複数の第1配線の間の、前記複数の側壁に挟まれた部分の幅が、前記複数の第1配線の幅とほぼ同じとなるように、前記複数の側壁を形成することを特徴とするものである。
【0013】
これによると、第2配線の幅が第1配線の幅とほぼ同じとなり、第1配線と第2配線とで内部抵抗などの電気的な特性を同じにすることができる。
【0014】
第3の発明に係る配線部材の製造方法は、第1又は第2の発明に係る配線部材の製造方法であって、前記側壁形成工程において、前記複数の第1配線の間および前記複数の第1配線を覆うように前記基材上に絶縁性材料を設けた後、前記絶縁性材料の前記複数の側壁となる部分を除く他の部分をエッチングで除去することによって、前記複数の側壁を形成することを特徴とするものである。
【0015】
これによると、側壁を容易に形成することができる。
【0016】
第4の発明に係る配線部材の製造方法は、第3の発明に係る配線部材の製造方法であって、前記複数の側壁が酸化物又は窒化物により構成されていることを特徴とするものである。
【0017】
これによると、酸化物又は窒化物はエッチングによる加工性がよいので、レジストなどの汎用的な絶縁材料により側壁を形成するよりも精度良く側壁を形成することができる(シャープエッジにすることができる)。また、複雑な工程を必要としないので生産性もよい。よって、複数の第1配線の間で側壁に挟まれた部分のスペースを十分に取れることができるので、第2配線を精度良く形成することができ、高密度で信頼性のある配線部材を製造することができる。
【0018】
また、酸化物又は窒化物は基材との密着性が高いので、配線同士が電位差を有したときに基材表面上で結晶化が進んだり、基材の表面に異物を付着することでマイグレーションがおこって第1配線と第2配線との間が導通してしまうのをより確実に防止することができる。
【0019】
第5の発明に係る配線部材の製造方法は、第1〜第4のいずれかの発明に係る配線部材の製造方法であって、前記第1配線配線形成工程の後、前記側壁形成工程の前に、前記基材の前記複数の第1配線が配置されている部分以外の部分の少なくとも一部の表面を除去して凹部を形成する基材除去工程をさらに備えていることを特徴とするものである。
【0020】
これによると、側壁を形成する前に、第1配線を除いた基材上の表面を除去して凹部を形成することで、基材の表面に付着した異物などを除去する。そして、側壁となる絶縁材料および第2配線材が凹部に形成されるので、基材と側壁との密着性がより向上する。よって、第1配線をと第2配線とが導通してしまうのをより確実に防止することができる。
【0021】
第6の発明に係る配線部材は、基材と、前記基材上に形成された複数の配線とを備えており、互いに隣接する前記複数の配線の間には、酸化物又は窒化物からなる絶縁材料の隔壁が介在していることを特徴とするものである。
【0022】
これによると、隣接する配線の間に酸化物又は窒化物絶縁性材料からなる側壁が介在しているので、第1配線と第2配線とが導通してしまうのが防止される。これにより、配線部材を高密度で信頼性のあるものとすることができる。
【0023】
第7の発明に係る配線部材は、第6の発明に係る配線部材であって、前記複数の配線が、複数の第1配線と複数の第2配線とからなり、前記複数の第1配線及び前記複数の第2配線が、前記隔壁を介して交互に配置されており、前記基材における、前記複数の第1配線が配置されている部分以外の部分の少なくとも一部分には、その表面に凹部が形成され、前記側壁及び前記複数の第2配線は前記凹部上に形成されていて、前記複数の第2配線の前記基材と反対側の面が、前記複数の第1配線の前記基材と反対側の面よりも前記基材側に位置していることを特徴とするものである。
【0024】
これによると、第2配線の基材と反対側の面が第1配線の基材と反対側の面よりも基材側に位置した凹凸形状となっているため、配線部材と当該別の部材との間には、第2配線と対向する部分に隙間ができる。したがって、配線部材の表面に接着剤によって別の部材を接着する際に、当該隙間に接着剤が流れ込むことにより、接着剤が外部に漏れ出してしまうのを防止することができる。
【0025】
また、配線部材と、配線部材の表面側に配置された、複数の配線に接続される電極などが形成された部材とを接合するために、カメラなどを用いて配線部材の位置合わせを行う際に、配線が高密度に形成されている場合に全ての配線にピントが合ってしまうと、高密度に形成された配線を目視によって確認しにくい。しかしながら、本発明では、第2配線の基材と反対側の面が第1配線の基材と反対側の面よりも基材側に位置しているため、第1配線と第2配線とでカメラからの距離が異なり、第1配線及び第2配線の一方にピントを合わせたときに他方がぼやけることとなる。したがって、ピントが合っている第1又は第2配線のみを視認することにより、上記位置合わせを容易に行うことができる。
【0026】
第8の発明に係る配線部材は、第7の発明に係る配線部材であって、第2配線の基材と反対側の面に設けたハンダバンプと、第1配線の基材と反対側の面に設けたハンダバンプとが同体積であることを特徴としている。
【0027】
側壁を挟んで隣接する第2の配線と第1の配線とが近接して形成された狭ピッチの配線部材であるため、ハンダバンプを設けて配線部材と別の部材とを接続するときには、隣接したハンダ同士の距離が狭いため、ブリッジを形成して導通しやすい。しかしながら、第2配線の基材と反対側の面が第1配線の基材と反対側の面よりも基材側に位置しているため、同体積のハンダバンプを各配線の基材と反対側の面に設けると、配線部材と別の部材との距離が近いハンダバンプと、遠いハンダバンプとが交互に隣接した状態となる。このような状態で別の部材と接続されたときに、隣接するハンダの潰れ具合が異なるため、狭ピッチの高密度配線部材であっても、隣接するハンダ同士がブリッジして導通してしまうことを抑制することができる。
【0028】
第9の発明に係る液体移送装置は、複数の圧力室を含む液体流路が形成された流路ユニットと、前記圧力室内の液体に圧力を付与する圧電アクチュエータと、前記圧電アクチュエータに駆動電力を供給するための配線部材とを備えており、前記圧電アクチュエータは、前記複数の圧力室を覆う圧電層と、前記複数の圧力室に対応して設けられた複数の電極とを備えており、前記配線部材は、基材と、前記基材上に前記圧電層の複数の電極に対応して設けられており、前記複数の電極にそれぞれ接続される複数の配線とを備えており、互いに隣接する前記複数の配線の間には、酸化物又は窒化物からなる絶縁材料の隔壁が介在していることを特徴とするものである。
【0029】
これによると、隣接する配線の間に酸化物又は窒化物絶縁性材料からなる側壁が介在しているので、第1配線と第2配線とが導通してしまうのが防止される。これにより、配線部材を高密度で信頼性のあるものとすることができる。
【0030】
第10の発明に係る液体移送装置は、第9の発明に係る液体移送装置であって、前記複数の配線が、複数の第1配線と複数の第2配線からなり、前記複数の第1配線及び前記複数の第2配線が、前記隔壁を介して交互に配置されており、前記配線部材は、前記圧電アクチュエータの前記複数の電極に対向して配置されており、前記基材における、前記複数の第1配線が配置されている部分以外の部分の少なくとも一部分には、その表面に凹部が形成され、前記側壁及び前記複数の第2配線は前記凹部上に形成されていて、前記複数の第2配線の前記基材と反対側の面が、前記複数の第1配線の前記基材と反対側の面よりも前記基材側に位置していることを特徴とするものである。
【0031】
配線部材の配線と、圧電アクチュエータの電極とを接合するために、カメラなどを用いて配線部材の位置合わせを行う際に、配線が高密度に形成されている場合に全ての配線にピントが合ってしまうと、高密度に形成された配線を目視によって確認しにくい。しかしながら、本発明では、第2配線の基材と反対側の面が第1配線の基材と反対側の面よりも基材側に位置しているため、第1配線と第2配線とでカメラからの距離が異なり、第1配線及び第2配線の一方にピントを合わせたときに他方がぼやけることとなる。したがって、ピントが合っている第1又は第2配線のみを視認することにより、上記位置合わせを容易に行うことができる。
【0032】
第11の発明に係る液体移送装置は、第9の発明に係る液体移送装置であって、前記複数の配線が、複数の第1配線と複数の第2配線とからなり、前記複数の第1配線及び前記複数の第2配線が、前記隔壁を介して交互に配置されており、前記配線部材の前記発電アクチュエータとは反対側の面に接着されており、前記複数の配線を覆う板状体をさらに備えており、前記基材における、前記複数の第1配線が配置されている部分以外の部分の少なくとも一部分には、その表面に凹部が形成され、前記側壁および前記複数の第2配線は前記凹部上に形成されていて、前記複数の第2配線の前記基材と反対側の面が、前記複数の第1配線の前記基材と反対側の面よりも前記基材側に位置していることを特徴とするものである。
【0033】
これによると、第2配線の基材と反対側の面が第1配線の基材と反対側の面よりも基材側に位置しているため、配線部材と板状体との間には第2配線と対向する部分に隙間ができる。したがって、配線部材の表面に接着剤によって板状体を接着する際に、当該隙間に接着剤が流れ込むことにより、接着剤が外部に漏れ出してしまうのを防止することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、第1配線の側面に側壁を形成した後で、基材上の側壁に挟まれた部分に第2配線を形成することにより、高密度に配線を形成することが可能となる。
【0035】
また、第1配線と第2配線との間に絶縁性材料からなる側壁が配置されているので、第1配線と第2配線とが導通してしまうのが防止され、高密度で信頼性のある配線部材を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0037】
図1は、本実施の形態に係る配線部材を有する液滴移送装置としてのプリンタ1の概略構成図である。このプリンタ1は、単独のプリンタ装置に適用しても、あるいは、ファクシミリ機能やコピー機能等の複数の機能を備えた多機能装置のプリンタ装置に適用してもよい。図1に示すように、プリンタ1は、装置本体内にキャリッジ2、インクジェットヘッド3(液滴移送装置)、用紙搬送ローラ4などを備えている。なお、以下の説明では、ノズルから液体を吐出する方向を下方向とし、その反対方向を上方向としている。また、必要に応じて図中の方向を定める場合は、適宜説明を付与する。
【0038】
キャリッジ2は、その上面が開口された略箱状の樹脂製のケースで、図1の左右方向(走査方向)に延びるガイド軸5に移動可能に載置され、図示しない駆動ユニットによって走査方向(左右方向)に往復移動するように構成されている。装置本体内には、複数種類のインク(例えば、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの4種類)を供給するための交換式のインクカートリッジ(図示せず)が静置されていて、各インクカートリッジはインクチューブ(図示せず)を介してキャリッジ2内に載置されたインクジェットヘッド3に接続されている。また、キャリッジ2の下方に対向して、用紙搬送ローラ4とプラテン6が配置されていて、その両者の間に記録用紙Pが図1の手前方向(紙送り方向)に搬送される。インクジェットヘッド3は、キャリッジ2の下面に配置されており、複数のノズルをキャリッジ2の下面に露出開口させて塔載されている。
【0039】
そして、プリンタ1においては、用紙搬送ローラ4により紙送り方向に搬送される記録用紙Pに、キャリッジ2とともに走査方向に往復移動するインクジェットヘッド3からインクを吐出することにより、記録用紙Pに印刷を行う。
【0040】
次に、インクジェットヘッド3について説明する。図2は図1のインクジェットヘッド3の構成を示す斜視図である。図3はインクジェットヘッド3の平面図である。図4(a)は図3の部分拡大図である。図4(b)〜(d)は、それぞれ、図4(a)における後述する振動板40及び圧電層41、42の表面をそれぞれ示す図である。図5は図4(a)のV−V線断面図である。図6は図4(a)のVI−VI線断面図である。
【0041】
なお、図面を分かりやすくするため、図2においては、後述するランド52と配線53とを透過した状態で図示している。また、図3、図4においては、後述する流路ユニット31のインク流路の一部の図示を省略し、図3においては、圧電アクチュエータ32の下部電極43及び中間電極44の図示を省略している。また、図4(a)においては、ともに点線で図示すべき下部電極43及び中間電極44を、それぞれ二点鎖線及び一点鎖線で図示している。さらに、図4(b)〜(d)においては、圧力室10と後述する下部電極43、中間電極44及び上部電極45との位置関係を示していて、各電極43、44、45にハッチングを付している。
【0042】
図2〜図6に示すように、インクジェットヘッド3は、複数のノズル15や複数の圧力室10等の複数のインク流路が形成された流路ユニット31と流路ユニット31の上面に配置され、圧力室10内に充満されたインクにノズル16からの吐出のための圧力を付与する圧電アクチュエータ32とを備えている。また、圧電アクチュエータ32の上面には、ドライバIC54が実装されたCOF(Chip On Film)50(配線部材)が配置され、圧電アクチュエータ32と電気的かつ機械的に接続されている。
【0043】
流路ユニット31は、インク流路となる複数の貫通孔が形成された複数のプレート21〜24が互いに積層されることによって、インク供給口9からインクが供給されるマニホールド流路11、及び、マニホールド流路11の出口から流路12を経て圧力室10に至り、さらに、圧力室10から流路13、14を経てノズル15に至る複数の個別インク流路を有するインク流路(液体移送流路)が形成されている。そして、後述するように、圧電アクチュエータ32により、圧力室10内のインクに圧力が付与されると、圧力室10に連通するノズル15からインクが吐出される。ノズルプレート24を除く3枚のプレート21〜24はステンレス板やニッケル合金鋼板などの金属材料により構成されており、ノズルプレート24はポリイミド等の合成樹脂材料によって構成されている。
【0044】
流路ユニット31の最上層のプレート21には、複数のノズル15に対応して複数の圧力室10が板厚を貫通して形成され、図1にあるように、圧力室10は走査方向(図3の左右方向)を長手方向とする略楕円形の平面形状(図4も参照)を有し、その一端を流路12と、他端がノズル15と連通するように形成されており、複数の圧力室10は紙送り方向(図3の上下方向)に沿って配列されて1つの圧力室列8を構成しており、このような圧力室列8が、走査方向に2列に配列されることによって1つの圧力室群7を構成している。さらに、このような圧力室群7が走査方向に沿って5つ配列されている。ここで、1つの圧力室群7に含まれる2列の圧力室列8を構成する圧力室10同士は、紙送り方向に関して互いにずれて配置されている。また、流路ユニット31の最下層のノズルプレート24には、複数の圧力室10の長手方向の一端と連通する複数のノズル15が下方に開口して貫通形成されていて、図示しないが、複数の圧力室10と同様に送り方向に配列しているとともに、ノズル列群をなし、走査方向に5つのノズル列群をなしている。
【0045】
そして、5つの圧力室群7のうち、図3の右側の2つを構成する圧力室10に対応するノズル15からは使用頻度の高いブラックのインクが吐出され、図3の左側の3つの圧力室群7の圧力室10に対応するノズル15からは、図3の右側に配列されているものから順に、イエロー、シアン、マゼンタのインクが吐出される。また、プレート22には、平面視で圧力室10の長手方向の両端部に重なる位置にそれぞれ流路12、13となる貫通孔が形成され、プレート23には、マニホールド流路11となる貫通孔が圧力室10の列に対応して紙送り方向に延び、平面視で圧力室10の長手方向と重なるとともにインク供給口9と連通する位置まで延設されている。
【0046】
次に、圧電アクチュエータ32は、振動板40、圧電層41、42、下部電極43、中間電極44及び上部電極45を備えている。振動板40は、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との混晶であるチタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする圧電材料からなり、複数の圧力室10を覆うように、流路ユニット31の上面に配置されている。また、振動板40の厚みは20μm程度となっている。なお、この振動板40は必ずしも圧電材料からなる必要はない。
【0047】
圧電層41、42は、振動板40と同様の圧電材料からなり、互いに積層されて振動板40の上面に配置されている。また圧電層41、42の厚みは、それぞれ20μm程度となっている。
【0048】
下部電極43は、振動板40と圧電層41との間に配置されており、図4(b)のように各圧力室群7に対応して、各圧力室群7を構成する2列の圧力室列8に沿って紙送り方向に延びており、これら2列の圧力室列8を構成する複数の圧力室10と平面視で重なり合うように対向している。また、図示しないが、各圧力室群7に対応して上記紙送り方向に延びた部分同士は互いに接続され、図示しない接続端子が設けられている。接続端子は、COF50上の図示しない配線のランドと接続され、配線を介して下部電極43は、常にグランド電位に保持されている。
【0049】
中間電極44は、圧電層41と圧電層42との間に配置されており、図4(c)のように各圧力室群7毎に、それぞれ、複数の対向部44a及び接続部44b、44cを有している。複数の対向部44aは、紙送り方向に関する長さが圧力室10よりも短い略矩形の平面形状を有しており、複数の圧力室10の紙送り方向に関する略中央部と対向するように配置されている。
【0050】
接続部44bは、紙送り方向に延びて、各圧力室群7を構成する2列の圧力室列8のうち、図4の右側に配置された圧力室列8を構成する複数の圧力室10に対応する複数の対向部44aの図4中右側の端同士を接続している。接続部44cは、紙送り方向に延びて、各圧力室群7を構成する2列の圧力室列8のうち、図4の左側に配置された圧力室列8を構成する複数の圧力室10に対応する複数の対向部44aの図4中左側の端同士を接続している。また、中間電極44は図示しない接続端子と、後述するCOF50上の中間電極用の配線53のランド52に接続されており、配線53を介して常に所定の正の電位(例えば、20V程度)に保持されている。
【0051】
複数の上部電極45は、図3、図4(d)のように圧電層42の上面に、複数の圧力室10に対応して、複数の圧力室10のほぼ全域と対向するように配置されており、紙送り方向に関する長さが中間電極44の対向部44aよりも長い、略矩形の平面形状を有している。
【0052】
また、上部電極45は、走査方向に関するノズル15と反対側の端における一部分が、走査方向に圧力室10と対向しない部分まで延びており、この部分がCOF50の後述する配線53のランド52に接続される接続端子45aとなっている。接続端子45aは、Ag-Pd系の材料からなる。さらに、接続端子45aの表面には、金属などの導電性材料(本実施形態ではAgペースト)からなる導電性バンプ46が形成されており、上部電極45は、導電性バンプ46を介してCOF50上の配線53と接続され、さらにはCOF50上に実装された後述するドライバIC54に接続されている。そして、上部電極45は、ドライバIC54により、グランド電位と上記所定の電位(例えば、20V)との間でその電位が切り替えられる。なお、前述した中間電極44と下部電極43の図示しない接続端子もバンプを介して配線と電気的に接続されている。
【0053】
また、前述した圧電層42は、予め上部電極45と中間電極44とに挟まれた部分が上向きに分極されており、圧電層41、42は、上部電極45と下部電極43とに挟まれた部分が、上部電極45から下部電極43に向かって下向きに分極されている。なお、圧電層41のうち、中間電極44と下部電極43とに挟まれた部分は、中間電極44から下部電極43に向かって下向きに分極されている。
【0054】
ここで、圧電アクチュエータ32の動作について説明する。まず、圧電アクチュエータ32がインクを吐出させる動作を行う前の待機状態においては、前述したように、下部電極43及び中間電極44が、それぞれ、常にグランド電位及び上記所定の電位(例えば、20V)に保持されているとともに、上部電極45の電位が予めグランド電位に保持されている。この状態では、上部電極45が中間電極44よりも低電位になっているとともに、下部電極43と同電位となっている。
【0055】
これにより、上部電極45と中間電極44との間の電位差が生じ、圧電層42のこれらの電極に挟まれた部分にその分極方向と同じ上向きの電界が発生し、これにより、圧電層42のこの部分がこの電界と直交する水平方向に収縮する。これによりいわゆるユニモルフ変形が生じ、圧電層41、42及び振動板40の圧力室10と対向する部分(活性部)が全体として圧力室10に向かって凸となるように変形する。この状態では、圧電層41、42及び振動板40が変形していない場合と比較して、圧力室10の容積が小さくなっている。
【0056】
そして、インクを吐出させるべく圧電アクチュエータ32を駆動させる際には、上部電極45の電位を、一旦、上記所定の電位に切り替えた後、グランド電位に戻す。上部電極45の電位を上記所定の電位に切り替えると、上部電極45が中間電極44と同電位となるとともに、下部電極43よりも高電位となる。これにより、圧電層42の上記収縮が元に戻る。そしてこれと同時に、上部電極45と下部電極43との間に電位差が生じ、圧電層41、42のこれらの電極に挟まれた部分にはその分極方向と同じ下向きの電界が発生し、圧電層41、42のこの部分が水平方向に収縮する。これにより、圧電層41、42及び振動板40の圧力室10と対向する部分が全体として、圧力室10と反対側に凸となるように変形し、圧力室10の容積が増加する。
【0057】
この後、上部電極45の電位をグランド電位に戻すと、前述したのと同様、圧電層41、42及び振動板40の圧力室10と対向する部分が全体として圧力室10に向かって凸となるように変形し、圧力室10の容積が小さくなる。これにより、圧力室10内のインクの圧力が上昇し、圧力室10に連通するノズル15からインクが吐出される。
【0058】
また、上述したようにして圧電アクチュエータ32を駆動させる場合、上部電極45の電位をグランド電位から所定の電位に切り替えたときには、圧電層42の上部電極45と中間電極44とに挟まれた部分が収縮した状態から収縮前の状態に伸長すると同時に、圧電層41、42の上部電極45と下部電極43とに挟まれた部分が収縮するため、圧電層42の上記の伸長が、圧電層41、42の上記収縮に一部吸収される。
【0059】
一方、上部電極45の電位を所定の電位からグランド電位に戻したときには、圧電層42の上部電極45と中間電極44とに挟まれた部分が収縮するとともに、圧電層41、42の上部電極45と下部電極43とに挟まれた部分が収縮前の状態まで伸長するため、圧電層42の上記収縮が圧電層41、42の上記伸長によって一部吸収される。
【0060】
以上のことから、圧電層41、42の圧力室10と対向する部分の変形が、他の圧力室10と対向する部分に伝達して当該他の圧力室10に連通するノズル15からのインクの吐出特性が変動してしまう、いわゆるクロストークが抑制される。
【0061】
なお、上述した待機状態及び圧電アクチュエータ32が駆動されている間においては、圧電層41の中間電極44と下部電極43との間の部分には常に電位差が生じており、圧電層41のこの部分には、その分極方向と同じ方向の電界が発生している。これにより、圧電層41のこの部分は常に収縮した状態となっている。
【0062】
なお、アクチュエータの構成および駆動方式は、圧力室に充満されたインクをノズルから吐出させるための圧力が付与できれば、本発明に適用することが可能である。
【0063】
次に、圧電アクチュエータ32に電位を付与するためのCOF50について図2、図4〜図8を用いて説明する。また、図7は、図6におけるCOF50部分の拡大図である。図8は、図7を直線VIIIで示す平面で切った平面図である。COF50は、基材51、複数のランド52、複数の配線53、絶縁層56及びドライバIC54を有している。COF50は、圧電アクチュエータ32の上方に配置されて接続されており、走査方向の引き出されている。その引き出された部分の上面には、圧電アクチュエータ32に駆動信号を伝送するための駆動回路を内蔵したドライバIC54が配置されている。ドライバIC54には、本体側プリンタから入力される入力用の配線53zと、ドライバIC54から各上部電極45に出力される出力用の配線53が接続されている。なお、図示しないが、COF50には、中間電極44および下部電極43に接続される配線がドライバIC54を介さずに配線されている。
【0064】
COF50は、基材51上に複数の配線53が形成され、その配線53を覆って絶縁層56が形成されている。基材51は、ポリイミドなどの樹脂材からなり絶縁性および可撓性を有した帯状である。配線53は、銅などの導電性材料で基材51上に形成され、絶縁層56はソルダレジストである。複数の配線53は、走差方向に沿って延びるとともに、複数の配線53が紙送り方向に等間隔に配列されて形成されている。ランド52は、基材51の下面(圧電層42と対向する面)の平面視で接続端子45aと重なる部分に配置され、圧電アクチュエータ32とCOF50との接続時に導電性バンプ46と接触して電気的接続点となる。また、ランド52は、ドライバIC54から延在する複数の出力用の配線53の端部に設けられていてドライバIC54と接続されている。なお、図示しないが、COF50には、中間電極44および下部電極43に接続される配線およびランドがドライバIC54を介さずに配線されている。
【0065】
COF50について更に詳しく説明する。基材51の上面には、紙送り方向に幅W1となる凹部51aが走差方向に沿って延びるとともに、複数の凹部51aが紙送り方向に間隔W2をおいて等間隔に配列されている。つまり、基材51の上面は、紙送り方向に幅W2の凸部51bと幅W1の凹部51aとが連続した凸凹形状が、走査方向に沿って延びて構成されている。そして、複数の配線53が、基材51の上面(基材51上)の複数の凹部51aが形成された部分(凹部51a上)にそれぞれ配置された複数の配線53a(第2配線)、及び、基材51の上面(基材51上)における複数の凹部51aの間の部分、つまり幅W2の凸部51bに配置された複数の配線53b(第1配線)とからなる。すなわち、複数の配線53a(第2配線)は、複数の配線53b(第1配線)に挟まれた部分にそれぞれ配置されており、複数の配線53aと複数の配線53bとは、紙送り方向に沿って交互に配列されている。
【0066】
なお、配線53aと53bの幅W1および幅W2は、同寸法であり、さらに配線53aの配線高さH1と、配線53bとの配線高さH2とも、同寸法であるため、配線53aと配線53bとは、配線抵抗が同等になっているため、配線部材に供給される電圧のバラツキはないため、アクチュエータなどの駆動対象を安定駆動させることができる。
【0067】
隣接する配線53aと配線53bとの間には、それぞれ側壁57が配置されており、互いに隣接する配線53aと配線53bとの間には側壁57が介在している。すなわち、配線53aと配線53bとは、側壁57を介して交互に配置されている。側壁57は、例えばSiOのような酸化物、Siのような窒化物など、絶縁性を有するとともに、基材51との密着性の高い材料によって構成されている。
【0068】
ここで、配線53aと配線53bとの間隔が狭い場合、つまり、複数の配線が高密度に配線されている場合、本実施の形態とは異なり、側壁57がないと、前述したように駆動信号を伝送したときの配線53aと配線53bとの電位差により、互いに隣接する配線53a、53bの一方を構成する導電性材料が基材51の上面を移動することによって他方に達して、配線53aと配線53bとが導通したり、基材51の上面の導電性を有する異物を介して配線53aと配線53bとが導通したりする、いわゆるマイグレーションが生じる虞がある。特に銀や銅材料は、高電界下でマイグレーションを起し易い材料であるため、配線間が狭くなってくるとマイグレーションが生じる可能性が高い。
【0069】
しかしながら、本実施の形態では、互いに隣接する配線53aと配線53bとの間に、絶縁性を有した側壁57が介在しているため、配線53aと配線53bとの間に異物が介在しても、側壁57があることで配線53aと配線53bとが導通してしまうのを防止できる。
【0070】
また側壁57は基材51との密着性の高い酸化物や窒化物によって構成されているので、側壁57が基材51に密着接触している領域との間には隙間がなく、配線53a、53bの一方を構成する導電性の材料が基材51の上面を移動して他方に達したり、配線53aと配線53bとの間に異物が介在したりするのが確実に防止される。
【0071】
また、基材51の上面に複数の配線53及び側壁57を覆うように、ソルダーレジストなどの絶縁材料からなる絶縁層56が連続的に形成されている。そして、絶縁層56により、配線53aと配線53bとが保護されている。
【0072】
このような構成のCOF50は、圧電アクチュエータ32と接続する際には、図5、図6に示すように基材51の下面が圧電層42と対向するように配置し、基材51の下面のランド52と圧電アクチュエータ32の上部電極45の接続端子45aとを接続する。ランド52は、基材51の上面側に形成された配線53と基材51に形成されたスルーホール51cを介して接続されている。また、基材51と圧電層42とは、導電性バンプ46及びランド52と対向する部分において、ソルダーレジストなど熱硬化性材料を含む接着剤55により接合されている。
【0073】
なお、このように圧電アクチュエータ32に接合されたCOF50の上側には、COF50が圧電アクチュエータ32と剥がれないための剥がれ防止板58が絶縁層56の上面に熱硬化性の接着剤59により接合される。COF50は、圧電アクチュエータ32と接合されたのち、キャリッジ2内に装着するなどの後工程において機械的な力が加わりやすいため、圧電アクチュエータ32の外周縁のCOF50との接続部分が剥がれやすく、導電性バンプ46とランド52とが剥がれて電気的断線を起す虞がある。そのため、剥がれ防止板58を基材51上に接合することにより、COFの剥がれを抑制している。
【0074】
次に、COF50の製造方法について説明する。図9は、COF50の製造工程を示す工程図である。
【0075】
COF50を製造するには、まず、図9(a)に示すように、基材51の上面に印刷等により、幅W2、高さH2の複数の配線53b(第1配線)を形成する(第1配線形成工程)。次に、図9(b)に示すように、基材51における、隣接する配線53b、53bの間の部分(配線53bが形成されている部分以外の部分の少なくとも一部)の表面をエッチングなどにより除去して凹部51aを形成する(基材除去工程)。これにより、基材51の上面に付着していた異物などが基材51とともに除去される。なお、このとき配線53b、53bの間の幅はW2よりも大きい。
【0076】
次に、図9(c)に示すように、蒸着などにより、基材51の上面に、凹部51a(配線53aの間の部分)及び複数の配線53bを覆うように側壁57を構成する密着性の高い酸化物や窒化物の材料57aを設け、続いて、図9(d)に示すように、エッチングにより、材料57aの凹部51aの略中央部及び配線53b上を覆う部分(側壁57となる部分以外の部分)を除去して、配線53bの側面に側壁57を形成する(側壁形成工程)。なお、このとき、材料57aの除去される部分の幅W1が配線53bの幅W2とほぼ同じとなるようにする。
【0077】
ここで、側壁57を構成する材料57aが酸化物又は窒化物により構成されているため、材料57aはエッチングによる加工性がよく、側壁57を構成する材料57aをレジストなどのCOF50に汎用的な絶縁材料を用いて側壁57を形成するよりも精度良く側壁57を形成することができる(シャープエッジにすることができる)。これにより、複数の第1配線の間で側壁に挟まれた部分のスペースを十分に取ることができ、上記幅W1を配線53bの幅W2とほぼ同じとなるようにすることができる。
【0078】
次に、蒸着や印刷、インクジェットヘッドによる液滴の滴下などにより、凹部51aの材料57aを除去した部分(複数の配線53bの間であって、複数の側壁57に挟まれた部分)に複数の配線53aを、その高さH1が配線53bの高さH2とほぼ同じとなるように形成する(第2配線形成工程)。以上のような工程により、第1配線53bを形成した後、第1配線53bの側面に側壁57を形成し、さらに側壁57の間に第2配線53aを形成することにより、基材51上に高密度かつ精度良く配線53を形成することが可能となる。
【0079】
また、配線53aの幅は、凹部51aの材料57aが除去された部分の幅と同じ幅W2となり、配線53bの幅W1とほぼ同じとなっている。また、配線53aの高さH1と配線53bの高さH2とがほぼ同じとなっているので、凹部51aの高さの分だけ、配線53aの上面(基材51と反対側の面)の位置が配線53bの上面(基材51と反対側の面)の位置よりも低くなっている。
【0080】
そして、配線53aの幅W1と配線53bの幅W2とをほぼ同じとするとともに、配線53aの高さH1と配線53bの高さH2とをほぼ同じとすることにより、配線53aと配線53bとで、内部抵抗など電気的な特性をほぼ同じにすることができる。
【0081】
次に、複数の配線53a、53bが形成された基材51の上面にソルダーレジストにより絶縁層56を形成する。このとき、配線53aの上面が配線53bの上面よりも低い位置にある(基材51側に位置している)ため、絶縁層56の上面は、配線53aと対向する部分が低くなった凹凸のある形状の配線部材が形成される。
【0082】
このような工程で製造される配線部材を圧電アクチュエータ32に接合する配線部材として用いるときには、図9(e)の工程の後に、基材51の配線53a、53bと対応する位置で圧電アクチュエータの接続端子45aと対応する位置に、基材51の配線53bが形成されている側とは反対側の面からスルーホールとなる貫通孔を形成し、さらに銅などの導電性材料を印刷などで形成することでランド52を形成する。その後の工程は前述の工程と同様のため説明は省略する。
【0083】
そして、基材51の上面にドライバIC54が配置されたCOF50には、ランド52に対応する位置に未硬化の状態の熱硬化性の接着剤を塗布し、加熱をかけて半硬化させた状態にし、ランド52と、接続端子45a上に設けられたバンプ46とを位置合わせした状態で、COF50の上側からバーヒータなどで、押圧・加熱する。バンプ46は、COFが押圧されることで、ランド52上に形成された熱硬化性樹脂層を貫通し、ランド52と接触し、熱硬化性樹脂層はバンプ46を覆った状態で加熱硬化されることで、圧電アクチュエータ32とCOF50とが電気的かつ機械的に接続される。
【0084】
また、圧電アクチュエータと接合したCOF50の上側にはがれ防止板58を設ける場合には、その下面に熱硬化性の接着剤59を塗布した剥がれ防止板58をCOF50の絶縁層56の上面に配置し、ヒータHにより剥がれ防止板58を絶縁層56に向かって押圧しながら加熱することにより、絶縁層56と剥がれ防止板58とを接合する。このとき、前述したように、絶縁層56の上面が凹凸のある形状となっているため、絶縁層56と剥がれ防止板58との間には、配線53aと対向する部分に隙間ができている。したがって、接着剤59がこの隙間に流れ込むことにより、接着剤59が外部にはみ出してしまうのを防止することができる。なお、熱硬化性接着剤59は、絶縁層56側に塗布した状態で剥がれ防止板を配置しても同様の効果を得ることができる。
【0085】
以上に説明した実施の形態によると、基材51上に配線53bを形成した後、配線53bの側面に側壁57を形成し、続いて、基材51上の側壁57の間に配線53aを形成することにより、従来エッチングによる製造が困難であった高密度な配線パタ-ンでも基材51上に高密度で精度良く形成することができる。
【0086】
また、互いに隣接する配線53aと配線53bとの間に、絶縁性を有する側壁57が介在しているので、これらの配線53aと配線53bとが導通してしまうのが防止される。そして、これにより、COF50を、配線が高密度で信頼性の高いものとすることができる。
【0087】
また、側壁57が基材51との密着性の高い酸化物又は窒化物により構成されているため、互いに隣接する配線53a、53bの一方を構成する材料が側壁57と基材51との隙間を移動して他方に達したり、側壁57と基材51との間の隙間に異物が介在したりすることが確実に防止され、互いに隣接する配線53aと配線53bとが導通してしまうのをより確実に防止することができる。
【0088】
さらに、側壁57を形成する前(材料57aを形成する前)に、基材51における配線53bの間の部分の上面をエッチングで除去することにより凹部51aを形成しているため、凹部51aを形成した部分において、基材51上に付着していた異物などが基材51とともに除去されるため、異物によるマイグレーションが起こる危険性を少なくするとともに、基材51と側壁57との密着性がさらに向上し、互いに隣接する配線53aと配線53bとが導通してしまうのを一層確実に防止することができる。
【0089】
また、配線53aの幅W1と配線53bの幅W2とがほぼ同じであるとともに、配線53aの高さH1と配線53bの高さH2とがほぼ同じであるので、配線53aと配線53bとで、内部抵抗など電気的な特性をほぼ同じとすることができる。
【0090】
また、側壁57を構成する酸化物や窒化物はエッチングによる加工性がよいため、レジストなどの汎用的な絶縁材料により側壁57を形成するよりも精度良く側壁57を形成することができる。また、複雑な工程を経なくても、マスクしてエッチングをさせるだけの一般的なエッチング技術により側壁が精度良く形成できるため生産性が良い。これにより、複数の第1配線の間で側壁に挟まれた部分のスペースを十分に取ることができ、上記幅W1を配線53bの幅W2とほぼ同じとなるようにすることができる。
【0091】
また、配線53aの上面が配線53bの上面よりも低い位置にあるのに伴って、絶縁層56の上面は、配線53aと対向する部分が低くなった凹凸のある形状となっているため、絶縁層56と剥がれ防止板58との間には、配線53aと対向する部分に隙間ができている。したがって、絶縁層56の上面に剥がれ防止板58を接合する際に、両者を接着するための接着剤59が上記隙間に流れ込むことにより、接着剤59が外部にはみ出してしまうのを防止することができる。
【0092】
次に、本実施の形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。ただし、本実施の形態と同様の構成を有するものについては同じ符号を付し、適宜その説明を省略する。
【0093】
本実施の形態では、基材51の上面に凹部51aを形成し、凹部51a内に配線53aを形成したがこれには限られない。一変形例では、本実施の形態と同様、図10(a)に示すように、基材51の上面に複数の配線53bを形成した後、図10(b)に示すように、凹部51aを形成せずに、配線53bの間の部分及び配線53bを覆うように、基材51の上面に材料57aを設ける。そして、以下、本実施の形態と同様、図10(c)〜(f)に示すように、材料57aのうち、配線53bの側面近傍の部分を除いた部分を除去することによって側壁57を形成し、材料57aを除去した部分に複数の配線53aを形成し、配線53a、53bが形成された基材51の上面に絶縁層56を形成し、接着剤59により絶縁層56と剥がれ防止板58とを接合する(変形例1)。
【0094】
この場合には、上述の実施の形態とは異なり、基材51の上面に凹部51aを形成しておらず、基材51上面の側壁57が形成される部分に異物が残留している虞があるが、側壁57が酸化物や窒化物など基材51との密着性の高い材料からなるため、基材51上の異物を介して配線53aと配線53bとが導通してしまうことがない。なお、この場合には、配線53aの上面と配線53bの上面とがほぼ同じ高さとなる。また、剥がれ防止板58は、例えば金属など導電性の高い材料であれば、COF50における熱の分布を均一にするための均熱板としても兼ねてもよく、圧電アクチュエータ駆動時の振動によりクロストークが起こりやすくなることを抑えるための振動抑え板の機能を兼ねていてもよい。
【0095】
また、本実施の形態では、COF50において、配線53及び絶縁層56が形成された基材51の上面に剥がれ防止板58が接合された構成となっていたが、これには限られない。別の一変形例では、図11に示すように、基材51、配線53及び絶縁層56の上下が上述の実施の形態とは逆になっている。すなわち、配線53が基材51の下面(基材51上)に形成されており、配線53が形成された基材51の下面に絶縁層56が形成されている。さらに、絶縁層56には、配線53の一部を露出させてランド73とする貫通孔56aが形成されている。そして、貫通孔56a内のランド73にはハンダ75が配置され、COFを押圧・加熱させることで、ハンダ75を溶融させ、ランド73と圧電アクチュエータ32の上部電極45の接続端子45aとをハンダ75と合金化させることで接続されている(変形例2)。
【0096】
この場合には、上述の実施の形態と同様、図9(a)〜(e)に示すように、基材51の上面に配線53a、53b、側壁57及び絶縁層56を形成し、その後、図12(a)に示すように、絶縁層56に貫通孔56aを形成し、配線53a、53bの一部を露出させてランド73を形成する。このとき、配線53a、53bの上面が上述の実施の形態で説明したように凹凸のある形状となっているので、配線53aに対応するランド73が配線53bに対応するランド73よりも下方に位置している。
【0097】
次に、図12(b)に示すように、ランド73の上面に球状のハンダ75を形成する。そして、上述した工程で製造されたCOFの上下を逆にし、図12(c)に示すように、カメラによってランド73と接続端子45aとを位置合わせした状態でCOFを圧電層42の上面に配置する。このとき、配線53a、53bの上面が凹凸のある形状となっているため、ランド73に同体積のハンダ75を配置して、COF50を圧電層42の上面に配置すると、ハンダ75の高さ位置が異なっているため、接続端子45aとハンダ75との間隔が異なっている。詳しくは、配線53b上のランド73に設けられたハンダ75は接続端子45aまでの距離が近く、配線53a上のランド73に設けられたハンダ75は、接続端子45aまでの距離が遠くなっている。そして、この状態でヒータHによりCOFを圧電層42に向かって押圧しながら加熱する。接続端子45aには一般的なハンダ接続と同様にフラックス処理がなされているため、融解したハンダ75は、接続端子45a上に流れて広がった状態で合金化して接合される。よって、ランド73と接続端子45aとがハンダ75を介して接続される。このとき、図12(d)に示すように、接続端子45aまでの距離が遠い配線53a上のハンダ75が、対応する接続端子45aに到達して接続端子45a上に広がって接合する時点で、接続端子45aまでの距離が近い配線53b上のハンダ75は、すでに対応する接続端子45aに到達して接続端子45a上に広がり、さらに押しつぶされた幅広な形状となって接続端子45aと接合する。押しつぶされたハンダ75は、その表面張力によりその形状を維持している。
【0098】
溶融したハンダ75をその表面張力を超えて押圧がなされると、隣接するハンダ75とハンダブリッジを形成して導通するという現象がおこる。幅広形状なハンダ75は接続面積が広くなるため接合強度の面においては有利には働くものの、高密度で狭ピッチに配線が設けられたCOFにおいては、隣接する配線間が狭くなっていることで、隣接するハンダ75同士が容易にハンダブリッジを形成しやすいという虞がある。そのため、図12(d)の押圧加熱工程では、接続端子45aまでの距離が近い配線53b上のハンダ75を押圧しすぎないことを考慮すると、接続端子45aまでの距離が遠い配線53a上のハンダ75はその先端部分のみが接続端子45aに接触して接続端子45a上に流れて広がった状態で接続端子45aとハンダ75とが接合される。このとき、接続端子45aまでの距離が近い配線53b上のハンダ75は、先に接続端子45a上に広がって流れている状態で、接続端子45aまでの距離が遠い配線53b上のハンダ75の先端部が対応する接続端子45aまで到達するまでさらに押圧されるため、接続端子45a上にさらに広がることができず、その表面張力により横につぶれて広がった幅広な形状のまま接合される。そして、接続端子45aまでの距離が遠い配線53bのハンダ75は、その先端部のみが対応する接続端子45aに到達するため、その先端部分から接続端子45a上に溶融したハンダ75が流れ広がるため、ソルダーレジスト56の貫通孔56aと接触する部分から接続端子45aとの境界までくびれた形状となって接合される。つまり、幅広形状となる配線53b上のハンダ75と隣接する配線53a上のハンダ75がくびれた形状となるため、隣接するハンダ75同士の距離が大きくなるため、高密度で狭ピッチの配線材においてもハンダブリッジがおこって導通する可能性を抑制することができる。
【0099】
また、ここで、配線53a、53bの間隔、つまり、ランド73の間隔が短い場合には、カメラにより全てのランド73にピントが合ってしまうと、カメラにより写された映像においてもランド73が短い隙間で配置されるので、当該映像を目視しても、ランド73の境界部分を認識しづらく、上記位置合わせを行うことが困難となってしまう虞がある。
【0100】
しかしながら、変形例2の場合には、ランド73と接続端子45aとの位置合わせの際に、配線53aに対応するランド73と配線53bに対応するランド73とが互いに異なる高さに位置しているため、カメラを配線53a、53bの一方に対応するランド73にピントを合わせれば、他方に対応するランド73とのピントがずれる。したがって、配線53a、53b、つまり、ランド73が短い間隔で配置されている場合にも、カメラのピントが合ったランド73の間隔は大きくなり、カメラにより写された映像を目視することによる上記位置合わせが容易になる。
【0101】
また、液滴吐出装置に配線部材を接続するときについての変形例(変形例4)について説明する。図13には、変形例の配線部材を用いて接続した液滴吐出装置を示している。この変形例の配線部材は、図9(a)〜(e)の工程までに製造された配線部材を用いて、圧電アクチュエータ32に接合している。図9(e)の工程で製造された配線部材150に対し、導線53a、53bが形成されている側の面を圧電層42と対向して配置させる。そのとき、配線53a、53bが形成されている面には、未硬化の状態のソルダーレジスト155を塗布する。前述の実施形態では、各配線53a、53bの端部に設けられたランド52のみに部分的に接着剤が塗布されていたが、この変形例では、配線53a、53bおよび側壁57を全ての面を覆うように未硬化のソルダーレジストを塗布し、加熱して半硬化させた状態とする。このように塗布することで配線53a、53bを保護している。そして、ヒータで押圧・加熱させることで、圧電層の接続端子45a上に設けられたバンプにソルダーレジスト層を貫通させてバンプと配線53a、53bの電気的接続点となるランド52とを接触させるとともに、押し出された未硬化のソルダーレジストが接続端子45a上に広がって硬化する。この変形例においては、図9(f)のソルダーレジスト層の形成にソルダーレジストを接続端子45aとの機械的接続に用い、配線53a、53bがランド52の機能を果たしているため、図5のように前述したランド52を形成する場合よりも工程を少なくすることができる。
【0102】
また、本実施の形態では、側壁57が酸化物や窒化物により構成されていたがこれには限られず、側壁57が他の絶縁性材料により構成されていてもよい。
【0103】
また、本実施の形態では、側壁57の間の幅W1が配線53bの幅W2とほぼ同じとなるように材料57aを除去することにより、この部分に形成される配線53aの幅W1を配線53bの幅W2とほぼ同じとなるようにしていたが、これには限られず、配線53aの幅W1と配線53bの幅W2とが互いに異なっていてもよい。
【0104】
また、以上では、基材51の上面又は下面のいずれか一方にのみ配線53が配置されていたが、これには限られず、基材51の両面に配線53が配置されていてもよい。この場合でも、基材51の一方及び他方の面に配置される配線53は、上述したのと同様にして形成される。
【0105】
また、以上の説明では、本発明をノズル15からインクを吐出するインクジェットヘッド、及びインクジェットヘッドに電位を付与するためのCOFに適用した例について説明したが、これには限られず、インク以外の液体を吐出又は移送する液体移送装置、あるいはこのような液体移送装置に用いられる配線部材に本発明を適用することも可能である。さらには、本発明を、液体移送装置以外に用いられる配線部材に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明における実施の形態に係るプリンタの概略構成図である。
【図2】図1のインクジェットヘッドが斜視図である。
【図3】図2の平面図である。
【図4】(a)が図3の部分拡大図であり、(b)〜(d)が、(a)の各圧電層の表面の図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】図4のVI−VI線断面図である。
【図7】図6の部分拡大図である。
【図8】図7を直線VIIIで示す平面切った平面図である。
【図9】インクジェットヘッドの製造工程を示す工程図である。
【図10】変形例1の図9相当の図である。
【図11】変形例2の図7相当の図である。
【図12】変形例3における、図9(e)の後のインクジェットヘッドの製造工程を示す工程図である。
【図13】変形例4における図5相当の図である。
【符号の説明】
【0107】
3 インクジェットヘッド
31 流路ユニット
32 圧電アクチュエータ
41、42 圧電層
43〜45 電極
50 COF
51 基材
53、53a、53b 配線
57 側壁
57a 材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に複数の第1配線を形成する第1配線形成工程と、
前記基材上の前記複数の第1配線の間であって、前記複数の側壁に挟まれた部分に、第2配線を形成する第2配線形成工程とを備えていることを特徴とする配線部材の製造方法。
【請求項2】
前記側壁形成工程において、前記複数の第1配線の間の、前記複数の側壁に挟まれた部分の幅が、前記複数の第1配線の幅とほぼ同じとなるように、前記複数の側壁を形成することを特徴とする請求項1に記載の配線部材の製造方法。
【請求項3】
前記側壁形成工程において、前記複数の第1配線の間および前記複数の第1配線を覆うように前記基材上に絶縁性材料を設けた後、前記絶縁性材料の前記複数の側壁となる部分を除く他の部分をエッチングで除去することによって、前記複数の側壁を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の配線部材の製造方法。
【請求項4】
前記複数の側壁が酸化物又は窒化物により構成されていることを特徴とする請求項3に記載の配線部材の製造方法。
【請求項5】
前記側壁形成工程の前に、前記基材の前記複数の第1配線が配置されている部分以外の部分の少なくとも一部の表面を除去して凹部を形成する基材除去工程をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の配線部材の製造方法。
【請求項6】
基材と、
前記基材上に形成された複数の配線とを備えており、
互いに隣接する前記複数の配線の間には、酸化物又は窒化物からなる絶縁材料の隔壁が介在していることを特徴とする配線部材。
【請求項7】
前記複数の配線が、複数の第1配線と複数の第2配線とからなり、
前記複数の第1配線及び前記複数の第2配線が、前記隔壁を介して交互に配置されており、
前記基材における、前記複数の第1配線が配置されている部分以外の部分の少なくとも一部分には、その表面に凹部が形成され、前記側壁及び前記複数の第2配線は前記凹部上に形成されていて、前記複数の第2配線の前記基材と反対側の面が、前記複数の第1配線の前記基材と反対側の面よりも前記基材側に位置していることを特徴とする請求項6に記載の配線部材。
【請求項8】
前記複数の第2配線の前記基材と反対側の面に配置したハンダバンプと、前記複数の第1配線の前記基材と反対側の面に配置したハンダパンプとが同体積であることを特徴とした請求項7に記載の配線部材。
【請求項9】
複数の圧力室を含む液体流路が形成された流路ユニットと、
前記圧力室内の液体に圧力を付与する圧電アクチュエータと、
前記圧電アクチュエータに駆動電力を供給するための配線部材とを備えており、
前記圧電アクチュエータは、
前記複数の圧力室を覆う圧電層と、
前記複数の圧力室に対応して設けられた複数の電極とを備えており、
前記配線部材は、
基材と、
前記基材上に前記圧電層の複数の電極に対応して設けられており、前記複数の電極にそれぞれ接続される複数の配線とを備えており、
互いに隣接する前記複数の配線の間には、酸化物又は窒化物からなる絶縁材料の隔壁が介在していることを特徴とする液体移送装置。
【請求項10】
前記複数の配線が、複数の第1配線と複数の第2配線とからなり、
前記複数の第1配線及び前記複数の第2配線が、前記隔壁を介して交互に配置されており、
前記配線部材は、前記圧電アクチュエータの前記複数の電極に対向して配置されており、
前記基材における、前記複数の第1配線が配置されている部分以外の部分の少なくとも一部分には、その表面に凹部が形成され、前記側壁および前記複数の第2配線は前記凹部上に形成されていて、前記複数の第2配線の前記基材と反対側の面が、前記複数の第1配線の前記基材と反対側の面よりも前記基材側に位置していることを特徴とする請求項9に記載の液体移送装置。
【請求項11】
前記複数の配線が、複数の第1配線と複数の第2配線とからなり、
前記複数の第1配線及び前記複数の第2配線が、前記隔壁を介して交互に配置されており、
前記配線部材の前記発電アクチュエータとは反対側の面に接着されており、前記複数の配線を覆う板状体をさらに備えており、
前記基材における、前記複数の第1配線が配置されている部分以外の部分の少なくとも一部分には、その表面に凹部が形成され、前記側壁及び前記複数の第2配線は前記凹部上に形成されていて、前記複数の第2配線の前記基材と反対側の面が、前記複数の第1配線の前記基材と反対側の面よりも前記基材側に位置していることを特徴とする請求項8に記載の液体移送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−87254(P2010−87254A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254840(P2008−254840)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】