説明

金属含有膜を被着させるための金属エノラート前駆体

【課題】金属含有膜のための気相成長前駆体としての使用に適した有機金属化合物を提供する。特定の有機金属前駆体を用いて金属含有膜を被着させる方法も提供する。そのような金属含有膜は、電子装置の製造において特に有用である。
【解決手段】周期表のランタニド又は第3族〜第16族から選択される金属の酸化物を成膜する方法であって、エノラート配位子を含む金属含有前駆体を用い、金属前駆体を蒸気状態で反応チャンバーに導入し、基体上に化学吸着させる工程と、パージする工程と、酸素源を導入する工程と、パージする工程とを含む気相成長により成膜する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2010年11月30日出願の先の米国仮特許出願第61/418055号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、一般的に、有機金属化合物の分野に関する。詳しく言えば、本発明は、限定されるものではないが、原子層堆積(ALD)又はサイクリック化学気相成長(CCVD)などの気相被着プロセスにおける使用に適した特定の有機金属化合物に関し、それらは、例えば、半導体装置のゲート絶縁膜又はキャパシタ絶縁膜を形成するために使用し得る。
【背景技術】
【0003】
金属酸化物半導体(MOS)集積回路(IC)の各世代で、装置寸法は、高集積度及び高性能(例えば、高速及び低電力消費の要件など)を与えるためにスケールダウンされ続けている。残念なことに、電界効果半導体装置は、チャネルの幅に比例する出力信号を生成するため、スケーリングによってそれらの出力が低下する。この効果は、一般的に、ゲート絶縁体の厚さを減少させることによって補われており、そのようにしてゲートをチャネルに極めて接近させ、電界効果を増強し、それによって駆動電流を増加させている。それゆえ、装置性能を向上させるために、極薄で信頼性が高く且つ低欠陥のゲート絶縁体を提供することがますます重要になってきている。
【0004】
何十年もの間、熱酸化シリコンSiO2がゲート絶縁体として主に使用されてきたが、これは、SiO2が下部のシリコン基材とともに安定しており、その製作プロセスが比較的簡単であるからである。しかしながら、酸化シリコンゲート絶縁体は誘電率(k)が3.9と比較的低いため、とりわけ薄い酸化シリコンゲート絶縁体を流れるゲートからチャネルへの漏れ電流のために、酸化シリコンゲート絶縁体厚さの更なるスケールダウンはますます困難になってきている。
【0005】
このことが、酸化シリコンよりも厚い層に形成することができるが同等以上の装置性能を生み出す代替絶縁体材料の考察につながっている。この性能は、「等価酸化膜厚(EOT)」として表すことができる。代替絶縁体材料層は、比較の酸化シリコン層よりも厚くてよいとは言え、ずっと薄い層の酸化シリコン層の等価効果を有する。
【0006】
この目的のために、高kの金属酸化物材料がゲート絶縁体又はキャパシタ絶縁体の代替絶縁体材料として提案されている。金属含有前駆体は、単独で用いても又は他の金属含有前駆体、例えば、Pb(Zr,Ti)O3又は(Ba,Si)(Zr,Ti)O3などと組み合わせても、高誘電率及び/又は強誘電体酸化物薄膜を作製することができる。金属酸化物材料の誘電率は酸化シリコンのものよりも高くすることができるため、類似したEOTを有するより厚い金属酸化物層を被着させることができる。結果として、半導体産業は、金属含有膜、例えば、限定されるものではないが、酸化物、窒化物、ケイ酸塩又はそれらの組合せなどを基材、例えば、金属窒化物又はシリコンなどの上に被着させることができるようにするために、金属含有前駆体、例えば、チタン含有前駆体、ジルコニウム含有前駆体、ハフニウム含有前駆体、それらの組合せなどを必要としている。
【0007】
残念なことに、シリコンなどの従来の基材材料を使用する場合には、高kの金属酸化物材料の使用はいくつかの問題を提起する。シリコンは、高kの金属酸化物の被着又はその後の熱プロセスの間に、高kの金属酸化物と反応する可能性があり、又は酸化を受ける可能性があり、それによって酸化シリコンの界面層を形成する。これは、等価酸化膜厚を増大させ、それによって装置性能を低下させる。更に、高kの金属酸化物層とシリコン基材との界面準位密度が増加する。これにより、キャリヤのチャネル移動度が低下する。これはMOSトランジスタのオン/オフ電流比を低下させ、その結果、そのスイッチング特性を劣化させる。また、高kの金属酸化物層(例えば、酸化ハフニウム(HfO2)層又は酸化ジルコニウム(ZrO2)層など)は、比較的低い結晶化温度を有し、熱的に不安定である。そのため、装置のソース領域、ドレイン領域に事前注入されたn型及びp型ドーパントを拡散させるために用いられるその後の熱アニールプロセスの間に、金属酸化物層が結晶化しやすい場合がある。結晶化は、電流が通過することができる金属酸化物層中で結晶粒界形成をもたらす場合があり、その結果、絶縁酸化物の絶縁体としての性能を劣化させる。結晶化は、金属酸化物層の表面粗度の増加を招く場合もあり、この増加が漏れ電流及び絶縁体劣化をもたらす場合もある。更に、高kの金属酸化物層の結晶化は、粗面による光の乱反射のために、その後のリソグラフィーによるアラインメントプロセスに望ましくない影響も及ぼしかねない。
【0008】
金属含有前駆体を被着させる基材との副反応を最小限に抑えることに加えて、金属含有前駆体が、好ましくは液体又は低融点固体の形態でもって、熱的に安定であることも望ましい。例えば、第4族含有金属膜は、一般的には、気相成長(例えば、化学気相成長及び/又は原子層堆積)プロセスを用いて被着される。処理中に前駆体が気相成長チャンバに到着する前に前駆体が早期に分解しないように、これらの前駆体が蒸気での供給の間熱的に安定であることが望ましい。前駆体の早期分解は、副生物の望ましくない蓄積を招いて被着装置の流体流動管を塞ぐだけでなく、被着されるゲート絶縁体、高誘電率及び/又は強誘電体金属酸化物薄膜の組成の望ましくない変動も引き起こしかねない。
【0009】
金属エノラート種は、有機合成に使用される中間体及び触媒化学種として報告されている(Tetrahedron Lett. FIELD Full Journal Title: Tetrahedron Letters 22(47): 4691−4)が、それらは、下記に記載するもののような、薄膜被着プロセスにおいて使用する低融点の、完全に気化する、且つ熱的に安定な分子として分離されてはいない。
【0010】
他の先行技術には、米国特許出願公開第2007/0248754号明細書、2007年11月27日に出願された米国特許出願第11/945678号明細書、2008年11月11日に出願された、本出願人による同時係属出願である米国特許出願第12/266806号明細書、本出願人の米国特許第7691984号明細書及び米国特許第7723493号明細書などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0248754号明細書
【特許文献2】米国特許出願第11/945678号明細書
【特許文献3】米国特許出願第12/266806号明細書
【特許文献4】米国特許第7691984号明細書
【特許文献5】米国特許第7723493号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Tetrahedron Lett. FIELD Full Journal Title: Tetrahedron Letters 22(47): 4691−4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、次の特性、すなわち、高い熱安定性、高い化学反応性、及び低融点、のうちの少なくとも1つを示す金属含有前駆体、好ましくは液体の第4族前駆体、を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
ここに記載するのは、エノラートに基づく金属含有前駆体と、これらの前駆体を用いて、原子層堆積(ALD)、プラズマ促進原子層堆積(PEALD)、原子気相成長(AVD)、化学気相成長(CVD)及びプラズマ促進化学気相成長(PECVD)によってシリコン層、金属窒化物層及び他の金属層などの基材上にコンフォーマルの金属含有膜を製作するための被着方法である。
【0015】
これらの金属エノラートは、熱重量分析(TGA)試験においてきれいに気化して残留物が少ない、低融点の固体であることが示され、よってこれらの被着技術のための優れた候補前駆体である。TGA技術では、前駆体のサンプルを、定常窒素流下で徐々に上昇する温度に曝しながら微量天秤で秤量する。良好な前駆体の特徴は不揮発性残留物が少ない完全な気化である。残留物は、<10wt%が好ましく、<5%が好ましく、好ましくは<2%である。
【0016】
理論に拘束されることを望むものではないが、本開示のエノラート種又はジエノラート種は、完全な気化を可能にするために、分子間会合を最小限に抑えるようにアルキル基で最適に置換されると考えられる。アルキル基置換パターンにより、金属錯体の融点を低下させることもでき、ALD又はCVD条件下で高反応速度を提供することもできる。
【0017】
本発明はまた、これらのエノラート前駆体及びジエノラート前駆体の合成と、それらをALD又はCVD前駆体として使用することも開示ずる。加えて、理論に拘束されることを望むものではないが、本開示の極めて新しくまれに見る金属ジエノラート化合物には、限定されるものではないが、化学合成における触媒や合成中間体としてなどの、更なる用途や応用があると考えられる。
【0018】
本発明の金属含有前駆体は、エノラート配位子を含み、下式1によって表される。
【0019】
【化1】

【0020】
式中、Mは、周期表のランタニド又は第3族〜第16族から選択される、+2から+6までの、(n)の酸化状態を有する金属であり、R1、R2及びR3は、独立に、H又は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル、tert−ブチル、tert−アミル及びバレルアルデイル(valeraldyl)からなる群から選択されるC1〜C8であり、(L)は、アルキル置換エノラート、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ジケトナート、ケトイミナート、ジイミナート、グアニジナート、アミジナート、シクロペンタジエニル、アルキル置換シクロペンタジエニル、アルコキシ置換シクロペンタジエニル、アミノ置換シクロペンタジエニル、ピロリル、アルキル置換ピロリル、アルコキシ置換ピロリル、アミノ置換ピロリル、イミダゾラート、アルキル置換イミダゾラート、アルコキシ置換イミダゾラート、アミノ置換イミダゾラート、アルコキシ置換イミダゾラート、ピラゾール、アルキル置換ピラゾール、アルコキシ置換ピラゾラート及びアルコキシ置換ピラゾラートからなる群から選択されるアニオン性配位子又はアニオン性配位子の混合物であり、(L)はジエノラートジアニオンであってもよく、(Z)は、例えばアルキルアミン、ポリアルキルアミン、エーテル、ポリエーテル、イミダゾール、ピリジン、アルキル置換ピリジン、ピリミジン、アルキル置換ピリミジン、オキサゾールなどの、中性配位子であり、(y)=1〜4、(x)=1〜6であり、R2はMとともに環状構造を形成してもよい。
【0021】
更に別の態様では、本発明は、構造式A1によって表されるとおりの、(L)がC1〜C10アルコキシ基である式1の化合物である。
【0022】
【化2】

【0023】
式中、Mは、周期表のランタニド又は第3族〜第16族から選択される、+2から+6までの範囲の(n)の酸化状態を有する金属であり、R1、R2及びR3は、独立に、H又は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル、tert−ブチル、tert−アミル及びバレルアルデイルからなる群から選択されるC1〜C6であり、R4は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル、tert−ブチル、tert−アミル及びバレルアルデイルの群から選択されるC1〜C6であり、(Z)は、アルキルアミン、ポリアルキルアミン、エーテル、ポリエーテル、イミダゾール、ピリジン、アルキル置換ピリジン、ピリミジン、アルキル置換ピリミジン及びオキサゾールからなる群から選択される中性配位子であり、(y)=1〜4、(x)=1〜6である。
【0024】
更に別の態様では、本発明は、構造式A2よって表されるとおりの、(L)がアルコキシアニオンである式1の化合物である。
【0025】
【化3】

【0026】
式中、Mは、周期表のランタニド又は第3族〜第16族から選択される、+2から+6までの範囲の(n)の酸化状態を有する金属であり、R1、R2及びR3は、独立に、H又は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル、tert−ブチル、tert−アミル及びバレルアルデイルからなる群から選択されるC1〜C6であり、R4は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル、tert−ブチル、tert−アミル及びバレルアルデイルからなる群から選択されるC1〜C6であり、(Z)は、アルキルアミン、ポリアルキルアミン、エーテル、ポリエーテル、イミダゾール、ピリジン、アルキル置換ピリジン、ピリミジン、アルキル置換ピリミジン及びオキサゾールからなる群から選択される中性配位子であり、(y)=1〜4、(x)=1〜6である。
【0027】
更に別の態様では、本発明は、構造式Bによって表されるとおりの、(L)がシクロペンタジエニルアニオンである式1の化合物である。
【0028】
【化4】

【0029】
式中、Mは、周期表のランタニド又は第3族〜第16族から選択される、+2から+6までの範囲の(n)の酸化状態を有する金属であり、R1、R2、R3及びR5は、独立に、H又は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル、tert−ブチル、tert−アミル及びバレルアルデイルからなる群から選択されるC1〜C6であり、(Z)は、アルキルアミン、ポリアルキルアミン、エーテル、ポリエーテル、イミダゾール、ピリジン、アルキル置換ピリジン、ピリミジン、アルキル置換ピリミジン及びオキサゾールからなる群から選択される中性配位子であり、(y)=1〜4、(X)=1〜6、(m)=1〜5である。
【0030】
更に別の態様では、本発明は、構造式Cによって表されるとおりの、(L)がピロリルアニオンである式1の化合物である。
【0031】
【化5】

【0032】
式中、Mは、周期表のランタニド又は第3族〜第16族から選択される、+2から+6までの範囲の(n)の酸化状態を有する金属であり、R1、R2、R3及びR6は、独立に、H又は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル、tert−ブチル、tert−アミル及びバレルアルデイルからなる群から選択されるC1〜C6であり、(Z)は、アルキルアミン、ポリアルキルアミン、エーテル、ポリエーテル、イミダゾール、ピリジン、アルキル置換ピリジン、ピリミジン、アルキル置換ピリミジン及びオキサゾールからなる群から選択される中性配位子であり、(y)=1〜4、(x)=1〜6、(p)=1〜4である。
【0033】
更に別の態様では、本発明は、構造式Dによって表されるとおりの、(L)がイミダゾラートアニオンである式1の化合物である。
【0034】
【化6】

【0035】
式中、Mは、周期表のランタニド又は第3族〜第16族から選択される、+2から+6までの範囲の(n)の酸化状態を有する金属であり、R1、R2、R3及びR7は、独立に、H又は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル、tert−ブチル、tert−アミル及びバレルアルデイルからなる群から選択されるC1〜C6であり、(Z)は、アルキルアミン、ポリアルキルアミン、エーテル、ポリエーテル、イミダゾール、ピリジン、アルキル置換ピリジン、ピリミジン、アルキル置換ピリミジン及びオキサゾールからなる群から選択される中性配位子であり、(y)=1〜4、(x)=1〜6、(q)=1、2又は3である。
【0036】
更に別の態様では、本発明は、構造式Eによって表されるとおりの、(L)がピラゾラートアニオンである式1の化合物である。
【0037】
【化7】

【0038】
式中、Mは、周期表のランタニド又は第3族〜第16族から選択される、+2から+6までの範囲の(n)の酸化状態を有する金属であり、(n)は、+2から+6までの範囲であり、R1、R2、R3及びR8は、独立に、H又は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル、tert−ブチル、バレルアルデイル及びtert−アミルからなる群から選択されるC1〜C6であり、(Z)は、アルキルアミン、ポリアルキルアミン、エーテル、ポリエーテル、イミダゾール、ピリジン、アルキル置換ピリジン、ピリミジン、アルキル置換ピリミジン及びオキサゾールからなる群から選択される中性配位子であり、(x)=1〜4、r=1、2又は3、(y)=1〜4である。
【0039】
更に別の態様では、本発明は、式2によって表される化合物を提供する。
【0040】
【化8】

【0041】
式中、Mは、周期表のランタニド又は第3族〜第16族から選択される、+2から+6までの範囲の(n)の酸化状態を有する金属であり、R9、R10、R11及びR12は、独立に、H又は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル、tert−ブチル、tert−アミル及びバレルアルデイルからなる群から選択されるC1〜C6であり、(L)は、アルキル置換エノラートアニオン、アルコキシ、グアニジナート、アミジナート、ジアルキルアミド、ジケトナート、ケトイミナート、ジイミナート、シクロペンタジエニル、アルキル置換シクロペンタジエニル、アルコキシ置換シクロペンタジエニル、アミノ置換シクロペンタジエニル、ピロリル、アルキル置換ピロリル、アルコキシ置換ピロリル、アミノ置換ピロリル、アルキル置換イミダゾラート及びアルコキシ置換イミダゾラートからなる群から選択されるアニオンを表し、(Z)は、アルキルアミン、ポリアルキルアミン、エーテル、ポリエーテル、イミダゾール、ピリジン、アルキル置換ピリジン、ピリミジン、アルキル置換ピリミジン及びオキサゾールからなる群から選択される中性配位子であり、(x)=1〜3、(y)=1〜4である。
【0042】
更に別の態様では、本発明は、式3によって表される化合物である。
【0043】
【化9】

【0044】
式中、Mは、周期表のランタニド又は第3族〜第16族から選択される、+2から+6までの範囲の(n)の酸化状態を有する金属であり、R13、R14及びR15は、独立に、H又は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル、tert−ブチル、tert−アミル及びバレルアルデイルからなる群から選択されるC1〜C6であり、(L)は、アルキル置換エノラートアニオン、アルコキシ、グアニジナート、アミジナート、ジアルキルアミド、ジケトナート、ケトイミナート、ジイミナート、シクロペンタジエニル、アルキル置換シクロペンタジエニル、アルコキシ置換シクロペンタジエニル、アミノ置換シクロペンタジエニル、ピロリル、アルキル置換ピロリル、アルコキシ置換ピロリル、アミノ置換ピロリル、アルキル置換イミダゾラート及びアルコキシ置換イミダゾラートからなる群から選択されるアニオンを表し、(Z)は、アルキルアミン、ポリアルキルアミン、エーテル、ポリエーテル、イミダゾール、ピリジン、アルキル置換ピリジン、ピリミジン、アルキル置換ピリミジン及びオキサゾールからなる群から選択される中性配位子であり、(x)=1〜3、(y)=1〜4である。
【0045】
更に別の態様では、本発明は、構造式4によって表される化合物である。
【0046】
【化10】

【0047】
式中、Mは、周期表のランタニド又は第3族〜第16族から選択される、+2から+6までの範囲の(n)の酸化状態を有する金属であり、R16、R17は、独立に、H又は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル、tert−ブチル、tert−アミル及びバレルアルデイルからなる群から選択されるC1〜C6であり、(L)は、アルキル置換エノラートアニオン、アルコキシ、グアニジナート、アミジナート、ジアルキルアミド、ジケトナート、ケトイミナート、ジイミナート、シクロペンタジエニル、アルキル置換シクロペンタジエニル、アルコキシ置換シクロペンタジエニル、アミノ置換シクロペンタジエニル、ピロリル、アルキル置換ピロリル、アルコキシ置換ピロリル、アミノ置換ピロリル、アルキル置換イミダゾラート及びアルコキシ置換イミダゾラートからなる群から選択されるアニオンを表し、(Z)は、アルキルアミン、ポリアルキルアミン、エーテル、ポリエーテル、イミダゾール、ピリジン、アルキル置換ピリジン、ピリミジン、アルキル置換ピリミジン及びオキサゾールからなる群から選択される中性配位子であり、(x)=1〜3、(y)=1〜4である。
【0048】
更に別の態様では、本発明は、式5によって表される化合物である。
【0049】
【化11】

【0050】
式中、Mは、周期表のランタニド又は第3族〜第16族から選択される、+2から+6までの範囲の(n)の酸化状態を有する金属であり、R18、R19、R20及びR21は、独立に、H又は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル、tert−ブチル、tert−アミル及びバレルアルデイルからなる群から選択されるC1〜C6であり、(L)は、アルキル置換エノラートアニオン、アルコキシ、グアニジナート、アミジナート、ジアルキルアミド、ジケトナート、ケトイミナート、ジイミナート、シクロペンタジエニル、アルキル置換シクロペンタジエニル、アルコキシ置換シクロペンタジエニル、アミノ置換シクロペンタジエニル、ピロリル、アルキル置換ピロリル、アルコキシ置換ピロリル、アミノ置換ピロリル、アルキル置換イミダゾラート及びアルコキシ置換イミダゾラートからなる群から選択されるアニオンを表し、(Z)は、アルキルアミン、ポリアルキルアミン、エーテル、ポリエーテル、イミダゾール、ピリジン、アルキル置換ピリジン、ピリミジン、アルキル置換ピリミジン及びオキサゾールからなる群から選択される中性配位子であり、(x)=1〜3、(y)=1〜4である。
【0051】
更に別の態様では、本発明は、スピンオン薄膜成長のために本開示のこれらのエノラート前駆体及びジエノラート前駆体を溶解状態で利用することによって金属含有膜を形成するための方法を提供する。
【0052】
更に別の態様では、本発明は、これらの揮発性のエノラート前駆体及びジエノラート前駆体をCVD前駆体又はサイクリックCVD前駆体として利用することによって金属含有膜を形成するための方法を提供し、これによればそれらの前駆体と反応物を同時に反応チャンバ内に流して、加熱された基材上に膜を被着させる。これは、連続的に又はパルスモードで実行することができる。
【0053】
更に別の態様では、本発明は、ALDによって金属含有膜を形成するための方法を提供し、この方法は、a.本開示の金属含有前駆体を蒸気状態で反応チャンバに導入し、その金属含有前駆体を加熱された基材上に化学吸着させる工程、b.未反応の金属含有前駆体をパージにより除去する工程、c.吸着された金属含有前駆体と反応させるために、酸化源、例えば、限定されるものではないが、酸素、オゾン、亜酸化窒素又は水などを、加熱された基材上に導入する工程、及びd.未反応の酸化源をパージにより除去する工程、を含む。該金属酸化物の膜厚を増大させるために、その後この一連のサイクルを繰り返す。
【0054】
本発明の好ましい実施形態では、前記前駆体は、液体又は融点が100℃より低い固体である。
【0055】
理論に拘束されることを望むものではないが、これらの前駆体の利点は、それらのTGAの結果によって示されるように、それらが低融点の固体又は液体であり、熱的に安定であって、そしてそれらがALD又はCVD条件下で反応性であり、100℃から600℃までの範囲の温度で原子層堆積又はサイクリック化学気相成長による非常にコンフォーマルな金属酸化物膜の被着を可能にすることである。本開示の新規なエノラート前駆体及びジエノラート前駆体はまた、限定されるものではない例えばがチタン酸ストロンチウム(STO)又はチタン酸ストロンチウムバリウム(BST)などの、混合金属酸化物膜中に含まれる1種以上の金属元素を被着させるために利用することもできる。
【0056】
本発明の上に挙げた特徴を詳細に理解することができるように、上に簡潔に要約した本発明のより詳細な説明を、実施形態を参照することによって示すことができ、それらの一部は添付の図面でもって説明される。しかしながら、添付の図面は、本発明の典型的な実施形態を例示しているに過ぎず、それゆえその範囲を限定するものと考えるべきではないということに留意すべきである。本発明については、他の同等に有効な実施形態も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】X線単結晶回折によって特性評価したジチタンビス(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)ヘキサ(エトキシ)の結晶構造の模式図である。
【図2】X線単結晶回折によって特性評価したビス(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)(ビス(イソプロポキシ)チタンの結晶構造の模式図である。
【図3】ビス(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)(ビス(イソプロポキシ)チタンの熱重量分析(TGA)のグラフである。
【図4】トリス(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)(ジメチルアミド)チタンの結晶構造の模式図である。
【図5】トリス(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)(ジメチルアミド)チタンの熱重量分析(TGA)のグラフである。
【図6】ビス(2,2,7,7−テトラメチルオクタ−3,5−ジエン−3,6−ジオラト)ビス(ジメチルアミノ)チタンの結晶構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
ここに開示するのは、例えば化学気相成長プロセスにおける前駆体として好適なエノラート部分を含んでなる液体又は低融点固体の金属エノラート錯体である。新規なジエノラート金属錯体も記載する。これらの錯体及び組成物は、化学気相成長(CVD)プロセス、サイクリカル化学気相成長(CCVD)プロセス、又は原子層堆積(ALD)プロセスもしくは原子気相成長(AVD)プロセスによって、シリコン層、金属窒化物層、金属酸化物層、金属酸窒化物層、金属ケイ酸塩層及びその他の金属含有層などの基材上に、金属含有膜を製作するのに有用である。被着した金属膜は、コンピューターチップ、光学素子、磁気情報記憶装置から、支持材料上にコーティングされる金属触媒までの範囲の用途を有する。
【0059】
また、これらの前駆体を調製するための方法、並びに気相成長プロセス、特にCVD又はALD成長プロセスにおけるそれらの使用もここに開示される。
【0060】
本発明の金属含有前駆体は、式1によって表されるエノラート錯体を含み、また、式2、3、4及び5によって表されるジエノラート錯体を含む。本発明の一実施形態では、Mは周期表のランタニド金属及び第3族〜第16族からなる群から選択される。別の実施形態では、Mは、ランタニド、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W及びMnから選択される。本発明の好ましい実施形態では、Mは第4族金属である。本発明の最も好ましい実施形態では、MはTiである。典型的な例は、ビス(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)ヘキサ(エトキシ)ジ−チタン、ビス(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)(ビス(イソプロポキシ)チタン、トリス(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)(ジメチルアミド)チタン、及びビス(2,2,7,7−テトラメチルオクタ−3,5−ジエン−3,6−ジオラト)ビス(ジメチルアミノ)チタンである。
【0061】
本発明の金属含有前駆体は、式2、3、4及び5によって表されるジエノラート配位子を含む。本発明の一実施形態では、Mは周期表のランタニド金属及び第3族〜第16族からなる群から選択される。別の実施形態では、Mはランタニド、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W及びMnから選択される。本発明の好ましい実施形態では、Mは第4族金属である。本発明の最も好ましい実施形態では、MはTiである。代表的な錯体は、ビス(2,2,7,7−テトラメチルオクタ−3,5−ジエン−3,6−ジオラト)ビス(ジメチルアミノ)チタンである。
【0062】
本発明の好ましい実施形態では、式1のエノラートアニオンの基R1、R2及びR3は、C1〜C6アルキルである。本発明の別の実施形態では、R1、R2又はR3は、水素、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル及びt−アミルからなる群から独立に選択される。好ましい実施形態では、基R1、R2及びR3は、金属中心の周りに配位環境を与えるように、例えばそれを保護して錯体を揮発性前駆体として形成することができるように、注意深く選択される。加えて、R1、R2及びR3はまた、エノラート錯体の低融点を可能にするようにも選択される。
【0063】
本発明の好ましい実施形態では、式2のジエノラートアニオンの基R9、R10、R11及びR12はC4〜C6アルキルである。本発明の別の実施形態では、R9、R10、R11及びR12は、H又は、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル及びt−アミルからなる群から選択されるC1〜C6アルキルである。好ましい実施形態では、基R9、R10、R11及びR12は、金属中心の周りに配位環境を与えるように、例えばそれを保護して錯体を揮発性前駆体として生成させることができるように、注意深く選択される。加えて、R9、R10、R11及びR12はまた、ジエノラート錯体の低融点を可能にするようにも選択される。
【0064】
本発明の好ましい実施形態では、式3のジエノラートアニオンの基R13、R14及びR15はC1〜C6アルキルである。本発明の別の実施形態では、R13、R14及びR15は、H又は、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル及びt−アミルからなる群から選択されるC1〜C6である。好ましい実施形態では、基R13、R14及びR15は、金属中心の周りに配位環境を与えるように、例えばそれを保護して錯体が揮発性前駆体として生成することができるように、注意深く選択される。加えて、R13、R14及びR15はまた、ジエノラート錯体の低融点を可能にするようにも選択される。
【0065】
本発明の好ましい実施形態では、式4のジエノラートアニオンの基R16及びR17は、独立に、H又はC1〜C6アルキルである。本発明の別の実施形態では、R16及びR17は、独立に、H又は、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル及びt−アミルからなる群から選択されるC1〜C6アルキルである。好ましい実施形態では、基R16及びR17は、金属中心の周りに配位環境を与えるように、例えばそれを保護して錯体が揮発性前駆体として生成することができるように、注意深く選択される。加えて、R16及びR17はまた、ジエノラート錯体の低融点を可能にするようにも選択される。
【0066】
本発明の好ましい実施形態では、式5のジエノラートアニオンの基R18、R19、R20及びR21はH又はC1〜C6アルキルである。本発明の別の実施形態では、R18、R19、R20及びR21は、独立に、H又は、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル及びt−アミルからなる群から選択されるC1〜C6アルキルである。好ましい実施形態では、基R18、R19、R20及びR21は、金属中心の周りに配位環境を与えるように、例えばそれを保護して錯体が揮発性前駆体として生成することができるように、注意深く選択される。加えて、R18、R19、R20及びR21はまた、ジエノラート錯体の低融点を可能にするようにも選択される。
【0067】
本明細書において使用する用語「アルキル」は、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜3個の炭素原子、3〜5個の炭素原子、4〜6個の炭素原子、又は前述の範囲の変動を含む、直鎖、分岐又は環状アルキル基を包含する。典型的なアルキル基としては、限定されるものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、tert−アミル、n−ペンチル、n−ヘキシル、ペンチル、イソペンチル、tert−ブチル及びtert−アミル、バレルアルデイル、シクロペンチル、そしてシクロヘキシルが挙げられる。用語「アルキル」はまた、他の基、例えばアルキルシクロペンタジエニル、アルキルピロリル、アルキルイミダゾラート及びアルキルピラゾラートなど、に含まれるアルキル部分にも適用される。本明細書において使用する用語「バルキー」は、同じ数の炭素原子を有する直鎖アルキル基と比べて立体障害が大きいアルキル基を表すものであり、例えば、分岐アルキル基、環状アルキル基、又は1以上の側鎖による変化及び/又は置換基を有するアルキル基を含むことができる。
【0068】
本発明の好ましい実施形態では、式1、2、3及び4中に示される(L)は、アミジナート、グアニジナート、アルコキシ、ジアルキルアミド、ジケトナート、ケトイミナート、ジイミナート、シクロペンタジエニル、アルキル置換シクロペンタジエニル、アルコキシ置換シクロペンタジエニル、アミノ置換シクロペンタジエニル、ピロリル、アルキル置換ピロリル、アルコキシ置換ピロリル及びアミノ置換ピロリル、アルキル置換イミダゾイル、アルコキシ置換イミダゾラート、アミノ置換イミダゾラート、ピラゾラート又はアルキル置換ピラゾラートからなる群から選択される。
【0069】
本発明の好ましい実施形態では、金属含有前駆体は低融点の固体又は液体である。ここに開示する前駆体の典型的な融点温度には、次の終点,すなわち、100℃、95℃、90℃、85℃、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃、55℃、50℃、45℃、40℃、35℃及び/又は30℃、の任意の1以上を有する範囲が挙げられる。特定の融点範囲の例としては、限定されるものではないが、100℃以下、75℃以下、又は60℃以下が挙げられる。
【0070】
本発明の別の実施形態では、金属含有前駆体は構造式A1によって表される。
【0071】
【化12】

【0072】
式中、Mは、周期表のランタニド又は第3族から第16族までである。好ましくは、金属Mは第4族から選択される。好ましい実施形態では、Mは、Ti、Zr及びHfからなる群から選択される。更に好ましい実施形態では、MはTiである。R1、R2及びR3は、H又は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル及びtert−ブチルからなる群から独立に選択されるC1〜C6である。更に好ましい実施形態では、R1及びR2はtert−ブチルであり、(L)はアルコキシドアニオンである。構造式A1の代表的な前駆体としては、限定されるものではないが、ビス(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)(ビス(イソプロポキシ)チタンが挙げられる。
【0073】
本発明の別の実施形態では、金属含有前駆体は構造式A2によって表される。
【0074】
【化13】

【0075】
式中、Mは、周期表のランタニド又は第3族から第16族までである。好ましくは、金属Mは第4族から選択される。好ましい実施形態では、Mは、Ti、Zr及びHfからなる群から選択される。更に好ましい実施形態では、MはTiである。R1、R2及びR3は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル及びtert−ブチルからなる群から独立に選択される。更に好ましい実施形態では、R1及びR2はtert−ブチルであり、(L)はアルコキシドである。構造式A2の代表的な前駆体としては、限定されるものではないが、ビス(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)ヘキサ(エトキシ)ジチタンが挙げられる。
【0076】
本発明の別の実施形態では、金属含有前駆体は式1によって表される。
【0077】
【化14】

【0078】
式中、Mは、周期表のランタニド又は第3族から第16族までである。好ましくは、金属Mは第4族から選択される。好ましい実施形態では、Mは、Ti、Zr及びHfからなる群から選択される。更に好ましい実施形態では、MはTiである。R1、R2及びR3は、独立に、H又は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル、tert−ブチル、バレルアルデイル、tert−ブチル及びtert−アミルからなる群から選択されるC1〜C6である。更に好ましい実施形態では、R1及びR2はtert−ブチルであり、(L)はアミドアニオンを表す。式1の代表的な前駆体としては、限定されるものではないが、トリス(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)(ジメチルアミド)チタンが挙げられる。
【0079】
本発明の別の実施形態では、金属含有前駆体は式2によって表される。
【0080】
【化15】

【0081】
式中、Mは、周期表のランタニド又は第3族から第16族までである。好ましくは、金属Mは第4族から選択される。好ましい実施形態では、Mは、Ti、Zr及びHfからなる群から選択される。更に好ましい実施形態では、MはTiである。R1、R2及びR3は、独立に、H又は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル、tert−ブチル、バレルアルデイル、tert−ブチル及びtert−アミルからなる群から選択されるC1〜C6である。更に好ましい実施形態では、R9及びR12はtert−ブチルであり、R10及びR11は水素であり、(Z)はアルキルアミンである。式2の代表的な前駆体としては、限定されるものではないが、ビス(2,2,7,7−テトラメチルオクタ−3,5−ジエン−3,6−ジオラト)ビス(ジメチルアミノ)チタンが挙げられる。
【0082】
本発明の別の実施形態では、金属含有前駆体は構造式Bによって表され、式中のMは、周期表の第3族〜第7族の金属であり、R1、R2、R3及びR5は、独立に、H又は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル及びtert−ブチルからなる群から選択されるC1〜C6であり、n=3〜6、m=1〜5である。
【0083】
【化16】

【0084】
好ましい実施形態では、Mは、Sc、La、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Lu、Ti、Zr及びHfからなる群から選択される。他の好ましい実施形態では、Mは、Sc、La、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn及びReからなる群から選択される。
【0085】
構造式Bの典型的な前駆体としては、限定されるものではないが、メチルシクロペンタジエニルトリ(4,4−ジメチルペンタ−2−エン−3−オラト)チタン、メチルシクロペンタジエニルトリ(4,4−ジメチルペンタ−2−エン−3−オラト)ジルコニウム、メチルシクロペンタジエニルトリ(4,4−ジメチルペンタ−2−エン−3−オラト)ハフニウム、エチルシクロペンタジエニルトリ(4,4−ジメチルペンタ−2−エン−3−オラト)チタン、エチルシクロペンタジエニルトリ(4,4−ジメチルペンタ−2−エン−3−オラト)ジルコニウム、エチルシクロペンタジエニルトリ(4,4−ジメチルペンタ−2−エン−3−オラト)ハフニウム、メチルシクロペンタジエニルトリ(4,4−ジメチルペンタ−2−エン−3−オラト)チタン、メチルシクロペンタジエニルトリ(2,2,5−トリメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)ジルコニウム、メチルシクロペンタジエニルトリ(2,2,5−トリメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)ハフニウム、エチルシクロペンタジエニルトリ(2,2,5−トリメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)チタン、エチルシクロペンタジエニルトリ(2,2,5−トリメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)ジルコニウム、エチルシクロペンタジエニルトリ(2,2,5−トリメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)ハフニウム、メチルシクロペンタジエニルトリ(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)チタン、メチルシクロペンタジエニルトリ(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)ジルコニウム、メチルシクロペンタジエニルトリ(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)ハフニウム、エチルシクロペンタジエニルトリ(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)チタン、エチルシクロペンタジエニルトリ(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)ジルコニウム、及びエチルシクロペンタジエニルトリ(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)ハフニウムが挙げられる。
【0086】
本発明の別の実施形態では、金属含有前駆体は構造式Cによって表され、式中のMは、周期表のランタニド及び第3族〜第16族から選択される金属であり、R1、R2及びR3は、独立に、H又は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル及びtert−アミルからなる群から選択されるC1〜C6であり、p=1、2、3又は4、(n)=3、4、5、6、そしてx=1〜5である。
【0087】
【化17】

【0088】
好ましい実施形態では、Mは、Sc、La、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Lu、Ti、Zr及びHfからなる群から選択される。1つの好ましい実施形態では、Mは、Sc、La、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn及びReからなる群から選択される。本発明のより好ましい実施形態では、Mは、La、Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Lu、Ti、Zr及びHfからなる群から選択される。
【0089】
ここに開示する方法は、原子層堆積(ALD)プロセス又は化学気相成長(CVD)プロセスを用いて金属含有膜を被着させる。ここに開示する方法に適した被着プロセスの例としては、限定されるものではないが、サイクリックCVD(CCVD)、MOCVD(金属有機CVD)、熱化学気相成長、プラズマ促進化学気相成長(「PECVD」)、高密度PECVD、光子支援CVD、プラズマ−光子支援(「PPECVD」)、低温化学気相成長、化学物質支援気相成長、熱フィラメント化学気相成長、液体ポリマー前駆体のCVD、超臨界流体からの被着、及び低エネルギーCVD(LECVD)が挙げられる。特定の実施形態では、金属含有膜は、プラズマ促進ALD(PEALD)プロセス又はプラズマ促進サイクリックCVD(PECCVD)プロセスによって被着される。これらの実施形態では、被着温度は比較的低くてよく、あるいは200℃〜400℃の範囲でよく、最終用途に要求される膜特性の仕様を管理するためにプロセスウィンドウをより広くするのを可能にし得る。PEALD又はPECCVD被着についての典型的な被着温度としては、次の終点,すなわち、200℃、225℃、250℃、275℃、300℃、325℃、350℃、375℃、400℃、425℃、450℃、475℃、500℃、525℃、550℃、575℃、600℃、625℃、650℃、675℃及び/又は700℃、のうちの任意の1以上を有する範囲が挙げられる。
【0090】
ここに開示する方法の一実施形態では、金属ケイ酸塩膜又は金属シリコン酸窒化物膜を、本発明の式1、2、3、4又は5の金属含有前駆体、シリコン含有前駆体、酸素源を用い、そして所望により窒素源を用いて、基材の少なくとも1つの表面に形成する。金属含有前駆体とシリコン含有前駆体は、一般的には、液体形態又は気相のいずれかで反応し、その結果膜の形成を妨げるが、ここに開示する方法は、反応器への導入前及び/又は導入中に前駆体を分離するALD法又はCCVD法を用いることによって、金属含有前駆体とシリコン含有前駆体の事前の反応を回避する。これに関連して言えば、金属含有膜を被着させるのには、被着技術、例えばALD又はCCVDプロセスなどが用いられる。
【0091】
例えば、特定の実施形態では、ALDプロセスを用いて、金属含有膜を被着させる。典型的なALDプロセスでは、膜は、基材表面を金属エノラート、そして次にシリコン含有前駆体に交互に曝すことによって、あるいは金属ジエノラート、その次にシリコン含有前駆体に交互に曝すことによって被着される。膜成長は、表面反応の自己制限的な制御、各前駆体のパルス長さ、及び被着温度によって進行する。しかしながら、一度基材の表面が飽和すると、膜成長は停止する。更に別の実施形態では、金属含有膜を、CCVDプロセスを用いて被着させてもよい。この実施形態では、CCVDプロセスを、ALDのウィンドウより高い温度範囲、あるいは350℃〜800℃の温度範囲を用いて実施することができ、それによって例えば前駆体の分解を防ぐことができる。CCVDでの被着についての典型的な被着温度としては、次の終点(摂氏温度で示す)、すなわち、200℃、225℃、250℃、275℃、300℃、325℃、350℃、375℃、400℃、425℃、450℃、475℃、500℃、525℃、550℃、575℃、600℃、625℃、650℃、675℃、700℃、725℃、750℃、775℃及び800℃、のうちの任意の1以上を有する範囲が挙げられる。
【0092】
特定の実施形態では、ここに開示する方法は、金属エノラート前駆体又は金属ジエノラート前駆体と酸素源とを用いて金属酸化物膜を形成する。
【0093】
上述したように、ここに開示する方法は、少なくとも1種の金属前駆体、例えば、ここに記載する式1を有する金属含有前駆体など、所望により少なくとも1種のシリコン含有前駆体、所望により酸素源、所望により追加の金属含有前駆体又は他の金属含有前駆体、所望により還元剤、そして所望により窒素源、を用いて、金属含有膜を形成する。ここで用いる前駆体及び源は「ガス」と記載している場合があるが、前駆体は液体又は固体のいずれかであってもよく、そしてそれは直接の気化、バブリング又は昇華により不活性ガスを用いて又は用いずに反応器中に運ばれものと理解される。場合によっては、気化した前駆体はプラズマ発生器を通過することができる。あるいはまた、ここに記載するエノラート前駆体及びジエノラート前駆体は溶媒に溶解させることもでき、得られた溶液を直接液体注入(DLI)システムによりフラッシュ蒸発させて、前駆体蒸気をCVD又はALDチャンバに送ることができる。
【0094】
特定の実施形態では、その他の金属含有前駆体を、本発明の金属含有前駆体とともに用いることができる。半導体製作において慣用されている金属としては、チタン、タンタル、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、セリウム、亜鉛、トリウム、ビスマス、ランタン、ストロンチウム、バリウム、鉛、及びそれらの組合せが挙げられる。これらの金属を含有するその他の前駆体の例としては、限定されるものではないが、テトラキス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(TDMAZ)、テトラキス(ジエチルアミノ)ジルコニウム(TDEAZ)、テトラキス(エチルメチルアミノ)ジルコニウム(TEMAZ)、テトラキス(ジメチルアミノ)ハフニウム(TDMAH)、テトラキス(ジエチルアミノ)ハフニウム(TDEAH)、テトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム(TEMAH)、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン(TDMAT)、テトラキス(ジエチルアミノ)チタン(TDEAT)、テトラキス(エチルメチルアミノ)チタン(TEMAT)、tert−ブチルイミノトリ(ジエチルアミノ)タンタル(TBTDET)、tert−ブチルイミノトリ(ジメチルアミノ)タンタル(TBTDMT)、tert−ブチルイミノトリ(エチルメチルアミノ)タンタル(TBTEMT)、エチルイミノトリ(ジエチルアミノ)タンタル(EITDET)、エチルイミノトリ(ジメチルアミノ)タンタル(EITDMT)、エチルイミノトリ(エチルメチルアミノ)タンタル(EITEMT)、tert−アミルイミノトリ(ジメチルアミノ)タンタル(TAIMAT)、tert−アミルイミノトリ(ジエチルアミノ)タンタル、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタル、tert−アミルイミノトリ(エチルメチルアミノ)タンタル、ビス(tert−ブチルイミノ)ビス(ジメチルアミノ)タングステン(BTBMW)、ビス(tert−ブチルイミノ)ビス(ジエチルアミノ)タングステン、ビス(tert−ブチルイミノ)ビス(エチルメチルアミノ)タングステン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ストロンチウム、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)バリウム、ジバリウムテトラ(2,4,5−トリ−tert−ブチルイミダゾラート)、ジバリウムテトラ(2−tert−ブチル−4,5−ジ−tert−アミルイミダゾラート)、ジストロンチウムテトラ(2,4,5−トリ−tert−ブチルイミダゾラート)、ジストロンチウムテトラ(2−tert−ブチル−4,5−ジ−tert−アミルイミダゾラート)、M(Rn55-n2(式中、(n)=1〜5、Rは直鎖又は分岐C1-6アルキルから選択される)、M(Rn4NH4-n2(式中、(n)=2〜4、Rは直鎖又は分岐C1-6アルキルから選択される)、M(Rn23-n2(式中、(n)=2〜3、Rは直鎖又は分岐C1-6アルキルから選択される)、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0095】
一実施形態では、金属含有膜を提供するためにここに記載する第4族金属前駆体に加えて用いることができる金属含有前駆体は、多座配位β−ケトイミナートであり、そしてそれは、例えば、本出願人らの同時係属出願である米国特許出願公開第2007/0248754号明細書、2007年11月27日に出願された米国特許出願第11/945678号明細書、2008年11月11日に出願された本出願人らの同時係属出願である米国特許出願第12/266806号明細書、本出願人の米国特許第7691984号明細書及び米国特許第7723493号明細書に記載されており、これらは全て参照することにより全体がここに組み入れられる。
【0096】
被着させる金属膜が金属ケイ酸塩である実施形態では、被着プロセスは、少なくとも1種のシリコン含有前駆体の導入を更に含む。好適なシリコン含有前駆体の例としては、モノアルキルアミノシラン前駆体、ヒドラジノシラン前駆体、又はそれらの組合せが挙げられる。
【0097】
特定の実施形態では、シリコン含有前駆体は、少なくとも1つのN−Hフラグメントと少なくとも1つのSi−Hフラグメントを有するモノアルキルアミノシラン前駆体を含む。N−HフラグメントとSi−Hフラグメントの両方を含む好適なモノアルキルアミノシラン前駆体としては、例えば、ビス(tert−ブチルアミノ)シラン(BTBAS)、トリス(tert−ブチルアミノ)シラン、ビス−(イソプロピルアミノ)シラン、トリス(イソプロピルアミノ)シラン、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0098】
一実施形態では、モノアルキルアミノシラン前駆体は式(R5NH)nSiR6m4-(n+m)(式中、R5及びR6は、同じであるか又は異なっており、アルキル、ビニル、アリル、フェニル、環状アルキル、フルオロアルキル及びシリルアルキルからなる群から独立に選択され、nは、1から3までの範囲の数であり、mは、0から2までの範囲の数であり、「n+m」の合計は3以下の数である)を有する。
【0099】
別の実施形態では、シリコン含有前駆体は、式(R72N−NH)xSiR8y4-(x+y)(式中、R7及びR8は、同じであるか又は異なっており、アルキル、ビニル、アリル、フェニル、環状アルキル、フルオロアルキル、シリルアルキルからなる群から独立に選択され、xは、1から2までの範囲の数であり、yは、0から2までの範囲の数であり、「x+y」の合計は3以下の数である)を有するヒドラジノシランを含む。好適なヒドラジノシラン前駆体の例としては、限定されるものではないが、ビス(1,1−ジメチルヒドラジノ)シラン、トリス(1,1−ジメチルヒドラジノ)シラン、ビス(1,1−ジメチルヒドラジノ)エチルシラン、ビス(1,1−ジメチルヒドラジノ)イソプロピルシラン、ビス(1,1−ジメチルヒドラジノ)ビニルシラン、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0100】
被着方法に応じて、特定の実施形態では、シリコン含有前駆体は所定のモル体積で、あるいは約0.1〜約1000マイクロモルで、反応器に導入することができる。この実施形態又は他の実施形態において、シリコン含有前駆体は所定の時間、あるいは約0.001〜約500秒間、反応器に導入することができる。
【0101】
シリコン含有前駆体は、金属アミドと酸素源との反応によって形成される金属ヒドロキシル基と反応し、基材の表面に化学的に吸着される。その結果、金属−酸素−シリコン及び金属−酸素−窒素−シリコンの結合によって酸化シリコン又は酸窒化シリコンが生成して、金属ケイ酸塩膜又は金属シリコン酸窒化物膜を提供する。
【0102】
上述したように、ここに記載する方法を用いて被着された膜のうちの一部(例えば、金属ケイ酸塩膜又は金属シリコン酸窒化物膜)は、酸素の存在下で生成させることができる。酸素源は、少なくとも1種の酸素源の形で反応器に導入することができ、及び/又は被着プロセスで用いられる他の前駆体中に付随的に存在していてもよい。好適な酸素源ガスとしては、例えば、水(H2O)(例えば、脱イオン水、精製水及び/又は蒸留水)、酸素(O2)、酸素プラズマ、オゾン(O3)、NO、N2O、NO2、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、及びそれらの組合せを挙げることができる。特定の実施形態では、酸素源は、約1〜約2000平方立方センチメートル(sccm)の範囲、又は約1〜約1000sccmの範囲の流量で反応器に導入される酸素源ガスを含む。酸素源は、約0.1〜約100秒の範囲の時間導入することができる。1つの特定の実施形態では、酸素源は温度が10℃以上の水を含む。
【0103】
膜をALDプロセスによって被着させるこの実施形態又はその他の実施形態では、前駆体のパルスはパルス持続時間が0.01秒を超えることができ、酸化剤のパルスはパルス持続時間が0.01秒を超えることができ、水のパルスはパルス持続時間が0.01秒を超えることができる。更に別の実施形態では、パルス間のパージ持続時間は0秒程度に短くてよい。
【0104】
ここに開示する被着方法は、1種以上のパージガスを必要とすることがある。未消費の反応物及び/又は反応副生物をパージにより除去するために用いられるパージガスは、前駆体と反応しない不活性ガスであり、好ましくは、Ar、N2、He、H2及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。特定の実施形態では、Arなどのパージガスを、約10〜約2000sccmの範囲の流量で約0.1〜1000秒間反応器に供給して、それにより反応器中に残留する未反応の材料及びあらゆる副生物をパージする。
【0105】
特定の実施形態、例えば金属シリコン酸窒化物膜を被着させる実施形態などでは、窒素源ガスなどの追加のガスを反応器に導入することができる。窒素源ガスの例としては、例えば、NO、NO2、アンモニア、ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン、ジアルキルヒドラジン、及びそれらの組合せを挙げることができる。
【0106】
ここに記載する方法の一実施形態では、反応器、すなわち被着チャンバ内の基材の温度は、約600℃以下、又は約500℃以下、あるいは250〜400℃である。この実施形態又は他の実施形態では、圧力は、約0.1〜約100Torrの範囲、又は約0.1〜約5Torrの範囲でよい。
【0107】
前駆体、酸素源及び/又は他の前駆体もしくは供給源ガスを供給するそれぞれの工程は、それらを供給する時間を変えることによって実施し、得られる金属ケイ酸塩膜、金属シリコン酸窒化物膜、又は他の金属含有膜の化学量論的組成を変更することができる。
【0108】
前駆体、酸素源ガス、還元剤、又はそれらの組合せのうちの少なくとも1つにエネルギーを加えて反応を誘起し、基材上に金属含有膜を形成する。そのようなエネルギーは、限定されるものではないが、熱的方法、プラズマ法、パルスプラズマ法、ヘリコンプラズマ法、高密度プラズマ法、誘導結合プラズマ法、X線法、電子線法、光子法及びリモートプラズマ法によって供給することができる。特定の実施形態では、二次RF周波数源を用いて、基材表面におけるプラズマ特性を変更することができる。被着にプラズマを必要とする実施形態では、プラズマ発生プロセスは、反応器内でプラズマを直接発生させる直接プラズマ発生プロセス、あるいは反応器の外部でプラズマを生成させて反応器内へ供給するリモートプラズマ発生プロセスを含むことができる。
【0109】
ここに開示する方法の更に別の実施形態では、金属含有膜を、以下の工程、すなわち、a.式1、2、3、4又は5の金属含有前駆体を蒸気状態で反応チャンバに導入し、その金属含有前駆体を加熱された基材上に化学吸着させる工程、b.未反応の金属含有前駆体をパージにより除去する工程、c.吸着された金属含有前駆体と反応させるために、酸素源を加熱された基材上に導入する工程、そしてd.未反応の酸素源をパージにより除去する工程、を含む気相成長方法を用いて形成する。上記工程は、ここに記載する方法についての1サイクルを規定しており、金属含有膜の所望の厚さが得られるまでそのサイクルを繰り返すことができる。この実施形態又は他の実施形態において、ここに記載する方法の工程は様々な順序で実施することができ、順次に実施してもあるいは同時に(例えば、別の工程の少なくとも一部分の実施中に)に実施してもよく、またそれらの任意の組合せで実施してもよいものと理解される。前駆体及び酸素源ガスを供給する各工程を、それらを供給する時間を変えることによって実施して、得られる金属酸化物膜の化学量論的組成を変更することができる。多成分金属酸化物膜の場合には、例えばチタン酸ストロンチウムバリウム(BST)などの膜を得るために、ストロンチウム含有前駆体、バリウム含有前駆体、又は両方の前駆体を、工程aで反応器チャンバ中へ交互に導入して、バリウム及びストロンチウムの元素を供給することができる。
【0110】
本発明の金属含有前駆体を、又は本発明の金属含有前駆体を他の金属含有前駆体とともに、様々な方法で反応チャンバ、例えばCVD又はALD反応器などへ、送ることができる。一実施形態では、液体供給システムを利用することができる。別の実施形態では、液体供給とフラッシュ気化プロセスとを組み合わせたユニット、例えばミネソタ州ShoreviewのMSP Corporation製のターボ気化器などを使用して、低揮発性材料を定量的に送るのを可能にし、前駆体を熱分解させずに再現性のある輸送及び被着を行うことができる。工業的に受け入れられる銅のCVD又はALDプロセスを提供するためには、熱分解のない再現性のある輸送と被着についてこれらの両方を考慮することが不可欠である。
【0111】
ここに記載する方法の一実施形態では、本発明の金属含有前駆体又はその溶液と酸素源、例えばオゾン、酸素プラズマ又は水プラズマなど、とを使用する、サイクリック被着プロセス、例えばCCVD、ALD、又はPEALDなどを採用することができる。前駆体キャニスターから反応チャンバへとつながるガス管路は、プロセスの要求に応じて、約150℃〜約200℃の範囲の1以上の温度に加熱し、そして金属含有前駆体の容器は、バブリングのために約100℃〜約190℃の範囲の1以上の温度に保ち、それに対して金属含有前駆体を含む溶液は、直接の液体注入のために約150℃〜約180℃の範囲の1以上の温度に保たれた気化器に注入する。アルゴンガスの100sccmの流れをキャリヤガスとして用いて、前駆体のパルスの間の反応チャンバへの金属含有前駆体の蒸気の供給を支援することができる。反応チャンバの処理圧力は約1Torrである。典型的なALD又はCCVDプロセスでは、酸化シリコン又は金属窒化物などの基材を、最初に、金属含有前駆体に曝される反応チャンバ内のヒーターステージ上で加熱して、基材の表面に錯体を化学的に吸着させる。不活性ガス、例えばアルゴンガスなどで、未吸着の余分な錯体を処理チャンバからパージして除去する。十分なArパージの後、酸素源を反応チャンバ内に導入して吸着表面と反応させ、続いて別の不活性ガスのパージを行ってチャンバから反応副生物を除去する。この処理サイクルを繰り返して、所望の膜厚さを得ることができる。
【0112】
液体供給方式に関しては、本発明の前駆体は、希釈しない液の形態で供給することができ、あるいは、溶媒配合物又は前駆体を含む組成物で用いることができる。そのため、特定の実施形態では、前駆体配合物は、基材上に膜を形成する所定の最終用途で望ましく且つ有利となり得る好適な特性の溶媒成分を含むことができる。被着プロセスに用いる前駆体の可溶化に使用される溶媒は、相性のよい任意の溶媒又はそれらの混合物を含むことができ、脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン及びペンタン)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン又はトルエン)、エーテル、エステル、ニトリル、アルコール、アミン(例えば、トリエチルアミン、tert−ブチルアミン)、イミン及びカルボジイミド(例えば、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド)、ケトン、アルデヒド、アミジン、グアナジン、イソ尿素などが挙げられる。好適な溶媒の更なる例は、1〜20のエトキシ−(C24O)−繰り返し単位を有するグリム溶媒、C2〜C12アルカノール、次の群、すなわちC1〜C6アルキル部分を含むジアルキルエーテル、C4〜C8環状エーテル、C12〜C60クラウンO4〜O20エーテル(ここで、先頭のCiの範囲は、エーテル化合物中の炭素原子の数iであり、その次のOiの範囲は、エーテル化合物中の酸素原子の数iである)からなる群、から選択される有機エーテル、C6〜C12脂肪族炭化水素、C6〜C18芳香族炭化水素、有機エステル、有機アミン、ポリアミン及び有機アミドからなる群から選択される。
【0113】
利点をもたらす別の種類の溶媒は、RCONR’R”型(式中のR及びR’は1〜10個の炭素原子を有するアルキルであり、それらは結合して環状基(CH2n(式中のnは4〜6、好ましくは5)を形成していてもよく、R”は1〜4個の炭素原子を有するアルキル、及びシクロアルキルから選択される)の有機アミド種である。N−メチル−又はN−エチル−又はN−シクロヘキシル−2−ピロリジノン、N,N−ジエチルアセトアミド、及びN,N−ジエチルホルムアミドが例である。
【0114】
使用する特定の金属エノラート前駆体を液体で供給する際の気化及び輸送に適当な単一成分又は多成分の溶剤を選択するために、特定の前駆体にとって有用な特定の溶媒組成物は、実験によって容易に決定することができる。
【0115】
別の実施形態では、本発明の金属含有前駆体を好適な溶媒又は溶媒混合物に溶解させ、使用する溶媒又は混合溶媒に応じて0.01〜2Mのモル濃度を有する溶液を調製することによって、直接液体供給法を用いることができる。ここで使用する溶媒は、相性のよい任意の溶媒又はそれらの混合物を含むことができ、限定されるものではないが、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、直鎖又は環状エーテル、エステル、ニトリル、アミン、ポリアミン及び有機アミドが挙げられ、好ましいものとして高沸点を有する溶媒、例えばメシチレン(沸点164℃)又はN−メチル−2−ピロリジノン(沸点202℃)などが挙げられる。
【0116】
ここに記載する方法はまた、三元金属酸化物膜の形成のためのサイクリック被着プロセスをも含み、そのプロセスでは、当該三元金属酸化物膜の形成条件下で複数の前駆体を順次被着チャンバ内に導入し、気化させ、基材上に被着させる。
【0117】
1つの特定の実施形態では、結果として得られた金属酸化物膜をプラズマ処理などの被着後処理にかけて、膜の密度を高めることができる。
【0118】
上述したように、ここに記載する方法を用いて、基材の少なくとも一部に金属含有膜を被着させることができる。好適な基材の例としては、限定されるものではないが、半導体材料、例えばチタン酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウムバリウム、チタンをドープした酸化イットリウム、チタンをドープした酸化ランタン、及びチタンをドープしたその他のランタニド酸化物が挙げられる。
【0119】
以下の例は、本発明の金属含有前駆体を調製するための方法を説明するが、決してそれを限定するものではない。
【実施例】
【0120】
以下の例では、各例のGCMSスペクトル測定を、Hewlett Packard 5890 Series 11 GCとHP−5MSを備えた5972シリーズの質量選択検出器で行った。各例のNMR分析値は、500MHzで動作するBruker AMX 500分光計により得た。化学シフトは、C66から、1Hが7.16ppm、13Cが128.39ppmで設定した。
【0121】
(例1)
ビス(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)ヘキサ(エトキシ)ジチタンの合成
窒素雰囲気下、ドライアイスを用いて−60℃に冷却した50mlの乾燥テトラヒドロフラン中の4.04g(0.04モル)のジイソプロピルアミンに、16mlの2.5M nBuLi(0.04モル)を滴加した。−60℃で30分経過後、混合物を室温に20分間温まらせ、次いで冷却して−60℃に戻した。次に、80mlのテトラヒドロフランに溶解した6.24g(0.04モル)の2,2,5,5−テトラメチルヘキサン−3−オンを30分かけて滴加し、−60℃を維持した。混合物を−60℃で更に45分間維持し、その後室温に20分かけて温まらせた。次いで、得られたリチウムエノラートを、−60℃の50mlのテトラヒドロフランに溶解した8.72g(0.04モル)のトリス(エトキシ)モノクロロチタンに20分かけて加えた。次いで、反応混合物を室温に一晩温まらせた。その後、溶媒を真空除去し、得られた粗反応生成物に250mlの乾燥ヘキサンを加え、混合物を撹拌し、次いで濾過し、ヘキサンを除去して、結果として橙黄色の固体を得た。その後、この生成物を120℃で真空蒸留し、10.7g(収率80%)のジチタンビス(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)ヘキサ(エトキシ)を得た。これをX線回折によって特性評価し、図1に示している。
【0122】
(例2)
ビス(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)(ビス(イソプロポキシ)チタンの合成
窒素雰囲気下、ドライアイスを用いて−60℃に冷却した50mlの乾燥テトラヒドロフラン中の4.04g(0.04モル)のジイソプロピルアミンに、16mlの2.5M nBuLi(0.04モル)を滴加した。−60℃で30分経過後、混合物を室温に20分間温まらせ、その後冷却して−60℃に戻した。次いで、80mlのテトラヒドロフランに溶解した6.24g(0.04モル)の2,2,5,5−テトラメチルヘキサン−3−オンを30分かけて滴加し、−60℃を維持した。混合物を−60℃で更に45分間維持し、その後室温に20分かけて温まらせた。次いで、得られたリチウムエノラートを、−60℃の50mlのテトラヒドロフランに溶解した10.4g(0.04モル)のトリス(イソプロポキシ)モノクロロチタンに20分かけて加えた。次いで、反応混合物を室温に温まらせ、その後一晩還流させた。その後、溶媒を真空除去し、得られた粗反応生成物に250mlの乾燥ヘキサンを加え、混合物を撹拌し、次いで濾過し、ヘキサンを除去し、結果として橙黄色の固体を得た。次いで、この生成物を120℃で真空蒸留し、11.1gの粗生成物を得た。これを真空下で115℃まで再蒸留した。蒸留により残った生成物を冷却させて、X線分析により構造が図2として示したものであることが分かった融点が34℃の結晶性固体を得た。TGA(図3)から、それが揮発性であり、不揮発性残留物が0.29%にすぎず、CVD/ALDプロセスにおいてチタン源として用いることができることが示された。
【0123】
(例3)
トリス(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)(ジメチルアミド)チタン
窒素雰囲気下、ドライアイスを用いて−60℃に冷却した75mlの乾燥テトラヒドロフラン中の9.0ml(0.064モル)のジイソプロピルアミンに、25.6mlの2.5M nBuLi(0.064モル)を滴加した。−60℃で30分経過後、混合物を室温に20分間温まらせ、その後冷却して−60℃に戻した。次いで、125mlのテトラヒドロフランに溶解した10.0g(0.064モル)の2,2,5,5−テトラメチルヘキサン−3−オンを30分かけて滴加し、−60℃を維持した。混合物を−60℃で更に45分間維持し、その後室温に20分かけて温まらせた。次いで、得られたリチウムエノラートを、75mlの乾燥テトラヒドロフラン中で攪拌した2.34ml(0.021モル)の四塩化チタンにゆっくりと加えた。次いで、得られた混合物を一晩還流させた。その後、混合物を室温に冷却させ、1.1g(0.021モル)のリチウムジイソプロピルアミドを21.8gの5wt%ヘキサン懸濁液として加え、得られた混合物を一晩還流させた。溶媒を真空除去した。得られた粗反応生成物に250mlの乾燥ヘキサンを加え、混合物を撹拌し、その後濾過し、ヘキサンを除去して、結果として11.6gの橙褐色の油状物を得た。次いで、これを100mTorr、180℃で真空蒸留し、最終生成物を8.5g(71%)の収量で融点77.3℃の蝋状の橙色固体として得た。
【0124】
TGAから、不揮発性残留物がわずか2.01%であることが示された。低融点とTGAでの残留物の少なさから、この錯体はALD又はCVDのための優れたチタン源であることが分かる。
【0125】
1H NMR: (500 MHz, d8 トルエン): δ=1.24(s,27H),δ=1.32(s,27H),δ=3.27(s,6H),δ=4.45(s,3H).
【0126】
構造は、ヘキサンから成長させた結晶のX線分析により判明した。図4参照。
【0127】
(例4)
ビス(2,2,7,7−テトラメチルオクタ−3,5−ジエン−3,6−ジオラト)ビス(ジメチルアミノ)チタン
窒素雰囲気下、氷を用いて0℃に冷却した100mlの乾燥ヘキサン中の8.4ml(0.04モル)のヘキサメチルジシラザンに、14.6mlの2.5M nBuLi(0.0364モル)を滴加した。15分経過後、3.25g(0.0164モル)の2,2,7,7−テトラメチル−3,6−オクタンジオンを5分かけて滴加すると、リチウムジエノラートの沈殿が生じた。得られた混合物を更に15分攪拌し、その後濾過し、固形物を2×20mlの乾燥ヘキサンで洗浄処理し、その後それを真空乾燥させ、25mlのテトラヒドロフランに溶解させた。次いで、37gの5wt%のリチウムジイソプロピルアミド(0.0364モル)の懸濁液を、5mlのテトラヒドロフラン中の0.6g(0.0364モル)の水をゆっくりと加えることによって加水分解した。15分間攪拌後、溶媒及び遊離したジメチルアミンを、25mlのテトラヒドロフラン中の3.03g(0.0364モル)のチタンテトラクロリドビス(テトラヒドロフラン)が入った乾燥フラスコ中に真空下で凝縮させた。次いで、この混合物を攪拌し、リチウムジエノラートのテトラヒドロフラン溶液を室温でゆっくりと加え、その結果鮮やかな深い藤色の溶液を得た。次いで、これを2日間室温で攪拌した。その後、溶媒を真空除去し、得られた暗藤色の固体をヘキサン(総量500ml)で抽出した。その後、ヘキサンを真空除去し、暗藤色の固体を収量1.4g(32%)で得た。
【0128】
1H NMR: (500MHz,d8 トルエン): δ=1.38(s,36H),δ=1.76(m,2H),δ=1.95(d,12H),δ=5.23(s,4H).
【0129】
構造は、X線結晶学解析により判明した。図6参照。
【0130】
(例5(机上の実施例))
ビス(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)ヘキサ(エトキシ)ジチタンを用いたALDによる二酸化チタンのALD
前駆体ビス(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)ヘキサ(エトキシ)ジチタンを、チャンバ圧力1TorrでALD反応器中へ100Cでのパルスバブリングより供給する。酸化パルスを、オゾン発生器からのオゾンにより与える。シリコン基材を300Cで用い、100サイクルの前駆体/アルゴンパージ/オゾン/アルゴンパージ後、二酸化チタン膜が被着することになる。
【0131】
(例6(机上の実施例))
ビス(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)(ビス(イソプロポキシ)チタンを用いたALDによる二酸化チタンのALD
前駆体ビス(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)(ビス(イソプロポキシ)チタンを、チャンバ圧力1TorrでALD反応器中へ100Cでのパルスバブリングより供給する。酸化パルスを、オゾン発生器からのオゾンにより与える。シリコン基材を300Cで用い、100サイクルの前駆体/アルゴンパージ/オゾン/アルゴンパージ後、二酸化チタン膜が被着することになる。
【0132】
(例7(机上の実施例))
トリス(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)(ジメチルアミド)チタンを用いたALDによる二酸化チタンのALD
前駆体トリス(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)(ジメチルアミド)チタンを、チャンバ圧力1TorrでALD反応器中へ100Cでのパルスバブリングより供給する。酸化パルスを、オゾン発生器からのオゾンにより与える。シリコン基材を300Cで用い、100サイクルの前駆体/アルゴンパージ/オゾン/アルゴンパージ後、二酸化チタン膜が被着することになる。
【0133】
前述の例及び好ましい実施形態の説明は、特許請求の範囲に規定されている本発明を限定するものではなく、例示と解釈するべきである。容易に理解されように、上に示した特徴の数多くの変更及び組合せを、特許請求の範囲に示した本発明から逸脱することなく利用することができる。そのような変更は、本発明の精神及び範囲からの逸脱とはみなされず、そのような変更は全て次の特許請求の範囲の範囲内に含まれるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式1によって表されるエノラート配位子を含む金属含有前駆体。
【化1】

(式中、Mは、周期表のランタニド又は第3族〜第16族から選択される、+2から+6までの、(n)の酸化状態を有する金属であり、R1、R2及びR3は、独立に、H又は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル、tert−ブチル、tert−アミル及びバレルアルデイルからなる群から選択されるC1〜C6であり、(L)は、アルキル置換エノラート、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ジケトナート、ケトイミナート、ジイミナート、グアニジナート、アミジナート、シクロペンタジエニル、アルキル置換シクロペンタジエニル、アルコキシ置換シクロペンタジエニル、アミノ置換シクロペンタジエニル、ピロリル、アルキル置換ピロリル、アルコキシ置換ピロリル、アミノ置換ピロリル、イミダゾラート、アルキル置換イミダゾラート、アルコキシ置換イミダゾラート、アミノ置換イミダゾラート、アルコキシ置換イミダゾラート、ピラゾール、アルキル置換ピラゾール、アルコキシ置換ピラゾラート及びアルコキシ置換ピラゾラートからなる群から選択されるアニオン性配位子又はアニオン性配位子の混合物であり、(L)は、ジエノラートジアニオンであってもよく、(Z)は、アルキルアミン、ポリアルキルアミン、エーテル、ポリエーテル、イミダゾール、ピリジン、アルキル置換ピリジン、ピリミジン、アルキル置換ピリミジン及びオキサゾールからなる群から選択される中性配位子であり、(y)=1〜4、(x)=1〜6であり、R2はMとともに環状構造を形成していてもよい)
【請求項2】
ビス(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)ヘキサ(エトキシ)ジチタンを含む請求項1に記載の前駆体。
【請求項3】
ビス(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)(ビス(イソプロポキシ)チタンを含む請求項1に記載の前駆体。
【請求項4】
トリス(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)(ジメチルアミド)チタンを含む請求項1に記載の前駆体。
【請求項5】
構造式A1によって表されるとおりの、(L)がC1〜C10アルコキシ基である式1の化合物を含む請求項1に記載の前駆体。
【化2】

(式中、Mは、周期表のランタニド又は第3族〜第16族から選択される、+2から+6までの範囲の(n)の酸化状態を有する金属であり、R1、R2及びR3は、独立に、H又は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル、tert−ブチル、tert−アミル及びバレルアルデイルからなる群から選択されるC1〜C6であり、R4は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル、tert−ブチル、tert−アミル及びバレルアルデイルの群から選択され、(Z)は、アルキルアミン、ポリアルキルアミン、エーテル、ポリエーテル、イミダゾール、ピリジン、アルキル置換ピリジン、ピリミジン、アルキル置換ピリミジン及びオキサゾールからなる群から選択される中性配位子であり、(y)=1〜4、(x)=1〜6である)
【請求項6】
構造式A2よって表されるとおりの、(L)がアルコキシアニオンである式1の化合物を含む請求項1に記載の前駆体。
【化3】

(式中、Mは、周期表のランタニド又は第3族〜第16族から選択される、+2から+6までの範囲の(n)の酸化状態を有する金属であり、R1、R2及びR3は、独立に、H又は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル、tert−ブチル、tert−アミル及びバレルアルデイルからなる群から選択されるC1〜C6であり、R4は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル、tert−ブチル、tert−アミル及びバレルアルデイルからなる群から選択され、(Z)は、アルキルアミン、ポリアルキルアミン、エーテル、ポリエーテル、イミダゾール、ピリジン、アルキル置換ピリジン、ピリミジン、アルキル置換ピリミジン及びオキサゾールからなる群から選択される中性配位子であり、(y)=1〜4、(x)=1〜6である)
【請求項7】
構造式Bによって表されるとおりの、(L)がシクロペンタジエニルアニオンである式1の化合物を含む請求項1に記載の前駆体。
【化4】

(式中、Mは、周期表のランタニド又は第3族〜第16族から選択される、+2から+6までの範囲の(n)の酸化状態を有する金属であり、R1、R2、R3及びR5は、独立に、H又は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル、tert−ブチル、tert−アミル及びバレルアルデイルからなる群から選択されるC1〜C6であり、(Z)は、アルキルアミン、ポリアルキルアミン、エーテル、ポリエーテル、イミダゾール、ピリジン、アルキル置換ピリジン、ピリミジン、アルキル置換ピリミジン及びオキサゾールからなる群から選択される中性配位子であり、(y)=1〜4、(x)=1〜6、(m)=1〜5である)
【請求項8】
構造式Cによって表されるとおりの、(L)がピロリルアニオンである式1の化合物を含む請求項1に記載の前駆体。
【化5】

(式中、Mは、周期表のランタニド又は第3族〜第16族から選択される、+2から+6までの範囲の(n)の酸化状態を有する金属であり、R1、R2、R3及びR6は、独立に、H又は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル、tert−ブチル、tert−アミル及びバレルアルデイルからなる群から選択されるC1〜C6であり、(Z)は、アルキルアミン、ポリアルキルアミン、エーテル、ポリエーテル、イミダゾール、ピリジン、アルキル置換ピリジン、ピリミジン、アルキル置換ピリミジン及びオキサゾールからなる群から選択される中性配位子であり、(y)=1〜4、(x)=1〜6、(p)=1〜4である)
【請求項9】
構造式Dによって表されるとおりの、(L)がイミダゾラートアニオンである式1の化合物を含む請求項1に記載の前駆体。
【化6】

(式中、Mは、周期表のランタニド又は第3族〜第16族から選択される、+2から+6までの範囲の(n)の酸化状態を有する金属であり、R1、R2、R3及びR7は、独立に、H又は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル、tert−ブチル、tert−アミル及びバレルアルデイルからなる群から選択されるC1〜C6であり、(Z)は、アルキルアミン、ポリアルキルアミン、エーテル、ポリエーテル、イミダゾール、ピリジン、アルキル置換ピリジン、ピリミジン、アルキル置換ピリミジン及びオキサゾールからなる群から選択される中性配位子であり、(y)=1〜4、(x)=1〜6、(q)=1、2又は3である)
【請求項10】
構造式Eによって表されるとおりの、(L)がピラゾラートアニオンである式1の化合物を含む請求項1に記載の前駆体。
【化7】

(式中、Mは、周期表のランタニド又は第3族〜第16族から選択される、+2から+6までの範囲の(n)の酸化状態を有する金属であり、(n)は、+2から+6までの範囲にあり、R1、R2、R3及びR8は、独立に、H又は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル、tert−ブチル、バレルアルデイル及びtert−アミルからなる群から選択されるC1〜C6であり、(Z)は、アルキルアミン、ポリアルキルアミン、エーテル、ポリエーテル、イミダゾール、ピリジン、アルキル置換ピリジン、ピリミジン、アルキル置換ピリミジン及びオキサゾールからなる群から選択される中性配位子であり、(x)=1〜4、r=1、2又は3、(y)=1〜4である)
【請求項11】
式2によって表される化合物を含む請求項1に記載の前駆体。
【化8】

(式中、Mは、周期表のランタニド又は第3族〜第16族から選択される、+2から+6までの範囲の(n)の酸化状態を有する金属であり、R9、R10、R11及びR12は、独立に、H又は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル、tert−ブチル、tert−アミル及びバレルアルデイルからなる群から選択されるC1〜C6であり、(L)は、アルキル置換エノラートアニオン、アルコキシ、グアニジナート、アミジナート、ジアルキルアミド、ジケトナート、ケトイミナート、ジイミナート、シクロペンタジエニル、アルキル置換シクロペンタジエニル、アルコキシ置換シクロペンタジエニル、アミノ置換シクロペンタジエニル、ピロリル、アルキル置換ピロリル、アルコキシ置換ピロリル、アミノ置換ピロリル、アルキル置換イミダゾラート及びアルコキシ置換イミダゾラートからなる群から選択されるアニオンを表し、(Z)は、アルキルアミン、ポリアルキルアミン、エーテル、ポリエーテル、イミダゾール、ピリジン、アルキル置換ピリジン、ピリミジン、アルキル置換ピリミジン及びオキサゾールからなる群から選択される中性配位子であり、(x)=1〜3、(y)=1〜4である)
【請求項12】
ビス(2,2,7,7−テトラメチルオクタ−3,5−ジエン−3,6−ジオラト)ビス(ジメチルアミノ)チタンを含む請求項11に記載の前駆体。
【請求項13】
式3によって表される化合物を含む請求項1に記載の前駆体。
【化9】

(式中、Mは、周期表のランタニド又は第3族〜第16族から選択される、+2から+6までの範囲の(n)の酸化状態を有する金属であり、R13、R14及びR15は、独立に、H又は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル、tert−ブチル、tert−アミル及びバレルアルデイルからなる群から選択されるC1〜C6であり、(L)は、アルキル置換エノラートアニオン、アルコキシ、グアニジナート、アミジナート、ジアルキルアミド、ジケトナート、ケトイミナート、ジイミナート、シクロペンタジエニル、アルキル置換シクロペンタジエニル、アルコキシ置換シクロペンタジエニル、アミノ置換シクロペンタジエニル、ピロリル、アルキル置換ピロリル、アルコキシ置換ピロリル、アミノ置換ピロリル、アルキル置換イミダゾラート及びアルコキシ置換イミダゾラートからなる群から選択されるアニオンを表し、(Z)は、アルキルアミン、ポリアルキルアミン、エーテル、ポリエーテル、イミダゾール、ピリジン、アルキル置換ピリジン、ピリミジン、アルキル置換ピリミジン及びオキサゾールからなる群から選択される中性配位子であり、(x)=1〜3、(y)=1〜4である)
【請求項14】
構造式4によって表される化合物を含む請求項1に記載の前駆体。
【化10】

(式中、Mは、周期表のランタニド又は第3族〜第16族から選択される、+2から+6までの範囲の(n)の酸化状態を有する金属であり、R16、R17は、独立に、H又は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル、tert−ブチル、tert−アミル及びバレルアルデイルからなる群から選択されるC1〜C6であり、(L)は、アルキル置換エノラートアニオン、アルコキシ、グアニジナート、アミジナート、ジアルキルアミド、ジケトナート、ケトイミナート、ジイミナート、シクロペンタジエニル、アルキル置換シクロペンタジエニル、アルコキシ置換シクロペンタジエニル、アミノ置換シクロペンタジエニル、ピロリル、アルキル置換ピロリル、アルコキシ置換ピロリル、アミノ置換ピロリル、アルキル置換イミダゾラート及びアルコキシ置換イミダゾラートからなる群から選択されるアニオンを表し、(Z)は、アルキルアミン、ポリアルキルアミン、エーテル、ポリエーテル、イミダゾール、ピリジン、アルキル置換ピリジン、ピリミジン、アルキル置換ピリミジン及びオキサゾールからなる群から選択される中性配位子であり、(x)=1〜3、(y)=1〜4である)
【請求項15】
式4によって表される化合物を含む請求項1に記載の前駆体。
【化11】

(式中、Mは、周期表のランタニド又は第3族〜第16族から選択される、+2から+6までの範囲の(n)の酸化状態を有する金属であり、R18、R19、R20及びR21は、独立に、H又は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル、tert−ブチル、tert−アミル及びバレルアルデイルからなる群から選択されるC1〜C6であり、(L)は、アルキル置換エノラートアニオン、アルコキシ、グアニジナート、アミジナート、ジアルキルアミド、ジケトナート、ケトイミナート、ジイミナート、シクロペンタジエニル、アルキル置換シクロペンタジエニル、アルコキシ置換シクロペンタジエニル、アミノ置換シクロペンタジエニル、ピロリル、アルキル置換ピロリル、アルコキシ置換ピロリル、アミノ置換ピロリル、アルキル置換イミダゾラート及びアルコキシ置換イミダゾラートからなる群から選択されるアニオンを表し、(Z)は、アルキルアミン、ポリアルキルアミン、エーテル、ポリエーテル、イミダゾール、ピリジン、アルキル置換ピリジン、ピリミジン、アルキル置換ピリミジン及びオキサゾールからなる群から選択される中性配位子であり、(x)=1〜3、(y)=1〜4である)
【請求項16】
メチルシクロペンタジエニルトリ(4,4−ジメチルペンタ−2−エン−3−オラト)チタン、メチルシクロペンタジエニルトリ(4,4−ジメチルペンタ−2−エン−3−オラト)ジルコニウム、メチルシクロペンタジエニルトリ(4,4−ジメチルペンタ−2−エン−3−オラト)ハフニウム、エチルシクロペンタジエニルトリ(4,4−ジメチルペンタ−2−エン−3−オラト)チタン、エチルシクロペンタジエニルトリ(4,4−ジメチルペンタ−2−エン−3−オラト)ジルコニウム、エチルシクロペンタジエニルトリ(4,4−ジメチルペンタ−2−エン−3−オラト)ハフニウム、メチルシクロペンタジエニルトリ(4,4−ジメチルペンタ−2−エン−3−オラト)チタン、メチルシクロペンタジエニルトリ(2,2,5−トリメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)ジルコニウム、メチルシクロペンタジエニルトリ(2,2,5−トリメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)ハフニウム、エチルシクロペンタジエニルトリ(2,2,5−トリメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)チタン、エチルシクロペンタジエニルトリ(2,2,5−トリメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)ジルコニウム、エチルシクロペンタジエニルトリ(2,2,5−トリメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)ハフニウム、メチルシクロペンタジエニルトリ(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)チタン、メチルシクロペンタジエニルトリ(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)ジルコニウム、メチルシクロペンタジエニルトリ(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)ハフニウム、エチルシクロペンタジエニルトリ(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)チタン、エチルシクロペンタジエニルトリ(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)ジルコニウム、及びエチルシクロペンタジエニルトリ(2,2,5,5−テトラメチルヘキサ−3−エン−3−オラト)ハフニウムからなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
気相成長によって金属含有膜を形成するための方法であって、
a.請求項1に記載の金属含有前駆体を蒸気状態で反応チャンバに導入し、その金属含有前駆体を加熱された基材上に化学吸着させる工程、
b.未反応の金属含有前駆体をパージにより除去する工程、
c.吸着された金属含有前駆体と反応させるために、加熱された基材上に酸素源を導入する工程、及び
d.未反応の酸素源をパージにより除去する工程、
を含む気相成長による金属含有膜形成方法。
【請求項18】
請求項1に記載の前駆体を用いて金属含有膜を形成するための方法。
【請求項19】
CVD技術でもって請求項1に記載の前駆体を用いて金属含有膜を形成するための方法。
【請求項20】
PECVD技術でもって請求項1に記載の前駆体を用いて金属含有膜を形成するための方法。
【請求項21】
AVD技術でもって請求項1に記載の前駆体を用いて金属含有膜を形成するための方法。
【請求項22】
ALD法によって金属含有膜を形成するための方法であって、
a.請求項1に記載の金属含有前駆体を蒸気状態で反応チャンバに導入し、その金属含有前駆体を加熱された基材上に化学吸着させる工程、
b.未反応の金属含有前駆体をパージにより除去する工程、
c.吸着された金属含有前駆体と反応させるために、酸素、オゾン、亜酸化窒素又は水からなる群から選択される酸化源を加熱された基材上に導入する工程、及び
d.未反応の酸化源をパージにより除去する工程、
を含み、その後この一連のサイクルを、該金属酸化物膜を所望の厚さまで増加させるために繰り返す、ALD法による金属含有膜形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−156491(P2012−156491A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−262545(P2011−262545)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】