説明

鉱物ウールをベースとする絶縁製品用サイジング組成物及び生成製品

本発明は、鉱物ウールをベースとする、熱的及び/又は音響的絶縁製品用のサイジング組成物に関し、グリシジルエーテルタイプのエポキシ樹脂、アミン硬化剤及びイミダゾール、イミダゾリン及びその混合物から選ばれる促進剤を包含する。
特に湿潤環境下における老化後の機械的特性が改良された熱的及び/又は音響的絶縁製品の製造に利用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉱物ウールをベースとする、絶縁製品、特に熱的及び/又は音響的絶縁製品の製造に関する。特に、老化後の該製品の機械的強度を、特に湿潤環境下において、向上させることができるエポキシ樹脂をベースとする改良されたサイジング組成物に関する。
【0002】
鉱物ウール、特にガラスウール又はロックウールをベースとする絶縁製品は、一般に比較的堅いパネル、棚板、巻いたフェルト又はベールの形態をとる。これは特に建物の熱的及び/又は音響的絶縁用である。
【0003】
この製品の製造は、ウール自体の製造の第1工程、特に遠心細化(centrifugal attenuation)として知られる技術を用い、融解鉱物材料をフィラメントに変換する工程、及びフィラメントを細化し、高温高速気体流で受理部材に乗せてその上にシートを形成する形成工程を包含する。シートの結合を確保するために、熱硬化性樹脂を含むサイジング組成物を受理部材に移動するにつれてウール上に噴霧する。こうして処理したシートは次いでオーブンで熱処理して樹脂を硬化させ、寸法安定性、引張強度、引き裂き抵抗性、窄孔抵抗性、圧縮後厚み回復及び均質色のような所望の特性を有する製品を得る。
【0004】
絶縁製品において、結合剤は繊維を一緒に結合する機能を有し、−ガラスに正確に付着し、かつ繊維上に均一に広がって、後に繊維の間の接合点にあり、弾力のある繊維シートが得られるようにしなければならない。
【0005】
サイジング組成物は、従って、繊維が未だ個別の繊維にあるときに、換言すればシートが形成される前に噴霧されることが好ましい。結果として、サイズは細化気体流を発生するバーナーの下の、繊維受理ホッパー内で噴霧される。従って、これは、可燃性有機溶媒の使用及び/又はサイズ形成のための汚染物を排除する。火災及び/又は受理ホッパー内の汚染の危険が高すぎるからである。
【0006】
加えて、結合剤として用いる樹脂は、シート形成の前に早過ぎる硬化をしてはならないが、硬化時間が長すぎてもいけない。この時間を調節して、プレゲル化の危険を避け、特に結合剤が高温オーブン処理(約260℃)の後完全に硬化することを確保する措置をとることによって、硬化時間が高製造速度と両立できるようにする。
【0007】
最も一般的に用いられるサイズは、レゾールタイプの熱硬化性樹脂を含む。これは、フェノールとホルムアルデヒド又はその均等物との縮合によって、塩基性促進剤、希釈剤としての水、遊離のホルムアルデヒドの量を減少するのに役立ち結合剤としても働く、尿素、及び各種の添加物、例えば水性アンモニア、油、ガラスへのカップリングのための、カップリング剤、着色剤及び、場合によって、充填剤の存在下で得られる。
【0008】
このタイプのサイズは、機械的性能を高レベルで達成することができるが、その使用は、特にオーブン処理の間に、例えば、ホルムアルデヒド、アンモニア及び他の揮発性有機化合物の望ましくない気体の放出を発生する。
【0009】
この欠点を緩和するために、グリシジルエーテルタイプのエポキシ樹脂と不揮発性アミン硬化剤をベースとするサイジング組成物が提案された(EP−A−0369848及びFR02/08873参照)。この解決策は、完全硬化が低温(約220℃)で達成できるため絶縁製品の製造の間及び150℃以上及び700℃までの、高温での使用の間の両者における、放出を実質的に極めて減少することを可能にする。
【0010】
絶縁製品の機械的特性が、製造後及び、適切に場所に設置するために使用まで満足すべきものであることは重要であるが、充分な寿命を確保するために、製品を決った場所に一旦おいて一定の時間それを維持することも望ましいことである。
【0011】
大部分は、絶縁製品は、老化するまでに、かなり大きな振幅の熱サイクル及び変化する凝縮条件を受け、湿分に曝されることになって、機械的特性の損失をもたらす。この損失は、鉱物ウールが特に水感受性であるとき、例えばウールが生理的媒体に溶解するときには大きい。
【0012】
本発明の目的は、これらの欠点を解消し、及び老化(ageing)後、特に湿潤環境下で、エポキシ結合剤を伴った鉱物ウールをベースとする絶縁製品の機械的強度を改良すること、即ち老化後、特に湿潤環境下におけるこれらの製品の機械的特性の損失を減少することである。
【0013】
この目的は、本発明による、グリシジルエーテルタイプのエポキシ樹脂及びアミン硬化剤をベースとするサイジング組成物を用いることによって達成される。この組成物は、イミダゾール、イミダゾリン及びその混合物から選ばれる促進剤を更に含むことを特徴とする。
【0014】
「促進剤」の語は化学の分野における通常の意味を有し、エポキシ樹脂とアミン硬化剤との間の反応速度を増大する化合物を示す。
【0015】
このサイズは、老化、特に湿潤老化の後における特性の損失を、促進剤を含まない同様の製品と比べて、製造直後の特性を実質的に変えることなく極めて減少することを可能にする。
【0016】
本発明の他の対象は、上記のサイジング組成物を用いて絶縁製品を製造する方法である。
【0017】
本発明の更なる対象は、該サイジング組成物で被覆した絶縁製品である。
【0018】
本発明によるエポキシ樹脂は、エピクロロヒドリンとアルコールとの反応で得られる。好ましくはアルコールは、分子当り少なくとも2のヒドロキシル官能基を包含し、かつ分子当り多くとも100、好ましくは多くとも50及び更には多くとも10のヒドロキシル官能基を有するポリオールである。アルコールはジオールであることが特に好ましい。
【0019】
有利には、樹脂は、エポキシド官能基の1グラム当量を含む樹脂のグラムによる質量に対応するEEW(Epoxy Equivalent Weight)を有する。これは、150と2000との間、好ましくは160と700との間、及び更には多くとも300に等しい。この樹脂は、繊維化作業中、及びその後のオーブン処理の間における望ましくない放出の発生量が少ない利点を有し、絶縁製品を製造するために繊維にサイズを噴霧する既知方法との両立性も保持している。
【0020】
更に有利には、樹脂は少なくとも2及び好ましくは10未満の官能性(分子当りのエポキシドの数)を有する。
【0021】
本発明のエポキシ樹脂は、乳化剤又は分散剤の存在下で水分散性又は乳化することが可能である。サイジング組成物は適切に噴霧できるためにこれらの特性の少なくとも1を樹脂が有することは必須であるからである。この点で、噴霧可能性は次に定義する樹脂の水希釈可能性に依存する。エポキシ樹脂乳化液又は懸濁液の希釈可能性は、所定の温度で、乳化液又は懸濁液が「壊れる(break)」前、即ち乳化液又は懸濁液が安定性を失う又は相分離を起こす前に、この組成物の単位容量に加えることができる脱イオン水の容量である。噴霧可能なサイジング組成物に用いることができる樹脂の水希釈可能性は、20℃で少なくとも500%、好ましくは1000%であることが有利である。
【0022】
好ましくは、エポキシ樹脂は、エピクロロヒドリンと、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ポリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール及びノボラック樹脂、及びこれらの樹脂の混合物との間の反応から生じた樹脂から選ばれる。エピクロロヒドリンとビスフェノールAとの間の反応で形成された樹脂は特に好ましい。
【0023】
このような樹脂の例として、次のものを挙げることができる。
【0024】
− 水性乳化液の樹脂、Epi−RezTM 5003−w−55(EEW=195〜215)、Epi−RezTM 3510−w−60(EEW=185〜215)、Epi−RezTM 3515−w−60(EEW=225〜275)、Epi−RezTM 3522−w−60(EEW=615〜715)、Epi−RezTM 503−w−55(EEW=195〜215)の名称でResolusionから販売、
− 水に乳化できる樹脂、EpikoteTM 828(EEW=184〜190)、及びEpikoteTM 255(EEW=193〜205)の名称でResolutionから、又はDER330(EEW=176〜185)、及びDER331(EEW=182〜192)の名称でダウケミカルから販売。
【0025】
グリシジルエーテルタイプの他のエポキシ化合物はサイジング組成物に加えることができる。例として次のものを挙げることができる。エポキシ化脂肪族化合物及びエポキシ化脂肪アルコール、サイズの粘度を修正するために特に有用、及びハロゲン化グリシジルエーテルタイプのエポキシ樹脂、特にジブロモフェニルグリシジルエーテルの誘導体、例えば、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、2-メチル-4,6-ジブロモ-フェニル グリシジルエーテル、4-メチル-2,6-ジブロモフェニル グリシジルエーテル及び4-クミル-2,6-ジブロモフェニル グリシジルエーテル、これは特に製品を良好な耐高温性にする。これらの化合物の含量は、一般にエポキシ樹脂の30重量%未満、好ましくは10重量%未満である。
【0026】
本発明によるアミン硬化剤は、一般に、脂肪族ポリアミン、例えばジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)及びポリグリコールジアミン、脂環式ポリアミン、例えば1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4'-ジアミノシクロヘキシルメタン、メチレンジアミン及び2,4-ジアミノシクロヘキサノール、及び芳香族ポリアミン、例えばm-フェニエンジアミン、m-キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン及びジシアンジアミン。
【0027】
サイジング組成物に導入するアミン硬化剤の量は分子が有するアミン反応性位置の数による。硬化剤は、活性水素原子の数に対するアミン分子量の割合として定義されるアミン当量重量/H比が20及び300の間であることが好ましい。硬化剤の量は、樹脂に対して化学量論的量で導入し、繊維受理ベルト上及び/又はオーブン中における揮発性物質の放出をもたらす硬化剤の過剰を避けることが好ましい。
【0028】
また、硬化剤は不揮発性である、即ち、噴霧条件下で、自然発火を起さないことが好ましい。硬化剤の引火点は150℃以上が有利で、180℃以上が更に良い。
【0029】
サイジング組成物は、イミダゾール、イミダゾリン及びその混合物から選ばれる促進剤を更に含む。限られた群の化合物からの促進剤の選択は耐老化性に関する所望の性能、特に湿潤環境下における性能の達成を可能にする。
【0030】
イミダゾールの例として、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール及び4,4'-メチレンビス(2-エチル-5-メチルイミダゾール)が挙げられる。
【0031】
イミダゾリンの例として、2-エチル-N-フェニルイミダゾリンを挙げることができる。
【0032】
2-メチルイミダゾールを用いることが好ましい。
【0033】
一般に、促進剤は、エポキシ樹脂/硬化剤の乾燥物の100重量部に対して0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜3重量部及び更に良いのは0.5〜2重量部をサイジング組成物に導入する。
【0034】
サイジング組成物は、更に次の添加剤、樹脂/硬化剤の乾燥物の100重量部当り、
− 0〜2部、好ましくは約0.5部のシランのようなカップリング剤、
− 0〜20部、好ましくは6〜15部の油
を含むことができる。
【0035】
上述の添加剤の既知の役割をここに簡単に述べる。
− 水は潤滑作用を有し、繊維を冷却しプリゲル化効果を制限するために噴霧条件に粘度を調節することを可能にする。
−カップリング剤は鉱物繊維と硬化した結合剤との間の結合を確保する。機械的特性を向上し老化抵抗性を改良するのに貢献する。シランは一般にアミノシラン、好ましくはγ-アミノプロピルトリエトキシシランであり、及び
−油は繊維を潤滑性にし、仕上げ製品(例えば絶縁シート)を取扱う際に発生し易いほこりを減少するのを助け、感触を改良する。これは一般に他の成分に関して不活性であり、水に乳化できる。通常、これは石油から抽出された炭化水素からなる油である。
【0036】
本発明の対象は、老化後に、特に湿潤環境下で、良好な機械的抵抗性を示す、エポキシ結合剤を伴った鉱物ウールをベースとする熱的及び/又は音響的絶縁製品の製造方法でもあり、この方法では、
a) 鉱物繊維を融解した鉱物組成物から形成する;
b) グリシジルエーテルタイプのエポキシ樹脂、アミン硬化剤及びイミダゾール、イミダゾリン及びその混合物から選ばれる促進剤を含むサイジング組成物をa)で得られた繊維上に噴霧する;
c) 繊維をシートの形状で回収する;
d) シートを約260℃未満、好ましくは約220〜240℃の温度で熱処理する。
【0037】
一般に、サイジング組成物は、噴霧条件と両立できるポット寿命を有し、かつシート形成の前に硬化しないことが必要である。換言すると、できるだけサイズが殆んどプリゲル化しないことを意味する。
【0038】
硬化剤のアミン官能基とエポキシド官能基との反応速度が促進剤の存在下で極めて迅速に増加すると、その場で行うものでも、噴霧前におけるエポキシ樹脂、アミン硬化剤、促進剤及び場合によって添加剤の混合によるサイズの調製は、噴霧リングがふさがれる危険を防ぐために避けるべきである。
【0039】
次の2つの実施方法によってサイズを繊維上に噴霧することが好ましい。
【0040】
第1の実施方法では、促進剤をサイズの他の成分と、好ましくは噴霧リングの上流でかつできるだけ遅く、混合し、次いでサイズを通常の方法で鉱物ウールに適用する。この実施方法はエポキシ樹脂とアミン硬化剤との反応速度が充分に遅くて、噴霧手段の全面的又は部分的閉鎖をもたらすような早過ぎるゲル化が生じない場合に有利である。
【0041】
第1の変形によると、促進剤はサイズの他の成分の混合物に導入され、この成分は別個に導入されるか予め混合される(プレミックスの形成)ことができる。促進剤はサイズの他の成分全てを含むプレミックスに導入することが好ましい。
【0042】
第2の変形によると、促進剤及びアミン硬化剤からなる第1混合物を製造し、かつエポキシ樹脂及びサイズの他の成分からなる第2混合物を製造し、次いで該第1混合物及び第2混合物を噴霧リングの前で導入する。
【0043】
実施の第2の好ましい実施方法では、サイズの反応性が低い場合でも有効であり、促進剤は、繊維上へのサイズの他の成分の噴霧とは別個に適用する。例えば、水性相の促進剤は、サイズの他の成分を噴霧するためのリングの近くで、特に受理部材の方向で鉱物ウールの通路における重なった2つの噴霧リングによって噴霧し、1のリング(好ましくはウールの進む方向の第1)で促進剤を噴霧し、第2のリングでサイズの他の成分を噴霧する。
【0044】
これらの実施方法のいずれかで得られた絶縁製品は、本発明の対象をも構成するが、鉱物繊維の全重量に対して0.5〜15重量%、好ましくは1〜12重量%の硬化した結合剤を含む。交差結合した形態で、結合剤は固体で、不融解性で水に不溶性である。
【0045】
得られた製品は、着色剤を添加しない場合には、色は白である。
【0046】
得られた絶縁製品は、シート又はベールの外観を有する。これは各種の堅さのパネル、シェル、又は(フェルト又はベールの)ロールの形態をとり得る。適切な場合、その面の少なくとも1は、鉱物ウールを保護するためのフィルムの層、例えば鉱物繊維、好ましくはガラス繊維のベール又はクラフト紙のシートで覆われる。特に好ましくは、繊維のベールは10及び300g/m2の間の重量を有し、本発明によるサイズから得られた硬化結合剤を少なくとも1%、好ましくは少なくとも2%、有利には少なくとも4%含む。
【0047】
本発明において得られる製品は特に熱的及び/又は音響的絶縁製品、特に建物用及び高温における高抵抗性が求められる用途(工業用シェル及び家庭用オーブン)用のものである。無土壌栽培用の基体としても利用できる。
【実施例】
【0048】
次に例を挙げて本発明を説明するが、制限をするものではない。
【0049】

ガラスウールを、融解組成物を受ける室を形成するバスケット及び多数の孔があけられた周辺帯を備えたスピナーと呼ばれる用具によって融解ガラス組成物を繊維に変換する内部遠心技術を用いて製造した。スピナーは、垂直に置かれた対称の軸の回りを回転し、組成物は遠心力の作用で孔から放出され、孔から出た材料は細化気体流の助けで繊維に細化した。
【0050】
通常の方法で、サイズ噴霧リングは繊維化スピナーの下に置かれ、サイジング組成物を形成されるガラスウール上に均一に拡散した。
【0051】
サイジングした鉱物ウールを、コンベヤーの表面においてフェルト又はシートの形態で鉱物ウールを保持する内部吸引ボックスを備えたベルトコンベヤー上で回収した。次いでコンベヤーは220℃に維持されたオーブンを移動し、そこでサイズの樹脂は硬化して結合剤を形成した。
【0052】
サイズの組成は次の通り(乾燥物の重量部)であった。
− グリシジルエーテルタイプのエポキシ樹脂:
Epi−RezTM 3510−w−60(Resolutionから): 85部
− 硬化剤:テトラエチエンペンタミン(TEPA): 15部
− 促進剤:2-メチルイミダゾール 1部
− カップリング剤: SilquestTM A1100(Cromptonから) 0.5部
− 油: MulrexTM 88(Mobilから) 9.5部
サイズ組成物は次の条件で噴霧した:第1混合物は樹脂、カップリング剤及び油を含むもの、及び第2混合物は硬化剤及び促進剤を含むものを製造した。これらの2つの混合物は別個に噴霧リングに供給し、該リングに導入する直前に一緒にした。噴霧速度は、ガラスウールの重量に対して乾燥物が約5重量%沈着するように設定した。
【0053】
2つの対照試験は促進剤を含まないサイズで行い、第1は220℃のオーブン(対照1)及び第2は260℃の温度(対照2)で処理した。
【0054】
他の対照試験も促進剤として2,4,6-トリ(ジメチルアミノメチル)フェノールを含むサイズ(対照3)で行った。
【0055】
得られた製品について、製造後の引張強度(TSman)及び105℃の温度で100%相対湿度におけるオートクレーブにおいて15分間(TS15)又は45分間(TS45)の促進老化の後の引張強度を測定した。
【0056】
引張強度TSは、ASTM C 686−71T基準に従い、打抜き加工で切断した試料について測定した。試料は、トーラスの形状を有し、長さ122mm、幅46mm、外端のカットの曲率の半径は38mmであり、内端のカットの曲率の半径は12.5mmであった。
【0057】
試料は試験機の2個の円筒状マンドレルの間におき、その一方を固定し、他方を一定速度で移動した。試料の破断力F(グラム力)を測定し、試料の質量に対する破断力Fの割合で定義される引張強度TSを計算した。
【0058】
結果は表1に挙げている。これは、それぞれの試験ごとに、製造後の当初状態に対する引張強度のパーセント損失度及び促進剤を含まない対照(括弧内の値)に対するパーセント改良度を示している。
【0059】
厚みの回復を、得られた製品について測定し、評価すべき寸法挙動を可能にした。この方法は次の通りであった。製品を6/1の圧縮度(圧縮下の厚みに対する名目厚みの割合として定義した)で1、12及び30日間にわたり圧縮した。厚み回復は名目厚みに対する圧縮後の厚みの割合(パーセントで表示)に対応する。結果は表1に示す。
【表1】

【0060】
表1の結果は、本発明による製品(例)が、促進剤を含まない同等の製品(対照1)に比較してより良好な引張強度を有し、15分間又は45分間のオートクレーブ処理の後における老化後のパーセント損失が少ないことを示している。
【0061】
促進剤を含まない製品に比較して、高度に老化した製品の引張強度の改良は51.8%で、極めて実質的な改良を示している。
【0062】
触媒の存在は、製造後の引張強度(TSman)についても又は厚み回復についても、本発明による製品の特性を劣化させないことに留意すべきである。
【0063】
引張強度における改良は対照3の通常の促進剤では得られない。(対照2の)高い硬化温度は老化後により良好な引張強度を達成できない。比較のために、通常のフェノールホルムアルデヒドを配合したサイズによって260℃のオーブン内で処理した標準製品(対照4)の引張強度及び厚み回復を、表1に示している。
【0064】
このサイズは次の組成(重量部で)を有した。
【0065】
− フェノールホルムアルデヒド樹脂 55部
− 尿素 45部
− カップリング剤(SilquestTM A1100) 0.5部
− 油(MulrexTM 88) 9部
− 硫酸アンモニウム 3部
− 水性アンモニア(20%溶液) 6部
このフェノール樹脂はEP−A−0148050に記載されたタイプであった。
【0066】
本発明の製品は、フェノール樹脂を含むものの性能のレベルを有しないが、特に湿潤環境下での良好な老化抵抗性と、望ましくない気体の放出のレベルが極めて低いこと(ホルムアルデヒドを放出するフェノール樹脂の場合にはない)及び低温で操業するオーブンの使用のため低いエネルギーコストとを調和させているので、良好な妥協を構成している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉱物ウール、特にガラスウール又はロックウールをベースとする絶縁製品用サイジング組成物であって、グリシジルエーテルタイプのエポキシ樹脂及びアミン硬化剤を包含し、イミダゾール、イミダゾリン及びその混合物から選ばれる促進剤を更に含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
促進剤は、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、4,4'-メチレンビス(2-エチル-5-メチルイミダゾール)又は2-エチル-N-フェニルイミダゾリンであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
エポキシ樹脂は、エピクロロヒドリンとアルコール、好ましくはポリオールとの反応で得られることを特徴とする請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
樹脂は、150及び2000の間のEEW(エポキシ当量重量)、好ましくは160及び700の間、及び更に好ましくは多くとも300であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
エポキシ樹脂は、20℃における水希釈度が少なくとも500%、好ましくは1000%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
硬化剤は、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)及びポリグリコールジアミンのような脂肪族ポリアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4'-ジアミノシクロヘキシルメタン、メチレンジアミン及び2,4-ジアミノシクロヘキサノールのような脂環式ポリアミン及びm-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン及びジシアンジアミンのような芳香族ポリアミンから選ばれることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
促進剤は、エポキシ樹脂/硬化剤の乾燥物100重量部当り乾燥物0.1〜5重量部の量で存在することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
硬化剤は20〜300のアミン当量重量/H比を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
次の添加物、エポキシ樹脂/硬化剤の乾燥物100重量部当り、
− 0〜2部、好ましくは約0.5部のシランのようなカップリング剤、
− 0〜20部、好ましくは6〜15部の油
を更に含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
鉱物ウールをベースとする、熱的及び/又は音響的絶縁製品の製造方法であって、
a) 鉱物繊維を融解した鉱物組成物から形成する;
b) 請求項1〜10のいずれかに記載のサイジング組成物をa)で得られた繊維上に噴霧する;
c) 繊維をシートの形状で回収する;
d) シートを約260℃未満、好ましくは約220〜240℃の温度で熱処理する
方法。
【請求項11】
繊維に噴霧する前に促進剤をサイズの他の構成分と混合することを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
促進剤は、サイズの他の成分の繊維上への噴霧とは別個に適用することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれかに記載のサイジング組成物を供給した、鉱物ウール、特にガラスウール又はロックウールをベースとする熱的及び/又は音響的絶縁製品。
【請求項14】
硬化した結合剤の全重量が鉱物繊維の全重量の0.5〜15%、好ましくは1〜12%を占めることを特徴とする請求項13に記載の製品。
【請求項15】
該製品の外表面の少なくとも1に置かれた、10及び300g/m2の間の重量を有する、鉱物繊維、特にガラス繊維のベールを更に含むこと及び該ベールは請求項1〜9のいずれかに記載のサイジング組成物から得られた硬化した結合剤の少なくとも1重量%を包含することを特徴とする請求項13又は14に記載の製品。
【請求項16】
鉱物ウールをベースとする絶縁製品の、老化後の、特に湿潤環境下における機械的強度の改良のための、請求項1〜9のいずれかに記載のサイジング組成物の使用。
【請求項17】
ウールがガラスウール又はロックウールであることを特徴とする請求項15に記載の使用。

【公表番号】特表2007−510824(P2007−510824A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538903(P2006−538903)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【国際出願番号】PCT/FR2004/050530
【国際公開番号】WO2005/044750
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(501085706)サン−ゴバン・イソベール (46)
【Fターム(参考)】