長尺物品用の搬送装置
【課題】長尺状の物品を移載対象箇所との間で適切に移載できる長尺物品用の搬送装置を提供すること。
【解決手段】索状体を巻回駆動して昇降体6及びこれに装備された移載装置5を昇降駆動する昇降駆動手段と、昇降駆動手段及び移載装置5の作動を制御する制御手段と、昇降体の昇降位置を検出する昇降位置検出手段が設けられ、制御手段が、昇降体6の端部が移載対象箇所における受止部64により受け止め支持された状態で移載装置5を搬送作動させる移載処理を実行し、移載処理の実行中において、物品Wが物品移載方向に搬送されるに伴って変化する昇降体6に作用する荷重の変化による昇降体6の昇降位置の変化を吸収するべく、昇降位置検出手段の検出情報に基づいて昇降駆動手段の作動を制御する昇降位置調整処理を実行するように構成されている長尺物品用の搬送装置。
【解決手段】索状体を巻回駆動して昇降体6及びこれに装備された移載装置5を昇降駆動する昇降駆動手段と、昇降駆動手段及び移載装置5の作動を制御する制御手段と、昇降体の昇降位置を検出する昇降位置検出手段が設けられ、制御手段が、昇降体6の端部が移載対象箇所における受止部64により受け止め支持された状態で移載装置5を搬送作動させる移載処理を実行し、移載処理の実行中において、物品Wが物品移載方向に搬送されるに伴って変化する昇降体6に作用する荷重の変化による昇降体6の昇降位置の変化を吸収するべく、昇降位置検出手段の検出情報に基づいて昇降駆動手段の作動を制御する昇降位置調整処理を実行するように構成されている長尺物品用の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、索状体により吊り下げ支持されかつ昇降マストに案内支持された状態で前記昇降マストに沿って昇降自在な昇降体と、前記昇降体に備えられて前記昇降体と一体昇降自在で、かつ、長尺状の物品をその長手方向が水平方向に沿う姿勢で載置搬送して移載対象箇所との間で物品を移載自在な移載装置と、前記索状体を巻回駆動して前記昇降体及び前記移載装置を昇降駆動する昇降駆動手段と、前記昇降駆動手段及び前記移載装置の作動を制御する制御手段とが設けられた長尺物品用の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記長尺物品用の搬送装置は、移載装置の移載作動と昇降体の昇降作動とにより、上下に高さの異なる移載対象箇所との間で長尺状の物品を搬送するものであり、例えば、物品を収納自在な収納部を縦横に複数並ぶ状態で備えて構成された一対の物品収納棚及び外部との間で物品が搬出入される荷受台が設けられた自動倉庫設備におけるスタッカクレーンにて構成される。スタッカクレーンは、荷受台を搬送元の移載対象箇所として収納部を搬送先の移載対象箇所として搬送元から搬送先に物品を搬送する入庫用の物品搬送作業や収納部を搬送元の移載対象箇所として荷受台を搬送先の移載対象箇所として搬送元から搬送先に物品を搬送する出庫用の物品搬送作業を行う。
【0003】
上記長尺状の搬送装置の従来例として、昇降体の昇降位置を検出する昇降位置検出手段が設けられ、昇降駆動手段及び移載装置の作動を制御する制御手段が、昇降位置検出手段の検出情報に基づいて、物品移載方向で昇降体の外方側の端部が移載対象箇所における受止部により受け止め支持される移載用昇降位置に昇降体を位置させる昇降処理を実行し、昇降処理が完了した後に端部が移載対象箇所における受止部により受け止め支持された状態で移載装置を搬送作動させる移載処理を実行するように構成されているものがある(例えば、特許文案1の図8参照。)。
【0004】
特許文献1には、互いに物品出し入れ方向が対向する状態で配置された一対の物品収納棚を備えた自動倉庫設備において、長尺物品搬送用のスタッカクレーンが、一対の物品収納棚の間に形成された移動経度に沿って走行自在に設けられ、移載対象箇所としての収納部との間で物品を移載する場合に、移載対象箇所としての収納部における受止部とこの収納部と対向する他方の物品収納棚における収納部における受止部とに、物品移載方向で昇降体の外方側の両端部が受け止め支持された状態で移載装置を搬送作動させて物品の移載を行うことが記載されている。
【0005】
上述した従来の長尺状の搬送装置の構成では、移載装置により搬送される物品の荷重や昇降体の端部側の部分の自重により昇降体の端部に作用する荷重を移載対象箇所側で支持できるため、昇降体を索状体と物品移載箇所の双方により安定よく支持することができるとともに、昇降体における移載装置にて載置搬送される物品の高さと移載対象箇所にて支持される物品の高さとを揃えることで、物品の移載を円滑に行うことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−191114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の長尺物品用の搬送装置では、物品移載方向で昇降体の外方側の端部が移載対象箇所における受止部により受け止め支持される移載用昇降位置に昇降体を位置させた状体で移載処理を実行する間、昇降駆動手段は停止状態に維持されている。
【0008】
そのため、移載処理として移載対象個所から昇降体に物品を移載する場合に、物品が物品移載方向に沿って昇降体側に搬送されるに伴って、昇降体に作用する荷重が増大することで昇降体を吊り下げ支持している索状体の伸び代が増大し、索状体の伸び代が増大した分だけ昇降体の昇降位置が下方に変化することになる。このように移載処理を実行している間に昇降体が下降すると、物品移載方向で昇降体の外方側の端部が移載対象箇所における受止部により受け止め支持されたまま昇降体が下降することになり、昇降体が変形ないし破損するおそれがある。
【0009】
また、移載処理として昇降体から移載対象個所に物品を移載する場合に、物品が物品移載方向に沿って移載対象箇所側に搬送されるに伴って、昇降体に作用する荷重が減少することで昇降体を吊り下げ支持している索状体の伸び代が減少し、索状体の伸び代が減少した分だけ昇降体の昇降位置が上方に変化することになる。このように移載処理を実行している間に昇降体が上昇すると、物品移載方向で昇降体の外方側の端部は、物品の荷重で押さえ付けられている状態となり、移載方向で物品の後端部が昇降体の外方側の端部を通過した直後に、それまで物品の荷重で押さえ付けられていた昇降体の端部が急激に上方に跳ね上がることになり、物品の後端部を損傷するおそれや跳ね上がりによる振動により昇降体が破損するおそれがある。
【0010】
本発明は上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、長尺状の物品を移載対象箇所との間で適切に移載できる長尺物品用の搬送装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために、本発明に係る長尺物品用の搬送装置の第1特徴構成は、索状体により吊り下げ支持されかつ昇降マストに案内支持された状態で前記昇降マストに沿って昇降自在な昇降体と、前記昇降体に備えられて前記昇降体と一体昇降自在で、かつ、長尺状の物品をその長手方向が水平方向に沿う姿勢で載置搬送して移載対象箇所との間で物品を移載自在な移載装置と、前記索状体を巻回駆動して前記昇降体及び前記移載装置を昇降駆動する昇降駆動手段と、前記昇降駆動手段及び前記移載装置の作動を制御する制御手段とが設けられた長尺物品用の搬送装置において、
前記昇降体の昇降位置を検出する昇降位置検出手段が設けられ、前記制御手段が、前記昇降位置検出手段の検出情報に基づいて、物品移載方向で前記昇降体の外方側の端部が前記移載対象箇所における受止部により受け止め支持される移載用昇降位置に前記昇降体を位置させる昇降処理を実行し、前記昇降処理が完了した後に前記端部が前記移載対象箇所における受止部により受け止め支持された状態で前記移載装置を搬送作動させる移載処理を実行するように構成され、かつ、前記移載処理の実行中において、物品が物品移載方向に搬送されるに伴って変化する前記昇降体に作用する荷重の変化による前記昇降体の昇降位置の変化を吸収するべく、前記昇降位置検出手段の検出情報に基づいて前記昇降駆動手段の作動を制御する昇降位置調整処理を実行するように構成されている点にある。
【0012】
本特徴構成によれば、物品移載方向で前記昇降体の外方側の端部が移載対象箇所における受止部により受け止め支持された状態で移載装置により物品が搬送されるので、移載装置により搬送される物品の荷重や昇降体の端部側の部分の自重により昇降体の端部に作用する荷重を移載対象箇所側で支持できるため、昇降体を索状体と物品移載箇所の双方により安定よく支持することができる。また、昇降体における移載装置にて載置搬送される物品の高さと移載対象箇所にて支持される物品の高さとを揃えることで、物品の移載を円滑に行うことができる。
そして、移載処理の実行中において、制御手段が昇降位置調整処理を実行することで、移載処理の実行中において昇降駆動手段が作動して、移載装置の搬送作動により物品が物品移載方向に搬送されるに伴って昇降体に作用する荷重が変化することによる昇降体の昇降位置の変化が吸収される。
したがって、移載処理として移載対象個所から昇降体に物品を移載する場合に、物品が物品移載方向に沿って昇降体側に搬送されるに伴って、昇降体に作用する荷重が増大することで昇降体を吊り下げ支持している索状体の伸び代が増大し、索状体の伸び代が増大した分だけ昇降体の昇降位置が下方に変化することになるが、制御手段が昇降位置調整処理を実行することで、移載処理を実行している間の昇降体の昇降位置の下方への変化が吸収される。これにより、物品移載方向で昇降体の外方側の端部が移載対象箇所における受止部により受け止め支持されたまま昇降体が下降して昇降体が変形ないし破損する事態の発生を防止できる。
また、移載処理として昇降体から移載対象個所に物品を移載する場合に、物品が物品移載方向に沿って移載対象箇所側に搬送されるに伴って、昇降体に作用する荷重が減少することで昇降体を吊り下げ支持している索状体の伸び代が減少し、索状体の伸び代が減少した分だけ昇降体の昇降位置が上方に変化することになるが、制御手段が昇降位置調整処理を実行することで、移載処理を実行している間の昇降体の昇降位置の上方への変化が吸収される。これにより、物品移載方向で昇降体の外方側の端部が移載対象箇所における受止部により受け止め支持されたまま昇降体が上昇して、移載方向で物品の後端部が昇降体の外方側の端部を通過した直後に、それまで物品の荷重で押さえ付けられていた昇降体の端部が急激に上方に跳ね上がる事態の発生を防止でき、もって、物品の後端部が損傷することや跳ね上がりによる振動により昇降体が破損することを防止できる。
このように、本特徴構成によると、長尺状の物品を移載対象箇所との間で適切に移載できる長尺物品用の搬送装置を得るに至った。
【0013】
本発明に係る長尺物品用の搬送装置の第2特徴構成は、前記制御手段が、前記移載処理により前記移載対象箇所から前記移載装置へ物品を移載する掬い移載を行う場合に、前記移載処理の実行中において、前記昇降位置調整処理として、前記昇降位置検出手段の検出情報に基づいて前記昇降体が前記移載用昇降位置から設定高さだけ低い下降限度位置まで下降したか判断し、かつ、前記昇降体が前記下降限度位置に達したときに、前記昇降体を掬い用設定量だけ上昇させるべく、前記昇降駆動手段の作動を制御するように構成されている点にある。
【0014】
本特徴構成によれば、移載対象箇所から移載装置へ物品を移載する掬い移載を行う場合に、移載処理の実行中における昇降体の実際の昇降位置の変化に基づいて、昇降体が下降限度位置に達したか判別される。これにより、昇降体か下降する現象を適確に捉え、下降する昇降台の昇降位置の変化を適切に吸収することができる。
しかも、昇降体が下降限度位置に達するまでは、昇降体を上昇させないので、昇降体が物品の荷重の増加による下降と昇降位置調整処理による上昇とが頻繁に繰り返されて昇降体が上下に振動することを極力抑えることができる。
したがって、本特徴構成によれば、掬い移載を行う場合に、昇降体が上下に振動することを極力抑制しながら実際の昇降体の下降量に応じて、昇降体の昇降位置の変化を適切に吸収することができる。
【0015】
本発明に係る長尺物品用の搬送装置の第3特徴構成は、前記昇降体が、前記索状体が連結される基部側枠体と、物品移載方向で前記基部側枠体の両側に延設される一対の端部側枠体とを備えて構成され、前記移載装置が、物品移載方向で両側に位置する前記移載対象箇所の夫々に対して物品を移載自在に構成され、物品移載方向で前記一対の端部側枠体の夫々における外方側の端部に、前記移載対象箇所に設けられた受止部に受け止め支持される被受止体が設けられ、前記一対の端部側枠体の夫々が、前記基部側枠体に対して、物品移載方向と交差する水平軸心周りに揺動自在に枢支連結されている点にある。
【0016】
本特徴構成によれば、物品移載方向で両側に位置する移載対象箇所の夫々に対して物品を移載することができるため、例えば、一対の物品収納棚の間に形成される走行経路に沿って走行自在なスタッカクレーンに本発明を適用することで、物品収納能力の高い自動倉庫設備を構成することができる。
しかも、一対の端部側枠体の夫々が、基部側枠体に対して、物品移載方向と交差する水平軸心周りに揺動自在に枢支連結されているので、例えば、物品移載方向で一対の端部側枠体の夫々における外方側の端部における被受止体が移載対象箇所に設けられた受止部に受け止め支持された状態で、昇降位置調整処理が正常に機能しない等の不具合が発生して、昇降体が大きく下降しても、一対の端部側枠体の夫々が基部側枠体に対して水平軸心周りに揺動することで、昇降体の破損を免れることができる。
【0017】
本発明に係る長尺物品用の搬送装置の第4特徴構成は、前記一対の端部側枠体の少なくとも一方が前記基部側枠体に対して揺動したことを検出する揺動検出手段が設けられ、前記制御手段が、前記移載処理において、前記揺動検出手段の検出情報に基づいて、前記一対の端部側枠体の少なくとも一方が前記基部側枠体に対して揺動した場合は、前記昇降体の前記昇降位置が異常であると判別するように構成されている点にある。
【0018】
本特徴構成によれば、移載処理により移載装置が物品の移載作動を行っている間に、昇降位置調整処理が適切に機能しない等の不具合が発生して、一対の端部側枠体の少なくとも一方が基部側枠体に対して揺動した場合には、その揺動が揺動検出手段にて検出され、それにより制御手段が昇降体の昇降位置が異常であると判別するので、長尺物品用の搬送装置の作動を非常停止させる等の対策を講じることが可能である。これにより、端部側枠体が基部側枠体に対して揺動した場合の被害の拡大を防止できる。
【0019】
本発明に係る長尺物品用の搬送装置の第5特徴構成は、前記制御手段が、前記移載処理により前記移載装置から前記移載対象箇所へ物品を移載する卸し移載を行う場合に、前記移載処理の実行中において、前記昇降位置調整処理として、前記昇降位置検出手段の検出情報に基づいて前記昇降体が前記移載用昇降位置から設定高さだけ高い上昇限度位置まで上昇したか判断し、かつ、前記昇降体が前記上昇限度位置に達したときに、前記昇降体を卸し用設定量だけ下降させるべく、前記昇降駆動手段の作動を制御するように構成されている点にある。
【0020】
本特徴構成によれば、移載装置から移載対象箇所へ物品を移載する卸し移載を行う場合に、移載処理の実行中における昇降体の実際の昇降位置の変化に基づいて、昇降体が上昇限度位置に達したか判別される。これにより、昇降体か上昇する現象を適確に捉え、上昇する昇降台の昇降位置の変化を適切に吸収することができる。
しかも、昇降体が上昇限度位置に達するまでは、昇降体を下降させないので、昇降体が物品の荷重の減少による上昇と昇降位置調整処理による下降とが頻繁に繰り返されて昇降体が上下に振動することを極力抑えることができる。
したがって、本特徴構成によれば、卸し移載を行う場合に、昇降体が上下に振動することを極力抑制しながら実際の昇降体の上昇量に応じて、昇降体の昇降位置の変化を適切に吸収することができる。
【0021】
本発明に係る長尺物品用の搬送装置の第6特徴構成は、前記移載対象箇所において前記受止部に対応して設置された被検出部を検出自在な検出センサが、前記昇降体における前記端部に設けられ、前記昇降体の前記端部が前記受止部に受け止められた状態であると前記検出センサが前記被検出部を検出するように前記被検出部が配置され、前記制御手段が、前記昇降処理において、前記検出センサにて前記被検出部が検出されると、前記昇降体が前記移載用昇降位置に位置しているとして、前記昇降駆動手段の作動を停止させるように構成されている点にある。
【0022】
本特徴構成によれば、昇降位置検出手段の検出情報に基づいて、例えば、物品搬送用の昇降速度よりも低速に設定された着座用の昇降速度で昇降体を下降させている間に、検出センサにて受止部に対応して設置された被検出部を検出した時点で昇降駆動手段の作動を停止させることになる。
被検出部は、昇降体の端部が受止部に受け止められた状態であると検出センサにて検出されるように配置されているため、検出センサにて被検出部が検出されたときには、昇降体は、その端部が受止部に受け止められた状態となる移載用昇降位置に適正に位置していることになる。
索状体に吊り下げ支持されている昇降体は、その端部が受止体にて受け止め支持されていない状態であると、物品の荷重及び自重によりその端部が下方側に撓む状態に変形しており、物品の荷重の有無乃至大小によってその変形の程度が異なるので、昇降位置検出手段の検出情報のみに基づいて、移載用昇降位置を目標昇降位置として昇降体を昇降させると、昇降体の端部が物品移載箇所における受止部に適切に受け止め支持された状態となっていないおそれがある。
そこで、昇降位置検出手段の検出情報に基づいて所定の昇降速度で昇降体を下降させるべく昇降駆動手段の作動を制御しつつ、検出センサにて被検出部が検出された時点で昇降駆動手段の作動を停止させることで、昇降体の端部が受止部に適正に受け止められた状態となる昇降位置で昇降体の下降を停止させることができる。
このように、本特徴構成によると、昇降体の端部が下方側に撓む状態に変形していても移載用昇降位置として適正な昇降位置に昇降体を停止させて、昇降体の端部が受止部に適正に受け止められた状態を現出することができる。
【0023】
本発明に係る長尺物品用の搬送装置の第7特徴構成は、前記昇降体が、物品移載方向に沿う姿勢で上下に間隔を隔てて平行に配置された上部フレームと下部フレームとを鉛直面に沿う姿勢で物品移載方向に並ぶ複数の斜行部材にて互いに連結して構成したトラス枠部分を、物品移載方向と交差する水平方向に間隔を隔てて一対配置して、これら一対のトラス枠部分を物品移載方向に並ぶ複数の水平部材にて連結して、搬送対象の物品を収容自在な物品収容空間が形成されたトラス枠体を備えて構成され、前記移載装置が、前記トラス枠体における前記複数の水平部材に載置支持された搬送コンベヤにて構成されている点にある。
【0024】
本特徴構成によれば、昇降体が、鉛直面に沿う姿勢で物品移載方向に並ぶ複数の斜行部材を有する一対のトラス枠部分を複数の水平部材にて連結して構成されたトラス枠体を備えて構成されているので、昇降体の上下方向の応力に対する強度が向上し、端部が受止体にて受け止め支持されていない状態において昇降体の端部が下方側に撓む状態に変形することを抑制できる。
そして、移載装置としての搬送コンベヤが、トラス枠体における複数の水平部材に載置支持されているので、昇降体の端部が下方側に撓む状態に変形し難いトラス枠体にて搬送コンベヤが載置支持されることになる。したがって、移載処理の実行中に昇降体が昇降した場合には、昇降位置調整処理により昇降位置の変化が吸収されることに加えて、トラス枠体の高い強度により、昇降体の変形が抑制されるので、移載処理の実行中における移載装置の姿勢が安定し、移載装置により物品を円滑に載置搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】スタッカクレーンの左側面図
【図2】スタッカクレーンのOP側正面図
【図3】スタッカクレーンの走行台車の平面図
【図4】スタッカクレーンの平面図
【図5】昇降台における基部側枠体及びその周辺の構成の左側面図
【図6】昇降台における基部側枠体のOP側部分及びその周辺構成の平面図
【図7】移載作動中の昇降体の左側の端部及びその周辺構成のOP側正面図
【図8】昇降体の左側の端部のOP側部分及びその周辺構成の平面図
【図9】ロークアームが受止部にて受止支持されるまでの様子を示す説明図
【図10】制御ブロック図
【図11】物品搬送制御のフローチャート
【図12】物品搬送制御のフローチャート
【図13】昇降位置調整処理のフローチャート
【図14】掬い用移載作動における昇降体の昇降位置の変化を示すスタッカクレーンのOP側正面図
【図15】卸し用移載作動における昇降体の昇降位置の変化を示すスタッカクレーンのOP側正面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に係る長尺物品用の搬送装置の実施形態について、自動倉庫設備におけるスタッカクレーンを例に、図面に基づいて説明する。
【0027】
図1及び図2に示すように、長尺物品用の搬送装置としてのスタッカクレーン1は、床面に敷設されたレール設置プレート2a上に設置された直線状の走行レール2に沿って走行自在な走行台車3と、走行台車3の走行方向で前後両端部に立設された前後一対の昇降マスト4と、走行方向での前後両端部の夫々が一対の昇降マスト4の対応する側のものに案内支持された状態で一対の昇降マスト4の間において昇降マスト4に沿って昇降自在な昇降体6と、一対の昇降マスト4の上端部を連結する上部枠体7とを備えて構成されている。
【0028】
昇降体6は、走行台車3の走行方向視で左右に長尺状の物品Wを長手方向に沿って載置搬送自在なコーラコンベヤにて構成された移載装置5を備えており、移載装置5は、昇降体6に備えられて昇降体6と一体昇降自在で、かつ、長尺状の物品Wをその長手方向が水平方向に沿う姿勢で載置搬送して移載対象箇所との間で物品を移載自在に構成されている。
【0029】
そして、スタッカクレーン1は、物品Wを搬送対象として、走行台車3の走行作動と昇降体6の昇降作動と移載装置5の移載作動により、図外の荷受台や後述する物品収納棚60における収納部61(図14及び図15参照。)を移載対象箇所として、搬送元の移載対象箇所で物品Wを受け取ってから搬送先の移載対象箇所に受け渡す物品搬送作業を行う。
【0030】
走行レール2の図1で紙面左方向の端部には、スタッカクレーン1の走行原点位置としてのホームポジション(HP)が設定されており、走行レール2の図1で紙面右方向の端部には、前進限度位置としてのオポジットポジション(OP)が設定されている。以下の説明では、スタッカクレーン1の前後方向において、スタッカクレーン1がHPからOPに向かって走行するときの前進側をOP側、後進側をHP側とし、スタッカクレーン1をOP側から見た前後方向視での左右方向を基準に左側、右側として説明する。図1は、スタッカクレーン1の左側面図であり、図2は、前後方向でOP側から見た正面図であり、図3は、上下方向で下方側における横断平面図である。
【0031】
上部枠体7の横側部には、天井側に配置されたレール支持部材により走行レール2と平行な姿勢で吊り下げ支持された上部レール8の両横側面に接当する左右一対の上部ガイドローラ9・9を備えたガイドローラユニット10が、左方向にと突出する姿勢で前後方向に分散して一対取り付けられている。上部枠体7の内には前後方向の4箇所に、上部アイドラスプロケット11が設けられている。上部アイドラスプロケット11は、2連のスプロケットを一組として二組のスプロケットを備えている(図4及び図6参照。)。
【0032】
昇降体6は、索状体としての金属製の昇降チェーン12により吊り下げ支持されている。前後方向でOP側の端部に接続された昇降チェーン12と、HP側の端部に接続された昇降チェーン12との夫々は、十分な吊り上げ荷重を支持できるように左右方向に隣接する2本一組のチェーンからなっている(図6参照。)。
【0033】
昇降体6のOP側の端部に接続された一組の昇降チェーン12は、後述する昇降体側リターンアイドラスプロケット37に巻き掛けられており、当該スプロケット37により上向きに案内される一方側が、上部枠体7の下面部に接続固定され、当該スプロケット37により同じく上向きに案内される他方側が、上部枠体7におけるHP側寄りの2箇所に配置された上部アイドラスプロケット11のうち、前後方向で対応するものが備える一組のスプロケットに巻きかけられ、水平方向に沿って、最もOP側に配置された上部アイドラスプロケット11に巻き掛けられる。つまり、HP側寄りの2箇所に配置された上部アイドラスプロケット11は、2組4枚のスプロケットのうち、巻回対象の一組2本の昇降チェーン12と軸心方向の位置が対応する一方の組のスプロケットにのみ一組2本の昇降チェーン12が巻き掛けられている。
【0034】
OP側寄りの2箇所に配置された上部アイドラスプロケット11は、2組4枚のスプロケットの夫々に2組4本の昇降チェーン12が夫々巻き掛けられている。すなわち、HP側寄りの2箇所に配置された上部アイドラスプロケット11の夫々から水平歩行に案内されて上部枠体7における最もOP側寄りの上部アイドラスプロケット11に巻き掛けられた2組の昇降チェーン12は、当該上部アイドラスプロケット11により走行台車3のOP側の端部に設けられた昇降用モータM2にて回転駆動される駆動スプロケット13に向けて下向きに案内され、駆動スプロケット13に巻き掛けられる。
【0035】
駆動スプロケット13に巻き掛けられた2組の昇降チェーン12は、上部枠体7における2番目にOP側寄りの上部アイドラスプロケット11に向けて上向きに案内され、上部アイドラスプロケット11に巻き掛けられている。当該上部アイドラスプロケット11に巻き掛けられた2組の昇降チェーン12は、OP側マストの内部で昇降自在に設けられたカウンタウェイト22を吊り下げ支持するカウンタウェイト側リターンアイドラスプロケット29に向けてOP側マストの内部を通る状態で下向きに案内され、当該リターンアイドラスプロケット29に巻き掛けられた後、当該リターンアイドラスプロケット29によりOP側マストの内部を通る状態で上向きに案内されて上部枠体7におけるチェーン接続部に接続されている。
【0036】
このように、昇降用モータM2は、索状体としての昇降チェーン12を巻回駆動して昇降体6及び移載装置5を昇降駆動する昇降駆動手段として機能している。そして、本実施形態では、昇降体6を吊り下げ支持する一対の昇降チェーンの夫々を2本一組のチェーンにて構成することで、一本のチェーンの負担を軽減するとともに、昇降チェーン12の巻回経路を、上下に移動自在なカウンタウェイト側リターンアイドラスプロケット29及び昇降体側リターンアイドラスプロケット37を経由する巻回経路とすることで、各組の昇降チェーン12に掛かる吊り上げ荷重の軽減を図っている。
【0037】
走行台車3の前後両端部には、走行レール2上を走行する一対の走行車輪14が設けられている。走行台車3のOP側の端部に位置するものが走行用モータM1により回転駆動される駆動輪14aであり、走行台車3のHP側の端部に位置するものが走行にともなって遊転自在な従動輪14bである。
【0038】
図1及び図3に示すように、走行台車3は、前後方向に沿う左右一対の中間フレーム15a・15bを前後複数箇所で連結して構成されたメイン枠体15のOP側の端部に、OP側マスト4aの下端部を支持するOP側マスト支持フレーム16aが接続され、メイン枠体15のHP側の端部に、HP側マスト4bの下端部を支持するHP側マスト支持フレーム16bが接続されている。そして、これらの前後一対のマスト支持フレーム16にて、前後の走行車輪14が車輪支持枠17を介して支持されている。
【0039】
すなわち、駆動輪14aが駆動輪枠体17aに回転自在に支持され、駆動輪枠体17aがOP側マスト支持フレーム16aに連結されている。また、従動輪14bが従動輪枠体17bに回転自在に支持され、従動輪枠体17bがHP側マスト支持フレーム16bに連結されている。そして、前後一対のマスト支持フレーム16の夫々は、マスト取付フランジ18を備えており、昇降マスト4の下端部に形成された連結部がマスト取付フランジ18にボルト固定されている。なお、図示は省略するが、従動輪枠体17bには、従動輪14aの回転量に応じたパルスを出力する走行位置検出手段としての走行用ロータリエンコーダRE1(図10参照。)が取り付けられている。
【0040】
OP側のマスト取付フランジ18には、走行用モータ取付ブラケット27及び昇降用モータ取付ブラケット28がボルト固定されており、走行台車3の右側に走行用モータM1が位置し、走行台車3の左側に昇降用モータM2が位置する状態で、走行用モータM1及び昇降用モータM2がこれらの取り付けブラケットにボルト固定されて取り付けられている。
【0041】
また、図1〜図3に示すように、前後一対のマスト支持フレーム16の夫々には、走行レール2の両横側面に接当する左右一対の下部ガイドローラ20がブラケットを介して取り付けられている。なお、走行台車3の左側の横側部には、床面において走行レール2に並行に設置される図外のアンカーパイプに対して上下に近接する水平方向に沿う受止プレートを備えた倒れ防止ガイド19が前後一対設けられている。
【0042】
HP側の昇降マスト4bには、下端から上端に渡って、作業者が上り下りするメンテナンス用梯子21が取り付けられている。また、図示は省略するが、昇降体6と走行台車3側との間に配線される制御ラインや電力ラインは、OP側の昇降マスト4aの右側において上下方向に沿って配置された昇降用ケーブルガイドに収容され、この昇降用ケーブルガイドの一端部がOP側の昇降マスト4aに接続され、他端部が昇降体6に接続されている。そして、昇降体6の昇降に伴ってこの昇降用ケーブルガイドが変形することで、制御ラインや電力ラインの移動が案内される。
【0043】
なお、図示は省略するが、地上側とスタッカクレーン1の走行台車3との間に配線される制御ラインや電力ラインは、走行レール2の横脇に配置された走行用ケーブルガイドに収容され、この走行用ケーブルガイドの一端部が床面側に接続され、他端部が走行台車3に接続されている。そして、スタッカクレーン1の走行に伴ってこの走行用ケーブルガイドが変形することで、制御ラインや電力ラインの移動が案内される。これにより、地上側に設置された後述する地上側コントローラCとスタッカクレーン1との間で制御情報の通信が可能であり、また、地上側の給電装置からの電力の送電が可能となっている。
【0044】
図2及び図4〜図6に示すように、昇降体6は、昇降チェーン12が連結される基部側枠体30と、物品移載方向である左右方向で基部側枠体30の両側に延設される一対の端部側枠体50である左端部側枠体50L及び右端部側枠体50Rとを備えて構成されている。
【0045】
基部側枠体30は、縦方向の鋼板や横方向の鋼板及び円筒状の斜行部材を溶接により接合して構成された前後一対のアップライト部31・31と、一対のアップライト部31・31における左右方向の端部及び中間部において一対のアップライト部31・31を互いに連結する水平連結部材32とで枠組みして構成されている。一対のアップライト部31・31は前後の勝手違いはあるものの、その構成は同様であるので、OP側のアップライト部31を代表としてアップライト部31の構成を説明する。
【0046】
図1、図5及び図6に示すように、アップライト部31は、前後方向で昇降体6の外方側端部において昇降マスト4の左右両側面に接当する複数の昇降ガイドローラ33を備えている。一対の昇降ガイドローラ33を上下方向に並ぶ状態で横軸心周りに回転自在に備えたボギー体34が、アップライト部31のOP側における上下左右の4箇所に取り付けられたボギー体取付ブラケット35にて横軸芯周りに揺動自在に枢支連結されている。すなわち、OP側マスト4aの左右両側面に上下方向に沿って設けられたローラ当接プレートに対して上下2箇所においてボギー体34における一対の昇降ガイドローラ33が当接する状態で配置されている。また、アップライト部31は、OP側マスト4aのHP側の側面に当接して昇降体6の前後方向の移動を規制する上下一対のガイドローラ36を備えている。
【0047】
このように、前後一対のアップライト部31の夫々に対して左右一対のボギー体34を上下に離間する状態で合計二対設けることにより、昇降体6は、基部側枠体30が前後方向視の姿勢が維持された状態で、昇降マスト4に沿って昇降できるようになっている。また、前後一対のアップライト部31の夫々に対して上下一対のガイドローラ36を設けることにより、昇降体6は、基部側枠体30が前後一対の昇降マスト4の間において前後方向の位置が規制された状態で、昇降マスト4に沿って昇降できるようになっている。
【0048】
図5及び図6に示すように、OP側マストの左側面には、前後ローラ当接プレートと前後に並ぶ位置に、昇降位置検出用固定チェーン70が上下方向に沿って配設されている。基部側枠体30のOP側のアップライト部31にインクリメンタル型の昇降用ロータリエンコーダRE1が、回転軸芯が横向きとなる姿勢で取り付けられており、この昇降用ロータリエンコーダRE2の回転軸芯に一体回転自在に取り付けられたスプロケットが、昇降位置検出用固定チェーン70に歯合している。
【0049】
これにより、昇降体6が昇降すると、昇降用ロータリエンコーダRE2が昇降体6の昇降量に応じたパルスを出力するようになっている。そして、後述する昇降制御装置HVが、昇降用ロータリエンコーダRE2の出力パルス数のカウント値を管理し、昇降体6の昇降範囲の下端に設定された昇降原点位置でパルス数のカウント値をリセットし、その後の昇降用ロータリエンコーダRE2の出力パルス数のカウント値を計数することで昇降体6の昇降位置を検出できるようになっている。
【0050】
したがって、昇降用ロータリエンコーダRE2は、昇降体6の昇降位置を検出する昇降位置検出手段として機能している。
【0051】
前後一対のアップライト部31の夫々は、前述の通り、昇降体側リターンアイドラスプロケット37を左右方向の中間箇所において備えている。昇降体側リターンアイドラスプロケット37は、図外の圧縮バネ等により下方側に付勢された状態で上下昇降自在なアイドラ支持枠体38に回転自在に軸支されている。アイドラ支持枠体38の下端部には、落下防止装置39が備えるリンク機構40が連結されており、万が一昇降チェーン12が切断された場合に、下向きに付勢されたアイドラ支持枠体38ごと昇降体側リターンアイドラスプロケット37が下降することで、リンク機構40が揺動操作されて、落下防止装置39が作動するようになっている。
【0052】
すなわち、昇降チェーン12が切断されると、それまで昇降体6の荷重により圧縮状態であったバネが自然状態に向けて伸張復帰することで、アイドラ支持枠体38がアップライト部31に対して下向きに移動操作される。このアイドラ支持枠体38の下降移動によりリンク機構40と連動連結された一対の挟み込みブロック41が横軸心周りに揺動操作されることで、昇降マスト4の昇降体6側の側面(例えば、OP側マスト4aであれば、HP側の側面)に昇降体6側に突出する状態で上下方向に沿って設けられた突状プレート42を、一対の挟み込みブロック41が挟持することになり、しかも、一対の挟み込みブロック41の揺動軸心は、昇降体6が下降する側ほど突状プレート42を挟持する側に一対の挟み込みブロック41が揺動操作されるように配置されているため、昇降体6の下降移動を制動して落下を防止することができるようになっている。
【0053】
ちなみに、図示は省略するが、前後一対のアップライト部31の夫々には、昇降チェーン12が切断されるとオフする常時オン状態のリミットスイッチが設けられており、昇降チェーン12の切断が発生した場合にスタッカクレーン1の走行作動、昇降作動、移載作動を非常停止させるようになっている。
【0054】
図2に示すように、一対の端部側枠体50の夫々は、基部側枠体30に対して、物品移載方向である左右方向と交差する水平軸心周りに揺動自在に枢支連結されている。説明を加えると、基部側枠体30と左右一対の端部側枠体50とが互いの上部箇所において枢支連結軸枢43にて支連結されており、端部側枠体50は、基部側枠体30の下部箇所に対して当接することで揺動姿勢が位置決めされた状態で物品移載方向である左右方向に沿って延設されている。
【0055】
図2、図4及び図5に示すように、端部側枠体50の夫々は、左右方向(物品移載方向)に沿う姿勢で上下に間隔を隔てて平行に配置された上部フレーム51と下部フレーム52とを、鉛直面に沿う姿勢で左右方向に並ぶ複数の斜行部材53にて互いに連結して構成したトラス枠部分54を、物品移載方向と交差する水平方向である前後方向に間隔を隔てて一対配置して、これら一対のトラス枠部分54を左右方向に並ぶ複数の水平部材55にて複数箇所を連結して構成されおり、搬送対象の物品Wを収容自在な物品収容空間Zが形成されたトラス枠体となっている。
【0056】
各端部側枠体50における一対のトラス枠部分54を接続する複数の水平部材55として、上部フレーム51同士を接続する上部水平部材55Uと、下部フレーム52同士を接続する下部水平部材55Lとが設けられている。隣接する上部水平部材55U同士は、前後方向で互いに反対側の端部を水平ブレース56にて接続されており、各水平ブレースに設けられた56ターンバックル56aを締め上げることで、端部側枠体50のねじれに対する強度を向上させている。
【0057】
図5及び図6に示すように、基部側枠体30におけるアップライト部30の左右方向の両端部には、基部側連結部44と基部側当接プレート46とが溶接により取り付けられている。各端部側枠体50の基部側枠体30側の端部、つまり、左端部側枠体50Lの右側端部及び右端部側枠体50Rの左側端部には、端部側連結部45と端部側当接プレート47とが溶接により取り付けられている。そして、基部側連結部44に形成された前後一対の連結プレートの間に、端部側連結部45に形成された突状プレートが挟み込まれた状態で枢支連結軸43にてナックルジョイント形式で枢支連結されている。
【0058】
このように、一対の端部側枠体50の夫々は、基部側枠体30に対して、物品移載方向である左右方向と交差する水平軸心周りに揺動自在に枢支連結されており、基部側当接プレート46と端部側当接プレート47とが当接することで、左端部側枠体50L及び右端部側枠体50Rの下方側の揺動が規制されており、基部側枠体30に対する姿勢が保持されている。
【0059】
そして、後述するように、昇降体6を搬送元の移載対象箇所としての収納部61に位置させて昇降体6の左右方向の端部50Tの双方を左右の収納部61に受け止め支持させた状態で物品Wを受け取る場合において、物品Wの荷重による昇降チェーン12の伸びのために基部側枠体30が下降することで昇降体6が極度に変形したとしても、一対の端部側枠体50の夫々が基部側枠体30に対して水平軸心周りに揺動することで、昇降体6の破損を免れることができるようになっている。
【0060】
一対の端部側枠体50の夫々が基部側枠体30に対して水平軸心周りに揺動した場合に、その揺動を検出する揺動検出センサSYが設けられている。図5に示すように、揺動センサSYは、一対のアップライト部31の夫々の左右両端部に取り付けられた揺動センサ取付ブラケッ48により支持されており、前後方向に沿う光軸を持つフォトマイクロセンサにより構成されている。各端部側枠体50の基部側枠体30側の端部、つまり、左端部側枠体50Lの右側端部及び右端部側枠体50Rの左側端部には、下端部の前後2箇所において、対応する箇所の揺動検出センサSYにてその先端部が検出される、折り曲げ加工された板材からなる揺動被検出体69が取り付けられている。そして、一対の端部側枠体50の何れか一方が枢支連結軸43周りに揺動した場合に揺動被検出体69の先端部が揺動検出センサSYの前後方向に沿う光軸から外れることで、検出状態の揺動検出センサSYが被検出状態に切り換わるため、一対の端部側枠体50の少なくとも一方が基部側枠体30に対して揺動したことを検出することができる。
【0061】
このように、スタッカクレーン1は、一対の端部側枠体50の少なくとも一方が基部側枠体30に対して揺動したことを検出する揺動検出手段として、4つの揺動センサSYが設けられている。
【0062】
図1に示すように、下部水平部材55Lの上面側には、移載装置5が載置支持されている。図4及び図6に示すように、移載装置5は、一端部にスプロケット71を備えた複数の回転ローラ72を、回転軸心が前後方向に沿う姿勢で左右方向(物品移載方向)に複数並ぶ状態で備えている。下部55Lの上面において前後に配置された前後一対のコンベヤフレーム73の夫々における左右複数箇所に、コンベヤローラ軸受74が取り付けられており、複数の回転ローラ72の両端部が、コンベヤローラ軸受74にて回転自在に軸支されている。
【0063】
図4〜図6に示すように、移載装置5は、基部側枠体30に配置される部分と、左端部側枠体50Lに配置される部分と、右端部側枠体50Rに配置される部分との3つの部分で構成され、夫々の部分に回転ローラ72が配置されている。
【0064】
複数の回転ローラ72のうち、基部側枠体30に配置される基部側ローラ72Mは、基部側枠体30の左右一対の水平連結部材32に亘って設けられた前後一対の中央フレーム73Mに支持されている。左端部側枠体50Lに配置される左端部側ローラ72Lは、左端部側枠体50Lの前後一対の下部フレーム52を連結している複数の下部水平部材55Lの上部において前後方向で内方側に設置された前後一対の左側フレーム73Mに支持されている。同様に、右端部側枠体50Rに配置される右端部側ローラ72Rは、右端部側枠体50Rの前後一対の下部フレーム52を連結している複数の下部水平部材55Lの上部において前後方向で内方側に設置された前後一対の右側フレーム73Rに支持されている。
【0065】
図5及び図6に示すように、前後一対の中央フレーム73Mの下部には、移載用モータ支持枠74にて支持された移載用モータM3が取り付けられている。移載用モータM3の回転軸芯には、駆動スプロケット76が一体回転自在に取り付けられている。上下方向で駆動スプロケット76と回転ローラ72のスプロケット71との中間に位置する高さで、かつ、左右方向で駆動スプロケット76からややずれた位置において、一対の案内スプロケット77が、前後一対の中央フレーム73MのうちOP側のものに遊転自在に取り付けられている。
【0066】
図8に示すように、左端部側枠体50Lの端部50Tに位置する端部ローラ72Tとこれに隣接する回転ローラ72Lの間には、テンションスプロケット81がブラケットを介してOP側の右側フレーム73Lの左端部に物品移載方向(左右方向)の位置が調節ボルト82にて調節自在に取り付けられている。また、図示は省略するが、右端部側枠体50Rの端部50Tに位置する端部ローラ72Tとこれに隣接する回転ローラ72Rの間には、取り付け位置が固定された従動スプロケットが回転自在に取り付けられている。
【0067】
そして、左右方向で移載装置5の中央部に配置された駆動スプロケット76及び一対の案内スプロケット77、並びに、左右方向で移載装置の左端部に配置されたテンションスプロケット81及び左右方向で移載装置の右端部に配置された従動スプロケットに環状の駆動チェーン78が巻回されている。環状の駆動チェーン78の上側巻回部分が、基部側ローラ72M、左端部側ローラ72L、右端部側ローラ72Rの夫々のスプロケット71の下部側に係合しており、移載用モータM3により環状の駆動チェーン78が巻回駆動されると複数の回転ローラ72が一斉に回転駆動するように構成されている。
【0068】
なお、図8に左端部側枠体50Lの端部50Tにて代表して示すように、複数の回転ローラ72のうち、左端部側枠体50L及び右端部側枠体50Rの端部50Tに配置される端部ローラ72Tは、コンベヤローラ軸受74にて遊転自在に支持されている。
【0069】
このように、本実施形態では、昇降体6は、トラス枠体として、左端部側枠体50L及び右端部側枠体50Rの一対の端部側枠体50を備えて構成されている。そして、本実施形態では、移載装置5が、トラス枠体としての左側端部枠体50L及びトラス枠体としての右側端部枠体50Rの複数の水平部材としての複数の下部水平部材55Lに載置支持された搬送コンベヤにて構成されている。
【0070】
図2、図4、図6〜図8に示すように、移載装置5は、幅方向(前後方向)に並ぶ一対のガイドローラ79を物品移載方向(左右方向)の複数箇所において備えている。一対のガイドローラ79を支持するガイドローラ支持台80が、前後一対のコンベヤフレーム73を物品移載方向の複数箇所において接続する状態で取り付けられている。物品Wの底面には長手方向の全長に亘って上向きの凹入溝が幅方向2本形成されており、複数対のガイドローラ79が2本の凹入溝の夫々に係入することで、移載装置5にて載置搬送される物品Wの移動が物品移載方向に沿うように案内される。
【0071】
なお、左端部側枠体50Lの端部50Tに配置されたガイドローラ支持台80には、物品Wの底面に検出作用する左端在荷リミットスイッチRS1が設けられており、移載装置5により移載される物品Wの物品移載方向の前端部及び後端部がその設置箇所を通過したことを検出できるようになっている。図示は省略するが、同様に右端部側枠体50Rの端部50Tに配置されたガイドローラ支持台80には右端在荷リミットスイッチRS2(図10参照。)が設けられている。さらに、物品移載方向で移載装置5の中央部分には、物品Wの長手方向の中央箇所の底面に設けられた適正移載位置検出用の被検出部に検出作用する水平向きの検出光を有する透過型光センサの複数からなる中央センサ群SG(図10参照。)が設けられている。
【0072】
図2及び図4に示すように、スタッカクレーン1は、左右方向に並べて設けられた左右一対の物品収納棚60の間に形成される移動経路を往復移動するように配置されている。物品収納棚60の夫々は、長尺状の物品Wをその長手方向を棚前後方向(棚奥行き方向)に沿う姿勢で収納自在な収納部61を、縦横に複数並ぶ状態で備えている。各収納部61は、棚前後方向を搬送方向とする棚側コンベヤ62が設けられておる。そして、複数の棚側コンベヤ62の作動を各別に制御する図外の棚コンベヤ制御装置が、スタッカクレーン1に対して物品搬送作業を指令する地上側コントローラ1と通信することにより、スタッカクレーン1との間で物品Wを授受する際に、授受対象の収納部61における棚側コンベヤ62を受取用又は受渡用の搬送方向にて棚側コンベヤ62を搬送作動させるようになっている。
【0073】
物品収納棚60における隣接する複数の支柱を棚前面側で連結する棚横幅方向に沿うH型鋼からなる水平連結材63が物品収納棚60の前面側に配設されている。水平連結材63の棚横幅方向で各収納部61に対応する箇所には、上向き開口の凹入部が形成された一対の受止部64が棚横幅方向に分散配置されている。図7及び図8に示すように、一対の受止部64は、水平連結材63の上面側において上向きに突出する状態でボルト固定されている。一対の受止部64の設置間隔は、スタッカクレーン1側に設けられた前後一対のロックアーム58の設置間隔と同じ距離となっている。また、ロックアーム58が受止部64にて受け止め支持されている状態では、収納部61が備える棚側コンベヤ62とスタッカクレーン1が備える移載装置5の載置搬送面が一致するようになっている。
【0074】
本自動倉庫設備では、スタッカクレーン1は、図外の荷受台を搬送元の移載対象箇所として一対の物品収納棚60における何れかの収納部61を搬送先の移載対象箇所として物品Wを搬送する入庫用の物品搬送作業や、この逆に、一対の物品収納棚60における何れかの収納部61を搬送元の移載対象箇所として図外の荷受台を搬送先の移載対象箇所として物品Wを搬送する出庫用の物品搬送作業を行う。つまり、移載装置5は、物品移載方向で両側に位置する移載対象箇所の夫々に対して物品Wを移載自在に構成されている。
【0075】
そして、スタッカクレーン1が収納部61との間で物品Wを移載する場合は、昇降体6を、物品移載方向で昇降体6の外方側の端部50Tに設けられた前後一対のロックアーム58が移載対象の収納部61における一対の受止部64により受け止め支持される移載用昇降位置に昇降体6を位置させて、昇降体6の物品移載方向で昇降体6の外方側の端部50Tに設けられた前後一対のロックアーム58が移載対象の収納部61における受止部64により受け止め支持された状態で移載装置5を搬送作動させる。
【0076】
本実施形態では、図2及び図4に示すように、昇降体6の左右両方の端部50Tの夫々に設けられた前後一対のロックアーム58が、移載対象の収納部61及びこれと対抗する位置にある収納部61の夫々が備える一対の受止部64により受け止め支持された状態で移載装置5を搬送作動させる。
【0077】
なお、図外の荷受台も、スタッカクレーン1の移動経路の両側に一対設置され、一対の荷受台の夫々は、収納部61と同様に、ローラコンベヤからなる荷受台搬送装置と一対の受止部64とを備えている。そして、スタッカクレーン1が荷受台の一方を移載対象箇所として、当該荷受台との間で物品Wを授受する場合には、一対の荷受台の夫々における一対の受止部64に対して、左右両端部50Tの夫々の前後一対のロックアーム58が受け止め支持された状態で移載装置5を搬送作動させる。
【0078】
このように、スタッカクレーン1は、物品移載方向で一対の端部側枠体50の夫々における外方側の端部50Tに、移載対象箇所に設けられた受止部64に受け止め支持される被受止体としてのロックアーム58が設けられている。
【0079】
昇降体6の左端部側枠体50Lの端部50Tに設けられた前後一対のロックアームユニットUL、及び、昇降体6の右端部側枠体50Rの端部50Tに設けられた前後一対のロックアームユニットURの構成について説明するが、左側の端部50Tにおける前後一対のロックアームユニットULと、右側の端部50Tにおける前後一対のロックアームユニットURとは、左右の勝手違いはあるものの、同様の構成であるので、以下、左側の端部50Tにおける前後一対のロックアームユニットULを代表して説明する。
【0080】
図1及び図4に示すように、左端部側枠体50Lの端部50Tには、前後一対のロックアームユニットULとして、OP側ロックアームユニットULa及びHP側ロックアームユニットULbが前後一対のロークアーム取付ブラケット57により取り付けられている。OP側のロークアーム取付ブラケット57には、前後一対のロックアームユニットULにおけるロックアーム58の開閉作動を制御する左端側中継装置HLと前後一対のロックアームユニットULに動作用の電力を供給する左端側電力中継装置PLが取り付けられている。なお、左端側中継装置HL及び左端側電力中継装置PLは、基部側枠体30に設けられた昇降制御装置HVと接続されており、制御信号の送受信と電力の供給を受けることができるようになっている。
【0081】
OP側ロックアームユニットULa及びHP側ロックアームユニットULbは同様の構成であるので、OP側ロックアームユニットULaを代表としてその構成を説明する。図7及び図8に示すように、OP側ロックアームユニットULaは、ロークアーム取付ブラケット57にボルト固定された上下一対の自動調心軸受59により縦軸心周りに回転自在に支持されたロックアーム58と、ロークアーム取付ブラケット57から下方左外方に延設されたブラケットに支持されてロックアーム58を回転駆動するロック装置モータM4と、ロックアーム58が閉位置であるか開位置であるかを検出する開閉位置検出手段としての閉位置検出センサSC及び開位置検出センサSOとが設けられている。
【0082】
閉位置検出センサSC及び開位置検出センサSOは、何れも、ロークアーム取付ブラケット57に取り付けられており、ロックアーム58の回転基部に一体回転するように設けられた被検出板に対して検出作用するフォトマイクロセンサにて構成されている。閉位置検出センサSCは、ロックアーム58が、ロックアーム58の長手方向が前後方向に沿って先端部が前後方向で内方側(OP側ロックアームユニットULaの場合はHP側)に突出する姿勢となる閉位置(図8で実線で示す位置。)であることを検出する。開位置検出センサSOは、ロックアーム58が、ロックアーム58の長手方向が左右方向に沿って先端部が収納部側(左側の端部50Tにおける前後一対のロックアームユニットULの場合は左側)に突出する姿勢となる開位置(図8で仮想線で示す位置。)であることを検出する。
【0083】
このように、被受止体としてのロックアーム58は、昇降体6における物品移載方向で移載対象箇所側の端部50Tに縦軸心周りに回転自在に設けられており、物品移載方向で移載対象箇所側に突出して移載対象箇所における受止部64に受け止め支持される突出位置と、受止部64から物品移載方向で離間する退避位置とに位置変更自在となっている。
【0084】
図7に示すように、OP側ロックアームユニットULaは、ロックアーム切換高さ検出センサSS及び着座検出センサSTを備えたセンサユニットSUを備えている。図9を参照しながらセンサユニットSUの各センサについて説明する。
【0085】
ロックアーム切換高さ検出センサSSは、移載対象箇所としての収納部61における受止部64の高さよりも設定量だけ上方に設定されたロックアーム切換高さVSに対応して取り付けられた切換高さ検出用反射板66を検出する反射式の光センサである。切換高さ検出用反射板66は、ロックアーム切換高さVSに対して上下方向の許容範囲を考慮した上下方向の所定範囲に亘る反射作用範囲を有しており、ロックアーム切換高さ検出センサSSは、切換高さ検出用反射板66を検出することで、ロックアーム58がロックアーム切換高さVSに位置しているとして検出信号を出力する。
【0086】
着座検出センサSTは、移載対象箇所としての収納部61における受止部64の高さと同じ高さに設定された受止支持高さVTに対応して取り付けられた着座高さ検出用反射板67を検出する反射式の光センサである。着座高さ検出用反射板67は、受止支持高さVTに対して上下方向の許容範囲を考慮した上下方向の所定範囲に亘る反射作用範囲を有しており、着座検出センサSTは、着座高さ検出用反射板67を検出することで、ロックアーム58が受止支持高さVTに位置してとして検出信号を出力する。つまり、着座検出センサSTは、受止部64に対応して設置された被検出部を検出自在な検出センサとして機能している。
【0087】
切換高さ検出用反射板66及び着座高さ検出用反射板67は、物品収納棚60における水平連結材63に対して取り付け高さを調節自在に取り付けられた反射板取付プレート65に設けられている。反射板取付プレート65には、着座高さ検出用反射板67の上方側部分及び下方側部分を覆う上下一対の調整用プレート68が設けられている。各調整用プレート68は、反射板取付プレート65に形成された前後一対の長穴により上下方向の取付位置が調節自在となっており、上下一対の調整用プレート68の上下位置を調整することで、着座高さ検出用反射板67の反射作用範囲を高さ方向で調節自在となっている。
【0088】
このように、着座高さ検出用反射板67は、ロックアーム58の高さが、昇降体6の端部50Tが受止部64に受け止められた状態であると着座検出センサSTが着座高さ検出用反射板67を検出するように配置されている。そして、ロックアーム58が移載対象箇所における受止部64に受け止め支持される受止支持高さVTとして設定された所定範囲の幅に対応して、着座高さ検出用反射板67の反射作用範囲が高さ方向で調節されている。
【0089】
センサユニットSUは、ロークアーム取付ブラケット57により、左端部側枠体50Lの端部50Tの左側の端部、つまり、左端部側枠体50Lの先端部に位置するように取り付けられている。このように、センサユニットSUを左右方向で移載対象箇所側に極力寄せた位置に配置することにより、左端部側枠体50Lが自重及び物品Wの重量により下方側に撓むように変形していることで、昇降用ロータリエンコーダRE2にて検出される基部側枠体30の昇降位置に対して端部50Tの高さが異なっても、端部50Tに設けられたロックアーム58と移載対象箇所側に設けられた受止部64との高さ方向での相対位置関係を精度良く判別できるようになっている。
【0090】
以上、OP側ロックアームユニットULaの構成について説明したが、HP側ロックアームユニットULbもロックアーム58の回転方向が異なる等の他は同様の構成である。また、昇降体6の左端部側枠体50Lの端部50Tに設けられた前後一対のロックアームユニットULについて説明したが、昇降体6の右端部側枠体50Rの端部50Tに設けられた前後一対のロックアームユニットURも同様に、図4に示すように、OP側ロックアームユニットURa及びHP側ロックアームユニットURbを備えている。
【0091】
スタッカクレーン1は、OP側マストの下部における左側面部に取り付けられた走行制御装置HH(図1及び図10参照。)、昇降体6のOP側のアプライトキャリッジ31に取り付けられた昇降制御装置HV(図5及び図6並びに図10参照。)、昇降体6の左右の端部50Tに取り付けられた左端側中継装置HL(図7、図8及び図10参照。)及び右端側中継装置HR(図10参照。)を備えており、これらの装置に実装されたコンピュータが実行する制御プログラムにてスタッカクレーン1の走行作動及び昇降作動並びに移載作動等が制御される。具体的には、昇降制御装置HVは、昇降用モータM2の作動や、移載装置5の作動を制御しており、制御手段として機能している。
【0092】
以下、地上側コントローラCから、入庫作業や出庫作業といった物品搬送作業についての物品搬送作指令が指令されたときの、走行制御装置HH及び昇降制御装置HV、並びに、左端側中継装置HL及び右端側中継装置HRの制御動作について、図11及び図12のフローチャートを参照しながら説明する。
【0093】
なお、図11及び図12は、搬送元の移載対象箇所への移動についての制御動作及び当該搬送元の移載対象箇所での制御動作(図11)と、搬送先の移載対象箇所への移動についての制御動作及び当該搬送先の移載対象箇所での制御動作(図12)とを各別に示しているが、移載対象箇所への移動についての制御動作は何れも同じであるので、以下の説明では、共通の制御動作については図12についての説明を省略し、図11の説明において、図12の対応する処理を併記することにする。
【0094】
地上側コントローラCから、物品搬送作指令が指令されると、搬送元の移載対象箇所について設定された移載準備位置に物品非保持状態の昇降台6を移動させるために、また、搬送元の移載対象箇所での移載が完了した後は搬送先の移載対象箇所について設定された移載準備位置に物品保持状態の昇降台6を移動させるために、走行制御装置HHが、移載準備位置の前後方向の位置を目標走行位置として、走行用ロータリエンコーダRE1の検出する走行位置情報に基づいて、走行台車3を目標走行位置まで走行作動させるべく、走行用モータM1の作動を制御する移動用走行処理を実行し、昇降制御装置HVが、移載準備位置の上下方向の位置を目標昇降位置として、昇降用ロータリエンコーダRE2の検出情報に基づいて、昇降体6を目標昇降位置まで昇降作動させるべく、昇降用モータM2の作動を制御する移動用昇降処理を実行する(搬送元の移載対象箇所への移動についてはステップ#1〜#3、搬送先の移載対象箇所への移動についてはステップ#16〜#18)。
【0095】
移動用走行処理及び移動用昇降処理により、昇降台6が移載対象箇所について設定された移準備位置に移動される載と、ロックアーム切換高さ検出センサSSが出力する検出信号の有無により全て(4個)のロックアーム切換高さ検出センサSSが切換高さ検出用反射板66を検出している状態となっていることを確認した上で、左端側中継装置HL及び右端側中継装置HRによりロックアーム切換処理が実行されて、4箇所のロックアーム58が、閉位置から開位置に切換操作される(ステップ#4、ステップ#19)。つまり、移載準備位置の上下方向の位置は、ロックアーム切換高さVSに設定されている。なお、移動用走行処理及び移動用昇降処理が完了した時点で、何れかのロックアーム切換高さ検出センサSSの検出信号が存在しない場合、つまり、全て(4個)のロックアーム切換高さ検出センサSSが切換高さ検出用反射板66を検出している状態となっていることが確認できなかった場合は、制御異常として、スタッカクレーン1を非常停止させる。
【0096】
その後、昇降制御装置HVが、昇降用ロータリエンコーダRE2の検出情報に基づいて、昇降体6を移動用昇降処理における移動用昇降速度よりも低速に設定された準備用昇降速度にて下降させるべく、昇降用モータM2の作動を制御して、物品移載方向で昇降体6の外方側の端部50Tのロックアーム58が移載対象箇所における受止部64により受け止め支持される受止支持高さVTに位置する移載用昇降位置に昇降体6を昇降させる準備用昇降処理を実行する(ステップ#5〜#7、ステップ#20〜#22)。
【0097】
このように、移動用昇降処理及び準備用昇降処理により、ロックアーム58が受止支持高さVTに位置して、昇降体6が物品移載方向で昇降体6の外方側の端部50Tが移載対象箇所における受止部64により受け止め支持される移載用昇降位置に位置することから、これらの昇降処理が本発明の昇降処理に相当する。
【0098】
準備用昇降処理では、ロックアーム切換処理により移載準備位置において開位置に切換操作されたロックアーム58を開位置に維持したまま、昇降体6を上記準備用昇降速度にて下降させて、着座検出センサSTがオンした時点で、昇降体6が移載用昇降位置に位置したとして、昇降用モータM2の作動を停止させて昇降体6を停止させる(ステップ#6、ステップ#21)。
【0099】
このように、準備用昇降処理では、昇降用ロータリエンコーダRE2の検出情報に基づいて昇降体6を準備用昇降速度で下降させつつ、着座検出センサSTの検出信号に基づいて、昇降体6を停止させるべく、昇降用モータM2の作動を制御する。これにより、昇降体6の基部側枠体30の昇降位置に対する一対の端部側枠体50の端部50Tの高さが、昇降体6の自重や物品Wの荷重による撓み変形により特定できなくても、昇降体6の端部50Tが受止部64に適正に受け止められた状態となるように昇降体6を位置させることができる。
【0100】
なお、準備用昇降処理の実行が完了して、昇降体6が移載用昇降位置に位置し、ロックアーム58が受止部64に受け止め支持される受止支持高さVTに位置した状態が図9において仮想線で示されている。ちなみに、準備用昇降処理の実行を開始してから設定時間以上経過しても何れかの着座検出センサSTがオンしない場合、すなわち、全ての着座検出センサSTがオンするまでに昇降体6が上記準備用昇降速度にて設定時間以上継続して下降した場合は、制御異常として、スタッカクレーン1を非常停止させる。
【0101】
昇降制御装置HVは、準備用昇降処理が正常に完了した後に、端部50Tが移載対象箇所における受止部64により受け止め支持された状態で移載装置5を搬送作動させる移載処理を実行して物品Wの移載を行う(ステップ#8〜#11、ステップ#23〜#26)。
【0102】
移載処理では、当該移載作動の種別、すなわち、搬送元の移載対象箇所から物品Wを受け取る掬い移載を行うための掬い用移載作動、及び、搬送先の移載対象箇所へ物品Wを受け渡す卸し移載を行うための卸し用移載作動に対応した回転駆動方向で移載用モータM3を作動させて、移載装置5にて物品Wを載置搬送する。なお、移載処理が実行される間、移載対象箇所側に設けられた搬送装置も移載作動の種別に応じた搬送方向にて搬送作動する。
【0103】
昇降制御装置HVは、移載処理の実行中において、物品Wが物品移載方向に搬送されるに伴って変化する昇降体6に作用する荷重の変化による昇降体6の昇降位置の変化を吸収するべく、昇降用ロータリエンコーダRE2の検出情報に基づいて、昇降用モータM2の作動を制御する昇降位置調整処理を実行する。昇降位置調整処理の詳細については後述する。
【0104】
掬い用移載作動においては、昇降制御装置HVは、移載装置5が備える左端在荷リミットスイッチRS1及び右端在荷リミットスイッチRS2、並びに、中央センサ群SGの検出情報に基づいて、物品移載方向で移載装置5の中央位置と物品Wの中央位置とが一致する位置として設定された適正移載位置まで物品Wが載置搬送されたか否かを判別し、物品Wが適正移載位置まで載置搬送されると、移載用モータM3の作動を停止させて物品Wの移載を完了させる(ステップ#10)。
【0105】
卸し用移載作動においては、昇降制御装置HVは、移載装置5が備える左端在荷リミットスイッチRS1及び右端在荷リミットスイッチRS2の検出情報に基づいて、当該卸し用移載作動における物品移載方向で物品Wの後端部が、リミットスイッチRS1・RS2のうち当該卸し用移載作動における物品移載方向で前方側に位置するリミットスイッチの設置位置を通過したことが検出されると、物品Wが適正移載位置まで載置搬送されたとして、移載用モータM3の作動を停止させて物品Wの移載を完了させる(ステップ#25)。
【0106】
移載処理による物品Wの移載が完了すると、昇降制御装置HVが、物品移載方向で昇降体6の外方側の端部50Tを移載対象箇所における受止部64から上方に離間させるために、昇降体6をロックアーム切換高さVSに位置させるべく、昇降用ロータリエンコーダRE2の検出情報に基づいて、昇降用モータM2の作動を制御する移載直後用昇降処理が実行される。移載直後用昇降処理では、ロックアーム58を開位置に維持したまま、昇降体6を移動用昇降処理における移動用昇降速度よりも低速に設定された移載直後用昇降速度にて上昇させるべく、昇降用ロータリエンコーダRE2の検出情報に基づいて、昇降用モータM2の作動を制御する。これにより、昇降体6が移載直後用昇降速度にてロックアーム切換高さVSまで上昇する(ステップ#12〜#14、ステップ#27〜#29)。
【0107】
移載直後用昇降処理が完了すると、ロックアーム切換高さ検出センサSSが出力する検出信号の有無により全て(4個)のロックアーム切換高さ検出センサSSが切換高さ検出用反射板66を検出している状態となっていることを確認した上で、左端側中継装置HL及び右端側中継装置HRによりロックアーム切換処理が実行されて、4箇所のロックアーム58が、開位置から閉位置に切換操作される(ステップ#15、ステップ#30)。なお、移載直後用昇降処理が完了した時点で、何れかのロックアーム切換高さ検出センサSSの検出信号が存在しない場合、つまり、全て(4個)のロックアーム切換高さ検出センサSSが切換高さ検出用反射板66を検出している状態となっていることが確認できなかった場合は、制御異常として、スタッカクレーン1を非常停止させる。
【0108】
搬送元の移載対象箇所から物品Wを受け取る掬い用移載作動が完了した後の移載直後用昇降処理(ステップ#12〜#14)が正常に完了して、その後のロックアーム切換処理(ステップ#15)も正常に完了すると、図12のステップ#16へ移行して、上述の如く、昇降体6が搬送先の移載対象箇所についての移準備位置に移動される。また、搬送先の移載対象箇所へ物品Wを受け渡す卸し用移載作動が完了した後の移載直後用昇降処理(ステップ#27〜#29)が正常に完了して、その後のロックアーム切換処理(ステップ#30)も正常に完了すると、物品搬送作指令に基づく搬送元から搬送先への物品Wの搬送作業が完了し、物品搬送制御が終了する。
【0109】
昇降制御装置HVが実行する昇降位置調整処理について、図13のフローチャートを参照しながら説明する。
【0110】
昇降制御装置HVは、図11のステップ#8〜#11及び図12のステップ#23〜#26の移載処理の実行中において、制御タイミングごとに図13のフローチャートに示す昇降位置調整処理を実行する。すなわち、昇降制御装置HVが、制御周期(例えば、10ミリ秒)ごとの制御タイミングにおいて、図13のフローチャートに示す処理を実行することにより、移載処理の実行中において、物品Wが物品移載方向に搬送されるに伴って昇降体6に作用する荷重が変化して昇降体6の昇降位置が基準昇降位置から上昇限度位置又は下降限度位置まで変化した場合に、移載作動の種別に応じた設定量だけ、変化した方向と反対の方向に昇降させる。これにより、移載処理の実行中における昇降体6の昇降位置の変化を吸収することができるようになっている。
【0111】
昇降位置調整処理では、移載処理の実行を開始したときの昇降体6の昇降位置が最初の基準昇降位置として設定される。そして、制御タイミングごとに、昇降用ロータリエンコーダRE2の検出情報から、昇降体6の昇降位置が基準昇降位置から変化したかを監視している(ステップ#1)。
【0112】
移載装置5が掬い用移載作動を行っている場合は、図14に示すように、物品Wが移載対象箇所からスタッカクレーン1に向かう方向に搬送されるに伴って、昇降体6に作用する荷重が増大して、昇降チェーン12が伸びることにより、図14において仮想線で示すように、昇降体6の昇降位置が下方に変化することになる。
【0113】
移載装置5が卸し用移載作動を行っている場合は、図15に示すように、物品Wがスタッカクレーン1から移載対象箇所に向かう方向に搬送されるに伴って、昇降体6に作用する荷重が減少して、物品Wの荷重により伸びていた昇降チェーン12が縮むことにより、図15において仮想線で示すように、昇降体6の昇降位置が上方に変化することになる。
【0114】
そのため、移載処理により掬い用移載作動を行っている場合は、制御タイミングごとにステップ#1からステップ#2へ移行するルートで処理され、移載処理により卸し用移載作動を行っている場合は、制御タイミングごとにステップ#1からステップ#4へ移行するルートで処理される。
【0115】
掬い用移載作動を行っている間に、昇降体6の昇降位置が基準昇降位置よりも設定距離だけ下方に位置する下降限度位置まで下降すると、該当する制御タイミングではステップ#2からステップ#3へ移行するルートで処理され、当該制御タイミングにおける昇降位置よりも掬い用設定量だけ上方の位置を新たな基準昇降位置として更新し、昇降体6を当該新たな基準昇降位置に位置させるべく、昇降用ロータリエンコーダRE2の検出情報に基づいて、昇降用モータM2を上昇側に回転作動させて、図14において上向きの矢印で示すように、昇降体6を掬い用設定量だけ上昇させる。なお、昇降位置調整処理による昇降体6の上昇までも昇降位置調整処理で吸収してしまわないように、昇降体6が掬い用設定量だけ上昇するまでは、昇降位置調整処理の実行を休止させておく。昇降位置調整処理が再開されると、更新済みの新たな基準昇降位置から設定距離だけ下降したか否かが監視されることになる。
【0116】
掬い用移載作動を行っている間に、昇降体6の昇降位置が基準昇降位置よりも設定距離だけ下方に位置するまでは、昇降体6の昇降位置が下降していても、各制御タイミングではステップ#2からステップ#6へ移行するルートで処理され、昇降体6は上昇されない。
【0117】
卸し用移載作動を行っている間に、昇降体6の昇降位置が基準昇降位置よりも設定距離だけ上方に位置する上昇限度位置まで上昇すると、該当する制御タイミングではステップ#4からステップ#5へ移行するルートで処理され、当該制御タイミングにおける昇降位置よりも卸し用設定量だけ下方の位置を新たな基準昇降位置として更新し、昇降体6を当該新たな基準昇降位置に位置させるべく、昇降用ロータリエンコーダRE2の検出情報に基づいて、昇降用モータM2を下降側に回転作動させて、図14において下向きの矢印で示すように、昇降体6を卸し用設定量だけ下降させる。なお、昇降位置調整処理による昇降体6の下降までも昇降位置調整処理で吸収してしまわないように、昇降体6が卸し用設定量だけ下降するまでは、昇降位置調整処理の実行を休止させておく。昇降位置調整処理が再開されると、更新済みの新たな基準昇降位置から設定距離だけ上昇したか否かが監視されることになる。
【0118】
卸し用移載作動を行っている間に、昇降体6の昇降位置が基準昇降位置よりも設定距離だけ上方に位置するまでは、昇降体6の昇降位置が上昇していても、各制御タイミングではステップ#4からステップ#6へ移行するルートで処理され、昇降体6は下降されない。
【0119】
このように、昇降制御装置HVは、移載対象箇所から移載装置5へ物品Wを移載する掬い移載を行う場合に、移載処理の実行中において、昇降体6が移載用昇降位置から設定高さだけ低い下降限度位置まで下降すると、昇降位置調整処理において昇降体6を掬い用設定量だけ上昇させるべく、昇降用モータM2の作動を制御する。また、昇降制御装置HVは、移載装置5から移載対象箇所へ物品Wを移載する卸し移載を行う場合に、移載処理の実行中において、昇降体6が移載用昇降位置から設定高さだけ高い上昇限度位置まで上昇すると、昇降位置調整処理において昇降体6を卸し用設定量だけ下降させるべく、昇降用モータM2の作動を制御する。
【0120】
掬い用移載作動の開始時は、物品非保持状態であり、卸し用移載作動の開始時は、物品保持状態であるため、物品Wの荷重の有無の違いがある。そのため、掬い用移載作動において物品Wの移載作動を開始するときの昇降体6の昇降位置である掬い用の移載用昇降位置と、卸し用移載作動において物品Wの移載作動を開始するときの昇降体6の昇降位置である卸し用の移載用昇降位置とは、異なる高さとなっている。すなわち、掬い用の移載用昇降位置は、卸し用の移載用昇降位置よりも、物品Wの荷重の有無の違いだけ上方に位置している。
【0121】
掬い用移載作動において物品Wの移載作動が完了するときの昇降体6の昇降位置として好ましい昇降位置は、同じ物品保持状態で昇降体6の端部50Tが移載対象箇所の受止部64に適正に受け止め支持される昇降位置である卸し用の移載用昇降位置である。反対に、卸し用移載作動において物品Wの移載作動が完了するときの昇降体6の昇降位置として好ましい昇降位置は、同じ物品非保持状態で昇降体6の端部50Tが移載対象箇所の受止部64に適正に受け止め支持される昇降位置である掬い用の移載用昇降位置である。
【0122】
そのため、掬い用の移載作動を行う移載処理が完了するときの昇降体6の昇降位置が卸し用の移載用昇降位置に一致するように、掬い用移載作動を行っている間に実行される昇降位置調整処理における掬い用設定量を、基準昇降位置と下降限度位置との差よりも大きく設定している。これにより、昇降位置調整処理にて昇降体6が掬い用設定量だけ上昇すると、昇降体6は、更新前の基準昇降位置よりも上方に位置することになり、移載処理が完了したときの昇降体6の昇降位置が卸し用の移載用昇降位置に極力近づくようにしている。
【0123】
反対に、卸し用の移載作動を行う移載処理が完了するときの昇降体6の昇降位置が掬い用の移載用昇降位置に一致するように、卸し用移載作動を行っている間に実行される昇降位置調整処理における卸し用設定量を、基準昇降位置と上昇限度位置との差よりも大きく設定している。これにより、昇降位置調整処理にて昇降体6が卸し用設定量だけ下降すると、昇降体6は、更新前の基準昇降位置よりも下方に位置することになり、移載処理が完了したときの昇降体6の昇降位置が掬い用の移載用昇降位置に極力近づくようにしている。
【0124】
昇降制御装置HVは、移載処理が実行されている間、つまり、図11のステップ#8〜ステップ#11の期間や、図12のステップ#23〜ステップ#26の期間では、揺動センサSYの検出状態を監視している。そして、揺動センサSYの検出情報に基づいて、一対の端部側枠体50の少なくとも一方が基部側枠体30に対して揺動した場合は、昇降体6の昇降位置が異常であると判別する。すなわち、4つの揺動センサSYは、昇降体6の端部側枠体50が基部側枠体30に対して揺動しない限り全ての揺動センサSYはオンしているが、掬い移載の場合に昇降位置調整処理が正常に機能しないといった不具合や移載処理中における昇降チェーン12の切断といった不具合により、端部側枠体50が基部側枠体30に対して僅かでも揺動すると、揺動センサSYの何れかがオフとなる。そこで、昇降制御装置HVは、揺動センサSYの何れかがオフに切り換わると、昇降体6の端部側枠体50が基部側枠体30に対して揺動する異常事態が発生したとして、スタッカクレーン1の作動を非常停止させる。
【0125】
〔別の実施形態〕
以上、発明者によってなされた発明を発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。以下、本発明の別実施形態について説明する。
【0126】
(1)上記実施形態では、昇降位置検出手段としてインクリメンタル型のロータリエンコーダを例示したが、これに限らず、例えば、昇降位置検出手段としては、アブソリュート型のロータリエンコーダでもよく、また、ロータリエンコーダでなくてもレーザ距離計により構成してもよい
【0127】
(2)上記実施形態では、索状体がチェーンであるものを例示したが、索状体としては、ワイヤでもよい。
【0128】
(3)上記実施形態では、物品移載方向で昇降体の外方側の端部が移載対象箇所における2箇所の受止部により受け止め支持されるものを例示したが、昇降体の外方側の端部が移載対象箇所における1箇所又は3箇所以上の受止部により受け止め支持されるものであってもよい。
【0129】
(4)上記実施形態では、被受止体としてのロックアームが、縦軸心周りに回転自在に構成されたものを例示したが、これに代えて、先端部が下方に向く垂下姿勢となる閉じ位置と先端部が収納部側に向く水平姿勢となる開き位置とに横軸心周りに回転自在に構成してもよく、また、軸心周りに回転自在な構成に限らず、物品移載方向に出退自在に構成してもよい。
【0130】
(5)上記実施形態では、揺動検出手段として、4つの揺動センサSYを設けているが、前後方向については1個にしてもよい。また、フォトマイクロスイッチにより揺動センサSYを構成したが、リミットスイッチや近接スイッチなどのその他のセンサにて構成してもよい。
【0131】
(6)上記実施形態で示した制御構成は、本発明の制御手段の具体的構成の一例であり、例えば、一体的に設けられた制御装置とそれが実行するプログラムにて制御手段を構成してもよい。
【0132】
(7)上記実施形態では、基準昇降位置に対して設定量だけ上方の位置を上昇限度位置とし、基準昇降位置に対してこれと同じ設定量だけ下方の位置を下降限度位置としたが、基準昇降位置に対する上昇限度位置と下降限度位置の設定量を異なる値としてもよい。
【0133】
(8)上記実施形態では、昇降体6が物品移載方向の中央部にて昇降マストの案内支持されたものを例示したが、昇降体6と昇降マストとの配置関係は適宜変更してもよい。
【0134】
(9)上記実施形態では、制御手段が、昇降位置調整処理において、昇降位置検出手段の検出情報に基づいて、移載処理の実行中における昇降体の昇降位置の実際の変化を検出して、それを吸収するべく、昇降位置検出手段の検出情報に基づいて昇降駆動手段の作動を制御するものを例示したが、これに代えて、又は、これに加えて、移載対象の物品の移載装置における物品移載方向の位置を検出する移載位置検出手段を設けて、制御手段が、昇降位置調整処理において、移載位置検出手段及び昇降位置検出手段の検出情報に基づいて、移載装置における物品の物品移載方向の位置に応じて昇降体の昇降位置を調整するべく、昇降駆動手段の作動を制御するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0135】
W 物品
HV 制御手段
M2 昇降用駆動手段
RE2 昇降位置検出手段
ST 検出センサ
SY 揺動検出手段
Z 物品収容空間
4 昇降マスト
5 移載装置(搬送コンベヤ)
6 昇降体
12 索状体
30 基部側枠体
50L、50R 基部側枠体(トラス枠体)
50T 端部
51 上部フレーム
52 下部フレーム
53 斜行部材
54 トラス枠部分
55 複数の水平部材
58 被受止体
61 移載対象箇所
64 受止部
67 被検出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、索状体により吊り下げ支持されかつ昇降マストに案内支持された状態で前記昇降マストに沿って昇降自在な昇降体と、前記昇降体に備えられて前記昇降体と一体昇降自在で、かつ、長尺状の物品をその長手方向が水平方向に沿う姿勢で載置搬送して移載対象箇所との間で物品を移載自在な移載装置と、前記索状体を巻回駆動して前記昇降体及び前記移載装置を昇降駆動する昇降駆動手段と、前記昇降駆動手段及び前記移載装置の作動を制御する制御手段とが設けられた長尺物品用の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記長尺物品用の搬送装置は、移載装置の移載作動と昇降体の昇降作動とにより、上下に高さの異なる移載対象箇所との間で長尺状の物品を搬送するものであり、例えば、物品を収納自在な収納部を縦横に複数並ぶ状態で備えて構成された一対の物品収納棚及び外部との間で物品が搬出入される荷受台が設けられた自動倉庫設備におけるスタッカクレーンにて構成される。スタッカクレーンは、荷受台を搬送元の移載対象箇所として収納部を搬送先の移載対象箇所として搬送元から搬送先に物品を搬送する入庫用の物品搬送作業や収納部を搬送元の移載対象箇所として荷受台を搬送先の移載対象箇所として搬送元から搬送先に物品を搬送する出庫用の物品搬送作業を行う。
【0003】
上記長尺状の搬送装置の従来例として、昇降体の昇降位置を検出する昇降位置検出手段が設けられ、昇降駆動手段及び移載装置の作動を制御する制御手段が、昇降位置検出手段の検出情報に基づいて、物品移載方向で昇降体の外方側の端部が移載対象箇所における受止部により受け止め支持される移載用昇降位置に昇降体を位置させる昇降処理を実行し、昇降処理が完了した後に端部が移載対象箇所における受止部により受け止め支持された状態で移載装置を搬送作動させる移載処理を実行するように構成されているものがある(例えば、特許文案1の図8参照。)。
【0004】
特許文献1には、互いに物品出し入れ方向が対向する状態で配置された一対の物品収納棚を備えた自動倉庫設備において、長尺物品搬送用のスタッカクレーンが、一対の物品収納棚の間に形成された移動経度に沿って走行自在に設けられ、移載対象箇所としての収納部との間で物品を移載する場合に、移載対象箇所としての収納部における受止部とこの収納部と対向する他方の物品収納棚における収納部における受止部とに、物品移載方向で昇降体の外方側の両端部が受け止め支持された状態で移載装置を搬送作動させて物品の移載を行うことが記載されている。
【0005】
上述した従来の長尺状の搬送装置の構成では、移載装置により搬送される物品の荷重や昇降体の端部側の部分の自重により昇降体の端部に作用する荷重を移載対象箇所側で支持できるため、昇降体を索状体と物品移載箇所の双方により安定よく支持することができるとともに、昇降体における移載装置にて載置搬送される物品の高さと移載対象箇所にて支持される物品の高さとを揃えることで、物品の移載を円滑に行うことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−191114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の長尺物品用の搬送装置では、物品移載方向で昇降体の外方側の端部が移載対象箇所における受止部により受け止め支持される移載用昇降位置に昇降体を位置させた状体で移載処理を実行する間、昇降駆動手段は停止状態に維持されている。
【0008】
そのため、移載処理として移載対象個所から昇降体に物品を移載する場合に、物品が物品移載方向に沿って昇降体側に搬送されるに伴って、昇降体に作用する荷重が増大することで昇降体を吊り下げ支持している索状体の伸び代が増大し、索状体の伸び代が増大した分だけ昇降体の昇降位置が下方に変化することになる。このように移載処理を実行している間に昇降体が下降すると、物品移載方向で昇降体の外方側の端部が移載対象箇所における受止部により受け止め支持されたまま昇降体が下降することになり、昇降体が変形ないし破損するおそれがある。
【0009】
また、移載処理として昇降体から移載対象個所に物品を移載する場合に、物品が物品移載方向に沿って移載対象箇所側に搬送されるに伴って、昇降体に作用する荷重が減少することで昇降体を吊り下げ支持している索状体の伸び代が減少し、索状体の伸び代が減少した分だけ昇降体の昇降位置が上方に変化することになる。このように移載処理を実行している間に昇降体が上昇すると、物品移載方向で昇降体の外方側の端部は、物品の荷重で押さえ付けられている状態となり、移載方向で物品の後端部が昇降体の外方側の端部を通過した直後に、それまで物品の荷重で押さえ付けられていた昇降体の端部が急激に上方に跳ね上がることになり、物品の後端部を損傷するおそれや跳ね上がりによる振動により昇降体が破損するおそれがある。
【0010】
本発明は上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、長尺状の物品を移載対象箇所との間で適切に移載できる長尺物品用の搬送装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために、本発明に係る長尺物品用の搬送装置の第1特徴構成は、索状体により吊り下げ支持されかつ昇降マストに案内支持された状態で前記昇降マストに沿って昇降自在な昇降体と、前記昇降体に備えられて前記昇降体と一体昇降自在で、かつ、長尺状の物品をその長手方向が水平方向に沿う姿勢で載置搬送して移載対象箇所との間で物品を移載自在な移載装置と、前記索状体を巻回駆動して前記昇降体及び前記移載装置を昇降駆動する昇降駆動手段と、前記昇降駆動手段及び前記移載装置の作動を制御する制御手段とが設けられた長尺物品用の搬送装置において、
前記昇降体の昇降位置を検出する昇降位置検出手段が設けられ、前記制御手段が、前記昇降位置検出手段の検出情報に基づいて、物品移載方向で前記昇降体の外方側の端部が前記移載対象箇所における受止部により受け止め支持される移載用昇降位置に前記昇降体を位置させる昇降処理を実行し、前記昇降処理が完了した後に前記端部が前記移載対象箇所における受止部により受け止め支持された状態で前記移載装置を搬送作動させる移載処理を実行するように構成され、かつ、前記移載処理の実行中において、物品が物品移載方向に搬送されるに伴って変化する前記昇降体に作用する荷重の変化による前記昇降体の昇降位置の変化を吸収するべく、前記昇降位置検出手段の検出情報に基づいて前記昇降駆動手段の作動を制御する昇降位置調整処理を実行するように構成されている点にある。
【0012】
本特徴構成によれば、物品移載方向で前記昇降体の外方側の端部が移載対象箇所における受止部により受け止め支持された状態で移載装置により物品が搬送されるので、移載装置により搬送される物品の荷重や昇降体の端部側の部分の自重により昇降体の端部に作用する荷重を移載対象箇所側で支持できるため、昇降体を索状体と物品移載箇所の双方により安定よく支持することができる。また、昇降体における移載装置にて載置搬送される物品の高さと移載対象箇所にて支持される物品の高さとを揃えることで、物品の移載を円滑に行うことができる。
そして、移載処理の実行中において、制御手段が昇降位置調整処理を実行することで、移載処理の実行中において昇降駆動手段が作動して、移載装置の搬送作動により物品が物品移載方向に搬送されるに伴って昇降体に作用する荷重が変化することによる昇降体の昇降位置の変化が吸収される。
したがって、移載処理として移載対象個所から昇降体に物品を移載する場合に、物品が物品移載方向に沿って昇降体側に搬送されるに伴って、昇降体に作用する荷重が増大することで昇降体を吊り下げ支持している索状体の伸び代が増大し、索状体の伸び代が増大した分だけ昇降体の昇降位置が下方に変化することになるが、制御手段が昇降位置調整処理を実行することで、移載処理を実行している間の昇降体の昇降位置の下方への変化が吸収される。これにより、物品移載方向で昇降体の外方側の端部が移載対象箇所における受止部により受け止め支持されたまま昇降体が下降して昇降体が変形ないし破損する事態の発生を防止できる。
また、移載処理として昇降体から移載対象個所に物品を移載する場合に、物品が物品移載方向に沿って移載対象箇所側に搬送されるに伴って、昇降体に作用する荷重が減少することで昇降体を吊り下げ支持している索状体の伸び代が減少し、索状体の伸び代が減少した分だけ昇降体の昇降位置が上方に変化することになるが、制御手段が昇降位置調整処理を実行することで、移載処理を実行している間の昇降体の昇降位置の上方への変化が吸収される。これにより、物品移載方向で昇降体の外方側の端部が移載対象箇所における受止部により受け止め支持されたまま昇降体が上昇して、移載方向で物品の後端部が昇降体の外方側の端部を通過した直後に、それまで物品の荷重で押さえ付けられていた昇降体の端部が急激に上方に跳ね上がる事態の発生を防止でき、もって、物品の後端部が損傷することや跳ね上がりによる振動により昇降体が破損することを防止できる。
このように、本特徴構成によると、長尺状の物品を移載対象箇所との間で適切に移載できる長尺物品用の搬送装置を得るに至った。
【0013】
本発明に係る長尺物品用の搬送装置の第2特徴構成は、前記制御手段が、前記移載処理により前記移載対象箇所から前記移載装置へ物品を移載する掬い移載を行う場合に、前記移載処理の実行中において、前記昇降位置調整処理として、前記昇降位置検出手段の検出情報に基づいて前記昇降体が前記移載用昇降位置から設定高さだけ低い下降限度位置まで下降したか判断し、かつ、前記昇降体が前記下降限度位置に達したときに、前記昇降体を掬い用設定量だけ上昇させるべく、前記昇降駆動手段の作動を制御するように構成されている点にある。
【0014】
本特徴構成によれば、移載対象箇所から移載装置へ物品を移載する掬い移載を行う場合に、移載処理の実行中における昇降体の実際の昇降位置の変化に基づいて、昇降体が下降限度位置に達したか判別される。これにより、昇降体か下降する現象を適確に捉え、下降する昇降台の昇降位置の変化を適切に吸収することができる。
しかも、昇降体が下降限度位置に達するまでは、昇降体を上昇させないので、昇降体が物品の荷重の増加による下降と昇降位置調整処理による上昇とが頻繁に繰り返されて昇降体が上下に振動することを極力抑えることができる。
したがって、本特徴構成によれば、掬い移載を行う場合に、昇降体が上下に振動することを極力抑制しながら実際の昇降体の下降量に応じて、昇降体の昇降位置の変化を適切に吸収することができる。
【0015】
本発明に係る長尺物品用の搬送装置の第3特徴構成は、前記昇降体が、前記索状体が連結される基部側枠体と、物品移載方向で前記基部側枠体の両側に延設される一対の端部側枠体とを備えて構成され、前記移載装置が、物品移載方向で両側に位置する前記移載対象箇所の夫々に対して物品を移載自在に構成され、物品移載方向で前記一対の端部側枠体の夫々における外方側の端部に、前記移載対象箇所に設けられた受止部に受け止め支持される被受止体が設けられ、前記一対の端部側枠体の夫々が、前記基部側枠体に対して、物品移載方向と交差する水平軸心周りに揺動自在に枢支連結されている点にある。
【0016】
本特徴構成によれば、物品移載方向で両側に位置する移載対象箇所の夫々に対して物品を移載することができるため、例えば、一対の物品収納棚の間に形成される走行経路に沿って走行自在なスタッカクレーンに本発明を適用することで、物品収納能力の高い自動倉庫設備を構成することができる。
しかも、一対の端部側枠体の夫々が、基部側枠体に対して、物品移載方向と交差する水平軸心周りに揺動自在に枢支連結されているので、例えば、物品移載方向で一対の端部側枠体の夫々における外方側の端部における被受止体が移載対象箇所に設けられた受止部に受け止め支持された状態で、昇降位置調整処理が正常に機能しない等の不具合が発生して、昇降体が大きく下降しても、一対の端部側枠体の夫々が基部側枠体に対して水平軸心周りに揺動することで、昇降体の破損を免れることができる。
【0017】
本発明に係る長尺物品用の搬送装置の第4特徴構成は、前記一対の端部側枠体の少なくとも一方が前記基部側枠体に対して揺動したことを検出する揺動検出手段が設けられ、前記制御手段が、前記移載処理において、前記揺動検出手段の検出情報に基づいて、前記一対の端部側枠体の少なくとも一方が前記基部側枠体に対して揺動した場合は、前記昇降体の前記昇降位置が異常であると判別するように構成されている点にある。
【0018】
本特徴構成によれば、移載処理により移載装置が物品の移載作動を行っている間に、昇降位置調整処理が適切に機能しない等の不具合が発生して、一対の端部側枠体の少なくとも一方が基部側枠体に対して揺動した場合には、その揺動が揺動検出手段にて検出され、それにより制御手段が昇降体の昇降位置が異常であると判別するので、長尺物品用の搬送装置の作動を非常停止させる等の対策を講じることが可能である。これにより、端部側枠体が基部側枠体に対して揺動した場合の被害の拡大を防止できる。
【0019】
本発明に係る長尺物品用の搬送装置の第5特徴構成は、前記制御手段が、前記移載処理により前記移載装置から前記移載対象箇所へ物品を移載する卸し移載を行う場合に、前記移載処理の実行中において、前記昇降位置調整処理として、前記昇降位置検出手段の検出情報に基づいて前記昇降体が前記移載用昇降位置から設定高さだけ高い上昇限度位置まで上昇したか判断し、かつ、前記昇降体が前記上昇限度位置に達したときに、前記昇降体を卸し用設定量だけ下降させるべく、前記昇降駆動手段の作動を制御するように構成されている点にある。
【0020】
本特徴構成によれば、移載装置から移載対象箇所へ物品を移載する卸し移載を行う場合に、移載処理の実行中における昇降体の実際の昇降位置の変化に基づいて、昇降体が上昇限度位置に達したか判別される。これにより、昇降体か上昇する現象を適確に捉え、上昇する昇降台の昇降位置の変化を適切に吸収することができる。
しかも、昇降体が上昇限度位置に達するまでは、昇降体を下降させないので、昇降体が物品の荷重の減少による上昇と昇降位置調整処理による下降とが頻繁に繰り返されて昇降体が上下に振動することを極力抑えることができる。
したがって、本特徴構成によれば、卸し移載を行う場合に、昇降体が上下に振動することを極力抑制しながら実際の昇降体の上昇量に応じて、昇降体の昇降位置の変化を適切に吸収することができる。
【0021】
本発明に係る長尺物品用の搬送装置の第6特徴構成は、前記移載対象箇所において前記受止部に対応して設置された被検出部を検出自在な検出センサが、前記昇降体における前記端部に設けられ、前記昇降体の前記端部が前記受止部に受け止められた状態であると前記検出センサが前記被検出部を検出するように前記被検出部が配置され、前記制御手段が、前記昇降処理において、前記検出センサにて前記被検出部が検出されると、前記昇降体が前記移載用昇降位置に位置しているとして、前記昇降駆動手段の作動を停止させるように構成されている点にある。
【0022】
本特徴構成によれば、昇降位置検出手段の検出情報に基づいて、例えば、物品搬送用の昇降速度よりも低速に設定された着座用の昇降速度で昇降体を下降させている間に、検出センサにて受止部に対応して設置された被検出部を検出した時点で昇降駆動手段の作動を停止させることになる。
被検出部は、昇降体の端部が受止部に受け止められた状態であると検出センサにて検出されるように配置されているため、検出センサにて被検出部が検出されたときには、昇降体は、その端部が受止部に受け止められた状態となる移載用昇降位置に適正に位置していることになる。
索状体に吊り下げ支持されている昇降体は、その端部が受止体にて受け止め支持されていない状態であると、物品の荷重及び自重によりその端部が下方側に撓む状態に変形しており、物品の荷重の有無乃至大小によってその変形の程度が異なるので、昇降位置検出手段の検出情報のみに基づいて、移載用昇降位置を目標昇降位置として昇降体を昇降させると、昇降体の端部が物品移載箇所における受止部に適切に受け止め支持された状態となっていないおそれがある。
そこで、昇降位置検出手段の検出情報に基づいて所定の昇降速度で昇降体を下降させるべく昇降駆動手段の作動を制御しつつ、検出センサにて被検出部が検出された時点で昇降駆動手段の作動を停止させることで、昇降体の端部が受止部に適正に受け止められた状態となる昇降位置で昇降体の下降を停止させることができる。
このように、本特徴構成によると、昇降体の端部が下方側に撓む状態に変形していても移載用昇降位置として適正な昇降位置に昇降体を停止させて、昇降体の端部が受止部に適正に受け止められた状態を現出することができる。
【0023】
本発明に係る長尺物品用の搬送装置の第7特徴構成は、前記昇降体が、物品移載方向に沿う姿勢で上下に間隔を隔てて平行に配置された上部フレームと下部フレームとを鉛直面に沿う姿勢で物品移載方向に並ぶ複数の斜行部材にて互いに連結して構成したトラス枠部分を、物品移載方向と交差する水平方向に間隔を隔てて一対配置して、これら一対のトラス枠部分を物品移載方向に並ぶ複数の水平部材にて連結して、搬送対象の物品を収容自在な物品収容空間が形成されたトラス枠体を備えて構成され、前記移載装置が、前記トラス枠体における前記複数の水平部材に載置支持された搬送コンベヤにて構成されている点にある。
【0024】
本特徴構成によれば、昇降体が、鉛直面に沿う姿勢で物品移載方向に並ぶ複数の斜行部材を有する一対のトラス枠部分を複数の水平部材にて連結して構成されたトラス枠体を備えて構成されているので、昇降体の上下方向の応力に対する強度が向上し、端部が受止体にて受け止め支持されていない状態において昇降体の端部が下方側に撓む状態に変形することを抑制できる。
そして、移載装置としての搬送コンベヤが、トラス枠体における複数の水平部材に載置支持されているので、昇降体の端部が下方側に撓む状態に変形し難いトラス枠体にて搬送コンベヤが載置支持されることになる。したがって、移載処理の実行中に昇降体が昇降した場合には、昇降位置調整処理により昇降位置の変化が吸収されることに加えて、トラス枠体の高い強度により、昇降体の変形が抑制されるので、移載処理の実行中における移載装置の姿勢が安定し、移載装置により物品を円滑に載置搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】スタッカクレーンの左側面図
【図2】スタッカクレーンのOP側正面図
【図3】スタッカクレーンの走行台車の平面図
【図4】スタッカクレーンの平面図
【図5】昇降台における基部側枠体及びその周辺の構成の左側面図
【図6】昇降台における基部側枠体のOP側部分及びその周辺構成の平面図
【図7】移載作動中の昇降体の左側の端部及びその周辺構成のOP側正面図
【図8】昇降体の左側の端部のOP側部分及びその周辺構成の平面図
【図9】ロークアームが受止部にて受止支持されるまでの様子を示す説明図
【図10】制御ブロック図
【図11】物品搬送制御のフローチャート
【図12】物品搬送制御のフローチャート
【図13】昇降位置調整処理のフローチャート
【図14】掬い用移載作動における昇降体の昇降位置の変化を示すスタッカクレーンのOP側正面図
【図15】卸し用移載作動における昇降体の昇降位置の変化を示すスタッカクレーンのOP側正面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に係る長尺物品用の搬送装置の実施形態について、自動倉庫設備におけるスタッカクレーンを例に、図面に基づいて説明する。
【0027】
図1及び図2に示すように、長尺物品用の搬送装置としてのスタッカクレーン1は、床面に敷設されたレール設置プレート2a上に設置された直線状の走行レール2に沿って走行自在な走行台車3と、走行台車3の走行方向で前後両端部に立設された前後一対の昇降マスト4と、走行方向での前後両端部の夫々が一対の昇降マスト4の対応する側のものに案内支持された状態で一対の昇降マスト4の間において昇降マスト4に沿って昇降自在な昇降体6と、一対の昇降マスト4の上端部を連結する上部枠体7とを備えて構成されている。
【0028】
昇降体6は、走行台車3の走行方向視で左右に長尺状の物品Wを長手方向に沿って載置搬送自在なコーラコンベヤにて構成された移載装置5を備えており、移載装置5は、昇降体6に備えられて昇降体6と一体昇降自在で、かつ、長尺状の物品Wをその長手方向が水平方向に沿う姿勢で載置搬送して移載対象箇所との間で物品を移載自在に構成されている。
【0029】
そして、スタッカクレーン1は、物品Wを搬送対象として、走行台車3の走行作動と昇降体6の昇降作動と移載装置5の移載作動により、図外の荷受台や後述する物品収納棚60における収納部61(図14及び図15参照。)を移載対象箇所として、搬送元の移載対象箇所で物品Wを受け取ってから搬送先の移載対象箇所に受け渡す物品搬送作業を行う。
【0030】
走行レール2の図1で紙面左方向の端部には、スタッカクレーン1の走行原点位置としてのホームポジション(HP)が設定されており、走行レール2の図1で紙面右方向の端部には、前進限度位置としてのオポジットポジション(OP)が設定されている。以下の説明では、スタッカクレーン1の前後方向において、スタッカクレーン1がHPからOPに向かって走行するときの前進側をOP側、後進側をHP側とし、スタッカクレーン1をOP側から見た前後方向視での左右方向を基準に左側、右側として説明する。図1は、スタッカクレーン1の左側面図であり、図2は、前後方向でOP側から見た正面図であり、図3は、上下方向で下方側における横断平面図である。
【0031】
上部枠体7の横側部には、天井側に配置されたレール支持部材により走行レール2と平行な姿勢で吊り下げ支持された上部レール8の両横側面に接当する左右一対の上部ガイドローラ9・9を備えたガイドローラユニット10が、左方向にと突出する姿勢で前後方向に分散して一対取り付けられている。上部枠体7の内には前後方向の4箇所に、上部アイドラスプロケット11が設けられている。上部アイドラスプロケット11は、2連のスプロケットを一組として二組のスプロケットを備えている(図4及び図6参照。)。
【0032】
昇降体6は、索状体としての金属製の昇降チェーン12により吊り下げ支持されている。前後方向でOP側の端部に接続された昇降チェーン12と、HP側の端部に接続された昇降チェーン12との夫々は、十分な吊り上げ荷重を支持できるように左右方向に隣接する2本一組のチェーンからなっている(図6参照。)。
【0033】
昇降体6のOP側の端部に接続された一組の昇降チェーン12は、後述する昇降体側リターンアイドラスプロケット37に巻き掛けられており、当該スプロケット37により上向きに案内される一方側が、上部枠体7の下面部に接続固定され、当該スプロケット37により同じく上向きに案内される他方側が、上部枠体7におけるHP側寄りの2箇所に配置された上部アイドラスプロケット11のうち、前後方向で対応するものが備える一組のスプロケットに巻きかけられ、水平方向に沿って、最もOP側に配置された上部アイドラスプロケット11に巻き掛けられる。つまり、HP側寄りの2箇所に配置された上部アイドラスプロケット11は、2組4枚のスプロケットのうち、巻回対象の一組2本の昇降チェーン12と軸心方向の位置が対応する一方の組のスプロケットにのみ一組2本の昇降チェーン12が巻き掛けられている。
【0034】
OP側寄りの2箇所に配置された上部アイドラスプロケット11は、2組4枚のスプロケットの夫々に2組4本の昇降チェーン12が夫々巻き掛けられている。すなわち、HP側寄りの2箇所に配置された上部アイドラスプロケット11の夫々から水平歩行に案内されて上部枠体7における最もOP側寄りの上部アイドラスプロケット11に巻き掛けられた2組の昇降チェーン12は、当該上部アイドラスプロケット11により走行台車3のOP側の端部に設けられた昇降用モータM2にて回転駆動される駆動スプロケット13に向けて下向きに案内され、駆動スプロケット13に巻き掛けられる。
【0035】
駆動スプロケット13に巻き掛けられた2組の昇降チェーン12は、上部枠体7における2番目にOP側寄りの上部アイドラスプロケット11に向けて上向きに案内され、上部アイドラスプロケット11に巻き掛けられている。当該上部アイドラスプロケット11に巻き掛けられた2組の昇降チェーン12は、OP側マストの内部で昇降自在に設けられたカウンタウェイト22を吊り下げ支持するカウンタウェイト側リターンアイドラスプロケット29に向けてOP側マストの内部を通る状態で下向きに案内され、当該リターンアイドラスプロケット29に巻き掛けられた後、当該リターンアイドラスプロケット29によりOP側マストの内部を通る状態で上向きに案内されて上部枠体7におけるチェーン接続部に接続されている。
【0036】
このように、昇降用モータM2は、索状体としての昇降チェーン12を巻回駆動して昇降体6及び移載装置5を昇降駆動する昇降駆動手段として機能している。そして、本実施形態では、昇降体6を吊り下げ支持する一対の昇降チェーンの夫々を2本一組のチェーンにて構成することで、一本のチェーンの負担を軽減するとともに、昇降チェーン12の巻回経路を、上下に移動自在なカウンタウェイト側リターンアイドラスプロケット29及び昇降体側リターンアイドラスプロケット37を経由する巻回経路とすることで、各組の昇降チェーン12に掛かる吊り上げ荷重の軽減を図っている。
【0037】
走行台車3の前後両端部には、走行レール2上を走行する一対の走行車輪14が設けられている。走行台車3のOP側の端部に位置するものが走行用モータM1により回転駆動される駆動輪14aであり、走行台車3のHP側の端部に位置するものが走行にともなって遊転自在な従動輪14bである。
【0038】
図1及び図3に示すように、走行台車3は、前後方向に沿う左右一対の中間フレーム15a・15bを前後複数箇所で連結して構成されたメイン枠体15のOP側の端部に、OP側マスト4aの下端部を支持するOP側マスト支持フレーム16aが接続され、メイン枠体15のHP側の端部に、HP側マスト4bの下端部を支持するHP側マスト支持フレーム16bが接続されている。そして、これらの前後一対のマスト支持フレーム16にて、前後の走行車輪14が車輪支持枠17を介して支持されている。
【0039】
すなわち、駆動輪14aが駆動輪枠体17aに回転自在に支持され、駆動輪枠体17aがOP側マスト支持フレーム16aに連結されている。また、従動輪14bが従動輪枠体17bに回転自在に支持され、従動輪枠体17bがHP側マスト支持フレーム16bに連結されている。そして、前後一対のマスト支持フレーム16の夫々は、マスト取付フランジ18を備えており、昇降マスト4の下端部に形成された連結部がマスト取付フランジ18にボルト固定されている。なお、図示は省略するが、従動輪枠体17bには、従動輪14aの回転量に応じたパルスを出力する走行位置検出手段としての走行用ロータリエンコーダRE1(図10参照。)が取り付けられている。
【0040】
OP側のマスト取付フランジ18には、走行用モータ取付ブラケット27及び昇降用モータ取付ブラケット28がボルト固定されており、走行台車3の右側に走行用モータM1が位置し、走行台車3の左側に昇降用モータM2が位置する状態で、走行用モータM1及び昇降用モータM2がこれらの取り付けブラケットにボルト固定されて取り付けられている。
【0041】
また、図1〜図3に示すように、前後一対のマスト支持フレーム16の夫々には、走行レール2の両横側面に接当する左右一対の下部ガイドローラ20がブラケットを介して取り付けられている。なお、走行台車3の左側の横側部には、床面において走行レール2に並行に設置される図外のアンカーパイプに対して上下に近接する水平方向に沿う受止プレートを備えた倒れ防止ガイド19が前後一対設けられている。
【0042】
HP側の昇降マスト4bには、下端から上端に渡って、作業者が上り下りするメンテナンス用梯子21が取り付けられている。また、図示は省略するが、昇降体6と走行台車3側との間に配線される制御ラインや電力ラインは、OP側の昇降マスト4aの右側において上下方向に沿って配置された昇降用ケーブルガイドに収容され、この昇降用ケーブルガイドの一端部がOP側の昇降マスト4aに接続され、他端部が昇降体6に接続されている。そして、昇降体6の昇降に伴ってこの昇降用ケーブルガイドが変形することで、制御ラインや電力ラインの移動が案内される。
【0043】
なお、図示は省略するが、地上側とスタッカクレーン1の走行台車3との間に配線される制御ラインや電力ラインは、走行レール2の横脇に配置された走行用ケーブルガイドに収容され、この走行用ケーブルガイドの一端部が床面側に接続され、他端部が走行台車3に接続されている。そして、スタッカクレーン1の走行に伴ってこの走行用ケーブルガイドが変形することで、制御ラインや電力ラインの移動が案内される。これにより、地上側に設置された後述する地上側コントローラCとスタッカクレーン1との間で制御情報の通信が可能であり、また、地上側の給電装置からの電力の送電が可能となっている。
【0044】
図2及び図4〜図6に示すように、昇降体6は、昇降チェーン12が連結される基部側枠体30と、物品移載方向である左右方向で基部側枠体30の両側に延設される一対の端部側枠体50である左端部側枠体50L及び右端部側枠体50Rとを備えて構成されている。
【0045】
基部側枠体30は、縦方向の鋼板や横方向の鋼板及び円筒状の斜行部材を溶接により接合して構成された前後一対のアップライト部31・31と、一対のアップライト部31・31における左右方向の端部及び中間部において一対のアップライト部31・31を互いに連結する水平連結部材32とで枠組みして構成されている。一対のアップライト部31・31は前後の勝手違いはあるものの、その構成は同様であるので、OP側のアップライト部31を代表としてアップライト部31の構成を説明する。
【0046】
図1、図5及び図6に示すように、アップライト部31は、前後方向で昇降体6の外方側端部において昇降マスト4の左右両側面に接当する複数の昇降ガイドローラ33を備えている。一対の昇降ガイドローラ33を上下方向に並ぶ状態で横軸心周りに回転自在に備えたボギー体34が、アップライト部31のOP側における上下左右の4箇所に取り付けられたボギー体取付ブラケット35にて横軸芯周りに揺動自在に枢支連結されている。すなわち、OP側マスト4aの左右両側面に上下方向に沿って設けられたローラ当接プレートに対して上下2箇所においてボギー体34における一対の昇降ガイドローラ33が当接する状態で配置されている。また、アップライト部31は、OP側マスト4aのHP側の側面に当接して昇降体6の前後方向の移動を規制する上下一対のガイドローラ36を備えている。
【0047】
このように、前後一対のアップライト部31の夫々に対して左右一対のボギー体34を上下に離間する状態で合計二対設けることにより、昇降体6は、基部側枠体30が前後方向視の姿勢が維持された状態で、昇降マスト4に沿って昇降できるようになっている。また、前後一対のアップライト部31の夫々に対して上下一対のガイドローラ36を設けることにより、昇降体6は、基部側枠体30が前後一対の昇降マスト4の間において前後方向の位置が規制された状態で、昇降マスト4に沿って昇降できるようになっている。
【0048】
図5及び図6に示すように、OP側マストの左側面には、前後ローラ当接プレートと前後に並ぶ位置に、昇降位置検出用固定チェーン70が上下方向に沿って配設されている。基部側枠体30のOP側のアップライト部31にインクリメンタル型の昇降用ロータリエンコーダRE1が、回転軸芯が横向きとなる姿勢で取り付けられており、この昇降用ロータリエンコーダRE2の回転軸芯に一体回転自在に取り付けられたスプロケットが、昇降位置検出用固定チェーン70に歯合している。
【0049】
これにより、昇降体6が昇降すると、昇降用ロータリエンコーダRE2が昇降体6の昇降量に応じたパルスを出力するようになっている。そして、後述する昇降制御装置HVが、昇降用ロータリエンコーダRE2の出力パルス数のカウント値を管理し、昇降体6の昇降範囲の下端に設定された昇降原点位置でパルス数のカウント値をリセットし、その後の昇降用ロータリエンコーダRE2の出力パルス数のカウント値を計数することで昇降体6の昇降位置を検出できるようになっている。
【0050】
したがって、昇降用ロータリエンコーダRE2は、昇降体6の昇降位置を検出する昇降位置検出手段として機能している。
【0051】
前後一対のアップライト部31の夫々は、前述の通り、昇降体側リターンアイドラスプロケット37を左右方向の中間箇所において備えている。昇降体側リターンアイドラスプロケット37は、図外の圧縮バネ等により下方側に付勢された状態で上下昇降自在なアイドラ支持枠体38に回転自在に軸支されている。アイドラ支持枠体38の下端部には、落下防止装置39が備えるリンク機構40が連結されており、万が一昇降チェーン12が切断された場合に、下向きに付勢されたアイドラ支持枠体38ごと昇降体側リターンアイドラスプロケット37が下降することで、リンク機構40が揺動操作されて、落下防止装置39が作動するようになっている。
【0052】
すなわち、昇降チェーン12が切断されると、それまで昇降体6の荷重により圧縮状態であったバネが自然状態に向けて伸張復帰することで、アイドラ支持枠体38がアップライト部31に対して下向きに移動操作される。このアイドラ支持枠体38の下降移動によりリンク機構40と連動連結された一対の挟み込みブロック41が横軸心周りに揺動操作されることで、昇降マスト4の昇降体6側の側面(例えば、OP側マスト4aであれば、HP側の側面)に昇降体6側に突出する状態で上下方向に沿って設けられた突状プレート42を、一対の挟み込みブロック41が挟持することになり、しかも、一対の挟み込みブロック41の揺動軸心は、昇降体6が下降する側ほど突状プレート42を挟持する側に一対の挟み込みブロック41が揺動操作されるように配置されているため、昇降体6の下降移動を制動して落下を防止することができるようになっている。
【0053】
ちなみに、図示は省略するが、前後一対のアップライト部31の夫々には、昇降チェーン12が切断されるとオフする常時オン状態のリミットスイッチが設けられており、昇降チェーン12の切断が発生した場合にスタッカクレーン1の走行作動、昇降作動、移載作動を非常停止させるようになっている。
【0054】
図2に示すように、一対の端部側枠体50の夫々は、基部側枠体30に対して、物品移載方向である左右方向と交差する水平軸心周りに揺動自在に枢支連結されている。説明を加えると、基部側枠体30と左右一対の端部側枠体50とが互いの上部箇所において枢支連結軸枢43にて支連結されており、端部側枠体50は、基部側枠体30の下部箇所に対して当接することで揺動姿勢が位置決めされた状態で物品移載方向である左右方向に沿って延設されている。
【0055】
図2、図4及び図5に示すように、端部側枠体50の夫々は、左右方向(物品移載方向)に沿う姿勢で上下に間隔を隔てて平行に配置された上部フレーム51と下部フレーム52とを、鉛直面に沿う姿勢で左右方向に並ぶ複数の斜行部材53にて互いに連結して構成したトラス枠部分54を、物品移載方向と交差する水平方向である前後方向に間隔を隔てて一対配置して、これら一対のトラス枠部分54を左右方向に並ぶ複数の水平部材55にて複数箇所を連結して構成されおり、搬送対象の物品Wを収容自在な物品収容空間Zが形成されたトラス枠体となっている。
【0056】
各端部側枠体50における一対のトラス枠部分54を接続する複数の水平部材55として、上部フレーム51同士を接続する上部水平部材55Uと、下部フレーム52同士を接続する下部水平部材55Lとが設けられている。隣接する上部水平部材55U同士は、前後方向で互いに反対側の端部を水平ブレース56にて接続されており、各水平ブレースに設けられた56ターンバックル56aを締め上げることで、端部側枠体50のねじれに対する強度を向上させている。
【0057】
図5及び図6に示すように、基部側枠体30におけるアップライト部30の左右方向の両端部には、基部側連結部44と基部側当接プレート46とが溶接により取り付けられている。各端部側枠体50の基部側枠体30側の端部、つまり、左端部側枠体50Lの右側端部及び右端部側枠体50Rの左側端部には、端部側連結部45と端部側当接プレート47とが溶接により取り付けられている。そして、基部側連結部44に形成された前後一対の連結プレートの間に、端部側連結部45に形成された突状プレートが挟み込まれた状態で枢支連結軸43にてナックルジョイント形式で枢支連結されている。
【0058】
このように、一対の端部側枠体50の夫々は、基部側枠体30に対して、物品移載方向である左右方向と交差する水平軸心周りに揺動自在に枢支連結されており、基部側当接プレート46と端部側当接プレート47とが当接することで、左端部側枠体50L及び右端部側枠体50Rの下方側の揺動が規制されており、基部側枠体30に対する姿勢が保持されている。
【0059】
そして、後述するように、昇降体6を搬送元の移載対象箇所としての収納部61に位置させて昇降体6の左右方向の端部50Tの双方を左右の収納部61に受け止め支持させた状態で物品Wを受け取る場合において、物品Wの荷重による昇降チェーン12の伸びのために基部側枠体30が下降することで昇降体6が極度に変形したとしても、一対の端部側枠体50の夫々が基部側枠体30に対して水平軸心周りに揺動することで、昇降体6の破損を免れることができるようになっている。
【0060】
一対の端部側枠体50の夫々が基部側枠体30に対して水平軸心周りに揺動した場合に、その揺動を検出する揺動検出センサSYが設けられている。図5に示すように、揺動センサSYは、一対のアップライト部31の夫々の左右両端部に取り付けられた揺動センサ取付ブラケッ48により支持されており、前後方向に沿う光軸を持つフォトマイクロセンサにより構成されている。各端部側枠体50の基部側枠体30側の端部、つまり、左端部側枠体50Lの右側端部及び右端部側枠体50Rの左側端部には、下端部の前後2箇所において、対応する箇所の揺動検出センサSYにてその先端部が検出される、折り曲げ加工された板材からなる揺動被検出体69が取り付けられている。そして、一対の端部側枠体50の何れか一方が枢支連結軸43周りに揺動した場合に揺動被検出体69の先端部が揺動検出センサSYの前後方向に沿う光軸から外れることで、検出状態の揺動検出センサSYが被検出状態に切り換わるため、一対の端部側枠体50の少なくとも一方が基部側枠体30に対して揺動したことを検出することができる。
【0061】
このように、スタッカクレーン1は、一対の端部側枠体50の少なくとも一方が基部側枠体30に対して揺動したことを検出する揺動検出手段として、4つの揺動センサSYが設けられている。
【0062】
図1に示すように、下部水平部材55Lの上面側には、移載装置5が載置支持されている。図4及び図6に示すように、移載装置5は、一端部にスプロケット71を備えた複数の回転ローラ72を、回転軸心が前後方向に沿う姿勢で左右方向(物品移載方向)に複数並ぶ状態で備えている。下部55Lの上面において前後に配置された前後一対のコンベヤフレーム73の夫々における左右複数箇所に、コンベヤローラ軸受74が取り付けられており、複数の回転ローラ72の両端部が、コンベヤローラ軸受74にて回転自在に軸支されている。
【0063】
図4〜図6に示すように、移載装置5は、基部側枠体30に配置される部分と、左端部側枠体50Lに配置される部分と、右端部側枠体50Rに配置される部分との3つの部分で構成され、夫々の部分に回転ローラ72が配置されている。
【0064】
複数の回転ローラ72のうち、基部側枠体30に配置される基部側ローラ72Mは、基部側枠体30の左右一対の水平連結部材32に亘って設けられた前後一対の中央フレーム73Mに支持されている。左端部側枠体50Lに配置される左端部側ローラ72Lは、左端部側枠体50Lの前後一対の下部フレーム52を連結している複数の下部水平部材55Lの上部において前後方向で内方側に設置された前後一対の左側フレーム73Mに支持されている。同様に、右端部側枠体50Rに配置される右端部側ローラ72Rは、右端部側枠体50Rの前後一対の下部フレーム52を連結している複数の下部水平部材55Lの上部において前後方向で内方側に設置された前後一対の右側フレーム73Rに支持されている。
【0065】
図5及び図6に示すように、前後一対の中央フレーム73Mの下部には、移載用モータ支持枠74にて支持された移載用モータM3が取り付けられている。移載用モータM3の回転軸芯には、駆動スプロケット76が一体回転自在に取り付けられている。上下方向で駆動スプロケット76と回転ローラ72のスプロケット71との中間に位置する高さで、かつ、左右方向で駆動スプロケット76からややずれた位置において、一対の案内スプロケット77が、前後一対の中央フレーム73MのうちOP側のものに遊転自在に取り付けられている。
【0066】
図8に示すように、左端部側枠体50Lの端部50Tに位置する端部ローラ72Tとこれに隣接する回転ローラ72Lの間には、テンションスプロケット81がブラケットを介してOP側の右側フレーム73Lの左端部に物品移載方向(左右方向)の位置が調節ボルト82にて調節自在に取り付けられている。また、図示は省略するが、右端部側枠体50Rの端部50Tに位置する端部ローラ72Tとこれに隣接する回転ローラ72Rの間には、取り付け位置が固定された従動スプロケットが回転自在に取り付けられている。
【0067】
そして、左右方向で移載装置5の中央部に配置された駆動スプロケット76及び一対の案内スプロケット77、並びに、左右方向で移載装置の左端部に配置されたテンションスプロケット81及び左右方向で移載装置の右端部に配置された従動スプロケットに環状の駆動チェーン78が巻回されている。環状の駆動チェーン78の上側巻回部分が、基部側ローラ72M、左端部側ローラ72L、右端部側ローラ72Rの夫々のスプロケット71の下部側に係合しており、移載用モータM3により環状の駆動チェーン78が巻回駆動されると複数の回転ローラ72が一斉に回転駆動するように構成されている。
【0068】
なお、図8に左端部側枠体50Lの端部50Tにて代表して示すように、複数の回転ローラ72のうち、左端部側枠体50L及び右端部側枠体50Rの端部50Tに配置される端部ローラ72Tは、コンベヤローラ軸受74にて遊転自在に支持されている。
【0069】
このように、本実施形態では、昇降体6は、トラス枠体として、左端部側枠体50L及び右端部側枠体50Rの一対の端部側枠体50を備えて構成されている。そして、本実施形態では、移載装置5が、トラス枠体としての左側端部枠体50L及びトラス枠体としての右側端部枠体50Rの複数の水平部材としての複数の下部水平部材55Lに載置支持された搬送コンベヤにて構成されている。
【0070】
図2、図4、図6〜図8に示すように、移載装置5は、幅方向(前後方向)に並ぶ一対のガイドローラ79を物品移載方向(左右方向)の複数箇所において備えている。一対のガイドローラ79を支持するガイドローラ支持台80が、前後一対のコンベヤフレーム73を物品移載方向の複数箇所において接続する状態で取り付けられている。物品Wの底面には長手方向の全長に亘って上向きの凹入溝が幅方向2本形成されており、複数対のガイドローラ79が2本の凹入溝の夫々に係入することで、移載装置5にて載置搬送される物品Wの移動が物品移載方向に沿うように案内される。
【0071】
なお、左端部側枠体50Lの端部50Tに配置されたガイドローラ支持台80には、物品Wの底面に検出作用する左端在荷リミットスイッチRS1が設けられており、移載装置5により移載される物品Wの物品移載方向の前端部及び後端部がその設置箇所を通過したことを検出できるようになっている。図示は省略するが、同様に右端部側枠体50Rの端部50Tに配置されたガイドローラ支持台80には右端在荷リミットスイッチRS2(図10参照。)が設けられている。さらに、物品移載方向で移載装置5の中央部分には、物品Wの長手方向の中央箇所の底面に設けられた適正移載位置検出用の被検出部に検出作用する水平向きの検出光を有する透過型光センサの複数からなる中央センサ群SG(図10参照。)が設けられている。
【0072】
図2及び図4に示すように、スタッカクレーン1は、左右方向に並べて設けられた左右一対の物品収納棚60の間に形成される移動経路を往復移動するように配置されている。物品収納棚60の夫々は、長尺状の物品Wをその長手方向を棚前後方向(棚奥行き方向)に沿う姿勢で収納自在な収納部61を、縦横に複数並ぶ状態で備えている。各収納部61は、棚前後方向を搬送方向とする棚側コンベヤ62が設けられておる。そして、複数の棚側コンベヤ62の作動を各別に制御する図外の棚コンベヤ制御装置が、スタッカクレーン1に対して物品搬送作業を指令する地上側コントローラ1と通信することにより、スタッカクレーン1との間で物品Wを授受する際に、授受対象の収納部61における棚側コンベヤ62を受取用又は受渡用の搬送方向にて棚側コンベヤ62を搬送作動させるようになっている。
【0073】
物品収納棚60における隣接する複数の支柱を棚前面側で連結する棚横幅方向に沿うH型鋼からなる水平連結材63が物品収納棚60の前面側に配設されている。水平連結材63の棚横幅方向で各収納部61に対応する箇所には、上向き開口の凹入部が形成された一対の受止部64が棚横幅方向に分散配置されている。図7及び図8に示すように、一対の受止部64は、水平連結材63の上面側において上向きに突出する状態でボルト固定されている。一対の受止部64の設置間隔は、スタッカクレーン1側に設けられた前後一対のロックアーム58の設置間隔と同じ距離となっている。また、ロックアーム58が受止部64にて受け止め支持されている状態では、収納部61が備える棚側コンベヤ62とスタッカクレーン1が備える移載装置5の載置搬送面が一致するようになっている。
【0074】
本自動倉庫設備では、スタッカクレーン1は、図外の荷受台を搬送元の移載対象箇所として一対の物品収納棚60における何れかの収納部61を搬送先の移載対象箇所として物品Wを搬送する入庫用の物品搬送作業や、この逆に、一対の物品収納棚60における何れかの収納部61を搬送元の移載対象箇所として図外の荷受台を搬送先の移載対象箇所として物品Wを搬送する出庫用の物品搬送作業を行う。つまり、移載装置5は、物品移載方向で両側に位置する移載対象箇所の夫々に対して物品Wを移載自在に構成されている。
【0075】
そして、スタッカクレーン1が収納部61との間で物品Wを移載する場合は、昇降体6を、物品移載方向で昇降体6の外方側の端部50Tに設けられた前後一対のロックアーム58が移載対象の収納部61における一対の受止部64により受け止め支持される移載用昇降位置に昇降体6を位置させて、昇降体6の物品移載方向で昇降体6の外方側の端部50Tに設けられた前後一対のロックアーム58が移載対象の収納部61における受止部64により受け止め支持された状態で移載装置5を搬送作動させる。
【0076】
本実施形態では、図2及び図4に示すように、昇降体6の左右両方の端部50Tの夫々に設けられた前後一対のロックアーム58が、移載対象の収納部61及びこれと対抗する位置にある収納部61の夫々が備える一対の受止部64により受け止め支持された状態で移載装置5を搬送作動させる。
【0077】
なお、図外の荷受台も、スタッカクレーン1の移動経路の両側に一対設置され、一対の荷受台の夫々は、収納部61と同様に、ローラコンベヤからなる荷受台搬送装置と一対の受止部64とを備えている。そして、スタッカクレーン1が荷受台の一方を移載対象箇所として、当該荷受台との間で物品Wを授受する場合には、一対の荷受台の夫々における一対の受止部64に対して、左右両端部50Tの夫々の前後一対のロックアーム58が受け止め支持された状態で移載装置5を搬送作動させる。
【0078】
このように、スタッカクレーン1は、物品移載方向で一対の端部側枠体50の夫々における外方側の端部50Tに、移載対象箇所に設けられた受止部64に受け止め支持される被受止体としてのロックアーム58が設けられている。
【0079】
昇降体6の左端部側枠体50Lの端部50Tに設けられた前後一対のロックアームユニットUL、及び、昇降体6の右端部側枠体50Rの端部50Tに設けられた前後一対のロックアームユニットURの構成について説明するが、左側の端部50Tにおける前後一対のロックアームユニットULと、右側の端部50Tにおける前後一対のロックアームユニットURとは、左右の勝手違いはあるものの、同様の構成であるので、以下、左側の端部50Tにおける前後一対のロックアームユニットULを代表して説明する。
【0080】
図1及び図4に示すように、左端部側枠体50Lの端部50Tには、前後一対のロックアームユニットULとして、OP側ロックアームユニットULa及びHP側ロックアームユニットULbが前後一対のロークアーム取付ブラケット57により取り付けられている。OP側のロークアーム取付ブラケット57には、前後一対のロックアームユニットULにおけるロックアーム58の開閉作動を制御する左端側中継装置HLと前後一対のロックアームユニットULに動作用の電力を供給する左端側電力中継装置PLが取り付けられている。なお、左端側中継装置HL及び左端側電力中継装置PLは、基部側枠体30に設けられた昇降制御装置HVと接続されており、制御信号の送受信と電力の供給を受けることができるようになっている。
【0081】
OP側ロックアームユニットULa及びHP側ロックアームユニットULbは同様の構成であるので、OP側ロックアームユニットULaを代表としてその構成を説明する。図7及び図8に示すように、OP側ロックアームユニットULaは、ロークアーム取付ブラケット57にボルト固定された上下一対の自動調心軸受59により縦軸心周りに回転自在に支持されたロックアーム58と、ロークアーム取付ブラケット57から下方左外方に延設されたブラケットに支持されてロックアーム58を回転駆動するロック装置モータM4と、ロックアーム58が閉位置であるか開位置であるかを検出する開閉位置検出手段としての閉位置検出センサSC及び開位置検出センサSOとが設けられている。
【0082】
閉位置検出センサSC及び開位置検出センサSOは、何れも、ロークアーム取付ブラケット57に取り付けられており、ロックアーム58の回転基部に一体回転するように設けられた被検出板に対して検出作用するフォトマイクロセンサにて構成されている。閉位置検出センサSCは、ロックアーム58が、ロックアーム58の長手方向が前後方向に沿って先端部が前後方向で内方側(OP側ロックアームユニットULaの場合はHP側)に突出する姿勢となる閉位置(図8で実線で示す位置。)であることを検出する。開位置検出センサSOは、ロックアーム58が、ロックアーム58の長手方向が左右方向に沿って先端部が収納部側(左側の端部50Tにおける前後一対のロックアームユニットULの場合は左側)に突出する姿勢となる開位置(図8で仮想線で示す位置。)であることを検出する。
【0083】
このように、被受止体としてのロックアーム58は、昇降体6における物品移載方向で移載対象箇所側の端部50Tに縦軸心周りに回転自在に設けられており、物品移載方向で移載対象箇所側に突出して移載対象箇所における受止部64に受け止め支持される突出位置と、受止部64から物品移載方向で離間する退避位置とに位置変更自在となっている。
【0084】
図7に示すように、OP側ロックアームユニットULaは、ロックアーム切換高さ検出センサSS及び着座検出センサSTを備えたセンサユニットSUを備えている。図9を参照しながらセンサユニットSUの各センサについて説明する。
【0085】
ロックアーム切換高さ検出センサSSは、移載対象箇所としての収納部61における受止部64の高さよりも設定量だけ上方に設定されたロックアーム切換高さVSに対応して取り付けられた切換高さ検出用反射板66を検出する反射式の光センサである。切換高さ検出用反射板66は、ロックアーム切換高さVSに対して上下方向の許容範囲を考慮した上下方向の所定範囲に亘る反射作用範囲を有しており、ロックアーム切換高さ検出センサSSは、切換高さ検出用反射板66を検出することで、ロックアーム58がロックアーム切換高さVSに位置しているとして検出信号を出力する。
【0086】
着座検出センサSTは、移載対象箇所としての収納部61における受止部64の高さと同じ高さに設定された受止支持高さVTに対応して取り付けられた着座高さ検出用反射板67を検出する反射式の光センサである。着座高さ検出用反射板67は、受止支持高さVTに対して上下方向の許容範囲を考慮した上下方向の所定範囲に亘る反射作用範囲を有しており、着座検出センサSTは、着座高さ検出用反射板67を検出することで、ロックアーム58が受止支持高さVTに位置してとして検出信号を出力する。つまり、着座検出センサSTは、受止部64に対応して設置された被検出部を検出自在な検出センサとして機能している。
【0087】
切換高さ検出用反射板66及び着座高さ検出用反射板67は、物品収納棚60における水平連結材63に対して取り付け高さを調節自在に取り付けられた反射板取付プレート65に設けられている。反射板取付プレート65には、着座高さ検出用反射板67の上方側部分及び下方側部分を覆う上下一対の調整用プレート68が設けられている。各調整用プレート68は、反射板取付プレート65に形成された前後一対の長穴により上下方向の取付位置が調節自在となっており、上下一対の調整用プレート68の上下位置を調整することで、着座高さ検出用反射板67の反射作用範囲を高さ方向で調節自在となっている。
【0088】
このように、着座高さ検出用反射板67は、ロックアーム58の高さが、昇降体6の端部50Tが受止部64に受け止められた状態であると着座検出センサSTが着座高さ検出用反射板67を検出するように配置されている。そして、ロックアーム58が移載対象箇所における受止部64に受け止め支持される受止支持高さVTとして設定された所定範囲の幅に対応して、着座高さ検出用反射板67の反射作用範囲が高さ方向で調節されている。
【0089】
センサユニットSUは、ロークアーム取付ブラケット57により、左端部側枠体50Lの端部50Tの左側の端部、つまり、左端部側枠体50Lの先端部に位置するように取り付けられている。このように、センサユニットSUを左右方向で移載対象箇所側に極力寄せた位置に配置することにより、左端部側枠体50Lが自重及び物品Wの重量により下方側に撓むように変形していることで、昇降用ロータリエンコーダRE2にて検出される基部側枠体30の昇降位置に対して端部50Tの高さが異なっても、端部50Tに設けられたロックアーム58と移載対象箇所側に設けられた受止部64との高さ方向での相対位置関係を精度良く判別できるようになっている。
【0090】
以上、OP側ロックアームユニットULaの構成について説明したが、HP側ロックアームユニットULbもロックアーム58の回転方向が異なる等の他は同様の構成である。また、昇降体6の左端部側枠体50Lの端部50Tに設けられた前後一対のロックアームユニットULについて説明したが、昇降体6の右端部側枠体50Rの端部50Tに設けられた前後一対のロックアームユニットURも同様に、図4に示すように、OP側ロックアームユニットURa及びHP側ロックアームユニットURbを備えている。
【0091】
スタッカクレーン1は、OP側マストの下部における左側面部に取り付けられた走行制御装置HH(図1及び図10参照。)、昇降体6のOP側のアプライトキャリッジ31に取り付けられた昇降制御装置HV(図5及び図6並びに図10参照。)、昇降体6の左右の端部50Tに取り付けられた左端側中継装置HL(図7、図8及び図10参照。)及び右端側中継装置HR(図10参照。)を備えており、これらの装置に実装されたコンピュータが実行する制御プログラムにてスタッカクレーン1の走行作動及び昇降作動並びに移載作動等が制御される。具体的には、昇降制御装置HVは、昇降用モータM2の作動や、移載装置5の作動を制御しており、制御手段として機能している。
【0092】
以下、地上側コントローラCから、入庫作業や出庫作業といった物品搬送作業についての物品搬送作指令が指令されたときの、走行制御装置HH及び昇降制御装置HV、並びに、左端側中継装置HL及び右端側中継装置HRの制御動作について、図11及び図12のフローチャートを参照しながら説明する。
【0093】
なお、図11及び図12は、搬送元の移載対象箇所への移動についての制御動作及び当該搬送元の移載対象箇所での制御動作(図11)と、搬送先の移載対象箇所への移動についての制御動作及び当該搬送先の移載対象箇所での制御動作(図12)とを各別に示しているが、移載対象箇所への移動についての制御動作は何れも同じであるので、以下の説明では、共通の制御動作については図12についての説明を省略し、図11の説明において、図12の対応する処理を併記することにする。
【0094】
地上側コントローラCから、物品搬送作指令が指令されると、搬送元の移載対象箇所について設定された移載準備位置に物品非保持状態の昇降台6を移動させるために、また、搬送元の移載対象箇所での移載が完了した後は搬送先の移載対象箇所について設定された移載準備位置に物品保持状態の昇降台6を移動させるために、走行制御装置HHが、移載準備位置の前後方向の位置を目標走行位置として、走行用ロータリエンコーダRE1の検出する走行位置情報に基づいて、走行台車3を目標走行位置まで走行作動させるべく、走行用モータM1の作動を制御する移動用走行処理を実行し、昇降制御装置HVが、移載準備位置の上下方向の位置を目標昇降位置として、昇降用ロータリエンコーダRE2の検出情報に基づいて、昇降体6を目標昇降位置まで昇降作動させるべく、昇降用モータM2の作動を制御する移動用昇降処理を実行する(搬送元の移載対象箇所への移動についてはステップ#1〜#3、搬送先の移載対象箇所への移動についてはステップ#16〜#18)。
【0095】
移動用走行処理及び移動用昇降処理により、昇降台6が移載対象箇所について設定された移準備位置に移動される載と、ロックアーム切換高さ検出センサSSが出力する検出信号の有無により全て(4個)のロックアーム切換高さ検出センサSSが切換高さ検出用反射板66を検出している状態となっていることを確認した上で、左端側中継装置HL及び右端側中継装置HRによりロックアーム切換処理が実行されて、4箇所のロックアーム58が、閉位置から開位置に切換操作される(ステップ#4、ステップ#19)。つまり、移載準備位置の上下方向の位置は、ロックアーム切換高さVSに設定されている。なお、移動用走行処理及び移動用昇降処理が完了した時点で、何れかのロックアーム切換高さ検出センサSSの検出信号が存在しない場合、つまり、全て(4個)のロックアーム切換高さ検出センサSSが切換高さ検出用反射板66を検出している状態となっていることが確認できなかった場合は、制御異常として、スタッカクレーン1を非常停止させる。
【0096】
その後、昇降制御装置HVが、昇降用ロータリエンコーダRE2の検出情報に基づいて、昇降体6を移動用昇降処理における移動用昇降速度よりも低速に設定された準備用昇降速度にて下降させるべく、昇降用モータM2の作動を制御して、物品移載方向で昇降体6の外方側の端部50Tのロックアーム58が移載対象箇所における受止部64により受け止め支持される受止支持高さVTに位置する移載用昇降位置に昇降体6を昇降させる準備用昇降処理を実行する(ステップ#5〜#7、ステップ#20〜#22)。
【0097】
このように、移動用昇降処理及び準備用昇降処理により、ロックアーム58が受止支持高さVTに位置して、昇降体6が物品移載方向で昇降体6の外方側の端部50Tが移載対象箇所における受止部64により受け止め支持される移載用昇降位置に位置することから、これらの昇降処理が本発明の昇降処理に相当する。
【0098】
準備用昇降処理では、ロックアーム切換処理により移載準備位置において開位置に切換操作されたロックアーム58を開位置に維持したまま、昇降体6を上記準備用昇降速度にて下降させて、着座検出センサSTがオンした時点で、昇降体6が移載用昇降位置に位置したとして、昇降用モータM2の作動を停止させて昇降体6を停止させる(ステップ#6、ステップ#21)。
【0099】
このように、準備用昇降処理では、昇降用ロータリエンコーダRE2の検出情報に基づいて昇降体6を準備用昇降速度で下降させつつ、着座検出センサSTの検出信号に基づいて、昇降体6を停止させるべく、昇降用モータM2の作動を制御する。これにより、昇降体6の基部側枠体30の昇降位置に対する一対の端部側枠体50の端部50Tの高さが、昇降体6の自重や物品Wの荷重による撓み変形により特定できなくても、昇降体6の端部50Tが受止部64に適正に受け止められた状態となるように昇降体6を位置させることができる。
【0100】
なお、準備用昇降処理の実行が完了して、昇降体6が移載用昇降位置に位置し、ロックアーム58が受止部64に受け止め支持される受止支持高さVTに位置した状態が図9において仮想線で示されている。ちなみに、準備用昇降処理の実行を開始してから設定時間以上経過しても何れかの着座検出センサSTがオンしない場合、すなわち、全ての着座検出センサSTがオンするまでに昇降体6が上記準備用昇降速度にて設定時間以上継続して下降した場合は、制御異常として、スタッカクレーン1を非常停止させる。
【0101】
昇降制御装置HVは、準備用昇降処理が正常に完了した後に、端部50Tが移載対象箇所における受止部64により受け止め支持された状態で移載装置5を搬送作動させる移載処理を実行して物品Wの移載を行う(ステップ#8〜#11、ステップ#23〜#26)。
【0102】
移載処理では、当該移載作動の種別、すなわち、搬送元の移載対象箇所から物品Wを受け取る掬い移載を行うための掬い用移載作動、及び、搬送先の移載対象箇所へ物品Wを受け渡す卸し移載を行うための卸し用移載作動に対応した回転駆動方向で移載用モータM3を作動させて、移載装置5にて物品Wを載置搬送する。なお、移載処理が実行される間、移載対象箇所側に設けられた搬送装置も移載作動の種別に応じた搬送方向にて搬送作動する。
【0103】
昇降制御装置HVは、移載処理の実行中において、物品Wが物品移載方向に搬送されるに伴って変化する昇降体6に作用する荷重の変化による昇降体6の昇降位置の変化を吸収するべく、昇降用ロータリエンコーダRE2の検出情報に基づいて、昇降用モータM2の作動を制御する昇降位置調整処理を実行する。昇降位置調整処理の詳細については後述する。
【0104】
掬い用移載作動においては、昇降制御装置HVは、移載装置5が備える左端在荷リミットスイッチRS1及び右端在荷リミットスイッチRS2、並びに、中央センサ群SGの検出情報に基づいて、物品移載方向で移載装置5の中央位置と物品Wの中央位置とが一致する位置として設定された適正移載位置まで物品Wが載置搬送されたか否かを判別し、物品Wが適正移載位置まで載置搬送されると、移載用モータM3の作動を停止させて物品Wの移載を完了させる(ステップ#10)。
【0105】
卸し用移載作動においては、昇降制御装置HVは、移載装置5が備える左端在荷リミットスイッチRS1及び右端在荷リミットスイッチRS2の検出情報に基づいて、当該卸し用移載作動における物品移載方向で物品Wの後端部が、リミットスイッチRS1・RS2のうち当該卸し用移載作動における物品移載方向で前方側に位置するリミットスイッチの設置位置を通過したことが検出されると、物品Wが適正移載位置まで載置搬送されたとして、移載用モータM3の作動を停止させて物品Wの移載を完了させる(ステップ#25)。
【0106】
移載処理による物品Wの移載が完了すると、昇降制御装置HVが、物品移載方向で昇降体6の外方側の端部50Tを移載対象箇所における受止部64から上方に離間させるために、昇降体6をロックアーム切換高さVSに位置させるべく、昇降用ロータリエンコーダRE2の検出情報に基づいて、昇降用モータM2の作動を制御する移載直後用昇降処理が実行される。移載直後用昇降処理では、ロックアーム58を開位置に維持したまま、昇降体6を移動用昇降処理における移動用昇降速度よりも低速に設定された移載直後用昇降速度にて上昇させるべく、昇降用ロータリエンコーダRE2の検出情報に基づいて、昇降用モータM2の作動を制御する。これにより、昇降体6が移載直後用昇降速度にてロックアーム切換高さVSまで上昇する(ステップ#12〜#14、ステップ#27〜#29)。
【0107】
移載直後用昇降処理が完了すると、ロックアーム切換高さ検出センサSSが出力する検出信号の有無により全て(4個)のロックアーム切換高さ検出センサSSが切換高さ検出用反射板66を検出している状態となっていることを確認した上で、左端側中継装置HL及び右端側中継装置HRによりロックアーム切換処理が実行されて、4箇所のロックアーム58が、開位置から閉位置に切換操作される(ステップ#15、ステップ#30)。なお、移載直後用昇降処理が完了した時点で、何れかのロックアーム切換高さ検出センサSSの検出信号が存在しない場合、つまり、全て(4個)のロックアーム切換高さ検出センサSSが切換高さ検出用反射板66を検出している状態となっていることが確認できなかった場合は、制御異常として、スタッカクレーン1を非常停止させる。
【0108】
搬送元の移載対象箇所から物品Wを受け取る掬い用移載作動が完了した後の移載直後用昇降処理(ステップ#12〜#14)が正常に完了して、その後のロックアーム切換処理(ステップ#15)も正常に完了すると、図12のステップ#16へ移行して、上述の如く、昇降体6が搬送先の移載対象箇所についての移準備位置に移動される。また、搬送先の移載対象箇所へ物品Wを受け渡す卸し用移載作動が完了した後の移載直後用昇降処理(ステップ#27〜#29)が正常に完了して、その後のロックアーム切換処理(ステップ#30)も正常に完了すると、物品搬送作指令に基づく搬送元から搬送先への物品Wの搬送作業が完了し、物品搬送制御が終了する。
【0109】
昇降制御装置HVが実行する昇降位置調整処理について、図13のフローチャートを参照しながら説明する。
【0110】
昇降制御装置HVは、図11のステップ#8〜#11及び図12のステップ#23〜#26の移載処理の実行中において、制御タイミングごとに図13のフローチャートに示す昇降位置調整処理を実行する。すなわち、昇降制御装置HVが、制御周期(例えば、10ミリ秒)ごとの制御タイミングにおいて、図13のフローチャートに示す処理を実行することにより、移載処理の実行中において、物品Wが物品移載方向に搬送されるに伴って昇降体6に作用する荷重が変化して昇降体6の昇降位置が基準昇降位置から上昇限度位置又は下降限度位置まで変化した場合に、移載作動の種別に応じた設定量だけ、変化した方向と反対の方向に昇降させる。これにより、移載処理の実行中における昇降体6の昇降位置の変化を吸収することができるようになっている。
【0111】
昇降位置調整処理では、移載処理の実行を開始したときの昇降体6の昇降位置が最初の基準昇降位置として設定される。そして、制御タイミングごとに、昇降用ロータリエンコーダRE2の検出情報から、昇降体6の昇降位置が基準昇降位置から変化したかを監視している(ステップ#1)。
【0112】
移載装置5が掬い用移載作動を行っている場合は、図14に示すように、物品Wが移載対象箇所からスタッカクレーン1に向かう方向に搬送されるに伴って、昇降体6に作用する荷重が増大して、昇降チェーン12が伸びることにより、図14において仮想線で示すように、昇降体6の昇降位置が下方に変化することになる。
【0113】
移載装置5が卸し用移載作動を行っている場合は、図15に示すように、物品Wがスタッカクレーン1から移載対象箇所に向かう方向に搬送されるに伴って、昇降体6に作用する荷重が減少して、物品Wの荷重により伸びていた昇降チェーン12が縮むことにより、図15において仮想線で示すように、昇降体6の昇降位置が上方に変化することになる。
【0114】
そのため、移載処理により掬い用移載作動を行っている場合は、制御タイミングごとにステップ#1からステップ#2へ移行するルートで処理され、移載処理により卸し用移載作動を行っている場合は、制御タイミングごとにステップ#1からステップ#4へ移行するルートで処理される。
【0115】
掬い用移載作動を行っている間に、昇降体6の昇降位置が基準昇降位置よりも設定距離だけ下方に位置する下降限度位置まで下降すると、該当する制御タイミングではステップ#2からステップ#3へ移行するルートで処理され、当該制御タイミングにおける昇降位置よりも掬い用設定量だけ上方の位置を新たな基準昇降位置として更新し、昇降体6を当該新たな基準昇降位置に位置させるべく、昇降用ロータリエンコーダRE2の検出情報に基づいて、昇降用モータM2を上昇側に回転作動させて、図14において上向きの矢印で示すように、昇降体6を掬い用設定量だけ上昇させる。なお、昇降位置調整処理による昇降体6の上昇までも昇降位置調整処理で吸収してしまわないように、昇降体6が掬い用設定量だけ上昇するまでは、昇降位置調整処理の実行を休止させておく。昇降位置調整処理が再開されると、更新済みの新たな基準昇降位置から設定距離だけ下降したか否かが監視されることになる。
【0116】
掬い用移載作動を行っている間に、昇降体6の昇降位置が基準昇降位置よりも設定距離だけ下方に位置するまでは、昇降体6の昇降位置が下降していても、各制御タイミングではステップ#2からステップ#6へ移行するルートで処理され、昇降体6は上昇されない。
【0117】
卸し用移載作動を行っている間に、昇降体6の昇降位置が基準昇降位置よりも設定距離だけ上方に位置する上昇限度位置まで上昇すると、該当する制御タイミングではステップ#4からステップ#5へ移行するルートで処理され、当該制御タイミングにおける昇降位置よりも卸し用設定量だけ下方の位置を新たな基準昇降位置として更新し、昇降体6を当該新たな基準昇降位置に位置させるべく、昇降用ロータリエンコーダRE2の検出情報に基づいて、昇降用モータM2を下降側に回転作動させて、図14において下向きの矢印で示すように、昇降体6を卸し用設定量だけ下降させる。なお、昇降位置調整処理による昇降体6の下降までも昇降位置調整処理で吸収してしまわないように、昇降体6が卸し用設定量だけ下降するまでは、昇降位置調整処理の実行を休止させておく。昇降位置調整処理が再開されると、更新済みの新たな基準昇降位置から設定距離だけ上昇したか否かが監視されることになる。
【0118】
卸し用移載作動を行っている間に、昇降体6の昇降位置が基準昇降位置よりも設定距離だけ上方に位置するまでは、昇降体6の昇降位置が上昇していても、各制御タイミングではステップ#4からステップ#6へ移行するルートで処理され、昇降体6は下降されない。
【0119】
このように、昇降制御装置HVは、移載対象箇所から移載装置5へ物品Wを移載する掬い移載を行う場合に、移載処理の実行中において、昇降体6が移載用昇降位置から設定高さだけ低い下降限度位置まで下降すると、昇降位置調整処理において昇降体6を掬い用設定量だけ上昇させるべく、昇降用モータM2の作動を制御する。また、昇降制御装置HVは、移載装置5から移載対象箇所へ物品Wを移載する卸し移載を行う場合に、移載処理の実行中において、昇降体6が移載用昇降位置から設定高さだけ高い上昇限度位置まで上昇すると、昇降位置調整処理において昇降体6を卸し用設定量だけ下降させるべく、昇降用モータM2の作動を制御する。
【0120】
掬い用移載作動の開始時は、物品非保持状態であり、卸し用移載作動の開始時は、物品保持状態であるため、物品Wの荷重の有無の違いがある。そのため、掬い用移載作動において物品Wの移載作動を開始するときの昇降体6の昇降位置である掬い用の移載用昇降位置と、卸し用移載作動において物品Wの移載作動を開始するときの昇降体6の昇降位置である卸し用の移載用昇降位置とは、異なる高さとなっている。すなわち、掬い用の移載用昇降位置は、卸し用の移載用昇降位置よりも、物品Wの荷重の有無の違いだけ上方に位置している。
【0121】
掬い用移載作動において物品Wの移載作動が完了するときの昇降体6の昇降位置として好ましい昇降位置は、同じ物品保持状態で昇降体6の端部50Tが移載対象箇所の受止部64に適正に受け止め支持される昇降位置である卸し用の移載用昇降位置である。反対に、卸し用移載作動において物品Wの移載作動が完了するときの昇降体6の昇降位置として好ましい昇降位置は、同じ物品非保持状態で昇降体6の端部50Tが移載対象箇所の受止部64に適正に受け止め支持される昇降位置である掬い用の移載用昇降位置である。
【0122】
そのため、掬い用の移載作動を行う移載処理が完了するときの昇降体6の昇降位置が卸し用の移載用昇降位置に一致するように、掬い用移載作動を行っている間に実行される昇降位置調整処理における掬い用設定量を、基準昇降位置と下降限度位置との差よりも大きく設定している。これにより、昇降位置調整処理にて昇降体6が掬い用設定量だけ上昇すると、昇降体6は、更新前の基準昇降位置よりも上方に位置することになり、移載処理が完了したときの昇降体6の昇降位置が卸し用の移載用昇降位置に極力近づくようにしている。
【0123】
反対に、卸し用の移載作動を行う移載処理が完了するときの昇降体6の昇降位置が掬い用の移載用昇降位置に一致するように、卸し用移載作動を行っている間に実行される昇降位置調整処理における卸し用設定量を、基準昇降位置と上昇限度位置との差よりも大きく設定している。これにより、昇降位置調整処理にて昇降体6が卸し用設定量だけ下降すると、昇降体6は、更新前の基準昇降位置よりも下方に位置することになり、移載処理が完了したときの昇降体6の昇降位置が掬い用の移載用昇降位置に極力近づくようにしている。
【0124】
昇降制御装置HVは、移載処理が実行されている間、つまり、図11のステップ#8〜ステップ#11の期間や、図12のステップ#23〜ステップ#26の期間では、揺動センサSYの検出状態を監視している。そして、揺動センサSYの検出情報に基づいて、一対の端部側枠体50の少なくとも一方が基部側枠体30に対して揺動した場合は、昇降体6の昇降位置が異常であると判別する。すなわち、4つの揺動センサSYは、昇降体6の端部側枠体50が基部側枠体30に対して揺動しない限り全ての揺動センサSYはオンしているが、掬い移載の場合に昇降位置調整処理が正常に機能しないといった不具合や移載処理中における昇降チェーン12の切断といった不具合により、端部側枠体50が基部側枠体30に対して僅かでも揺動すると、揺動センサSYの何れかがオフとなる。そこで、昇降制御装置HVは、揺動センサSYの何れかがオフに切り換わると、昇降体6の端部側枠体50が基部側枠体30に対して揺動する異常事態が発生したとして、スタッカクレーン1の作動を非常停止させる。
【0125】
〔別の実施形態〕
以上、発明者によってなされた発明を発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。以下、本発明の別実施形態について説明する。
【0126】
(1)上記実施形態では、昇降位置検出手段としてインクリメンタル型のロータリエンコーダを例示したが、これに限らず、例えば、昇降位置検出手段としては、アブソリュート型のロータリエンコーダでもよく、また、ロータリエンコーダでなくてもレーザ距離計により構成してもよい
【0127】
(2)上記実施形態では、索状体がチェーンであるものを例示したが、索状体としては、ワイヤでもよい。
【0128】
(3)上記実施形態では、物品移載方向で昇降体の外方側の端部が移載対象箇所における2箇所の受止部により受け止め支持されるものを例示したが、昇降体の外方側の端部が移載対象箇所における1箇所又は3箇所以上の受止部により受け止め支持されるものであってもよい。
【0129】
(4)上記実施形態では、被受止体としてのロックアームが、縦軸心周りに回転自在に構成されたものを例示したが、これに代えて、先端部が下方に向く垂下姿勢となる閉じ位置と先端部が収納部側に向く水平姿勢となる開き位置とに横軸心周りに回転自在に構成してもよく、また、軸心周りに回転自在な構成に限らず、物品移載方向に出退自在に構成してもよい。
【0130】
(5)上記実施形態では、揺動検出手段として、4つの揺動センサSYを設けているが、前後方向については1個にしてもよい。また、フォトマイクロスイッチにより揺動センサSYを構成したが、リミットスイッチや近接スイッチなどのその他のセンサにて構成してもよい。
【0131】
(6)上記実施形態で示した制御構成は、本発明の制御手段の具体的構成の一例であり、例えば、一体的に設けられた制御装置とそれが実行するプログラムにて制御手段を構成してもよい。
【0132】
(7)上記実施形態では、基準昇降位置に対して設定量だけ上方の位置を上昇限度位置とし、基準昇降位置に対してこれと同じ設定量だけ下方の位置を下降限度位置としたが、基準昇降位置に対する上昇限度位置と下降限度位置の設定量を異なる値としてもよい。
【0133】
(8)上記実施形態では、昇降体6が物品移載方向の中央部にて昇降マストの案内支持されたものを例示したが、昇降体6と昇降マストとの配置関係は適宜変更してもよい。
【0134】
(9)上記実施形態では、制御手段が、昇降位置調整処理において、昇降位置検出手段の検出情報に基づいて、移載処理の実行中における昇降体の昇降位置の実際の変化を検出して、それを吸収するべく、昇降位置検出手段の検出情報に基づいて昇降駆動手段の作動を制御するものを例示したが、これに代えて、又は、これに加えて、移載対象の物品の移載装置における物品移載方向の位置を検出する移載位置検出手段を設けて、制御手段が、昇降位置調整処理において、移載位置検出手段及び昇降位置検出手段の検出情報に基づいて、移載装置における物品の物品移載方向の位置に応じて昇降体の昇降位置を調整するべく、昇降駆動手段の作動を制御するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0135】
W 物品
HV 制御手段
M2 昇降用駆動手段
RE2 昇降位置検出手段
ST 検出センサ
SY 揺動検出手段
Z 物品収容空間
4 昇降マスト
5 移載装置(搬送コンベヤ)
6 昇降体
12 索状体
30 基部側枠体
50L、50R 基部側枠体(トラス枠体)
50T 端部
51 上部フレーム
52 下部フレーム
53 斜行部材
54 トラス枠部分
55 複数の水平部材
58 被受止体
61 移載対象箇所
64 受止部
67 被検出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
索状体により吊り下げ支持されかつ昇降マストに案内支持された状態で前記昇降マストに沿って昇降自在な昇降体と、
前記昇降体に備えられて前記昇降体と一体昇降自在で、かつ、長尺状の物品をその長手方向が水平方向に沿う姿勢で載置搬送して移載対象箇所との間で物品を移載自在な移載装置と、
前記索状体を巻回駆動して前記昇降体及び前記移載装置を昇降駆動する昇降駆動手段と、
前記昇降駆動手段及び前記移載装置の作動を制御する制御手段とが設けられた長尺物品用の搬送装置であって、
前記昇降体の昇降位置を検出する昇降位置検出手段が設けられ、
前記制御手段が、
前記昇降位置検出手段の検出情報に基づいて、物品移載方向で前記昇降体の外方側の端部が前記移載対象箇所における受止部により受け止め支持される移載用昇降位置に前記昇降体を位置させる昇降処理を実行し、前記昇降処理が完了した後に前記端部が前記移載対象箇所における受止部により受け止め支持された状態で前記移載装置を搬送作動させる移載処理を実行するように構成され、かつ、
前記移載処理の実行中において、物品が物品移載方向に搬送されるに伴って変化する前記昇降体に作用する荷重の変化による前記昇降体の昇降位置の変化を吸収するべく、前記昇降位置検出手段の検出情報に基づいて前記昇降駆動手段の作動を制御する昇降位置調整処理を実行するように構成されている長尺物品用の搬送装置。
【請求項2】
前記制御手段が、前記移載処理により前記移載対象箇所から前記移載装置へ物品を移載する掬い移載を行う場合に、前記移載処理の実行中において、前記昇降位置調整処理として、前記昇降位置検出手段の検出情報に基づいて前記昇降体が前記移載用昇降位置から設定高さだけ低い下降限度位置まで下降したか判断し、かつ、前記昇降体が前記下降限度位置に達したときに、前記昇降体を掬い用設定量だけ上昇させるべく、前記昇降駆動手段の作動を制御するように構成されている請求項1記載の長尺物品用の搬送装置。
【請求項3】
前記昇降体が、前記索状体が連結される基部側枠体と、物品移載方向で前記基部側枠体の両側に延設される一対の端部側枠体とを備えて構成され、
前記移載装置が、物品移載方向で両側に位置する前記移載対象箇所の夫々に対して物品を移載自在に構成され、
物品移載方向で前記一対の端部側枠体の夫々における外方側の端部に、前記移載対象箇所に設けられた受止部に受け止め支持される被受止体が設けられ、
前記一対の端部側枠体の夫々が、前記基部側枠体に対して、物品移載方向と交差する水平軸心周りに揺動自在に枢支連結されている請求項1又は2記載の長尺物品用の搬送装置。
【請求項4】
前記一対の端部側枠体の少なくとも一方が前記基部側枠体に対して揺動したことを検出する揺動検出手段が設けられ、
前記制御手段が、前記移載処理において、前記揺動検出手段の検出情報に基づいて、前記一対の端部側枠体の少なくとも一方が前記基部側枠体に対して揺動した場合は、前記昇降体の前記昇降位置が異常であると判別するように構成されている請求項3記載の長尺物品用の搬送装置。
【請求項5】
前記制御手段が、前記移載処理により前記移載装置から前記移載対象箇所へ物品を移載する卸し移載を行う場合に、前記移載処理の実行中において、前記昇降位置調整処理として、前記昇降位置検出手段の検出情報に基づいて前記昇降体が前記移載用昇降位置から設定高さだけ高い上昇限度位置まで上昇したか判断し、かつ、前記昇降体が前記上昇限度位置に達したときに、前記昇降体を卸し用設定量だけ下降させるべく、前記昇降駆動手段の作動を制御するように構成されている請求項1〜4の何れか一項記載の長尺物品用の搬送装置。
【請求項6】
前記移載対象箇所において前記受止部に対応して設置された被検出部を検出自在な検出センサが、前記昇降体における前記端部に設けられ、
前記昇降体の前記端部が前記受止部に受け止められた状態であると前記検出センサが前記被検出部を検出するように前記被検出部が配置され、
前記制御手段が、前記昇降処理において、前記検出センサにて前記被検出部が検出されると、前記昇降体が前記移載用昇降位置に位置しているとして、前記昇降駆動手段の作動を停止させるように構成されている請求項1〜5の何れか一項記載の長尺物品用の搬送装置。
【請求項7】
前記昇降体が、物品移載方向に沿う姿勢で上下に間隔を隔てて平行に配置された上部フレームと下部フレームとを鉛直面に沿う姿勢で物品移載方向に並ぶ複数の斜行部材にて互いに連結して構成したトラス枠部分を、物品移載方向と交差する水平方向に間隔を隔てて一対配置して、これら一対のトラス枠部分を物品移載方向に並ぶ複数の水平部材にて連結して、搬送対象の物品を収容自在な物品収容空間が形成されたトラス枠体を備えて構成され、
前記移載装置が、前記トラス枠体における前記複数の水平部材に載置支持された搬送コンベヤにて構成されている請求項1〜6の何れか一項記載の長尺物品用の搬送装置。
【請求項1】
索状体により吊り下げ支持されかつ昇降マストに案内支持された状態で前記昇降マストに沿って昇降自在な昇降体と、
前記昇降体に備えられて前記昇降体と一体昇降自在で、かつ、長尺状の物品をその長手方向が水平方向に沿う姿勢で載置搬送して移載対象箇所との間で物品を移載自在な移載装置と、
前記索状体を巻回駆動して前記昇降体及び前記移載装置を昇降駆動する昇降駆動手段と、
前記昇降駆動手段及び前記移載装置の作動を制御する制御手段とが設けられた長尺物品用の搬送装置であって、
前記昇降体の昇降位置を検出する昇降位置検出手段が設けられ、
前記制御手段が、
前記昇降位置検出手段の検出情報に基づいて、物品移載方向で前記昇降体の外方側の端部が前記移載対象箇所における受止部により受け止め支持される移載用昇降位置に前記昇降体を位置させる昇降処理を実行し、前記昇降処理が完了した後に前記端部が前記移載対象箇所における受止部により受け止め支持された状態で前記移載装置を搬送作動させる移載処理を実行するように構成され、かつ、
前記移載処理の実行中において、物品が物品移載方向に搬送されるに伴って変化する前記昇降体に作用する荷重の変化による前記昇降体の昇降位置の変化を吸収するべく、前記昇降位置検出手段の検出情報に基づいて前記昇降駆動手段の作動を制御する昇降位置調整処理を実行するように構成されている長尺物品用の搬送装置。
【請求項2】
前記制御手段が、前記移載処理により前記移載対象箇所から前記移載装置へ物品を移載する掬い移載を行う場合に、前記移載処理の実行中において、前記昇降位置調整処理として、前記昇降位置検出手段の検出情報に基づいて前記昇降体が前記移載用昇降位置から設定高さだけ低い下降限度位置まで下降したか判断し、かつ、前記昇降体が前記下降限度位置に達したときに、前記昇降体を掬い用設定量だけ上昇させるべく、前記昇降駆動手段の作動を制御するように構成されている請求項1記載の長尺物品用の搬送装置。
【請求項3】
前記昇降体が、前記索状体が連結される基部側枠体と、物品移載方向で前記基部側枠体の両側に延設される一対の端部側枠体とを備えて構成され、
前記移載装置が、物品移載方向で両側に位置する前記移載対象箇所の夫々に対して物品を移載自在に構成され、
物品移載方向で前記一対の端部側枠体の夫々における外方側の端部に、前記移載対象箇所に設けられた受止部に受け止め支持される被受止体が設けられ、
前記一対の端部側枠体の夫々が、前記基部側枠体に対して、物品移載方向と交差する水平軸心周りに揺動自在に枢支連結されている請求項1又は2記載の長尺物品用の搬送装置。
【請求項4】
前記一対の端部側枠体の少なくとも一方が前記基部側枠体に対して揺動したことを検出する揺動検出手段が設けられ、
前記制御手段が、前記移載処理において、前記揺動検出手段の検出情報に基づいて、前記一対の端部側枠体の少なくとも一方が前記基部側枠体に対して揺動した場合は、前記昇降体の前記昇降位置が異常であると判別するように構成されている請求項3記載の長尺物品用の搬送装置。
【請求項5】
前記制御手段が、前記移載処理により前記移載装置から前記移載対象箇所へ物品を移載する卸し移載を行う場合に、前記移載処理の実行中において、前記昇降位置調整処理として、前記昇降位置検出手段の検出情報に基づいて前記昇降体が前記移載用昇降位置から設定高さだけ高い上昇限度位置まで上昇したか判断し、かつ、前記昇降体が前記上昇限度位置に達したときに、前記昇降体を卸し用設定量だけ下降させるべく、前記昇降駆動手段の作動を制御するように構成されている請求項1〜4の何れか一項記載の長尺物品用の搬送装置。
【請求項6】
前記移載対象箇所において前記受止部に対応して設置された被検出部を検出自在な検出センサが、前記昇降体における前記端部に設けられ、
前記昇降体の前記端部が前記受止部に受け止められた状態であると前記検出センサが前記被検出部を検出するように前記被検出部が配置され、
前記制御手段が、前記昇降処理において、前記検出センサにて前記被検出部が検出されると、前記昇降体が前記移載用昇降位置に位置しているとして、前記昇降駆動手段の作動を停止させるように構成されている請求項1〜5の何れか一項記載の長尺物品用の搬送装置。
【請求項7】
前記昇降体が、物品移載方向に沿う姿勢で上下に間隔を隔てて平行に配置された上部フレームと下部フレームとを鉛直面に沿う姿勢で物品移載方向に並ぶ複数の斜行部材にて互いに連結して構成したトラス枠部分を、物品移載方向と交差する水平方向に間隔を隔てて一対配置して、これら一対のトラス枠部分を物品移載方向に並ぶ複数の水平部材にて連結して、搬送対象の物品を収容自在な物品収容空間が形成されたトラス枠体を備えて構成され、
前記移載装置が、前記トラス枠体における前記複数の水平部材に載置支持された搬送コンベヤにて構成されている請求項1〜6の何れか一項記載の長尺物品用の搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−148836(P2012−148836A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7202(P2011−7202)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】
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