防腐殺菌剤及び人体施用組成物
【課題】 従来より用いられているパラベン、安息香酸等の防腐殺菌剤を排除或いは使用量を軽減することができ、しかも優れた抗菌力を有する防腐殺菌剤及び、従来の防腐殺菌剤の配合量が少ないか或いは全く配合されていない安全性の高い人体施用組成物の提供にある。
【解決手段】 炭素数4〜10の1,2−アルカンジオールと感光素201号を含んでなることを特徴とする防腐殺菌剤、この防腐殺菌剤において1,2−アルカンジオールが1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールのうちの1種以上であることを特徴とする防腐殺菌剤、並びに、これらの防腐殺菌剤のうちのいずれかを配合したことを特徴とする人体施用組成物とする。
【解決手段】 炭素数4〜10の1,2−アルカンジオールと感光素201号を含んでなることを特徴とする防腐殺菌剤、この防腐殺菌剤において1,2−アルカンジオールが1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールのうちの1種以上であることを特徴とする防腐殺菌剤、並びに、これらの防腐殺菌剤のうちのいずれかを配合したことを特徴とする人体施用組成物とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は防腐殺菌剤及び人体施用組成物に関し、その目的は、従来より用いられているパラベン、安息香酸等の防腐殺菌剤を排除或いは使用量を軽減することができ、しかも優れた抗菌力を有する防腐殺菌剤及び、従来の防腐殺菌剤の配合量が少ないか或いは全く配合されていない安全性の高い人体施用組成物を提供することにある。尚、本明細書において、人体施用組成物とは、化粧品、医薬品、医薬部外品、食品などの人体の内部又は外部に直接施用する組成物のことである。
【背景技術】
【0002】
従来より化粧品や医薬品、医薬部外品、食品などの人体施用組成物には、防腐殺菌剤として、パラベン、安息香酸及びその塩類、サリチル酸及びその塩類、等が用いられている。しかしながら、上記した従来の防腐殺菌剤は皮膚刺激性が高いなど安全性が低いため、使用濃度範囲が制限されやすいという欠点を有しており、例えば、パラベンや安息香酸塩の使用制限濃度は1%、安息香酸やサリチル酸の使用制限濃度は0.2%とされている。また、pHによる影響を受けやすいため効果の安定性が悪く、更に、界面活性剤などの他の配合成分との併用により、その抗菌力が著しく低下する場合があるという問題点も有している。また、近年これらの防腐殺菌剤に対しアレルギー反応を有する人が増えているため、安全性に対する指向がより高まり、防腐殺菌剤を全く配合していないか、或いはその配合量を軽減させた人体施用組成物の需要が高まっている。
【0003】
そこで、従来の防腐殺菌剤の欠点が克服され、且つ安全性の高い抗菌物質の探索や、防腐殺菌剤の効力を高めることにより防腐殺菌剤の使用量を軽減しようという試みが種々行われている。例えば、複数の防腐殺菌剤を使用し、その相乗効果を利用することにより防腐殺菌剤の使用量を軽減することが行われている。更に、従来の防腐殺菌剤は水相に存在する量により効力が左右されるが、水に対する溶解性が低いものが多いため、1,3−ブチレングリコール,ジプロピレングリコール,グリセリンなどの多価アルコールを添加することにより防腐殺菌剤の水相への分配を高め、防腐殺菌剤の効果を高めることも行われている。
【0004】
しかしながら、1,3−ブチレングリコール,ジプロピレングリコール,グリセリンなどの多価アルコールを従来の防腐殺菌剤と併用することによる、防腐殺菌剤の抗菌力を高める効果は顕著ではなく、また、これらの多価アルコール自体の防腐殺菌作用が発揮されるのは、多量に配合した場合、例えば1,3−ブチレングリコールやジプロピレングリコールでは10%以上配合した場合、グリセリンでは30%以上配合した場合であるため、従来の防腐殺菌剤の使用量の大幅な軽減には至っていない。
【0005】
一方、安全性が高く安定した抗菌性を有する物質として、感光素201号(ピオニン)が優れた抗菌力を有していることが既に報告されている。この感光素201号は水やアルコールに対する溶解度が極めて低いため、感光素201号を防腐殺菌剤として使用する際には、通常、1,3−ブチレングリコール,ジプロピレングリコール,グリセリンなどの多価アルコールが可溶化剤として用いられている。
【0006】
しかしながら、感光素201号を防腐殺菌剤として使用したとしても、従来の防腐殺菌剤の使用量の大幅な軽減、或いは排除には至っていない。つまり、感光素201号は、グラム陰性菌に対する抗菌力が、グラム陽性菌に対する抗菌力に比べてやや弱く、パラベン等の防腐殺菌剤と併用することにより、グラム陰性菌に対する抗菌力も極めて優れたものとなることが報告されているため、通常、感光素201号を使用する際には、パラベン等の従来の防腐殺菌剤が併用されているのが現状であり、従来の防腐殺菌剤の使用量の大幅な軽減、或いは排除には至っていないのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、従来より用いられている防腐殺菌剤を排除或いは使用量を軽減することにより、安全性の高い人体施用組成物を提供することのできる、優れた抗菌力を有する防腐殺菌剤の創出が望まれている。本発明者らは、防腐殺菌剤に関する鋭意研究を行った結果、従来より保湿剤として用いられている1,2−ペンタンジオールの他、1,2−ヘキサンジオールや1,2−オクタンジオール等を含めた炭素数4〜10の1,2−アルカンジオールを、感光素201号の可溶化剤として用いることにより、感光素201号の抗菌力を高めることができ、更には、これらの1,2−アルカンジオール自体が優れた抗菌力を有しており、防腐殺菌剤として人体施用組成物に使用することにより、従来より用いられている防腐殺菌剤の抗菌力を高めて防腐殺菌剤の使用量を大幅に軽減することができるとともに、従来の防腐殺菌剤の排除も可能であることを見出し、本発明の完成に至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、請求項1に係る発明は、炭素数4〜10の1,2−アルカンジオールと、感光素201号を含んでなることを特徴とする防腐殺菌剤に関する。
【0009】
また請求項2に係る発明は、前記1,2−アルカンジオールが1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールのうちの1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の防腐殺菌剤に関する。
【0010】
更に請求項3に係る発明は、防腐殺菌剤として請求項1又は2に記載の防腐殺菌剤を配合したことを特徴とする人体施用組成物に関する。
【発明の効果】
【0011】
以上詳述した如く、請求項1に係る発明は、炭素数4〜10の1,2−アルカンジオールと、感光素201号を含んでなることを特徴とする防腐殺菌剤に関するものであるから、以下のような効果を奏する。
【0012】
即ち、1,2−アルカンジオールは、他の多価アルコールに比べて極めて優れた抗菌力を有しているので、この1,2−アルカンジオールを防腐殺菌剤として、人体施用組成物に配合することにより、従来より用いられている様々な欠点を有した防腐殺菌剤の使用量を軽減或いは排除することができる。このような1,2−アルカンジオールと感光素201号とを組合せ、防腐殺菌剤として使用することにより、1,2−アルカンジオールが感光素201号の可溶化剤となるだけでなく、相乗効果によりそれぞれの抗菌力が高められるので、やはり従来より用いられている防腐殺菌剤の使用量を軽減或いは排除することができる。また、1,2−アルカンジオールは安全性が高く保湿性においても優れている。従って、防腐殺菌性が付与され、且つ安全性が高く使用感において優れた人体施用組成物を提供することができる。
【0013】
また請求項2に係る発明は、前記1,2−アルカンジオールが1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールのうちの1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の防腐殺菌剤に関するものであるから、以下のような効果を奏する。
【0014】
即ち、1,2−アルカンジオールは、他の多価アルコールに比べて極めて優れた抗菌力を有しており、特に1,2−ペンタンジオールは一般細菌に対して、1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールは更に酵母やカビに対しても優れた防腐殺菌効果を発揮するので、これらの1,2−アルカンジオールを防腐殺菌剤として、人体施用組成物に配合することにより、従来より用いられている様々な欠点を有した防腐殺菌剤の使用量をより軽減或いは排除することができる。
【0015】
更に請求項3に係る発明は、防腐殺菌剤として請求項1又は2に記載の防腐殺菌剤を配合したことを特徴とする人体施用組成物に関するものであるから、防腐殺菌性が高く、しかも安全性及び使用感においても優れているという効果を奏する。
なお、1,2−アルカンジオールと、安息香酸及びその塩,フェノキシエタノール,4−イソプロピル−3−メチルフェノールなどの、従来より用いられている防腐殺菌剤とを組み合わせて防腐殺菌剤として使用することにより、相乗効果によりそれぞれの抗菌力が向上するので、従来より用いられている防腐殺菌剤の使用量を大幅に軽減することができる。また、前記フェノキシエタノールの配合量が、組成物中0.2重量%未満である人体施用組成物とすれば、皮膚に対する刺激性がなく、使用感が極めて良いという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
上述した如く、本発明者らは、人体施用組成物の防腐殺菌剤として、炭素数4〜10の1,2−アルカンジオールと感光素201号を用いることにより、従来より用いられている防腐殺菌剤を排除或いは使用量を軽減することができることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明においては、炭素数4〜10の1,2−アルカンジオールと感光素201号が防腐殺菌剤とされる。
【0017】
1,2−アルカンジオールは次式1(化1)で示される物質で、具体的には、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ノナンジオール、1,2−デカンジオールである(但し、式1中nは1〜7の整数を示す)。
【0018】
【化1】
【0019】
特に、後記する試験例からも明らかなように、次式2(化2)で示される1,2−ペンタンジオールは、一般細菌に対して優れた抗菌作用を示し、次式3(化3)で示される1,2−ヘキサンジオール及び次式4(化4)で示される1,2−オクタンジオールは、一般細菌、酵母やカビなどの真菌類に対しても優れた抗菌作用を示すため好ましく用いられる。また、これらの1,2−アルカンジオールのうちの1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いることも勿論可能である。
【0020】
【化2】
【0021】
【化3】
【0022】
【化4】
【0023】
上記した1,2−アルカンジオールのうち、1,2−ペンタンジオールは従来より化粧品の基剤として広く用いられているポリオールの1種であり、安全性が高く水に易溶であるため、保湿剤,安定化剤,分散剤,溶剤などとして用いられている。従って、1,2−ペンタンジオールを用いることにより保湿力も高められるため、しっとり感において優れた製剤とすることができる。また後記する試験例からも明らかなように、1,2−ヘキサンジオールや1,2−オクタンジオール等の他の多価アルコールを用いた場合にも、同様にしっとり感において優れた製剤とすることができる。
【0024】
1,2−アルカンジオールは、後記する安全性テストの結果からも明らかな如く、極めて安全性が高いため、人体施用組成物に20重量%まで配合することができる。但し、0.05重量%より少ないと、1,2−アルカンジオール配合による防腐殺菌効果が十分発揮されないため、組成物中の配合率は0.05〜20重量%とされ、特に1,2−ペンタンジオールを用いる場合には1〜10重量%とするのが望ましい。
【0025】
1,2−アルカンジオールは、前述したように、優れた抗菌力を有しているが、その抗菌力を、後記する試験例における最小発育阻止濃度(以下、MICと称す)の結果から、パラベン,安息香酸塩等の防腐殺菌剤と比べると、1,2−アルカンジオールのMICは、パラベン,安息香酸塩等の防腐殺菌剤のMICよりも大きく、つまり、1,2−アルカンジオールの抗菌力はパラベン,安息香酸塩等の防腐殺菌剤に比べると小さい。しかしながら、1,2−アルカンジオールは、後記する安全性テストの結果からも明らかなように、安全性が極めて高いため、人体施用組成物中20重量%まで配合することができる。即ち、抗菌力が小さくても配合量を増すことで十分な抗菌力を発揮することができるので、結果的に、1,2−アルカンジオールを用いることにより、従来より用いられている防腐殺菌剤の使用量を軽減することができるか、或いはこれを全く使用せずに人体施用組成物に十分な抗菌性を付与することが可能となり、安全性及び抗菌性において優れた人体施用組成物を提供することができる。
【0026】
また、1,2−アルカンジオールは、感光素201号(ピオニン)と組み合わせて防腐殺菌剤とする。この感光素201号は、次式5(化5)で示される黄色の結晶粉末で、安全性が高く優れた抗菌性を有しているため、従来より人体施用組成物の防腐殺菌剤として使用されている。
【0027】
【化5】
【0028】
感光素201号は水やアルコールに対する溶解性が極めて低いため、化粧品等に配合する場合には、通常、可溶化剤が用いられるが、抗菌力を有する1,2−アルカンジオールと併用すると、1,2−アルカンジオールが感光素201号の可溶化剤となるとともに、相乗効果によりそれぞれの抗菌力が高められる。従って、従来は感光素201号を使用する際には、可溶化剤に加えてパラベン等の防腐殺菌剤が併用される場合が多かったが、1,2−アルカンジオールを併用することにより、パラベン等の防腐殺菌剤の使用量を軽減することができ、またパラベン等の従来の防腐殺菌剤を全く使用することなく、十分な防腐殺菌作用を発現させることも可能となる。更に、感光素201号の使用量を軽減することもできるので、人体施用組成物中の感光素201号の配合量を0.002重量%未満としても、十分に優れた防腐殺菌効果を発揮することができる。尚、感光素201号の可溶化剤には従来より使用されているものを用い、1,2−アルカンジオールは防腐殺菌剤として配合することも、勿論可能である。
【0029】
本発明においては、前記1,2−アルカンジオールと、次式6(化6)で示される安息香酸及びその塩、次式7(化7)で示されるフェノキシエタノール、次式8(化8)で示される4−イソプロピル−3−メチルフェノールなどの、従来より用いられている防腐殺菌剤とを組み合わせて使用することも可能である(但し、式6中RはH又はNaを示す)。
【0030】
【化6】
【0031】
【化7】
【0032】
【化8】
【0033】
1,2−アルカンジオールと従来の防腐殺菌剤を併用した場合には、相乗効果によりそれぞれの抗菌力が高められ、一般細菌,真菌の種類を問わず、あらゆる種類の菌に対して優れた防腐殺菌作用が発揮される。例えば、1,2−ペンタンジオールは、単独で用いた際には、一般細菌に対しては優れた防腐殺菌作用を発揮するものの、真菌に対しては防腐殺菌作用を殆ど発揮しないが、従来の防腐殺菌剤を併用した場合には、真菌に対しても優れた防腐殺菌作用が発揮される。従って、従来より用いられている防腐殺菌剤の使用量を大幅に軽減することができ、安全性に優れた人体施用組成物を提供することができる。
【0034】
安息香酸及びその塩やフェノキシエタノール,4−イソプロピル−3−メチルフェノールといった従来の防腐殺菌剤と、1,2−アルカンジオールとを組み合わせて使用する場合、安息香酸及びその塩やフェノキシエタノール,4−イソプロピル−3−メチルフェノールの配合量は特に限定されず、使用制限濃度以下とすればよい。但し、人体施用組成物に配合した際に、フェノキシエタノールの配合量が組成物中0.2重量%以上になると、皮膚に対する刺激性が強くなり、使用感が劣化するので、フェノキシエタノールの配合量は、組成物中0.2重量%未満とするのが好ましい。尚、フェノキシエタノールの配合量を、組成物中0.2重量%未満としても、1,2−アルカンジオールとの併用により、それぞれの防腐力が高められているので、十分に優れた防腐殺菌効果を発揮することができる。
【0035】
本発明に係る人体施用組成物は、防腐殺菌剤として、上記した1,2−アルカンジオールと感光素201号を含み、安息香酸及びその塩、フェノキシエタノール、4−イソプロピル−3−メチルフェノールなどが適宜配合されてなる組成物である。例えば、洗顔料,化粧水,乳液,クリーム,シャンプー,ヘアトリートメントなどの皮膚用及び毛髪用化粧品、しみやそばかすの予防など特定の使用目的を有した薬用化粧品(医薬部外品)、にきびの治療などを目的とした医薬品、更には食品などに上記防腐殺菌剤を配合し、本発明に係る人体施用組成物とすることができる。
【0036】
本発明において用いられる1,2−アルカンジオールは、前述した如く、極めて安全性の高い物質である。以下、1,2−アルカンジオールの安全性について、テスト結果に基づいて説明する。
【0037】
(毒性テスト)雌雄5匹ずつ、計10匹のラットを用いて、1,2−ペンタンジオールの経口急性毒性テスト及び経皮急性毒性テストを行った結果、50%致死量(LD50)は、経口投与の場合で5000mg/Kg、経皮投与の場合で2000mg/Kgであった。
【0038】
(刺激性テスト)1,2−ペンタンジオール,1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールそれぞれの急性皮膚刺激性テストを、各試料に対して雌雄3匹ずつ、計6匹のウサギを用いて行い、急性眼刺激性テストを、各試料に対して6匹の雄のウサギ及び3匹の雌のウサギを用いて行った結果、いずれの試料についても皮膚及び眼に対する刺激は殆どなかった。また、雌雄10匹ずつ、計20匹のモルモットによる皮膚感作テストにおいても、皮膚に対する刺激は殆どなかった。
【0039】
更に、1,2−ペンタンジオール,1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールに関する、ヒトによる皮膚適合性テスト,変異原性試験,パッチテストの結果は全て陰性であった。以上の安全性テストの結果から、1,2−ペンタンジオール,1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールをはじめとする1,2−アルカンジオールは極めて安全性の高い物質であると言える。
【0040】
<試験例>以下、本発明を試験例に基づき詳細に説明する。
〔試験例1;最小生育阻止濃度(MIC)の測定〕1,2−アルカンジオールである、1,2−ペンタンジオール,1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオール、更に、1,2−アルカンジオールと同じく多価アルコールの1種である1,3−ブチレングリコール,ジプロピレングリコール,グリセリンのMICを測定することにより、1,2−アルカンジオールの抗菌力を評価した。
【0041】
(試験方法)上記6種の多価アルコールそれぞれについて12%水溶液及び8%水溶液を調製し、それぞれの2倍の段階希釈系列を作成した。(12,6,3,1.5,0.75......%及び、8,4,2,1,0.5......%)供試菌としてはEscherichia coli IFO3972(大腸菌)及びStaphylococcus aureus IFO13276(黄色ブドウ状球菌)を用い、これらの菌をブイヨン培地で約20時間、前培養した培養液を108cells/mlと仮定して、約105cells/mlに希釈したものを菌懸濁液とした。尚、菌数はコロニーカウント法により確認した。乾熱滅菌済みの15ml容試験管に、各種濃度に調整した試料溶液とSCD培地をそれぞれ1.4mlずつ入れた。これに、103cells/mlとなるように菌懸濁液70μlを接種し、35℃で24時間培養を行った。菌の増殖を目視にて判断し、完全に菌の増殖が阻止された最低濃度をMIC値とした。
【0042】
結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
表1の結果より、1,2−ペンタンジオールは2〜5%で、1,2−ヘキサンジオールは0.75〜3%で、1,2−オクタンジオールは0.15〜0.3%でE.coli及びS.aureusの増殖を抑制するのに対し、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンの3種の多価アルコールは6%でも菌の増殖を抑制しないことがわかる。つまり、1,2−ペンタンジオール,1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオール等の1,2−アルカンジオールは、他の多価アルコールに比べて極めて優れた抗菌力を有していると言える。従って、1,2−アルカンジオールを防腐殺菌剤として人体施用組成物に配合することにより、従来の防腐殺菌剤を排除或いは使用量を軽減しても人体施用組成物に十分な防腐性を付与することができ、安全性の高い人体施用組成物を得ることができる。
【0045】
〔試験例2;製剤中における防腐力試験1〕1,2−ペンタンジオール,1,2−ヘキサンジオール,1,2−オクタンジオール,1,3−ブチレングリコール,ジプロピレングリコール及びグリセリンを配合したクリームを調製し、チャレンジテストにより防腐力を評価した。
【0046】
(試験方法)先ず、表2の処方により実施例1〜3及び比較例1〜3のクリームを調製した。
【0047】
【表2】
【0048】
供試菌には、一般細菌としてEscherichia coli IFO3972(大腸菌)、Staphylococcus aureus IFO13276(黄色ブドウ状球菌)、Bacillus subtilis IFO12210(枯草菌)の混合菌液を用いた。また、酵母としてSaccharomyces cerevisiae IFO0234(ビール酵母)を、カビとしてAspergillus niger IFO9455 (クロカビ)を用いた。これらの菌を予め前培養した培養液を、一般細菌の混合菌は約108cells/mlに、S.cerevisiaeは約107cells/mlに、A.nigerは約106cells/mlに希釈したものを菌懸濁液とした。尚、菌数はコロニーカウント法により確認した。
【0049】
乾熱滅菌済みのガラス容器に、実施例1〜3或いは比較例1〜3のクリームを20g入れ、上記菌懸濁液を0.2ml接種して、混合菌は35℃で、S.cerevisiae及びA.niger は25℃で培養を行った。混合菌、S.cerevisiaeについては接種後1,7日後に、A.nigerについては7,14,21日後に、各試料を1gずつ抜き取り、生理食塩水で希釈したものを寒天培地に混釈して48時間培養し、試料中の残存菌数を算出した。尚、A.niger に関しては、完全に死滅したことを確認した後の測定は省略した。
【0050】
結果を表3及び図1〜図3に示す。
【0051】
【表3】
尚、表3中1,2−PDは1,2−ペンタンジオールを、1,2−HDは1,2−ヘキサンジオールを、1,2−ODは1,2−オクタンジオールを、1,3−BGは1,3−ブチレングリコールを、DPGはジプロピレングリコールを示し、*は測定を省略したことを示す。(以下、表5,7,9,10,12に関しても同じ)
また図1は混合菌の生菌数の変化を表す図、図2はS.cerevisiaeの生菌数の変化を表す図、図3はA.niger の生菌数の変化を表す図であり、図中○印の折れ線が実施例1の結果、□印の折れ線が実施例2の結果、△印の折れ線が実施例3の結果、■印の折れ線が比較例1の結果、▲印の折れ線が比較例2の結果、●印の折れ線が比較例3の結果である。
【0052】
表3及び図1〜図3の結果より、1,2−ペンタンジオールは一般細菌及び酵母に対しては経時的に菌数の減少を伴い、十分な防腐力を示すが、カビに対しては防腐力は殆ど認められず、1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールは、一般細菌,酵母及びカビのいずれに対しても十分な防腐力を示すことがわかる。一方、他の多価アルコールは、一般細菌、酵母、カビのいずれに対しても防腐力を殆ど示さないことがわかる。即ち、従来の防腐殺菌剤を全く使用せず、1,2−ペンタンジオールのみを防腐殺菌剤として使用しても、一般細菌及び酵母に対しては優れた防腐力が発揮され、1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールを防腐殺菌剤として使用した場合には、更にカビに対しても優れた防腐力が発揮される。従って、これらの1,2−アルカンジオールを防腐殺菌剤として使用することにより、従来の防腐殺菌剤を排除することができ、安全性の高い人体施用組成物を得ることができる。
【0053】
〔試験例3;製剤中における防腐力試験2〕次に、表4の処方により実施例4〜7及び比較例4〜6のクリームを調製し、上記試験例2と同様のチャレンジテストを行って、1,2−アルカンジオールとフェノキシエタノールを併用した場合の防腐力を評価した。
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
図4は混合菌の生菌数の変化を表す図、図5はS.cerevisiaeの生菌数の変化を表す図、図6はA.nigerの生菌数の変化を表す図である。但し、図中○印の折れ線が実施例4の結果、□印の折れ線が実施例5の結果、△印の折れ線が実施例6の結果、▲印の点線折れ線が実施例7の結果、■印の折れ線が比較例4の結果、●印の折れ線が比較例5の結果である。
【0056】
表5及び図4〜図6の結果より、比較例4及び5のようにグリセリンとフェノキシエタノールを併用した場合には、フェノキシエタノールを0.5重量%配合しても、一般細菌に対しては殆ど防腐効果を発揮しないが、実施例4及び7のように1,2−ペンタンジオールとフェノキシエタノールを併用すると、フェノキシエタノールの使用量を軽減しても、一般細菌に対して優れた防腐力を発揮し、酵母に対しても、同程度もしくは同程度以上の防腐力を発揮することがわかる。また実施例5及び6のように、1,2−ヘキサンジオール又は1,2−オクタンジオールとフェノキシエタノールを併用すると、一般細菌,酵母,カビの全ての菌種に対して防腐力の向上が見られ、比較例5のようにフェノキシエタノールを0.5重量%配合した場合よりも顕著に防腐力が勝っていることがわかる。
【0057】
〔試験例4;製剤中における防腐力試験3〕表6の処方により実施例8〜10及び比較例7〜9のクリームを調製し、上記試験例2と同様のチャレンジテストを行って、1,2−アルカンジオールと安息香酸ナトリウムを併用した場合の防腐力を評価した。
【0058】
【表6】
【0059】
結果を表7及び図7〜図9に示す。尚、比較例9については多価アルコールを配合していないため、成分が分散せず、結果を得ることができなかったので、実施例8〜10及び比較例7〜8のクリームについての結果を示す。
【0060】
【表7】
図7は混合菌の生菌数の変化を表す図、図8はS.cerevisiaeの生菌数の変化を表す図、図9はA.nigerの生菌数の変化を表す図である。但し、図中○印の折れ線が実施例8の結果、□印の折れ線が実施例9の結果、△印の折れ線が実施例10の結果、■印の折れ線が比較例7の結果、●印の折れ線が比較例8の結果である。
【0061】
表7及び図7〜図9の結果より、比較例7及び8のようにグリセリンと安息香酸ナトリウムを併用した場合には、安息香酸ナトリウムを0.3重量%配合しても、一般細菌,酵母,カビのいずれの菌種に対しても防腐効果を示さなかったのに対し、実施例8のように1,2−ペンタンジオールと安息香酸ナトリウムを併用すると、安息香酸ナトリウムの使用量を軽減しても、一般細菌に対して優れた防腐力を発揮することがわかる。また、実施例9及び10のように、1,2−ヘキサンジオール又は1,2−オクタンジオールと安息香酸ナトリウムを併用すると、一般細菌,酵母,カビの全ての菌種に対して防腐力の向上が見られ、比較例8のように安息香酸ナトリウムを0.3重量%配合した場合よりも顕著に防腐力が勝っていることがわかる。
【0062】
〔試験例5;製剤中における防腐力試験4〕表8の処方により実施例11〜13及び比較例10〜12のクリームを調製し、上記試験例2と同様のチャレンジテストを行い、1,2−アルカンジオールと4−イソプロピル−3−メチルフェノールとを併用した場合の防腐力を評価した。
【0063】
【表8】
【0064】
結果を表9及び図10〜図12に示す。尚、比較例12については多価アルコールを配合していないため、成分が分散せず、結果を得ることができなかったので、実施例11〜13及び比較例10〜11のクリームについての結果を示す。
【0065】
【表9】
図10は混合菌の生菌数の変化を表す図、図11はS.cerevisiaeの生菌数の変化を表す図、図12はA.niger の生菌数の変化を表す図である。但し、図中○印の折れ線が実施例11の結果、□印の折れ線が実施例12の結果、△印の折れ線が実施例13の結果、■印の折れ線が比較例10の結果、●印の折れ線が比較例11の結果である。
【0066】
表9及び図10〜図12の結果より、比較例10〜11のようにグリセリンと4−イソプロピル−3−メチルフェノールを併用した場合には、4−イソプロピル−3−メチルフェノールを0.1重量%配合しても、一般細菌,酵母,カビのいずれの菌種に対しても防腐効果を示さなかったのに対し、実施例11のように1,2−ペンタンジオールと4−イソプロピル−3−メチルフェノールを併用すると、4−イソプロピル−3−メチルフェノールの使用量を軽減しても、一般細菌に対して優れた防腐力を発揮することがわかる。また、実施例12及び13のように、1,2−ヘキサンジオール又は1,2−オクタンジオールと4−イソプロピル−3−メチルフェノールを併用すると、一般細菌,酵母,カビの全ての菌種に対して防腐力の向上が見られ、比較例11のように4−イソプロピル−3−メチルフェノールを0.1重量%配合した場合よりも顕著に防腐力が勝っていることがわかる。更に4−イソプロピル−3−メチルフェノールと1,2−アルカンジオールとを併用した場合には、比較例12のように4−イソプロピル−3−メチルフェノールを単独で使用する場合よりも4−イソプロピル−3−メチルフェノールの使用量を軽減しても、より優れた防腐力を発揮できることがわかる。
【0067】
〔試験例6;感光素201号との併用試験1〕感光素201号の可溶化剤として、1,2−ペンタンジオール或いは1,3−ブチレングリコールを用いた場合の抗菌力を測定した。
【0068】
(試験方法)先ず、1,2−ペンタンジオール或いは1,3−ブチレングリコールを用いて感光素201号を可溶化し、4種類の試料溶液を調製した。供試菌としては、Escherichia coli IFO3972(大腸菌)、Staphylococcus aureus 209P(黄色ブドウ状球菌)、病原菌であるMRSA OJ 51、及びAspergillus niger(クロカビ)を用いた。熱測定セルを兼ねる30ml容バイアル瓶に各種濃度の試料を含む液体培地10mlを入れ、次に、接種菌数が106cell/mlとなるように菌懸濁液を接種した。これを30℃に保たれた熱量計に設置し、微生物の増殖に伴う熱生成シグナルを観測した。観測された熱生成シグナルから、アルゴリズムにより50%発育阻止濃度(Ki)及び100%発育阻止濃度(MIC)を算出した。結果を表10に示す。
【0069】
【表10】
【0070】
表10の結果より、感光素201号の可溶化剤として、1,2−ペンタンジオール等の1,2−アルカンジオールを用いると、感光素201号の抗菌力を高めることができ、可溶化剤として1,3−ブチレングリコールを用いた場合よりも優れた抗菌性を示すことがわかる。従って、従来の防腐殺菌剤の使用量を軽減しても、あるいは全く使用しなくても十分な抗菌力を得ることができる。
【0071】
〔試験例7;感光素201号との併用試験2〕表11の処方により実施例14〜16及び比較例13〜14のクリームを調製し、上記試験例2と同様のチャレンジテストを行い、1,2−アルカンジオールと感光素201号を併用した場合の防腐力を評価した。
【0072】
【表11】
【0073】
結果を表12及び図13〜図15に示す。
【0074】
【表12】
図13は混合菌の生菌数の変化を表す図、図14はS.cerevisiaeの生菌数の変化を表す図、図15はA.niger の生菌数の変化を表す図である。但し、図中○印の折れ線が実施例14の結果、□印の折れ線が実施例15の結果、△印の折れ線が実施例16の結果、■印の折れ線が比較例13の結果、●印の折れ線が比較例14の結果である。
【0075】
表12及び図13〜図15の結果より、比較例13及び14のようにグリセリンと感光素201号を併用した場合には、一般細菌に対しては、十分な防腐効果を示すが、酵母及びカビに対しては、感光素201号を0.002重量%配合しても、全く防腐効果を示さないのに対し、実施例14〜16のように1,2−アルカンジオールと感光素201号を併用すると、酵母及びカビに対しても優れた防腐力を発揮することがわかる。従って、感光素201号と1,2−アルカンジオールとを併用することにより、感光素201号の使用量を軽減しても、十分な防腐力を発揮することができ、安全性の高い人体施用組成物を得ることができる。
【0076】
以上試験例1〜7の結果から、炭素数4〜10の1,2−アルカンジオールを用いることにより、従来より用いられている防腐殺菌剤を排除或いは使用量を軽減しても、人体施用組成物に十分な抗菌性を付与することができることは明らかであり、安全性及び抗菌性において優れた人体施用組成物を提供することができる。
【0077】
〔試験例8;使用感評価〕次に、整髪用クリーム及びマッサージクリームを用いて使用感の評価を行った。
(しっとり感について)以下の処方に従い、多価アルコールとして、1,2−ペンタンジオール,1,2−ヘキサンジオール,1,2−オクタンジオール,或いはグリセリンが配合された整髪用クリームを、常法により調製した。
整髪用クリーム (重量%)
メチルポリシロキサン 5.00
パラフィン 10.00
モノステアリン酸POEソルビタン 3.30
カルボキシビニルポリマー 0.22
トリエタノールアミン 0.20
多価アルコール 5.00
安息香酸 0.10
香料 適量
紫外線吸収剤 適量
精製水 残部
合 計 100.00
【0078】
また、以下の処方に従い、多価アルコールとして、1,2−ペンタンジオール,1,2−ヘキサンジオール,1,2−オクタンジオール,或いはグリセリンが配合されたマッサージクリームを、常法により調製した。
マッサージクリーム (重量%)
ミツロウ 15.00
流動パラフィン 30.00
モノステアリン酸POEソルビタン 3.30
モノステアリン酸ソルビタン 3.30
カルボキシビニルポリマー 0.02
トリエタノールアミン 0.15
多価アルコール 3.00
流動イソパラフィン 30.00
安息香酸 0.10
香料 適量
精製水 残部
合 計 100.00
【0079】
上記処方により調製された整髪用クリーム及びマッサージクリームをそれぞれ女性10名に使用してもらい、使用感について、しっとり感の観点から官能評価してもらった。官能評価の結果に基づき、以下に示す基準で判定した。
◎;10名中8名以上がしっとり感があると判定
○;10名中5〜7名がしっとり感があると判定
×;10名中4名以下がしっとり感があると判定
【0080】
結果を表13に示す。
【0081】
【表13】
【0082】
(刺激感について)表14の処方に従い、実施例17〜21及び比較例15のマッサージクリームを常法により調製した。
【0083】
【表14】
【0084】
上記6種のマッサージクリームをそれぞれ女性10名に使用してもらい、使用感について、刺激感の観点から官能評価してもらった。官能評価の結果に基づき、以下に示す基準で判定した。
◎;10名中刺激を感じた人はいない
○;10名中1〜3名が刺激を感じると判定
×;10名中4名以上が刺激を感じると判定
【0085】
結果を表15に示す。
【0086】
【表15】
表13及び表15の結果より、1,2−ペンタンジオール,1,2−ヘキサンジオール,1,2−オクタンジオールといった1,2−アルカンジオールが配合されたクリームは保湿力においても優れており、しかも極めて刺激性が低いことがわかる。
【0087】
<処方例>以下、本発明に係る人体施用組成物の処方例を示す。
(処方例1)
化粧水 (重量%)
ポリエチレングリコール1500 2.00
1,2−ヘキサンジオール 2.00
ポリオキシエチレンオレイルエーテル(25E.O25) 1.50
香料 適量
安息香酸ナトリウム 0.10
紫外線吸収剤 適量
精製水 残部
合 計 100.00
【0088】
(処方例2)
シャンプー (重量%)
ラウリルポリオキシエチレン硫酸エステルナトリウム塩 30.00
(30%水溶液)
ラウリル硫酸エステルナトリウム塩(30%水溶液) 10.00
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 4.00
1,2−ペンタンジオール 3.00
香料 適量
色素 適量
フェノキシエタノール 0.15
キレート剤 適量
精製水 残部
合 計 100.00
【0089】
(処方例3)
にきび予防用洗顔剤 (重量%)
ステアリン酸 10.00
パルミチン酸 10.00
ミリスチン酸 12.00
ラウリン酸 4.00
ヤシ油 1.50
ポリオキシエチレンラウリルエーテル 2.00
グリセロールモノステアリン酸エステル 2.00
1,2−オクタンジオール 1.00
グリセリン 10.00
感光素201号 0.001
安息香酸 0.10
キレート剤 適量
香料 適量
色素 適量
精製水 残部
合 計 100.00
【0090】
(処方例4)にきび予防用クリーム (重量%)
ステアリルアルコール 8.00
ステアリン酸 3.00
精製ラノリン 6.00
1,2−ヘキサンジオール 1.00
グリセリン 3.00
モノステアリン酸グリセリン 2.00
ポリオキシエチレンセチルアルコールエーテル 3.00
イソプロピルメチルフェノール 1.00
安息香酸ナトリウム 0.10
香料 適量
酸化防止剤 適量
精製水 残部
合 計 100.00
【0091】
(処方例5)
オレンジジュース
オレンジエッセンス 3.0g
ミカン汁 10.0g
砂糖 110.0g
1,2−ペンタンジオール 2.0g
クエン酸 5.5g
水 2000ml
【0092】
(処方例6)
ケーキ用気泡剤 (重量%)
牛脂モノグリセライド 4.60
ソルビタンモノステアレート 6.90
ポリグリセリンエステル 11.50
70%ソルビトール 30.00
1,2−オクタンジオール 1.00
香料 適量
水 42.00
合 計 100.00
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】試験例2における、混合菌の生菌数の変化を表す図である。
【図2】試験例2における、S.cerevisiaeの生菌数の変化を表す図である。
【図3】試験例2における、A.niger の生菌数の変化を表す図である。
【図4】試験例3における、混合菌の生菌数の変化を表す図である。
【図5】試験例3における、S.cerevisiaeの生菌数の変化を表す図である。
【図6】試験例3における、A.niger の生菌数の変化を表す図である。
【図7】試験例4における、混合菌の生菌数の変化を表す図である。
【図8】試験例4における、S.cerevisiaeの生菌数の変化を表す図である。
【図9】試験例4における、A.niger の生菌数の変化を表す図である。
【図10】試験例5における、混合菌の生菌数の変化を表す図である。
【図11】試験例5における、S.cerevisiaeの生菌数の変化を表す図である。
【図12】試験例5における、A.niger の生菌数の変化を表す図である。
【図13】試験例7における、混合菌の生菌数の変化を表す図である。
【図14】試験例7における、S.cerevisiaeの生菌数の変化を表す図である。
【図15】試験例7における、A.niger の生菌数の変化を表す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は防腐殺菌剤及び人体施用組成物に関し、その目的は、従来より用いられているパラベン、安息香酸等の防腐殺菌剤を排除或いは使用量を軽減することができ、しかも優れた抗菌力を有する防腐殺菌剤及び、従来の防腐殺菌剤の配合量が少ないか或いは全く配合されていない安全性の高い人体施用組成物を提供することにある。尚、本明細書において、人体施用組成物とは、化粧品、医薬品、医薬部外品、食品などの人体の内部又は外部に直接施用する組成物のことである。
【背景技術】
【0002】
従来より化粧品や医薬品、医薬部外品、食品などの人体施用組成物には、防腐殺菌剤として、パラベン、安息香酸及びその塩類、サリチル酸及びその塩類、等が用いられている。しかしながら、上記した従来の防腐殺菌剤は皮膚刺激性が高いなど安全性が低いため、使用濃度範囲が制限されやすいという欠点を有しており、例えば、パラベンや安息香酸塩の使用制限濃度は1%、安息香酸やサリチル酸の使用制限濃度は0.2%とされている。また、pHによる影響を受けやすいため効果の安定性が悪く、更に、界面活性剤などの他の配合成分との併用により、その抗菌力が著しく低下する場合があるという問題点も有している。また、近年これらの防腐殺菌剤に対しアレルギー反応を有する人が増えているため、安全性に対する指向がより高まり、防腐殺菌剤を全く配合していないか、或いはその配合量を軽減させた人体施用組成物の需要が高まっている。
【0003】
そこで、従来の防腐殺菌剤の欠点が克服され、且つ安全性の高い抗菌物質の探索や、防腐殺菌剤の効力を高めることにより防腐殺菌剤の使用量を軽減しようという試みが種々行われている。例えば、複数の防腐殺菌剤を使用し、その相乗効果を利用することにより防腐殺菌剤の使用量を軽減することが行われている。更に、従来の防腐殺菌剤は水相に存在する量により効力が左右されるが、水に対する溶解性が低いものが多いため、1,3−ブチレングリコール,ジプロピレングリコール,グリセリンなどの多価アルコールを添加することにより防腐殺菌剤の水相への分配を高め、防腐殺菌剤の効果を高めることも行われている。
【0004】
しかしながら、1,3−ブチレングリコール,ジプロピレングリコール,グリセリンなどの多価アルコールを従来の防腐殺菌剤と併用することによる、防腐殺菌剤の抗菌力を高める効果は顕著ではなく、また、これらの多価アルコール自体の防腐殺菌作用が発揮されるのは、多量に配合した場合、例えば1,3−ブチレングリコールやジプロピレングリコールでは10%以上配合した場合、グリセリンでは30%以上配合した場合であるため、従来の防腐殺菌剤の使用量の大幅な軽減には至っていない。
【0005】
一方、安全性が高く安定した抗菌性を有する物質として、感光素201号(ピオニン)が優れた抗菌力を有していることが既に報告されている。この感光素201号は水やアルコールに対する溶解度が極めて低いため、感光素201号を防腐殺菌剤として使用する際には、通常、1,3−ブチレングリコール,ジプロピレングリコール,グリセリンなどの多価アルコールが可溶化剤として用いられている。
【0006】
しかしながら、感光素201号を防腐殺菌剤として使用したとしても、従来の防腐殺菌剤の使用量の大幅な軽減、或いは排除には至っていない。つまり、感光素201号は、グラム陰性菌に対する抗菌力が、グラム陽性菌に対する抗菌力に比べてやや弱く、パラベン等の防腐殺菌剤と併用することにより、グラム陰性菌に対する抗菌力も極めて優れたものとなることが報告されているため、通常、感光素201号を使用する際には、パラベン等の従来の防腐殺菌剤が併用されているのが現状であり、従来の防腐殺菌剤の使用量の大幅な軽減、或いは排除には至っていないのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、従来より用いられている防腐殺菌剤を排除或いは使用量を軽減することにより、安全性の高い人体施用組成物を提供することのできる、優れた抗菌力を有する防腐殺菌剤の創出が望まれている。本発明者らは、防腐殺菌剤に関する鋭意研究を行った結果、従来より保湿剤として用いられている1,2−ペンタンジオールの他、1,2−ヘキサンジオールや1,2−オクタンジオール等を含めた炭素数4〜10の1,2−アルカンジオールを、感光素201号の可溶化剤として用いることにより、感光素201号の抗菌力を高めることができ、更には、これらの1,2−アルカンジオール自体が優れた抗菌力を有しており、防腐殺菌剤として人体施用組成物に使用することにより、従来より用いられている防腐殺菌剤の抗菌力を高めて防腐殺菌剤の使用量を大幅に軽減することができるとともに、従来の防腐殺菌剤の排除も可能であることを見出し、本発明の完成に至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、請求項1に係る発明は、炭素数4〜10の1,2−アルカンジオールと、感光素201号を含んでなることを特徴とする防腐殺菌剤に関する。
【0009】
また請求項2に係る発明は、前記1,2−アルカンジオールが1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールのうちの1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の防腐殺菌剤に関する。
【0010】
更に請求項3に係る発明は、防腐殺菌剤として請求項1又は2に記載の防腐殺菌剤を配合したことを特徴とする人体施用組成物に関する。
【発明の効果】
【0011】
以上詳述した如く、請求項1に係る発明は、炭素数4〜10の1,2−アルカンジオールと、感光素201号を含んでなることを特徴とする防腐殺菌剤に関するものであるから、以下のような効果を奏する。
【0012】
即ち、1,2−アルカンジオールは、他の多価アルコールに比べて極めて優れた抗菌力を有しているので、この1,2−アルカンジオールを防腐殺菌剤として、人体施用組成物に配合することにより、従来より用いられている様々な欠点を有した防腐殺菌剤の使用量を軽減或いは排除することができる。このような1,2−アルカンジオールと感光素201号とを組合せ、防腐殺菌剤として使用することにより、1,2−アルカンジオールが感光素201号の可溶化剤となるだけでなく、相乗効果によりそれぞれの抗菌力が高められるので、やはり従来より用いられている防腐殺菌剤の使用量を軽減或いは排除することができる。また、1,2−アルカンジオールは安全性が高く保湿性においても優れている。従って、防腐殺菌性が付与され、且つ安全性が高く使用感において優れた人体施用組成物を提供することができる。
【0013】
また請求項2に係る発明は、前記1,2−アルカンジオールが1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールのうちの1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の防腐殺菌剤に関するものであるから、以下のような効果を奏する。
【0014】
即ち、1,2−アルカンジオールは、他の多価アルコールに比べて極めて優れた抗菌力を有しており、特に1,2−ペンタンジオールは一般細菌に対して、1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールは更に酵母やカビに対しても優れた防腐殺菌効果を発揮するので、これらの1,2−アルカンジオールを防腐殺菌剤として、人体施用組成物に配合することにより、従来より用いられている様々な欠点を有した防腐殺菌剤の使用量をより軽減或いは排除することができる。
【0015】
更に請求項3に係る発明は、防腐殺菌剤として請求項1又は2に記載の防腐殺菌剤を配合したことを特徴とする人体施用組成物に関するものであるから、防腐殺菌性が高く、しかも安全性及び使用感においても優れているという効果を奏する。
なお、1,2−アルカンジオールと、安息香酸及びその塩,フェノキシエタノール,4−イソプロピル−3−メチルフェノールなどの、従来より用いられている防腐殺菌剤とを組み合わせて防腐殺菌剤として使用することにより、相乗効果によりそれぞれの抗菌力が向上するので、従来より用いられている防腐殺菌剤の使用量を大幅に軽減することができる。また、前記フェノキシエタノールの配合量が、組成物中0.2重量%未満である人体施用組成物とすれば、皮膚に対する刺激性がなく、使用感が極めて良いという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
上述した如く、本発明者らは、人体施用組成物の防腐殺菌剤として、炭素数4〜10の1,2−アルカンジオールと感光素201号を用いることにより、従来より用いられている防腐殺菌剤を排除或いは使用量を軽減することができることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明においては、炭素数4〜10の1,2−アルカンジオールと感光素201号が防腐殺菌剤とされる。
【0017】
1,2−アルカンジオールは次式1(化1)で示される物質で、具体的には、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ノナンジオール、1,2−デカンジオールである(但し、式1中nは1〜7の整数を示す)。
【0018】
【化1】
【0019】
特に、後記する試験例からも明らかなように、次式2(化2)で示される1,2−ペンタンジオールは、一般細菌に対して優れた抗菌作用を示し、次式3(化3)で示される1,2−ヘキサンジオール及び次式4(化4)で示される1,2−オクタンジオールは、一般細菌、酵母やカビなどの真菌類に対しても優れた抗菌作用を示すため好ましく用いられる。また、これらの1,2−アルカンジオールのうちの1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いることも勿論可能である。
【0020】
【化2】
【0021】
【化3】
【0022】
【化4】
【0023】
上記した1,2−アルカンジオールのうち、1,2−ペンタンジオールは従来より化粧品の基剤として広く用いられているポリオールの1種であり、安全性が高く水に易溶であるため、保湿剤,安定化剤,分散剤,溶剤などとして用いられている。従って、1,2−ペンタンジオールを用いることにより保湿力も高められるため、しっとり感において優れた製剤とすることができる。また後記する試験例からも明らかなように、1,2−ヘキサンジオールや1,2−オクタンジオール等の他の多価アルコールを用いた場合にも、同様にしっとり感において優れた製剤とすることができる。
【0024】
1,2−アルカンジオールは、後記する安全性テストの結果からも明らかな如く、極めて安全性が高いため、人体施用組成物に20重量%まで配合することができる。但し、0.05重量%より少ないと、1,2−アルカンジオール配合による防腐殺菌効果が十分発揮されないため、組成物中の配合率は0.05〜20重量%とされ、特に1,2−ペンタンジオールを用いる場合には1〜10重量%とするのが望ましい。
【0025】
1,2−アルカンジオールは、前述したように、優れた抗菌力を有しているが、その抗菌力を、後記する試験例における最小発育阻止濃度(以下、MICと称す)の結果から、パラベン,安息香酸塩等の防腐殺菌剤と比べると、1,2−アルカンジオールのMICは、パラベン,安息香酸塩等の防腐殺菌剤のMICよりも大きく、つまり、1,2−アルカンジオールの抗菌力はパラベン,安息香酸塩等の防腐殺菌剤に比べると小さい。しかしながら、1,2−アルカンジオールは、後記する安全性テストの結果からも明らかなように、安全性が極めて高いため、人体施用組成物中20重量%まで配合することができる。即ち、抗菌力が小さくても配合量を増すことで十分な抗菌力を発揮することができるので、結果的に、1,2−アルカンジオールを用いることにより、従来より用いられている防腐殺菌剤の使用量を軽減することができるか、或いはこれを全く使用せずに人体施用組成物に十分な抗菌性を付与することが可能となり、安全性及び抗菌性において優れた人体施用組成物を提供することができる。
【0026】
また、1,2−アルカンジオールは、感光素201号(ピオニン)と組み合わせて防腐殺菌剤とする。この感光素201号は、次式5(化5)で示される黄色の結晶粉末で、安全性が高く優れた抗菌性を有しているため、従来より人体施用組成物の防腐殺菌剤として使用されている。
【0027】
【化5】
【0028】
感光素201号は水やアルコールに対する溶解性が極めて低いため、化粧品等に配合する場合には、通常、可溶化剤が用いられるが、抗菌力を有する1,2−アルカンジオールと併用すると、1,2−アルカンジオールが感光素201号の可溶化剤となるとともに、相乗効果によりそれぞれの抗菌力が高められる。従って、従来は感光素201号を使用する際には、可溶化剤に加えてパラベン等の防腐殺菌剤が併用される場合が多かったが、1,2−アルカンジオールを併用することにより、パラベン等の防腐殺菌剤の使用量を軽減することができ、またパラベン等の従来の防腐殺菌剤を全く使用することなく、十分な防腐殺菌作用を発現させることも可能となる。更に、感光素201号の使用量を軽減することもできるので、人体施用組成物中の感光素201号の配合量を0.002重量%未満としても、十分に優れた防腐殺菌効果を発揮することができる。尚、感光素201号の可溶化剤には従来より使用されているものを用い、1,2−アルカンジオールは防腐殺菌剤として配合することも、勿論可能である。
【0029】
本発明においては、前記1,2−アルカンジオールと、次式6(化6)で示される安息香酸及びその塩、次式7(化7)で示されるフェノキシエタノール、次式8(化8)で示される4−イソプロピル−3−メチルフェノールなどの、従来より用いられている防腐殺菌剤とを組み合わせて使用することも可能である(但し、式6中RはH又はNaを示す)。
【0030】
【化6】
【0031】
【化7】
【0032】
【化8】
【0033】
1,2−アルカンジオールと従来の防腐殺菌剤を併用した場合には、相乗効果によりそれぞれの抗菌力が高められ、一般細菌,真菌の種類を問わず、あらゆる種類の菌に対して優れた防腐殺菌作用が発揮される。例えば、1,2−ペンタンジオールは、単独で用いた際には、一般細菌に対しては優れた防腐殺菌作用を発揮するものの、真菌に対しては防腐殺菌作用を殆ど発揮しないが、従来の防腐殺菌剤を併用した場合には、真菌に対しても優れた防腐殺菌作用が発揮される。従って、従来より用いられている防腐殺菌剤の使用量を大幅に軽減することができ、安全性に優れた人体施用組成物を提供することができる。
【0034】
安息香酸及びその塩やフェノキシエタノール,4−イソプロピル−3−メチルフェノールといった従来の防腐殺菌剤と、1,2−アルカンジオールとを組み合わせて使用する場合、安息香酸及びその塩やフェノキシエタノール,4−イソプロピル−3−メチルフェノールの配合量は特に限定されず、使用制限濃度以下とすればよい。但し、人体施用組成物に配合した際に、フェノキシエタノールの配合量が組成物中0.2重量%以上になると、皮膚に対する刺激性が強くなり、使用感が劣化するので、フェノキシエタノールの配合量は、組成物中0.2重量%未満とするのが好ましい。尚、フェノキシエタノールの配合量を、組成物中0.2重量%未満としても、1,2−アルカンジオールとの併用により、それぞれの防腐力が高められているので、十分に優れた防腐殺菌効果を発揮することができる。
【0035】
本発明に係る人体施用組成物は、防腐殺菌剤として、上記した1,2−アルカンジオールと感光素201号を含み、安息香酸及びその塩、フェノキシエタノール、4−イソプロピル−3−メチルフェノールなどが適宜配合されてなる組成物である。例えば、洗顔料,化粧水,乳液,クリーム,シャンプー,ヘアトリートメントなどの皮膚用及び毛髪用化粧品、しみやそばかすの予防など特定の使用目的を有した薬用化粧品(医薬部外品)、にきびの治療などを目的とした医薬品、更には食品などに上記防腐殺菌剤を配合し、本発明に係る人体施用組成物とすることができる。
【0036】
本発明において用いられる1,2−アルカンジオールは、前述した如く、極めて安全性の高い物質である。以下、1,2−アルカンジオールの安全性について、テスト結果に基づいて説明する。
【0037】
(毒性テスト)雌雄5匹ずつ、計10匹のラットを用いて、1,2−ペンタンジオールの経口急性毒性テスト及び経皮急性毒性テストを行った結果、50%致死量(LD50)は、経口投与の場合で5000mg/Kg、経皮投与の場合で2000mg/Kgであった。
【0038】
(刺激性テスト)1,2−ペンタンジオール,1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールそれぞれの急性皮膚刺激性テストを、各試料に対して雌雄3匹ずつ、計6匹のウサギを用いて行い、急性眼刺激性テストを、各試料に対して6匹の雄のウサギ及び3匹の雌のウサギを用いて行った結果、いずれの試料についても皮膚及び眼に対する刺激は殆どなかった。また、雌雄10匹ずつ、計20匹のモルモットによる皮膚感作テストにおいても、皮膚に対する刺激は殆どなかった。
【0039】
更に、1,2−ペンタンジオール,1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールに関する、ヒトによる皮膚適合性テスト,変異原性試験,パッチテストの結果は全て陰性であった。以上の安全性テストの結果から、1,2−ペンタンジオール,1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールをはじめとする1,2−アルカンジオールは極めて安全性の高い物質であると言える。
【0040】
<試験例>以下、本発明を試験例に基づき詳細に説明する。
〔試験例1;最小生育阻止濃度(MIC)の測定〕1,2−アルカンジオールである、1,2−ペンタンジオール,1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオール、更に、1,2−アルカンジオールと同じく多価アルコールの1種である1,3−ブチレングリコール,ジプロピレングリコール,グリセリンのMICを測定することにより、1,2−アルカンジオールの抗菌力を評価した。
【0041】
(試験方法)上記6種の多価アルコールそれぞれについて12%水溶液及び8%水溶液を調製し、それぞれの2倍の段階希釈系列を作成した。(12,6,3,1.5,0.75......%及び、8,4,2,1,0.5......%)供試菌としてはEscherichia coli IFO3972(大腸菌)及びStaphylococcus aureus IFO13276(黄色ブドウ状球菌)を用い、これらの菌をブイヨン培地で約20時間、前培養した培養液を108cells/mlと仮定して、約105cells/mlに希釈したものを菌懸濁液とした。尚、菌数はコロニーカウント法により確認した。乾熱滅菌済みの15ml容試験管に、各種濃度に調整した試料溶液とSCD培地をそれぞれ1.4mlずつ入れた。これに、103cells/mlとなるように菌懸濁液70μlを接種し、35℃で24時間培養を行った。菌の増殖を目視にて判断し、完全に菌の増殖が阻止された最低濃度をMIC値とした。
【0042】
結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
表1の結果より、1,2−ペンタンジオールは2〜5%で、1,2−ヘキサンジオールは0.75〜3%で、1,2−オクタンジオールは0.15〜0.3%でE.coli及びS.aureusの増殖を抑制するのに対し、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンの3種の多価アルコールは6%でも菌の増殖を抑制しないことがわかる。つまり、1,2−ペンタンジオール,1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオール等の1,2−アルカンジオールは、他の多価アルコールに比べて極めて優れた抗菌力を有していると言える。従って、1,2−アルカンジオールを防腐殺菌剤として人体施用組成物に配合することにより、従来の防腐殺菌剤を排除或いは使用量を軽減しても人体施用組成物に十分な防腐性を付与することができ、安全性の高い人体施用組成物を得ることができる。
【0045】
〔試験例2;製剤中における防腐力試験1〕1,2−ペンタンジオール,1,2−ヘキサンジオール,1,2−オクタンジオール,1,3−ブチレングリコール,ジプロピレングリコール及びグリセリンを配合したクリームを調製し、チャレンジテストにより防腐力を評価した。
【0046】
(試験方法)先ず、表2の処方により実施例1〜3及び比較例1〜3のクリームを調製した。
【0047】
【表2】
【0048】
供試菌には、一般細菌としてEscherichia coli IFO3972(大腸菌)、Staphylococcus aureus IFO13276(黄色ブドウ状球菌)、Bacillus subtilis IFO12210(枯草菌)の混合菌液を用いた。また、酵母としてSaccharomyces cerevisiae IFO0234(ビール酵母)を、カビとしてAspergillus niger IFO9455 (クロカビ)を用いた。これらの菌を予め前培養した培養液を、一般細菌の混合菌は約108cells/mlに、S.cerevisiaeは約107cells/mlに、A.nigerは約106cells/mlに希釈したものを菌懸濁液とした。尚、菌数はコロニーカウント法により確認した。
【0049】
乾熱滅菌済みのガラス容器に、実施例1〜3或いは比較例1〜3のクリームを20g入れ、上記菌懸濁液を0.2ml接種して、混合菌は35℃で、S.cerevisiae及びA.niger は25℃で培養を行った。混合菌、S.cerevisiaeについては接種後1,7日後に、A.nigerについては7,14,21日後に、各試料を1gずつ抜き取り、生理食塩水で希釈したものを寒天培地に混釈して48時間培養し、試料中の残存菌数を算出した。尚、A.niger に関しては、完全に死滅したことを確認した後の測定は省略した。
【0050】
結果を表3及び図1〜図3に示す。
【0051】
【表3】
尚、表3中1,2−PDは1,2−ペンタンジオールを、1,2−HDは1,2−ヘキサンジオールを、1,2−ODは1,2−オクタンジオールを、1,3−BGは1,3−ブチレングリコールを、DPGはジプロピレングリコールを示し、*は測定を省略したことを示す。(以下、表5,7,9,10,12に関しても同じ)
また図1は混合菌の生菌数の変化を表す図、図2はS.cerevisiaeの生菌数の変化を表す図、図3はA.niger の生菌数の変化を表す図であり、図中○印の折れ線が実施例1の結果、□印の折れ線が実施例2の結果、△印の折れ線が実施例3の結果、■印の折れ線が比較例1の結果、▲印の折れ線が比較例2の結果、●印の折れ線が比較例3の結果である。
【0052】
表3及び図1〜図3の結果より、1,2−ペンタンジオールは一般細菌及び酵母に対しては経時的に菌数の減少を伴い、十分な防腐力を示すが、カビに対しては防腐力は殆ど認められず、1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールは、一般細菌,酵母及びカビのいずれに対しても十分な防腐力を示すことがわかる。一方、他の多価アルコールは、一般細菌、酵母、カビのいずれに対しても防腐力を殆ど示さないことがわかる。即ち、従来の防腐殺菌剤を全く使用せず、1,2−ペンタンジオールのみを防腐殺菌剤として使用しても、一般細菌及び酵母に対しては優れた防腐力が発揮され、1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールを防腐殺菌剤として使用した場合には、更にカビに対しても優れた防腐力が発揮される。従って、これらの1,2−アルカンジオールを防腐殺菌剤として使用することにより、従来の防腐殺菌剤を排除することができ、安全性の高い人体施用組成物を得ることができる。
【0053】
〔試験例3;製剤中における防腐力試験2〕次に、表4の処方により実施例4〜7及び比較例4〜6のクリームを調製し、上記試験例2と同様のチャレンジテストを行って、1,2−アルカンジオールとフェノキシエタノールを併用した場合の防腐力を評価した。
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
図4は混合菌の生菌数の変化を表す図、図5はS.cerevisiaeの生菌数の変化を表す図、図6はA.nigerの生菌数の変化を表す図である。但し、図中○印の折れ線が実施例4の結果、□印の折れ線が実施例5の結果、△印の折れ線が実施例6の結果、▲印の点線折れ線が実施例7の結果、■印の折れ線が比較例4の結果、●印の折れ線が比較例5の結果である。
【0056】
表5及び図4〜図6の結果より、比較例4及び5のようにグリセリンとフェノキシエタノールを併用した場合には、フェノキシエタノールを0.5重量%配合しても、一般細菌に対しては殆ど防腐効果を発揮しないが、実施例4及び7のように1,2−ペンタンジオールとフェノキシエタノールを併用すると、フェノキシエタノールの使用量を軽減しても、一般細菌に対して優れた防腐力を発揮し、酵母に対しても、同程度もしくは同程度以上の防腐力を発揮することがわかる。また実施例5及び6のように、1,2−ヘキサンジオール又は1,2−オクタンジオールとフェノキシエタノールを併用すると、一般細菌,酵母,カビの全ての菌種に対して防腐力の向上が見られ、比較例5のようにフェノキシエタノールを0.5重量%配合した場合よりも顕著に防腐力が勝っていることがわかる。
【0057】
〔試験例4;製剤中における防腐力試験3〕表6の処方により実施例8〜10及び比較例7〜9のクリームを調製し、上記試験例2と同様のチャレンジテストを行って、1,2−アルカンジオールと安息香酸ナトリウムを併用した場合の防腐力を評価した。
【0058】
【表6】
【0059】
結果を表7及び図7〜図9に示す。尚、比較例9については多価アルコールを配合していないため、成分が分散せず、結果を得ることができなかったので、実施例8〜10及び比較例7〜8のクリームについての結果を示す。
【0060】
【表7】
図7は混合菌の生菌数の変化を表す図、図8はS.cerevisiaeの生菌数の変化を表す図、図9はA.nigerの生菌数の変化を表す図である。但し、図中○印の折れ線が実施例8の結果、□印の折れ線が実施例9の結果、△印の折れ線が実施例10の結果、■印の折れ線が比較例7の結果、●印の折れ線が比較例8の結果である。
【0061】
表7及び図7〜図9の結果より、比較例7及び8のようにグリセリンと安息香酸ナトリウムを併用した場合には、安息香酸ナトリウムを0.3重量%配合しても、一般細菌,酵母,カビのいずれの菌種に対しても防腐効果を示さなかったのに対し、実施例8のように1,2−ペンタンジオールと安息香酸ナトリウムを併用すると、安息香酸ナトリウムの使用量を軽減しても、一般細菌に対して優れた防腐力を発揮することがわかる。また、実施例9及び10のように、1,2−ヘキサンジオール又は1,2−オクタンジオールと安息香酸ナトリウムを併用すると、一般細菌,酵母,カビの全ての菌種に対して防腐力の向上が見られ、比較例8のように安息香酸ナトリウムを0.3重量%配合した場合よりも顕著に防腐力が勝っていることがわかる。
【0062】
〔試験例5;製剤中における防腐力試験4〕表8の処方により実施例11〜13及び比較例10〜12のクリームを調製し、上記試験例2と同様のチャレンジテストを行い、1,2−アルカンジオールと4−イソプロピル−3−メチルフェノールとを併用した場合の防腐力を評価した。
【0063】
【表8】
【0064】
結果を表9及び図10〜図12に示す。尚、比較例12については多価アルコールを配合していないため、成分が分散せず、結果を得ることができなかったので、実施例11〜13及び比較例10〜11のクリームについての結果を示す。
【0065】
【表9】
図10は混合菌の生菌数の変化を表す図、図11はS.cerevisiaeの生菌数の変化を表す図、図12はA.niger の生菌数の変化を表す図である。但し、図中○印の折れ線が実施例11の結果、□印の折れ線が実施例12の結果、△印の折れ線が実施例13の結果、■印の折れ線が比較例10の結果、●印の折れ線が比較例11の結果である。
【0066】
表9及び図10〜図12の結果より、比較例10〜11のようにグリセリンと4−イソプロピル−3−メチルフェノールを併用した場合には、4−イソプロピル−3−メチルフェノールを0.1重量%配合しても、一般細菌,酵母,カビのいずれの菌種に対しても防腐効果を示さなかったのに対し、実施例11のように1,2−ペンタンジオールと4−イソプロピル−3−メチルフェノールを併用すると、4−イソプロピル−3−メチルフェノールの使用量を軽減しても、一般細菌に対して優れた防腐力を発揮することがわかる。また、実施例12及び13のように、1,2−ヘキサンジオール又は1,2−オクタンジオールと4−イソプロピル−3−メチルフェノールを併用すると、一般細菌,酵母,カビの全ての菌種に対して防腐力の向上が見られ、比較例11のように4−イソプロピル−3−メチルフェノールを0.1重量%配合した場合よりも顕著に防腐力が勝っていることがわかる。更に4−イソプロピル−3−メチルフェノールと1,2−アルカンジオールとを併用した場合には、比較例12のように4−イソプロピル−3−メチルフェノールを単独で使用する場合よりも4−イソプロピル−3−メチルフェノールの使用量を軽減しても、より優れた防腐力を発揮できることがわかる。
【0067】
〔試験例6;感光素201号との併用試験1〕感光素201号の可溶化剤として、1,2−ペンタンジオール或いは1,3−ブチレングリコールを用いた場合の抗菌力を測定した。
【0068】
(試験方法)先ず、1,2−ペンタンジオール或いは1,3−ブチレングリコールを用いて感光素201号を可溶化し、4種類の試料溶液を調製した。供試菌としては、Escherichia coli IFO3972(大腸菌)、Staphylococcus aureus 209P(黄色ブドウ状球菌)、病原菌であるMRSA OJ 51、及びAspergillus niger(クロカビ)を用いた。熱測定セルを兼ねる30ml容バイアル瓶に各種濃度の試料を含む液体培地10mlを入れ、次に、接種菌数が106cell/mlとなるように菌懸濁液を接種した。これを30℃に保たれた熱量計に設置し、微生物の増殖に伴う熱生成シグナルを観測した。観測された熱生成シグナルから、アルゴリズムにより50%発育阻止濃度(Ki)及び100%発育阻止濃度(MIC)を算出した。結果を表10に示す。
【0069】
【表10】
【0070】
表10の結果より、感光素201号の可溶化剤として、1,2−ペンタンジオール等の1,2−アルカンジオールを用いると、感光素201号の抗菌力を高めることができ、可溶化剤として1,3−ブチレングリコールを用いた場合よりも優れた抗菌性を示すことがわかる。従って、従来の防腐殺菌剤の使用量を軽減しても、あるいは全く使用しなくても十分な抗菌力を得ることができる。
【0071】
〔試験例7;感光素201号との併用試験2〕表11の処方により実施例14〜16及び比較例13〜14のクリームを調製し、上記試験例2と同様のチャレンジテストを行い、1,2−アルカンジオールと感光素201号を併用した場合の防腐力を評価した。
【0072】
【表11】
【0073】
結果を表12及び図13〜図15に示す。
【0074】
【表12】
図13は混合菌の生菌数の変化を表す図、図14はS.cerevisiaeの生菌数の変化を表す図、図15はA.niger の生菌数の変化を表す図である。但し、図中○印の折れ線が実施例14の結果、□印の折れ線が実施例15の結果、△印の折れ線が実施例16の結果、■印の折れ線が比較例13の結果、●印の折れ線が比較例14の結果である。
【0075】
表12及び図13〜図15の結果より、比較例13及び14のようにグリセリンと感光素201号を併用した場合には、一般細菌に対しては、十分な防腐効果を示すが、酵母及びカビに対しては、感光素201号を0.002重量%配合しても、全く防腐効果を示さないのに対し、実施例14〜16のように1,2−アルカンジオールと感光素201号を併用すると、酵母及びカビに対しても優れた防腐力を発揮することがわかる。従って、感光素201号と1,2−アルカンジオールとを併用することにより、感光素201号の使用量を軽減しても、十分な防腐力を発揮することができ、安全性の高い人体施用組成物を得ることができる。
【0076】
以上試験例1〜7の結果から、炭素数4〜10の1,2−アルカンジオールを用いることにより、従来より用いられている防腐殺菌剤を排除或いは使用量を軽減しても、人体施用組成物に十分な抗菌性を付与することができることは明らかであり、安全性及び抗菌性において優れた人体施用組成物を提供することができる。
【0077】
〔試験例8;使用感評価〕次に、整髪用クリーム及びマッサージクリームを用いて使用感の評価を行った。
(しっとり感について)以下の処方に従い、多価アルコールとして、1,2−ペンタンジオール,1,2−ヘキサンジオール,1,2−オクタンジオール,或いはグリセリンが配合された整髪用クリームを、常法により調製した。
整髪用クリーム (重量%)
メチルポリシロキサン 5.00
パラフィン 10.00
モノステアリン酸POEソルビタン 3.30
カルボキシビニルポリマー 0.22
トリエタノールアミン 0.20
多価アルコール 5.00
安息香酸 0.10
香料 適量
紫外線吸収剤 適量
精製水 残部
合 計 100.00
【0078】
また、以下の処方に従い、多価アルコールとして、1,2−ペンタンジオール,1,2−ヘキサンジオール,1,2−オクタンジオール,或いはグリセリンが配合されたマッサージクリームを、常法により調製した。
マッサージクリーム (重量%)
ミツロウ 15.00
流動パラフィン 30.00
モノステアリン酸POEソルビタン 3.30
モノステアリン酸ソルビタン 3.30
カルボキシビニルポリマー 0.02
トリエタノールアミン 0.15
多価アルコール 3.00
流動イソパラフィン 30.00
安息香酸 0.10
香料 適量
精製水 残部
合 計 100.00
【0079】
上記処方により調製された整髪用クリーム及びマッサージクリームをそれぞれ女性10名に使用してもらい、使用感について、しっとり感の観点から官能評価してもらった。官能評価の結果に基づき、以下に示す基準で判定した。
◎;10名中8名以上がしっとり感があると判定
○;10名中5〜7名がしっとり感があると判定
×;10名中4名以下がしっとり感があると判定
【0080】
結果を表13に示す。
【0081】
【表13】
【0082】
(刺激感について)表14の処方に従い、実施例17〜21及び比較例15のマッサージクリームを常法により調製した。
【0083】
【表14】
【0084】
上記6種のマッサージクリームをそれぞれ女性10名に使用してもらい、使用感について、刺激感の観点から官能評価してもらった。官能評価の結果に基づき、以下に示す基準で判定した。
◎;10名中刺激を感じた人はいない
○;10名中1〜3名が刺激を感じると判定
×;10名中4名以上が刺激を感じると判定
【0085】
結果を表15に示す。
【0086】
【表15】
表13及び表15の結果より、1,2−ペンタンジオール,1,2−ヘキサンジオール,1,2−オクタンジオールといった1,2−アルカンジオールが配合されたクリームは保湿力においても優れており、しかも極めて刺激性が低いことがわかる。
【0087】
<処方例>以下、本発明に係る人体施用組成物の処方例を示す。
(処方例1)
化粧水 (重量%)
ポリエチレングリコール1500 2.00
1,2−ヘキサンジオール 2.00
ポリオキシエチレンオレイルエーテル(25E.O25) 1.50
香料 適量
安息香酸ナトリウム 0.10
紫外線吸収剤 適量
精製水 残部
合 計 100.00
【0088】
(処方例2)
シャンプー (重量%)
ラウリルポリオキシエチレン硫酸エステルナトリウム塩 30.00
(30%水溶液)
ラウリル硫酸エステルナトリウム塩(30%水溶液) 10.00
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 4.00
1,2−ペンタンジオール 3.00
香料 適量
色素 適量
フェノキシエタノール 0.15
キレート剤 適量
精製水 残部
合 計 100.00
【0089】
(処方例3)
にきび予防用洗顔剤 (重量%)
ステアリン酸 10.00
パルミチン酸 10.00
ミリスチン酸 12.00
ラウリン酸 4.00
ヤシ油 1.50
ポリオキシエチレンラウリルエーテル 2.00
グリセロールモノステアリン酸エステル 2.00
1,2−オクタンジオール 1.00
グリセリン 10.00
感光素201号 0.001
安息香酸 0.10
キレート剤 適量
香料 適量
色素 適量
精製水 残部
合 計 100.00
【0090】
(処方例4)にきび予防用クリーム (重量%)
ステアリルアルコール 8.00
ステアリン酸 3.00
精製ラノリン 6.00
1,2−ヘキサンジオール 1.00
グリセリン 3.00
モノステアリン酸グリセリン 2.00
ポリオキシエチレンセチルアルコールエーテル 3.00
イソプロピルメチルフェノール 1.00
安息香酸ナトリウム 0.10
香料 適量
酸化防止剤 適量
精製水 残部
合 計 100.00
【0091】
(処方例5)
オレンジジュース
オレンジエッセンス 3.0g
ミカン汁 10.0g
砂糖 110.0g
1,2−ペンタンジオール 2.0g
クエン酸 5.5g
水 2000ml
【0092】
(処方例6)
ケーキ用気泡剤 (重量%)
牛脂モノグリセライド 4.60
ソルビタンモノステアレート 6.90
ポリグリセリンエステル 11.50
70%ソルビトール 30.00
1,2−オクタンジオール 1.00
香料 適量
水 42.00
合 計 100.00
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】試験例2における、混合菌の生菌数の変化を表す図である。
【図2】試験例2における、S.cerevisiaeの生菌数の変化を表す図である。
【図3】試験例2における、A.niger の生菌数の変化を表す図である。
【図4】試験例3における、混合菌の生菌数の変化を表す図である。
【図5】試験例3における、S.cerevisiaeの生菌数の変化を表す図である。
【図6】試験例3における、A.niger の生菌数の変化を表す図である。
【図7】試験例4における、混合菌の生菌数の変化を表す図である。
【図8】試験例4における、S.cerevisiaeの生菌数の変化を表す図である。
【図9】試験例4における、A.niger の生菌数の変化を表す図である。
【図10】試験例5における、混合菌の生菌数の変化を表す図である。
【図11】試験例5における、S.cerevisiaeの生菌数の変化を表す図である。
【図12】試験例5における、A.niger の生菌数の変化を表す図である。
【図13】試験例7における、混合菌の生菌数の変化を表す図である。
【図14】試験例7における、S.cerevisiaeの生菌数の変化を表す図である。
【図15】試験例7における、A.niger の生菌数の変化を表す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式1(化1)で示される1,2−アルカンジオールと、次式2(化2)で示される感光素201号を含んでなることを特徴とする防腐殺菌剤(但し、式1中nは1〜7の整数を示す)。
【化1】
【化2】
【請求項2】
前記1,2−アルカンジオールが次式3(化3)で示される1,2−ペンタンジオール、次式4(化4)で示される1,2−ヘキサンジオール、次式5(化5)で示される1,2−オクタンジオールのうちの1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の防腐殺菌剤。
【化3】
【化4】
【化5】
【請求項3】
防腐殺菌剤として請求項1又は2に記載の防腐殺菌剤を配合したことを特徴とする人体施用組成物。
【請求項1】
次式1(化1)で示される1,2−アルカンジオールと、次式2(化2)で示される感光素201号を含んでなることを特徴とする防腐殺菌剤(但し、式1中nは1〜7の整数を示す)。
【化1】
【化2】
【請求項2】
前記1,2−アルカンジオールが次式3(化3)で示される1,2−ペンタンジオール、次式4(化4)で示される1,2−ヘキサンジオール、次式5(化5)で示される1,2−オクタンジオールのうちの1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の防腐殺菌剤。
【化3】
【化4】
【化5】
【請求項3】
防腐殺菌剤として請求項1又は2に記載の防腐殺菌剤を配合したことを特徴とする人体施用組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−269813(P2007−269813A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157955(P2007−157955)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【分割の表示】特願平11−45504の分割
【原出願日】平成11年2月23日(1999.2.23)
【出願人】(000155908)株式会社林原生物化学研究所 (168)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【分割の表示】特願平11−45504の分割
【原出願日】平成11年2月23日(1999.2.23)
【出願人】(000155908)株式会社林原生物化学研究所 (168)
【Fターム(参考)】
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