説明

防食加工され、特に極めて光沢のある支持体を、このように防食加工された支持体とともに製造する方法

本発明は、少なくとも部分的に防食加工され、特に光沢のある、金属及び/又は非金属支持体の製造方法であって、a)支持体に、少なくとも部分的に被覆され得る少なくとも1つの面を設ける段階と、b)第1の金属、第1の貴金属又は第1の金属合金を含む少なくとも1層の金属保護層と、第2の金属、第2の貴金属及び/又は第2の金属合金の少なくとも1種の酸、酸化物、複酸化物、酸化物水和物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、炭化物、窒化炭素、ホウ化物、ケイ化物、オキシハロゲン化物及び/又は塩と、を付与する段階と、を含む製造方法に関する。更に本発明は、少なくとも部分的に防食加工され、特に、光沢の在る支持体であって、支持体と、第1の金属、第1の貴金属又は第1の金属合金及び第2の金属、第2の貴金属及び/又は第2の金属合金の少なくとも1種の酸、酸化物、複酸化物、酸化物水和物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、炭化物、窒化炭素、ホウ化物、ケイ化物、オキシハロゲン化物、特にオキシフッ化物及び/又は塩を含む少なくとも1層の金属保護層と、を含む支持体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防食加工され、特に極めて光沢のある金属又は非金属の支持体を、防食加工され、特に極めて光沢のある金属又は非金属の支持体とともに製造する方法、及びその支持体の利用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
支持体に金属効果を与えるために支持体を視覚的に改良することは、これまで知られてきた。そこでは、少なくとも1層の金属層を含み、互いに極めて異なる複数の層が、種々の順序で支持体に付与される。金属層で被覆される支持体にとって必須の条件はすぐれた耐食性と好ましい外観であることから、被覆支持体は、例えば完全な金属又はクロムでメッキされた支持体とされている。自動車産業においては、例えば車輪又は車輪のリム、特に軽金属の車輪又は軽金属の車輪のリムを製造する場合、被覆支持体が光沢を有し、クロムの外観を有することが特に重要である。
【0003】
例えば、軽金属の車輪のリムをガルヴァーニ電気でクロムメッキする方法が従来より知られている。この方法によれば、わずか千分の数ミリメートル厚さのクロム層が軽金属の車輪のリムに付与される。支持体表面の凹凸が再生させるのを完全に回避するためには、ガルヴァーニ電気被覆を行う前に車輪のリムの研磨および艶出しを行い十分に仕上げする必要がある。さもなければ、全ての細孔、引っ掻き傷やムラが被覆された車輪のリム上にはっきりと見えてしまう。支持体の研磨、艶出しおよび仕上げの工程は極めて複雑であり、支持体の形状に拘わらず、多大な労力を必要とする。更に、ガルヴァーニ電気法それ自体は、作業上の安全性の観点からみて困難な作業であり、正確に行われない場合は環境に悪影響を及ぼす場合がある。ガルヴァーニ電気によって付与されたクロム面に傷が付くと直ぐに、公知の接触腐食が生じる。一般に道路用塩が溶けて含まれている雨水や雪解け水等の影響により、支持体のうちより貴重な部分(この場合、保護層としてのクロム)とより貴重でない金属(例えばアルミニウム又はマグネシウム合金)との間に電界系が生成される。これにより、より貴重性の低い金属が分解する。結果として、例えば、状態のよくない車輪のリムに粒間腐食が生じると激しく損傷する場合があり、そして、使用中の動荷重下におかれた車輪のリムの外観及び安定性レベルの両方において重大な影響をもたらすことがあり得る。更に、ガルヴァーニ電気被覆法の短所として、ガルヴァーニ電気により付与されるクロム層の膨張係数が、クロム層の下側にある支持体材料の膨張係数と異なる場合が多いという点がある。その結果、引張が生じ、亀裂や剥離にすらつながる可能性がある。
【0004】
また、高真空下でのカソード噴霧(スパッタリング)によりクロムを車輪のリムに堆積させる被覆法も、従来より知られている。かかる方法は、高電圧下で行われる。しかしながら、スパッタリング法で被覆された軽金属の車輪のリムは、ガルヴァーニ電気によるクロムメッキ車輪のリムと同じ外観とならないのが通常である。つまり、金属質で光沢のある外観よりもむしろ黒色クロム調の外観を有し、それゆえにガルヴァーニ電気により被覆されるクロム面と同等であるとは決していえない暗色の表面を有する。いわゆる“黒色クロム面”は、例えば、光沢のあるあらゆる衛生部材に不向きである。更に、スパッタリングクロム被覆法によって製造された軽金属車輪のリムは、自動車産業で最低基準として規定される試験要件、例えばドイツ工業規格EN ISO2409に準拠するグリッド切断試験、ドイツ工業規格50021−CASS(240時間)に準拠する塩噴霧試験(塩化銅/酢酸)、ドイツ工業規格50017KKに準拠する凝縮水一定環境試験及びVDA621−412に準拠する化学物質耐性試験を満たさない。
【0005】
支持体に金属質の外観を付与するために強力な接着剤で支持体を被覆する方法がDE10210269A1により知られている。この方法では、最初に下塗り層を支持体に付与して乾燥させた後、この下塗り層を無機結合剤で処理する。次いで、銀層を付与する。最後に、付与された層を保護ラッカーで被覆する。かかる方法を用いて被覆された支持体では、完全に封止されていない保護ラッカーを介して銀層の酸化が比較的迅速に生じる。これにより、銀層の支持体に対する接着力が失われ、最終的には黄変を引き起こす。
【0006】
金属部品の防食加工を十分に達成するために、変換層としても知られるクロムを含む被膜がしばしば施される。この種の被膜による淡黄色の真珠効果に因んで、かかる方法は、黄色アローディニング(yellow alodining)とも称される。アノードにより施される保護被膜と対照的に、クロメート変換による被膜は、表面に傷が生じると直ぐに通常の保護をもはや形成しない。アロジンされた(alodined)表面は、浸漬法又は射出/噴霧法によって得ることが可能である。クロメート保護層を付与する方法の例は、US2825697及びUS2928763に記載されている。また、クロム基板に従来の変換層を付与する方法は、例えば、WO2004/014646A1に示されている。
【0007】
WO01/51681A2には変性クロメート被膜について示されており、これによると、好適な不動態化溶液は、塩化クロム(III)及び硝酸ナトリウムを含む必要がある。
【0008】
DE19702566C2に記載の自動車部品の光沢被覆方法では、真空下、マグネトロンを用いてクロメート層上の粉末ラッカー層に高光沢度の金属層が最終的に付与される程度にクロメート層を用いて変性される。かかる方法を用いることによって、顔料を外添することなく色彩効果を規則的に生成することができる。
【0009】
更に、WO01/51681A2及びDE60200458T2により、不動態化又は変換溶液を含むクロメートで処理することによって金属層を耐食性とすることできるのみならず、この目的のため、容易に溶解しないリン酸亜鉛又はリン酸鉄などの金属リン酸塩被膜を使用できることも知られている。
【0010】
クロムを用いない表面処理として、DE10332744A1によると、少なくとも部分的に加水分解されたフッ素非含有のシランと、少なくとも部分的に加水分解されたフッ素を含むシランと、を含む水性混合物を使用することも可能である。
【0011】
DE60200458T2によると、防食層が金属亜鉛粉末と、少なくとも1種の平均直径が1μm以下のマグネシウム、アルミニウム、カルシウム又はバリウムの金属塩を含む防錆び剤と、を含むことによって十分な耐食性が得られる。ここで、金属塩の金属は、亜鉛より高いもアルカリ性を有する必要がある。
【0012】
DE10049005A1によると、不動態化剤による処理を滑剤の塗布と同時に行うことによって良好な防食効果が得られる。この場合、滑剤を含む試薬が実質的にチタン及び/又はジルコニウム及びフッ素化物及びポリマーから構成されていないことが必要な条件である。この新規な技術は、界面活性剤等の表面活性物質から知られるような、自己集合する傾向を有する長鎖分子の残留物を利用する。従って、この技術は、SAM(自己集合分子)被覆としても知られている。
【0013】
クロムを用いない表面被覆を高速で行いうるものとして、DE10149148A1によると、少なくとも1種の難溶性又は水に分散性の酸価が5〜200の範囲であるポリマーを含む有機被膜形成剤と、平均直径が0.005〜0.3μmの範囲の粒子形態である少なくとも1種の無機結合部と、少なくも1種の滑剤とを含む水性組成物であって、且つ付与される乾燥被膜が厚さが0.01〜10μmの範囲の層を含み、50〜180sの振り子強度及びドイツ工業規格ISO6860に準拠し、円錐状のピンの上で湾曲させた場合に長さ2mmを超える割れ目の発生を防ぐ可撓性を有するような水性組成物を用いる方法がある。アクリレート、ブタジエン、エチル、ポリエステル、ポリウレタン、シリコンポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール、スチロール及び尿ホルムアルデヒド(urine formaldehyde)にもとづく合成樹脂類は、有機被膜形成剤としての使用に好適である。
【0014】
US6896920B2は、最初にポリマー層を金属支持体の表面に付与して形成される多層構造の光沢層を開示している。このポリマー被膜の上には金属層が設けられる。その後、金属層の上に腐食を防ぐ無機層が設けられる。最後に、最上層として透明な保護ラッカー層が設けられる。この多層系により腐食を防ぐとされているものの、US6896920B2による多層支持体を用いてCASS塩噴霧ミスト試験を行ったところ、僅か168時間後に腐食に関係した変化は表面に観察された。しかしながら、自動車産業では、表面の変化が240時間後であっても生じないことを示すことが通常求められている。
【特許文献1】DE10210269A1
【特許文献2】US2825697
【特許文献3】US2928763
【特許文献4】WO2004/014646A1
【特許文献5】WO01/51681A2
【特許文献6】DE19702566C2
【特許文献7】DE60200458T2
【特許文献8】DE10332744A1
【特許文献9】DE10049005A1
【特許文献10】DE10149148A1
【特許文献11】US6896920B2
【発明の開示】
【0015】
本発明の目的は、防食加工され、特に極めて光沢のある支持体の製造方法、及びかかる方法により得られる防食加工された支持体を提供することにより、従来技術の課題を克服することにある。本発明の目的は特に、機械的な負荷又は長時間に亘る損傷が付与された場合であっても極めて耐食性であり、ガルヴァーニ電気によるクロムメッキによって通常得られるような極めて好ましい外観を示すか又はそのような外観を含む、防食加工された支持体を得る方法を利用可能にすることである。
【0016】
本発明によれば、上記の目的は、少なくとも部分的に防食加工され、特に光沢のある、金属及び/又は非金属支持体の製造方法であって、
以下の段階:
a)支持体に、少なくとも部分的に被覆可能な面を設ける段階と、
c)第1の金属、第1の貴金属又は第1の金属合金と、第2の金属、第2の貴金属及び/又は第2の金属合金の少なくとも1種の化合物、酸及び/又は塩、特に、第2の金属、第2の貴金属及び/又は第2の金属合金の少なくとも1種の酸、1種の酸化物、複酸化物、酸化物水和物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、炭化物、窒化炭素、ホウ化物、ケイ化物、オキシハロゲン化物及び/又は塩と、を含む少なくとも1層の金属保護層を付与する段階と、
を含むことを特徴とする製造方法によって達成される。
【0017】
上記の金属保護層において、第2の金属、第2の貴金属又は第2の金属合金の少なくとも1種の化合物、酸及び/又は塩は、第1の金属、第1の貴金属又は第1の金属合金の中に分布しているか、又は固定されている。第2の金属、第2の貴金属又は第2の金属合金の化合物、酸及び/又は塩は、金属保護層における第1の金属、第1の貴金属又は第1の金属合金の中に実質的に均一に分布していることが特に好ましい。他の好ましい実施形態において、第2の金属、第2の貴金属又は第2の金属合金の少なくとも1種の上述した化合物、酸及び/又は塩は、金属保護層における第1の金属、第1の貴金属又は第1の金属合金の中に、保護層の厚さの全体にわたって実質的に分布しており、特に均一に分布している。ここには、金属保護層における一方の境界面又は両方の境界面に対向する第2の金属、第2の貴金属又は第2の金属合金の化合物、酸及び/又は塩の濃度が、例えば、図2及び図3に示されるように、段階的に連続的して、又は違う方法で、例えば急に(in jumps)多少低減している場合も含まれる。従って、金属保護層は、内部混合物としてみなすことも、又は第1の金属、第1の貴金属又は第1の金属合金を含み、且つ第2の金属、第2の貴金属及び/又は第2の金属合金の少なくとも1種の化合物、酸及び/又は塩、特に、第2の金属、第2の貴金属及び/又は第2の金属合金の少なくとも1種の酸、1種の酸化物、複酸化物、酸化物水和物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、炭化物、窒化炭素、ホウ化物、ケイ化物、オキシハロゲン化物及び/又は塩がその中に存在し、又は固定されている金属複合層として見なすこともできる。
【0018】
本発明の方法を用いることにより、それ自体としても高度に防食加工され、更に支持体(金属支持体である限り、腐食から保護する。)を付与することによって、金属保護層を有する支持体が得られる。非金属支持体を用いた場合の防食性は金属保護層に関連するが、金属支持体を用いた場合はそれ自体が防食加工される金属保護層が得られるだけでなく、かかる保護層は、はるかに、極めて効果的な防食加工を有する金属支持体を備える。同時に、このような金属保護層は極めて光沢に富むのが一般的であるため、極めて光沢に富み、耐性の高い支持体の表面を得ることができる。
【0019】
本発明の方法における他の実施形態によると、本発明の方法の段階c)は、以下のサブ段階:
c)i)第1の金属、第1の貴金属又は第1の金属合金からなる金属層を支持体に付与する段階と、
ii)金属層を、流体、特に、第2の金属、第2の貴金属及び/又は第2の金属合金の少なくとも1種の化合物、酸及び/又は塩、特に、第2の金属、第2の貴金属及び/又は第2の金属合金の少なくとも1種の酸、酸化物、複酸化物、酸化物水和物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、炭化物、窒化炭素、ホウ化物、ケイ化物、オキシハロゲン化物及び/又は塩を含む水性系で処理して、金属保護層又は複合層を形成する段階と、を含む。
【0020】
この場合、第2の金属、第2の貴金属又は第2の金属合金の酸、酸化物、複酸化物、酸化物水和物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、炭化物、窒化炭素、ホウ化物、ケイ化物、オキシハロゲン化物又は塩として、元素周期表第4族又は第5族の単体、好ましくはチタン、ジルコニウム及び/又はハフニウムの酸、酸化物、複酸化物、酸化物水和物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、炭化物、窒化炭素、ホウ化物、ケイ化物、オキシハロゲン化物又は塩が用いられる。
【0021】
この場合、元素周期表第4族の単体、特にジルコニウム、チタン又はアルミニウムを使用するのが特に好ましく、ジルコニウムが特に好ましい。当然、第2の金属、第2の貴金属又は第2の金属合金の化合物の混合物、例えば1種以上の酸化物、複酸化物、酸化物水和物及び/又はオキシハロゲン化物、特にオキシフッ化物が、金属層において相互に隣接して存在し、金属保護層を形成していてもよい。更に、数種の第2の金属、第2の貴金属又は第2の金属合金の化合物の混合物、例えば、二酸化ジルコニウム及び二酸化チタンが金属層において相互に隣接して存在していても良い。第4族及び第5族の化合物、酸及び/又は塩が、金属層において混合して存在し、金属保護層を形成してもよい。元素周期表第5族における金属の好適な化合物、酸及び塩は、バナジウム、ニオブ及びタンタルを基礎とする。本発明の方法は、標準的なガルヴァーニ電気クロムメッキ法とは技術的にまったく異なるも、光沢効果、光沢レジリエンス及び耐食性に関して、少なくとも同等の結果を達成する。
【0022】
好適な支持体は、金属の性質及び非金属の性質のいずれであっても良い。例えば、木材、チップボード、ガラス、炭素材料、セラミック又はプラスチックを含むか、これらから作製される支持体は、好適な非金属支持体といえる。好適なプラスチックとしては、PVC、ポリオレフィン、特にポリプロピレン、ポリアミド及びポリオキシアルキレン、例えばPOMなどが挙げられる。好適な支持体において、非金属成分又は非金属部分は、金属成分又は金属部分とともに存在していても良い。
【0023】
一般に、あらゆる種類の金属、金属合金及び貴金属から作製される成形品(mould)は金属支持体として好適である。アルミニウム、鉄、スチール、ステンレススチール、銅、真鍮、マグネシウム、イリジウム、金、銀、パラジウム、白金、ルテニウム、モリブデン、ニッケル、ブロンズ、チタン、亜鉛、鉛、タングステン又はマンガン、及びこれらの合金から作製される支持体が、好適な支持体の例として挙げられる。好ましい金属支持体又は金属支持体の表面は、アルミニウム又はアルミニウム合金、マグネシウム又はマグネシウム合金、あるいはチタン又はチタン合金を含むか、特にこれらから構成される。この場合、高純度のアルミニウム、マグネシウム又はチタン、特に金属保護層の全重量に対するアルミニウム、マグネシウム又はチタン成分が90重量%以上であることが好ましく、99重量%以上であることが特に好ましい。金属支持体としては、アルミニウム及びアルミニウム合金が特に好ましく用いられる。
【0024】
他の実施形態によれば、本発明の方法は、更に、段階a)とc)の間に、以下の段階:
b)少なくとも第1の下塗り層を支持体、特に金属又はプラスチックの支持体上に付与し、及び/又は支持体面、特に金属支持体面を研磨及び/又は艶出しする段階、を含む。
【0025】
金属支持体の場合は、段階a)の後に以下の段階:
b)少なくとも第1の下塗り層を支持体に施し、及び/又は金属支持体面を研磨及び/又は艶出しする段階と、
c)i)第1の金属、第1の貴金属及び/又は第1の金属合金を含む金属層を、物理蒸着法(PVD)層化、電子線蒸着器による蒸着、抵抗蒸着器による蒸着、誘導蒸着、ARC蒸着、カソード噴霧(スパッタリングコーティング)によって、及び/又は含浸又は噴霧によって、第1の下塗り層及び/又は艶出し及び/又は研磨された支持体面に付与する段階と、
c)ii)上記金属層を、流体、特に、第2の金属、第2の貴金属及び/又は第2の金属合金の少なくとも1種の化合物、酸及び/又は塩、特に、第2の金属、第2の貴金属及び/又は第2の金属合金の少なくとも1種の酸、酸化物、複酸化物、酸化物水和物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、炭化物、窒化炭素、ホウ化物、ケイ化物、オキシハロゲン化物及び/又は塩を含む水性系で処理して、金属保護層又は複合層を形成する段階と、を含むことが特に好適であることが示された。
【0026】
ここで、少なくとも1層の第2の下塗り層を第1の下塗り層に付与することが可能である。
【0027】
この場合、第1及び/又は第2の下塗り層は、付与後に1以上の加熱処理工程によって硬化され及び/又はアニールされることがしばしば有利である。
【0028】
あるいは、第1及び必要に応じて第2の下塗り層を付与する代わりとして、又は下塗り層を付与することに加えて、研磨及び/又は艶出し、又は振動粉砕によって、金属支持体面に対して、予備変換(pre−switched)機械的な平滑化を施してもよい。研磨又は艶出しを行った金属面は、金属保護層又は複合層が本発明の方法の段階c)により付与される際に、すでに高い耐食性の支持体が得られているに相当する表面品質を有していることが多い。
【0029】
上記第1及び/又は第2の下塗り層は、例えば、湿式ラッカー法及び/又は粉末被覆法によって付与することができる。好適な例として、粉末型ポリエスエル樹脂化合物及び/又はエポキシ/ポリエステル粉末が挙げられる。下塗り層の材料として好適なエポキシ樹脂は、例えば“Valophen”という商標名で商業的に知られている。US4431711に記載されているようなウレタン樹脂にもとづく下塗り層も、第1及び第2の下塗り層として適当である。或いは、WO2004/014646A1に記載されているような、ポリエステル又はポリアクリル系材料を用いてもよい。湿式ラッカー法は、下塗りを付与する場合に最も好ましい。下塗り層の硬化は、硬化剤によるよりもUV照射によってなされることが特に好ましい。UV照射により硬化することにより、工程中に熱が一般に生成されない場合であっても、規則的な追加の加熱を必要としない。好適な粉末ラッカー、湿式ラッカー及びUV硬化による層化系、ならびにこれらの塗布法は、当業者に周知であろう。表面の品質(例えば、細孔又は擦り傷)に応じて、1層以上の下塗り層を付与して表面を平滑にすることが可能である。特に、第1の下塗り層によって、ここでは特に金属支持体表面上に使用可能であることから、一般に、かかる表面の有効な平滑化が達成される。これにより得られる下塗り層は、通常“平滑層”に該当する。下塗り層は全ての角度領域に一般に行き渡るため、かかる領域であっても粗面が平滑化され得る。
【0030】
本発明によれば、更に、標準的な変換層、例えばUS2825697やUS2928763に記載されているような変換層を支持体に付与することが可能である。その代わりに、あるいはこれに加えて、他の実施形態によれば、支持体の積層可能な面を、上述したような第2の貴金属及び/又は第2の金属合金の少なくとも1種の酸、酸化物、複酸化物、酸化物水和物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、炭化物、窒化炭素、ホウ化物、ケイ化物、オキシハロゲン化物又は塩を含む水性系で処理することが可能である(段階a’)。
【0031】
支持体が金属支持体である場合、特に、かかる金属支持体が各々の製造過程から直接除去されたとき、支持体の表面を適当な方法で洗浄することが通常は有利であるとされている。例えば、第1の準備段階において、金属支持体面をアルカリ性又は酸性の試薬で脱脂する。この種の脱脂剤は、例えば、Riduline(登録商標)という商品名でHenkel KGaA社から提供されている。その後、脱脂剤が表面に残留して次の処理段階に悪影響を及ぼさないようにするため、水によるすすぎが通常行われる。市販の脱脂剤は、浸出液(decoction)又はエッチング脱脂という名前でも知られている。或いは、金属面を電解質脱脂浴中においてアノード脱脂してもよい。
【0032】
更に、金属支持体の表面、特に脱脂される金属支持体面を少なくとも1つの酸洗い段階に付すことが場合によっては有効であることが示された。金属支持体面を酸洗いする場合、例えば酸性のすすぎ浴を使用する。従って、好適な酸洗い溶液は、例えば希薄な塩の酸(1:10体積/体積)である。その結果、実質的に酸化物を含まない金属面を通常得ることができる。
【0033】
脱脂段階と同様に、酸洗い段階の最後にはすすぎが行われるのが一般的である。この場合、すすぎ終了時付近、好ましくはすすぎ中に、脱イオン水を使用することが極めて効果的であることが示された。
【0034】
好ましい実施形態においては、金属保護層又は複合層は、段階c)により脱脂された及び/又は酸洗いされた金属支持体面に付与されるか、或いは本発明の方法における段階c)i)によって金属層に付与される。他の実施形態によれば、第1及び必要に応じて第2の下塗りを、脱脂された及び/又は酸洗いされた金属支持体面に付与することも可能である。
【0035】
金属支持体面が艶出し及び/又は研磨され、又は振動粉砕される場合、脱脂及び/又は酸洗い段階はしばしば省略することが可能である。通常、この種の表面処理によって、十分な量の物質が表面から除去され、これにより、表面に存在又は付着している不純物又は他の残留物もまた除去される。表面の艶出し又は研磨を行う場合、更には、第1及び適宜第2の下塗り層の塗布を省略することが可能な場合がある。艶出し又は研磨によって、下塗り層の付与による平滑化を必要としないような品質の均一又は平滑な表面を通常得ることができる。しかしながら、金属支持体が、容易に十分に艶出し又は研磨することができない多くの角や隅を含む場合は、第1及び必要に応じて第2の下塗り層を付与することが望ましい場合がある。
【0036】
ガラス及びセラミック支持体は、それ自体が通常は平滑であり、艶出し段階又は追加の下塗り層の塗布を必要としない。このことは、プラスチック支持体に対しても一般に当てはまる。特に平滑な表面、特に高度の信頼性を有するプラスチック支持体が求められる場合は、少なくとも1層の下塗り層を付与するのが一般的である。プラスチック支持体の場合に好適な下塗り層としては、例えば、透明ラッカーやUVラッカーが挙げられる。木材支持体、及び場合によっては、研磨及び/又は艶出しされた木材支持体は、金属保護層又は金属層を付与する前に、少なくとも1層の下塗り層を必要とする場合が多い。
【0037】
本発明の他の任意の実施形態によれば、段階c)の前に、金属保護層又は金属層の第1の下塗り層及び/又は第2の下塗り層の表面に、少なくとも1種の接着剤を付与するか、又はかかる表面上で生成させる。好適な接着剤は、例えば少なくも1種のプラズマ予備処理、好ましくは少なくとも1種の酸素プラズマ及び/又は少なくとも1種のポリマープラズマ、特にヘキサメチルジシロキサンを含むポリマープラズマによって、生成又は付与することができる。また、少なくとも1種の無機又は金属有機接着剤を接着剤として付与することもできる。この場合、酸性溶液中のスズ(II)塩又はアルカリ性溶液中の少なくとも1種のシラン含有アミンが好ましく用いられる。
【0038】
本発明の方法で処理され得るプラスチック成形部品は、例えばABS、SAN、ASA、PPE、ABS/PPE、ASA/PPE、SAN/PPE、PS、PVC、PC、ABS/PC、PP、PE、EPDM、ポリアクリレート、ポリアミド、POM又はテフロン(登録商標)から作製され得る。下塗り層の塗布を必要とする場合、かかる下塗り層は湿式ラッカー法で付与されるのが好ましい。耐熱性の高いプラスチック類に関しては、粉末ラッカー法もまた好適である。
【0039】
金属保護層又は複合層を段階c)によって付与する前、又は金属層を段階c)i)によって付与する前に、支持体面を乾燥して残留水分を除去するのが好ましい。
【0040】
段階c)又は段階c)i)に続いて、得られた表面を水ですすぐことが好都合である。かかるすすぎ段階の少なくとも最後付近、好ましくはすすぎ段階全体を通じて、完全に脱塩された水(脱イオン水としても知られている)を使用することが好ましい。
【0041】
本発明の方法における段階c)により支持体に対して付与される金属保護層又は複合層の厚さ、又は段階c)i)により付与される金属層の厚さは、20nm〜約10μmの範囲であるのが好ましく、30nm〜5μmの範囲であるのが更に好ましく、特に50nm〜1μmの範囲である。例えば、層厚が50〜120nmの範囲にある場合には、極めて十分な結果が得られる。本発明の結果は、100nm未満の層厚において通常は既に得ることができる。
【0042】
本発明によると、段階c)による金属保護層又は複合層又は段階c)i)による金属層に用いる第1の金属は、特にアルミニウム、金、真鍮、ブロンズ、銀、パラジウム、白金、クロム、マグネシウム、チタン、亜鉛、ステンレススチール又はこれらの金属の合金を含む。特に好適な保護/複合又は金属層は、アルミニウム又はアルミニウム合金を含む。
【0043】
特に、第1の金属、好ましくはアルミニウムの純度は、少なくとも80重量%であり、少なくとも90重量%を超えるのが好ましく、特に少なくとも99重量%であるのが好ましい。
【0044】
段階c)による金属保護層又は段階c)i)による金属層を付与する場合、物理蒸着法(PVD)コーティング、電子線蒸着器を用いる蒸着、抵抗蒸着器を用いる蒸着、誘導蒸着、ARC蒸着及びカソード噴霧(スパッタリングコーティング)の各方法を、それぞれ好ましくは高真空条件下で使用できる。更に、段階c)による金属保護層又は段階c)i)による金属層の付与は、流体の形で存在する第1の金属、第1の貴金属又は第1の金属合金への浸漬によって、又は流体の形で存在する第1の金属、第1の貴金属又は第1の金属合金の噴霧によって行うことができる。これらの方法は、当業者に公知である。金属保護層又は複合層又は金属層は、例えば、支持体又はその被覆可能な表面や、第1の下塗り層や、第2の下塗り層及び/又は接着剤に対して付与できる。好ましくは、物理蒸着(PVD)コーティング法が用いられる。この場合、耐熱性の金属コイル又は金属シャトル蒸着器であって、好ましくは広範な形態のタングステンコイルを有するものが好ましく用いられる。PVD法においては一般に、相互に絶縁される蒸着器レール上にクランプ可能なコイルが蒸着器に具備される。正確に測定された量の第1の金属、第1の貴金属又は第1の金属合金が各コイルに供給されることが好ましい。PVD系を閉鎖し、真空にした後、電源装置を作動させて蒸着を開始した後、蒸着器レールはコイルを白熱させる。固体金属が溶融し始め、一般に穴あけされている(drilled)コイルを完全に濡らす。更に電力を供給し、流体金属を気相に変えて、被覆されるべき支持体上に付着させる。
【0045】
金属シャトルによる蒸着は、同様の方法で進行する。この場合、蒸着器の設備は主には同一であるが、高溶融金属シート、例えばタングステン、タンタル又はモリブデンシャトルから作製されるシャトルを使用するのが一般的である。
【0046】
金属層を支持体に付着させる他の好ましい方法は、カソード噴霧(スパッタリング法)である。この方法では、カソードが、電源装置の陰極に接続される真空の容器に配置される。噴霧用の被覆材料をカソードの直前に載置し、そして被覆される支持体を、噴霧用の被覆材料の置かれた側と反対側に配置する。更に、アルゴンを、電源装置の陽極に接続されるアノードも最終的に含む容器内にプロセスガスとして供給してもよい。容器を予め真空にした後、カソード及びアノードを電源装置に接続する。アルゴンの規則的且つ制御された流入によって、電荷担体の中心自由行程の長さが十分に短縮される。カソードとアノードの間の電界において、アルゴン原子がイオン化される。プラスに荷電した粒子は、高エネルギーにてマイナスに荷電したカソードに向けて加速される。これらが衝突したとき、及び粒子が被覆材料にぶつかったとき、上記材料は気相に変換され、高エネルギーにて自由空間に向けて加速させられ、その後、被覆された支持体上に蒸着する。
【0047】
本発明の方法で使用される得る他の蒸着方法は、電極線蒸着、抵抗蒸着、誘導蒸着及び/又は熱による非停留曲線を用いた蒸着(ARC蒸着)によって行われる。
【0048】
なお、金属層を金属又は非金属支持体に付与する方法もまた当業者に公知であり、それらが特に具体的に示されない場合であっても本発明の範囲に含まれる。
【0049】
本発明を用い、段階c)又はc)i)の後、少なくとも1つの熱処理段階を最初に完了することができる。
【0050】
第2の金属、第2の貴金属及び/又は第2の金属合金、好ましくはジルコニウム、ハフニウム又はチタンの少なくとも1種の酸、酸化物、複酸化物、酸化物水和物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、炭化物、窒化炭素、ホウ化物、ケイ化物、オキシハロゲン化物及び/又は塩を含む水性系で段階c)i)の金属層を処理する前に、金属層を水、好ましくは脱イオン水で湿らせるか又はすすぐことが好ましい。ここで使用される水は、1cm当たり100mS未満、好ましくは50mS未満、特に好ましくは35mS未満のコンダクタンス値を有するのが好ましい。
【0051】
水性系は、例えば、溶液、懸濁液又はエマルジョンの形をとることが可能である。水性系は少なくとも塗布前に、溶液として、すなわち、上述した化合物、塩及び/又は酸が実質的に溶解して存在する状態であることが好ましい。
【0052】
本発明の支持体において、他の実施形態では、第2の金属、第2の貴金属及び/又は第2の金属合金の化合物、酸及び/又は塩、特に、第2の金属、第2の貴金属及び/又は第2の金属合金の、好ましくは元素周期表第4族の単体を基礎とし、好ましくはジルコニウムを基礎とする酸、酸化物、複酸化物、酸化物水和物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、炭化物、窒化炭素、ホウ化物、ケイ化物、オキシハロゲン化物及び/又は塩は、金属保護層又は複合層の全重量に対して0.2〜10重量%の範囲、好ましくは1〜7重量%の範囲、特に好ましくは1.5〜5重量%の範囲の量で存在する。
【0053】
特に好ましい選択において、少なくとも1種の酸化物、複酸化物、酸化物水和物及び/又はオキシハロゲン化物は、金属保護層又は複合層において、特に周期表第4族の単体に基づくもの、特にフッ化ジルコニウム、オキシフッ化ジルコニウム及び/又は二酸化ジルコニウムとして存在する。二酸化ジルコニウムが特に好ましい。複酸化物としては、例えばアルミニウム/ジルコニウムが使用できる。更に他の実施形態によると、複合層において、第2の金属、第2の貴金属又は第2の金属合金は、特にジルコニウム、チタン及び/又はハフニウムを基礎として、酸化物化合物に存在するのが好ましい。
【0054】
特定の理論に拘束されないが、水性系に例えば酸又は塩として存在する第2の金属、第2の貴金属又は第2の金属合金の化合物は、酸化物、複酸化物、酸化物水和物又はオキシハロゲン化物に変換されて金属保護層に存在すると今のところ考えられている。
【0055】
第4族の単体を基礎とする好適な酸としては、例えば、ヒドロフルオロジルコニウム酸(H2ZrF6)、フルオロチタン酸(H2TiF6)及びフルオロハフニウム酸(H2HfF6)が挙げられる。異なる酸の混合物を使用することももちろん可能である。このようなフッ酸(fluoric acid)を、その純粋な状態及びフッ酸等の不純物を含む両方にて使用することが可能である。水性系において、酸は、例えば、水性系の全重量に対して5重量%以下、特に3.5重量%以下の量で存在可能である。
【0056】
フッ酸を、例えば0.1〜3重量%の範囲の量で水性系に存在させることも可能である。
【0057】
好適な塩の中では、例えば、Bacote20という商標名でMagnesium Electron社から市販されているアンモニウムジルコニウムカーボネートを使用するのが好ましい((NH42[Zr(OH)2(CO32]・nH2O)。更に、アルカリ金属及びアンモニウムフルオロジルコネート、例えばNa2ZrF6、KZrF6、(NH4)ZrF6、並びに硝酸ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム又は硫酸ジルコニウムを使用することも可能である。第4族を基礎とする化合物は、そのままあるいは相互の混合物として使用できる。
【0058】
他の成分を、上述の化合物又はその混合物と一緒に水性系に添加することももちろん可能である。この場合、硝酸、フッ酸、リン酸、上述の酸の塩、酸性フッ化アンモニウム及び硫酸アンモニウムが考えられる。好適なチタン塩は、例えばアンモニウムチタンフルオリドにて供給される。
【0059】
水性系は、フルオリドイオンを遊離及び/又は複合体の形で含むのが好ましい。フルオロボレート塩及び酸や、アルカリ金属及び酸性フッ化アンモニウムは、好適な複合フルオリドイオンである。ごく一般的には、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ケイ素及び/又はホウ素の複合フッ化物が特に好適である。ジルコニウムの複合フッ化物を使用するのが好ましい。
【0060】
好適な水性系は、第2の金属、第2の貴金属及び/又は第2の金属合金の、好ましくは元素周期表第4族の単体を基礎とし(IUPAC:正式には、第IVB又はIV−B族と指定される)、特にジルコニウム、チタン及び/又はハフニウムの酸、酸化物、複酸化物、酸化物水和物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、炭化物、窒化炭素、ホウ化物、ケイ化物、オキシハロゲン化物及び/又は塩と一緒に、水性混合物中で溶解状態、エマルジョン又は未溶解状態、あるいは分散粒子の形で存在し得る少なくとも1種のポリマー化合物を含むことが好ましい。
【0061】
ポリマー化合物の中では、ポリアクリル酸及びその塩やエステルが特に挙げられる。かかる酸、エステル及び塩は、水溶液中に溶解又は分散された形態で存在し得る。ポリマー成分の量は広範に変更でき、1リットル当たり0.1〜0.5gの範囲であるのが好ましい。
【0062】
ポリメチルビニルマレイン酸及びポリメチルビニル無水マレイン酸もまた、ポリマー材料として有用である。好適なアクリル酸は、分子量が500,000以下であるのが理想的である。しばしば、有用なポリマー化合物の混合物を使用するのが好ましい。例えば、ポリアクリル酸、その塩又はエステルをポリビニルアルコールと一緒に含む混合物が特に挙げられる。好適なポリマーは、更に、セルロースのヒドロキシエチルエーテル、エチレン無水マレイン酸、ポリビニルピロリジン及びポリビニルメチルエーテルを含む。
【0063】
本発明の基本理念によれば、特に好ましいポリマー成分は、多数の炭素酸官能基と、相互に部分的に又は完全に反応する場合がある多数のヒドロキシル基を含む架橋ポリエステルを含む。かかる架橋ポリエステルポリマーは、例えば、炭素酸官能基を含む第1のポリマーと、ヒドロキシル基を含む第2のポリマーと、の反応生成物であっても良い。例えば、ポリアクリル酸やポリメチルビニル無水マレイン酸をこの種の第1のポリマーとして使用でき、一方、ポリビニルアルコールは好適な第2のポリマーのひとつである。興味深いことに、上述した第1及び第2のポリマーの反応生成物とその混合物とは共に、本発明の方法により処理する場合の水性系の好適な成分である。更に、この種の水溶液はフッ酸を含むのがなお好ましい。例えば、アンモニウム塩は、上述のポリアクリル酸の塩として有用である。
【0064】
更に、3−(N−C1-4−アルキル−N−2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−4−ヒドロキシスチロールも、特にヘキサフルオロジルコニウム酸の第4族の化合物として使用する場合に好適なポリマーである。更に、必要により、4−ヒドロキシスチロールの単独重合体が3,000〜6,000の範囲の平均分子量で存在してもよい。US5089064に関連する詳細が示されている。
【0065】
他の好ましい実施形態において、第1の金属、第1の貴金属及び/又は第1の金属合金の少なくとも1種の酸、1種の酸化物、複酸化物、酸化物水和物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、炭化物、窒化炭素、ホウ化物、ケイ化物、オキシハロゲン化物及び/又は塩は、金属保護層において、第2の金属、第2の貴金属及び/又は第2の金属合金の1種の酸、1種の酸化物、複酸化物、酸化物水和物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、炭化物、窒化炭素、ホウ化物、ケイ化物、オキシハロゲン化物及び/又は塩とともに存在する。特に好ましい形態において、第1の金属、第1の貴金属及び/又は第1の金属合金の少なくとも1種の酸化物、複酸化物、酸化物水和物及び/又はオキシハロゲン化物は、金属保護層において、第2の金属、第2の貴金属及び/又は第2の金属合金の1種の酸化物、複酸化物、酸化物水和物及び/又はオキシハロゲン化物と一緒に存在する。
【0066】
また、水性系は、脂肪酸、脂肪族アルコール及び/又は特に脂肪族アミン、又はこれらの混合物を含んでもよい。脂肪族アミンは、アンモニウム塩の形で存在していてもよい。よって本発明の基本理念による脂肪族アミンには、対応するアンモニウム塩も含まれる。ここで、飽和脂肪アルキル鎖を有する化合物が好ましく用いられる。直鎖の脂肪アルキル鎖の長さはC8〜C24の範囲であるのが好ましい。好ましい脂肪族アミン又は対応のアンモニウム化合物は、C12、C14、C16又はC18のアルキル残留物を基礎としている。好適な脂肪酸としては、例えばカプリン酸が挙げられる。
【0067】
更に、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、特にポリオキシエチレングリコールエーテル、ポリプロピレングリコールエーテル及びこれらの混合物を好適な水性系に添加してもよい。この場合、全ての標準的な市販のグリコールエーテルを使用することができる。
【0068】
水性系の好適なpH値は、好ましくは1.5〜6.5の範囲、好ましくは1.5〜5.0の範囲、特には2.0〜4.5の範囲にあるか、かかる範囲に維持される。水性系のpH値を増大させる必要がある場合、アンモニアゴム又は水酸化アンモニウムを、例えば、3%のアンモニアゴム溶液の形で添加することが好適である。更に、当業者に公知の一般的な塩基類を使用してもよい。
【0069】
使用される水性系のコンダクタンスは、1cm当たり100〜2000μSの範囲であるのが好ましく、150〜1500μSの範囲であるのが特に好ましく、特に200〜1000μSの範囲である。
【0070】
上述した水性系の任意の成分は、好ましい実施形態においてもその金属層中に、単独で又は任意の組み合わせにて存在してよく、そして金属保護層又は複合層の一部でもある。
【0071】
本発明の有利な実施形態によると、金属層を段階c)i)により施した後でありかつ段階c)ii)の前及び/又は段階c)の後において、特にはそれぞれの場合において直接に、被覆された支持体を、特に完全な脱塩水を用いてすすぎ段階に付す。かかる工程の後、少なくとも1つの乾燥段階を経て表面を乾燥する。乾燥段階は、例えば120〜180℃の範囲の温度条件下、例えば約140℃の温度条件下で行うことができる。すすぎに使用される水は、1cm当たり60mS未満、好ましくは50mS未満、特に35mS未満のコンダクタンスを有するのが好ましい。特に、次の反応段階の前又は乾燥段階の前の最後のすすぎ工程の各々は、上述のコンダクタンスを有する。
【0072】
水性系のpH値及び/又はコンダクタンスは、金属層の処理を行っている間、特に上述した領域内において、実質的に一定の水準に維持されるのが好ましい。
【0073】
金属層で被覆された支持体は、上述した、第2の金属、第2の貴金属又は第2の金属合金の上述した少なくとも1種の化合物を含む水性系を用いて、例えば含浸、すすぎ又は噴霧によって、処理することができる。上記金属層の水性系による処理は、圧力上昇下で、例えば高圧水噴射の形で行われるのが好ましい。この場合、複数の微細な水噴射を支持体向けて行うのが有効であることが示された。水性系での処理に好適な圧力は、例えば、約0.2バール超であり、好ましくは0.5〜50バールの範囲であり、特に好ましくは0.2〜15バールの範囲であり、特に0.9〜1.5バールの範囲である。かかる圧力は、金属層の表面で計測される。上述の応用形態において、第2の金属、第2の貴金属及び/又は第2の金属合金、特に周期表第4族の単体、好ましくはジルコニウム、チタン又はハフニウムの少なくとも1種の酸、1種の酸化物、複酸化物、酸化物水和物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、炭化物、窒化炭素、ホウ化物、ケイ化物、オキシハロゲン化物及び/又は塩が金属層に組み込まれる。
【0074】
好適には、支持体の処理中における水性系の温度は15〜50℃の範囲であり、20〜40℃の範囲であるのが好ましい。通常、本発明の支持体を得るには20〜120秒の範囲の処理時間で十分である。
【0075】
段階c)i)において金属層、特にアルミニウム層が設けられた支持体は、かかる層を支持体面に付与した後、上述した水性系で直接処理されるのが好ましい。かかる処置は、例えば、支持体が全製造段階に連続して付される生産鎖にて実施される。
【0076】
好ましい実施形態において、水性系における鉄イオンの割合は10ppmを超えない。
【0077】
本発明において、段階c)又はc)i)の後、少なくとも1層の保護ラッカー層又はグレーズを付与してもよい。保護ラッカーは、例えば透明なラッカー又は透明な粉末であっても良く、湿式ラッカー法又は粉末被覆法で施されるのが好ましい。更に、本発明では、保護ラッカーが1種以上の染料又は顔料を含んでいても良い。
【0078】
更に、支持体を染色する目的で、当業者に公知の好適なグレーズを使用できる。かかるグレーズを使用することにより、例えばブロンズ、チタン及び金の色調、並びに赤、青、黄、緑等の各色調、そして全てのエロキシ色(eloxy colours)を容易に得ることができる。
【0079】
本発明は更に、本発明の方法によって得られる被覆された支持体に関する。従って、本発明の目的は、少なくとも部分的に防食加工され、特に光沢のあり、金属及び/又は非金属支持体及び少なくとも1層の、第1の金属、第1の貴金属又は第1の金属合金を金属層の形で含む金属保護層又は複合層と、それに対して、特に実質的に均一に分散されて、存在しているか設けられているか又は固定されている、第2の金属、第2の貴金属及び/又は第2の金属合金の少なくとも1種の化合物、1種の酸及び/又は1種の塩、特に、第2の金属、第2の貴金属及び/又は第2の金属合金の少なくとも1種の酸、1種の酸化物、1種の複酸化物、酸化物水和物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、炭化物、窒化炭素、ホウ化物、ケイ化物、オキシハロゲン化物、特にオキシフッ化物及び/又は塩を含む支持体による他の実施形態によっても達成される。
【0080】
本発明の支持体は、例えば、自動車の構造部分の鏡や鏡状材料として、又はアクセサリ部品として使用できる。好ましくは、自動車の構造部分の軽金属の車輪のリム又は軽金属の車輪として使用される。車体の構成要素がプラスチックからなっていても金属からなっていても、もちろん本発明の金属保護層又は複合層を設けることができる。本発明の支持体は、当然のことながら上述した使用法に限定されない。
【0081】
従って、本発明には、例えばプラスチック、アルミニウム又はアルミニウム合金から作製される一個の支持体と、上述の金属保護層又は複合層、特にアルミニウムを基礎とする金属保護層又は複合層と、をこの順番で含む金属及び非金属の被覆支持体が含まれる。必要に応じ、かかる実施形態では、金属保護層又は複合層が設けられる支持体面が研磨及び/又は艶出しされていてもよい。他の好ましい実施形態において、本発明の被覆支持体は、一個の支持体、好ましくは研磨及び/又は艶出しされた支持体面を有する支持体と、一個の、必要によりクロム非含有の転換層と、上述した金属保護層又は複合層と、をこの順番で含む。他の有利な実施形態によると、本発明の被覆支持体は、一個の、必要により艶出し及び/又は研磨された表面を有する支持体と、第1及び必要により第2の下塗り層と、上述した金属保護層又は複合層と、をこの順番で含む。更に、本発明の別の被覆支持体は、一個の、必要により艶出し及び/又は研磨された支持体面を有する支持体と、一個の、好ましくはクロム非含有の転換層と、第1の下塗り層及び必要により第2の下塗り層と、上述した金属保護層又は複合層と、をこの順番で含む。上述した全ての実施形態は、好ましくは透明の仕上げラッカー層及び/又はグレーズ層にて更に被覆されてもよい。
【0082】
本発明は、本発明の方法によれば、耐食性にすぐれるとともに非常に良好なクロム調外観を有する金属保護層を有する支持体が形成されるという驚くべき発見に基づくものである。クロム調外観は、一般には支持体に対するガルヴァーニ電気によるクロムメッキによってのみ達成される。かかる外観は、従来技術の方法によっては達成されない。本発明の方法を用いることにより、耐食性で、極めて光沢性に富み、強力な接着層を有する支持体が、軽金属の車輪のリム又はプラスチック製の自動車のエンブレム、例えばメルセデス・ベンツの星印等の複雑な形状であっても得ることができ、これは、外観の面でガルヴァーニ電気によるクロムメッキ支持体と同等であるのに加えて自動車産業で規定される全ての試験基準を更に充足する。
【0083】
本発明の支持体は、かかる支持体を機械的な損傷、例えばストーンインパクト(stone impact)又は引っ掻き傷に付した場合であっても、驚くべき水準の耐食性を示す。一般に高品質のクロム成分を用いた場合のみ可能であるような、金属支持体、特にアルミニウム支持体が無傷かつ光沢部分を示すことは、特に予期し得なかったことである。耐食性及び光沢に関する有利な効果は、支持体上に下塗り層が付与されず、仕上げラッカー層も使用されない場合にももちろん得られる。
【0084】
標準的な方法と対照的に、本発明の方法は、環境適合的な複合材料を使用するために突出してすぐれており、かかる方法は広範な光沢を有する部品の製造に使用できる。自動車、オートバイ及び自転車の車輪のリムなどの車輪のリムは一例であり、他にもあらゆる種類の装飾品、例えば装飾片、自動車の車体の内部及び外部構成要素、例えばリアミラーカバー、フロントカバーパネル、エンジンフードカバー及びコンソール、蛇口などの衛生設備、ヘッドライトなどの反射板表面、特に自動車のヘッドライト等に用いる反射板表面などが挙げられる。更に、あらゆる種類のハンドル、例えばドアハンドル、及びあらゆる種類のフレーム、例えば窓枠、並びに包装物及びケース、例えば口紅ケースなどの化粧品関連物品を、本発明の方法を用いて製造することができる。更に、広範なエンジン及び自転車の部品、又は他の輸送手段、及び家具の組み立て部品、並びにパイプ、タオル掛け、ラジエータ、エレベータの部品、飛行機の内部及び外部の部品、あらゆる種類の反射板、宝飾品、携帯電話ケース又は建築物に用いられる構成要素を、本発明の方法によって被覆することが可能である。本発明の方法で被覆される支持体は、造船にも特に好適であり、内部及び特に外部の構成要素に使用できる。ここで、本発明により被覆される製品の品質は、長期の耐食性及びこれによる高品質のクロム調光沢が、波しぶきなどの海水によっても低下しないという点に反映されている。
【0085】
更に、例えばガルヴァーニ電気によるクロムメッキ支持体に通常みられる膨張係数の違いに起因する問題が生じないという点において、特に有利である。本発明の方法で被覆される支持体は、亀裂や剥離を生じることがない。かかる方法によれば、例えば、極めて光沢性に富むプラスチック支持体を得ることが可能であり、これを広範な用途、例えば自動車の構造物や白物家電に使用することができる。
【0086】
本発明の方法で被覆される支持体は、VDA(ドイツ自動車工業会)の試験シート621−412(試験A)による化学耐性試験において求められる特定の数値を全ての点において満足する。更に、本発明の支持体は、ドイツ工業規格50021−CASSに準拠する塩噴霧ベルト試験(塩化銅/酢酸)において、240時間後の金属面に予め切れ目が入れられていた場合であっても変化がみられない。これと対照的に、US6896970B2に記載される、ポリマー層と金属層からなる層構造上に変換層が設けられてなる多層系についてCASS試験を行ったところ、僅か168後に表面に変化が観察された。本発明の支持体の場合は、ブリスターの形成、ベース金属の腐食のいずれも観察されなかった。更に、本発明の被覆された支持体は、PV1213に準拠するストーンインパクト試験において、0〜0.5の範囲の規則的な数値を達成する。更に、ドイツ工業規格50017に準拠する凝縮水一定環境試験では、240時間後の表面に何らの変化もみられなかった。最後に、これらの被覆支持体は、数ヶ月の間屋外に露出する長期の野外露出試験(Florida試験)においても変化を示さなかった。ドイツ工業規格67530に準拠する光沢保持率は、一貫して殆ど100%である。グリッド切断の固有値は、規則的にGt0である。
【0087】
特に、本発明の方法は、被覆される支持体、例えば軽金属の車輪のリムが高度の光沢を有するように艶出しする必要がなく、これは、複雑な幾何形状でも可能であり、極めて高い水準の複雑さであったとしても可能であるという点において有利である。従って、支持体の作製が極めて簡単である。更に、溶剤の排出を実質的に完全に回避できることから、本発明の方法は、環境適合的であるという点が強調されるべきである。本発明の方法により、支持体まで達する程度に層系にキズや損傷が与えられた場合であっても、一定の腐食性を有する被覆支持体が提供される。これにより、本発明の方法で被覆される支持体の耐用年数が大幅に延長される。特に、本発明の支持体を自動車分野、例えば軽金属の車輪のリム又はヘッドライトの反射板に使用する場合、このような耐久力はプラスの効果を有する。更に、この種の支持体は良好な外観を有することから、例えば、支持体を使用する場合、車輪又は車輪のリムとしての製品の設計においても使用できる。全体として、自動車の総合的な視覚的印象が改善され、通常のデザインをしのぐ視覚訴求力が得られる。
【0088】
ここで、本発明の方法における実施形態の手順について、軽金属の車輪のリムの被膜を参照しつつ説明する。図1aは、第1の支持体1に関する概略部分断面図を示し、第1の支持体1は、アルミニウムの軽金属の車輪のリム2における断面の形である。金属表面上のムラ3が描かれているが、明確化のために概略的に示されている。最初に、支持体1の表面を2段階のエッチングにより脱脂する。これは、支持体1の表面に存在している可能性のある支持体製造過程からの分離剤残留物を除去する目的で行われる。特に、このような2段階脱脂は、軽金属の車輪のリム2が好ましくはアルカリ性のエッチング浴に最初に浸漬されるように行われる。第2のエッチング段階において、軽金属の車輪のリム2を60℃にて、好ましくはアルカリ性のエッチング浴に浸漬する。その後、軽金属の車輪のリム2をすすぎ、エッチング残留物を除去する。その後、軽金属の車輪のリム2又は支持体1の表面を、例えば酸性のpH剤を用いた酸洗い段階に付して、存在する酸化層を除去する。水ですすいだ後に好ましくは完全な脱塩水ですすいだ後、第1の下塗り層5を支持体1に付与する(図1bも参照)。好ましくは、下塗り層の塗布は、湿式ラッカー被覆法で行われる。下塗りを施した後、好ましくは熱処理又は焼戻し段階を経て、下塗り層5の硬化又は焼き付けを行う。特に図1bに示すように、下塗り層5によって支持体の表面3と比較して著しく平坦な表面7が得られる。
【0089】
必要により、他の、第2の下塗り層(本実施形態においては、図示されず)を、表面を更に平坦にするために下塗り層5に付与することが可能である。これにより、特に、最適な平滑面、最適な表面硬度を生成し、そして再び、最適な表面張力を達成する。かかる方法で準備される軽金属の車輪のリム2を、本発明の方法の段階に加えることができる。もちろん、あらゆる予備処理をなされていない金属支持体を本発明の方法、特に艶出し及び/又は研磨状態に付すことも可能である。
【0090】
この場合、図1cに示すように、好ましくはカソード噴霧法において、例えばアルミニウムから作製される金属層9を支持体1又は下塗り層5に付与する。金属層の平均厚は、本実施形態において、約50〜120nmの範囲であっても良い。
【0091】
続く段階において、必要により、アルミニウム層9の熱処理又は焼戻しを行うが、これは約140℃の温度条件下で行われるのが好ましい。
【0092】
必要により、接着剤が、下塗り層5とアルミニウム層9の間において、特にプラズマ予備処理がカソード噴霧に用いられる真空チャンバ内で起こるという事実によって生成されても良い。不活性ガス雰囲気(好ましくはアルゴンを含む)中でこのようなプラズマ予備処理(燻し)の結果として、“下塗り”を付与することができる。この種の接着剤(図示せず)を第1の下塗り5の表面に形成することは、経済的にも有効である。なぜなら、後続のカソード噴霧工程において真空チャンバ内の圧力を低く維持する必要が一般的になく、その結果真空チャンバの排気時間を約75%低減し、流量を増大させることができるからである。この場合、プラズマの生成中にヘキサメチルジシロキサン等のポリマーをプラズマチャンバーに添加することが好ましい。
【0093】
本実施形態では、アルミニウム層9の付与後、特に付与直後に、ジルコニウム酸(H2ZrF6)及び/又はジルコニウム塩、例えば炭酸ジルコニウム、例えばアンモニウムジルコニウムカーボネート、及び/又はオキシ硝酸ジルコニウム及び適宜、二酸化ジルコニウム及び/又はフッ酸を含む水性系で処理する。このときの水性系のpH値は約2.5、コンダクタンスは1cm当たり100mS未満である。pH値は、アンモニア性の希釈溶液を用いて調整することができる。
【0094】
水性系の製造には、完全な脱塩水が好ましく用いられる。有利には、アルミニウム層で被覆された支持体を、上述の水性系で、好ましくは0.5バールを超える圧力で複数の高圧ジェットを用いる適当なノズルにて処理する。かかる処理工程の結果、又は処理工程中に、上述したジルコニウムの化合物は、実質的にアルミニウム層の厚さ全体に亘ってアルミニウム層に組み込まれる。ジルコニウムはその後、酸化物、例えば二酸化ジルコニウムとして結合されてかかる層に存在するのが好ましい。次いで、好ましくは表面を脱塩水ですすぐ。その後、得られた支持体を乾燥段階に付す。図1dに示すように、支持体1に対して本発明の方法を施した結果、金属保護層又は複合層11が第1の金属から得られ、その中に、例えば、第2の金属又は酸化結合された第2の金属、好ましくはチタン、ハフニウム及び特にジルコニウムの酸、塩及び/又は特に酸化物が、好ましくは実質的に均一に且つ金属層の厚さ全体に亘って分布するように組み込まれる。
【0095】
機械的な影響によって金属保護層11が損傷するのを防ぐために、かかる層に対して透明な仕上げラッカー層13を次いで付与するのが好ましい。これは、特に、アクリル酸やポリエステル又は混合粉末を含む粉末状の透明ラッカーであっても良く、湿式ラッカーを適用してもよい(図1eも参照)。
【0096】
図2は、EDX元素マップ(EDX=エネルギー分散性X線微量分析)の評価による単体のAl、Zr及びOの横方向分布に関する半定量的な図を示す。かかる結果は、10keVの励起電圧を用いてエネルギー分散性X線微量分析とESEM技術(環境制御型走査型電子顕微鏡;グリッド電子顕微鏡検査法)との組み合わせに基づいて得られた。画像は、二次電子(SEトポグラフィ対照)又は逆噴霧電子(reverse sprayed electrons)(BSE材料対照)を用いて得られた。EDX画像は、下塗り層、金属保護層又は複合層及び仕上げ層を含む、本発明に従って被覆された支持体から(例えば、図1eに示される)、ミクロトームクロスカットを広角にて得た(変性係数約400)。仕上げラッカー層13と下塗り層5との間に、金属保護層又は複合層11が明らかに見出される。また、複合層は、アルミニウム層9の厚さ全体に亘って実質的に均一に分配されるジルコニウム(酸化結合ジルコニウムの形、以下に示す)をアルミニウムとともに主成分として含む。
【0097】
かかる結果は、図3に示されるように、ミクロトーム本体の表面に対するライン走査分析に基づいて確認される。相互に連続する別個の測定箇所においてTOF−SIMS測定が使用されたライン走査16を、図3に概略的に示す。
【0098】
図4は、TOF−SIMS分析を用いて得られた、図3によるライン走査16に沿って選択された単体のノルム強度を示す。図は、選択された炭化水素シグナルの全強度に対してノルム定義された。全体として、特性信号の強度は、約600μmのライン走査長さに沿って20個の測定箇所にて質量分析によって分析された。ライン走査は、金属保護層の幅全体に亘って延び、更に、保護層に付着した保護ラッカー層13及び下塗り層5部分もカバーした。TOF−SIMSは、材料の表面に対する元素及び無機及び有機化合物の高感度指標に用いるフライング時間(flying time)二次イオン質量分析法である。かかる方法を用い、μm及びnm範囲での分析が、位置に拘わらず可能である。図4に明らかに示されるように、金属保護層11では、アルミニウムの信号とともにジルコニウムの信号が高強度で、金属保護層の厚さ全体に亘って分布して見出された。金属保護層においても検出されるメラミン及びPDMSの信号が保護ラッカー層にみられるが、かかる信号は、使用されるミクロトーム部分の形成から生じている。十分な測定領域又は長さを得るために、分析されるサンプルを斜めに切断する必要があった。これにより、わずか約100nmの厚さを有する金属保護層11に対して、測定長さを約400μmに延ばすことができた。かかる切断法を用いた場合、他の層からの材料の隣接層への混入や汚れを常に完全に防ぐことは不可能である。
【0099】
図5は、仕上げ層を予め除去した、図1e)による支持体1の金属複合層11の領域で使用されるXPSスペクトルを示している。X線励起光電子分光法(XPS)により、固形物に対して、結合段階の測定を、表面付近に存在する元素の定量的同定と共に行うことができる。金属複合層に関して記録されるXPSスペクトルは、二酸化ジルコニウム種に特徴的な180〜186eVの範囲で二重項信号を示している。従って、本実施形態において分析される支持体の金属保護層において、酸化的に結合したジルコニウムは主に酸化ジルコニウムの形で存在する。複合層11のXPS深さ方向の分析では、(上述のように酸化的結合した)ジルコニウムが、かかる層の幅全体に亘って実質的に分布していることも確認された。
【0100】
本発明の方法を用いて得られる軽金属の車輪のリムは、被膜のレジリエンスに関して自動車産業によって設定される基準と、自動車の車輪のリムの処理に用いられるコーティング系の使用許諾に関する法的基準の両方を満足する。特に、上述した本発明の方法で処理される軽金属の車輪のリムは、ドイツ工業規格 EN ISO2409に準拠するグリッド切断試験、ドイツ工業規格EN ISO50021に準拠する塩噴霧ミスト試験(Cass試験)(240時間後も表面に対する変化無し)及びVDA421412に準拠するストーンインパクト試験に問題なく合格した。更に、上述した軽金属の車輪のリムの被膜は、クロム調の外観を比較的簡単に、極めて高い耐性の表面として達成するように、高品質の外観の膜を有する。
【0101】
図6a)は、プラスチック射出部品51の形の、例えばヘッドライトの反射板として使用され得る支持体を示している。本発明の方法を用いると、プラスチック射出部品51の表面に鏡面を直接形成することが可能であり、この表面は、極めて良好な腐食特性、特に、湿潤環境条件下で追加の保護ラッカー層を施さなくてもかなり長期に亘る安定性を有する。本発明の方法を実施する前に、プラスチック射出部品51を必要により洗浄して、分離剤やダスト残留物を、例えば水ですすぐことによって除去する。また、下塗り層をプラスチック射出部品51の表面に最初に施し、且つ好ましくは、湿式ラッカー又は湿式ラッカー下塗りを使用することも可能である。
【0102】
図6b)によると、本発明の方法を用い、アルミニウム層53をカソード噴霧法でプラスチック支持体に付与する。かかる層の厚さは、例えば55〜120nmの範囲であっても良い。同様に、高品質の外観を有する表面がプラスチック射出部品51に形成されるが、かかる表面は極めて良好な反射特性を有するため、反射板は極めて良好な外観を有する。プラスチック射出部品51に使用されるプラスチックに応じ、アルミニウム層53が付与された後に熱処理を行っても良い。好ましくはその直後に、金属層2に関して上述したように、支持体を、例えば第2の金属の酸及び/又は塩、例えばジルコニウム酸(H2ZrF6)及び/又はアンモニウムジルコニウムカーボネート、及び適宜、二酸化ジルコニウム及び/又はフッ酸を含む水性系で処理する。プラスチックから作製される支持体に関して、ノズルを用いて圧力下、例えば0.5バールを超える圧力下にて水性系を金属層に施すことによって、第2の金属の上述した化合物を組み込む(図6cを参照)。このようにして、本発明の方法により、高いレジリエンス及び耐腐食性の両方を有するとともに、極めて良好な外観を有する反射板50が提供される。従来より知られているプラスチックから作製される反射板とは対照的に、本発明では、追加の仕上げラッカー層を金属保護層上に設ける必要がない。
【0103】
上記の記載、図面及び特許請求の範囲において開示された本発明の特徴を、個々に、及び必要とされる任意の組み合わせの両方で一体化して、異なる実施形態において本発明を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1a】本発明の方法を実施する前の金属支持体の概略部分断面図を示す。
【図1b】下塗り層の塗布後における図1aの支持体を示す。
【図1c】金属層の塗布後における図1bの支持体を示す。
【図1d】金属層又は複合層を含む図1cの支持体を示す。
【図1e】透明な仕上げ層を有する図1dの支持体を示す。
【図2】EDX元素マップの評価による、金属保護層における単体のAl、Zr、Oの横方向分布に関する半定量的な図を示す。
【図3】本発明の支持体のミクロトーム部分における光学顕微鏡の画像を示す。
【図4】TOF−SIMSを用いて得られる、図3に示されるような、選択された単体のライン走査に沿ったノルム強度を示す。
【図5】175〜190evの範囲のXPSスペクトルを示す。
【図6a】ヘッドライトに用いる反射板として機能するプラスチック部品の形の第2の支持体の概略部分断面図を示す。
【図6b】金属層の塗布後における図6aの支持体を示す。
【図6c】水性系による金属層の処理後における図6bの支持体を示す。
【符号の説明】
【0105】
1 支持体
2 軽金属の車輪のリム
3 表面のムラ
5 下塗り層
7 表面
9 アルミニウム層
11 金属層又は複合層
13 仕上げラッカー層
16 ライン走査
50 反射板
51 プラスチック射出部品
53 アルミニウム層
55 金属保護層又は複合層
【図1a)】

【図1b)】

【図1c)】

【図1d)】

【図1e)】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に防食加工され、特に光沢のある、金属及び/又は非金属支持体の製造方法であって、
以下の段階:
a)支持体に、少なくとも部分的に被覆可能な面を設ける段階と、
c)第1の金属、第1の貴金属又は第1の金属合金を含む少なくとも1層の金属保護層と、第2の金属、第2の貴金属又は第2の金属合金の、1種以上の塩、1種の酸化物、複酸化物、酸化物水和物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、炭化物、窒化炭素、ホウ化物、ケイ化物、オキシハロゲン化物及び/又は塩と、を付与する段階と、
を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記段階c)は、以下のサブ段階:
i)第1の金属、第1の貴金属又は第1の金属合金からなる金属層を付与する段階と、
ii)前記金属層を、第2の金属、第2の貴金属及び/又は第2の金属合金の、1種以上の酸、1種の酸化物、複酸化物、酸化物水和物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、炭化物、窒化炭素、ホウ化物、ケイ化物、オキシハロゲン化物及び/又は塩を含む水性系で処理することによって、前記金属層に、第2の金属、第2の貴金属及び/又は第2の金属合金の、1種以上の酸、1種の酸化物、複酸化物、酸化物水和物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、炭化物、窒化炭素、ホウ化物、ケイ化物、オキシハロゲン化物及び/又は塩を導入する段階と、
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水性系のpH値が1.5〜6.5の範囲である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記金属支持体は、金属、金属合金又は貴金属、特にマグネシウム、チタン若しくはアルミニウム、又はマグネシウム、チタン若しくはアルミニウムの合金を含み、前記非金属支持体は、ガラス、セラミック、炭素材料、木材プラスチック又はチップボードを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
更に、段階a)とc)の間に、以下の段階:
b)第1の下塗り層、及び必要に応じて第2の下塗り層を、特に前記金属又はプラスチック支持体に付与し、及び/又は特に前記金属支持体面を研磨及び/又は艶出しする段階と、
を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記金属保護層又は前記金属層は、物理蒸着法(PVD)コーティング、電子線蒸着器を用いる蒸着、抵抗蒸着器を用いる蒸着、誘導蒸着、ARC蒸着及び/又はカソード噴霧(スパッタリングコーティング)によって、各々好ましくは高真空条件下で設けられるか、又は前記支持体の前記被覆面又は前記第1の下塗り層若しくは第2の下塗り層の前記被覆面に浸漬又は噴霧によって設けられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の金属は、アルミニウム、金、真鍮、ブロンズ、銀、鉛、バナジウム、マンガン、マグネシウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、パラジウム、白金、チタン、亜鉛、ステンレススチール又はこれらの金属の合金、特にマグネシウム、チタン若しくはアルミニウム、又はマグネシウム、チタン若しくはアルミニウムの合金を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
段階c)によって得られる前記保護層の厚さは20nm〜10μmの範囲であり、好ましくは30nm〜5μmの範囲であり、特に好ましくは50nm〜1μmの範囲である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
段階c)により、少なくとも1層の、特に透明な、仕上げラッカー層及び/又は光沢が付与される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
段階c)のi)及び/又は段階c)による金属層の付与後、前記支持体を、特に完全に脱塩された水を用いたすすぎ段階に付する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
第2の金属、第2の貴金属又は第2の金属合金の酸、酸化物、複酸化物、オキシド水和物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、炭化物、窒化炭素、ホウ化物、ケイ化物、オキシハロゲン化物又は塩として、元素周期表第4族の単体、特にチタン、ジルコニウム及び/又はハフニウム、及び/又は第5族の単体の酸、酸化物、複酸化物、酸化物水和物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、炭化物、窒化炭素、ホウ化物、ケイ化物、オキシハロゲン化物特にオキシフッ化物、又は塩、あるいはこれらの混合物を使用する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記酸化物は酸化ジルコニウム、酸化チタン又は酸化ハフニウムであり、前記オキシフッ化物はオキシフッ化ジルコニウム、オキシフッ化チタン又はオキシフッ化ハフニウムであり、前記酸はフルオロジルコニウム酸、フルオロチタン酸又はフルオロハフニウム酸であり、前記塩は、フルオロジルコネート、フルオロチタネート又はフルオロハフニエートである請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記水性系及び/又は前記金属保護層は、更に、ポリマー化合物;少なくとも1種の脂肪酸、1種の脂肪アルコール及び/又は1種の脂肪アミン;少なくとも1種のポリオキシアルキレングリコールエーテル及び/又はフッ化物イオンを遊離形態及び/又は複合体形態で含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記金属層を圧力下で、特に流体ジェット状の水性系で処理する、請求項2〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも部分的に防食加工され、特に光沢のある支持体であって、支持体と、少なくとも1層の金属保護層と、を含み、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法により得られる支持体。
【請求項16】
少なくとも部分的に防食加工され、特に光沢のある支持体であって、第1の金属、第1の貴金属又は第1の金属合金と、第2の金属、第2の貴金属及び/又は第2の金属合金の、少なくとも1種の酸、1種の酸化物、複酸化物、酸化物水和物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、炭化物、窒化炭素、ホウ化物、ケイ化物、オキシハロゲン化物、特にオキシフッ化物及び/又は塩と、を含む少なくとも1層の金属保護層と、支持体と、を含む支持体。
【請求項17】
前記第2の金属、第2の貴金属及び/又は第2の金属合金、特にジルコニウム、ハフニウム又はチタンの前記酸、前記酸化物、複酸化物、酸化物水和物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、炭化物、窒化炭素、ホウ化物、ケイ化物、オキシハロゲン化物及び/又は塩が、前記第1の金属、前記第1の貴金属又は前記第1の金属合金における前記金属保護層の厚みの全体又はほぼ全体に、特に実質的に均一に分布している、請求項16に記載の支持体。
【請求項18】
前記金属保護層の厚さは20nm〜10μmの範囲であり、好ましくは30nm〜5μmの範囲であり、特に好ましくは50nm〜1μmの範囲である、請求項15〜17のいずれか1項に記載の支持体。
【請求項19】
前記金属支持体は、金属、貴金属又は金属合金、特にアルミニウム又はアルミニウム合金から形成され、前記非金属支持体は、ガラス、セラミック、炭素材料、木材又はチップボードから形成される、請求項15〜18のいずれか1項に記載の支持体。
【請求項20】
更に、前記支持体と前記金属保護層との間に少なくとも1層の下塗り層を含む、請求項15〜19のいずれか1項に記載の支持体。
【請求項21】
前記金属保護層を有する前記支持体の表面が、少なくとも部分的に研磨、脱脂及び/又は酸洗いされた表面である、請求項15〜20のいずれか1項に記載の支持体。
【請求項22】
前記第1の金属は、アルミニウム、金、真鍮、ブロンズ、銀、鉛、バナジウム、マンガン、マグネシウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、パラジウム、白金、チタン、亜鉛、ステンレススチール又はこれらの金属の合金、特にマグネシウム、チタン若しくはアルミニウム、又はマグネシウム、チタン若しくはアルミニウムの合金を含む、請求項15〜21のいずれか1項に記載の支持体。
【請求項23】
前記第2の金属の前記酸、前記酸化物、複酸化物、酸化物水和物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、炭化物、窒化炭素、ホウ化物、ケイ化物、オキシハロゲン化物又は塩は、元素周期表の第4族における第2の金属、特にジルコニウム、チタン又はハフニウム、あるいは第5族における第2の金属に基づくものである、請求項15〜22のいずれか1項に記載の支持体。
【請求項24】
前記第2の金属、前記第2の貴金属及び/又は前記第2の金属合金の前記酸、前記酸化物、複酸化物、酸化物水和物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、炭化物、窒化炭素、ホウ化物、ケイ化物、オキシハロゲン化物、特にオキシフッ化物及び/又は塩の前記金属保護層の全重量に対するシェアが0.2〜10重量%の範囲であり、特に1〜7重量%である、請求項15〜23のいずれか1項に記載の支持体。
【請求項25】
前記支持体がアルミニウム支持体であり、及び/又は前記金属保護層がアルミニウム層を含み、その内部において酸化的に結合したチタン、ジルコニウム及び/又はハフニウム、特に二酸化ジルコニウムが、好ましくは実質的に均一に分布している、請求項15〜24のいずれか1項に記載の支持体。
【請求項26】
鏡、鏡状材料又は反射鏡、特にヘッドライト、ライト若しくはランプ又はこれらの構成要素として;自動車構造、オートバイ構造若しくは自転車構造の付属部品又はこれらの構成要素、特に装飾リング、カバー又はパネルとして;前記自動車構造、前記オートバイ構造若しくは前記自転車構造に用いる車輪のリム、特に軽金属車輪のリム、又は車輪特に軽金属車輪、又はこれらの構成要素として;衛生設備、特に蛇口又はその構成要素として;車体の内部部品若しくは外部部品又はこれらの構成要素として;ハンドル又はハンドルの構成部品、特にドアハンドル又はこれらの構成要素として;断面材又はフレーム特に窓枠、又はこれらの構成要素として;ハードウエアシステム又はその構成要素、特に信号及びドア信号用のそれとして;ケース若しくは包装材料又はこれらの構成要素として;船の内部若しくは外部の構造要素又はこれらの構成要素として;宝飾品又はその構成要素として;家具又はその構成要素として;飛行機の内部若しくは外部の構成部品又はこれらの構成要素として;建築物の内部若しくは外部の構造要素又はこれらの構成要素として;ラジエータ若しくはパイプ又はこれらの構成要素として;エレベータにおける構造要素又はその構成要素として;電子部品若しくは装置の構造要素又はこれらの構成要素として;あるいは通信部品若しくは装置、特に携帯電話における構造要素又はこれらの構成要素としての、請求項15〜25のいずれか1項に記載の被覆支持体の使用。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a)】
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【図6b)】
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【図6c)】
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【公表番号】特表2009−534522(P2009−534522A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505768(P2009−505768)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【国際出願番号】PCT/EP2007/003377
【国際公開番号】WO2007/121898
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(508221693)ローパル アーゲー (1)
【Fターム(参考)】