説明

集積回路装置及び電子機器

【課題】 簡易な構造を有する異常検知可能な集積回路装置等を提供する。
【解決手段】 集積回路装置10は、異常を検出する少なくとも1つの検出回路36と、制御データを保持する複数の制御保持回路30と、を含む。前記少なくとも1つの検出回路36は、基準データを保持する基準保持回路37と、前記基準データと実質的に等しい等価データを保持する等価保持回路38と、前記基準データと前記等価データとを比較する比較回路39とを有する。前記少なくとも1つの検出回路36は、前記比較回路39の比較結果に基づき、前記基準データが異常であるか否かを表す検出信号を生成する。前記基準データが異常である場合、前記少なくとも1つの検出回路36は、前記検出信号として異常信号を出力する。前記基準保持回路37に保持される前記基準データは、前記比較回路39の比較動作のみに使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路装置及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器としての電気光学装置は、制御レジスタ回路を有する表示ドライバを含むことができる(例えば、特許文献1、特許文献2)。例えば、特許文献3において、複数のレジスタ回路42、43(広義には、制御レジスタ40)を有する制御装置全体が、メイン制御ユニット及びサブ制御ユニットとして二重化されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−182080号公報
【特許文献2】特開2005−195746号公報
【特許文献3】特開平06−274361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の幾つかの態様によれば、簡易な構造を有する異常検知可能な集積回路装置及び電子機器を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下に、本発明に従う複数の態様を例示する。以下に例示される複数の態様は、本発明を容易に理解するために用いられている。したがって、当業者は、本発明が、以下に例示される複数の態様によって不当に限定されないことを留意すべきである。
【0006】
本発明の一態様は、集積回路装置であって、
異常を検出する少なくとも1つの検出回路と、
制御データを保持する複数の制御保持回路と、
を含み、
前記少なくとも1つの検出回路は、基準データを保持する基準保持回路と、前記基準データと実質的に等しい等価データを保持する等価保持回路と、前記基準データと前記等価データとを比較する比較回路とを有し、
前記少なくとも1つの検出回路は、前記比較回路の比較結果に基づき、前記基準データが異常であるか否かを表す検出信号を生成し、
前記基準データが異常である場合、前記少なくとも1つの検出回路は、前記検出信号として異常信号を出力し、
前記基準保持回路に保持される前記基準データは、前記比較回路の比較動作のみに使用される、集積回路装置に関係する。
【0007】
本発明の一態様は、集積回路装置であって、
異常を検出する少なくとも1つの検出回路と、
制御データを保持する複数の制御保持回路と、
を含み、
前記少なくとも1つの検出回路は、基準データを保持する基準保持回路と、前記基準データと実質的に等しい等価データを保持する等価保持回路と、前記基準データと前記等価データとを比較する比較回路とを有し、
前記少なくとも1つの検出回路は、前記比較回路の比較結果に基づき、前記基準データが異常であるか否かを表す検出信号を生成し、
前記基準データが異常である場合、前記少なくとも1つの検出回路は、前記検出信号として異常信号を出力し、
前記基準保持回路は、前記複数の制御保持回路の何れの制御保持回路全体ではない、集積回路装置に関係してもよい。
【0008】
少なくとも1つの検出回路の基準保持回路に保持される基準データは、比較回路の比較動作のみに使用される。或いは、少なくとも1つの検出回路の基準保持回路は、複数の制御保持回路の何れの制御保持回路全体ではない。言い換えれば、検出回路の基準保持回路は、各制御保持回路と独立している。従って、検出回路の基準保持回路のデータ容量は、各制御保持回路のデータ容量と比べて簡素化できる。また、1つの検出回路で、複数の保持回路の異常を推定することができる。このように、集積回路装置は、簡易な構造を有することが可能である。
【0009】
また本発明の一態様では、前記基準データは、1ビットであってもよく、
前記等価データは、1ビットであってもよい。
【0010】
制御データが、例えば8ビットである場合、制御データ全体と独立する基準データ及び等価データは、8ビットである必要はない。基準データ及び等価データは、最小単位で構成され、集積回路装置は、簡易な構造を有することが可能である。
【0011】
また本発明の一態様では、前記基準データは、1ビットであってもよく、
前記等価データは、前記基準データを反転して得られる1ビットの反転データであってもよく、
前記少なくとも1つの検出回路は、前記等価保持回路に保持される前記反転データが、前記基準保持回路に保持される前記基準データの反転であるか否かを確認し、前記反転データが前記基準データの反転でない場合、前記検出信号として異常信号を出力してもよい。
【0012】
基準データ及び等価データが、それぞれ例えばH(1)及びL(0)を示す場合、LをHに変化させるノイズにより、検出回路は、異常を検出できる。仮に、等価データが基準データの反転でない第2の検出回路内の基準データ及び等価データが、それぞれ例えばL(0)及びL(0)を示す場合、LをHに変化させるノイズにより、基準データ及び等価データが、それぞれH(1)及びH(1)を示す第2の検出回路は、異常を検出できない。このように、等価データが基準データの反転である場合、集積回路装置は、異常を検出し易い。
【0013】
また本発明の一態様では、前記集積回路は、第1〜第N(Nは、2以上の整数)の分割領域に仮想的に分割されてもよく、
前記少なくとも1つの検出回路は、前記第1〜第Nの分割領域の各々に少なくとも1つの検出回路が配置される少なくともN個の検出回路であってもよい。
【0014】
N個の検出回路が分散しているので、集積回路装置は、異常を検出し易い。
【0015】
また本発明の一態様では、前記複数の制御保持回路は、前記第1〜第Nの分割領域の各々に少なくとも1つの制御保持回路が配置される少なくともN個の制御保持回路であってもよい。
【0016】
所与の分割領域の検出回路で、所与の分割領域の保持回路と他の分割領域の保持回路の異常を推定することができる。また、所与の分割領域において、1つの検出回路で、複数の保持回路の異常を推定してもよい。
【0017】
また本発明の一態様では、Nは、3以上の整数であってもよく、
前記少なくともN個の検出回路の3つの検出回路、又は前記第1〜第Nの分割領域の3つの分割領域は、等間隔に配置されてもよい。
【0018】
N個の検出回路が均一に分散しているので、集積回路装置は、効率的に異常を検出し易い。
【0019】
また本発明の一態様では、Nは、4以上の整数であってもよく、
前記少なくともN個の検出回路の4つの検出回路、又は前記第1〜第Nの分割領域の4つの分割領域は、マトリックス状に配置されてもよい。
【0020】
N個の検出回路が均一に分散しているので、集積回路装置は、効率的に異常を検出し易い。
【0021】
また本発明の一態様では、前記複数の制御保持回路は、前記少なくともN個の検出回路の外縁の内側に配置されてもよい。
【0022】
複数の制御保持回路をまとめて配置することで、集積回路装置は、効率的に異常を検出し易い。
【0023】
また本発明の一態様では、集積回路装置は、前記少なくともN個の検出回路の検出信号のすべてを入力する論理和回路を、
さらに含んでもよい。
【0024】
N個の検出回路の何れか1つの検出回路で、複数の保持回路のすべての異常を推定することができる。
【0025】
また本発明の一態様では、集積回路装置は、前記少なくともN個の検出回路の検出信号の各々に基づきアドレス信号を生成するアドレス生成回路を、
さらに含んでもよい。
【0026】
N個の検出回路の何れか1つの検出回路で、複数の保持回路の所与の保持回路の異常を推定することができる。
【0027】
また本発明の一態様では、前記少なくとも1つの検出回路は、第1〜第X(Xは、2以上の整数)の行の各々にY(Yは、2以上の整数)個の検出回路が配置され、その結果、第1〜第Yの列の各々にX個の検出回路が配置される第1〜第N(Nは、X×Y)の検出回路であり、
集積回路装置は、
第1〜第Xの行の対応する1つの行に配置されるY個の検出回路の検出信号のすべてを入力する第1〜第Xの行論理和回路と、
第1〜第Yの列の対応する1つの列に配置されるX個の検出回路の検出信号のすべてを入力する第1〜第Yの列論理和回路と、
前記第1〜第Xの行論理和回路の論理和演算結果及び前記第1〜第Yの列論理和回路の論理和演算結果に基づきアドレス信号を生成するアドレス生成回路と、
をさらに含んでもよい。
【0028】
N個の検出回路が分散しているので、集積回路装置は、異常を検出し易い。また、N個の検出回路の何れか1つの検出回路で、複数の保持回路の所与の保持回路の異常を推定することができる。
【0029】
また本発明の一態様では、前記第1〜第Xの行論理和回路の論理和演算結果の1つの論理和演算結果のみが異常信号を表し、且つ前記第1〜第Yの列論理和回路の論理和演算結果の1つの論理和演算結果のみが異常信号を表す場合、前記アドレス信号は、前記第1〜第Nの検出回路の1つの検出回路のみを特定してもよい。
【0030】
異常信号を出力する検出回路の場所を正確に把握することができる。
【0031】
また本発明の一態様では、前記少なくとも1つの検出回路は、ゲートアレイ又はスタンダートセルで実現されてもよい。
【0032】
少なくとも1つの検出回路を容易に作成することができる。
【0033】
また本発明の他の態様は、上記の何れかに記載の前記集積回路装置を含む電子機器に関係する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0035】
1.電気光学装置
図1に、本実施形態の電気光学装置の構成例を示す。電気光学装置(広義には、電子機器)は、例えば、図1に示される表示ドライバ10(広義には、集積回路装置)と電気光学パネル512と処置装置130とを含む。電気光学装置は、表示ドライバ10の外部に位置する外部不揮発性メモリ134を含んでもよい。外部不揮発性メモリ134は、表示ドライバ10の内部に含まれる内部不揮発性メモリであってもよい。電気光学パネル512は、表示ドライバ10により駆動される。電気光学装置の範囲は、例えば、車載用表示ユニットを含む。なお、表示ドライバ10は、図1に示される複数の回路の一部を省略してもよい。また、表示ドライバ10(集積回路装置)は、図1に示されない回路を含んでもよい。さらに、表示ドライバ10(集積回路装置)内の各回路は、複数の機能の一部を省略してもよく、他の機能を含んでもよい。表示ドライバ10(集積回路装置)、処置装置130、及び外部不揮発性メモリ134の一部又は全部を、電気光学パネル512の上に形成してもよい。
【0036】
図1において、電気光学パネル512は、複数のデータ線(ソース線)と、複数の走査線(ゲート線)と、各画素が複数のデータ線の何れかのデータ線及び複数の走査線の何れかの走査線により特定される複数の画素とを有する。そして各画素領域における電気光学素子(例えば、液晶素子)の光学特性を変化させることで、表示動作を実現する。図1において、1×2画素が示されているが、複数の画素の数は、2に限定されるものではない。電気光学パネル512は、例えば320×320画素を有する。また、電気光学パネル512は、TFT(Thin Film Transistor)、TFD(Thin Film Diode)などのスイッチング素子を用いたアクティブマトリクス方式のパネルにより構成できる。なお、電気光学パネル512は、アクティブマトリクス方式以外のパネル(例えば、単純マトリックス方式のパネル)であってもよいし、液晶パネル以外のパネル(例えば、有機EL(Electro Luminescence)パネル)であってもよい。
【0037】
より具体的には、液晶パネルは、例えばガラス基板からなるパネル基板上に形成される。パネル基板には、複数の走査線と、複数のデータ線とが配置されている。複数の走査線の何れかの走査線と複数のデータ線の何れかのデータ線との交差点に対応する位置に画素が設けられている。各画素は、例えばアモルファスSi−TFTからなるスイッチング素子と、画素電極とを有する。
【0038】
TFTのゲート電極は、複数の走査線の何れかの走査線に接続される。TFTのソース電極は、複数のデータ線の何れかのデータ線に接続される。TFTのドレイン電極は、複数の画素電極の何れかの画素電極に接続される。画素電極と、該画素電極と液晶素子(広義には電気光学物質)を介して対向する対向電極(コモン電極)との間には、液晶容量(広義には素子容量)が形成されている。なお、液晶容量と並列に、保持容量を形成するようにしても良い。液晶パネルでは、画素電極と対向電極との間の電圧に応じて、画素の透過率が変化するようになっている。対向電極に供給される対向電極電圧VCOMは、電源回路590により生成される。このような液晶パネルは、例えば画素電極及びTFTが形成された第1の基板と、対向電極が形成された第2の基板とを貼り合わせ、両基板の間に電気光学材料としての液晶を封入させることで形成される。素子容量の範囲は、液晶素子に形成される液晶容量や、無機EL素子等のEL素子に形成される容量を含む。
【0039】
記憶回路522(例えば、RAM(Random Access Memory))は、画像データを記憶する。記憶回路522は、複数のメモリセルを含み、少なくとも1フレーム(1画面)分の画像データ(表示データ)を記憶する。電気光学パネル512が320×320画素を有する場合、記憶回路522の記憶容量は、例えば、320×320×4ビットである。この場合、記憶回路522は、1フレーム分の4ビット(16階調)の画像データを記憶したり、2フレーム分の2ビット(4階調)の画像データを記憶したり、4フレーム分の1ビット(2階調)の画像データを記憶することができる。記憶回路522の記憶容量は、320×320×4ビットよりも大きくてもよく、記憶回路522は、複数フレーム分の4ビット(16階調)の画像データを記憶してもよい。記憶回路522に記憶される画像データは、例えば、書き込み回路526及び読み出し回路524によって、書き込まれたり、読み出されたりする。
【0040】
書き込み回路526は、処理装置130からの画像データを記憶回路522に書き込むが、書き込み回路526は、記憶回路522からの画像データを処理装置130に読み出す機能も有する書き込み/読み出し回路526であってもよい。読み出し回路524は、記憶回路522からの画像データをデータドライバ回路550に読み出す。書き込み回路526(書き込み/読み出し回路526)は、例えば、ページアドレスを制御するページアドレス制御回路とカラムアドレスを制御するカラムアドレス制御回路を有する。書き込み回路526(書き込み/読み出し回路526)は、画像データを一時的に記憶するバッファ回路を有してもよい。読み出し回路524は、例えば、ラインアドレスを制御するラインアドレス制御回路(及び必要に応じてカラムアドレスを制御するカラムアドレス制御回路)を有する。読み出し回路524は、画像データを一時的に保持するラッチ回路を有してもよい。
【0041】
制御ロジック回路542は、各種制御信号や各種制御データを生成したり、表示ドライバ10全体の制御を行う。制御ロジック回路542は、例えばゲートアレイ(G/A)などの自動配置配線により形成できる。また、制御ロジック回路542は、パラメータデータやコマンドデータを保持する。また、制御ロジック回路542は、階調電圧生成回路610(広義には、階調信号生成回路)に対して、階調特性(γ特性)を調整するための階調調整データ(γ補正データ)を出力したり、電源回路590に対して、各種の電圧を調整するための電圧設定データを出力する。また、制御ロジック回路542は、表示ドライバ10に接続される外部の不揮発性メモリ134(例えば、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM))に対してアクセス制御を行う。また、制御ロジック回路542は、処理装置130(例えば、MPU(Micro Processing Unit))との間で、信号やデータを送受信する。なお、制御ロジック回路542は、処理装置130から基準クロックを受け取ってもよく、表示ドライバ10は、基準クロックを生成する発振回路を含んでもよい。制御ロジック回路542は、処理装置130から垂直同期信号や水平同期信号を受け取ってもよく、表示ドライバ10は、垂直同期信号や水平同期信号を生成する回路を含んでもよい。
【0042】
表示タイミング制御回路544は、表示タイミングの制御信号を生成し、処理装置130から記憶回路522への画像データの書き込みタイミングを制御したり、記憶回路522からデータドライバ回路550への画像データの読み出しタイミングを制御する。また、表示タイミング制御回路544は、電気光学物質の印加電圧(広義には印加信号)の極性が反転するタイミングを指定する極性反転信号POLを生成し、データドライバ回路550、電源回路590、及び階調電圧生成回路610に送る。
【0043】
システムインターフェース回路548は、処理装置130から表示ドライバ10への信号やデータを受け取り、表示ドライバ10から処理装置130への信号やデータを送り出すインターフェースを実現する。システムインターフェース回路548は、処理装置130と記憶回路522との間の画像データの通信に、画像データを一時的に保持するバスホルダ回路を使用してもよい。システムインターフェース回路548は、パラレルインターフェース回路でもよく、シリアルインターフェース回路でもよく、パラレル/シリアルインターフェース回路でもよい。パラレルインターフェース回路548は、例えば、反転チップセレクト信号XCS、コマンド/データの識別信号A0、反転リード信号XRD、反転ライト信号XWR、及び8ビットのデータD7〜D0を取り扱う。シリアルインターフェース回路は、例えば、反転チップセレクト信号XCS、コマンド/データの識別信号A0、シリアルクロック信号SCL、及びシリアルデータSDを取り扱う。パラレル/シリアルインターフェース回路は、例えば、シリアル/パラレル選択信号IF、反転チップセレクト信号XCS、コマンド/データの識別信号A0、反転リード信号XRD、反転ライト信号XWR、8ビットのデータD7〜D0、シリアルクロック信号SCL、及びシリアルデータSDを取り扱う。
【0044】
シリアル/パラレル選択信号IFの「H(Highレベル)」及び「L(Lowレベル)」はそれぞれ、例えば、シリアル通信モード及びパラレル通信モードを示す。反転チップセレクト信号XCSの「L」は、例えば、処理装置130と表示ドライバ10との間の通信の許可を示す。コマンド/データの識別信号A0の「H」及び「L」はそれぞれ、例えば、画像データ又はパラメータデータの通信モード及びコマンドデータの通信モードを示す。パラレル通信モードにおける反転リード信号XRDの「L」は、例えば、表示ドライバ10から処理装置130へのデータの読み出しを示す。パラレル通信モードにおける反転ライト信号XWRの「L」は、例えば、処理装置130から表示ドライバ10へのデータの書き込みを示す。パラレル通信モードにおける8ビットのデータD7〜D0は、例えば、画像データ、パラメータデータ、又はコマンドデータを示す。シリアル通信モードにおけるシリアルクロック信号SCLは、処理装置130と表示ドライバ10との間の通信用のクロックを示す。シリアル通信モードにおけるシリアルデータSDは、例えば、画像データ、パラメータデータ、又はコマンドデータを示す。
【0045】
データドライバ回路550は、電気光学パネル512の複数のデータ線を駆動するためのデータ信号(データ線用の駆動信号)を生成する回路である。具体的にはデータドライバ回路550は、記憶回路522から画像データ(階調データ)を受け、階調電圧生成回路610から複数(例えば16段階、4段階、2段階など)の階調電圧(基準電圧)(広義には、階調信号)を受ける。そして、データドライバ回路550は、複数の階調電圧の中から、画像データに対応する階調電圧を選択する。選択された階調電圧は、データ信号として、電気光学パネル512の複数のデータ線のうちの対応するデータ線に出力される。
【0046】
データドライバ回路550は、電気光学物質の劣化を防止するために、電気光学物質の印加電圧(広義には印加信号)の極性を反転させる極性反転駆動を採用することができる。極性反転駆動は、1垂直走査期間単位で極性反転を行うフレーム反転駆動、1水平走査期間単位で極性反転を行うライン反転駆動、及び、1画素単位で極性反転を行うドット反転駆動をライン反転駆動に組み合わせた極性反転駆動などを有する。データドライバ回路550が極性反転駆動を採用する場合、データドライバ回路550は、極性反転信号POLに同期して、画像データ(階調データ)に対応する階調電圧を選択する。具体的には、データドライバ回路550は、極性反転信号POLに同期して、画像データ(階調データ)の各ビットを反転して、反転画像データ(反転階調データ)を生成する。データドライバ回路550は、極性反転信号POLに基づき、複数の階調電圧の中から、画像データ又は反転画像データに対応する階調電圧を選択する。
【0047】
走査ドライバ回路570は、電気光学パネル512の複数の走査線を駆動するための走査信号(走査線用の駆動信号)を生成する回路である。具体的には、内蔵するシフトレジスタにおいてスタートパルス信号を順次シフトし、このシフトされたスタートパルス信号をレベル変換する。レベル変換された信号は、走査信号(走査電圧)として、電気光学パネル512の複数の走査線うちの対応する走査線に出力される。なお走査ドライバ570に、走査アドレス生成回路やアドレスデコーダを含ませ、走査アドレス生成回路が走査アドレスを生成して出力し、アドレスデコーダが走査アドレスのデコード処理を行うことで、走査信号を生成してもよい。
【0048】
電源回路590は、各種の電圧(広義には電源信号)を生成する回路である。電源回路590は、入力電源電圧や内部電源電圧を、昇圧用キャパシタや昇圧用トランジスタを用いてチャージポンプ方式で昇圧し、昇圧電圧を生成する。昇圧電圧に基づき、走査ドライバ回路570や階調電圧生成回路610が使用する高電圧を生成できる。また電源回路590は、昇圧電圧のレベル調整を行う。また電源回路590は、電気光学パネル512の対向電極に供給する対向電極電圧VCOMも生成する。
【0049】
階調電圧生成回路(γ補正回路)610は、複数の階調電圧を生成する回路である。具体的には、階調電圧生成回路610は、電源回路590で生成された高電圧の電源電圧VDDH、VSSHに基づいて、選択用電圧VS1〜VS64(広義にはR個の選択用電圧)を出力する。階調電圧生成回路610は、直列に接続された複数の抵抗素子を有するラダー抵抗回路を含む。そしてVDDH、VSSHを、このラダー抵抗回路により分割した電圧を、選択用電圧VS1〜VS64として出力する。階調電圧生成回路610は、制御ロジック回路542からの階調特性の調整データに基づいて、選択用電圧VS1〜VS64の中から、例えば16階調の場合には16個(広義にはS個。R>S)の電圧を選択して、階調電圧V1〜V16として出力する。このようにすれば電気光学パネルに応じた最適な階調特性(γ補正特性)の階調電圧を生成できる。なお、極性反転駆動の場合には、階調電圧生成回路610は、正極性用のラダー抵抗回路と負極性用のラダー抵抗回路を含んでもよい。すなわち、階調電圧生成回路610は、極性反転信号POLに同期して、正極性用の複数(例えば16段階)の階調電圧V1〜V16又は負極性用の複数(例えば16段階)の階調電圧V1〜V16を出力してもよい。
【0050】
処理装置130は、制御ロジック回路542との間で、信号やデータを送受信する。処理装置130は、MPUやCPU(Central Prosessing Unit)により実現してもよいし、ASICであるコントローラ回路により実現してもよい。また、MPU130の機能を、電子機器(例えば、電気光学装置、携帯電話、ページャ、時計、液晶テレビ、車載用表示装置、カーナビゲーション装置、電卓、ワードプロセッサ、プロジェクタ又はPOS端末等)が有する処理部(MPU)により実現してもよい。
【0051】
処理装置130の主な動作は、制御ロジック回路542にコマンドデータを送信し、制御ロジック回路542は、そのコマンドデータに基づき表示ドライバ10を制御する。また、処理装置130は、必要に応じてコマンドデータに関連するパラメータデータを送信する。処理装置130の主な他の動作は、記憶回路522に画像データを送信する。具体的には、処理装置130は、記憶回路522の書き込み領域(例えば、1フレーム分の記憶領域)を制御ロジック回路542に指示するために、書き込み領域を設定するコマンドデータと、書き込み領域の内容(例えば、1フレーム分の記憶領域のスタートアドレス及びエンドアドレス)を表すパラメータデータとを制御ロジック回路542に送信する。その後、処理装置130は、記憶回路522への画像データ(例えば、1フレーム分の画像データ)の送信を開始し、これに応じて、制御ロジック回路542は、記憶回路522の設定された書き込み領域に画像データの書き込みを書き込み回路526を介して開始する。画像データ(例えば、1フレーム分の画像データ)の送信を開始する際、処理装置130は、画像データの書き込み開始を指示するコマンドデータを制御ロジック回路542に送信してもよい。
【0052】
外部不揮発性メモリ134は、電気光学装置を動作させるための種々の情報を記憶する。具体的には、外部不揮発性メモリ134は、表示特性制御パラメータデータ(フリッカ調整パラメータデータ、コントラスト調整パラメータデータ、表示制御パラメータデータ、階調制御パラメータデータ、電圧設定パラメータデータ等)を記憶する。外部不揮発性メモリ134は、表示特性制御パラメータデータ以外のパラメータデータ(リフレッシュ期間パラメータデータ、製造情報パラメータデータ等)も記憶する。外部不揮発性メモリ134に記憶された各種のパラメータデータは、例えば、電源投入時、システムリセット時、又はリフレッシュ時に、制御ロジック回路542によって読み出される。
【0053】
2.制御ロジック回路
図2に、図1の制御ロジック回路542の構成例を示す。制御ロジック回路542は、処理装置130からのコマンドデータをデコードするコマンドデコーダ回路514と、処理装置130からのパラメータデータを保持するパラメータレジスタ回路30(広義には、パラメータ保持回路)とを有する。また、制御ロジック回路542は、処理装置130からの画像データを受け、画像データを書き込み回路526に送る。図2において、システムインターフェース回路548は、反転チップセレクト信号XCS、コマンド/データの識別信号A0、反転リード信号XRD、反転ライト信号XWR、及び8ビットのデータD7〜D0を取り扱い、処理装置130に対してパラレルインターフェース回路の機能を表す。好ましくは、システムインターフェース回路548は、検出信号(異常信号)ERRを取り扱うことができる。
【0054】
制御ロジック回路542の主な動作は、処理装置130からの各種のコマンドデータを受信し、コマンドデータの内容に応じて、表示ドライバ10内の制御回路524、526、544、590、610を制御する。図2に示すように、制御ロジック回路542は、各種のコマンドデータが入力されたことを保持するコマンドレジスタ回路515(広義には、コマンド保持回路)を有してもよい。また、制御ロジック回路542は、処理装置130からの各種のパラメータデータを受信し、パラメータデータをパラメータレジスタ回路30に保持させる。図2に示すように、制御ロジック回路542は、コマンドデコーダ回路514のデコード結果に応じてコマンドデータに関連するパラメータデータをパラメータレジスタ回路30に保持させるレジスタ書き込み回路20を有してもよい。表示ドライバ10内の制御回路524、526、544、590、610は、パラメータレジスタ回路30に保持されるパラメータデータに基づき動作する。コマンドレジスタ回路515やパラメータレジスタ回路30のような制御レジスタ回路(広義には、制御保持回路)は、Dフリップフロップで実現してもよいし、RAMで実現してもよい。コマンドレジスタ回路515及びパラメータレジスタ回路30を制御レジスタ回路として統合し、制御レジスタ回路をコマンドデータ用の領域とパラメータデータ用の領域とに分けてもよい。
【0055】
好ましくは、制御ロジック回路542は、パラメータレジスタ回路30の異常を推定するために検出回路36を有することができる。検出回路36は、基準データを保持する基準レジスタ回路を有し、基準データが異常であるか否かを示す検出信号を生成する。検出回路36は、例えばシステムインターフェース回路548を介して、検出信号ERRを処理装置130に出力することもできる。処理装置130は、検出信号ERRに基づき、パラメータレジスタ回路30を訂正することができる。
【0056】
図2において、システムインターフェース回路548は、電源投入時又はシステムリセット時に例えば「L」を示す反転リセット信号XRESを取り扱うことができ、制御ロジック回路542は、反転リセット信号XRESに基づき外部不揮発性メモリ134に記憶されるパラメータデータのすべての読み出しを制御するメモリ制御回路518を有することができる。メモリ制御回路518は、読み出しの開始を制御する制御データを外部不揮発性メモリ134に送信する。なお、制御ロジック回路542がソフトウェアリセットを示すコマンドデータSWRESETやコマンドリフレッシュを示すコマンドデータCMRFを処理装置130から受信する場合、同様に、メモリ制御回路518は、コマンドデータSWRESETに基づき外部不揮発性メモリ134に記憶されるパラメータデータのすべての読み出しを制御することができる。
【0057】
システムインターフェース回路548は、例えば、外部不揮発性メモリ134用の反転チップセレクト信号XE2CS、シリアルクロック信号E2SCL、及びシリアル出力データE2SOを取り扱うことができる。反転チップセレクト信号XE2CSの「L」は、例えば、外部不揮発性メモリ134と表示ドライバ10との間の通信の許可を示す。シリアル通信モードにおけるシリアルクロック信号E2SCLは、外部不揮発性メモリ134と表示ドライバ10との間の通信用のクロックを示す。シリアル通信モードにおけるシリアル出力データE2SOは、表示ドライバ10から外部不揮発性メモリ134への制御データを示す。また、システムインターフェース回路548は、例えば、シリアル入力データE2SIを取り扱うことができる。シリアル通信モードにおけるシリアル入力データE2SOは、外部不揮発性メモリ134から表示ドライバ10へのパラメータデータ又は制御データを示す。
【0058】
外部不揮発性メモリ134は、読み出しの開始を制御する制御データをメモリ制御回路518から受信すると、外部不揮発性メモリ134に記憶されるパラメータデータのすべての読み出しを開始する。レジスタ書き込み回路20は、外部不揮発性メモリ134からのパラメータデータをパラメータレジスタ回路30に書き込むことができる。パラメータレジスタ回路30は、処理装置130によって設定されるパラメータデータと外部不揮発性メモリ134によって設定されるパラメータデータとを有することができる。
【0059】
このように、レジスタ書き込み回路20は、所与のタイミングで、外部不揮発性メモリ134に記憶されるパラメータデータのすべてを、表示ドライバ10のパラメータレジスタ回路30に書き込むことができる。所与のタイミングは、電源投入時やシステムリセット時やソフトウェアリセット時やコマンドリフレッシュ時以外のリフレッシュ時でもよい。外部メモリ制御回路518は、パラメータレジスタ回路30に保持されるリフレッシュ期間パラメータデータに基づき、読み出しの開始を制御する制御データを外部不揮発性メモリ134に定期的に送信してもよい。これに応じて、レジスタ書き込み回路20は、定期的なリフレッシュ時に、外部不揮発性メモリ134に記憶されるパラメータデータのすべてを、表示ドライバ10のパラメータレジスタ回路30に定期的に書き込むことができる。なお、レジスタ書き込み回路20は、所与のリフレッシュ時に、外部不揮発性メモリ134に記憶されるパラメータデータの一部だけをパラメータレジスタ回路30に書き込んでもよい。
【0060】
図3に、図2の検出回路36の構成例を示す。図2において、検出回路36は1つの四角形を用いて示されているが、図2の検出回路36の数は、1に限定されない。当業者は、図2の検出回路36が、複数の検出回路の集合を表し得ることを留意すべきである。図3において、1つの検出回路36の構成例が示されている。言い換えれば、図2の検出回路36は、図3の1つの検出回路36のような、少なくとも1つの検出回路36で実現することができる。
【0061】
図3において、1つの検出回路36は、D(Dは、1以上の整数)ビットの基準データを保持する基準レジスタ回路37と、基準データと実質的に等しいDビットの等価データを保持する等価レジスタ回路38と、基準データと等価データとを比較する比較回路39とを有する。Dが1の場合、基準レジスタ回路37及び等価レジスタ回路38は、最小単位で構成される。図3において、1つの検出回路36は、比較回路39の比較結果に基づき、基準データが異常であるか否かを表す検出信号を生成する。基準データが異常である場合、図3の1つの検出回路36は、検出信号として異常信号を出力する。図2の検出回路36が図3の1つの検出回路36である場合、制御ロジック回路542(広義には表示ドライバ10、さらに広義には、集積回路装置)は、図3の1つの検出回路36の検出信号ERRを処理装置130に出力する。なお、図2の検出回路36が図3の1つの検出回路36のような、複数の検出回路36である場合、制御ロジック回路542は、複数の検出回路36の複数の検出信号ERRを処理装置130に出力してもよい。
【0062】
基準レジスタ回路37は、Dビットの基準データ(DATA)を例えばシステムインターフェース回路548を介して処理装置130から入力する。Dが1の場合、基準レジスタ回路37は、例えば反転リセット信号に基づき1ビットの基準データとして、例えばH(1)を記憶する。Dが2の場合、基準レジスタ回路37は、例えば反転リセット信号に基づき2ビットの基準データとして、例えばHL(10)を記憶する。システムインターフェース回路548が、パラレルインターフェース回路であり、Dが1の場合、基準レジスタ回路37は、例えばデータD0を1ビットの基準データとして記憶してもよい。また、基準レジスタ回路37は、コマンドデコーダ回路514(例えば、1ビットの基準データとして、H(1)を基準レジスタ回路37に保持させることを示すコマンドデータSETDATA)を介してDビットの基準データ(DATA)を入力してもよい。
【0063】
等価レジスタ回路38は、Dビットの基準データと実質的に等しいDビットの等価データを保持する。1ビットの基準データがH(1)である場合、1ビットの等価データは、L(0)でもよく、H(1)でもよい。言い換えれば、比較回路39は、基準データと等価データとの関係を考慮して、基準データと等価データとを比較すればよい。
【0064】
図4に、図3の検出回路36の具体例を示す。図4(A)において、基準レジスタ回路37は、フリップフロップ素子で構成され、図4(B)において、基準レジスタ回路37は、ラッチ素子で構成される。図4(A)、図4(B)において、比較回路39は、EOR(排他的論理和)素子で構成される。図4において、基準レジスタ回路37は、1ビットの基準データを保持し、等価レジスタ回路38は、基準データを反転して得られる1ビットの反転データを保持する。詳細には、等価レジスタ回路38は、基準データを第1のインバータ回路INV1(広義には反転回路)を介して入力し、反転データを保持する。検出回路36は、等価レジスタ回路38に保持される反転データが、基準レジスタ回路37に保持される基準データの反転であるか否かを確認する。詳細には、比較回路39は、基準レジスタ回路37に保持される基準データが、等価レジスタ回路38に保持される反転データを反転して得られる再反転データと一致するか否かを比較する。基準データが再反転データと一致する場合、比較回路39は、検出信号として、L(0)を出力する。基準データが再反転データと一致しない場合、比較回路39は、検出信号(異常信号)として、H(1)を出力する。なお、図4の比較回路39は、第2のインバータ回路INV2を介して、等価レジスタ回路38に保持される反転データを入力する。図4の第2のインバータ回路INV2は、等価レジスタ回路38と比較回路39との間の代わりに、基準レジスタ回路37と比較回路39との間に配置してもよい。
【0065】
図4において、第1のインバータ回路INV1及び第2のインバータ回路INV2を省略してもよい。この場合、等価レジスタ回路38は、基準データを保持し、比較回路39は、基準レジスタ回路37に保持される基準データが、等価レジスタ回路38に保持される基準データと一致するか否かを比較する。
【0066】
制御ロジック回路542(又は表示ドライバ10の一部)がゲートアレイやスタンダートセルで実現される場合、検出回路36もゲートアレイやスタンダートセルで実現することができる。この場合、検出回路36の作成は、容易である。図4(A)において、1つの検出回路36は、42個のトランジスタで構成できる。図4(A)において、1つの検出回路36は、26個のトランジスタで構成できる。
【0067】
図5に、複数の検出回路36の配置例を示す。図5の複数の検出回路36の各々は、図3の検出回路36の機能を有する。図5に示されるように、表示ドライバ10の制御ロジック回路542は、平面視で、第1〜第12の分割領域に、仮想的な点線で分割されている。各分割領域に、1つの検出回路36が配置されている。図5において、分割領域は、四角形を用いて示されているが、分割領域の形状は、四角形に限定されない。また、各分割領域の面積も、等しくなくてもよい。また、図5において、分割領域の数は、12であるが、分割領域の数は、12に限定されない。
【0068】
複数の検出回路36の数が12である場合に、分割領域の数を12以下に想定してもよい。また、分割領域の数が12である場合に、複数の検出回路36の数を12以上にしてもよい。さらに、表示ドライバ10(広義には、集積回路)を第1〜第N(Nは、2以上の整数)の分割領域に仮想的に分割し、第1〜第Nの分割領域の各々に少なくとも1つの検出回路36を配置してもよい。
【0069】
図5において、12個の検出回路36のうちの特定の3つの検出回路に着目すると、3つの検出回路は、等間隔に配置されている。或いは、図5において、12個の分割領域のうちの特定の3つの分割領域に着目すると、3つの分割領域は、等間隔に配置されている。また、図5において、12個の検出回路36のうちの特定の4つの検出回路に着目すると、4つの検出回路は、マトリックス状に配置されている。12個の検出回路36も、マトリックス状に配置されている。或いは、図5において、12個の分割領域のうちの特定の4つの分割領域に着目すると、4つの分割領域は、マトリックス状に配置されている。このように、複数の検出回路36が均一に分散している場合、表示ドライバ10は、効率的に異常を検出し易い。
【0070】
図6に、複数のパラメータレジスタ回路30の配置例を示す。図6において、複数の検出回路36は、図5のものと同じである。各分割領域に、1つのパラメータレジスタ回路30(広義には、制御保持回路)が配置されている。図6において、パラメータレジスタ回路30の数は、12であるが、パラメータレジスタ回路30の数は、12に限定されない。
【0071】
図7に、複数のパラメータレジスタ回路30の他の配置例を示す。図7に示すように、分割領域の数が12である場合に、複数のパラメータレジスタ回路30の数を12以上にしてもよい。図7において、各分割領域に、複数のパラメータレジスタ回路30が配置される。
【0072】
図2において、パラメータレジスタ回路30は、1つの四角形を用いて示されているが、図2のパラメータレジスタ回路30の数は、1に限定されない。当業者は、図2のパラメータレジスタ回路30が、複数のパラメータレジスタ回路の集合を表し得ることを留意すべきである。図6において、第1〜第12のパラメータレジスタ回路30の配置例が示されている。図7において、第1〜第24のパラメータレジスタ回路30の配置例が示されている。同様に、図2において、コマンドレジスタ回路515は、1つの四角形を用いて示されているが、図2のコマンドレジスタ回路515の数は、1に限定されない。
【0073】
図6において、1つの検出回路36内の図3に示されるような1つの基準レジスタ回路37は、第1〜第12のパラメータレジスタ回路30の何れのパラメータレジスタ回路30全体ではない。或いは、基準レジスタ回路37に保持される基準データは、比較回路39の比較動作のみに使用される。言い換えれば、検出回路36の基準レジスタ回路37は、各パラメータレジスタ回路30と独立している。従って、1つの検出回路36(例えば、第1の分割領域内の第1の検出回路36)で、互いに異なる複数の分割領域内の複数のパラメータレジスタ回路30(例えば、第1の分割領域内の第1のパラメータレジスタ回路30及び第1の分割領域に隣接する第2の分割領域内の第2のパラメータレジスタ回路30)の異常を推定することができる。
【0074】
図7において、1つの検出回路36内の図3に示されるような1つの基準レジスタ回路37は、第1〜第24のパラメータレジスタ回路30の何れのパラメータレジスタ回路30全体ではない。1つの検出回路36で、複数のパラメータレジスタ回路30(例えば、同一の分割領域内の複数のパラメータレジスタ回路30)の異常を推定することができる。
【0075】
図8に、複数のパラメータレジスタ回路30の他の配置例を示す。図8に示すように、4つのパラメータレジスタ回路30は、4つの検出回路36の破線で示される外縁の内側に配置される。このように、複数のパラメータレジスタ回路30を複数の検出回路36の外縁の内側にまとめて配置することで、表示ドライバ10は、効率的に異常を検出できる。言い換えれば、複数の検出回路36の外縁の内側に、重要な複数のパラメータレジスタ回路30を配置し、重要でない残りのパラメータレジスタ回路に対しては、検出回路36の配置を省略することもできる。図8において、4つの検出回路36の外縁の内側のパラメータレジスタ回路30の数は、4であるが、これらのパラメータレジスタ回路30の数は、4に限定されない。図8において、4つの検出回路36の外縁の外側のパラメータレジスタ回路30の数は、8であるが、これらのパラメータレジスタ回路30の数は、8に限定されない。また、検出回路36の数も、4に限定されない。
【0076】
図9に、複数の検出信号を統合する統合回路40を示す。図2の検出回路36が複数の検出回路36の集合を表す場合、図2の検出回路36(複数の検出回路36の集合)は、例えば統合回路40及びシステムインターフェース回路548を介して、複数の検出信号を統合する統合検出信号ERRを処理装置130に出力することができる。
【0077】
図9の統合回路40は、例えば、論理和回路で実現する。論理和回路は、例えば、OR回路である。図9に示される複数の検出回路36の各々は、異常を検出する場合に検出信号として、例えば、H(1)を出力する。統合回路40がOR回路であり、且つ、複数の検出回路36の何れか1つの検出回路が検出信号として異常信号を出力する場合、統合回路40は、統合検出信号ERRとして、例えば、H(1)を出力する。
【0078】
図6に示される複数の検出回路36からのすべての検出信号を、図9に示されるような構成で、OR回路が入力する場合、どの検出回路36が異常を検出しても、統合検出信号ERRは、図6に示される複数のレジスタ回路30のすべての異常を推定することができる。図7及び図8についても同様である。異常を示す統合検出信号ERRを受信する処理装置130は、コマンドリフレッシュを示すコマンドデータCMRFを制御ロジック回路542に送信することできる。
【0079】
図9の統合回路40は、例えば、アドレス生成回路で実現してもよい。アドレス生成回路は、図9に示される複数の検出信号の各々に基づきアドレス信号を生成する。アドレス生成回路は、統合検出信号ERRとして、アドレス信号を出力する。アドレス信号は、複数の検出回路36の各々を識別可能な信号である。例えば、アドレス信号が4ビットである場合、アドレス信号は、図9に示される12個の検出回路36を識別できる。第1の検出回路36が、検出信号として、例えば、H(1)を出力する場合、アドレス生成回路は、例えば「0001」を示すアドレス信号を生成する。第2の検出回路36が、検出信号として、例えば、H(1)を出力する場合、アドレス生成回路は、例えば「0010」を示すアドレス信号を生成する。12個の検出回路36のすべてが検出信号として、例えば、L(0)を出力する場合、アドレス生成回路は、例えば「0000」を示すアドレス信号を生成する。
【0080】
統合回路40がアドレス生成回路を含む場合、アドレス信号は、どの検出回路36が異常信号を出力しているか識別することができる。従って、図6に示される複数のレジスタ回路30の一部の異常を推定することができる。図7及び図8についても同様である。図6において、例えば、第1の分割領域内の第1の検出回路36が異常信号を出力する場合、アドレス信号を受け取る処理装置130は、第1の分割領域内の第1のパラメータレジスタ回路30及び第1の分割領域に隣接する第2の分割領域内の第2のパラメータレジスタ回路30の異常を推定することができる。
【0081】
図10に、図9の統合回路40の構成例を示す。上述の通り、統合回路40は、論理和回路だけで実現してもよく、アドレス生成回路だけで構成してもよい。図10に示されるように、統合回路40は、論理和回路とアドレス生成回路とを有してもよい。図10において、第1〜第X(Xは、2以上の整数)の行の各々にY(Yは、2以上の整数)個の検出回路36が配置される。言い換えれば、第1〜第Yの列の各々にX個の検出回路36が配置される。図10において、複数の検出回路36の数は、X×Yである。
【0082】
図10に示されるように、統合回路40は、第1〜第Xの行の対応する1つの行に配置されるY個の検出回路36の検出信号のすべてを入力する第1〜第Xの行論理和回路(例えば、OR回路)と、第1〜第Yの列の対応する1つの列に配置されるX個の検出回路36の検出信号のすべてを入力する第1〜第Yの列論理和回路(例えば、OR回路)と、第1〜第Xの行論理和回路の論理和演算結果及び第1〜第Yの列論理和回路の論理和演算結果に基づきアドレス信号を生成するアドレス生成回路と、を有する。アドレス生成回路は、アドレス信号を検出信号ERRとして出力する。
【0083】
アドレス生成回路は、第1〜第Xの行論理和回路の論理和演算結果に基づき、例えば上位アドレス信号を生成する上位アドレス生成回路と、第1〜第Yの列論理和回路の論理和演算結果に基づき、例えば下位アドレス信号を生成する下位アドレス生成回路と、を有する。アドレス生成回路がこのような上位アドレス生成回路及び下位アドレス回路を有することで、アドレス生成回路に入力される第1〜第Xの行論理和回路の論理和演算結果及び第1〜第Yの列論理和回路の論理和演算結果の数は、減少する。言い換えれば、アドレス生成回路が第1〜第Xの行論理和回路及び第1〜第Yの列論理和回路を介して複数の検出回路36からの検出信号を入力する場合、このようなアドレス生成回路は、簡易な回路構成を有することができる。
【0084】
例えば、X=Y=3であり、第1の行論理和回路の論理和演算結果がH(1)を示し、第1の列の列論理和回路の論理和演算結果がH(1)を示す場合、上位アドレス生成回路は、例えば「001」を示す上位アドレス信号を生成し、下位アドレス生成回路は、例えば「001」を示す下位アドレス信号を生成する。その結果、アドレス生成回路は、「001001」を示すアドレス信号を生成する。アドレス信号は、第1の行に属し、且つ第1の列に属する検出回路36の近くの複数のパラメータレジスタ回路30の異常を特定することができる。
【0085】
例えば、X=Y=3であり、第1の行論理和回路の論理和演算結果がH(1)を示し、第2の列の列論理和回路の論理和演算結果がH(1)を示す場合、上位アドレス生成回路は、例えば「001」を示す上位アドレス信号を生成し、下位アドレス生成回路は、例えば「010」を示す下位アドレス信号を生成する。その結果、アドレス生成回路は、「001010」を示すアドレス信号を生成する。アドレス信号は、第1の行に属し、且つ第2の列に属する検出回路36の近くの複数のパラメータレジスタ回路30の異常を推定することができる。
【0086】
例えば、X=Y=3であり、第1〜第3の行論理和回路の論理和演算結果のすべてがL(0)を示し、第1〜第3の列の列論理和回路の論理和演算結果のすべてがL(0)を示す場合、上位アドレス生成回路は、例えば「000」を示す上位アドレス信号を生成し、上位アドレス生成回路は、例えば「000」を示す上位アドレス信号を生成する。その結果、アドレス生成回路は、「000000」を示すアドレス信号を生成する。アドレス信号は、すべてのパラメータレジスタ回路30の正常を推定することができる。
【0087】
第1の行に属し、且つ第1の列に属する検出回路36が異常を検出するだけでなく、第1の行に属し、且つ第2の列に属する検出回路36も異常を検出する場合、第1の行論理和回路の論理和演算結果がH(1)を示し、第1の列の列論理和回路の論理和演算結果がH(1)を示し、第2の列の列論理和回路の論理和演算結果がH(1)を示す。このような場合、上位アドレス生成回路は、例えば「001」を示す上位アドレス信号を生成し、下位アドレス生成回路は、例えば「111」を示す下位アドレス信号を生成する。アドレス信号は、すべてのパラメータレジスタ回路30の異常を推定してもよい。すなわち、2つの検出回路36が実際に異常を検出する時、9個の検出回路36のすべてが異常を検出すると仮定する時と同様に、すべてのパラメータレジスタ回路30をリフレッシュしてもよい。言い換えれば、第1〜第Xの行論理和回路の論理和演算結果の1つの論理和演算結果のみが異常信号を表し、且つ第1〜第Yの列論理和回路の論理和演算結果の1つの論理和演算結果のみが異常信号を表す場合、アドレス信号は、第1〜第N(=X×Y)の検出回路の1つの検出回路のみを特定してもよい。
【0088】
当業者は、上述した本実施形態が、本発明の精神を逸脱することなく、(場合によって技術常識を参照することによって、)変形され得ることを容易に理解できるであろう。本発明の範囲は、本実施形態の全部または一部およびそれらの変形を含み、特許請求の範囲およびその均等な範囲によって定められる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本実施形態の電気光学装置の構成例。
【図2】図1の制御ロジック回路の構成例。
【図3】図2の検出回路の構成例。
【図4】図4(A)、図4(B)は、図3の検出回路の具体例。
【図5】複数の検出回路の配置例。
【図6】複数のパラメータレジスタ回路の配置例。
【図7】複数のパラメータレジスタ回路の他の配置例。
【図8】複数のパラメータレジスタ回路の他の配置例。
【図9】複数の検出信号の統合例。
【図10】図9の統合回路の構成例。
【符号の説明】
【0090】
10 表示ドライバ、20 レジスタ書き込み回路、30 パラメータレジスタ回路、
36 検出回路、37 基準レジスタ回路、38 等価レジスタ回路、39 比較回路、
40 統合回路、130 処理装置、134 外部不揮発性メモリ、
512 電気光学パネル、514 コマンドデコーダ回路、
515 コマンドレジスタ回路、518 メモリ制御回路、522 記憶回路、
524 読み出し回路、526 書き込み回路、542 制御ロジック回路、
544 表示タイミング制御回路、548 システムインターフェース回路、
550 データドライバ回路、570 走査ドライバ回路、590 電源回路、
610 階調電圧生成回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路装置であって、
異常を検出する少なくとも1つの検出回路と、
制御データを保持する複数の制御保持回路と、
を含み、
前記少なくとも1つの検出回路は、基準データを保持する基準保持回路と、前記基準データと実質的に等しい等価データを保持する等価保持回路と、前記基準データと前記等価データとを比較する比較回路とを有し、
前記少なくとも1つの検出回路は、前記比較回路の比較結果に基づき、前記基準データが異常であるか否かを表す検出信号を生成し、
前記基準データが異常である場合、前記少なくとも1つの検出回路は、前記検出信号として異常信号を出力し、
前記基準保持回路に保持される前記基準データは、前記比較回路の比較動作のみに使用される、集積回路装置。
【請求項2】
集積回路装置であって、
異常を検出する少なくとも1つの検出回路と、
制御データを保持する複数の制御保持回路と、
を含み、
前記少なくとも1つの検出回路は、基準データを保持する基準保持回路と、前記基準データと実質的に等しい等価データを保持する等価保持回路と、前記基準データと前記等価データとを比較する比較回路とを有し、
前記少なくとも1つの検出回路は、前記比較回路の比較結果に基づき、前記基準データが異常であるか否かを表す検出信号を生成し、
前記基準データが異常である場合、前記少なくとも1つの検出回路は、前記検出信号として異常信号を出力し、
前記基準保持回路は、前記複数の制御保持回路の何れの制御保持回路全体ではない、集積回路装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記基準データは、1ビットであり、
前記等価データは、1ビットである、集積回路装置。
【請求項4】
請求項1又は2において、
前記基準データは、1ビットであり、
前記等価データは、前記基準データを反転して得られる1ビットの反転データであり、
前記少なくとも1つの検出回路は、前記等価保持回路に保持される前記反転データが、前記基準保持回路に保持される前記基準データの反転であるか否かを確認し、前記反転データが前記基準データの反転でない場合、前記検出信号として異常信号を出力する、集積回路装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかにおいて、
前記集積回路は、第1〜第N(Nは、2以上の整数)の分割領域に仮想的に分割され、
前記少なくとも1つの検出回路は、前記第1〜第Nの分割領域の各々に少なくとも1つの検出回路が配置される少なくともN個の検出回路である、集積回路装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記複数の制御保持回路は、前記第1〜第Nの分割領域の各々に少なくとも1つの制御保持回路が配置される少なくともN個の制御保持回路である、集積回路装置。
【請求項7】
請求項5又は6において、
Nは、3以上の整数であり、
前記少なくともN個の検出回路の3つの検出回路、又は前記第1〜第Nの分割領域の3つの分割領域は、等間隔に配置される、集積回路装置。
【請求項8】
請求項5又は6において、
Nは、4以上の整数であり、
前記少なくともN個の検出回路の4つの検出回路、又は前記第1〜第Nの分割領域の4つの分割領域は、マトリックス状に配置される、集積回路装置。
【請求項9】
請求項7又は8において、
前記複数の制御保持回路は、前記少なくともN個の検出回路の外縁の内側に配置される、集積回路装置。
【請求項10】
請求項5乃至9の何れかにおいて、
前記少なくともN個の検出回路の検出信号のすべてを入力する論理和回路を、
さらに含む集積回路装置。
【請求項11】
請求項5乃至9の何れかにおいて、
前記少なくともN個の検出回路の検出信号の各々に基づきアドレス信号を生成するアドレス生成回路を、
さらに含む集積回路装置。
【請求項12】
請求項1乃至4の何れかにおいて、
前記少なくとも1つの検出回路は、第1〜第X(Xは、2以上の整数)の行の各々にY(Yは、2以上の整数)個の検出回路が配置され、その結果、第1〜第Yの列の各々にX個の検出回路が配置される第1〜第N(Nは、X×Y)の検出回路であり、
第1〜第Xの行の対応する1つの行に配置されるY個の検出回路の検出信号のすべてを入力する第1〜第Xの行論理和回路と、
第1〜第Yの列の対応する1つの列に配置されるX個の検出回路の検出信号のすべてを入力する第1〜第Yの列論理和回路と、
前記第1〜第Xの行論理和回路の論理和演算結果及び前記第1〜第Yの列論理和回路の論理和演算結果に基づきアドレス信号を生成するアドレス生成回路と、
をさらに含む集積回路装置。
【請求項13】
請求項12において、
前記第1〜第Xの行論理和回路の論理和演算結果の1つの論理和演算結果のみが異常信号を表し、且つ前記第1〜第Yの列論理和回路の論理和演算結果の1つの論理和演算結果のみが異常信号を表す場合、前記アドレス信号は、前記第1〜第Nの検出回路の1つの検出回路のみを特定する、集積回路装置。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れかにおいて、
前記少なくとも1つの検出回路は、ゲートアレイ又はスタンダートセルで実現される、集積回路装置。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れかに記載の前記集積回路装置を含む電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−127829(P2010−127829A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304550(P2008−304550)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】