説明

電動工具の減速機構

【課題】携帯型の丸鋸において、電動モータの出力をはす歯ギヤを用いて二段階に減速してスピンドルに出力する減速機構を備える場合に、はす歯ギヤの噛み合いにより中間軸にスラスト荷重が付加され、これが中間軸の軸方向の振動となり、これが騒音の原因となる問題がある。本発明では、はす歯ギヤを用いた二段減速機構を備える携帯丸鋸において、中間軸の振動ひいては騒音を抑制することを目的とする。
【解決手段】中間軸31を軸方向に移動可能に支持し、この中間軸31に支持した2つのはす歯ギヤ34,35のねじれ方向を同じ向きに揃えて当該中間軸31に前向きのスラスト荷重のみを作用させ、これを前側に配置した緩衝部材40で受けて振動を吸収する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば携帯用の丸鋸等の電動工具において、駆動源としての電動モータの出力を減速してスピンドルに伝達するための減速機構に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記の特許文献1には、上記の携帯丸鋸における減速機構についての技術が開示されている。この従来技術は、駆動源としての電動モータの出力軸と、鋸刃を取り付けたスピンドルとの間に中間軸を介在させ、この中間軸に2つの中間ギヤとしてはす歯ギヤ(ヘリカルギヤ)を介在させて、電動モータの出力を二段階で減速させる構成において、2つの中間ギヤのねじれ方向を同じ方向(右ねじれまたは左ねじれ)に設定することにより、一方の中間ギヤとモータ出力軸の駆動ギヤとの噛み合い、他方の中間ギヤとスピンドル側の出力ギヤとの噛み合いによりそれぞれ発生するスラスト荷重の作用方向を相互に逆方向とすることにより中間軸に付加される2方向のスラスト荷重を相殺し、これにより当該中間軸を回転支持する軸受けに対するスラスト荷重を低減してその耐久性を高める構成となっている。
また、下記の特許文献1には、上記の構成に加えて、2つの中間ギヤについて相互に異なるねじれ角を設定することにより、中間軸に付加されるスラスト荷重を1方向に固定し、これを一方の軸受けで確実に受ける構成とした技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−210063号公報
【特許文献2】特開平11−333762号公報
【特許文献3】実開昭55−74252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の減速機構にもさらに改良を加える必要があった。円形の鋸刃を切断材に切り込ませて切断加工を行う丸鋸に特有の現象として、鋸刃の各歯(チップ)が切断材から受ける断続的な切断抵抗によって相互に噛み合う駆動側のはす歯ギヤと従動側のはす歯ギヤが回転方向のバックラッシュの範囲内で振動し(ばたつき)、これが騒音(ギヤ音)の原因となる問題があった。
従来、電動モータの駆動ギヤ(はす歯ギヤ)を、スピンドルの出力ギヤ(はす歯ギヤ)に直接噛み合わせた一段減速機構においては、電動モータの回転子を軸方向にわずかに変位可能に支持して回転子軸(モータ出力軸)の一端側に対して弾性体を当接させておくことにより、上記切断抵抗等により発生する軸方向の振動をこの弾性体で吸収する構成とした技術が例えば上記特許文献1,2に開示されている。
本発明は、はす歯ギヤを用いた二段減速機構において、鋸刃により切断加工を行う場合に特有の振動あるいは騒音を低減するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は以下の各発明により解決される。
第1の発明は、電動モータを駆動源とする電動工具において、前記電動モータの回転出力を減速して、先端工具を取り付けたスピンドルに伝達する減速機構であって、電動モータの出力軸とスピンドルとの間に中間軸を備え、電動モータの出力軸と中間軸との間、及び中間軸とスピンドルとの間で、それぞれはす歯ギヤの噛み合いを経て電動モータの回転出力を二段階で減速してスピンドルに伝達する構成を備え、中間軸は、その軸方向に変位可能に支持されて、その少なくとも一方の端部に、はす歯ギヤの噛み合いにより発生するスラスト荷重を吸収するための緩衝部材を介在させた減速機構である。
第1の発明によれば、電動モータの回転出力が二段階のはす歯ギヤの噛み合いを経て減速されてスピンドルに伝達される。電動モータの回転出力を二段階で減速して出力する構成により、一段階で減速させる構成に比してスピンドルにより小径のはす歯ギヤを用いることができ、これにより例えば携帯丸鋸においてベースに対するスピンドルの芯高さを小さく設定して鋸刃の切り込み深さの調整範囲を大きく設定できるようになる。
係る二段減速機構において、電動モータの駆動ギヤと中間軸上の一方の中間ギヤとの噛み合い、及び他方の中間ギヤとスピンドルの出力ギヤとの噛み合いにより、切断抵抗の軸方向成分がそれぞれ中間軸に対してスラスト荷重として付加され、このスラスト荷重によって当該中間軸がその軸方向に振動する。しかしながら、第1の発明によれば、緩衝部材によってこの振動が吸収されて従来のような騒音の発生が抑制される。
第2の発明は、第1の発明において、中間軸に加えて、電動モータの回転子軸についてスラスト荷重を吸収するための緩衝部材を介在させた減速機構である。
第2の発明によれば、中間軸の振動のみならず、モータ軸の振動をも吸収することができ、これにより当該電動工具の振動及びこれが原因となる騒音をより一層確実に抑制することができる。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、中間軸は軸受けを介してギヤケースに回転可能に支持されており、軸受けがギヤケースに対して軸方向に変位することにより中間軸がその軸方向に変位可能に支持されて、緩衝部材を軸受けとギヤケースとの間に介在させた減速機構である。
第3の発明によれば、中間軸及びこれを回転支持する軸受けのスラスト荷重による振動を吸収することができ、これにより騒音を抑制するとともに当該軸受けの耐久性を高めることができる。
第4の発明は、第1〜第3の何れか一つの発明において、中間軸の軸方向両端部のうち、先端工具側となる先端側を支持する軸受けとギヤケースとの間に緩衝部材を介在させた減速機構である。
第4の発明によれば、中間軸の軸方向先端側(先端工具側)への振動を緩衝部材により吸収することができ、片側に緩衝部材を入れるだけで振動を抑制することができる。
第5の発明は、第1〜第4の何れか一つの発明において、中間軸には、電動モータの出力軸の1番ギヤに噛み合う2番ギヤと、スピンドルの4番ギヤに噛み合う3番ギヤが支持されており、2番ギヤと3番ギヤのねじれ方向が同じである減速機構である。
第5の発明によれば、中間軸に支持された2番ギヤと3番ギヤのねじれ方向が同じであるので、当該中間軸には、1番ギヤと2番ギヤ、3番ギヤと4番ギヤの組み合わせによるそれぞれのスラスト荷重が打ち消し合う方向に作用して相殺されることから、結果として当該中間軸に付加されるスラスト荷重を軽減することができる。また、この場合において、両方向のスラスト荷重を同一の大きさとはせず、どちらか一方が勝る設定(異なる大きさ)としておくことで結果として一方向のみのスラスト荷重が付加されるので、緩衝部材を当該中間軸のスラスト荷重が付加される側にのみ配置してその振動を効果的に吸収する構成とすることができる。
第5の発明において、モータ出力軸の駆動ギヤが1番ギヤに相当し、スピンドルの出力ギヤが4番ギヤに相当する。2番ギヤと3番ギヤは中間軸上に同軸に固定されて一体で回転する。
第6の発明は、第5の発明において、3番ギヤよりも2番ギヤのねじれ角を大きくして、中間軸に対して先端側への軸力を発生させ、軸力を中間軸の先端側に介在させた緩衝部材により吸収する構成とした減速機構である。
第6の発明によれば、2番ギヤよりも3番ギヤのねじれ角が大きく設定されることにより、中間軸に軸方向先端側(先端工具側)へのスラスト荷重のみを作用させることができ、従って中間軸の先端部について緩衝部材を配置することにより、当該中間軸に発生する先方への振動を効果的に吸収することができ、ひいてはその反動としての振動を効果的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の実施形態に係る減速機構を備えた携帯丸鋸の平面図である。
【図2】図1の(2)−(2)線断面矢視図であって、減速機構の縦断面図である。
【図3】本実施形態に係る減速機構の概略構成を図2中の矢印(3)方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、本発明の実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る減速機構を備えた切断機1の全体を示している。本実施形態では、切断機の一例として携帯用の丸鋸を例示する。この切断機1は、切断材に載置する平板形状のベース10の上面側(図1において手前側)に支軸13を介して切断機本体20を上下に傾動可能に支持した構成を備えている。
切断機本体20は、円形の鋸刃21の上側ほぼ半周の範囲を覆うブレードケース22を備えている。このブレードケース22の切断進行方向前端部が上記支軸13を介して上下に傾動可能に支持されている。このブレードケース22の背面側(図1において上面側)には、ギヤケース23が取り付けられている。このギヤケース23の内部に本実施形態に係る減速機構30が組み込まれている。ギヤケース23に電動モータ25を内装したモータケース24が結合されている。電動モータ25の回転出力が以下説明する本実施形態の減速機構30を経てスピンドル11に伝達される。このスピンドル11の先端に鋸刃21が取り付けられている。鋸刃21の下側はベース10の下面から突き出されており、この突き出し部分が切断材に切り込まれて当該切断材が切断される。切断機本体20を支軸13を中心にして上下に傾動させると、上記鋸刃21のベース10の下面からの突き出し寸法が変化し、これにより切断材に対する切り込み深さを調整することができる。
【0008】
上記ギヤケース23に組み込まれた本実施形態に係る減速機構30の詳細が図2に示されている。電動モータ25の出力軸25aが軸受け26を介してギヤケース23に回転可能に支持されている。この出力軸25aの回転軸線が図2及び図3において符号C1で示されている。この出力軸25aの先端部にはす歯ギヤ27が形成されている。このはす歯ギヤ27が駆動ギヤであり、以下1番ギヤ27とも言う。この1番ギヤ27はギヤケース23内に突き出されている。
ギヤケース23内には、軸受け32,33を介して中間軸31がその軸回りに回転自在に支持されている。中間軸31の回転軸線が図2及び図3において符号C2で示されている。図2に示すように先端側(図2において左側)の軸受け32にはボールベアリングが用いられ、後端側(図2において右側)の軸受け33にはニードルベアリングが用いられている。なお、この明細書では、軸方向について鋸刃21側(先端工具側)を先端側若しくは前側といい、その反端側を後端側若しくは後ろ側という。
中間軸31には2つのはす歯ギヤ34,35が取り付けられている。両はす歯ギヤ34,35は中間軸31に固定されて、当該中間軸31と一体かつ同軸(回転軸線C2)で回転する。中間軸31上の2つのはす歯ギヤ34,35のうち、後ろ側のはす歯ギヤ34が1番ギヤ27に噛み合わされ、前側のはす歯ギヤ35がスピンドル11に固定したはす歯ギヤ36に噛み合わされている。以下、はす歯ギヤ34,35,36を順に2番ギヤ34、3番ギヤ35、4番ギヤ36とも言う。この2番ギヤ24及び3番ギヤ35が第1の発明における中間軸上に支持されたはす歯ギヤ(中間ギヤ)に相当する。このように電動モータ25の回転出力は、1番ギヤ27と2番ギヤ34の噛み合い、3番ギヤ35と4番ギヤ36との噛み合いを経て二段階で減速されてスピンドル11に伝達される。
前記したように電動モータ25の回転出力を二段階で減速してスピンドル11に伝達する構成であるので、4番ギヤ36のギヤ径を小さく設定することができ、これにより十分な減速比を確保しつつベース10の下面(切断材に対する当接面)に対するスピンドル11の距離(軸線C3の芯高さ)を小さくすることができ、ひいては鋸刃21の切り込み深さの調整範囲を大きくすることができる。
【0009】
次に、2番ギヤ34と3番ギヤ35を支持する中間軸31は軸方向にわずかなストローク(1mm程度)で移動が許容される状態に支持されている。本実施形態の場合、前側の軸受け32がギヤケース23に設けた保持孔23a内で軸方向に移動可能に支持されて、当該中間軸31が軸方向に移動可能に支持されている。保持孔23aの底部と軸受け32との間に緩衝部材40が挟み込まれている。この緩衝部材40には、厚さ約3mmの円環形状のゴムリングが用いられている。この緩衝部材40によって軸受け32ひいては中間軸31に付加されるスラスト荷重が吸収される。また、この緩衝部材40の素材としての弾性係数(弾性能)についても、想定されるスラスト荷重(軸方向の変位)に対して十分な衝撃吸収能が確保されるよう(潰れ切れないよう)適切に設定されており、またこれにより当該緩衝部材40の耐久性が確保されるようになっている。
中間軸31の後ろ側はニードルベアリング(軸受け33)で受けられているため、当該軸受け33に対する中間軸31の軸方向のわずかな移動が許容される。
スピンドル11は、軸受け37,38を介してギヤケース23にその軸回りに回転自在に支持されている。スピンドル11の回転軸線が図2及び図3において符号C3で示されている。図示するように本実施形態では、中間軸31と同様、前側の軸受け37にボールベアリングが用いられ、後ろ側の軸受け38にニードルベアリングが用いられている。スピンドル11の先端部はギヤケース23からブレードケース22内に突き出されており、この突き出し部分に鋸刃21が取り付けられている。
前側の軸受け37は、ギヤケース23の保持孔23bに収容されて、固定ナット28によって軸方向移動不能に固定されている。この軸受け37を介して当該スピンドル11は軸方向へは移動不能に支持されている。このスピンドル11上において、4番ギヤ36と前側の軸受け37との間にディスタンスカラー39が装着されている。4番ギヤ36は、スピンドル11に設けたフランジ部11aと、このディスタンスカラー39との間に挟まれて軸方向へは移動しないように固定されている。
【0010】
上記のように本実施形態に係る減速機構30は、1番ギヤ27と2番ギヤ34の噛み合い、3番ギヤ35と4番ギヤ36の噛み合いを経て電動モータ25の回転出力を2段階で減速してスピンドル11に伝達する構成を備えている。1〜4番ギヤ27,34,35,36にはすべてはす歯ギヤ(ヘリカルギヤ)が用いられている。
四つのはす歯ギヤ27,34,35,36のねじれ方向及びねじれ角は適切に設定されている。本実施形態では、中間軸31上の2番ギヤ34と3番ギヤ35について相互に同じねじれ方向に設定されている。このため、1番ギヤ27と2番ギヤ34の噛み合いにより中間軸31に付加されるスラスト荷重の作用方向と、3番ギヤ35と4番ギヤ36との噛み合いにより中間軸31に付加されるスラスト荷重の作用方向は相互に反対方向になっている。本実施形態では、前者は前向き方向(図2において左向き)となり、後者は後ろ向き(図2において右向き)に設定されている。このため、前者のスラスト荷重と後者のスラスト荷重は相殺される。
しかも、本実施形態の場合、2つの中間ギヤについて、駆動側の2番ギヤ34のねじれ角は3番ギヤ35のねじれ角よりも大きく設定されている。このため、1番ギヤ27と2番ギヤ34の噛み合いにより発生する前向きのスラスト荷重の方が、3番ギヤ35と4番ギヤ36との噛み合いにより発生する後ろ向きのスラスト荷重よりも大きくなり、その結果両方向のスラスト荷重が相殺されて中間軸31には前向きのスラスト荷重が作用するように設定されている。この中間軸31に対するスラスト荷重作用方向は、鋸刃21の回転方向(電動モータ25の回転方向)が一定であることから前向きに保持される。前記したように中間軸31に対するこの前向きのスラスト荷重は、鋸刃21の各刃先が切断材から受ける断続的(間欠的)な切削抵抗として中間軸31に付加され、これが前記した緩衝部材40によって吸収される。
また、中間軸31に対して前方向のスラスト荷重が作用する結果、電動モータ25の出力軸25aには、1番ギヤ27と2番ギヤ34との噛み合いを経て後ろ向きのスラスト荷重が作用する。このモータ出力軸(回転子軸)に対する後ろ向きのスラスト荷重は、図示は省略したが従来と同様当該出力軸25aの後部側に介在させた緩衝部材によって吸収される。
【0011】
以上のように構成した本実施形態の減速機構30によれば、電動モータ25の回転出力を二段階で減速する機構において、鋸刃21が切断材から受ける切断抵抗が中間軸31に断続的なスラスト荷重(振動)として付加される場合にも、当該中間軸31の振動(スラスト荷重)が緩衝部材40で受けられて当該スピンドル11の軸方向の振動を吸収することができ、これにより従来の騒音を低減することができる。
このように、円形の鋸刃21を用いて行う切断機であって、電動モータ25の回転出力をはす歯ギヤの噛み合いにより二段階で減速させてスピンドル11に出力する切断機に特有の振動若しくはこれが原因で発生する騒音を、緩衝部材40によって従来よりも大幅に低減することができ、また騒音を小さくすることができる。
本実施形態の場合、鋸刃21の回転方向は常時一定方向であることから、中間軸31に対して前向きのスラスト荷重を付加させて、前側(先端工具21側)にのみ配置した緩衝部材40でこれを受ける構成とすることができ、これにより前側のみならず後ろ側にも同様の緩衝部材を配置する構成に比してより簡易な構成で上記の作用効果を得ることができる。
【0012】
以上説明した実施形態には種々変更を加えることができる。例えば、中間軸13の前側についてのみ緩衝部材40を介在させた構成を例示したが、前側に加えて後ろ側にも緩衝材を介在させる構成としてもよい。
また、2つの中間ギヤ(2,3番ギヤ35,36)のねじれ方向を同じにして、中間軸13に付加されるスラスト荷重の作用方向を相互に反対方向に設定した構成を例示したが、両中間ギヤのねじれ方向を相互に反対にして、中間軸13に対してそれぞれ前向きのスラスト荷重を付加させてこれを緩衝部材40で受ける構成としてもよい。
さらに、軸受け32を介して中間軸31に付加されたスラスト荷重を受ける構成を例示したが、緩衝部材を中間軸の前端部に直接当接させてそのスラスト荷重(振動)を吸収する構成としてもよい。従って、軸受け32にニードルベアリングを用いる構成、あるいは後ろ側の軸受け33についてもボールベアリングを用いる構成としてもよい。
また、緩衝部材としてゴム製のリングを例示したが、工業用スポンジを素材とする緩衝部材を用いる構成としてもよく、また圧縮コイルばねやリーフスプリング等のばね、あるいはエアダンパ等を用いる構成としてもよい。
さらに、モータ軸25a側の緩衝部材(モータ軸25aの後ろ向きのスラスト荷重を受ける緩衝部材)は省略してもよい。
また、電動工具として携帯型の丸鋸を例示したが、卓上丸鋸盤等その他の切断機、あるいは切断機に限らず、孔あけドリルやねじ締め機等その他の作業に用いる電動工具についても同様の構成を採用することにより同等の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0013】
1…携帯丸鋸(切断機)
10…ベース
11…スピンドル
13…支軸
20…切断機本体
21…鋸刃
22…ブレードケース
23…ギヤケース、23a,23b…保持孔
24…モータケース
25…電動モータ、25a…出力軸(回転子軸)
26…軸受け
27…1番ギヤ(駆動ギヤ)
28…固定ナット
30…減速機構
31…中間軸
32,33…軸受け
34…2番ギヤ(中間ギヤ)
35…3番ギヤ(中間ギヤ)
36…4番ギヤ(出力ギヤ)
37,38…軸受け
39…ディスタンスカラー
40…緩衝部材(ゴムリング)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータを駆動源とする電動工具において、前記電動モータの回転出力を減速して、先端工具を取り付けたスピンドルに伝達する減速機構であって、
前記電動モータの出力軸と前記スピンドルとの間に中間軸を備え、前記電動モータの出力軸と前記中間軸との間、及び前記中間軸と前記スピンドルとの間で、それぞれはす歯ギヤの噛み合いを経て前記電動モータの回転出力を二段階で減速して前記スピンドルに伝達する構成を備え、
前記中間軸は、その軸方向に変位可能に支持されて、その少なくとも一方の端部に、前記はす歯ギヤの噛み合いにより発生するスラスト荷重を吸収するための緩衝部材を介在させた減速機構。
【請求項2】
請求項1記載の減速機構であって、前記中間軸に加えて、前記電動モータの回転子軸について前記スラスト荷重を吸収するための緩衝部材を介在させた減速機構。
【請求項3】
請求項1または2記載の減速機構であって、前記中間軸は軸受けを介してギヤケースに回転可能に支持されており、該軸受けが前記ギヤケースに対して軸方向に変位することにより前記中間軸がその軸方向に変位可能に支持されて、前記緩衝部材を前記軸受けと前記ギヤケースとの間に介在させた減速機構。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の減速機構であって、前記中間軸の軸方向両端部のうち、前記先端工具側となる先端側を支持する軸受けと前記ギヤケースとの間に緩衝部材を介在させた減速機構。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の減速機構であって、前記中間軸には、前記電動モータの出力軸の1番ギヤに噛み合う2番ギヤと、前記スピンドルの4番ギヤに噛み合う3番ギヤが支持されており、該2番ギヤと該3番ギヤのねじれ方向が同じである減速機構。
【請求項6】
請求項5記載の減速機構であって、前記3番ギヤよりも前記2番ギヤのねじれ角を大きくして、前記中間軸に対して前記先端側への軸力を発生させ、該軸力を前記中間軸の前記先端側に介在させた緩衝部材により吸収する構成とした減速機構。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−99842(P2013−99842A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−823(P2013−823)
【出願日】平成25年1月8日(2013.1.8)
【分割の表示】特願2007−261705(P2007−261705)の分割
【原出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】