説明

電動車両

【課題】絶縁抵抗の低下が生じた部位の特定をより適正に行なう。
【解決手段】走行用モータを駆動するためのインバータとエアコン用インバータとシステムメインリレーとの各状態に応じてモータとエアコンとバッテリとの一部又は全部を含む回路としての電気系について、この電気系の絶縁抵抗の低下を検出し、電気系の絶縁抵抗の低下が検出された以降に、モータエリアとエアコンエリアと電池エリアとの3つの部位のうち絶縁抵抗の低下が生じた部位がいずれであるかが特定されるように、モータエリア特定処理とエアコンエリア特定処理と電池エリア特定処理とを実行する(S240,S280,S320)。こうした特定処理の実行によっても絶縁抵抗の低下が生じた部位が特定不能であるときには、次にシステム起動された以降に、特定不能の原因となった部位に対して絶縁抵抗の低下が生じた部位がいずれであるかが特定されるよう各エリアの特定処理を再び実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両に関し、詳しくは、走行用の動力を出力可能な電動機と、電動機を駆動する電動機用駆動回路と、補機と、補機を駆動する補機用駆動回路と、電動機用駆動回路および補機用駆動回路が接続された駆動系に電力を出力する蓄電装置と、蓄電装置と駆動系との接続および接続の解除を行なう接続解除手段と、を備える電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電動車両としては、走行用の動力を出力可能なモータジェネレータと、このモータジェネレータを駆動するインバータと、エアコンコンプレッサと、このエアコンコンプレッサを駆動するエアコンインバータと、インバータやエアコンインバータを介してモータジェネレータやエアコンコンプレッサに電力を供給する蓄電装置と、蓄電装置をインバータ側に接続するシステムメインリレーと、蓄電装置の負極側に接続された絶縁抵抗低下検出器とを備え、絶縁抵抗低下検出器を用いて、インバータよりモータジェネレータ側の部位やエアコンインバータよりエアコンコンプレッサ側の部位,システムメインリレーより蓄電装置側の部位などの複数の所定部位から絶縁抵抗の低下が生じた部位を特定可能なものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この車両では、蓄電装置の充電用に車両外部の電源に接続された充電ケーブルからの電力を受ける充電ポートを更に備え、絶縁抵抗低下検出器を用いて、走行モード時に充電ポートと複数の所定部位とを含む部位から絶縁抵抗の低下が生じた部位を特定可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−261133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の電動車両では、絶縁抵抗の低下が生じた部位の特定処理を実行している最中に、例えば、漏電が一時的に解消されたり、回路に生じたノイズの影響により絶縁抵抗低下検出器に作用する電圧が変動したりして、絶縁抵抗の低下が生じた部位の特定に失敗する場合がある。この場合、車両を整備する際に漏電部位を直ちに修理することができなくなったり、絶縁抵抗の低下が生じた部位の特定処理を再び実行する必要が生じたりするなどの不都合が生じる可能性があった。
【0005】
本発明の電動車両は、絶縁抵抗の低下が生じた部位の特定をより適正に行なうことを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動車両は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の電動車両は、
走行用の動力を出力可能な電動機と、前記電動機を駆動する電動機用駆動回路と、補機と、前記補機を駆動する補機用駆動回路と、前記電動機用駆動回路および前記補機用駆動回路が接続された駆動系に電力を供給する蓄電装置と、前記蓄電装置と前記駆動系との接続および接続の解除を行なう接続解除手段と、を備える電動車両であって、
前記電動機用駆動回路と前記補機用駆動回路と前記接続解除手段との各状態に応じて前記電動機と前記補機と前記蓄電装置との一部又は全部を含む回路について、該回路の絶縁抵抗の低下を検出する絶縁抵抗低下検出手段と、
前記絶縁抵抗低下検出手段により前記回路の絶縁抵抗の低下が検出された以降に、前記電動機と前記補機と前記蓄電装置とを含む複数の部位のうち前記回路の絶縁抵抗の低下が生じた部位がいずれであるかが特定されるよう前記電動機用駆動回路と前記補機用駆動回路と前記接続解除手段とを制御する第1特定制御を実行し、前記第1特定制御の実行によっても前記回路の絶縁抵抗の低下が生じた部位が特定不能である部位特定不能時には、次にシステム起動された以降に、前記特定不能の原因となった部位に対して前記回路の絶縁抵抗の低下が生じた部位がいずれであるかが特定されるよう前記電動機用駆動回路と前記補機用駆動回路と前記接続解除手段とを制御する第2特定制御を実行する部位特定制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の電動車両では、電動機用駆動回路と補機用駆動回路と接続解除手段との各状態に応じて電動機と補機と蓄電装置との一部又は全部を含む回路について、回路の絶縁抵抗の低下を検出し、回路の絶縁抵抗の低下が検出された以降に、電動機と補機と蓄電装置とを含む複数の部位のうち回路の絶縁抵抗の低下が生じた部位がいずれであるかが特定されるよう電動機用駆動回路と補機用駆動回路と接続解除手段とを制御する第1特定制御を実行する。そして、第1特定制御の実行によっても回路の絶縁抵抗の低下が生じた部位が特定不能である部位特定不能時には、次にシステム起動された以降に、特定不能の原因となった部位に対して回路の絶縁抵抗の低下が生じた部位がいずれであるかが特定されるよう電動機用駆動回路と補機用駆動回路と接続解除手段とを制御する第2特定制御を実行する。したがって、部位特定不能時には、特定不能の原因となった部位に対して絶縁抵抗の低下が生じた部位を特定する制御を実行するから、絶縁抵抗の低下が生じた部位を特定する制御を一度しか実行しないものに比して絶縁抵抗の低下が生じた部位の特定をより確実に行なうことができると共に、特定不能の原因となった部位以外の部位を含む複数の部位に対して絶縁抵抗の低下が生じた部位を特定する制御を改めて実行するものに比して制御をより簡易なものにすることができる。この結果、絶縁抵抗の低下が生じた部位の特定をより適正に行なうことができる。
【0009】
こうした本発明の電動車両において、前記第1特定制御は、前記複数の部位の各々について該各々が前記回路の絶縁抵抗の低下が生じた部位であるか否かが判定されるよう制御するものであり、前記部位特定不能時は、前記第1特定制御の実行により前記複数の部位のうち2つ以上の部位について前記回路の絶縁抵抗の低下が生じた部位であると判定されたときを含み、前記第2特定制御は、前記特定不能の原因となった部位としての前記2つ以上の部位の各々について該各々が前記回路の絶縁抵抗の低下が生じた部位であるか否かが判定されるよう制御するものである、ものとすることもできる。こうすれば、絶縁抵抗の低下が生じた部位の特定をより確実に行なうことができる。
【0010】
この各々が回路の絶縁抵抗の低下が生じた部位であるか否かを判定する態様の本発明の電動車両において、前記第1特定制御は、前記複数の部位から前記絶縁抵抗低下検出手段により前記回路の絶縁抵抗の低下が検出されたときに通電されていなかった非通電部位を除いた部位の各々について該各々が前記回路の絶縁抵抗が生じた部位であるか否かが判定されるよう制御するものである、ものとすることもできる。こうすれば、第1特定制御や第2特定制御を実行する際に、特定すべき対象範囲をより狭めることができ、制御をより簡易なものにすることができる。
【0011】
また、本発明の電動車両において、前記第1特定制御および前記第2特定制御は、前記電動機への通電および通電停止と前記補機への通電および通電停止と蓄電装置の駆動系への接続および接続の解除とのうち少なくともいずれか1つによって前記回路の絶縁抵抗が生じた部位がいずれであるかが特定されるよう制御するものである、ものとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】電圧波形出力回路90の構成を説明する説明図である。
【図3】実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される絶縁抵抗低下検出処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図4】実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される絶縁抵抗低下部位特定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図5】モータエリア特定処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】エアコンエリア特定処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】電池エリア特定処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】変形例の電気自動車120の構成の概略を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0014】
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、ガソリンや軽油などを燃料とするエンジン22と、エンジン22を燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量制御などにより運転するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にキャリアが接続されると共に駆動輪36a,36bにデファレンシャルギヤ34を介して連結された駆動軸32にリングギヤが接続されたプラネタリギヤ30と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されたモータMG1と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子が駆動軸32に接続されたモータMG2と、モータMG1,MG2を駆動するためのインバータ41,42と、インバータ41,42の図示しないスイッチング素子をスイッチング制御することによってモータMG1,MG2を駆動制御するモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40と、例えばリチウムイオン二次電池として構成されてインバータ41,42が接続された駆動系電力ライン56と電力をやりとりするバッテリ50と、バッテリ50を管理するバッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52と、バッテリ50と駆動系電力ライン56との接続および接続の解除(遮断)を行なうシステムメインリレー54と、駆動系電力ライン56の正極母線と負極母線とに接続された平滑コンデンサ58と、乗員室の空調を行なう空調装置が有する電動コンプレッサ(以下、エアコンという)60と、エアコン60を駆動するために駆動系電力ライン56に接続されたエアコン用インバータ62と、バッテリ50の負極端子とシステムメインリレー54との間の接続点Cnに接続されモータMG1,MG2,インバータ41,42,エアコン60,エアコン用インバータ62,システムメインリレー54,バッテリ50の一部又は全部を含む電気系の絶縁抵抗に応じた電圧波形を出力する電圧波形出力回路90と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
【0015】
ここで、電気系は、システムメインリレー54がオンの状態でインバータ41,42の駆動によりモータMG1,MG2が駆動されると共にエアコン用インバータ62の駆動によりエアコン60が駆動されているとき(以下、全駆動時という)には、モータMG1,MG2,インバータ41,42,エアコン60,エアコン用インバータ62,システムメインリレー54,バッテリ50の全部を含む回路となる。例えば、全駆動時にインバータ41,42がゲート遮断されたときには、電気系は、全駆動時の回路からインバータ41,42よりモータMG1,MG2側のモータエリアを除いた接続点Cnを含む回路となり、全駆動時にエアコン用インバータ62がゲート遮断されたときには、電気系は、全駆動時の回路からエアコン用インバータ62よりエアコン60側のエアコンエリアを除いた接続点Cnを含む回路となる。また、システムメインリレー54がオフされたときには、電気系は、システムメインリレー54よりバッテリ50側の接続点Cnを含む回路としての電池エリアとなる。なお、モータエリアが含むモータMG1,MG2は共通のケースに収納されており、モータエリアやエアコンエリア,電池エリアなどの各エリアは互いに独立に絶縁されている。
【0016】
電圧波形出力回路90は、図2に示すように、一方が接地されて一定周波数のパルス(例えば、矩形波や正弦波,三角波など)を発生する発振器92と、発振器92に一方の端子が接続された検出抵抗94と、検出抵抗94の他方の端子と接続点Cnとに接続されたコンデンサ95と、検出抵抗94とコンデンサ95との接続点Coに接続されて高周波成分を除去して信号をハイブリッド用電子制御ユニット70に出力するローパスフィルタ96とを備え、検出抵抗94の抵抗値と前述した電気系の抵抗値との関係に応じた信号(電圧波形)をハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。この電圧波形出力回路90からの電圧波形は、電気系の絶縁抵抗が低下していないとき(漏電のおそれがないとき)には発振器92と略同一の振幅の電圧波形となり、電気系の絶縁抵抗が低下しているとき(漏電のおそれがあるとき)には検出抵抗94での電圧降下によって発振器92よりも小さな振幅の電圧波形となる。したがって、実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70では、電気系の絶縁抵抗が正常であるか否かを判定する絶縁判定として、電圧波形出力回路90からの電圧波形の振幅が発振器92の電圧波形の振幅より若干小さな値として定められた判定用閾値以上のときには電気系の絶縁抵抗は正常であると判定し、電圧波形出力回路90からの電圧波形が判定用閾値より小さいときには電気系の絶縁抵抗が低下している(異常である)と判定するものとした。
【0017】
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、格納したデータを保持する不揮発性のフラッシュメモリ78と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバーの操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダルの踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速V,電圧波形出力回路90からの信号などが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、システムメインリレー54をオンオフする駆動信号やエアコン用インバータ62をスイッチング制御する制御信号,運転席前方に取り付けられた警告灯89への点灯信号などが出力ポートを介して出力されている。また、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
【0018】
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダルの踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸32に出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力が駆動軸32に出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてがプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されて駆動軸32に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部がプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力が駆動軸32に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力を駆動軸32に出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
【0019】
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に電気系の絶縁抵抗の低下が生じた部位を特定する際の動作について説明する。図3はハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される絶縁抵抗低下検出処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、イグニッションオンにより車両がシステム起動された状態でシステムメインリレー54がオンのときに所定時間毎に繰り返し実行される。
【0020】
絶縁抵抗低下検出処理ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、初期値として値0が設定され本ルーチンで値1が設定される異常検出フラグFdetを調べ(ステップS100)、異常検出フラグFdetが値0のときには、電気系の絶縁判定を行ない(ステップS110)、絶縁抵抗が異常であるときには、異常検出フラグFdetに値1を設定する(ステップS120)。ここで、電気系の絶縁判定は、電圧波形出力回路90からの電圧波形の振幅と判定用閾値とを比較することにより行なうものとした。異常検出フラグFdetは、実施例では、フラッシュメモリ78に記憶するものとし、一旦値1が設定されると車両の整備時などにリセットされない限り、設定された値1が保持される。また、実施例では、異常検出フラグFdetが値1のときには、警告灯89が点灯されるものとした。なお、以下では、絶縁抵抗低下検出処理および絶縁抵抗低下部位特定処理で用いる各種フラグについても、異常検出フラグFdetと同様にフラッシュメモリ78に記憶するものとし、一旦値1が設定されると車両の整備時などにリセットされない限り、設定された値1が保持される。
【0021】
こうして異常検出フラグFdetに値1を設定すると、初期値としてそれぞれ値0が設定されると共にモータエリア,エアコンエリア,電池エリアの各エリアに漏電の可能性がある旨を示す各エリアの漏電可能性フラグFm1,Fa1,Fb1を設定して(ステップS130)、絶縁抵抗低下検出処理ルーチンを終了する。ここで、モータエリアの漏電可能性フラグFm1は、ステップS110で絶縁抵抗が異常であると判定されたときにインバータ41,42によりモータMG1,MG2の一方又は両方が駆動されているときには、モータエリアに漏電の可能性があるために値1が設定され、ステップS110で絶縁抵抗が異常であると判定されたときにインバータ41,42の両方がゲート遮断されているときには、モータエリアに漏電の可能性はないために値0が保持されるものとした。インバータ41,42の状態は、モータECU40から通信により入力した信号に基づいて判定することができる。また、エアコンエリアの漏電可能性フラグFa1は、ステップS110で絶縁抵抗が異常であると判定されたときにエアコン用インバータ62によりエアコン60が駆動されているときには、エアコンエリアに漏電の可能性があるために値1が設定され、ステップS110で絶縁抵抗が異常であると判定されたときにエアコン用インバータ62がゲート遮断されているときには、エアコンエリアに漏電の可能性はないために値0が保持されるものとした。電池エリアの漏電可能性フラグFb1は、ステップS110で絶縁抵抗の異常であると判定されたときにシステムメインリレー54がオンされているため、ステップS130では値1が設定されるものとした。
【0022】
ステップS100,S110で異常検出フラグFdetが値0のときに絶縁抵抗が正常であるときには、フラッシュメモリ78に値0の異常検出フラグFdetと値0の各エリアの漏電可能性フラグFm1,Fa1,Fb1とを保持したまま、絶縁抵抗低下検出処理ルーチンを終了する。
【0023】
また、異常検出フラグFdetに一旦値1が設定されると、次に本ルーチンが実行されたときにステップS100での判定結果によって、フラッシュメモリ78に値1の異常検出フラグFdetとエリア毎に値が設定された漏電可能性フラグFm1,Fa1,Fb1とを保持したまま、絶縁抵抗低下検出処理ルーチンを終了する。したがって、システム起動された状態で異常検出フラグFdetに一旦値1が設定されると、車両の整備時などに異常検出フラグFdetがリセットされない限り、値1の異常検出フラグFdetとエリア毎に値が設定された漏電可能性フラグFm1,Fa1,Fb1とがフラッシュメモリ78に保持されることになる。以上、電気系の絶縁抵抗低下の検出処理について説明した。
【0024】
次に、電気系の絶縁抵抗低下が生じている部位の特定処理について説明する。図4はハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される絶縁抵抗低下部位特定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、イグニッションオフにより車両のシステム停止が指示されたときに実行される。実施例では、このルーチンを実行する前に、システムメインリレー54をオンした状態でモータMG1,MG2からトルクが出力されないように且つエアコン60が作動(回転)しないようにいわゆるゼロトルク制御が行なわれるようインバータ41,42とエアコン用インバータ62とを駆動しておくものとする。
【0025】
絶縁抵抗低下部位特定処理ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、フラッシュメモリ78に記憶された異常検出フラグFdetを調べ(ステップS200)、異常検出フラグFdetが値0のときには、絶縁抵抗は正常であるため、そのまま絶縁抵抗低下部位特定処理ルーチンを終了する。その後、インバータ41,42やエアコン用インバータ62をゲート遮断の状態とした上でシステムメインリレー54がオフされて、車両はシステム停止される。
【0026】
異常検出フラグFdetが値1のときには、絶縁抵抗低下部位の特定処理の実行がモータエリアとエアコンエリアと電池エリアとの各エリアについて完了しているか否かを判定する(ステップS210)。この判定は、実施例では、モータエリア,エアコンエリア,電池エリアの各エリアについて初期値として値0が設定され特定処理が完了したときに値1が設定される特定処理完了フラグFmfin,Fafin,Fbfinがそれぞれ値1であるか否かを判定することにより行なうものとした。
【0027】
この判定の結果、未完了のエリアがあると判定されたときには、モータエリアの漏電可能性フラグFm1と特定処理完了フラグFmfinとを調べ(ステップS220,S230)、漏電可能性フラグFm1が値1で特定処理完了フラグFmfinが値0のときには、モータエリアで漏電の可能性があるために特定処理を実行する必要があると判断し、モータエリア特定処理を実行して(ステップS240)、モータエリアの特定処理完了フラグFmfinに値1を設定する(ステップS250)。
【0028】
モータエリアの漏電可能性フラグFm1が値0のときには、モータエリアで漏電の可能性はないために特定処理を実行する必要はないと判断し、特定処理は完了しているとみなして、モータエリアの特定処理完了フラグFmfinに値1を設定する(ステップS250)。また、モータエリアの漏電可能性フラグFm1が値1のときでも特定処理完了フラグFmfinが値1のときには、モータエリアの特定処理は完了しているため、ステップS260以降の処理を実行する。
【0029】
モータエリア特定処理では、図5に例示するように、モータECU40に指示することによりインバータ41,42をゲート遮断して電気系の絶縁判定を行ない(ステップS400,S410)、絶縁抵抗が正常であるときには、モータECU40に指示することによりインバータ41,42を再び駆動して電気系の絶縁判定を行ない(ステップS420,S430)、絶縁抵抗が異常であるときには、初期値として値0が設定されると共にモータエリアが漏電部位である旨を示す漏電特定フラグFm2に値1を設定して(ステップS440)、特定処理を終了する。即ち、電気系からモータエリアを切り離したときに絶縁抵抗が正常で、再び電気系にモータエリアを含めたときに絶縁抵抗が正常から異常となったときに、モータエリアが漏電部位であると特定するのである。したがって、ステップS410やステップS430で絶縁抵抗が異常のときには、モータエリアは漏電部位ではないと判断し、値0の漏電特定フラグFm2を保持したまま特定処理を終了する。
【0030】
図4の絶縁抵抗低下部位特定処理の説明に戻る。こうしてモータエリア特定処理を終了してモータエリアの特定処理完了フラグFmfinに値1が設定されると、エアコンエリアの漏電可能性フラグFa1と特定処理完了フラグFafinとを調べ(ステップS260,S270)、漏電可能性フラグFa1が値1で特定処理完了フラグFafinが値0のときには、エアコンエリアで漏電の可能性があるために特定処理を実行する必要があると判断し、エアコンエリア特定処理を実行して(ステップS280)、エアコンエリアの特定処理完了フラグFafinに値1を設定する(ステップS290)。
【0031】
エアコンエリアの漏電可能性フラグFa1が値0のときには、エアコンエリアで漏電の可能性はないために特定処理を実行する必要はないと判断し、特定処理は完了しているとみなして、エアコンエリアの特定処理完了フラグFafinに値1を設定する(ステップS290)。また、エアコンエリアの漏電可能性フラグFa1が値1のときでも特定処理完了フラグFafinが値1のときには、エアコンエリアの特定処理は完了しているため、ステップS300以降の処理を実行する。
【0032】
エアコンエリア特定処理では、図6に例示するように、エアコン用インバータ62をゲート遮断して電気系の絶縁判定を行ない(ステップS500,S510)、絶縁抵抗が正常であるときには、エアコン用インバータ62を再び駆動して電気系の絶縁判定を行ない(ステップS520,S530)、絶縁抵抗が異常であるときには、初期値として値0が設定されると共にエアコンエリアが漏電部位である旨を示す漏電特定フラグFa2に値1を設定して(ステップS540)、特定処理を終了する。即ち、電気系からエアコンエリアを切り離したときに絶縁抵抗が正常で、再び電気系にエアコンエリアを含めたときに絶縁抵抗が正常から異常となったときに、エアコンエリアが漏電部位であると特定するのである。したがって、ステップS510やステップS530で絶縁抵抗が異常のときには、エアコンエリアは漏電部位ではないと判断し、値0の漏電特定フラグFa2を保持したまま特定処理を終了する。
【0033】
図4の絶縁抵抗低下部位特定処理の説明に戻る。こうしてエアコンエリア特定処理を終了してエアコンエリアの特定処理完了フラグFafinに値1が設定されると、電池エリアの漏電可能性フラグFb1と特定処理完了フラグFbfinとを調べ(ステップS300,S310)、漏電可能性フラグFb1が値1で特定処理完了フラグFbfinが値0のときには、電池エリアで漏電の可能性があるために特定処理を実行する必要があると判断し、電池エリア特定処理を実行して(ステップS320)、電池エリアの特定処理完了フラグFbfinに値1を設定する(ステップS330)。
【0034】
電池エリアの漏電可能性フラグFb1が値0のときは、実施例では想定されないが、このときには、電池エリアで漏電の可能性はないために特定処理を実行する必要はないと判断し、特定処理は完了しているとみなして、電池エリアの特定処理完了フラグFbfinに値1を設定する(ステップS330)。また、電池エリアの漏電フラグFb1が値1のときでも特定処理完了フラグFbfinが値1のときには、電池エリアの特定処理は完了しているため、ステップS340以降の処理を実行する。
【0035】
電池エリア特定処理では、図7に例示するように、インバータ41,42とエアコン用インバータ62とを駆動停止の状態とした上でシステムメインリレー54をオフとして電気系の絶縁判定を行ない(ステップS600,S610)、絶縁抵抗が異常であるときには、初期値として値0が設定されると共に電池エリアが漏電部位である旨を示す漏電特定フラグFb2に値1を設定して(ステップS620)、特定処理を終了する。即ち、電気系から電池エリア以外のエリアを切り離しても絶縁抵抗が異常のときに、電池エリアが漏電部位であると特定するのである。したがって、ステップS610で絶縁抵抗が異常のときには、電池エリアは漏電部位ではないと判断し、値0の漏電特定フラグFb2を保持したまま特定処理を終了する。このとき、実施例では、システムメインリレー54を再びオンしておくものとする。
【0036】
こうしてモータエリアとエアコンエリアと電池エリアとの各エリアの漏電特定フラグFm2,Fa2,Fb2の設定や各エリアの特定処理完了フラグFmfin,Fafin,Fbfinの設定を行なうと、漏電部位の特定が可能であるか否かを判定する(ステップS340)。この判定は、実施例では、各エリアの漏電特定フラグFm2,Fa2,Fb2のうち、いずれか1つのフラグが値1のときには特定可能と判断し、2つ又は3つのフラグが値1のときには特定不能と判断し、いずれのフラグも値0のときにも特定不能と判断することにより行なうものとした。
【0037】
漏電部位の特定が可能なときには、特定された漏電部位を示すデータをフラッシュメモリ78に記憶させるなどして漏電部位に相当するエリアを確定し(ステップS350)、漏電部位の特定が不可能なときには、特定不能の原因となったエリアの漏電特定フラグと特定処理完了フラグとを値0にリセットして(ステップS360)、絶縁抵抗低下部位特定処理ルーチンを終了する。
【0038】
いま、一旦生じた漏電が振動等により一時的に解消されたり、電気系に生じたノイズの影響等により電圧波形出力回路90に作用する電圧が変動したりするなどにより、エアコンエリアと電池エリアとの2つのエリアでそれぞれ漏電確定フラグFa2,Fb2が値1に設定された場合を考える。この場合は、イグニッションオンによりシステム起動された状態で(車両の走行中などに)電気系のいずれかの部位での絶縁抵抗低下が検出され、イグニッションオフによりシステム停止が指示されたときに各エリア(実施例では、絶縁抵抗低下の検出時に漏電可能性フラグに値1が設定されなかった即ち通電されていなかった非通電部位を除いた各エリア)の特定処理が実行された結果、2つの漏電確定フラグFa2,Fb2に値1が設定された場合が考えられる。この場合、次にイグニッションオンによりシステム起動された状態(車両の走行中など)では、図3の絶縁抵抗低下検出処理で異常検出フラグFdetが値1であると判定される。その後、イグニッションオフによりシステム停止が指示されたときに、図4の絶縁低下部位特定処理で異常検出フラグFdetが値1であると判定されると共に未完了エリアがあると判定されて、漏電部位の特定不能の原因となった2つのエリアに対して特定処理、即ちエアコンエリア特定処理と電池エリア特定処理とが実行される。これらの特定処理の結果、漏電部位に相当するエリアが確定すると、次にシステム起動された以降は、車両の整備時などに各種フラグがリセットされない限り、各エリアの特定処理は実行されないことになる。
【0039】
このように、漏電部位が特定不能であるときには、特定不能の原因となった部位に絞って特定処理を再実行するから、改めて3つのエリアの全てに対して特定処理を実行するものに比して、処理を簡易にすることができる。また、漏電部位の特定処理を一度しか実行せずに特定不能な状態のままとするものに比して、絶縁抵抗の低下が生じた部位の特定をより確実に行なうことができる。これらの結果、絶縁抵抗の低下が生じた部位の特定をより適正に行なうことができる。さらに、インバータ41,42の駆動およびゲート遮断やエアコン用インバータ62の駆動およびゲート遮断,システムメインリレー54のオンオフなどによるエリアの接続と切り離しを伴って、エリア毎にそのエリアが漏電部位であるか否かを判定するから、絶縁抵抗の低下が生じた部位の特定をより確実に行なうことができる。しかも、絶縁抵抗の低下が検出されたときに、通電されていなかった非通電部位を除いたエリアについて、そのエリアが漏電部位であるか否かを判定するから、最初に各エリアの特定処理を実行する際や再び各エリアの特定処理を実行する際の処理をより簡易なものにすることができる。
【0040】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20では、インバータ41,42とエアコン用インバータ62とシステムメインリレー54との各状態に応じてモータMG1,MG2とエアコン60とバッテリ50との一部又は全部を含む回路としての電気系について、この電気系の絶縁抵抗の低下を検出し、電気系の絶縁抵抗の低下が検出された以降に、モータエリアとエアコンエリアと電池エリアとの3つの部位のうち絶縁抵抗の低下が生じた部位がいずれであるかが特定されるように、モータエリア特定処理とエアコンエリア特定処理と電池エリア特定処理とを実行する。そして、こうした特定処理の実行によっても絶縁抵抗の低下が生じた部位が特定不能であるときには、次にシステム起動された以降に、特定不能の原因となった部位に対して絶縁抵抗の低下が生じた部位がいずれであるかが特定されるよう各エリアの特定処理を再び実行する。これにより、絶縁抵抗の低下が生じた部位の特定をより適正に行なうことができる。
【0041】
実施例のハイブリッド自動車20では、絶縁抵抗の低下が検出されたときに通電されていなかった非通電部位を除いたエリアについて漏電部位であるか否かを判定するものとしたが、絶縁抵抗の低下が検出されたときに通電されていたか否かに拘わらず全てのエリアについて漏電部位であるか否かを判定するものとしてもよい。この場合、各エリアの漏電可能性フラグFm1,Fa1,Fb1についての設定や判定を行なわなくてよい。
【0042】
実施例のハイブリッド自動車20では、モータエリアとエアコンエリアと電池エリアとの3つのエリアから漏電部位を特定する処理を行なうものとしたが、これらの3つのエリアに、インバータ41,42,エアコン用インバータ62とシステムメインリレー54との間の直流エリアを加えた4つのエリアから漏電部位を特定する処理を行なうものとしてもよいし、他の部位を加えて4つ以上のエリアから漏電部位を特定する処理を行なうものとしてもよい。
【0043】
実施例のハイブリッド自動車20では、エアコン用インバータ62よりエアコン60側のエアコンエリアを漏電部位の特定処理の対象の1つとするものとしたが、エアコンエリアに代えて又は加えて、図示しないDC/DCコンバータより補機モータ側の補機モータエリアを漏電部位の特定処理の対象の1つとしてもよい。
【0044】
実施例では、本発明をエンジン22およびモータMG1によりプラネタリギヤ30を介して駆動軸32に出力される動力とモータMG2から駆動軸32に出力される動力とを用いて走行するハイブリッド自動車20に適用して説明したが、エンジンから駆動軸に直接出力される動力とモータから駆動軸に出力される動力とを用いて走行するハイブリッド自動車や、図8の変形例の電気自動車120に例示するように、エンジンを備えずにインバータ142により駆動されるモータMGからの動力によって走行する車両に適用するものとしてもよい。
【0045】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、モータMG2が「電動機」に相当し、インバータ42が「電動機用駆動回路」に相当し、エアコン60が「補機」に相当し、エアコン用インバータ62が「補機用駆動回路」に相当し、バッテリ50が「蓄電装置」に相当し、バッテリ50の駆動系電力ライン56への接続や接続の解除を行なうシステムメインリレー54が「接続解除手段」に相当し、バッテリ50とシステムメインリレー54との間に接続された電圧波形出力回路90と、この電圧波形出力回路90からの信号を用いた絶縁判定によって、インバータ41,42とエアコン用インバータ62とシステムメインリレー54との各状態に応じてモータMG1,MG2とエアコン60とバッテリ50との一部又は全部を含む回路となる電気系についての図3の絶縁抵抗低下検出処理ルーチンを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70との組み合わせが「絶縁抵抗低下検出手段」に相当し、異常検出フラグFdetが値1で漏電部位の特定処理の未完了エリアがあるときに図5のモータエリア特定処理や図6のエアコンエリア特定処理や図7の電池エリア特定処理を実行し、これらの特定処理の実行結果により漏電部位が特定不能であるときには次にシステム起動された後にシステム停止が指示されたときに特定不能の原因となったエリアに対して特定処理を実行することになる、図4の絶縁抵抗低下部位特定処理ルーチンを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70と、インバータ41,42のスイッチング制御を行なうモータECU40との組み合わせが「部位特定制御手段」に相当する。また、モータMGも「電動機」に相当し、インバータ142も「電動機用駆動回路」に相当する。
【0046】
ここで、「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2やモータMGに限定されるものではなく、誘導電動機など、走行用の動力を出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「電動機用駆動回路」としては、インバータ42やインバータ142に限定されるものではなく、電動機を駆動するものであれば如何なるものとしても構わない。「補機」としては、エアコン60に限定されるものではなく、他の補機モータなどの如何なる補機としても構わない。「補機用駆動回路」としては、エアコン用インバータ62に限定されるものではなく、補機モータを駆動するためのものなど、補機を駆動するものであれば如何なるものとしても構わない。「蓄電装置」としては、リチウムイオン二次電池として構成されたバッテリ50に限定されるものではなく、ニッケル水素二次電池やニッケルカドミウム二次電池,鉛蓄電池など、如何なるタイプの蓄電装置であっても構わない。「接続解除手段」としては、システムメインリレー54に限定されるものではなく、蓄電装置と駆動系との接続および接続の解除を行なうものであれば如何なるものとしても構わない。「絶縁抵抗低下検出手段」としては、電圧波形出力回路90とハイブリッド用電子制御ユニット70との組み合わせに限定されるものではなく、単一の回路によるものや回路と複数の電子制御ユニットとの組み合わせによるものなど、電動機用駆動回路と補機用駆動回路と接続解除手段との各状態に応じて電動機と補機と蓄電装置との一部又は全部を含む回路について、回路の絶縁抵抗の低下を検出するものであれば如何なるものとしても構わない。「部位特定制御手段」としては、図5のモータエリア特定処理や図6のエアコンエリア特定処理や図7の電池エリア特定処理の実行を伴って図4の絶縁抵抗低下部位特定処理ルーチンを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70とモータECU40との組み合わせに限定されるものではなく、単一の電子制御ユニットによるものや3つ以上の電子制御ユニットの組み合わせによるものなど、絶縁抵抗低下検出手段により回路の絶縁抵抗の低下が検出された以降に、電動機と補機と蓄電装置とを含む複数の部位のうち回路の絶縁抵抗の低下が生じた部位がいずれであるかが特定されるよう電動機用駆動回路と補機用駆動回路と接続解除手段とを制御する第1特定制御を実行し、第1特定制御の実行によっても回路の絶縁抵抗の低下が生じた部位が特定不能である部位特定不能時には、次にシステム起動された以降に、特定不能の原因となった部位に対して回路の絶縁抵抗の低下が生じた部位がいずれであるかが特定されるよう電動機用駆動回路と補機用駆動回路と接続解除手段とを制御する第2特定制御を実行するものであれば如何なるものとしても構わない。
【0047】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0048】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、電動車両の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
20 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジンECU、26 クランクシャフト、30 プラネタリギヤ、32 駆動軸、34 デファレンシャルギヤ、36a,36b 駆動輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42,142 インバータ、50 バッテリ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 システムメインリレー、56 駆動系電力ライン、58 平滑コンデンサ、60 電動コンプレッサ(エアコン)、62 エアコン用インバータ、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、78 フラッシュメモリ、80 イグニッションスイッチ、82 シフトポジションセンサ、84 アクセルペダルポジションセンサ、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、89 警告灯、90 電圧波形出力回路、92 発振器、94 検出抵抗、95 コンデンサ、96 ローパスフィルタ、120 電気自動車、MG1,MG2,MG モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用の動力を出力可能な電動機と、前記電動機を駆動する電動機用駆動回路と、補機と、前記補機を駆動する補機用駆動回路と、前記電動機用駆動回路および前記補機用駆動回路が接続された駆動系に電力を供給する蓄電装置と、前記蓄電装置と前記駆動系との接続および接続の解除を行なう接続解除手段と、を備える電動車両であって、
前記電動機用駆動回路と前記補機用駆動回路と前記接続解除手段との各状態に応じて前記電動機と前記補機と前記蓄電装置との一部又は全部を含む回路について、該回路の絶縁抵抗の低下を検出する絶縁抵抗低下検出手段と、
前記絶縁抵抗低下検出手段により前記回路の絶縁抵抗の低下が検出された以降に、前記電動機と前記補機と前記蓄電装置とを含む複数の部位のうち前記回路の絶縁抵抗の低下が生じた部位がいずれであるかが特定されるよう前記電動機用駆動回路と前記補機用駆動回路と前記接続解除手段とを制御する第1特定制御を実行し、前記第1特定制御の実行によっても前記回路の絶縁抵抗の低下が生じた部位が特定不能である部位特定不能時には、次にシステム起動された以降に、前記特定不能の原因となった部位に対して前記回路の絶縁抵抗の低下が生じた部位がいずれであるかが特定されるよう前記電動機用駆動回路と前記補機用駆動回路と前記接続解除手段とを制御する第2特定制御を実行する部位特定制御手段と、
を備える電動車両。
【請求項2】
請求項1記載の電動車両であって、
前記第1特定制御は、前記複数の部位の各々について該各々が前記回路の絶縁抵抗の低下が生じた部位であるか否かが判定されるよう制御するものであり、
前記部位特定不能時は、前記第1特定制御の実行により前記複数の部位のうち2つ以上の部位について前記回路の絶縁抵抗の低下が生じた部位であると判定されたときを含み、
前記第2特定制御は、前記特定不能の原因となった部位としての前記2つ以上の部位の各々について該各々が前記回路の絶縁抵抗の低下が生じた部位であるか否かが判定されるよう制御するものである、
電動車両。
【請求項3】
請求項2記載の電動車両であって、
前記第1特定制御は、前記複数の部位から前記絶縁抵抗低下検出手段により前記回路の絶縁抵抗の低下が検出されたときに通電されていなかった非通電部位を除いた部位の各々について該各々が前記回路の絶縁抵抗が生じた部位であるか否かが判定されるよう制御するものである、
電動車両。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つの請求項に記載の電動車両であって、
前記第1特定制御および前記第2特定制御は、前記電動機への通電および通電停止と前記補機への通電および通電停止と前記蓄電装置の前記駆動系への接続および接続の解除とのうち少なくともいずれか1つによって前記回路の絶縁抵抗が生じた部位がいずれであるかが特定されるよう制御するものである、
電動車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−165536(P2012−165536A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23107(P2011−23107)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】