電子回路部品の立上がり防止方法および電子回路製造システム
【課題】従来とは異なる手段によって電子回路部品の立上がりを防止する方法およびその方法が実施される電子回路製造システムを提供する。
【解決手段】チップ部品56の2つの電極58を載置するパッド46に対するはんだ340の印刷量が不足した場合(図11(a))、チップ部品56を部品装着プログラムにおいて設定された装着位置に載置すれば(図11(b))、溶融時に電極58に作用するはんだ340の表面張力が印刷量が多い方が大きく、チップ部品56に立上がりが生じる恐れがある。また、表面張力は2つのパッド46に印刷されたはんだ340と2つの電極58との平面視において重なり合う部分の面積が大きいほど大きく、チップ部品56の載置位置を、2つのはんだ340の印刷面積の比率が2つの重複面積の比率と設定誤差範囲内で反比例する位置とすることにより(図11(c))、2つの電極に作用する表面張力がほぼ等しくなり、立上がりが防止される。
【解決手段】チップ部品56の2つの電極58を載置するパッド46に対するはんだ340の印刷量が不足した場合(図11(a))、チップ部品56を部品装着プログラムにおいて設定された装着位置に載置すれば(図11(b))、溶融時に電極58に作用するはんだ340の表面張力が印刷量が多い方が大きく、チップ部品56に立上がりが生じる恐れがある。また、表面張力は2つのパッド46に印刷されたはんだ340と2つの電極58との平面視において重なり合う部分の面積が大きいほど大きく、チップ部品56の載置位置を、2つのはんだ340の印刷面積の比率が2つの重複面積の比率と設定誤差範囲内で反比例する位置とすることにより(図11(c))、2つの電極に作用する表面張力がほぼ等しくなり、立上がりが防止される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路部品の電極をクリーム状はんだによって回路基板のパッドに接合する際の電子回路部品の立上がりを防止する方法および電子回路部品の立上がりが防止される電子回路製造システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
チップ部品のように両端に電極が形成された電子回路部品は、2つの電極がそれぞれ、回路基板に形成された2つのパッドの各々にクリーム状はんだによって接合される。その際、電極に対するクリーム状はんだの印刷に不良があれば、電子回路部品の装着に不良が生じる場合がある。例えば、下記の特許文献1に記載されているように、クリーム状はんだがパッドに対してずれた位置に印刷された場合、2つの電極の位置が2つのパッドと一致するように電子回路部品が回路基板上に載置されれば、リフロー時にクリーム状はんだが溶融した際の表面張力による吸引力が電子回路部品の中心に対して非対称に作用する。それにより、電子回路部品がパッドに対して軸線まわりに回転し、電極がパッドから大きく外れ、装着不良が発生する。そのため、特許文献1に記載の電子回路部品実装装置においては、パッドに印刷されたクリーム状はんだをカメラにより撮像し、2つのパッドにそれぞれ印刷されたクリーム状はんだがパッドに対してずれていれば、それらクリーム状はんだの重心位置を目標位置として電子回路部品が装着されるようにされている。
【0003】
また、特許文献2〜4に記載されているように、印刷不良により、リフロー時に電子回路部品に立上がりが生じることがある。クリーム状はんだの印刷位置のずれや印刷量の偏在等の印刷不良があれば、2つの電極の位置が2つのパッドと一致するように電子回路部品が回路基板上に載置された後、リフロー時に溶融はんだの表面張力が電子回路部品に偏って作用する。それにより、2つの電極のうちの一方のみがパッドに接合され、他方はパッドから離れる向きに引っ張られて浮き上がった状態となる立上がりが生じることがあるのである。
そのため、特許文献2に記載の電子回路部品実装システムにおいては、パッドに印刷されたクリーム状はんだをカメラにより撮像し、2つのパッドの重心位置と、2つのパッドの各々に印刷されたクリーム状はんだの重心位置との中点を載置位置として電子回路部品が載置されるようにされている。
また、特許文献3には、クリーム状はんだへのレーザ光の照射およびその反射光の角度に基づいてクリーム状はんだの高さを測定して、2つのパッドにそれぞれ印刷されたクリーム状はんだの体積を取得し、それら2つの体積の各中心を測定し、それら体積中心から2つのクリーム状はんだ全体の体積中心の平面位置を求め、その位置を基準として電子回路部品を装着するようにされている。
さらに、特許文献4に記載の電子回路部品装着機においては、対を成す2つのパッドの位置ずれと、それらパッドにそれぞれ印刷されたクリーム状はんだの位置ずれとに基づいて、立上がりができるだけ少なくなる位置に電子回路部品を装着するようにされている。パッドの位置ずれはカメラによるパッドの撮像により取得され、クリーム状はんだの位置ずれは、クリーム状はんだを回路基板に印刷するためのスクリーンに形成された貫通孔の撮像に基づいて取得される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−84097公報
【特許文献2】特開2003−229699公報
【特許文献3】特開2008−72034公報
【特許文献4】特開2010−3824公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、従来とは異なる手段によって電子回路部品の立上がりを防止する方法およびその方法が実施される電子回路製造システムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、電子回路部品の両端に形成された2つの電極の各々を、回路基板に形成された2つのパッドの各々にクリーム状はんだにより仮止めし、リフロー炉内において加熱してクリーム状はんだを溶融させることにより、前記2つの電極の各々を前記2つのパッドの各々に接合する際に、前記電子回路部品が前記回路基板から立ち上がることを防止する方法を、前記2つのパッドの間における前記クリーム状はんだの塗布量の比率が、前記2つのパッドに塗布されたクリーム状はんだと前記2つの電極との平面視において重なり合う2つの部分の面積の比率と反比例するように、前記電子回路部品の前記回路基板への載置位置を決定し、その決定した載置位置に電子回路部品を載置する方法とすることにより解決される。なお、「平面視」とは、クリーム状はんだおよび電極を、回路基板に対して90度の角度で交差する方向から見ることである。
【0007】
上記の課題はまた、2つずつのパッドを一対として、一対以上のパッドを含む回路パターンが表面に形成され、前記2つのパッドの各々にクリーム状はんだがそれぞれ塗布された回路基板の、前記2つのパッドの各々に、電子回路部品の一対の電極の各々を前記クリーム状はんだにより仮止めし、その回路基板をリフロー炉内で加熱して前記クリーム状はんだを溶融させ、前記電子回路部品を前記回路基板にはんだ付けして、電子回路を製造する電子回路製造システムを、(A)前記2つのパッドの各々に塗布された前記クリーム状はんだの塗布量を検出する塗布量検出装置と、(B)その塗布量検出装置により検出された塗布量の前記2つのパッドの間における比率が、前記2つのパッドに塗布されたクリーム状はんだと前記電子回路部品の前記2つの電極との2つの重なり部の間の平面視における面積の比率と反比例する状態となる位置を、前記電子回路部品の載置位置として決定する載置位置決定装置と、(C)その載置位置決定装置により決定された載置位置に前記電子回路部品を載置して、その電子回路部品を前記回路基板に仮止めする部品装着装置とを含むシステムとすることにより解決される。
クリーム状はんだを塗布するはんだ塗布機は、例えば、はんだ印刷機であるスクリーン印刷機や、シリンジからはんだを吐出して回路基板に塗布するはんだ吐出機とされる。
塗布量検出装置としては、例えば、撮像装置や、レーザ光の照射および反射光に基づいて塗布量を検出する装置が採用可能である。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る立上がり防止方法によれば、対を成す2つのパッドに塗布されたクリーム状はんだの少なくとも一方の量が不足し、あるいは過剰となり、2つのパッドに塗布されたクリーム状はんだの塗布量の一方が他方より少ない場合、塗布量が少ない方のパッドに接合される電極の方が、塗布量が多い方のパッドに接合される電極より、クリーム状はんだとの平面視において重なり合う部分の面積が大きくなるように載置位置が決定される。また、塗布不良により、塗布量が設定量とは異なっても、2つのパッドに塗布されたクリーム状はんだの塗布量が同じである場合、2つの電極のそれぞれ、クリーム状はんだとの平面視において重なり合う部分の面積が同じになるように載置位置が決定される。それにより、リフロー炉内においてクリーム状はんだが溶融させられるとき、2つの電極にそれぞれ作用するクリーム状はんだの表面張力がほぼ等しくなり、電子回路部品の立上がりが防止される。
2つのパッドの間におけるクリーム状はんだの塗布量の比率として、例えば、それら2つのパッドにおけるクリーム状はんだの平面視における面積の比率が使用される。塗布量の平面視における面積の取得は容易であり、容易に立上がりを防止することができる。
【0009】
本発明に係る電子回路製造システムによれば、本発明に係る立上がり防止方法が実施され、不良な電子回路の発生が低減させられる。
塗布量検出装置は、例えば、(a)2つのパッドに塗布されたクリーム状はんだを回路基板に直交する方向から撮像する撮像装置と、(b)その撮像装置により撮像されたクリーム状はんだの画像を画像処理することにより、2つのパッドの各々に塗布されたクリーム状はんだの面積を取得する画像処理装置とを含むように構成される。
回路基板に直交する方向からの撮像により、クリーム状はんだの平面視における面積が塗布量として取得される。「回路基板に直交する方向」は、回路基板と90度の角度で交差する方向に対して多少斜めの方向でもよい。平面視における面積の取得に影響のない範囲、例えば、直角に対してプラスマイナス15度の範囲で傾斜した方向から撮像されてもよい。
撮像装置としては、例えば、面撮像装置の一種であるCCDカメラやCMOSカメラが使用される。ラインセンサが使用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態である電子回路製造ラインを概略的に示す図である。
【図2】上記電子回路製造ラインを構成するはんだ印刷機を示す側面図である。
【図3】上記はんだ印刷機の撮像装置および撮像装置移動装置を示す平面図である。
【図4】上記はんだ印刷機においてはんだの印刷に使用されるスクリーンを概略的に示す平面図である。
【図5】上記電子回路製造ラインにおいて電子回路が製造される回路基板を概略的に示す平面図である。
【図6】上記電子回路製造ラインを構成する印刷検査機を概略的に示す平面図である。
【図7】上記電子回路製造ラインを構成する装着モジュール列を示す斜視図である。
【図8】上記装着モジュール列を構成する装着モジュールの一部を示す斜視図である。
【図9】上記装着モジュールを構成する部品装着装置を示す斜視図である。
【図10】上記装着モジュールにおいて回路基板に装着される電子回路部品であるチップ部品を示す平面図である。
【図11】上記装着モジュールにおいて回路基板に載置されるチップ部品の載置位置の決定の一例を説明する図である。
【図12】上記装着モジュールにおいて回路基板に載置されるチップ部品の載置位置の決定の別の例を説明する図である。
【図13】上記電子回路製造ラインを構成する印刷検査機を制御する制御装置の主体を成す印刷検査制御コンピュータのROMに記憶させられた印刷検査・載置位置決定ルーチンを示すフローチャートである。
【図14】上記装着モジュールを制御する制御装置の主体を成す装着制御コンピュータのROMに記憶させられた部品装着ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、請求可能発明の実施形態を、図を参照しつつ説明する。なお、請求可能発明は、下記実施形態の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【0012】
図1に請求可能発明の一実施形態である電子回路製造システムたる電子回路製造ラインが図示されている。本電子回路製造ラインは、はんだ印刷機10,塗布検査機たる印刷検査機12,装着モジュール列14,装着検査機16,リフロー炉18およびライン基板搬送装置20を含む。それぞれ対回路基板作業機(以下、作業機と略称する)であるはんだ印刷機10,印刷検査機12,装着モジュール列14,装着検査機16およびリフロー炉18(以後、はんだ印刷機10等と記載する場合がある)は互いに近接し、この記載の順に1列に並べられ、回路基板はライン基板搬送装置20により、電子回路製造ラインの最も上流側に設けられたはんだ印刷機10から最も下流側に設けられたリフロー炉18へ搬送される。
【0013】
本電子回路製造ラインにおいてライン基板搬送装置20は、はんだ印刷機10等の各々に設けられた基板搬送装置である作業機基板搬送装置と、はんだ印刷機10と印刷検査機12との間、印刷検査機12と装着モジュール列14との間、装着モジュール列14と装着検査機16との間および装着検査機16とリフロー炉18との間にそれぞれ設けられた作業機間基板搬送装置とを含む。作業機間基板搬送装置が省略され、作業機基板搬送装置同士により、直接回路基板の受渡しが行われるようにしてもよい。はんだ印刷機10等の並び方向であって、ライン基板搬送装置20による回路基板の搬送方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向とする。
【0014】
はんだ印刷機10は、スクリーン22を用いて回路基板24にクリーム状はんだ(以後、はんだと略称する)を印刷するスクリーン印刷機であり、図2に示すように、印刷機本体としてのフレーム26,作業機基板搬送装置である印刷機基板搬送装置28,基板保持装置30,スクリーン保持装置32,スキージ装置34,マーク撮像システム36および制御装置38(図1参照)を含む。スクリーン22は、スクリーン枠40にたるみなく張って固定されるとともに、図4に一部を示すように、厚さ方向に貫通して複数の印刷用の貫通孔42が設けられている。スクリーン22にはまた、複数、例えば、2個の基準マーク44が対角線上に隔たった2つの角部に設けられている。
【0015】
回路基板24の表面には、図5に一部を概略的に示すように、複数のパッド46を含む回路パターンが形成されており、パッド46には電子回路部品の電極がはんだにより接合される。電極の形状,寸法,数は電子回路部品の種類に応じて様々であり、例えば、図5に二点鎖線で示すBGA(Ball Glid Array)52やQFP(Quad Flat Package)54のように電極の数が多く、3つ以上、有する電子回路部品や、チップ部品56のように電極58を2つ有する電子回路部品もある。チップ部品56の電極58は、図10に示すように、本体59の長手方向の両端にそれぞれ設けられ、それぞれパッド46に接合される。回路パターンは、回路基板24に装着される電子回路部品の種類に応じた形状,寸法および数のパッド46を含み、チップ部品56の電極58のように、対を成す2つの電極が接合されるパッド46は、2つずつを一対として回路基板24の表面に一対以上、設けられる。
【0016】
複数の貫通孔42はそれぞれ、スクリーン22のパッド46に対応する箇所に形成され、パッド46に対応する形状,寸法を有する。回路基板24にはまた、図5に示すように、複数、例えば、2個の基準マーク48が対角線上に隔たった2つの角部に設けられるとともに、二次元コード50が設けられている。二次元コード50は情報記録手段の一種であり、個々の回路基板24を識別し得るデータ(回路基板24の種類,製造メーカ,製造ロット番号,個別番号等)を表す基板識別コードが記録されている。
【0017】
印刷機基板搬送装置28は、例えば、コンベヤの一種であるベルトコンベヤにより構成され、回路基板24を水平な姿勢で支持し、X軸方向であって、図2においては紙面に直角な方向に搬送する。基板保持装置30は、印刷機基板搬送装置28の搬送経路の途中に設けられ、回路基板24を水平な姿勢で保持するとともに昇降させる。スクリーン保持装置32は、フレーム10の基板保持装置30の上方の部分に設けられ、スクリーン22をスクリーン支持台60上に位置決め装置62により位置決めし、固定装置64により固定して水平な姿勢で保持する。
【0018】
スキージ装置34は、図2に示すように、作業ヘッドたる1対のスキージヘッド66,作業ヘッド移動装置たるスキージヘッド移動装置68および1対のスキージヘッド昇降装置70を備えている。スキージヘッド移動装置68は、可動部材たる移動部材72および移動部材移動装置74を備えている。移動部材移動装置74は、駆動源たるスキージ移動用モータ76と、雄ねじ部材78およびナット80を含む運動変換機構たる送りねじ機構82とを備えている。本実施形態においては、送りねじ機構82はボールねじ機構とされている。以下に記載の別の送りねじ機構についても同様である。
【0019】
1対のスキージヘッド66はそれぞれスキージ保持部材84およびスキージ86を備え、1対のスキージヘッド昇降装置70と共に移動部材72上に設けられている。一対のスキージヘッド66は、スキージヘッド昇降装置70によって互いに独立して昇降させられ、スクリーン22に選択的に接触,離間させられるとともに、スキージヘッド移動装置68によってY軸方向に一体的に移動させられ、スクリーン22に沿って移動させられる。モータ76は、例えば、電動モータの一種であるエンコーダ付きのサーボモータとされている。サーボモータは回転角度の精度の良い制御が可能な電動回転モータである。駆動源としてステップモータやリニアモータの採用も可能である。以下に記載の別のモータについても同様である。
【0020】
マーク撮像システム36は、図3に示すように、撮像装置90および撮像装置移動装置92を含み、図2に示すように、基板保持装置30とスクリーン保持装置32との間の部分に設けられている。本撮像装置90はCCDカメラにより撮像対象を撮像するものとされており、本実施形態においては特開2007−38456公報に記載の撮像装置と同様に構成され、回路基板24とスクリーン22とにそれぞれ設けられた基準マーク44,48を撮像することができるものとされている。
【0021】
撮像装置移動装置92は、X軸方向移動装置96およびY軸方向移動装置98を含む。X軸方向移動装置96は、可動部材たる移動部材としてのX軸スライド100およびX軸スライド移動装置102を含む。X軸スライド移動装置102は、駆動源たる電動回転モータの一種であるX軸移動用モータ104と、雄ねじ部材106およびナット108を含む送りねじ機構110とを含み、X軸スライド100を案内装置112の1対の案内部材たるガイドレール114に案内させつつ、X軸方向の任意の位置へ移動させる。Y軸方向移動装置98は、X軸スライド100上に設けられ、可動部材たる移動部材としてのY軸スライド118およびY軸スライド移動装置120を含む。Y軸スライド移動装置120は、Y軸移動用モータ122と、雄ねじ部材124およびナット126を含む送りねじ機構128とを備え、Y軸スライド118を案内装置130のガイドレール132に案内させつつ、Y軸方向の任意の位置へ移動させる。撮像装置90はY軸スライド118上に設けられ、水平面内の任意の位置へ移動させられる。
【0022】
制御装置38は、図1に概念的に示すように、印刷制御コンピュータ134を主体として構成されており、駆動回路(図示省略)を介して、印刷機基板搬送装置28等の駆動源等を制御する。また、撮像装置90の撮像により得られた撮像データは画像処理コンピュータ136によって処理され、それにより得られるデータが印刷制御コンピュータ134へ送られる。
【0023】
はんだ印刷機10と印刷検査機12との間には、図1に概略的に示すように作業機間基板搬送装置138が設けられている。この搬送装置138は、印刷機基板搬送装置28と同様にベルトコンベヤにより構成されており、はんだの印刷が済んだ回路基板24は印刷機基板搬送装置28により作業機間基板搬送装置138へ搬出され、作業機間基板搬送装置138から印刷検査機12へ搬入される。
【0024】
印刷検査機12を説明する。
本印刷検査機12は、図6に示すように、印刷検査機基板搬送装置140,作業ヘッドたる印刷検査ヘッド142,作業ヘッド移動装置たる印刷検査ヘッド移動装置144および制御装置146(図1参照)を含む。印刷検査機基板搬送装置140は、前記印刷機基板搬送装置28と同様にベルトコンベヤにより構成されている。本印刷検査ヘッド移動装置144は、図6に示すように、X軸方向移動装置150およびY軸方向移動装置152を含む。これら移動装置150,152は、前記撮像装置移動装置92のX軸方向移動装置96およびY軸方向移動装置98と同様に構成されており、同じ作用を成す部分には同一の符号を付して対応関係を示し、説明を省略する。
【0025】
本印刷検査ヘッド142は撮像装置としてCCDカメラを備え、Y軸方向移動装置152のY軸スライド118上に設けられ、印刷検査機基板搬送装置140の上方において水平面内の任意の位置へ移動させられる。印刷検査ヘッド142は、印刷検査機基板搬送装置140により水平な姿勢で搬送されて支持された回路基板24を上方から、回路基板24と直交する方向であって、90度の角度で交差する方向から撮像するように設けられている。また、このCCDカメラは視野が広く、回路基板24を複数エリアに分け、各エリア毎に複数のパッド46に印刷されたはんだをまとめて撮像し得るものとされており、検査が迅速に行われる。
【0026】
制御装置146は、図1に概念的に示すように、印刷検査制御コンピュータ156を主体として構成されており、駆動回路(図示省略)を介して、印刷検査機基板搬送装置140等の駆動源等を制御するとともに、ブザー158を駆動する。ブザー158は報知装置の一種である。報知装置として、表示装置,ランプの点灯,点滅装置,音声装置等の採用が可能である。また、印刷検査制御コンピュータ156のROMには、図13にフローチャートで示す印刷検査・載置位置決定ルーチンが記憶させられている。印刷検査ヘッド142のCCDカメラの撮像により得られた撮像データは画像処理コンピュータ160によって処理され、それにより得られたデータは印刷検査制御コンピュータ156へ送られる。
【0027】
前記装着モジュール列14を説明する。
装着モジュール列14は、図7に示すように、装着モジュール180がモジュール列ベース182上に複数台、本電子回路製造ラインでは8台、互いに平行に、かつX軸方向に殆ど隙間なく並べられて成る。装着モジュール180は寸法,構成が規格化された電子回路部品装着機であり、X軸方向に平行な寸法である幅は2種類に異ならされ、幅の狭い装着モジュール180aと、幅が装着モジュール180aの2倍である装着モジュール180bとがある。装着モジュール180a,180bは、幅を異にするが同様に構成されており、装着モジュール180aの一つを代表して説明する。
【0028】
装着モジュール180aについては、例えば、特開2004−104075公報に詳細に記載されている。
装着モジュール180aは、図8に示すように、装着機本体としてのモジュール本体190,作業機基板搬送装置としての装着モジュール基板搬送装置192,基板保持装置194,部品供給装置196,部品装着装置198,基準マーク撮像装置200(図9参照),部品撮像装置202および制御装置204(図1参照)を備えている。
【0029】
装着モジュール基板搬送装置192は、図8に示すように、それぞれベルトコンベヤにより構成された2つの基板コンベヤ210,212を備え、モジュール本体190を構成する基台部214の装着モジュール10の前後方向の中央部に設けられ、回路基板24を
X軸方向に搬送する。基板保持装置194は2つの基板コンベヤ210,212の各々について設けられ、それぞれ、図示は省略するが、回路基板24を下方から支持する支持部材および回路基板24の搬送方向に平行な両側縁部をそれぞれクランプするクランプ部材を備え、回路基板24をその電子回路部品が装着される装着面が水平となる姿勢で保持する。回路基板24の搬送には、基板コンベヤ210,212の少なくとも一方が使用される。
【0030】
部品供給装置196は、図8に示すように、基台214の装着モジュール基板搬送装置192に対してY軸方向の一方の側であって、装着モジュール180aの正面側に設けられている。部品供給装置196は、例えば、部品供給具の一種である部品フィーダとしてのテープフィーダ(以後、フィーダと略称する)220により電子回路部品を供給するものとされ、複数のフィーダ220と、それらフィーダ220が取り付けられるフィーダ支持台(図示省略)とを含む。複数のフィーダ220はそれぞれ、多数の電子回路部品をテープにより保持した状態で供給し、それぞれ異なる種類の電子回路部品を保持した複数のフィーダ220が、各々の部品供給部がX軸方向に沿って並ぶ状態でフィーダ支持台に取り付けられる。幅の広い装着モジュール180bの部品供給装置196は、図7に示すように、大形の電子回路部品を保持し、幅が大きいテープフィーダ222およびトレイ224によって電子回路部品を供給する装置とされたり、テープフィーダ222のみあるいはトレイ224のみによって電子回路部品を供給する装置とされたりする。前記チップ部品56はテープフィーダ220により供給され、BGA52およびQFP54はフィーダ220,222あるいはトレイ224により供給される。
【0031】
部品装着装置198は、図8および図9に示すように、作業ヘッドたる装着ヘッド230と、その装着ヘッド230を移動させる作業ヘッド移動装置たる装着ヘッド移動装置232とを備えている。装着ヘッド移動装置232は、図9に示すように、X軸方向移動装置234およびY軸方向移動装置236を備えている。Y軸方向移動装置236は、モジュール本体190を構成するクラウン238に、部品供給装置196の部品供給部と2つの基板保持装置194とに跨って設けられたリニアモータ240を備え、可動部材たる移動部材としてのY軸スライド242をY軸方向の任意の位置へ移動させる。X軸方向移動装置234はY軸スライド242に設けられ、Y軸スライド242に対してX軸方向に移動させられるとともに、互いにX軸方向に相対移動させられる可動部材たる移動部材としての第一,第二X軸スライド244,246と、それらスライド244,246をそれぞれ、X軸方向に移動させるX軸スライド移動装置248(図9には第二X軸スライド246を移動させる移動装置248のみが図示されている)とを備えている。2つのX軸スライド移動装置はそれぞれ、例えば、駆動源たる電動モータと送りねじ機構とを含むものとされ、X軸スライド244,246をX軸方向の任意の位置へ移動させる。
【0032】
装着ヘッド230は、第二X軸スライド246に着脱自在に搭載され、装着ヘッド移動装置232により、部品供給装置196の部品供給部と2つの基板保持装置194とに跨る移動領域である装着作業領域内の任意の位置へ移動させられる。装着ヘッド230は、部品保持具の一種である吸着ノズル250によって電子回路部品を保持するものとされており、保持具保持部たるノズルホルダ,ホルダ昇降装置,ホルダ回転装置,吸着ノズル250への負圧,正圧の供給を切り換える切換弁装置および切換弁装置切換装置を備えている。
【0033】
前記基準マーク撮像装置200は、本装着モジュール180aではCCDカメラにより構成され、第二X軸スライド246に下向きに搭載されており、装着ヘッド230と共に水平面内の任意の位置へ移動させられる。装着ヘッド移動装置232が撮像装置移動装置としても作動するのであり、基準マーク撮像装置200と共に撮像システムたる基準マーク撮像システムを構成している。また、部品撮像装置202は、本実施形態ではCCDカメラにより構成され、図8に示すように、基台214の装着モジュール基板搬送装置192と部品供給装置196との間の部分に設けられ、吸着ノズル250により保持された電子回路部品を下方から撮像する。
【0034】
制御装置204は、図1に概念的に示すように、装着制御コンピュータ270を主体として構成されており、駆動回路(図示省略)を介して、装着モジュール基板搬送装置192等の駆動源等を制御するとともに、ブザー272を制御する。8台の装着モジュール180の各装着制御コンピュータ270のROMには、図14にフローチャートで示す部品装着ルーチン等、電子回路部品の回路基板24への装着に必要な種々のルーチンが記憶させられ、RAMには部品装着プログラム等、種々のデータが記憶させられている。
【0035】
部品装着プログラムは、電子回路部品の装着順序,回路基板24の電子回路部品が装着される位置である装着位置を規定する座標,装着される電子回路部品の種類,装着姿勢,供給形態(フィーダにより供給されるか、トレイにより供給されるか),供給姿勢,電子回路部品を供給するフィーダのフィーダ支持台に対する搭載位置等が対応付けられたプログラムである。装着位置は、例えば、電子回路部品の中心について設定されている。8台の装着モジュール180は1枚の回路基板24への複数の電子回路部品の装着を分担して行う。そのため、部品装着プログラムは8台の装着モジュール180の各々について作成され、各装着制御コンピュータ270のRAMに記憶させられている。また、8台分の部品装着プログラムは、部品装着プログラムが実行される装着モジュール180を特定するデータ(以後、モジュール特定データと称する)と共に前記印刷検査制御コンピュータ156のRAMにも記憶させられている。装着モジュール180は、例えば、装着モジュール列14における並び順により特定される。さらに、基準マーク撮像装置200および部品撮像装置202の撮像により得られた撮像データは画像処理コンピュータ274によって処理され、それにより得られたデータは装着制御コンピュータ270へ入力される。
【0036】
装着モジュール列14を構成する8台の装着モジュール180のうち、最上流の装着モジュール180aと印刷検査機12との間および最下流の装着モジュール180bと装着検査機16との間にはそれぞれ、図1に概略的に示すように、作業機間基板搬送装置280,282が設けられている。これら基板搬送装置280,282はそれぞれ、ベルトコンベヤにより構成された基板コンベヤと、基板コンベヤを、回路基板24の搬送方向と直角で水平な方向に移動させるコンベヤ移動装置とを備えたシャトル式の基板搬送装置とされ、作業機間基板搬送装置280は、印刷検査機12の基板搬送装置140から受け取った回路基板24を最上流の装着モジュール180aの基板コンベヤ210,212の一方に渡す。また、作業機間基板搬送装置282は、最下流の装着モジュール180bの基板コンベヤ210,212の一方から回路基板24を受け取って、装着検査機16の基板搬送装置に渡す。
【0037】
前記装着検査機16は前記印刷検査機12と同様に構成されており、装着検査機基板搬送装置,作業ヘッドたる装着検査ヘッド,作業ヘッド移動装置たる装着検査ヘッド移動装置(図示省略)および制御装置290(図1参照)を備え、本実施形態においてはCCDカメラにより構成された装着検査ヘッドが水平面内の任意の位置へ移動させられ、回路基板24に装着された電子回路部品を撮像する。このCCDカメラも、印刷検査ヘッド142を構成するCCDカメラと同様に視野が広いものとされ、回路基板24を複数エリアに分け、各エリア毎に装着された複数の電子回路部品をまとめて撮像し、検査が迅速に行われる。
【0038】
制御装置290は、図1に示すように、装着検査制御コンピュータ292を主体として構成されており、駆動回路(図示省略)を介して、装着検査機基板搬送装置等の駆動源等を制御するとともに、ブザー294を駆動する。また、装着検査ヘッドのCCDカメラの撮像により得られた撮像データは画像処理コンピュータ296によって処理され、それにより得られたデータは装着検査制御コンピュータ292へ供給される。
【0039】
前記リフロー炉18は、リフロー炉基板搬送装置,加熱装置(図示省略)および制御装置310(図1参照)を備えている。リフロー炉基板搬送装置はベルトコンベヤにより構成された基板コンベヤを備え、装着検査機16とリフロー炉18との間に設けられた作業機間基板搬送装置312から回路基板を受け取って搬送する。制御装置310は、リフロー制御コンピュータ314(図1参照)を主体として構成され、リフロー炉基板搬送装置等の駆動源等を制御する。
【0040】
本電子回路製造ラインを構成するはんだ印刷機10,印刷検査機12,装着モジュール列14,装着検査機16,リフロー炉18および作業機間基板搬送装置138,280,282,312は、図1に示す統括制御装置330により統括して制御される。統括制御装置330はホストコンピュータ332を主体として構成され、通信手段の一種である通信ケーブル(図示省略)によって印刷制御コンピュータ134,印刷検査制御コンピュータ156,全部の装着モジュール180の各装着制御コンピュータ270,装着検査制御コンピュータ292およびリフロー制御コンピュータ314に接続されており、データおよび指令等のやり取り等を行う。
【0041】
以上のように構成された電子回路製造ラインにおいては、図示を省略する基板供給装置によってはんだ印刷機10に、はんだが印刷されていない回路基板24が供給され、印刷機基板搬送装置28により搬送されて所定の印刷位置において停止させられる。そして、回路基板24が基板保持装置30により保持された状態で、撮像装置90が撮像装置移動装置92により移動させられてスクリーン22と回路基板24との間へ進入させられ、基準マーク44,48を撮像する。基準マーク44,48の各撮像データは画像処理コンピュータ136により処理され、基準マーク44,48の各画像データに基づいてスクリーン22と回路基板24との相対位置ずれが算出され、印刷制御コンピュータ134へ送られる。相対位置ずれには、X軸方向,Y軸方向およびスクリーン22,回路基板24の軸線まわりの各位置ずれが含まれる。本はんだ印刷機10では、スクリーン22が位置決め装置62により回路基板24に対して水平方向に移動させられて位置ずれが修正され、貫通孔42とパッド46との位置が合わされる。
【0042】
撮像装置90が回路基板24とスクリーン22との間から退避させられた後、基板保持装置30が上昇させられ、回路基板24がスクリーン22に接触させられ、あるいは接触可能な状態とされる。そして、1対のスキージヘッド66のうちの一方が下降させられ、1対のスキージ86のうちの一方がスクリーン22に接触させられつつ、スクリーン22に沿って移動させられ、スクリーン22上に載置されたはんだを移動させつつ貫通孔42内に押し込み、回路基板24のパッド46に付着させる。印刷終了後、スキージヘッド66が上昇させられ、スキージ86がスクリーン22から離間させられるとともに、基板保持装置30が下降させられて回路基板24がスクリーン22から離間させられる。回路基板24は、印刷機基板搬送装置28によりはんだ印刷機10から作業機間基板搬送装置138へ搬送され、作業機間基板搬送装置138から印刷検査機基板搬送装置140へ渡され、印刷検査機12内に搬入される。
【0043】
印刷検査機12においては、印刷検査制御コンピュータ156により図13に示す印刷検査・載置位置決定ルーチンが実行され、ステップ1(以後、S1と略記する。他のステップについても同じ。)の実行により、はんだの印刷が済んだ回路基板24の搬入等が行われる。回路基板24は、予め設定された検査位置において停止させられる。停止後、印刷検査ヘッド142が移動装置144により移動させられ、基準マーク48および二次元コード50が撮像される。そして、撮像データが画像処理コンピュータ160により処理され、基準マーク48の画像データに基づいて回路基板24の位置誤差が算出されるとともに、二次元コード50の画像データに基づいて基板識別コードが読み取られる。位置誤差には、X軸方向およびY軸方向の各位置誤差が含まれる。
【0044】
次いでS2が実行され、パッド46およびはんだの撮像が行われる。本印刷検査機12においては、印刷検査ヘッド142が印刷検査ヘッド移動装置144によって移動させられ、全部のパッド46およびはんだを撮像する。回路基板24のはんだ印刷面は、それぞれ複数のはんだ印刷箇所を含む複数領域に区切られ、各領域毎に撮像される。印刷検査ヘッド142の移動位置は、先に基準マーク48の撮像に基づいて取得された回路基板24の位置ずれが低減するように修正される。
【0045】
そして、画像処理コンピュータ160では撮像により得られたデータが処理され、印刷はんだ情報が作成される。印刷はんだ情報には、例えば、印刷されたはんだの平面視における形状である印刷形状,平面視における面積である印刷面積および印刷位置(印刷形状の中心により規定される)が含まれる。印刷検査制御コンピュータ156ではS3の実行により、印刷はんだ情報が画像処理コンピュータ160から印刷検査制御コンピュータ156に読み込まれ、RAMに設けられた印刷はんだ情報メモリに記憶させられる。印刷はんだ情報メモリは、記憶手段を構成する。以下に説明する別のメモリについても同様である。
【0046】
次いでS4が実行され、回路基板24に設けられた全部のパッド46のうち、電子回路部品の装着が不可能なパッド46があるか否かの判定が行われる。例えば、はんだの塗布量、すなわち印刷量が不足している場合、あるいははんだの印刷位置のパッド46からの外れ量が設定量を超えている場合に電子回路部品の装着が不可能とされる。S4の判定は、印刷はんだ情報に基づいて行われる。本実施形態においては、はんだの平面視における面積(以後、印刷面積と称する)が印刷量とされ、印刷面積が設定量としての設定面積以下であるか否かの判定が行われ、設定面積以下であれば印刷量不足とされる。電子回路部品の装着が可能であるか否かを判定するための設定面積は、本実施形態においては、スクリーン22の貫通孔42の横断面積(貫通孔42の、その中心線に直角な断面の面積であって、スクリーン22に対する平面視における面積)の30%の大きさに設定されている。また、例えば、はんだが全くパッド46にかかっていない場合に外れ量が設定量を超えているとされる。電子回路部品の装着が不可能なパッド46があれば、S4がYESになってS15が実行され、回路基板24が作業機間基板搬送装置280へ搬出される。また、ブザー158が鳴動させられて印刷不良の発生が作業者に報知され、作業者が搬出された回路基板24を取り出すようにされる。
【0047】
電子回路部品の装着が不可能なパッド46がなければ、S4の判定がNOになってS5〜S13が実行され、はんだのリフロー時に立上がりが生じる可能性のある電子回路部品について載置位置の決定が行われる。立上がりは、前記チップ部品56のように、2つの電極の各々が2つのパッド46の各々に接合される電子回路部品において、パッド46に対するはんだの印刷量が不足し、はんだ溶融時に2つの電極に作用する表面張力の大きさが異なることにより生じる。
【0048】
印刷量(本実施形態においては印刷面積)の不足は、例えば、印刷終了後に回路基板24がスクリーン22から離間させられる際に、貫通孔42に充填されたはんだの抜けが悪く、貫通孔42の内側面にはんだが付着して残り、パッド46に印刷されたはんだが欠けることにより生じる。はんだの欠けは、例えば、貫通孔42の内側面の少なくとも一部が、スクリーン22のはんだが載せられる面に対して傾斜し、上向きとなる状態となっている場合、貫通孔42内に充填されたはんだの一部が、傾斜した内側面上に載って貫通孔42内に残る等の原因により生じる。それにより、図11(a)に例示するように、チップ46のスキージ86の移動方向である印刷方向において下流側の部分にははんだ340が印刷されるが、上流側の部分や、印刷方向に平行な側部には印刷されず、印刷量が不足する場合がある。逆に、図12(a)に例示するように、チップ46の印刷方向において下流側の部分および側部にはんだが印刷されない場合もある。図11および図12におけるチップ46およびはんだ340の図示は、平面視における図示である。
【0049】
そして、印刷量が不足し、図11(a)に例示するように、2つのパッド46のうち、一方ははんだが不足なく印刷され、他方は不足して各はんだ340の印刷量が異なれば、図11(b)にチップ部品56を例に取って示すように、部品装着プログラムにおいて設定された装着位置である載置位置(以後、設定載置位置と称する)にチップ部品56が載置された場合、2つの電極58のうち、印刷量の多いはんだ340上に載置された電極58に作用する表面張力の方が、印刷量の少ないはんだ340上に載置された電極58に作用する表面張力より大きく、その電極58がパッド46から離れる向きに引っ張られ、立上がりが生じる恐れがある。図12(a)に例示するように2つのパッド46に対するはんだ印刷量が異なり、チップ部品56が図12(b)に示すように設定載置位置に載置される場合も同様である。
【0050】
そして、一旦、パッド46に印刷されたはんだの量は変えられないが、電子回路部品の載置位置は変えることができ、はんだ上に載置された電極とはんだとの平面視において重なり合う部分の面積(以後、場合によって重複面積と称する)を小さくするほど、電極に作用する表面張力を小さくすることができる。したがって、印刷量が不足しても、2つのパッド46間におけるはんだ印刷量の比率が、2つのパッド46に印刷されたはんだと2つの電極との各重複面積の比率と反比例するように電子回路部品の載置位置を決めれば、2つの電極にそれぞれ作用する表面張力をほぼ等しくし、立上がりを防止することができる。
【0051】
例えば、図11(a)に示すように、2つのパッド46間におけるはんだ印刷量が異なるのであれば、図11(c)に示すように、印刷量が多いはんだに載置される電極は、はんだとの重複面積が少なく、印刷量が少ないはんだに載置される電極は、はんだとの重複面積が多くなるように電子回路部品の載置位置を決定すればよい。また、図12(a)に示す例の場合、図12(c)に示すように、印刷量が多い側のはんだと電極との重複面積が少なくなるように電子回路部品の載置位置をずらすと、印刷量が少ない側のはんだに載置される電極については、はんだとの重複面積も減少する事態も生じ得るが、印刷量が多い側のはんだと電極との重複面積の減少率の方が大きいため、「2つのパッド46間におけるはんだ印刷量の比率が、2つのパッド46に印刷されたはんだと2つの電極との各重複面積の比率と反比例する」という条件が満たされる電子回路部品の載置位置が得られることが多い。さらに、図示は省略するが、2つのパッド46の両方について印刷量が不足するとともに、2つのパッド46間におけるはんだ印刷量が同じであれば、2つのパッド46に印刷されたはんだと2つの電極との重複面積が同じになるように載置位置を決定すればよい。
【0052】
載置位置の決定は、はんだ印刷量の不足によってリフロー時に立上がりの生じる恐れがある電子回路部品について行われる。この載置位置決定部品は電子回路部品の種類によって予め設定されている。チップ部品56がその一例である。載置位置決定部品データは、印刷検査制御コンピュータ156のRAMに設けられた載置位置決定部品メモリに記憶させられている。このデータには、電子回路部品の形状,寸法が含まれ、電極の形状,寸法が得られる。
【0053】
載置位置の決定は、本実施形態においては、8台の装着モジュール180の各々について予め作成されている部品装着プログラム毎に行われる。そのため、S5においては、8つの部品装着プログラムのうちの1つが、例えば、8台の装着モジュール180の並び順に読み出され、その部品装着プログラム中に載置位置決定部品があるか否かの判定が行われる。この判定は、載置位置決定部品データに基づいて行われ、載置位置決定部品がなければ、S5の判定はNOになってS13が実行され、全部の装着モジュール180について載置位置決定のための処理が行われたか否かの判定が行われる。8つの部品装着プログラムが読み出されていなければ、S13の判定はNOになってルーチンの実行はS5に戻り、次の部品装着プログラムについてS5以下のステップが実行される。
【0054】
部品装着プログラム中に載置位置決定部品が含まれていれば、S5の判定がYESになってS6が実行され、部品装着プログラムにおいて設定された装着順に従って、回路基板24に装着される電子回路部品の種類が1つずつ読み出される。そして、S7が実行され、読み出された電子回路部品が載置位置決定部品であるか否かの判定が行われる。この判定は、載置位置決定部品データに基づいて行われる。載置位置決定部品でなければ、載置位置の決定が不要であり、S7の判定がNOになってS10が実行され、1台の装着モジュール180についての載置位置の決定が済んだか否かの判定が行われる。この判定は、部品装着プログラムにおいて回路基板24への装着が決められた全部の電子回路部品が読み出されたか否かにより行われる。1台の装着モジュール180について載置位置の決定が済んでいなければ、S10の判定がNOになってルーチンの実行はS6に戻る。
【0055】
読み出された電子回路部品がチップ部品56であって、載置位置決定部品であれば、S7の判定がYESになってS8が実行され、チップ部品56が設定載置位置に載置されたと想定して、印刷検査制御コンピュータ156の演算上、2つのパッド46に印刷されたはんだ340上にそれぞれ電極58が重ねられ、重複面積(図11に示す例の場合、図11(b)に斜線を施して示す部分の面積、図12に示す例の場合、図12(b)に斜線を施して示す部分の面積)が算出される。はんだ340の形状,寸法および位置は印刷はんだ情報により得られ、電極58の形状,寸法は、載置位置決定部品データにより得られる。
【0056】
次いでS9が実行され、載置位置の決定が行われる。この際、まず、設定載置位置の変更が必要であるか否かが判定される。2つのパッド46のはんだ印刷量にいずれも不足がない場合、あるいは少なくとも一方に不足があっても、S8において算出された2つの重複部分の面積の比率と、2つのパッド46に印刷されたはんだ340の印刷面積の比率とが設定誤差範囲内で反比例するのであれば、リフロー時に2つの電極に作用する表面張力に立上がりを発生させるほどの違いはないため、設定載置位置の変更は不要とされる。
【0057】
印刷量の不足は、S3において取得された印刷量としての印刷面積が設定量としての設定面積より少ないか否かにより検出される。設定量は、2つのパッド46の少なくとも一方のはんだ印刷量の不足により、2つの電極に作用する表面張力の大きさがアンバランスになって、電子回路部品に立上がりが生じる可能性のある場合を判定することができる大きさに設定され、S4において電子回路部品の装着が不可能なパッド46があるか否かの判定を行うために、はんだ印刷量(本実施形態においては印刷面積)が不足しているか否かを判定するための設定量より大きい量に設定される。この観点から、はんだ340の印刷面積は、パッド46にはんだを印刷するためのスクリーン22の貫通孔42の横断面積の60パーセント以上あればよく、80パーセント以上あることが望ましい。このはんだ340の印刷面積の貫通孔42の横断面積に対する割合に基づいて設定面積が設定される。この割合は、はんだの種類や固さ,パッド46や電極58の大きさ等の種々の条件に応じて変えるべき量であるが、本実施形態においては貫通孔42の横断面積の80パーセントの大きさに設定されている。この設定面積は、回路基板24の載置位置決定部品の電極が接合されるパッド46について予め設定され、パッド46の位置と対応付けて、印刷検査制御コンピュータ156のRAMに記憶させられている。また、反比例には、2つの重複部分の面積の比率も、2つのパッド46に印刷されたはんだ340の印刷面積の比率も1の場合が含まれる。
【0058】
図11(b)に示す例の場合、印刷量、本実施形態においては印刷面積が多いはんだ340と電極58との重複面積の方が、印刷面積が少ないはんだ340と電極58との重複面積より大きく、これら2つの重複面積の比率と2つの印刷面積の比率とが設定誤差範囲内で反比例するのではないため、設定載置位置の変更が必要である。変更は、設定載置位置を設定距離、例えば、一定距離ずつ、大きい方の重複面積が小さくなり、小さい方の重複面積が大きくなる方向に変更することにより行われる。変更方向は、S8において取得された2つの重複面積と、S3において取得された2つのはんだの各印刷位置および印刷形状とに基づいて決められ、例えば、X軸方向とY軸方向との一方において一定距離ずつ載置位置を変更し、あるいはX軸方向とY軸方向とに交互に一定距離ずつ変更する等、適宜に決められる。
【0059】
載置位置を変更する毎に、2つのパッド46に印刷されたはんだと2つの電極との重複面積が演算され、2つの重複面積の比率が、2つのパッドに印刷されたはんだの各印刷面積の比率と設定誤差範囲内で反比例するか否かが判定され、反比例する状態が得られる位置が探される。その結果、図11に示すチップ部品56の場合、図11(c)に示すように実際に回路基板24に装着される際の載置位置が決定される。また、図12(b)に示す例の場合も設定載置位置の変更が必要であり、図12(c)に示すように、チップ部品56の実際の載置位置が決定される。
【0060】
2つの重複面積の比率と、2つの印刷面積の比率とが設定誤差範囲内で反比例する位置が得られれば、その位置が載置位置に決定され、電子回路部品の装着順序,部品装着プログラムに付されたモジュール特定データおよびS1において取得された基板識別コードと対応付けて、印刷検査制御コンピュータ156のRAMに設けられた載置位置変更データメモリに記憶させられる。変更された載置位置そのものが記憶させられてもよく、変更量および変更方向が記憶させられてもよい。また、印刷検査制御コンピュータ156のRAMに設けられたフラグFが1にセットされ、設定載置位置が変更されることが表される。そして、S10が実行される。本実施形態においては、設定載置位置の変更が載置位置の決定であり、設定載置位置が変更されない場合、設定載置位置が電子回路部品が実際に載置される位置に決定されると考えることもできる。
【0061】
1つの部品装着プログラム中の全部の電子回路部品が読み出されれば、S10の判定がYESになってS11が実行され、フラグFがセットされているか否か、すなわち設定載置位置が変更されるか否かの判定が行われる。フラグFがセットされていれば、S11の判定がYESになってS12が実行され、設定載置位置がS9において決定された載置位置に変更された部品装着プログラムが作成される。この変更部品装着プログラムは、印刷検査制御コンピュータ156のRAMに記憶させられている部品装着プログラムとは別に作成され、基板識別コードおよびモジュール特定データと対応付けてホストコンピュータ332へ出力される。また、フラグFが0にリセットされる。
【0062】
ホストコンピュータ332へ送られた変更部品装着プログラムは、基板識別コードと共にホストコンピュータ332から、モジュール特定データにより特定された装着モジュール180の装着制御コンピュータ270へ送られる。載置位置の変更が不要であり、変更されない場合、フラグFは0にリセットされたままである。そのため、S11の判定がNOになってS12がスキップされ、変更部品装着プログラムは作成されず、S13が実行される。なお、設定載置位置変更データ(決定された載置位置を規定するデータおよび電子回路部品の装着順を含む。決定載置位置規定データは、決定載置位置である変更載置位置でもよく、設定載置位置の変更量および変更方向でもよい。)が基板識別コードおよびモジュール特定データと共にホストコンピュータ332へ出力され、ホストコンピュータ332から該当する装着モジュール180へ設定載置位置変更データおよび基板識別コードが送られて、電子回路部品の装着時に使用されるようにしてもよい。
【0063】
S13においては、8台の装着モジュール180の全部について載置位置決定のための処理が行われたか否かの判定が行われる。この判定は、8台の装着モジュール180用の部品装着プログラムの全部についてS5〜S12(少なくともS5)が実行されたか否かにより行われ、行われていなければS13の判定がNOになり、ルーチンの実行はS5に戻る。8台分の部品装着プログラムについてS5〜S12(少なくともS5)が実行されたならば、S13の判定がYESになってS14が実行され、回路基板24が印刷検査機12から作業機間基板搬送装置280へ搬出される。
【0064】
電子回路部品の装着が不可能なパッド46がなく、必要に応じて変更部品装着プログラムが作成されて印刷検査機12から搬出された回路基板24は、装着モジュール列14へ搬入されて電子回路部品が装着される。装着モジュール列14を構成する8台の装着モジュール10の各々において図14に示す部品装着ルーチンが実行され、回路基板24への電子回路部品の装着が並行して行われる。部品装着ルーチンのS31の実行により、回路基板24が装着モジュール180へ搬入されるとともに、所定の位置において停止させられ、基板保持装置194によって保持される。そして、基準マーク撮像装置200によって回路基板24の基準マーク48および二次元コード50が撮像され、回路基板24の装着位置の位置誤差が取得されるとともに、基板識別コードが読み取られる。装着位置の位置誤差には、X軸,Y軸方向に平行な方向の各位置誤差および回路基板24に直角な軸線まわりの位置誤差が含まれる。
【0065】
次いでS32が実行され、部品装着プログラムに変更があるか否かが判定される。この判定は、装着制御コンピュータ270のRAMに、S31において読み出された基板識別コードに対応する変更部品装着プログラムがあるか否かにより行われる。変更部品装着プログラムがなければ、S32の判定がNOになってS33が実行され、変更がなく、予め設定された部品装着プログラムに従って電子回路部品の回路基板24への装着が行われる。基板識別コードに対応する変更部品装着プログラムがあり、部品装着プログラムに変更があれば、S32の判定がYESになってS34が実行され、変更部品装着プログラムに従って電子回路部品の回路基板24への装着が行われる。
【0066】
電子回路部品の回路基板24への装着時には、部品装着プログラムに変更がある場合にも、ない場合にも、装着順にデータが読み出され、電子回路部品の部品供給装置196からの取出し(S33a,S34a)、吸着ノズル250により負圧によって吸着され、保持された電子回路部品の部品撮像装置202による撮像(S33b,S34b)および読み出された装着位置への電子回路部品の装着が行われる(S33c,S34c)。装着時には、電子回路部品の撮像により取得された吸着ノズル250による電子回路部品の保持位置誤差および基準マーク48の撮像により取得された装着位置の位置誤差が修正される。保持位置誤差には、X軸,Y軸方向および電子回路部品の軸線まわりの各位置誤差が含まれる。
【0067】
変更部品装着プログラムに従って電子回路部品の装着が行われるとき、設定載置位置が変更された電子回路部品は、変更載置位置に載置される。それにより、図11および図12にそれぞれ例示するように、2つのパッド46の一方についてはんだの印刷量が不足していても、チップ部品56は図11(c)および図12(c)に示すように2つの電極58が2つのはんだ340上に載置されて仮止めされる。部品装着プログラムにおいて設定された全部の電子回路部品が回路基板24に装着されたならば、回路基板24が下流側の装着モジュール180へ搬出される(S33d,S33e,S34d,S34e)。
【0068】
8台の装着モジュール180においてそれぞれ電子回路部品が装着された回路基板24は、作業機間基板搬送装置282へ搬出され、作業機間基板搬送装置282から装着検査機16へ搬入される。装着検査機16では、装着検査ヘッドが移動させられて回路基板24に装着された電子回路部品を撮像し、電子回路部品が装着されていないパッド46がある等、装着不良があれば、作業機間基板搬送装置312へ排出されるとともに、ブザー294によって作業者に報知され、不良な回路基板24が取り出されるようにされる。
【0069】
検査の結果、装着不良がなければ、回路基板24は作業機間基板搬送装置312からリフロー炉18へ搬入される。そして、はんだが加熱され、溶融させられて全部の電子回路部品の各電極がパッドに接合されるが、パッド46に対するはんだの印刷量が不足していても、チップ部品56等、立上がりが生じる恐れのある電子回路部品は、印刷量の不足に基づいて変更された位置に載置されているため、2つの電極58に作用する表面張力の大きさがほぼ同じ大きさになり、立上がりを生じることなく、電極58がパッド46に接合される。
【0070】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、印刷検査ヘッド142のCCDカメラが撮像装置を構成し、画像処理コンピュータ160が画像処理装置を構成し、これらが塗布量検出装置たる印刷量検出装置を構成している。また、印刷検査制御コンピュータ156のS8およびS9を実行する部分が載置位置決定装置たる載置位置変更装置を構成している。さらに、装着制御コンピュータ270のS34cを実行する部分が、電子回路部品を変更された載置位置に載置する決定載置位置載置部たる変更載置位置載置部を構成している。設定載置位置変更データが装着モジュール180へ送られて電子回路部品の装着時に使用される場合、印刷検査制御コンピュータのS8,S9を実行する部分が載置位置変更装置を構成すると考えることもでき、装着制御コンピュータの設定載置位置変更データを使用して設定載置位置を変更する部分が載置位置変更装置を構成すると考えることもでき、両者が載置位置変更装置を構成すると考えることもできる。
【0071】
なお、S9において載置位置の決定を行う際に、パッド46のはんだ印刷量が不足しているか否かの判定を行わず、2つのパッド46に印刷されたはんだ340の各印刷面積の比率が、2つのパッド46に印刷されたはんだ340と、それらはんだ340上にそれぞれ載置された電極58との各平面視における重複部分の面積の比率と設定誤差範囲内で反比例するか否かを判定し、反比例しない場合に載置位置の変更が行われるようにしてもよい。
【0072】
また、塗布量検出装置および載置位置決定装置は、はんだ塗布機あるいは電子回路部品装着機に設けてもよい。はんだ塗布機や電子回路部品装着機に設けられた撮像装置,画像処理コンピュータおよび制御コンピュータを塗布量検出装置および載置位置決定装置として機能させることができる。塗布量検出装置をはんだ塗布機に設け、載置位置決定装置を電子回路部品装着機に設けてもよく、塗布量検出装置を専用機とし、載置位置決定装置を電子回路部品装着機に設けてもよい。
【0073】
さらに、塗布検査機である印刷検査機においてはんだの回路基板への塗布状態である印刷状態の検査が省略され、立上がりが生じる恐れのある電子回路部品の電極が接合されるパッドについてのはんだ塗布量であるはんだ印刷量の検出および載置位置の決定のみが行われるようにしてもよい。
【0074】
さらにまた、回路基板に装着される電子回路部品のうち、立上がりが生じる恐れのある電子回路部品の全部について、その電極が接合されるパッドに対するはんだの塗布量を検出し、載置位置の決定が行われるようにすることは不可欠ではなく、はんだの塗布傾向、すなわちはんだの塗布量不足あるいは塗布量過剰の発生傾向を取得し、塗布量不足あるいは塗布量過剰が発生する確率の高いパッドについてのみ塗布量を検出し、載置位置の決定が行われるようにしてもよい。塗布傾向は、例えば、回路基板へのはんだの塗布を模擬的に行い、塗布量を検出することにより取得される。それに代えて、あるいはそれと共に、電子回路の製造後に回路基板を検査して電子回路部品の立上がりの有無を調べ、立上がりが生じた電子回路部品について、パッドに対するはんだの塗布量の検出および載置位置の決定が行われるようにしてもよい。
【0075】
また、同種の複数枚の回路基板の全部について塗布量の検出および載置位置の決定を行うことは不可欠ではなく、設定枚数毎に、あるいは連続してはんだが塗布される同種の複数枚の回路基板のうちの1枚目について塗布量の検出および載置位置の決定が行われ、決定された載置位置に電子回路部品が載置されるようにするとともに、決定された載置位置が次以降の回路基板について使用されるようにしてもよい。
【0076】
さらに、検査により不良が検出され、以後の作業を行うことが不可能な回路基板は、作業機間に排出装置を設け、自動的に電子回路製造ラインから排出されるようにしてもよく、不良が検出された作業機より下流側の作業機を、作業が行われることなく通過させられて排出されるようにしてもよい。載置位置の決定時に、はんだの塗布量が、電子回路部品を載置するために不足しているか否かを判定する場合も同様である。
【符号の説明】
【0077】
10:はんだ印刷機 18:リフロー炉 24:回路基板 46:パッド 56:チップ部品 58:電極 340:はんだ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路部品の電極をクリーム状はんだによって回路基板のパッドに接合する際の電子回路部品の立上がりを防止する方法および電子回路部品の立上がりが防止される電子回路製造システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
チップ部品のように両端に電極が形成された電子回路部品は、2つの電極がそれぞれ、回路基板に形成された2つのパッドの各々にクリーム状はんだによって接合される。その際、電極に対するクリーム状はんだの印刷に不良があれば、電子回路部品の装着に不良が生じる場合がある。例えば、下記の特許文献1に記載されているように、クリーム状はんだがパッドに対してずれた位置に印刷された場合、2つの電極の位置が2つのパッドと一致するように電子回路部品が回路基板上に載置されれば、リフロー時にクリーム状はんだが溶融した際の表面張力による吸引力が電子回路部品の中心に対して非対称に作用する。それにより、電子回路部品がパッドに対して軸線まわりに回転し、電極がパッドから大きく外れ、装着不良が発生する。そのため、特許文献1に記載の電子回路部品実装装置においては、パッドに印刷されたクリーム状はんだをカメラにより撮像し、2つのパッドにそれぞれ印刷されたクリーム状はんだがパッドに対してずれていれば、それらクリーム状はんだの重心位置を目標位置として電子回路部品が装着されるようにされている。
【0003】
また、特許文献2〜4に記載されているように、印刷不良により、リフロー時に電子回路部品に立上がりが生じることがある。クリーム状はんだの印刷位置のずれや印刷量の偏在等の印刷不良があれば、2つの電極の位置が2つのパッドと一致するように電子回路部品が回路基板上に載置された後、リフロー時に溶融はんだの表面張力が電子回路部品に偏って作用する。それにより、2つの電極のうちの一方のみがパッドに接合され、他方はパッドから離れる向きに引っ張られて浮き上がった状態となる立上がりが生じることがあるのである。
そのため、特許文献2に記載の電子回路部品実装システムにおいては、パッドに印刷されたクリーム状はんだをカメラにより撮像し、2つのパッドの重心位置と、2つのパッドの各々に印刷されたクリーム状はんだの重心位置との中点を載置位置として電子回路部品が載置されるようにされている。
また、特許文献3には、クリーム状はんだへのレーザ光の照射およびその反射光の角度に基づいてクリーム状はんだの高さを測定して、2つのパッドにそれぞれ印刷されたクリーム状はんだの体積を取得し、それら2つの体積の各中心を測定し、それら体積中心から2つのクリーム状はんだ全体の体積中心の平面位置を求め、その位置を基準として電子回路部品を装着するようにされている。
さらに、特許文献4に記載の電子回路部品装着機においては、対を成す2つのパッドの位置ずれと、それらパッドにそれぞれ印刷されたクリーム状はんだの位置ずれとに基づいて、立上がりができるだけ少なくなる位置に電子回路部品を装着するようにされている。パッドの位置ずれはカメラによるパッドの撮像により取得され、クリーム状はんだの位置ずれは、クリーム状はんだを回路基板に印刷するためのスクリーンに形成された貫通孔の撮像に基づいて取得される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−84097公報
【特許文献2】特開2003−229699公報
【特許文献3】特開2008−72034公報
【特許文献4】特開2010−3824公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、従来とは異なる手段によって電子回路部品の立上がりを防止する方法およびその方法が実施される電子回路製造システムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、電子回路部品の両端に形成された2つの電極の各々を、回路基板に形成された2つのパッドの各々にクリーム状はんだにより仮止めし、リフロー炉内において加熱してクリーム状はんだを溶融させることにより、前記2つの電極の各々を前記2つのパッドの各々に接合する際に、前記電子回路部品が前記回路基板から立ち上がることを防止する方法を、前記2つのパッドの間における前記クリーム状はんだの塗布量の比率が、前記2つのパッドに塗布されたクリーム状はんだと前記2つの電極との平面視において重なり合う2つの部分の面積の比率と反比例するように、前記電子回路部品の前記回路基板への載置位置を決定し、その決定した載置位置に電子回路部品を載置する方法とすることにより解決される。なお、「平面視」とは、クリーム状はんだおよび電極を、回路基板に対して90度の角度で交差する方向から見ることである。
【0007】
上記の課題はまた、2つずつのパッドを一対として、一対以上のパッドを含む回路パターンが表面に形成され、前記2つのパッドの各々にクリーム状はんだがそれぞれ塗布された回路基板の、前記2つのパッドの各々に、電子回路部品の一対の電極の各々を前記クリーム状はんだにより仮止めし、その回路基板をリフロー炉内で加熱して前記クリーム状はんだを溶融させ、前記電子回路部品を前記回路基板にはんだ付けして、電子回路を製造する電子回路製造システムを、(A)前記2つのパッドの各々に塗布された前記クリーム状はんだの塗布量を検出する塗布量検出装置と、(B)その塗布量検出装置により検出された塗布量の前記2つのパッドの間における比率が、前記2つのパッドに塗布されたクリーム状はんだと前記電子回路部品の前記2つの電極との2つの重なり部の間の平面視における面積の比率と反比例する状態となる位置を、前記電子回路部品の載置位置として決定する載置位置決定装置と、(C)その載置位置決定装置により決定された載置位置に前記電子回路部品を載置して、その電子回路部品を前記回路基板に仮止めする部品装着装置とを含むシステムとすることにより解決される。
クリーム状はんだを塗布するはんだ塗布機は、例えば、はんだ印刷機であるスクリーン印刷機や、シリンジからはんだを吐出して回路基板に塗布するはんだ吐出機とされる。
塗布量検出装置としては、例えば、撮像装置や、レーザ光の照射および反射光に基づいて塗布量を検出する装置が採用可能である。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る立上がり防止方法によれば、対を成す2つのパッドに塗布されたクリーム状はんだの少なくとも一方の量が不足し、あるいは過剰となり、2つのパッドに塗布されたクリーム状はんだの塗布量の一方が他方より少ない場合、塗布量が少ない方のパッドに接合される電極の方が、塗布量が多い方のパッドに接合される電極より、クリーム状はんだとの平面視において重なり合う部分の面積が大きくなるように載置位置が決定される。また、塗布不良により、塗布量が設定量とは異なっても、2つのパッドに塗布されたクリーム状はんだの塗布量が同じである場合、2つの電極のそれぞれ、クリーム状はんだとの平面視において重なり合う部分の面積が同じになるように載置位置が決定される。それにより、リフロー炉内においてクリーム状はんだが溶融させられるとき、2つの電極にそれぞれ作用するクリーム状はんだの表面張力がほぼ等しくなり、電子回路部品の立上がりが防止される。
2つのパッドの間におけるクリーム状はんだの塗布量の比率として、例えば、それら2つのパッドにおけるクリーム状はんだの平面視における面積の比率が使用される。塗布量の平面視における面積の取得は容易であり、容易に立上がりを防止することができる。
【0009】
本発明に係る電子回路製造システムによれば、本発明に係る立上がり防止方法が実施され、不良な電子回路の発生が低減させられる。
塗布量検出装置は、例えば、(a)2つのパッドに塗布されたクリーム状はんだを回路基板に直交する方向から撮像する撮像装置と、(b)その撮像装置により撮像されたクリーム状はんだの画像を画像処理することにより、2つのパッドの各々に塗布されたクリーム状はんだの面積を取得する画像処理装置とを含むように構成される。
回路基板に直交する方向からの撮像により、クリーム状はんだの平面視における面積が塗布量として取得される。「回路基板に直交する方向」は、回路基板と90度の角度で交差する方向に対して多少斜めの方向でもよい。平面視における面積の取得に影響のない範囲、例えば、直角に対してプラスマイナス15度の範囲で傾斜した方向から撮像されてもよい。
撮像装置としては、例えば、面撮像装置の一種であるCCDカメラやCMOSカメラが使用される。ラインセンサが使用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態である電子回路製造ラインを概略的に示す図である。
【図2】上記電子回路製造ラインを構成するはんだ印刷機を示す側面図である。
【図3】上記はんだ印刷機の撮像装置および撮像装置移動装置を示す平面図である。
【図4】上記はんだ印刷機においてはんだの印刷に使用されるスクリーンを概略的に示す平面図である。
【図5】上記電子回路製造ラインにおいて電子回路が製造される回路基板を概略的に示す平面図である。
【図6】上記電子回路製造ラインを構成する印刷検査機を概略的に示す平面図である。
【図7】上記電子回路製造ラインを構成する装着モジュール列を示す斜視図である。
【図8】上記装着モジュール列を構成する装着モジュールの一部を示す斜視図である。
【図9】上記装着モジュールを構成する部品装着装置を示す斜視図である。
【図10】上記装着モジュールにおいて回路基板に装着される電子回路部品であるチップ部品を示す平面図である。
【図11】上記装着モジュールにおいて回路基板に載置されるチップ部品の載置位置の決定の一例を説明する図である。
【図12】上記装着モジュールにおいて回路基板に載置されるチップ部品の載置位置の決定の別の例を説明する図である。
【図13】上記電子回路製造ラインを構成する印刷検査機を制御する制御装置の主体を成す印刷検査制御コンピュータのROMに記憶させられた印刷検査・載置位置決定ルーチンを示すフローチャートである。
【図14】上記装着モジュールを制御する制御装置の主体を成す装着制御コンピュータのROMに記憶させられた部品装着ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、請求可能発明の実施形態を、図を参照しつつ説明する。なお、請求可能発明は、下記実施形態の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【0012】
図1に請求可能発明の一実施形態である電子回路製造システムたる電子回路製造ラインが図示されている。本電子回路製造ラインは、はんだ印刷機10,塗布検査機たる印刷検査機12,装着モジュール列14,装着検査機16,リフロー炉18およびライン基板搬送装置20を含む。それぞれ対回路基板作業機(以下、作業機と略称する)であるはんだ印刷機10,印刷検査機12,装着モジュール列14,装着検査機16およびリフロー炉18(以後、はんだ印刷機10等と記載する場合がある)は互いに近接し、この記載の順に1列に並べられ、回路基板はライン基板搬送装置20により、電子回路製造ラインの最も上流側に設けられたはんだ印刷機10から最も下流側に設けられたリフロー炉18へ搬送される。
【0013】
本電子回路製造ラインにおいてライン基板搬送装置20は、はんだ印刷機10等の各々に設けられた基板搬送装置である作業機基板搬送装置と、はんだ印刷機10と印刷検査機12との間、印刷検査機12と装着モジュール列14との間、装着モジュール列14と装着検査機16との間および装着検査機16とリフロー炉18との間にそれぞれ設けられた作業機間基板搬送装置とを含む。作業機間基板搬送装置が省略され、作業機基板搬送装置同士により、直接回路基板の受渡しが行われるようにしてもよい。はんだ印刷機10等の並び方向であって、ライン基板搬送装置20による回路基板の搬送方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向とする。
【0014】
はんだ印刷機10は、スクリーン22を用いて回路基板24にクリーム状はんだ(以後、はんだと略称する)を印刷するスクリーン印刷機であり、図2に示すように、印刷機本体としてのフレーム26,作業機基板搬送装置である印刷機基板搬送装置28,基板保持装置30,スクリーン保持装置32,スキージ装置34,マーク撮像システム36および制御装置38(図1参照)を含む。スクリーン22は、スクリーン枠40にたるみなく張って固定されるとともに、図4に一部を示すように、厚さ方向に貫通して複数の印刷用の貫通孔42が設けられている。スクリーン22にはまた、複数、例えば、2個の基準マーク44が対角線上に隔たった2つの角部に設けられている。
【0015】
回路基板24の表面には、図5に一部を概略的に示すように、複数のパッド46を含む回路パターンが形成されており、パッド46には電子回路部品の電極がはんだにより接合される。電極の形状,寸法,数は電子回路部品の種類に応じて様々であり、例えば、図5に二点鎖線で示すBGA(Ball Glid Array)52やQFP(Quad Flat Package)54のように電極の数が多く、3つ以上、有する電子回路部品や、チップ部品56のように電極58を2つ有する電子回路部品もある。チップ部品56の電極58は、図10に示すように、本体59の長手方向の両端にそれぞれ設けられ、それぞれパッド46に接合される。回路パターンは、回路基板24に装着される電子回路部品の種類に応じた形状,寸法および数のパッド46を含み、チップ部品56の電極58のように、対を成す2つの電極が接合されるパッド46は、2つずつを一対として回路基板24の表面に一対以上、設けられる。
【0016】
複数の貫通孔42はそれぞれ、スクリーン22のパッド46に対応する箇所に形成され、パッド46に対応する形状,寸法を有する。回路基板24にはまた、図5に示すように、複数、例えば、2個の基準マーク48が対角線上に隔たった2つの角部に設けられるとともに、二次元コード50が設けられている。二次元コード50は情報記録手段の一種であり、個々の回路基板24を識別し得るデータ(回路基板24の種類,製造メーカ,製造ロット番号,個別番号等)を表す基板識別コードが記録されている。
【0017】
印刷機基板搬送装置28は、例えば、コンベヤの一種であるベルトコンベヤにより構成され、回路基板24を水平な姿勢で支持し、X軸方向であって、図2においては紙面に直角な方向に搬送する。基板保持装置30は、印刷機基板搬送装置28の搬送経路の途中に設けられ、回路基板24を水平な姿勢で保持するとともに昇降させる。スクリーン保持装置32は、フレーム10の基板保持装置30の上方の部分に設けられ、スクリーン22をスクリーン支持台60上に位置決め装置62により位置決めし、固定装置64により固定して水平な姿勢で保持する。
【0018】
スキージ装置34は、図2に示すように、作業ヘッドたる1対のスキージヘッド66,作業ヘッド移動装置たるスキージヘッド移動装置68および1対のスキージヘッド昇降装置70を備えている。スキージヘッド移動装置68は、可動部材たる移動部材72および移動部材移動装置74を備えている。移動部材移動装置74は、駆動源たるスキージ移動用モータ76と、雄ねじ部材78およびナット80を含む運動変換機構たる送りねじ機構82とを備えている。本実施形態においては、送りねじ機構82はボールねじ機構とされている。以下に記載の別の送りねじ機構についても同様である。
【0019】
1対のスキージヘッド66はそれぞれスキージ保持部材84およびスキージ86を備え、1対のスキージヘッド昇降装置70と共に移動部材72上に設けられている。一対のスキージヘッド66は、スキージヘッド昇降装置70によって互いに独立して昇降させられ、スクリーン22に選択的に接触,離間させられるとともに、スキージヘッド移動装置68によってY軸方向に一体的に移動させられ、スクリーン22に沿って移動させられる。モータ76は、例えば、電動モータの一種であるエンコーダ付きのサーボモータとされている。サーボモータは回転角度の精度の良い制御が可能な電動回転モータである。駆動源としてステップモータやリニアモータの採用も可能である。以下に記載の別のモータについても同様である。
【0020】
マーク撮像システム36は、図3に示すように、撮像装置90および撮像装置移動装置92を含み、図2に示すように、基板保持装置30とスクリーン保持装置32との間の部分に設けられている。本撮像装置90はCCDカメラにより撮像対象を撮像するものとされており、本実施形態においては特開2007−38456公報に記載の撮像装置と同様に構成され、回路基板24とスクリーン22とにそれぞれ設けられた基準マーク44,48を撮像することができるものとされている。
【0021】
撮像装置移動装置92は、X軸方向移動装置96およびY軸方向移動装置98を含む。X軸方向移動装置96は、可動部材たる移動部材としてのX軸スライド100およびX軸スライド移動装置102を含む。X軸スライド移動装置102は、駆動源たる電動回転モータの一種であるX軸移動用モータ104と、雄ねじ部材106およびナット108を含む送りねじ機構110とを含み、X軸スライド100を案内装置112の1対の案内部材たるガイドレール114に案内させつつ、X軸方向の任意の位置へ移動させる。Y軸方向移動装置98は、X軸スライド100上に設けられ、可動部材たる移動部材としてのY軸スライド118およびY軸スライド移動装置120を含む。Y軸スライド移動装置120は、Y軸移動用モータ122と、雄ねじ部材124およびナット126を含む送りねじ機構128とを備え、Y軸スライド118を案内装置130のガイドレール132に案内させつつ、Y軸方向の任意の位置へ移動させる。撮像装置90はY軸スライド118上に設けられ、水平面内の任意の位置へ移動させられる。
【0022】
制御装置38は、図1に概念的に示すように、印刷制御コンピュータ134を主体として構成されており、駆動回路(図示省略)を介して、印刷機基板搬送装置28等の駆動源等を制御する。また、撮像装置90の撮像により得られた撮像データは画像処理コンピュータ136によって処理され、それにより得られるデータが印刷制御コンピュータ134へ送られる。
【0023】
はんだ印刷機10と印刷検査機12との間には、図1に概略的に示すように作業機間基板搬送装置138が設けられている。この搬送装置138は、印刷機基板搬送装置28と同様にベルトコンベヤにより構成されており、はんだの印刷が済んだ回路基板24は印刷機基板搬送装置28により作業機間基板搬送装置138へ搬出され、作業機間基板搬送装置138から印刷検査機12へ搬入される。
【0024】
印刷検査機12を説明する。
本印刷検査機12は、図6に示すように、印刷検査機基板搬送装置140,作業ヘッドたる印刷検査ヘッド142,作業ヘッド移動装置たる印刷検査ヘッド移動装置144および制御装置146(図1参照)を含む。印刷検査機基板搬送装置140は、前記印刷機基板搬送装置28と同様にベルトコンベヤにより構成されている。本印刷検査ヘッド移動装置144は、図6に示すように、X軸方向移動装置150およびY軸方向移動装置152を含む。これら移動装置150,152は、前記撮像装置移動装置92のX軸方向移動装置96およびY軸方向移動装置98と同様に構成されており、同じ作用を成す部分には同一の符号を付して対応関係を示し、説明を省略する。
【0025】
本印刷検査ヘッド142は撮像装置としてCCDカメラを備え、Y軸方向移動装置152のY軸スライド118上に設けられ、印刷検査機基板搬送装置140の上方において水平面内の任意の位置へ移動させられる。印刷検査ヘッド142は、印刷検査機基板搬送装置140により水平な姿勢で搬送されて支持された回路基板24を上方から、回路基板24と直交する方向であって、90度の角度で交差する方向から撮像するように設けられている。また、このCCDカメラは視野が広く、回路基板24を複数エリアに分け、各エリア毎に複数のパッド46に印刷されたはんだをまとめて撮像し得るものとされており、検査が迅速に行われる。
【0026】
制御装置146は、図1に概念的に示すように、印刷検査制御コンピュータ156を主体として構成されており、駆動回路(図示省略)を介して、印刷検査機基板搬送装置140等の駆動源等を制御するとともに、ブザー158を駆動する。ブザー158は報知装置の一種である。報知装置として、表示装置,ランプの点灯,点滅装置,音声装置等の採用が可能である。また、印刷検査制御コンピュータ156のROMには、図13にフローチャートで示す印刷検査・載置位置決定ルーチンが記憶させられている。印刷検査ヘッド142のCCDカメラの撮像により得られた撮像データは画像処理コンピュータ160によって処理され、それにより得られたデータは印刷検査制御コンピュータ156へ送られる。
【0027】
前記装着モジュール列14を説明する。
装着モジュール列14は、図7に示すように、装着モジュール180がモジュール列ベース182上に複数台、本電子回路製造ラインでは8台、互いに平行に、かつX軸方向に殆ど隙間なく並べられて成る。装着モジュール180は寸法,構成が規格化された電子回路部品装着機であり、X軸方向に平行な寸法である幅は2種類に異ならされ、幅の狭い装着モジュール180aと、幅が装着モジュール180aの2倍である装着モジュール180bとがある。装着モジュール180a,180bは、幅を異にするが同様に構成されており、装着モジュール180aの一つを代表して説明する。
【0028】
装着モジュール180aについては、例えば、特開2004−104075公報に詳細に記載されている。
装着モジュール180aは、図8に示すように、装着機本体としてのモジュール本体190,作業機基板搬送装置としての装着モジュール基板搬送装置192,基板保持装置194,部品供給装置196,部品装着装置198,基準マーク撮像装置200(図9参照),部品撮像装置202および制御装置204(図1参照)を備えている。
【0029】
装着モジュール基板搬送装置192は、図8に示すように、それぞれベルトコンベヤにより構成された2つの基板コンベヤ210,212を備え、モジュール本体190を構成する基台部214の装着モジュール10の前後方向の中央部に設けられ、回路基板24を
X軸方向に搬送する。基板保持装置194は2つの基板コンベヤ210,212の各々について設けられ、それぞれ、図示は省略するが、回路基板24を下方から支持する支持部材および回路基板24の搬送方向に平行な両側縁部をそれぞれクランプするクランプ部材を備え、回路基板24をその電子回路部品が装着される装着面が水平となる姿勢で保持する。回路基板24の搬送には、基板コンベヤ210,212の少なくとも一方が使用される。
【0030】
部品供給装置196は、図8に示すように、基台214の装着モジュール基板搬送装置192に対してY軸方向の一方の側であって、装着モジュール180aの正面側に設けられている。部品供給装置196は、例えば、部品供給具の一種である部品フィーダとしてのテープフィーダ(以後、フィーダと略称する)220により電子回路部品を供給するものとされ、複数のフィーダ220と、それらフィーダ220が取り付けられるフィーダ支持台(図示省略)とを含む。複数のフィーダ220はそれぞれ、多数の電子回路部品をテープにより保持した状態で供給し、それぞれ異なる種類の電子回路部品を保持した複数のフィーダ220が、各々の部品供給部がX軸方向に沿って並ぶ状態でフィーダ支持台に取り付けられる。幅の広い装着モジュール180bの部品供給装置196は、図7に示すように、大形の電子回路部品を保持し、幅が大きいテープフィーダ222およびトレイ224によって電子回路部品を供給する装置とされたり、テープフィーダ222のみあるいはトレイ224のみによって電子回路部品を供給する装置とされたりする。前記チップ部品56はテープフィーダ220により供給され、BGA52およびQFP54はフィーダ220,222あるいはトレイ224により供給される。
【0031】
部品装着装置198は、図8および図9に示すように、作業ヘッドたる装着ヘッド230と、その装着ヘッド230を移動させる作業ヘッド移動装置たる装着ヘッド移動装置232とを備えている。装着ヘッド移動装置232は、図9に示すように、X軸方向移動装置234およびY軸方向移動装置236を備えている。Y軸方向移動装置236は、モジュール本体190を構成するクラウン238に、部品供給装置196の部品供給部と2つの基板保持装置194とに跨って設けられたリニアモータ240を備え、可動部材たる移動部材としてのY軸スライド242をY軸方向の任意の位置へ移動させる。X軸方向移動装置234はY軸スライド242に設けられ、Y軸スライド242に対してX軸方向に移動させられるとともに、互いにX軸方向に相対移動させられる可動部材たる移動部材としての第一,第二X軸スライド244,246と、それらスライド244,246をそれぞれ、X軸方向に移動させるX軸スライド移動装置248(図9には第二X軸スライド246を移動させる移動装置248のみが図示されている)とを備えている。2つのX軸スライド移動装置はそれぞれ、例えば、駆動源たる電動モータと送りねじ機構とを含むものとされ、X軸スライド244,246をX軸方向の任意の位置へ移動させる。
【0032】
装着ヘッド230は、第二X軸スライド246に着脱自在に搭載され、装着ヘッド移動装置232により、部品供給装置196の部品供給部と2つの基板保持装置194とに跨る移動領域である装着作業領域内の任意の位置へ移動させられる。装着ヘッド230は、部品保持具の一種である吸着ノズル250によって電子回路部品を保持するものとされており、保持具保持部たるノズルホルダ,ホルダ昇降装置,ホルダ回転装置,吸着ノズル250への負圧,正圧の供給を切り換える切換弁装置および切換弁装置切換装置を備えている。
【0033】
前記基準マーク撮像装置200は、本装着モジュール180aではCCDカメラにより構成され、第二X軸スライド246に下向きに搭載されており、装着ヘッド230と共に水平面内の任意の位置へ移動させられる。装着ヘッド移動装置232が撮像装置移動装置としても作動するのであり、基準マーク撮像装置200と共に撮像システムたる基準マーク撮像システムを構成している。また、部品撮像装置202は、本実施形態ではCCDカメラにより構成され、図8に示すように、基台214の装着モジュール基板搬送装置192と部品供給装置196との間の部分に設けられ、吸着ノズル250により保持された電子回路部品を下方から撮像する。
【0034】
制御装置204は、図1に概念的に示すように、装着制御コンピュータ270を主体として構成されており、駆動回路(図示省略)を介して、装着モジュール基板搬送装置192等の駆動源等を制御するとともに、ブザー272を制御する。8台の装着モジュール180の各装着制御コンピュータ270のROMには、図14にフローチャートで示す部品装着ルーチン等、電子回路部品の回路基板24への装着に必要な種々のルーチンが記憶させられ、RAMには部品装着プログラム等、種々のデータが記憶させられている。
【0035】
部品装着プログラムは、電子回路部品の装着順序,回路基板24の電子回路部品が装着される位置である装着位置を規定する座標,装着される電子回路部品の種類,装着姿勢,供給形態(フィーダにより供給されるか、トレイにより供給されるか),供給姿勢,電子回路部品を供給するフィーダのフィーダ支持台に対する搭載位置等が対応付けられたプログラムである。装着位置は、例えば、電子回路部品の中心について設定されている。8台の装着モジュール180は1枚の回路基板24への複数の電子回路部品の装着を分担して行う。そのため、部品装着プログラムは8台の装着モジュール180の各々について作成され、各装着制御コンピュータ270のRAMに記憶させられている。また、8台分の部品装着プログラムは、部品装着プログラムが実行される装着モジュール180を特定するデータ(以後、モジュール特定データと称する)と共に前記印刷検査制御コンピュータ156のRAMにも記憶させられている。装着モジュール180は、例えば、装着モジュール列14における並び順により特定される。さらに、基準マーク撮像装置200および部品撮像装置202の撮像により得られた撮像データは画像処理コンピュータ274によって処理され、それにより得られたデータは装着制御コンピュータ270へ入力される。
【0036】
装着モジュール列14を構成する8台の装着モジュール180のうち、最上流の装着モジュール180aと印刷検査機12との間および最下流の装着モジュール180bと装着検査機16との間にはそれぞれ、図1に概略的に示すように、作業機間基板搬送装置280,282が設けられている。これら基板搬送装置280,282はそれぞれ、ベルトコンベヤにより構成された基板コンベヤと、基板コンベヤを、回路基板24の搬送方向と直角で水平な方向に移動させるコンベヤ移動装置とを備えたシャトル式の基板搬送装置とされ、作業機間基板搬送装置280は、印刷検査機12の基板搬送装置140から受け取った回路基板24を最上流の装着モジュール180aの基板コンベヤ210,212の一方に渡す。また、作業機間基板搬送装置282は、最下流の装着モジュール180bの基板コンベヤ210,212の一方から回路基板24を受け取って、装着検査機16の基板搬送装置に渡す。
【0037】
前記装着検査機16は前記印刷検査機12と同様に構成されており、装着検査機基板搬送装置,作業ヘッドたる装着検査ヘッド,作業ヘッド移動装置たる装着検査ヘッド移動装置(図示省略)および制御装置290(図1参照)を備え、本実施形態においてはCCDカメラにより構成された装着検査ヘッドが水平面内の任意の位置へ移動させられ、回路基板24に装着された電子回路部品を撮像する。このCCDカメラも、印刷検査ヘッド142を構成するCCDカメラと同様に視野が広いものとされ、回路基板24を複数エリアに分け、各エリア毎に装着された複数の電子回路部品をまとめて撮像し、検査が迅速に行われる。
【0038】
制御装置290は、図1に示すように、装着検査制御コンピュータ292を主体として構成されており、駆動回路(図示省略)を介して、装着検査機基板搬送装置等の駆動源等を制御するとともに、ブザー294を駆動する。また、装着検査ヘッドのCCDカメラの撮像により得られた撮像データは画像処理コンピュータ296によって処理され、それにより得られたデータは装着検査制御コンピュータ292へ供給される。
【0039】
前記リフロー炉18は、リフロー炉基板搬送装置,加熱装置(図示省略)および制御装置310(図1参照)を備えている。リフロー炉基板搬送装置はベルトコンベヤにより構成された基板コンベヤを備え、装着検査機16とリフロー炉18との間に設けられた作業機間基板搬送装置312から回路基板を受け取って搬送する。制御装置310は、リフロー制御コンピュータ314(図1参照)を主体として構成され、リフロー炉基板搬送装置等の駆動源等を制御する。
【0040】
本電子回路製造ラインを構成するはんだ印刷機10,印刷検査機12,装着モジュール列14,装着検査機16,リフロー炉18および作業機間基板搬送装置138,280,282,312は、図1に示す統括制御装置330により統括して制御される。統括制御装置330はホストコンピュータ332を主体として構成され、通信手段の一種である通信ケーブル(図示省略)によって印刷制御コンピュータ134,印刷検査制御コンピュータ156,全部の装着モジュール180の各装着制御コンピュータ270,装着検査制御コンピュータ292およびリフロー制御コンピュータ314に接続されており、データおよび指令等のやり取り等を行う。
【0041】
以上のように構成された電子回路製造ラインにおいては、図示を省略する基板供給装置によってはんだ印刷機10に、はんだが印刷されていない回路基板24が供給され、印刷機基板搬送装置28により搬送されて所定の印刷位置において停止させられる。そして、回路基板24が基板保持装置30により保持された状態で、撮像装置90が撮像装置移動装置92により移動させられてスクリーン22と回路基板24との間へ進入させられ、基準マーク44,48を撮像する。基準マーク44,48の各撮像データは画像処理コンピュータ136により処理され、基準マーク44,48の各画像データに基づいてスクリーン22と回路基板24との相対位置ずれが算出され、印刷制御コンピュータ134へ送られる。相対位置ずれには、X軸方向,Y軸方向およびスクリーン22,回路基板24の軸線まわりの各位置ずれが含まれる。本はんだ印刷機10では、スクリーン22が位置決め装置62により回路基板24に対して水平方向に移動させられて位置ずれが修正され、貫通孔42とパッド46との位置が合わされる。
【0042】
撮像装置90が回路基板24とスクリーン22との間から退避させられた後、基板保持装置30が上昇させられ、回路基板24がスクリーン22に接触させられ、あるいは接触可能な状態とされる。そして、1対のスキージヘッド66のうちの一方が下降させられ、1対のスキージ86のうちの一方がスクリーン22に接触させられつつ、スクリーン22に沿って移動させられ、スクリーン22上に載置されたはんだを移動させつつ貫通孔42内に押し込み、回路基板24のパッド46に付着させる。印刷終了後、スキージヘッド66が上昇させられ、スキージ86がスクリーン22から離間させられるとともに、基板保持装置30が下降させられて回路基板24がスクリーン22から離間させられる。回路基板24は、印刷機基板搬送装置28によりはんだ印刷機10から作業機間基板搬送装置138へ搬送され、作業機間基板搬送装置138から印刷検査機基板搬送装置140へ渡され、印刷検査機12内に搬入される。
【0043】
印刷検査機12においては、印刷検査制御コンピュータ156により図13に示す印刷検査・載置位置決定ルーチンが実行され、ステップ1(以後、S1と略記する。他のステップについても同じ。)の実行により、はんだの印刷が済んだ回路基板24の搬入等が行われる。回路基板24は、予め設定された検査位置において停止させられる。停止後、印刷検査ヘッド142が移動装置144により移動させられ、基準マーク48および二次元コード50が撮像される。そして、撮像データが画像処理コンピュータ160により処理され、基準マーク48の画像データに基づいて回路基板24の位置誤差が算出されるとともに、二次元コード50の画像データに基づいて基板識別コードが読み取られる。位置誤差には、X軸方向およびY軸方向の各位置誤差が含まれる。
【0044】
次いでS2が実行され、パッド46およびはんだの撮像が行われる。本印刷検査機12においては、印刷検査ヘッド142が印刷検査ヘッド移動装置144によって移動させられ、全部のパッド46およびはんだを撮像する。回路基板24のはんだ印刷面は、それぞれ複数のはんだ印刷箇所を含む複数領域に区切られ、各領域毎に撮像される。印刷検査ヘッド142の移動位置は、先に基準マーク48の撮像に基づいて取得された回路基板24の位置ずれが低減するように修正される。
【0045】
そして、画像処理コンピュータ160では撮像により得られたデータが処理され、印刷はんだ情報が作成される。印刷はんだ情報には、例えば、印刷されたはんだの平面視における形状である印刷形状,平面視における面積である印刷面積および印刷位置(印刷形状の中心により規定される)が含まれる。印刷検査制御コンピュータ156ではS3の実行により、印刷はんだ情報が画像処理コンピュータ160から印刷検査制御コンピュータ156に読み込まれ、RAMに設けられた印刷はんだ情報メモリに記憶させられる。印刷はんだ情報メモリは、記憶手段を構成する。以下に説明する別のメモリについても同様である。
【0046】
次いでS4が実行され、回路基板24に設けられた全部のパッド46のうち、電子回路部品の装着が不可能なパッド46があるか否かの判定が行われる。例えば、はんだの塗布量、すなわち印刷量が不足している場合、あるいははんだの印刷位置のパッド46からの外れ量が設定量を超えている場合に電子回路部品の装着が不可能とされる。S4の判定は、印刷はんだ情報に基づいて行われる。本実施形態においては、はんだの平面視における面積(以後、印刷面積と称する)が印刷量とされ、印刷面積が設定量としての設定面積以下であるか否かの判定が行われ、設定面積以下であれば印刷量不足とされる。電子回路部品の装着が可能であるか否かを判定するための設定面積は、本実施形態においては、スクリーン22の貫通孔42の横断面積(貫通孔42の、その中心線に直角な断面の面積であって、スクリーン22に対する平面視における面積)の30%の大きさに設定されている。また、例えば、はんだが全くパッド46にかかっていない場合に外れ量が設定量を超えているとされる。電子回路部品の装着が不可能なパッド46があれば、S4がYESになってS15が実行され、回路基板24が作業機間基板搬送装置280へ搬出される。また、ブザー158が鳴動させられて印刷不良の発生が作業者に報知され、作業者が搬出された回路基板24を取り出すようにされる。
【0047】
電子回路部品の装着が不可能なパッド46がなければ、S4の判定がNOになってS5〜S13が実行され、はんだのリフロー時に立上がりが生じる可能性のある電子回路部品について載置位置の決定が行われる。立上がりは、前記チップ部品56のように、2つの電極の各々が2つのパッド46の各々に接合される電子回路部品において、パッド46に対するはんだの印刷量が不足し、はんだ溶融時に2つの電極に作用する表面張力の大きさが異なることにより生じる。
【0048】
印刷量(本実施形態においては印刷面積)の不足は、例えば、印刷終了後に回路基板24がスクリーン22から離間させられる際に、貫通孔42に充填されたはんだの抜けが悪く、貫通孔42の内側面にはんだが付着して残り、パッド46に印刷されたはんだが欠けることにより生じる。はんだの欠けは、例えば、貫通孔42の内側面の少なくとも一部が、スクリーン22のはんだが載せられる面に対して傾斜し、上向きとなる状態となっている場合、貫通孔42内に充填されたはんだの一部が、傾斜した内側面上に載って貫通孔42内に残る等の原因により生じる。それにより、図11(a)に例示するように、チップ46のスキージ86の移動方向である印刷方向において下流側の部分にははんだ340が印刷されるが、上流側の部分や、印刷方向に平行な側部には印刷されず、印刷量が不足する場合がある。逆に、図12(a)に例示するように、チップ46の印刷方向において下流側の部分および側部にはんだが印刷されない場合もある。図11および図12におけるチップ46およびはんだ340の図示は、平面視における図示である。
【0049】
そして、印刷量が不足し、図11(a)に例示するように、2つのパッド46のうち、一方ははんだが不足なく印刷され、他方は不足して各はんだ340の印刷量が異なれば、図11(b)にチップ部品56を例に取って示すように、部品装着プログラムにおいて設定された装着位置である載置位置(以後、設定載置位置と称する)にチップ部品56が載置された場合、2つの電極58のうち、印刷量の多いはんだ340上に載置された電極58に作用する表面張力の方が、印刷量の少ないはんだ340上に載置された電極58に作用する表面張力より大きく、その電極58がパッド46から離れる向きに引っ張られ、立上がりが生じる恐れがある。図12(a)に例示するように2つのパッド46に対するはんだ印刷量が異なり、チップ部品56が図12(b)に示すように設定載置位置に載置される場合も同様である。
【0050】
そして、一旦、パッド46に印刷されたはんだの量は変えられないが、電子回路部品の載置位置は変えることができ、はんだ上に載置された電極とはんだとの平面視において重なり合う部分の面積(以後、場合によって重複面積と称する)を小さくするほど、電極に作用する表面張力を小さくすることができる。したがって、印刷量が不足しても、2つのパッド46間におけるはんだ印刷量の比率が、2つのパッド46に印刷されたはんだと2つの電極との各重複面積の比率と反比例するように電子回路部品の載置位置を決めれば、2つの電極にそれぞれ作用する表面張力をほぼ等しくし、立上がりを防止することができる。
【0051】
例えば、図11(a)に示すように、2つのパッド46間におけるはんだ印刷量が異なるのであれば、図11(c)に示すように、印刷量が多いはんだに載置される電極は、はんだとの重複面積が少なく、印刷量が少ないはんだに載置される電極は、はんだとの重複面積が多くなるように電子回路部品の載置位置を決定すればよい。また、図12(a)に示す例の場合、図12(c)に示すように、印刷量が多い側のはんだと電極との重複面積が少なくなるように電子回路部品の載置位置をずらすと、印刷量が少ない側のはんだに載置される電極については、はんだとの重複面積も減少する事態も生じ得るが、印刷量が多い側のはんだと電極との重複面積の減少率の方が大きいため、「2つのパッド46間におけるはんだ印刷量の比率が、2つのパッド46に印刷されたはんだと2つの電極との各重複面積の比率と反比例する」という条件が満たされる電子回路部品の載置位置が得られることが多い。さらに、図示は省略するが、2つのパッド46の両方について印刷量が不足するとともに、2つのパッド46間におけるはんだ印刷量が同じであれば、2つのパッド46に印刷されたはんだと2つの電極との重複面積が同じになるように載置位置を決定すればよい。
【0052】
載置位置の決定は、はんだ印刷量の不足によってリフロー時に立上がりの生じる恐れがある電子回路部品について行われる。この載置位置決定部品は電子回路部品の種類によって予め設定されている。チップ部品56がその一例である。載置位置決定部品データは、印刷検査制御コンピュータ156のRAMに設けられた載置位置決定部品メモリに記憶させられている。このデータには、電子回路部品の形状,寸法が含まれ、電極の形状,寸法が得られる。
【0053】
載置位置の決定は、本実施形態においては、8台の装着モジュール180の各々について予め作成されている部品装着プログラム毎に行われる。そのため、S5においては、8つの部品装着プログラムのうちの1つが、例えば、8台の装着モジュール180の並び順に読み出され、その部品装着プログラム中に載置位置決定部品があるか否かの判定が行われる。この判定は、載置位置決定部品データに基づいて行われ、載置位置決定部品がなければ、S5の判定はNOになってS13が実行され、全部の装着モジュール180について載置位置決定のための処理が行われたか否かの判定が行われる。8つの部品装着プログラムが読み出されていなければ、S13の判定はNOになってルーチンの実行はS5に戻り、次の部品装着プログラムについてS5以下のステップが実行される。
【0054】
部品装着プログラム中に載置位置決定部品が含まれていれば、S5の判定がYESになってS6が実行され、部品装着プログラムにおいて設定された装着順に従って、回路基板24に装着される電子回路部品の種類が1つずつ読み出される。そして、S7が実行され、読み出された電子回路部品が載置位置決定部品であるか否かの判定が行われる。この判定は、載置位置決定部品データに基づいて行われる。載置位置決定部品でなければ、載置位置の決定が不要であり、S7の判定がNOになってS10が実行され、1台の装着モジュール180についての載置位置の決定が済んだか否かの判定が行われる。この判定は、部品装着プログラムにおいて回路基板24への装着が決められた全部の電子回路部品が読み出されたか否かにより行われる。1台の装着モジュール180について載置位置の決定が済んでいなければ、S10の判定がNOになってルーチンの実行はS6に戻る。
【0055】
読み出された電子回路部品がチップ部品56であって、載置位置決定部品であれば、S7の判定がYESになってS8が実行され、チップ部品56が設定載置位置に載置されたと想定して、印刷検査制御コンピュータ156の演算上、2つのパッド46に印刷されたはんだ340上にそれぞれ電極58が重ねられ、重複面積(図11に示す例の場合、図11(b)に斜線を施して示す部分の面積、図12に示す例の場合、図12(b)に斜線を施して示す部分の面積)が算出される。はんだ340の形状,寸法および位置は印刷はんだ情報により得られ、電極58の形状,寸法は、載置位置決定部品データにより得られる。
【0056】
次いでS9が実行され、載置位置の決定が行われる。この際、まず、設定載置位置の変更が必要であるか否かが判定される。2つのパッド46のはんだ印刷量にいずれも不足がない場合、あるいは少なくとも一方に不足があっても、S8において算出された2つの重複部分の面積の比率と、2つのパッド46に印刷されたはんだ340の印刷面積の比率とが設定誤差範囲内で反比例するのであれば、リフロー時に2つの電極に作用する表面張力に立上がりを発生させるほどの違いはないため、設定載置位置の変更は不要とされる。
【0057】
印刷量の不足は、S3において取得された印刷量としての印刷面積が設定量としての設定面積より少ないか否かにより検出される。設定量は、2つのパッド46の少なくとも一方のはんだ印刷量の不足により、2つの電極に作用する表面張力の大きさがアンバランスになって、電子回路部品に立上がりが生じる可能性のある場合を判定することができる大きさに設定され、S4において電子回路部品の装着が不可能なパッド46があるか否かの判定を行うために、はんだ印刷量(本実施形態においては印刷面積)が不足しているか否かを判定するための設定量より大きい量に設定される。この観点から、はんだ340の印刷面積は、パッド46にはんだを印刷するためのスクリーン22の貫通孔42の横断面積の60パーセント以上あればよく、80パーセント以上あることが望ましい。このはんだ340の印刷面積の貫通孔42の横断面積に対する割合に基づいて設定面積が設定される。この割合は、はんだの種類や固さ,パッド46や電極58の大きさ等の種々の条件に応じて変えるべき量であるが、本実施形態においては貫通孔42の横断面積の80パーセントの大きさに設定されている。この設定面積は、回路基板24の載置位置決定部品の電極が接合されるパッド46について予め設定され、パッド46の位置と対応付けて、印刷検査制御コンピュータ156のRAMに記憶させられている。また、反比例には、2つの重複部分の面積の比率も、2つのパッド46に印刷されたはんだ340の印刷面積の比率も1の場合が含まれる。
【0058】
図11(b)に示す例の場合、印刷量、本実施形態においては印刷面積が多いはんだ340と電極58との重複面積の方が、印刷面積が少ないはんだ340と電極58との重複面積より大きく、これら2つの重複面積の比率と2つの印刷面積の比率とが設定誤差範囲内で反比例するのではないため、設定載置位置の変更が必要である。変更は、設定載置位置を設定距離、例えば、一定距離ずつ、大きい方の重複面積が小さくなり、小さい方の重複面積が大きくなる方向に変更することにより行われる。変更方向は、S8において取得された2つの重複面積と、S3において取得された2つのはんだの各印刷位置および印刷形状とに基づいて決められ、例えば、X軸方向とY軸方向との一方において一定距離ずつ載置位置を変更し、あるいはX軸方向とY軸方向とに交互に一定距離ずつ変更する等、適宜に決められる。
【0059】
載置位置を変更する毎に、2つのパッド46に印刷されたはんだと2つの電極との重複面積が演算され、2つの重複面積の比率が、2つのパッドに印刷されたはんだの各印刷面積の比率と設定誤差範囲内で反比例するか否かが判定され、反比例する状態が得られる位置が探される。その結果、図11に示すチップ部品56の場合、図11(c)に示すように実際に回路基板24に装着される際の載置位置が決定される。また、図12(b)に示す例の場合も設定載置位置の変更が必要であり、図12(c)に示すように、チップ部品56の実際の載置位置が決定される。
【0060】
2つの重複面積の比率と、2つの印刷面積の比率とが設定誤差範囲内で反比例する位置が得られれば、その位置が載置位置に決定され、電子回路部品の装着順序,部品装着プログラムに付されたモジュール特定データおよびS1において取得された基板識別コードと対応付けて、印刷検査制御コンピュータ156のRAMに設けられた載置位置変更データメモリに記憶させられる。変更された載置位置そのものが記憶させられてもよく、変更量および変更方向が記憶させられてもよい。また、印刷検査制御コンピュータ156のRAMに設けられたフラグFが1にセットされ、設定載置位置が変更されることが表される。そして、S10が実行される。本実施形態においては、設定載置位置の変更が載置位置の決定であり、設定載置位置が変更されない場合、設定載置位置が電子回路部品が実際に載置される位置に決定されると考えることもできる。
【0061】
1つの部品装着プログラム中の全部の電子回路部品が読み出されれば、S10の判定がYESになってS11が実行され、フラグFがセットされているか否か、すなわち設定載置位置が変更されるか否かの判定が行われる。フラグFがセットされていれば、S11の判定がYESになってS12が実行され、設定載置位置がS9において決定された載置位置に変更された部品装着プログラムが作成される。この変更部品装着プログラムは、印刷検査制御コンピュータ156のRAMに記憶させられている部品装着プログラムとは別に作成され、基板識別コードおよびモジュール特定データと対応付けてホストコンピュータ332へ出力される。また、フラグFが0にリセットされる。
【0062】
ホストコンピュータ332へ送られた変更部品装着プログラムは、基板識別コードと共にホストコンピュータ332から、モジュール特定データにより特定された装着モジュール180の装着制御コンピュータ270へ送られる。載置位置の変更が不要であり、変更されない場合、フラグFは0にリセットされたままである。そのため、S11の判定がNOになってS12がスキップされ、変更部品装着プログラムは作成されず、S13が実行される。なお、設定載置位置変更データ(決定された載置位置を規定するデータおよび電子回路部品の装着順を含む。決定載置位置規定データは、決定載置位置である変更載置位置でもよく、設定載置位置の変更量および変更方向でもよい。)が基板識別コードおよびモジュール特定データと共にホストコンピュータ332へ出力され、ホストコンピュータ332から該当する装着モジュール180へ設定載置位置変更データおよび基板識別コードが送られて、電子回路部品の装着時に使用されるようにしてもよい。
【0063】
S13においては、8台の装着モジュール180の全部について載置位置決定のための処理が行われたか否かの判定が行われる。この判定は、8台の装着モジュール180用の部品装着プログラムの全部についてS5〜S12(少なくともS5)が実行されたか否かにより行われ、行われていなければS13の判定がNOになり、ルーチンの実行はS5に戻る。8台分の部品装着プログラムについてS5〜S12(少なくともS5)が実行されたならば、S13の判定がYESになってS14が実行され、回路基板24が印刷検査機12から作業機間基板搬送装置280へ搬出される。
【0064】
電子回路部品の装着が不可能なパッド46がなく、必要に応じて変更部品装着プログラムが作成されて印刷検査機12から搬出された回路基板24は、装着モジュール列14へ搬入されて電子回路部品が装着される。装着モジュール列14を構成する8台の装着モジュール10の各々において図14に示す部品装着ルーチンが実行され、回路基板24への電子回路部品の装着が並行して行われる。部品装着ルーチンのS31の実行により、回路基板24が装着モジュール180へ搬入されるとともに、所定の位置において停止させられ、基板保持装置194によって保持される。そして、基準マーク撮像装置200によって回路基板24の基準マーク48および二次元コード50が撮像され、回路基板24の装着位置の位置誤差が取得されるとともに、基板識別コードが読み取られる。装着位置の位置誤差には、X軸,Y軸方向に平行な方向の各位置誤差および回路基板24に直角な軸線まわりの位置誤差が含まれる。
【0065】
次いでS32が実行され、部品装着プログラムに変更があるか否かが判定される。この判定は、装着制御コンピュータ270のRAMに、S31において読み出された基板識別コードに対応する変更部品装着プログラムがあるか否かにより行われる。変更部品装着プログラムがなければ、S32の判定がNOになってS33が実行され、変更がなく、予め設定された部品装着プログラムに従って電子回路部品の回路基板24への装着が行われる。基板識別コードに対応する変更部品装着プログラムがあり、部品装着プログラムに変更があれば、S32の判定がYESになってS34が実行され、変更部品装着プログラムに従って電子回路部品の回路基板24への装着が行われる。
【0066】
電子回路部品の回路基板24への装着時には、部品装着プログラムに変更がある場合にも、ない場合にも、装着順にデータが読み出され、電子回路部品の部品供給装置196からの取出し(S33a,S34a)、吸着ノズル250により負圧によって吸着され、保持された電子回路部品の部品撮像装置202による撮像(S33b,S34b)および読み出された装着位置への電子回路部品の装着が行われる(S33c,S34c)。装着時には、電子回路部品の撮像により取得された吸着ノズル250による電子回路部品の保持位置誤差および基準マーク48の撮像により取得された装着位置の位置誤差が修正される。保持位置誤差には、X軸,Y軸方向および電子回路部品の軸線まわりの各位置誤差が含まれる。
【0067】
変更部品装着プログラムに従って電子回路部品の装着が行われるとき、設定載置位置が変更された電子回路部品は、変更載置位置に載置される。それにより、図11および図12にそれぞれ例示するように、2つのパッド46の一方についてはんだの印刷量が不足していても、チップ部品56は図11(c)および図12(c)に示すように2つの電極58が2つのはんだ340上に載置されて仮止めされる。部品装着プログラムにおいて設定された全部の電子回路部品が回路基板24に装着されたならば、回路基板24が下流側の装着モジュール180へ搬出される(S33d,S33e,S34d,S34e)。
【0068】
8台の装着モジュール180においてそれぞれ電子回路部品が装着された回路基板24は、作業機間基板搬送装置282へ搬出され、作業機間基板搬送装置282から装着検査機16へ搬入される。装着検査機16では、装着検査ヘッドが移動させられて回路基板24に装着された電子回路部品を撮像し、電子回路部品が装着されていないパッド46がある等、装着不良があれば、作業機間基板搬送装置312へ排出されるとともに、ブザー294によって作業者に報知され、不良な回路基板24が取り出されるようにされる。
【0069】
検査の結果、装着不良がなければ、回路基板24は作業機間基板搬送装置312からリフロー炉18へ搬入される。そして、はんだが加熱され、溶融させられて全部の電子回路部品の各電極がパッドに接合されるが、パッド46に対するはんだの印刷量が不足していても、チップ部品56等、立上がりが生じる恐れのある電子回路部品は、印刷量の不足に基づいて変更された位置に載置されているため、2つの電極58に作用する表面張力の大きさがほぼ同じ大きさになり、立上がりを生じることなく、電極58がパッド46に接合される。
【0070】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、印刷検査ヘッド142のCCDカメラが撮像装置を構成し、画像処理コンピュータ160が画像処理装置を構成し、これらが塗布量検出装置たる印刷量検出装置を構成している。また、印刷検査制御コンピュータ156のS8およびS9を実行する部分が載置位置決定装置たる載置位置変更装置を構成している。さらに、装着制御コンピュータ270のS34cを実行する部分が、電子回路部品を変更された載置位置に載置する決定載置位置載置部たる変更載置位置載置部を構成している。設定載置位置変更データが装着モジュール180へ送られて電子回路部品の装着時に使用される場合、印刷検査制御コンピュータのS8,S9を実行する部分が載置位置変更装置を構成すると考えることもでき、装着制御コンピュータの設定載置位置変更データを使用して設定載置位置を変更する部分が載置位置変更装置を構成すると考えることもでき、両者が載置位置変更装置を構成すると考えることもできる。
【0071】
なお、S9において載置位置の決定を行う際に、パッド46のはんだ印刷量が不足しているか否かの判定を行わず、2つのパッド46に印刷されたはんだ340の各印刷面積の比率が、2つのパッド46に印刷されたはんだ340と、それらはんだ340上にそれぞれ載置された電極58との各平面視における重複部分の面積の比率と設定誤差範囲内で反比例するか否かを判定し、反比例しない場合に載置位置の変更が行われるようにしてもよい。
【0072】
また、塗布量検出装置および載置位置決定装置は、はんだ塗布機あるいは電子回路部品装着機に設けてもよい。はんだ塗布機や電子回路部品装着機に設けられた撮像装置,画像処理コンピュータおよび制御コンピュータを塗布量検出装置および載置位置決定装置として機能させることができる。塗布量検出装置をはんだ塗布機に設け、載置位置決定装置を電子回路部品装着機に設けてもよく、塗布量検出装置を専用機とし、載置位置決定装置を電子回路部品装着機に設けてもよい。
【0073】
さらに、塗布検査機である印刷検査機においてはんだの回路基板への塗布状態である印刷状態の検査が省略され、立上がりが生じる恐れのある電子回路部品の電極が接合されるパッドについてのはんだ塗布量であるはんだ印刷量の検出および載置位置の決定のみが行われるようにしてもよい。
【0074】
さらにまた、回路基板に装着される電子回路部品のうち、立上がりが生じる恐れのある電子回路部品の全部について、その電極が接合されるパッドに対するはんだの塗布量を検出し、載置位置の決定が行われるようにすることは不可欠ではなく、はんだの塗布傾向、すなわちはんだの塗布量不足あるいは塗布量過剰の発生傾向を取得し、塗布量不足あるいは塗布量過剰が発生する確率の高いパッドについてのみ塗布量を検出し、載置位置の決定が行われるようにしてもよい。塗布傾向は、例えば、回路基板へのはんだの塗布を模擬的に行い、塗布量を検出することにより取得される。それに代えて、あるいはそれと共に、電子回路の製造後に回路基板を検査して電子回路部品の立上がりの有無を調べ、立上がりが生じた電子回路部品について、パッドに対するはんだの塗布量の検出および載置位置の決定が行われるようにしてもよい。
【0075】
また、同種の複数枚の回路基板の全部について塗布量の検出および載置位置の決定を行うことは不可欠ではなく、設定枚数毎に、あるいは連続してはんだが塗布される同種の複数枚の回路基板のうちの1枚目について塗布量の検出および載置位置の決定が行われ、決定された載置位置に電子回路部品が載置されるようにするとともに、決定された載置位置が次以降の回路基板について使用されるようにしてもよい。
【0076】
さらに、検査により不良が検出され、以後の作業を行うことが不可能な回路基板は、作業機間に排出装置を設け、自動的に電子回路製造ラインから排出されるようにしてもよく、不良が検出された作業機より下流側の作業機を、作業が行われることなく通過させられて排出されるようにしてもよい。載置位置の決定時に、はんだの塗布量が、電子回路部品を載置するために不足しているか否かを判定する場合も同様である。
【符号の説明】
【0077】
10:はんだ印刷機 18:リフロー炉 24:回路基板 46:パッド 56:チップ部品 58:電極 340:はんだ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子回路部品の両端に形成された2つの電極の各々を、回路基板に形成された2つのパッドの各々にクリーム状はんだにより仮止めし、リフロー炉内において加熱してクリーム状はんだを溶融させることにより、前記2つの電極の各々を前記2つのパッドの各々に接合する際に、前記電子回路部品が前記回路基板から立ち上がることを防止する方法であって、
前記2つのパッドの間における前記クリーム状はんだの塗布量の比率が、前記2つのパッドに塗布されたクリーム状はんだと前記2つの電極との平面視において重なり合う2つの部分の面積の比率と反比例するように、前記電子回路部品の前記回路基板への載置位置を決定し、その決定した載置位置に電子回路部品を載置することを特徴とする電子回路部品の立上がり防止方法。
【請求項2】
前記2つのパッドの間における前記クリーム状はんだの塗布量の比率として、それら2つのパッドにおける前記クリーム状はんだの平面視における面積の比率を使用する請求項1に記載の電子回路部品の立上がり防止方法。
【請求項3】
2つずつのパッドを一対として、一対以上のパッドを含む回路パターンが表面に形成され、前記2つのパッドの各々にクリーム状はんだがそれぞれ塗布された回路基板の、前記2つのパッドの各々に、電子回路部品の一対の電極の各々を前記クリーム状はんだにより仮止めし、その回路基板をリフロー炉内で加熱して前記クリーム状はんだを溶融させ、前記電子回路部品を前記回路基板にはんだ付けして、電子回路を製造する電子回路製造システムであって、
前記2つのパッドの各々に塗布された前記クリーム状はんだの塗布量を検出する塗布量検出装置と、
その塗布量検出装置により検出された塗布量の前記2つのパッドの間における比率が、前記2つのパッドに塗布されたクリーム状はんだと前記電子回路部品の前記2つの電極との2つの重なり部の間の平面視における面積の比率と反比例する状態となる位置を、前記電子回路部品の載置位置として決定する載置位置決定装置と、
その載置位置決定装置により決定された載置位置に前記電子回路部品を載置して、その電子回路部品を前記回路基板に仮止めする部品装着装置と
を含むことを特徴とする電子回路製造システム。
【請求項4】
前記塗布量検出装置が、
前記2つのパッドに塗布されたクリーム状はんだを前記回路基板に直交する方向から撮像する撮像装置と、
その撮像装置により撮像されたクリーム状はんだの画像を画像処理することにより、前記2つのパッドの各々に塗布されたクリーム状はんだの面積を取得する画像処理装置と
を含む請求項3に記載の電子回路製造システム。
【請求項1】
電子回路部品の両端に形成された2つの電極の各々を、回路基板に形成された2つのパッドの各々にクリーム状はんだにより仮止めし、リフロー炉内において加熱してクリーム状はんだを溶融させることにより、前記2つの電極の各々を前記2つのパッドの各々に接合する際に、前記電子回路部品が前記回路基板から立ち上がることを防止する方法であって、
前記2つのパッドの間における前記クリーム状はんだの塗布量の比率が、前記2つのパッドに塗布されたクリーム状はんだと前記2つの電極との平面視において重なり合う2つの部分の面積の比率と反比例するように、前記電子回路部品の前記回路基板への載置位置を決定し、その決定した載置位置に電子回路部品を載置することを特徴とする電子回路部品の立上がり防止方法。
【請求項2】
前記2つのパッドの間における前記クリーム状はんだの塗布量の比率として、それら2つのパッドにおける前記クリーム状はんだの平面視における面積の比率を使用する請求項1に記載の電子回路部品の立上がり防止方法。
【請求項3】
2つずつのパッドを一対として、一対以上のパッドを含む回路パターンが表面に形成され、前記2つのパッドの各々にクリーム状はんだがそれぞれ塗布された回路基板の、前記2つのパッドの各々に、電子回路部品の一対の電極の各々を前記クリーム状はんだにより仮止めし、その回路基板をリフロー炉内で加熱して前記クリーム状はんだを溶融させ、前記電子回路部品を前記回路基板にはんだ付けして、電子回路を製造する電子回路製造システムであって、
前記2つのパッドの各々に塗布された前記クリーム状はんだの塗布量を検出する塗布量検出装置と、
その塗布量検出装置により検出された塗布量の前記2つのパッドの間における比率が、前記2つのパッドに塗布されたクリーム状はんだと前記電子回路部品の前記2つの電極との2つの重なり部の間の平面視における面積の比率と反比例する状態となる位置を、前記電子回路部品の載置位置として決定する載置位置決定装置と、
その載置位置決定装置により決定された載置位置に前記電子回路部品を載置して、その電子回路部品を前記回路基板に仮止めする部品装着装置と
を含むことを特徴とする電子回路製造システム。
【請求項4】
前記塗布量検出装置が、
前記2つのパッドに塗布されたクリーム状はんだを前記回路基板に直交する方向から撮像する撮像装置と、
その撮像装置により撮像されたクリーム状はんだの画像を画像処理することにより、前記2つのパッドの各々に塗布されたクリーム状はんだの面積を取得する画像処理装置と
を含む請求項3に記載の電子回路製造システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−21074(P2013−21074A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152063(P2011−152063)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]