説明

電子機器

【課題】負荷回路に接続されたコネクタに異常が生じたことによる負荷回路の動作異常を検知可能な電子機器を提供する。
【解決手段】異常検出部50は、端子T4の電圧が予め定められた上限値および下限値の間にあるかどうかを検出する。異常検出部50は、端子T4の電圧がその上限値および下限値の間にある場合には、電圧レベルがH(論理ハイ)レベルである信号DETを出力する。一方、異常検出部50は、端子T4の電圧が下限値を下回る場合、あるいは端子T4の電圧が上限値を上回る場合には電圧レベルがL(論理ロー)レベルである信号DETを出力する。端子T3,T4が短絡することにより抵抗45に過電流が流れた場合には抵抗45が損傷する可能性がある。端子T4の電圧が上限値を上回る(端子T4の電圧が電源電圧にほぼ等しくなる)ので、異常検出部50は信号DETの電圧レベルをLレベルに設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関し、特にコネクタにより電源に接続された負荷回路を備える電子機器において、そのコネクタの異常を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の端子を有するコネクタを搭載した電子機器においては、たとえば端子間の短絡、あるいはコネクタとそのコネクタに接続される装置との接続不良等が生じないことが求められる。しかし何らかの理由によりこれらの異常が生じる可能性も考えられる。このため、コネクタの異常が生じた場合にその異常を検出するという技術が従来から提案されている。
【0003】
たとえば特開2000−6736号公報(特許文献1)に記載の異常警告装置は、エアバッグECUとランプ点灯回路とを接続する信号線ハーネスおよびコネクタにおいて、断線あるいはGNDショートが生じた場合に警告灯を点灯させる。
【0004】
特開2000−304799号公報(特許文献2)に記載の配線診断装置は、診断対象の配線に電圧を印加し、その配線の電圧と所定値に保たれた基準電圧とを比較して比較結果を出力する。さらにこの配線診断装置は、診断対象の配線に印加された電圧と、その所定値と異なる基準電圧とを比較して比較結果を出力する。2つの比較結果の各々から診断対象の配線の状態を判定することができるので、診断対象の配線における短絡の有無、あるいは抵抗値の異常の有無を診断することが可能になる。
【0005】
実開平6−30781号公報(特許文献3)に記載の故障検知回路は、コントロールユニットとパワーユニットとの間の結線が接地に短絡した場合、あるいはその結線の断線(が生じた場合に、故障信号出力トランジスタQ3をオフする。これによりトランジスタQ3はH(ハイ)レベルの故障検知信号を出力する。
【特許文献1】特開2000−6736号公報
【特許文献2】特開2000−304799号公報
【特許文献3】実開平6−30781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1〜3に開示される技術は、コネクタの端子が電気的に開放された状態あるいは、結線が接地へ短絡したことによる異常を検出するためのものである。たとえば、コネクタが負荷回路の正極端子および負極端子に接続されているものとする。そのコネクタにおいて負荷回路の正極端子に接続される第1の端子には、所定の電源電圧が与えられ、負荷回路の負極端子に接続される第2の端子と接地ノードとの間には素子(たとえば抵抗)が接続されているものとする。第1の端子と第2の端子とが絶縁されていれば、負荷回路の内部に適切な大きさの動作電流が流れるため負荷回路が動作する。
【0007】
しかしながら、たとえば製造時の不良(はんだの付着等)により第1の端子と第2の端子とが短絡した場合には、その抵抗に過剰な電流が流れることにより抵抗が損傷することが起こり得る。この場合、第2の端子は電気的に開放された状態となる。したがってコネクタに負荷回路が接続されても、その負荷回路は動作しなくなる。上記特許文献1〜3のいずれにも、このような異常を検出できることは示されていない。
【0008】
それゆえに、本発明の目的は、負荷回路に接続されたコネクタに異常が生じたことによる負荷回路の動作異常を検出可能な電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は要約すれば電子機器であって、ファンと、コネクタと、抵抗と、電圧検出回路と、判定回路とを備える。ファンは、第1および第2の端子を含み、かつ、第1および第2の端子の間に所定範囲内の電圧が印加された場合に動作する。コネクタは、所定の電源電圧が与えられ、かつ第1の端子に接続されるための第3の端子と、第2の端子に接続されるための第4の端子とを含み、第1および第2の端子に着脱可能である。抵抗は、第4の端子と接地ノードとの間に設けられ、かつ第1および第2の端子が第3および第4の端子にそれぞれ接続された場合に電源電圧および第4の端子の電圧である端子電圧の差が所定範囲内となるように端子電圧を定める。電圧検出回路は、端子電圧を監視して、電源電圧および所定範囲に基づき定まる端子電圧の上限値および下限値の間に端子電圧がある場合には、出力信号の電圧レベルを第1のレベルに設定し、端子電圧が下限値を下回った場合、および、端子電圧が上限値を上回った場合のいずれかの場合には、電圧レベルを第2のレベルに設定する。判定回路は、電圧レベルが第1のレベルである場合にファンの動作が正常であると判定し、電圧レベルが第2のレベルである場合にファンの動作が異常であると判定する。電圧検出回路は、第1の比較回路と、第2の比較回路とを含む。第1の比較回路は、端子電圧の値と下限値とを比較して、端子電圧の値が下限値を上回る場合に、電圧レベルが第1のレベルである出力信号を出力し、端子電圧の値が下限値を下回る場合に、電圧レベルが第2のレベルである出力信号を出力する。第2の比較回路は、端子電圧の値と上限値とを比較して、端子電圧の値が上限値を下回る場合に、電圧レベルが第1のレベルである出力信号を出力し、端子電圧の値が上限値を上回る場合に、電圧レベルが第2のレベルである出力信号を出力する。
【0010】
本発明の他の局面に従うと、電子機器であって、負荷回路と、コネクタと、抵抗と、電圧検出回路と、判定回路とを備える。負荷回路は、第1および第2の端子を含み、かつ、第1および第2の端子の間に所定範囲内の電圧が印加された場合に動作する。コネクタは、所定の電源電圧が与えられ、かつ第1の端子に接続されるための第3の端子と、第2の端子に接続されるための第4の端子とを含み、第1および第2の端子に着脱可能である。抵抗は、第4の端子と接地ノードとの間に設けられ、かつ第1および第2の端子が第3および第4の端子にそれぞれ接続された場合に電源電圧および第4の端子の電圧である端子電圧の差が所定範囲内となるように端子電圧を定める。電圧検出回路は、端子電圧を監視して、電源電圧および所定範囲に基づき定まる端子電圧の上限値および下限値の間に端子電圧がある場合には、出力信号の電圧レベルを第1のレベルに設定し、端子電圧が下限値を下回った場合、および、端子電圧が上限値を上回った場合のいずれかの場合には、電圧レベルを第2のレベルに設定する。判定回路は、電圧レベルが第1のレベルである場合に負荷回路の動作が正常であると判定し、電圧レベルが第2のレベルである場合に負荷回路の動作が異常であると判定する。
【0011】
好ましくは、電圧検出回路は、第1の比較回路と、第2の比較回路とを含む。第1の比較回路は、端子電圧の値と下限値とを比較して、端子電圧の値が下限値を上回る場合に、電圧レベルが第1のレベルである出力信号を出力し、端子電圧の値が下限値を下回る場合に、電圧レベルが第2のレベルである出力信号を出力する。第2の比較回路は、端子電圧の値と上限値とを比較して、端子電圧の値が上限値を下回る場合に、電圧レベルが第1のレベルである出力信号を出力し、端子電圧の値が上限値を上回る場合に、電圧レベルが第2のレベルである出力信号を出力する。
【0012】
より好ましくは、負荷回路は、電子機器の内部を冷却するためのファンである。
さらに好ましくは、電子機器は、プロジェクタである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、負荷回路に接続されたコネクタに異常が生じたことによる負荷回路の動作異常を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では本実施形態に係る電子機器の具体例としてプロジェクタを示す。
【0015】
また、以下に示す電圧値等の数値は本実施の形態を説明するためのものであって本実施の形態を限定するものではない。
【0016】
図1は、本実施形態に係る電子機器の一例であるプロジェクタの構成を表わす図である。図1を参照して、プロジェクタ100は、メインボード10と、光源20と、投光ユニット30と、ファン40と、コネクタ44と、抵抗45と、電源回路46と、異常検出部50と、表示部60と、操作部70とを備える。
【0017】
メインボード10は、A/D変換部11と、画像処理部12と、CPU13(Central Processing Unit)と、メモリ14とを含む。
【0018】
操作部70は、ユーザによるプロジェクタ100の操作(たとえばプロジェクタへの電源投入、プロジェクタへの電源供給の停止等)が行なわれると、その操作内容を示す情報をCPU13に出力する。CPU13はその情報に応じた処理を行なう。
【0019】
A/D変換部11は、外部から入力されるアナログの映像信号(たとえばビデオ信号またはパーソナルコンピュータからの信号等)をデジタル化する。画像処理部12は、A/D変換部11から出力されるデジタル化されたデータからスクリーンの大きさに合わせた画像(すなわちビデオまたはパーソナルコンピュータの画像)を生成する。
【0020】
メモリ14は、たとえばCPU13の処理に必要なデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)であってもよいし、CPU13に処理を実行させるためのプログラムを不揮発的に記憶するROM(Read Only Memory)であってもよい。
【0021】
光源20から出力された光は、投光ユニット30に送られる。投光ユニット30は、画像処理部12から出力される画像に従って光源20から出力される光を空間的に変調し、前方に配置されたスクリーンに投射する。投光ユニット30は、具体的には、DMD31(Digital Mirror Device)および投射レンズ32を含む。DMD31は、個別に制御される複数のマイクロミラーを備える。
【0022】
各マイクロミラーは1画素に相当する。マイクロミラーは、オンのときには光源20からの光を外部に反射し、オフのときには光源20からの光を外部に反射しない。
【0023】
ファン40はプロジェクタ100の内部を空冷する。多くの場合、プロジェクタ100の内部温度が上昇する主原因は光源が発する熱によるものである。よってファン40は光源20、および投光ユニット30、ならびにそれらの周辺部に空気を送ることによりこれらを冷却する。なおファン40が動作することによりプロジェクタ100の内部には吸気口(図示せず)から空気が導入される。また、排気口(図示せず)からプロジェクタ100の外部に空気が排出される。
【0024】
ファン40は、フィン41と、モータ42と、コネクタ43とを含む。コネクタ43は端子T1,T2を有する。モータ42は具体的にはDCモータであり、所定範囲の直流電圧がモータ42(言い換えると端子T1,T2間)に印加された場合に動作する。モータ42が動作するとその回転軸に取り付けられたフィン41が回転する。これにより空気の流れが生じる。
【0025】
端子T1,T2は、コネクタ44に含まれる端子T3,T4に接続される。なおコネクタ44は端子T1,T2に着脱可能である。
【0026】
電源回路46は所定の電源電圧(DC12V)を出力する。端子T3は、電源回路46に接続されることによって、その電源電圧が与えられる。
【0027】
抵抗45は、端子T4と接地ノードとの間に接続される。抵抗45の抵抗値は、モータ42から抵抗45に流れる電流に基づいて設定される。より具体的には、抵抗45の抵抗値は、端子T1,T2が端子T3,T4にそれぞれ接続された場合において端子T1,T2の間の電圧がモータ42の動作電圧範囲(すなわち上述の所定範囲の直流電圧)となるように設定される。
【0028】
異常検出部50は、端子T4の電圧を監視する。異常検出部50は、端子T4の電圧が、予め定められた上限値および下限値の間にあるかどうかを検出する。この上限値および下限値は、電源電圧(DC12V)および、モータ42の動作電圧範囲に基づき定められる。以下では端子T4の電圧の上限値および下限値をそれぞれ0.3Vおよび0.03Vとするが、上限値および下限値はこれらの値に限られるものではない。
【0029】
異常検出部50は、端子T4の電圧がその上限値および下限値の間にある場合には、電圧レベルがH(論理ハイ)レベルである信号DETを出力する。一方、異常検出部50は、端子T4の電圧が下限値(0.03V)を下回る場合、あるいは端子T4の電圧が上限値(0.3V)を上回る場合には電圧レベルがL(論理ロー)レベルである信号DETを出力する。ここでHレベルおよびLレベルとは信号DETの電圧値が所定のしきい値よりも高い状態および低い状態をそれぞれ意味するものとする。
【0030】
ファン40が正常に動作している場合には、端子T3,T4間(すなわち端子T1,T2間)の電圧がモータ42の動作電圧範囲内になるため、端子T4の電圧も上限値および下限値の間になる。よって信号DETの電圧レベルはHレベルとなる。よってCPU13は信号DETの電圧レベルがHレベルであればファン40が正常に動作していると判定する。
【0031】
一方、(1)端子T1,T2の少なくとも一方がコネクタ43から外れた場合、(2)端子T4がグランドと短絡した場合の両方の場合には、端子T4の電圧が下限値(0.03V)を下回る。この場合には信号DETの電圧レベルはLレベルとなる。
【0032】
さらに、(3)端子T3,T4が短絡した場合、抵抗45に流れる電流により抵抗45が損傷する可能性がある。抵抗45が損傷することにより端子T4と接地ノードとの間がオープンとなる。この場合にも端子T4の電圧が上限値(0.3V)を上回る(端子T4の電圧が電源電圧にほぼ等しくなる)。よって異常検出部50は信号DETの電圧レベルをLレベルに設定する。
【0033】
CPU13は、信号DETを受ける。CPU13は信号DETの電圧レベルがLレベルである場合にはファン40の動作が異常であると判定する。CPU13はファン40の動作が異常であると判定した場合に、異常が生じたことを表示させるための信号を表示部60に送る。
【0034】
表示部60は、点灯回路61およびLED62(発光ダイオード)を含む。点灯回路61はCPU13からの信号に応じてLED62を点灯させる。点灯回路61は、この信号を受けていない場合にはLED62を点灯させない。
【0035】
このように本実施の形態によれば抵抗45の損傷を検出することができる。さらに、本実施の形態によれば、上述の(1)〜(3)に示したコネクタ44の異常(すなわちファン40の動作の異常)を短時間で検出することができる。
【0036】
たとえば投光ユニット30の周辺の雰囲気温度を検出するための温度センサを設け、かつ、CPU13がその温度センサの検出結果に基づいてコネクタ44の異常を検出するという方法も考えられる。しかし、この方法によればCPU13はコネクタ44の異常を間接的にしか検出できないので、コネクタ44の異常をすぐに検出できない。
【0037】
より詳細に説明すると、ファン40が停止した場合には光源20および投光ユニット30の周辺の空気の温度が上昇するがその上昇速度は比較的緩やかである。よって、CPU13が温度センサの検出結果に基づきコネクタ44の異常を検出する場合には、CPU13はコネクタ44の異常をすぐに検出できない。
【0038】
これに対し、本実施の形態ではCPU13は端子T4の電圧に基づいてコネクタ44の異常を検出する。すなわちCPU13はコネクタ44の異常を直接的に検出する。これによりコネクタ44の異常検出に要する時間を短くすることができる。
【0039】
さらに、モータ42の異常によりモータ42に電流が流れなくなった場合にも端子T4の電圧が下限値(0.03V)を下回る。この場合にも、信号DETの電圧レベルはLレベルとなる。
【0040】
すなわち、本実施の形態によれば、コネクタ44の異常を検出することにより生じるファン40の動作の異常を検出することができる。
【0041】
また、本実施の形態によれば、コネクタ44が正常であっても、モータ42に異常が生じた場合に、その異常を検出することができる。よって、本実施の形態によればファン40自体に異常が生じた場合にもその異常を検出できる。
【0042】
図2は、異常検出部50の構成を示す回路図である。図2を参照して、異常検出部50は比較回路51,52と、抵抗R1〜R6と、キャパシタC1,C2とを含む。
【0043】
電源回路46は、コネクタ44の端子T3にDC12Vの直流電圧を印加する。コネクタ43の端子T1,T2が端子T3,T4に接続されると、電源回路46と接地ノードとの間にはモータ42および抵抗45が直列に接続される。これによりモータ42に電流が流れるためモータ42が動作する。端子T4の電圧V3は、抵抗45の抵抗値(1Ω)および抵抗45に流れる電流により定まる。この電圧V3が下限値(0.03V)および上限値(0.3V)の間にある場合にモータ42が動作する。
【0044】
抵抗R1,R2は、端子T4の電圧V3の下限値を生成するための分圧回路である。抵抗R1,R2は電源ラインPLと接地ノードとの間に直列に接続される。電源ラインPLの電圧は、3.3Vであり、抵抗R1,R2の抵抗値はそれぞれ10kΩおよび0.1kΩである。これにより抵抗R1,R2の接続点に生じる電圧V1の電圧値は約0.03Vとなる。
【0045】
抵抗R3,R4は、端子T4の電圧の上限値を生成するための分圧回路である。抵抗R3,R4は電源ラインPLと接地ノードとの間に直列に接続される。抵抗R3,R4の抵抗値はそれぞれ10(kΩ)および1(kΩ)である。これにより抵抗R3,R4の接続点において生じる電圧V2の電圧値が0.3Vとなる。
【0046】
抵抗R6の一方端は端子T4に接続される。キャパシタC2は抵抗R6の他方端および接地ノードの間に接続される。
【0047】
比較回路51は、端子T4の電圧である電圧V3と、電圧V1とを比較する。比較回路51の非反転入力端子(「+」と示される端子)は抵抗R6の他方端に接続されることにより電圧V3を受ける。比較回路51の反転入力端子(「−」と示される端子)は、抵抗R1,R2の接続点に接続されることにより電圧V1を受ける。比較回路51の出力端子は信号ラインSGLに接続される。
【0048】
比較回路51は、電圧V3が電圧V1よりも大きい場合にはその電圧レベルがHレベルである信号DETを信号ラインSGLに出力する。一方、比較回路51は、電圧V3が電圧V1よりも小さい場合にはその電圧レベルがLレベルである信号DETを信号ラインSGLに出力する。
【0049】
比較回路52は、電圧V3と電圧V2とを比較する。比較回路52の非反転入力端子は、抵抗R3,R4の接続点に接続されることにより電圧V2を受ける。比較回路52の反転入力端子は抵抗R6の他方端に接続されることにより電圧V3を受ける。比較回路52の出力端子は信号ラインSGLに接続される。
【0050】
比較回路52は、電圧V3が電圧V2よりも小さい場合にはその電圧レベルがHレベルである信号DETを信号ラインSGLに出力する。一方、比較回路52は、電圧V3が電圧V2よりも大きい場合にはその電圧レベルがLレベルである信号DETを信号ラインSGLに出力する。
【0051】
CPU13は、信号ラインSGLを介して比較回路51(または52)から出力される信号DETを受ける。本実施の形態では比較回路51からの信号が伝送される経路と比較回路52からの信号が伝送される経路とが共通化される。これによりCPU13の端子(ピン)の数を増やさなくてもよくなる。これによりCPU13のピンに接続される配線の配置が複雑になるのを防ぐことができるとともに回路面積の縮小化を図ることができる。
【0052】
抵抗R5およびキャパシタC1は、電源ラインPLおよび接地ノードの間に直列に接続される。抵抗R5およびキャパシタC1の接続点には信号ラインSGLが接続される。比較回路51(または52)からのHレベルの信号DETが出力される場合、信号DETの電圧は電源ラインPLの電圧とほぼ等しくなる。これにより、CPU13が信号DETのレベルをより確実に判定することが可能になる。なお、比較回路51,52の各々の電源端子は電源ラインPLに接続される。
【0053】
図3〜図5は、図2に示す異常検出部50の動作を説明するための図である。
図3は、電圧V3が電圧V1と電圧V2との間にある状態を示す図である。
【0054】
図4は、電圧V3が電圧V1よりも低い電圧に低下した状態を示す図である。
図5は、電圧V3が電圧V2よりも高い電圧に上昇した状態を示す図である。
【0055】
図3〜図5を参照して、電圧V3が0.1Vである場合には、電圧V3は電圧V1(0.03V)より高く、かつ、電圧V2(0.3V)よりも低い。この場合、信号DETの電圧値は電源ラインPLの電圧(3.3V)と等しくなるので、予め定められたしきい値Vth(たとえば3.3/2=1.65V)より大きくなる。すなわち信号DETの電圧レベルがHレベルとなる。
【0056】
一方、電圧V3が電圧V1よりも低い場合(たとえば電圧V3の値が0の場合)、および電圧V3が電圧V2よりも高い場合(電圧V3が12Vの場合)には信号DETの電圧値は、しきい値Vthより低い値(たとえば0)となる。すなわち信号DETの電圧レベルはLレベルである。
【0057】
図6は、図1のCPU13による異常検出処理を示すフローチャートである。図6および図1を参照して、プロジェクタ100への電源投入により本処理が開始される。まずCPU13は信号DETの電圧レベルがHレベルか否かを判定する(ステップS1)。CPU13は、信号DETの電圧レベルがHレベルであると判定すると(ステップS1においてYES)、点灯回路61に対してLED62を点灯させるよう指示する。点灯回路61はCPU13の指示に応じてLED62を点灯させる(ステップS2)。LED62が点灯すると、全体の処理はステップS1に戻される。
【0058】
一方、CPU13は信号DETの電圧レベルがHレベルでない(すなわちLレベルである)と判定すると(ステップS1においてNO)、LED62を点灯させない。この場合にも全体の処理はステップS1に戻される。
【0059】
以上のように、本実施の形態によれば、コネクタの異常(ファン40からコネクタ44が外れた場合、抵抗を介して接地された端子と電源端子との短絡により抵抗が損傷した場合等)を検出できるので、ファンの動作異常を検出できる。さらに、本実施の形態によれば、ファン自体の異常も検出することができる。
【0060】
なお、本実施形態のプロジェクタでは、光を空間的に変調する素子としてDMDを用いたが、これに限定するものではなく、液晶パネルであってもよい。
【0061】
また、電子機器の中には、プロジェクタ以外にも、2つの端子の間に所定範囲内の電圧が印加された場合に動作するファンを搭載するものがある。このような電子機器として、たとえばパーソナルコンピュータやDVDレコーダ等を挙げることができる。その2つの端子に接続されるコネクタが、ファンの2つの端子の一方に電源電圧を供給するための端子と、ファンの2つの端子の他方に接続されるとともに抵抗を介して接地される端子とを備えていれば本発明が適用可能である。
【0062】
さらに、コネクタに接続される装置はファンに限定されるものではなく、2つの端子の間に所定範囲内の電圧が印加された場合に動作する負荷回路であればよい。このような負荷回路としては、たとえばLEDを挙げることができる。
【0063】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本実施形態に係る電子機器の一例であるプロジェクタの構成を表わす図である。
【図2】異常検出部50の構成を示す回路図である。
【図3】電圧V3が電圧V1と電圧V2との間にある状態を示す図である。
【図4】電圧V3が電圧V1よりも低い電圧に低下した状態を示す図である。
【図5】電圧V3が電圧V2よりも高い電圧に上昇した状態を示す図である。
【図6】図1のCPU13による異常検出処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
10 メインボード、11 A/D変換部、12 画像処理部、13 CPU、14 メモリ、20 光源、30 投光ユニット、31 DMD、32 投射レンズ、40 ファン、41 フィン、42 モータ、43 コネクタ、44 コネクタ、45 抵抗、46 電源回路、50 異常検出部、51,52 比較回路、60 表示部、61 点灯回路、62 LED、70 操作部、100 プロジェクタ、C1,C2 キャパシタ、PL 電源ライン、R1〜R6 抵抗、SGL 信号ライン、T1〜T4 端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の端子を含み、かつ、前記第1および第2の端子の間に所定範囲内の電圧が印加された場合に動作するファンと、
所定の電源電圧が与えられ、かつ前記第1の端子に接続されるための第3の端子と、前記第2の端子に接続されるための第4の端子とを含み、前記第1および第2の端子に着脱可能なコネクタと、
前記第4の端子と接地ノードとの間に設けられ、かつ前記第1および第2の端子が前記第3および第4の端子にそれぞれ接続された場合に前記電源電圧および前記第4の端子の電圧である端子電圧の差が前記所定範囲内となるように前記端子電圧を定めるための抵抗と、
前記端子電圧を監視して、前記電源電圧および前記所定範囲に基づき定まる前記端子電圧の上限値および下限値の間に前記端子電圧がある場合には、出力信号の電圧レベルを第1のレベルに設定し、前記端子電圧が前記下限値を下回った場合、および、前記端子電圧が前記上限値を上回った場合のいずれかの場合には、前記電圧レベルを第2のレベルに設定する電圧検出回路と、
前記電圧レベルが前記第1のレベルである場合に前記ファンの動作が正常であると判定し、前記電圧レベルが前記第2のレベルである場合に前記ファンの動作が異常であると判定する判定回路とを備え、
前記電圧検出回路は、
前記端子電圧の値と前記下限値とを比較して、前記端子電圧の値が前記下限値を上回る場合に、前記電圧レベルが前記第1のレベルである前記出力信号を出力し、前記端子電圧の値が前記下限値を下回る場合に、前記電圧レベルが前記第2のレベルである前記出力信号を出力する第1の比較回路と、
前記端子電圧の値と前記上限値とを比較して、前記端子電圧の値が前記上限値を下回る場合に、前記電圧レベルが前記第1のレベルである前記出力信号を出力し、前記端子電圧の値が前記上限値を上回る場合に、前記電圧レベルが前記第2のレベルである前記出力信号を出力する第2の比較回路とを含む、電子機器。
【請求項2】
第1および第2の端子を含み、かつ、前記第1および第2の端子の間に所定範囲内の電圧が印加された場合に動作する負荷回路と、
所定の電源電圧が与えられ、かつ前記第1の端子に接続されるための第3の端子と、前記第2の端子に接続されるための第4の端子とを含み、前記第1および第2の端子に着脱可能なコネクタと、
前記第4の端子と接地ノードとの間に設けられ、かつ前記第1および第2の端子が前記第3および第4の端子にそれぞれ接続された場合に前記電源電圧および前記第4の端子の電圧である端子電圧の差が前記所定範囲内となるように前記端子電圧を定めるための抵抗と、
前記端子電圧を監視して、前記電源電圧および前記所定範囲に基づき定まる前記端子電圧の上限値および下限値の間に前記端子電圧がある場合には、出力信号の電圧レベルを第1のレベルに設定し、前記端子電圧が前記下限値を下回った場合、および、前記端子電圧が前記上限値を上回った場合のいずれかの場合には、前記電圧レベルを第2のレベルに設定する電圧検出回路と、
前記電圧レベルが前記第1のレベルである場合に前記負荷回路の動作が正常であると判定し、前記電圧レベルが前記第2のレベルである場合に前記負荷回路の動作が異常であると判定する判定回路とを備える、電子機器。
【請求項3】
前記電圧検出回路は、
前記端子電圧の値と前記下限値とを比較して、前記端子電圧の値が前記下限値を上回る場合に、前記電圧レベルが前記第1のレベルである前記出力信号を出力し、前記端子電圧の値が前記下限値を下回る場合に、前記電圧レベルが前記第2のレベルである前記出力信号を出力する第1の比較回路と、
前記端子電圧の値と前記上限値とを比較して、前記端子電圧の値が前記上限値を下回る場合に、前記電圧レベルが前記第1のレベルである前記出力信号を出力し、前記端子電圧の値が前記上限値を上回る場合に、前記電圧レベルが前記第2のレベルである前記出力信号を出力する第2の比較回路とを含む、請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記負荷回路は、前記電子機器の内部を冷却するためのファンである、請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記電子機器は、プロジェクタである、請求項4に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−304393(P2008−304393A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−153116(P2007−153116)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】