説明

電子機器

【課題】精度よく異常電流を検出し、適確に発生した障害に対処することができる電子機器を得る。
【解決手段】バッテリ11と、溶断電流値が所定の電流値であるヒューズ14と、前記バッテリ11の出力端子と前記ヒューズ14との間に接続する電流検出抵抗13と、前記電流検出抵抗13および前記ヒューズ14を介して電源電流が入力される電子回路と、前記電流検出抵抗13によって検出された電流が、前記電子回路が正常に動作しているときの正常電流値か否かを判断する制御部2とを備え、前記制御部2は、前記電流検出抵抗13において検出された電流量が正常電流値以上で且つ前記所定の電流値以下のとき、前記電子回路の負荷を、前記電流検出抵抗13において検出される電流量が前記所定の電流値以上となるよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源電流を監視し、当該電流によって動作する装置の異常を検出する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、市場に流通している携帯電話機に代表される電子機器には、様々なデバイスが搭載されている。上記のような電子機器においては、複数の電源電流供給ラインを有しており、各電源電流供給ラインを用いて上記のデバイスを含む負荷回路を動作させている。電源電流供給ラインに接続される各負荷回路を動作させるとき、いずれかの負荷回路等において不具合が生じると、他の正常な部分を保護すべく電源供給を遮断する機能を備える場合がある。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されている電子機器は、FANモータとSCANモータの電源電流供給ラインにヒューズを備え、いずれかのモータに異常が発生したとき、上記のヒューズが溶断して、当該モータの電源電流供給ラインを遮断し、他の回路への影響を防いでいる。
【0004】
【特許文献1】特開2007−151262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電流ヒューズは、正常に動作している回路の消費電流よりも大きな定格を有するものを使用している。そのため、例えばFANモータなどの負荷回路にパーシャルショートなどが発生し、ヒューズが溶断しない程度の異常電流が流れた場合には、異常が発生した負荷回路の電源電流供給ラインを遮断することができないという問題点があった。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、精度よく異常電流を検出し、適確に発生した障害に対処することができる電子機器を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点による電子機器は、電源部と、溶断電流値が所定の電流値であるヒューズと、前記電源部の出力端子と前記ヒューズとの間に接続する電流検出部と、前記電流検出部および前記ヒューズを介して電源電流が入力される電子回路と、前記電流検出部によって検出された電流が、前記電子回路が正常に動作しているときの正常電流値か否かを判断する制御部とを備え、前記制御部は、前記電流検出部において検出された電流量が正常電流値以上で且つ前記所定の電流値以下のとき、前記電子回路の負荷を、前記電流検出部において検出される電流量が前記所定の電流値以上となるよう制御する。
【0008】
好適には、前記電子部品は、外部へ報知する機能を有し、前記制御部は、前記電子部品の報知の度合を大きくする制御を行って該電子部品の消費電流を増大させる。
【0009】
好適には、前記電子部品は、表示動作を行うLEDドライバを含む。
【0010】
好適には、前記電子部品は、所定の音声出力を行うスピーカを含む。
【0011】
好適には、前記電子部品は、一端が接地されたスイッチ素子を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、実装スペースおよびコストを抑制して精度よく異常電流を検出し、確実にヒューズを溶断させて電源電流供給ラインを遮断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
<実施形態>
図1は、本発明の実施形態による電子機器の構成を示すブロック図である。この図は、電子機器の一例である携帯電話機1の構成を示している。携帯電話機1は、制御部2、操作部3、通信部4、音源IC5a、スピーカ5b、記憶部6、表示部7、バッテリ(電源部)11、電源回路12a,12b、電流検出抵抗(電流検出部)13、ヒューズ14、電流アンプ15、IrDA近距離通信部16等によって構成されている。
なお、図中の実線によるブロック間の結線は制御信号ラインを示し、図中の破線による結線は電流供給ラインを示す。
【0014】
制御部2は、携帯電話機1の各部の動作制御を司るプロセッサ等から成る。
操作部3は、複数のキースイッチやスライドスイッチなどからなり、ユーザの操作内容を示す信号を制御部2へ入力するように構成されている。
通信部4は、制御部2の制御に応じて、携帯電話機1の外部と無線通信を行うように構成されている。
【0015】
音源IC5aは、制御部2の制御に応じて所定の音声等を示す信号を生成するように構成されており、当該生成した音声信号等をスピーカ5bへ出力し、可聴音もしくは音声を出力するように接続構成されている。
記憶部6は、制御部2が用いる制御用プログラム、ユーザによって設定された動作モード等を示すデータ、携帯電話機1の使用履歴を示すデータ、メール等の文章を示すデータ、映像データ、また、電流検出の処理に用いるデータなどを記憶しているメモリである。
【0016】
表示部7は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示装置であり、制御部2の制御に応じて文字や画像などを表示するように構成されている。
バッテリ11は、充電式の二次電池であり、例えば高電位側の出力端子に電流検出抵抗13の一端を接続させている。
電源回路12a,12bは、各々複数の電圧を出力するように構成されており、リニアレギュレータ(以下、LDOと記載する)やDC/DCコンバータを備えている。
【0017】
電流検出抵抗13は、例えば23.5[mΩ]の抵抗値を有し、前述のように一端をバッテリ11に接続するとともに、他端を電源回路12a,12bの各入力端子に接続している。なお、上記の電源回路12bの入力端子には、流れる電流が所定の電流値以上になると溶断するヒューズ14を介して接続されている。
【0018】
電流アンプ15は、電流検出抵抗13の両端電圧を入力し、この電圧値を増幅して、バッテリ11から出力される電源電流値を示す信号を制御部2へ出力するように構成されている。
IrDA近距離通信部16は、携帯電話機1の近傍に位置する他の装置と、制御部2の制御に応じて、赤外線を用いたデータの送受を行うように構成されている。
【0019】
また、携帯電話機1は、図示を省略した音声入出力部を備えており、例えば、スピーカやマイクロホンなどを備え、ユーザの通話音声等を示す信号を制御部2へ入力するとともに、制御部2の制御に応じた通話音声等を出力するように構成されている。なお、上記の通話音声等を示す信号は、制御部2の制御により、通信部4が外部と無線通信を行うときに処理される。
【0020】
電源回路12aは、例えば、操作部3へ出力電圧を供給するLDO31、通信部4へ出力電圧を供給するLDO32、音源IC5aへ出力電圧を供給するDC/DCコンバータ33、制御部2へ出力電圧を供給するDC/DCコンバータ34等を備えている。
また、DC/DCコンバータ34は、出力電圧をLDO35へ供給するように接続されている。LDO35は、記憶部6へ出力電圧を供給するように接続されている。
【0021】
電源回路12bは、例えば、DC/DCコンバータ36を備えており、前述のように電流検出抵抗13およびヒューズ14を介してバッテリ11の出力電圧を入力するように接続されている。DC/DCコンバータ36は、出力電圧を表示部7へ供給する。
なお、IrDA近距離通信部16には、電流検出抵抗13およびヒューズ14を介してバッテリ11の電源電圧が供給される。
【0022】
図1に例示した携帯電話機1は、表示側筺体20と操作側筺体21とを備え、これらの筺体の一端部をヒンジ部22によって接続し、表示側筺体20と操作側筺体21が開閉可能なように構成されている。
【0023】
表示側筺体20には、例えば、表示部7、電源回路12b、IrDA近距離通信部16などが配設されている。
操作側筺体21には、例えば、制御部2、操作部3、通信部4、音源IC5a、スピーカ5b、記憶部6、バッテリ11、電源回路12a、電流検出抵抗13、ヒューズ14、電流アンプ15、LDO35などが配設されている。
なお、前述のヒューズ14は、表示側筺体20に配設されている表示部7、IrDA近距離通信部16などの負荷回路や電源電流供給ラインに異常が発生し、この異常発生個所に流れる電流が増大することによって溶断する定格を有している。
【0024】
図2は、本実施形態による携帯電話機の他の電源接続例を示す説明図である。この図は、携帯電話機1の他の電源接続例を示している。図1に示したものと同一あるいは相当する部分に同じ符号を使用し、その部分の重複説明を省略する。図2に示した各電源回路は、図1に示したものと同様に複数のLDOやDC/DCコンバータを備えて構成されている。
図2に示した電子デバイス(A)〜(C)、および、電子デバイス(1)〜(n)は、例えば図1に示した各部に備えられ、また前述のように制御部2によって動作等が制御されるように接続構成されている。
【0025】
電源回路12bは、電子デバイス(A)と電子デバイス(B)に対して、各々異なる電圧を供給するように接続されている。
ヒューズ14と電源回路12bの入力端子との接続点には、電子デバイス(C)が接続される。即ち、バッテリ11の高電位側端子から、電流検出抵抗13およびヒューズ14を介した電圧が、電子デバイス(C)へ供給されるように接続されている。
【0026】
電源回路12aは、前述のように各々異なる電圧を出力するように構成されており、各電圧を出力する端子に電子デバイス(1)〜(n)が接続されている。なお、例えば電子デバイス(2)には、二つの異なる電圧が供給され、電子デバイス(3)には、上記の電子デバイス(2)へ供給されている一方の電圧が供給される。また、電子デバイス(4)には、電源回路12aから異なる二つの電圧が供給される。
【0027】
このように、携帯電話機1は、バッテリ11の出力電流を検出する電流検出抵抗13を備え、制御部2が、携帯電話機1の電源電流値を認識することができるように構成されている。
【0028】
次に動作について説明する。
[携帯電話機の動作]
携帯電話機1は、操作部3になされた操作内容に応じて制御部2が各部を制御し、通信部4を制御して外部とのデータ等の送受信を行い、当該データが示す音声を前述の音声入出力部から出力する。
また、音声入出力部へ入力された音声を所定のデータ形式に変換し、通信部4を用いて外部へ送信する。上記の通信動作を行うとき、通信先等の情報を表示部7に表示させる。
【0029】
また、制御部2は、このような通信動作を行うとき、記憶部6に記憶されている制御プログラム、通信先などに関するデータ等を用いる。
携帯電話機1は、例えば上記のような通信機能を備えており、また、図示を省略したカメラを用いた撮像機能などの各機能を備えている。ここでは、携帯電話機1を構成する上記の各部等によって実現される機能の動作説明を省略する。
【0030】
前述のような動作を行っているとき、制御部2は、電流検出抵抗13によって検出される電源電流を検出し、次に説明するような監視動作を行っている。なお、電流検出抵抗13の両端電圧、即ち電流検出抵抗13によって検出された電源電流値は制御部2の認識可能な信号値となるように、電流アンプ15によって例えば44倍に増幅される。
【0031】
[異常電流の検出動作]
図3は、本実施形態の携帯電話機の動作を示すフローチャートである。
制御部2は、前述のように電流アンプ15によって増幅された電流値、即ち電流検出抵抗13によって検出された電源電流値を読み取る(ステップST101)。
【0032】
異常電流が生じる場合には、デバイス等のハードウエアにおいて障害が発生した場合、また、当該ハードウエアを動作させているソフトウエアにおいて障害が発生した場合がある。これらの障害が発生したときには、電流値が増大する場合や電流値が小さくなる場合があり、特に、電流値が小さくなる障害を検出するためには、微小な電流変化を精度よく検出することが要求される。
図1等に示したように、携帯電話機1は、電流検出抵抗13の両端電圧から電源電流供給ラインの電流値を検出している。前述のように、低抵抗値の電流検出抵抗13を、電源電流供給ラインに直列接続させてバッテリ11から出力される電流値を検出することから、各デバイスへ印加される電圧の降下を防ぐことが可能となる。
【0033】
制御部2は、予め記憶部6に記憶されている閾値と、前述のステップST101の工程において読み取った電源電流値とを比較する(ステップST102,ST103)。上記の閾値は、例えば数百[mA]の値を有している。
【0034】
制御部2は、前述の比較において、電源電流値が閾値と等しい、または閾値を超えていると判定したときには、当該閾値を超えた回数をカウントして、例えば制御部2自らが備える記憶手段に上記の回数を記憶する(ステップST104)。詳しくは、上記の記憶手段に記憶されている回数に“1”を加算し、インクリメントした値を最新の“閾値を超えた回数”として記憶させる。
【0035】
なお、前述のように、異常電流には、通常よりも電流値が増大する場合と、通常よりも減少する場合がある。これらの異常電流を検出するために、電流値が増大した場合の閾値と、電流値が減少した場合の閾値とを用いて、電流検出抵抗13の両端電圧から読み取った電源電流値と比較するようにしてもよい。このときには、前述の閾値を超えた回数を、電流値が閾値よりも大きい場合と閾値よりも小さい場合に分けてカウントする。
【0036】
ステップST103の工程において、読み取った電源電流値が閾値を超えておらず、また閾値と等しくもないと判定したときには、前述の記憶手段に記憶されている閾値を超えた回数をリセットする(ステップST105)。また、上記の回数をリセットした後、処理タイミングを調整するウエイト処理を行って(ステップST106)、前述のステップST101の工程に戻り、以降の各工程を同様に行う。
上記のステップST106の工程において、制御部2は、電源電流の監視動作、即ち、前述の閾値を用いた判定動作を一定周期毎に行うように、次の処理動作を開始するタイミングを調整する。このように、制御部2は、所定の周期毎に電流検出動作を行い、電流検出に要する消費電流を抑制する。
【0037】
制御部2は、ステップST104の工程において、閾値を超えた回数を記憶させた後、この閾値を超えた回数がN回であるか否かを判定する(ステップST107)。
制御部2は、前述の閾値を超えた回数をカウントすることにより、各電源電流供給ラインに生じているノイズ、各信号等から発せられたノイズ、各部が動作を開始するときなどに生じる突入電流などによる誤判定を排除するようにしている。即ち、前述の“N回”は、上記のような誤判定を抑制することができる適当な回数である。
また、このように複数回の閾値超えに対応して異常電流の有無を判定することにより、制御部2自らを構成するデバイス等においてリードエラーなどが発生したときの誤判定に基く誤った制御を、当該制御部2が行うことを防ぐことも可能になる。
【0038】
ステップST107の工程において、制御部2は、閾値を超えた回数がN回であると判定したときには、異常電流が流れていると判断する。
このように異常電流を検出したと判断したとき、制御部2は、例えば表示部7を制御して液晶表示装置のバックライトを最も明るく点灯させ、表示部7において消費される電流が最大になるように動作させる。
即ち、ヒューズ14を介してバッテリ11からの電源電流が供給されているデバイスの消費電流が最大となるように、当該デバイスを制御する(ステップST108)。
【0039】
表示部7などのデバイスとともに、ヒューズ14を介して電源電流が供給されている部分に異常が発生している場合には、上記のようにデバイスを動作させることによってヒューズ14の定格を十分超えた電流が流れ、確実にヒューズ14が溶断される。
【0040】
また、制御部2は、例えば、音源IC5aを制御して所定の警告音をスピーカ5bから出力させ、ユーザに携帯電話機1の異常を警告する(ステップST109)。
またさらに、制御部2は、前述のように異常電流を検出したとき、デバイスの動作状態もしくは設定状態、また、検出電流値等の詳細情報をエラーログとして例えば記憶部6へ記憶させる(ステップST110)。
【0041】
このエラーログは、操作部3等に所定の操作がなされたとき、または、障害解析装置等が外部接続されたとき、当該外部接続された装置へ出力される。または、制御部2の制御により表示部7などへ表示するようにしてもよい。
【0042】
制御部2は、前述のようにエラーログを記憶させた後、例えば、携帯電話機1をシャットダウン状態とする処理を実行する(ステップST111)。なお、携帯電話機1をリセット状態として、正常な状態へ復帰させるように制御してもよい。
また、ステップST107の工程において、制御部2は、閾値を超えた回数がN回ではない、即ちN回未満であると判定したとき、処理タイミングを調整するウエイト処理を行い(ステップST106)、ステップST101の工程に戻って以降の各工程を同様に行う。
【0043】
[異常電流検出時の制御]
図4は、本実施形態の携帯電話機の動作を示す説明図である。この図は、前述のステップST108の工程において、制御部2の制御によりデバイスの消費電流を最大にする動作を示している。
図4に示したデバイス40は、表示側筺体20に配設されている負荷回路であり、例えば前述の表示部7である。ここでは、電流IBAT1は表示部7の消費電流である。
【0044】
図中破線で囲った故障個所41は、ヒューズ14を介して電源電流が供給される負荷回路、もしくはデバイスなどである。電流IBAT2は、例えばショートが発生した故障個所41に流れる電流である。
図4に示したように表示側筺体20に配設された部分に、故障が発生した場合、ヒューズ14にはIBAT1+IBAT2の電流が流れる。
ヒューズ14は、例えば図1に示した電源回路12b、表示部7、IrDA近距離通信部16等が正常に動作しているとき、詳しくは消費電流が最大となる動作を行なったときでも溶断しない定格を有する電流ヒューズである。
【0045】
電流ヒューズは、定格の110[%]の電流が流れたときには溶断しないことがある。また、定格の135[%]の電流が流れたときでも、常温の環境において2分程度の間、電流が流れることがある。
上記の電源回路12b、表示部7、IrDA近距離通信部16等が動作しているとき、特に電流消費の少ない状態となっているとき、いずれかの部分に異常が発生して消費電流が増大しても、ヒューズ14が溶断する電流に達しない場合がある。
具体的には、図4に示したデバイス40が正常に動作して電流IBAT1が流れ、また、故障個所41に異常な電流IBAT2が流れて、ヒューズ14にIBAT1+IBAT2の電流が流れたときに溶断しないことがある。
【0046】
前述のようにヒューズ14が溶断することなく、図4に示した故障個所41に異常な電流IBAT2が流れた場合には、ヒューズ14を含んでいる電源電流供給ラインや当該ヒューズ14を介して電流が供給されている各負荷回路などにダメージが及ぶことがある。
上記のような異常電流によるダメージを防ぐため、制御部2は、前述のステップST108の工程において、デバイス40を制御して当該デバイス40における消費電流を増大させ、ヒューズ14を溶断させる。
【0047】
デバイス40は、前述のように例えば表示部7である。
制御部2は、ステップST108の工程において、デバイス40の消費電流を増大させるとき、例えば、表示部7に備えられた複数のLEDを点灯させるLEDドライバを制御し、各LEDを最も明るく点灯させて消費電流を増大させる。
このように、ヒューズ14を確実に溶断させるためにLEDなどを明るく点灯させると、この明光によりユーザ等に携帯電話機1の異常発生を報知することもできる。
【0048】
また、デバイス40の消費電流を増大させる制御として、例えば図示を省略した前述の音声入出力部の動作を制御する。詳しくは、当該音声入出力部の一部分である音声出力部のスピーカから警告音等を出力させる。
即ち、図4のデバイス40として、上記の音声出力部のスピーカやパワーアンプ等を用いる。このスピーカは、当該スピーカを駆動するパワーアンプ等とともに表示側筺体20に配設されており、制御部2の制御に応じて音声等を出力するように接続構成されている。
また、上記のスピーカ等を駆動する電力は、例えば電源回路12bから供給され、バッテリ11からヒューズ14を介して供給されている。
【0049】
また、デバイス40として、ON/OFF接点を有するスイッチング素子を含む負荷回路を用い、このスイッチング素子の動作を制御して、ヒューズ14を溶断するようにしてもよい。
このスイッチング素子は、制御部2の制御により上記の接点動作が制御されるように当該負荷回路を構成しており、例えば一方の接点を当該負荷回路のGND等に接続し、等価回路的に接地接続をON/OFFさせるものである。
【0050】
制御部2は、ヒューズ14が挿入されていない電源電流供給ラインに異常電流が流れたときには、ヒューズ14が溶断することのないように各部を制御し、いずれかの部分の点灯や警告音の出力などでユーザに異常を報知するようにしてもよい。
【0051】
例えば、各負荷回路の正常な状態における消費電流値は、予め分かっていることから、制御部2は、上記の値をいずれかの記憶手段に記憶させておく。
このようにすると、制御部2は、自ら行っている携帯電話機1の各部の制御内容から、当該各部の負荷回路の稼働状態を認識し、また、上記の記憶手段に記憶させておいた消費電流値を参照することにより、現在の動作状態における正常な消費電流を認識することが可能である。
【0052】
また、携帯電話機1を構成する各部、もしくは各負荷回路等の故障時に流れる最大の異常電流値も概ねわかっている。即ち、電源電流供給ライン毎に異常が発生したときの電流値がわかっている。制御部2は、この異常電流値をいずれかの記憶手段に記憶させておき、異常電流を検出した際に上記の値を参照することにより、故障個所、もしくは故障個所に接続している電源電流供給ラインを認識することが可能である。
【0053】
このような制御を行うとき、例えば、制御部2は、各部の動作状態、もしくは、電源電流供給ライン毎に、異常電流となる値に対応させた各閾値を予め設定しておき、これらの閾値を適当に用いて前述のような異常電流の判定を行う。
制御部2は、異常電流であると判定したときに用いた閾値が、ヒューズ14を含む電源電流供給ラインに対応させたものではないとき、ヒューズ14を溶断させないように各部の動作を制御する。
このように動作処理を行うことにより、前述のようにヒューズ14を溶断させないように各部を制御しながら、ユーザに異常を報知することが可能になる。
【0054】
また、制御部2が、いずれかの負荷回路もしくはデバイスへ制御信号等を送出し、当該デバイス等から正常な信号等の応答がなかったとき、この応答動作に基づいて故障個所を認識する。また、制御部2は、認識した故障個所がヒューズ14の挿入されていない電源電流供給ラインであると判断したとき、前述のように各部を制御して報知動作を行うようにしてもよい。
【0055】
前述のように、ヒューズ14を溶断させないように制御することにより、軽度のハードウエアの障害やソフトウエアによる障害などが発生したときには、携帯電話機1を正常な状態に復帰することが可能になる。
具体的には、携帯電話機1の電源オフ、またはリセット等の操作によって障害が解決して正常動作が可能になる場合には、ヒューズ14を溶断させていないため、全ての電源電流供給ラインに電流が供給され、各部を動作可能な状態に復帰させることができる。
【0056】
以上のように、本実施形態によれば、バッテリ11の端子に低抵抗値の電流検出抵抗13を接続し、電源電流を監視して異常電流を検出するようにした。また異常電流を検出したとき、負荷回路を成すデバイス40の消費電流を増大させる制御を行うようにした。
このことにより、電流を検出する部品点数を抑制することができ、実装スペースおよびコストを抑えることができる。
【0057】
また、電源電流供給ラインに直列接続された低抵抗値の電流検出抵抗13を用いることにより、微細な電流変動を検出することができ、異常電流の検出精度を向上させることができる。
また複数回所定の閾値を超えたとき、異常電流を検出したと判定するようにしたので、電源電流供給ラインにおいて発生したノイズ、また他の制御信号ライン等から電源電流供給ラインに侵入したノイズ、突入電流等の影響を抑制して異常を検出することができる。
また、制御部2を構成するデバイス等のリードエラーによる異常電流の誤検出を抑えることができる。
【0058】
また、電流値が増大した異常電流とともに、電流値が減少した異常電流を検出することもでき、ハードウエアならびにソフトウエアの様々な異常を検出することができる。
また、異常電流が流れてもヒューズ14が溶断しないとき、デバイス40の動作により確実にヒューズ14を溶断し、異常電流が流れ続けることによる障害を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態による電子機器の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態による携帯電話機の他の電源接続例を示す説明図である。
【図3】本実施形態の携帯電話機の動作を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態の携帯電話機の動作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0060】
1…携帯電話機、2…制御部、3…操作部、4…通信部、5a…音源IC、5b…スピーカ、6…記憶部、7…表示部、11…バッテリ、12a,12b…電源回路、13…電流検出抵抗、14…ヒューズ、15…電流アンプ、16…IrDA近距離通信部、20…表示側筺体、21…操作側筺体、22…ヒンジ部、31,32,35…LDO、33,34,36…DC/DCコンバータ、40…デバイス、41…故障個所。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源部と、
溶断電流値が所定の電流値であるヒューズと、
前記電源部の出力端子と前記ヒューズとの間に接続する電流検出部と、
前記電流検出部および前記ヒューズを介して電源電流が入力される電子回路と、
前記電流検出部によって検出された電流が、前記電子回路が正常に動作しているときの正常電流値か否かを判断する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記電流検出部において検出された電流量が正常電流値以上で且つ前記所定の電流値以下のとき、前記電子回路の負荷を、前記電流検出部において検出される電流量が前記所定の電流値以上となるよう制御することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記電子部品は、外部へ報知する機能を有し、
前記制御部は、前記電子部品の報知の度合を大きくする制御を行って該電子部品の消費電流を増大させることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記電子部品は、表示動作を行うLEDドライバを含むことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記電子部品は、所定の音声出力を行うスピーカを含むことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記電子部品は、一端が接地されたスイッチ素子を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−110135(P2010−110135A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−280539(P2008−280539)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】