説明

電子測定器

【課題】測定対象物の寸法を電子的に測定可能な電子測定器を提供する。
【解決手段】等ピッチで1列に並べられた受光素子アレイ20と、受光素子アレイ20に結像するレンズ系16と、測定対象物25へ光を照射する光源26と、測定対象物25から反射した光を受光素子アレイ20により受光して出力されるアナログ信号をディジタル処理する信号処理部28と、信号処理部28によって得られたディジタル計数値DSを表示する表示部12とを備え、ディジタル計数値DSにより、測定対象物25の大きさを表示することを特徴とする電子測定器10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子測定器に関し、特に正立等倍像が得られるレンズアレイとライン型イメージセンサを適用した電子測定器に関する。
【背景技術】
【0002】
正立等倍レンズアレイを用いたライン型イメージセンサモジュールが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一方、従来の電子メジャーにおいては、光波位相差方式を用いたものや、タッチセンサ付きドットマトリックス液晶ディスプレイを適用したものが開示されている(例えば、特許文献2および特許文献3参照。)。
【0004】
また、従来のディジタルノギス、測定顕微鏡などにおいては、機械的に測定した値をディジタル表示していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−139911号公報
【特許文献2】特開2000−249546号公報
【特許文献3】特開平6−18250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、測定対象物の寸法を電子的に測定可能な電子測定器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、等ピッチで1列に並べられた受光素子アレイと、前記受光素子アレイに結像するレンズ系と、測定対象物へ光を照射する光源と、前記測定対象物から反射した光を前記受光素子アレイにより受光して出力されるアナログ出力電圧をディジタル処理する信号処理回路と、前記信号処理回路によって得られたディジタル計数値を表示する表示部とを備え、前記ディジタル計数値により、前記測定対象物の大きさを表示する電子測定器が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、測定対象物の寸法を電子的に測定可能な電子測定器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態に係る電子測定器の模式的断面構造図。
【図2】実施の形態に係る電子測定器のガラス面側から見た模式的外観鳥瞰図。
【図3】実施の形態に係る電子測定器の表示部側から見た模式的外観鳥瞰図。
【図4】実施の形態に係る電子測定器に適用されるレンズ系およびイメージセンサ系の模式的鳥瞰構造図。
【図5】実施の形態に係る電子測定器のブロック構成図。
【図6】(a)実施の形態に係る電子測定器に適用されるコンパレータの回路構成図、(b)実施の形態に係る電子測定器において、センサピクセル番号Nに対応した図6(a)のアナログ出力電圧Vsおよびコンパレータ出力電圧Voutと閾値電圧Vthとの関係を示す模式図。
【図7】実施の形態に係る電子測定器によって測定可能な測定対象物の模式的構成例。
【図8】(a)実施の形態に係る電子測定器において、ガラス面上に測定対象物を配置し、レンズ系およびイメージセンサ系を用いて測定対象物の寸法測定を実施する様子を説明する模式的断面構造図、(b)図8(a)において、ライン型イメージセンサ上のセンサピクセル番号Nと、各ピクセルのコンパレータ出力電圧Voutとの関係を示す模式図。
【図9】実施の形態に係る電子測定器において、センサピクセル番号Nに対応したコンパレータ出力電圧Vout、アナログ出力キャプチャ電圧Vcapの関係を示す模式図。
【図10】実施の形態に係る電子測定器において適用されるクロック信号波形例。
【図11】実施の形態に係る電子測定器において、センサピクセル番号Nと閾値電圧Vthよりも低いアナログ出力電圧Vsの関係を示す模式図。
【図12】実施の形態に係る電子測定器において、センサピクセル番号Nと閾値電圧Vthよりも高いアナログ出力電圧Vsの関係を示す模式図。
【図13】(a)実施の形態に係る電子測定器において、イメージセンサ基板上のライン型イメージセンサ間に測定対象物の縁が配置された状態を説明する模式的平面図、(b)実施の形態に係る電子測定器において、センサピクセル番号Nに対応したアナログ出力キャプチャ電圧Vcapの階調(Gradation)を説明する模式図。
【図14】実施の形態に係る電子測定器において、イメージセンサ基板上のライン型イメージセンサ上に測定対象物の縁が配置された状態を説明する模式的平面図。
【図15】(a)実施の形態に係る電子測定器において適用されるライン型イメージセンサの模式的平面パターン構成図、(b)図15(a)の模式的回路ブロック構成図。
【図16】実施の形態に係る電子測定器の変形例において、2列のライン型イメージセンサを適用して、傾いて配置された測定対象物の模式的平面パターン構成図。
【図17】実施の形態に係る電子測定器の変形例において、2列のライン型イメージセンサを適用して、ガラス板上に傾いて配置された測定対象物の模式的平面パターン構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0011】
又、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0012】
[第1の実施の形態]
実施の形態に係る電子測定器10の模式的断面構造は、図1に示すように表され、ガラス面24a側から見た模式的外観は、図2に示すように表され、表示部12側から見た模式的外観は、図3に示すように表される。また、実施の形態に係る電子測定器10に適用されるレンズ系16およびイメージセンサ系(18、20,22)の模式的鳥瞰構造は、図4に示すように表される。
【0013】
実施の形態に係る電子測定器10は、図1〜図4に示すように、等ピッチで1列に並べられた受光素子アレイ20と、受光素子アレイ20に結像するレンズ系16と、測定対象物へ光を照射する光源26と、測定対象物から反射した光を受光素子アレイ20により受光して出力されるアナログ出力電圧Vsをディジタル処理する信号処理部28と、信号処理部28によって得られたディジタル計数値DSを表示する表示部12とを備える。ここで、ディジタル計数値DSにより、測定対象物の大きさを表示することができる。
【0014】
また、実施の形態に係る電子測定器10において、測定対象物に接するガラス板24および表示部12は、図1〜図3に示すように、筐体40の互いに対向する面に嵌合して配置されている。また、筐体40上には、図1〜図3に示すように、表示部12に隣接して、スイッチ系14が配置されている。スイッチ系14は、例えば、図3に示すように、SW1・SW2・SW3・SW4などで表されるボタンスイッチで構成される。尚、スイッチ系14は、タッチパネル式のスイッチなどで構成することも可能である。
【0015】
また、光源26、レンズ系16、実装基板22は、筐体40に保持されている。
【0016】
受光素子アレイ20は、ライン型イメージセンサで構成されていても良く、イメージセンサ基板18上に配置されている。この場合、ライン型イメージセンサは、密着型イメージセンサであっても良い。
【0017】
また、実施の形態に係る電子測定器10は、信号処理部28に接続され、表示部12を駆動するドライバ30を備えていても良い。また、イメージセンサ基板18・信号処理部28とドライバ30は、図1に示すように、実装基板22上に配置されており、信号配線34を介して、表示部12に接続されている。表示部12は、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置などで構成可能である。
【0018】
レンズ系16は、図4に示すように、正立等倍像を結像するロッドレンズ81、82、83、84、85、86、…を主走査方向(Y軸方向)に複数配置している。図4において、Y軸方向は、ライン型イメージセンサ20の主走査方向と呼ばれ、X軸方向は副走査方向と呼ばれる。また、Z軸方向は、光軸方向に対応し、ガラス板24・表示部12に鉛直な方向である。
【0019】
また、レンズ系16は、ガラス、プラスティック樹脂などにより、一体成形されて形成されていても良い。
【0020】
また、光源26は、白色光源、赤色光源、緑色光源、青色光源、赤外光源、若しくは紫外光源のいずれかであり、測定対象物によって変更可能である。
【0021】
また、光源26には、例えばライン状に配置された発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)若しくはレーザダイオード(LD:Laser Diode)などを適用可能である。LEDとしては、AlGaInP系赤色LED、GaN系可視光LED、BeZnSeTe系緑色LED、GaN系白色LED、ZnO系LED、GaAs系LED、InGaAsP系LEDなどを適用可能である。LDとしても、GaN系LD、GaAs系LD、InGaAsP系LDなどを適用可能である。
【0022】
(全体ブロック構成)
実施の形態に係る電子測定器10の全体ブロック構成は、図5に示すように表される。
【0023】
実施の形態に係る電子測定器10は、図5に示すように、ライン型イメージセンサ20と、ライン型イメージセンサ20に結像するレンズ系16と、測定対象物25へ光を照射する光源26と、測定対象物25から反射した光をライン型イメージセンサ20により受光して出力されるアナログ信号、例えばアナログ出力電圧Vsをディジタル処理する信号処理部28と、信号処理部28によって得られたディジタル計数値DSを表示する表示部12とを備える。ここで、ディジタル計数値DSにより、測定対象物25の大きさを表示することができる。
【0024】
信号処理部28は、図5に示すように、アナログ出力電圧Vsを閾値電圧Vthと比較してディジタル処理するコンパレータ44と、コンパレータ44によりディジタル化されたディジタル信号を計数するカウンタ46とを備える。
【0025】
閾値電圧Vthは、図5に示すように、ボリューム抵抗Rを用いて調整可能である。
【0026】
信号処理部28は、コンパレータ44およびカウンタ46を制御する制御用コンピュータ42と、制御用コンピュータ42に対して測定対象物25の測定規格を入力するパーソナルコンピュータ50と、入力された測定対象物25の測定規格を記憶するメモリ52とを備え、予め入力された測定対象物25の測定規格により、測定対象物25の大きさの良否判定を実行することができる。
【0027】
カウンタ46によりカウントされたディジタル計数値DSは、制御用コンピュータ42を介して、ドライバ30の送信され、表示部12によって表示される。
【0028】
また、制御用コンピュータ42は、ライン型イメージセンサ20に対して、駆動信号DRを供給し、信号処理部28とライン型イメージセンサ20との同期動作を実現している。
【0029】
ここで、測定対象物25の測定規格を入力するパーソナルコンピュータ50は、制御用コンピュータ42に対してUSB接続可能である。また、入力された測定対象物25の測定規格を記憶するメモリ52は、例えば、E2PROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などを用いて構成可能である。
【0030】
尚、スイッチ系14は、信号処理部28内の制御用コンピュータ42に接続される。
【0031】
(コンパレータ)
実施の形態に係る電子測定器10に適用されるコンパレータ33の回路構成は、図6(a)に示すように表され、実施の形態に係る電子測定器10において、センサピクセル番号Nに対応した図6(a)のアナログ出力電圧Vsおよびコンパレータ出力電圧Voutと閾値電圧Vthとの関係は、模式的に図6(b)に示すように表される。コンパレータ44には、ライン型イメージセンサ20のアナログ出力電圧Vsが入力される。このアナログ出力電圧Vsには、ライン型イメージセンサ20のセンサピクセルN1、N2、N3、N4・・・に対応したライン型イメージセンサ20の画素情報が含まれている。
【0032】
閾値電圧Vthは、図6に示すように、ボリューム抵抗Rを用いて調整可能である。
【0033】
コンパレータ44では、アナログ出力電圧Vsが閾値電圧Vthと比較され、閾値電圧Vthよりも大きなコンパレータ出力電圧Voutが検出対象とされる。コンパレータ出力電圧Voutは、このコンパレータ44によりディジタル化され、このディジタル信号は、カウンタ46に送信され、カウンタ46において計数されて、ディジタル計数値DSが得られる。
【0034】
(測定対象物)
実施の形態に係る電子測定器10によって測定可能な測定対象物54の模式的構成例は、図7に示すように、例えば、幅W、長さL、高さTを有する。測定対象物54の例としては、検査対象製品、宅配便の荷物、航空便の荷物などある。実施の形態に係る電子測定器10に適用されるライン型イメージセンサ20のチップ数を増加してライン状に配置される画素数を増加すれば、測定可能な測定対象物54の長さは、例えば、数cm〜数m程度も可能である。
【0035】
(測定対象物の寸法測定)
実施の形態に係る電子測定器10において、ガラス面24a上に測定対象物54を配置し、レンズ系16およびイメージセンサ系(18,20,22)を用いて測定対象物54の寸法測定を実施する様子を説明する模式的断面構造は、図8(a)に示すように表され、図8(a)において、ライン型イメージセンサ20上のセンサピクセル番号Nと、各センサピクセルの出力電流Ioutとの関係は、模式的に図8(b)に示すように表される。ここで、センサピクセル番号Nは、イメージセンサ基板18上にライン状に配置される複数チップのライン型イメージセンサ20に対して、通しでセンサピクセル番号付けをしたものである。
【0036】
ライン型イメージセンサ20には複数のフォトダイオードがライン状に配置されており、この各フォトダイオードが、センサピクセルを構成する。したがって、センサピクセル番号は、複数チップのライン型イメージセンサ20の各フォトダイオードに対して、通しで番号付けをしたものである。
【0037】
図8(a)において、ガラス面24a上に測定対象物54を配置した部分では、黒色に見えて、レンズ系16を透過する光の量は低い。一方、ガラス面24a上に測定対象物54を配置していない部分では、白色に見えて、レンズ系16を透過する光の量は高い。
【0038】
図8(b)に示す例では、センサピクセル番号1〜600までは、相対的に高いコンパレータ出力電圧Vout=Voが得られ、センサピクセル番号601〜1000では、相対的に低いコンパレータ出力電圧Voutが得られている。センサピクセル番号600は、測定対象物54の縁の部分に相当する。
【0039】
測定対象物54の縁の一方を、例えば、ガラス板の縁に合わせれば、図8(a)および図8(b)に示すように、測定対象物54の長さをセンサピクセル番号1〜600の長さであると検出することができる。
【0040】
実施の形態に係る電子測定器10においては、予め設定されている受光素子ピッチPと、カウンタ46にてカウントされたディジタル計数値DSとを積算することによって、測定対象物54の大きさを算出することができる。
【0041】
ここで、受光素子ピッチPは、図4或いは後述する図14に示すように、ライン型イメージセンサ20のピッチに相当する。
【0042】
実施の形態に係る電子測定器10において、センサピクセル番号Nに対応したコンパレータ出力電圧Vout、アナログ出力キャプチャ電圧Vcapの関係を示す例は、模式的に図9に示すように表される。図9の例では、センサピクセル番号500において、コンパレータ出力電圧Voutが大きく変化している。すなわち、センサピクセル番号500〜1000の範囲に測定対象物54が配置されていることがわかる。図9において、コンパレータ処理前のアナログ出力電圧Vsをキャプチャすると、アナログ出力キャプチャ電圧Vcapの曲線が得られる。この場合、コンパレータは使用していない。
【0043】
実施の形態に係る電子測定器10において適用されるクロック信号波形例は、図10に示すように表される。また、センサピクセル番号Nと閾値電圧Vthよりも低いアナログ出力電圧Vsの関係は、図11に示すように表され、センサピクセル番号Nと閾値電圧Vthよりも高いアナログ出力電圧Vsの関係は、図12に示すように表される。図9の例では、センサピクセル番号1〜500の範囲では、閾値電圧Vthよりも低いコンパレータ出力電圧Vout=Vsoが得られ、センサピクセル番号500〜1000以上の範囲では、閾値電圧Vthよりも高いコンパレータ出力電圧Vout=Vs1が得られている。
【0044】
実施の形態に係る電子測定器10において、イメージセンサ基板18上に配置されるライン型イメージセンサ20間に測定対象物54の縁が配置された状態を説明する模式的平面パターン構成は、図13(a)に示すように表され、センサピクセル番号Nに対応したキャプチャ後のアナログ出力キャプチャ電圧Vcapの階調(Gradation)を説明する模式図は、図13(b)に示すように表される。図13の例では、センサピクセル番号1〜500の近傍の範囲では、ほぼ反射光が無い状態に近いアナログ出力キャプチャ電圧Vcap=Vsoが得られ、センサピクセル番号500の近傍から1000以上の範囲では、ほぼ反射光が入ってきた状態に近いアナログ出力キャプチャ電圧Vcap=Vs1が得られている。ここで、センサピクセル番号500の近傍では、キャプチャ後のアナログ出力キャプチャ電圧VcapがVso〜Vs1の範囲で変化しており、ΔVGで表される微小電圧変化分によって、キャプチャ後のアナログ出力キャプチャ電圧Vcapが階調(Gradation)を有する。このような階調は、信号処理部28内においてソフトウエアによって、補正することができる。例えば、測定対象物54の縁がセンサピクセル番号499とセンサピクセル番号500の範囲にあると決定可能である。
【0045】
実施の形態に係る電子測定器10において、イメージセンサ基板18上、ライン型イメージセンサ202上に測定対象物54の縁が配置された状態を説明する模式的平面パターン構成は、図14に示すように表される。図14の例においても、信号処理部28内においてソフトウエアによって、補正することができる。例えば、測定対象物54の縁がライン型イメージセンサ202上の特定のセンサピクセル上にあると決定可能である。
【0046】
前述と同様に、実施の形態に係る電子測定器10においては、予め設定されている受光素子ピッチPと、カウンタ46にてカウントされたディジタル計数値DSとを積算することによって、測定対象物54の大きさを算出することができる。
【0047】
実施の形態に係る電子測定器10において適用されるライン型イメージセンサ201、202、…の模式的平面パターン構成は、図15(a)に示すように表され、図15(a)に対応する模式的回路ブロック構成例は、図15(b)に示すように表される。
【0048】
図15(a)に示すように、各ライン型イメージセンサ20内には、フォトダイオードPD1、PD2、…、PDnが並列に配置されており、これらのフォトダイオードPD1、PD2、…、PDnの光出力が、アナログメモリ回路56に入力され、さらにアナログメモリ回路56からのパラレル出力がパラレルシリアル変換回路58に入力される。このパラレルシリアル変換回路58のシリアル出力信号が、ライン型イメージセンサ201、202、…のアナログ出力電圧Vsとなる。アナログ出力電圧Vsには、ライン型イメージセンサ201、202、…のセンサピクセルN1、N2、N3、N4・・・に対応した画素情報が含まれる。
【0049】
尚、ライン型イメージセンサ20には、例えば、フォトダイオード列に限定されず、例えば、ライン状に配置された相補型金属酸化物半導体(CMOS:Complementary Metal Oxides Semiconductor)イメージセンサ、或いはCCDイメージセンサなども適用可能である。
【0050】
(変形例)
実施の形態に係る電子測定器10の変形例において、2列のライン型イメージセンサを適用して、傾いて配置された測定対象物54の幅を測定する平面パターン構成は、模式的に図16に示すように表される。
【0051】
一方、実施の形態に係る電子測定器10の変形例において、2列のライン型イメージセンサを適用して、ガラス板24上に傾いて配置された測定対象物54の傾きを測定する平面パターン構成は、模式的に図17に示すように表される。
【0052】
図17に示すように、ガラス板24上の位置PAを基準点とし、イメージセンサ基板181上のライン型イメージセンサ201、202、203、…、20nによって、傾いて配置された測定対象物54の縁P11・P12と、イメージセンサ基板182上のライン型イメージセンサ201、202、203、…、20nによって測定された測定対象物54の縁P21・P22を検出する。ガラス板24上の位置PAを基準点とし、測定対象物54の縁P11・P12と、縁P21・P22を把握することで、測定対象物54の傾きを求めることができる。測定対象物54の傾きがわかれば、図16に示すように、測定対象物54の基準点P1から垂直線を引いて他方の基準点P2を求めることによって、それぞれの基準点P1、P2に対応した出力信号を検出することによって、測定対象物54の幅(P1とP2間の距離)を求めることができる。
【0053】
実施の形態によれば、測定対象物の寸法を電子的に測定し、良否判定を、短時間にかつ精度良く実現可能な電子測定器を提供することができる。
【0054】
また、実施の形態の変形例によれば、測定対象物の傾きと寸法を電子的に測定可能な電子測定器を提供することができる。
【0055】
実施の形態によれば、測定対象物の寸法を電子的に測定可能な電子測定器を提供することができる。
【0056】
[その他の実施の形態]
上記のように、実施の形態およびその変形例によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0057】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の電子測定器は、事務用品、製品検査、宅配便の寸法測定、航空便の荷物検査などに用いられる測定器、電子メジャーなど幅広い分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0059】
8、81、82、83、84、85、86…ロッドレンズ
10…電子測定器
12…表示部
14…スイッチ系
16…レンズ系
18、181、182…イメージセンサ基板
20、201、202、203、…、20n…受光素子アレイ(ライン型イメージセンサ)
22…実装基板
24…ガラス板
24a…ガラス面
25、54…対象物
26…光源
28…信号処理部
30…表示部ドライバ
34…信号配線
40…筐体
42…制御用PC
44…コンパレータ
46…カウンタ回路
50…パーソナルコンピュータ
52…E2PROM
56…アナログメモリ回路
58…パラレルシリアル変換回路
Vs…アナログ出力電圧
Vout…コンパレータ出力電圧
Vcap…アナログ出力キャプチャ電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
等ピッチで1列に並べられた受光素子アレイと、
前記受光素子アレイに結像するレンズ系と、
測定対象物へ光を照射する光源と、
前記測定対象物から反射した光を前記受光素子アレイにより受光して出力されるアナログ信号をディジタル処理する信号処理部と、
前記信号処理部によって得られたディジタル計数値を表示する表示部と
を備え、前記ディジタル計数値により、前記測定対象物の大きさを表示することを特徴とする電子測定器。
【請求項2】
前記信号処理部は、
前記アナログ信号を閾値電圧と比較してディジタル処理するコンパレータと、
前記コンパレータによりディジタル化されたディジタル信号を計数するカウンタと
を備えることを特徴とする請求項1に記載の電子測定器。
【請求項3】
前記閾値電圧は、ボリューム抵抗を用いて調整可能であることを特徴とする請求項2に記載の電子測定器。
【請求項4】
前記信号処理部に接続され、前記表示部を駆動するドライバを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の電子測定器。
【請求項5】
前記受光素子アレイは、ライン型イメージセンサであることを特徴とする請求項1に記載の電子測定器。
【請求項6】
前記ライン型イメージセンサは、密着型イメージセンサであることを特徴とする請求項5に記載の電子測定器。
【請求項7】
前記レンズ系は、正立等倍像を結像するレンズを主走査方向に複数配置したことを特徴とする請求項1に記載の電子測定器。
【請求項8】
前記レンズ系は一体成形されて形成されたことを特徴とする請求項7に記載の電子測定器。
【請求項9】
前記光源は、白色光源、赤色光源、緑色光源、青色光源、赤外光源、若しくは紫外光源のいずれかであり、前記測定対象物によって変更可能であることを特徴とする請求項1に記載の電子測定器。
【請求項10】
予め設定されている受光素子ピッチと、前記カウンタにてカウントされたディジタル計数値とを積算することによって、前記測定対象物の大きさを算出することを特徴とする請求項2に記載の電子測定器。
【請求項11】
前記信号処理部は、前記コンパレータおよび前記カウンタを制御する制御用コンピュータと、前記制御用コンピュータに対して前記測定対象物の測定規格を入力するパーソナルコンピュータと、前記入力された前記測定対象物の測定規格を記憶するメモリとを備え、予め入力された前記測定対象物の測定規格により、前記測定対象物の大きさの良否判定を行うことを特徴とする請求項2に記載の電子測定器。
【請求項12】
前記請求項1〜11のいずれかに記載の電子測定器において、前記受光素子アレイを2列配置し、測定対象物の傾きを検出することを特徴とする電子測定器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−73575(P2013−73575A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214311(P2011−214311)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】