電子装置、それを用いた点灯装置および照明装置
【課題】第1のプリント回路基板と、第2のプリント回路基板とを電気的且つ機械的に接続させた半田からなる接合部の接合信頼性を向上させることが可能な電子装置、それを用いた点灯装置および照明装置を提供する。
【解決手段】厚み方向の両面に第1の接続パターン3を設けた複数個の接続片2が端縁部1cから延在する第1のプリント回路基板たる子基板1と、接続片2それぞれが各別に挿通した複数個の接続孔5を有し子基板1の端縁部1c側とは反対側に第1の接続パターン3と電気的に接続される第2の接続パターン6を設けた第2のプリント回路基板たる母基板4とを備え、第1の接続パターン3と第2の接続パターン6とが半田からなる接合部8により電気的且つ機械的に接続された電子装置10であって、母基板4は、接合部8の形成時に接続孔5へ溶融した半田の流入を促進させる半田流入促進部7を備えてなる。
【解決手段】厚み方向の両面に第1の接続パターン3を設けた複数個の接続片2が端縁部1cから延在する第1のプリント回路基板たる子基板1と、接続片2それぞれが各別に挿通した複数個の接続孔5を有し子基板1の端縁部1c側とは反対側に第1の接続パターン3と電気的に接続される第2の接続パターン6を設けた第2のプリント回路基板たる母基板4とを備え、第1の接続パターン3と第2の接続パターン6とが半田からなる接合部8により電気的且つ機械的に接続された電子装置10であって、母基板4は、接合部8の形成時に接続孔5へ溶融した半田の流入を促進させる半田流入促進部7を備えてなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路基板と、別のプリント回路基板とを半田からなる接合部により電気的且つ機械的に接続させた電子装置、それを用いた点灯装置および照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からハイブリッド集積回路(Hybrid Integrated Circuit)を構成する第1のプリント回路基板(以下、子基板という)と、第2のプリント回路基板(以下、母基板という)とを半田により接続させて電子装置を構成することが行われている。電子装置は、たとえば、ICなどチップ状の電子部品が実装された子基板をトランスなど比較的大きな電子部品が実装された母基板上に立設させて半田からなる接合部により電気的且つ機械的に接続させている。
【0003】
この種の電子装置としては、図11に示すように、厚み方向の両面に第1の接続パターン3を設けた複数個の接続片2が端縁部1cから延在する子基板1’と、接続片2それぞれが各別に挿通される複数個の接続孔5’を設けるとともに第1の接続パターン3と電気的に接続される第2の接続パターン6’を備えた母基板4’とを有し、第1の接続パターン3と第2の接続パターン6’とが半田からなる接合部(図示していない)により電気的且つ機械的に接続されたものが知られている(たとえば、特許文献1)。
【0004】
電子装置は、子基板1’を母基板4’に対して略垂直に立設させて実装することができることから、電子装置全体の小型化などに寄与させることができる。
【0005】
なお、図11に示す電子装置は、子基板1’の位置決片9aと母基板4’の挿通孔9bとからなる位置固定部9を備え、位置固定部9により子基板1’の接続片2と母基板4’の接続孔5’との位置がずれないように固定している(図11中の白抜きの矢印を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平7−7166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のような電子装置は、たとえば、図12(a),(b)に示すように母基板4’の表面4a側を部品面として子基板1’を立設させる。子基板1’を立設させた状態で母基板4’の裏面4b側を半田面としてフロー半田方式により半田付けさせて接合部8を形成させることが考えられる。
【0008】
すなわち、電子装置10’は、母基板4’の表面4a側から子基板1’の接続片2を母基板4’の接続孔5’に挿通して裏面4b側に突出させた状態で半田槽(図示していない)上を移動(図12(a),(b)中の白抜きの矢印を参照)させる。電子装置10’は、母基板4’の裏面4b側を半田槽内で噴流(図12(a),(b)中の黒矢印を参照)している溶融した半田に接触させることで、子基板1’の第1の接続パターン3が母基板4’の第2の接続パターン6’に半田付けされる。
【0009】
ここで、図12(a),(b)で示すフロー半田方式により電子装置10’の接合部8を形成する際における母基板4’の裏面4b側を図13(a)に例示する。母基板4’の裏面4b側では、半田との接触によって、半田(図示していない)が、子基板1’の接続片2と母基板4’の接続孔5’との隙間に流入(図13(a)における右側の一点鎖線の矢印を参照)する。同様に、図13(b)に示す電子装置10’の部分断面図では、溶融した半田(図示していない)が、子基板1’の接続片2における第1の接続パターン3に沿って流入(図13(b)における右側の一点鎖線の矢印を参照)することになる。なお、半田の流入経路は、図13(a),(b)における右側の接続片2と、接続孔5’との間にしか図示していないが、母基板4’の移動(図13(a)中の白抜きの矢印を参照)に伴って、他の接続片2と接続孔5’との間にも同様に半田が順次流入することになる。
【0010】
これにより、電子装置10’では、図14(a)の子基板1’の厚み方向における断面図で示すように、母基板4’の裏面4b側から表面4a側にまで子基板1’の接続片2と母基板4’の接続孔5’との隙間に溶融した半田が入ることになる。電子装置10’は、接続片2が挿通された母基板4’の接続孔5’の隙間全体に半田が充填された後、半田が凝固して半田からなる接合部8が形成される。これにより、電子装置10’は、図14(b)の子基板1’の厚み方向と直交する方向の部分側面図で示すように、母基板4’の裏面4b側および表面4a側にそれぞれ半田フィレット8aが形成される。これにより、電子装置10’は、子基板1’と、母基板4’とを半田からなる接合部8で電気的且つ機械的に接続されることになる。
【0011】
ところで、電子装置10’は、図12に例示するように子基板1’上に実装させた電子部品20などと電気的に接続させる導体パターン21,22が接続片2に設けた接続パターン3からそれぞれ延出している。そのため、電子装置10’は、接合部8の形成時に溶融した半田などから伝熱された第1の接続パターン3への熱が導体パターン21,22から放熱されることになる。
【0012】
この場合、第1の接続パターン3は、導体パターン21,22のうち幅が広い導体パターン21が延出する第1の接続パターン3の方が、より細い導体パターン22が延出する第1の接続パターン3よりも温度が低くなる。温度の低い第1の接続パターン3では、子基板1’の接続片2と、母基板4’の接続孔5’との隙間に流入している半田の温度も低下する。特に、導体パターン21が接続パターン3よりも幅が広い部分がある場合、溶融した半田などから伝熱された第1の接続パターン3の熱は、導体パターン21から放熱される割合が大きい。
【0013】
そのため、電子装置10’は、図15(a)の子基板1’の厚み方向における断面図で示すように、溶融した半田が母基板4’の裏面4b側から表面4a側まで子基板1’の接続片2と母基板4’の接続孔5’との隙間を上昇しないうちに半田が凝固する恐れがある。
【0014】
図15(a)における半田の状態となる電子装置10’は、図15(b)の部分側面図で示すように、母基板4’の表面4a側に半田フィレット8aが形成されない場合がある。このような電子装置10’は、子基板1’と母基板4’とを接合させる半田からなる接合部8の電気的な接続や機械的な強度が十分ではない恐れがある。
【0015】
電子装置10’は、たとえば、図16に示すような収納ケース14内の底面側に収納される。また、外部からの力や振動などから電子装置10’などを保護するために、電子装置10’が収納された収納ケース14内には、樹脂15が充填されて用いられる場合も多い。この場合、樹脂15は、電子装置10’の駆動に伴う発熱などにより熱膨張や駆動停止に伴う冷却により熱収縮が生じる場合がある。電子装置10’の子基板1’には、樹脂15の熱膨張や熱収縮により母基板4’に対して図17の矢印で図示される方向に力Pが加わる場合がある。この場合、子基板1’と母基板4’とが図15に示した接合部8で接続された電子装置10’では、樹脂15の熱膨張や熱収縮に伴う応力が半田からなる接合部8に集中し、半田割れが生じやすいという問題点がある。
【0016】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、第1のプリント回路基板と、第2のプリント回路基板とを電気的且つ機械的に接続させた半田からなる接合部の接合信頼性を向上させることが可能な電子装置、点灯装置および照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の電子装置は、厚み方向の両面に第1の接続パターンを設けた複数個の接続片が端縁部から延在する第1のプリント回路基板と、上記接続片それぞれが各別に挿通した複数個の接続孔を有し上記第1のプリント回路基板の上記端縁部側とは反対側に上記第1の接続パターンと電気的に接続される第2の接続パターンを設けた第2のプリント回路基板とを備え、上記第1の接続パターンと上記第2の接続パターンとが半田からなる接合部により電気的且つ機械的に接続された電子装置であって、上記第2のプリント回路基板は、上記接合部の形成時に上記接続孔へ溶融した上記半田の流入を促進させる半田流入促進部を備えてなることを特徴とする。
【0018】
この電子装置において、上記接合部は、フロー半田方式により、上記接続片が上記接続孔に挿通された上記第1のプリント回路基板の厚み方向と直交する方向に上記第2のプリント回路基板を移動させて形成されてなることを特徴とする。
【0019】
この電子装置において、上記半田流入促進部は、上記接続片の上記直交する方向における端面と、該端面と対向する上記接続孔の上記直交する方向における対向面との間を上記移動方向の後方側に対して前方側を大きくさせた間隙であることを特徴とする。
【0020】
この電子装置において、上記接続孔は、矩形形状をしてなり、該矩形形状の中心部が、上記接続片の上記直交する方向における中央部よりも上記移動方向の前方側に位置してなることを特徴とする。
【0021】
この電子装置において、上記接続孔は、上記直交する方向が長径となる長円形状をしてなり、上記長径の中心部が上記接続片の上記直交する方向における中央部よりも上記移動方向の前方側に位置してなることを特徴とする。
【0022】
この電子装置において、上記接続孔は、円形形状をしてなり、該円形形状の中心部が上記接続片の上記直交する方向における中央部よりも上記移動方向の前方側に位置してなることを特徴とする。
【0023】
この電子装置において、上記第1のプリント回路基板または上記第2のプリント回路基板の少なくとも一方に上記接続片を上記接続孔に挿通した位置を固定する位置固定部を設けたことを特徴とする。
【0024】
この電子装置において、上記半田流入促進部は、上記第2の接続パターンに設けられたランドであることを特徴とする。
【0025】
この電子装置において、上記ランドは、上記移動方向の前方側に延出してなることを特徴とする。
【0026】
この電子装置において、上記ランドは、隣接する上記接続孔間の距離の1/2以上となる上記移動方向の前方側に延出してなることを特徴とする。
【0027】
この電子装置において、上記第2の接続パターンから延出する第2のプリント回路基板の配線パターンを上記移動方向の前方側に延出してなるともに、上記配線パターンの一部を上記ランドとして用いてなることを特徴とする。
【0028】
この電子装置において、上記半田流入促進部は、上記第1のプリント回路基板の厚み方向と直交する方向において、少なくとも一部に上記接続片より幅が広い導体パターンが延出する上記第1の接続パターンが設けられた上記接続片が挿通する上記接続孔に設けられてなることを特徴とする。
【0029】
本発明の点灯装置は、上記電子装置を用いた点灯装置である。
【0030】
本発明の照明装置は、上記電子装置を用いた照明装置である。
【発明の効果】
【0031】
本発明の電子装置では、第1のプリント回路基板と、第2のプリント回路基板とを電気的且つ機械的に接続させた半田からなる接合部の接合信頼性を向上させることが可能な電子装置を提供できるという顕著な効果がある。
【0032】
本発明の点灯装置では、第1のプリント回路基板と、第2のプリント回路基板とを電気的且つ機械的に接続させた半田からなる接合部の接合信頼性を向上させることが可能な点灯装置を提供できるという顕著な効果がある。
【0033】
本発明の照明装置では、第1のプリント回路基板と、第2のプリント回路基板とを電気的且つ機械的に接続させた半田からなる接合部の接合信頼性を向上させることが可能な照明装置を提供できるという顕著な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施形態1の電子装置を示し、(a)は説明斜視図、(b)は要部を説明する下面図、(c)は要部を説明する断面図、(d)は要部の側面図である。
【図2】同上の電子装置の概略斜視図である。
【図3】同上の電子装置を用いた点灯装置の回路図である。
【図4】実施形態2の電子装置を示し、(a)は要部を説明する下面図、(b)は要部を説明する断面図である。
【図5】同上の他の電子装置を示し、(a)は要部を説明する下面図、(b)は要部を説明する断面図である。
【図6】実施形態3の電子装置を示し、(a)は要部を説明する下面図、(b)は要部を説明する断面図である。
【図7】同上の他の電子装置を示し、(a)は要部を説明する下面図、(b)は要部を説明する断面図である。
【図8】実施形態4の電子装置を示し、(a)は要部を説明する下面図、(b)は要部を説明する断面図である。
【図9】同上の他の電子装置を示し、(a)は要部を説明する下面図、(b)は要部を説明する断面図である。
【図10】実施形態5の電子装置を示し、(a)は要部を説明する下面図、(b)は要部を説明する断面図である。
【図11】従来の電子装置を示す斜視説明図である。
【図12】比較のために示す電子装置の製造工程を例示する模式説明図である。
【図13】同上の電子装置を示し、(a)は要部を説明する下面図、(b)は要部を説明する断面図である。
【図14】同上の電子装置の要部を示し、(a)は断面図、(b)は側面図である。
【図15】同上の電子装置の別の要部を示し、(a)は断面図、(b)は側面図である。
【図16】同上の電子装置の使用状態を示す模式断面図である。
【図17】同上の電子装置の要部を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(実施形態1)
以下、本実施形態の電子装置10を図1に基づいて説明し、電子装置10を照明装置の点灯装置に用いた例を図2および図3で説明する。なお、同一の部材については、同一の番号を付して説明してある。
【0036】
本実施形態の図1に示す電子装置10は、厚み方向の両面となる一表面1a側および他表面1b側に第1の接続パターン3を設けた複数個(ここでは、8個)の接続片2が端縁部1cから延在する第1のプリント回路基板たる子基板1と、接続片2それぞれが各別に挿通(図1(a)の白抜きの矢印の向きを参照)する複数個(ここでは、8個)の接続孔5を有し子基板1の端縁部1c側とは反対側に第1の接続パターン3と電気的に接続される第2の接続パターン6を少なくとも設けた第2のプリント回路基板たる母基板4とを備えている(図1(b)を参照)。また、電子装置10は、図1(d)に示すように第1の接続パターン3と、第2の接続パターン6とが半田からなる接合部8により電気的且つ機械的に接続されている。
【0037】
特に、本実施形態の電子装置10の母基板4は、接合部8の形成時に接続孔5へ溶融した半田の流入を促進させる半田流入促進部7を備えている(図1(b),(c)を参照)。なお、図1(a)では、子基板1の一表面1a側の第1の接続パターン3だけを図示しているが、子基板1の他表面1b側にも同様に複数個の第1の接続パターン3が設けられている。また、図1(b),(c)では、接続片2および接続孔5をそれぞれ5個だけ図示している。
【0038】
より具体的には、子基板1は、端縁部1cから延在する接続片2を有する矩形平板状のプリント回路基板で構成している。子基板1には、各接続片2に設けられた第1の接続パターン3から図示していない導体パターンが延出しており、該導体パターンが子基板1における回路配線を構成している。したがって、子基板1上の電子部品は、上記導体パターンによって電気的に接続されることになる。
【0039】
また、母基板4は、子基板1よりも大きな矩形平板状のプリント回路基板で構成している。母基板4は、子基板1の接続片2それぞれが挿通される接続孔5を母基板4の端辺4eに沿って形成している。各接続孔5の内壁面には、たとえば、メッキ処理により形成された銅箔(図示していない)が設けられている。母基板4は、子基板1の接続片2が挿通される子基板1の端縁部1c側とは反対側となる裏面4b側の各接続孔5の周縁部に、第1の接続パターン3と電気的に接続される第2の接続パターン6が設けられている。また、本実施形態の電子装置10に用いられる母基板4は、表面4a側において子基板1の接続片2が挿通される各接続孔5の周縁部にも第1の接続パターン3と電気的に接続される第2の接続パターン6が設けられている。母基板4における表面4a側の各第2の接続パターン6と、裏面4b側の各第2の接続パターン6とは、それぞれ対応する接続孔5の上記内壁面に設けられたメッキにより導通が取られている。
【0040】
また、母基板4には、裏面4b側の第2の接続パターン6から図示していない配線パターンが延出しており、該配線パターンが母基板4における回路配線を構成している。母基板4は、上記配線パターンによって母基板4上に設けた電子部品(図示していない)や子基板1と電気的に接続させることができる。
【0041】
電子装置10は、図1(d)に示すように、子基板1の各接続片2と、母基板4の各接続孔5との間で半田接続により母基板4の表面4a側および裏面4b側にそれぞれ半田フィレット8aが形成される。そのため、電子装置10は、子基板1の第1の接続パターン3と、母基板4の第2の接続パターン6とが半田からなる接合部8により電気的且つ機械的に接続する構造となる。
【0042】
このような子基板1を構成するプリント回路基板は、たとえば、表面に回路を構成するための銅箔などからなる導体パターンが形成されたガラスエポキシ樹脂基板やセラミックス基板を用いて構成することができる。同様に、母基板4を構成するプリント回路基板は、たとえば、表面に回路を構成するための銅箔などからなる配線パターンが形成されたガラスエポキシ樹脂基板やセラミックス基板を用いて構成することができる。
【0043】
本実施形態の電子装置10は、上述で例示した図12に示すフロー半田装置を用いたフロー半田方式により子基板1の第1の接続パターン3と母基板4の第2の接続パターン6とを半田付けすることができる。本実施形態の電子装置10は、図12と同様にして子基板1の複数個の接続片2が母基板4の複数個の接続孔5にそれぞれ挿通され立設した状態で、子基板1および母基板4を半田槽に通過させる。電子装置10は、母基板4の半田槽への通過により、母基板4の裏面4b側に半田をあてさせる。電子装置10は、母基板4に実装された図示していない各電子部品や子基板1の接続片2がそれぞれ半田付けされる。すなわち、本実施形態の電子装置10の接合部8は、接続片2が接続孔5に挿通された子基板1の厚み方向と直交する方向(図1(b)における白抜きの矢印の方向)に、母基板4を半田槽と相対的に移動させるフロー半田方式により形成している。なお、フロー半田付けするにあたり、子基板1および母基板4を予め予備加熱させておいてもよい。
【0044】
これにより、電子装置10は、母基板4に挿通された子基板1の厚み方向と平行な平行方向に移動する場合と比較して、母基板4の移動方向と逆側の第1の接続パターン3ヘの溶融している半田の供給が子基板1の接続片2自体によって阻害されることを抑制することができる。
【0045】
ここで、本実施形態の電子装置10は、図1(b)および図1(c)に示すように、子基板1の厚み方向と直交する方向における接続片2の端面2a,2bと、該端面2a,2bと対向する接続孔5の上記直交する方向における対向面4c,4dとの間が上記移動方向の後方側の間隙5bに対して前方側の間隙5aを大きくさせている。間隙5aは、接合部8の形成時に接続孔5へ溶融した半田の流入が促進される半田流入促進部7として機能する。
【0046】
すなわち、本実施形態の電子装置10は、接続孔5が矩形形状をしてなり、該矩形形状の中心部(図示していない仮想点)が上記直交する方向における中央部(図示していない仮想点)よりも母基板4の移動方向の前方側(図1(b)における右側)に設けられることになる。
【0047】
したがって、本実施形態の電子装置10は、半田流入促進部7を備えていないものと比較して、母基板4の裏面4b側にあたった溶融した半田が母基板4の接続孔5と子基板1の接続片2との間隙5aに沿って流れ込むみやすくなる(図1(b),(c)の一点鎖線の矢印を参照)。間隙5aに入り込んだ半田は、接続片2の第1の接続パターン3が設けられた子基板1の一表面1a側および他表面1b側それぞれの方向にそれぞれ流れ込む。
【0048】
本実施形態の電子装置10は、半田流入促進部7を備えることにより、半田流入促進部7を備えていないものと比較して、接続片2の第1の接続パターン3に、より多くの溶融した半田が供給される。また、第1の接続パターン3は、溶融した半田から、より多くの熱が伝熱されることになる。そのため、本実施形態の電子装置10は、子基板1上の第1の接続パターン3から延出する導体パターン(図示していない)が図12で例示したような子基板1の厚み方向と直交する方向において、接続片2より幅が広い導体パターン21を備えていても、第1の接続パターン3全体を均一に加熱させることが可能となる。
【0049】
これにより、本実施形態の電子装置10は、溶融した半田が途中で凝固することなく、図1(d)に示すように母基板4の表面4a側および裏面4b側に半田フィレット8aを備えた接合部8を形成させることができる。
【0050】
したがって、本実施形態の電子装置10は、子基板1と、母基板4とを電気的且つ機械的に接続させた半田からなる接合部8の接合信頼性を向上させることが可能となる。
【0051】
なお、本実施形態の電子装置10において、子基板1の一表面1a側および他表面1b側に母基板4の第2の接続パターン6と半田付けする第1の接続パターン3は、子基板1の一表面1a側と他表面1b側と対称の位置に設けることが好ましい。この場合において、電子装置10は、子基板1の一表面1a側と他表面1b側との対称の位置に母基板4と半田付けするために設けてある第1の接続パターン3を電気的に同電位にすることが好ましい。
【0052】
ところで、半田の材料は、近年、環境などを考慮して従来のSnPb半田から鉛を使用しない無鉛半田に代えられてきている。一般にSnAgCuやSnCuなどのような無鉛半田は、SnPb半田と比較して融点が高くなる傾向にある。
【0053】
電子装置10は、フロー半田方式によって電子装置10の母基板4の裏面4b側から溶融した半田を噴流させて図14(a),(b)に示す接合部8を形成させようとする場合、母基板4の裏面4b側から表面4a側に子基板1の接続片2が挿通された接続孔5の間隙5aに溶融した半田を上昇させる必要がある。
【0054】
しかしながら、無鉛半田は、SnPb半田より融点が高い分だけ半田の温度を高く維持させないと流動性が低下し母基板4の表面4a側にまで十分上がらなくなる傾向が高い。また、半田の温度が高く維持されないと溶融した半田の流動性が低下するだけでなく、母基板4への半田の付着量も多くなる傾向にある。
【0055】
そのため、電子装置10では、フロー半田方式による半田付けにより、半田の切れが悪くなり隣接する第2の接続パターン6,6間で半田ブリッジが生じ易くなる傾向にある。
【0056】
これに対し、電子装置10は、接合部8の形成時に溶融した半田の温度を上げ過ぎると、第1の接続パターン3および配線パターンを介するなどして電子部品20に熱的損傷が生ずる恐れがある。また、電子装置10は、溶融した半田から十分な熱を子基板1の第1の接続パターン3に伝熱させようとすると、フロー半田方式における母基板4の移動速度を低下させざるを得ず量産性が低下する場合もある。
【0057】
本実施形態の電子装置10は、半田流入促進部7を用いて溶融した半田などからより多くの熱を第1の接続パターン3に伝熱させることができる。そのため、電子装置10は、電子部品20に熱的損傷が生ずることを抑制しつつ、無鉛半田を用いても良好な半田接続を得ることが可能となる。また、電子装置10は、フロー半田方式における母基板4の移動速度を低下することなく、量産性よく製造させることもできる。本実施形態の電子装置10は、半田流入促進部7により溶融した半田などからより多くの熱を伝熱させることにより、無鉛半田を用いた場合であって半田ブリッジの発生をより抑制することも可能となる。したがって、電子装置10は、子基板1における各接続片2および母基板4における各接続孔5の間隔をより狭くして、電子装置10の小型化に寄与させることも可能となる。
【0058】
以下、本実施形態の電子装置10を用いた照明装置の点灯装置について説明する。照明装置は、図3に示す回路の一部構成を図2に示す点灯装置で構成している。
【0059】
図2に示す電子装置10は、たとえば、負荷消費電力が略20〜40Wである高圧放電灯用の点灯装置であって、幅W=70mm、長さL=77mmの母基板4の表面4a側に回路を構成する各種の電子部品20が実装されている。点灯装置には、電子部品20の高さと合わせた2枚の矩形平板状の子基板1を母基板4の表面4a側から接続孔5に挿通して構成している。点灯装置は、母基板4の裏面4b側となる半田面を図12と同様にしてフロー半田方式の半田槽に浸漬させることで、母基板4に電子部品20の各リード端子(図示していない)を半田付けしている。また、同時に子基板1と母基板4とを半田付けにより電気的且つ機械的に接続している。点灯装置は、母基板4の裏面4b側から突出する電子部品20のリード端子や母基板4の裏面4b側から突出する各子基板1の接続片2の長さ(たとえば、母基板4の裏面4b側から3mm)を合わせている。点灯装置は、母基板4の下側3mmから一番背の高い電子部品20までの高さHを、たとえば、26mm以下となるように設計している。
【0060】
次に、図2に示した点灯装置を用いた照明装置の回路について、図3を用いて補足説明する。
【0061】
図3に示す点灯装置は、外部の商用電源などの交流電源31がノイズフィルタ回路および電路保護素子を介して整流回路部32におけるダイオードブリッジDBの交流入力端に接続されている。交流電源31からの交流出力は、ダイオードブリッジDBによって直流出力にされ、ダイオードブリッジDBの高圧側にインダクタL3の一端が接続されている。整流回路部32では、ダイオードブリッジDBの直流出力の低圧側と、インダクタL3の他端との間にMOSFETからなるスイッチング素子Q5が接続されている。インダクタL3とスイッチング素子Q5の接続点にはダイオードD5のアノード側が接続されており、ダイオードD5のカソード側とクランド間にはコンデンサC5が接続されている。また、ダイオードブリッジDBから出力される全波整流波形に合わせて整流回路部32のスイッチング素子Q5をオン/オフ制御して、インダクタL3に流れる電流の三角波形のピークが全波整流波形を辿るようにPWM信号をスイッチング素子Q2に送る力率改善制御回路36が設けられている。
【0062】
点灯回路部33では、整流回路部32から供給される直流電力を交流電力に変換して、負荷となる高圧放電灯(以下、放電灯DLという)に供給するために、スイッチング素子Q1〜Q4によりフルブリッジ回路を形成している。スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q3の各一端が高電位側に接続されており、スイッチング素子Q1の他端とスイッチング素子Q2の一端が接続されている。スイッチング素子Q3の他端とスイッチング素子Q4の一端が接続されており、スイッチング素子Q2とスイッチング素子Q4の各他端がクランドに接続されている。負荷電流を制限するために、スイッチング素子Q3,Q4の接続点と、放電灯DLとの間にインダクタL1が直列に接続されており、負荷電流のリップル成分を除去するため放電灯DLと並列にコンデンサC1が接続されている。また、インダクタL1の2次巻線からダイオードD3,D4により全波整流された電圧を制御用IC33aが検出することで、放電灯DLの始動を検出する。
【0063】
制御回路部34は、点灯回路部33を構成するスイッチング素子Q1〜Q4を制御するものであり、制御用IC33aと、駆動回路33b,33cとを備えている。制御用IC33aは、たとえば、マイクロコンピュータで構成されている。駆動回路33b,33cは、マイクロコンピュータの出力信号によりスイッチング素子Q1〜Q4を駆動するドライバICで構成することができる。
【0064】
点灯装置の共振回路部35は、スイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2の接続点と、放電灯DLとの間に直列に接続されたインダクタL2を備えている。共振回路部35は、インダクタL2の巻線の一部に一端を接続させたコンデンサC2と、コンデンサC2の他端に直列に接続された抵抗R1とを備え共振電圧を発生させる。なお、ダイオードD1,D2は、共振回路部35に流れる共振電流が電流検出抵抗R2には流れないようにバイパスさせている。
【0065】
照明装置は、交流電源31からの電力を整流回路部32で整流した後、制御回路部34が点灯回路部33を制御して共振回路部35に接続させた放電灯DLを点灯させることができる。なお、点灯回路部33の電源として、交流電源31とチョッパ回路方式の整流回路部32とを用いる場合について説明したが、点灯回路部33に直流電力を供給できるものであればよく、電池などの直流電源を用いても良い。
【0066】
ここで、上述の照明装置の回路を構成するために用いた図2に示す電子装置10たる点灯装置は、2枚の子基板1が母基板4の外周部に配置されるように、抵抗やチョークコイル等の電子部品20とともに母基板4上に実装させている。ここで、電子装置10は、熱による悪影響を避けたい制御用IC33aなどの電子部品20を子基板1に実装させている。電子装置10は、抵抗やチョークコイル等の自己発熱による温度上昇の高い電子部品20を母基板4に実装している。また、電子装置10は、温度上昇の高い電子部品20を避けた母基板4の外周の端辺に沿って2枚の子基板1を平行に配置している。これにより、電子装置10は、母基板1に実装された電子部品20で生じた熱が子基板1に実装された電子部品20へ悪影響を及ぼすことを抑制することが可能となる。
【0067】
(実施形態2)
本実施形態の電子装置10の基本的な構造は、実施形態1の電子装置10と略同一であり、図1(b)で示した母基板4の裏面4b側から見た矩形状の接続孔5と、矩形状の接続片2との間隙5aにより半田流入促進部7を構成する代わりに、図4(a)に示す長円形状の接続孔5と、矩形状の接続片2との間隙5aにより半田流入促進部7を構成した点が異なる。なお、実施形態1と同様の構成要素には、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0068】
本実施形態の電子装置10は、図4(a)に示すように、接続孔5が子基板1の厚み方向と直交する方向が長径となる長円形状としている。接続孔5は、上記長径の中心部(図示していない仮想点)が接続片2の上記直交する方向における中央部(図示していない仮想点)よりも母基板4の移動方向の前方側(図4における右側)に設けられている。これにより、本実施形態の電子装置10は、長円形状の接続孔5と、矩形状の接続片2との間隙5aにより半田流入促進部7を構成することができる。
【0069】
本実施形態の電子装置10は、実施形態1の電子装置10と同様、図12で示したフロー半田装置によるフロー半田方式により、図4(a),(b)の白抜きの矢印の方向に移動させて図示していない接合部8を形成してある。電子装置10は、母基板4の裏面4b側にあたった半田は、母基板4の接続孔5と、子基板1の接続片2との間隙5aに沿って流れこむ(図4(a),(b)における右側の一点鎖線を参照)。間隙5aに入り込んだ半田は、接続片2の第1の接続パターン3が設けられた子基板1の一表面1a側および他表面1b側の方向にそれぞれ流れ込む。
【0070】
本実施形態の電子装置10は、半田流入促進部7を備えたことで接続片2の第1の接続パターン3に、より多くの半田が供給されるとともに、第1の接続パターン3により多くの熱が伝熱されることになる。そのため、本実施形態の電子装置10は、子基板1の第1の接続パターン3が図12で例示したような上記直交する方向において接続片2より幅が広い導体パターン21を備えていても、第1の接続パターン3全体を略均一に加熱することが可能となる。これにより本実施形態の電子装置10は、母基板4の表面4a側および裏面4b側に、図1(d)と同様な半田フィレット8aを備えた接合部8を形成させることができる。
【0071】
また、本実施形態の電子装置10は、接続孔5の形状を長円形状とすることにより、矩形形状のものと比較して、接合部8の形成時に接続孔5へ溶融した半田の流入が、より滑らかとなる。そのため、本実施形態の電子装置10は、実施形態1の電子装置10に設けた接続孔5と比較して、接続パターン3の加熱をより短時間で均一にさせることが可能となる。
【0072】
ところで、図1や図4で示した電子装置10では、子基板1の接続片2を半田流入促進部7となる間隙5aを備えた母基板4の接続孔5に挿通させている。そのため、電子装置10は、接合部8の形成時に子基板1の接続片2と、母基板4の接続孔5との位置ずれが生じないような固定冶具(図示していない)を別途に用いて固定させてあり、電子装置10の製造工程が煩雑となる。
【0073】
図5(a),(b)に示す本実施形態の他の電子装置10では、子基板1の接続片2が延在する端縁部1cから子基板1の母基板4に対する位置を決めて固定する位置決片9aを設けている。また、母基板4には、子基板1の位置決片9aを挿通して固定可能な位置決片9a用の挿通孔9bを設けている。図5に示す本実施形態の電子装置10は、子基板1の接続片2と、母基板4の接続孔5との位置を固定する位置固定部9を子基板1の端縁部1cから延在した位置決片9aと、位置決片9aの外形形状の大きさと略等しく大きな内径を備え、位置決片9を挿通させる母基板4の挿通孔9bとで構成している。このような、位置固定部9は、一つだけでなく複数個設けてもよい。すなわち、電子装置10の位置固定部9は、接合部8の形成時に子基板1と母基板4との相対的な位置を固定できればよく適宜の構造とすればよい。
【0074】
これにより図5に示す本実施形態の電子装置10は、子基板1の接続片2を母基板4の接続孔5に挿通した際の位置ずれなどが生ずることもなく、接合部8の形成時に別途に子基板1と母基板4との位置を固定させる冶具などを用いなくてもよい。
【0075】
位置決片9aや挿通孔9bの形状は、矩形だけに限られず、円形、楕円形など種々の形状とすることができる。また、子基板1の端縁部1cから延在する位置決片9aは、必ずしも子基板1側と、母基板4側とを電気的に接続させる必要はない。そのため、子基板1の位置決片9aに第1の接続パターン3を形成しなくともよい。また、電子装置10は、子基板1の位置決片9aにも第1の接続パターン3(図示していない)を形成することにより、子基板1側と、母基板4側とを電気的且つ機械的に接続するように構成しても良い。
【0076】
(実施形態3)
本実施形態の電子装置10の基本的な構造は、図1で説明した実施形態1の電子装置10の構造と略同一であり、実施形態1の半田流入促進部7を全ての接続片2に設ける代わりに、図6に示すように、複数個の接続片2のうち、接続片2より幅が広い導体パターン21が延出する第1の接続パターン3が設けられた接続片2が挿通する接続孔5に半田流入促進部7を設けた点が異なる。なお、実施形態1と同様の構成要素には、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0077】
本実施形態の図6に示す電子装置10には、子基板1の接続片2を母基板4の接続孔5に挿通した際に、矩形状の接続片2の第1の接続パターン3が形成されていない側面2a,2bと、接続孔5の対向面4c,4dとの間隙5a,5bが形成されている。本実施形態の電子装置10は、フロー半田方式により母基板4を移動させる移動方向の前方側(図6(a),(b)における右側)の間隙5aが、移動方向の後方側の間隙5bと比較してより大きくなるように形成した半田流入促進部7を有している。
【0078】
本実施形態の電子装置10の半田流入促進部7は、子基板1の導体パターン21からの放熱により、導体パターン21が延出する第1の接続パターン3の温度が導体パターン22が延出する第1の接続パターン3よりも低く、不均一となることを抑制することができる。これにより、本実施形態の電子装置10は、図1(d)と同様に母基板4の表面4a側および裏面4b側に半田フィレット8aを備えた接合部8を形成させることができる。
【0079】
また、本実施形態の電子装置10は、導体パターン21よりも細い導体パターン22が延出する第1の接続パターン3が設けられた接続片2により、位置決片9aなどの位置決め手段を用いることなく、子基板1の接続片2と、母基板4の接続孔5との位置を固定することが可能となる。
【0080】
また、本実施形態の他の電子装置10として、図7に示す電子装置10は、子基板1の複数個の接続片2のうち、接続片2より幅が広い導体パターン21が延出する接続片2を、より細い導体パターン22が延出する接続片2よりも細くしている。これにより、図7に示す電子装置10は、子基板1の接続片2を挿通した際に、接続片2の第1の接続パターン3が形成されていない側面2a,2bと、接続孔5の壁面4d,4cとの間隙5a,5bが、フロー半田方式において、母基板4が移動する移動方向(図7の白抜きの矢印を参照)に対して前方側(図7における右側)の間隙5aが後方側の間隙5bに比較して大きくなる半田流入促進部7を有している。すなわち、図7に示す電子装置10も、図6に示す電子装置10と同様に半田流入促進部7を備えて接合部8の接合信頼性を向上させることができる。
【0081】
本実施形態の電子装置10は、子基板1の第1の接続パターン3と接続された導体パターン21からの放熱により、子基板1の第1の接続パターン3の熱が放熱されることを抑制することが可能となる。また、電子装置10は、子基板1の接続片2における第1の接続パターン3に対し、十分な供給量の半田を確保して図1(d)に示したような半田フィレット8aを備えた接合部8を形成することが可能となる。また、本実施形態の電子装置10は、接続片2とは別途に位置固定部9を設けることなく、より幅が広い接続片2により、子基板1の接続片2と、母基板4の接続孔5への位置を固定することが可能である。
【0082】
(実施形態4)
本実施形態の電子装置10の基本的な構造は、実施形態1の電子装置10と略同一であり、図1(b),(c)で示した間隙5aを半田流入促進部7として用いる代わりに、図8(a)に示す第2の接続パターン6から延出するランド71を半田流入促進部7として用いた点が異なる。なお、実施形態1と同様の構成要素には、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0083】
本実施形態の図8(a),(b)に示す電子装置10は、フロー半田方式による接合部8の形成時に、母基板4の移動方向(図8(a)の白抜きの矢印を参照)の前方側(図8(a)における右側)に延出した半田流入促進用のランド71を半田流入促進部7として設けている。
【0084】
本実施形態の電子装置10は、実施形態1の電子装置10と同様、図12で示したフロー半田装置によるフロー半田方式により、図8(a),(b)の白抜きの矢印の方向に移動させて図示していない接合部8を形成してある。電子装置10は、母基板4の裏面4b側に噴流している半田があたる。電子装置10の移動に伴い半田があたらなくなった電子装置10の接続片2では、冷却に伴い半田が凝固する。
【0085】
ここで、本実施形態の電子装置10は、各接続孔5より先に各接続孔5の周部に設けられた第2の接続パターン6から延出している半田流入促進用のランド71に噴流している半田があたる。電子装置10では、ランド71に半田があたるとランド71に沿って半田が流れ接続孔5の間隙5aへの半田の流入が促進される。その後、母基板4の進行に伴い噴流している半田が接続孔5に直接あたることになる。
【0086】
すなわち、本実施形態の電子装置10は、母基板4の表面3a側に半田流入促進用のランド71を設けることで、溶融した半田が各接続孔5に直接あたるよりも先に半田流入促進用のランド71により接続孔5に供給される。そのため、本実施形態の電子装置10は、第1の接続パターン3に半田が供給される量が多くなる。
【0087】
これにより本実施形態の電子装置10は、図1(d)に示したのと同様な半田フィレット8aを備えた接合部8を形成することができる。
【0088】
また、本実施形態の他の例として図9(a),(b)に示す電子装置10は、複数個の接続片2のうち、上記直交する方向において、少なくとも一部に接続片2より幅が広い導体パターン21が延出する第1の接続パターン3が設けられた接続片2が挿通する接続孔5の第2の接続パターン6にランド71を選択的に設けている。
【0089】
これにより、図9(a),(b)に示す電子装置10は、図8(a)に示す半田流入促進用のランド71を全ての第2の接続パターン6に設ける余裕がない場合であっても、選択的に設けたランド71により半田流入促進部7とすることが可能となる。
【0090】
これにより、本実施形態の電子装置10は、第2の接続パターン6の間隔を等間隔で設ける必要もなく、母基板4における電子部品(図示していない)の実装密度をより高くすることができる。
【0091】
(実施形態5)
本実施形態の電子装置10の基本的な構造は、図8(a)で示した実施形態4の電子装置10の構造と略同一であり、実施形態4の母基板4が移動する移動方向の前方側に延出してなるランド71を半田流入促進部7としている代わりに、図10(a)に示す母基板4の移動方向の前方側に母基板4の配線パターン72を延出させた一部を半田流入促進部7として用いた点が異なる。なお、実施形態4と同様の構成要素には、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0092】
本実施形態の電子装置10は、複数個の接続片2のうち、子基板1の厚み方向と直交する方向において、少なくとも一部に接続片2より幅が広い導体パターン21が延出する第1の接続パターン3が設けられた接続片2が挿通する接続孔5に半田流入促進部7が設けられている(図10(b)を参照)。
【0093】
本実施形態の電子装置10に用いられる半田流入促進部7は、フロー半田方式による接合部8の形成時に、母基板4の移動方向(図10(a)中の白抜の矢印を参照)の前方側(図10(a)における右側)に配線パターン72を延出してなるとともに、配線パターン72の一部を半田促進用のランド71として用いた半田流入促進部7を備えている(図10(a)を参照)。なお、半田流入促進用のランドとして機能する配線パターン72は、図10(a)に示すように各第1の接続パターン3に十分な量の半田を供給するため、隣接する接続孔5間の距離Dの略1/2以上となる上記移動方向の前方側に延在させていることがより好ましい。
【0094】
本実施形態の電子装置10は、半田流入促進部7を備えることにより、図1(d)に示したような半田フィレット8aを備えた接合部8を形成することが可能となる。
【0095】
特に、本実施形態の電子装置10では、実施形態4の図8(a)に示す半田流入促進用のランド71を配線パターン41とは別途に設ける余裕がない場合であっても、母基板4の配線パターン72を利用して半田流入促進部7とすることが可能となる。
【0096】
これにより、本実施形態の電子装置10は、母基板4における電子部品(図示していない)の実装密度をより高くすることが可能となる。
【0097】
なお、本実施形態の電子装置10では、複数個の接続片2のうち導体パターン21が延出する第1の接続パターン3と接続する第2の接続パターン6にだけ半田流入促進部7を形成させているが、全ての第2の接続パターン6から半田流入促進用のランド71として機能する配線パターン72を延出させることもできる。なお、本実施形態の電子装置10は、上記実施形態の電子装置10で説明した異なる半田流入促進部7をそれぞれ組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 子基板(第1のプリント回路基板)
2 接続片
2a,2b 端面
3 第1の接続パターン
4 母基板(第2のプリント回路基板)
4c,4d 対向面
5 接続孔
6 第2の接続パターン
7 半田流入促進部
8 接合部
9 位置固定部
10 電子装置
71 ランド
72 配線パターン
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路基板と、別のプリント回路基板とを半田からなる接合部により電気的且つ機械的に接続させた電子装置、それを用いた点灯装置および照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からハイブリッド集積回路(Hybrid Integrated Circuit)を構成する第1のプリント回路基板(以下、子基板という)と、第2のプリント回路基板(以下、母基板という)とを半田により接続させて電子装置を構成することが行われている。電子装置は、たとえば、ICなどチップ状の電子部品が実装された子基板をトランスなど比較的大きな電子部品が実装された母基板上に立設させて半田からなる接合部により電気的且つ機械的に接続させている。
【0003】
この種の電子装置としては、図11に示すように、厚み方向の両面に第1の接続パターン3を設けた複数個の接続片2が端縁部1cから延在する子基板1’と、接続片2それぞれが各別に挿通される複数個の接続孔5’を設けるとともに第1の接続パターン3と電気的に接続される第2の接続パターン6’を備えた母基板4’とを有し、第1の接続パターン3と第2の接続パターン6’とが半田からなる接合部(図示していない)により電気的且つ機械的に接続されたものが知られている(たとえば、特許文献1)。
【0004】
電子装置は、子基板1’を母基板4’に対して略垂直に立設させて実装することができることから、電子装置全体の小型化などに寄与させることができる。
【0005】
なお、図11に示す電子装置は、子基板1’の位置決片9aと母基板4’の挿通孔9bとからなる位置固定部9を備え、位置固定部9により子基板1’の接続片2と母基板4’の接続孔5’との位置がずれないように固定している(図11中の白抜きの矢印を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平7−7166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のような電子装置は、たとえば、図12(a),(b)に示すように母基板4’の表面4a側を部品面として子基板1’を立設させる。子基板1’を立設させた状態で母基板4’の裏面4b側を半田面としてフロー半田方式により半田付けさせて接合部8を形成させることが考えられる。
【0008】
すなわち、電子装置10’は、母基板4’の表面4a側から子基板1’の接続片2を母基板4’の接続孔5’に挿通して裏面4b側に突出させた状態で半田槽(図示していない)上を移動(図12(a),(b)中の白抜きの矢印を参照)させる。電子装置10’は、母基板4’の裏面4b側を半田槽内で噴流(図12(a),(b)中の黒矢印を参照)している溶融した半田に接触させることで、子基板1’の第1の接続パターン3が母基板4’の第2の接続パターン6’に半田付けされる。
【0009】
ここで、図12(a),(b)で示すフロー半田方式により電子装置10’の接合部8を形成する際における母基板4’の裏面4b側を図13(a)に例示する。母基板4’の裏面4b側では、半田との接触によって、半田(図示していない)が、子基板1’の接続片2と母基板4’の接続孔5’との隙間に流入(図13(a)における右側の一点鎖線の矢印を参照)する。同様に、図13(b)に示す電子装置10’の部分断面図では、溶融した半田(図示していない)が、子基板1’の接続片2における第1の接続パターン3に沿って流入(図13(b)における右側の一点鎖線の矢印を参照)することになる。なお、半田の流入経路は、図13(a),(b)における右側の接続片2と、接続孔5’との間にしか図示していないが、母基板4’の移動(図13(a)中の白抜きの矢印を参照)に伴って、他の接続片2と接続孔5’との間にも同様に半田が順次流入することになる。
【0010】
これにより、電子装置10’では、図14(a)の子基板1’の厚み方向における断面図で示すように、母基板4’の裏面4b側から表面4a側にまで子基板1’の接続片2と母基板4’の接続孔5’との隙間に溶融した半田が入ることになる。電子装置10’は、接続片2が挿通された母基板4’の接続孔5’の隙間全体に半田が充填された後、半田が凝固して半田からなる接合部8が形成される。これにより、電子装置10’は、図14(b)の子基板1’の厚み方向と直交する方向の部分側面図で示すように、母基板4’の裏面4b側および表面4a側にそれぞれ半田フィレット8aが形成される。これにより、電子装置10’は、子基板1’と、母基板4’とを半田からなる接合部8で電気的且つ機械的に接続されることになる。
【0011】
ところで、電子装置10’は、図12に例示するように子基板1’上に実装させた電子部品20などと電気的に接続させる導体パターン21,22が接続片2に設けた接続パターン3からそれぞれ延出している。そのため、電子装置10’は、接合部8の形成時に溶融した半田などから伝熱された第1の接続パターン3への熱が導体パターン21,22から放熱されることになる。
【0012】
この場合、第1の接続パターン3は、導体パターン21,22のうち幅が広い導体パターン21が延出する第1の接続パターン3の方が、より細い導体パターン22が延出する第1の接続パターン3よりも温度が低くなる。温度の低い第1の接続パターン3では、子基板1’の接続片2と、母基板4’の接続孔5’との隙間に流入している半田の温度も低下する。特に、導体パターン21が接続パターン3よりも幅が広い部分がある場合、溶融した半田などから伝熱された第1の接続パターン3の熱は、導体パターン21から放熱される割合が大きい。
【0013】
そのため、電子装置10’は、図15(a)の子基板1’の厚み方向における断面図で示すように、溶融した半田が母基板4’の裏面4b側から表面4a側まで子基板1’の接続片2と母基板4’の接続孔5’との隙間を上昇しないうちに半田が凝固する恐れがある。
【0014】
図15(a)における半田の状態となる電子装置10’は、図15(b)の部分側面図で示すように、母基板4’の表面4a側に半田フィレット8aが形成されない場合がある。このような電子装置10’は、子基板1’と母基板4’とを接合させる半田からなる接合部8の電気的な接続や機械的な強度が十分ではない恐れがある。
【0015】
電子装置10’は、たとえば、図16に示すような収納ケース14内の底面側に収納される。また、外部からの力や振動などから電子装置10’などを保護するために、電子装置10’が収納された収納ケース14内には、樹脂15が充填されて用いられる場合も多い。この場合、樹脂15は、電子装置10’の駆動に伴う発熱などにより熱膨張や駆動停止に伴う冷却により熱収縮が生じる場合がある。電子装置10’の子基板1’には、樹脂15の熱膨張や熱収縮により母基板4’に対して図17の矢印で図示される方向に力Pが加わる場合がある。この場合、子基板1’と母基板4’とが図15に示した接合部8で接続された電子装置10’では、樹脂15の熱膨張や熱収縮に伴う応力が半田からなる接合部8に集中し、半田割れが生じやすいという問題点がある。
【0016】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、第1のプリント回路基板と、第2のプリント回路基板とを電気的且つ機械的に接続させた半田からなる接合部の接合信頼性を向上させることが可能な電子装置、点灯装置および照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の電子装置は、厚み方向の両面に第1の接続パターンを設けた複数個の接続片が端縁部から延在する第1のプリント回路基板と、上記接続片それぞれが各別に挿通した複数個の接続孔を有し上記第1のプリント回路基板の上記端縁部側とは反対側に上記第1の接続パターンと電気的に接続される第2の接続パターンを設けた第2のプリント回路基板とを備え、上記第1の接続パターンと上記第2の接続パターンとが半田からなる接合部により電気的且つ機械的に接続された電子装置であって、上記第2のプリント回路基板は、上記接合部の形成時に上記接続孔へ溶融した上記半田の流入を促進させる半田流入促進部を備えてなることを特徴とする。
【0018】
この電子装置において、上記接合部は、フロー半田方式により、上記接続片が上記接続孔に挿通された上記第1のプリント回路基板の厚み方向と直交する方向に上記第2のプリント回路基板を移動させて形成されてなることを特徴とする。
【0019】
この電子装置において、上記半田流入促進部は、上記接続片の上記直交する方向における端面と、該端面と対向する上記接続孔の上記直交する方向における対向面との間を上記移動方向の後方側に対して前方側を大きくさせた間隙であることを特徴とする。
【0020】
この電子装置において、上記接続孔は、矩形形状をしてなり、該矩形形状の中心部が、上記接続片の上記直交する方向における中央部よりも上記移動方向の前方側に位置してなることを特徴とする。
【0021】
この電子装置において、上記接続孔は、上記直交する方向が長径となる長円形状をしてなり、上記長径の中心部が上記接続片の上記直交する方向における中央部よりも上記移動方向の前方側に位置してなることを特徴とする。
【0022】
この電子装置において、上記接続孔は、円形形状をしてなり、該円形形状の中心部が上記接続片の上記直交する方向における中央部よりも上記移動方向の前方側に位置してなることを特徴とする。
【0023】
この電子装置において、上記第1のプリント回路基板または上記第2のプリント回路基板の少なくとも一方に上記接続片を上記接続孔に挿通した位置を固定する位置固定部を設けたことを特徴とする。
【0024】
この電子装置において、上記半田流入促進部は、上記第2の接続パターンに設けられたランドであることを特徴とする。
【0025】
この電子装置において、上記ランドは、上記移動方向の前方側に延出してなることを特徴とする。
【0026】
この電子装置において、上記ランドは、隣接する上記接続孔間の距離の1/2以上となる上記移動方向の前方側に延出してなることを特徴とする。
【0027】
この電子装置において、上記第2の接続パターンから延出する第2のプリント回路基板の配線パターンを上記移動方向の前方側に延出してなるともに、上記配線パターンの一部を上記ランドとして用いてなることを特徴とする。
【0028】
この電子装置において、上記半田流入促進部は、上記第1のプリント回路基板の厚み方向と直交する方向において、少なくとも一部に上記接続片より幅が広い導体パターンが延出する上記第1の接続パターンが設けられた上記接続片が挿通する上記接続孔に設けられてなることを特徴とする。
【0029】
本発明の点灯装置は、上記電子装置を用いた点灯装置である。
【0030】
本発明の照明装置は、上記電子装置を用いた照明装置である。
【発明の効果】
【0031】
本発明の電子装置では、第1のプリント回路基板と、第2のプリント回路基板とを電気的且つ機械的に接続させた半田からなる接合部の接合信頼性を向上させることが可能な電子装置を提供できるという顕著な効果がある。
【0032】
本発明の点灯装置では、第1のプリント回路基板と、第2のプリント回路基板とを電気的且つ機械的に接続させた半田からなる接合部の接合信頼性を向上させることが可能な点灯装置を提供できるという顕著な効果がある。
【0033】
本発明の照明装置では、第1のプリント回路基板と、第2のプリント回路基板とを電気的且つ機械的に接続させた半田からなる接合部の接合信頼性を向上させることが可能な照明装置を提供できるという顕著な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施形態1の電子装置を示し、(a)は説明斜視図、(b)は要部を説明する下面図、(c)は要部を説明する断面図、(d)は要部の側面図である。
【図2】同上の電子装置の概略斜視図である。
【図3】同上の電子装置を用いた点灯装置の回路図である。
【図4】実施形態2の電子装置を示し、(a)は要部を説明する下面図、(b)は要部を説明する断面図である。
【図5】同上の他の電子装置を示し、(a)は要部を説明する下面図、(b)は要部を説明する断面図である。
【図6】実施形態3の電子装置を示し、(a)は要部を説明する下面図、(b)は要部を説明する断面図である。
【図7】同上の他の電子装置を示し、(a)は要部を説明する下面図、(b)は要部を説明する断面図である。
【図8】実施形態4の電子装置を示し、(a)は要部を説明する下面図、(b)は要部を説明する断面図である。
【図9】同上の他の電子装置を示し、(a)は要部を説明する下面図、(b)は要部を説明する断面図である。
【図10】実施形態5の電子装置を示し、(a)は要部を説明する下面図、(b)は要部を説明する断面図である。
【図11】従来の電子装置を示す斜視説明図である。
【図12】比較のために示す電子装置の製造工程を例示する模式説明図である。
【図13】同上の電子装置を示し、(a)は要部を説明する下面図、(b)は要部を説明する断面図である。
【図14】同上の電子装置の要部を示し、(a)は断面図、(b)は側面図である。
【図15】同上の電子装置の別の要部を示し、(a)は断面図、(b)は側面図である。
【図16】同上の電子装置の使用状態を示す模式断面図である。
【図17】同上の電子装置の要部を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(実施形態1)
以下、本実施形態の電子装置10を図1に基づいて説明し、電子装置10を照明装置の点灯装置に用いた例を図2および図3で説明する。なお、同一の部材については、同一の番号を付して説明してある。
【0036】
本実施形態の図1に示す電子装置10は、厚み方向の両面となる一表面1a側および他表面1b側に第1の接続パターン3を設けた複数個(ここでは、8個)の接続片2が端縁部1cから延在する第1のプリント回路基板たる子基板1と、接続片2それぞれが各別に挿通(図1(a)の白抜きの矢印の向きを参照)する複数個(ここでは、8個)の接続孔5を有し子基板1の端縁部1c側とは反対側に第1の接続パターン3と電気的に接続される第2の接続パターン6を少なくとも設けた第2のプリント回路基板たる母基板4とを備えている(図1(b)を参照)。また、電子装置10は、図1(d)に示すように第1の接続パターン3と、第2の接続パターン6とが半田からなる接合部8により電気的且つ機械的に接続されている。
【0037】
特に、本実施形態の電子装置10の母基板4は、接合部8の形成時に接続孔5へ溶融した半田の流入を促進させる半田流入促進部7を備えている(図1(b),(c)を参照)。なお、図1(a)では、子基板1の一表面1a側の第1の接続パターン3だけを図示しているが、子基板1の他表面1b側にも同様に複数個の第1の接続パターン3が設けられている。また、図1(b),(c)では、接続片2および接続孔5をそれぞれ5個だけ図示している。
【0038】
より具体的には、子基板1は、端縁部1cから延在する接続片2を有する矩形平板状のプリント回路基板で構成している。子基板1には、各接続片2に設けられた第1の接続パターン3から図示していない導体パターンが延出しており、該導体パターンが子基板1における回路配線を構成している。したがって、子基板1上の電子部品は、上記導体パターンによって電気的に接続されることになる。
【0039】
また、母基板4は、子基板1よりも大きな矩形平板状のプリント回路基板で構成している。母基板4は、子基板1の接続片2それぞれが挿通される接続孔5を母基板4の端辺4eに沿って形成している。各接続孔5の内壁面には、たとえば、メッキ処理により形成された銅箔(図示していない)が設けられている。母基板4は、子基板1の接続片2が挿通される子基板1の端縁部1c側とは反対側となる裏面4b側の各接続孔5の周縁部に、第1の接続パターン3と電気的に接続される第2の接続パターン6が設けられている。また、本実施形態の電子装置10に用いられる母基板4は、表面4a側において子基板1の接続片2が挿通される各接続孔5の周縁部にも第1の接続パターン3と電気的に接続される第2の接続パターン6が設けられている。母基板4における表面4a側の各第2の接続パターン6と、裏面4b側の各第2の接続パターン6とは、それぞれ対応する接続孔5の上記内壁面に設けられたメッキにより導通が取られている。
【0040】
また、母基板4には、裏面4b側の第2の接続パターン6から図示していない配線パターンが延出しており、該配線パターンが母基板4における回路配線を構成している。母基板4は、上記配線パターンによって母基板4上に設けた電子部品(図示していない)や子基板1と電気的に接続させることができる。
【0041】
電子装置10は、図1(d)に示すように、子基板1の各接続片2と、母基板4の各接続孔5との間で半田接続により母基板4の表面4a側および裏面4b側にそれぞれ半田フィレット8aが形成される。そのため、電子装置10は、子基板1の第1の接続パターン3と、母基板4の第2の接続パターン6とが半田からなる接合部8により電気的且つ機械的に接続する構造となる。
【0042】
このような子基板1を構成するプリント回路基板は、たとえば、表面に回路を構成するための銅箔などからなる導体パターンが形成されたガラスエポキシ樹脂基板やセラミックス基板を用いて構成することができる。同様に、母基板4を構成するプリント回路基板は、たとえば、表面に回路を構成するための銅箔などからなる配線パターンが形成されたガラスエポキシ樹脂基板やセラミックス基板を用いて構成することができる。
【0043】
本実施形態の電子装置10は、上述で例示した図12に示すフロー半田装置を用いたフロー半田方式により子基板1の第1の接続パターン3と母基板4の第2の接続パターン6とを半田付けすることができる。本実施形態の電子装置10は、図12と同様にして子基板1の複数個の接続片2が母基板4の複数個の接続孔5にそれぞれ挿通され立設した状態で、子基板1および母基板4を半田槽に通過させる。電子装置10は、母基板4の半田槽への通過により、母基板4の裏面4b側に半田をあてさせる。電子装置10は、母基板4に実装された図示していない各電子部品や子基板1の接続片2がそれぞれ半田付けされる。すなわち、本実施形態の電子装置10の接合部8は、接続片2が接続孔5に挿通された子基板1の厚み方向と直交する方向(図1(b)における白抜きの矢印の方向)に、母基板4を半田槽と相対的に移動させるフロー半田方式により形成している。なお、フロー半田付けするにあたり、子基板1および母基板4を予め予備加熱させておいてもよい。
【0044】
これにより、電子装置10は、母基板4に挿通された子基板1の厚み方向と平行な平行方向に移動する場合と比較して、母基板4の移動方向と逆側の第1の接続パターン3ヘの溶融している半田の供給が子基板1の接続片2自体によって阻害されることを抑制することができる。
【0045】
ここで、本実施形態の電子装置10は、図1(b)および図1(c)に示すように、子基板1の厚み方向と直交する方向における接続片2の端面2a,2bと、該端面2a,2bと対向する接続孔5の上記直交する方向における対向面4c,4dとの間が上記移動方向の後方側の間隙5bに対して前方側の間隙5aを大きくさせている。間隙5aは、接合部8の形成時に接続孔5へ溶融した半田の流入が促進される半田流入促進部7として機能する。
【0046】
すなわち、本実施形態の電子装置10は、接続孔5が矩形形状をしてなり、該矩形形状の中心部(図示していない仮想点)が上記直交する方向における中央部(図示していない仮想点)よりも母基板4の移動方向の前方側(図1(b)における右側)に設けられることになる。
【0047】
したがって、本実施形態の電子装置10は、半田流入促進部7を備えていないものと比較して、母基板4の裏面4b側にあたった溶融した半田が母基板4の接続孔5と子基板1の接続片2との間隙5aに沿って流れ込むみやすくなる(図1(b),(c)の一点鎖線の矢印を参照)。間隙5aに入り込んだ半田は、接続片2の第1の接続パターン3が設けられた子基板1の一表面1a側および他表面1b側それぞれの方向にそれぞれ流れ込む。
【0048】
本実施形態の電子装置10は、半田流入促進部7を備えることにより、半田流入促進部7を備えていないものと比較して、接続片2の第1の接続パターン3に、より多くの溶融した半田が供給される。また、第1の接続パターン3は、溶融した半田から、より多くの熱が伝熱されることになる。そのため、本実施形態の電子装置10は、子基板1上の第1の接続パターン3から延出する導体パターン(図示していない)が図12で例示したような子基板1の厚み方向と直交する方向において、接続片2より幅が広い導体パターン21を備えていても、第1の接続パターン3全体を均一に加熱させることが可能となる。
【0049】
これにより、本実施形態の電子装置10は、溶融した半田が途中で凝固することなく、図1(d)に示すように母基板4の表面4a側および裏面4b側に半田フィレット8aを備えた接合部8を形成させることができる。
【0050】
したがって、本実施形態の電子装置10は、子基板1と、母基板4とを電気的且つ機械的に接続させた半田からなる接合部8の接合信頼性を向上させることが可能となる。
【0051】
なお、本実施形態の電子装置10において、子基板1の一表面1a側および他表面1b側に母基板4の第2の接続パターン6と半田付けする第1の接続パターン3は、子基板1の一表面1a側と他表面1b側と対称の位置に設けることが好ましい。この場合において、電子装置10は、子基板1の一表面1a側と他表面1b側との対称の位置に母基板4と半田付けするために設けてある第1の接続パターン3を電気的に同電位にすることが好ましい。
【0052】
ところで、半田の材料は、近年、環境などを考慮して従来のSnPb半田から鉛を使用しない無鉛半田に代えられてきている。一般にSnAgCuやSnCuなどのような無鉛半田は、SnPb半田と比較して融点が高くなる傾向にある。
【0053】
電子装置10は、フロー半田方式によって電子装置10の母基板4の裏面4b側から溶融した半田を噴流させて図14(a),(b)に示す接合部8を形成させようとする場合、母基板4の裏面4b側から表面4a側に子基板1の接続片2が挿通された接続孔5の間隙5aに溶融した半田を上昇させる必要がある。
【0054】
しかしながら、無鉛半田は、SnPb半田より融点が高い分だけ半田の温度を高く維持させないと流動性が低下し母基板4の表面4a側にまで十分上がらなくなる傾向が高い。また、半田の温度が高く維持されないと溶融した半田の流動性が低下するだけでなく、母基板4への半田の付着量も多くなる傾向にある。
【0055】
そのため、電子装置10では、フロー半田方式による半田付けにより、半田の切れが悪くなり隣接する第2の接続パターン6,6間で半田ブリッジが生じ易くなる傾向にある。
【0056】
これに対し、電子装置10は、接合部8の形成時に溶融した半田の温度を上げ過ぎると、第1の接続パターン3および配線パターンを介するなどして電子部品20に熱的損傷が生ずる恐れがある。また、電子装置10は、溶融した半田から十分な熱を子基板1の第1の接続パターン3に伝熱させようとすると、フロー半田方式における母基板4の移動速度を低下させざるを得ず量産性が低下する場合もある。
【0057】
本実施形態の電子装置10は、半田流入促進部7を用いて溶融した半田などからより多くの熱を第1の接続パターン3に伝熱させることができる。そのため、電子装置10は、電子部品20に熱的損傷が生ずることを抑制しつつ、無鉛半田を用いても良好な半田接続を得ることが可能となる。また、電子装置10は、フロー半田方式における母基板4の移動速度を低下することなく、量産性よく製造させることもできる。本実施形態の電子装置10は、半田流入促進部7により溶融した半田などからより多くの熱を伝熱させることにより、無鉛半田を用いた場合であって半田ブリッジの発生をより抑制することも可能となる。したがって、電子装置10は、子基板1における各接続片2および母基板4における各接続孔5の間隔をより狭くして、電子装置10の小型化に寄与させることも可能となる。
【0058】
以下、本実施形態の電子装置10を用いた照明装置の点灯装置について説明する。照明装置は、図3に示す回路の一部構成を図2に示す点灯装置で構成している。
【0059】
図2に示す電子装置10は、たとえば、負荷消費電力が略20〜40Wである高圧放電灯用の点灯装置であって、幅W=70mm、長さL=77mmの母基板4の表面4a側に回路を構成する各種の電子部品20が実装されている。点灯装置には、電子部品20の高さと合わせた2枚の矩形平板状の子基板1を母基板4の表面4a側から接続孔5に挿通して構成している。点灯装置は、母基板4の裏面4b側となる半田面を図12と同様にしてフロー半田方式の半田槽に浸漬させることで、母基板4に電子部品20の各リード端子(図示していない)を半田付けしている。また、同時に子基板1と母基板4とを半田付けにより電気的且つ機械的に接続している。点灯装置は、母基板4の裏面4b側から突出する電子部品20のリード端子や母基板4の裏面4b側から突出する各子基板1の接続片2の長さ(たとえば、母基板4の裏面4b側から3mm)を合わせている。点灯装置は、母基板4の下側3mmから一番背の高い電子部品20までの高さHを、たとえば、26mm以下となるように設計している。
【0060】
次に、図2に示した点灯装置を用いた照明装置の回路について、図3を用いて補足説明する。
【0061】
図3に示す点灯装置は、外部の商用電源などの交流電源31がノイズフィルタ回路および電路保護素子を介して整流回路部32におけるダイオードブリッジDBの交流入力端に接続されている。交流電源31からの交流出力は、ダイオードブリッジDBによって直流出力にされ、ダイオードブリッジDBの高圧側にインダクタL3の一端が接続されている。整流回路部32では、ダイオードブリッジDBの直流出力の低圧側と、インダクタL3の他端との間にMOSFETからなるスイッチング素子Q5が接続されている。インダクタL3とスイッチング素子Q5の接続点にはダイオードD5のアノード側が接続されており、ダイオードD5のカソード側とクランド間にはコンデンサC5が接続されている。また、ダイオードブリッジDBから出力される全波整流波形に合わせて整流回路部32のスイッチング素子Q5をオン/オフ制御して、インダクタL3に流れる電流の三角波形のピークが全波整流波形を辿るようにPWM信号をスイッチング素子Q2に送る力率改善制御回路36が設けられている。
【0062】
点灯回路部33では、整流回路部32から供給される直流電力を交流電力に変換して、負荷となる高圧放電灯(以下、放電灯DLという)に供給するために、スイッチング素子Q1〜Q4によりフルブリッジ回路を形成している。スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q3の各一端が高電位側に接続されており、スイッチング素子Q1の他端とスイッチング素子Q2の一端が接続されている。スイッチング素子Q3の他端とスイッチング素子Q4の一端が接続されており、スイッチング素子Q2とスイッチング素子Q4の各他端がクランドに接続されている。負荷電流を制限するために、スイッチング素子Q3,Q4の接続点と、放電灯DLとの間にインダクタL1が直列に接続されており、負荷電流のリップル成分を除去するため放電灯DLと並列にコンデンサC1が接続されている。また、インダクタL1の2次巻線からダイオードD3,D4により全波整流された電圧を制御用IC33aが検出することで、放電灯DLの始動を検出する。
【0063】
制御回路部34は、点灯回路部33を構成するスイッチング素子Q1〜Q4を制御するものであり、制御用IC33aと、駆動回路33b,33cとを備えている。制御用IC33aは、たとえば、マイクロコンピュータで構成されている。駆動回路33b,33cは、マイクロコンピュータの出力信号によりスイッチング素子Q1〜Q4を駆動するドライバICで構成することができる。
【0064】
点灯装置の共振回路部35は、スイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2の接続点と、放電灯DLとの間に直列に接続されたインダクタL2を備えている。共振回路部35は、インダクタL2の巻線の一部に一端を接続させたコンデンサC2と、コンデンサC2の他端に直列に接続された抵抗R1とを備え共振電圧を発生させる。なお、ダイオードD1,D2は、共振回路部35に流れる共振電流が電流検出抵抗R2には流れないようにバイパスさせている。
【0065】
照明装置は、交流電源31からの電力を整流回路部32で整流した後、制御回路部34が点灯回路部33を制御して共振回路部35に接続させた放電灯DLを点灯させることができる。なお、点灯回路部33の電源として、交流電源31とチョッパ回路方式の整流回路部32とを用いる場合について説明したが、点灯回路部33に直流電力を供給できるものであればよく、電池などの直流電源を用いても良い。
【0066】
ここで、上述の照明装置の回路を構成するために用いた図2に示す電子装置10たる点灯装置は、2枚の子基板1が母基板4の外周部に配置されるように、抵抗やチョークコイル等の電子部品20とともに母基板4上に実装させている。ここで、電子装置10は、熱による悪影響を避けたい制御用IC33aなどの電子部品20を子基板1に実装させている。電子装置10は、抵抗やチョークコイル等の自己発熱による温度上昇の高い電子部品20を母基板4に実装している。また、電子装置10は、温度上昇の高い電子部品20を避けた母基板4の外周の端辺に沿って2枚の子基板1を平行に配置している。これにより、電子装置10は、母基板1に実装された電子部品20で生じた熱が子基板1に実装された電子部品20へ悪影響を及ぼすことを抑制することが可能となる。
【0067】
(実施形態2)
本実施形態の電子装置10の基本的な構造は、実施形態1の電子装置10と略同一であり、図1(b)で示した母基板4の裏面4b側から見た矩形状の接続孔5と、矩形状の接続片2との間隙5aにより半田流入促進部7を構成する代わりに、図4(a)に示す長円形状の接続孔5と、矩形状の接続片2との間隙5aにより半田流入促進部7を構成した点が異なる。なお、実施形態1と同様の構成要素には、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0068】
本実施形態の電子装置10は、図4(a)に示すように、接続孔5が子基板1の厚み方向と直交する方向が長径となる長円形状としている。接続孔5は、上記長径の中心部(図示していない仮想点)が接続片2の上記直交する方向における中央部(図示していない仮想点)よりも母基板4の移動方向の前方側(図4における右側)に設けられている。これにより、本実施形態の電子装置10は、長円形状の接続孔5と、矩形状の接続片2との間隙5aにより半田流入促進部7を構成することができる。
【0069】
本実施形態の電子装置10は、実施形態1の電子装置10と同様、図12で示したフロー半田装置によるフロー半田方式により、図4(a),(b)の白抜きの矢印の方向に移動させて図示していない接合部8を形成してある。電子装置10は、母基板4の裏面4b側にあたった半田は、母基板4の接続孔5と、子基板1の接続片2との間隙5aに沿って流れこむ(図4(a),(b)における右側の一点鎖線を参照)。間隙5aに入り込んだ半田は、接続片2の第1の接続パターン3が設けられた子基板1の一表面1a側および他表面1b側の方向にそれぞれ流れ込む。
【0070】
本実施形態の電子装置10は、半田流入促進部7を備えたことで接続片2の第1の接続パターン3に、より多くの半田が供給されるとともに、第1の接続パターン3により多くの熱が伝熱されることになる。そのため、本実施形態の電子装置10は、子基板1の第1の接続パターン3が図12で例示したような上記直交する方向において接続片2より幅が広い導体パターン21を備えていても、第1の接続パターン3全体を略均一に加熱することが可能となる。これにより本実施形態の電子装置10は、母基板4の表面4a側および裏面4b側に、図1(d)と同様な半田フィレット8aを備えた接合部8を形成させることができる。
【0071】
また、本実施形態の電子装置10は、接続孔5の形状を長円形状とすることにより、矩形形状のものと比較して、接合部8の形成時に接続孔5へ溶融した半田の流入が、より滑らかとなる。そのため、本実施形態の電子装置10は、実施形態1の電子装置10に設けた接続孔5と比較して、接続パターン3の加熱をより短時間で均一にさせることが可能となる。
【0072】
ところで、図1や図4で示した電子装置10では、子基板1の接続片2を半田流入促進部7となる間隙5aを備えた母基板4の接続孔5に挿通させている。そのため、電子装置10は、接合部8の形成時に子基板1の接続片2と、母基板4の接続孔5との位置ずれが生じないような固定冶具(図示していない)を別途に用いて固定させてあり、電子装置10の製造工程が煩雑となる。
【0073】
図5(a),(b)に示す本実施形態の他の電子装置10では、子基板1の接続片2が延在する端縁部1cから子基板1の母基板4に対する位置を決めて固定する位置決片9aを設けている。また、母基板4には、子基板1の位置決片9aを挿通して固定可能な位置決片9a用の挿通孔9bを設けている。図5に示す本実施形態の電子装置10は、子基板1の接続片2と、母基板4の接続孔5との位置を固定する位置固定部9を子基板1の端縁部1cから延在した位置決片9aと、位置決片9aの外形形状の大きさと略等しく大きな内径を備え、位置決片9を挿通させる母基板4の挿通孔9bとで構成している。このような、位置固定部9は、一つだけでなく複数個設けてもよい。すなわち、電子装置10の位置固定部9は、接合部8の形成時に子基板1と母基板4との相対的な位置を固定できればよく適宜の構造とすればよい。
【0074】
これにより図5に示す本実施形態の電子装置10は、子基板1の接続片2を母基板4の接続孔5に挿通した際の位置ずれなどが生ずることもなく、接合部8の形成時に別途に子基板1と母基板4との位置を固定させる冶具などを用いなくてもよい。
【0075】
位置決片9aや挿通孔9bの形状は、矩形だけに限られず、円形、楕円形など種々の形状とすることができる。また、子基板1の端縁部1cから延在する位置決片9aは、必ずしも子基板1側と、母基板4側とを電気的に接続させる必要はない。そのため、子基板1の位置決片9aに第1の接続パターン3を形成しなくともよい。また、電子装置10は、子基板1の位置決片9aにも第1の接続パターン3(図示していない)を形成することにより、子基板1側と、母基板4側とを電気的且つ機械的に接続するように構成しても良い。
【0076】
(実施形態3)
本実施形態の電子装置10の基本的な構造は、図1で説明した実施形態1の電子装置10の構造と略同一であり、実施形態1の半田流入促進部7を全ての接続片2に設ける代わりに、図6に示すように、複数個の接続片2のうち、接続片2より幅が広い導体パターン21が延出する第1の接続パターン3が設けられた接続片2が挿通する接続孔5に半田流入促進部7を設けた点が異なる。なお、実施形態1と同様の構成要素には、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0077】
本実施形態の図6に示す電子装置10には、子基板1の接続片2を母基板4の接続孔5に挿通した際に、矩形状の接続片2の第1の接続パターン3が形成されていない側面2a,2bと、接続孔5の対向面4c,4dとの間隙5a,5bが形成されている。本実施形態の電子装置10は、フロー半田方式により母基板4を移動させる移動方向の前方側(図6(a),(b)における右側)の間隙5aが、移動方向の後方側の間隙5bと比較してより大きくなるように形成した半田流入促進部7を有している。
【0078】
本実施形態の電子装置10の半田流入促進部7は、子基板1の導体パターン21からの放熱により、導体パターン21が延出する第1の接続パターン3の温度が導体パターン22が延出する第1の接続パターン3よりも低く、不均一となることを抑制することができる。これにより、本実施形態の電子装置10は、図1(d)と同様に母基板4の表面4a側および裏面4b側に半田フィレット8aを備えた接合部8を形成させることができる。
【0079】
また、本実施形態の電子装置10は、導体パターン21よりも細い導体パターン22が延出する第1の接続パターン3が設けられた接続片2により、位置決片9aなどの位置決め手段を用いることなく、子基板1の接続片2と、母基板4の接続孔5との位置を固定することが可能となる。
【0080】
また、本実施形態の他の電子装置10として、図7に示す電子装置10は、子基板1の複数個の接続片2のうち、接続片2より幅が広い導体パターン21が延出する接続片2を、より細い導体パターン22が延出する接続片2よりも細くしている。これにより、図7に示す電子装置10は、子基板1の接続片2を挿通した際に、接続片2の第1の接続パターン3が形成されていない側面2a,2bと、接続孔5の壁面4d,4cとの間隙5a,5bが、フロー半田方式において、母基板4が移動する移動方向(図7の白抜きの矢印を参照)に対して前方側(図7における右側)の間隙5aが後方側の間隙5bに比較して大きくなる半田流入促進部7を有している。すなわち、図7に示す電子装置10も、図6に示す電子装置10と同様に半田流入促進部7を備えて接合部8の接合信頼性を向上させることができる。
【0081】
本実施形態の電子装置10は、子基板1の第1の接続パターン3と接続された導体パターン21からの放熱により、子基板1の第1の接続パターン3の熱が放熱されることを抑制することが可能となる。また、電子装置10は、子基板1の接続片2における第1の接続パターン3に対し、十分な供給量の半田を確保して図1(d)に示したような半田フィレット8aを備えた接合部8を形成することが可能となる。また、本実施形態の電子装置10は、接続片2とは別途に位置固定部9を設けることなく、より幅が広い接続片2により、子基板1の接続片2と、母基板4の接続孔5への位置を固定することが可能である。
【0082】
(実施形態4)
本実施形態の電子装置10の基本的な構造は、実施形態1の電子装置10と略同一であり、図1(b),(c)で示した間隙5aを半田流入促進部7として用いる代わりに、図8(a)に示す第2の接続パターン6から延出するランド71を半田流入促進部7として用いた点が異なる。なお、実施形態1と同様の構成要素には、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0083】
本実施形態の図8(a),(b)に示す電子装置10は、フロー半田方式による接合部8の形成時に、母基板4の移動方向(図8(a)の白抜きの矢印を参照)の前方側(図8(a)における右側)に延出した半田流入促進用のランド71を半田流入促進部7として設けている。
【0084】
本実施形態の電子装置10は、実施形態1の電子装置10と同様、図12で示したフロー半田装置によるフロー半田方式により、図8(a),(b)の白抜きの矢印の方向に移動させて図示していない接合部8を形成してある。電子装置10は、母基板4の裏面4b側に噴流している半田があたる。電子装置10の移動に伴い半田があたらなくなった電子装置10の接続片2では、冷却に伴い半田が凝固する。
【0085】
ここで、本実施形態の電子装置10は、各接続孔5より先に各接続孔5の周部に設けられた第2の接続パターン6から延出している半田流入促進用のランド71に噴流している半田があたる。電子装置10では、ランド71に半田があたるとランド71に沿って半田が流れ接続孔5の間隙5aへの半田の流入が促進される。その後、母基板4の進行に伴い噴流している半田が接続孔5に直接あたることになる。
【0086】
すなわち、本実施形態の電子装置10は、母基板4の表面3a側に半田流入促進用のランド71を設けることで、溶融した半田が各接続孔5に直接あたるよりも先に半田流入促進用のランド71により接続孔5に供給される。そのため、本実施形態の電子装置10は、第1の接続パターン3に半田が供給される量が多くなる。
【0087】
これにより本実施形態の電子装置10は、図1(d)に示したのと同様な半田フィレット8aを備えた接合部8を形成することができる。
【0088】
また、本実施形態の他の例として図9(a),(b)に示す電子装置10は、複数個の接続片2のうち、上記直交する方向において、少なくとも一部に接続片2より幅が広い導体パターン21が延出する第1の接続パターン3が設けられた接続片2が挿通する接続孔5の第2の接続パターン6にランド71を選択的に設けている。
【0089】
これにより、図9(a),(b)に示す電子装置10は、図8(a)に示す半田流入促進用のランド71を全ての第2の接続パターン6に設ける余裕がない場合であっても、選択的に設けたランド71により半田流入促進部7とすることが可能となる。
【0090】
これにより、本実施形態の電子装置10は、第2の接続パターン6の間隔を等間隔で設ける必要もなく、母基板4における電子部品(図示していない)の実装密度をより高くすることができる。
【0091】
(実施形態5)
本実施形態の電子装置10の基本的な構造は、図8(a)で示した実施形態4の電子装置10の構造と略同一であり、実施形態4の母基板4が移動する移動方向の前方側に延出してなるランド71を半田流入促進部7としている代わりに、図10(a)に示す母基板4の移動方向の前方側に母基板4の配線パターン72を延出させた一部を半田流入促進部7として用いた点が異なる。なお、実施形態4と同様の構成要素には、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0092】
本実施形態の電子装置10は、複数個の接続片2のうち、子基板1の厚み方向と直交する方向において、少なくとも一部に接続片2より幅が広い導体パターン21が延出する第1の接続パターン3が設けられた接続片2が挿通する接続孔5に半田流入促進部7が設けられている(図10(b)を参照)。
【0093】
本実施形態の電子装置10に用いられる半田流入促進部7は、フロー半田方式による接合部8の形成時に、母基板4の移動方向(図10(a)中の白抜の矢印を参照)の前方側(図10(a)における右側)に配線パターン72を延出してなるとともに、配線パターン72の一部を半田促進用のランド71として用いた半田流入促進部7を備えている(図10(a)を参照)。なお、半田流入促進用のランドとして機能する配線パターン72は、図10(a)に示すように各第1の接続パターン3に十分な量の半田を供給するため、隣接する接続孔5間の距離Dの略1/2以上となる上記移動方向の前方側に延在させていることがより好ましい。
【0094】
本実施形態の電子装置10は、半田流入促進部7を備えることにより、図1(d)に示したような半田フィレット8aを備えた接合部8を形成することが可能となる。
【0095】
特に、本実施形態の電子装置10では、実施形態4の図8(a)に示す半田流入促進用のランド71を配線パターン41とは別途に設ける余裕がない場合であっても、母基板4の配線パターン72を利用して半田流入促進部7とすることが可能となる。
【0096】
これにより、本実施形態の電子装置10は、母基板4における電子部品(図示していない)の実装密度をより高くすることが可能となる。
【0097】
なお、本実施形態の電子装置10では、複数個の接続片2のうち導体パターン21が延出する第1の接続パターン3と接続する第2の接続パターン6にだけ半田流入促進部7を形成させているが、全ての第2の接続パターン6から半田流入促進用のランド71として機能する配線パターン72を延出させることもできる。なお、本実施形態の電子装置10は、上記実施形態の電子装置10で説明した異なる半田流入促進部7をそれぞれ組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 子基板(第1のプリント回路基板)
2 接続片
2a,2b 端面
3 第1の接続パターン
4 母基板(第2のプリント回路基板)
4c,4d 対向面
5 接続孔
6 第2の接続パターン
7 半田流入促進部
8 接合部
9 位置固定部
10 電子装置
71 ランド
72 配線パターン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向の両面に第1の接続パターンを設けた複数個の接続片が端縁部から延在する第1のプリント回路基板と、前記接続片それぞれが各別に挿通した複数個の接続孔を有し前記第1のプリント回路基板の前記端縁部側とは反対側に前記第1の接続パターンと電気的に接続される第2の接続パターンを設けた第2のプリント回路基板とを備え、前記第1の接続パターンと前記第2の接続パターンとが半田からなる接合部により電気的且つ機械的に接続された電子装置であって、
前記第2のプリント回路基板は、前記接合部の形成時に前記接続孔へ溶融した前記半田の流入を促進させる半田流入促進部を備えてなることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記接合部は、フロー半田方式により、前記接続片が前記接続孔に挿通された前記第1のプリント回路基板の厚み方向と直交する方向に前記第2のプリント回路基板を移動させて形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記半田流入促進部は、前記接続片の前記直交する方向における端面と、該端面と対向する前記接続孔の前記直交する方向における対向面との間を前記移動方向の後方側に対して前方側を大きくさせた間隙であることを特徴とする請求項2記載の電子装置。
【請求項4】
前記接続孔は、矩形形状をしてなり、該矩形形状の中心部が、前記接続片の前記直交する方向における中央部よりも前記移動方向の前方側に位置してなることを特徴とする請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記接続孔は、前記直交する方向が長径となる長円形状をしてなり、前記長径の中心部が前記接続片の前記直交する方向における中央部よりも前記移動方向の前方側に位置してなることを特徴とする請求項3に記載の電子装置。
【請求項6】
前記接続孔は、円形形状をしてなり、該円形形状の中心部が前記接続片の前記直交する方向における中央部よりも前記移動方向の前方側に位置してなることを特徴とする請求項3に記載の電子装置。
【請求項7】
前記第1のプリント回路基板または前記第2のプリント回路基板の少なくとも一方に前記接続片と前記接続孔との位置を固定する位置固定部を設けたことを特徴とする請求項3ないし請求項6のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項8】
前記半田流入促進部は、前記第2の接続パターンに設けられたランドであることを特徴とする請求項2に記載の電子装置。
【請求項9】
前記ランドは、前記移動方向の前方側に延出してなることを特徴とする請求項8に記載の電子装置。
【請求項10】
前記ランドは、隣接する前記接続孔間の距離の1/2以上となる前記移動方向の前方側に延出してなることを特徴とする請求項9に記載の電子装置。
【請求項11】
前記第2の接続パターンから延出する第2のプリント回路基板の配線パターンを前記移動方向の前方側に引き出すともに、前記配線パターンの一部を前記ランドとして用いてなることを特徴とする請求項8ないし請求項10のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項12】
前記半田流入促進部は、前記第1のプリント回路基板の厚み方向と直交する方向において、少なくとも一部に前記接続片より幅が広い導体パターンが延出する前記第1の接続パターンが設けられた前記接続片が挿通する前記接続孔に設けられてなることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の電子装置を用いた点灯装置。
【請求項14】
請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の電子装置を用いた照明装置。
【請求項1】
厚み方向の両面に第1の接続パターンを設けた複数個の接続片が端縁部から延在する第1のプリント回路基板と、前記接続片それぞれが各別に挿通した複数個の接続孔を有し前記第1のプリント回路基板の前記端縁部側とは反対側に前記第1の接続パターンと電気的に接続される第2の接続パターンを設けた第2のプリント回路基板とを備え、前記第1の接続パターンと前記第2の接続パターンとが半田からなる接合部により電気的且つ機械的に接続された電子装置であって、
前記第2のプリント回路基板は、前記接合部の形成時に前記接続孔へ溶融した前記半田の流入を促進させる半田流入促進部を備えてなることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記接合部は、フロー半田方式により、前記接続片が前記接続孔に挿通された前記第1のプリント回路基板の厚み方向と直交する方向に前記第2のプリント回路基板を移動させて形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記半田流入促進部は、前記接続片の前記直交する方向における端面と、該端面と対向する前記接続孔の前記直交する方向における対向面との間を前記移動方向の後方側に対して前方側を大きくさせた間隙であることを特徴とする請求項2記載の電子装置。
【請求項4】
前記接続孔は、矩形形状をしてなり、該矩形形状の中心部が、前記接続片の前記直交する方向における中央部よりも前記移動方向の前方側に位置してなることを特徴とする請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記接続孔は、前記直交する方向が長径となる長円形状をしてなり、前記長径の中心部が前記接続片の前記直交する方向における中央部よりも前記移動方向の前方側に位置してなることを特徴とする請求項3に記載の電子装置。
【請求項6】
前記接続孔は、円形形状をしてなり、該円形形状の中心部が前記接続片の前記直交する方向における中央部よりも前記移動方向の前方側に位置してなることを特徴とする請求項3に記載の電子装置。
【請求項7】
前記第1のプリント回路基板または前記第2のプリント回路基板の少なくとも一方に前記接続片と前記接続孔との位置を固定する位置固定部を設けたことを特徴とする請求項3ないし請求項6のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項8】
前記半田流入促進部は、前記第2の接続パターンに設けられたランドであることを特徴とする請求項2に記載の電子装置。
【請求項9】
前記ランドは、前記移動方向の前方側に延出してなることを特徴とする請求項8に記載の電子装置。
【請求項10】
前記ランドは、隣接する前記接続孔間の距離の1/2以上となる前記移動方向の前方側に延出してなることを特徴とする請求項9に記載の電子装置。
【請求項11】
前記第2の接続パターンから延出する第2のプリント回路基板の配線パターンを前記移動方向の前方側に引き出すともに、前記配線パターンの一部を前記ランドとして用いてなることを特徴とする請求項8ないし請求項10のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項12】
前記半田流入促進部は、前記第1のプリント回路基板の厚み方向と直交する方向において、少なくとも一部に前記接続片より幅が広い導体パターンが延出する前記第1の接続パターンが設けられた前記接続片が挿通する前記接続孔に設けられてなることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の電子装置を用いた点灯装置。
【請求項14】
請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の電子装置を用いた照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−249547(P2011−249547A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−120948(P2010−120948)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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