説明

電子装置、基材、およびパッドのレイアウト方法

【課題】基板上に電子部品を搭載した構成において、基板と電子部品との間の間隙をむらなく洗浄液で洗浄する。
【解決手段】一面110aに形成された複数のパッド120を含み、一面110aに電子部品を搭載するための基材(110)において、複数のパッド120は、x方向に直線状に配置された複数のパッド120をそれぞれ含む第1のパッド列L1および第2のパッド列L2を含む。第1のパッド列L1および第2のパッド列L2は、y方向に沿って隣接して配置され、第2のパッド列L2は、第1のパッド列L1内で隣接するパッドP1およびパッドP2間のy方向に沿った延長線上に配置されたパッドP3を含み、x方向において、パッドP3の中心位置は、パッドP1およびパッドP2間の中心位置と重ならない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置、基材、およびパッドのレイアウト方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップ等の電子部品を基板等の基材表面にフリップチップ接続で搭載する場合、一般的に、電子部品側の半田と基板との接続は、フラックスを用いたリフロー加熱方式により行われる。リフロー加熱の後、リーク不良やバンプの補強のために、電子部品と基板との間にアンダーフィル樹脂を注入する。しかし、リフロー加熱時に使用したフラックスは、アンダーフィル樹脂の注入を阻害する原因となる。そのため、アンダーフィル樹脂の注入前に、フラックスを洗浄除去する必要がある。しかし、電子部品と基板との間の間隙は、数十μm〜100μm程度と狭い。また、電子部品と基板との間には複数のパッドやバンプが二次元配置されている。そのため、洗浄液で洗浄する際に、洗浄液の流れにむらが発生しやすく、電子部品と基板との間の間隙をまんべんなく洗浄するのは困難だった。
【0003】
特許文献1(特開平10−303516号公報)には、はんだバンプを有する電子部品の実装に使用するプリント配線板において、実装する上記電子部品の投影領域に回路と接続しない貫通孔を設けることが記載されている。これにより、はんだバンプを有する電子部品をはんだ付けする時に発生するミストや排気ガスを流れやすくし、はんだ付け部への巻き込みをなくしたり、また、フラックス残渣やマイクロボールを洗浄しやすくしてとり除くことができるとされている。
【0004】
特許文献2(特開2001−068797号公報)には、電子部品を配線基板に実装した電子部品実装構造において、配線基板または電子部品のいずれか一方または両者に洗浄液通過構造を設けた構成が記載されている。これにより、フラックス洗浄での洗浄効率を上げ、フラックス残渣を低減するとともに、洗浄時間の短縮及び洗浄強度の低減につなげることで電子部品や実装部への損傷を防止することができる、とされている。
【0005】
特許文献3(特開平05−062978号公報)には、複数の円形状をなす各バンプが、等ピッチの千鳥格子状に配置された構成のフリップチップが記載されている。これにより、従来のパッドレイアウトルールを破ることなくパッドすなわちバンプの配置密度を上げて半導体チップとしての機能を向上させて生産性の向上を図ることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−303516号公報
【特許文献2】特開2001−068797号公報
【特許文献3】特開平05−062978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、たとえば特許文献1や特許文献2に記載されたように基板に貫通穴や溝を設ける構成では、基板上での信号配線領域が制限され、配線性の低下が発生する。また、基板上に貫通穴や溝を設けるために、基板への追加加工や特殊加工を行う必要があり、製造コストがかかるという問題もある。
【0008】
さらに、従来、電子部品と基板とを接続するためのパッドは、たとえば特許文献2に記載されたような縦横に整列した配置や、特許文献3に記載されたような千鳥格子配置となっていた。しかし、このような構成では、洗浄液を流したときに、パッドの陰となり、洗浄液の流れが悪い部分ができてしまう。この様子を図12および図13を参照して説明する。
【0009】
図12は、半導体チップ等の電子部品が搭載される基板10の一面10aの一例を示す平面図である。ここで、基板10の一面10aの電子部品配置領域52には、複数のパッド20が縦横に整列して配置されている。このような構成において、矢印で示したように、図中上方側から洗浄液が流れて来る場合、図中星で示した箇所は、パッド20の陰になって、洗浄液の流れが低下してしまう。そのため、これらの箇所で、フラックスの洗浄残りが生じるおそれがある。
【0010】
図13は、半導体チップ等の電子部品が搭載される基板10の一面10aの他の例を示す平面図である。ここで、基板10の一面10aの電子部品配置領域52には、複数のパッド20が千鳥格子配置されている。ここで、下流側のパッド20は、上流側のパッド列内で隣接するパッド20間の中心位置と重なるような配置となっており、複数のパッド20は、図中斜め方向(z方向)に直線状に配列されている。
【0011】
このような構成において、矢印で示したように、図中上方側から洗浄液が流れて来ると、洗浄液の流れに対して上流側のパッド列内のパッド20間を流れてきた洗浄液は、下流側のパッド20に当たる。これにより、洗浄液の流れが変わり分離する。しかし、複数のパッド20が、図中z方向に直線状に配列されているため、洗浄液が下流側のパッド20に当たって流れが変わっても、その洗浄液の流れがz方向に流れてしまい、さらに下流側のパッド20に当たらなくなってしまう。そのため、たとえば図中星で示した箇所は、洗浄液の流れに対してパッド20の陰になってしまい、洗浄液の流れが低下してしまう。そのため、これらの箇所で、フラックスの洗浄残りが生じるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、
一面に複数のパッドが形成された基材と、
当該基材の前記一面上に搭載され、前記パッドを介して前記基材と電気的に接続された電子部品と、
を含み、
前記複数のパッドは、第1の方向に直線状に配置された複数のパッドをそれぞれ含む第1のパッド列および第2のパッド列を含み、
前記第1のパッド列および前記第2のパッド列は、前記第1の方向と垂直な第2の方向に沿って隣接して配置され、
前記第2のパッド列は、前記第1のパッド列内で隣接する第1のパッドおよび第2のパッド間の前記第2の方向に沿った延長線上に配置された第3のパッドを含み、
前記第1の方向において、前記第3のパッドの中心位置は、前記第1のパッドおよび前記第2のパッド間の中心位置と重ならない電子装置が提供される。
【0013】
本発明によれば、
一面に形成された複数のパッドを含み、当該一面に電子装置を搭載するための基材であって、
前記複数のパッドは、第1の方向に直線状に配置された複数のパッドをそれぞれ含む第1のパッド列および第2のパッド列を含み、
前記第1のパッド列および前記第2のパッド列は、前記第1の方向と垂直な第2の方向に沿って隣接して配置され、
前記第2のパッド列は、前記第1のパッド列内で隣接する第1のパッドおよび第2のパッド間の前記第2の方向に沿った延長線上に配置された第3のパッドを含み、
前記第1の方向において、前記第3のパッドの中心位置は、前記第1のパッドおよび前記第2のパッド間の中心位置と重ならない基材が提供される。
【0014】
本発明によれば、
基材と当該基材の一面に搭載される電子部品とを接続するための複数のパッドのレイアウト方法であって、
前記複数のパッドを、第1の方向に直線状に配置された複数のパッドをそれぞれ含む第1のパッド列および第2のパッド列を、前記第1の方向と垂直な第2の方向に沿って隣接して配置し、
前記第2のパッド列が、前記第1のパッド列内で隣接する第1のパッドおよび第2のパッド間の前記第2の方向に沿った延長線上に配置された第3のパッドを含み、
前記第1の方向において、前記第3のパッドの中心位置が、前記第1のパッドおよび前記第2のパッド間の中心位置と重ならないようにするパッドのレイアウト方法が提供される。
【0015】
この構成によれば、第1のパッド列の方向から洗浄液が流れて来る場合に、洗浄液の進行方向から見て、下流側の第2のパッド列のパッドに洗浄液が当たることにより、上流側のパッド列のパッドの陰となっていた部分にも洗浄液が回りこむ。つまり、下流パッド列のパッドが洗浄液の流れの方向を変える起点となる。また、下流側のパッドに当たった洗浄液の流れは、非対称に分離する。そのため、洗浄液の流れがパッドの間を網目のように巡り、洗浄液がパッド間をむらなく流れるようにすることができる。これにより、パッド周辺のフラックス洗浄を良好に行うことができ、洗浄時間の短縮と製品の信頼性向上を図ることができる。
【0016】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、基材上に電子部品を搭載する構成において、基材と電子部品との間の間隙をむらなく洗浄液で洗浄して、フラックス残渣等が残らないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態における基板の一面に形成された複数のパッドのレイアウトの一例を示す平面図である。
【図2】図1の半導体チップ配置領域を拡大して示す平面図である。
【図3】図1の半導体チップ配置領域を拡大して示す平面図である。
【図4】本発明の実施の形態における半導体装置の構成の一例を示す平面図である。
【図5】図4のa−a断面図である。
【図6】図1から図3を参照して説明した基板のパッドに対応する複数のパッドが設けられた半導体チップの一面のレイアウトの一例を示す平面図である。
【図7】本発明の実施の形態における基板の一面に形成された複数のパッドのレイアウトの他の例を示す平面図である。
【図8】本発明の実施の形態における基板の一面に形成された複数のパッドのレイアウトの他の例を示す平面図である。
【図9】本発明の実施の形態における基板の一面に形成された複数のパッドのレイアウトの他の例を示す平面図である。
【図10】本発明の実施の形態における基板の一面に形成された複数のパッドのレイアウトの他の例を示す平面図である。
【図11】本発明の実施の形態における基板の一面に形成された複数のパッドのレイアウトの他の例を示す平面図である。
【図12】従来のパッドのレイアウトの問題点を示す図である。
【図13】従来のパッドのレイアウトの問題点を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様の構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0020】
本実施の形態において、電子部品が半導体チップであり、電子装置が半導体装置である場合を例として説明する。
図4および図5は、本実施の形態における半導体装置(電子装置)の構成の一例を示す図である。図4は、半導体装置100の平面図、図5は、図4のa−a断面図である。
半導体装置100は、一面110aに複数のパッド120が形成された基板110(基材)と、基板110の一面110a上に搭載された半導体チップ150(電子部品)とを含む。基板110は、複数の配線層が接続された多層配線基板とすることができる。
【0021】
基板110の一面110aと対向する半導体チップ150の一面150aには、複数のパッド160が形成されている。本実施の形態において、半導体チップ150のパッド160は、平面視で、半導体チップ150のほぼ全面に二次元配置されたエリアバンプとすることができる。
【0022】
本実施の形態において、半導体チップ150は、一面150aに形成されたパッド160が、基板110の一面110aのパッド120と向かい合わせで接続されたFlip Chip(フリップチップ、FC)型とすることができる。本実施の形態において、半導体チップ150のパッド160と基板110のパッド120とはバンプ170を介して接続されている。つまり、半導体チップ150は、パッド160、バンプ170、およびパッド120を介して基板110と電気的に接続されている。
【0023】
このような構成の半導体装置100は、基板110上に半導体チップ150を配置した後、基板110のパッド120と半導体チップ150のパッド160とを、半田バンプ等のバンプ170で接続することにより製造される。ここで、パッド120とパッド160とのバンプ170による接続は、フラックスを用いたリフロー加熱方式により行うことができる。リフロー加熱の後、アンダーフィル樹脂の注入前に、フラックスを洗浄除去する。フラックスを良好に洗浄除去することにより、アンダーフィル樹脂の注入を良好に行うことができる。本実施の形態において、基板110のパッド120および半導体チップ150のパッド160のレイアウトを工夫して、基板110上に半導体チップ150を配置してリフロー加熱でバンプ170により半導体チップ150と基板110とを製造した後のフラックスの洗浄を良好に行うようにしている。
【0024】
図1は、本実施の形態における基板110の一面110aに形成された複数のパッド120のレイアウトの一例を示す平面図である。半導体チップ配置領域152は、半導体チップ150が搭載される領域である。
【0025】
複数のパッド120は、図中x方向(第1の方向)に直線状に配置された複数のパッド120をそれぞれ含む複数のパッド列を含む。ここでは、先頭パッド列L0、第1のパッド列L1、第2のパッド列L2、第3のパッド列L3、および第4のパッド列L4を示す。これらのパッド列は、x方向と垂直な図中y方向(第2の方向)に沿ってこの順で隣接して配置されている。ここで、先頭パッド列L0は、端部に位置し、洗浄液が最初に当たるパッド列である。また、ここでは各パッド列がそれぞれ5つのパッド120を含む例を示しているが、各パッド列が含むパッド120の数は、適宜設定することができる。また、パッド列の数も適宜設定することができる。
【0026】
また、以下では、洗浄液の進行方向(図中下方向)に沿って、洗浄液が先に当たるあるパッド列を上流パッド列、当該上流パッド列に隣接して次に洗浄液が当たるパッド列を下流パッド列という。本実施の形態において、複数のパッド120は、上流パッド列内で隣接する第1のパッドおよび第2のパッドと、下流パッド列において、第1のパッドおよび第2のパッド間のy方向に沿った延長線上に配置された第3のパッドとを含み、x方向において、第3のパッドの中心位置は、第1のパッドおよび第2のパッド間の中心位置と重ならない配置となっている。ここで、第1のパッドおよび第2のパッド間の中心位置とは、第1のパッドと第2のパッドとがそれぞれ対向する端部間の中心位置、すなわち、第1のパッドと第2のパッドとの間に形成される洗浄液の流路の中心位置とすることができる。つまり、本実施の形態において、パッド120は、下流パッド列において、上流パッド列内で隣接するパッド間の流路にぶつかるとともに、当該流路の中心からずれた位置にパッドを配置した構成となっている。
【0027】
なお、本実施の形態において、すべてのパッド120が、x方向において等ピッチで配置された構成とすることができる。また、本実施の形態において、すべてのパッド120は同じ大きさに形成された構成とすることができる。
【0028】
また、すべてのパッド120が、上述した第1のパッド、第2のパッド、および第3のパッドと同様の配置関係に配置された構成とすることができる。つまり、本実施の形態において、複数のパッド120を洗浄液で洗浄する際の洗浄液の流れの下流に配置された下流パッド列は、当該下流パッド列と隣接して洗浄液の流れの上流に配置された上流パッド列内で隣接する第4のパッドおよび第5のパッド間のy方向に沿った延長線上に配置された第6のパッドをそれぞれ含み、x方向において、各第6のパッドの中心位置は、対応する各第4のパッドおよび各第5のパッド間の中心位置と重ならない構成とすることができる。第4のパッド、第5のパッド、および第6のパッドの配置関係は、第1のパッド、第2のパッド、および第3のパッドの配置関係に対応する。
【0029】
図2および図3は、図1の基板110の半導体チップ配置領域152を拡大して示す平面図である。
まず、図2を参照して説明する。ここで、「上流パッド列」を第1のパッド列L1、「下流パッド列」を第2のパッド列L2として説明する。また、説明のために、第1のパッド列L1列内で隣接するパッド120をパッドP1およびパッドP2、第2のパッド列L2内に含まれ、パッドP1およびパッドP2とそれぞれ隣接するパッド120をそれぞれパッドP4およびパッドP3と区別して示す。
【0030】
第2のパッド列L2のパッドP3は、第1のパッド列L1内で隣接するパッドP1およびパッドP2間のy方向に沿った延長線上に配置されている。一方、x方向において、パッドP3の中心位置C3は、パッドP1およびパッドP2間の中心位置C12と重ならない。本実施の形態において、パッドP3の中心位置C3は、パッドP1およびパッドP2間の中心位置C12からx方向の図中右側にずれた配置となっている。また、x方向において、パッドP3の中心位置C3とパッドP2の中心位置C2、およびパッドP4の中心位置C4とパッドP1の中心位置C1もそれぞれ重ならない構成となっている。
【0031】
また、ここで、x方向において、第2のパッド列L2のパッドP4およびパッドP3間の中心位置C34は、パッドP1およびパッドP2間の中心位置C12と重ならない。
以上のように、本実施の形態において、第3のパッドの中心位置は、第1のパッドおよび第2のパッド間の中心位置と重ならない配置となっている。このような構成により、本実施の形態において、複数のパッド120は、洗浄液の進行方向であるy方向において、洗浄液の流路が直線状に形成されないようになっている。
【0032】
図3に、本実施の形態における洗浄液の流れを矢印で示す。ここでは、説明のために、第3のパッド列L3に含まれ、パッドP3と隣接するパッド120もパッドP5と区別して示す。
このような配置により、第1のパッド列L1のパッドP1とパッドP2との間を流れて来た洗浄液は、第2のパッド列L2のパッドP3に必ず当たり、洗浄液の流れの方向が変わることになる。本実施の形態において、第2のパッド列L2のパッドP3の中心位置が第1のパッド列L1のパッドP1およびパッドP2間の中心位置からずれているために、洗浄液がパッドP3に当たると、洗浄液の流れが図中x方向に非対称に分離する。このときに、洗浄液の進行方向から見て第1のパッド列L1のパッドの陰となっていた部分にも洗浄液が回りこむ。
【0033】
また、洗浄液がパッドP3に当たると、洗浄液の流れは、第2のパッド列L2中でパッドP3にそれぞれ隣接するパッドP4等の側面に当たる方向に非対称に分離する。そのため、洗浄液の流れがパッドP4等に当たると、さらに洗浄液の流れが分離する。他のパッド120においても同様に洗浄液の流れが変わり、洗浄液の流れが非対称に分離する。そして、それぞれ強さが不均衡な洗浄液の流れが合流して、洗浄液の流れの方向が再び変わる。たとえば、第2のパッド列L2のパッドP4に当たって図中右側に分離した洗浄液の流れとパッドP3に当たって図中左側に分離した洗浄液の流れとが合流して、パッドP3とパッドP4との間を流れ、次の第3のパッド列L3のパッドP5に当たり、洗浄液の流れの方向がまた変わる。
【0034】
本実施の形態において、下流パッド列のパッド120が洗浄液の流れの方向を変える起点となり、洗浄液の分離および合流がランダムに繰り返され、洗浄液の流れがパッド120の間を網目のように巡り、洗浄液がパッド120の間をむらなく流れるようにすることができる。そのため、パッド120周辺のフラックス洗浄を良好に行うことができ、洗浄時間の短縮と製品の信頼性向上を図ることができる。
【0035】
図6は、図1に示す基板110の一面110aに形成されたパッド120に対応する複数のパッド160が設けられた半導体チップ150の一面150aのレイアウトの一例を示す平面図である。ここで、基板110のパッド120のうち、図3のパッドP1からパッドP5に対応するパッド160をそれぞれパッドT1からパッドT5として示している。
【0036】
本実施の形態において、半導体チップ150の複数のパッド160も、基板110の複数のパッド120に対応する配置となっている。すなわち、「下流パッド列」のパッドT3は、洗浄液が先に当たる「上流パッド列」内で隣接するパッドT1およびパッドT2間のy方向に沿った延長線上に配置されている。一方、x方向において、パッドT3の中心位置は、パッドT1およびパッドT2間の中心位置と重ならない。つまり、本実施の形態において、パッドT3の中心位置は、パッドT1およびパッドT2間の中心位置からx方向の図中左側にずれた配置となっている。
【0037】
以上のように、本実施の形態におけるパッド120およびパッド160の配置によれば、洗浄液の進行方向から見て、下流側のパッド120(およびバンプ170、パッド160、以下同じ)に洗浄液が当たることにより、上流側のパッド列のパッド120の陰となっていた部分にも洗浄液が回りこむ。本実施の形態において、下流パッド列のパッド120が洗浄液の流れの方向を変える起点となり、洗浄液の流れがパッド120の間を網目のように巡り、洗浄液がパッド120間をむらなく流れるようにすることができる。そのため、パッド120周辺のフラックス洗浄を良好に行うことができ、洗浄時間の短縮と製品の信頼性向上を図ることができる。
【0038】
また、本実施の形態において、たとえば特許文献1や特許文献2に記載されたように基板に貫通穴や溝を設けることなく、パッドのレイアウトを工夫するだけで、洗浄液の流れのむらを改善することができる。これにより、基板への追加加工や特殊加工を行う必要もなく、基板上での信号配線領域の制限や、配線性の低下を防ぐことができるとともに、製造コストの上昇を防ぐこともできる。
【0039】
次に、基板110のパッド120および半導体チップ150のパッド160のレイアウトの他の例を説明する。
【0040】
図7および図8は、本実施の形態における基板110の一面110aに形成された複数のパッド120のレイアウトの他の例を示す平面図である。
これらの例でも、複数のパッド120は、上述した第1のパッド、第2のパッド、および第3のパッドと同様の配置関係に配置された構成とすることができる。つまり、複数のパッド120は、ある上流パッド列内で隣接する第1のパッドおよび第2のパッドと、下流パッド列において、第1のパッドおよび第2のパッド間のy方向に沿った延長線上に配置された第3のパッドとを含み、x方向において、第3のパッドの中心位置は、第1のパッドおよび第2のパッド間の中心位置と重ならない配置となっている。
【0041】
なお、これらの例でも、すべてのパッド120が、x方向において等ピッチで配置された構成とすることができる。また、すべてのパッド120が、上述した第1のパッド、第2のパッド、および第3のパッドと同様の配置関係に配置された構成とすることができる。
【0042】
まず、図7の構成を説明する。図7においても説明のために、上述したのと同様、第1のパッド列L1列内で隣接するパッド120をパッドP1およびパッドP2、第2のパッド列L2内に含まれ、パッドP1およびパッドP2とそれぞれ隣接するパッド120をそれぞれパッドP4およびパッドP3、第3のパッド列L3に含まれ、パッドP3と隣接するパッド120をパッドP5と区別して示す。
【0043】
第2のパッド列L2のパッドP3は、第1のパッド列L1内で隣接するパッドP1およびパッドP2間のy方向に沿った延長線上に配置されている。一方、パッドP3の中心位置は、パッドP1およびパッドP2間の中心位置からx方向の図中右側にずれた配置となっている。
【0044】
また、本例では、奇数列である先頭パッド列L0に含まれる複数のパッド120と第2のパッド列L2に含まれる複数のパッド120とは、それぞれx方向において重なる位置に配置されている。同様に、偶数列である第1のパッド列L1に含まれる複数のパッド120と第3のパッド列L3に含まれる複数のパッド120とは、それぞれx方向において重なる位置に配置されている。
【0045】
また、ここでは図示していないが、半導体チップ150の一面150aにも、半導体装置100の複数のパッド120に対応するレイアウトの複数のパッド160が設けられている。
【0046】
このような配置においても、図3を参照して説明したのと同様に、洗浄液の流れがパッド120の間を網目のように巡り、洗浄液がパッド120間をむらなく流れるようにすることができ、洗浄性を向上させることができる。
【0047】
次に、図8の構成を説明する。図8においても説明のために、上述したのと同様、第1のパッド列L1列内で隣接するパッド120をパッドP1およびパッドP2、第2のパッド列L2内に含まれ、パッドP1およびパッドP2とそれぞれ隣接するパッド120をそれぞれパッドP4およびパッドP3、第3のパッド列L3に含まれ、パッドP4と隣接するパッド120をパッドP5と区別して示す。
【0048】
第2のパッド列L2のパッドP4は、第1のパッド列L1内で隣接するパッドP1およびパッドP2間のy方向に沿った延長線上に配置されている。一方、パッドP4の中心位置は、パッドP1およびパッドP2間の中心位置からx方向の図中左側にずれた配置となっている。
【0049】
また、ここでは図示していないが、半導体チップ150の一面150aにも、半導体装置100の複数のパッド120に対応するレイアウトの複数のパッド160が設けられている。
【0050】
このような配置においても、図3を参照して説明したのと同様に、洗浄液の流れがパッド120の間を網目のように巡り、洗浄液がパッド120間をむらなく流れるようにすることができ、洗浄性を向上させることができる。
【0051】
図9は、本実施の形態における基板110の一面110aに形成された複数のパッド120のレイアウトの他の例を示す平面図である。
ここで、先頭パッド列L0のパッド120と第1のパッド列L1のパッド120との配置関係を除いて、第1のパッド列L1のパッド120と第2のパッド列L2のパッド120との配置関係、および第2のパッド列L2以降の上流パッド列のパッド120と下流パッド列のパッド120パッド列のパッド120の配置関係は、上述した第1のパッド、第2のパッド、および第3のパッドと同様の配置関係に配置された構成とすることができる。つまり、複数のパッド120は、ある上流パッド列内で隣接する第1のパッドおよび第2のパッドと、下流パッド列において、第1のパッドおよび第2のパッド間のy方向に沿った延長線上に配置された第3のパッドとを含み、x方向において、第3のパッドの中心位置は、第1のパッドおよび第2のパッド間の中心位置と重ならない配置となっている。
【0052】
しかし、本例において、先頭パッド列L0が上流パッド列、第1のパッド列L1が下流パッド列である場合の配置関係は、上述した第1のパッド、第2のパッド、および第3のパッドと同様の配置関係とはなっていない。ここでは、説明のために、先頭パッド列L0に含まれるパッド120をパッドP6、パッドP7、およびパッドP8と区別して示す。
【0053】
ここで、たとえば、第1のパッド列L1のパッドP1は、中心位置が先頭パッド列L0のパッドP6およびパッドP7間の中心位置と重なる配置とすることができる。また、第1のパッド列L1のパッドP2は、中心位置が先頭パッド列L0のパッドP7およびパッドP8間の中心位置と重なる配置とすることができる。つまり、本例において、第1のパッド列L1のパッド120は、先頭パッド列L0のパッド120に対して、千鳥格子配置となっている。
【0054】
このような構成としても、本例において、たとえば第2のパッド列L2のパッドP3は、第1のパッド列L1内で隣接するパッドP1およびパッドP2間のy方向に沿った延長線上に配置されるとともに、パッドP3の中心位置は、パッドP1およびパッドP2間の中心位置からx方向の図中右側にずれた配置となっている。そのため、本例においても、第1のパッド列L1のパッドP1とパッドP2との間を流れて来た洗浄液は、第2のパッド列L2のパッドP3に必ず当たり、洗浄液の流れの方向が変わることになる。ここで、第2のパッド列L2のパッドP3の中心位置が第1のパッド列L1のパッドP1およびパッドP2間の中心位置からずれているために、洗浄液がパッドP3に当たると、洗浄液の流れが図中x方向に非対称に分離する。第2のパッド列L2以降の他のパッド120においても同様に洗浄液の流れが変わり、洗浄液の流れが非対称に分離する。そして、それぞれ強さが不均衡な洗浄液の流れが合流して、洗浄液の流れの方向が再び変わる。
【0055】
これにより、本例においても、洗浄液の流れがパッド120の間を網目のように巡り、洗浄液がパッド120間をむらなく流れるようにすることができ、洗浄性を向上させることができる。
【0056】
図10および図11は、本実施の形態における基板110の一面110aに形成された複数のパッド120のレイアウトのまた他の例を示す平面図である。
図1から図3に示した例では、すべてのパッド120が、x方向において等ピッチで配置された構成を示した。しかし、各パッド列に含まれる複数のパッド120は、ピッチが異なる配置とすることもできる。たとえば、図1から図3に示したパッドのレイアウトにおいて、一部のパッドが除去された構成とすることもできる。
【0057】
図10に示した例では、図1から図3に示した例に比べて、先頭パッド列L0のパッド120の一部が除去された配置となっている。このように先頭パッド列L0のパッド120の一部を除去した構成としても、パッド120が除去された箇所では洗浄液の流れが大きくなり、洗浄液は下流の第1のパッド列L1のすべてのパッド120に当たる。これにより、先頭パッド列L0のパッド120の陰となっていた部分にも洗浄液が回りこむ。また、第1のパッド列L1のパッド120に当たることにより分離した洗浄液の流れが第2のパッド列L2のパッド120にも当たり、第1のパッド列L1のパッド120の陰となっていた部分にも洗浄液が回りこむ。以降、同様の手順で、洗浄液の流れがパッド120の間を網目のように巡り、洗浄液がパッド120間をむらなく流れるようにすることができる。そのため、パッド120周辺のフラックス洗浄を良好に行うことができ、洗浄時間の短縮と製品の信頼性向上を図ることができる。
【0058】
同様に、図11に示した例では、図10に示した例に比べて、さらに第1のパッド列L1および第2のパッド列L2のパッド120の一部も除去された配置となっている。このような構成としても、パッド120が除去された箇所では、洗浄液の流れが大きくなり、洗浄液が下流のすべてのパッド120に当たるようにすることができる。これにより、洗浄液の流れがパッド120の間を網目のように巡り、洗浄液がパッド120間をむらなく流れるようにすることができる。そのため、パッド120周辺のフラックス洗浄を良好に行うことができ、洗浄時間の短縮と製品の信頼性向上を図ることができる。
【0059】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0060】
なお、半導体チップ150の複数のパッド160は、それぞれ基板110の複数のパッド120に対応する位置に設けられるが、必ずしもすべてのパッドが対応していなくてもよい。たとえば図10および図11を参照して説明した構成のように、パッド120またはパッド160の一部が除去された構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0061】
100 半導体装置
110 基板
110a 一面
120 パッド
150 半導体チップ
150a 一面
152 半導体チップ配置領域
160 パッド
170 バンプ
L0 先頭パッド列
L1 第1のパッド列
L2 第2のパッド列
L3 第3のパッド列
L4 第4のパッド列
P1〜P8 パッド
T1〜T5 パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面に複数のパッドが形成された基材と、
当該基材の前記一面上に搭載され、前記パッドを介して前記基材と電気的に接続された電子部品と、
を含み、
前記複数のパッドは、第1の方向に直線状に配置された複数のパッドをそれぞれ含む第1のパッド列および第2のパッド列を含み、
前記第1のパッド列および前記第2のパッド列は、前記第1の方向と垂直な第2の方向に沿って隣接して配置され、
前記第2のパッド列は、前記第1のパッド列内で隣接する第1のパッドおよび第2のパッド間の前記第2の方向に沿った延長線上に配置された第3のパッドを含み、
前記第1の方向において、前記第3のパッドの中心位置は、前記第1のパッドおよび前記第2のパッド間の中心位置と重ならない電子装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子装置において、
前記第1のパッド列および前記第2のパッド列は、前記複数のパッドを洗浄液で洗浄する際の洗浄液の流れの上流側からこの順で配置された電子装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電子装置において、
前記複数のパッドは、前記第1の方向に直線状に配置された複数のパッドをそれぞれ含み、前記第2の方向に沿って配置された複数のパッド列をさらに含み、
前記複数のパッドを洗浄液で洗浄する際の洗浄液の流れの下流に配置された下流パッド列は、当該下流パッド列と隣接して前記洗浄液の流れの上流に配置された上流パッド列内で隣接する第4のパッドおよび第5のパッド間の前記第2の方向に沿った延長線上に配置された第6のパッドをそれぞれ含み、
前記第1の方向において、各前記第6のパッドの中心位置は、対応する各前記第4のパッドおよび各前記第5のパッド間の中心位置と重ならない電子装置。
【請求項4】
請求項1から3いずれかに記載の電子装置において、
前記電子部品は、前記基材の前記一面と対向する面において、前記基材の前記第1のパッド、前記第2のパッド、および前記第3のパッドにそれぞれ対応する位置に設けられた複数のパッドを含む電子装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電子装置において、
前記基材の前記パッドと前記電子部品の前記パッドとは、それぞれバンプを介して接続された電子装置。
【請求項6】
一面に形成された複数のパッドを含み、当該一面に電子装置を搭載するための基材であって、
前記複数のパッドは、第1の方向に直線状に配置された複数のパッドをそれぞれ含む第1のパッド列および第2のパッド列を含み、
前記第1のパッド列および前記第2のパッド列は、前記第1の方向と垂直な第2の方向に沿って隣接して配置され、
前記第2のパッド列は、前記第1のパッド列内で隣接する第1のパッドおよび第2のパッド間の前記第2の方向に沿った延長線上に配置された第3のパッドを含み、
前記第1の方向において、前記第3のパッドの中心位置は、前記第1のパッドおよび前記第2のパッド間の中心位置と重ならない基材。
【請求項7】
請求項6に記載の基材において、
前記第1のパッド列および前記第2のパッド列は、前記複数のパッドを洗浄液で洗浄する際の洗浄液の流れの上流側からこの順で配置された基材。
【請求項8】
請求項7に記載の基材において、
前記複数のパッドは、前記第1の方向に直線状に配置された複数のパッドをそれぞれ含み、前記第2の方向に沿って配置された複数のパッド列をさらに含み、
前記複数のパッドを洗浄液で洗浄する際の洗浄液の流れの下流に配置された下流パッド列は、当該下流パッド列と隣接して前記洗浄液の流れの上流に配置された上流パッド列内で隣接する第4のパッドおよび第5のパッド間の前記第2の方向に沿った延長線上に配置された第6のパッドをそれぞれ含み、
前記第1の方向において、各前記第6のパッドの中心位置は、対応する各前記第4のパッドおよび各前記第5のパッド間の中心位置と重ならない基材。
【請求項9】
基材と当該基材の一面に搭載される電子部品とを接続するための複数のパッドのレイアウト方法であって、
前記複数のパッドを、第1の方向に直線状に配置された複数のパッドをそれぞれ含む第1のパッド列および第2のパッド列を、前記第1の方向と垂直な第2の方向に沿って隣接して配置し、
前記第2のパッド列が、前記第1のパッド列内で隣接する第1のパッドおよび第2のパッド間の前記第2の方向に沿った延長線上に配置された第3のパッドを含み、
前記第1の方向において、前記第3のパッドの中心位置が、前記第1のパッドおよび前記第2のパッド間の中心位置と重ならないようにするパッドのレイアウト方法。
【請求項10】
請求項9に記載のパッドのレイアウト方法において、
前記第1のパッド列および前記第2のパッド列を、前記複数のパッドを洗浄液で洗浄する際の洗浄液の流れの上流側からこの順で配置するパッドのレイアウト方法。
【請求項11】
請求項10に記載のパッドのレイアウト方法において、
前記第1の方向に直線状に配置された複数のパッドをそれぞれ含み、前記第2の方向に沿って配置された複数のパッド列をさらに配置し、
前記複数のパッドを洗浄液で洗浄する際の洗浄液の流れの下流に配置された下流パッド列が、当該下流パッド列と隣接して前記洗浄液の流れの上流に配置された上流パッド列内で隣接する第4のパッドおよび第5のパッド間の前記第2の方向に沿った延長線上に配置された第6のパッドをそれぞれ含み、
前記第1の方向において、各前記第6のパッドの中心位置が、対応する各前記第4のパッドおよび各前記第5のパッド間の中心位置と重ならないようにするパッドのレイアウト方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−151152(P2011−151152A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10483(P2010−10483)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】