説明

電子部品の製造方法

【課題】外部電極層上にめっき層を均一な厚さで形成することができ、製品歩留まりを向上させることができる電子部品の製造方法を提供すること。
【解決手段】焼成前のセラミック材料を用いて板状に形成された多数個取り用の未焼成セラミック積層体159を準備する。未焼成セラミック積層体159において、個々のセラミックコンデンサ101に分割するためのブレイク溝163,164を形成することにより、製品領域を平面方向に沿って縦横に区分する。ブレイク溝163,164が交差する部分に面取り用ブレイク溝165を形成する。面取り用ブレイク溝165によって画定される面取り用分割線L2で囲まれた略矩形状の領域は、分割工程後に捨て材となる非製品領域R2であり、非製品領域R2とコンデンサ形成領域R1とで外部電極層が電気的に接続された状態で面取り用ブレイク溝165が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1主面及び第2主面を有する板状であり、四箇所の角部に面取り部を有する平面視で略矩形状のセラミック基体部と、セラミック基体部における第1主面及び第2主面の少なくとも一方の主面上に形成される外部電極層とを備えた電子部品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータのマイクロプロセッサ等として使用される半導体集積回路素子(ICチップ)は、近年ますます高速化、高機能化しており、これに付随して端子数が増え、端子間ピッチも狭くなる傾向にある。一般的にICチップの底面には多数の端子が密集してアレイ状に配置されており、このような端子群はマザーボード側の端子群に対してフリップチップの形態で接続される。ただし、ICチップ側の端子群とマザーボード側の端子群とでは端子間ピッチに大きな差があることから、ICチップをマザーボード上に直接的に接続することは困難である。そのため、通常はICチップをICチップ搭載用配線基板上に搭載してなるパッケージを作製し、そのパッケージをマザーボード上に搭載するという手法が採用される。この種のパッケージを構成するICチップ搭載用配線基板においては、ICチップのスイッチングノイズの低減や電源電圧の安定化を図るために、コンデンサ(「キャパシタ」とも言う)を設けることが提案されている。例えば、樹脂コア基板内にコンデンサを埋め込んだ配線基板(例えば特許文献1,2等参照)や、樹脂コア基板の表面や裏面に形成されたビルドアップ層内にコンデンサを埋め込んだ配線基板が従来提案されている。
【0003】
特許文献1,2に記載の配線基板では、コア基板に形成された開口部にビアアレイタイプのコンデンサが収納され、コア基板の表面側及び裏面側に樹脂層間絶縁層と導体層とを積層してなるビルドアップ層が形成されている。この配線基板において、コア基板における開口部とコンデンサとの隙間は、高分子材料からなる樹脂充填材によって埋められている。また、コンデンサの四隅には面取り部が形成されており、コンデンサを配線基板に内蔵するときや、温度変化に伴う樹脂充填材の変形時において、コンデンサの角部への応力集中が緩和されるようになっている。このコンデンサは、ブレイク溝が形成された多数個取り用セラミック焼成体をそのブレイク溝に沿って分割(ブレイク加工)して得られる。
【0004】
具体的には、特許文献1,2のコンデンサの製造方法において、分割用のブレイク溝は、焼成前の未焼成セラミック基板の状態でレーザ加工を行うことで形成される。このブレイク溝は、未焼成セラミック基板において縦横に複数配列された製品領域の境界に沿って形成される。また、未焼成セラミック基板において分割用のブレイク溝によって画定される分割線が交差する部分には、面取り部を形成するための面取り用貫通穴が形成されている。
【0005】
さらに、配線基板に内蔵されるコンデンサとして、外部電極層上に複数の突起状導体を形成したコンデンサが提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−173627号公報
【特許文献2】特開2007−194617号公報
【特許文献3】特開2008−244029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、外部電極層上にめっき層を設ける場合、面取り用貫通穴近傍では電流集中が起きるため、均一な厚さでめっき層を形成することができない。特に、特許文献3のセラミックコンデンサのように、銅めっきにて突起状導体を設ける場合では、面取り用貫通穴近傍で電流密度が高くなり、突起状導体が他よりも高く形成されてしまう。また、めっき工程を行う場合、セラミック焼成体の表面にめっきレジストを形成するが、そのめっきレジストが面取り用貫通穴に入り込むことで面取り用貫通穴に対応する部分ではレジストの厚さが薄くなってしまう。この場合、面取り用貫通穴近傍の突起状導体がレジストの厚さよりも高く形成されることがある。このため、めっき工程後において、セラミック焼成体の表面からめっきレジストをうまく剥離できなくなり、剥離不良が発生するといった問題も生じてしまう。
【0008】
さらに、未焼成セラミック基板に面取り用貫通穴を形成する場合、焼成時にて貫通穴周辺の熱の伝わり方にムラが生じやすく、コンデンサの面取り部に反りが生じてしまう。
【0009】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、外部電極層上にめっき層を均一な厚さで形成することができ、製品歩留まりを向上させることができる電子部品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そして上記課題を解決するための手段(手段1)としては、第1主面及び第2主面を有する板状であり、四箇所の角部に面取り部を有する平面視で略矩形状のセラミック基体部と、前記セラミック基体部における前記第1主面及び前記第2主面の少なくとも一方の主面上に形成される外部電極層とを備えた電子部品を製造する方法であって、焼成前のセラミック材料を用いて板状に形成された多数個取り用の未焼成セラミック基板を準備する基板準備工程と、前記未焼成セラミック基板の表面に、未焼成の外部電極層を形成する外部電極形成工程と、前記未焼成セラミック基板において、個々の電子部品に分割するためのブレイク溝を形成することにより、前記電子部品の製品領域を平面方向に沿って縦横に区分するブレイク溝形成工程と、前記未焼成セラミック基板を前記未焼成の外部電極層と同時に焼成してセラミック焼成体を得るセラミック焼成工程と、前記外部電極層に電流を供給して、電解めっきにより前記外部電極層上にめっき層を形成するめっき工程と、前記セラミック焼成体を各ブレイク溝によって画定される製品領域分割用分割線に沿って破断することにより分割して複数の前記電子部品に個片化する分割工程とを含み、前記ブレイク溝は、隣り合う電子部品の製品領域の境界に形成された製品領域分割用ブレイク溝と、各電子部品の前記角部に形成された面取り用ブレイク溝と、を有し、それぞれ異なる製品領域の前記面取り用ブレイク溝によって画定される面取り用分割線で囲まれた略矩形状の領域は、前記分割工程後に捨て材となる非製品領域であり、前記ブレイク溝形成工程では、前記非製品領域と前記製品領域とで前記外部電極層が電気的に接続された状態で前記面取り用ブレイク溝が形成されることを特徴とする電子部品の製造方法がある。
【0011】
手段1に記載の発明によると、未焼成セラミック基板には、従来技術のような面取り用貫通穴が形成されておらず、その代わりに面取り用ブレイク溝が形成されている。このようにすると、めっき工程時において、めっきレジストが貫通穴に入り込むことがなく、未焼成セラミック基板にめっきレジストを均一な厚さで形成することができる。また、面取り用ブレイク溝によって画定される面取り用分割線で囲まれた略矩形状の領域は、分割工程後に捨て材となる非製品領域であるが、この非製品領域にも外部電極層が形成されており、製品領域の外部電極層と電気的に接続されている。このため、非製品領域及び製品領域の外部電極層に均一な電流を流して電解めっきを行うことができる。この結果、外部電極層上にめっき層を均一な厚さで形成することができる。さらに、未焼成セラミック基板に従来技術のような面取り用貫通穴が形成されていないので、焼成後におけるセラミック焼成体の反り量を低く抑えることができる。
【0012】
非製品領域は、それぞれ異なる製品領域の4つの面取り用分割線で囲まれてなり、ブレイク溝形成工程では、各製品領域において同一方向の角部となる面取り用ブレイク溝が形成される1つの面取り用分割線の厚み方向における破断強度が他の3つの面取り用分割線の厚み方向における破断強度よりも大きくなるように面取り用ブレイク溝を形成することが好ましい。より詳しくは、1つの面取り用分割線の厚み方向における破断強度が製品領域分割用分割線の厚み方向における破断強度よりも大きく、他の3つの面取り用分割線の厚み方向における破断強度は、製品領域分割用分割線の厚み方向における破断強度よりも小さいことが好ましい。この場合、分割工程を行う際に、破断強度が小さい3つの面取り用分割線上のブレイク溝が先に破断されるため、製品領域において同一方向の角部となる位置に非製品領域が連結した状態で残る。そして、最後に破断強度が大きい面取り用分割線上のブレイク溝を破断させることで、製品領域から非製品領域を分離することができる。このようにすれば、分割工程において、非製品領域がいびつな割れ方をすることが回避され、効率よく迅速に製品領域を分割することができる。
【0013】
非製品領域は、それぞれ異なる製品領域の4つの面取り用分割線で囲まれてなり、ブレイク溝形成工程において、1つの前記面取り用分割線を画定するミシン目状のブレイク溝と、他の3つの面取り用分割線を画定する連続線状のブレイク溝とを形成することが好ましい。このようにすると、1つの面取り用分割線における破断強度を他の3つの面取り用分割線における破断強度よりも大きくすることができる。また、1つの面取り用分割線上のブレイク溝がミシン目状であるため、面取り用分割線の内側の非製品領域と外側の製品領域とで外部電極層を電気的に接続することができる。
【0014】
面取り用ブレイク溝は、外部電極層を貫通するミシン目状のブレイク溝であり、1つの面取り用分割線上のブレイク溝のピッチが他の3つの面取り用分割線上のブレイク溝のピッチよりも長くなるよう形成されていてもよい。さらに、面取り用ブレイク溝は、外部電極層を貫通するミシン目状のブレイク溝であり、基板厚さ方向の深さについて、1つの面取り用分割線上のブレイク溝が他の3つの面取り用分割線上のブレイク溝よりも浅くなるよう形成されていてもよい。このようにしても、1つの面取り用分割線における破断強度を他の3つの面取り用分割線における破断強度よりも大きくすることができる。また、面取り用ブレイク溝がミシン目状のブレイク溝であるため、面取り用分割線の内側の非製品領域と外側の製品領域とで外部電極層を電気的に接続することができる。
【0015】
ブレイク溝形成工程において、ブレイク溝をレーザ加工によって形成することが好ましい。この場合、ミシン目状のブレイク溝や連続線状のブレイク溝を正確な位置にかつ正確な大きさで形成することができ、製品領域の分割を確実に行うことができる。
【0016】
電子部品としては、チップコンデンサやセラミックコンデンサなどのセラミック電子部品を挙げることができる。また、好適なセラミックコンデンサとしては、セラミック誘電体層を介して複数の内部電極が積層配置され、複数の内部電極に接続された複数のコンデンサ内ビア導体が設けられたセラミック基体部を備え、外部電極層が複数のコンデンサ内ビア導体の端部に接続され、複数のコンデンサ内ビア導体が全体としてアレイ状に配置されているビアアレイタイプのコンデンサを挙げることができる。このような構造であれば、コンデンサのインダクタンスの低減化が図られ、ノイズ吸収や電圧安定化が可能となる。
【0017】
セラミックコンデンサの誘電体層としては、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、炭化珪素、窒化珪素などといった高温焼成セラミックが好適に使用されるほか、ホウケイ酸系ガラスやホウケイ酸鉛系ガラスにアルミナ等の無機セラミックフィラーを添加したガラスセラミックのような低温焼成セラミックが好適に使用される。また、用途に応じて、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸ストロンチウムなどの誘電体セラミックを使用することも好ましい。誘電体セラミックを使用した場合、静電容量の大きなコンデンサを実現しやすくなる。
【0018】
セラミックコンデンサの内部電極及びコンデンサ内ビア導体としては特に限定されないが、例えばメタライズ導体であることが好ましい。また、外部電極層もメタライズ導体であることが好ましい。なお、メタライズ導体は、金属粉末を含む導体ペースト(金属含有材料)を従来周知の手法、例えばメタライズ印刷法で塗布した後に焼成することにより、形成される。同時焼成法によってメタライズ導体及びセラミック誘電体層を形成する場合、メタライズ導体中の金属粉末は、セラミック誘電体層の焼成温度よりも高融点である必要がある。例えば、セラミック誘電体層がいわゆる高温焼成セラミック(例えばアルミナ等)からなる場合には、メタライズ導体中の金属粉末として、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)等やそれらの合金が選択可能である。セラミック誘電体層がいわゆる低温焼成セラミック(例えばガラスセラミック等)からなる場合には、メタライズ導体中の金属粉末として、銅(Cu)または銀(Ag)等やそれらの合金が選択可能である。
【0019】
手段1のセラミック電子部品の製造方法において、めっき層が形成された外部電極層上の複数箇所に突起状導体を形成するための突起形成用めっき工程をさらに含んでいてもよい。この場合、従来技術のような面取り用貫通穴が未焼成セラミック基板に形成されていると、突起形成用めっき工程時において面取り用貫通穴近傍の突起状導体が他の部位の突起状導体よりも高くなってしまう。これに対して、本発明では面取り用貫通穴が形成されていないため、外部電極層全体に均一な電流を流して電解めっきを行うことができ、外部電極層上において複数の突起状導体を均一な高さで形成することができる。この結果、従来技術のようなめっきレジストの剥離不良を防止することができ、製品歩留まりを向上させることができる。
【0020】
突起形成用めっき工程では、製品領域に加えて非製品領域の外部電極層上にも突起状導体を形成することが好ましい。このようにすると、電解めっき時における電流集中を確実に回避することができ、製品領域において複数の突起状導体を均一な高さで形成することができる。
【0021】
また、上記課題を解決するための別の手段としては、第1主面及び第2主面を有する板状であり、四箇所の角部に面取り部を有する略矩形状のセラミック基体部と、前記セラミック基体部における前記第1主面及び前記第2主面の少なくとも一方の主面上に形成される外部電極層とを備えた電子部品の製品領域を平面方向に沿って縦横に複数配列した多数個取り用のセラミック焼成体からなる中間製品であって、複数の前記製品領域に跨って形成された前記外部電極層を被覆するめっき層と、前記電子部品の各製品領域の境界に沿って設けられ、個々の電子部品に分割するための製品領域分割用ブレイク溝と、前記製品領域分割用ブレイク溝によって画定される製品領域分割用分割線が交差する部分に設けられた面取り用ブレイク溝とを備え、前記面取り用ブレイク溝によって画定される面取り用分割線で囲まれた略矩形状の領域は捨て材となる非製品領域であり、前記非製品領域と前記製品領域とで前記外部電極層が電気的に接続された状態で前記面取り用ブレイク溝が形成されていることを特徴とする電子部品の中間製品がある。
【0022】
上記構成の中間製品によると、多数個取り用のセラミック焼成体には、従来技術のような面取り用貫通穴が形成されておらず、その代わりに面取り用ブレイク溝が形成されている。また、面取り用ブレイク溝によって画定される面取り用分割線で囲まれた略矩形状の領域は、分割工程後に捨て材となる非製品領域であるが、この非製品領域にも外部電極層が形成されており、製品領域の外部電極層と電気的に接続されている。このため、非製品領域及び製品領域の外部電極層に均一な電流を流して電解めっきを行うことができる。この結果、各製品領域の外部電極層上にめっき層を均一な厚さで形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】一実施の形態の配線基板の概略構成を示す断面図。
【図2】一実施の形態のセラミックコンデンサの概略構成を示す平面図。
【図3】一実施の形態のセラミックコンデンサの概略構成を示す平面図。
【図4】一実施の形態のセラミックコンデンサの概略構成を示す側面図。
【図5】一実施の形態のセラミックコンデンサの概略構成を示す側面図。
【図6】図2におけるセラミックコンデンサのA−A線での断面図。
【図7】図2におけるセラミックコンデンサのB−B線での断面図。
【図8】内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートの平面図。
【図9】内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートの平面図。
【図10】未焼成セラミック積層体の縦断面図。
【図11】未焼成セラミック積層体の縦断面図。
【図12】未焼成セラミック積層体の平面図。
【図13】未焼成セラミック積層体の平面図。
【図14】未焼成セラミック積層体の縦断面図。
【図15】未焼成セラミック積層体の平面図。
【図16】未焼成セラミック積層体の縦断面図。
【図17】未焼成セラミック積層体の拡大平面図。
【図18】未焼成セラミック積層体の縦断面図。
【図19】セラミック焼成体の縦断面図。
【図20】セラミック焼成体のめっき工程を示す説明図。
【図21】セラミック焼成体の縦断面図。
【図22】セラミック焼成体の平面図。
【図23】セラミック焼成体の分割工程を示す説明図。
【図24】セラミック焼成体の分割工程を示す説明図。
【図25】破断強度の測定サンプルを示す平面図。
【図26】破断強度の測定方法を示す説明図。
【図27】別の実施の形態における未焼成セラミック積層体の拡大平面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0025】
図1に示されるように、本実施の形態の配線基板10は、ICチップ搭載用の配線基板である。配線基板10は、ガラスエポキシからなる樹脂コア基板11と、樹脂コア基板11のコア主面12(図1では上面)上に形成される第1ビルドアップ層31と、樹脂コア基板11のコア裏面13(図1では下面)上に形成される第2ビルドアップ層32とからなる。
【0026】
樹脂コア基板11における複数個所には厚さ方向に貫通するスルーホール用孔15が形成されており、スルーホール用孔15内にはスルーホール導体16が形成されている。スルーホール導体16は、樹脂コア基板11のコア主面12側とコア裏面13側とを接続している。また、樹脂コア基板11のコア主面12及びコア裏面13には、銅からなる導体層41がパターン形成されており、各導体層41は、スルーホール導体16に電気的に接続されている。
【0027】
樹脂コア基板11のコア主面12上に形成された第1ビルドアップ層31は、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)からなる2層の樹脂層間絶縁層33,35と、銅からなる導体層42とを交互に積層した構造を有している。第2層の樹脂層間絶縁層35の表面上における複数箇所には、端子パッド44がアレイ状に形成されている。さらに、樹脂層間絶縁層35の表面は、ソルダーレジスト37によってほぼ全体的に覆われている。ソルダーレジスト37の所定箇所には、端子パッド44を露出させる開口部46が形成されている。端子パッド44の表面上には、複数のはんだバンプ45が配設されている。各はんだバンプ45は、矩形平板状をなすICチップ21の面接続端子22に電気的に接続されている。なお、各端子パッド44及び各はんだバンプ45が形成される領域は、ICチップ21を搭載可能なICチップ搭載領域23である。また、第1層の樹脂層間絶縁層33内には複数のビア導体43が形成され、第2層の樹脂層間絶縁層35内にも複数のビア導体43が形成されている。各ビア導体43は、導体層41,42及び端子パッド44を相互に電気的に接続している。
【0028】
樹脂コア基板11のコア裏面13上に形成された第2ビルドアップ層32は、上述した第1ビルドアップ層31とほぼ同じ構造を有している。即ち、第2ビルドアップ層32は、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)からなる2層の樹脂層間絶縁層34,36と、導体層42とを交互に積層した構造を有している。樹脂層間絶縁層34内には複数のビア導体43が形成され、樹脂層間絶縁層36内にも複数のビア導体43が形成されている。樹脂層間絶縁層36の下面上における複数箇所には、ビア導体43を介して導体層42に電気的に接続されるBGA用パッド48がアレイ状に形成されている。また、樹脂層間絶縁層36の下面は、ソルダーレジスト38によってほぼ全体的に覆われている。ソルダーレジスト38の所定箇所には、BGA用パッド48を露出させる開口部40が形成されている。BGA用パッド48の表面上には、図示しないマザーボードに対して電気的に接続可能な複数のはんだバンプ49が配設されている。そして、各はんだバンプ49により、図1に示される配線基板10は図示しないマザーボード上に実装される。
【0029】
樹脂コア基板11は、縦25mm×横25mm×厚さ0.9mmの平面視略矩形板状であり、コア主面12の中央部及びコア裏面13の中央部にて開口する平面視で矩形状の収容穴部90を1つ有している。即ち、収容穴部90は貫通穴である。なお、収容穴部90は、四隅に面取り寸法0.1mm以上2.0mm以下の面取り部を有している。そして、収容穴部90内には、セラミックコンデンサ101(セラミック電子部品)が、埋め込まれた状態で収容されている。なお、セラミックコンデンサ101は、コンデンサ裏面103をコア主面12と同じ側に向け、かつ、コンデンサ主面102をコア裏面13と同じ側に向けた状態で収容されている。
【0030】
本実施の形態のセラミックコンデンサ101は、縦12.0mm×横12.0mm×厚さ0.9mmの平面視略矩形板状である。セラミックコンデンサ101は、樹脂コア基板11において前記ICチップ搭載領域23の真下の領域に配置されている。なお、ICチップ搭載領域23の面積(ICチップ21において面接続端子22が形成される面の面積)は、セラミックコンデンサ101のコンデンサ主面102の面積よりも小さくなるように設定されている。セラミックコンデンサ101の厚さ方向から見た場合、ICチップ搭載領域23は、セラミックコンデンサ101のコンデンサ主面102内に位置している。
【0031】
図1に示されるように、収容穴部90の内面と、セラミックコンデンサ101のコンデンサ側面106との隙間は、高分子材料(本実施の形態ではエポキシ等の熱硬化性樹脂)からなる樹脂充填材92によって埋められている。この樹脂充填材92は、セラミックコンデンサ101を樹脂コア基板11に固定する機能を有している。また、樹脂充填材92は、セラミックコンデンサ101との熱膨張差を緩和するために、シリカ等のセラミック粉が添加されていても良い。また、放熱性を向上させるために、Cu等の金属粉が添加されても良い。
【0032】
以下、本実施の形態のセラミックコンデンサ101の構成について詳述する。図2はコンデンサ主面102側から見たセラミックコンデンサ101の模式的な平面図であり、図3はコンデンサ裏面103側から見たセラミックコンデンサ101の模式的な平面図である。図4及び図5はセラミックコンデンサ101の模式的な側面図である。図6は図2におけるA−A線で切断したときのセラミックコンデンサ101の模式的な縦断面図であり、図7は図2におけるB−B線で切断したときのセラミックコンデンサ101の模式的な縦断面図である。
【0033】
図2〜図7に示されるセラミックコンデンサ101は、いわゆるビアアレイタイプのセラミックコンデンサである。セラミックコンデンサ101は、コンデンサ101の中核を成すコンデンサ本体104(セラミック基体部)を備えている。コンデンサ本体104は、電源用内部電極層141(内部電極)、グランド用内部電極層142(内部電極)、及びセラミック誘電体層105を積層して多層化した構造を有している。セラミック誘電体層105は、高誘電率セラミックの一種であるチタン酸バリウムの焼結体からなり、電源用内部電極層141及びグランド用内部電極層142間の誘電体(絶縁体)として機能する。つまり、電源用内部電極層141とグランド用内部電極層142とは、セラミック誘電体層105を介して電気的に絶縁されている。また、電源用内部電極層141及びグランド用内部電極層142は、セラミック誘電体層105の積層方向においてセラミック誘電体層105を介して交互に配置されている。なお、内部電極層141,142の総数は約100層程度となっている。
【0034】
本実施の形態では、複数のセラミック誘電体層105と複数の内部電極層141,142とを交互に積層した構造を有するキャパシタ形成層部144がコンデンサ本体104における上側と下側との2つの領域に分割して設けられている。上側のキャパシタ形成層部144と下側のキャパシタ形成層部144との間には、複数のセラミック誘電体層105からなる中間層部145が設けられている。さらに、コンデンサ主面102側の表層部には、複数のセラミック誘電体層105からなるカバー層部146が上側のキャパシタ形成層部144の上面を覆うように設けられている。また、コンデンサ裏面103側の表層部にも、複数のセラミック誘電体層105からなるカバー層部146が下側のキャパシタ形成層部144の下面を覆うように設けられている。なお、中間層部145及びカバー層部146には、キャパシタ形成層部144のような内部電極層141,142は設けられていない。
【0035】
内部電極層141,142は、いずれもニッケルを主成分として形成されており、セラミック誘電体層105を構成するセラミック材料(チタン酸バリウム)と同様のセラミック材料を含有している。このようなセラミック材料をそれぞれ内部電極層141,142に含ませることにより、セラミック誘電体層105と内部電極層141,142との密着性を高めることができる。なお、内部電極層141,142にこのようなセラミック材料を含有させなくともよい。また、内部電極層141,142の厚さは例えば2μm以下となっている。
【0036】
コンデンサ本体104の外観は、コンデンサ本体104の厚さ方向に位置するコンデンサ主面102(第1主面)、コンデンサ主面102の反対側に位置するコンデンサ裏面103(第2主面)、及びコンデンサ主面102とコンデンサ裏面103との間に位置する側面106から構成されている。側面106は、主に第1の側面106a、側面106aの反対側に位置する(対向する)第2の側面106b、側面106a及び側面106bと隣り合った第3の側面106c、及び側面106cの反対側に位置し(対向し)、かつ側面106a及び側面106bと隣り合った第4の側面106dから構成されている。本実施の形態の各側面106a〜106dはセラミック誘電体層105のみから構成されており、セラミックが露出している。
【0037】
図2〜図5に示されるように、側面106a〜106dには、それぞれ、コンデンサ本体104の厚さ方向に延びた凹部107と、コンデンサ本体104の外周方向に延びた切欠部108が形成されている。具体的には、図4に示されるように、側面106aにおいて、凹部107はコンデンサ主面102側(コンデンサ主面102から厚さ方向に延在して)に形成されており、切欠部108はコンデンサ裏面103側に形成されている。また、側面106bにおいて、側面106aと同様に凹部107及び切欠部108が形成されている。さらに、図5に示されるように、側面106cにおいては、凹部107はコンデンサ裏面103側(コンデンサ裏面103から厚さ方向に延在して)に形成されており、切欠部108はコンデンサ主面102側に形成されている。また、側面106dにおいて、側面106cと同様に凹部107及び切欠部108が形成されている。
【0038】
これら凹部107及び切欠部108の表面もセラミック誘電体層105のみから構成されており、セラミックが露出している。凹部107は、断面が略半円状の溝であって、コンデンサ主面102及びコンデンサ裏面103から厚さ方向に行くに従って幅が徐々に狭くなっている。また、切欠部108は、側面106a〜106dのそれぞれの一方の端縁から他方の端縁まで形成されている。切欠部108もコンデンサ主面102及びコンデンサ裏面103から厚さ方向に行くに従って幅が徐々に狭くなっている。
【0039】
凹部107は、コンデンサ本体104の外周に沿って所定の間隔をおいて複数形成されている。側面106a,106bにおける凹部107は、コンデンサ主面102からコンデンサ本体104の厚さの20%以上70%以下の位置まで形成されていることが望ましく、側面106c,106dにおける凹部107は、コンデンサ裏面103からコンデンサ本体104の厚さの20%以上70%以下の位置まで形成されていることが望ましい。このような範囲が望ましい理由は、20%以上とすれば、樹脂充填材92との密着性を充分に向上させることができるからであり、70%以下とすれば、コンデンサ101の搬送等において、凹部107での割れ、或いは欠けを低減することができるからである。
【0040】
図2及び図3に示されるように、コンデンサ本体104は平面視で略矩形状をなし、その四箇所の角部には、面取り寸法が0.6mm以上の面取り部104a〜104dが形成されている。このように、面取り部104a〜104dを形成することにより、セラミックコンデンサ101を配線基板10に内蔵するときや、温度変化に伴う樹脂充填材92の変形時において、セラミックコンデンサ101の角部への応力集中を緩和できるため、樹脂充填材92のクラックの発生を防止できる。なお、本実施の形態のコンデンサ本体104では、側面106aと側面106dが交差する角部の面取り部104aには、凹部107が形成されている。この凹部107も、断面が略半円状の溝であって、コンデンサ主面102から厚さ方向に行くに従って幅が徐々に狭くなっている。なお、面取り部104aに形成される凹部107のピッチは、側面106a〜106dに形成されている凹部107のピッチよりも長くなっている。
【0041】
図6及び図7に示されるように、コンデンサ本体104内には、多数のビアホール130が形成されている。これらのビアホール130は、コンデンサ本体104をその厚さ方向に貫通するとともに、コンデンサ本体104の全面にわたってアレイ状に配置されている。各ビアホール130内には、コンデンサ本体104のコンデンサ主面102及びコンデンサ裏面103間を連通する複数のコンデンサ内ビア導体131,132が形成されている。なお本実施の形態において、ビアホール130の直径は約100μmに設定されているため、コンデンサ内ビア導体131,132の直径も約100μmに設定されている。各電源用コンデンサ内ビア導体131は、各電源用内部電極層141を貫通しており、それら同士を互いに電気的に接続している。各グランド用コンデンサ内ビア導体132は、各グランド用内部電極層142を貫通しており、それら同士を互いに電気的に接続している。各電源用コンデンサ内ビア導体131及び各グランド用コンデンサ内ビア導体132は、全体としてアレイ状に配置されている。
【0042】
図6に示されるように内部電極層142にはビア導体131が貫通する領域にクリアランスホール133(孔部)が形成されており、内部電極層142とビア導体131とは電気的に絶縁されている。また、同様に図7に示されるように内部電極層141にはビア導体132が貫通する領域にクリアランスホール134(孔部)が形成されており、内部電極層141とビア導体132とは電気的に絶縁されている。なお、クリアランスホール133,134内における内部電極層141,142とビア導体131,132との間には、セラミック誘電体層105が介在している。
【0043】
ビア導体131,132は、ニッケルを主材料として形成されており、セラミック誘電体層105を構成するセラミック材料と同様のセラミック材料を含有している。このようなセラミック材料をそれぞれビア導体131,132に含ませることにより、セラミック誘電体層105とビア導体131,132との密着性を高めることができる。なお、ビア導体131,132にこのようなセラミック材料を含有させなくともよい。
【0044】
図2に示されるように、コンデンサ主面102上には、外部電極層としての主面側電源用外部電極111及び主面側グランド用外部電極112がそれぞれ形成されている。図3に示されるように、コンデンサ裏面103上には、外部電極層としての裏面側電源用外部電極121及び裏面側グランド用外部電極122がそれぞれ形成されている。なお、外部電極111,112,121,122は、必ずしもコンデンサ本体104のコンデンサ主面102及びコンデンサ裏面103の両方に形成されている必要はなく、コンデンサ主面102及びコンデンサ裏面103のいずれか一方に形成されていてもよい。
【0045】
図2に示されるように、各電源用外部電極111は、幅300μm×厚さ25μmの平面視略矩形状をなす帯状パターンであり、コンデンサ主面102上において互いに平行に配置されている。また、グランド用外部電極112は、コンデンサ主面102上において各電源用外部電極111を取り囲むように形成されている。図3に示されるように、各グランド用外部電極122は、幅300μm×厚さ25μmの平面視略矩形状をなす帯状パターンであり、コンデンサ裏面103上において互いに平行に配置されている。また、電源用外部電極121は、コンデンサ裏面103上において各グランド用外部電極122を取り囲むように形成されている。
【0046】
コンデンサ主面102側及びコンデンサ裏面103側のいずれにおいても、電源用外部電極111,121とグランド用外部電極112,122とは離間しており、互いに電気的に絶縁されている。電源用外部電極111,121とグランド用外部電極112,122との間の距離(クリアランス)は、絶縁性が確保されていれば狭いほどよく、例えば150μm程度である。
【0047】
コンデンサ主面102において、グランド用外部電極112は側面106a側の端から側面106b側の端まで形成されるとともに側面106c側の端から側面106d側の端まで形成されている。このグランド用外部電極112には、側面106a,106b及び面取り部104aに対応する端部に凹部107が形成されている。また、コンデンサ裏面103において、電源用外部電極121は側面106a側の端から側面106b側の端まで形成されるとともに側面106c側の端から側面106d側の端まで形成されている。この電源用外部電極121には、側面106c,106dに対応する端部に凹部107が形成されている。
【0048】
図6及び図7に示されるように、主面側電源用外部電極111は、複数の電源用コンデンサ内ビア導体131におけるコンデンサ主面102側の端面に対して直接接続されており、主面側グランド用外部電極112は、複数のグランド用コンデンサ内ビア導体132におけるコンデンサ主面102側の端面に対して直接接続されている。また、裏面側電源用外部電極121は、複数の電源用コンデンサ内ビア導体131におけるコンデンサ裏面103側の端面に対して直接接続されており、裏面側グランド用外部電極122は、複数のグランド用コンデンサ内ビア導体132におけるコンデンサ裏面103側の端面に対して直接接続されている。よって、電源用外部電極111,121は電源用コンデンサ内ビア導体131及び電源用内部電極層141に導通しており、グランド用外部電極112,122はグランド用コンデンサ内ビア導体132及びグランド用内部電極層142に導通している。
【0049】
各外部電極111,112,121,122は、ニッケルを主成分として形成されており、セラミック誘電体層105を構成するセラミック材料と同様のセラミック材料を含有している。このようなセラミック材料をそれぞれ外部電極111,112,121,122に含ませることにより、セラミック誘電体層105と外部電極111,112,121,122との密着性を高めることができる。なお、外部電極111,112,121,122にこのようなセラミック材料を含有させなくともよい。
【0050】
外部電極111,112,121,122の表面上には、樹脂層間絶縁層33,34やビア導体43等との密着性を向上させるための銅めっき層(図示せず)が形成されている。銅めっき層は、外部電極111,112,121,122の酸化防止という機能をも有している。銅めっき層は電解めっきにより形成されたものである。
【0051】
コンデンサ主面102側において、各外部電極111,112上には、それぞれ突起状導体50が突設されている。これら突起状導体50は、コンデンサ内ビア導体131,132と対応する位置に設けられている。また、各突起状導体50は、銅めっきによって形成された円柱状導体(銅ポスト)である。即ち、突起状導体50は、銅めっき層と同じ金属材料である銅を主体として円柱状に形成されている。
【0052】
図1に示されるように、コンデンサ主面102側にある外部電極111,112は、突起状導体50、ビア導体43、導体層42、BGA用パッド48及びはんだバンプ49を介して、図示しないマザーボードが有する電極に対して電気的に接続される。一方、コンデンサ裏面103側にある外部電極121,122は、ビア導体43、導体層42、端子パッド44、はんだバンプ45及びICチップの面接続端子22を介して、ICチップ21に電気的に接続される。
【0053】
例えば、マザーボード側から外部電極111,112を介して通電を行い、電源用内部電極層141−グランド用内部電極層142間に電圧を加えると、電源用内部電極層141に例えばプラスの電荷が蓄積し、グランド用内部電極層142に例えばマイナスの電荷が蓄積する。また、セラミックコンデンサ101では、電源用コンデンサ内ビア導体131及びグランド用コンデンサ内ビア導体132がそれぞれ交互に隣接して配置され、かつ、電源用コンデンサ内ビア導体131及びグランド用コンデンサ内ビア導体132を流れる電流の方向が互いに逆向きになるように設定されている。これにより、インダクタンス成分の低減化が図られている。
【0054】
本実施の形態のセラミックコンデンサ101は、例えば、以下の手順により作製される。図8及び図9は、本実施の形態に係る内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートの模式的な平面図であり、図10、図11、図14、図16、図18は、本実施の形態に係る未焼成セラミック積層体の模式的な縦断面図である。図12、図13、図15、図17は、本実施の形態に係る未焼成セラミック積層体の模式的な平面図である。図19は、本実施の形態に係るセラミック焼成体の模式的な縦断面図である。
【0055】
まず、内部電極パターン151が形成されたセラミックグリーンシート152(図8参照)と、内部電極パターン153が形成されたセラミックグリーンシート154(図9参照)とを複数枚用意する。なお、内部電極パターン151,153は、後に内部電極層141,142となるべき未焼成導体部である。また、セラミックグリーンシート152,154は、後にセラミック誘電体層105となるべき未焼成セラミック部である。
【0056】
内部電極パターン151,153は、それぞれコンデンサ形成領域R1内に形成されている。コンデンサ形成領域R1とは、コンデンサ101を形成するための製品領域であり、セラミックグリーンシート152,154に複数存在している。なお、図面においては、コンデンサ形成領域R1の境界は二点鎖線で示されている。内部電極パターン151,153は例えばニッケルペーストから構成されている。
【0057】
内部電極パターン151,153は、例えばスクリーン印刷によりコンデンサ形成領域R1内に形成される。また、内部電極パターン151は、焼成後クリアランスホール134となる孔部151aを有しており、内部電極パターン153は、焼成後クリアランスホール133となる孔部153aを有している。なお、コンデンサ形成領域R1外にニッケルペーストが塗布されていてもよい。
【0058】
また、図10に示される2つのカバー層155及び中間層156を用意する。カバー層155及び中間層156は、内部電極パターン151,153等が形成されていない所定枚のセラミックグリーンシートを積層して、作製される。
【0059】
セラミックグリーンシート152,154とカバー層155と中間層156とを用意した後、カバー層155上にセラミックグリーンシート152とセラミックグリーンシート154とを交互に積層し、その上に中間層156を積層する。さらに中間層156上にセラミックグリーンシート152とセラミックグリーンシート154とを交互に積層し、その上にカバー層155を積層する。その後、これらを加圧して、板状の未焼成セラミック積層体159を形成する(図10参照)。
【0060】
未焼成セラミック積層体159を形成した後、未焼成セラミック積層体159の主面159aから裏面159bにかけて貫通するビアホールを形成し、ビアホールに導電性ペーストを圧入して、ビア導体ペースト157を形成する(図11及び図12参照)。さらに、ビア導体ペースト157を形成した未焼成セラミック積層体159を高圧プレスにより加圧する。なお、ビア導体ペースト157は、後にビア導体131,132となるべき導体部である。
【0061】
このような基板準備工程を行うことで、コンデンサ形成領域R1を平面方向に沿って縦横に複数配列した多数個取り用の未焼成セラミック積層体159(未焼成セラミック基板)を準備する。
【0062】
その後、図13及び図14に示されるように、未焼成セラミック積層体159の主面159a及び主面159aと反対側の裏面159bに、例えばスクリーン印刷等により、コンデンサ形成領域R1内においてビア導体ペースト157に接続された外部電極パターン160,161を形成する(外部電極形成工程)。なお、外部電極パターン160,161は、後に外部電極111,112,121,122となるべき導体部(未焼成の外部電極層)であり、内部電極パターン151,153やビア導体ペースト157と同様に、ニッケルペーストなどの導体ペーストを用いて形成されている。また、主面159a側における外部電極パターン161は、複数のコンデンサ形成領域R1に跨るように形成され、裏面159b側における外部電極パターン160は、複数のコンデンサ形成領域R1に跨るように形成される。
【0063】
その後、未焼成セラミック積層体159に、例えばレーザ加工を施す。この結果、図15及び図16に示されるように、コンデンサ形成領域R1の境界に沿って、外部電極パターン161を貫通する複数の穴からなるミシン目状のブレイク溝163及び連続線状のブレイク溝164(製品領域分割用ブレイク溝)をそれぞれ形成する(ブレイク溝形成工程)。これらブレイク溝163,164を形成することにより、コンデンサ形成領域R1を平面方向に沿って縦横に区分する。またこのブレイク溝形成工程では、ブレイク溝163及びブレイク溝164によって画定される製品領域分割用分割線L1が交差する部分に面取り用ブレイク溝165を形成する。面取り用ブレイク溝165は、後に面取り部104a〜104dとなる部分であり、面取り用ブレイク溝165によって画定される面取り用分割線L2で囲まれた略矩形状の領域は、捨て材となる非製品領域R2である。
【0064】
主面159a側において、ミシン目状のブレイク溝163はコンデンサ形成領域R1における主面159aの短手方向に沿った境界に形成され、連続線状のブレイク溝164はコンデンサ形成領域R1における主面159aの長手方向に沿った境界に形成される。裏面159b側において、ミシン目状のブレイク溝163はコンデンサ形成領域R1における裏面159bの長手方向に沿った境界に形成され、連続線状のブレイク溝164はコンデンサ形成領域R1における裏面159bの短手方向に沿った境界に形成される。
【0065】
図16に示すように、ミシン目状のブレイク溝163の製品厚みに対する深さaは製品全体の厚さの20〜70%とすることが好ましい。また、連続線状のブレイク溝164の深さbは、a/b=0.25〜35とすることが好ましい。なお、本実施の形態では、ブレイク溝163の深さaは製品全体の厚さの50%程度であり、連続線状のブレイク溝164の深さbは、製品全体の厚さの20%程度である。
【0066】
ブレイク溝164は、主面159a及び裏面159bにおいて、ブレイク溝163に対して直交するように形成される。ここで、裏面159b側に形成されるブレイク溝163は主面159a側に形成されるブレイク溝164と対応する位置にかつ主面159a側に形成されるブレイク溝164に沿って形成される。また、裏面159b側に形成されるブレイク溝164は、主面159a側に形成されるブレイク溝163と対応する位置にかつ主面159a側に形成されるブレイク溝163に沿って形成される。
【0067】
図15及び図17に示されるように、製品領域分割用分割線L1が交差する部分に設けられる非製品領域R2は、それぞれ異なる製品領域R1の4つの面取り用分割線L2で囲まれている。また、面取り用ブレイク溝165として、1つの面取り用分割線L2を画定するミシン目状のブレイク溝165aと、他の3つの面取り用分割線L2を画定する連続線状のブレイク溝165bとが形成されている。本実施の形態では、各コンデンサ形成領域R1において同一方向の角部にミシン目状のブレイク溝165aが設けられている。このブレイク溝165aが形成される面取り用分割線L2の厚み方向における破断強度は、他の3つの面取り用分割線L2の厚み方向における破断強度よりも大きくなっている。
【0068】
具体的には、図18に示されるように、面取り用ブレイク溝165を構成するミシン目状のブレイク溝165aは、主面159a側に開口するよう形成されており、裏面159b側には形成されていない。また、ミシン目状のブレイク溝165aの製品厚みに対する深さは製品全体の厚さの50%である。なお、ミシン目状のブレイク溝165aのピッチは、製品領域分割用のブレイク溝163のピッチよりも長くなっている。また、面取り用ブレイク溝165を構成する連続線状のブレイク溝165bは、主面159a及び裏面159bの両面に形成されており、ブレイク溝165bの深さは製品全体の厚さの40%程度である。なお本実施の形態において、ブレイク溝165bの形成部分には厚さ方向の中央部で20%程度の非貫通部分が残されているが、主面159a側から裏面159b側に貫通した貫通溝としてブレイク溝165bを形成してもよい。
【0069】
このように面取り用ブレイク溝165を形成することにより、ブレイク溝165aによって画定される1つの面取り用分割線L2の厚み方向における破断強度は、ブレイク溝163,164によって画定される製品領域分割用分割線L1の厚み方向における破断強度よりも大きくなる。また、ブレイク溝165bによって画定される他の3つの面取り用分割線L2の厚み方向における破断強度は、ブレイク溝163,164によって画定される製品領域分割用分割線L1の厚み方向における破断強度よりも小さくなる。
【0070】
未焼成セラミック積層体159に各ブレイク溝163〜165を形成した後、未焼成セラミック積層体159を脱脂し、さらに所定温度で所定時間焼成する(セラミック焼成工程)。この結果、未焼成セラミック積層体159が焼成されてセラミック焼成体168が得られる(図19参照)。具体的には、未焼成セラミック積層体159における内部電極パターン151,153、セラミックグリーンシート152,154、ビア導体ペースト157、外部電極パターン160,161が焼成されて、内部電極層141,142、セラミック誘電体層105、ビア導体131,132、外部電極111,112,121,122が形成される。なお、本実施の形態では、面取り用ブレイク溝165の内側領域である非製品領域R2にも、外部電極112,121が形成される。
【0071】
その後、セラミック焼成体168において、焼成により外部電極111,112,121,122の表面に形成された酸化膜を研磨して取り除いた後、ピロりん酸銅めっきを行い、外部電極111,112,121,122上に銅めっき層を形成する(めっき工程)。なおここで、面取り用ブレイク溝165aはミシン目状であるため、コンデンサ形成領域R1と非製品領域R2とにおける外部電極112,121は電気的に接続されている。このため、コンデンサ形成領域R1の外部電極111,112,121,122に加えて、非製品領域R2の外部電極112,121にも銅めっき層が均一に形成される。
【0072】
そして、各外部電極111,112,121,122の銅めっき層を形成した後、セラミック焼成体168の主面168a側及び裏面168b側にめっきレジスト形成用のドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行う。この結果、図20に示されるように、セラミック焼成体168の主面168a上に、所定箇所に開口部171を有するめっきレジスト172を形成するとともに、セラミック焼成体168の裏面168b上に、その裏面168b全体を覆うめっきレジスト173を形成する。主面168a側のめっきレジスト172に形成された開口部171は、外部電極111,112の表面の一部を露出させている。
【0073】
そして、めっきレジスト172,173を形成した状態で硫酸銅めっきを行う。さらに、めっきレジスト172,173を除去する。その結果、図21及び図22に示されるように、セラミック焼成体168の主面168a上において、各コンデンサ形成領域R1の外部電極111,112上に突起状導体50が形成されるとともに、非製品領域R2の外部電極112上にも突起状導体50が形成される(突起形成用めっき工程)。このようにして、コンデンサ形成領域R1を平面方向に沿って縦横に複数配列した多数個取り用のセラミック焼成体168(中間製品)を得ることができる。
【0074】
その後、ブレイク溝163,164によって画定される製品領域分割用分割線L1に沿って、コンデンサ形成領域R1毎にセラミック焼成体168を分割して、複数のコンデンサ本体104を得る(分割工程)。ここでは、図23及び図24に示されるように、製品領域分割用分割線L1上のブレイク溝163,164を破断する際に、面取り用分割線L2上にある破断強度が小さな連続線状の面取り用ブレイク溝165bが破断される。そして、コンデンサ形成領域R1において同一方向の角部となる位置に非製品領域R2が連結した状態で残る。最後に、面取り用分割線L2上にある破断強度が大きい面取り用ブレイク溝165aを破断させることで、捨て材となる非製品領域R2をコンデンサ形成領域R1から割落とし、4箇所の面取り部104a〜104dを有するコンデンサ本体104を得る。なお、セラミック焼成体168の分割工程後において、ミシン目状のブレイク溝163,165aの一部が凹部107となり、連続線状のブレイク溝164の一部が切欠部108となる。以上の製造工程を経てセラミックコンデンサ101が製造される。
【0075】
本実施の形態において、面取り用分割線L2上の破断強度は下記の手法によって測定される。具体的には、図25に示されるように、非製品領域R2に対して、1つのコンデンサ形成領域R1が連結された測定サンプル200を準備する。そして、図26に示されるように、測定サンプル200におけるコンデンサ形成領域R1をクランプ用治具201によって挟持する。次に、非製品領域R2の中央部P1を測定治具202によって押圧し、コンデンサ形成領域R1と非製品領域R2とが破断されたときの荷重を測定することにより、1つの面取り用分割線L2における厚み方向の破断強度を算出する。他の3つの面取り用分割線L2における破断強度についても、同じように測定用サンプル200を準備し、前述した測定方法と同様の条件で破断強度を測定する。
【0076】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0077】
(1)本実施の形態では、未焼成セラミック積層体159には、従来技術のような面取り用貫通穴が形成されておらず、その代わりに面取り用ブレイク溝165が形成されている。このようにすると、めっきレジスト172が貫通穴に入り込むことがなく、未焼成セラミック積層体159の主面159a側にてめっきレジスト172を均一な厚さで形成することができる。また、面取り用ブレイク溝165によって画定される面取り用分割線L2で囲まれた略矩形状の領域は分割工程後に捨て材となる非製品領域R2であるが、この非製品領域R2にも外部電極112,121が形成されており、コンデンサ形成領域R1の外部電極112,121と電気的に接続されている。これにより、コンデンサ形成領域R1及び非製品領域R2の外部電極112,121に均一な電流を流して電解めっきを行うことができる。従って、外部電極112,121上にめっき層を均一な厚さで形成することができる。また、外部電極111,112上において複数の突起状導体50を均一な高さで形成することができる。この結果、従来技術のようなめっきレジストの剥離不良の発生を防止することができ、製品歩留まりを向上させることができる。
【0078】
(2)本実施の形態では、未焼成セラミック積層体159に従来技術のような面取り用貫通穴が形成されていないので、未焼成セラミック積層体159の焼成時にて熱が均一に伝わり、セラミック焼成体168の反り量を低く抑えることができる。そして、このセラミック焼成体168を分割することで、反りの少ないセラミックコンデンサ101を製造することができる。従って、セラミックコンデンサ101を内蔵した配線基板10では、ビア導体43を介して導体層41,42等に外部電極111,112,121,122を確実に接続することができる。
【0079】
(3)本実施の形態では、各コンデンサ形成領域R1において同一方向の角部となる1つの面取り用分割線L2の破断強度が他の3つの面取り用分割線L2の破断強度よりも大きくなるように各面取り用ブレイク溝165a,165bが形成されている。より詳しくは、ブレイク溝165aが形成される1つの面取り用分割線L2の厚み方向における破断強度は、製品領域分割用分割線L1の厚み方向における破断強度よりも大きく、ブレイク溝165bが形成される他の3つの面取り用分割線L2の厚み方向における破断強度は、製品領域分割用分割線L1の厚み方向における破断強度よりも小さくなっている。この場合、分割工程を行う際に、破断強度が小さい面取り用分割線L2上のブレイク溝165bが先に破断されるため、コンデンサ形成領域R1おいて同一方向の角部となる位置に非製品領域R2が連結した状態(図24参照)で残る。そして、最後に破断強度が大きい面取り用分割線L2上の面取り用ブレイク溝165aを破断させることで、コンデンサ形成領域R1から非製品領域R2を分離することができる。このようにすれば、分割工程において、非製品領域R2がいびつな割れ方をすることが回避され、効率よく迅速にコンデンサ形成領域R1を分割することができる。
【0080】
(4)本実施の形態において、非製品領域R2は、それぞれ異なる製品領域R1の4つの面取り用分割線L2で囲まれてなり、1つの面取り用分割線L2上のブレイク溝165aがミシン目状であり、他の3つの面取り用分割線L2上のブレイク溝165bが連続線状である。このようにすると、1つの面取り用分割線L2における破断強度を他の3つの面取り用分割線L2における破断強度よりも大きくすることができる。また、1つの面取り用分割線L2上のブレイク溝165aがミシン目状であるため、面取り用ブレイク溝165の内側の非製品領域R2における外部電極112とブレイク溝165の外側のコンデンサ形成領域R1における外部電極112とを電気的に接続することができる。
【0081】
(5)本実施の形態のセラミック焼成体168において、非製品領域R2にも突起状導体50が形成されている。このようにすると、電解めっきにおける電流集中を確実に回避することでき、コンデンサ形成領域R1において複数の突起状導体50を均一な高さで形成することができる。
【0082】
(6)本実施の形態のセラミックコンデンサ101は、コンデンサ本体104の側面106a〜106dに加えて面取り部104aに凹部107が複数形成されているので、配線基板10への内蔵時に樹脂充填材92との接触面積が大きくなる。このため、セラミックコンデンサ101と配線基板10との密着性を向上させることができる。
【0083】
(7)本実施の形態のセラミックコンデンサ101において、面取り部104aに凹部107が形成されるとともに、他の面取り部104b〜104dには凹部107が形成されていない。このため、面取り部104aの凹部107をアライメントマークとして利用することができ、セラミックコンデンサ101の検査工程や出荷準備工程において、セラミックコンデンサ101の向きを容易に揃えることができる。
【0084】
(8)本実施の形態のセラミックコンデンサ101は、コンデンサ本体104の各辺に沿って延びる切欠部108を有するので、配線基板10への内蔵時において、切欠部108に樹脂充填材92が入り込むことで配線基板10との密着性を向上させることができる。また、コンデンサ主面102側からコンデンサ裏面103側に向かう力やその反対側に向かう方向が加わった場合でも、セラミックコンデンサ101が上下方向に移動し難くなる。
【0085】
(9)本実施の形態のセラミックコンデンサ101は、ビアアレイタイプのコンデンサであり、複数のビア導体131,132が全体としてアレイ状に配置されているので、インダクタンスの低減化を図ることができる。従って、セラミックコンデンサ101を用いれば、配線基板10におけるノイズ吸収や電源変動平滑化のための高速電源供給が可能となる。
【0086】
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0087】
・上記実施の形態では、面取り用分割線L2が直線であり、セラミックコンデンサ101の角部に直線状の面取り部104a〜104dを形成するものであったがこれに限定されるものではない。例えば、セラミックコンデンサ101の角部にR形状の面取り部を形成してもよい。この場合、図27に示されるように、面取り用分割線L2が曲線となるように面取り用ブレイク溝165a,165bを形成し、分割工程では、曲線状の面取り用分割線L2に沿ってコンデンサ形成領域R1と非製品領域R2を破断させる。
【0088】
・上記実施の形態では、非製品領域R2を囲む4つの面取り用分割線L2のうちの1つの面取り用分割線L2上の面取り用ブレイク溝165がミシン目状のブレイク溝165aであり、他の3つの面取り用分割線L2上の面取り用ブレイク溝165が連続線状のブレイク溝165bであったがこれに限定されるものではない。具体的には、例えば、4つの面取り用分割線L2上に形成される面取り用ブレイク溝165の全てをミシン目状のブレイク溝とし、1つの面取り用分割線L2上のブレイク溝のピッチが他の3つの面取り用分割線L2上のブレイク溝のピッチよりも長くなるよう形成してもよい。また、基板厚さ方向の深さについて1つの面取り用分割線L2上のブレイク溝が他の3つの面取り用分割線L2上のブレイク溝よりも浅くなるよう形成してもよい。さらには、面取り用分割線L2の形状について1つの面取り用分割線L2が曲線状になるよう面取り用ブレイク溝165を形成し、他の3つの面取り用分割線L2が直線になるよう面取り用ブレイク溝165を形成してもよい。このようにしても、1つの面取り用分割線L2の厚み方向における破断強度を他の3つの面取り用分割線L2の厚み方向における破断強度よりも大きくすることができる。また、面取り用ブレイク溝165がミシン目状のブレイク溝であるため、非製品領域R2の外部電極112と製品領域R1の外部電極112とを電気的に接続することができる。
【0089】
・上記実施の形態のセラミックコンデンサ101では、コンデンサ主面102側の外部電極111,112に突起状導体50を形成していたが、コンデンサ裏面103側の外部電極121,122にも突起状導体50を形成してもよい。
【0090】
・上記各実施の形態のセラミックコンデンサ101において、外部電極111,122は平面視略矩形状に形成され、外部電極112,121は各外部電極111,122を取り囲むように形成されていたが、これに限定されるものではなく、外部電極の形状は適宜変更することができる。例えば、各外部電極111,112,121,122を略円形状に形成してもよい。また、外部電極111,122を略円形状に形成し、外部電極112,121を外部電極111,122の周囲に円形の抜きパターンを有するベタパターンとなるよう形成してもよい。
【0091】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0092】
(1)手段1において、前記非製品領域は、それぞれ異なる前記製品領域の4つの前記面取り用分割線で囲まれてなり、1つの前記面取り用分割線の厚み方向における破断強度は、前記製品領域分割用分割線の厚み方向における破断強度よりも大きく、他の3つの前記面取り用分割線の厚み方向における破断強度は、前記製品領域分割用分割線の厚み方向における破断強度よりも小さいことを特徴とする電子部品の製造方法。
【0093】
(2)手段1において、前記非製品領域は、それぞれ異なる前記製品領域の4つの前記面取り用分割線で囲まれてなり、前記分割工程では、前記製品領域分割用ブレイク溝を破断するとともに、前記破断強度が小さい3つの前記面取り用分割線上のブレイク溝を破断した後、前記破断強度が大きい1つの前記面取り用分割線上のブレイク溝を破断することで前記非製品領域を前記電子部品から割落とすようにしたことを特徴とする電子部品の製造方法。
【0094】
(3)手段1において、前記めっき層が形成された前記外部電極層上の複数箇所に突起状導体を形成するための突起形成用めっき工程をさらに含み、前記突起形成用めっき工程では、前記製品領域に加えて前記非製品領域の外部電極層上にも前記突起状導体を形成することを特徴とする電子部品の製造方法。
【0095】
(4)第1主面及び第2主面を有する板状であり、四箇所の角部に面取り部を有する略矩形状のセラミック基体部と、前記セラミック基体部における前記第1主面及び前記第2主面の少なくとも一方の主面上に形成される外部電極層とを備えた電子部品の製品領域を平面方向に沿って縦横に複数配列した多数個取り用のセラミック焼成体からなる中間製品であって、複数の前記製品領域に跨って形成された前記外部電極層を被覆するめっき層と、前記電子部品の各製品領域の境界に沿って設けられ、個々の電子部品に分割するための製品領域分割用ブレイク溝と、前記製品領域分割用ブレイク溝によって画定される製品領域分割用分割線が交差する部分に設けられた面取り用ブレイク溝とを備え、前記面取り用ブレイク溝によって画定される面取り用分割線で囲まれた略矩形状の領域は捨て材となる非製品領域であり、前記非製品領域と前記製品領域とで前記外部電極層が電気的に接続された状態で前記面取り用ブレイク溝が形成されていることを特徴とする電子部品の中間製品。
【符号の説明】
【0096】
101…電子部品としてのセラミックコンデンサ
102…第1主面としてのコンデンサ主面
103…第2主面としてのコンデンサ裏面
104…セラミック基体部としてのコンデンサ本体
104a〜104d…面取り部
105…セラミック誘電体層
111…外部電極層としての主面側電源用外部電極
112…外部電極層としての主面側グランド用外部電極
121…外部電極層としての裏面側電源用外部電極
122…外部電極層としての裏面側グランド用外部電極
131…コンデンサ内ビア導体としての電源用コンデンサ内ビア導体
132…コンデンサ内ビア導体としてのグランド用コンデンサ内ビア導体
141…内部電極としての電源用内部電極層
142…内部電極としてのグランド用内部電極層
159…未焼成セラミック基板としての未焼成セラミック積層体
160,161…未焼成の外部電極層としての外部電極パターン
163,164…製品領域分割用ブレイク溝
165,165a,165b…面取り用ブレイク溝
168…セラミック焼成体
L1…製品領域分割用分割線
L2…面取り用分割線
R1…製品領域としてのコンデンサ形成領域
R2…非製品領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面及び第2主面を有する板状であり、四箇所の角部に面取り部を有する平面視で略矩形状のセラミック基体部と、前記セラミック基体部における前記第1主面及び前記第2主面の少なくとも一方の主面上に形成される外部電極層とを備えた電子部品を製造する方法であって、
焼成前のセラミック材料を用いて板状に形成された多数個取り用の未焼成セラミック基板を準備する基板準備工程と、
前記未焼成セラミック基板の表面に、未焼成の外部電極層を形成する外部電極形成工程と、
前記未焼成セラミック基板において、個々の電子部品に分割するためのブレイク溝を形成することにより、前記電子部品の製品領域を平面方向に沿って縦横に区分するブレイク溝形成工程と、
前記未焼成セラミック基板を前記未焼成の外部電極層と同時に焼成してセラミック焼成体を得るセラミック焼成工程と、
前記外部電極層に電流を供給して、電解めっきにより前記外部電極層上にめっき層を形成するめっき工程と、
前記セラミック焼成体を各ブレイク溝によって画定される製品領域分割用分割線に沿って破断することにより分割して複数の前記電子部品に個片化する分割工程と
を含み、
前記ブレイク溝は、隣り合う電子部品の製品領域の境界に形成された製品領域分割用ブレイク溝と、各電子部品の前記角部に形成された面取り用ブレイク溝と、を有し、
それぞれ異なる製品領域の前記面取り用ブレイク溝によって画定される面取り用分割線で囲まれた略矩形状の領域は、前記分割工程後に捨て材となる非製品領域であり、前記ブレイク溝形成工程では、前記非製品領域と前記製品領域とで前記外部電極層が電気的に接続された状態で前記面取り用ブレイク溝が形成されることを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記非製品領域は、それぞれ異なる前記製品領域の4つの前記面取り用分割線で囲まれてなり、
前記ブレイク溝形成工程において、前記各製品領域において同一方向の前記角部となる前記面取り用ブレイク溝が形成される1つの前記面取り用分割線の厚み方向における破断強度が他の3つの前記面取り用分割線の厚み方向における破断強度よりも大きくなるように前記面取り用ブレイク溝を形成することを特徴とする請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記非製品領域は、それぞれ異なる前記製品領域の4つの前記面取り用分割線で囲まれてなり、
前記ブレイク溝形成工程において、1つの前記面取り用分割線を画定するミシン目状のブレイク溝と、他の3つの前記面取り用分割線を画定する連続線状のブレイク溝とを形成することを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記非製品領域は、それぞれ異なる前記製品領域の4つの前記面取り用分割線で囲まれてなり、
前記面取り用ブレイク溝は、前記外部電極層を貫通するミシン目状のブレイク溝であり、1つの前記面取り用分割線上の前記ブレイク溝のピッチが他の3つの前記面取り用分割線上のブレイク溝のピッチよりも長くなるよう形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記非製品領域は、それぞれ異なる前記製品領域の4つの前記面取り用分割線で囲まれてなり、
前記面取り用ブレイク溝は、前記外部電極層を貫通するミシン目状のブレイク溝であり、基板厚さ方向の深さについて、1つの前記面取り用分割線上のブレイク溝が他の3つの前記面取り用分割線上のブレイク溝よりも浅くなるよう形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品の製造方法。
【請求項6】
前記ブレイク溝形成工程において、前記ブレイク溝をレーザ加工によって形成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項7】
前記電子部品は、セラミック誘電体層を介して複数の内部電極が積層配置され、前記複数の内部電極に接続された複数のコンデンサ内ビア導体が設けられた前記セラミック基体部を備え、前記外部電極層が前記複数のコンデンサ内ビア導体の端部に接続され、前記複数のコンデンサ内ビア導体が全体としてアレイ状に配置されているビアアレイタイプのセラミックコンデンサであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項8】
前記めっき層が形成された前記外部電極層上の複数箇所に突起状導体を形成するための突起形成用めっき工程をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−160622(P2012−160622A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20241(P2011−20241)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】