説明

電気光学装置、電子機器及び指示物体の検出方法

【課題】タッチ判定を高精度に行うことを可能とする。
【解決手段】電気光学装置(1)は、第1電極(1a)、第2電極(1b)、並びに、電気光学物質(LC)を有する電気光学素子(13)とを備え、電気光学素子を交流反転駆動する。そして、制御回路300は、比較の基準となる基準画像データを第1記憶部に記憶し、比較の対象となる対象画像データを第2記憶部に記憶する。そして、基準画像データと対象画像データとの差分を差分データとして生成する。さらに、制御回路300は、基準画像データと対象画像データとが電気光学素子の駆動状態が同一となるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外光を検出することにより指等の指示物体の位置特定、領域検出を行なう光検出機能付き電気光学装置、およびそのような電気光学装置を備える電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の液晶を利用した電気光学装置、所謂、液晶装置では、液晶に直流電圧を印加すると、焼き付きなどの画質劣化を招くため、液晶に交流電圧を印加する交流駆動が用いられる。
液晶装置では、複数の画素回路がマトリクス状に配置される。画素回路において、走査信号がハイレベルになると、トランジスタがオン状態となり、データ線を介して供給されるデータ電位が液晶素子に印加されると共に保持容量に保持される。液晶素子は画素電極と共通電極との間に液晶が挟持して構成される。トランジスタおよび画素電極は素子基板に形成され、共通電極は対向基板に形成される。そして、素子基板と対向基板とは間隙を持って貼り合わせられており、それらの間に液晶が注入されている。対向基板に形成された共通電極は複数の画素回路で兼用されており、そこには共通電位、所謂、Vcomが供給される。このような回路構成において、共通電位Vcomを基準としてデータ電位の電位を高電位とする期間と低電位とする期間を交互に繰り返して液晶に交流電圧を印加する。
【0003】
他方で、電子機器等の表示装置として広く用いられている液晶を利用した電気光学装置では、所定数の画素回路毎に光センサを配置し、画素回路を透過する透過光による画像表示、および指等の指示物体を介した液晶装置への情報の入力を可能にする、いわゆるタッチパネル機能を有する液晶装置が提案されている。このような液晶装置では、指あるいは指示部材等の指示物体が液晶装置の表示面に触れたこと、あるいは表示面上で動いたことが光センサによって検知され、当該液晶装置への情報の入力が可能になっている。例えば、非特許文献1によれば、低温ポリシリコン(Low Temperature Poly Silicon:LTPS)を有する薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下、「TFT」と称する)からなる駆動回路の動作によって画像を表示可能な液晶装置であって、各画素に配置された光センサによって取得された指示物体の画像に基づいて各種情報を入力可能なタッチパネル機能を有する液晶装置が開示されている。
【0004】
このような液晶装置の搭載される光センサは、例えばフォトダイオードおよび容量が相互に電気的に接続された回路構造を含んで構成されている。容量に蓄積された電荷は、入射光を受光したフォトダイオードに発生した光電流に応じて放電され、当該放電によって変化した電位に基づいて画像の階調レベルが特定される。より具体的には、例えば、画像が表示される表示領域のうち指示物体に重なる領域に配置された光センサ、言い換えれば指示物体の影に重なる領域に配置された光センサは、指示物体の影に対応した入射光の光量を検出し、指示物体に重ならない領域に配置された光センサは、指示物体によって遮られない外光を入射光としてその光量を検出し、光量の差に応じた各画像部分の階調レベルに差が設けられた画像が取得される。したがって、この種の液晶装置では、画像を表示する表示面から入射する入射光の光量を検出し、各光センサによって検出された入射光の光量のそれぞれに応じて階調レベルが特定された画像部分からなる画像に基づいて指示物体の位置が特定可能になる。
【0005】
この種の電気光学装置として、特許文献1等では、フレーム毎にバックライトの点灯と消灯を繰り返し、点灯時に撮像された画像と、消灯時に撮像された画像との差分データに基づいて、タッチ判定を行う技術について開示されている。
【特許文献1】特開平2004−318819号公報
【非特許文献1】Touch Panel Function Integrated LCD Using LTPS Technology,N .Nakamura et al,IDW/AD'05 p.1003-1006
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、フレーム周期で液晶の極性が反転して駆動される場合、上述した共通電位Vcomがフレーム毎に変化するので、この共通電位Vcomレベルの変化に起因して、基準となる画像(以下、基準画像と称する)の階調と、比較の対象となる画像(以下、対象画像と称する)の階調とに誤差が生じてしまい、タッチ判定の精度が低下してしまうという技術的な問題点が生じる。
共通電位Vcomの極性反転に起因する階調の誤差は、液晶表示画面におけるフリッカ抑制処理などの各種の光学的な調整、或いは、液晶の駆動方式に起因して生じる。また、共通電位Vcomの違いを吸収するための電位のオフセット量が液晶パネルの個体単位でばらつきが生じる。詳細には、この共通電位VcomがHighである場合と、Lowである場合とで表示される階調に誤差が生じることが原因である。
【0007】
本発明は、例えば上述した従来の問題点に鑑みなされたものであり、指示物体が近づいたか否か、又は、接触したか否かの判定、所謂、タッチ判定を高精度に行うことが可能な電気光学装置、これを用いた電子機器、及び指示物体の検出方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明に係る電気光学装置は、第1電極、第2電極、並びに、前記第1電極及び前記第2電極の間に設けられ印加電圧に応じて光学特性が変化する電気光学物質を有する電気光学素子を駆動するものであって、前記電気光学素子を駆動し、前記電気光学素子の駆動状態として、前記第1電極に第1の固定電位を印加すると共に、前記第2電極に表示すべき階調に応じたデータ電位を印加する第1駆動状態と、前記第1電極に第2の固定電位を印加すると共に、前記第2電極に前記データ電位を印加する第2駆動状態とを所定周期で切り替える駆動手段と、前記データ電位に応じた前記電気光学素子の光学特性に基づいて、画像を表示画面に表示する表示手段と、前記表示画面に配置され、入射光の光量に応じた画像データを出力する撮像手段と、比較の基準となる前記画像データを基準画像データとして取り込んで記憶する第1記憶手段と、比較の対象となる前記画像データを対象画像データとして取り込んで記憶する第2記憶手段と、前記第1記憶手段から読み出した前記基準画像データと前記第2記憶手段から読み出した前記対象画像データとの差分を差分画像データとして生成する差分画像データ生成手段と、前記第1記憶手段から読み出した前記基準画像データに対応する前記電気光学素子の駆動状態と、前記第2記憶手段から読み出した前記対象画像データに対応する前記電気光学素子の駆動状態とが、同一となるように、前記第1記憶手段及び前記第2記憶手段への書き込み及び読み出しを制御する制御手段とを備える。
【0009】
この電気光学装置によれば、基準画像が表示された瞬間における電気光学素子の駆動状態、即ち、第1駆動状態及び第2駆動状態のうちいずれか一方である駆動状態と、対象画像が撮像された瞬間における電気光学物質の駆動状態、即ち、第1駆動状態及び第2駆動状態のうちいずれか一方である駆動状態とが同一である。
仮に、駆動状態の変化を考慮しない場合、基準画像と対象画像との差分データによるタッチ判定では、駆動状態の変化に起因して、基準画像の階調と、対象画像の階調とに違いやばらつきが生じてしまい、タッチ判定の精度が低下してしまうという技術的な問題点が生じる。具体的には、共通電極の電位であるVcomレベルがゼロの場合における基準画像の階調の誤差を示すΔV1と、共通電極の電位であるVcomレベルが1の場合における基準画像の階調の誤差を示すΔV2とは異なるため、共通電極の電位であるVcomレベルを考慮しない場合、基準画像と、対象画像とを高精度に比較することが技術的に困難となってしまう。
これに対して、本発明では、制御手段は、第1記憶手段から読み出した基準画像データに対応する電気光学素子の駆動状態と、第2記憶手段から読み出した対象画像データに対応する電気光学素子の駆動状態とが、同一となるように、第1記憶手段及び第2記憶手段への書き込み及び読み出しを制御するので、基準画像と対象画像との比較を高精度に行うことが可能である。なお、電気光学物質とは電気エネルギーによって光学特性が変化する物質であり、例えば、液晶が該当する。
【0010】
上述した電気光学装置において、前記制御手段は、前記第1記憶手段に、前記電気光学素子の駆動状態が前記第1駆動状態で生成された前記基準画像データと前記電気光学素子の駆動状態が前記第2駆動状態で生成された前記基準画像データとを記憶させ、前記第2記憶手段に、前記第1駆動状態又は前記第2駆動状態の一方の駆動状態で前記対象画像データを記憶させ、前記差分画像データ生成手段に、前記第2記憶手段から前記一方の駆動状態の前記対象画像データを読み出して供給すると共に、前記第1記憶手段から前記一方の駆動状態に対応する前記基準画像データを読み出して供給することが好ましい。
この場合には、比較の基準となる基準画像データは、第1状態と第2状態の両方が記憶されている。したがって、比較の対象となる対象画像をどのようなタイミングで撮像して対象画像データを生成しても正確な差分画像データを生成することができる。また、対象画像をどのようなタイミングで取り込むことができるので、所定の駆動状態となるまで待つ必要がない。よって、タッチ判定の応答性を向上させることができる。
【0011】
上述した電気光学装置において、前記制御手段は、前記第1記憶手段に、前記第1駆動状態又は前記第2駆動状態の一方の駆動状態で生成された前記基準画像データとを記憶させ、前記第2記憶手段に、前記一方の駆動状態で生成された前記対象画像データを記憶させ、前記差分画像データ生成手段に、前記第2記憶手段から前記一方の駆動状態の前記対象画像データを読み出して供給すると共に、前記第1記憶手段から前記一方の駆動状態に対応する前記基準画像データを読み出して供給することが好ましい。
この場合には、比較の基準となる基準画像データは、第1駆動状態と第2駆動状態の一方について記憶されているが、第2記憶手段に対象画像データを記憶するときに、同一の駆動状態で取り込むので、正確に差分画像データを生成することができる。くわえて、第1記憶手段は、一方の駆動状態に限って基準画像データを記憶すればよいから、第1駆動状態と第2駆動状態の両方を記憶する場合と比較して、記憶容量を半分に削減することができる。
【0012】
上述した電気光学装置は、前記差分画像データを所定のレベルと比較して、比較結果に基づいて、前記表示画面に指示物体が接触する又は近づいたことを識別する識別手段を備えてもよい。この場合には、例えば、所定レベルと差分画像データを比較することにより2値化したデータを生成し、当該データに基づいて指示物体の接触又は近接を判定してもよい。
【0013】
上述した電気光学装置は、前記差分画像データと指示物体の特徴を示す特徴データとを比較し、比較結果に基づいて前記表示画面に近づいた指示物体の正当性を識別する識別手段を備えてもよい。この場合には、特徴データが指紋であれば、個人認証に利用することができる。あるいは、携帯電話で用いられるQRコードやバーコードなどであってもよい。
【0014】
また、上述した電気光学装置において、前記駆動手段は、前記所定周期として、フレーム周期又はフィールド周期の自然数倍で、前記第1駆動状態と、前記第2駆動状態とを切り替えることが好ましい。
【0015】
次に、本発明に係る電子機器は、上述した電気光学装置のいずれかを備えるものであり、そのような電子機器としては、例えば、タッチ機能を搭載したパーソナルコンピュータ、携帯電話機、PDA、自動販売機などが該当する。
【0016】
次に、本発明に係る指示物体の検出方法は、第1電極、第2電極、並びに、前記第1電極及び前記第2電極の間に設けられ印加電圧に応じて光学特性が変化する電気光学物質を有する電気光学素子と、前記電気光学素子を駆動し、前記電気光学素子の駆動状態として、前記第1電極に第1の固定電位を印加すると共に、前記第2電極に表示すべき階調に応じたデータ電位を印加する第1駆動状態と、前記第1電極に第2の固定電位を印加すると共に、前記第2電極に前記データ電位を印加する第2駆動状態とを所定周期で切り替える駆動手段と、前記データ電位に応じた前記電気光学素子の光学特性に基づいて、画像を表示画面に表示する表示手段と、前記表示画面に配置され、入射光の光量に応じた画像データを出力する撮像手段とを備える電気光学装置において前記撮像手段を用いて前記表示画面に近づく指示物体の画像データを検出する方法であって、比較の基準となる前記画像データを基準画像データとして取り込み、前記電気光学素子の駆動状態が前記第1駆動状態で生成された前記基準画像データと前記電気光学素子の駆動状態が前記第2駆動状態で生成された前記基準画像データとを記憶し、比較の対象となる前記画像データを取り込み、前記第1駆動状態又は前記第2駆動状態の一方の駆動状態で対象画像データとして記憶し、前記一方の駆動状態の前記対象画像データを読み出し、前記一方の駆動状態に対応する前記基準画像データを読み出し、読み出した前記基準画像データと読み出した前記対象画像データとの差分を差分画像データとして生成することを特徴とする。
この発明によれば、比較の基準となる基準画像データは、第1状態と第2状態の両方が記憶される。したがって、比較の対象となる対象画像をどのようなタイミングで撮像して対象画像データを生成しても正確な差分画像データを生成することができる。また、対象画像をどのようなタイミングで取り込むことができるので、所定の駆動状態となるまで待つ必要がない。よって、タッチ判定の応答性を向上させることができる。
【0017】
次に、本発明に係る指示物体の検出方法は、第1電極、第2電極、並びに、前記第1電極及び前記第2電極の間に設けられ印加電圧に応じて光学特性が変化する電気光学物質を有する電気光学素子と、前記電気光学素子を駆動し、前記電気光学素子の駆動状態として、前記第1電極に第1の固定電位を印加すると共に、前記第2電極に表示すべき階調に応じたデータ電位を印加する第1駆動状態と、前記第1電極に第2の固定電位を印加すると共に、前記第2電極に前記データ電位を印加する第2駆動状態とを所定周期で切り替える駆動手段と、前記データ電位に応じた前記電気光学素子の光学特性に基づいて、画像を表示画面に表示する表示手段と、前記表示画面に配置され、入射光の光量に応じた画像データを出力する撮像手段とを備える電気光学装置において前記撮像手段を用いて前記表示画面に近づく指示物体の画像データを検出する方法であって、前記電気光学素子の駆動状態が前記第1駆動状態又は前記第2駆動状態の一方の駆動状態で、比較の基準となる前記画像データを基準画像データとして記憶し、前記電気光学素子の駆動状態が前記一方の駆動状態で、比較の対象となる前記画像データを対象画像データとして記憶し、前記一方の駆動状態の前記対象画像データを読み出し、前記一方の駆動状態に対応する前記基準画像データを読み出し、読み出した前記基準画像データと読み出した前記対象画像データとの差分を差分画像データとして生成することを特徴とする。
この場合には、比較の基準となる基準画像データは、第1駆動状態と第2駆動状態の一方について記憶されているが、第2記憶手段に対象画像データを記憶するときに、同一の駆動状態で取り込むので、正確に差分画像データを生成することができる。くわえて、第1記憶手段は、一方の駆動状態に限って基準画像データを記憶すればよいから、第1駆動状態と第2駆動状態の両方を記憶する場合と比較して、記憶容量を半分に削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
<第1実施形態>
<1.基本構成>
本発明の第1実施形態に係る電気光学装置は、電気光学材料として液晶を用いる。電気光学装置1は、主要部として液晶パネルAA(電気光学パネルの一例)を備える。液晶パネルAAは、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下、「TFT」と称する)を形成した素子基板と対向基板とを互いに電極形成面を対向させて、かつ、一定の間隙を保って貼付し、この間隙に液晶が挟持されている。
【0019】
先ず、図1を参照して、本実施形態に係る電気光学装置の基本構成について説明する。ここに、図1は第1実施形態に係る電気光学装置1の全体構成を示すブロック図である。
図1に示されるように、この電気光学装置1は、液晶パネルAA、制御回路300、画像処理回路400、センサ用走査回路500、受光信号処理回路600、及び検出回路700を備える。この液晶パネルAAは透過型であるが、半透過型であってもよいしあるいは反射型であってもよい。液晶パネルAAは、その素子基板上に画像表示領域A、走査線駆動回路100、およびデータ線駆動回路200を備える。制御回路300は、X転送開始パルスDX、Xクロック信号XCKおよび極性信号Sfを生成してデータ線駆動回路200に供給すると共に、Y転送開始パルスDYおよびYクロック信号YCKを生成して走査線駆動回路100に供給する。
【0020】
極性信号Sfは交流駆動における極性を示す。この例では、フレーム周期で液晶に印加する電圧の極性を反転させる。具体的には共通電位Vcomとデータ信号とを極性信号Sfに同期して反転させる。なお、極性信号Sfは図示せぬ電源回路に供給され、電源回路は極性信号Sfに同期してフレーム周期で反転する共通電位Vcomを生成し、これを対向基板に形成された共通電極に供給する。
検出回路700は、共通電極の電位がハイレベルであるかローレベルであるかを検出して検出信号Vdetとして制御回路300に出力する。なお、共通電極に供給される共通電位Vcomは極性信号Sfに基づいて生成されるので、検出回路700において検出信号Vdetを生成する替わりに極性信号Sfを用いてもよい。但し、共通電極には大きな寄生容量が付随するので、電源回路が共通電位Vcomを反転させるように動作しても、実際に共通電位Vcomの電位が反転するまでには時間を要する。したがって、検出回路700を用いることによって、制御回路300は正確に共通電位Vcomの状態を検知できる。
【0021】
画像表示領域Aには、複数の画素回路P1がマトリクス状に形成されており、画素回路P1ごとに透過率が制御される。バックライト(図示略)からの光は、画素回路P1を介して射出される。これによって、光変調による階調表示が可能となる。また、画像処理回路400は入力画像データDinに画像処理を施して出力画像データDoutを生成し、これをデータ線駆動回路200に出力する。
加えて、制御回路300は、センサ用走査回路500に、クロック信号、及びセンサ用の制御信号を供給すると共に、受光信号処理回路600にクロック信号、及び、受光信号処理用の制御信号を供給する。
【0022】
次に、画像表示領域Aについて詳細に説明する。画像表示領域Aには、m(mは2以上の自然数)本の走査線20が、X方向に沿って平行に配列して形成される一方、n(nは2以上の自然数)組の第1データ線10aが、Y方向に沿って平行に配列して形成されている。くわえて、接地電位GNDを供給する電位線(図2中の電位線30を参照)がX方向に沿って平行に配列して形成される。そして、走査線20と第1データ線10aとの交差に対応して、m(行)×n(列)個の画素回路P1が配置される。但し、後述する光検出回路510については、省略してある。
【0023】
n本の第1データ線10aには第1電位X1a〜Xnaが各々供給される。また、各走査線20には、走査信号Y1、Y2、…、Ymが、パルス的に線順次で印加される。i(iは1≦i≦mの自然数)行j(jは1≦j≦nの自然数)列の画素回路P1(i,j)は、i行の走査線20の走査信号Yiがアクティブになると、第1データ線10aを介して供給される第1電位Xjaを取り込む。
【0024】
図2にi行j列の画素回路P1(i,j)の回路図を示す。なお、他の画素回路P1も同様に構成されている。尚、図2では、TFTアレイ基板上にマトリクス状に配置された複数の画素部のうち実質的に画像の表示に寄与する部分の回路構成と共に光検出回路部510を示している。
この図2に示すように、電気光学装置1の画像表示領域Aを構成するマトリクス状に形成された複数の画素回路P1(i,j)は、赤色を表示する画素回路P1r(i,j)、緑色を表示する画素回路P1g(i,j)、および青色を表示する画素回路P1b(i,j)によって構成されてよい。このように構成することで、電気光学装置1は、カラー画像を表示可能な表示装置である。画素回路P1(i,j)は、画像表示領域Aに形成された光検出回路部510に電気的に接続されている。電気的接続態様については後に詳述する。受光信号処理回路600に接続される光検出回路部510は、光センサ部550を備えている。特に、制御回路300の制御下で、この光検出回路部510は、撮像した物体から受光した受光量を受光信号として信号処理し、制御手段に撮像信号として供給する。尚、光検出回路部510は、複数の画素回路P1(i,j)の夫々に対応して備えられてよい。或いは、光検出回路部510は、赤色を表示する画素回路P1r(i,j)、緑色を表示する画素回路P1g(i,j)、および青色を表示する画素回路P1b(i,j)の夫々に対応して備えられてよい。
【0025】
画素回路P1r(i,j)、P1g(i,j)およびP1b(i,j)のそれぞれは、第1電極1a、第2電極1b、TFT11、電気光学素子13、及び、蓄積容量Caを備え、電気光学素子13に含まれる第1電極1aと第2電極1bの間に電気光学物質を挟持して構成される。この電気光学物質は、印加電圧に応じて光学特性が変化するものであればいかなるものであってもよいが、この例では、液晶LCを用いる。この第2電極1bは複数の画素回路で兼用される共通電極であり、そこには共通電位Vcomが供給される。このような回路構成において、共通電位Vcomを基準としてデータ電位Vdataの電位を高電位とする期間と低電位とする期間を交互に繰り返して液晶LCに交流電圧を印加する。尚、本発明に係る第1電極の一具体例が、画素電極である第1電極1aによって例示されている。本発明に係る第2電極の一具体例が、共通電極である第2電極1bによって例示されている。
【0026】
特に、制御回路300は、例えば毎秒60フレームのフレームレート下の各フレーム周期において、共通電極の電位レベルであるVcomレベルがゼロ(即ちグラウンドレベル)であるか又は1であるかを検出する。加えて、制御回路300の制御下で、光センサ部550は、例えば毎秒60フレームのフレームレート下の各フレーム周期において、表示画面に近づいた又は接触した物体を撮像する。
【0027】
TFT11(或いは、トランジスタ11)は、第1電極1aに電気的に接続されており、電気光学装置1の動作時に第1電極1aをスイッチング制御する。画像信号が供給される第1データ線10aは、TFT11のソースに電気的に接続されている。第1データ線10aに書き込む画像信号S1、S2、…は、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数の第1データ線10a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
【0028】
TFT11のゲートに走査線20が電気的に接続されており、電気光学装置1は、所定のタイミングで、表示行選択信号線にパルス的に走査信号を、この順に線順次で印加するように構成されている。第1電極1aは、TFT11のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT11を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、第1データ線10aから供給される画像信号が所定のタイミングで書き込まれる。第1電極1aを介して液晶LCに書き込まれた所定レベルの画像信号は、対向基板に形成された共通電極との間で一定期間保持される。
【0029】
第1電極1aに挟まれた液晶LCは、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各サブ画素部の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素部の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として電気光学装置1からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射される。蓄積容量Caは、画像信号がリークすることを防ぐために、第1電極1aと共通電極との間に形成される液晶LCと並列に付加されている。容量電位線30は、蓄積容量Caが有する一対の電極のうち固定電位側の電極である。
【0030】
<2.駆動状態の切り替えタイミング>
図3は、本実施形態に係る、液晶に印加される電位の極性がフレーム周期で反転して駆動される場合における、Vcomレベルが変化するタイミングと、光センサ部550が撮像するタイミングとの関係を示したタイミングチャート(図3(a))、及び、液晶に印加される電位の極性が走査線を単位として反転して駆動される場合における、Vcomレベルが変化するタイミングと、光センサ部550が撮像するタイミングとの関係を示したタイミングチャート(図3(b))である。
【0031】
図3(a)に示されるように、液晶に印加される電位の極性がフレーム周期で反転して駆動される場合、制御回路300は、フレーム周期に同期して、Vcomレベルがゼロ(即ち、Low)であるか否かを検出してよい。或いは、制御回路300は、フレーム周期に同期して、Vcomレベルが1(即ち、High)であるか否かを検出してよい。従って、フレーム同期信号が立ち下るタイミングTsにおいて、光センサ部550によって、表示画面に近づいた或いは接触した物体を撮像してよい。
【0032】
或いは、図3(b)に示されるように、液晶に印加される電位の極性が走査線を単位として反転して駆動される場合、制御回路300は、フレーム周期に同期して、Vcomレベルがゼロ(即ち、Low)であるか否かを検出してよい。或いは、制御回路300は、フレーム周期に同期して、Vcomレベルが1(即ち、High)であるか否かを検出してよい。従って、フレーム同期信号が立ち下るタイミングTsにおいて、光センサ部550によって、表示画面に近づいた或いは接触した物体を撮像してよい。
【0033】
このように、本実施形態では、基準画像が撮像されたタイミングにおける液晶の駆動状態、即ち、Vcomレベルがゼロ及び1のうちいずれか一方である駆動状態と、対象画像が撮像されたタイミングにおける液晶の駆動状態、即ち、Vcomレベルがゼロ及び1のうちいずれか一方である駆動状態とが同一である。
【0034】
仮に、Vcomレベルの変化を考慮しない場合、基準画像と対象画像との差分データによるタッチ判定では、Vcomレベルの変化に起因して、基準画像の階調と、対象画像の階調とに違いやばらつきが生じてしまい、タッチ判定の精度が低下してしまうという技術的な問題点が生じる。具体的には、Vcomレベルがゼロの場合における基準画像の階調の誤差を示すΔV1と、Vcomレベルが1の場合における基準画像の階調の誤差を示すΔV2とは異なるため、Vcomレベルを考慮しない場合、基準画像と、対象画像とを高精度に比較することが技術的に困難となってしまう。
【0035】
これに対して、本実施形態では、基準画像が撮像されたタイミングにおける液晶の駆動状態、即ち、Vcomレベルがゼロ及び1のうちいずれか一方である駆動状態と、対象画像が撮像されたタイミングにおける液晶の駆動状態、即ち、Vcomレベルがゼロ及び1のうちいずれか一方である駆動状態とが同一である。これにより、液晶の駆動状態が異なることに起因される画像の階調差に殆ど又は完全に影響されないので、基準画像と対象画像との比較を高精度に行うことが可能である。詳細には、基準画像と対象画像との比較によって検出された差分データに基づいて、基準画像と対象画像との比較が行われ両者の違いが高精度に識別され指示物体が近づいたか否か、又は、接触したか否かの判定、所謂、タッチ判定を高精度に行うことが可能である。
【0036】
<2−1.駆動状態を切り替える各種の方式>
ここで、本実施形態に係る、液晶の駆動状態を切り替える各種の方式について説明する。ここに、図4は、本実施形態に係る、電気光学装置1の動作タイミングを示したタイミングチャートである。また、図5は、本実施形態に係る、第1フレーム期間および第2フレーム期間における印加電圧の極性を説明するための概念図である。
【0037】
図4に示すように、第1フレーム期間F1(即ち、第1駆動状態の期間)の第i番目の水平走査期間Hiにおいて、走査信号Yiがアクティブになる。すると、画素回路P1(i,j)のトランジスタ11がオン状態となり、第1電極1aに第1電位Xjaが印加され、第2電極1bが接地電位GNDとなる。言い換えると、第1電位Xjaは表示すべき階調に応じたデータ電位Vdataとなり、第2電位Xjbは接地電位GND(固定電位)となる。そして、保持容量Caによって階調に応じた電位が保持される。この結果、第1フレーム期間F1では、第1電極1aの電位が第2電極1bの接地電位GNDを基準として高電位となる。
【0038】
第2フレーム期間F2(即ち、第2駆動状態の期間)の第i番目の水平走査期間Hiでも画素回路P1(i,j)のトランジスタ11がオン状態となり、第1電極1aが接地電位GNDとなり、第2電極1bに第1電位Xjaが印加される。このように、第2フレーム期間F2における第1電極1aおよび第2電極1bの関係は、第1フレーム期間F1と逆転している。即ち、第2フレーム期間F2では、第1電極1aの電位が接地電位GNDとなり第2電極1bの電位がデータ電位Vdataとなる。したがって、第2フレーム期間F2では、第2電極1bの電位が第1電極1aの接地電位GNDを基準として高電位となる。
【0039】
このように第1フレーム期間F1と第2フレーム期間F2とで電気光学素子13に印加される電圧の向きを反転させることによって、交流電圧を液晶LCに印加することができる。交流駆動の方式としては、以下に述べる各種の方式がある。なお、以下の説明では、液晶LCに印加される電圧の極性を、第1電極1aの電位が第2電極1bの電位よりも高電位となる場合を正極性と称し、第1電極1aの電位が第2電極1bの電位よりも低電位となる場合を負極性と称する。
【0040】
V反転方式は、あるフレーム(垂直走査)期間中は全ての第1電極1aに高電位を供給すると共に第2電極1bに接地電位GNDを供給し、次のフレーム期間中は全ての第1電極1aに接地電位GNDを供給すると共に第1電極1aに高電位を供給する反転方式である。V反転方式では、全ての画素回路P1において液晶LCに印加する電圧の極性が共通し、隣接するフレーム間で印加電圧の極性が反転する。
【0041】
S反転方式は、あるフレーム期間においてデータ線毎に(列毎に)第1電極1aに高電位と接地電位GNDとを交互に供給して、列毎に液晶LCに印加する電圧の極性を反転させる。そして、次のフレーム期間では前のフレーム期間で高電位を供給した第1電極1aには接地電位GNDを供給し、接地電位GNDを供給した第1電極1aには高電位を供給する。このようにS反転方式では、列毎に液晶LCに印加する電圧の極性を反転し、隣接するフレーム間で液晶LCに印加する電圧の極性を反転する。
【0042】
H反転方式は、あるフレーム期間中に走査線毎に(行毎に)第1電極1aに高電位と接地電位GNDとを交互に供給して、列毎に液晶LCに印加する電圧の極性を反転させる。そして、次のフレーム期間では前のフレーム期間で高電位を供給した第1電極1aには接地電位GNDを供給し、接地電位GNDを供給した第1電極1aには高電位を供給する。このようにH反転方式では、行毎に液晶LCに印加する電圧の極性を反転し、隣接するフレーム間で液晶LCに印加する電圧の極性を反転する。
ドット反転方式は、S反転方式とH反転方式とを組み合わせたものである。ドット反転方式は、あるフレーム期間中において走査線およびデータ線毎に(すなわち画素単位毎に)第1電極1aに高電位と接地電位GNDとを交互に供給して、行および列毎に液晶LCに印加する電圧の極性を反転させる。そして、次のフレーム期間では前のフレーム期間で高電位を供給した第1電極1aには接地電位GNDを供給し、接地電位GNDを供給した第1電極1aには高電位を供給する。このようにドット反転方式は、行および列毎に液晶LCに印加する電圧の極性を反転し、隣接するフレーム間で液晶LCに印加する電圧の極性を反転する。
【0043】
本実施形態の電気光学装置1は、上述した各種の方式のいずれを採用することもできるが、S反転方式を採用する場合には、図4に示すように、第1フレーム期間F1のi番目の水平走査期間Hiにおいて、画素回路P1(i,j)では、第1電極1aにデータ電位Vdataが供給される一方、第2電極1bに接地電位GNDが供給される。したがって、第1フレーム期間F1において画素回路P1(i,j)の液晶LCに印加される電圧の極性は正極性となる。次に、第1フレーム期間F1のi+1番目の水平走査期間Hi+1において、画素回路P1(i+1,j)では、第2電極1bにデータ電位Vdataが供給される一方、第1電極1aに接地電位GNDが供給される。したがって、第1フレーム期間F1において画素回路P1(i+1,j)の液晶LCに印加される電圧の極性は負極性となる。
【0044】
また、第2フレーム期間F2のi番目の水平走査期間Hiにおいて、画素回路P1(i,j)では、第2電極1bにデータ電位Vdataが供給される一方、第1電極1aに接地電位GNDが供給される。したがって、第2フレーム期間F2において画素回路P1(i,j)の液晶LCに印加される電圧の極性は負極性となる。次に、第2フレーム期間F2のi+1番目の水平走査期間Hi+1において、画素回路P1(i+1,j)では、第1電極1aにデータ電位Vdataが供給される一方、第2電極1bに接地電位GNDが供給される。したがって、第2フレーム期間F2において画素回路P1(i+1,j)の液晶LCに印加される電圧の極性は正極性となる。
【0045】
この結果、図5に示すように第1フレーム期間F1および第2フレーム期間F2において、画素回路P1(i,j)の液晶LCと画素回路P1(i+1,j)の液晶LCに印加される電圧の極性は反転し、且つ、フレーム間で画素回路P1(i,j)の液晶LCおよび画素回路P1(i+1,j)の液晶LCに印加される電圧の極性が反転する。
【0046】
<3.動作原理>
次に、図6から図8を参照して、本実施形態に係る基準画像と対象画像との比較に基づくタッチ判定処理について説明する。ここに、図6は、本実施形態に係るタッチ判定の際の初期化処理の流れを示したフローチャート(図6(a))、及び、本実施形態に係る基準画像と対象画像との比較に基づくタッチ判定処理の流れを示したフローチャート(図6(b))である。図7は、本実施形態に係る、基準画像の一具体例としてのメニュー画面と、この基準画像との違いを比較される対象画像を図式的に示した一及び他の模式図(図7(a)及び図7(b))である。図8は、本実施形態に係る、基準画像の他の具体例としての予め登録された指紋画像と、この基準画像との同一性を比較される対象画像を図式的に示した模式図である。なお、本実施形態では、共通電極の共通電位Vcomとして、低電位(第1の固定電位)を供給するか、高電位(第2の固定電位)を供給するかを切り替える。より具体的には奇数フレームにおいて共通電位Vcomは低電位(=0)となり、偶数フレームにおいて共通電位Vcomは高電位(=1)となる。
【0047】
先ず、図6(a)に示されるように、初期化処理として、制御回路300の制御下で、例えば毎秒60フレームのフレームレート下の奇数フレームにおいて、共通電極である第2電極1bに接地電位GNDが供給され、共通電極の電位レベルであるVcomレベルが低電位(即ちグラウンドレベル)になると共に、画素電極である第1電極1aにデータ電位が印加されるタイミングで、光センサ部550によって、基準画像が撮像される(ステップS101)。この基準画像は第1基準画像データとして制御回路300に伝送され、制御回路300に設けられた第1記憶部に記憶される。ここに、基準画像とは、比較の基準になる画像の意味であり、例えば光学式タッチパネルにおいて指示物体による指示判定処理や指紋認証処理を行う場合、撮像された画像の変化を識別するための比較基準となる画像を意味する。
【0048】
次に、制御回路300の制御下で、例えば毎秒60フレームのフレームレート下の偶数フレームにおいて、共通電極の電位レベルであるVcomレベルが高電位になるタイミングで、光センサ部550によって、基準画像が撮像される(ステップS102)。この基準画像は第2基準画像データとして制御回路300に伝送され、制御回路300に設けられた第1記憶部に記憶される。
【0049】
特に、この初期化処理としての、フレームを周期としての基準画像の撮像は、液晶パネルの電源投入時に実施されてよいし、或いは、ユーザによる初期化処理のボタン操作時に実施されてよい。さらに、基準画像の撮像は、表示画像が切り替わる時に実施されてよいし、所定の時間間隔で定期的に実施されてよい。
【0050】
続いて、図6(b)に示されるように、タッチ判定処理として、制御回路300の制御下で、共通電極に接地電位GNDが供給され、共通電極の電位レベルであるVcomレベルがゼロ(即ちグラウンドレベル)であるか否かが判定される(ステップS201)。ここで、共通電極の電位レベルであるVcomレベルがゼロであると判定される場合(ステップS201:Yes)、制御回路300の制御下で、例えば毎秒60フレームのフレームレート下の奇数フレームにおいて、共通電極に接地電位GNDが供給され、共通電極の電位レベルであるVcomレベルがゼロ(即ちグラウンドレベル)になると共に、画素電極にデータ電位が印加されるタイミングで、光センサ部550によって、対象画像が撮像される(ステップS202)。詳細には、光センサ部550によって表示画面の一画面分だけ撮像される。対象画像は対象画像データとして制御回路300に伝送され、制御回路300に設けられた第2記憶部に記憶される。ここに、対象画像とは、比較の対象になる画像の意味であり、例えば光学式タッチパネルにおいて指示物体による指示判定処理や指紋認証処理を行う場合、撮像された画像の変化を識別するための比較対象となる画像を意味する。
【0051】
次に、制御回路300の制御下で、上述したステップS101において撮像された第1基準画像データを第1記憶部から読み出し、上述したステップS202において撮像された対象画像を示す対象画像データとの差分を演算して差分データが検出される(ステップS203)。ここで、対象画像データは、奇数フレームで取り込まれたものであるから、比較の対象となる対象画像データと第1基準画像データとは、共通電位Vcomが低電位の状態で生成されたものである。したがって、差分データは、高い精度で階調の変化を表している。
【0052】
他方、上述したステップS201の判定の結果、共通電極の電位レベルであるVcomレベルがゼロであると判定されない場合、即ち、Vcomレベルが1であると判定される場合(ステップS201:No)、制御回路300の制御下で、例えば毎秒60フレームのフレームレート下の偶数フレームにおいて、共通電極の電位レベルであるVcomレベルが1になるとタイミングで、光センサ部550によって、対象画像が撮像される(ステップS204)。対象画像は対象画像データとして制御回路300に伝送され、制御回路300に設けられた第2記憶部に記憶される。
【0053】
次に、制御回路300の制御下で、上述したステップS102において撮像された基準画像を示す第2基準画像データと、上述したステップS204において撮像された対象画像データとの差分を演算して差分データが検出される(ステップS205)。ここで、対象画像データは、偶数フレームで取り込まれたものであるから、比較の対象となる対象画像データと第1基準画像データとは、共通電位Vcomが高電位の状態で生成されたものである。したがって、差分データは、高い精度で階調の変化を表している。
【0054】
次に、制御回路300の制御下で、上述のステップS203又はステップS205において、検出された差分データを所定レベルと比較し、比較結果に基づいて、表示画面に指示物体が接触する又は近づいたか否かの判定、所謂、タッチ判定が行われる(ステップS206)。
具体的には、検出された差分データが、光センサ部550の許容誤差の範囲より大きい場合には、入射光の光量が大きく変化したと判定することが可能であるので、指示物体が近づいた又は接触したと判定することが可能である。或いは、具体的には、検出された差分データが、光センサ部550の許容誤差の範囲より小さい場合には、入射光の光量が殆ど変化していないと判定することが可能であるので、指示物体が近づいていない、及び接触していないと判定することが可能である。
【0055】
例えば、図7(a)の左側部に示されるように、ボタン「A」及びボタン「B」の画像が示された基準画像と、例えば人の指などの指示物体の影が基準画像に投射され、上述の光センサ部550によって撮像された対象画像とが比較される。この比較処理の結果、検出された基準画像と対象画像との差分データが、光センサ部550の許容誤差の範囲より大きい場合には、この人の指の影に起因して、入射光の光量が大きく変化したと判定することが可能であるので、人の指が近づいた又は接触したと判定することが可能である。この人の指のタッチ判定により、次のメニュー画面に進み、図7(b)の左側部に示されるように、ボタン「A1」、「A2」、「A3」及びボタン「A4」の画像が示された基準画像が表示画面に表示される。そして、上述と概ね同様にして、基準画像と人の指が近づき影が投射された対象画像との比較処理が行われる。
【0056】
尚、このステップS206では、上述のステップS203又はステップS205において、検出された差分データと指示物体の特徴を示す特徴データとを比較し、比較結果に基づいて表示画面に近づいた指示物体の正当性を識別してもよい。具体的には、図8の左側部に示される指紋の画像を特徴データとして予め登録しておき、図8の右側部に示された差分データとが同一であるか否か識別判定、所謂、指紋認証を行うことが可能である。
【0057】
特に、本実施形態では、基準画像が撮像されたタイミングにおける液晶の駆動状態と、対象画像が撮像されたタイミングにおける液晶の駆動状態とが同一であるので、液晶の駆動状態が異なることに起因される画像の階調差に殆ど又は完全に影響されないので、基準画像と対象画像との比較を高精度に行うことが可能である。詳細には、基準画像と対象画像との比較によって検出された差分データに基づいて、基準画像と対象画像との比較が行われ両者の違いが高精度に識別され指示物体が接触したか否かの判定、所謂、タッチ判定を高精度に行うことが可能である。或いは、基準画像と対象画像との比較によって検出された差分データに基づいて、基準画像と対象画像との比較が行われ両者の同一性が高精度に識別されることで、所謂、指紋認証を高精度に行うことが可能である。
【0058】
<4.第2実施形態>
次に、図9を参照して、第2実施形態に係る電気光学装置について説明する。この第2実施形態に係る電気光学装置の構成は、図1から図8において説明した第1実施形態の電気光学装置と概ね同様に構成されている。ここに、図9は、第2実施形態に係るタッチ判定の際の初期化処理の流れを示したフローチャート(図9(a))、及び、第2実施形態に係る基準画像と対象画像との比較に基づくタッチ判定処理の流れを示したフローチャート(図9(b))である。
【0059】
先ず、図9(a)に示されるように、初期化処理として、制御回路300の制御下で、例えば毎秒60フレームのフレームレート下の奇数フレームにおいて、共通電極である第2電極1bに接地電位GNDが供給され、共通電極の電位レベルであるVcomレベルがゼロ(即ちグラウンドレベル)になると共に、画素電極である第1電極1aにデータ電位が印加されるタイミングで、光センサ部550によって、基準画像が撮像される(ステップS101)。すなわち、共通電位Vcomが低電位の状態で基準画像データが生成され、これが制御回路300の第1記憶部に記憶される。
【0060】
続いて、図9(b)に示されるように、タッチ判定処理として、制御回路300の制御下で、共通電極に接地電位GNDが供給され、共通電極の電位レベルであるVcomレベルがゼロ(即ちグラウンドレベル)であるか否かが判定され(ステップS201)、この判定を共通電位Vcomが低電位(=0)になるまで繰り返す。そして、共通電位Vcomが低電位になると(ステップS201:Yes)、光センサ部550によって、対象画像が撮像される(ステップS202)。詳細には、光センサ部550によって表示画面の一画面分だけ撮像されると共に、撮像された対象画像を示す対象画像データが制御回路300の第2記憶部に記憶される。
【0061】
次に、制御回路300の制御下で、上述したステップS101において撮像された基準画像を示す基準画像データと、上述したステップS202において撮像された対象画像を示す対象画像データを第1記憶部及び第2記憶部から読み出して、それの差分を演算して差分データが検出される(ステップS203)。ここで、対象画像データは、奇数フレームで取り込まれたものであるから、比較の対象となる対象画像データと基準画像データとは、共通電位Vcomが低電位の状態で生成されたものである。したがって、差分データは、高い精度で階調の変化を表している。
【0062】
次に、制御回路300の制御下で、上述のステップS203において、検出された差分データに基づいて、基準画像と対象画像との比較が行われ両者の違いが識別され指示物体が接触したか否かの判定、所謂、タッチ判定が行われる(ステップS206)。
このように、第2実施形態に係る電気光学装置によれば、共通電位Vcomが低電位の状態で基準画像データを第1記憶部に記憶すればよいので、共通電位Vcomが高電位の状態で基準画像データを記憶する必要がない。したがって、第1実施形態と比較して第1記憶部の記憶容量を半分に削減することができる。なお、本実施形態では、奇数フレームにおいて、基準画像と対象画像との比較処理を行ったが、偶数フレームにおいて、基準画像と対象画像との比較処理を行ってよい。換言すれば、制御回路300は、第1記憶部に、共通電位Vcomが高電位又は低電位の一方の駆動状態で生成された基準画像データとを記憶させ、第2記憶部に一方の駆動状態で生成された対象画像データを記憶させ、これらのデータに基づいて差分データを生成すればよい。
【0063】
<5.電子機器>
次に、上述した実施形態に係る電気光学装置1を適用した電子機器について説明する。図10に、電気光学装置1を適用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す。パーソナルコンピュータ2000は、表示ユニットとしての電気光学装置1と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設けられている。
図11に、電気光学装置1を適用した携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002、並びに表示ユニットとしての電気光学装置1を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置1に表示される画面がスクロールされる。
図12に、電気光学装置1を適用した携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。携帯情報端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002、並びに表示ユニットとしての電気光学装置1を備える。複数の操作ボタン4001を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が電気光学装置1に表示される。
なお、電気光学装置1が適用される電子機器としては、図10〜図12に示すものの他、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として、前述した電気光学装置1が適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】第1実施形態に係る電気光学装置1の全体構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る電気光学装置1に有されるi行j列の画素回路P1(i,j)の回路図である。
【図3】第1実施形態に係る、液晶に印加される電位の極性がフレーム周期で反転して駆動される場合における、Vcomレベルが変化するタイミングと、光センサ部550が撮像するタイミングとの相関関係を示したタイミングチャート(図3(a))、及び、液晶に印加される電位の極性が走査線を単位として反転して駆動される場合における、Vcomレベルが変化するタイミングと、光センサ部550が撮像するタイミングとの相関関係を示したタイミングチャート(図3(b))である。
【図4】第1実施形態に係る、電気光学装置1の動作タイミングを示したタイミングチャートである。
【図5】第1実施形態に係る、第1フレーム期間および第2フレーム期間における印加電圧の極性を説明するための概念図である。
【図6】第1実施形態に係るタッチ判定の際の初期化処理の流れを示したフローチャート(図6(a))、及び、本実施形態に係る基準画像と対象画像との比較に基づくタッチ判定処理の流れを示したフローチャート(図6(b))である。
【図7】第1実施形態に係る、基準画像の一具体例としてのメニュー画面と、この基準画像との違いを比較される対象画像を図式的に示した一及び他の模式図(図7(a)及び図7(b))である。
【図8】第1実施形態に係る、基準画像の他の具体例としての予め登録された指紋画像と、この基準画像との同一性を比較される対象画像を図式的に示した模式図である。
【図9】第2実施形態に係るタッチ判定の際の初期化処理の流れを示したフローチャート(図9(a))、及び、第2実施形態に係る基準画像と対象画像との比較に基づくタッチ判定処理の流れを示したフローチャート(図9(b))である。
【図10】本実施形態に係る電気光学装置を適用した電子機器の一例たるパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
【図11】本実施形態に係る電気光学装置を適用した電子機器の一例たる携帯電話の構成を示す斜視図である。
【図12】本実施形態に係る電気光学装置を適用した電子機器の一例たる携帯情報端末の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
1…電気光学装置、10a…第1データ線、20…走査線、P1…画素回路、11…トランジスタ、1a…第1電極、1b…第2電極、13…電気光学素子、LC…液晶、100…走査線駆動回路、200…データ線駆動回路、300…制御回路、400…画像処理回路、500…センサ用走査回路、550…光センサ部、600…受光信号処理回路、F1…第1フレーム期間、F2…第2フレーム期間、GND…接地電位、液晶パネル…AA。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極、第2電極、並びに、前記第1電極及び前記第2電極の間に設けられ印加電圧に応じて光学特性が変化する電気光学物質を有する電気光学素子を駆動する電気光学装置であって、
前記電気光学素子を駆動し、前記電気光学素子の駆動状態として、前記第1電極に第1の固定電位を印加すると共に、前記第2電極に表示すべき階調に応じたデータ電位を印加する第1駆動状態と、前記第1電極に第2の固定電位を印加すると共に、前記第2電極に前記データ電位を印加する第2駆動状態とを所定周期で切り替える駆動手段と、
前記データ電位に応じた前記電気光学素子の光学特性に基づいて、画像を表示画面に表示する表示手段と、
前記表示画面に配置され、入射光の光量に応じた画像データを出力する撮像手段と、
比較の基準となる前記画像データを基準画像データとして取り込んで記憶する第1記憶手段と、
比較の対象となる前記画像データを対象画像データとして取り込んで記憶する第2記憶手段と、
前記第1記憶手段から読み出した前記基準画像データと前記第2記憶手段から読み出した前記対象画像データとの差分を差分画像データとして生成する差分画像データ生成手段と、
前記第1記憶手段から読み出した前記基準画像データに対応する前記電気光学素子の駆動状態と、前記第2記憶手段から読み出した前記対象画像データに対応する前記電気光学素子の駆動状態とが、同一となるように、前記第1記憶手段及び前記第2記憶手段への書き込み及び読み出しを制御する制御手段とを、
備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記第1記憶手段に、前記電気光学素子の駆動状態が前記第1駆動状態で生成された前記基準画像データと前記電気光学素子の駆動状態が前記第2駆動状態で生成された前記基準画像データとを記憶させ、
前記第2記憶手段に、前記第1駆動状態又は前記第2駆動状態の一方の駆動状態で前記対象画像データを記憶させ、
前記差分画像データ生成手段に、前記第2記憶手段から前記一方の駆動状態の前記対象画像データを読み出して供給すると共に、前記第1記憶手段から前記一方の駆動状態に対応する前記基準画像データを読み出して供給する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記第1記憶手段に、前記第1駆動状態又は前記第2駆動状態の一方の駆動状態で生成された前記基準画像データとを記憶させ、
前記第2記憶手段に、前記一方の駆動状態で生成された前記対象画像データを記憶させ、
前記差分画像データ生成手段に、前記第2記憶手段から前記一方の駆動状態の前記対象画像データを読み出して供給すると共に、前記第1記憶手段から前記一方の駆動状態に対応する前記基準画像データを読み出して供給する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記差分画像データを所定のレベルと比較して、比較結果に基づいて、前記表示画面に指示物体が接触する又は近づいたことを識別する識別手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記差分画像データと指示物体の特徴を示す特徴データとを比較し、比較結果に基づいて前記表示画面に近づいた指示物体の正当性を識別する識別手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記駆動手段は、前記所定周期として、フレーム周期又はフィールド周期の自然数倍で、前記第1駆動状態と、前記第2駆動状態とを切り替えることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の電気光学装置を備えた電子機器。
【請求項8】
第1電極、第2電極、並びに、前記第1電極及び前記第2電極の間に設けられ印加電圧に応じて光学特性が変化する電気光学物質を有する電気光学素子と、前記電気光学素子を駆動し、前記電気光学素子の駆動状態として、前記第1電極に第1の固定電位を印加すると共に、前記第2電極に表示すべき階調に応じたデータ電位を印加する第1駆動状態と、前記第1電極に第2の固定電位を印加すると共に、前記第2電極に前記データ電位を印加する第2駆動状態とを所定周期で切り替える駆動手段と、前記データ電位に応じた前記電気光学素子の光学特性に基づいて、画像を表示画面に表示する表示手段と、前記表示画面に配置され、入射光の光量に応じた画像データを出力する撮像手段とを備える電気光学装置において前記撮像手段を用いて前記表示画面に近づく指示物体の画像データを検出する指示物体の検出方法であって、
比較の基準となる前記画像データを基準画像データとして取り込み、前記電気光学素子の駆動状態が前記第1駆動状態で生成された前記基準画像データと前記電気光学素子の駆動状態が前記第2駆動状態で生成された前記基準画像データとを記憶し、
比較の対象となる前記画像データを取り込み、前記第1駆動状態又は前記第2駆動状態の一方の駆動状態で対象画像データとして記憶し、
前記一方の駆動状態の前記対象画像データを読み出し、前記一方の駆動状態に対応する前記基準画像データを読み出し、読み出した前記基準画像データと読み出した前記対象画像データとの差分を差分画像データとして生成する、
ことを特徴とする指示物体の検出方法。
【請求項9】
第1電極、第2電極、並びに、前記第1電極及び前記第2電極の間に設けられ印加電圧に応じて光学特性が変化する電気光学物質を有する電気光学素子と、前記電気光学素子を駆動し、前記電気光学素子の駆動状態として、前記第1電極に第1の固定電位を印加すると共に、前記第2電極に表示すべき階調に応じたデータ電位を印加する第1駆動状態と、前記第1電極に第2の固定電位を印加すると共に、前記第2電極に前記データ電位を印加する第2駆動状態とを所定周期で切り替える駆動手段と、前記データ電位に応じた前記電気光学素子の光学特性に基づいて、画像を表示画面に表示する表示手段と、前記表示画面に配置され、入射光の光量に応じた画像データを出力する撮像手段とを備える電気光学装置において前記撮像手段を用いて前記表示画面に近づく指示物体の画像データを検出する指示物体の検出方法であって、
前記電気光学素子の駆動状態が前記第1駆動状態又は前記第2駆動状態の一方の駆動状態で、比較の基準となる前記画像データを基準画像データとして記憶し、
前記電気光学素子の駆動状態が前記一方の駆動状態で、比較の対象となる前記画像データを対象画像データとして記憶し、
前記一方の駆動状態の前記対象画像データを読み出し、前記一方の駆動状態に対応する前記基準画像データを読み出し、読み出した前記基準画像データと読み出した前記対象画像データとの差分を差分画像データとして生成する、
ことを特徴とする指示物体の検出方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−69730(P2009−69730A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−240528(P2007−240528)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】