説明

電気変速機を有する無段変速トランスミッションにおける、内燃エンジンのトルクの飽和を制御する方法および装置

本発明は、内燃エンジン(1)と少なくとも2つの電気機械(2、3)とを備え、電気変速機を有する無段変速トランスミッションの制御方法である。本制御方法は、内燃エンジン(1)の回転数の基準値(RWice)と車輪トルク基準値(RTo)とによって定義される、無段変速トランスミッションの瞬間的な動作ポイントを計算することに基づく。更に、内燃エンジン(1)のトルクが飽和する場合に、その飽和が解消されるように車輪トルク基準値(RTo)を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気変速機を有する無段変速トランスミッションの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の主題は、より具体的には、内燃エンジンおよび少なくとも2つの電気機械を含み、電気変速機を有する無段変速トランスミッションを制御する方法である。また、当該方法は、内燃エンジンの回転数の基準値と、車輪におけるトルクに関連する車輪トルク基準値とによって定義される、無段変速トランスミッションの瞬間的な動作ポイントを計算することに基づく方法である。
【0003】
本発明は、内燃エンジンと、電気変速機を有する無段変速トランスミッションとを備えている車両であって、内燃エンジンと無段変速トランスミッションとの間に連結装置、クラッチ、コンバータのいずれも備えていないという特殊な特徴を持つ車両に適用される。
【0004】
本発明の好ましい用途として、ただしこれに限定されないが、少なくとも2つの平行な動力伝達系統を備えており、一方の系統が、一定の減速比を有するドライブトレインを含んでおり、他方の系統が、2つの電気機械から成る無段階変速機を備える変速装置が挙げられる。
【0005】
フランス特許第2,823,281号公報には、上述したタイプの変速装置であって、内燃エンジンなどの機械的な動力源に連結されている入力側機械式分配装置と、車両の車輪に連結されている出力側機械式分配装置とに、さまざまな系統が連結されている変速装置が開示されている。これらの入力側および出力側機械式分配装置は、遊星歯車装置であることが好ましいが、ただしこれは必須ではない。
【0006】
このように、上記公報に記載されたトランスミッションは、エネルギバッファ要素(バッテリー)によって連結されている2つの電気機械を備えている。そして、これらの電気機械は、内燃エンジンと、車輪と、電気モーターとにそれぞれ連結されている4本の入力シャフトおよび出力シャフトを有するドライブトレインに組み込まれている。
【0007】
この技術分野において一般的な配置構成では、トランスミッションの計算ユニットは、それぞれの駆動装置(2つの電気機械、場合によっては内燃エンジン)用の命令コマンドを作成する。そして、トランスミッションを、「高監視レベル」と呼ばれる計算モジュールによって決定される動作ポイントにすることが可能である。
【特許文献1】フランス特許第2,823,281号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、トランスミッションの動作ポイントは、内燃エンジンの回転数の基準値と車輪トルク基準値によって定義することができる。この場合、それぞれの駆動装置用の命令コマンドを作成する計算ユニットは、性能仕様を遵守し、外乱および測定ノイズの影響を軽視できる特性を提供し、エネルギバッファ要素を正しく調整しなければならない。
【0009】
特に、上記命令コマンドは、頻繁に起こる内燃エンジンのトルクの飽和に対応できる必要がある。この状況は、クランクシャフトに求められるトルクが最大許容トルクより大きいことを意味する。ところで、高負荷時、あるいは動作ポイントが正確に計算されない場合、計算された上記命令コマンドは、内燃エンジンのトルクを飽和させることもある。この状況が起こると、望ましい動作ポイントに達せず、運転者は不快に思う。
【0010】
この飽和が計算されないと、制御装置の性能の低下を引き起こす。従って、内燃エンジンの回転数と車輪のトルクから車両の動きを予想して、トランスミッションの望ましい動作ポイントを再計算することを考慮しただけでは、内燃エンジンが常に高出力を供給できるものでない。また、内燃エンジンの出力には上限があるため、全ての内燃エンジンのトルクも上限がある。このような不安定な制御を安定させることを考慮に入れていないために、高負荷における性能が低下する。そして、車両の性能も制限される。
【0011】
本発明は、内燃エンジンのトルクの飽和を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的のために、本発明は、内燃エンジンのトルクが飽和する場合に、内燃エンジンのトルクの飽和を防止するように車輪トルク基準値を補正することを提案する。
【0013】
好ましくは、内燃エンジンと車輪の相互作用を考慮したトランスミッション全体の状態の推定値を含むベクトルと、瞬間的なトルク飽和値との関数で、車輪トルク基準値を補正する。
【0014】
本発明の1つの実施形態によると、このベクトルは、内燃エンジンの回転数、車輪トルク、電気機械の回転数、ギアボックスの入力トルク、車輪速度、内燃エンジンの摩擦抵抗トルク、車輪の摩擦抵抗トルク、のうちの少なくとも1つの推定値を含んでいる。
【0015】
本発明は、車輪トルク基準値を補正することのできる内燃エンジントルク飽和防止ユニットを有するトランスミッションの制御装置にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の他の特徴および利点は、1つの実施形態について、添付の図面を参照しながら、以下の説明を読み進めることによって、明確に明らかになるであろう。なお、本実施形態は、本発明を制限するものでない。
− 図1は、本発明が適用される無段変速トランスミッションのブロック図である。
− 図2は、実施形態で配置された機械制御装置の構造を示す。
【0017】
図1は、参照文献であるフランス特許第2,823,281号公報に記載されている、内燃エンジン1と車輪6との間で動力を伝達する2つの平行な動力伝達系統と電気変速機を有する無段変速トランスミッションを概略的に示している。主動力伝達系統は、固定の減速比を有するドライブトレインを含む。そして、パワーテイクオフ系統として知られる従動力伝達系統は、電気変速機を構成する2つの電気機械2および3を含んでいる。
【0018】
この図には、後から説明するいくつかの物理量、すなわち、Tice、Ti、Wice、Te1、Te2、We1、We2、To、Wwh、およびTresが示されている。
【0019】
これらの物理量は、電気変速機を有する無段変速トランスミッションを備える動力装置の全体的な挙動を特徴付ける。そして、上記図に示されたこれらの物理量は、それぞれ以下のとおりである。
内燃エンジン1の物理量:
− Tice:クランクシャフトにかかる内燃エンジントルク
− Wice:内燃エンジン1の回転数
フライホイールの物理量:
− Ti:ギアボックス入力トルク
− Wi:フライホイール出力の回転数
パワーテイクオフ系統の物理量:
− Te1:第1の電気機械2におけるトルク
− We1:第1の電気機械2における回転数
− Te2:第2の電気機械3におけるトルク
− We2:第2の電気機械3における回転数
− Ucapa:エネルギ蓄積要素の両端の電圧
ディファレンシャル装置の物理量:
− Wo:ドライブトレイン出力の回転数
− To:車輪6に伝達されるトルク、車輪トルク
車輪6の物理量:
− Wwh:車輪速度
上記無段変速トランスミッションは、図2に記載してある機械制御装置を備えている制御システムの制御下に置かれている。そして、上記機械制御装置は、目的すなわち車輪トルクToおよび内燃エンジン1の回転数Wiceの調整を機械的に達成する。
【0020】
エネルギを与える上記目的は、図示していないエネルギ制御ユニットを使用して、異なる経路を通じて確実に行われる。そして、上記エネルギ制御ユニットにおける、機械制御装置と相互に作用する唯一の出力信号を下記に示す。
− Uw:Te1、Te2、We1、およびWe2の関数として表されるエネルギコマンド
− ETe1:第1の電気機械2におけるトルクの推定値
− ETe2:第2の電気機械3におけるトルクの推定値
本発明に従って、上記機械制御装置は、さまざまな信号が関連付けられている5つのユニットまたはモジュール(図2にまとめて示してある)から構成されている。これらは、機械判定ユニット9と、機械調整ユニット8と、機械分離ユニット7と、ねじれ緩和ユニット4と、飽和防止ユニット11によって構成されている。
【0021】
機械判定ユニット9の機能は、他の機械制御ユニットにシステムの状態を知らせることである。これを行うため、機械判定ユニット9は、電気機械2および3の回転数We1およびWe2の測定値とエネルギコマンドUwとを使用する。エネルギコマンドUwは、これらの電気機械2および3のそれぞれのトルク推定値ETe1およびETe2の関数として表される。機械判定ユニット9は、同様に、信号RTiceも使用する。信号RTiceは、機械分離ユニット7で発生し、内燃エンジン1の計算ユニットに送信される内燃エンジントルクTiceの命令信号を表す。
【0022】
機械判定ユニット9は、これらの測定値および信号から以下の数量を計算する。
・ EWice:内燃エンジン1の回転数の推定値
・ ETo:車輪トルク推定値
・ EWe1、EWe2:電気機械2、3の回転数の推定値
・ 推定値ベクトルXf:上記の推定値と、内燃エンジン1とギアボックスとの間で交換されるギアボックス入力トルクTiの推定値ETiと、車輪速度の推定値EWwhと、内燃エンジン1の摩擦抵抗トルクの推定値ETdiceと、車輪6の摩擦抵抗トルクの推定値ETresと、を含んでいる。
【0023】
最終的に、推定値ベクトルXfは以下の信号を合成する。
Xf=[EWice,EWwh,EWe1,EWe2,ETi,ETo,ETdice,ETres]
本発明に従って、推定値ベクトルXfは、内燃エンジン1の回転数の推定値EWice、車輪トルク推定値ETo、電気機械2および3の回転数の推定値EWe1およびEWe2、ギアボックス入力トルクTiの推定値ETi、車輪速度の推定値EWwh、内燃エンジン1の摩擦抵抗トルクの推定値ETdice、車輪6の摩擦抵抗トルクの推定値ETresを少なくとも含んでいる。推定値ベクトルXfには、内燃エンジン1と車輪6との相互作用を考慮した上記無段変速トランスミッション全体の状態の推定値が含まれている。この推定値ベクトルXfは、他の機械制御ユニットに送られる。
【0024】
動的なシステムについての公知の監視技術および公知の推定技術と、動力装置の動的な挙動についての一般的な数学モデルに基づいて、これらの推定値のすべてを計算することが可能となる。
【0025】
機械調整ユニット8は、内燃エンジン1の回転数の基準値RWiceと、車輪トルク基準値RToまたはRTo2と、内燃エンジン1の回転数の推定値EWiceと、車輪トルク推定値(ETo)とから、以下のように2つの中間コマンド信号v1およびv2を計算する。
・ 信号v1は、内燃エンジン1の回転数の基準値RWiceと内燃エンジン1の回転数の推定値EWiceから、調整器によって計算される。
・ 信号v2は、車輪トルク基準値RToまたはRTo2と車輪トルク推定値EToから、調整器によって計算される。
【0026】
これら2つの調整器のパラメータは、機械調整ユニット8の調整パラメータである。そして、2つの調整器のパラメータは、物理量WiceおよびToが上記基準値RWiceおよびRToに追従する性能を決定する。
【0027】
機械分離ユニット7は、中間コマンド信号v1およびv2と、機械判定ユニット9において生成された推定値ベクトルXfから、コマンドUo1および内燃エンジントルク基準値RTiceを計算する。
【0028】
ねじれ緩和ユニット4(UAM)は、コマンドUo1に加算されるコマンド補正値Umを計算する。コマンド補正値Umは、内燃エンジン1の回転数の基準値RWiceと、車輪トルク基準値RToまたはRTo2と、推定値ベクトルXfとに依存する。コマンド補正値Umは、剛性に起因する振動を緩和させるために用いられる。このコマンド補正値Umは、最終コマンドUoを得るために、機械分離ユニット7によって計算されるコマンドUo1の指令値に加算される。コマンドUo1は、電気的コマンドトルクTe1およびTe2に対する電気的なコマンドに変換される。
【0029】
さらには、この機械制御装置は、内燃エンジントルクTiceの飽和防止ユニット11を備えている。そして、飽和防止ユニット11は、内燃エンジントルクTiceが飽和しないように、内燃エンジントルク基準値RTiceおよび推定値ベクトルXfに基づいて、車輪トルク基準値RToを補正する。飽和防止ユニット11により、内燃エンジン1のトルクが飽和する場合、内燃エンジン1のトルクの飽和が解消するように、車輪トルク基準値RToが補正される。
【0030】
飽和防止ユニット11は以下のように機能する。内燃エンジン1のトルクが飽和に達するとき、すなわち無段変速トランスミッションの現在の動作ポイントRWiceおよびRToによって要求される内燃エンジン出力が大きすぎるとき、内燃エンジントルク基準値RTiceが飽和する。本発明に従って、飽和防止ユニット11によって行われる手順は以下である。
− 飽和しきい値RTice_maxを用いて、内燃エンジントルクの飽和を検出する。
− 飽和していない場合(RTice<RTice_max)、車輪6に送られるトルクの基準値を車輪トルク基準値RTo2に補正せず、現在の動作ポイントである車輪トルク基準値RToのままにする。
− 飽和している場合(RTice>RTice_max)、無段変速トランスミッションの出力バランスに基づいて車輪トルク基準値RTo2に補正する。内燃エンジン1と車輪6との相互作用を考慮した上記無段変速トランスミッション全体の状態の推定値を含む推定値ベクトルXfと、瞬間的なトルク飽和値RTiceとの関数で、車輪トルク基準値(RTo)を補正する。
【0031】
このように、内燃エンジン1と車輪6との相互作用を考慮した上記無段変速トランスミッション全体の状態の推定値を含む推定値ベクトルXfと、瞬間的なトルク飽和値RTiceとの関数で、車輪トルク基準値RToを補正することができる。瞬間的なトルク飽和値RTiceと、飽和しきい値RTice_maxとを比較する。
【0032】
瞬間的なトルク飽和値RTiceが飽和しきい値RTice_maxより大きい場合、内燃エンジン1によって供給される出力より車輪6における出力が小さいか等しくなるように、車輪トルク基準値RTo2を車輪トルク基準値RToから再計算する。
【0033】
車輪6における出力を、各瞬間に再計算される合致利得G(<1)と、内燃エンジン1によって供給される出力とを乗じることにより、機械判定ユニット9で推定することができる。すなわち、車輪6における出力=合致利得G×内燃エンジン1における出力である。
【0034】
車輪6における出力(トルク×速度)は、車輪トルク基準値RTo2×EWwh(車輪速度の推定値)である。内燃エンジン1の最大出力は、[RTice_max×EWice]−[ETdice×EWice]である。内燃エンジン1の最大出力は、内燃エンジン1が達成できる公称出力と、上記無段変速トランスミッションの摩擦抵抗によって消費される出力の推定値との差を表す。従って、計算される内燃エンジン1の最大出力は、内燃エンジン1が達成できる公称出力と、上記無段変速トランスミッションの摩擦抵抗による出力の推定値との差である。
【0035】
本発明に従って、上記飽和が検出されたとき、新しい車輪トルク基準値RTo2を以下のように計算することができる。
− 例えば以下のような式に従って、合致利得Gを初期化する。
【0036】
G=0.9×EWwh×RTo/(EWice×RTice_max)
すなわち、合致利得Gは、車輪6の出力と内燃エンジン1の出力の比率で校正可能なパーセンテージを表す。
− 車輪6と内燃エンジン1との間の出力バランスにおける下記のような式に従って、車輪トルク基準値RTo2について、本来の意味での計算をする。
【0037】
RTo2=G×[(RTice_max×EWice)−(ETdice×EWice)]/EWwh
要約すると、車輪トルク基準値RTo2の計算方法は、合致利得(G)を初期化するステップと、車輪6と内燃エンジン1との間の出力バランスにおける式に従って、車輪トルク基準値RTo2について、本来の意味での計算をするステップとを含んでいる。
【0038】
最後に、上述した計算によってトルクの飽和が解消されない場合、0.001のような校正可能な小さな値を減らして、合致利得Gを適合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明が適用される無段変速トランスミッションのブロック図である。
【図2】実施形態で配置された機械制御装置の構造を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃エンジン(1)と、少なくとも2つの電気機械(2、3)とを備え、
前記内燃エンジン(1)の回転数の基準値(RWice)と、車輪におけるトルクの基準値(RTo)とによって定義される、無段変速トランスミッションの瞬間的な動作ポイントを計算することに基づく、電気変速機を有する前記無段変速トランスミッションの制御方法であって、
前記内燃エンジン(1)のトルクが飽和する場合に、前記飽和が解消されるように前記車輪トルク基準値(RTo)を補正することを特徴とする制御方法。
【請求項2】
前記車輪トルク基準値(RTo)は、前記内燃エンジン(1)および前記車輪との相互作用を考慮した前記無段変速トランスミッション全体の状態の推定値を含むベクトル(Xf)と、瞬間的なトルク飽和値(RTice)との関数で補正されることを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記推定値ベクトル(Xf)は、前記内燃エンジン(1)の回転数の推定値(EWice)、前記車輪のトルクの推定値(ETo)、前記電気機械(2、3)の回転数の推定値(EWe1およびEWe2)、ギアボックスの入力トルクの推定値(ETi)、前記車輪の速度の推定値(EWwh)、前記内燃エンジン(1)の摩擦抵抗トルクの推定値(ETdice)、前記車輪の摩擦抵抗トルクの推定値(Etres)、のうちの少なくとも1つを含んでいることを特徴とする請求項2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記瞬間的なトルク飽和値(RTice)は、しきい値(RTice_max)と比較されることを特徴とする請求項2または3に記載の制御方法。
【請求項5】
前記瞬間的なトルク飽和値(RTice)がしきい値(RTice_max)より大きい場合、
前記車輪における出力が前記内燃エンジン(1)によって供給される出力より小さいかまたは等しくなるように、前記車輪のトルクの基準値(RTo2)は、前記車輪トルク基準値(RTo)から再計算されることを特徴とする請求項4に記載の制御方法。
【請求項6】
前記車輪における前記出力は、各瞬間に再計算される合致利得G(<1)と、前記内燃エンジン(1)によって供給される前記出力とを乗じることによって推定されることを特徴とする請求項5に記載の制御方法。
【請求項7】
計算される前記内燃エンジン(1)の最大出力は、前記内燃エンジン(1)が達成できる公称出力と、前記無段変速トランスミッションの摩擦抵抗によって消費される出力の推定値との差であることを特徴とする請求項6に記載の制御方法。
【請求項8】
前記車輪トルク基準値(RTo2)の計算方法は、前記合致利得(G)を初期化するステップと、前記車輪と前記内燃エンジン(1)との間の出力バランスにおける式に従って、車輪トルク基準値(RTo2)について、本来の意味での計算をするステップと、を含むことを特徴とする請求項6または7に記載の制御方法。
【請求項9】
前記計算によってトルクの飽和が解消されない場合に、前記合致利得(G)は任意に選択されることを特徴とする請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】
内燃エンジン(1)と、少なくとも2つの電気機械(2、3)とを備え、
車輪におけるトルク(To)と前記内燃エンジン(1)の回転数(Wice)とを調整する、電気変速機を有する無段変速トランスミッションの制御装置であって、
前記車輪における前記トルク(To)の基準値(RTo)を補正することのできる内燃エンジントルク飽和防止ユニット(11)を有することを特徴とする制御装置。
【請求項11】
前記飽和防止ユニット(11)は、補正された車輪トルク基準値(RTo2)の命令信号を機械調整ユニット(8)に送信し、
前記機械調整ユニット(8)は、前記補正された車輪トルク基準値(RTo2)と前記内燃エンジン(1)の回転数の基準値(RWice)とから中間コマンド信号(v1、v2)を計算することを特徴とする請求項11に記載の制御装置。
【請求項12】
前記電気機械(2、3)に対するコマンド(Uo1)と、前記内燃エンジン(1)のトルク飽和値(RTice)と、を計算する機械分離ユニット(7)を備えていることを特徴とする請求項11に記載の制御装置。
【請求項13】
前記無段変速トランスミッションの剛性に起因する振動を緩和させるため、前記コマンド(Uo1)の指令値に加算されるコマンド補正値(Um)を供給するねじれ緩和ユニット(4)を備えていることを特徴とする請求項12に記載の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−525264(P2008−525264A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547585(P2007−547585)
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【国際出願番号】PCT/FR2005/051061
【国際公開番号】WO2006/070145
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(503041797)ルノー・エス・アー・エス (286)
【Fターム(参考)】