説明

電気自動車のタイマー設定装置

【課題】車載バッテリの充電やプレ空調の予約の確認をより簡便に行うことが可能な電気自動車のタイマー設定装置を提供する。
【解決手段】外部電源を通じて車載バッテリの充電を行う電気自動車1のタイマー設定装置を、少なくともタイマー充電、又はプレ空調の空調モード及び空調終了時刻、又はその両方を予め設定・保存することが可能なアプリケーション212を備え、該アプリケーション212において予め設定・保存された情報を電気自動車1との間の非接触通信により一括して送信するように構成された携帯端末2と、電気自動車1に搭載され、携帯端末2から入力された情報に基づいて制御信号を出力する通信制御部112と、電気自動車1に搭載され、通信制御部112から入力された制御信号に応じて車載バッテリの充電及びプレ空調を制御する電子制御部111とから構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車のタイマー設定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載バッテリを出力源として電気モータを駆動し動力を得る電気自動車にあっては、車載バッテリは、電気モータのほか、各種ランプ類、空調機器等の様々な電装品の電力源となる。そのため、例えば走行中の空調機器の使用は車載バッテリの消費電力を増加させ、該電気自動車の走行可能距離を短縮させるという問題があった。
【0003】
このような問題に対し、従来、電気自動車の走行可能距離を確保するために、外部電源による車載バッテリの充電時に外部電源によって車室内の空調を行う、具体的には、外部電源による車載バッテリの充電時であって乗車予定時刻の一定時間前に電動エアコンを駆動させ、乗車前に車室内の空調(以下、プレ空調という)を行うように構成されたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、深夜電力料金が適用される時間帯を利用して車載バッテリの充電を行うために、外部端末を介して充電する時間帯を指定すること(以下、タイマー充電という)も行われている。
【0005】
【特許文献1】特開平5−147420号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような従来の構成にあって、電気自動車との間で非接触に通信可能な外部端末を用いてプレ空調やタイマー充電などの設定を行う場合、それぞれの項目(例えば、タイマー充電の設定を行う場合は、充電開始時刻及び充電終了時刻)を設定する毎に通信を行う必要があり、作業が煩雑であった。
【0007】
また、例えば在宅時において、タイマー充電の設定を行ったか否か、プレ空調の設定を行ったか否かを失念したような場合には、電気自動車を停めている場所まで足を運び、これらプレ空調やタイマー充電の設定の予約状態を確認する必要があった。このような確認作業は、既に設定を行っていた場合には必要のないものであり、利便性の低下に繋がることが考えられた。
【0008】
このようなことから本発明は、プレ空調やタイマー充電の設定等の電気自動車における予約設定及び予約の確認をより簡便に行うことが可能な電気自動車のタイマー設定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための第1の発明に係る電気自動車のタイマー設定装置は、外部電源を通じて車載バッテリの充電を行う電気自動車の充電開始時間や終了時間を設定可能なタイマー設定装置であって、前記車載バッテリの充電を行う時間帯、又は前記外部電源による前記車載バッテリの充電時であって乗車予定時刻の一定時間前に空調機器を駆動させるプレ空調の空調モード、又はプレ空調終了時刻のうち少なくとも1つを予め設定・保存することが可能な情報処理手段を備え、前記情報処理手段において予め設定・保存された情報を前記電気自動車との間の非接触通信により一括して送信するように構成された外部端末と、前記電気自動車に搭載され、時計機能を有し、前記外部端末から出力された情報に基づいて制御信号を出力する通信制御手段と、前記電気自動車に搭載され、前記通信制御手段から入力された信号に応じて前記車載バッテリの充電及びプレ空調を制御する電子制御手段とからなることを特徴とする。
【0010】
第2の発明に係る電気自動車のタイマー設定装置は、前記外部端末が、前記車載バッテリの充電を行う時間帯、又は前記プレ空調の空調モード、又はプレ空調終了時刻のうち少なくとも1つの予約状況を表示する表示手段を有することを特徴とする。
【0011】
第3の発明に係る電気自動車のタイマー設定装置は、前記外部端末が高精度の時計を有し、前記通信制御手段が時計機能を備えて、前記外部端末が前記電気自動車との間の非接触通信時に前記時計から提供された時刻を送信し、前記通信制御手段が前記外部端末から入力された時刻に基づいて前記時計機能が管理する時刻を修正することを特徴とする請求項1記載の電気自動車のタイマー設定装置。
【発明の効果】
【0012】
上述した第1の発明によれば、外部電源を通じて車載バッテリの充電を行う電気自動車の充電開始時間や終了時間を設定可能なタイマー設定装置であって、車載バッテリの充電を行う時間帯、又は外部電源による車載バッテリの充電時であって乗車予定時刻の一定時間前に空調機器を駆動させるプレ空調の空調モード、又はプレ空調終了時刻のうち少なくとも1つを予め設定・保存することが可能な情報処理手段を備え、情報処理手段において予め設定・保存された情報を電気自動車との間の非接触通信により送信するように構成された外部端末と、電気自動車に搭載され、時計機能を有するとともに外部端末から入力された情報に基づいて制御信号を出力する通信制御手段と、電気自動車に搭載され、通信制御手段から出力された制御信号に応じて車載バッテリの充電及びプレ空調を制御する電子制御手段とからなる構成としたため、電気自動車に対する指示信号を外部端末が一括して送信することが可能であり、外部端末と電気自動車との間で設定項目毎に通信を行う必要がなく、作業性及び利便性を向上させることができる。
【0013】
また、第2の発明によれば、外部端末が、車載バッテリの充電を行う時間帯、又はプレ空調の空調モード、又はプレ空調終了時刻のうち少なくとも1つの予約状況を表示する表示手段を有するようにしたため、電気自動車に対して行ったタイマー設定の予約状況を、外部端末のみで確認することができ、例えばタイマー設定を行ったか否かを失念した場合であっても電気自動車を停車させている場所まで足を運ぶ等の必要がなく、利便性が向上する。
【0014】
また、第3の発明によれば、外部端末が高精度の時計を有し、通信制御手段が時計機能を備えて、外部端末が電気自動車との間の非接触通信時に時計から提供された時刻を送信し、通信制御手段が外部端末から入力された時刻に基づいて時計機能が管理する時刻を修正するようにしたため、外部端末と通信制御手段との間で情報の送受信時に時刻のズレが生じる虞がなく、情報の伝達を正確に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係る電気自動車の空調制御装置を以下に示す実施例において詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1乃至図9を用いて本発明の一実施例を詳細に説明する。図1は本実施例の空調制御装置のタイマー設定に係るシステム構成を示すブロック図、図2乃至図9はそれぞれ本実施例のタイマー設定時にかかる携帯端末の表示部を示す説明図である。
【0017】
図1に示すように、本実施例において電気自動車1は、外部端末としての携帯端末2との間で例えば非接触型ICカード、赤外線等を用いて非接触状態で双方向の通信が行えるように構成されている。
【0018】
電気自動車1には、電気自動車1全体の電子的な制御を行う電子制御手段としての電子制御部(Electric Vehicle‐Electronic Control Unit;EV−ECU)111が設けられている。この電子制御部111には、通信制御手段としての通信制御部(Mobile phone Operation System‐Electronic Control Unit;MOS−ECU)112が、シリアル通信可能に接続され、相互に信号の送受信が行えるようになっている。
【0019】
この通信制御部112は携帯端末2との通信の制御を行う部分であり、時計機能112aを備えている。時計機能112aは少なくとも経過時間のカウント、及び、例えば、一日を24時間と認識し24時以降はそれ以前とは異なる日付と認識する等の簡単な日時の管理を行うことができるものである。
【0020】
本実施例においては、例えば電気自動車1の運転席側に設けられた計器の近傍等、乗員が携帯端末2と通信を行ないやすい位置に携帯端末2との間で通信を行うための送受信部が設けられ、該送受信部に配された通信機113を介して通信制御部112が携帯端末2と通信を行うように構成されている。
【0021】
更に、通信制御部112には、状態表示部114が連結されている。状態表示部114は、例えば電気自動車1の運転席側にあって、携帯端末2との通信の可否、バッテリの予約充電の状態、プレ空調の状態等を表示するように構成される。
【0022】
携帯端末2は、電気自動車1側との間で相互に通信を行うことが可能なものであって、時計211、情報処理手段としてのアプリケーション212、及び通信機213を備えている。時計211は精密な時刻の管理が可能であり、アプリケーション212に対して時刻を提供することができるように構成されている。アプリケーション212は、例えば、タイマー充電の設定や、プレ空調を実行するために必要となる空調モード(冷房/暖房)やプレ空調終了時刻(乗車予定時刻)等の設定を行い、これらの情報(以下、タイマー設定情報という)を保存する。
【0023】
本実施例において、アプリケーション212において設定・保存されたタイマー設定情報は、通信機213、通信機113を介して携帯端末2から電気自動車1へ入力される。
【0024】
更に、本実施例においては、携帯端末2から電気自動車1側へタイマー設定情報を送信する際、該タイマー設定情報とともに時計211から提供される正確な日時の情報を同時に送信し、通信を行う度に、この携帯端末2から入力される正確な日時の情報に基づき、通信制御部112において時計機能112aが管理する日時の情報を修正(リセット)するように構成している。
【0025】
携帯端末2からタイマー設定情報を受け取った通信制御部112は、例えば時計機能112aが管理する情報入力時の時刻と、タイマー充電を開始する時刻又はプレ空調を開始する時刻とから、タイマー充電を開始するまでの時間又はプレ空調を開始するまでの時間を算出するとともに時計機能112aを用いて残り時間の管理を行う等、入力された情報に応じて必要な処理を行う。そして電子制御部111に対して制御信号を出力し、電子制御部111において通信制御部112から入力された制御信号に応じてタイマー充電及びプレ空調の制御が実行される。
【0026】
以下、図2〜図9を用いて携帯端末2が備えるアプリケーション212を利用した電気自動車1に対するタイマー設定の一例を簡単に説明する。なお、本実施例では、携帯端末2として例えば携帯電話等、0〜9を選択する釦、および上下左右を選択する釦等を備える端末を利用するものとする。このような携帯端末2を用いれば、例えば図2に示す表示部としての初期画面3−1の「1」の選択は、携帯端末2に設けられた「1」釦を押下する、又は上下を選択する釦によりカーソルを初期画面3−1上で「1」に移動させる等の釦操作により行うことができる。
【0027】
本実施例において、携帯端末2では図2及び図3に示すように、携帯端末2のアプリケーション312を用いて初期設定を行うことができる。
【0028】
即ち、深夜電力割引を利用している場合、図2に示す初期画面3−1において「1」の「利用している」を選択すると、初期設定を実行する旨を確認する画面3−11が表示される。
【0029】
画面3−11において「確認」を選択すると、深夜割引の適用時間体の設定と電気料金のレートを設定する初期設定メニュー画面3−12が表示される。なお、画面3−1に戻る場合は「戻る」を選択すればよい。以下、各画面表示において「戻る」を選択した場合はその時点で表示されている画面の設定を保存せず、ひとつ前に表示されていた画面を表示するものとする。
【0030】
深夜割引適用時間帯の設定を行う場合は、画面3−12において「1」の「深夜割引適用時間帯」を選択し、深夜割引適用時間帯設定画面3−13を表示してここで深夜割引適用時間帯(深夜割引の開始時間及び終了時間)をそれぞれ例えば分単位で入力することにより深夜割引適用時間帯を設定することができる。深夜割引の開始時間及び終了時間をそれぞれ入力し、「OK」を押下すると、設定内容が反映された状態で初期設定メニュー画面3−12が表示される。
【0031】
また、電気料金レートの設定を行う場合は画面3−12において「2」の「電気料金レート」を選択し、電気料金レート設定画面3−14を表示して、「1」の昼間、すなわち深夜割引が適用される時間帯以外において家庭用電源を使用する場合の電気料金レート、「2」の夜間、すなわち深夜割引が適用される時間帯において家庭用電源を使用する場合の電気料金レート、「3」の急速充電、例えばガソリンスタンド等の家庭用電源以外の電源を使用する場合の電気料金レートを、それぞれ設定画面3−15,3−16,3−17において設定することができる。設定画面3−15,3−16,3−17において設定が終了すると、例えば「設定しました」等の表示を行った後、画面の表示は電気料金レート設定画面3−14に戻る。
【0032】
初期設定が終了したら、使用上の注意の表示画面(図3の画面3−22参照)を表示した後、接続テスト画面(図3の画面3−23参照)を表示する。利用者が携帯端末2を電気自動車1の送受信部にかざす等により接続テストを実行すると、通信中はその旨を示す画面(図3の画面3−24参照)を表示し、接続テストが終了したら、通信状態に基づいて通信成功、又は通信失敗の表示を行う。
【0033】
また、図3に示す初期画面3−1において「2」の「利用していない」を選択した場合は、「深夜電力割引を利用する際は設定を行ってください」等の表示画面3−21、使用上の注意の表示画面3−22を表示した後、接続テスト画面3−23を表示する。利用者が携帯端末2を電気自動車1の送受信部にかざす等により接続テストを実行すると、通信中はその旨を示す画面3−24を表示し、接続テストが終了したら、通信成功、又は通信失敗の表示を行う。
【0034】
また、図4〜図9に示すように、タイマー充電の設定、プレ空調(お迎え空調)の設定、電費情報の確認、故障診断情報の確認、及び設定変更等を行うことができる。なお、「電費」とは、電力料金100円当たりに走行できる距離のことをいう。
【0035】
例えば、タイマー充電の設定を行う場合、図4に示すように、メインメニューを表示するメニュー画面3−2において「1」の「タイマー充電」を選択すると、タイマー充電のON/OFFと指定する充電時間帯を示すタイマー充電設定画面3−31が表示され、この画面3−31から「1」又は「2」を選択して設定画面3−32又は3−33を表示し、タイマー充電のON/OFF、充電時間(充電開始時間及び充電終了時間)を設定することができる。設定画面3−32,3−33において設定が終了すると、例えば「設定しました」等の表示を行った後、設定内容を反映したタイマー充電設定画面3−31を表示する。
【0036】
また、プレ空調(お迎え空調)の設定を行う場合、図5に示すように、メニュー画面3−2において「2」の「お迎え空調」を選択すると、プレ空調(お迎え空調)のON/OFF、空調モード(冷房又は暖房)、及び、乗車予定時刻を示すお迎え空調設定画面3−41が表示され、この画面3−41から「1」、「2」又は「3」を選択して設定画面3−42,3−43又は3−44を表示し、それぞれの画面においてプレ空調(お迎え空調)のON/OFF、設定モード(冷房又は暖房)、乗車予定時刻(例えば、分単位)を設定することができる。設定画面3−42,3−43,3−44において設定が終了すると、例えば「設定しました」等の表示を行った後、設定内容を反映したお迎え空調設定画面3−41を表示する。
【0037】
なお、メニュー画面3−2においては、予め入力されたタイマー充電の充電時間、又はプレ空調(お迎え空調)の乗車予定時刻等の変更の必要がない場合は、画面右下に表示された「ON/OFF」の選択により、タイマー充電、又はプレ空調(お迎え空調)のON/OFFを切り換えるようにしてもよい。
【0038】
また、電費情報の確認を行う場合、図6に示すように、メニュー画面3−2において「3」の「電費情報」を選択すると、例えば日にちを選択(図6では上下左右いずれかの方向を選択する釦を押下)する等により、当日の一日当たりの電費情報を提供する画面3−51、過去の一日の電費情報を提供する画面3−52、過去7日間、即ち過去一週間の電費を累計した情報を提供する画面3−53等が表示され、電費情報を確認することができる。
【0039】
なお、電費情報をリセットしたい場合は、画面3−51,3−52又は3−53において「リセット」を選択すると、リセットを実行するか否かを確認する画面3−54が表示される。リセットを実行する「はい」を選択し、通信開始画面3−55で「通信開始」を選択して、利用者が携帯端末2を電気自動車1の送受信部にかざす等すると、携帯端末2と電気自動車1の送受信部との間で通信が実行され、通信中である旨を示す画面3−56が表示される。通信が終了したら、通信成功、又は通信失敗の表示を行う。なお、リセットを実行するか否かを確認する画面3−54が表示された状態においてリセットを実行しない場合は「いいえ」を選択する。
【0040】
また、故障診断情報の確認を行う場合、図7に示すように、メニュー画面3−2において「4」の「故障診断情報」を選択すると、現時点での故障リスト又は過去の故障リストを示す故障診断情報画面3−61又は3−62が表示され、故障診断情報を確認することができる。故障診断情報をリセットしたい場合は、故障診断情報画面3−61又は3−62において「リセット」を選択し、パスワード入力画面3−63、通信開始画面3−64に従って操作を行い、携帯端末2を電気自動車1の送受信部にかざす等すると、携帯端末2と電気自動車1の送受信部との間で通信が実行され、通信中である旨を示す画面3−65が表示される。通信が終了したら、通信成功、又は通信失敗の表示を行う。
【0041】
また、設定変更を行う場合、図8に示すように、メニュー画面3−2において「5」の「設定変更」を選択すると、深夜割引適用時間帯および電気料金レートの設定変更画面3−71が表示され、この画面から「1」又は「2」を選択して設定画面3−72又は設定画面3−73を表示し、設定画面3−72において深夜割引適用時間帯の設定を、また、設定画面3−74,3−75,3−76において電気料金レートの設定を変更することができる。なお、深夜割引適用時間帯の設定及び電気料金レートの設定は図2に示し上述した流れと同様であり、説明を省略する。
【0042】
タイマー充電、又はプレ空調(お迎え空調)を実行する場合は、図2〜図8に示し上述した設定を行った後、メニュー画面3−2において「入力完了」を選択し、画面3−81,3−82に従って携帯端末2を送受信部にかざす等すると、携帯端末2と電気自動車1の送受信部との間で通信が実行され、変更を行った全ての設定情報が電気自動車1側に入力される。
【0043】
なお、メインメニュー画面3−2に表示されるタイマー充電及びプレ空調(お迎え空調)の時間指定は、例えば設定を行う時刻から24時間以内の時刻を指定するものとし、タイマー充電の終了時刻、プレ空調の終了予定時刻(乗車予定時刻)を指定した後に各々の指定時刻を経過、換言すると、各々タイマー充電、プレ空調が終了したとき、アプリケーション312において、メインメニュー画面3−2のタイマー充電ON/OFF、お迎え空調ON/OFFの表示を各々ONからOFFに切り換えるものとする。
【0044】
また、本実施例においては、図4に示すタイマー充電をONに設定している場合に、例えば充電開始時刻の5分前、1時間前等の利用者が指定した時刻に、充電ケーブルが外部電源に接続されているかどうかの確認を促す機能(例えば、音による通知等)を設け、充電ケーブルの差し忘れを防止するようにすると好適である。
【0045】
上述した本実施例に係る電気自動車のタイマー設定装置によれば、タイマー充電の設定と、プレ空調の空調モード及び空調終了時刻の設定とを図2〜図9に示すように携帯端末2のアプリケーション212を利用して行う構成としたため、タイマー充電、プレ空調の空調モード及び空調終了時刻等のタイマー設定に関する情報を一度の通信で電気自動車側に送信することが可能となるため、利用者の利便性を格段に向上させることができる。
【0046】
また、携帯端末2から電気自動車1側に送信された設定情報は、通信後も携帯端末2に保存され、アプリケーション212により必要に応じていつでも表示させることができる。これにより、例えば、在宅時にタイマー充電の設定を行ったか否か、プレ空調の設定を行ったか否かを失念したような場合であっても、携帯端末2において図4〜図9に示すようなメインメニュー画面3−2を表示してこれらの設定を確認することができる。必要な設定を行ったことが確認できれば、タイマー充電の設定、プレ空調の空調モード及び空調終了時刻の設定を行ったか否かの確認を、電気自動車を停車させている場所まで足を運んで行う必要がなくなるため、利便性がより向上する。
【0047】
また、携帯端末2から電気自動車1側へタイマー設定情報を送信する際、該タイマー設定情報とともに時計211から提供される正確な日時の情報を同時に送信し、通信制御部112において携帯端末2から入力される正確な日時の情報に基づき、時計機能112aが管理する日時の情報をリセットするように構成したため、時計機能112aがクロック周波数をカウントすることにより経過時刻を導出するような例えば精度±5秒/100分程度の機能であったとしても、タイマー充電やプレ空調を、設定された時刻に確実に実施することが可能となるため、時計機能112aとして高性能なものを設ける必要がなく、コストを抑制することも可能となる。
【0048】
即ち、上述した時計機能112aのリセットを実行しない場合には、時計211が認識している日時と時計機能112aが認識している日時とにズレが生じ、設定時刻によっては不具合が生じる虞があった。
【0049】
具体的には、上述した実施例ではプレ空調又はタイマー充電を開始する時刻を分単位で設定することが可能であるが、例えば、タイマー充電(又はプレ空調)の開始予定時刻の1分前に携帯端末2から電気自動車1側へタイマー設定情報を送信したのに対し、時計211において管理されている時刻より時計機能112aが管理している時刻が2分進んでいたような場合には、タイマー設定情報が入力されたとき、通信制御部112では実際の開始予定時刻は経過したものと判断されることになる。そのため、通信制御部112において時計機能112aが管理している時刻に基づいてタイマー充電(又はプレ空調)の開始予定時刻までの時間を算出すると、実際には残り時間は1分であるのに、残り時間を23時間59分と判断してしまい、所望の時間にタイマー充電(又はプレ空調)が実行されないことが考えられた。
【0050】
これに対し、本実施例では、携帯端末2から電気自動車1側へタイマー設定情報が送信される際、時計機能112aが管理している日時の情報と、時計211が管理している日時の情報との間にズレが生じることがないため、タイマー充電やプレ空調を、設定された時刻に確実に実施することが可能となるのである。
【0051】
なお、上述した実施例においては、携帯端末2から電気自動車1側へタイマー設定情報を送信する度に時計機能112aにおいて管理されている日時の情報をリセットする例を示したが、例えば、プレ空調又はタイマー充電を開始する時刻を分単位で設定するような構成であれば秒単位のズレは許容範囲であるため、時計211において管理されている時刻と時計機能112aにおいて管理されている時刻とに所定値以上のズレが生じた場合にのみ時計機能112aが管理する日時の情報をリセットするようにしてもよい。
【0052】
具体的には、携帯端末2から電気自動車1側へタイマー設定情報を送信する際、同時に通信制御部112から携帯端末2側へ時計機能112aが管理している日時の情報を送信し、時計211が管理する日時の情報と時計機能112aが管理する日時の情報との間に所定値(例えば、数秒)以上のズレが生じたと判断された場合に携帯端末2から電気自動車1側へ日時の情報が送信されるような構成とし、この情報に基づき通信制御部112において時計機能112aが管理する日時の情報をリセットする等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、電気自動車のタイマー設定装置に適用して好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施例の空調制御装置のタイマー設定に係るシステム構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例の携帯端末による初期設定の流れを示す説明図である。
【図3】本発明の実施例の携帯端末による初期設定の流れを示す説明図である。
【図4】本発明の実施例の携帯端末によるタイマー充電の設定の流れを示す説明図である。
【図5】本発明の実施例の携帯端末によるプレ空調設定の流れを示す説明図である。
【図6】本発明の実施例の携帯端末による電費情報確認の流れを示す説明図である。
【図7】本発明の実施例の携帯端末による故障診断情報の確認の流れを示す説明図である。
【図8】本発明の実施例の携帯端末による設定変更の流れを示す説明図である。
【図9】本発明の実施例の携帯端末による通信時の流れを示す説明図である。
【符号の説明】
【0055】
1 電気自動車
2 携帯端末
111 電子制御部
112 通信制御部
113 通信機
114 状態表示部
211 時計機能
212 アプリケーション
213 通信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源を通じて車載バッテリの充電を行う電気自動車の充電開始時間や終了時間を設定可能なタイマー設定装置であって、
前記車載バッテリの充電を行う時間帯、又は前記外部電源による前記車載バッテリの充電時であって乗車予定時刻の一定時間前に空調機器を駆動させるプレ空調の空調モード、又はプレ空調終了時刻のうち少なくとも1つを予め設定・保存することが可能な情報処理手段を備え、前記情報処理手段において予め設定・保存された情報を前記電気自動車との間の非接触通信により送信するように構成された外部端末と、
前記電気自動車に搭載され、時計機能を有するとともに前記外部端末から入力された情報に基づいて制御信号を出力する通信制御手段と、
前記電気自動車に搭載され、前記通信制御手段から出力された前記制御信号に応じて前記車載バッテリの充電及びプレ空調を制御する電子制御手段と
からなることを特徴とする電気自動車のタイマー設定装置。
【請求項2】
前記外部端末が、前記車載バッテリの充電を行う時間帯、又は前記プレ空調の空調モード、又はプレ空調終了時刻の予約状況のうち少なくとも1つを表示可能な表示手段を有する
ことを特徴とする請求項1記載の電気自動車のタイマー設定装置。
【請求項3】
前記外部端末が高精度の時計を有し、前記外部端末は前記電気自動車との間の非接触通信時に前記時計から提供された時刻を送信し、前記通信制御手段が前記外部端末から入力された時刻に基づいて前記時計機能が管理する時刻を修正する
ことを特徴とする請求項1記載の電気自動車のタイマー設定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−89474(P2009−89474A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−253110(P2007−253110)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】