説明

電源回路及び表示装置

【課題】隣接する端子間にかかる電位差を最小にして、端子の腐蝕を防止し信頼性を向上
させた電源回路を提供する。
【解決手段】電源回路は直列接続された第1及び第2の電荷転送トランジスタT1,T2
、直列接続された第3及び第4の電荷転送トランジスタT3,T4を備える。T1とT2
の接続ノードに端子P1が接続されている。T3とT4の接続ノードに端子P2が接続さ
れている。T2とT4のドレインに端子P3が接続されている。端子P4にはクロックD
DCLKが印加される。端子P5にはクロックBDDCLKが印加される。端子P1,P
5の間にフライングコンデンサC1が接続され、端子P2,P4の間にフライングコンデ
ンサC2が接続される。T1とT3のソースには電源電位VDDが印加される。端子P1
〜P5は端子P1,P3,P2,P4,P5の順番で配置される。これにより、端子P1
〜P5の腐蝕を防止し信頼性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源回路及びその電源回路を備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、低温ポリシリコンTFT(Thin Film Transistor)プロセスにより製造され
るアクティブマトリクス型液晶表示装置において、駆動信号ICのコストを下げるため、
液晶パネルのガラス基板上に、画素TFTのオン・オフを制御するための電源電位を生成
する電源回路が形成されていた。
【0003】
この電源回路には、入力電位である正の電源電位VDDを2倍して正の出力電位2VD
Dを発生するチャージポンプ方式の正電源発生回路と、正の電源電位VDDを−1倍した
負の出力電位−VDDを発生するチャージポンプ方式の負電源発生回路がある。
【0004】
この正電源発生回路、負電源発生回路は、直列接続された複数の電荷転送トランジスタ
と、電荷転送トランジスタの接続ノードに結合されたフライングコンデンサを備える。そ
して、電荷転送トランジスタをスイッチングさせることで、電荷転送トランジスタを介し
て入力側から出力側へ電荷を転送する。
【0005】
前記フライングコンデンサは、液晶パネルのガラス基板に外付けされるため、ガラス基
板上には、フライングコンデンサの接続用の端子、出力電位を印加するための端子などの
複数の金属端子が設けられている。
【0006】
この種の電源回路をガラス基板上に内蔵したアクティブマトリクス型液晶表示装置は特
許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2004−146082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の電源回路においては、前記端子の間に高電界が発生し、この高電
界のために金属からなる端子の腐蝕が発生しやすくなるという信頼性上の問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明の電源回路は、直列接続された第1及び第2の電荷転送トランジスタと
、直列接続された第3及び第4の電荷転送トランジスタと、前記第1及び第2の電荷転送
トランジスタの接続ノードに接続された第1の端子と、前記第3及び第4の電荷転送トラ
ンジスタの接続ノードに接続された第2の端子と、前記第2及び第4の電荷転送トランジ
スタのドレインが接続された第3の端子と、第1のクロックが印加される第4の端子と、
前記第1のクロックを反転した第2のクロックが印加される第5の端子と、前記第1の端
子と前記第5の端子の間に接続された第1のフライングコンデンサと、前記第2の端子と
前記第4の端子の間に接続された第2のフライングコンデンサと、を備え、前記第1及び
第3の電荷転送トランジスタのソースに入力電位が印加され、前記第3の端子から前記入
力電位を2倍又は−1倍に変換した出力電位が得られる電源回路であって、前記第1乃至
第5の端子は、各端子間の最大の電位差が前記第1のクロックの振幅以下になるように配
置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電源回路によれば、隣接する端子間にかかる電位差を前記第1のクロックの振
幅以下にして、端子の腐蝕を防止し、信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施
形態の電源回路の構成を示す図である。この電源回路は、正の入力電位VDDに基づいて
、正の出力電位VPP=2VDDを生成する正電源発生回路1と、負の出力電位VBB=
−VDDを発生する負電源発生回路2とで構成されている。
【0011】
ドライバーIC3は、これらの回路に電源電位VDD、接地電位VSS、及び専用のク
ロックを作成して供給する。発生された出力電位VPP=2VDD、VBB=−VDDは
画素領域の各画素に配置された画素TFTのオン・オフを制御する垂直走査信号を作成す
る垂直駆動回路にその電源電位として供給される。電源電位VDD、接地電位VSSの値
は、特に限定されないが、例えば、VDD=+5V、VSS=0Vである。
【0012】
また、この電源回路は、低温ポリシリコンTFTプロセス技術と液晶駆動に必要な回路
機能を集積するシステム・オン・グラス(SOG)技術により、アクティブマトリクス型
液晶表示装置のガラス基板100(液晶パネル)上に形成される。ガラス基板100上に
は、電源回路とドライバーIC3の他に、垂直駆動回路、水平駆動回路、これらの駆動回
路からの水平走査信号、垂直走査信号が供給される画素領域が形成されるが、図1におい
ては、電源回路とドライバーIC3のみを示している。
【0013】
[正電源発生回路の構成]
まず、正電源発生回路1の構成について図1を参照して説明する。Nチャネル型の電荷
転送トランジスタT1(本発明の「第1の電荷転送トランジスタ」の一例、以下、「T1
」と略称する)とPチャネル型の電荷転送トランジスタT2(本発明の「第2の電荷転送
トランジスタ」の一例であり、以下、「T2」と略称する)が直列に接続されている。そ
れらのトランジスタの接続ノードには、フライングコンデンサC1(本発明の「第1のフ
ライングコンデンサ」の一例)の一方の端子が配線11を介して接続されている。フライ
ングコンデンサC1はガラス基板100の外に設けられた外付けコンデンサである。この
配線11は、前記接続ノードからガラス基板100上に設けられた端子P1(本発明の「
第1の端子)の一例)を介してフライングコンデンサC1の一方の端子に接続する配線で
ある。
【0014】
また、Nチャネル型の電荷転送トランジスタT3(本発明の「第3の電荷転送トランジ
スタ」の一例であり、以下、「T3」と略称する)とPチャネル型の電荷転送トランジス
タT4(本発明の「第4の電荷転送トランジスタ」の一例であり、以下、「T4」と略称
する)が直列に接続されている。
【0015】
それらのトランジスタの接続ノードには、フライングコンデンサC2(本発明の「第2
のフライングコンデンサ」の一例)の一方の端子が配線12を介して接続されている。フ
ライングコンデンサC2もガラス基板100の外に設けられた外付けコンデンサである。
配線12は、前記接続ノードからガラス基板100上に設けられた端子P2(本発明の「
第2の端子)の一例)を介してフライングコンデンサC2の一方の端子に接続する配線で
ある。
【0016】
また、T1及びT2のゲート電極は、T3とT4の接続ノードに接続されている。T3
及びT4のゲート電極は、T1とT2の接続ノードに接続されている。
【0017】
T1とT3のソースは互いに接続されて、共通ソースを形成している。この共通ソース
には、配線14を介してドライバーIC3から入力電位として正の電源電位VDDが印加
されている。T2とT4のドレインは互いに接続されて共通ドレイン(出力端)を形成し
ている。この共通ドレインは配線13を介して出力コンデンサCvppの一方の端子に接続
されている。出力コンデンサCvppの他方の端子は接地されている。配線13は、共通ド
レインからガラス基板100上に設けられた端子P3(本発明の「第3の端子)の一例)
を介して出力コンデンサCvppの一方の端子に接続する配線である。
【0018】
また、フライングコンデンサC2の他方の端子には、ドライバーIC3からのクロック
DDCLK(本発明の「第1のクロック」の一例)が端子P4(本発明の「第4の端子)
の一例)を介して印加される。フライングコンデンサC1の他方の端子には、ドライバー
IC3からの反転クロックBDDCLK(本発明の「第2のクロック」の一例)(DDC
LKの反転クロック)が端子P5(本発明の「第5の端子)の一例)を介して印加される
。図1は、端子P1,P2,P3,P4,P5の物理的な配置関係を示している。即ち、
図1の紙面上で左から右に、端子P1,P3,P2,P4,P5の順番で配置される。端
子P1〜P5はアルミニウム、アルミニウム合金等の金属で形成されている。
【0019】
[負電源発生回路の構成]
次に、負電源発生回路2の構成について図1を参照して説明する。Pチャネル型の電荷
転送トランジスタT7(本発明の「第1の電荷転送トランジスタ」の一例であり、以下、
「T7」と略称する)とNチャネル型の電荷転送トランジスタT8(本発明の「第2の電
荷転送トランジスタ」の一例であり、以下、「T8」と略称する)が直列に接続されてい
る。それらのトランジスタの接続ノードには、フライングコンデンサC4(本発明の「第
2のフライングコンデンサ」の一例)の一方の端子が配線21を介して接続されている。
フライングコンデンサC4は外付けコンデンサである。配線21は、前記接続ノードから
ガラス基板100上に設けられた端子P6(本発明の「第2の端子」の一例)を介してフ
ライングコンデンサC4の一方の端子に接続する配線である。
【0020】
また、Pチャネル型の電荷転送トランジスタT5(本発明の「第3の電荷転送トランジ
スタ」の一例であり、以下、「T5」と略称する)とNチャネル型の電荷転送トランジス
タT6(本発明の「第4の電荷転送トランジスタ」の一例であり、以下、「T6」と略称
する)が直列に接続され、それらのトランジスタの接続ノードには、フライングコンデン
サC3(本発明の「第1のフライングコンデンサ」の一例)の一方の端子が配線22を介
して接続されている。
【0021】
フライングコンデンサC3もガラス基板100の外に設けられた外付けコンデンサであ
る。配線22は、前記接続ノードからガラス基板100上に設けられた端子P7(本発明
の「第1の端子」の一例)を介してフライングコンデンサC3の一方の端子に接続する配
線である。
【0022】
また、T7及びT8のゲート電極は、T5とT6の接続ノードに接続され、T5及びT
6のゲート電極は、T7とT8の接続ノードに接続されている。
【0023】
T5とT7のソースは互いに接続されて、共通ソースを形成している。この共通ソース
には、配線24を介してドライバーIC3から接地電位VSSが印加されている。
【0024】
T6とT8のドレインは互いに接続されて共通ドレイン(出力端)を形成している。こ
の共通ドレインは配線23を介して出力コンデンサCvbbの一方の端子に接続されている
。出力コンデンサCvbbの他方の端子は接地されている。配線23は、共通ドレインから
ガラス基板100上に設けられた端子P8(本発明の「第3の端子」の一例)を介して出
力コンデンサCvbbの一方の端子に接続する配線である。
【0025】
また、フライングコンデンサC4の他方の端子には、ドライバーIC3からのクロック
DDCLK(本発明の「第1のクロック」の一例)が端子P4(本発明の「第4の端子」
の一例)を介して印加される。フライングコンデンサC3の他方の端子には、ドライバー
IC3からの反転クロックBDDCLK(本発明の「第2のクロック」の一例)(DDC
LKの反転クロック)が端子P5(本発明の「第5の端子」の一例)を介して印加される
。図1は、端子P4,P5,P6,P7,P8の物理的な配置関係を示している。即ち、
図1の紙面上で左から右に、端子P4,P5,P7,P8,P6の順番で配置される。端
子P4〜P8はアルミニウム、アルミニウム合金等の金属で形成されている。
【0026】
[正電源発生回路の動作]
上述の正電源発生回路1の動作について、図2を参照して説明する。いま、VDD=+
5V、VSS=0Vとする。
【0027】
(1)クロックDDCLKがLレベル(0V)のとき、反転クロックBDDCLKはH
レベル(+5V)であり、T1,T4はオフ状態、T2,T3はオン状態である。すると
、T1とT2の接続ノードの電位VDCLK(=端子P1の電位)はフライングコンデン
サC1の容量結合により+10Vに昇圧され、そのレベルがT2を通して、端子P3に出
力される。T3とT4の接続ノード(電位XVDCLK)は+5Vに充電される。この場
合、端子P1の電位は+10V、端子P2の電位は+5V、端子P3の電位は+10V、
端子P4の電位は0V、端子P5の電位は+5Vになる。
【0028】
(2)クロックDDCLKがHレベル(+5V)のとき、T1,T4はオン状態、T2
,T3はオフ状態である。すると、T3とT4の接続ノードの電位XVDCLK(=端子
P2の電位)はフライングコンデンサC2の容量結合により+10Vに昇圧され、そのレ
ベルがT4を通して出力される。T1とT2の接続ノード(電位VDCLK)は、+5V
に充電される。つまり、この場合、端子P1の電位は+5V、端子P2の電位は+10V
、端子P3の電位は+10V、端子P4の電位は+5V、端子P5の電位は0Vになる。
【0029】
このように、正電源発生回路1の左右の直列トランジスタ回路から電荷転送により+1
0Vという出力電位VPPが交互に出力される。隣接する各端子間の電位差に着目すると
、その最大で5Vになっている。前記電位差は、クロックDDCLK、反転クロックBD
DCLKの振幅、電源電位VDDに等しい。これにより、端子P1〜P5の腐蝕を防止し
、信頼性を向上させることができる。
【0030】
[負電源発生回路の動作]
上述の負電源発生回路2の動作について、図2を参照して説明する。いま、VDD=+
5V、VSS=0Vとする。
【0031】
(1)クロックDDCLKがLレベル(0V)のとき、反転クロックBDDCLKはH
レベル(+5V)であり、T5,T8はオン状態、T6,T7はオフ状態である。すると
、T5とT6の接続ノード(電位XVBCLK=端子P7の電位)は0Vに充電され、T
7とT8の接続ノードの電位VBCLK(=端子P6の電位)はフライングコンデンサC
4の容量結合により−5Vの電位に下がり、その電位がT8を通して出力される。この場
合、端子P4の電位は0V、端子P5の電位は+5V、端子P6の電位は−5V、端子P
7の電位は0V、端子P8の電位は−5Vになる。
【0032】
(2)クロックDCCLKがHレベル(+5V)になると、T5,T8はオフ状態、T
6,T7はオン状態であり、T5とT6の接続ノードの電位XVBCLK(=端子P7の
電位)はフライングコンデンサC3の容量結合により、−5Vに下がり、そのレベルがT
6を通して出力される。T7とT8の接続ノード(電位VBCLK=端子P6の電位)は
0Vに充電される。この場合、端子P4の電位は+5V、端子P5の電位は0V、端子P
6の電位は0V、端子P7の電位は−5V、端子P8の電位は−5Vになる。このように
、負電源発生回路2の左右の直列トランジスタ回路から電荷転送により−5Vという電位
が出力電位VBBとして交互に出力される。
【0033】
隣接する各端子間の電位差に着目すると、その最大で5Vになっている。前記電位差は
、クロックDDCLK、反転クロックBDDCLKの振幅、電源電位VDDに等しい。こ
れにより、端子P1〜P5の腐蝕を防止し、信頼性を向上させることができる。
【0034】
これに対して、端子の配置によっては、端子間に10Vという高い電位差が生じること
がある。例えば、図1において、端子P6と端子P7の位置を入れ替えた場合である。こ
の場合は、端子P5と端子P6の間で最大で10Vの電位差が生じてしまう。
【0035】
[第2の実施形態]
以下、本発明の第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態は、
第1の実施形態の正の出力電位VPP=2VDDを生成する正電源発生回路1(2倍昇圧
回路)と負の出力電位VBB=−VDDを発生する負電源発生回路2(−1倍昇圧回路)
に加えて、正の出力電位VHH=3VDDを生成する正電源発生回路4(3倍昇圧回路)
を設けたものである。
【0036】
以下、正電源発生回路4の構成について説明する。Nチャネル型の電荷転送トランジス
タT11(本発明の「第5の電荷転送トランジスタ」の一例、以下、「T11」と略称す
る)とPチャネル型の電荷転送トランジスタT12(本発明の「第6の電荷転送トランジ
スタ」の一例であり、以下、「T12」と略称する)が直列に接続されている。それらの
トランジスタの接続ノードには、フライングコンデンサC6(本発明の「第3のフライン
グコンデンサ」の一例)の一方の端子が配線31を介して接続されている。フライングコ
ンデンサC6はガラス基板100の外に設けられた外付けコンデンサである。この配線3
1は、前記接続ノードからガラス基板100上に設けられた端子P10(本発明の「第6
の端子」の一例)を介してフライングコンデンサC6の一方の端子に接続する配線である

【0037】
また、Nチャネル型の電荷転送トランジスタT9(本発明の「第7の電荷転送トランジ
スタ」の一例であり、以下、「T9」と略称する)とPチャネル型の電荷転送トランジス
タT10(本発明の「第8の電荷転送トランジスタ」の一例であり、以下、「T10」と
略称する)が直列に接続されている。
【0038】
それらのトランジスタの接続ノードには、フライングコンデンサC5(本発明の「第4
のフライングコンデンサ」の一例)の一方の端子が配線32を介して接続されている。フ
ライングコンデンサC5もガラス基板100の外に設けられた外付けコンデンサである。
配線32は、前記接続ノードからガラス基板100上に設けられた端子P9(本発明の「
第7の端子」の一例)を介してフライングコンデンサC5の一方の端子に接続する配線で
ある。
【0039】
また、T9及びT10のゲート電極は、T11とT12の接続ノードに接続されている
。T11及びT12のゲート電極は、T9とT10の接続ノードに接続されている。T9
とT11のソースは互いに接続されて、共通ソースを形成している。この共通ソースには
、配線34を介して、正電源発生回路1の出力電圧VPPが印加されている。T10とT
12のドレインは互いに接続されて共通ドレイン(出力端)を形成している。この共通ド
レインは配線33を介して出力コンデンサCvhhの一方の端子に接続されている。出力コ
ンデンサCvhhの他方の端子は接地されている。配線33は、共通ドレインからガラス基
板100上に設けられた端子P11(本発明の「第8の端子」の一例)を介して出力コン
デンサCvhhの一方の端子に接続する配線である。
【0040】
また、フライングコンデンサC5の他方の端子には、ドライバーIC3からのクロック
DDCLK(本発明の「第1のクロック」の一例)が端子P4を介して印加される。フラ
イングコンデンサC6の他方の端子には、ドライバーIC3からの反転クロックBDDC
LK(本発明の「第2のクロック」の一例)(DDCLKの反転クロック)が端子P5を
介して印加される。図3は、端子P1〜P11の物理的な配置関係を示している。
【0041】
正電源発生回路4の端子P9,P10,P11の電位に着目すると、クロックDDCL
KがLレベル(0V)、反転クロックBDDCLKはHレベル(+5V)の時、
端子P9の電位VHCLKは+10V、端子P10の電位XVHCLKは+15V、端子
P11の電位VHHは+10Vである。端子P10に隣接する端子P1の電位VDCLK
は+5Vである。従って、隣接する端子間の電位差は最大で5Vである。
【0042】
一方、クロックDDCLKがHレベル(+5V)、反転クロックBDDCLKはLレベ
ル(0V)の時、端子P9の電位VHCLKは+15V、端子P10の電位XVHCLK
は+10V、端子P11の電位VHHは+15Vである。端子P10に隣接する端子P1
の電位VDCLKは+5Vである。従って、隣接する端子間の電位差は最大で5Vである
。これにより、端子P1〜P11の腐蝕を防止し、信頼性を向上させることができる。端
子P1〜P11はアルミニウム、アルミニウム合金等の金属で形成されている。
【0043】
[第3の実施形態]
以下、本発明の第3の実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態は、
第2の実施形態の正の出力電位VPP=2VDDを生成する正電源発生回路1(2倍昇圧
回路)と負の出力電位VBB=−VDDを発生する負電源発生回路2(−1倍昇圧回路)
、正の出力電位VHH=3VDDを生成する正電源発生回路4(3倍昇圧回路)に加えて
、さらに負の出力電位VBB=−2VDDを発生する負電源発生回路5(−2倍昇圧回路
)を設けたものである。
【0044】
以下、負電源発生回路5の構成について説明する。Pチャネル型の電荷転送トランジス
タT13(本発明の「第5の電荷転送トランジスタ」の一例であり、以下、「T13」と
略称する)とNチャネル型の電荷転送トランジスタT14(本発明の「第6の電荷転送ト
ランジスタ」の一例であり、以下、「T14」と略称する)が直列に接続されている。そ
れらのトランジスタの接続ノードには、フライングコンデンサC8(本発明の「第3のフ
ライングコンデンサ」の一例)の一方の端子が配線41を介して接続されている。フライ
ングコンデンサC8は外付けコンデンサである。配線41は、前記接続ノードからガラス
基板100上に設けられた端子P12(本発明の「第6の端子」の一例)を介してフライ
ングコンデンサC8の一方の端子に接続する配線である。
【0045】
また、Pチャネル型の電荷転送トランジスタT15(本発明の「第7の電荷転送トラン
ジスタ」の一例であり、以下、「T15」と略称する)とNチャネル型の電荷転送トラン
ジスタT16(本発明の「第8の電荷転送トランジスタ」の一例であり、以下、「T16
」と略称する)が直列に接続され、それらのトランジスタの接続ノードには、フライング
コンデンサC7((本発明の「第4のフライングコンデンサ」の一例)の一方の端子が配
線42を介して接続されている。
【0046】
フライングコンデンサC7もガラス基板100の外に設けられた外付けコンデンサであ
る。配線42は、前記接続ノードからガラス基板100上に設けられた端子P13(本発
明の「第7の端子」の一例)を介してフライングコンデンサC7の一方の端子に接続する
配線である。
【0047】
また、T13及びT14のゲート電極は、T15とT16の接続ノードに接続され、T
15及びT16のゲート電極は、T13とT14の接続ノードに接続されている。
【0048】
T13とT15のソースは互いに接続されて、共通ソースを形成している。この共通ソ
ースには、配線44を介して、負電源発生回路2の出力電位VBBが印加されている。
【0049】
T14とT16のドレインは互いに接続されて共通ドレイン(出力端)を形成している
。この共通ドレインは配線43を介して出力コンデンサCveeの一方の端子に接続されて
いる。出力コンデンサCveeの他方の端子は接地されている。配線43は、共通ドレイン
からガラス基板100上に設けられた端子P14(本発明の「第8の端子」の一例)を介
して出力コンデンサCveeの一方の端子に接続する配線である。
【0050】
また、フライングコンデンサC8の他方の端子には、ドライバーIC3からのクロック
DDCLK(本発明の「第1のクロック」の一例)が端子P4を介して印加される。フラ
イングコンデンサC7の他方の端子には、ドライバーIC3からの反転クロックBDDC
LK(本発明の「第2のクロック」の一例)(DDCLKの反転クロック)が端子P5を
介して印加される。図4は、端子P1〜P14の物理的な配置関係を示している。端子P
1〜P14はアルミニウム、アルミニウム合金等の金属で形成されている。
【0051】
負電源発生回路5の端子P12,P13,P14の電位に着目すると、クロックDDC
LKがLレベル(0V)、反転クロックBDDCLKはHレベル(+5V)の時、
端子P12の電位VECLKは−10V、端子P13の電位XVECLKは−5V、端子
P14の電位VEEは−10Vである。端子P12に隣接する端子P6の電位VBCLK
は−5Vである。従って、隣接する端子間の電位差は最大で5Vである。
【0052】
一方、クロックDDCLKがHレベル(+5V)、反転クロックBDDCLKはLレベ
ル(0V)の時、端子P12の電位VECLKは−5V、端子P13の電位XVECLK
は−10V、端子P14の電位VEEは−5Vである。端子P12に隣接する端子P6の
電位VBCLKは0Vである。従って、隣接する端子間の電位差は最大で5Vである。こ
れにより、端子P1〜P14の腐蝕を防止し、信頼性を向上させることができる。
【0053】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えら
れるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によ
って示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれ
る。例えば、第1の実施形態の電源回路においては、正電源発生回路1と負電源発生回路
2とが併設されているが、どちらか1つの回路のみを設けてもよい。
第2及び第3の実施形態の電源回路においても同様である。
【0054】
また、第3の実施形態の電源回路では、2倍昇圧、3倍昇圧、−1倍昇圧、−2倍昇圧
の電源回路を開示したが、本発明は、さらに高い出力電位を発生する電源回路にも適用す
ることができる。
【0055】
また、電源発生回路は、フライングコンデンサ、フライングコンデンサにクロックを供
給するクロック発生回路、電荷転送トランジスタを利用して入力電位を変換出力する回路
であれば、実施形態の回路に限らず、他のタイプの回路でもよい。
【0056】
また、実施形態の電源回路は、TNモード、垂直配向モード(VAモード)、横電界を
利用したIPSモード、フリンジ電界を利用したFFSモードなどの液晶表示装置に利用
しても構わない。また、全透過型のみならず全反射型、反射透過兼用型の液晶表示装置に
利用しても構わない。また、液晶表示装置ではなく、有機ELディスプレイ、フィールド
エミッション型ディスプレイに用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施形態による電源回路の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による電源回路の動作を説明する図である。
【図3】本発明の第2の実施形態による電源回路の構成を示す図である。
【図4】本発明の第3の実施形態による電源回路の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1 正電源発生回路 2 負電源発生回路 3 ドライバーIC
4 正電源発生回路 5 負電源発生回路
11〜14 配線 21〜24 配線
31〜34 配線 41〜44 配線
P1〜P14 端子 C1〜C8 フライングコンデンサ
Cvpp,Cvbb,Cvhh,Cvee 出力コンデンサ
T1〜T16 電荷転送トランジスタ 100 ガラス基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列接続された第1及び第2の電荷転送トランジスタと、
直列接続された第3及び第4の電荷転送トランジスタと、
前記第1及び第2の電荷転送トランジスタの接続ノードに接続された第1の端子と、
前記第3及び第4の電荷転送トランジスタの接続ノードに接続された第2の端子と、
前記第2及び第4の電荷転送トランジスタのドレインが接続された第3の端子と、
第1のクロックが印加される第4の端子と、
前記第1のクロックを反転した第2のクロックが印加される第5の端子と、
前記第1の端子と前記第5の端子の間に接続された第1のフライングコンデンサと、
前記第2の端子と前記第4の端子の間に接続された第2のフライングコンデンサと、
を備え、前記第1及び第3の電荷転送トランジスタのソースに入力電位が印加され、
前記第3の端子から前記入力電位と異なる電位に変換された出力電位が得られる電源回
路であって、前記第1乃至第5の端子は、隣接する各端子間の最大の電位差が前記第1の
クロックの振幅以下になるように配置されていることを特徴とする電源回路。
【請求項2】
前記第1乃至第5の端子は、隣接する各端子間の最大の電位差が最小になるように配置さ
れていることを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
請求項1に記載の電源回路において、さらに、
直列接続された第5及び第6の電荷転送トランジスタと、
直列接続された第7及び第8の電荷転送トランジスタと、
前記第5及び第6の電荷転送トランジスタの接続ノードに接続された第6の端子と、
前記第7及び第8の電荷転送トランジスタの接続ノードに接続された第7の端子と、
前記第6及び第8の電荷転送トランジスタのドレインが接続された第8の端子と、
前記第4の端子と前記第6の端子の間に接続された第3のフライングコンデンサと、
前記第5の端子と前記第7の端子の間に接続された第4のフライングコンデンサと、
を備え、前記第5及び第7の電荷転送トランジスタのソースに前記第3の端子が接続され
、前記第8の端子から前記入力電位を異なる電位に変換された出力電位が出力されると共
に、前記第1乃至第8の端子は、隣接する各端子間の最大の電位差が前記第1のクロック
の振幅以下になるように配置されていることを特徴とする電源回路。
【請求項4】
前記第1乃至第8の端子は、隣接する各端子間の最大の電位差が最小になるように配置さ
れていることを特徴とする請求項3に記載の電源回路。
【請求項5】
請求項1乃至4に記載の電源回路を用いた表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−201173(P2009−201173A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−36947(P2008−36947)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】