説明

電源回路接続装置

【課題】嵌合の保証が得られる電源回路接続装置を提供する。
【解決手段】スイッチ端子を介して一対のメイン回路用端子を接続することにより、電源回路を導通状態とする電源回路接続装置であって、一対のメイン回路用端子を有する第1ハウジング1とスイッチ端子を有する第2ハウジング2と、第2ハウジングに回動可能に支持されたレバー3と、レバー3の回動操作により第1ハウジング1及び第2ハウジング2の嵌合状態をロックするロック機構を備え、第2ハウジング2は、レバー3の回動操作により第1ハウジング1に嵌合し、ロック機構は、レバー3の内部に設けられるバネ601と、バネ601を通し、レバー3の回動操作に伴いバネ601が移動する溝604と、溝604に設けられ、バネ601の弾性力の方向に対向する向きに突出する突起部605とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源回路接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一対のメイン回路用端子と一対の嵌合検知用端子とが設けられた雌側の第1ハウジングと、第1ハウジングに嵌合及び離脱する雄側の第2ハウジングと、第2ハウジングに設けられたレバーと、レバーを回動させることで第2ハウジングを第1ハウジングに嵌合及び離脱する嵌合離脱機能を備え、一対の嵌合検知用端子を接続するスイッチ端子をレバーに設けることで、第1ハウジングと第2ハウジングの嵌合状態を検知する電源回路接続装置が知られている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−176969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電源回路接続装置において、第2ハウジングは第1ハウジングに嵌合されているが、レバーが十分に回動されずロックされていない場合、一対の嵌合検知用端子とスイッチ端子とにより構成される嵌合検知機構は、嵌合状態でロックされていると検知するため、嵌合状態のロックが十分に保証されないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、嵌合の保証が得られる電源回路接続装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、レバーに設けられるバネ及び当該バネを通し、突起部を備える溝を有するロック機構により、第1ハウジングと第2ハウジングとをロックすることにより上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、レバーのバネと突起部を備える溝とを有するロック機構により第1ハウジングと第2ハウジングとの嵌合状態をロックするため、当該ロック機構により第1ハウジング及び第2ハウジングがロックされている時、レバーの回動動作によるバネの移動が突起部により規制される。その結果、当該嵌合状態がロックされることを保証する信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】電気自動車等の電源回路の一部を示す電気回路図である。
【図2】本例の電源回路接続装置の斜視図である。
【図3】図2の電源回路接続装置において第2ハウジングを第1ハウジングに係止させる状態を示す斜視図である。
【図4】図2の電源回路接続装置においてレバーを完全に倒す直前の状態を示す斜視図である。
【図5】図2の電源回路接続装置においてレバーを完全に倒した状態を示す斜視図である。
【図6】図5の電源回路接続装置のA―A線に沿う破断断面図である。
【図7】図4の電源回路接続装置のB―B線に沿う破断断面図である。
【図8】図2の電源回路接続装置におけるレバーの側面図である。
【図9】図2の電源回路接続装置におけるレバーの正面図である。
【図10】図2の電源回路接続装置におけるレバーであって解除ボタンを押した状態を示す正面図である。
【図11】図2の電源回路接続装置におけるカムを示す斜視図である。
【図12】図11のカムにおいてバネを通す状態を示す斜視図である。
【図13a】図2の第2ハウジングにおいてレバーを起こしている状態を示す斜視図である。
【図13b】図13(a)の第2ハウジングのカムを示す斜視図である。
【図14a】図13に示す第2ハウジングに対して解除ボタンを押す状態を示す斜視図である。
【図14b】図14(a)の第2ハウジングのカムを示す斜視図である。
【図15a】図2の第2ハウジングにおいてレバーを倒す状態を示す斜視図である。
【図15b】図15(a)の第2ハウジングのカムを示す斜視図である。
【図16a】図2の第2ハウジングにおいてレバーが完全に倒れる状態を示す斜視図である。
【図16b】図16(a)の第2ハウジングのカムを示す斜視図である。
【図17】発明の他の実施形態に係る電源回路接続装置におけるカムを示す斜視図である。
【図18a】発明の他の実施形態の第2ハウジングにおいてレバーを起こしている状態を示す斜視図である。
【図18b】図18(a)の第2ハウジングのカムを示す斜視図である。
【図19a】発明の他の実施形態の第2ハウジングにおいてレバーを倒す状態を示す斜視図である。
【図19b】図19(a)の第2ハウジングのカムを示す斜視図である。
【図20a】発明の他の実施形態の第2ハウジングにおいてレバーを倒しバネが傾斜部に掛かる状態を示す斜視図である。
【図20b】図20(a)の第2ハウジングのカムを示す斜視図である。
【図21a】発明の他の実施形態の第2ハウジングにおいてレバーが完全に倒れる状態を示す斜視図である。
【図21b】図21(a)の第2ハウジングのカムを示す斜視図である。
【図22】図17の傾斜部において加わる力を示すカムの平面図である。
【図23】発明の他の実施形態に係る電源回路接続装置においてメイン回路スイッチの制御、嵌合検知スイッチの制御及び嵌合状態がロックされるタイミングを示す図である。
【図24】発明の他の実施形態に係る電源回路接続装置におけるカムを示す斜視図である。
【図25a】発明の他の実施形態の第2ハウジングにおいてレバーを起こしている状態を示す斜視図である。
【図25b】図25(a)の第2ハウジングのカムを示す斜視図である。
【図26a】図25に示す第2ハウジングに対して解除ボタンを押す状態を示す斜視図である。
【図26b】図26(a)の第2ハウジングのカムを示す斜視図である。
【図27a】発明の他の実施形態の第2ハウジングにおいてレバーを倒す状態を示す斜視図である。
【図27b】図27(a)の第2ハウジングのカムを示す斜視図である。
【図28a】発明の他の実施形態の第2ハウジングにおいてレバーが完全に倒れる状態を示す斜視図である。
【図28b】図28(a)の第2ハウジングのカムを示す斜視図である。
【図29】図24の傾斜部において加わる力を示すカムの平面図である。
【図30】発明の他の実施形態に係る電源回路接続装置においてメイン回路スイッチの制御、嵌合検知スイッチの制御及び嵌合状態がロックされるタイミングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《第1実施形態》
発明の実施形態に係る電源回路接続装置の一例として、ハイブリッド車両や電気自動車等の車両用電池及び電力負荷と共に用いられる電源回路接続装置を説明する。
【0010】
図1は、電気自動車もしくはハイブリッド車の電源回路の一部を示す電気回路図である。図1に示すように本実施の形態に係る電源回路接続装置100(以下、サービスディスコネクトスイッチ、略してSDSWと呼ぶ)は、電源回路の途中に設けられ、バッテリ同士を遮断および接続するメイン回路スイッチとして機能する。すなわちSDSW100は、後述するように着脱可能な一対のコネクタハウジングを有し、コネクタハウジングの着脱によりバッテリの中間電位部abを遮断および接続する。バッテリからの電気はリレースイッチ102を介してインバータ回路(INV)、図示しない14V用および42V用のDC/DCコンバータ等に流れる。なお、バッテリからの電気は電流センサ101で検出される。SDSW100は、メイン回路スイッチとして機能するだけでなく、一対のコネクタハウジングの嵌合を検知する嵌合検知スイッチとしても機能する。
【0011】
図2〜5は、本実施の形態に係るSDSW100の全体構成を示す斜視図であり、図2は、第2ハウジング2が第1ハウジングから離脱している状態を示す。図3は、第2ハウジング2が第1ハウジング1に係止している状態であり、図4は、第2ハウジングが第1ハウジングに嵌合してからレバー3を回動操作させる途中の状態を示し、図5は第1ハウジング1と第2ハウジング2とが、完全に嵌合されている状態を示す。なお、以下では説明を容易にするために、便宜上図2〜5に示すように前後左右方向を定義する。
【0012】
SDSW100は、車両に固定される第1ハウジング1と、第1ハウジング1内に収容される第2ハウジング2とを有する。第2ハウジング2に、上下方向に回動可能にレバー3が取り付けられ、レバー3の回動により第2ハウジング2が第1ハウジング1内に押し込まれ、第2ハウジング2が第1ハウジング1に嵌合するとともに、レバー3の先端部が第1ハウジング1に嵌合する。これにより、メイン回路スイッチと嵌合検知スイッチがオンする。各ハウジング1,2およびレバー3は、それぞれ樹脂等の電気絶縁材料によって形成されている。
【0013】
第2ハウジング2の上部に、カバー4が取り付けられている。カバー4は、その後端部に設けた把持部4aを把持しつつ、後方に引っ張ることで取り外すことができ、カバー4を取り外した状態で、カバー4の内側に収容された後述するヒューズ29部品の交換等を行う。
【0014】
第2ハウジング2の上部(上部ハウジング21)は下部(下部ハウジング22)よりも左右方向幅広に形成されている。この上部ハウジング21の左右側面に、回動軸24と、ストッパ25がそれぞれ突設されている。また、第2ハウジング2の前端面は段部2bを有し、段部2bにロック部材26が立設されている。
【0015】
レバー3は、左右一対のアームプレート31と、アームプレート31同士を連結する第1連結部材32および第2連結部材33(図4を参照)とを有する。第1連結部材32の左右中央に、レバー回動方向に突出してコネクタ部34が設けられ、コネクタ部34の両側にテーパ部32aが設けられている。アームプレート31に上部ハウジング21の側面の回動軸24が貫通し、回動軸24を支点に回動可能にレバー3が支持されている。レバー3と下部ハウジング22の間の左右方向に隙間があり、この隙間に第1ハウジング1が挿入される。略円弧状のガイド溝35は、レバー3のアームプレート31に形成されている。
【0016】
また第1ハウジング1に、第2ハウジング2を収容する収容部11が設けられ、収容部11の前方に、レバー3のコネクタ部34に対応してコネクタ部12が設けられている。収容部11は下部ハウジング22の外形形状に対応した形状をなし、下部ハウジング22のみが収容部11に収容され、上部ハウジング21は収容部11から突出する。第1ハウジング1の左右外側面に上述したガイド溝35に挿入されるガイドピン13が突設されている。ベースプレート15は、第1ハウジングに設けられ、コネクタ部34と嵌合し、接続する形状になっている。
【0017】
図3に示すようにアームプレート31の左右内表面に、ガイド溝35に沿ってガイド部35aが突設されている。ガイド部35aは、アームプレート31の周縁部35b以外に形成される。ガイドピン13は、第1ハウジング1及び第2ハウジング2が離脱している状態からのみ、ガイド部35aのない周縁部35bを介してガイド溝35に挿入される。
【0018】
図4に示すようにアームプレート31の周縁の一部は、回動軸24を支点にして略円弧状に形成され、この円弧部31cの両端に係止部31d,31eが形成されている。係止部31d,31eが上部ハウジング21の側面のストッパ部25に当接して、レバー3の回動範囲が完全離脱位置と完全嵌合位置の間に制限される。
【0019】
次に図6及び7を参照して、SDSW100の内部構造を説明する。図6は図5のA―A線に沿う破断斜視図であり、図7は、図4のB―B線に沿う破断斜視図である。第2ハウジング2のカバー4の内側にヒューズ29が配置されている。ヒューズ29の両端に薄板状の端子27a,27bが接続され、ヒューズ29と端子27a,27bはボルト28により固定されている。各端子27a,27bはL字状に折り曲げられて第2ハウジング2の底面を貫通している。第2ハウジング2の底面にケース部2cが突設され、ケース部2cによって各端子27a,27bの周囲が覆われている。端子27a,27bは、その先端がケース部2cよりも下方に突出しないように長さが規定されている。
【0020】
薄板状の一対の端子14a,14bが第1ハウジング1の底面を貫通している。第1ハウジング1の内側底面に、第2ハウジング2のケース部2cに対応してケース部1cが突設され、端子14a,14bは、その先端がケース部1cよりも上方に突出しないように長さが規定されている。第1ハウジング1のケース部1cは第2ハウジング2のケース部2cの内側に収容されている。
【0021】
端子14a,14bの先端部は、R状に折り曲げられ、板ばね形状とされている。端子14a,14bとケース部1cの間に端子27a,27bの先端が押し込まれ、端子14aと端子27aおよび端子14bと端子27bが接触している。これにより端子27a,27bおよびヒューズ29を介して端子14a,14b間が接続され、メイン回路スイッチがオンとなる。なお、端子14a,14bにそれぞれケーブル18a,18b(図4を参照)が接続されている。第1ハウジング1の底面に、第1ハウジング1を車両又はバッテリパックに取り付けるためのボルト貫通孔1dが設けられている。
【0022】
図7に示すようにレバー3のコネクタ部34内に断面略U字状に形成された端子36が取り付けられている。端子36は、コネクタ部34下方の開口端面34aから突出しないように長さが規定され、コネクタ部34により周囲を覆われている。端子36の左右内側の幅は下方にいくほど狭くなっており、端子36の下端部は上端部を支点に左右外側に弾性変形可能である。図6に示すようにコネクタ部34の後面に、開口端面34aに連なり開口部34bが設けられ、コネクタ部34の下面と後面は開放されている。
【0023】
第1ハウジング1のコネクタ部12内に、ベースプレート15が固設されている。ベースプレート15は上下方向に延設され、その左右両面にそれぞれプレート状の端子16a,16bが装着されている。なお、端子16a,16bにそれぞれケーブル17a,17bが接続されている。ベースプレート15は、コネクタ部12の上方から突出しないように長さが規定され、コネクタ部12により周囲を覆われている。ベースプレート15の上端部はR状に形成され、この上端部を介して端子36の内側の隙間にベースプレート15が嵌合可能となっている。
【0024】
図6に示すSDSW100は、コネクタ部34を第1ハウジング1のコネクタ部12内に完全に収容する。この状態では、端子36の内側にベースプレート15が嵌合し、端子36と端子16a,16bが互いに接触する。これにより端子36を介して端子16a,16b間が接続され、嵌合検知スイッチがオンとなる。なお、図6において、第1ハウジング1のコネクタ部12の前面に段部12aが設けられ、段部12aによってコネクタ部12とベースプレート15の前端面の間に空隙SPが設けられている。空隙SPの大きさは、レバー3を回動してコネクタ部12内にコネクタ部34を収容する際に、コネクタ部34の角部がコネクタ部12に干渉しないような大きさに設定されている。
【0025】
次に、図2〜5に戻り、レバー3の回転動作に伴い、第1ハウジング1と第2ハウジングが嵌合され、メイン回路スイッチがオンとなり、嵌合検知スイッチがオンになる状態を説明する。
【0026】
図2に示す状態は、第1ハウジング1と第2ハウジング2が完全に離脱している、メイン回路スイッチと嵌合検知スイッチは共にオフの状態である。
【0027】
次に、図3に示すように、第2ハウジング2を第1ハウジング1に係合し、図4に示すようにレバーを回動操作すると、第2ハウジング2は、第1ハウジングと嵌合しつつ、第1ハウジング内に収まり、メイン回路スイッチがオン状態になる。この時、レバー3は、回動操作の途中で、嵌合検知スイッチはオフ状態のままである。
【0028】
さらにレバー3を回動操作し、図5に示すようにレバー3の上端面とカバー4の上面とが略平行となり、レバー3の第2連結部材33がカバー4の前側上面部4bの上方に位置する。この時、第2ハウジング2は、第1ハウジング1に完全に嵌合される状態となり、レバー3のコネクタ部34が第2ハウジング2よりも前方に位置し、メイン回路スイッチと嵌合検知スイッチがともにオン状態となる。
【0029】
図8〜10は、本例のレバー3の概略図を示し、図8はレバー3の側面図を、図9及び図10はレバー3の正面図を示す。
【0030】
金属棒をL字状に折り曲げることで形成されるバネ601が、レバー3の内部に設置され、回転軸24から解除ボタン602の間で、側面のアームプレート31に沿って設置される。またバネ601は、レバー3の両側のアームプレート31にそれぞれ設置される。解除ボタン602は、レバー3の側面に設置され、操作者が例えば親指と中指により掴むことで、レバー3の両側面に設置される、それぞれの解除ボタン602を狭持できるよう設置されている。図9に示すように、解除ボタン602が操作者によって押されていない状態から、解除ボタン602に対してレバー3の外側より力が加わると(図9の矢印Cの方向)、図10に示すように解除ボタン602の間隔が狭まり、バネ601に対して内側に力が働く。
【0031】
図11に示すカム603は、第2ハウジング2の右側面に固定され、回転軸24を支える(図13aを参照)。なお、カム603は、第2ハウジング2の左側面にも固定されている。溝604は、円筒状のカム603の側面の一部に切り欠きを設けることで形成され、図12に示すように、溝604にバネ601を通すことで、バネ601がカム603の溝604を移動する。バネ601は、図8〜10に示すように、レバー3に備え付けられているため、レバー3の回動操作に伴って、バネ601が溝604を移動する。
【0032】
また溝604は、突起部605を有し、第2ハウジング2の内側の方向を向いている。バネ601は、第2ハウジングの外側に対して弾性力を加えるような形状をしているため、突起部605は、バネ601の弾性力の方向に対して対向する向きに突出する形状である。また図11及び12に示す突起部605のエッジ部分は直角の形状になっている。
【0033】
次に、図13〜16を用いて、本例のSDSW100において、レバー3の回動操作に対するバネ601と溝604の係合状態を説明する。図13〜図16は、第1ハウジング1と第2ハウジング2が嵌合してから、第1ハウジング1と第2ハウジングとの嵌合状態がロックされるまでのレバー3の回動操作を時系列で示す。本例は、レバー3を起こしている状態から倒す状態に向かって回動操作することで、第1ハウジング1と第2ハウジングの嵌合状態をロックするが、その逆でもよい。
【0034】
図13(a)は、第2ハウジング2の斜視図である。なお、本来、バネ601及びカム603は外側から見えないが、説明のために透視して示している。図14〜16についても同様である。図13(b)〜16(b)は、バネ601とカム603との係合している状態を示す。
【0035】
図13は、レバー3が垂直に立った状態で、図3に示す、第2ハウジング2が第1ハウジング1に係止している状態に対応する。この状態の時、バネ601は、溝604における、突出部605により形成される一方の凹んでいる部分に係止されている。
【0036】
図14は、解除ボタン602を押すことで、バネ601を溝604の凹んでいる部分から内側に向けて移動させる状態を示す。図14(b)に示すように、操作者が解除ボタン602を押すと、バネ601が狭持され、バネ601が有する弾性力に対向する向きに移動し、バネ601と突起部605に係止されている状態が解除される。
【0037】
図15(a)は、解除ボタン602が押されて、バネ601が溝604の内部を移動する途中の状態を示す。図15(b)に示すように、解除ボタン602を押して、レバー3を回動させると、バネ601は突起部605により係止されている状態から外れ移動できる。
【0038】
図16(a)は、レバー3の回動操作が終わり、レバー3が完全に倒れた状態の第2ハウジング2を示す。図16(b)に示すように、レバー3の回動操作に伴いバネ601が溝604の内部を移動し、バネ601は、溝604における、突出部605により形成される他方の凹んでいる部分に係止される。バネ601は外側への弾性力を有するため、図13と異なり、操作者が解除ボタン602を押さなくても、バネ601は当該他方の凹んでいる部分に係止される。また、バネ601が突出部605から外れる時、バネ601の伸びによりバネ601が溝604に当たり振動が生じる。そして当該振動がレバー3を伝って操作者に届くため、操作者は、当該振動から、第1ハウジング1と第2ハウジング2が完全に嵌合され、ロックされることを認識できる。なお、嵌合検知スイッチは、バネ601は当該他方の凹んでいる部分に係止される前にオン状態になる。
【0039】
またバネ601は当該他方の凹んでいる部分に係止された状態で、操作者がレバー3を回動操作させると、バネ601が突出部605に引っかかるため、レバー3を回動操作できない。そのため、操作者は、解除ボタン602を押しながらレバー3を回動操作することで、第2ハウジング2を第1ハウジング1から離脱させることができる。
【0040】
上記のように、本例の電源回路接続装置において、レバー3の回転軸24を支えるカム605に対し溝604が設けられ、バネ601が溝604の内部を移動できるよう溝604を通す。また溝604は、バネ601の弾性力に対して対向する向きに突出する突出部605を有する。そして、レバー3を回動操作する時、弾性力に対向する向きの力がバネ601に加わり、さらにレバー3が完全に回動する時、バネ601は突起部605を外れ、当該バネの力が解放されることによる振動が、レバー3を伝わって操作者に伝わる。これにより、操作者は、当該振動を確認することで、忘れやすい最終ロックを確実にすることができ、操作者にとって、作業の終止感を感じる構成となっているため、取り付け作業が中断されることを防止し、本例のスイッチとしての信頼性を高めることができる。
【0041】
また本例は、解除ボタン602により、バネ601の弾性力に対向する向きに力を加え、レバー3を回動操作するため、単にレバー3を回動するのみで第2ハウジング2を第1ハウジング1へ嵌合させロックする構成と比較して、確実に最終ロックをすることができる。すなわち、本例は、第1ハウジング1及び第2ハウジングの嵌合状態がロックされていない、レバー3の回動操作が途中の状態の時、解除ボタン602は押された状態のままであり、第1ハウジング1及び第2ハウジングの嵌合状態がロックされると、解除ボタン602は押されていない元の状態に戻る。これにより、操作者は、解除ボタン602の状態を確認することで、第1ハウジング1及び第2ハウジングの嵌合状態がロックされているか否かを容易に確認することができる。
【0042】
また、本例において、レバー3のバネ601が溝604の凹んでいる部分に係止している状態でレバー3を回動させても、レバー3のみでは回動しないため、第1ハウジング1と第2ハウジングとの嵌合状態をロックすることでき、また解除ボタン602により、容易に当該ロックを解除することもできる。
【0043】
また本例は、レバー3に解除ボタン602を設けるため、操作者がレバー3を片手で保持しつつ、解除ボタン602を操作し、レバー3を回動させることができ、作業効率を上げることができる。また、解除ボタン602をレバー3の側面に設けることにより、操作者が片手で押しやすい構造となるため、解除ボタン602
を押してレバー3を回動させるために操作者がレバー3を持ち替えなくてもよく、作業効率を向上させることができる。さらに、本例の解除ボタン602は、バネ601の先端に対して力を加えるように構成されているため、操作者は解除ボタンによるロックを解除しやすい。
【0044】
また、本例おいて、第2ハウジング2が第1ハウジング1に係合され、レバー3が回動操作すると、まずメイン回路スイッチがオン状態になり、さらにレバー3が回動操作すると、嵌合検知スイッチがオン状態となり、第1のハウジング1と第2ハウジング2の嵌合状態がロックされる。これにより、本例は、多段階で第1のハウジング1と第2ハウジングの嵌合状態を確認できる。また電気的なスイッチである嵌合検知スイッチの後に、バネ601と突起部605により当該嵌合状態を確認できる。そのため、本例は、操作者にとって作業の終止感を感じる構成となっているため、取り付け作業が中断することを防止し、本例のスイッチとしての信頼性を高めることができる。
【0045】
なお、本例の端子14a,14bが本発明の「一対のメイン回路用端子」に相当し、端子27a,27bが「スイッチ端子」に、端子16a,16bが「一対の嵌合検知端子」に、端子36が「嵌合検知用のスイッチ端子」に相当する。また第2ハウジング2が第1ハウジングに係止されてからレバー3が回動され、嵌合検知スイッチがオン状態になる位置が、本発明の「第1の所定位置」に相当し、さらにレバー3が回動し、バネ601が凹んでいる部分に係止している状態に対応するレバー3の位置が、「第2の所定位置」に相当する。
【0046】
またレバー3が回動され、嵌合検知スイッチがオン状態になる位置と、バネ601が凹んでいる部分に係止している状態に対応するレバー3の位置とを同じ位置にしてよい。このように構成することで、レバー3が凹んでいる部分に係止され、第1ハウジング1と第2ハウジング2の嵌合状態をロックする時に、嵌合検知スイッチも、ほぼ同時にオン状態になるため、本例のスイッチとしての信頼性を高めることができる。《第2実施形態》
図17は、発明の他の実施例に係る電源回路接続装置のカム603を示す図である。本例は上述した第1実施形態に対して、突起部605の形状が異なる。これ以外の構成は上述した第1実施形態と同じであるため、その記載を援用する。
【0047】
図17に示すカム603は、第2ハウジング2の右側面に設けられ、回転軸24を支える(図13a等を参照)。なお、カム603は、第2ハウジング2の左側面にも固定されている。溝604は、円筒状の603の側面の一部に切り欠きを設けることで形成され、溝604にバネ601を通すことで、バネ601がカム603の溝604を移動する。
【0048】
また溝604は、傾斜部606を有し、第2ハウジング2の内側の方向に向いている。バネ601は、第2ハウジングの外側に対して弾性力を加えるような形状をしているため、傾斜部606は、バネ601の弾性力の方向に対して対向する向きに突起する形状である。また傾斜部606は、第1ハウジング1と第2ハウジング2との嵌合状態をロックさせるためにレバー3を回動操作する時のバネ602の移動方向に対して、傾斜部606の高さが徐々に高くなる形状である。
【0049】
次に、図18〜21を用いて、本例のSDSW100において、レバー3の回動操作に対するバネ601と溝604の係合状態を説明する。図18〜図21は、第1ハウジング1と第2ハウジングとが嵌合してから、第1ハウジング1と第2ハウジングとの嵌合状態がロックされるまでのレバー3の回動操作を時系列で示す。本例は、レバー3を起こしている状態から倒す状態に向かって回動操作することで、第1ハウジング1と第2ハウジングの嵌合状態をロックするが、その逆でもよい。
【0050】
図18(a)は、第2ハウジング2の斜視図である。なお、本来、バネ601及びカム603は外側から見えないが、説明のために描写している。図19〜21についても同様である。図18(b)〜21(b)は、バネ601とカム603との係合している状態を示す。
【0051】
図18は、レバー3が垂直に立った状態で、図3に示す、第2ハウジング2が第1ハウジング1に係止している状態に対応する。この状態の時、バネ601は、傾斜部606に掛かってなく、溝604の切り欠き部分の先端に位置する。
【0052】
図19は、図18に対してレバー3を回動操作させている途中の状態を示す。図19(b)に示すように、溝604は、バネ601の移動を完全に妨げる突起等を設けていないため、使用者は必ずしも解除ボタン602を押しながらレバー3を回動させる必要はなく、レバー3を回動させることでバネを移動させることができる。
【0053】
図20(a)は、さらにレバー3が回動され、バネ601が溝604の内部を移動する途中の状態を示す。図20(b)に示すように、レバー3を回動させると、バネ601は傾斜部606の傾斜部分を上るように移動する。この際、バネ601の弾性力の方向に対向する向きに力をバネ601に加えつつ、操作者はレバー3を移動させなければならないため、操作者は、図19に示すレバー3の回動操作に比べて、力を加えてレバー3の回動操作を行う。
【0054】
図21(a)は、レバー3の回動操作が終わり、レバー3が完全に倒れた状態の第2ハウジング2を示す。図21(b)に示すように、レバー3の回動操作に伴いバネ601が溝604の内部を移動し、バネ601は、傾斜部606を超え、溝604における、傾斜部606により形成される他方の凹んでいる部分に係止される。バネ601は外側への弾性力を有するため、操作者が解除ボタン602を押さなくても、バネ601は傾斜部606を超えて当該他方の凹んでいる部分に係止される。さらにレバー3が完全に回動する時、バネ601は突起部605を外れ、当該バネの力が解放されることによる振動が、レバー3を伝わって操作者に伝わる。これにより、操作者は、当該振動を確認することで、第1ハウジング1と第2ハウジング2が完全に嵌合され、ロックされることを認識できる。なお、嵌合検知スイッチは、バネ601は当該他方の凹んでいる部分に係止される前にオン状態になる。
【0055】
またバネ601は当該他方の凹んでいる部分に係止された状態で、操作者がレバー3を回動操作させると、バネ601が突出部605に引っかかるため、レバー3を回動操作できない。そのため、操作者は、解除ボタン602を押しながらレバー3を回動操作することで、第2ハウジング2を第1ハウジング1から離脱させることができる。
【0056】
上記のように、本例の電源回路接続装置において、レバー3の回転軸24を支えるカム605に対し溝604が設けられ、バネ601が溝604の内部を移動できるよう溝604を通す。また溝604は、バネ601の弾性力に対して対向する向きに突出する傾斜部606を有する。そして、レバー3を回動操作する時、弾性力に対向する向きの力がバネ601に加わり、さらにレバー3が完全に回動すると、バネ601は傾斜部606を外れ、当該バネの力が解放されることによる振動が、レバー3を伝わって操作者に伝わる。これにより、操作者は、当該振動を確認することで、忘れやすい最終ロックを確実にすることができ、また操作者にとって、作業の終止感を、第1ハウジング1と第2ハウジングとの嵌合状態をロックさせる時に感じる構成となっているため、取り付け作業が中断することを防止し、本例のスイッチとしての信頼性を高めることができる。
【0057】
また本例において、バネ601が傾斜部606の位置にある状態で、操作者がレバー3の回動操作を中断する場合、バネ601の弾性力と傾斜部606の傾斜により、レバー3が押し戻され、レバー3は、第1ハウジング1と第2ハウジングとの嵌合状態をロックさせる方向とは逆側に移動する。これにより、操作者は、未ロック状態であることを視覚で確認できるため、本例のスイッチとしての信頼性を高めることができる。
【0058】
ここで、図22及び図23を用いて、上記のバネ601が押し戻される本例の機構を説明する。図22は、カム603の正面図を示す。Fはバネ601の弾性力をFsinθはバネ601の傾斜方向の弾性力を、μFcosθはバネ601と傾斜部606との間の摩擦力を、Iは端子検知スイッチの端子16a,16bと端子36との間の摩擦力及びメイン回路スイッチの端子27a、27bと端子14a、14bとの間の摩擦力を示す。Fsinθが、μFcosθにIを加えた力より大きい場合、操作者によりレバー3が回動操作されていない状態で、バネ601は傾斜部606を滑り、押し戻される。
【0059】
次に、図23を用いて、レバー3の回動操作に伴う、メイン回路スイッチ、嵌合検知スイッチ及び第1ハウジング1と第2ハウジング2との嵌合状態のロックのタイミングを説明する。なお、図23において、点線の間の区間は、バネ601が傾斜部606の位置にある状態を示す。
【0060】
レバー3が立っている状態(図18を参照)をレバー角度0度として、まず第2ハウジング2を第1ハウジングに係止させると(図3を参照)、メイン回路スイッチがオン状態となる。レバー3を回動操作させると、バネ601が傾斜部606に掛かかる付近で嵌合検知スイッチがオン状態となる。さらにレバー3を回転操作させ、バネ601が傾斜部606を超えると、図21に示すように、第1ハウジング1と第2ハウジング2との嵌合状態がロックされる。一方、バネ601が傾斜部606の途中の位置にある時、操作者がレバー3から手を離すと、バネ601の弾性力により、バネ601は傾斜部606を滑りレバー3が戻る。そしてバネ601が傾斜部606を完全に滑り落ちると、嵌合検知スイッチはオンからオフ状態となるため、操作者は、当該嵌合検知スイッチによるオンからオフへの状態の変化により、ロック作業が終了していないこと認識することができる。
【0061】
嵌合検知スイッチのみで嵌合状態のロックを確認する場合、レバー3が完全に倒れていない状態で嵌合検知スイッチがオンになることがあるため、嵌合状態がロックされないおそれがある。しかし、本例は、嵌合検知スイッチがオンの状態で、レバー3が完全に倒れていない場合、レバー3が戻るため、嵌合状態がロックされることを保証する信頼性を高めることができる。
【0062】
なお、本例は、嵌合検知スイッチを備えるため、図22に示す、バネ601が傾斜部606を滑る条件に、端子検知スイッチの端子16a,16bと端子36との間の摩擦力を含んでいるが、嵌合検知スイッチを有さない場合、FsinθがμFcosθより大きくなるようバネ601及び傾斜部606を構成することで、バネ601は傾斜部606を滑り、押し戻すことができる。これにより、操作者が、誤って、レバー3を完全に倒さず途中で作業を終えたとしても、バネ606の弾性力によりレバー3が起き上がってくるため、操作者は、嵌合状態がロックされていないことを視覚的に認識することができ、嵌合状態がロックされることを保証する信頼性を高めることができる。なお、レバー3が完全に倒れる直前において、メイン回路スイッチの端子間の摩擦力は、嵌合検知スイッチの端子間の摩擦力より十分小さく、無視してもよい。
【0063】
また、本例おいて、第2ハウジング2が第1ハウジング1に係合され、レバー3が回動操作すると、まずメイン回路スイッチがオン状態になり、さらにレバー3が回動操作すると、嵌合検知スイッチがオン状態となり、第1のハウジング1と第2ハウジング2の嵌合状態がロックされる。これにより、本例は、多段階で第1のハウジング1と第2ハウジングの嵌合状態を確認できる。また電気的なスイッチである嵌合検知スイッチの後に、バネ601と傾斜部606により当該嵌合状態を確認できる。そのため、本例は、操作者にとって作業の終止感を感じる構成となっているため、取り付け作業が中断することを防止し、本例のスイッチとしての信頼性を高めることができる。
【0064】
《第3実施形態》
図24は、発明の他の実施例に係る電源回路接続装置のカム603を示す図である。本例は上述した第1実施形態に対して、突起部605の形状が異なる。これ以外の構成は上述した第1実施形態と同じであるため、その記載を援用する。
【0065】
図24に示すカム603は、第2ハウジング2の右側面に設けられ、同様に、左側面にも設けられ、回転軸24を支える(図13a等を参照)。溝604は、円筒状の603の側面の一部に切り欠きを設けることで形成され、溝604にバネ601を通すことで、バネ601がカム603の溝604を移動する。
【0066】
また溝604は、円筒状の603の側面の一部に切り欠きを設けることで形成される凹部609a、609bのそれぞれに傾斜部607と垂直部608を有し、傾斜部607と垂直部608は、第2ハウジング2の内側の方向を向いている。図24において、上側の凹部を凹部609a、下側の凹部を凹部609bとする。上側の凹部609aの傾斜部607は、垂直部608に対して、第1ハウジング1と第2ハウジング2との嵌合状態をロックするためにバネ601を移動させる方向に隣接する。また下側の凹部609bの垂直部608は、傾斜部607に対して、第1ハウジング1と第2ハウジング2との嵌合状態をロックするためにバネ601を移動させる方向に隣接する。バネ601は、第2ハウジングの外側に対して弾性力を加えるような形状をしているため、傾斜部607及び垂直部608は、バネ601の弾性力の方向に対して対向する向きに突起する形状である。上側の凹部609aの傾斜部607は、第1ハウジング1と第2ハウジング2との嵌合状態をロックさせるためにレバーを回動操作する時のバネ602の移動方向に対して、傾斜部606の高さが徐々に高くなる形状である。また下側の凹部609bの傾斜部607は、第1ハウジング1と第2ハウジング2との嵌合状態をロックさせるためにレバーを回動操作する時のバネ602の移動方向に対して、傾斜部606の高さが徐々に低くなる形状である。
【0067】
次に、図25〜28を用いて、本例のSDSW100において、レバー3の回動操作に対するバネ601と溝604の係合状態を説明する。図25〜図28は、第1ハウジング1と第2ハウジングが嵌合してから、第1ハウジング1と第2ハウジングとの嵌合状態がロックされるまでのレバー3の回動操作を時系列で示す。本例は、レバー3を起こしている状態から倒す状態に向かって回動操作することで、第1ハウジング1と第2ハウジングの嵌合状態をロックするが、その逆でもよい。
【0068】
図25(a)は、第2ハウジング2の斜視図である。なお、本来、バネ601及びカム603は外側から見えないが、説明のために描写している。図26〜28についても同様である。図25(b)〜28(b)は、バネ601とカム603との係合している状態を示す。
【0069】
図25は、レバー3が垂直に立った状態で、図3に示す、第2ハウジング2が第1ハウジング1に係止している状態に対応する。この状態の時、バネ601は、溝604における、凹部609aに係止されている。
【0070】
図26は、解除ボタン602を押すことで、バネ601を溝604の凹部609aから内側に向けて移動させる状態を示す。図26(b)に示すように、操作者が解除ボタン602を押すと、バネ601が狭持され、バネ601が有する弾性力に対向する向きに移動し、バネ601と凹部609aに係止されている状態が解除される。
【0071】
図27(a)は、解除ボタン602が押されて、バネ601が溝604の内部を移動する途中の状態を示す。図27(b)に示すように、解除ボタン602を押して、レバー3を回動させると、バネ601は凹部609aにより係止されている状態から外れ移動できる。
【0072】
図28(a)は、レバー3の回動操作が終わり、レバー3が完全に倒れた状態の第2ハウジング2を示す。図28(b)に示すように、レバー3の回動操作に伴いバネ601が溝604の内部を移動し傾斜部607を滑り、凹部609bに係止される。バネ601は外側への弾性力を有するため、操作者が解除ボタン602を押さなくても、バネ601は、傾斜部607を滑り、凹部609bに係止される。また、バネ601が突起部602から外れる時、バネ601の弾性力が解放され、バネ601が溝604に当たり振動が生じる。そして当該振動がレバー3を伝って操作者まで届くため、操作者は、当該振動から、第1ハウジング1と第2ハウジング2が完全に嵌合され、ロックされることを認識できる。なお、嵌合検知スイッチは、バネ601は凹部609bに係止される前にオン状態になる。
【0073】
またバネ601は凹部609bに係止された状態で、操作者がレバー3を回動操作させると、バネ601が垂直部608に引っかかるため、レバー3を回動操作できない。そのため、操作者は、解除ボタン602を押しながらレバー3を回動操作することで、第2ハウジング2を第1ハウジング1から離脱させることができる。
【0074】
上記のように、本例の電源回路接続装置において、レバー3の回転軸24を支えるカム603に対し溝604が設けられ、バネ601が溝604の内部を移動できるよう溝604を通す。また溝604は、バネ601の弾性力に対して対向する向きに突出する傾斜部607及び垂直部608を有する。そして、レバー3を回動操作する時、弾性力に対向する向きの力がバネ601に加わり、さらにレバー3が完全に回動する時、バネ601が凹部609bにあたることにより生じる振動が、レバー3を伝わって操作者に伝わる。これにより、操作者は、当該振動を確認することで、忘れやすい最終ロックを確実にすることができ、また操作者にとって、作業の終止感を感じる構成となっているため、取り付け作業が中断することを防止し、本例のスイッチとしての信頼性を高めることができる。
また本例において、バネ601が上側の凹部609bの位置にある状態で、操作者がレバー3の回動操作を中断する場合、バネ601の弾性力と傾斜部606の傾斜により、レバー3が倒され、レバー3は、第1ハウジング1と第2ハウジングとの嵌合状態をロックさせる方向に移動する。これにより、操作者は、誤って未ロック状態でレバー3の回動操作を終了させても、レバー3が倒れ、第1ハウジング1と第2ハウジングとの嵌合状態がロックされるため、本例のスイッチとしての信頼性を高めることができる。
【0075】
ここで、図29及び図30を用いて、上記のバネ601が押し戻される本例の機構を説明する。図29は、カム603の正面図を示す。Fはバネ601の弾性力を、Fsinθはバネ601の傾斜方向の弾性力を、μFcosθはバネ601と傾斜部607との間の摩擦力を、Iは端子検知スイッチの端子16a,16bと端子36との間の摩擦力及びメイン回路スイッチの端子27a、27bと端子14a、14bとの間の摩擦力を示す。Fsinθが、μFcosθにIを加えた力より大きい場合、操作者によりレバー3が回動操作されていない状態で、バネ601は傾斜部607を滑り、レバー3が倒れる。
【0076】
次に、図30を用いて、レバー3の回動操作に伴う、メイン回路スイッチ、嵌合検知スイッチ及び第1ハウジング1と第2ハウジング2との嵌合状態のロックのタイミングを説明する。なお、図30において、点線の間の区間は、バネ601が傾斜部607の位置にある状態を示す。
【0077】
レバー3が立っている状態(図25を参照)をレバー角度0度として、まず第2ハウジング2を第1ハウジングに係止させると(図3を参照)、メイン回路スイッチがオン状態となる。レバー3を回転操作させると、バネ601が下側の凹部609bの傾斜部607に掛かかる途中で嵌合検知スイッチがオン状態となる。さらにレバー3を回転操作させ、バネ601が傾斜部607を超えると、図21に示すように、第1ハウジング1と第2ハウジング2との嵌合状態がロックされる。一方、バネ601が傾斜部607の途中の位置にある時、操作者がレバー3から手を離すと、バネ601の弾性力により、バネ601は傾斜部607を滑りレバー3が倒れる。そしてバネ601が傾斜部607を完全に滑り落ちると、第1ハウジング1と第2ハウジング2との嵌合状態がロックされる。
【0078】
これにより、嵌合検知スイッチがオンの状態でレバー3が止まることがないため、仮に操作者が、嵌合検知スイッチがオンの状態でレバー3を手から離しても、レバー3が倒れ、第1ハウジング1と第2ハウジング2との嵌合状態がロックされる。そして、本例において、嵌合状態がロックされることを保証する信頼性を高めることができる。
【0079】
また、レバーを起こして嵌合状態を外す際に、作業者が誤って、レバー3を完全に起こされず途中で作業を終えたとしても、バネ606の弾性力と凹部609a側の傾斜部607によりレバー3が起き上がるため、嵌合状態が完全に解除されることを保証し、信頼性を高めることができる。また、操作者にとって作業の終止感を感じる構成となっているため、取り外し作業が中断することを防止し、本例のスイッチとしての信頼性を高めることができる。なお、本例は、嵌合検知スイッチを備えるため、図29に示す、バネ601が傾斜部607を滑る条件に、端子検知スイッチの端子16a,16bと端子36との間の摩擦力を含んでいるが、嵌合検知スイッチを有さない場合、FsinθがμFcosθより大きくなるようバネ601及び傾斜部607を構成することで、バネ601は傾斜部607を滑り、押し倒すことができる。これにより、操作者が、誤って、レバー3を完全に倒さず途中で作業を終えたとしても、バネ606の弾性力によりレバー3が倒れるため、嵌合状態がロックされることを保証する信頼性を高めることができる。なお、レバー3が完全に倒れる直前において、メイン回路スイッチの端子間の摩擦力は、嵌合検知スイッチの端子間の摩擦力より十分小さく、無視してもよい。
【0080】
また、本例おいて、第2ハウジング2が第1ハウジング1に係合され、レバー3が回動操作すると、まずメイン回路スイッチがオン状態になり、さらにレバー3が回動操作すると、嵌合検知スイッチがオン状態となり、さらにレバー3が回動操作すると、第1のハウジング1と第2ハウジング2の嵌合状態がロックされる。これにより、本例は、多段階で第1のハウジング1と第2ハウジングの嵌合状態を確認できる。また電気的なスイッチである嵌合検知スイッチの後に、バネ601と突起部605により当該嵌合状態を確認できる。そのため、本例は、操作者にとって作業の終止感を感じる構成となっているため、取り付け作業が中断することを防止し、本例のスイッチとしての信頼性を高めることができる。
【0081】
なお、本例は傾斜部607に垂直部608を隣接させるが、垂直部608の代わりに、傾斜部607より傾斜が大きい傾斜部を形成してもよい。また、本例の垂直部608は、厳密に垂直とする必要はなく、本例の効果を奏する範囲で許容される角度をもって形成され、当該大きい傾斜部についても、同様である。
【符号の説明】
【0082】
1…第1ハウジング
1c…ケース部
1d…ボルト貫通孔
2…第2ハウジング
2b…段部
2c…ケース部
3…レバー
4…カバー
4a…把持部
4b…前側上面部
4c…後側上面部
11…収容部
12…コネクタ部
12a…段部
13…ガイドピン
14a、14b…端子
15…ベースプレート
16a、16b…端子
18a、18b…ケーブル
21…上部ハウジング
22…下部ハウジング
24…回転軸
25…ストッパ部
26…ロック部材
27a、27b…端子
28…ボルト
29…ヒューズ
31…アームプレート
31c…円弧部
31d、31e…係止部
32…第1連結部材
32a…テーパ部
33…第2連結部材
34…コネクタ部
34a…開口端面
34b…開口部
35…ガイド溝
35a…ガイド部
35b…周縁部
36…端子
100…サービスディスコネクトスイッチ(SDSW)
101…電流センサ
102…リレースイッチ
601…バネ
602…解除ボタン
603…カム
604…溝
605…突起部
606、607…傾斜部
608…垂直部
609a、609b…凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ端子を介して一対のメイン回路用端子を接続することにより、電源回路を導通状態とする電源回路接続装置であって、
前記一対のメイン回路用端子を有する第1ハウジングと
前記スイッチ端子を有する第2ハウジングと、
前記第2ハウジングに回動可能に支持されたレバーと、
前記レバーの回動操作により前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングの嵌合状態をロックするロック機構を備え、
前記第2ハウジングは、前記レバーの回動操作により、前記第1ハウジングに嵌合し、
前記ロック機構は、
前記レバーに設けられるバネと、
前記バネを通し、前記レバーの回動操作に伴い前記バネが移動する溝と、
前記溝に設けられ、前記バネの弾性力の方向に対向する向きに突出する突起部とを有することを特徴とする
電源回路接続装置。
【請求項2】
前記突起部は、前記嵌合状態をロックする方向への前記レバーの回動操作に伴い移動する前記バネの移動の方向に対して徐々に高さが高くなる傾斜部を有することを特徴とする
請求項1記載の電源回路接続装置。
【請求項3】
前記突起部は、前記嵌合状態をロックする方向への前記レバーの回動操作に伴い移動する前記バネの移動の方向に対して徐々に高さが低くなる第1の傾斜部を有することを特徴とする
請求項1記載の電源回路接続装置。
【請求項4】
前記突起部は、
前記第1の傾斜部より傾斜が大きい第2の傾斜部を有し、
前記第1の傾斜部に対して、前記嵌合状態をロックする方向への前記レバーの回動操作に伴い移動する前記バネの移動の方向に隣接する位置に前記第2の傾斜部が形成されていることを特徴とする
請求項3記載の電源回路接続装置。
【請求項5】
前記第2の傾斜部は、前記レバーの回動操作に伴い移動する前記バネの移動の方向に対して垂直であることを特徴とする
請求項4記載の電源回路接続装置。
【請求項6】
前記傾斜部の傾斜方向の前記バネの弾性力は、前記バネと前記傾斜部との間の摩擦力より大きいことを特徴とする
請求項2〜5のいずれか一項に記載の電源回路接続装置。
【請求項7】
前記バネの弾性力に抗する向きに力を前記バネに加え、前記ロック機構によるロックを解除する解除機構を備えることを特徴とする
請求項1〜6のいずれか一項に記載の電源回路接続装置。
【請求項8】
前記第1ハウジングに設けられる一対の嵌合検知端子と、
前記レバーに設けられる嵌合検知用スイッチ端子とを有し、
第1の所定位置への前記レバーの回動操作によって、前記嵌合検知用スイッチ端子は前記一対の嵌合検知端子に接続され、
前記第1の所定位置を超える第2の所定位置への前記レバーの回動によって、前記嵌合状態がロックされることを特徴とする
請求項1〜7のいずれか一項に記載の電源回路接続装置。
【請求項9】
一対のメイン回路用端子を有する第1ハウジングと回動可能に設けられたレバーを有する第2ハウジングとを係合し、
前記第2ハウジングに設けられたスイッチ端子と前記一対のメイン回路用端子とを接続し、
前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングを嵌合し、
前記レバーを回動操作し、レバーに設けられるバネが前記バネを通す溝を移動し、
さらに前記レバーを回動操作し、前記溝に設けられ、バネの弾性力の方向に対向する向きに突出する突起部を超えてバネを移動し、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングの嵌合状態をロックすることを特徴とする
電源回路接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13a】
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【図13b】
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【図14a】
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【図14b】
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【図15a】
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【図15b】
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【図16a】
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【図16b】
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【図17】
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【図18a】
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【図18b】
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【図19a】
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【図19b】
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【図20a】
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【図20b】
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【図21a】
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【図21b】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25a】
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【図25b】
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【図26a】
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【図26b】
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【図27a】
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【図27b】
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【図28a】
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【図28b】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2010−287427(P2010−287427A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−140254(P2009−140254)
【出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】