説明

電源装置及びこれを備える車両

【課題】簡単な構造としながら、サービスプラグとこれを接続するソケットの接続部分の過熱による弊害が増大するのを有効に阻止して、信頼性を著しく高める。
【解決手段】電源装置は、複数の電池セル1を接続してなる電池ブロック2と、この電池ブロック2又は電池ブロック2に接続してなる電気部品10を収納してなる外装ケース3と、この外装ケース3に設けられて電池ブロック2と直列に接続してなるソケット4と、このソケット4に脱着自在に接続してなるサービスプラグ5とを備えており、サービスプラグ5をソケット4に接続して、ソケット4を介してサービスプラグ5を電池と直列に接続している。外装ケース3は、遮熱プレート7でもって、ソケット4及びサービスプラグ5を配置する遮熱隔離領域8を区画して設けており、この遮熱隔離領域8にソケット4及びサービスプラグ5を配置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、ハイブリッド自動車や電気自動車等の自動車を駆動するモータの電源用等に使用される電源装置及びこれを備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
モータで走行する電気自動車、あるいはモータとエンジンの両方で走行するハイブリッド自動車等の自動車は、走行モータに電力を供給する大容量の電源装置を搭載している。この電源装置は、モータで自動車を走行させるための出力を得るために、多数の電池セルを直列に接続して出力電圧を高くしている。この電源装置は、車両に搭載されない状態で、あるいは保守点検などのメンテナンスをする状態で、高電圧の出力端子などの高電圧部分が外部に露出すると、安全に取り扱いできない弊害がある。この弊害を避けるために、電池と直列にサービスプラグを接続するバッテリシステムが開発されている。このバッテリシステムは、サービスプラグを外して出力電圧を遮断できる。このバッテリシステムは、メンテナンス等のときにサービスプラグを外して、出力電圧を遮断できるので、安全に作業できる。
【0003】
サービスプラグは、電源装置のケースに設けたソケットに脱着できるように連結される。このサービスプラグは、電池と直列に接続されて大電流が流れるので、大電流が流れる状態でソケットから外されると、電流のエネルギーによって火花放電を発生することがある。サービスプラグの火炎伝播を防止するために、サービスプラグ内に不燃ガスを噴射するインフレータを内蔵するものが開発されている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−7920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のサービスプラグは、不燃ガスを発生するインフレータを内部に設けて、ガス導入条件が成立したかどうかを制御装置で判定する。制御装置は、ガス導入条件の成立を検出して、インフレータからソケット内に不燃ガスを導入する。この制御装置は、予め設定しておいた以上の衝撃値(例えば、エアバッグ等が作動するような衝撃値)が加速度センサから入力されるような車両事故等の非常事態において、車速センサにより車両の停止が検出され、かつ、電池が通電状態にあって、サービスプラグの脱着を検出するレバースイッチがOFF状態となってサービスプラグが外されたことを検出する状態で、ガス導入条件が成立したと判定して、インフレータを作動させて、窒素ガス等の不燃ガスをソケットに内に導入する。
【0006】
以上のサービスプラグは、構造が極めて複雑となることに加えて、特定の条件を検出してガス導入条件を推定するので、条件によっては火炎を有効に阻止できないことがある。とくに、サービスプラグはソケットに挿入され、一対の接続端子をソケットに設けた被接続端子に接続し、接続端子と被接続端子とを介して電池に接続されるので、接続部分の接触抵抗が大きくなると、ここに流れる大電流によって異常な高温に加熱されることがある。接続部分の接触抵抗は、経年変化などによって増加することがある。接触抵抗は、電池に接続しているリード線と被接続端子との接続部分や、接続端子と被接続端子との接続部分で大きくなることがある。電池に接続しているリード線は、金属製の被接続端子にカシメや圧着して、あるいはリード線の先端に圧着端子を接続し、圧着端子を被接続端子にネジ止めして接続される。被接続端子は、弾性的に押圧されて接続端子に接続される。この構造の接続部分は、振動や経年変化で接触抵抗が大きくなるのを皆無にはできない。接触抵抗が増大すると、ジュール熱によって電流の二乗と接触抵抗の積に比例する熱が発生して接続部分を過熱し、発煙、発火等の可能性があり、発火が伝搬して他の部分を延焼させる弊害が発生する。とくに、車両用の電源装置などは、100A以上の大電流が流れるので、電流の二乗に比例して大きくなるジュール熱は、わずかな接触抵抗の増加によっても極めて発熱量が大きくなっても発火等の弊害を起こすことがある。
【0007】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、極めて簡単な構造としながら、サービスプラグとこれを接続するソケットの接続部分の過熱による弊害が増大するのを有効に阻止して、信頼性を著しく高めることができる電源装置及びこれを備える車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
本発明の電源装置は、複数の電池セル1を接続してなる電池ブロック2と、この電池ブロック2又は電池ブロック2に接続してなる電気部品10を収納してなる外装ケース3と、この外装ケース3に設けられて電池ブロック2と直列に接続してなるソケット4と、このソケット4に脱着自在に接続してなるサービスプラグ5とを備えており、サービスプラグ5をソケット4に接続して、ソケット4を介してサービスプラグ5を電池と直列に接続している。外装ケース3は、遮熱プレート7でもって、ソケット4及びサービスプラグ5を配置する遮熱隔離領域8を区画して設けており、この遮熱隔離領域8にソケット4及びサービスプラグ5を配置している。
【0009】
以上の組電池は、極めて簡単な構造としながら、サービスプラグとこれを接続するソケットの接続部分の過熱による弊害の増大を有効に阻止して、信頼性を著しく高めることができる特徴がある。それは、以上の組電池が、ソケットやサービスプラグを遮熱プレートで区画された遮熱隔離領域に配置しているからである。この電源装置は、ソケットやサービスプラグの接続部分の接触抵抗が大きくなって、大電流で発熱して異常な温度に過熱され、あるいは発火する状態となっても、遮熱プレートで他の部位と熱的に隔離されるため、他の部位への発熱や火炎の伝搬や拡散を阻止でき、安全性を高めることができる。またソケットやサービスプラグの接続部を遮熱プレートで区画しているので、ソケットやサービスプラグの樹脂が熱で溶融されても、これが他の部位に流出する弊害も回避できる。
【0010】
本発明の電源装置は、遮熱プレート7が、外装ケース3の外側に開口された形状の遮熱隔離領域8を設けて、この遮熱隔離領域8にソケット4を固定することができる。
以上の電源装置は、サービスプラグを外装ケースの外側に簡単に脱着しながら、サービスプラグやソケットの過熱による弊害の拡散を有効に防止できる。
【0011】
本発明の電源装置は、遮熱プレート7を金属製とすることができる。
以上の電源装置は、ソケットやサービスプラグの接続部分が異常な高温となっても、遮熱プレートが熱で変形することがなく、ソケットやサービスプラグの過熱による弊害の拡散を安定して阻止でき、しかもソケットを高い強度で強固に固定でき、かつ保護できる。
【0012】
本発明の電源装置は、遮熱隔離領域8を区画する遮熱プレート7が、リード線13を挿通する引き出し穴24を有し、リード線13をこの引き出し穴24に挿入して、絶縁状態で引き出し穴24を気密に閉塞することができる。
以上の電源装置は、リード線を挿通する引き出し穴をリード線で気密に閉塞するので、この引き出し穴から遮熱隔離領域への空気の侵入を阻止できる。このため、引き出し穴の内側にある遮熱隔離領域に配置しているソケットやサービスプラグの接続部分が過熱しても、外部からの酸素の供給を遮断して、燃焼を制限し、発火を抑制できる特徴がある。
【0013】
本発明の電源装置は、引き出し穴24の内周に沿って周壁25を設けることができる。
以上の電源装置は、引き出し穴の内周に設けている周壁によって、引き出し穴の内周面とリード線との接線面を広くできる。広い面積で接触するリード線は、引き出し穴の開口端縁のエッジで絶縁被覆が破損する事態を効果的に回避できると共に、周壁で出力線の側面を広い面積で押圧して安定に保持できる。
【0014】
本発明の電源装置は、遮熱隔離領域8を、複数に分割してなる遮熱プレート7で構成すると共に、複数の遮熱プレート7の境界に引き出し穴24を設けることができる。
以上の電源装置は、遮熱隔離領域を分割して、リード線を簡単に引き出し穴に案内できる特徴がある。
【0015】
本発明の電源装置は、ソケット4を固定してなる外装ケース3が、電池ブロック2に直列に接続してなる出力遮断器11、電池セル1の電流を検出する電流検出部、電池セル1に接続してなる電子回路を実装する回路基板の何れかを収納することができる。
以上の電源装置は、ソケットやサービスプラグの接続部分が過熱され、また発火しても、外装ケースに収納している出力遮断器、電池セルの電流を検出する電流検出部、電池セルに接続してなる電子回路等を保護できる特徴がある。
【0016】
本発明の電源装置を備える車両は、以上の電源装置を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例にかかる電源装置の概略構成図である。
【図2】外装ケースにソケットを固定する部分の拡大断面図である。
【図3】サービスプラグとソケットと遮熱プレートの分解斜視図である。
【図4】図3に示すサービスプラグとソケットと遮熱プレートを下側から見た分解斜視図である。
【図5】図4に示す遮熱プレートの分解斜視図である。
【図6】被接続端子の拡大斜視図である。
【図7】リード線と接続端子の接続部分を遮熱シートで被覆する状態を示す斜視図である。
【図8】リード線の接続端子を電源装置の出力端子に接続する状態を示す一部拡大斜視図である。
【図9】リード線の接続端子を電源装置の電気部品に接続する状態を示す分解斜視図である。
【図10】本発明の一実施例にかかる車両であってエンジンとモータで走行するハイブリッドカーを示すブロック図である。
【図11】本発明の他の実施例にかかる車両であってモータのみで走行する電気自動車を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための電源装置及びこれを備える車両を例示するものであって、本発明は電源装置及びこれを備える車両を以下のものに特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0019】
本発明の電源装置は、主としてハイブリッドカーや電気自動車などの車両に搭載されて、車両を走行させるモータに電力を供給する電源として最適である。ただ、本発明の電源装置は、電動車両に限らず、ハイパワーな出力が要求される種々の機器の電源として使用することもできる。
【0020】
図1の概略構成図に示す電源装置は、複数の電池セル1を直列に接続している電池ブロック2と、この電池ブロック2に接続している電気部品10を収納している外装ケース3と、この外装ケース3に設けられて電池ブロック2と直列に接続しているソケット4と、このソケット4に脱着自在に接続しているサービスプラグ5とを備える。サービスプラグ5は、ソケット4を介して2組の電池ブロック2の間に直列に接続される。この電源装置は、サービスプラグ5をソケット4に接続して、サービスプラグ5とソケット4を介して電池ブロック2を直列に接続して、電源装置の出力に高電圧を出力する。
【0021】
図1の電源装置は、電池セル1を電池ケース6に収納して、これに接続している出力遮断器11のコンタクタ11Aなどの電気部品10を、サービスプラグ5を連結する外装ケース3に収納している。本発明の電源装置は、サービスプラグを連結する外装ケースに電池セルを収納することもできる。また、外装ケースには、出力遮断器であるコンタクタ以外の電気部品、たとえば、電池セルの保護回路や電池の電流を検出する回路基板、さらに電池セルの電流を検出する電流検出部等を実装することもできる。さらにまた、本発明の電源装置は、サービスプラグを連結する外装ケースに電池ブロックを収納して、電気部品を他のケースに収納することもできる。
【0022】
図1の電源装置は、電池ブロック2を電池ケース6に収納して、電池に接続している出力遮断器11等の電気部品10を外装ケース3に内蔵している。電源装置は、サービスプラグ5を接続する状態で、電池の出力側に高電圧が供給される。高電圧が出力される状態は、電源装置のメンテナンスや運搬などにおいて、安全な作業を保障できない。この弊害を防止するために、運搬やメンテナンスなどのときには、サービスプラグ5をソケット4から外して、電池の出力側に高電圧を供給しない状態とする。
【0023】
サービスプラグ5は、図1の概略図に示すように、多数の電池セル1を直列に接続している電池ブロック2の中間にあって、2組の電池ブロック2と直列に接続される。サービスプラグ5が除去されると、プラス側とマイナス側の電池ブロック2が切り離されて、電池の出力側に出力される電圧は遮断される。サービスプラグ5は、ソケット4から除去されて高電圧の出力を遮断する。
【0024】
ソケット4は、外装ケース3に固定されて、被接続端子12をリード線13を介して電池に接続している。図2は外装ケース3にソケット4を固定する部分の断面図である。この図の外装ケース3は、遮熱プレート7を固定して、遮熱プレート7でもって、ソケット4及びサービスプラグ5を配置する遮熱隔離領域8を区画して設けている。遮熱プレート7は、鉄板やステンレス板、あるいはアルミニウム板などの金属板を折曲加工して製作している。遮熱隔離領域8は、図2ないし図4に示すように、遮熱プレート7を箱形に加工して、外装ケース3の外側に開口された形状に設けている。外装ケース3の外側に開口するこの遮熱隔離領域8にソケット4を固定して、外装ケース3の外側にサービスプラグ5を脱着できるようにしている。
【0025】
図3ないし図5は、図において上方に開口する遮熱隔離領域8を設ける遮熱プレート7を示している。これ等の図に示す遮熱プレート7は、2枚の金属板を連結して、開口部を四角形とし、底を閉塞している箱形として、内側にソケット4を固定できる形状としている。底板21には、ソケット4の被接続端子12に接続されるリード線13を挿通する複数の引き出し穴24を設けている。引き出し穴24は、内周に沿って周壁25を設けている。周壁25は、金属板をプレス加工して遮熱プレート7に一体構造に設けている。周壁25のある引き出し穴24は、内周面とリード線13との接触面を広くして、開口端縁のエッジで絶縁被覆が破損するのを防止できる。この引き出し穴24に挿入されるリード線13は、図2に示すように、引き出し穴24とリード線13との間を絶縁材15で気密に密閉している。絶縁材15には、シリコン樹脂などの未硬化でペースト状の断熱材や耐熱チューブ等が使用できる。リード線13を挿通する引き出し穴24を気密に閉塞する構造は、引き出し穴24から遮熱隔離領域8への空気の侵入を阻止して、ソケット4やサービスプラグ5の燃焼を制限し、発火を抑制できる。
【0026】
さらに、図3ないし図5に示す遮熱プレート7は、複数に分割している金属板で遮熱隔離領域8を形成している。図の遮熱プレート7は2枚の金属板を連結して、遮熱隔離領域8を設けている。2枚の金属板からなる遮熱プレート7は、連結する境界に引き出し穴24を設けている。一方の遮熱プレート7Aは、底板21と3辺の側壁22を有し、他方の遮熱プレート7Bは、1辺の側壁22と底板21を設ける形状としている。各遮熱プレート7A、7Bは、底板21を重ねて引き出し穴24を設ける構造としている。遮熱プレート7Aの底板21は、連結方向に伸びる長孔24Aを設けて、引き出し穴24としている。長孔24Aは境界まで伸びて開口しており、底板21を重ねる状態で、リード線13を挿通できる引き出し穴24ができる形状としている。この遮熱プレート7は、長孔24Aにリード線13を案内する状態で、互いの底板21を積層するように接近させて、互いの鍔部23を連結して、ソケット4を固定するための遮熱隔離領域8を設けることができる。
【0027】
ソケット4は、プラスチック製の絶縁ケース16に被接続端子12を固定している。被接続端子12は弾性変形できる金属板で、サービスプラグ5の接続端子14が電気接続される。被接続端子12の斜視図を図6に示している。この被接続端子12は、図において上部に、サービスプラグ5の接続端子14に弾性的に押圧される弾性片12Cを有し、下端にはリード線13をかしめて連結するリード線13の固定部12Bを設けている。さらに、図の被接続端子12は、その中間部に連結部12Cを設けて、ソケット4の絶縁ケース16内の定位置にセットされるようにしている。弾性片12Aは、金属板を折曲加工して設けており、図2に示すように、絶縁ケース16に挿入される接続端子14に弾性的に押圧されて電気接続するようにしている。固定部12Bは、リード線13を挿通して挟着して固定する筒部12aを下端に有し、この筒部12aの上方に、リード線13の導電部13Aに圧着されるカシメ部12bを有する。この被接続端子12は、筒部12aを圧着してリード線13を被覆13Bの上から圧着して固定し、さらに被覆13Bから突出して露出するリード線13の導電部13Aをカシメ部12bに挿入し、カシメ部12bを押し潰して導電部13Aに電気接続する状態で固定する。
【0028】
ソケット4は、絶縁ケース16を、遮熱プレート7で外装ケース3から区画される遮熱隔離領域8に嵌着して定位置に固定される。したがって、ソケット4は、絶縁ケース16の外形を遮熱隔離領域8の内形にほぼ等しくしている。外装ケース3に固定されたソケット4は、被接続端子12に接続しているリード線13を遮熱プレート7の底板21に設けた引き出し穴24に挿入して、このリード線13を電池に接続する。
【0029】
サービスプラグ5は、プラスチック製のプラグ本体17に、金属板からなる接続端子14を固定している。プラグ本体17は、外形を四角形とする形状に絶縁材のプラスチックを成形している。プラグ本体17の内部に、一対の接続端子14を固定して、金属製の接続端子14をプラグ本体17で被覆して絶縁している。さらに、プラグ本体17は、簡単に脱着できるように、外側に取っ手18が連結される。取っ手18は、プラスチックをコ字状に成形したもので、その両端を傾動できるようにプラグ本体17に連結している。このサービスプラグ5は取っ手18を引っ張って簡単に外すことができる。
【0030】
一対の接続端子14は、ソケット4に設けている一対の被接続端子12に挿入して接続される。一対の接続端子14はプラグ本体17の内部で互いに接続されている。サービスプラグ5が外装ケース3に固定しているソケット4に装着される状態で、一対の接続端子14は、被接続端子12に接続される。この状態で、一対の被接続端子12は互いに接続されて、プラス側とマイナス側の電池ブロック2を直列に接続する。サービスプラグ5が除去されると、一対の被接続端子12はサービスプラグ5を介して接続されず、出力電圧を遮断する。
【0031】
さらに、電源装置は、出力ラインとなるリード線と、これに接続される接続端子との接続部分における発火や発煙等を防止することもできる。出力ラインとなるリード線13は、図7に示すように、先端に接続端子30を連結している。図の接続端子30は、貫通孔31Aを有する金属板、すなわち丸端子31で、電池の出力端子や電気部品に接続されて、電源装置の出力電流が通電される。丸端子31である接続端子30は、図7に示すように、リード線13の導電部13Aを圧着して連結している。図の接続端子30は、リード線13の導電部13Aとの接続部をリング状のカシメ部31Bとしており、リード線13の導電部13Aをカシメ部31Bに挿入する状態でカシメ部31Bを圧着して、リード線13に電気接続している。この構造の接続端子30は、リード線13との接続部分において接触抵抗が大きくなることがある。接触抵抗が増大すると、ジュール熱によって電流の二乗と接触抵抗の積に比例する熱が発生して接続部分を過熱し、発煙、発火等の弊害が発生するおそれがある。
【0032】
このような弊害を防止するために、図に示す接続端子30は、リード線13との接続部分、とくに、接触抵抗が大きくなりやすい、導電部13Aとカシメ部31Bとの圧着部分を遮熱シート32で被覆して、この部分における過熱に起因する発煙や発火等を防止している。この遮熱シート32として、アルミニウム等の金属シートが使用される。金属シートである遮熱シート32は、耐熱性と放熱性に優れており、接続部の過熱に起因する弊害を有効に防止できる。この遮熱シート32は、図7に示すように、接続端子30のカシメ部31Bの周辺部に巻き付けられて、接続部を気密に密閉する。リード線13との接続部が遮熱シート32で気密に被覆される接続端子30は、空気の侵入を阻止して、接続部の発火や発煙を有効に防止できる。さらに、放熱性に優れた金属シートで被覆することで、放熱特性を向上して、効率よく放熱できる特徴もある。金属シートである遮熱シート32は、全体の面積を広くして、放熱特性を向上できる。ただ、金属シートは導電性があるので、接続端子30の接続箇所に応じて全体の面積を調整する。したがって、遮熱シート32は、好ましくは、最も過熱されやすい接続端子30と導電部13Aとの接続部を被覆できる形状と大きさとしながら、接続端子30の接続箇所に応じて全体の面積を調整する。さらに、金属シートである遮熱シート32は、内面に粘着層を設けて金属テープとして、簡単かつ容易に、接続部分を被覆して、剥がれないように付着することもできる。
【0033】
以上の接続端子30は、図8に示すように、電池ブロック2の出力側に接続され、あるいは、図9に示すように、外装ケース3に収納される電気部品10に接続される。図9は、電流検出抵抗36の両端に接続端子30を接続する状態を示している。丸端子31である接続端子30は、貫通孔31Aに挿入される止ネジ33を介して出力端子35や電気部品10に接続される。このように、電源装置の出力ラインに接続される接続端子30は、大電流が通電されるので、接触抵抗によって発熱量が大きくなるおそれがあるが、図に示す接続端子30は、この接続部分を遮熱シート32で被覆しているので、この部分への酸素の供給を遮断して発火や発煙を防ぐと共に、放熱性に優れた遮熱シートで被覆することで、発熱部分を有効に放熱して発熱を理想的に抑制できる。
【0034】
以上の電源装置を車両に搭載する状態を図10と図11に示す。図10は、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッドカーに電源装置90を搭載する例を示す。この図に示す電源装置90を搭載した車両HVは、車両HVを走行させるエンジン96及び走行用のモータ93と、モータ93に電力を供給する電源装置90と、電源装置90の電池を充電する発電機94とを備えている。電源装置90は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。車両HVは、電源装置90の電池を充放電しながらモータ93とエンジン96の両方で走行する。モータ93は、エンジン効率の悪い領域、たとえば加速時や低速走行時に駆動されて車両を走行させる。モータ93は、電源装置90から電力が供給されて駆動する。発電機94は、エンジン96で駆動され、あるいは車両にブレーキをかけるときの回生制動で駆動されて、電源装置90の電池を充電する。
【0035】
また、図11は、モータのみで走行する電気自動車に電源装置90を搭載する例を示す。この図に示す電源装置90を搭載した車両EVは、車両EVを走行させる走行用のモータ93と、このモータ93に電力を供給する電源装置90と、この電源装置90の電池を充電する発電機94とを備えている。電源装置90は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。モータ93は、電源装置90から電力が供給されて駆動する。発電機94は、車両EVを回生制動する時のエネルギーで駆動されて、電源装置90の電池を充電する。
【符号の説明】
【0036】
1…電池セル
2…電池ブロック
3…外装ケース
4…ソケット
5…サービスプラグ
6…電池ケース
7…遮熱プレート 7A…遮熱プレート
7B…遮熱プレート
8…遮熱隔離領域
10…電気部品
11…出力遮断器 11A…コンタクタ
12…被接続端子 12A…弾性片
12B…固定部
12C…連結部
12a…筒部
12b…カシメ部
13…リード線 13A…導電部
13B…被覆
14…接続端子
15…絶縁材
16…絶縁ケース
17…プラグ本体
18…取っ手
21…底板
22…側壁
23…鍔部
24…引き出し穴 24A…長穴
25…周壁
30…接続端子
31…丸端子 31A…貫通孔
31B…カシメ部
32…遮熱シート
33…止ネジ
35…出力端子
36…電流検出抵抗
90…電源装置
93…モータ
94…発電機
95…インバータ
96…エンジン
HV…車両
EV…車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セル(1)を接続してなる電池ブロック(2)と、この電池ブロック(2)又は電池ブロック(2)に接続してなる電気部品(10)を収納してなる外装ケース(3)と、この外装ケース(3)に設けられて前記電池ブロック(2)と直列に接続してなるソケット(4)と、このソケット(4)に脱着自在に接続してなるサービスプラグ(5)とを備え、前記サービスプラグ(5)がソケット(4)に接続されて、ソケット(4)を介してサービスプラグ(5)を電池と直列に接続するようにしてなる電源装置であって、
前記外装ケース(3)が、遮熱プレート(7)でもって、前記ソケット(4)及びサービスプラグ(5)を配置する遮熱隔離領域(8)を区画して設けており、この遮熱隔離領域(8)にソケット(4)及びサービスプラグ(5)が配置されてなることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記遮熱プレート(7)が、外装ケース(3)の外側に開口された形状の遮熱隔離領域(8)を設けており、この遮熱隔離領域(8)にソケット(4)を固定してなる請求項1に記載される電源装置。
【請求項3】
前記遮熱プレート(7)が金属製であることを特徴とする請求項1又は2に記載される電源装置。
【請求項4】
前記遮熱隔離領域(8)を区画する遮熱プレート(7)が、リード線(13)を挿通する引き出し穴(24)を有し、リード線(13)がこの引き出し穴(24)に挿入されて、絶縁状態で引き出し穴(24)を気密に閉塞してなる請求項1ないし3のいずれかに記載される電源装置。
【請求項5】
前記引き出し穴(24)の内周に沿って周壁(25)を設けてなる請求項4に記載される電源装置。
【請求項6】
前記遮熱隔離領域(8)が、複数に分割してなる遮熱プレート(7A;7B)で構成されると共に、複数の遮熱プレート(7A;7B)の境界に引き出し穴(24)を設けてなる請求項4または5に記載される電源装置。
【請求項7】
前記ソケット(4)を固定してなる外装ケース(3)が、電池ブロック(2)に直列に接続してなる出力遮断器、電池セル(1)の電流を検出する電流検出部、電池セル(1)に接続してなる電子回路を実装する回路基板の何れかを収納してなる請求項1ないし6のいずれかに記載される電源装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の電源装置を備える車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−134090(P2012−134090A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287098(P2010−287098)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】