電磁弁駆動組立体の電気接続構造
【課題】コイルを付勢するコイル付勢手段の構造を簡素化して製造コストを低減させること。
【解決手段】ハウジング102の中間壁102bとコイル130との間には、コイル130を中間壁102bから離間する方向に向かって付勢する板ばね120が設けられる。この板ばね120は、中間壁102bに取り付けられる基部120aと、基部120aから略並行に延設されてコイル130を押圧する弾性部120bとを有する。また、基部120aには、中間壁102bの3つの係止突起122が嵌合される孔部121が形成される。
【解決手段】ハウジング102の中間壁102bとコイル130との間には、コイル130を中間壁102bから離間する方向に向かって付勢する板ばね120が設けられる。この板ばね120は、中間壁102bに取り付けられる基部120aと、基部120aから略並行に延設されてコイル130を押圧する弾性部120bとを有する。また、基部120aには、中間壁102bの3つの係止突起122が嵌合される孔部121が形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁弁を駆動するコイルをハウジングに接続するための、電磁弁駆動組立体の電気接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電磁弁駆動組立体の電気接続構造としては、例えば、本出願人の提案に係る特許文献1が挙げられる。この電気接続構造では、基体の一面側に位置決め配置されるコイルに第1のターミナルが突設されており、前記コイルを覆いつつ前記基体の一面に取り付けられるハウジングに第2のターミナルが設けられている。
【0003】
特許文献1の電気接続構造によれば、ターミナル同士を抵抗溶接によって接合する際、コイルを構成する部品間で組み付け公差を吸収することが不要となり、コイルの小型化が可能となる。
【0004】
ところで、電磁弁を駆動するためのコイルを大型化させた場合、コイルの振動や回動動作を規制し、ターミナル同士の接合部位に付与される応力(荷重)を緩和するため、例えば、板ばね等でコイルを保持して振動を吸収するものが必要となる。例えば、特許文献2には、コイルをハウジングに向かって付勢する板ばねが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3660302号公報
【特許文献2】特開2004−360864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に開示された板ばねの構造では、ばね力を発揮する板ばねの弾性部を、内側(中心側)に向かって多段に折曲させて形成しているため、板ばねの製造時における複数の曲げ工程が必要となり、製造コストが高騰するという問題がある。
【0007】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、コイルを付勢するコイル付勢手段の構造を簡素化して製造コストを低減させることが可能な電磁弁駆動組立体の電気接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するために創案された本発明は、電磁弁と、前記電磁弁を駆動するコイルと、前記電磁弁及び前記コイルが配置されるハウジングとを有し、前記コイルのターミナルと前記ハウジング内のターミナルとが電気的に接続される電磁弁駆動組立体の電気接続構造において、前記ハウジングと前記コイルとの間に、前記コイルを付勢するコイル付勢手段を備え、前記コイル付勢手段は、前記ハウジングに取り付けられる基部と、前記基部から延設され前記コイルを押圧する弾性部と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、コイルを押圧するコイル付勢手段の弾性部を、基部から延設することにより、1方向の曲げ工程のみで簡便に製造することができ、製造コストを低減することができる。
【0010】
また、基部を平面視して略U字状に形成し、基部の両端部の各々から弾性部が延設されるようにしてもよい。このようにすると、コイルに対して付与される弾性部の荷重設定を容易に行うことができる。なお、略U字状の基部は、その一部が分断された形状であればよく、平面視して略C字状に形成されたものも略U字状に含まれる。
【0011】
さらに、基部を平面視して略O字状に形成してもよい。このようにすると、弾性部へ付与される荷重を増大させることができる。なお、略O字状の基部は、分断されることがなく連続した無端形状であればよく、例えば、平面視して、円形、楕円形の他、矩形や多角形状に形成されたものも略O字状に含まれる。
【0012】
さらにまた、電磁弁が基部の中央を貫通するようにしてもよい。このようにすると、ハウジングの組付時に、コイル付勢手段が電磁弁に干渉することを回避することができる。この結果、電磁弁駆動組立体として、必要以上に大型化することを抑制することができる。
【0013】
さらにまた、コイル付勢手段には、ハウジングに保持される保持部が設けられるようにしてもよい。このようにすると、コイルとハウジングとの間に予めコイル付勢手段を組み付けてコイルを付勢した状態で、ハウジングが装着される部材に対してハウジングを容易に装着することができる。また、コイル付勢手段でコイルを付勢した状態で、コイルのターミナルとハウジング内のターミナルとの溶接を簡便に行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、コイルを付勢するコイル付勢手段の構造を簡素化して製造コストを低減させることが可能な電磁弁駆動組立体の電気接続構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置が組み込まれた車両用ブレーキシステムの概略構成図である。
【図2】車両用ブレーキ液圧制御装置のハウジングからカバー部材を取り外した状態の斜視図である。
【図3】図2を背面側から見た斜視図である。
【図4】(a)は、車両用ブレーキ液圧制御装置の分解斜視図、(b)は、(a)の部分拡大斜視図である。
【図5】ハウジングの一部を透過した透過側面図である。
【図6】図2のVI−VI線に沿った縦断面図である。
【図7】(a)は、コイル及び電磁弁の斜視図、(b)は、(a)の平面図である。
【図8】(a)は、板ばねの斜視図、(b)は、(a)の縦断面図である。
【図9】(a)は、図8の板ばねの弾性部が弾性変形した状態を示す斜視図、(b)は、(a)の縦断面図である。
【図10】(a)は、板ばねとコイルとの関係を示す斜視図、(b)は、(a)の平面図、(c)は、(a)の側面図である。
【図11】(a)〜(c)は、ハウジング内への板ばね、コイル及び電磁弁の組付工程を示す説明図である。
【図12】(a)は、板ばねの他の実施形態を示す斜視図、(b)は、(a)の縦断面図である。
【図13】(a)は、図12の板ばねの弾性部が弾性変形した状態を示す斜視図、(b)は、(a)の縦断面図である。
【図14】中間壁を省略したバスバーの他の実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、図中において、カバー部材が装着される側を上側として「上下方向」を便宜的に示しているが、この「上下方向」によって実際の取り付け方向が限定されるものではない。
【0017】
図1に示されるように、本発明の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置(以下、「ブレーキ制御装置」という。)は、自動二輪車、自動三輪車、オールテレーンビークル(ATV)、自動四輪車などの車両に好適に用いられるものであり、車両の車輪に付与する制動力(ブレーキ液圧)を適宜制御する。以下においては、ブレーキ制御装置を図示しない自動四輪車に適用した例について説明するが、ブレーキ制御装置が搭載される車両を限定する趣旨ではない。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置が組み込まれた車両用ブレーキシステムの概略構成図である。
【0019】
図1に示す車両用ブレーキシステム10は、通常時用として、電気信号を伝達してブレーキを作動させるバイ・ワイヤ(By Wire)式のブレーキシステムと、フェールセーフ時用として、油圧を伝達してブレーキを作動させる旧来の油圧式のブレーキシステムの双方を備えて構成される。
【0020】
このため、図1に示されるように、車両用ブレーキシステム10は、基本的に、操作者によってブレーキペダル(ブレーキ操作子)12が操作されたときにその操作を入力する入力装置14と、図示しないモータによって駆動されるシリンダ(図示せず)によりブレーキ液圧を制御するモータシリンダ装置16と、車両挙動の安定化を支援するビークルスタビリティアシスト装置18(以下、VSA装置18という、VSA;登録商標)とを別体として備えて構成されている。
【0021】
これらの入力装置14、モータシリンダ装置16、及び、VSA装置18は、例えば、ホースやチューブ等の管材で形成された液圧路によって接続されていると共に、バイ・ワイヤ式のブレーキシステムとして、入力装置14とモータシリンダ装置16とは、図示しないハーネスで電気的に接続されている。
【0022】
VSA装置18は、周知のものからなり、複数の導出ポートに接続される配管チューブによってブレーキ液がディスクブレーキ機構30a〜30dの各ホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLに対して供給される。各ホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FL内の液圧が上昇することにより、各ホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLが作動し、対応する車輪(右側前輪、左側後輪、右側後輪、左側前輪)に対して制動力が付与される。
【0023】
なお、車両用ブレーキシステム10は、例えば、エンジン(内燃機関)のみによって駆動される自動車、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車等を含む各種車両に対して搭載可能に設けられる。
【0024】
入力装置14は、運転者(操作者)によるブレーキペダル12の操作によって液圧を発生可能なタンデム式のマスタシリンダ34と、前記マスタシリンダ34に付設されたリザーバ36とを有する。このマスタシリンダ34のシリンダチューブ38内には、前記シリンダチューブ38の軸方向に沿って所定間隔離間する2つのピストン40a、40bが摺動自在に配設される。一方のピストン40bは、ブレーキペダル12に近接して配置され、プッシュロッド42を介してブレーキペダル12と連結されて直動される。また、他方のピストン40aは、一方のピストン40bよりもブレーキペダル12から離間して配置される。
【0025】
なお、マスタシリンダ34のシリンダチューブ38は、アルミニウム又はアルミニウム合金によって形成され、後記するブレーキ制御装置のハウジングが装着される相手方部材として機能するものである(後記する図6参照)。
【0026】
この一方及び他方のピストン40a、40bの外周面には、環状段部を介して一対のカップシール44a、44bがそれぞれ装着される。一対のカップシール44a、44bの間には、それぞれ、後記するサプライポート46a、46bと連通する背室48a、48bが形成される。また、一方及び他方のピストン40a、40bとの間には、ばね部材50bが配設され、ピストン40aとシリンダチューブ38の側端部(底壁)と間には、ばね部材50aが配設される。なお、一対のカップシール44a、44bは、シリンダチューブ38の内壁側に環状溝を介して装着されるようにしてもよい。
【0027】
マスタシリンダ34のシリンダチューブ38には、2つのサプライポート46a、46bと、2つのリリーフポート52a、52bと、2つの出力ポート54a、54bとが設けられる。この場合、各サプライポート46a(46b)及び各リリーフポート52a(52b)は、それぞれ合流してリザーバ36内の図示しないリザーバ室と連通するように設けられる。
【0028】
また、マスタシリンダ34のシリンダチューブ38内には、運転者がブレーキペダル12を踏み込む踏力に対応したブレーキ液圧を発生させる第1圧力室56a及び第2圧力室56bが設けられる。第1圧力室56aは、第1液圧路58aを介して接続ポート20aと連通するように設けられ、第2圧力室56bは、第2液圧路58bを介して接続ポート20bと連通するように設けられる。
【0029】
マスタシリンダ34と接続ポート20aとの間であって、第1液圧路58aの上流側には、ノーマルオープンタイプ(常開型)の電磁弁からなる第1遮断弁60aが設けられると共に、第1液圧路58aの下流側には、圧力センサPpが設けられる。この圧力センサPpは、第1液圧路58a上において、第1遮断弁60aよりもホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FL側である下流側の液圧を検知するものである。
【0030】
マスタシリンダ34と接続ポート20bとの間であって、第2液圧路58bの上流側には圧力センサPmが配設されると共に、第2液圧路58bの下流側には、ノーマルオープンタイプ(常開型)の電磁弁からなる第2遮断弁60bが設けられる。この圧力センサPmは、第2液圧路58b上において、第2遮断弁60bよりもマスタシリンダ34側である上流側の液圧を検知するものである。
【0031】
この第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bにおけるノーマルオープンとは、ノーマル位置(通電されていないときの弁体の位置)が開位置の状態(常時開)となるように構成されたバルブをいう。
【0032】
マスタシリンダ34と第1遮断弁60aとの間の第1液圧路58aには、前記第1液圧路58aから分岐する分岐液圧路58cが設けられ、前記分岐液圧路58cには、ノーマルクローズタイプ(常閉型)の電磁弁からなる第3遮断弁62と、ストロークシミュレータ64とが直列に接続される。この第3遮断弁62におけるノーマルクローズとは、ノーマル位置(通電されていないときの弁体の位置)が閉位置の状態(常時閉)となるように構成されたバルブをいう。
【0033】
ストロークシミュレータ64は、バイ・ワイヤ制御時において、ブレーキのストロークと反力を発生させて、あたかも踏力で制動力を発生させているかのごとく操作者に思わせる装置であり、第1液圧路58a上であって、第1遮断弁60aよりもマスタシリンダ34側に配置されている。前記ストロークシミュレータ64には、分岐液圧路58cに連通する液圧室65が設けられ、前記液圧室65を介して、マスタシリンダ34の第1圧力室56aから導出されるブレーキ液(ブレーキフルード)が吸収可能に設けられる。
【0034】
また、ストロークシミュレータ64は、互いに直列に配置されたばね定数の高い第1リターンスプリング66aとばね定数の低い第2リターンスプリング66bと、前記第1及び第2リターンスプリング66a、66bによって付勢されるシミュレータピストン68とを備え、ブレーキペダル12のペダルフィーリングを既存のマスタシリンダと同等となるように設けられている。
【0035】
モータシリンダ装置16は、図示しない電動モータ及び駆動力伝達部を有するアクチュエータ機構(図示せず)と、前記アクチュエータ機構によって付勢される図示しないスレーブピストンが設けられたシリンダとを備える。
【0036】
本実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置が組み込まれた車両用ブレーキシステム10は、基本的に以上のように構成されるものであり、次にその動作について概略説明する。
【0037】
車両用ブレーキシステム10が正常に機能する正常時には、ノーマルオープンタイプの電磁弁からなる第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bが通電により励磁されて弁閉状態となり、ノーマルクローズタイプの電磁弁からなる第3遮断弁62が通電により励磁されて弁開状態となる。従って、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bによって第1液圧系統70a及び第2液圧系統70bが遮断されているため、入力装置14のマスタシリンダ34で発生したブレーキ液圧がディスクブレーキ機構30a〜30dのホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLに伝達されることはない。
【0038】
このとき、マスタシリンダ34の第1圧力室56aで発生したブレーキ液圧は、分岐液圧路58c及び弁開状態にある第3遮断弁62を経由してストロークシミュレータ64の液圧室65に伝達される。この液圧室65に供給されたブレーキ液圧によってシミュレータピストン68がばね部材66a、66bのばね力に抗して変位することにより、ブレーキペダル12のストロークが許容されると共に、擬似的なペダル反力を発生させてブレーキペダル12に付与される。この結果、運転者にとって違和感のないブレーキフィーリングが得られる。
【0039】
このようなシステム状態において、図示しない制御手段は、例えば、図示しないストロークセンサからの検出信号に基づいて、運転者によるブレーキペダル12の踏み込みを検知すると、モータシリンダ装置16の電動モータを駆動させてアクチュエータ機構を付勢し、スレーブピストンの変位によってシリンダ内のブレーキ液圧がバランスするように加圧されて所望のブレーキ液圧が発生する。
【0040】
このモータシリンダ装置16におけるシリンダ内のブレーキ液圧は、VSA装置18の図示しない複数のバルブを介してディスクブレーキ機構30a〜30dのホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLに伝達され、前記ホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLが作動することにより各車輪に所望の制動力が付与される。
【0041】
換言すると、本実施形態に係る車両用ブレーキシステム10では、動力液圧源として機能するモータシリンダ装置16やバイ・ワイヤ制御する図示しないECU等が作動可能な正常時において、運転者がブレーキペダル12を踏むことでブレーキ液圧を発生するマスタシリンダ34と各車輪を制動するディスクブレーキ機構30a〜30d(ホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FL)との連通を第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bで遮断した状態で、モータシリンダ装置16が発生するブレーキ液圧でディスクブレーキ機構30a〜30dを作動させるという、いわゆるブレーキ・バイ・ワイヤ方式のブレーキシステムがアクティブになる。
【0042】
一方、モータシリンダ装置16等が作動不能となる異常時では、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bをそれぞれ弁開状態とし、且つ、第3遮断弁62を弁閉状態としてマスタシリンダ34で発生するブレーキ液圧をディスクブレーキ機構30a〜30d(ホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FL)に伝達して、前記ディスクブレーキ機構30a〜30d(ホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FL)を作動させるという、いわゆる旧来の油圧式のブレーキシステムがアクティブになる。
【0043】
次に、車両用ブレーキシステム10に組み込まれたブレーキ制御装置100の具体的な構造を、図2〜図14を参照して以下詳細に説明する。
【0044】
図2は、車両用ブレーキ液圧制御装置のハウジングからカバー部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【0045】
このブレーキ制御装置100は、樹脂材料によって一体成形されたハウジング102と、ハウジング102の開口を閉塞するカバー部材104(図6参照)とを有する。ハウジング102は、図2及び図3に示されるように、ハウジング102の四隅角部に配置された取付用孔部106に挿通されるボルト108を介して、マスタシリンダ34のシリンダチューブ38に取り付けられる(図6参照)。シリンダチューブ38は、ハウジング102が装着される部材(相手方部材)として機能するものである。
【0046】
図4に示されるように、ハウジング102内には、ノーマルオープンタイプ(常開型)の電磁弁からなる第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bと、ノーマルクローズタイプ(常閉型)の電磁弁からなる第3遮断弁62と、第1液圧路58a及び第2液圧路58b(図1参照)を流通するブレーキ液(ブレーキフルード)の液圧を検出する圧力センサ(液圧センサ)Pp及び圧力センサ(液圧センサ)Pmとが配設される。
【0047】
図1に示されるように、第1遮断弁60aは、マスタシリンダ34から接続ポート20aに至る第1液圧路58aのうち、分岐液圧路58cとの分岐点よりも下流側に配置される。圧力センサPpは、第1液圧路58a中において、第1遮断弁60aの下流側に配置される。圧力センサPmは、マスタシリンダ34から接続ポート20bに至る第2液圧路58bに配置される。第2遮断弁60bは、第2液圧路58b中において、圧力センサPmの下流側に配置される。第3遮断弁62は、第1液圧路58aから分岐しストロークシミュレータ64に至る分岐液圧路58cに配置される。
【0048】
ハウジング102は、図4(a)に示されるように、平面視して略矩形状に形成された枠体102aと、前記枠体102aの上下方向に沿った中間部に一体的に設けられ上部側と下部側とを区画する中間壁102b(図2及び図4参照)と、前記枠体102aの外周面から外方に向かって突出する一対のコネクタ102c、102dとから構成される。一方のコネクタ102cは、後記するコイルに電流を流す電源用のコネクタであり、他方のコネクタ102dは、圧力センサPp、Pmからの検出信号を送給するセンサ用のコネクタである。
【0049】
中間壁102bの内部には、図2の破線で示されるように、導電性材料によって形成された複数のバスバー110が埋設(モールド)されている。各バスバー110の一端部は、コネクタ102c、102dに設けられた図示しない端子と電気的に接続される。各バスバー110の他端部は、中間壁102bから外部に露出して第1〜第3遮断弁60a、60b、62のターミナル112(後記するコイルのターミナル)と電気的に接続されるターミナル114(ハウジング内のターミナル)を有する。
【0050】
図2に示されるように、このバスバー110のターミナル114は、バスバー110の他の部位と比較して幅広に形成され、後記するコイルや圧力センサPp、Pmの直上(カバー部材104側)に位置するように配置される。また、中間壁102bの面に沿って這うように形成された複数のバスバー110は、樹脂材料で形成された中間壁102bの強度を補強する機能を有する。
【0051】
図4に示されるように、中間壁102bには、後記する電磁弁が挿通される略円形状の電磁弁挿通用孔部118が複数個形成される。前記電磁弁挿通用孔部118の周囲の近傍部位には、後記する板ばね120を中間壁102bに係止するための3つの係止突起122が形成される。
【0052】
また、中間壁102bには、下側(マスタシリンダ34のシリンダチューブ38側)に向かって突出する一対のガイド用突起(突起部)124a、124bが設けられる。この一対のガイド用突起124a、124bは、それぞれ平面視して略コ字状を呈しており、第1〜第3遮断弁60a、60b、62に対応して3対設けられる。ガイド用突起124a、124bの側壁には、凹部126が形成され、後記するコイルの凸部と嵌合してコイルの回り止め機能が発揮される。
【0053】
図4(b)に示されるように、ガイド用突起124a、124bの凹部126は、テーパ部126aとストレート部126bとから構成される。テーパ部126aは、中間壁102bに近接する中間部から先端部に向かって凹部126内の幅寸法が徐々に増加するように形成されている。ストレート部126bは、前記テーパ部126aの終端部から中間壁102bまで延在し凹部126内の幅寸法が略一定に形成されている。前記テーパ部126aは、後記するコイルの凸部の幅寸法よりも大きく設定され、前記ストレート部126bは、後記するコイルの凸部の幅寸法よりも僅かに大きく設定される。
【0054】
さらに、中間壁102bには、マスタシリンダ34のシリンダチューブ38側に向かって突出する一対の位置決め用突起部128が設けられる。マスタシリンダ34のシリンダチューブ38の取付面に形成された図示しない位置決め用孔部に位置決め用突起部128を挿入することにより、シリンダチューブ38に対してハウジング102が位置決めされた状態で取り付けられる。
【0055】
第1〜第3遮断弁60a、60b、62は、図7に示されるように、略円筒状に形成されたコイル(電磁コイル)130と、コイル130の中心孔130aに沿って挿入される電磁弁132とから構成される。コイル130は、図6に示されるように、巻線が巻回されたボビン133と、前記ボビン133を囲繞し磁路を形成するヨーク134とを備える。
【0056】
図7に示されるように、ヨーク134は、ヨーク本体134aと、前記ヨーク本体134aの上面に装着されたヨークトップ134cとから構成される。ヨークトップ134cは、爪部134bを折り曲げることによってヨーク本体134aに係止される。前記ヨークトップ134cの外周には、一対のガイド用突起124a、124bの凹部126(図4(b)参照)に嵌合する一対の凸部136が設けられる。また、前記ヨークトップ134cの外周には一対の係止部137が形成される。各係止部137は、一対の爪部134b、134bの間に形成された溝部138に嵌合して回り止めの機能を発揮する。
【0057】
コイル130の凸部136及びハウジング102のガイド用突起124a、124bの凹部126は、回動規制手段として機能するものである。すなわち、コイル130の凸部136とガイド用突起124a、124bの凹部126とが凸凹嵌合することによって、後記するターミナル同士の溶接作業時におけるコイル130の回動動作が規制される。この凸部136は、図7(b)に示されるように、略矩形状を呈し、半径外方向に向かって所定長だけ突出して形成される。なお、コイル130に設けられた一対の凸部136は、ガイド用突起124a、124bの配置に対応して、周方向に沿って所定角度だけ離間して配置される。
【0058】
また、ヨーク本体134aの上部には、上方に向かって突出する一対のターミナル(コイルのターミナル)112が設けられる。ターミナル112は、ヨーク本体134a内の巻線と電気的に接続されると共に、バスバー110のターミナル114(ハウジング内のターミナル)と溶接される。コイル130の一対の凸部136は、ヨーク134における(コイル130の)ターミナル112側に位置するように設けられる。
【0059】
なお、電磁弁132と同様に、圧力センサPp、Pmにもターミナル139が設けられる(図2参照)。前記圧力センサPp、Pmのターミナル139は、バスバー110のターミナル114(ハウジング内のターミナル)と溶接されて電気的に接続される。
【0060】
図6に示されるように、電磁弁132は、円筒状の固定コア140と、前記固定コア140の基端側の内部に装着された弁座142と、前記固定コア140の先端側の内部に摺動自在に装着された弁体144と、励磁作用によって弁体144を押圧する可動コア146とを備える。
【0061】
この場合、電磁弁132を外嵌するコイル130に電流が流されてコイル130が励磁されると、可動コア146が固定コア140側に向かって吸引されて変位し、これに伴なって弁体144が弁座142側に変位して弁座142の開口部を閉塞する。また、コイル130に対する電流の供給を停止してコイル130を消磁すると、可動コア146が固定コア140から離間し、これに伴なって弁体144が可動コア146側に変位して弁座142の開口部を開放する。
【0062】
ハウジング102の中間壁102bとコイル130との間には、コイル130を中間壁102bから離間する方向に向かって付勢する板ばね(コイル付勢手段)120が設けられる(図5及び図11参照、但し、図5中では、中間壁102bの図示を省略している)。
【0063】
この板ばね120は、図4(a)に示されるように、ハウジング102(中間壁102b)に取り付けられる基部120aと、基部120aから延設されてコイル130を押圧する弾性部120bとを有する。図10(b)に示されるように、弾性部120bは、基部120aと重なるように基部120aの端部から延設されている。なお、図8(b)及び図9(b)に示されるように、基部120aと弾性部120bとは、側面視して略V字状に形成される。
【0064】
基部120aには、中間壁102bの3つの係止突起122(図4(a)参照)が嵌合される3つの孔部(保持部)121が形成される(図8及び図9参照)。なお、板ばね120をハウジング102(中間壁102b)に対して固定する際、3つの係止突起122の中で、中央部の係止突起122は、ハウジング102に対して板ばね120を固定する固定機能を有し、左右の係止突起122は、ガイド機能及び回り止め機能を併有する。これに対応して、基部120aに形成された中央部の孔部121は、固定用孔部として機能し、左右の孔部121は、ガイド用及び回り止め用孔部として機能する。
【0065】
前記基部120aは、平面視して略U字状に形成され、前記基部120aの両端部(後記する支点B)からは、弾性部120bがそれぞれ延設される。基部120aには、分断部位を含む略円形状の開口部123が形成される(図10(a)参照)。二つの弾性部120bは、基部120aから同一方向に折り曲げられ、所定間隔離間して略平行に延在する。なお、略U字状とは、その一部が分断された形状であればよく、例えば、略C字状の形状も略U字状に含まれる。
【0066】
図10(a)に示されるように、基部120aの開口部123及び一対の弾性部120b、120bの間を、電磁弁132の先端部が貫通する。図4に示されるように、貫通した電磁弁132の先端部は、中間壁102bの電磁弁挿通用孔部118に挿通される。
【0067】
また、図10(c)に示されるように、弾性部120bの先端の折れ部は、コイル130に接触する力点Aとなり、基部120aと弾性部120bとの間の折曲部位は弾性部120bの支点Bとなる。本実施形態では、図10(b)に示されるように、電磁弁132の中心軸Cを通る仮想面Fを基準として、力点Aと支点Bとはそれぞれ異なる領域に配置される。すなわち、力点Aが一側の領域に位置し、支点Bが力点Aと対向し力点Aと反対側の他側の領域に位置する。
【0068】
さらに、コイル130のターミナル112とハウジング102内のターミナル114とが溶接されて固定される固定点と、コイル130に押圧力を付与する力点Aとが、中心軸Cを通る仮想面Fを基準として、それぞれ異なる領域に離間して配置されることにより、コイル130の振動時における押さえ効果やコイル130に対する回動規制効果をそれぞれ高めることができる。
【0069】
さらにまた、コイル130からの反力を受容する作用点(力点A)が固定点から離間するように設定されているため、コイル130の振動や回動動作を弾性部120bで吸収(緩衝)して、振動や回動動作が固定点へ伝達されることを好適に回避することができる。
【0070】
次に、ハウジング102内への板ばね120、コイル130及び電磁弁132の組付工程について、以下概略説明する。図11(a)〜(c)は、ハウジング内への板ばね、コイル及び電磁弁の組付工程を示す説明図である。なお、電磁弁132は、マスタシリンダ34のシリンダチューブ38の取付面に対して予め装着されているものとする。
【0071】
先ず、ハウジング102の中間壁102bに設けられた3つの係止突起122を板ばね120の孔部121に対して嵌合し、中間壁102bに対して板ばね120を取り付ける。この場合、図11(a)に示されるように、板ばね120の基部120aがハウジング102の中間壁102b側に固定され、板ばね120の弾性部120bが前記中間壁102bから離間した状態にある。
【0072】
続いて、コイル130を、中間壁102bから突出するガイド用突起124a、124bの凹部126に沿って変位させてハウジング102に取り付ける(図4参照)。この場合、コイル130に設けられた一対の凸部136と一対のガイド用突起124a、124bの凹部126とを係合させ、ガイド用突起124a、124bの凹部126によって凸部136を案内する。なお、ガイド用突起124a、124bの凹部126には、凸部136の幅寸法よりも僅かに大きく形成されたテーパ部126aが設けられているため、コイル130の組付時において、コイル130の凸部136をガイド用突起124a、124bの凹部126内に対して容易に挿入することができる。
【0073】
図11(b)に示されるように、コイル130が板ばね120の弾性部120bと当接することにより、コイル130の変位が規制される。電磁弁132は、コイル130の中心孔130a(図7参照)に沿って挿入されて貫通する。この場合、コイル130は、凸部136と凹部126とが嵌合することによって周方向への回り止めがなされるが、コイル130のターミナル112は、未だ位置決めされておらず、バスバー110のターミナル114と上下方向で僅かにずれた位置にある。
【0074】
続いて、図11(c)に示されるように、ハウジング102に対し矢印方向に沿って押圧力を付与し、板ばね120の弾性部120bを基部120aに近接するように弾性変形させる。板ばね120の弾性部120bが弾性変形した状態において、上下方向に沿って互いに所定位置に位置決めされたコイル130のターミナル112とバスバー110のターミナル114(ハウジング内のターミナル)とを溶接する。この溶接は、例えば、プロジェクション溶接等の抵抗溶接がなされる。この結果、板ばね120でコイル130が付勢された状態で、コイル130のターミナル112とバスバー110のターミナル114とが溶接されて、強固に結合される。
【0075】
本実施形態では、板ばね120のコイル130を押圧する弾性部120bを、基部120aから略並行に延設することにより、1方向の曲げ工程のみで簡便に製造することができ、製造コストを低減することができる。なお、本実施形態では、コイル付勢手段として板ばね120を例示しているが、これに限定されるものではなく、押圧力(弾性力)によってコイル130をハウジング102が装着される側に向かって押圧するものであればよい。
【0076】
また、本実施形態では、基部120aを平面視して略U字状に形成し、分断された両端部から弾性部120bが延設されることにより、コイル130に対して付与される弾性部120bの荷重設定を容易に行うことができる。なお、基部120aは、その一部が分断された形状であればよく、例えば、平面視して略C字状に形成されたものも含まれる。
【0077】
さらに、本実施形態では、基部150aを平面視して略O字状に形成し、基部150aの支点Bから弾性部150bが延設されることにより、弾性部150bへ付与される荷重を増大させることができる。なお、基部150aは、分断されることがなく連続した無端形状であればよい。
【0078】
さらにまた、本実施形態では、マスタシリンダ34のシリンダチューブ38に対してハウジング102を装着する際、電磁弁132の先端部が基部120aの中央を貫通することにより(図10(a)参照)、板ばね120が電磁弁132に干渉することを回避することができる。この結果、電磁弁駆動組立体として、必要以上に大型化することを抑制することができる。
【0079】
さらにまた、本実施形態では、ハウジング102(中間壁102b)の係止突起122に保持される孔部121が設けられることにより、コイル120とハウジング102との間に予め板ばね120を介装してコイル130を付勢した状態で、マスタシリンダ34のシリンダチューブ38に対してハウジング102を容易に装着することができる(図11参照)。
【0080】
また、板ばね120でコイル130を付勢した状態で、コイル130のターミナル112とハウジング102内のターミナル114との溶接を簡便に行うことができる。すなわち、図11(a)に示されるように、中間壁102bからマスタシリンダ34のシリンダチューブ38側へのガイド用突起124a、124bの突出寸法は、弾性変形前の板ばね120の高さ寸法(上下方向に沿った寸法)よりも大きく設定されているため、コイル130が板ばね120に当接する前の段階でコイル130の凸部136とガイド用突起124a、124bの凹部126とを容易に嵌合させることできる。
【0081】
コイル130の凸部136とガイド用突起124a、124bの凹部126とが嵌合した後、図11(b)に示されるように、ガイド用突起124a、124bの凹部126の案内作用によって板ばね120の弾性部120bがコイル130の上面(ヨークトップ134c)に当接する。
【0082】
さらに、図11(c)に示されるように、押圧力が付与されて板ばね120の弾性部120bが弾性変形した状態で、コイル130のターミナル112とハウジング102内のターミナル114との上下方向の位置が容易に位置決めされ、この位置決め状態を保持しながらコイル130とハウジング102内のターミナル112、114同士の溶接を簡便に行うことができる。
【0083】
なお、本実施形態においては、自動四輪車に好適に用いられるブレーキ制御装置100を例示しているが、前記した技術的特徴を自動二輪車に用いられるブレーキ制御装置に適用しても差し支えない。また、電磁弁駆動組立体の一例としてブレーキ制御装置100を示しているが、これに限定されるものではない。
【0084】
図12及び図13は、板ばねの他の実施形態を示した斜視図である。
図8及び図9に示される板ばね120では、基部120aが分断されて構成されているのに対し、この他の実施形態に係る板ばね150では、図12及び図13に示されるように、基部150aが平面視して略O字状に形成されている点で異なっている。基部150aを切れ目なく連続させることにより、弾性部150bが弾性変形したときのばね荷重(反力)を増大させることができる。なお、コイル付勢手段として機能する板ばねの形状は、図8及び図9に示される板ばね120の形状や図12及び図13に示される板ばね150の形状に限定されるものではなく、他の形状であってもよい。
【0085】
図14は、バスバーの他の実施形態を示した平面図である。
他の実施形態に係るバスバー110aは、図14に示されるように、ターミナル114以外の部位に拡幅部111を設けることにより、樹脂材料で形成された中間壁102bの補強強度をより一層増大させることができる。拡幅部111は、バスバー110aの他の部位よりも幅広に拡張して形成される。なお、図14中では、ハウジング102の中間壁102bを省略してバスバー110aが外部に露出した状態を示している。
【符号の説明】
【0086】
100 ブレーキ制御装置(車両用ブレーキ液圧制御装置)
102 ハウジング
112 ターミナル(コイルのターミナル)
114 ターミナル(ハウジング内のターミナル)
120、150 板ばね(コイル付勢手段)
120a、150a 基部
120b、150b 弾性部
121 孔部(保持部)
130 コイル
132 電磁弁
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁弁を駆動するコイルをハウジングに接続するための、電磁弁駆動組立体の電気接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電磁弁駆動組立体の電気接続構造としては、例えば、本出願人の提案に係る特許文献1が挙げられる。この電気接続構造では、基体の一面側に位置決め配置されるコイルに第1のターミナルが突設されており、前記コイルを覆いつつ前記基体の一面に取り付けられるハウジングに第2のターミナルが設けられている。
【0003】
特許文献1の電気接続構造によれば、ターミナル同士を抵抗溶接によって接合する際、コイルを構成する部品間で組み付け公差を吸収することが不要となり、コイルの小型化が可能となる。
【0004】
ところで、電磁弁を駆動するためのコイルを大型化させた場合、コイルの振動や回動動作を規制し、ターミナル同士の接合部位に付与される応力(荷重)を緩和するため、例えば、板ばね等でコイルを保持して振動を吸収するものが必要となる。例えば、特許文献2には、コイルをハウジングに向かって付勢する板ばねが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3660302号公報
【特許文献2】特開2004−360864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に開示された板ばねの構造では、ばね力を発揮する板ばねの弾性部を、内側(中心側)に向かって多段に折曲させて形成しているため、板ばねの製造時における複数の曲げ工程が必要となり、製造コストが高騰するという問題がある。
【0007】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、コイルを付勢するコイル付勢手段の構造を簡素化して製造コストを低減させることが可能な電磁弁駆動組立体の電気接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するために創案された本発明は、電磁弁と、前記電磁弁を駆動するコイルと、前記電磁弁及び前記コイルが配置されるハウジングとを有し、前記コイルのターミナルと前記ハウジング内のターミナルとが電気的に接続される電磁弁駆動組立体の電気接続構造において、前記ハウジングと前記コイルとの間に、前記コイルを付勢するコイル付勢手段を備え、前記コイル付勢手段は、前記ハウジングに取り付けられる基部と、前記基部から延設され前記コイルを押圧する弾性部と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、コイルを押圧するコイル付勢手段の弾性部を、基部から延設することにより、1方向の曲げ工程のみで簡便に製造することができ、製造コストを低減することができる。
【0010】
また、基部を平面視して略U字状に形成し、基部の両端部の各々から弾性部が延設されるようにしてもよい。このようにすると、コイルに対して付与される弾性部の荷重設定を容易に行うことができる。なお、略U字状の基部は、その一部が分断された形状であればよく、平面視して略C字状に形成されたものも略U字状に含まれる。
【0011】
さらに、基部を平面視して略O字状に形成してもよい。このようにすると、弾性部へ付与される荷重を増大させることができる。なお、略O字状の基部は、分断されることがなく連続した無端形状であればよく、例えば、平面視して、円形、楕円形の他、矩形や多角形状に形成されたものも略O字状に含まれる。
【0012】
さらにまた、電磁弁が基部の中央を貫通するようにしてもよい。このようにすると、ハウジングの組付時に、コイル付勢手段が電磁弁に干渉することを回避することができる。この結果、電磁弁駆動組立体として、必要以上に大型化することを抑制することができる。
【0013】
さらにまた、コイル付勢手段には、ハウジングに保持される保持部が設けられるようにしてもよい。このようにすると、コイルとハウジングとの間に予めコイル付勢手段を組み付けてコイルを付勢した状態で、ハウジングが装着される部材に対してハウジングを容易に装着することができる。また、コイル付勢手段でコイルを付勢した状態で、コイルのターミナルとハウジング内のターミナルとの溶接を簡便に行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、コイルを付勢するコイル付勢手段の構造を簡素化して製造コストを低減させることが可能な電磁弁駆動組立体の電気接続構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置が組み込まれた車両用ブレーキシステムの概略構成図である。
【図2】車両用ブレーキ液圧制御装置のハウジングからカバー部材を取り外した状態の斜視図である。
【図3】図2を背面側から見た斜視図である。
【図4】(a)は、車両用ブレーキ液圧制御装置の分解斜視図、(b)は、(a)の部分拡大斜視図である。
【図5】ハウジングの一部を透過した透過側面図である。
【図6】図2のVI−VI線に沿った縦断面図である。
【図7】(a)は、コイル及び電磁弁の斜視図、(b)は、(a)の平面図である。
【図8】(a)は、板ばねの斜視図、(b)は、(a)の縦断面図である。
【図9】(a)は、図8の板ばねの弾性部が弾性変形した状態を示す斜視図、(b)は、(a)の縦断面図である。
【図10】(a)は、板ばねとコイルとの関係を示す斜視図、(b)は、(a)の平面図、(c)は、(a)の側面図である。
【図11】(a)〜(c)は、ハウジング内への板ばね、コイル及び電磁弁の組付工程を示す説明図である。
【図12】(a)は、板ばねの他の実施形態を示す斜視図、(b)は、(a)の縦断面図である。
【図13】(a)は、図12の板ばねの弾性部が弾性変形した状態を示す斜視図、(b)は、(a)の縦断面図である。
【図14】中間壁を省略したバスバーの他の実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、図中において、カバー部材が装着される側を上側として「上下方向」を便宜的に示しているが、この「上下方向」によって実際の取り付け方向が限定されるものではない。
【0017】
図1に示されるように、本発明の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置(以下、「ブレーキ制御装置」という。)は、自動二輪車、自動三輪車、オールテレーンビークル(ATV)、自動四輪車などの車両に好適に用いられるものであり、車両の車輪に付与する制動力(ブレーキ液圧)を適宜制御する。以下においては、ブレーキ制御装置を図示しない自動四輪車に適用した例について説明するが、ブレーキ制御装置が搭載される車両を限定する趣旨ではない。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置が組み込まれた車両用ブレーキシステムの概略構成図である。
【0019】
図1に示す車両用ブレーキシステム10は、通常時用として、電気信号を伝達してブレーキを作動させるバイ・ワイヤ(By Wire)式のブレーキシステムと、フェールセーフ時用として、油圧を伝達してブレーキを作動させる旧来の油圧式のブレーキシステムの双方を備えて構成される。
【0020】
このため、図1に示されるように、車両用ブレーキシステム10は、基本的に、操作者によってブレーキペダル(ブレーキ操作子)12が操作されたときにその操作を入力する入力装置14と、図示しないモータによって駆動されるシリンダ(図示せず)によりブレーキ液圧を制御するモータシリンダ装置16と、車両挙動の安定化を支援するビークルスタビリティアシスト装置18(以下、VSA装置18という、VSA;登録商標)とを別体として備えて構成されている。
【0021】
これらの入力装置14、モータシリンダ装置16、及び、VSA装置18は、例えば、ホースやチューブ等の管材で形成された液圧路によって接続されていると共に、バイ・ワイヤ式のブレーキシステムとして、入力装置14とモータシリンダ装置16とは、図示しないハーネスで電気的に接続されている。
【0022】
VSA装置18は、周知のものからなり、複数の導出ポートに接続される配管チューブによってブレーキ液がディスクブレーキ機構30a〜30dの各ホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLに対して供給される。各ホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FL内の液圧が上昇することにより、各ホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLが作動し、対応する車輪(右側前輪、左側後輪、右側後輪、左側前輪)に対して制動力が付与される。
【0023】
なお、車両用ブレーキシステム10は、例えば、エンジン(内燃機関)のみによって駆動される自動車、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車等を含む各種車両に対して搭載可能に設けられる。
【0024】
入力装置14は、運転者(操作者)によるブレーキペダル12の操作によって液圧を発生可能なタンデム式のマスタシリンダ34と、前記マスタシリンダ34に付設されたリザーバ36とを有する。このマスタシリンダ34のシリンダチューブ38内には、前記シリンダチューブ38の軸方向に沿って所定間隔離間する2つのピストン40a、40bが摺動自在に配設される。一方のピストン40bは、ブレーキペダル12に近接して配置され、プッシュロッド42を介してブレーキペダル12と連結されて直動される。また、他方のピストン40aは、一方のピストン40bよりもブレーキペダル12から離間して配置される。
【0025】
なお、マスタシリンダ34のシリンダチューブ38は、アルミニウム又はアルミニウム合金によって形成され、後記するブレーキ制御装置のハウジングが装着される相手方部材として機能するものである(後記する図6参照)。
【0026】
この一方及び他方のピストン40a、40bの外周面には、環状段部を介して一対のカップシール44a、44bがそれぞれ装着される。一対のカップシール44a、44bの間には、それぞれ、後記するサプライポート46a、46bと連通する背室48a、48bが形成される。また、一方及び他方のピストン40a、40bとの間には、ばね部材50bが配設され、ピストン40aとシリンダチューブ38の側端部(底壁)と間には、ばね部材50aが配設される。なお、一対のカップシール44a、44bは、シリンダチューブ38の内壁側に環状溝を介して装着されるようにしてもよい。
【0027】
マスタシリンダ34のシリンダチューブ38には、2つのサプライポート46a、46bと、2つのリリーフポート52a、52bと、2つの出力ポート54a、54bとが設けられる。この場合、各サプライポート46a(46b)及び各リリーフポート52a(52b)は、それぞれ合流してリザーバ36内の図示しないリザーバ室と連通するように設けられる。
【0028】
また、マスタシリンダ34のシリンダチューブ38内には、運転者がブレーキペダル12を踏み込む踏力に対応したブレーキ液圧を発生させる第1圧力室56a及び第2圧力室56bが設けられる。第1圧力室56aは、第1液圧路58aを介して接続ポート20aと連通するように設けられ、第2圧力室56bは、第2液圧路58bを介して接続ポート20bと連通するように設けられる。
【0029】
マスタシリンダ34と接続ポート20aとの間であって、第1液圧路58aの上流側には、ノーマルオープンタイプ(常開型)の電磁弁からなる第1遮断弁60aが設けられると共に、第1液圧路58aの下流側には、圧力センサPpが設けられる。この圧力センサPpは、第1液圧路58a上において、第1遮断弁60aよりもホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FL側である下流側の液圧を検知するものである。
【0030】
マスタシリンダ34と接続ポート20bとの間であって、第2液圧路58bの上流側には圧力センサPmが配設されると共に、第2液圧路58bの下流側には、ノーマルオープンタイプ(常開型)の電磁弁からなる第2遮断弁60bが設けられる。この圧力センサPmは、第2液圧路58b上において、第2遮断弁60bよりもマスタシリンダ34側である上流側の液圧を検知するものである。
【0031】
この第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bにおけるノーマルオープンとは、ノーマル位置(通電されていないときの弁体の位置)が開位置の状態(常時開)となるように構成されたバルブをいう。
【0032】
マスタシリンダ34と第1遮断弁60aとの間の第1液圧路58aには、前記第1液圧路58aから分岐する分岐液圧路58cが設けられ、前記分岐液圧路58cには、ノーマルクローズタイプ(常閉型)の電磁弁からなる第3遮断弁62と、ストロークシミュレータ64とが直列に接続される。この第3遮断弁62におけるノーマルクローズとは、ノーマル位置(通電されていないときの弁体の位置)が閉位置の状態(常時閉)となるように構成されたバルブをいう。
【0033】
ストロークシミュレータ64は、バイ・ワイヤ制御時において、ブレーキのストロークと反力を発生させて、あたかも踏力で制動力を発生させているかのごとく操作者に思わせる装置であり、第1液圧路58a上であって、第1遮断弁60aよりもマスタシリンダ34側に配置されている。前記ストロークシミュレータ64には、分岐液圧路58cに連通する液圧室65が設けられ、前記液圧室65を介して、マスタシリンダ34の第1圧力室56aから導出されるブレーキ液(ブレーキフルード)が吸収可能に設けられる。
【0034】
また、ストロークシミュレータ64は、互いに直列に配置されたばね定数の高い第1リターンスプリング66aとばね定数の低い第2リターンスプリング66bと、前記第1及び第2リターンスプリング66a、66bによって付勢されるシミュレータピストン68とを備え、ブレーキペダル12のペダルフィーリングを既存のマスタシリンダと同等となるように設けられている。
【0035】
モータシリンダ装置16は、図示しない電動モータ及び駆動力伝達部を有するアクチュエータ機構(図示せず)と、前記アクチュエータ機構によって付勢される図示しないスレーブピストンが設けられたシリンダとを備える。
【0036】
本実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置が組み込まれた車両用ブレーキシステム10は、基本的に以上のように構成されるものであり、次にその動作について概略説明する。
【0037】
車両用ブレーキシステム10が正常に機能する正常時には、ノーマルオープンタイプの電磁弁からなる第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bが通電により励磁されて弁閉状態となり、ノーマルクローズタイプの電磁弁からなる第3遮断弁62が通電により励磁されて弁開状態となる。従って、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bによって第1液圧系統70a及び第2液圧系統70bが遮断されているため、入力装置14のマスタシリンダ34で発生したブレーキ液圧がディスクブレーキ機構30a〜30dのホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLに伝達されることはない。
【0038】
このとき、マスタシリンダ34の第1圧力室56aで発生したブレーキ液圧は、分岐液圧路58c及び弁開状態にある第3遮断弁62を経由してストロークシミュレータ64の液圧室65に伝達される。この液圧室65に供給されたブレーキ液圧によってシミュレータピストン68がばね部材66a、66bのばね力に抗して変位することにより、ブレーキペダル12のストロークが許容されると共に、擬似的なペダル反力を発生させてブレーキペダル12に付与される。この結果、運転者にとって違和感のないブレーキフィーリングが得られる。
【0039】
このようなシステム状態において、図示しない制御手段は、例えば、図示しないストロークセンサからの検出信号に基づいて、運転者によるブレーキペダル12の踏み込みを検知すると、モータシリンダ装置16の電動モータを駆動させてアクチュエータ機構を付勢し、スレーブピストンの変位によってシリンダ内のブレーキ液圧がバランスするように加圧されて所望のブレーキ液圧が発生する。
【0040】
このモータシリンダ装置16におけるシリンダ内のブレーキ液圧は、VSA装置18の図示しない複数のバルブを介してディスクブレーキ機構30a〜30dのホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLに伝達され、前記ホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLが作動することにより各車輪に所望の制動力が付与される。
【0041】
換言すると、本実施形態に係る車両用ブレーキシステム10では、動力液圧源として機能するモータシリンダ装置16やバイ・ワイヤ制御する図示しないECU等が作動可能な正常時において、運転者がブレーキペダル12を踏むことでブレーキ液圧を発生するマスタシリンダ34と各車輪を制動するディスクブレーキ機構30a〜30d(ホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FL)との連通を第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bで遮断した状態で、モータシリンダ装置16が発生するブレーキ液圧でディスクブレーキ機構30a〜30dを作動させるという、いわゆるブレーキ・バイ・ワイヤ方式のブレーキシステムがアクティブになる。
【0042】
一方、モータシリンダ装置16等が作動不能となる異常時では、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bをそれぞれ弁開状態とし、且つ、第3遮断弁62を弁閉状態としてマスタシリンダ34で発生するブレーキ液圧をディスクブレーキ機構30a〜30d(ホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FL)に伝達して、前記ディスクブレーキ機構30a〜30d(ホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FL)を作動させるという、いわゆる旧来の油圧式のブレーキシステムがアクティブになる。
【0043】
次に、車両用ブレーキシステム10に組み込まれたブレーキ制御装置100の具体的な構造を、図2〜図14を参照して以下詳細に説明する。
【0044】
図2は、車両用ブレーキ液圧制御装置のハウジングからカバー部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【0045】
このブレーキ制御装置100は、樹脂材料によって一体成形されたハウジング102と、ハウジング102の開口を閉塞するカバー部材104(図6参照)とを有する。ハウジング102は、図2及び図3に示されるように、ハウジング102の四隅角部に配置された取付用孔部106に挿通されるボルト108を介して、マスタシリンダ34のシリンダチューブ38に取り付けられる(図6参照)。シリンダチューブ38は、ハウジング102が装着される部材(相手方部材)として機能するものである。
【0046】
図4に示されるように、ハウジング102内には、ノーマルオープンタイプ(常開型)の電磁弁からなる第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bと、ノーマルクローズタイプ(常閉型)の電磁弁からなる第3遮断弁62と、第1液圧路58a及び第2液圧路58b(図1参照)を流通するブレーキ液(ブレーキフルード)の液圧を検出する圧力センサ(液圧センサ)Pp及び圧力センサ(液圧センサ)Pmとが配設される。
【0047】
図1に示されるように、第1遮断弁60aは、マスタシリンダ34から接続ポート20aに至る第1液圧路58aのうち、分岐液圧路58cとの分岐点よりも下流側に配置される。圧力センサPpは、第1液圧路58a中において、第1遮断弁60aの下流側に配置される。圧力センサPmは、マスタシリンダ34から接続ポート20bに至る第2液圧路58bに配置される。第2遮断弁60bは、第2液圧路58b中において、圧力センサPmの下流側に配置される。第3遮断弁62は、第1液圧路58aから分岐しストロークシミュレータ64に至る分岐液圧路58cに配置される。
【0048】
ハウジング102は、図4(a)に示されるように、平面視して略矩形状に形成された枠体102aと、前記枠体102aの上下方向に沿った中間部に一体的に設けられ上部側と下部側とを区画する中間壁102b(図2及び図4参照)と、前記枠体102aの外周面から外方に向かって突出する一対のコネクタ102c、102dとから構成される。一方のコネクタ102cは、後記するコイルに電流を流す電源用のコネクタであり、他方のコネクタ102dは、圧力センサPp、Pmからの検出信号を送給するセンサ用のコネクタである。
【0049】
中間壁102bの内部には、図2の破線で示されるように、導電性材料によって形成された複数のバスバー110が埋設(モールド)されている。各バスバー110の一端部は、コネクタ102c、102dに設けられた図示しない端子と電気的に接続される。各バスバー110の他端部は、中間壁102bから外部に露出して第1〜第3遮断弁60a、60b、62のターミナル112(後記するコイルのターミナル)と電気的に接続されるターミナル114(ハウジング内のターミナル)を有する。
【0050】
図2に示されるように、このバスバー110のターミナル114は、バスバー110の他の部位と比較して幅広に形成され、後記するコイルや圧力センサPp、Pmの直上(カバー部材104側)に位置するように配置される。また、中間壁102bの面に沿って這うように形成された複数のバスバー110は、樹脂材料で形成された中間壁102bの強度を補強する機能を有する。
【0051】
図4に示されるように、中間壁102bには、後記する電磁弁が挿通される略円形状の電磁弁挿通用孔部118が複数個形成される。前記電磁弁挿通用孔部118の周囲の近傍部位には、後記する板ばね120を中間壁102bに係止するための3つの係止突起122が形成される。
【0052】
また、中間壁102bには、下側(マスタシリンダ34のシリンダチューブ38側)に向かって突出する一対のガイド用突起(突起部)124a、124bが設けられる。この一対のガイド用突起124a、124bは、それぞれ平面視して略コ字状を呈しており、第1〜第3遮断弁60a、60b、62に対応して3対設けられる。ガイド用突起124a、124bの側壁には、凹部126が形成され、後記するコイルの凸部と嵌合してコイルの回り止め機能が発揮される。
【0053】
図4(b)に示されるように、ガイド用突起124a、124bの凹部126は、テーパ部126aとストレート部126bとから構成される。テーパ部126aは、中間壁102bに近接する中間部から先端部に向かって凹部126内の幅寸法が徐々に増加するように形成されている。ストレート部126bは、前記テーパ部126aの終端部から中間壁102bまで延在し凹部126内の幅寸法が略一定に形成されている。前記テーパ部126aは、後記するコイルの凸部の幅寸法よりも大きく設定され、前記ストレート部126bは、後記するコイルの凸部の幅寸法よりも僅かに大きく設定される。
【0054】
さらに、中間壁102bには、マスタシリンダ34のシリンダチューブ38側に向かって突出する一対の位置決め用突起部128が設けられる。マスタシリンダ34のシリンダチューブ38の取付面に形成された図示しない位置決め用孔部に位置決め用突起部128を挿入することにより、シリンダチューブ38に対してハウジング102が位置決めされた状態で取り付けられる。
【0055】
第1〜第3遮断弁60a、60b、62は、図7に示されるように、略円筒状に形成されたコイル(電磁コイル)130と、コイル130の中心孔130aに沿って挿入される電磁弁132とから構成される。コイル130は、図6に示されるように、巻線が巻回されたボビン133と、前記ボビン133を囲繞し磁路を形成するヨーク134とを備える。
【0056】
図7に示されるように、ヨーク134は、ヨーク本体134aと、前記ヨーク本体134aの上面に装着されたヨークトップ134cとから構成される。ヨークトップ134cは、爪部134bを折り曲げることによってヨーク本体134aに係止される。前記ヨークトップ134cの外周には、一対のガイド用突起124a、124bの凹部126(図4(b)参照)に嵌合する一対の凸部136が設けられる。また、前記ヨークトップ134cの外周には一対の係止部137が形成される。各係止部137は、一対の爪部134b、134bの間に形成された溝部138に嵌合して回り止めの機能を発揮する。
【0057】
コイル130の凸部136及びハウジング102のガイド用突起124a、124bの凹部126は、回動規制手段として機能するものである。すなわち、コイル130の凸部136とガイド用突起124a、124bの凹部126とが凸凹嵌合することによって、後記するターミナル同士の溶接作業時におけるコイル130の回動動作が規制される。この凸部136は、図7(b)に示されるように、略矩形状を呈し、半径外方向に向かって所定長だけ突出して形成される。なお、コイル130に設けられた一対の凸部136は、ガイド用突起124a、124bの配置に対応して、周方向に沿って所定角度だけ離間して配置される。
【0058】
また、ヨーク本体134aの上部には、上方に向かって突出する一対のターミナル(コイルのターミナル)112が設けられる。ターミナル112は、ヨーク本体134a内の巻線と電気的に接続されると共に、バスバー110のターミナル114(ハウジング内のターミナル)と溶接される。コイル130の一対の凸部136は、ヨーク134における(コイル130の)ターミナル112側に位置するように設けられる。
【0059】
なお、電磁弁132と同様に、圧力センサPp、Pmにもターミナル139が設けられる(図2参照)。前記圧力センサPp、Pmのターミナル139は、バスバー110のターミナル114(ハウジング内のターミナル)と溶接されて電気的に接続される。
【0060】
図6に示されるように、電磁弁132は、円筒状の固定コア140と、前記固定コア140の基端側の内部に装着された弁座142と、前記固定コア140の先端側の内部に摺動自在に装着された弁体144と、励磁作用によって弁体144を押圧する可動コア146とを備える。
【0061】
この場合、電磁弁132を外嵌するコイル130に電流が流されてコイル130が励磁されると、可動コア146が固定コア140側に向かって吸引されて変位し、これに伴なって弁体144が弁座142側に変位して弁座142の開口部を閉塞する。また、コイル130に対する電流の供給を停止してコイル130を消磁すると、可動コア146が固定コア140から離間し、これに伴なって弁体144が可動コア146側に変位して弁座142の開口部を開放する。
【0062】
ハウジング102の中間壁102bとコイル130との間には、コイル130を中間壁102bから離間する方向に向かって付勢する板ばね(コイル付勢手段)120が設けられる(図5及び図11参照、但し、図5中では、中間壁102bの図示を省略している)。
【0063】
この板ばね120は、図4(a)に示されるように、ハウジング102(中間壁102b)に取り付けられる基部120aと、基部120aから延設されてコイル130を押圧する弾性部120bとを有する。図10(b)に示されるように、弾性部120bは、基部120aと重なるように基部120aの端部から延設されている。なお、図8(b)及び図9(b)に示されるように、基部120aと弾性部120bとは、側面視して略V字状に形成される。
【0064】
基部120aには、中間壁102bの3つの係止突起122(図4(a)参照)が嵌合される3つの孔部(保持部)121が形成される(図8及び図9参照)。なお、板ばね120をハウジング102(中間壁102b)に対して固定する際、3つの係止突起122の中で、中央部の係止突起122は、ハウジング102に対して板ばね120を固定する固定機能を有し、左右の係止突起122は、ガイド機能及び回り止め機能を併有する。これに対応して、基部120aに形成された中央部の孔部121は、固定用孔部として機能し、左右の孔部121は、ガイド用及び回り止め用孔部として機能する。
【0065】
前記基部120aは、平面視して略U字状に形成され、前記基部120aの両端部(後記する支点B)からは、弾性部120bがそれぞれ延設される。基部120aには、分断部位を含む略円形状の開口部123が形成される(図10(a)参照)。二つの弾性部120bは、基部120aから同一方向に折り曲げられ、所定間隔離間して略平行に延在する。なお、略U字状とは、その一部が分断された形状であればよく、例えば、略C字状の形状も略U字状に含まれる。
【0066】
図10(a)に示されるように、基部120aの開口部123及び一対の弾性部120b、120bの間を、電磁弁132の先端部が貫通する。図4に示されるように、貫通した電磁弁132の先端部は、中間壁102bの電磁弁挿通用孔部118に挿通される。
【0067】
また、図10(c)に示されるように、弾性部120bの先端の折れ部は、コイル130に接触する力点Aとなり、基部120aと弾性部120bとの間の折曲部位は弾性部120bの支点Bとなる。本実施形態では、図10(b)に示されるように、電磁弁132の中心軸Cを通る仮想面Fを基準として、力点Aと支点Bとはそれぞれ異なる領域に配置される。すなわち、力点Aが一側の領域に位置し、支点Bが力点Aと対向し力点Aと反対側の他側の領域に位置する。
【0068】
さらに、コイル130のターミナル112とハウジング102内のターミナル114とが溶接されて固定される固定点と、コイル130に押圧力を付与する力点Aとが、中心軸Cを通る仮想面Fを基準として、それぞれ異なる領域に離間して配置されることにより、コイル130の振動時における押さえ効果やコイル130に対する回動規制効果をそれぞれ高めることができる。
【0069】
さらにまた、コイル130からの反力を受容する作用点(力点A)が固定点から離間するように設定されているため、コイル130の振動や回動動作を弾性部120bで吸収(緩衝)して、振動や回動動作が固定点へ伝達されることを好適に回避することができる。
【0070】
次に、ハウジング102内への板ばね120、コイル130及び電磁弁132の組付工程について、以下概略説明する。図11(a)〜(c)は、ハウジング内への板ばね、コイル及び電磁弁の組付工程を示す説明図である。なお、電磁弁132は、マスタシリンダ34のシリンダチューブ38の取付面に対して予め装着されているものとする。
【0071】
先ず、ハウジング102の中間壁102bに設けられた3つの係止突起122を板ばね120の孔部121に対して嵌合し、中間壁102bに対して板ばね120を取り付ける。この場合、図11(a)に示されるように、板ばね120の基部120aがハウジング102の中間壁102b側に固定され、板ばね120の弾性部120bが前記中間壁102bから離間した状態にある。
【0072】
続いて、コイル130を、中間壁102bから突出するガイド用突起124a、124bの凹部126に沿って変位させてハウジング102に取り付ける(図4参照)。この場合、コイル130に設けられた一対の凸部136と一対のガイド用突起124a、124bの凹部126とを係合させ、ガイド用突起124a、124bの凹部126によって凸部136を案内する。なお、ガイド用突起124a、124bの凹部126には、凸部136の幅寸法よりも僅かに大きく形成されたテーパ部126aが設けられているため、コイル130の組付時において、コイル130の凸部136をガイド用突起124a、124bの凹部126内に対して容易に挿入することができる。
【0073】
図11(b)に示されるように、コイル130が板ばね120の弾性部120bと当接することにより、コイル130の変位が規制される。電磁弁132は、コイル130の中心孔130a(図7参照)に沿って挿入されて貫通する。この場合、コイル130は、凸部136と凹部126とが嵌合することによって周方向への回り止めがなされるが、コイル130のターミナル112は、未だ位置決めされておらず、バスバー110のターミナル114と上下方向で僅かにずれた位置にある。
【0074】
続いて、図11(c)に示されるように、ハウジング102に対し矢印方向に沿って押圧力を付与し、板ばね120の弾性部120bを基部120aに近接するように弾性変形させる。板ばね120の弾性部120bが弾性変形した状態において、上下方向に沿って互いに所定位置に位置決めされたコイル130のターミナル112とバスバー110のターミナル114(ハウジング内のターミナル)とを溶接する。この溶接は、例えば、プロジェクション溶接等の抵抗溶接がなされる。この結果、板ばね120でコイル130が付勢された状態で、コイル130のターミナル112とバスバー110のターミナル114とが溶接されて、強固に結合される。
【0075】
本実施形態では、板ばね120のコイル130を押圧する弾性部120bを、基部120aから略並行に延設することにより、1方向の曲げ工程のみで簡便に製造することができ、製造コストを低減することができる。なお、本実施形態では、コイル付勢手段として板ばね120を例示しているが、これに限定されるものではなく、押圧力(弾性力)によってコイル130をハウジング102が装着される側に向かって押圧するものであればよい。
【0076】
また、本実施形態では、基部120aを平面視して略U字状に形成し、分断された両端部から弾性部120bが延設されることにより、コイル130に対して付与される弾性部120bの荷重設定を容易に行うことができる。なお、基部120aは、その一部が分断された形状であればよく、例えば、平面視して略C字状に形成されたものも含まれる。
【0077】
さらに、本実施形態では、基部150aを平面視して略O字状に形成し、基部150aの支点Bから弾性部150bが延設されることにより、弾性部150bへ付与される荷重を増大させることができる。なお、基部150aは、分断されることがなく連続した無端形状であればよい。
【0078】
さらにまた、本実施形態では、マスタシリンダ34のシリンダチューブ38に対してハウジング102を装着する際、電磁弁132の先端部が基部120aの中央を貫通することにより(図10(a)参照)、板ばね120が電磁弁132に干渉することを回避することができる。この結果、電磁弁駆動組立体として、必要以上に大型化することを抑制することができる。
【0079】
さらにまた、本実施形態では、ハウジング102(中間壁102b)の係止突起122に保持される孔部121が設けられることにより、コイル120とハウジング102との間に予め板ばね120を介装してコイル130を付勢した状態で、マスタシリンダ34のシリンダチューブ38に対してハウジング102を容易に装着することができる(図11参照)。
【0080】
また、板ばね120でコイル130を付勢した状態で、コイル130のターミナル112とハウジング102内のターミナル114との溶接を簡便に行うことができる。すなわち、図11(a)に示されるように、中間壁102bからマスタシリンダ34のシリンダチューブ38側へのガイド用突起124a、124bの突出寸法は、弾性変形前の板ばね120の高さ寸法(上下方向に沿った寸法)よりも大きく設定されているため、コイル130が板ばね120に当接する前の段階でコイル130の凸部136とガイド用突起124a、124bの凹部126とを容易に嵌合させることできる。
【0081】
コイル130の凸部136とガイド用突起124a、124bの凹部126とが嵌合した後、図11(b)に示されるように、ガイド用突起124a、124bの凹部126の案内作用によって板ばね120の弾性部120bがコイル130の上面(ヨークトップ134c)に当接する。
【0082】
さらに、図11(c)に示されるように、押圧力が付与されて板ばね120の弾性部120bが弾性変形した状態で、コイル130のターミナル112とハウジング102内のターミナル114との上下方向の位置が容易に位置決めされ、この位置決め状態を保持しながらコイル130とハウジング102内のターミナル112、114同士の溶接を簡便に行うことができる。
【0083】
なお、本実施形態においては、自動四輪車に好適に用いられるブレーキ制御装置100を例示しているが、前記した技術的特徴を自動二輪車に用いられるブレーキ制御装置に適用しても差し支えない。また、電磁弁駆動組立体の一例としてブレーキ制御装置100を示しているが、これに限定されるものではない。
【0084】
図12及び図13は、板ばねの他の実施形態を示した斜視図である。
図8及び図9に示される板ばね120では、基部120aが分断されて構成されているのに対し、この他の実施形態に係る板ばね150では、図12及び図13に示されるように、基部150aが平面視して略O字状に形成されている点で異なっている。基部150aを切れ目なく連続させることにより、弾性部150bが弾性変形したときのばね荷重(反力)を増大させることができる。なお、コイル付勢手段として機能する板ばねの形状は、図8及び図9に示される板ばね120の形状や図12及び図13に示される板ばね150の形状に限定されるものではなく、他の形状であってもよい。
【0085】
図14は、バスバーの他の実施形態を示した平面図である。
他の実施形態に係るバスバー110aは、図14に示されるように、ターミナル114以外の部位に拡幅部111を設けることにより、樹脂材料で形成された中間壁102bの補強強度をより一層増大させることができる。拡幅部111は、バスバー110aの他の部位よりも幅広に拡張して形成される。なお、図14中では、ハウジング102の中間壁102bを省略してバスバー110aが外部に露出した状態を示している。
【符号の説明】
【0086】
100 ブレーキ制御装置(車両用ブレーキ液圧制御装置)
102 ハウジング
112 ターミナル(コイルのターミナル)
114 ターミナル(ハウジング内のターミナル)
120、150 板ばね(コイル付勢手段)
120a、150a 基部
120b、150b 弾性部
121 孔部(保持部)
130 コイル
132 電磁弁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁弁と、前記電磁弁を駆動するコイルと、前記電磁弁及び前記コイルが配置されるハウジングとを有し、前記コイルのターミナルと前記ハウジング内のターミナルとが電気的に接続される電磁弁駆動組立体の電気接続構造において、
前記ハウジングと前記コイルとの間に、前記コイルを付勢するコイル付勢手段を備え、
前記コイル付勢手段は、前記ハウジングに取り付けられる基部と、前記基部から延設され前記コイルを押圧する弾性部と、
を有することを特徴とする電磁弁駆動組立体の電気接続構造。
【請求項2】
請求項1記載の電磁弁駆動組立体の電気接続構造において、
前記基部は、平面視して略U字状に形成され、
前記基部の両端部の各々から前記弾性部が延設されることを特徴とする電磁弁駆動組立体の電気接続構造。
【請求項3】
請求項1記載の電磁弁駆動組立体の電気接続構造において、
前記基部は、平面視して略O字状に形成されることを特徴とする電磁弁駆動組立体の電気接続構造。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載の電磁弁駆動組立体の電気接続構造において、
前記電磁弁は、前記基部の中央を貫通することを特徴とする電磁弁駆動組立体の電気接続構造。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の電磁弁駆動組立体の電気接続構造において、
前記コイル付勢手段は、前記ハウジングに保持される保持部を有することを特徴とする電磁弁駆動組立体の電気接続構造。
【請求項1】
電磁弁と、前記電磁弁を駆動するコイルと、前記電磁弁及び前記コイルが配置されるハウジングとを有し、前記コイルのターミナルと前記ハウジング内のターミナルとが電気的に接続される電磁弁駆動組立体の電気接続構造において、
前記ハウジングと前記コイルとの間に、前記コイルを付勢するコイル付勢手段を備え、
前記コイル付勢手段は、前記ハウジングに取り付けられる基部と、前記基部から延設され前記コイルを押圧する弾性部と、
を有することを特徴とする電磁弁駆動組立体の電気接続構造。
【請求項2】
請求項1記載の電磁弁駆動組立体の電気接続構造において、
前記基部は、平面視して略U字状に形成され、
前記基部の両端部の各々から前記弾性部が延設されることを特徴とする電磁弁駆動組立体の電気接続構造。
【請求項3】
請求項1記載の電磁弁駆動組立体の電気接続構造において、
前記基部は、平面視して略O字状に形成されることを特徴とする電磁弁駆動組立体の電気接続構造。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載の電磁弁駆動組立体の電気接続構造において、
前記電磁弁は、前記基部の中央を貫通することを特徴とする電磁弁駆動組立体の電気接続構造。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の電磁弁駆動組立体の電気接続構造において、
前記コイル付勢手段は、前記ハウジングに保持される保持部を有することを特徴とする電磁弁駆動組立体の電気接続構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−241846(P2012−241846A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114507(P2011−114507)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000226677)日信工業株式会社 (840)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000226677)日信工業株式会社 (840)
【Fターム(参考)】
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