説明

電磁弁

【課題】生産性を向上させることができるとともに、安価に製造することができる電磁弁を提供する。
【解決手段】電磁弁(常開型電磁弁1)は、弁座部材4と、弁座部材4に当接自在に進退する弁体部材5と、弁座部材4および弁体部材5を収容する筒状のボディ部3と、を備える。ボディ部3は、弁体部材5を進退自在に支持する筒状の第1ボディ部31と、当該第1ボディ部31とは別部品として構成され、弁座部材4を保持する筒状の第2ボディ部32とを有する。第1ボディ部31と第2ボディ部32は、第1ボディ部31の下端部の内側に第2ボディ部32の上端部が入って嵌合することで連結しており、当該嵌合部分において第1ボディ部31と第2ボディ部32の間に弁体部材5の進退方向に延びてボディ部3の内外を連通させる連通路R3を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁体部材を弁座部材に対して進退させることで流路の開閉を行う電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両用のアンチロックブレーキ装置などの流体の流れを制御する装置には、常開型電磁弁や常閉型電磁弁が適宜設けられている。このような電磁弁としては、弁座体と、弁座体に当接自在に進退する弁体と、弁座体および弁体を支持する略円筒状の固定コアとを備えたものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−360748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の電磁弁では、筒状の固定コアの側壁に切削加工などの機械加工によって、流体の流出口(貫通孔)や、係止部材や環状シール部材を配置するための凹部などを別工程にて形成するので、生産性を向上させることが難しかった。
【0005】
そこで、本発明は、生産性を向上させることができるとともに、安価に製造することができる電磁弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するための本発明は、弁座部材と、前記弁座部材に当接自在に進退する弁体部材と、前記弁座部材および前記弁体部材を収容する筒状のボディ部と、を備えた電磁弁であって、前記ボディ部は、前記弁体部材を進退自在に支持する筒状の第1ボディ部と、当該第1ボディ部とは別部品として構成され、前記弁座部材を保持する筒状の第2ボディ部とを有し、前記第1ボディ部と前記第2ボディ部は、一方の端部の内側に他方の端部が入って嵌合することで連結しており、当該嵌合部分において前記第1ボディ部と前記第2ボディ部の間に前記弁体部材の進退方向に延びて前記ボディ部の内外を連通させる連通路を有することを特徴とする。
【0007】
このような電磁弁によれば、別部品として構成された第1ボディ部と第2ボディ部が嵌合することで連結し、当該嵌合部分において第1ボディ部と第2ボディ部の間に連通路を有することで、1部品として構成された筒状のボディ部(固定コア)に別工程の穿孔加工などで貫通孔を形成する従来の電磁弁と比較して、生産性を向上させることができる。また、その結果として、生産コストを抑制することもできる。
【0008】
また、前記した電磁弁において、前記連通路は、前記嵌合部分において前記第1ボディ部と前記第2ボディ部が対面する面の少なくとも一方の面に形成された溝により形成することができる。
【0009】
これによれば、簡単な形状でボディ部の内外を良好に連通させることができる。また、このような溝は、第1ボディ部や第2ボディ部を圧造や鍛造などで形成するときに、第1ボディ部や第2ボディ部の本体部分と同時に形成することができるので、生産性をより向上させることができる。
【0010】
また、前記した各電磁弁において、前記第1ボディ部と前記第2ボディ部は、一方の端部が拡径しており、当該拡径した部分の内側に他方の端部が嵌合することが望ましい。具体的には、例えば、前記第1ボディ部の一端部が拡径しており、当該拡径した部分の内側に前記第2ボディ部の一端部が嵌合する構成とすることができる。
【0011】
これによれば、拡径させた第1ボディ部または第2ボディ部が、圧造や鍛造で形成しやすくなるので、生産性をより向上させることができる。
【0012】
また、前記した各電磁弁において、前記第1ボディ部と前記第2ボディ部のそれぞれの外周面は、一端から他端に向けて、または、両端から前記弁体部材の進退方向における途中部分に向けて、徐々に拡径していることが望ましい。
【0013】
これによれば、第1ボディ部や第2ボディ部が、圧造や鍛造などにより形成しやすくなるので、生産性をより向上させることができる。また、生産コストをより抑制することができる。
【0014】
また、前記した各電磁弁において、前記第2ボディ部は、前記第1ボディ部とともに前記弁体部材を進退自在に支持する構成とすることができる。
【0015】
これによれば、第2ボディ部が弁座部材と弁体部材の両方を同軸で確実に支持することになるので、弁座部材と弁体部材の位置関係の精度を向上させることができる。
【0016】
また、前記した第2ボディ部が弁体部材を支持する構成において、前記弁体部材の外周面には、前記弁体部材の進退方向に延び、前記第2ボディ部の内部と前記連通路とを連通させる溝が形成された構成とすることができる。
【0017】
これによれば、簡単な構成で第2ボディ部の内部と連通路とを連通させることができる。また、このような溝は、弁体部材を製造するときに同時に形成することができるので、後から溝を切削加工などで形成する場合と比較して、生産性を向上させることができる。
【0018】
また、前記した第2ボディ部が弁体部材を支持する構成において、前記第2ボディ部の内周面に、前記弁体部材の進退方向に延び、当該第2ボディ部の内部と前記連通路とを連通させる溝が形成されていてもよい。
【0019】
これによっても、簡単な構成で第2ボディ部の内部と連通路とを連通させることができる。また、弁体部材の進退方向に延びる溝は、例えば、第2ボディ部を圧造や鍛造などで形成するときに、第2ボディ部の本体部分と同時に形成することができるので、生産性を向上させることができる。
【0020】
また、前記した各電磁弁において、前記第1ボディ部と前記第2ボディ部は、一方が他方に圧入される構成とすることができる。
【0021】
これによれば、電磁弁の組立工程において、第1ボディ部と第2ボディ部を組んだ状態に維持しておくことができるので取り扱いが容易となり、生産性をより向上させることができる。
【0022】
また、前記した各電磁弁は、前記第1ボディ部または前記第2ボディ部の外周面に嵌合するリング状の嵌合部材を備え、前記外周面と前記嵌合部材とによって形成される隅部にシール部材が配置される構成とすることができる。
【0023】
これによれば、切削加工などによりシール部材などを配置するための凹部を形成する必要がなくなり、さらに、第1ボディ部や第2ボディ部を簡易な形状とできるので、圧造や鍛造などで形成しやすくすることができる。これにより、生産性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の電磁弁によれば、別部品として構成された第1ボディ部と第2ボディ部が嵌合することで連結し、当該嵌合部分において第1ボディ部と第2ボディ部の間に連通路を有することで、従来の電磁弁と比較して、生産性を向上させることができるとともに、安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態に係る常開型電磁弁の縦断面図である。
【図2】ボディ部とその周辺の構成を示す拡大断面図である。
【図3】図2のX−X断面図である。
【図4】第2実施形態に係る常開型電磁弁の縦断面図である。
【図5】図4のY−Y断面図である。
【図6】第3実施形態に係る常開型電磁弁を示す図4のY−Y断面図に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態では、本発明を常開型電磁弁に適用した例について説明する。以下の説明においては、まず、実施形態に係る常開型電磁弁の概略構成について説明した後、本発明の特徴部分に係る構成について詳細に説明する。
【0027】
図1に示すように、常開型電磁弁1は、アンチロックブレーキ装置などの基体Bに形成された流路Rの閉塞および開放を切り替えるための弁であり、ボディ部3(固定コア)と、弁座部材4と、弁体部材5と、リターンスプリング6と、可動コア7と、コイルユニット8と、嵌合部材の一例としてのプラグ9とを主に備えて構成されている。
【0028】
この常開型電磁弁1は、図1に示す通常時は、リターンスプリング6の付勢力により弁体部材5が弁座部材4から離れており、下方(説明の便宜上、上下は図1を基準とする。)に繋がる流路R1から側部に繋がる流路R2への作動液(流体)の流れを許容している。そして、コイルユニット8への通電により弁体部材5が弁座部材4に当接すると、流路Rが閉塞されて作動液の流れが遮断される。また、流路Rを閉塞した状態からコイルユニット8への通電が遮断されると、リターンスプリング6により弁体部材5が弁座部材4から離され、流路Rが開放されて再び作動液の流れが許容される。
【0029】
ボディ部3は、上下に貫通した略円筒状の部材であり、内部に弁座部材4および弁体部材5を収容している。このボディ部3は、弁体部材5を支持する第1ボディ部31と、弁座部材4を保持する第2ボディ部32とを有している。ボディ部3の詳細な構成については後述する。
【0030】
弁座部材4は、上下に貫通した略円筒状の部材であり、第2ボディ部32の内部に下側(可動コア7とは反対側)から圧入されて固定(保持)されている。弁座部材4の上面には、流路Rを閉塞するときに弁体部材5が当接する弁座面41が形成されている。常開型電磁弁1(弁座部材4と第2ボディ部32の内周)の弁座面41の底から下側の部分は、基体Bの流路R1と連通しており、流路R1から作動液が流入する流入路42となっている。
【0031】
弁体部材5は、上下に長い略円柱状の部材であり、先端に設けられた球状の弁体51と、棒状の軸部52(リテーナ)とから主に構成されている。弁体51は、軸部52の先端に設けられた穴部(符号省略)に挿入され、この穴部の周囲を軸部52の径方向内側に向けてかしめることで、軸部52の先端に固定されている。
【0032】
このような弁体部材5は、第1ボディ部31に対し上下に摺動自在に支持されている。これにより、弁体部材5(弁体51)が弁座部材4の弁座面41に対して当接自在に進退するようになっている。
【0033】
軸部52の外周面53には、上下方向に延びる複数(図3参照)の溝53aが全長にわたって形成されている。この溝53aは、弁体部材5が上下動したときに、弁体部材5の上下にある作動液を移動可能とすることで、弁体部材5の動きをスムーズにしている。
【0034】
リターンスプリング6は、第2ボディ部32内において弁座部材4と弁体部材5の間に設けられており、弁体部材5を弁座部材4から離間させる付勢力を発生させている。弁体部材5は、リターンスプリング6の付勢力によって上方に付勢されているので、軸部52の上面54は、可動コア7の下面71と当接している。
【0035】
可動コア7は、磁性体からなる略円柱状の部材であり、弁体部材5の上に配置されている。可動コア7は、ボディ部3(第1ボディ部31)の上端部31cに固定された有底円筒状のガイド筒72内に収容されており、このガイド筒72に対し上下に摺動自在に支持されている。
【0036】
コイルユニット8は、ボディ部3(第1ボディ部31)およびガイド筒72を取り囲むように配設されている。このコイルユニット8は、略円筒状のボビン81と、ボビン81に巻回されたコイル82とから主に構成されている。
【0037】
以上のように構成された常開型電磁弁1の動作について簡単に説明すると、コイルユニット8への通電がなされない状態では、リターンスプリング6の付勢力により弁体部材5が弁座部材4から離間するので、流路R1と流路R2が連通し、作動液の流れが許容される。一方、コイルユニット8へ通電がなされて励磁されると、コイルユニット8内で可動コア7を通るように上下に磁束が形成され、可動コア7がボディ部3側へ移動する。これにより、可動コア7が弁体部材5を押し、この力がリターンスプリング6の付勢力と作動液の液圧を上回ることで、弁体部材5が下方へ移動する。その結果、弁体51が弁座面41に当接し、流路R1と流路R2が閉塞され、作動液の流れが遮断される。
【0038】
次に、本発明の特徴部分であるボディ部3とその周辺の詳細な構成について説明する。
図2に示すように、ボディ部3は、弁体部材5を進退自在に支持する第1ボディ部31と、当該第1ボディ部31とは別部品として構成された第2ボディ部32とから主に構成されている。
【0039】
第1ボディ部31は、上下に貫通した略円筒状をなしており、外周面31aが上端(一端)から下端(他端)に向けて徐々に拡径している。より具体的に、第1ボディ部31は、その外周面31aが上端部31cから下端部31dに向けて段階的に拡径しており、上から下に向けて順に径が大きくなる複数の円筒を積み重ねたような形状をなしている。また、第1ボディ部31の内周面31bは、上端部31cから下方に向けて上下方向に沿って略真っ直ぐに延びた後、下側部分が拡径している。このような外周面31aおよび内周面31bの形状により、第1ボディ部31は、下端部31d(一端部)が上端部31cよりも拡径している。
【0040】
第2ボディ部32は、上下に貫通した略円筒状をなしており、外周面32aが両端から上下方向(弁体部材5の進退方向)における中央部32e(途中部分)に向けて徐々に拡径している。より具体的に、第2ボディ部32の外周面32aは、上端部32cから下方に向けて上下方向に沿って略真っ直ぐに延びた後、途中で中央部32e(径が最大となる部分)に向けて拡径している。また、第2ボディ部32の外周面32aは、下端部32dから中央部32eに向けて段階的に拡径しており、径が異なる円筒を積み重ねたような形状をなしている。一方、第2ボディ部32の内周面32bは、下端部32dから上方に向けて上下方向に沿って略真っ直ぐに延びた後、上端部32c(弁座部材4よりも上側の部分)で若干拡径している。
【0041】
第2ボディ部32の外周面32aのうち、上端から所定範囲の一定直径の部分には、図3に示すように、上下方向に延びる3つ(複数)の溝32fが形成されている。本実施形態において、3つの溝32fは、外周面32aの周方向において等間隔に形成されている。
【0042】
このような第1ボディ部31および第2ボディ部32は、圧造や鍛造などにより形成することが可能なので、筒状の部材を切削加工などして形成する場合と比較して、生産性を向上させることができ、生産コストを抑制することができる。
【0043】
第1ボディ部31と第2ボディ部32は、図2に示すように、互いに嵌合することで連結している。より具体的に、第1ボディ部31と第2ボディ部32は、第1ボディ部31の下端部31d(拡径した部分)の内側に、第2ボディ部32の上端部32c(一端部)が入って嵌合することで連結している。
【0044】
このとき、第2ボディ部32の上端部32c(一方)は、第1ボディ部31の下端部31dの内側(他方)に圧入されている。これにより、常開型電磁弁1の組立工程において、第1ボディ部31と第2ボディ部32を組んだ状態に維持できるので取り扱いが容易となり、生産性をより向上させることが可能となる。
【0045】
第1ボディ部31と第2ボディ部32が連結すると、第1ボディ部31と第2ボディ部32の嵌合部分における、第1ボディ部31の内周面31bと第2ボディ部32の外周面32aの間に、第2ボディ部32の外周面32aに形成された溝32fによって連通路R3が形成される。
【0046】
連通路R3は、上下方向(弁体部材5の進退方向)に延びてボディ部3の内外を連通させている。図2に矢印で示すように、通常時において、流入路42を通ってボディ部3の内部に流入した作動液は、弁座部材4と弁体部材5の間を通り、さらにこの連通路R3を通って、ボディ部3の外部に流出する。
【0047】
ボディ部3の側壁には、連通路R3の出口部分を覆うように配置された筒状のフィルタ33が設けられている。また、第2ボディ部32の下端部32dには、流入路42の入口部分を覆うようにフィルタ34が設けられている。連通路R3や流入路42において、作動液は、ボディ部3の内部から外部に向けて流出する方向と、ボディ部3の外部から内部に向けて流入する方向との両方向に流れるため、フィルタ33,34を設けることにより、ボディ部3の外部から内部に向けて流入する作動液中の異物を除去し、常開型電磁弁1内への異物の流入を防止している。
【0048】
プラグ9は、リング状に形成された部材であり、第1ボディ部31の外周面31aに嵌合している。より詳細に、プラグ9は、第1ボディ部31に上側(可動コア7が配置された側)から取り付けられ、第1ボディ部31の下端部31d(拡径した部分)に係止されている。このプラグ9の下面と、第1ボディ部31の外周面31aと、フィルタ33の上面とによって形成される凹み部分、より詳細には、外周面31aとプラグ9とによって形成される隅部3aには、図1に示すように、シール部材の一例としてのOリングS1が配置される。
【0049】
このようにプラグ9を取り付けて凹み部分(隅部3a)を形成することで、第1ボディ部31の外周面31aに切削加工などにより凹部を形成する必要がなくなり、さらに、第1ボディ部31を簡易な形状とできるので、圧造や鍛造などで形成しやすくすることができる。これにより、生産性を向上させることができる。
【0050】
以上説明した常開型電磁弁1は、図1に示すように、基体Bの挿入穴B1に挿入され、挿入穴B1に形成された溝B2とプラグ9との間に係合したリング状の係止部材11によって基体Bから脱落しないように固定される。第2ボディ部32の下端部32dと基体Bとの間には、シール部材S2が配置されている。シール部材S2は、流路R2側から流路R1への作動液の流入のみを許容するチェック弁を構成している。
【0051】
以上によれば、本実施形態において以下のような作用効果を得ることができる。
別部品として構成された第1ボディ部31と第2ボディ部32が嵌合することで連結し、当該嵌合部分において第1ボディ部31と第2ボディ部32の間に連通路R3を有することで、1部品として構成された筒状のボディ部3に穿孔加工などで貫通孔を形成する場合と比較して、生産性を向上させることができる。また、その結果、生産コストを抑制することもできる。
【0052】
嵌合部分において第1ボディ部31と第2ボディ部32が対面する面の一方の面(第2ボディ部32の外周面32a)に溝32fを形成するという簡単な構成で連通路R3を形成でき、ボディ部3の内外を良好に連通させることができる。また、上下方向に延びる溝32fは、第2ボディ部32を圧造や鍛造などで形成するときに、第2ボディ部32の本体部分と同時に形成できるので、生産性をより向上させることができる。
【0053】
第1ボディ部31の下端部31dが拡径しており、当該拡径した部分の内側に第2ボディ部32の上端部32cが嵌合する構成なので、拡径させた第1ボディ部31が圧造や鍛造で形成しやすくなっており、生産性をより向上させることができる。
【0054】
第1ボディ部31の外周面31aは一端から他端に向けて徐々に拡径し、第2ボディ部32の外周面32aは両端から中央部32eに向けて徐々に拡径しているので、圧造や鍛造などによって形成しやすくなっており、生産性をより向上させることができる。また、生産コストをより抑制することができる。
【0055】
第2ボディ部32が第1ボディ部31に圧入されるので、組立工程において第1ボディ部31と第2ボディ部32を組んだ状態に維持しておくことが可能となるため、取り扱いが容易となり、生産性をより向上させることができる。
【0056】
プラグ9を取り付けることで形成される隅部3aにOリングS1を配置できるので、ボディ部3に切削加工などにより凹部を形成する必要がなくなり、さらに、ボディ部3を簡易な形状とできるので、圧造や鍛造などで形成しやすくできる。これにより、生産性を向上させることができる。
【0057】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下説明する実施形態では、先に説明した実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付して、その説明を省略することとする。
【0058】
図4に示すように、本実施形態の常開型電磁弁1は、ボディ部3と、弁座部材4と、弁体部材5と、リターンスプリング6と、可動コア7と、コイルユニット8と、プラグ9とを主に備えて構成されている。そして、ボディ部3は、第1ボディ部31と、第2ボディ部32とを有している。
【0059】
本実施形態の第2ボディ部32は、内周面32bが、弁体部材5の外周面53と摺接している。これにより、第2ボディ部32は、第1ボディ部31とともに弁体部材5を摺動(進退)自在に支持している。このような構成によれば、第2ボディ部32が弁座部材4と弁体部材5の両方を同軸で確実に支持することになるので、弁座部材4と弁体部材5の位置関係の精度を向上させることができる。
【0060】
また、本実施形態において、弁体部材5(軸部52)の外周面53には、図5に示すように、第2ボディ部32の内部と連通路R3とを連通させるため、上下方向(弁体部材5の進退方向)に延びる複数の溝53aが形成されている。このような溝53aは、弁体部材5を製造するときに同時に形成できるので、後から溝を切削加工などで形成する場合と比較して、生産性を向上させることができる。
【0061】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
前記した第2実施形態では、第2ボディ部32の内部と連通路R3とを連通させる溝を弁体部材5の外周面53に形成した。本実施形態は、第2ボディ部32の内部と連通路R3とを連通させる溝を第2ボディ部32の内周面32bに形成した形態である。
【0062】
具体的に、第2ボディ部32の内周面32bのうち弁体部材5と対面する面(弁座面41よりも上側の部分(図4参照))には、図6に示すように、弁体部材5の進退方向に延びる複数の溝32gが形成されている。このような溝32gは、第2ボディ部32を圧造や鍛造などで形成するときに、第2ボディ部32の本体部分と同時に形成できるので、生産性を向上させることができる。
【0063】
なお、前記第2実施形態および本実施形態では、弁体部材5の外周面53と第2ボディ部32の内周面32bのいずれかに、第2ボディ部32の内部と連通路R3とを連通させる溝が形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、第2ボディ部の内部と連通路とを連通させる溝は、弁体部材の外周面と第2ボディ部の内周面の両方に形成されていてもよい。この場合、弁体部材に形成した溝と第2ボディ部に形成した溝は、互いに向かい合っていてもよいし、弁体部材の周方向にずれていてもよい。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0065】
前記実施形態では、連通路R3は、嵌合部分において第1ボディ部31と第2ボディ部32が対面する面のうち、第2ボディ部32の外周面32aに形成された溝32fであったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、連通路を形成する溝は第1ボディ部に形成されていてもよい。また、連通路を形成する溝は第1ボディ部と第2ボディ部の両方に形成されていてもよい。この場合、第1ボディ部に形成した溝と第2ボディ部に形成した溝は、互いに向かい合っていてもよいし、ボディ部の周方向にずれていてもよい。なお、溝(連通路)の数は、3つに限定されず、1つであってもよいし、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0066】
前記実施形態では、第1ボディ部31の一端部が拡径しており、当該拡径した部分の内側に第2ボディ部32の一端部が嵌合していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第2ボディ部の一端部が拡径しており、当該拡径した部分の内側に第1ボディ部の一端部が嵌合していてもよい。また、第1ボディ部と第2ボディ部は、一方の端部が縮径しており、当該縮径した部分が他方の端部の内側に嵌合していてもよい。
【0067】
前記実施形態では、第1ボディ部31の外周面31aが一端から他端に向けて徐々に拡径し、第2ボディ部32の外周面32aが両端から弁体部材5の進退方向における途中部分に向けて徐々に拡径していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1ボディ部の外周面が両端から途中部分に向けて徐々に拡径し、第2ボディ部の外周面が一端から他端に向けて徐々に拡径していてもよい。また、第1ボディ部と第2ボディ部のそれぞれの外周面が両方とも一端から他端に向けて徐々に拡径していてもよいし、それぞれの外周面が両方とも両端から途中部分に向けて徐々に拡径していてもよい。
【0068】
前記実施形態では、第2ボディ部32が第1ボディ部31に圧入されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第2ボディ部の端部が拡径しており、当該拡径した部分の内側に第1ボディ部の端部が嵌合する構成の場合には、第1ボディ部が第2ボディ部に圧入されていてもよい。また、第1ボディ部と第2ボディ部は圧入されていなくてもよい。
【0069】
前記実施形態では、プラグ9(嵌合部材)が第1ボディ部31の外周面31aに嵌合していたが、本発明はこれに限定されず、第2ボディ部の外周面に嵌合していてもよい。また、嵌合部材を複数備える場合には、第1ボディ部と第2ボディ部の両方に嵌合していてもよいし、一方のみに嵌合していてもよい。
【0070】
前記実施形態で示した弁座部材4や弁体部材5の構成は一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、弁座部材や弁体部材の具体的な構成は、本発明の趣旨を逸脱しない限りで適宜変更することができる。
【0071】
前記実施形態では、本発明を常開型電磁弁1に適用したが、本発明はこれに限定されず、常閉型電磁弁に適用してもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 常開型電磁弁
3 ボディ部
3a 隅部
4 弁座部材
5 弁体部材
9 プラグ
31 第1ボディ部
31a 外周面
31b 内周面
31c 上端部
31d 下端部
32 第2ボディ部
32a 外周面
32b 内周面
32c 上端部
32d 下端部
32e 中央部
32f 溝
R3 連通路
S1 Oリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁座部材と、
前記弁座部材に当接自在に進退する弁体部材と、
前記弁座部材および前記弁体部材を収容する筒状のボディ部と、を備えた電磁弁であって、
前記ボディ部は、前記弁体部材を進退自在に支持する筒状の第1ボディ部と、当該第1ボディ部とは別部品として構成され、前記弁座部材を保持する筒状の第2ボディ部とを有し、
前記第1ボディ部と前記第2ボディ部は、一方の端部の内側に他方の端部が入って嵌合することで連結しており、当該嵌合部分において前記第1ボディ部と前記第2ボディ部の間に前記弁体部材の進退方向に延びて前記ボディ部の内外を連通させる連通路を有することを特徴とする電磁弁。
【請求項2】
前記連通路は、前記嵌合部分において前記第1ボディ部と前記第2ボディ部が対面する面の少なくとも一方の面に形成された溝であることを特徴とする請求項1に記載の電磁弁。
【請求項3】
前記第1ボディ部と前記第2ボディ部は、一方の端部が拡径しており、当該拡径した部分の内側に他方の端部が嵌合することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電磁弁。
【請求項4】
前記第1ボディ部は、一端部が拡径しており、当該拡径した部分の内側に前記第2ボディ部の一端部が嵌合することを特徴とする請求項3に記載の電磁弁。
【請求項5】
前記第1ボディ部と前記第2ボディ部のそれぞれの外周面は、一端から他端に向けて、または、両端から前記弁体部材の進退方向における途中部分に向けて、徐々に拡径していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電磁弁。
【請求項6】
前記第2ボディ部は、前記第1ボディ部とともに前記弁体部材を進退自在に支持していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電磁弁。
【請求項7】
前記弁体部材の外周面には、前記弁体部材の進退方向に延び、前記第2ボディ部の内部と前記連通路とを連通させる溝が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の電磁弁。
【請求項8】
前記第2ボディ部の内周面には、前記弁体部材の進退方向に延び、当該第2ボディ部の内部と前記連通路とを連通させる溝が形成されていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の電磁弁。
【請求項9】
前記第1ボディ部と前記第2ボディ部は、一方が他方に圧入されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の電磁弁。
【請求項10】
前記第1ボディ部または前記第2ボディ部の外周面に嵌合するリング状の嵌合部材を備え、
前記外周面と前記嵌合部材とによって形成される隅部にシール部材が配置されることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の電磁弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−41976(P2012−41976A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183365(P2010−183365)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000226677)日信工業株式会社 (840)
【Fターム(参考)】