電荷転送装置、固体撮像装置およびそれらの製造方法
【課題】本発明の目的は、取り扱い電荷量の増大や転送効率の改善ができると共に、読出し電圧の上昇を低減することにより、寿命を延ばす、あるいは、寿命が同一で、読出し電圧の低減を図ることが可能なCCD型固体撮像装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る固体撮像装置は、半導体基板と、前記半導体基板上に積層された第1酸化膜と、前記第1酸化膜上に配列されている複数の第1ゲート電極との間に第1窒化膜と第2酸化膜とを備え、隣接した前記第1ゲート電極間に形成されており、前記第1酸化膜と第2窒化膜あるいは第3酸化膜、あるいは第2窒化膜と第3酸化膜との複合膜により前記半導体基板と分離された複数の第2ゲート電極とを備え、前記第1窒化膜と前記第2窒化膜とは異なる厚さで、かつ前記第2酸化膜と第3酸化膜とも異なる厚さに形成した。
【解決手段】本発明に係る固体撮像装置は、半導体基板と、前記半導体基板上に積層された第1酸化膜と、前記第1酸化膜上に配列されている複数の第1ゲート電極との間に第1窒化膜と第2酸化膜とを備え、隣接した前記第1ゲート電極間に形成されており、前記第1酸化膜と第2窒化膜あるいは第3酸化膜、あるいは第2窒化膜と第3酸化膜との複合膜により前記半導体基板と分離された複数の第2ゲート電極とを備え、前記第1窒化膜と前記第2窒化膜とは異なる厚さで、かつ前記第2酸化膜と第3酸化膜とも異なる厚さに形成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電荷転送装置、固体撮像装置およびそれらの製造方法に関し、特に、ゲート絶縁膜に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ、また、携帯電話に代表される携帯端末装置のカメラモジュールの撮像装置として固体撮像装置の需要が拡大している。
当該固体撮像装置では、更なる画質の向上、更なる低消費電力化の要求が強く、当該要求に応えるため、ノイズを抑制し、駆動電圧を低減する必要がある。
近年の固体撮像装置はMOS型とCCD型とに大別できるが、開発の歴史的沿革から、市場においてはCCD型の固体撮像装置が大勢を占める。
【0003】
インターライントランスファ方式を採用した第1の従来のCCD型(以下、「IT−CCD型」という。)固体撮像装置における垂直CCDでは、図8に示すように垂直CCDのうち一画素に相当する領域において、半導体基板101の主面にシリコン酸化膜102、シリコン窒化膜103、シリコン酸化膜104,106がこの順に積層されてなるゲート絶縁膜が配設され、シリコン酸化膜104の主面に第1ゲート電極105が、シリコン酸化膜106の主面に第2ゲート電極108がそれぞれ配設されている。第1のゲート電極105は電荷転送専用であり、第2のゲート電極108は受光部からの電荷の読み出しと読み出された電荷を転送する機能を併せ持つ。図示を省略しているが、半導体基板101は信号転送路を備えている。
【0004】
当該ゲート絶縁膜では、製造工程上、各ゲート電極直下の領域ごとに膜厚差が生じることによって起こるノイズの発生等を抑制するため、いわゆるONO構造を採用することが趨勢となっている(特許文献1参照)。
シリコン酸化膜102,104,106がシリコン窒化膜103を挟むようにこれらを積層させてなる、いわゆるONO構造のゲート絶縁膜では、受光部から垂直CCDに信号電荷を読み出す度にホットエレクトロン効果によって電子がシリコン窒化膜103内にトラップされるという弊害がある。
【0005】
この弊害は、図9に示した読み出し電圧増加量と使用時間との関係を表す特性図から分かるように、製造ロットによって多少のずれが生じるものの、従来の固体撮像装置において、使用時間の経過とともに信号電荷を読出すために必要な電圧を上昇させる。したがって、次第に規定の読み出し電圧では、受光部から垂直CCDへの信号電荷の読出しを困難にして、画質の劣化を発生させ、CCD型固体撮像装置に対する高画質化の要求に反するという問題を引き起こす。
【特許文献1】特開平4−335572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この問題を解決する手段として、読み出し時の固体撮像装置の駆動電圧を上げることも考えられるが、この手段を採用すると、低消費電力化の要求に逆行するだけでなくCCD型固体撮像装置においては電界が強くなることによる白キズの増加などの弊害が生じて画質向上の要求に反する。これに対して発明者は、図10に示した読み出し電圧増加量とシリコン窒化膜の膜厚との関係を示す特性図から分かるように、シリコン窒化膜103の膜厚を薄くすることによって信号電荷読出し電圧の上昇を抑制できることを見出した。
【0007】
しかし、あまりにシリコン窒化膜103を薄くすると、垂直CCDを構成する半導体基板101のポテンシャルが隣接電極によるフリンジ電界の影響を受けにくくなり、垂直CCDにおいて電荷を転送させる際、ドリフトを支配的にして規定時間内に電荷を転送することが困難になって画質の向上に反する。逆に規定時間内に転送するには高い電圧を印加する必要が生じ、低消費電力化の要求に反する。
【0008】
そこで、図11(b)に示すように、第1の従来のIT−CCD型固体撮像装置に比べて当該ポテンシャルの過度の変化を抑制するためにシリコン窒化膜203を覆うシリコン酸化膜204,206を厚く配設した。なお、図11(a)は、第2の従来のIT−CCD型固体撮像装置の一画素306を示す概略構成図であり、同図(b)は、図11(a)にて示すA断面を矢視した概略断面図である。
【0009】
すると、図12(b)に示すように、第1ゲート電極205を形成した後の酸化工程において、第1ゲート電極205の端がゲート絶縁膜と反対の方向に向けて反った状態になることが顕著に現れた。
これにより第1の従来のIT−CCD型固体撮像装置の垂直CCDに比べてシリコン酸化膜204の膜厚の均一な領域が顕著に減少し、すなわち電荷転送のために電極に要求される実効的な面積がC領域からD領域に顕著に減少して、第1の従来の垂直CCDに比べて第2の従来の垂直CCDにおいて取り扱い可能な電荷量が顕著に減少し、画質の劣化を誘発するという新たな問題が発生した。図12(a)は、第2の従来のCCD型固体撮像装置の一画素306を示す概略構成図であり、同図(b)は、図12(a)にて示すB断面を矢視した概略断面図である。
【0010】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、CCD型固体撮像装置に適用した場合に信号電荷読出し電圧の上昇を低減でき、かつ、取り扱い電荷量の減少を抑制して画質の劣化を抑制することのできる電荷転送装置とその製造方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る電荷転送装置では、半導体基板の上面に第1の絶縁膜を積層させ、その上に、第1ゲート電極と、第2ゲート電極とを電荷転送方向に交互に並んだ状態で積層させ、上記第1ゲート電極と上記第2ゲート電極との間には、第2の絶縁膜が介在する構造を備えた電荷転送装置に対し、上記第1の絶縁膜では、窒化膜の上に酸化膜を積層した構成を有するようにし、上記酸化膜においては、上記窒化膜と上記第1ゲート電極との間に介在する部分の第1の厚みと、上記窒化膜と上記第2ゲート電極との間に介在する部分の第2の厚みとを異ならせ、かつ上記窒化膜においては、上記第1ゲート電極直下の部分の第3の厚みと、上記第2ゲート電極直下の部分の第4の厚みとを異ならせた。
【0012】
本発明に係る電荷転送装置の製造方法では、半導体基板の一方の主面上に窒化膜を形成するステップと、上記窒化膜上にその主面に沿う1軸方向に点在するように第1の酸化膜と第1ゲート電極とをこの順に積重ねた状態で形成するステップと、上記第1ゲート電極の露出面から上記窒化膜の露出面に亘って酸素ラジカルを用いて当該露出面を酸化することのみによって第2の酸化膜を、上記第1の酸化膜の厚みと比べて少なくとも上記窒化膜上の部分の厚みが大きくなるように形成するステップと、上記第1ゲート電極と隣接するように上記第2の酸化膜の露出面に第2ゲート電極を上記1軸方向に形成するステップとを含ませた。
【0013】
また、本発明に係る電荷転送装置の製造方法では、半導体基板の一方の主面上に窒化膜を形成するステップと、上記窒化膜上にその主面に沿う一軸方向に点在するように第1の酸化膜と第1ゲート電極とをこの順に積重ねた状態で形成するステップと、上記窒化膜の露出面から第1ゲート電極の露出面に亘って酸素ラジカルを用いた酸化法を用いて酸化した後パイロ酸化法を用いて当該露出面を酸化し、あるいはこの逆の順序で当該露出面を酸化することによって第2の酸化膜を、上記第1の酸化膜の厚みと比べて少なくとも上記窒化膜上の部分の厚みが大きくなるように形成するステップと、上記第1ゲート電極と隣接するように上記第2の酸化膜の露出面に第2ゲート電極を上記1軸方向に形成するステップとを含ませた。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、上記第1の絶縁膜を構成する上記酸化膜、上記窒化膜それぞれの厚みを、面内均一にせず、上記第1ゲート電極に覆われた部分と上記第2ゲート電極に覆われた部分とで、異なるようにしたので、上記窒化膜の厚みを上記各部分でホットエレクトロン効果に起因する弊害を抑制できる厚みに調整できると共に、上記酸化膜の厚みを上記各部分で電極の反りを抑制できる厚みに調整することができ、したがって、両方の問題を同時に解決することができる。
【0015】
従来の各電荷転送装置を固体撮像装置に適用した場合、それぞれにおいてゲート絶縁膜を構成する酸化膜、窒化膜各々の厚みを面内均一に調整していたので、信号電荷読み出し電圧の上昇を抑制できるように窒化膜の厚みを減らすと、それに伴って容量維持の観点から酸化膜の厚みを増さなければならず、既述の取り扱い電荷量の減少という弊害が発生する。逆に取り扱い電荷量の減少を抑制するには酸化膜の厚みを減らせばよいが、それに伴って容量維持の観点から窒化膜の厚みを増さなければならず、信号電荷読み出し電圧の上昇を招く。
【0016】
これに対して本発明では、第1ゲート電極直下と、第2ゲート電極直下とで酸化膜、窒化膜それぞれの厚みの適値が異なることに着目し、上記第1の絶縁膜を構成する酸化膜ならびに窒化膜それぞれの厚みを個別に適値に調整できる構成としたので、本発明では上記各弊害を同時に抑制することができる。
具体的には、本発明に係る電荷転送装置を固体撮像装置に組み込み、上記第2ゲート電極を、上記光電変換素子に蓄積された電荷を上記電荷転送路に読み出すゲート電極に割り当て、上記第1ゲート電極を電荷転送用のゲート電極に割り当てて駆動させた場合、上記窒化膜のうち、上記第2ゲート電極直下の部分の厚みを、上記第1ゲート電極直下の部分の厚みに比べて小さくすると、上記ホットエレクトロン効果が生じる部分に対応する上記窒化膜部分のみの厚みを減らすことができるので、第1の従来のIT−CCD型固体撮像装置と比べて、ホットエレクトロン効果によって発生した電荷が上記窒化膜にトラップされることを抑制できる。
【0017】
また、この場合に、上記酸化膜のうち、上記第1ゲート電極と上記窒化膜との間に介在する部分の厚みを、上記第2ゲート電極と上記窒化膜との間に介在する部分の厚みに比べて小さくすると、既述の取り扱い電荷量の減少を招く上記酸化膜部分の厚みのみを減らすことができるので、上記第1ゲート電極と上記第2ゲート電極との間に介在する第2の絶縁膜を、具体的には第2絶縁膜を酸化膜で形成する際に、上記第1ゲート電極と窒化膜との間に介在する酸化膜部分を透過する酸素原子の量を抑制することができ、第2の従来のIT−CCD型固体撮像装置と比べて、電極の反りを抑制することができる。
【0018】
したがって、本発明に係る電荷転送装置を固体撮像装置に組み込んだ場合には、第1の従来のIT−CCD型固体撮像装置と比べて、光電変換素子から信号電荷を読み出す際に印加する電圧の経時的上昇を抑制することができ、かつ第2の従来のIT−CCD型固体撮像装置と比べて、取り扱い電荷量の減少を抑制して画質の劣化を抑制することができる。
【0019】
上記酸化膜のうち上記第1ゲート電極と上記窒化膜との間に介在する部分の厚みを上記第2ゲート電極と上記窒化膜との間に介在する部分の厚みより小さく、上記窒化膜のうち上記第1ゲート電極直下の部分の厚みを上記第2ゲート電極直下の部分の厚みより大きくすると、上記第1ゲート電極と上記半導体基板との間の静電容量と、上記第2ゲート電極と上記半導体基板との間の静電容量とを略等しくすることが可能になり、転送効率の低下を抑制することができて、好ましい。
【0020】
上記第1ゲート電極が、上記電荷転送路に沿って電荷を転送する機能を併せ持っていても、上記効果と同様の効果を奏することができる。
本発明に係る製造方法では、上記第1ゲート電極の露出面から上記窒化膜の露出面に亘って酸素ラジカルを用いて当該露出面を酸化することのみによって上記酸化膜を形成するので、被酸化物の材質が異なっていても、同等のレートで酸化することができる。
【0021】
一般的に、上記各ゲート電極はポリシリコンを主成分に含んでおり、かつポリシリコンを主成分に含む部材と窒化物とでは、酸化レートに大きな差のあることが知られている。
既述の製造工程から、当該ポリシリコンを主成分とする第1ゲート電極と窒化膜とが同時に酸化されることとなるが、当該酸化工程において酸素ラジカルを用いることなく酸化すると、ポリシリコンを主成分とする第1ゲート電極の酸化が進む一方で、窒化膜の酸化が進まず、窒化膜を酸化して所望の厚みの酸化膜を得るまでに第1ゲート電極が過剰に酸化されてしまい、ゲート電極として機能するために必要な実効的な面積を確保することが困難となる。
【0022】
これに対して、本発明に係る製造方法では、酸素ラジカルを用いて酸化することのみによって上記酸化膜を形成するので、上記第1ゲート電極と上記窒化膜とが異なる材質であろうと、同等のレートで酸化することができ、上記第1ゲート電極と上記第2ゲート電極とを電気的に絶縁する酸化膜を形成しながら、上記第1ゲート電極を過剰に酸化することを抑制することができて、上記第1ゲート電極がその機能を発揮するために必要な実効的な面積を確保することができる。
【0023】
なおかつ、本発明に係る製造方法では、上記第1の酸化膜の厚みと比べて少なくとも上記窒化膜上の部分の厚みが大きくなるように上記第2の酸化膜を、酸素ラジカルを用いて酸化することのみにより形成するので、上記第2の酸化膜のうち上記窒化膜上の部分の厚みが上記第1の酸化膜の厚みと比べて大きくなるように形成できるとともに、それに伴って上記第2ゲート電極直下の窒化膜の厚みを上記第1ゲート電極直下の窒化膜の厚みより小さくすることができる。
【0024】
したがって、本発明に係る製造方法では、第1ゲート電極直下の酸化膜部分の厚みが第2ゲート電極直下の酸化膜部分の厚みより大きく形成できるとともに、同時に第2ゲート電極直下の窒化膜部分の厚みを第1ゲート電極直下の窒化膜部分の厚みより小さく形成できるので、本発明に係る電荷転送装置(固体撮像装置)を好適に製造することができる。
また、本発明に係る製造方法では、上記第1ゲート電極の露出面から上記窒化膜の露出面に亘ってこれらを酸化して酸化膜を形成する際に、酸素ラジカルを用いた酸化とパイロ酸化とを併用して酸化する。
【0025】
酸化膜を薄く形成する酸化法として急速熱酸化法が知られており、また、質の高い酸化膜を形成する酸化法としてドライ酸化法が知られているが、パイロ酸化法によって酸化膜を形成すると、それらの酸化法によって形成された酸化膜と比べて、膜中の欠陥密度が低く、かつ同等の厚みの酸化膜を得ることができる。
したがって、当該パイロ酸化を用いることによって、酸化膜の経時絶縁破壊寿命を延伸させることができる。
【0026】
そして、酸素ラジカルを用いて酸化処理を施せば、上記第1ゲート電極と上記窒化膜とが異なる材質であろうと、これらを同等のレートで酸化でき、上記第1ゲート電極と上記第2ゲート電極とを電気的に絶縁する酸化膜を形成しながら、上記第1ゲート電極を過剰に酸化することを抑制することができて、上記第1ゲート電極がその機能を発揮するために必要な実効的な面積を確保することができる。
【0027】
なおかつ、本発明に係る製造方法では、上記第1の酸化膜の厚みと比べて少なくとも上記窒化膜上の部分の厚みが大きくなるように上記第2の酸化膜を、酸素ラジカルを用いた酸化法とパイロ酸化法とを併用することにより形成するので、上記第2の酸化膜のうち上記窒化膜上の部分の厚みが上記第1の酸化膜の厚みと比べて大きくなるように形成できるとともに、それに伴って上記第2ゲート電極直下の窒化膜の厚みを上記第1ゲート電極直下の窒化膜の厚みより小さくすることができる。
【0028】
したがって、本発明に係る製造方法では、第1ゲート電極直下の酸化膜部分の厚みが第2ゲート電極直下の酸化膜部分の厚みより大きく形成できるとともに、同時に第2ゲート電極直下の窒化膜部分の厚みを第1ゲート電極直下の窒化膜部分の厚みより小さく形成できるので、本発明に係る電荷転送装置(固体撮像装置)を好適に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
(実施の形態1)
以下に、本発明の第1の実施の形態に係るIT−CCD型固体撮像装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態に係るIT−CCD型固体撮像装置の概略構成図である。図1に示すように、本実施の形態に係るIT−CCD型固体撮像装置では、半導体基板1に複数の受光部2が二次元状に配設されており、Y方向に配列された受光部2に沿って垂直転送部(垂直CCD)3が受光部2の列ごとに配設され、かつ受光部2の最終行に隣接するように水平転送部(水平CCD)4がX方向に配列され、水平CCD4の列の端にアンプ5が設けられている。受光部2はフォトダイオードであって、受光した光の強度に応じて電荷を蓄積する光電変換素子としての機能を有しており、1つの受光部2とこれに隣接する垂直CCD3の一部とで1つの画素6が構成されている。
【0030】
図1の矢印で示すように、受光部2に蓄積された電荷は、各受光部2に隣接する垂直CCD3に読み出され、垂直CCD3の列によってY方向に転送され、かつ水平CCD4の列によってX方向に転送され、アンプ5によって増幅されて外部に出力される。
図2は、本実施の形態に係るCCD型固体撮像装置において垂直CCDの一部を拡大した要部断面図である。図2に示すように、本実施の形態に係る垂直CCDでは、半導体基板1の一方の主面上にシリコン酸化膜12、シリコン窒化膜13、シリコン酸化膜14,16がこの順に積層されてなるゲート絶縁膜が配設されており、シリコン酸化膜14,16上に第1ゲート電極15と第2ゲート電極18とが信号電荷を転送するために設けられている。第1ゲート電極15と第2ゲート電極18とは層間絶縁膜17で分離され電気的に絶縁されている。半導体基板1には図示を省略しているが周知の信号転送路が設けられている。
【0031】
本実施の形態では、第2ゲート電極18が、電荷転送用の電極として用いられているのみならず、受光部2(図1参照)として機能するフォトダイオードからそこに蓄積された信号電荷を読み出すための信号電荷読み出し電極として用いられている。
ゲート絶縁膜において第2ゲート電極18に覆われた部分では、シリコン窒化膜13の膜厚t13bが第1の従来の垂直CCDにおいて上記信号電荷読み出し電極に覆われたシリコン窒化膜の厚みに比べて小さいので、上記信号電荷を読み出す際にホットエレクトロン効果によって電子がシリコン窒化膜13にトラップされることを抑制することができる。
【0032】
他方、ゲート絶縁膜において第1ゲート電極15に覆われた部分では、シリコン酸化膜14の膜厚t14が第2の従来のCCDにおいて電荷転送専用電極に接するシリコン酸化膜の厚みに比べて小さいので、第2の従来のCCDに比べて、第1ゲート電極15と第2ゲート電極18とを電気的に分離するための層間絶縁膜を形成する際に第1ゲート電極15の縁が反った状態になることを抑制でき、CCD型固体撮像装置の電荷転送部(垂直CCD3)において、半導体基板1のうち第1ゲート電極15に覆われた部分でのポテンシャルに寄与する、第1ゲート電極15の実効的な面積が減少することを抑制することができる。
【0033】
本実施の形態では、ゲート絶縁膜のうち第2ゲート電極18に覆われた部分と第1ゲート電極15に覆われた部分とを対比すると、当該第2ゲート電極18被覆部分のシリコン酸化膜16の膜厚t16が当該第1ゲート電極15被覆部分のシリコン酸化膜14の膜厚t14に比べて厚い反面、当該第2ゲート電極18被覆部分のシリコン窒化膜13の膜厚t13bが当該第1ゲート電極15被覆部分のシリコン窒化膜13の膜厚t13aに比べて薄くなるようにゲート絶縁膜が配設されている。
【0034】
ゲート絶縁膜が上記構造を有することによって、第1ゲート電極15と半導体基板1との間の静電容量と、第2ゲート電極18と半導体基板1との間の静電容量との差が生じることを抑制することができる。
<ゲート電極ごとの静電容量調整の例>
第1ゲート電極15と半導体基板1との間の静電容量と、第2ゲート電極と半導体基板1との間の静電容量とを略等しくするための一例を示す。例えば、第1ゲート電極15に覆われたシリコン窒化膜13の膜厚t13aが40[nm]に設定され、このシリコン窒化膜13を覆うシリコン酸化膜14の膜厚t14が5[nm]に設定されているとき、第2ゲート電極18に覆われたシリコン窒化膜13の膜厚t13bが20[nm]に設定され、このシリコン窒化膜13を覆うシリコン酸化膜16の膜厚t16が15[nm]に設定されていると、第1ゲート電極15と半導体基板1との間の静電容量と、第2ゲート電極と半導体基板1との間の静電容量とを略等しくすることができる。
【0035】
なぜなら、シリコン酸化膜に対してシリコン窒化膜の誘電率は約2倍であるので、シリコン酸化膜の誘電率に対するシリコン窒化膜の誘電率の比ε1(n/o)を約2倍とし、静電容量を略等しくするための膜厚計算をする際、シリコン酸化膜を基準にすると、シリコン窒化膜の膜厚に当該比ε1(n/o)の逆数を乗じて、すなわちシリコン窒化膜の膜厚を約半分にして計算をし、この計算結果に基づいて各々の膜厚を決定したからである。
【0036】
具体的には、シリコン酸化膜12が第1ゲート電極15に覆われた部分から第2ゲート電極18に覆われた部分にかけて均一に20[nm]の膜厚で配され、シリコン窒化膜13が第1ゲート電極15に覆われた部分の膜厚が40[nm]となるようにかつ第2ゲート電極18に覆われた部分の膜厚が20[nm]となるように配され、シリコン酸化膜14が5.0[nm]の膜厚で配され、かつシリコン酸化膜16が15[nm]の膜厚で配されているとき、ゲート絶縁膜のうち第1ゲート電極15に覆われた部分において、シリコン酸化膜を基準にして静電容量を等しくするための膜厚換算をすると、換算後の膜厚は20+(40/2)+5で45[nm]となり、他方、ゲート絶縁膜のうち第2ゲート電極18に覆われた部分において、シリコン酸化膜を基準にして静電容量を等しくするための膜厚換算をすると、換算後の膜厚は20+(20/2)+15で45[nm]となって、ゲート絶縁膜において第1ゲート電極に覆われた部分と第2ゲート電極に覆われた部分とを比較すると、静電容量を等しくする観点から換算した膜厚が等しくなり、第1ゲート電極15と半導体基板1との間の静電容量と、第2ゲート電極18と半導体基板1との間の静電容量とを略等しくすることができる。
【0037】
なお、シリコン酸化膜に対してシリコン窒化膜の誘電率が2倍からずれる場合があっても、シリコン酸化膜の誘電率に対するシリコン窒化膜の誘電率の比εx(n/o)を適宜、改めて算出し、静電容量を略等しくするための膜厚計算をする際、シリコン酸化膜を基準にすると、シリコン窒化膜の膜厚にこの改めて算出した比εx(n/o)の逆数を乗じて計算をし、各々の膜厚を決定すればよい。
【0038】
《実施の形態1に係るIT−CCD型固体撮像装置の効果》
本実施の形態では、第2ゲート電極18が、電荷転送用の電極として用いられているのみならず、受光部であるフォトダイオードからそこに蓄積された信号電荷を読み出すための信号電荷読み出し電極として用いられている。そして、ゲート絶縁膜において第2ゲート電極18に覆われた部分では、シリコン窒化膜13の膜厚t13bが第1の従来の垂直CCDにおいて上記信号電荷読み出し電極に覆われたシリコン窒化膜の厚みに比べて小さいので、上記信号電荷を読み出す際にホットエレクトロン効果によって電子がシリコン窒化膜13にトラップされることを抑制することができる。
【0039】
したがって、本実施の形態に係るIT−CCD型固体撮像装置では、上記信号電荷を読み出す度に規定の読み出し電圧では読み出しにくくなるという弊害を抑制することができ、読み出し電圧を維持していても画質の劣化を抑制することができる。また、本実施の形態に係るIT−CCD型固体撮像装置では、上記弊害を抑制することができることから、画質の劣化を抑制するために読み出し電圧を上昇させる必要が無くなって、白キズの増加を抑制することができる。
【0040】
他方、本実施の形態では、第1ゲート電極15が電荷転送専用の電極として用いられている。そして、ゲート絶縁膜において第1ゲート電極15に覆われた部分では、シリコン酸化膜14の膜厚t14が第2の従来のIT−CCD型固体撮像装置において電荷転送専用電極に接するシリコン酸化膜の厚みに比べて小さくなるように設けられたので、第1ゲート電極15と第2ゲート電極18とを電気的に分離するための層間絶縁膜を形成する際に第1ゲート電極15の縁が反った状態になることを抑制することができ、これにより、完成品においてシリコン酸化膜14の膜厚t14の均一な領域の面積が設計で見込んだ面積よりも減少して実効的な電荷転送部の面積が減少することを抑制できる。
【0041】
したがって、本実施の形態に係るIT−CCD型固体撮像装置では、第2の従来のIT−CCD型固体撮像装置に比べて、垂直CCDにおいて電荷を転送する際の取り扱い電荷量の減少を抑制することができ、画質の劣化を抑制することができる。
すなわち、従来のIT−CCD型固体撮像装置に比べて、本実施の形態におけるIT−CCD型固体撮像装置では、上記ゲート絶縁膜のうち機能の異なるゲート電極に覆われた部分間において、上記ゲート絶縁膜を構成するシリコン酸化膜およびシリコン窒化膜のそれぞれの膜厚を異ならしめたことにより、受光部から信号電荷を読み出す際の弊害を抑制することができ、かつ読み出された信号電荷を転送する際の弊害を抑制することができる。
【0042】
本実施の形態では、第1ゲート電極15から第2ゲート電極18にかけてこれらに覆われるように配されたゲート絶縁膜において、第1ゲート電極15覆われた部分と第2ゲート電極18に覆われた部分とを対比したとき、第1ゲート電極15に覆われた部分におけるシリコン酸化膜14の膜厚t14が第2ゲート電極18に覆われた部分におけるシリコン酸化膜16の膜厚t16より小さくなるように配する一方、第1ゲート電極15に覆われた部分におけるシリコン窒化膜13の膜厚t13aが第2ゲート電極18に覆われた部分におけるシリコン窒化膜13の膜厚t13bより大きくなるように配した構成を採用したため、第1ゲート電極15と半導体基板1との間の静電容量と、第2ゲート電極18と半導体基板1との間の静電容量とを略等しくすることができる。
【0043】
したがって、本実施の形態では、ゲート絶縁膜のうち第1ゲート電極に覆われた部分のポテンシャルと第2ゲート電極に覆われた部分のポテンシャルとを略等しくすることができ、転送効率の低下を抑制することができる。
(実施の形態2)
以下に、本発明の第2の実施の形態にかかるIT−CCD型固体撮像装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0044】
図3,4は、実施の形態2に係るIT−CCD型固体撮像装置の製造方法を示す概略工程図である。
本実施の形態に係るIT−CCD型固体撮像装置の製造方法では、ゲート絶縁膜の堆積方法に特徴があり、その他の構成については従来のものと同様の工程で作製することから、ここでは、その他の構成についての説明を省略する。
【0045】
まず、信号転送路形成済みの半導体基板1の主面に例えば熱酸化によってシリコン酸化膜12を堆積させ、当該シリコン酸化膜12の主面に例えばCVD法によってシリコン窒化膜13を堆積させ、当該シリコン窒化膜13の主面にシリコン酸化膜14を、例えばCVD法によって堆積させ、あるいは、パイロ酸化法によってシリコン窒化膜13を直接酸化して形成し、当該シリコン酸化膜14の主面に例えばCVD法によって第1のポリシリコン膜505を堆積させる(図3(a)参照)。
【0046】
そして、第1のポリシリコン膜505のうち所定の部分を選択的にドライエッチングにより除去して第1ゲート電極15を形成する。その際に、シリコン酸化膜14およびシリコン窒化膜13の一部も除去する(図3(b)参照)。
上記堆積・除去工程を経て、シリコン窒化膜13の上にシリコン酸化膜14と第1ゲート電極15とをこの順に積み重ねて形成できる。
【0047】
本実施の形態では、第1ゲート電極15は信号電荷転送専用の電極として配されている。
次に、常圧に保たれた公知の拡散炉において水素と酸素とを燃焼させてH2Oを生成し、同じ拡散炉においてこのH2Oを用いて酸化処理を実行するいわゆるパイロ酸化法によって、第1ゲート電極15からシリコン窒化膜13、シリコン酸化膜14に亘って露出している面に酸化処理を施し、ポリシリコンからなる第1ゲート電極15の表面にたとえば20[nm]程度のシリコン酸化膜17を堆積させ、かつシリコン窒化膜13の表面に約数[nm]のシリコン酸化膜16を堆積させる(図3(c)参照)。堆積されたシリコン酸化膜16とシリコン酸化膜17とを比較したときにその膜厚に差が生じるのは、シリコン窒化膜13がポリシリコンからなる第1ゲート電極15に比べて酸化され難いからである。
【0048】
上記パイロ酸化処理に引き続いて、ラジカル酸素を含む酸化法(たとえば、プラズマ酸化、ISSG(In−Situ Steam Generator)など)を用いて、酸化処理を実行することにより、シリコン酸化膜17を、その膜厚が40[nm]程度になるまで成長させるとともに、シリコン窒化膜13を覆うように設けられたシリコン酸化膜16を、シリコン酸化膜17の膜厚増加量の約80%程度に相当する10数[nm]成長させる(図4(a)参照)。
【0049】
当該酸化工程において、ラジカル酸素を含む酸化法を用いているので、第1ゲート電極15の酸化レートとシリコン窒化膜13の酸化レートとを近づけることができ、上記実施の形態1にて言及したように、第1ゲート電極15と半導体基板1との間の静電容量と、第2ゲート電極18と半導体基板1との間の静電容量とが略等しくなるように膜厚調整をすることができる。
【0050】
また、当該酸化工程において、上記ラジカル酸素を含む酸化法にパイロ酸化法を組み合わせている。当該パイロ酸化法によって酸化膜を形成すると、高速熱酸化(RTO)法やドライ酸化法により形成された酸化膜と比べて、欠陥密度の低い酸化膜を、同等の厚みで形成することができるので、当該絶縁膜が経時的に絶縁破壊されることを抑制することができる。
【0051】
次に、例えばCVD法によりシリコン酸化膜16からシリコン酸化膜17に亘ってそれらの表面に第2のポリシリコン膜508を堆積させ(図4(b)参照)、第2のポリシリコン膜508のうち所定の部分を選択的にドライエッチングにより除去して、信号電荷の読み出しおよび転送機能を備えた第2ゲート電極18を形成する(図4(c)参照)。
上記製造工程を経て、シリコン酸化膜12とシリコン酸化膜14,16とでシリコン窒化膜13を挟むようにこれらを積層させてなるゲート絶縁膜を形成すると、当該ゲート絶縁膜のうち第1ゲート電極15に覆われた部分と第2ゲート電極18に覆われた部分とを対比したとき、第1ゲート電極15に覆われた部分におけるシリコン酸化膜14の膜厚t14が第2ゲート電極18に覆われた部分におけるシリコン酸化膜16の膜厚t16より小さくなるようにシリコン酸化膜14,16を堆積させることができ、なおかつ、第1ゲート電極15に覆われた部分におけるシリコン窒化膜13の膜厚t13aが第2ゲート電極18に覆われた部分におけるシリコン窒化膜13の膜厚t13bより大きくなるようにシリコン窒化膜13を堆積させることができる。
【0052】
本実施の形態では、堆積したシリコン窒化膜13を例えばドライエッチングによりその一部を除去した後、酸化していたが、これに限定されず、窒化膜13の一部を除去せずに、ラジカル酸素を含む酸化法を用いて第1ゲート電極15からシリコン窒化膜13、シリコン酸化膜14に亘って露出している面に酸化処理を施しても良い。ラジカル酸素を含む酸化法を採用することによってポリシリコンを主成分とする第1ゲート電極15の酸化レートと窒化膜13の酸化レートとをほぼ等しくすることができるので、あらかじめ窒化膜13の一部を除去せずとも、第1ゲート電極15からシリコン窒化膜13、シリコン酸化膜14に亘って露出している面に酸化処理を施す際にポリシリコンを主成分とする第1ゲート電極15が窒化膜13と比べて過剰に酸化されることを抑制でき、第1ゲート電極15の露出面上ならびに窒化膜13の露出面上に酸化膜16、17を所望の厚みになるように調節して堆積させることができる。
【0053】
《実施の形態2に係るIT−CCD型固体撮像装置の製造方法の効果》
本実施の形態に係るIT−CCD型固体撮像装置の製造方法では、上記ゲート絶縁膜のうち第1ゲート電極15に覆われた部分のシリコン窒化膜13の膜厚t13aに比べて第2ゲート電極18に覆われた部分のシリコン窒化膜13の膜厚t13bが小さくなるようにゲート絶縁膜を堆積させることができるので、ゲート絶縁膜のうち第2ゲート電極18に覆われた部分においてシリコン窒化膜13を薄膜化傾向に堆積させることができ、したがって、電荷転送機能および受光部からの電荷読み出し機能を有する第2ゲート電極18に覆われた部分において、シリコン窒化膜13の膜厚t13bが、第1の従来の垂直CCDのうち上記信号電荷読み出し電極に覆われた部分のシリコン窒化膜の厚みに比べて小さくなるように堆積させることができ、上記信号電荷を受光部から読み出す際にホットエレクトロン効果によって電子がシリコン窒化膜13にトラップされることを抑制可能な垂直CCDを備えたIT−CCD型固体撮像装置を製造することができる。
【0054】
よって、本実施の形態に係るIT−CCD型固体撮像装置の製造方法では、上記受光部から信号電荷を読み出す度に規定の読み出し電圧では読みだし難くなるという弊害を抑制可能な垂直CCDを備えたIT―CCD型固体撮像装置を製造することができ、従来の読み出し電圧を維持していても画質の経時的劣化を抑制可能な垂直CCDを備えたCCD型固体撮像装置を製造することができる。また、本実施の形態に係るCCD型固体撮像装置の製造方法では、上記弊害を抑制可能なCCD型個体撮像装置を製造することができることから、画質の経時的劣化を抑制するために読み出し電圧を上昇させる必要が無くなって、白キズの増加を抑制可能な垂直CCDを備えたCCD型固体撮像装置を製造することができる。
【0055】
他方、本実施の形態にかかるCCD型固体撮像装置の製造方法では、上記ゲート絶縁膜のうち第2ゲート電極18に覆われた部分のシリコン酸化膜16の膜厚t16に比べて第1ゲート電極15に覆われた部分のシリコン酸化膜14の膜厚t14が小さくなるようにゲート絶縁膜を堆積させることができるので、ゲート絶縁膜のうち第1ゲート電極に覆われた部分においてシリコン酸化膜14を薄膜化傾向に堆積させることができ、したがって、転送機能のみ有する第1ゲート電極15に覆われた部分において、シリコン酸化膜14の膜厚t14が、第2の従来の垂直CCDのうち上記転送電極に覆われた部分のシリコン酸化膜の厚みに比べて小さくなるように堆積させることができて、第1ゲート電極15と第2ゲート電極18とを電気的に分離するための層間絶縁膜を形成する際に第1ゲート電極15が反った状態になることを抑制することができ、これにより、第2の従来の垂直CCDに比べて、シリコン酸化膜14の膜厚t14の均一な領域が減少して実効的な電荷転送部の面積が減少することを抑制できる。
【0056】
よって、本実施の形態に係るIT−CCD型固体撮像装置の製造方法では、第2の従来のIT−CCD型固体撮像装置に比べて、垂直CCDにおいて電荷を転送する際の取り扱い電荷量の減少を抑制することができ、画質の劣化を抑制可能な垂直CCDを備えたIT−CCD型固体撮像装置を製造することができる。
すなわち、本実施の形態に係るIT−CCD型固体撮像装置の製造方法では、従来のIT−CCD型固体撮像装置の製造方法に比べて、上記ゲート絶縁膜における機能の異なるゲート電極に覆われた部分間において、上記ゲート絶縁膜を構成するシリコン酸化膜およびシリコン窒化膜のそれぞれの膜厚が異なるように、上記ゲート絶縁膜を形成することができるので、受光部から信号電荷を読み出す際の弊害を抑制可能で、かつ読み出された信号電荷を転送する際の弊害を抑制可能な垂直CCDを備えたIT−CCD型固体撮像装置を製造することができる。
【0057】
本実施の形態では、ゲート絶縁膜を積層する際に、当該ゲート絶縁膜のうち第1ゲート電極15に覆われる予定の部分と第2ゲート電極18に覆われる予定の部分とを対比したとき、第1ゲート電極15に覆われる予定の部分におけるシリコン酸化膜14の膜厚t14が第2ゲート電極18に覆われる予定の部分におけるシリコン酸化膜16の膜厚t16より小さくなるように堆積させる一方、第1ゲート電極15に覆われる予定の部分におけるシリコン窒化膜13の膜厚t13aが第2ゲート電極18に覆われる予定の部分におけるシリコン窒化膜13の膜厚t13bより大きくなるように堆積させたため、第1ゲート電極15と半導体基板1との間の静電容量と、第2ゲート電極18と半導体基板1との間の静電容量とを略等しくすることが可能な垂直CCDを備えたIT−CCD型固体撮像装置を製造することができる。
【0058】
したがって、本実施の形態では、ゲート絶縁膜のうち第1ゲート電極15に覆われた部分のポテンシャルと第2ゲート電極18に覆われた部分のポテンシャルとを略等しくすることができ、転送効率の低下を抑制可能な垂直CCDを備えたIT―CCD型固体撮像装置を製造することができる。
<その他>
図5は、実施の形態1に係るIT−CCD型固体撮像装置において、垂直CCDの一部の他のバリエーションを示した要部断面図である。
【0059】
当該バリエーションでは、図5に示すように、層間絶縁膜37の厚みt37がシリコン酸化膜36の厚みt36よりも大きい。
一般的に、第1ゲート電極35に印加される駆動電圧と第2ゲート電極38に印加される駆動電圧との差は10[V]以上あり、耐圧確保のために上記構成を採用することによって、層間絶縁膜37において、その耐電圧能力を向上させることができ、駆動時における第1ゲート電極35と第2ゲート電極38との短絡を抑制する機能を向上させることができる。
【0060】
図6は、実施の形態1に係るIT−CCD型固体撮像装置において、垂直CCDの一部の他のバリエーションを示した要部断面図である。図6に示すように、第2ゲート電極48が第1ゲート電極45を覆うように配設されていても良い。
図7は、実施の形態1に係るIT−CCD型固体撮像装置において、垂直CCDの一部の他のバリエーションを示した要部断面図である。当該バリエーションでは、図7に示すように、ゲート絶縁膜のうち第1ゲート電極55とシリコン窒化膜53との間にシリコン酸化膜が配設されていない。
【0061】
当該構成を採用すると、第1ゲート電極55と第2ゲート電極58とを絶縁する層間絶縁膜57を堆積させる際に第1ゲート電極55が過剰に酸化されることに起因して第1ゲート電極55が反った状態になることをさらに抑制することができるので、第1ゲート電極55に覆われた部分でのゲート絶縁膜の膜厚がさらに均一になり、実効的な電荷転送部の面積が減少することをさらに抑制することができて、垂直CCDにおいて電荷を転送する際の取り扱い電荷量の減少をさらに抑制でき、その結果、画質の劣化をさらに抑制することができて、好ましい。
【0062】
また、実施の形態1に係るIT−CCD型固体撮像装置において、ゲート電極は1層構造を取っているが、当該ゲート電極の構造はこれに限らず、例えば、ゲート絶縁膜を覆うように配されたゲート電極が、シリコン酸化膜をポリシリコンで挟んだような複数層構造を有していてもよい。
また、実施の形態2に係るIT−CCD型固体撮像装置の製造方法では、シリコン酸化膜16およびシリコン酸化膜17をパイロ酸化法とラジカル酸素を含む酸化法とを用いて形成しているが、ラジカル酸素を含む酸化法だけを用いてもよい。
【0063】
また、実施の形態2に係るIT−CCD型固体撮像装置の製造方法では、シリコン酸化膜16およびシリコン酸化膜17の形成に際して、パイロ酸化法を実施した後にラジカル酸素を含む酸化法を実施しているが、順番を入れ替えてこれら酸化法を実施してもよく、すなわち、先にラジカル酸素を含む酸化法を実施した後にパイロ酸化法を実施してもよい。
【0064】
また、上記各実施の形態に係る固体撮像装置ならびにその製造方法では、IT−CCD型固体撮像装置として説明を行ってきたが、当該固体撮像装置は、他の方式のCCD型固体撮像装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係る固体撮像装置は、取り扱い電荷量の減少を抑制でき、転送効率の改善ができると共に、読出し電圧の上昇を低減することにより、寿命を延ばす、あるいは、寿命が同一で、読出し電圧の低減を図ることが必要な、カメラ装置等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る固体撮像装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る固体撮像装置において、垂直CCDの一部を示した要部断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る固体撮像装置の製造方法を示す概略工程図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る固体撮像装置の製造方法を示す概略工程図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る固体撮像装置において垂直CCDの一部の他のバリエーションを示した要部断面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る固体撮像装置において垂直CCDの一部の他のバリエーションを示した要部断面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る固体撮像装置において垂直CCDの一部の他のバリエーションを示した要部断面図である。
【図8】第1の従来の固体撮像装置における垂直CCDの一部を示した要部断面図である。
【図9】第1の従来の固体撮像装置における電荷読出し電圧の増加量と使用時間との関係を示した特性図である。
【図10】第1の従来の固体撮像装置における電荷読出し電圧の増加量とシリコン窒化膜の膜厚との関係を示した特性図である。
【図11】(a)は第2の従来の固体撮像装置における一画素を示した概略構成図であり、(b)は(a)で示したA断面を矢視した要部断面図である。
【図12】(a)は第2の従来の固体撮像装置における一画素を示した概略構成図であり、(b)は(a)で示したB断面を矢視した要部断面図である。
【符号の説明】
【0067】
1,31,41,51 半導体基板
2 受光部
3 垂直CCD
4 水平CCD
5 アンプ
12,32,42,52 シリコン酸化膜
13,33,43,53 シリコン窒化膜
15,35,45,55 第1ゲート電極
17,37,47,57 層間絶縁膜
18,38,48,58 第2ゲート電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、電荷転送装置、固体撮像装置およびそれらの製造方法に関し、特に、ゲート絶縁膜に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ、また、携帯電話に代表される携帯端末装置のカメラモジュールの撮像装置として固体撮像装置の需要が拡大している。
当該固体撮像装置では、更なる画質の向上、更なる低消費電力化の要求が強く、当該要求に応えるため、ノイズを抑制し、駆動電圧を低減する必要がある。
近年の固体撮像装置はMOS型とCCD型とに大別できるが、開発の歴史的沿革から、市場においてはCCD型の固体撮像装置が大勢を占める。
【0003】
インターライントランスファ方式を採用した第1の従来のCCD型(以下、「IT−CCD型」という。)固体撮像装置における垂直CCDでは、図8に示すように垂直CCDのうち一画素に相当する領域において、半導体基板101の主面にシリコン酸化膜102、シリコン窒化膜103、シリコン酸化膜104,106がこの順に積層されてなるゲート絶縁膜が配設され、シリコン酸化膜104の主面に第1ゲート電極105が、シリコン酸化膜106の主面に第2ゲート電極108がそれぞれ配設されている。第1のゲート電極105は電荷転送専用であり、第2のゲート電極108は受光部からの電荷の読み出しと読み出された電荷を転送する機能を併せ持つ。図示を省略しているが、半導体基板101は信号転送路を備えている。
【0004】
当該ゲート絶縁膜では、製造工程上、各ゲート電極直下の領域ごとに膜厚差が生じることによって起こるノイズの発生等を抑制するため、いわゆるONO構造を採用することが趨勢となっている(特許文献1参照)。
シリコン酸化膜102,104,106がシリコン窒化膜103を挟むようにこれらを積層させてなる、いわゆるONO構造のゲート絶縁膜では、受光部から垂直CCDに信号電荷を読み出す度にホットエレクトロン効果によって電子がシリコン窒化膜103内にトラップされるという弊害がある。
【0005】
この弊害は、図9に示した読み出し電圧増加量と使用時間との関係を表す特性図から分かるように、製造ロットによって多少のずれが生じるものの、従来の固体撮像装置において、使用時間の経過とともに信号電荷を読出すために必要な電圧を上昇させる。したがって、次第に規定の読み出し電圧では、受光部から垂直CCDへの信号電荷の読出しを困難にして、画質の劣化を発生させ、CCD型固体撮像装置に対する高画質化の要求に反するという問題を引き起こす。
【特許文献1】特開平4−335572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この問題を解決する手段として、読み出し時の固体撮像装置の駆動電圧を上げることも考えられるが、この手段を採用すると、低消費電力化の要求に逆行するだけでなくCCD型固体撮像装置においては電界が強くなることによる白キズの増加などの弊害が生じて画質向上の要求に反する。これに対して発明者は、図10に示した読み出し電圧増加量とシリコン窒化膜の膜厚との関係を示す特性図から分かるように、シリコン窒化膜103の膜厚を薄くすることによって信号電荷読出し電圧の上昇を抑制できることを見出した。
【0007】
しかし、あまりにシリコン窒化膜103を薄くすると、垂直CCDを構成する半導体基板101のポテンシャルが隣接電極によるフリンジ電界の影響を受けにくくなり、垂直CCDにおいて電荷を転送させる際、ドリフトを支配的にして規定時間内に電荷を転送することが困難になって画質の向上に反する。逆に規定時間内に転送するには高い電圧を印加する必要が生じ、低消費電力化の要求に反する。
【0008】
そこで、図11(b)に示すように、第1の従来のIT−CCD型固体撮像装置に比べて当該ポテンシャルの過度の変化を抑制するためにシリコン窒化膜203を覆うシリコン酸化膜204,206を厚く配設した。なお、図11(a)は、第2の従来のIT−CCD型固体撮像装置の一画素306を示す概略構成図であり、同図(b)は、図11(a)にて示すA断面を矢視した概略断面図である。
【0009】
すると、図12(b)に示すように、第1ゲート電極205を形成した後の酸化工程において、第1ゲート電極205の端がゲート絶縁膜と反対の方向に向けて反った状態になることが顕著に現れた。
これにより第1の従来のIT−CCD型固体撮像装置の垂直CCDに比べてシリコン酸化膜204の膜厚の均一な領域が顕著に減少し、すなわち電荷転送のために電極に要求される実効的な面積がC領域からD領域に顕著に減少して、第1の従来の垂直CCDに比べて第2の従来の垂直CCDにおいて取り扱い可能な電荷量が顕著に減少し、画質の劣化を誘発するという新たな問題が発生した。図12(a)は、第2の従来のCCD型固体撮像装置の一画素306を示す概略構成図であり、同図(b)は、図12(a)にて示すB断面を矢視した概略断面図である。
【0010】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、CCD型固体撮像装置に適用した場合に信号電荷読出し電圧の上昇を低減でき、かつ、取り扱い電荷量の減少を抑制して画質の劣化を抑制することのできる電荷転送装置とその製造方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る電荷転送装置では、半導体基板の上面に第1の絶縁膜を積層させ、その上に、第1ゲート電極と、第2ゲート電極とを電荷転送方向に交互に並んだ状態で積層させ、上記第1ゲート電極と上記第2ゲート電極との間には、第2の絶縁膜が介在する構造を備えた電荷転送装置に対し、上記第1の絶縁膜では、窒化膜の上に酸化膜を積層した構成を有するようにし、上記酸化膜においては、上記窒化膜と上記第1ゲート電極との間に介在する部分の第1の厚みと、上記窒化膜と上記第2ゲート電極との間に介在する部分の第2の厚みとを異ならせ、かつ上記窒化膜においては、上記第1ゲート電極直下の部分の第3の厚みと、上記第2ゲート電極直下の部分の第4の厚みとを異ならせた。
【0012】
本発明に係る電荷転送装置の製造方法では、半導体基板の一方の主面上に窒化膜を形成するステップと、上記窒化膜上にその主面に沿う1軸方向に点在するように第1の酸化膜と第1ゲート電極とをこの順に積重ねた状態で形成するステップと、上記第1ゲート電極の露出面から上記窒化膜の露出面に亘って酸素ラジカルを用いて当該露出面を酸化することのみによって第2の酸化膜を、上記第1の酸化膜の厚みと比べて少なくとも上記窒化膜上の部分の厚みが大きくなるように形成するステップと、上記第1ゲート電極と隣接するように上記第2の酸化膜の露出面に第2ゲート電極を上記1軸方向に形成するステップとを含ませた。
【0013】
また、本発明に係る電荷転送装置の製造方法では、半導体基板の一方の主面上に窒化膜を形成するステップと、上記窒化膜上にその主面に沿う一軸方向に点在するように第1の酸化膜と第1ゲート電極とをこの順に積重ねた状態で形成するステップと、上記窒化膜の露出面から第1ゲート電極の露出面に亘って酸素ラジカルを用いた酸化法を用いて酸化した後パイロ酸化法を用いて当該露出面を酸化し、あるいはこの逆の順序で当該露出面を酸化することによって第2の酸化膜を、上記第1の酸化膜の厚みと比べて少なくとも上記窒化膜上の部分の厚みが大きくなるように形成するステップと、上記第1ゲート電極と隣接するように上記第2の酸化膜の露出面に第2ゲート電極を上記1軸方向に形成するステップとを含ませた。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、上記第1の絶縁膜を構成する上記酸化膜、上記窒化膜それぞれの厚みを、面内均一にせず、上記第1ゲート電極に覆われた部分と上記第2ゲート電極に覆われた部分とで、異なるようにしたので、上記窒化膜の厚みを上記各部分でホットエレクトロン効果に起因する弊害を抑制できる厚みに調整できると共に、上記酸化膜の厚みを上記各部分で電極の反りを抑制できる厚みに調整することができ、したがって、両方の問題を同時に解決することができる。
【0015】
従来の各電荷転送装置を固体撮像装置に適用した場合、それぞれにおいてゲート絶縁膜を構成する酸化膜、窒化膜各々の厚みを面内均一に調整していたので、信号電荷読み出し電圧の上昇を抑制できるように窒化膜の厚みを減らすと、それに伴って容量維持の観点から酸化膜の厚みを増さなければならず、既述の取り扱い電荷量の減少という弊害が発生する。逆に取り扱い電荷量の減少を抑制するには酸化膜の厚みを減らせばよいが、それに伴って容量維持の観点から窒化膜の厚みを増さなければならず、信号電荷読み出し電圧の上昇を招く。
【0016】
これに対して本発明では、第1ゲート電極直下と、第2ゲート電極直下とで酸化膜、窒化膜それぞれの厚みの適値が異なることに着目し、上記第1の絶縁膜を構成する酸化膜ならびに窒化膜それぞれの厚みを個別に適値に調整できる構成としたので、本発明では上記各弊害を同時に抑制することができる。
具体的には、本発明に係る電荷転送装置を固体撮像装置に組み込み、上記第2ゲート電極を、上記光電変換素子に蓄積された電荷を上記電荷転送路に読み出すゲート電極に割り当て、上記第1ゲート電極を電荷転送用のゲート電極に割り当てて駆動させた場合、上記窒化膜のうち、上記第2ゲート電極直下の部分の厚みを、上記第1ゲート電極直下の部分の厚みに比べて小さくすると、上記ホットエレクトロン効果が生じる部分に対応する上記窒化膜部分のみの厚みを減らすことができるので、第1の従来のIT−CCD型固体撮像装置と比べて、ホットエレクトロン効果によって発生した電荷が上記窒化膜にトラップされることを抑制できる。
【0017】
また、この場合に、上記酸化膜のうち、上記第1ゲート電極と上記窒化膜との間に介在する部分の厚みを、上記第2ゲート電極と上記窒化膜との間に介在する部分の厚みに比べて小さくすると、既述の取り扱い電荷量の減少を招く上記酸化膜部分の厚みのみを減らすことができるので、上記第1ゲート電極と上記第2ゲート電極との間に介在する第2の絶縁膜を、具体的には第2絶縁膜を酸化膜で形成する際に、上記第1ゲート電極と窒化膜との間に介在する酸化膜部分を透過する酸素原子の量を抑制することができ、第2の従来のIT−CCD型固体撮像装置と比べて、電極の反りを抑制することができる。
【0018】
したがって、本発明に係る電荷転送装置を固体撮像装置に組み込んだ場合には、第1の従来のIT−CCD型固体撮像装置と比べて、光電変換素子から信号電荷を読み出す際に印加する電圧の経時的上昇を抑制することができ、かつ第2の従来のIT−CCD型固体撮像装置と比べて、取り扱い電荷量の減少を抑制して画質の劣化を抑制することができる。
【0019】
上記酸化膜のうち上記第1ゲート電極と上記窒化膜との間に介在する部分の厚みを上記第2ゲート電極と上記窒化膜との間に介在する部分の厚みより小さく、上記窒化膜のうち上記第1ゲート電極直下の部分の厚みを上記第2ゲート電極直下の部分の厚みより大きくすると、上記第1ゲート電極と上記半導体基板との間の静電容量と、上記第2ゲート電極と上記半導体基板との間の静電容量とを略等しくすることが可能になり、転送効率の低下を抑制することができて、好ましい。
【0020】
上記第1ゲート電極が、上記電荷転送路に沿って電荷を転送する機能を併せ持っていても、上記効果と同様の効果を奏することができる。
本発明に係る製造方法では、上記第1ゲート電極の露出面から上記窒化膜の露出面に亘って酸素ラジカルを用いて当該露出面を酸化することのみによって上記酸化膜を形成するので、被酸化物の材質が異なっていても、同等のレートで酸化することができる。
【0021】
一般的に、上記各ゲート電極はポリシリコンを主成分に含んでおり、かつポリシリコンを主成分に含む部材と窒化物とでは、酸化レートに大きな差のあることが知られている。
既述の製造工程から、当該ポリシリコンを主成分とする第1ゲート電極と窒化膜とが同時に酸化されることとなるが、当該酸化工程において酸素ラジカルを用いることなく酸化すると、ポリシリコンを主成分とする第1ゲート電極の酸化が進む一方で、窒化膜の酸化が進まず、窒化膜を酸化して所望の厚みの酸化膜を得るまでに第1ゲート電極が過剰に酸化されてしまい、ゲート電極として機能するために必要な実効的な面積を確保することが困難となる。
【0022】
これに対して、本発明に係る製造方法では、酸素ラジカルを用いて酸化することのみによって上記酸化膜を形成するので、上記第1ゲート電極と上記窒化膜とが異なる材質であろうと、同等のレートで酸化することができ、上記第1ゲート電極と上記第2ゲート電極とを電気的に絶縁する酸化膜を形成しながら、上記第1ゲート電極を過剰に酸化することを抑制することができて、上記第1ゲート電極がその機能を発揮するために必要な実効的な面積を確保することができる。
【0023】
なおかつ、本発明に係る製造方法では、上記第1の酸化膜の厚みと比べて少なくとも上記窒化膜上の部分の厚みが大きくなるように上記第2の酸化膜を、酸素ラジカルを用いて酸化することのみにより形成するので、上記第2の酸化膜のうち上記窒化膜上の部分の厚みが上記第1の酸化膜の厚みと比べて大きくなるように形成できるとともに、それに伴って上記第2ゲート電極直下の窒化膜の厚みを上記第1ゲート電極直下の窒化膜の厚みより小さくすることができる。
【0024】
したがって、本発明に係る製造方法では、第1ゲート電極直下の酸化膜部分の厚みが第2ゲート電極直下の酸化膜部分の厚みより大きく形成できるとともに、同時に第2ゲート電極直下の窒化膜部分の厚みを第1ゲート電極直下の窒化膜部分の厚みより小さく形成できるので、本発明に係る電荷転送装置(固体撮像装置)を好適に製造することができる。
また、本発明に係る製造方法では、上記第1ゲート電極の露出面から上記窒化膜の露出面に亘ってこれらを酸化して酸化膜を形成する際に、酸素ラジカルを用いた酸化とパイロ酸化とを併用して酸化する。
【0025】
酸化膜を薄く形成する酸化法として急速熱酸化法が知られており、また、質の高い酸化膜を形成する酸化法としてドライ酸化法が知られているが、パイロ酸化法によって酸化膜を形成すると、それらの酸化法によって形成された酸化膜と比べて、膜中の欠陥密度が低く、かつ同等の厚みの酸化膜を得ることができる。
したがって、当該パイロ酸化を用いることによって、酸化膜の経時絶縁破壊寿命を延伸させることができる。
【0026】
そして、酸素ラジカルを用いて酸化処理を施せば、上記第1ゲート電極と上記窒化膜とが異なる材質であろうと、これらを同等のレートで酸化でき、上記第1ゲート電極と上記第2ゲート電極とを電気的に絶縁する酸化膜を形成しながら、上記第1ゲート電極を過剰に酸化することを抑制することができて、上記第1ゲート電極がその機能を発揮するために必要な実効的な面積を確保することができる。
【0027】
なおかつ、本発明に係る製造方法では、上記第1の酸化膜の厚みと比べて少なくとも上記窒化膜上の部分の厚みが大きくなるように上記第2の酸化膜を、酸素ラジカルを用いた酸化法とパイロ酸化法とを併用することにより形成するので、上記第2の酸化膜のうち上記窒化膜上の部分の厚みが上記第1の酸化膜の厚みと比べて大きくなるように形成できるとともに、それに伴って上記第2ゲート電極直下の窒化膜の厚みを上記第1ゲート電極直下の窒化膜の厚みより小さくすることができる。
【0028】
したがって、本発明に係る製造方法では、第1ゲート電極直下の酸化膜部分の厚みが第2ゲート電極直下の酸化膜部分の厚みより大きく形成できるとともに、同時に第2ゲート電極直下の窒化膜部分の厚みを第1ゲート電極直下の窒化膜部分の厚みより小さく形成できるので、本発明に係る電荷転送装置(固体撮像装置)を好適に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
(実施の形態1)
以下に、本発明の第1の実施の形態に係るIT−CCD型固体撮像装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態に係るIT−CCD型固体撮像装置の概略構成図である。図1に示すように、本実施の形態に係るIT−CCD型固体撮像装置では、半導体基板1に複数の受光部2が二次元状に配設されており、Y方向に配列された受光部2に沿って垂直転送部(垂直CCD)3が受光部2の列ごとに配設され、かつ受光部2の最終行に隣接するように水平転送部(水平CCD)4がX方向に配列され、水平CCD4の列の端にアンプ5が設けられている。受光部2はフォトダイオードであって、受光した光の強度に応じて電荷を蓄積する光電変換素子としての機能を有しており、1つの受光部2とこれに隣接する垂直CCD3の一部とで1つの画素6が構成されている。
【0030】
図1の矢印で示すように、受光部2に蓄積された電荷は、各受光部2に隣接する垂直CCD3に読み出され、垂直CCD3の列によってY方向に転送され、かつ水平CCD4の列によってX方向に転送され、アンプ5によって増幅されて外部に出力される。
図2は、本実施の形態に係るCCD型固体撮像装置において垂直CCDの一部を拡大した要部断面図である。図2に示すように、本実施の形態に係る垂直CCDでは、半導体基板1の一方の主面上にシリコン酸化膜12、シリコン窒化膜13、シリコン酸化膜14,16がこの順に積層されてなるゲート絶縁膜が配設されており、シリコン酸化膜14,16上に第1ゲート電極15と第2ゲート電極18とが信号電荷を転送するために設けられている。第1ゲート電極15と第2ゲート電極18とは層間絶縁膜17で分離され電気的に絶縁されている。半導体基板1には図示を省略しているが周知の信号転送路が設けられている。
【0031】
本実施の形態では、第2ゲート電極18が、電荷転送用の電極として用いられているのみならず、受光部2(図1参照)として機能するフォトダイオードからそこに蓄積された信号電荷を読み出すための信号電荷読み出し電極として用いられている。
ゲート絶縁膜において第2ゲート電極18に覆われた部分では、シリコン窒化膜13の膜厚t13bが第1の従来の垂直CCDにおいて上記信号電荷読み出し電極に覆われたシリコン窒化膜の厚みに比べて小さいので、上記信号電荷を読み出す際にホットエレクトロン効果によって電子がシリコン窒化膜13にトラップされることを抑制することができる。
【0032】
他方、ゲート絶縁膜において第1ゲート電極15に覆われた部分では、シリコン酸化膜14の膜厚t14が第2の従来のCCDにおいて電荷転送専用電極に接するシリコン酸化膜の厚みに比べて小さいので、第2の従来のCCDに比べて、第1ゲート電極15と第2ゲート電極18とを電気的に分離するための層間絶縁膜を形成する際に第1ゲート電極15の縁が反った状態になることを抑制でき、CCD型固体撮像装置の電荷転送部(垂直CCD3)において、半導体基板1のうち第1ゲート電極15に覆われた部分でのポテンシャルに寄与する、第1ゲート電極15の実効的な面積が減少することを抑制することができる。
【0033】
本実施の形態では、ゲート絶縁膜のうち第2ゲート電極18に覆われた部分と第1ゲート電極15に覆われた部分とを対比すると、当該第2ゲート電極18被覆部分のシリコン酸化膜16の膜厚t16が当該第1ゲート電極15被覆部分のシリコン酸化膜14の膜厚t14に比べて厚い反面、当該第2ゲート電極18被覆部分のシリコン窒化膜13の膜厚t13bが当該第1ゲート電極15被覆部分のシリコン窒化膜13の膜厚t13aに比べて薄くなるようにゲート絶縁膜が配設されている。
【0034】
ゲート絶縁膜が上記構造を有することによって、第1ゲート電極15と半導体基板1との間の静電容量と、第2ゲート電極18と半導体基板1との間の静電容量との差が生じることを抑制することができる。
<ゲート電極ごとの静電容量調整の例>
第1ゲート電極15と半導体基板1との間の静電容量と、第2ゲート電極と半導体基板1との間の静電容量とを略等しくするための一例を示す。例えば、第1ゲート電極15に覆われたシリコン窒化膜13の膜厚t13aが40[nm]に設定され、このシリコン窒化膜13を覆うシリコン酸化膜14の膜厚t14が5[nm]に設定されているとき、第2ゲート電極18に覆われたシリコン窒化膜13の膜厚t13bが20[nm]に設定され、このシリコン窒化膜13を覆うシリコン酸化膜16の膜厚t16が15[nm]に設定されていると、第1ゲート電極15と半導体基板1との間の静電容量と、第2ゲート電極と半導体基板1との間の静電容量とを略等しくすることができる。
【0035】
なぜなら、シリコン酸化膜に対してシリコン窒化膜の誘電率は約2倍であるので、シリコン酸化膜の誘電率に対するシリコン窒化膜の誘電率の比ε1(n/o)を約2倍とし、静電容量を略等しくするための膜厚計算をする際、シリコン酸化膜を基準にすると、シリコン窒化膜の膜厚に当該比ε1(n/o)の逆数を乗じて、すなわちシリコン窒化膜の膜厚を約半分にして計算をし、この計算結果に基づいて各々の膜厚を決定したからである。
【0036】
具体的には、シリコン酸化膜12が第1ゲート電極15に覆われた部分から第2ゲート電極18に覆われた部分にかけて均一に20[nm]の膜厚で配され、シリコン窒化膜13が第1ゲート電極15に覆われた部分の膜厚が40[nm]となるようにかつ第2ゲート電極18に覆われた部分の膜厚が20[nm]となるように配され、シリコン酸化膜14が5.0[nm]の膜厚で配され、かつシリコン酸化膜16が15[nm]の膜厚で配されているとき、ゲート絶縁膜のうち第1ゲート電極15に覆われた部分において、シリコン酸化膜を基準にして静電容量を等しくするための膜厚換算をすると、換算後の膜厚は20+(40/2)+5で45[nm]となり、他方、ゲート絶縁膜のうち第2ゲート電極18に覆われた部分において、シリコン酸化膜を基準にして静電容量を等しくするための膜厚換算をすると、換算後の膜厚は20+(20/2)+15で45[nm]となって、ゲート絶縁膜において第1ゲート電極に覆われた部分と第2ゲート電極に覆われた部分とを比較すると、静電容量を等しくする観点から換算した膜厚が等しくなり、第1ゲート電極15と半導体基板1との間の静電容量と、第2ゲート電極18と半導体基板1との間の静電容量とを略等しくすることができる。
【0037】
なお、シリコン酸化膜に対してシリコン窒化膜の誘電率が2倍からずれる場合があっても、シリコン酸化膜の誘電率に対するシリコン窒化膜の誘電率の比εx(n/o)を適宜、改めて算出し、静電容量を略等しくするための膜厚計算をする際、シリコン酸化膜を基準にすると、シリコン窒化膜の膜厚にこの改めて算出した比εx(n/o)の逆数を乗じて計算をし、各々の膜厚を決定すればよい。
【0038】
《実施の形態1に係るIT−CCD型固体撮像装置の効果》
本実施の形態では、第2ゲート電極18が、電荷転送用の電極として用いられているのみならず、受光部であるフォトダイオードからそこに蓄積された信号電荷を読み出すための信号電荷読み出し電極として用いられている。そして、ゲート絶縁膜において第2ゲート電極18に覆われた部分では、シリコン窒化膜13の膜厚t13bが第1の従来の垂直CCDにおいて上記信号電荷読み出し電極に覆われたシリコン窒化膜の厚みに比べて小さいので、上記信号電荷を読み出す際にホットエレクトロン効果によって電子がシリコン窒化膜13にトラップされることを抑制することができる。
【0039】
したがって、本実施の形態に係るIT−CCD型固体撮像装置では、上記信号電荷を読み出す度に規定の読み出し電圧では読み出しにくくなるという弊害を抑制することができ、読み出し電圧を維持していても画質の劣化を抑制することができる。また、本実施の形態に係るIT−CCD型固体撮像装置では、上記弊害を抑制することができることから、画質の劣化を抑制するために読み出し電圧を上昇させる必要が無くなって、白キズの増加を抑制することができる。
【0040】
他方、本実施の形態では、第1ゲート電極15が電荷転送専用の電極として用いられている。そして、ゲート絶縁膜において第1ゲート電極15に覆われた部分では、シリコン酸化膜14の膜厚t14が第2の従来のIT−CCD型固体撮像装置において電荷転送専用電極に接するシリコン酸化膜の厚みに比べて小さくなるように設けられたので、第1ゲート電極15と第2ゲート電極18とを電気的に分離するための層間絶縁膜を形成する際に第1ゲート電極15の縁が反った状態になることを抑制することができ、これにより、完成品においてシリコン酸化膜14の膜厚t14の均一な領域の面積が設計で見込んだ面積よりも減少して実効的な電荷転送部の面積が減少することを抑制できる。
【0041】
したがって、本実施の形態に係るIT−CCD型固体撮像装置では、第2の従来のIT−CCD型固体撮像装置に比べて、垂直CCDにおいて電荷を転送する際の取り扱い電荷量の減少を抑制することができ、画質の劣化を抑制することができる。
すなわち、従来のIT−CCD型固体撮像装置に比べて、本実施の形態におけるIT−CCD型固体撮像装置では、上記ゲート絶縁膜のうち機能の異なるゲート電極に覆われた部分間において、上記ゲート絶縁膜を構成するシリコン酸化膜およびシリコン窒化膜のそれぞれの膜厚を異ならしめたことにより、受光部から信号電荷を読み出す際の弊害を抑制することができ、かつ読み出された信号電荷を転送する際の弊害を抑制することができる。
【0042】
本実施の形態では、第1ゲート電極15から第2ゲート電極18にかけてこれらに覆われるように配されたゲート絶縁膜において、第1ゲート電極15覆われた部分と第2ゲート電極18に覆われた部分とを対比したとき、第1ゲート電極15に覆われた部分におけるシリコン酸化膜14の膜厚t14が第2ゲート電極18に覆われた部分におけるシリコン酸化膜16の膜厚t16より小さくなるように配する一方、第1ゲート電極15に覆われた部分におけるシリコン窒化膜13の膜厚t13aが第2ゲート電極18に覆われた部分におけるシリコン窒化膜13の膜厚t13bより大きくなるように配した構成を採用したため、第1ゲート電極15と半導体基板1との間の静電容量と、第2ゲート電極18と半導体基板1との間の静電容量とを略等しくすることができる。
【0043】
したがって、本実施の形態では、ゲート絶縁膜のうち第1ゲート電極に覆われた部分のポテンシャルと第2ゲート電極に覆われた部分のポテンシャルとを略等しくすることができ、転送効率の低下を抑制することができる。
(実施の形態2)
以下に、本発明の第2の実施の形態にかかるIT−CCD型固体撮像装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0044】
図3,4は、実施の形態2に係るIT−CCD型固体撮像装置の製造方法を示す概略工程図である。
本実施の形態に係るIT−CCD型固体撮像装置の製造方法では、ゲート絶縁膜の堆積方法に特徴があり、その他の構成については従来のものと同様の工程で作製することから、ここでは、その他の構成についての説明を省略する。
【0045】
まず、信号転送路形成済みの半導体基板1の主面に例えば熱酸化によってシリコン酸化膜12を堆積させ、当該シリコン酸化膜12の主面に例えばCVD法によってシリコン窒化膜13を堆積させ、当該シリコン窒化膜13の主面にシリコン酸化膜14を、例えばCVD法によって堆積させ、あるいは、パイロ酸化法によってシリコン窒化膜13を直接酸化して形成し、当該シリコン酸化膜14の主面に例えばCVD法によって第1のポリシリコン膜505を堆積させる(図3(a)参照)。
【0046】
そして、第1のポリシリコン膜505のうち所定の部分を選択的にドライエッチングにより除去して第1ゲート電極15を形成する。その際に、シリコン酸化膜14およびシリコン窒化膜13の一部も除去する(図3(b)参照)。
上記堆積・除去工程を経て、シリコン窒化膜13の上にシリコン酸化膜14と第1ゲート電極15とをこの順に積み重ねて形成できる。
【0047】
本実施の形態では、第1ゲート電極15は信号電荷転送専用の電極として配されている。
次に、常圧に保たれた公知の拡散炉において水素と酸素とを燃焼させてH2Oを生成し、同じ拡散炉においてこのH2Oを用いて酸化処理を実行するいわゆるパイロ酸化法によって、第1ゲート電極15からシリコン窒化膜13、シリコン酸化膜14に亘って露出している面に酸化処理を施し、ポリシリコンからなる第1ゲート電極15の表面にたとえば20[nm]程度のシリコン酸化膜17を堆積させ、かつシリコン窒化膜13の表面に約数[nm]のシリコン酸化膜16を堆積させる(図3(c)参照)。堆積されたシリコン酸化膜16とシリコン酸化膜17とを比較したときにその膜厚に差が生じるのは、シリコン窒化膜13がポリシリコンからなる第1ゲート電極15に比べて酸化され難いからである。
【0048】
上記パイロ酸化処理に引き続いて、ラジカル酸素を含む酸化法(たとえば、プラズマ酸化、ISSG(In−Situ Steam Generator)など)を用いて、酸化処理を実行することにより、シリコン酸化膜17を、その膜厚が40[nm]程度になるまで成長させるとともに、シリコン窒化膜13を覆うように設けられたシリコン酸化膜16を、シリコン酸化膜17の膜厚増加量の約80%程度に相当する10数[nm]成長させる(図4(a)参照)。
【0049】
当該酸化工程において、ラジカル酸素を含む酸化法を用いているので、第1ゲート電極15の酸化レートとシリコン窒化膜13の酸化レートとを近づけることができ、上記実施の形態1にて言及したように、第1ゲート電極15と半導体基板1との間の静電容量と、第2ゲート電極18と半導体基板1との間の静電容量とが略等しくなるように膜厚調整をすることができる。
【0050】
また、当該酸化工程において、上記ラジカル酸素を含む酸化法にパイロ酸化法を組み合わせている。当該パイロ酸化法によって酸化膜を形成すると、高速熱酸化(RTO)法やドライ酸化法により形成された酸化膜と比べて、欠陥密度の低い酸化膜を、同等の厚みで形成することができるので、当該絶縁膜が経時的に絶縁破壊されることを抑制することができる。
【0051】
次に、例えばCVD法によりシリコン酸化膜16からシリコン酸化膜17に亘ってそれらの表面に第2のポリシリコン膜508を堆積させ(図4(b)参照)、第2のポリシリコン膜508のうち所定の部分を選択的にドライエッチングにより除去して、信号電荷の読み出しおよび転送機能を備えた第2ゲート電極18を形成する(図4(c)参照)。
上記製造工程を経て、シリコン酸化膜12とシリコン酸化膜14,16とでシリコン窒化膜13を挟むようにこれらを積層させてなるゲート絶縁膜を形成すると、当該ゲート絶縁膜のうち第1ゲート電極15に覆われた部分と第2ゲート電極18に覆われた部分とを対比したとき、第1ゲート電極15に覆われた部分におけるシリコン酸化膜14の膜厚t14が第2ゲート電極18に覆われた部分におけるシリコン酸化膜16の膜厚t16より小さくなるようにシリコン酸化膜14,16を堆積させることができ、なおかつ、第1ゲート電極15に覆われた部分におけるシリコン窒化膜13の膜厚t13aが第2ゲート電極18に覆われた部分におけるシリコン窒化膜13の膜厚t13bより大きくなるようにシリコン窒化膜13を堆積させることができる。
【0052】
本実施の形態では、堆積したシリコン窒化膜13を例えばドライエッチングによりその一部を除去した後、酸化していたが、これに限定されず、窒化膜13の一部を除去せずに、ラジカル酸素を含む酸化法を用いて第1ゲート電極15からシリコン窒化膜13、シリコン酸化膜14に亘って露出している面に酸化処理を施しても良い。ラジカル酸素を含む酸化法を採用することによってポリシリコンを主成分とする第1ゲート電極15の酸化レートと窒化膜13の酸化レートとをほぼ等しくすることができるので、あらかじめ窒化膜13の一部を除去せずとも、第1ゲート電極15からシリコン窒化膜13、シリコン酸化膜14に亘って露出している面に酸化処理を施す際にポリシリコンを主成分とする第1ゲート電極15が窒化膜13と比べて過剰に酸化されることを抑制でき、第1ゲート電極15の露出面上ならびに窒化膜13の露出面上に酸化膜16、17を所望の厚みになるように調節して堆積させることができる。
【0053】
《実施の形態2に係るIT−CCD型固体撮像装置の製造方法の効果》
本実施の形態に係るIT−CCD型固体撮像装置の製造方法では、上記ゲート絶縁膜のうち第1ゲート電極15に覆われた部分のシリコン窒化膜13の膜厚t13aに比べて第2ゲート電極18に覆われた部分のシリコン窒化膜13の膜厚t13bが小さくなるようにゲート絶縁膜を堆積させることができるので、ゲート絶縁膜のうち第2ゲート電極18に覆われた部分においてシリコン窒化膜13を薄膜化傾向に堆積させることができ、したがって、電荷転送機能および受光部からの電荷読み出し機能を有する第2ゲート電極18に覆われた部分において、シリコン窒化膜13の膜厚t13bが、第1の従来の垂直CCDのうち上記信号電荷読み出し電極に覆われた部分のシリコン窒化膜の厚みに比べて小さくなるように堆積させることができ、上記信号電荷を受光部から読み出す際にホットエレクトロン効果によって電子がシリコン窒化膜13にトラップされることを抑制可能な垂直CCDを備えたIT−CCD型固体撮像装置を製造することができる。
【0054】
よって、本実施の形態に係るIT−CCD型固体撮像装置の製造方法では、上記受光部から信号電荷を読み出す度に規定の読み出し電圧では読みだし難くなるという弊害を抑制可能な垂直CCDを備えたIT―CCD型固体撮像装置を製造することができ、従来の読み出し電圧を維持していても画質の経時的劣化を抑制可能な垂直CCDを備えたCCD型固体撮像装置を製造することができる。また、本実施の形態に係るCCD型固体撮像装置の製造方法では、上記弊害を抑制可能なCCD型個体撮像装置を製造することができることから、画質の経時的劣化を抑制するために読み出し電圧を上昇させる必要が無くなって、白キズの増加を抑制可能な垂直CCDを備えたCCD型固体撮像装置を製造することができる。
【0055】
他方、本実施の形態にかかるCCD型固体撮像装置の製造方法では、上記ゲート絶縁膜のうち第2ゲート電極18に覆われた部分のシリコン酸化膜16の膜厚t16に比べて第1ゲート電極15に覆われた部分のシリコン酸化膜14の膜厚t14が小さくなるようにゲート絶縁膜を堆積させることができるので、ゲート絶縁膜のうち第1ゲート電極に覆われた部分においてシリコン酸化膜14を薄膜化傾向に堆積させることができ、したがって、転送機能のみ有する第1ゲート電極15に覆われた部分において、シリコン酸化膜14の膜厚t14が、第2の従来の垂直CCDのうち上記転送電極に覆われた部分のシリコン酸化膜の厚みに比べて小さくなるように堆積させることができて、第1ゲート電極15と第2ゲート電極18とを電気的に分離するための層間絶縁膜を形成する際に第1ゲート電極15が反った状態になることを抑制することができ、これにより、第2の従来の垂直CCDに比べて、シリコン酸化膜14の膜厚t14の均一な領域が減少して実効的な電荷転送部の面積が減少することを抑制できる。
【0056】
よって、本実施の形態に係るIT−CCD型固体撮像装置の製造方法では、第2の従来のIT−CCD型固体撮像装置に比べて、垂直CCDにおいて電荷を転送する際の取り扱い電荷量の減少を抑制することができ、画質の劣化を抑制可能な垂直CCDを備えたIT−CCD型固体撮像装置を製造することができる。
すなわち、本実施の形態に係るIT−CCD型固体撮像装置の製造方法では、従来のIT−CCD型固体撮像装置の製造方法に比べて、上記ゲート絶縁膜における機能の異なるゲート電極に覆われた部分間において、上記ゲート絶縁膜を構成するシリコン酸化膜およびシリコン窒化膜のそれぞれの膜厚が異なるように、上記ゲート絶縁膜を形成することができるので、受光部から信号電荷を読み出す際の弊害を抑制可能で、かつ読み出された信号電荷を転送する際の弊害を抑制可能な垂直CCDを備えたIT−CCD型固体撮像装置を製造することができる。
【0057】
本実施の形態では、ゲート絶縁膜を積層する際に、当該ゲート絶縁膜のうち第1ゲート電極15に覆われる予定の部分と第2ゲート電極18に覆われる予定の部分とを対比したとき、第1ゲート電極15に覆われる予定の部分におけるシリコン酸化膜14の膜厚t14が第2ゲート電極18に覆われる予定の部分におけるシリコン酸化膜16の膜厚t16より小さくなるように堆積させる一方、第1ゲート電極15に覆われる予定の部分におけるシリコン窒化膜13の膜厚t13aが第2ゲート電極18に覆われる予定の部分におけるシリコン窒化膜13の膜厚t13bより大きくなるように堆積させたため、第1ゲート電極15と半導体基板1との間の静電容量と、第2ゲート電極18と半導体基板1との間の静電容量とを略等しくすることが可能な垂直CCDを備えたIT−CCD型固体撮像装置を製造することができる。
【0058】
したがって、本実施の形態では、ゲート絶縁膜のうち第1ゲート電極15に覆われた部分のポテンシャルと第2ゲート電極18に覆われた部分のポテンシャルとを略等しくすることができ、転送効率の低下を抑制可能な垂直CCDを備えたIT―CCD型固体撮像装置を製造することができる。
<その他>
図5は、実施の形態1に係るIT−CCD型固体撮像装置において、垂直CCDの一部の他のバリエーションを示した要部断面図である。
【0059】
当該バリエーションでは、図5に示すように、層間絶縁膜37の厚みt37がシリコン酸化膜36の厚みt36よりも大きい。
一般的に、第1ゲート電極35に印加される駆動電圧と第2ゲート電極38に印加される駆動電圧との差は10[V]以上あり、耐圧確保のために上記構成を採用することによって、層間絶縁膜37において、その耐電圧能力を向上させることができ、駆動時における第1ゲート電極35と第2ゲート電極38との短絡を抑制する機能を向上させることができる。
【0060】
図6は、実施の形態1に係るIT−CCD型固体撮像装置において、垂直CCDの一部の他のバリエーションを示した要部断面図である。図6に示すように、第2ゲート電極48が第1ゲート電極45を覆うように配設されていても良い。
図7は、実施の形態1に係るIT−CCD型固体撮像装置において、垂直CCDの一部の他のバリエーションを示した要部断面図である。当該バリエーションでは、図7に示すように、ゲート絶縁膜のうち第1ゲート電極55とシリコン窒化膜53との間にシリコン酸化膜が配設されていない。
【0061】
当該構成を採用すると、第1ゲート電極55と第2ゲート電極58とを絶縁する層間絶縁膜57を堆積させる際に第1ゲート電極55が過剰に酸化されることに起因して第1ゲート電極55が反った状態になることをさらに抑制することができるので、第1ゲート電極55に覆われた部分でのゲート絶縁膜の膜厚がさらに均一になり、実効的な電荷転送部の面積が減少することをさらに抑制することができて、垂直CCDにおいて電荷を転送する際の取り扱い電荷量の減少をさらに抑制でき、その結果、画質の劣化をさらに抑制することができて、好ましい。
【0062】
また、実施の形態1に係るIT−CCD型固体撮像装置において、ゲート電極は1層構造を取っているが、当該ゲート電極の構造はこれに限らず、例えば、ゲート絶縁膜を覆うように配されたゲート電極が、シリコン酸化膜をポリシリコンで挟んだような複数層構造を有していてもよい。
また、実施の形態2に係るIT−CCD型固体撮像装置の製造方法では、シリコン酸化膜16およびシリコン酸化膜17をパイロ酸化法とラジカル酸素を含む酸化法とを用いて形成しているが、ラジカル酸素を含む酸化法だけを用いてもよい。
【0063】
また、実施の形態2に係るIT−CCD型固体撮像装置の製造方法では、シリコン酸化膜16およびシリコン酸化膜17の形成に際して、パイロ酸化法を実施した後にラジカル酸素を含む酸化法を実施しているが、順番を入れ替えてこれら酸化法を実施してもよく、すなわち、先にラジカル酸素を含む酸化法を実施した後にパイロ酸化法を実施してもよい。
【0064】
また、上記各実施の形態に係る固体撮像装置ならびにその製造方法では、IT−CCD型固体撮像装置として説明を行ってきたが、当該固体撮像装置は、他の方式のCCD型固体撮像装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係る固体撮像装置は、取り扱い電荷量の減少を抑制でき、転送効率の改善ができると共に、読出し電圧の上昇を低減することにより、寿命を延ばす、あるいは、寿命が同一で、読出し電圧の低減を図ることが必要な、カメラ装置等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る固体撮像装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る固体撮像装置において、垂直CCDの一部を示した要部断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る固体撮像装置の製造方法を示す概略工程図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る固体撮像装置の製造方法を示す概略工程図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る固体撮像装置において垂直CCDの一部の他のバリエーションを示した要部断面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る固体撮像装置において垂直CCDの一部の他のバリエーションを示した要部断面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る固体撮像装置において垂直CCDの一部の他のバリエーションを示した要部断面図である。
【図8】第1の従来の固体撮像装置における垂直CCDの一部を示した要部断面図である。
【図9】第1の従来の固体撮像装置における電荷読出し電圧の増加量と使用時間との関係を示した特性図である。
【図10】第1の従来の固体撮像装置における電荷読出し電圧の増加量とシリコン窒化膜の膜厚との関係を示した特性図である。
【図11】(a)は第2の従来の固体撮像装置における一画素を示した概略構成図であり、(b)は(a)で示したA断面を矢視した要部断面図である。
【図12】(a)は第2の従来の固体撮像装置における一画素を示した概略構成図であり、(b)は(a)で示したB断面を矢視した要部断面図である。
【符号の説明】
【0067】
1,31,41,51 半導体基板
2 受光部
3 垂直CCD
4 水平CCD
5 アンプ
12,32,42,52 シリコン酸化膜
13,33,43,53 シリコン窒化膜
15,35,45,55 第1ゲート電極
17,37,47,57 層間絶縁膜
18,38,48,58 第2ゲート電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の一方の主面に第1の絶縁膜が積層され、その上に、第1ゲート電極と第2ゲート電極とが並設され、前記第1ゲート電極と前記第2ゲート電極との間に第2の絶縁膜が介在する構造を備えた電荷転送装置であって、
前記第1の絶縁膜は、窒化膜の上に酸化膜を積層した構成を有しており、
前記酸化膜においては、前記窒化膜と前記第1ゲート電極との間に介在する部分の第1の厚みと、前記窒化膜と前記第2ゲート電極との間に介在する部分の第2の厚みとが異なり、かつ前記窒化膜においては、前記第1ゲート電極直下の部分の第3の厚みと、前記第2ゲート電極直下の部分の第4の厚みとが異なることを特徴とする電荷転送装置。
【請求項2】
前記第1の厚みが前記第2の厚みより小さく、前記第3の厚みが前記第4の厚みより大きいことを特徴とする請求項1に記載の電荷転送装置。
【請求項3】
前記第1ゲート電極と前記半導体基板との間の静電容量と、前記第2ゲート電極と前記半導体基板との間の静電容量とが、略等しくなるように、前記第1の厚み乃至前記第4の厚みが設定されていることを特徴とする請求項2に記載の電荷転送装置。
【請求項4】
前記基板には、前記第1ゲート電極および前記第2ゲート電極の配設位置に対応して電荷転送路が形成され、かつ前記電荷転送路と隣接するように、光電変換素子が設けられており、
前記第2ゲート電極は、前記素子から前記電荷転送路に電荷を読み出す機能を有し、前記第1ゲート電極は前記素子から前記電荷転送路に電荷を読み出す機能を有しないことを特徴とする請求項3に記載の電荷転送装置を備えた固体撮像装置。
【請求項5】
前記第2ゲート電極は、前記電荷を読み出す機能と前記電荷を前記電荷転送路に沿って転送する機能を併せ持ち、
前記第1ゲート電極は、前記電荷を前記電荷転送路に沿って転送する機能を有することを特徴とする請求項4に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
半導体基板の一方の主面上に窒化膜を形成するステップと、前記窒化膜上にその主面に沿う1軸方向に点在するように第1の酸化膜と第1ゲート電極とをこの順に積重ねた状態で形成するステップと、前記第1ゲート電極の露出面から前記窒化膜の露出面に亘って酸素ラジカルを用いて当該露出面を酸化することのみによって第2の酸化膜を、前記第1の酸化膜の厚みと比べて少なくとも前記窒化膜上の部分の厚みが大きくなるように形成するステップと、前記第1ゲート電極と隣接するように前記第2の酸化膜の露出面に第2ゲート電極を前記1軸方向に形成するステップとを含む電荷転送装置の形成方法。
【請求項7】
半導体基板の一方の主面上に窒化膜を形成するステップと、前記窒化膜上にその主面に沿う一軸方向に点在するように第1の酸化膜と第1ゲート電極とをこの順に積重ねた状態で形成するステップと、前記窒化膜の露出面から第1ゲート電極の露出面に亘って酸素ラジカルを用いた酸化法を用いて酸化した後パイロ酸化法を用いて当該露出面を酸化し、あるいはこの逆の順序で酸化することによって第2の酸化膜を、前記第1の酸化膜の厚みと比べて少なくとも前記窒化膜上の部分の厚みが大きくなるように形成するステップと、前記第1ゲート電極と隣接するように前記第2の酸化膜の露出面に第2ゲート電極を前記1軸方向に形成するステップとを含む電荷転送装置の形成方法。
【請求項8】
請求項6ないし7に記載の電荷転送装置の製造方法を含む固体撮像装置の製造方法。
【請求項1】
半導体基板の一方の主面に第1の絶縁膜が積層され、その上に、第1ゲート電極と第2ゲート電極とが並設され、前記第1ゲート電極と前記第2ゲート電極との間に第2の絶縁膜が介在する構造を備えた電荷転送装置であって、
前記第1の絶縁膜は、窒化膜の上に酸化膜を積層した構成を有しており、
前記酸化膜においては、前記窒化膜と前記第1ゲート電極との間に介在する部分の第1の厚みと、前記窒化膜と前記第2ゲート電極との間に介在する部分の第2の厚みとが異なり、かつ前記窒化膜においては、前記第1ゲート電極直下の部分の第3の厚みと、前記第2ゲート電極直下の部分の第4の厚みとが異なることを特徴とする電荷転送装置。
【請求項2】
前記第1の厚みが前記第2の厚みより小さく、前記第3の厚みが前記第4の厚みより大きいことを特徴とする請求項1に記載の電荷転送装置。
【請求項3】
前記第1ゲート電極と前記半導体基板との間の静電容量と、前記第2ゲート電極と前記半導体基板との間の静電容量とが、略等しくなるように、前記第1の厚み乃至前記第4の厚みが設定されていることを特徴とする請求項2に記載の電荷転送装置。
【請求項4】
前記基板には、前記第1ゲート電極および前記第2ゲート電極の配設位置に対応して電荷転送路が形成され、かつ前記電荷転送路と隣接するように、光電変換素子が設けられており、
前記第2ゲート電極は、前記素子から前記電荷転送路に電荷を読み出す機能を有し、前記第1ゲート電極は前記素子から前記電荷転送路に電荷を読み出す機能を有しないことを特徴とする請求項3に記載の電荷転送装置を備えた固体撮像装置。
【請求項5】
前記第2ゲート電極は、前記電荷を読み出す機能と前記電荷を前記電荷転送路に沿って転送する機能を併せ持ち、
前記第1ゲート電極は、前記電荷を前記電荷転送路に沿って転送する機能を有することを特徴とする請求項4に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
半導体基板の一方の主面上に窒化膜を形成するステップと、前記窒化膜上にその主面に沿う1軸方向に点在するように第1の酸化膜と第1ゲート電極とをこの順に積重ねた状態で形成するステップと、前記第1ゲート電極の露出面から前記窒化膜の露出面に亘って酸素ラジカルを用いて当該露出面を酸化することのみによって第2の酸化膜を、前記第1の酸化膜の厚みと比べて少なくとも前記窒化膜上の部分の厚みが大きくなるように形成するステップと、前記第1ゲート電極と隣接するように前記第2の酸化膜の露出面に第2ゲート電極を前記1軸方向に形成するステップとを含む電荷転送装置の形成方法。
【請求項7】
半導体基板の一方の主面上に窒化膜を形成するステップと、前記窒化膜上にその主面に沿う一軸方向に点在するように第1の酸化膜と第1ゲート電極とをこの順に積重ねた状態で形成するステップと、前記窒化膜の露出面から第1ゲート電極の露出面に亘って酸素ラジカルを用いた酸化法を用いて酸化した後パイロ酸化法を用いて当該露出面を酸化し、あるいはこの逆の順序で酸化することによって第2の酸化膜を、前記第1の酸化膜の厚みと比べて少なくとも前記窒化膜上の部分の厚みが大きくなるように形成するステップと、前記第1ゲート電極と隣接するように前記第2の酸化膜の露出面に第2ゲート電極を前記1軸方向に形成するステップとを含む電荷転送装置の形成方法。
【請求項8】
請求項6ないし7に記載の電荷転送装置の製造方法を含む固体撮像装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−21692(P2008−21692A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−189968(P2006−189968)
【出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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