説明

電話装置

【課題】通話の保留に対する課金をなくすことを可能にする。
【解決手段】主装置1は、着信に基づいて、発信者番号をRAM16に記憶すると共に、子機5-1に呼出信号を送信する(手順S2)。発信側電話機6と子機5-1との間の通話中(S3)に保留が必要になり、逆信釦を押下すると、主装置1は回線を切断する(S5)。次に逆信釦を押下すると、主装置1は、記憶した発信者番号を読み出し、発信側電話機6に発呼する(S7)。発信側電話機6に着信し、その利用者がオフフックして応答することにより、通話が可能になる(S8)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話装置に関し、詳細には、通話の保留に対する課金をなくすことのできる電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に公衆電話網では、発信側電話機における発呼操作に基づき交換機から着信信号が着信側電話機(被呼側電話機)に到達すると、着信側電話機にて着信音を鳴動させて着信を報知する。着信側電話機にてオフフックすると、着信音の鳴動が停止され、発信側電話機と着信側電話機との間に通話路が形成される。このようにして通話路が形成された後の電話料金は発信側電話機に課金される。
【0003】
ここで、着信側電話機の応答者が発信側電話機の利用者が通話したい相手(通話希望相手)ではない場合は、上記応答者が保留操作を行い、上記通話希望相手を呼び出す。また、着信側電話機がボタン電話装置の内線に収容されている子機であり、上記通話希望相手が他の子機の近くにいる場合は、保留操作及び他の子機に転送する操作を行う。そして、このような保留中は通話を行っていないにもかかわらず、発信側電話機に課金されてしまうという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、通話の保留に対する課金をなくすことのできる電話装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、通話中の相手電話機の番号を記憶する手段と、所定のキーの操作に応じて、前記通話中の回線を切断する手段と、前記切断された回線の捕捉操作に応じて、前記記憶された番号に発呼する手段とを備えたことを特徴とする電話装置である。
請求項2の発明は、請求項1記載の電話装置において、前記切断された回線の捕捉操作の前に転送先電話番号を入力することに応じて、転送先電話機との間に通話路を形成する手段を備えたことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2記載の電話装置において、通話中の相手電話機からの音声メッセージを録音する手段と、前記転送先電話機の再生キーの操作に応じて、前記音声メッセージを前記転送先電話機へ送出する手段とを備えたことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項2記載の電話装置において、前記転送先電話機にて前記切断された回線の捕捉操作を可能にしたことを特徴とする。
【0006】
(作用)
請求項1の発明によれば、通話中の相手電話機の番号を記憶し、通話中の所定のキーの操作に応じて、通話中の回線切断を行い、前記切断された回線の捕捉操作に応じて、前記記憶された番号に発呼する。
請求項2の発明によれば、前記切断された回線の捕捉操作を行う前に転送先電話番号を入力することに応じて、転送先電話機との間に通話路を形成する。
請求項3の発明によれは、通話中の相手電話機からの音声メッセージを録音し、転送先電話機の再生キーの操作に応じて、音声メッセージを再生して転送先電話機へ送出する。
請求項4の発明によれば、転送先の電話機にて前記切断された回線の捕捉操作に応じて、前記記憶された番号の電話機に発呼する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、通話の保留に対する課金をなくすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係る電話装置をボタン電話装置に適用した実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1に示すように、本発明の第1の実施形態の電話装置は、主装置1と、その内線に収容された複数のボタン電話機(子機)5-1〜5-mを有するボタン電話装置である。
【0009】
主装置1は複数の外線3-1〜3-nが接続されると共に、複数のボタン電話機(子機)5-1〜5-mが内線伝送路4-1〜4-mを介して接続されている。主装置1は、次の要素から構成されている。外線インタフェース11-1〜11-nは各外線3-1〜3-nとのインタフェースである。通話路スイッチ12は、外線3-1〜3-nと子機5-1〜5-mを接続する交換手段である。電話機インタフェース13-1〜13-mは、各子機5-1〜5-mとのインタフェースである。CPU14は、主装置1の制御を行う演算制御装置である。ROM15は、CPU14の実行するプログラムを格納するメモリである。RAM16は、CPU14が動作するときにデータを格納するメモリである。電話帳メモリ17は、電話帳データを格納するメモリである。保留IC18は、外線保留時に保留メロディを当該外線へ送出する手段である。PBレシーバ19は、外線3-1〜3-nからのPB信号を、外線インタフェース11-1〜11-n及び通話路スイッチ12を介して受信する手段である。録音再生部20は、外線3-1〜3-nを介する発呼者と各子機5-1〜5-mの通話の音声をRAM16に録音し、その音声をRAM16から再生する手段である。
【0010】
子機5-1は、主装置1からの内線伝送路4-1の通話線51に接続される通話回路53、主装置1からの内線伝送路4-1の伝送線52に接続され、主装置1とデータ伝送を行う伝送回路54、子機5の制御を行う制御部55、LCD56、ランプ57、及びダイヤル釦58A、保留釦58B、逆信釦58C、再生釦58D等からなる操作部58から構成されている。通話回路53には、スピーカSP及びマイクMICが接続されている。制御部55にはフックスイッチHSの状態(オン/オフ)が入力される。ダイヤル釦58Aは、ダイヤル発信を行うときに押下する数字付の釦である。保留釦58Bは、着信を保留するときに押下する釦である。逆信釦58Cは、着信中の相手電話機の発信者番号を記憶すると共に着信中の回線を切断するとき、及びその後に発信者番号を記憶した相手電話機に発呼するときに押下する釦である。再生釦58Dは、RAM16に録音された音声を再生するときに押下する釦である。他の子機も同じ構成を有する。
【0011】
図2は、本実施形態のボタン電話装置に着信し、子機5-1で応答した後に逆信釦を押下した場合の動作の流れを示すシーケンス図である。
まず発信側電話機6の利用者の発信操作に基づいて、発信側電話機6がダイヤル発信を行う(手順S1)。このダイヤル発信は、主装置1の外線3-1〜3-nの何れかに着信する。主装置1は、その着信に基づいて、発信者番号をRAM16に記憶すると共に、子機5-1に呼出信号を送信する(手順S2)。子機5-1では、呼出信号を受信し、LCD56、ランプ57及びスピーカSPに着信表示を行う。子機5-1の利用者がオフフックすることにより、子機5-1と発信側電話機6との間が通話路で接続される(手順S3)。ここで、発信側電話機6の発信者番号は図示されていない交換機にて付加されるが、便宜上、図2ではダイヤル発信に付加されているものとした。
【0012】
子機5-1の応答者は、発信側電話機6の利用者と通話を行い、発信側電話機6の利用者が他の人(通話希望相手)との通話を希望していることを確認したものとする。ここで、通常の電話機の場合は、保留釦を押下して着信中の回線を保留し、その通話希望相手を呼んだり、保留中の着信呼を他の子機に転送したりする。しかし、それでは保留中にも課金されてしまうので、本実施形態では、保留中の課金を回避するため以下の手順を実行する。
【0013】
子機5-1の応答者は逆信釦58Cを押下する。この操作により、子機5-1にて逆信釦58Cが押下されたことが伝送線52を介して主装置1に通知される(手順S4)。主装置1は、逆信釦押下通知の受信に基づいて、着信中の回線を切断する(手順S5)。次いで上記通話希望相手が子機5-1の逆信釦58Dを押下する。この逆信釦58Cの2回目の操作が伝送線52を介して主装置1に通知されると(手順S6)、主装置1はRAM16に記憶されている発信者番号を読み出し、その番号宛にダイヤル発信する(手順S7)。これにより、発信側電話機6に着信し、その利用者がオフフックして応答することにより、通話希望相手との通話が可能になる(手順S8)。なお、着信中の回線を切断する前に、着信側の電話機からかけ直す旨の音声メッセージを発信側電話機6へ送信してもよい。また、ここでは、切断した回線を捕捉するために逆信釦58Cの2回目の押下を行っているが、他のボタンの押下などにより、切断した回線を捕捉してもよい。
【0014】
次に子機5-1にて上記通話希望相手を呼び出すために、他の子機(ここでは子機5-2とする)に転送する場合の動作について図3のシーケンス図を参照しながら説明する。この図において、発信側電話機6の発信操作から子機5-1がオフフックすることにより子機5-1と発信側電話機6との間が通話路で接続されるまでの手順(S11〜S13)は、図2における手順S1〜S3と同じである。ただし、本実施形態では、予め通話の冒頭部分などをRAM16に録音することを設定しておく。
【0015】
子機5-1の応答者は、発信側電話機6の利用者と通話を行い、発信側電話機6の利用者が他の人(通話希望相手)との通話を希望していることを確認したものとする。子機5-1の応答者は、上記通話希望相手が通常は子機5-2の近くにいることを知っているので、逆信釦58Cを押下げ、次いで子機5-2の内線番号(転送先番号)をダイヤル釦58Aから入力する。
【0016】
この逆信釦58Cの押下げにより、子機5-1にて逆信釦58Cが押下されたことが伝送線52を介して主装置1に通知される(手順S14)。主装置1は、逆信釦押下通知の受信に基づいて、発信側電話機6の発信者番号をRAM16に記憶すると共に、着信中の回線を切断する(手順S15)。また、上述した子機5-2の内線番号の入力操作に基づいて、子機5-2の内線番号が伝送線52を介して主装置1に通知される(手順S16)。主装置1は、内線番号の通知を受け、子機5-2を呼び出す(手順S17)。
【0017】
子機5-2の利用者がオフフックすると、子機5-1との間が内線で接続され、子機5-2のLCD56には内線通話中であることが表示される。子機5-2の利用者が再生釦58Dを押下することにより、子機5-2にて再生釦58Dが押下されたことが伝送線52を介して主装置1に通知される(手順S18)。主装置1は、再生釦押下通知の受信に基づいて、RAM16に録音されている子機5-1の応答者と発信側電話機6の利用者との間の通話の音声を読み出し、通話線51を介して子機5-2へ送出する(手順S19)。
【0018】
子機5-2の応答者は、通話の音声を聞いて相手を確認した後に逆信釦58Cを押下すると、子機5-2にて再生釦58Dが押下されたことが伝送線52を介して主装置1に通知される(手順S20)。主装置1は、この通知を受信すると、RAM16に記憶されている発信者番号を読み出し、その番号宛にダイヤル発信する(手順S21)。これにより、発信側電話機6に着信し、その利用者がオフフックして応答することにより、子機5-2の利用者と発信側電話機6の利用者との間で通話が可能になる(手順S22)。
【0019】
なお、図3では、子機5-2の応答者はオフフックし、直ちに再生釦58Dを押下しているが、転送元である子機5-1の応答者と通話を行った後に再生釦58Dを押下してもよい。また、子機5-1の応答者との通話により発信側電話機6の利用者が識別できた場合には、通話録音の音声を聞かずに逆信釦58Cを押下してもよい。さらに、以上の説明では、逆信釦58Cの押下げに基づいて回線の切断などを行っているが、発信側電話機6が電話帳メモリ17に登録されている相手の場合は、保留釦58Bの押下げに基づいて同様に動作するように構成してもよい。
【0020】
上記のように、本発明の第1の実施形態のボタン電話装置によれば、着信の保留が必要なときに逆信釦58Cを押下することにより、発信者番号を記憶すると共に、着信中の回線を切断し、次に逆信釦58Cを押下することにより、記憶された発信者番号宛に発呼するので、着信保留中の課金をなくすことができ、かつ着信中の相手電話機の利用者に対する電話番号の問い合わせ及びメモ、並びにダイヤルキー入力が不要になる。
【0021】
[第2の実施形態]
本実施形態のボタン電話装置は、発信側電話機が携帯電話機であった場合、保留釦を押下することにより、発信側の携帯電話機に対する課金を停止することを要求する信号を携帯基地局へ送信するように構成したものである。本実施形態のボタン電話装置の構成は第1の実施形態と基本的に同じであるが、保留釦58Bを押下したときに、発信者番号が携帯電話機のものであるか否かを判別し、携帯電話機のものであった場合には、課金を停止することを要求する信号を携帯基地局へ送信する点が相違する。
【0022】
図4は、本実施形態のボタン電話装置に着信し、子機5-1で応答した後に保留釦を押下した場合の動作の流れを示すシーケンス図である。
まず発信側携帯電話機7の利用者の発信操作に基づいて、発信側形態電話機7がダイヤル発信を行う(手順S31)。このダイヤル発信は、電話網8へ送られ、網内の交換機(図示せず)にて発信者番号が付加され、主装置1の外線3-1〜3-nの何れかに着信する(手順S32)。主装置1は、着信に基づいて、発信者番号をRAM16に記憶すると共に、子機5-1に呼出信号を送信する(手順S33)。
【0023】
子機5-1では、呼出信号を受信しLCD56、ランプ57及びスピーカSPに着信表示を行う。子機5-1の利用者がオフフックすることにより、子機5-1と発信側携帯電話機7との間が通話路で接続される(手順S34)。
【0024】
子機5-1の応答者は、発信側携帯電話機7の利用者と通話を行い、着信を保留することが必要になったため、保留釦58Bを押下する。この押下操作に基づいて、子機5-1にて保留釦58Bが押下されたことが伝送線52を介して主装置1に通知される(手順S35)。
【0025】
主装置1は、この通知を受信すると、RAM16から発信者番号を読み出し、それが携帯電話機からのものである(例:090・・・)と判断した場合、保留IC18から保留音を読み出し、電話網8を介して発信側携帯電話機7へ送信するとともに、予め定められた周波数の非可聴音などを生成し、電話網8の携帯基地局へ送信する(手順S36、S37)。RAM16から読み出した発信者番号が携帯電話機のものではなかった場合は、保留音の送信を行うが、予め定められた周波数の非可聴音などの生成及び送信は行わない。
【0026】
電話網8内の携帯基地局では、上記非可聴音などを受信したときに保留中を確認する。そして、その非可聴音などを受信している間は課金を停止するか減額するなどのサービスを行う。
【0027】
その後、子機5-1にて保留を解除するために保留釦58Bを押下すると、それが主装置1に通知される(手順S38)。主装置1は、この通知を受信すると、保留IC18からの保留音の読み出しを終了させると共に、携帯基地局に対する非可聴音などの送信を終了させる(手順S39)。携帯基地局では、非可聴音などが検出されなくなったことに基づいて、発信側携帯電話機7に対する通常の課金を再開する。
【0028】
このように本発明の第2の実施形態のボタン電話装置によれば、着信側電話機にて保留操作を行ったとき、発信者番号に基づいて、発信側電話機が携帯電話機か否かを判別し、携帯電話機であった場合は、携帯基地局に所定の非可聴音などを送信することにより、着信保留中の課金をなくすことができる。
【0029】
なお、以上の各実施形態は、本発明をボタン電話装置に適用したものであるが、本発明は一般的な家庭用の電話装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施形態の電話装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態のボタン電話装置に着信し、子機で応答した後に逆信釦を押下した場合の動作の流れを示すシーケンス図である。
【図3】本発明の第1の実施形態のボタン電話装置に着信し、子機で応答した後に他の子機に転送する場合の動作の流れを示すシーケンス図である。
【図4】本発明の第2の実施形態のボタン電話装置に着信し、子機で応答した後に保留釦を押下した場合の動作の流れを示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0031】
1・・・主装置、5-1〜5-m・・・子機、14・・・CPU、16・・・RAM、17・・・電話帳メモリ、20・・・録音再生部、58B・・・保留釦、58C・・・逆信釦、58D・・・再生釦。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通話中の相手電話機の番号を記憶する手段と、所定のキーの操作に応じて、前記通話中の回線を切断する手段と、前記切断された回線の捕捉操作に応じて、前記記憶された番号に発呼する手段とを備えたことを特徴とする電話装置。
【請求項2】
請求項1記載の電話装置において、
前記切断された回線の捕捉操作の前に転送先電話番号を入力することに応じて、転送先電話機との間に通話路を形成する手段を備えたことを特徴とする電話装置。
【請求項3】
請求項2記載の電話装置において、
通話中の相手電話機からの音声メッセージを録音する手段と、前記転送先電話機の再生キーの操作に応じて、前記音声メッセージを前記転送先電話機へ送出する手段とを備えたことを特徴とする電話装置。
【請求項4】
請求項2記載の電話装置において、
前記転送先電話機にて前記切断された回線の捕捉操作を可能にしたことを特徴とする電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−92050(P2008−92050A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−267748(P2006−267748)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】