説明

静電塗装性の熱融合性粉末被膜および添加物

金属基材表面用の被膜は、少なくとも1つの膜形成性ポリマーを超微粒子の実質的に水分を含まないセメント質粒子と合体させたものであることを含んでなる。好ましい方法は、好ましくは腐食防止剤を含有するポリマーとセメント質粒子を含む乾燥粉末ブレンドが静電的に塗布され金属上に熱融合される、融合結合被膜塗布を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属物体および基材の被覆、特に超微粒子セメント質粒子を含有する静電塗装性の熱融合性粉末被膜に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、金属基材を保護するための熱融合性被膜に関する。このような被膜は、通常、架橋し、高温の印加時に金属表面に融合可能なエポキシ、ポリウレタン、ポリエステル、およびポリアクリル樹脂と、これらの混合物などの材料から作製される。このような被膜は金属を腐食から保護するのに使用される。エポキシ被膜は融合結合を使用する典型的な例を提供する。
【0003】
エポキシ被膜は、相当量の溶剤もしくは他の有害な構成成分を含有しないという点で環境にやさしいと考えられる。架橋能のあるエポキシ樹脂粉末被膜組成物と、架橋に影響を及ぼす種々の試剤がよく知られている。エポキシポリマーおよび酸無水物またはアミンなどの慣用の架橋剤を有する組成物も知られている(例えば、(特許文献1))。
【0004】
エポキシ被膜は、このような被膜により作製される連続的で耐久性な膜が金属表面上に形成可能であるために、パイプおよびパイプラインなどの大きな鋼物体を腐食および機械的損傷に対して保護するのに望ましい。エポキシは、熱硬化材料であるので、加熱時に硬化し、引き続いて高温への暴露時に軟化する傾向を持たない。このように、エポキシは、風化、暴露、化学的分解、および他の影響からの分解に抗する。
【0005】
市販され、鉄鋼用に広く使用されている被膜は、融合結合されたエポキシ(FBE)被膜として既知のものを含む。鉄鋼強化にFBE被膜を塗布するための方法は、表面を準備すること、金属表面をエポキシ樹脂の融合温度まで加熱すること、エポキシ樹脂粉末を塗布すること、およびエポキシ樹脂を硬化することの4つの主な段階を含む。
【0006】
例えば、多くのエポキシ被覆プラントにおいては、棒鋼は、真っ直ぐな形で被覆され、次に曲げられ、もしくは最終形状に加工され得る。別法としては、加工が完了した後で、賦型された棒または溶接ワイヤメッシュなどの鋼物体を被覆することが可能である。いずれの場合においても、エポキシは、連続的であり、下地の鋼基材の腐食を生じる可能性のある、開口、孔、またはピンホールを含まない膜の被膜を維持する。
【0007】
例えば、強化用鋼は、研磨砂を用いてほぼ白色の金属仕上げにブラストクリーニングされる。ブラストクリーニングは、鉄鋼表面をクリーニングして、汚染物質を除去し、耐食性のエポキシ被膜を機械的に係留し、鋼と化学的に結合する機会を賦与するために粗い表面を提供する。ブラストクリーニング後、棒は、例えば電気誘導ヒーターを使用することにより、ほぼ450°Fまで加熱される。加熱された棒は、乾燥エポキシ粉末を多数の噴射ノズルから噴出させる粉末噴射ブースに通される。粉末が噴射ノズルを出る時に、電荷が粒子に与えられる。このように、帯電された粒子は、高温の鋼に引き付けられ、表面上で溶融し、係留形状の中に流入し、ならびに鉄筋のリブおよび変形に形を合わせる。それゆえ、高熱は化学反応を開始して、粉末分子の複雑な架橋ポリマーの形成を引き起こし、エポキシ被膜に有利な耐久性と保護性を賦与する。
【0008】
前述のように、鋼物体もしくは基材は、エポキシ粉末被膜の塗布前もしくは塗布後に加熱され得る。もう一つの例として、FBE被膜を製造するための方法は、(特許文献2)で述べられているように、ブラストクリーニングされ、予め加熱された鋼管上にエポキシ樹脂を粉末の形で静電噴射することを伴う。Shawらは、金属表面をショットブラストし、金属を高圧流体流洗浄操作にかけ、金属物体を分極し、帯電粉末化された樹脂(物体を樹脂により静電被覆するように)により物体を噴射し、次に樹脂の融合温度の上まで金属を加熱することにより樹脂を硬化させることを伴う方法も開示している。
【0009】
特に金属パイプおよびパイプライン(地中に埋設されたものなど)を保護するためのエポキシなどの腐食防止被膜の性能に直接に関する重要な測定可能なパラメーターは、陰極剥離のパラメーターである。この性質は、パイプを土の環境中で陰極防食電位にかけた場合、金属表面にかぶさる腐食防止保護被膜が保護被膜中の不連続部(しばしば、「休み」またはピンホールと呼ばれる)の周りでカソード反応の結果として剥離する程度として定義される。
【0010】
このように、陰極防食は、地中に埋設された金属パイプラインに小さい電位を印加する現象を指すのにしばしば使用されてきた(例えば、(特許文献3)の欄1、11.45などを参照のこと)。埋設されたパイプラインの陰極の状況は、金属表面を攻撃する腐食を制限するか、もしくは防止する傾向を持つ。パイプライン被膜を陰極剥離させる程度を測定するための方法は、業界で既知である(例えば、ASTMG−8を参照のこと)。
【特許文献1】米国特許第4,122,060号
【特許文献2】米国特許第3,904,346号、Shawらの
【特許文献3】米国特許第4,504,365号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の主な目的の一つは、陰極剥離を生じる可能性のある、金属表面上の腐食防止保護被膜中のピンホールまたは多孔性の形成を防止するか、もしくは最少とするための組成物および方法を提供することである。
【0012】
もう一つの目的は、金属上に静電的に塗布され、次に熱融合される融合結合された膜形成性ポリマー被膜などの腐食防止保護被膜を提供することである。このようにして、硬化速度、可撓性、および接着性保持を増進する一方で、ピンホール形成が防止される。
【0013】
なお更なる目的は、簡便であり、経済的であり、ならびに金属物体および表面に連続的で耐久性の被膜を施すための異なる方法に適合可能な組成物および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、金属基材上に熱融合された場合、遊離水を実質的に欠如しているセメント質粒子が陰極剥離を防止するか、もしくは最少とするために使用されるポリマー組成物および方法を提供する。
【0015】
金属基材を被覆するための例示の熱融合性組成物は、組成物の全重量基準で20%以上で99%以下の量で存在する少なくとも1つの膜形成性ポリマー;および0.05−50.0ミクロンの、更に好ましくは1−20ミクロンの、最も好ましくは5−10ミクロンの平均粒子サイズを有するセメント質粒子を含んでなる。この粒子は、セメント質粒子の全乾燥重量基準で0−2%の量で遊離水を含有するという意味において遊離水を実質的に欠如(もしくは、「水分を含まない」)していなければならない。用語「遊離水」は、セメント水和反応に参画せず、それゆえ、セメント反応生成物に化学的に結合していない水を指すのに使用される。セメント質粒子は、好ましくは乾燥粉末組成物の全重量基準で1−50%の、更に好ましくは10−35%の量にある。
【0016】
場合によっては、乾燥粉末組成物は、乾燥粉末組成物の全重量基準で4−30%の量で存在し、触媒、硬化剤、腐食防止剤、促進剤、流動促進剤、顔料、着色剤、脱泡剤、UV安定剤、酸化防止剤、および非セメント質充填剤からなる群から選択される1つ以上の慣用の添加物を含み得る。
【0017】
それゆえ、セメント質粒子は、ポルトランドセメントを1つ以上の化学的混和物(腐食防止剤である亜硝酸カルシウムなどの)と共に水和して、硬化物体を形成し、以降に硬化物体を粉砕して、粒子を形成することを含む方法を述べている、Berkeらの米国特許第6,648,962号で開示されているように水和され得る。本発明者は、水和過程の結果として水が化学的に結合している、このような水和セメント質粒子を引き続いて加熱して、遊離水レベルが粒子の重量で0−2%となるように、実質的にすべての遊離(非水和)水を除去しなければならないということを見出した。さもないと、セメント質粒子からの水分喪失は、熱融合操作時に被膜中でボイドを生じ、腐食防止性の喪失を生じる可能性がある。
【0018】
本発明の最も好ましい態様においては、セメント質粒子は、生成するセメントが低残存硫酸塩含量を有するように、硫酸カルシウム(CaSO)と半水和硫酸カルシウム(CaSO・2HOH)を本質的に含まないポルトランドセメントクリンカーを磨砕することにより形成される。好ましくは、セメント質粒子は、粒子の乾燥重量で0.001%(もしくはそれ以下)から0.1%以下の全硫酸塩含量を有する。
【0019】
更に驚くべきことには、本発明者らは、超微粒子の実質的に水分を含まないセメント質粒子(亜硝酸カルシウムなどの腐食防止剤を組み込むことなしでも)を使用することによって、金属基材を陰極電流にかけた場合に熱融合性ポリマー被膜中の陰極剥離抵抗が増強されるということを見出した。理論に拘束されるのではないが、本発明者らは、セメント質粒子の高い表面積によって、被覆金属を腐食条件および/または陰極電流にかけた場合、セメント質粒子のアルカリ性のために層被膜内の局所pHが増加することにより陰極剥離抵抗が改善されると考えている。
【0020】
本発明の組成物および方法において使用可能である膜形成性ポリマーの例は、限定ではないが、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリレート、ビニルポリマー、ポリオレフィン、ポリアミド、およびこれらの混合物を含む。好ましい組成物および方法は、前述のセメント粒子を有するエポキシ樹脂またはポリエステル変性エポキシ樹脂の使用を伴う。超微粒子の実質的に水分を含まないセメント質粒子は、粉末被膜系で使用されるすべての樹脂および樹脂組み合わせ物と適合性であると考えられる。被膜性能が樹脂系のみならず、使用される主な顔料、増量剤、および添加物に依存するものならば、本発明の超微粒子のセメント質粒子は、粉末被膜系中の可撓性を増大すると考えられる。本発明の超微粒子のセメント質粒子は、所定の被膜系に対する特定の結果をもたらす慣用の添加物を組み込むように、もしくはもう一つの特徴として、被膜組成物で使用されるもう一つの添加物と不適合性であり得る添加物を組み込むように設計可能であるためである。
【0021】
触媒、硬化剤、腐食防止剤、促進剤、流動促進剤、顔料、着色剤、脱泡剤、UV安定剤、酸化防止剤、またはこれらの混合物からなる群から選択される添加物を含む、上述の膜形成性ポリマー被膜組成物および方法で慣用的に使用される添加物も使用され得る。例えば、亜硝酸カルシウムなどの腐食防止剤は、好ましくはセメント質粒子中に組み込むことにより被膜組成物の中に組み込まれ得る。
【0022】
静電塗装性の乾燥粉末被膜組成物を製造するための本発明の例示の方法は、(A)1つ以上の膜形成性ポリマー;(B)上述の水分を含まないセメント質粒子;および(C)場合によっては1つ以上の添加物(例えば、硬化剤、促進剤、顔料、無機充填剤など)を一緒にブレンドすること;慣用の押し出し機に混合物を通すこと;次に慣用の磨砕装置を用いて混合物を粉末まで縮小することを含んでなる。場合によっては、この粒子は、平均および中間の粒子サイズが250ミクロン未満であるように篩い掛けされなければならない。
【0023】
本発明の他の態様は、熱融合性被膜組成物を得るのに、1つ以上の膜形成性ポリマーと合体可能である「パッケージ」組成物を含む。例示のパッケージ組成物は、セメント粒子の全乾燥重量基準で0−2%の遊離水含量を有する、1−50ミクロンの、更に好ましくは1−20ミクロンの、最も好ましくは5−10ミクロンの平均粒子サイズを有するセメント質粒子と、非セメント質充填剤、触媒、硬化剤、腐食防止剤、促進剤、流動促進剤、顔料、着色剤、脱泡剤、酸化防止剤、またはこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の添加物を含む。
【0024】
本発明の例示の方法は、少なくとも1つの膜形成性ポリマーと実質的に水分を含まないセメント質粒子を有する上述の被膜組成物により金属基材の表面を被覆することを含んでなる。好ましくは、この組成物は、例えば静電的堆積により乾燥粉末として塗布され、金属を予備加熱しならびに/もしくは金属の温度を増加させるのに熱を加えて、粉末中に含有される膜形成性ポリマーが金属に融合し、硬化されるようになることにより、金属表面に融合される。
【0025】
本発明は、膜形成性ポリマーと実質的に水分を含まないセメント質粒子を有する上述の被膜組成物により被覆される、鋼管もしくはパイプライン、棒鋼および鉄筋などの金属物品も提供する。実に、この被膜組成物は、自動車用、工業用、および住宅用の普及した用途を有すると考えられる。
【0026】
本発明の更なる利点および特徴は、この明細書中でこれ以降更に詳細に述べられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明は、実質的に水分を含まない超微粒子のセメント質粒子を少なくとも1つの膜形成性ポリマーと組み合わせて使用して、好ましくは乾燥粉末の形(例えば、静電堆積で)で金属基材表面に塗布され、熱融合されて、優れた陰極防食を有する腐食防止保護被膜をもたらす被膜組成物を提供する組成物および方法を教示する。
【0028】
用語「セメント質」は、この明細書中で使用される時水の添加および混合時に開始する硬化能を有する水和性無機結合剤から作られる粒子を指す。本発明での使用に好適な例示のセメント質材料は、普通ポルトランドセメント(OPCまたは短く「ポルトランドセメント」)、ポゾラン(例えば、フライアッシュ、シリカヒューム)、顆粒化高炉スラグ、およびこれらの混合物を含む。好ましいセメント質材料は、例えば20:1から5:1の比で混合され得るポルトランドセメントとポゾラン材料の混合物を含む。
【0029】
好ましい態様においては、このセメント質粒子は、天然ハイドライト(CaSO)として得られる添加の硫酸カルシウムを含まず、石膏(CaSO・2HOH)として知られる添加の半水和硫酸カルシウムも含まないポルトランドセメントクリンカーを磨砕することにより製造される。生成するセメント質粒子は、セメント製造に使用される製造工程において石膏と共に磨砕することにより作製される普通ポルトランドセメントのレベルよりも低い硫酸塩レベルを有する。他の態様においては、セメント質粒子は、0.001−0.1%の硫酸塩含量を有するポルトランドクリンカーを用いて作製される。好ましくは、このクリンカーは、顆粒化された高炉スラグ、フライアッシュ、およびシリカヒュームから選択される少なくとも1つの無機材料も有し得る。添加の硫酸カルシウムおよび添加の石膏を含まないポルトランドセメントクリンカーにおいては、構成成分のアルミン酸三カルシウムは、水と直接に反応して、3CaO・Al・6HOを形成する。この反応は急速であるが、混合物中の他の構成成分は、粒子の破砕および製造の目的で充分な硬度をもたらすには充分に急速に反応しない。しかしながら、添加の硫酸カルシウムおよび添加の石膏を含まないポルトランドセメントクリンカーを亜硝酸カルシウムと合体する場合には、反応生成物は、好適な硬度をもたらして、この水和材料を破砕する場合充分なセメント質粒子が形成された。
【0030】
したがって、本発明の好ましい態様は、硫酸カルシウムまたは石膏を添加せずに、しかし亜硝酸、硝酸、クロム酸、ギ酸、モリブデン酸、またはこれらの混合物のカルシウム、ナトリウム、もしくはカリウム塩を添加して作製されるポルトランドセメントクリンカーから製造されるセメント質粒子を含む。亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、ギ酸カルシウム、またはモリブデン酸カルシウムが好ましく、亜硝酸カルシウムが最も好ましい。
【0031】
他の例示の態様においては、いわゆる「超微粒子セメント」を使用して、本発明の超微粒子のセメント質粒子を提供し得る。これらは、商品として使用可能であり、極めて低いレベルの遊離水と共に作製され、ならびに押し出して被膜組成物とするのに充分微細である。超微粒子セメントは、特別なミルで極めて小さい粒子サイズに磨砕され、普通ポルトランドセメントよりもずっと微細である。このような超微粒子セメントの使用は、普通グレードのセメントグラウトによっては実用的にグラウト化不能である微細グレードの砂をグラウト化するために日本および北米で今普及している。超微粒子セメントは、岩を強固にし、岩石トンネルを予備注入して、水密封するためにスカンジナビアで広く使用される。超微粒子セメントは、一般に、ポルトランドセメントクリンカーをベースにしており、時には高炉スラグを含有する。入手し得る種々の超微粒子セメントの最大の粒サイズは、一般に、15と30ミクロンの間にあり、600と1500Blaine(m/kg)の間の比表面積を有する。(「Specialty Cements−Uses and Applications In Civil Engineering And Underground Construction Works」,Frank Papworth(Scancem Material)and Aage Rettvins(Scancem Chemicals)を参照のこと)。
【0032】
セメント結合剤材料に無関係に、本発明の例示のセメント質粒子は、0.01−50ミクロンの、更に好ましくは1−20ミクロンの、最も好ましくは2−10ミクロンの平均粒子サイズを有する。好ましい平均粒子サイズは、個人の好み、ならびに使用される膜形成性ポリマーの平均サイズ、およびポリマーが熱融合される金属基材表面への塗布方法に大きく依存することができる。空気磨砕機(空気ミクロマイザーとしても知られている)、ボールミル磨砕機、ジェットミル磨砕機、およびパールミル(ジルコニア磨砕要素を使用する)などの慣用の磨砕装置が使用可能である。例えば、ジェットミル磨砕機を使用して、2−10ミクロン(μm)の間の平均粒子サイズを有するセメント質粒子を製造することができ、空気分級機と篩を使用して、2μm以下および10μm以上の直径を有する粒子を分離することができる。最も好ましくは、平均粒子サイズは約5−10ミクロンの直径である。
【0033】
本発明者は、0−2%の遊離水を有する形で入手し得る市販の超微粒子セメントを使用することが可能であり、このような超微粒子セメントを都合よく篩いかけもしくは粉砕して、5−10ミクロンの最も好ましい平均粒子サイズを得ることができると考える。
【0034】
用語「遊離水」は、水がポルトランドセメントと化学的に結合する状態となるセメント水和過程の一部ではない水を指す。上記の「課題を解決するための手段」で述べたように、本発明のセメント質粒子は、セメントの全重量基準で0−2%の遊離水を含有するという意味において遊離水を実質的に欠如するものでなければならない。便宜的に、別法としては、このような粒子は、この明細書中では、「実質的に水分を含まない」もしくは「遊離水を実質的に欠如する」と呼ばれ得る。
【0035】
1つ以上の混和物の随意の組み込みを述べている、Berkeらの米国特許第6,648,962号B2で教示されているようにセメント質粒子を作製する場合には、セメント質粒子は、水和および粉砕の後で、遊離水水分を追い出して、遊離水の量がセメント結合剤構成成分の全重量で2パーセント(2%)以下となるのに充分な時間少なくとも105℃まで加熱されなければならない。随意の混和物は、亜硝酸カルシウム(好ましい)、カルシウム硝酸塩、またはこれらの混合物を含み得、これは、水との混合の前、間、もしくは後でセメント結合剤構成成分と共に組み込まれて、水和反応を開始させ、硬化過程を開始させる。別法としては、もしくはこれに加えて、混和物は、セメント質粒子の外表面上に液体として被覆され、粒子の中に部分的に吸収され得る。
【0036】
更なる例示の態様においては、セメント質粒子は、無視し得る鉄酸化物含量(通常<0.5重量%)を有するセメントからなり得る。このようなセメントは「白色セメント」として市販され、電位着色もしくは暗化(鉄含量による)が望ましくない場合に使用される。
【0037】
本発明の例示の組成物および方法は、好ましくは乾燥粉末の形で塗布され、種々の金属基材を被覆し得る、少なくとも1つの膜形成性樹脂と、超微粒子の実質的に水分を含まないセメント質粒子を含む。鋼管、鋼管ライン、およびコンクリート用の鉄筋に加えて、この組成物は、パイプハンガー、バルブ、ポンプ、マニホールド、はしご、金網、電線および電纜ロープ、I−ビーム、パネル、カラムコイル、錨板、椅子、およびその他などの物体に塗布され得る。
【0038】
上述の超微粒子のセメント質粒子に加えて、本発明の例示の組成物および方法は、金属基材上に好ましくは乾燥粉末(例えば、静電堆積により)として塗布される場合、被膜を形成するように作用する、少なくとも1つの膜形成性ポリマーを更に含む。粉末被覆を施した後で、金属基材を予備加熱ならび/もしくは加熱して、金属への被膜の熱融合を達成し得る。
【0039】
本発明での使用に好適であると考えられる例示の膜形成性ポリマーは、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリレート、ビニルポリマー、ポリオレフィン、およびポリアミドからなる群から選択され得る。1種以上のポリマーを使用し得る。エポキシ、ポリエステル、ポリウレタンなどの熱硬化性樹脂が好ましい。エポキシ/ポリエステル、エポキシ/ポリウレタンなどの種々の組み合わせ物も使用し得る。
【0040】
この明細書中の開示に鑑みると普通の技術を持つ者には明白であるように、このようなポリマーと慣用的に使用される添加物も本発明での使用に考えられる。例示の添加物は、触媒、硬化剤、腐食防止剤、促進剤、流動促進剤、顔料、着色剤、脱泡剤、UV安定剤、酸化防止剤、またはこれらの混合物を含む。
【0041】
好ましい膜形成性ポリマーは、本発明に最も好都合で好適であると考えられ、熱融合被膜中で使用されるエポキシ組成物および系である。エポキシ樹脂は、エポキシド基の反応性に基づく熱硬化性樹脂である。一つの樹脂タイプは、エピクロロヒドリンとビスフェノールAから作製される。グリセロールなどの脂肪族ポリオールが芳香族ビスフェノールAの代わりに使用され得る。例えば、このタイプの分子は、グリシジルエーテル構造を有し、多数のヒドロキシル基を有し、アミンにより容易に硬化される。
【0042】
もう一つのタイプのエポキシ樹脂は、過酢酸により酸化されたポリオレフィンから作製される。これらは、分子内ならびに末端位置に多くのエポキシド基を有し、酸無水物による硬化可能であるが、高い温度を必要とする。両方のタイプの多くの変形が商業的に製造される。ハロゲン化ビスフェノールを使用して、難燃性を追加することができる。
【0043】
鋼パイプなどの金属物体の保護のためには、融合結合されたエポキシ粉末が好ましい。市販され、本発明の被膜組成物および方法で使用可能なエポキシもしくはエポキシ・ノボラック樹脂ベースの多数の粉末被膜系がある。いくつかの例は、オイル、ガス、および建設市場で使用されている鋼パイプラインおよび金属の腐食防止用の融合結合されたエポキシ粉末のSCOTCH KOTE(登録商標)を含む。粉末化樹脂の種々の3M(登録商標)SCOTCH CAST(登録商標)がOEM電気絶縁塗装に提供されている。
【0044】
Du Pontの米国特許第4,122,060号によれば、熱硬化性エポキシ粉末被膜組成物は、少なくとも90重量パーセントが150ミクロンを超えない最大寸法を有し、好ましくはゼロパーセントが200ミクロンを超えない寸法を有する微粉化粒子を有し得る。最大寸法は、好ましくは10−120ミクロン、更に好ましくは40−100ミクロンでなければならないということが述べられていた。
【0045】
本発明のエポキシ組成物はエポキシ・ノボラックも含む。これらも熱硬化性樹脂であり、エピクロロヒドリンとノボラック樹脂(フェノール・ホルムアルデヒド)との反応により製造される。これらは、エピクロロヒドリン・ビスフェノールAタイプよりも高い温度に対する良好な抵抗を提供するとされる反復するエポキシド構造を有する。
【0046】
本発明のエポキシ組成物は、エポキシ業界で既知であり得る被膜の最終性質を変成するための他の樹脂系を含み得る。例えば、このエポキシ組成物はポリオレフィンを含み得る。金属基材上の保護複合被膜の形成に適用可能なエポキシ樹脂とポリオレフィンを粉末被膜混合物にブレンド化することが例えばWongらの米国特許第5,178,902号で開示された。この特許は、0.915から0.965の間の比重範囲と、10分当り0.3と80グラムの間のメルトフローインデックス範囲を有する粉末化ポリエチレンと予備混合されている粉末で使用可能な、3M(登録商標)SKOTCH COTE(登録商標)206N Standard、206N slow、NAPKO(登録商標)7−2500、およびVALSPAR(登録商標)Dl003LDとして市販されているエポキシおよびエポキシ・ノボラック樹脂を述べている。このポリオレフィン粉末は、UV安定剤、酸化防止剤、顔料、および充填剤などの添加物とブレンド可能である(粉末に磨砕される前に)。
【0047】
Mooreらへの米国特許第3,578,615号は、金属表面に対して陰極剥離抵抗をもたらすエポキシ樹脂被膜を教示した。Mooreらは、(1)1分子当り少なくとも1つの隣接のエポキシ基
【0048】
【化1】

【0049】
を有するポリエポキシド;(2)エポキシ硬化剤;(3)エポキシ硬化触媒;(4)オルト−ニトロフェノール、リン酸、アミノシランなどのしかるべき結合添加物、および(5)充填剤からなる、流動化可能な熱硬化性の迅速硬化型ポリエポキシド被膜組成物を教示した。この明細書中で述べられている実質的に水分を含まないセメント質粒子を充填剤の一部の代わりに使用することができると考えられる。
【0050】
他のエポキシ樹脂系は、エポキシ基またはブロックイソシアネートを含有する硬化剤付きの純粋ポリエステルなどのポリエステルおよび種々の架橋剤付きのアクリル樹脂を含み得る。この粉末は、ジシアンジアミドまたはポリカルボン酸により硬化可能である。このように、粉末の形のエポキシ樹脂および酸性ポリエステル樹脂が使用され得、この混合比はポリエステルに対して1:1から1:9であることができる。ポリエステルもしくはポリウレタン粉末を使用する外部塗装に対しては非セメント質充填剤が配合物の中に好ましくは添加され得る。ポリエステル粉末被膜は、低分子量硬化剤を入れた酸ポリエステルからなる。アクリル粉末配合物中で使用されるアクリル樹脂はグリシジルメタクリレートを含有し、カルボキシル官能性架橋剤と反応する。
【0051】
このように、エポキシ樹脂系は、金属基材用の熱融合性被膜の性質を変成するためにポリオレフィン、ポリエステル、ポリアクリレート、またはこれらの混合物を含み得る。融合結合された被膜の分野の通常の技術を持つ者ならば、この明細書中で述べられている実質的に水分を含まないセメント質粒子と組み合わせて、このような他の膜形成性ポリマー系をエポキシベースの樹脂系に置き換えることができるということを認識するであろう。それゆえに、本発明は、概ね上記のセメント質粒子との組み合わせた少なくとも1つの膜形成性ポリマーの組み合わせ物として一般的に枠組みされている。エポキシベースの樹脂系は、本発明の種々の局面を例示する目的のために排他的ではないが中心的な態様を提供する。
【0052】
金属基材に熱融合するための本発明の例示の乾燥粉末被膜組成物は、被膜組成物の全重量基準で20%以上で99%以下の量で存在する少なくとも1つの膜形成性ポリマー;粒子が遊離水を含有しないか或いはセメント質粒子の全乾燥重量基準で2%を超えない量で水を含有するという意味において遊離水を実質的に欠如し、乾燥粉末組成物の全重量基準で1−50%(更に好ましくは10−35%)の量で存在する、0.05−50.0ミクロンの、更に好ましくは1−20ミクロンの、最も好ましくは5−10ミクロンの平均粒子サイズを有するセメント質粒子;乾燥粉末組成物の全重量基準で4−30%の量で存在し得、触媒、硬化剤、腐食防止剤、促進剤、流動促進剤、顔料、着色剤、脱泡剤、UV安定剤、酸化防止剤、および非セメント質充填剤からなる群から選択される慣用の添加物を場合によっては含む乾燥粉末組成物を含む。
【0053】
例示の随意の添加物は、例えば、膜形成性ポリマーがエポキシ系である場合には、非セメント質充填剤、触媒、硬化剤、腐食防止剤、促進剤、流動促進剤、顔料、着色剤、脱泡剤、酸化防止剤、および/または他の試剤またはこれらの混合物を含み得る。
【0054】
既知の非セメント質の有機もしくは無機充填剤は、被膜の性質を変成するために場合によっては使用され得る。歴史的には、被膜の磨耗抵抗を改善し、硬化時に生じる可能性のある収縮力を解放するのに添加物が組み込まれた。このような添加物は、粉末被膜組成物の全重量基準で0−80%の、更に好ましくは5−50%の、最も好ましくは10−35%の量で組み込まれた、炭酸カルシウム、シリカ、雲母、硫酸バリウム、ウオラストナイト、カオリン、二酸化チタン、砂、およびこれらの混合物を含む。
【0055】
慣用の被膜系においては、本発明の超微粒子の実質的に水分を含まないセメント粒子により置き換えられ得る非セメント質無機充填剤構成成分は、被膜組成物の中に機能性添加物(例えば、顔料、着色剤、腐食防止剤)を送達する能力などの価値を増進するメリットをもたらす。
【0056】
例示の腐食防止剤は、亜硝酸カルシウムおよび/または硝酸カルシウム、亜硝酸ナトリウムおよび/または硝酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、あるリン酸塩、フルオロアルミン酸塩、フルオロケイ酸塩、アミン、エステル、モリブデン酸塩、リン酸塩、脂肪酸エステル、ホウ酸塩(例えば、ボラックス、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸リチウム、およびこれらの混合物を含む。このような腐食防止剤は、セメント質粒子の乾燥重量基準で0−50%の、更に好ましくは10−30%の量で使用され得る。
【0057】
架橋を加速もしくは達成するための例示の触媒、硬化剤、および/または促進剤(特にエポキシもしくはポリウレタン系)は、ジシアンジアミド、ポリカルボン酸、多官能性アミン、酸官能性ポリエステル、イソシアネート、およびその他を含む。これらは、被膜組成物の全重量基準で0−12%の、更に好ましくは0.1−10%の、最も好ましくは0.2−8.0%の量で使用され得る。
【0058】
例示の流動促進剤は、アクリレート(例えば、ブチルアクリレート好ましくは高分子量のポリアルキルアクリレート)を含む。これらは、被膜組成物の全重量基準で0−15%の、更に好ましくは0.1−10%の、最も好ましくは0.5−5.0%の量で使用され得る。
【0059】
例示の顔料および着色剤は、二酸化チタン、酸化亜鉛、鉄酸化物、クロム酸化物など、ならびに金属粉末、金属水酸化物;硫化物;硫酸塩;および他の充填剤顔料を含む。これらは、被膜組成物の全重量基準で0−80%の、更に好ましくは0.1−60%の量で使用され得る。
【0060】
例示の脱泡剤は、ベンゾイン(エポキシ触媒としても機能し得る)、ビスフェノールA、フェニルアセチルサリシレート、ビスフェノキシプロパノール、および1,4シクロヘキサンジメタノールジベンゾエートを含む。これらは、被膜組成物の全重量基準で0.5−5%の、最も好ましくは0.5−3%の量で使用され得る。
【0061】
静電塗布性の乾燥粉末被膜組成物を製造するための本発明の例示の方法は、被膜組成物の全重量基準のパーセントで1つ以上の膜形成性ポリマー(20−99%)、実質的に水分を含まないセメント質粒子(1−50%)、および場合によっては1つ以上の添加物(4−30%)を一緒にブレンドすること;混合物を押し出し機に通して、押し出し物材料を形成すること;次に混合物を粉末に縮小することを含んでなる段階を含んでなる。粉末への磨砕またはミル掛け後、被膜組成物を場合によっては篩い掛けして、大きすぎる粒子または小さすぎる粒子を除去し得る。好ましくは、150ミクロン以上の最大寸法の粒子を除去する篩が使用可能であるが、粉末の重量で40−55パーセントが好ましくは50ミクロンを超えない最大寸法を有しなければならない。粒子のサイズおよび量は、被覆される金属基材もしくは物品の性状に依存する。
【0062】
本発明は、少なくとも1つの膜形成性ポリマーと合体して、熱融合性被膜組成物をもたらすための「パッケージ」も提供する。例示のパッケージ組成物は、(A)セメント粒子の全乾燥重量基準で0−2%の遊離水含量を有する、1−50ミクロンの、更に好ましくは1−20ミクロンの、最も好ましくは5−10ミクロンの平均粒子サイズを有するセメント質粒子;および(B)非セメント質充填剤、触媒、硬化剤、腐食防止剤、促進剤、流動促進剤、顔料、着色剤、脱泡剤、酸化防止剤、またはこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の添加物を含む。このようなパッケージをポリエステルまたはポリオレフィンなどの膜形成性ポリマー系と合体し、一緒に押し出し、次に磨砕して、被膜組成物を提供することができる。
【0063】
金属基材上に保護被膜を形成するための本発明の例示の方法は、超微粒子の実質的に水分を含まないセメント質粒子と少なくとも1つの膜形成性ポリマー、および非セメント質充填剤、触媒、硬化剤、促進剤、流動促進剤、顔料、着色剤、脱泡剤、またはこれらの混合物を含む、少なくとも1つの随意の添加物を有する上述の被膜組成物により金属基材を被覆することを含んでなる。
【0064】
金属基材に熱融合するための本発明の好ましい乾燥粉末組成物は、20−500ミクロン(更に好ましくは30−300ミクロン)の平均粒子サイズを有する、少なくとも1つの膜形成性ポリマーとセメント質粒子のブレンドを含む複数のポリマー/セメント質粒子;組成物の全重量基準で20%−99%の量で存在し、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリレート、ビニルポリマー、ポリオレフィン、およびポリアミドからなる群から選択される少なくとも1つの膜形成性ポリマー;0.05−20.0ミクロン(更に好ましくは5−10ミクロン)の平均粒子サイズを有し、乾燥粉末組成物の全重量基準で10%−35%の量で存在する、遊離水を含有しないか或いはセメント質粒子の全乾燥重量基準で2%を超えない量で水を含有するという意味において遊離水を実質的に欠如するセメント質粒子;および亜硝酸塩(例えば、亜硝酸カルシウム)、硝酸塩、クロム酸塩、およびリン酸塩からなる群から選択される少なくとも1つの腐食防止剤を含むセメント質粒子を含む。
【0065】
好ましくは乾燥粉末の形の被膜組成物は、静電噴霧法(例えば、Shawらの米国特許第3,904,346号およびWongらの米国特許第5,178,902号を参照のこと)により、もしく当分野で知られているように静電的であることができる流動床を使用することにより金属基材に塗装され得る。ある最終使用にたいしてはプラーマーを使用することができるが、この被膜組成物は金属表面に直接に塗装され得る。被覆対象の表面は、例えば研磨またはサンドブラストにより最初にクリーニングされるのが好ましい。
【0066】
被膜組成物を1回の通過または数回の通過で塗布して、被覆物品の所望の最終使用に依って、硬化の後0.2−0.5mmの可変の厚さを得ることができる。例えば地下に埋設されるあるパイプは、ほぼ0.2−0.8mmの被膜厚さを必要とする。
【0067】
本発明は、上述の被膜組成物により金属物品および基材を被覆するための方法、ならびにこのような被膜組成物により被覆される金属物品にも関する。好ましくは、金属物体または基材表面は、膜形成性樹脂組成物(例えば、エポキシ樹脂/超微粒子のセメント質粒子混合物)との接触前もしくは後で加熱され、それによりエポキシ組成物は金属に熱融合される。
【0068】
好ましい方法においては、鋼管またはパイプラインなどの金属物体は、エポキシ樹脂と、亜硝酸カルシウム、非セメント質充填剤、触媒、硬化剤、促進剤、流動促進剤、顔料、着色剤、脱泡剤、またはこれらの混合物などの少なくとも1つの添加物を場合によっては含有する、実質的に水分を含まないセメント質粒子乾燥粉末組成物を含む被膜組成物により静電被覆され、次に被膜組成物は、膜形成性ポリマーを軟化するのに充分な温度までパイプ/パイプラインを加熱することにより、金属表面に融合される。
【0069】
本発明は、上述の被膜組成物を用いる粉末被覆された金属物品にも関する。特に有望な用途は、自動車(および他の一般の輸送)および工業用焼付け仕上げの領域を含む。例えば、工業用粉末被膜塗装は、建築および建設使用、ならびに農場および農業用塗装を含むことができる。建築分野においてのみ、本発明の粉末被膜組成物は、アルミニウムもしくはスチールドアおよびドア枠、窓枠およびサッシュ、サイディング、およびガレージドアの被覆に使用することができると考えられる。農場および農業用分野においては、被膜組成物は、動力装置(トラクター、芝刈り機、動力機械)、ならびに屋外風化に暴露される、金属器、ツール、小屋、フェンスポスト用に使用可能である。自動車分野においては、車、バス、トラック、および鉄道車両用の種々のパーツは、腐食防止のために粉末被覆可能である。この被膜は、オフィス家具、ファイリングキャビネットなどの屋内金属物体にも使用され得る。
【0070】
次の実施例は例示の目的のみで提供され、この明細書中の開示を鑑みれば、種々の他の態様、改変、および変形が通常の技術を持つ者には明白となり得る。
【実施例】
【0071】
実施例1
普通ポルトランドセメント(OPC)ならびに亜硝酸カルシウムを含むOPCを使用して、セメント質材料を作製することができる。このセメントを水と混合して、硬化物体を形成し、硬化後ローラーの間で破砕して、初期のフィード材料を製造することにより、粒子を作製する。次に、この粒子をほぼ105℃で加熱して、遊離水をセメント質粒子の全重量で0−2%のレベルまで追い出す。
【0072】
共通のハウジング内で高効率の遠心空気分級と組み合わせて乱流自由ジェットにより高濃度微粉化を行う能力のある流体床ジェットミルの中にこのセメント質フイード材料をフィードすることができる。このようなジェットミルは、Cottage Grove,MinnesotaのCCE Technologies,Inc.から入手可能であり、粉末被膜材料を含む種々の材料の可能に使用される。
【0073】
大きい粒子の形のセメント質フィード材料を二重扉バルブまたはインジェクターからジェットミルのハウジングの中に、ならびに粉末化域のなかに下方に導入し、ここで空気駆動のジェットノズルを使用して、衝撃を加えて、微粒子に破壊するために粒子を加速する。衝撃後、流体およびサイズの縮小された粒子は、流体床を出て、ローターを有する遠心分級機に向かって上方に進み、ローターの速度によって、ローターから流体と共に進み、ならびに更なるサイズ縮小のために下の粒子床の中に戻される粒子サイズが決められる。粉末化域を出る高度の粒子分散物は、分級機による微粒子の効率的な除去を助ける。ローター速度、ノズル圧力、および床レベルを調整することによって、運転者は、粒子サイズの生産性、製品サイズ、および分布形状を最適化することができる。
【0074】
このようなジェットミルを使用することにより、好ましい2−10ミクロンサイズの範囲にあるセメント質材料の平均粒子サイズを得ることが可能である。2ミクロン未満である粒子を除去することができ、10ミクロンよりも大きい粒子を再ミル掛けすることができる。例えば中間の粒子サイズが4−6ミクロンの間にある、粒子サイズの分布を得ることができ、これらの粒子が本発明の好適な超微粒子のセメント質粒子である。
【0075】
本発明の更なる例示の態様においては、空気分級機中で、もしくは空気分級機の後で乾燥機ユニットを使用することにより、セメント質粒子中の遊離水含量を追い出すこと、さもなくばセメント質粒子の遊離水含量が可能な限り低く、いかなる場合にも2重量%以下であるということを保障することができる。
【0076】
実施例2
実施例1により提供される超微粒子粉末を合体することにより、もしくは別法としては(あまり望ましくないが)超微粒子セメントとエポキシベースのポリマーなどの少なくとも1つの膜形成性ポリマーを使用することにより、本発明の例示の乾燥粉末被膜組成物を提供することができる。
【0077】
広い種類のエポキシ系を超微粒子の実質的に水分を含まないセメント質粒子と共に使用して、熱融合性乾燥粉末被膜組成物を提供し得ると考えられる。
【0078】
例えば、Mooreらの米国特許第3,578,615号は、改善された陰極剥離抵抗を有する種々の流動性、熱硬化性、および急速硬化性のポリエポキシド被膜組成物を開示し、この明細書中で説明されているように組み込まれている。これらの被膜は、(1)1分子当り少なくとも1つの隣接エポキシ基を有するポリエポキシド;(2)エポキシ硬化剤;(3)エポキシ硬化性触媒;(4)オルト−ニトロフェノール、リン酸、アミノシランなどのある結合添加物、および(5)充填剤を含むものであった。Mooreによれば、このエポキシ樹脂は、分子内で末端もしくは内部の位置にあり、飽和もしくは不飽和、脂肪族、脂環式、芳香族もしくはヘテロ環であり得、ならびに塩素、ヒドロキシル基、エーテル基などの置換基により置換され得る、少なくとも1つの隣接エポキシ基
【0079】
【化2】

【0080】
を含有する。
【0081】
粉末被膜業界で普通の技術を持つものならば、被覆対象の金属基材、および組み込みが望まれる超微粒子の実質的に水分を含まないセメント質粒子の量に依って、適切なエポキシ樹脂またはエポキシ樹脂、硬化剤、触媒、および融点、分子量、および他の特性に基づく結合添加物の組み合わせ物を選択するであろう。
【0082】
実施例3
種々の量の低分子量エポキシ樹脂(KD214)、中分子量エポキシ樹脂(KD404)、ベンゾイン(脱ガス/触媒剤)、流動性制御剤(商品名「RESIFLOW(登録商標)PL−200でWorleeから入手可能)、および硬化剤(商標KRT−12)を用いて、鉄筋被膜で使用されるものに類似のエポキシ被膜組成物を配合した。試料1はコントロールであり、試料2−3は普通ポルトランドセメント(OPC/<2%遊離水)から作製されるセメント質粒子を10%と30重量%の間で量で使用し、試料4−7はOPCと亜硝酸カルシウムから作製されるセメント質粒子(「OPC/CANI」)%を使用した。試料2−7で使用されるセメント質粒子を105℃で更なる重量減少がなくなるまで乾燥した。試料1−7に対する配合を下記の表1に示す。
【0083】
【表1】

【0084】
試料被膜の各々を鋼板上にうまく塗布した。連続的な製造操作向きにこれらのエポキシ被膜試料を最適化しなかったが、セメント質粒子を粒子の全重量で30%まで装填することが可能であるということを確認した。本発明者らは、30%の装填量が脆い被膜(比較的平らな表面を有する棒およびパネルなどのモノリシック物体用の)に更に好ましいということを確認したが、更なる配合作業により過多の変成なしで35%までの装填量が可能となると考える。粒子分布、流動性制御剤のレベルおよびタイプ、樹脂のタイプおよび平均分子量、および他の要素などの要素を変成するならば、セメント質粒子の重量で50%の装填量でも可能であると考えられる。
【0085】
例えば、上記で使用される流動性制御剤(RESIFLOW(登録商標)PL−200)は、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ハイブリッド、および他の粉末被膜組成物用に設計された、シリコーンを含まないアクリル流動性制御剤である。技術文献(「改訂版:04.04.05」)によれば、この流動性制御剤は、基材への接着、脱気、流動および再被覆性を改善するとされ、クレーター、ピンホール、および剥離などの表面不完全性を回避する。1%の流動性制御剤を添加する試験を行ったが、RESIFLOW PL−200の文献は、最適な添加が0.5−1.5%の間であること、およびこの流動性制御剤は高強度ミキサー中で他の被膜成分と予備ブレンドされ、押し出し機中で均一化されなければならないということを示す。他のエポキシ樹脂または他の樹脂または他の樹脂組み合わせ物を使用する場合には、粉末化被膜と流動性制御剤の適合性が考慮すべき重要な要素である。それにも拘わらず、市販され、当分野で既知の多数の流動性制御剤があるという前提ならば、本発明者らは、好適な静電塗装性エポキシベースの乾燥粉末被膜が鉄鋼鉄筋、シート、ビーム、および他の物体などの金属基材の被覆に使用可能な連続的な製造操作の一部として容易に製造可能であると考える。
【0086】
表1に示す7種のそれぞれの被膜試料の異なる1種により7枚の鋼板の各々を被覆し、加速腐食試験にかける。この被膜を引っかき(直線で)、塩化物含量(コンクリート間隙水をシミュレーションする15%NaCl溶液)を有する水中に数ヶ月この試料を間沈めた。スチールパネルを薄い5mmモルタルにより被覆して、コンクリートに類似した環境を維持するように更なるモルタルチャンクを液体中に入れた、第2の一連の試験に対して15mmの長さ×1mmの幅の制御加工された「X」形状の溝を作製した。(このモルタルカバーは引っかきが溶液と接触するように保ち、被膜中に切れ目を付けたコンクリート暴露をシミュレーションする)。このシートをマクロセルの電流差にかけて、腐食を開始する。数ヶ月後、処理済試料(OPCまたはOPC/CANI粒子を有する被膜組成物により被覆されたスチールシートの試料2−7)がコントロール試料を凌駕したことを確認した。
【0087】
実施例4
本発明者らは、OPCおよびOPC/CANI粒子(実施例1で述べられるような)に対して硫酸カルシウムまたは半水和硫酸カルシウム(石膏)と亜硝酸カルシウムの代わりに亜硝酸カルシウムから作製されるポルトランドセメントクリンカーから製造される改善されたセメント質粒子を置き換えることにより実施例3で得られるよりも良好な結果を実現することができると考える。これは、硫酸塩が腐食に対して寄与し、したがってセメント質粒子への硫酸塩の添加を回避することにより、生成する被膜組成物の腐食防止性能を多分増大させるためである。
【0088】
実施例5
次の構成成分を一緒に共押し出しすることにより、例示のポリエステルベースの粉末被膜組成物を作製することができる。
【0089】
【表2】

【0090】
添加物IRGACOR(登録商標)252LDは、粉末被膜塗布で使用するための低ダスト製品としてCiba Specialty Chemicalsから入手可能な2−ベンゾチアゾリルチオコハク酸であり、本発明の超微粒子のセメント質粒子と予備ブレンドされ得る。特に、超微粒子のセメント質粒子が亜硝酸カルシウムを使用し、添加の硫酸カルシウムおよび添加の石膏無しで製造されるポルトランドセメントクリンカーから製造される場合には、被膜中のこの組み合わせ物は、フィリフォーム(filiform)腐食(非処理アルミニウム表面)を防止するように作用すると考えられる。
【0091】
実施例6
下記の表2に示す次の構成成分を一緒に共押し出しすることにより、もう一つの例示のポリエステルベースの粉末被膜組成物を製造することができる。
【0092】
【表3】

【0093】
実施例1もしくは4により作製される超微粒子の水分を含まないセメント質粒子を普通の充填剤(この場合には炭酸カルシウムである)に対して置き換えるということを除いて、上記の実施例は、Cleveand,OhioのMoly−White Pigments Groupの出発配合物である。確かに、炭酸カルシウム充填剤中で置き換えることにより、セメント質粒子の量を表2中で上記に示される11.1%から減少させることができ、例えば顔料の一部に対して置き換えることにより、セメント質粒子の量を増加させることができる。
【0094】
このような白色セメントは、被膜を着色もしくは暗化させる鉄酸化物の含量が無視し得るために、この種の用途は、セメント質粒子において「白色セメント」を使用することからもメリットを得る。
【0095】
実施例7
超微粒子の水分を含まないセメント質粒子は、慣用の粉末被膜組成物の1つ以上の構成成分と予備ブレンド可能である。例えば、このセメント質粒子を樹脂と一緒に溶融ブレンドし、この予備ブレンドを自分で選択した硬化剤、触媒、流動性制御剤、および他の試剤と合体する粉末被膜製造者にカプセル化された形で出荷して、最終被膜配合物を得ることができる。
【0096】
前出の実施例は例示の目的のみで提供され、本発明の範囲を限定するようには意図されていない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物の全重量基準で20%以上で99%以下の量で存在する少なくとも1つの膜形成性ポリマー;および
0.05ミクロン以上で20ミクロン以下の平均粒子サイズを有するセメント質粒子を含んでなり、前記粒子が前記セメント質粒子の全乾燥重量基準で0−2%の量でしか遊離水を含有しないという意味において遊離水を実質的に欠如している、金属基材を被覆するための熱融合性組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つの膜形成性ポリマーがエポキシ樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリレート、ビニルポリマー、ポリオレフィン、およびポリアミドからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも2つの膜形成性ポリマーを含んでなる、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記セメント質粒子が乾燥粉末組成物の全重量基準で1%以上で50%以下の量で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つの膜形成性ポリマーが30%以上で95%以下の量で存在し;ならびに
前記組成物が組成物の全重量基準で4%以上で30%以下の量で存在する少なくとも1つの更なる添加物を更に含み、前記少なくとも1つの更なる添加物が触媒、硬化剤、腐食防止剤、促進剤、流動促進剤、顔料、着色剤、脱泡剤、UV安定剤、酸化防止剤またはこれらの混合物を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つの膜形成性ポリマーがエポキシ樹脂である、請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
前記エポキシ樹脂がポリエステルを更に含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1つの膜形成性ポリマーがポリエステルである、請求項2に記載の組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1つの膜形成性ポリマーがエポキシ樹脂硬化剤を更に有するポリエステルである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1つの膜形成性ポリマーがポリウレタンである、請求項2に記載の組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1つの膜形成性ポリマーがポリアクリレートである、請求項2に記載の組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1つの膜形成性ポリマーがビニルポリマーである、請求項2に記載の組成物。
【請求項13】
前記ビニルポリマーがポリビニルクロリド、ポリビニリデンクロリド、およびポリビニリデンフルオリドからなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1つの膜形成性ポリマーがポリオレフィンである、請求項2に記載の組成物。
【請求項15】
前記ポリオレフィンがポリエチレン、ポリプロピレン、またはこれらのブレンドである、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1つの膜形成性ポリマーがポリアミドである、請求項2に記載の組成物。
【請求項17】
前記セメント質粒子がポルトランドセメントを準備すること、前記セメントを水和して、硬化物体を形成すること、前記硬化セメント物体を0.05ミクロン以上で20ミクロン以下の平均粒子サイズを有する粒子に粉砕すること、および前記セメント粒子を加熱して、前記セメント質粒子の重量で2%以下のレベルまで遊離水を追い出すことにより製造される、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記セメント質粒子が硫酸カルシウム(CaSO)と半水和硫酸カルシウム(CaSO・2HOH)を本質的に含まないポルトランドセメントクリンカーを磨砕することにより形成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記ポルトランドセメントクリンカーが亜硝酸、硝酸、クロム酸、ギ酸、モリブデン酸、エステル、リン酸、ホウ酸、またはこれらの混合物のカルシウム、ナトリウム、もしくはカリウム塩から作製される、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記ポルトランドセメントクリンカーが亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、またはこれらの混合物から作られる、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
前記少なくとも1つの膜形成性ポリマーがエポキシ樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリレート、ビニルポリマー、ポリオレフィン、およびポリアミドからなる群から選択され;ならびに
前記準備されるポルトランドセメントが本質的に硫酸カルシウムまたは半水和硫酸カルシウムを含まないポルトランドセメントクリンカーを磨砕することにより製造される、請求項18に記載の組成物。
【請求項22】
前記セメント質粒子が0.001−0.1%の硫酸塩含量を有するポルトランドセメントと、顆粒化された高炉スラグ、フライアッシュ、およびシリカヒュームから選択される少なくとも1つの無機材料を含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項23】
前記セメント質粒子が超微粒子セメントである、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
触媒、硬化剤、腐食防止剤、促進剤、流動促進剤、顔料、着色剤、脱泡剤、UV安定剤、酸化防止剤、またはこれらの混合物の群から選択される1つ以上の慣用の添加物を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記セメント質粒子が添加の硫酸カルシウムまたは添加の半水和硫酸カルシウムを持たないクリンカーと亜硝酸カルシウムを合体させることを含んでなるポルトランドセメントを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
セメント質粒子の全乾燥重量基準で0−2%の量で遊離水を含有するという意味において遊離水を実質的に欠如する、0.05ミクロン以上で20ミクロン以下の平均粒子サイズを有するセメント質粒子;および
少なくとも1つの非セメント質充填剤、触媒、腐食防止剤、硬化剤、促進剤、流動促進剤、顔料、着色剤、脱泡剤、またはこれらの混合物を含む、ポリマー形の熱融合性被膜を変成するための組成物。
【請求項27】
被膜組成物の全重量基準で20%以上で99%以下の量の少なくとも1つの膜形成性ポリマー;および遊離水を含有しないか或いは前記セメント質粒子の全乾燥重量基準で2%を超えない量で水を含有するという意味において遊離水を実質的に欠如し、前記被膜組成物の乾燥重量基準で1%以上で50%以下の量で存在する、0.05ミクロン以上で20ミクロン以下の平均粒子サイズを有するセメント質粒子を一緒にブレンドすること;
前記少なくとも1つの膜形成性ポリマーと前記セメント質粒子を押し出し機に通して、押し出し物材料を形成すること;および
前記押し出し物材料を30−500ミクロンの平均粒子サイズを有する個別の粒子に縮小する
ことを含んでなる、被膜組成物を製造するための方法。
【請求項28】
請求項1に記載の組成物により金属基材を被覆することを含んでなる、保護被膜を形成するための方法。
【請求項29】
前記組成物の塗布の前もしくは後で前記金属物体もしくは基材を加熱することを更に含んでなる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
静電引力を用いて金属基材上に前記被膜を堆積すること、前記被膜を熱融合して、連続被膜を形成することを更に含んでなる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
請求項1に記載の組成物により被覆されている金属物体。
【請求項32】
20ミクロン以上で500ミクロン以下の平均粒子サイズを有する、少なくとも1つの膜形成性ポリマーとセメント質粒子のブレンドを含む複数のポリマー/セメント質粒子;
エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリレート、ビニルポリマー、ポリオレフィン、およびポリアミドからなる群から選択される、組成物の全重量基準で20%以上で95%以下の量で存在する前記少なくとも1つの膜形成性ポリマー;および
前記セメント質粒子の全乾燥重量基準で0−2%の量で遊離水を含有するという意味において遊離水を実質的に欠如し、添加の硫酸カルシウム(CaSO)と添加の半水和硫酸カルシウム(CaSO・2HOH)を含まないポルトランドセメントクリンカーを磨砕することによりもたらされ、乾燥粉末組成物の全重量基準で10%以上で35%以下の量で存在し、0.05ミクロン以上で20ミクロン以下の平均粒子サイズを有する前記セメント質粒子;
亜硝酸塩、硝酸塩、安息香酸塩、リン酸塩、フルオロアルミン酸塩、フルオロケイ酸塩、アミン、エステル、モリブデン酸塩、脂肪酸エステル、ホウ酸塩、またはこれらの混合物を含む、少なくとも1つの腐食防止剤を含む前記セメント質粒子
を含んでなる、金属基材を被覆するための熱融合性組成物。
【請求項33】
請求項30に記載の組成物から作製される熱融合被膜を有する金属物品。

【公表番号】特表2009−521543(P2009−521543A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547264(P2008−547264)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/046375
【国際公開番号】WO2007/078526
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(399016927)ダブリュー・アール・グレイス・アンド・カンパニー−コネチカット (63)
【Fターム(参考)】