説明

食品処理装置

【解決手段】 左右のチェーン12にわたって多数のバケット5を等間隔で取付けている。バケット5は開閉扉5Aを備えており、バケット5が供給位置Aを移動する際には第1開放機構18によって開閉扉5Aが強制的に開放される。供給位置Aにおいて開閉扉5Aが開放されたバケット5に供給コンベヤ16から食品2が供給される。
供給位置Aを通過するとバケット5の開閉扉5Aが閉鎖され、食品2を収容したバケット5はケーシング3内を出口3Bに向けて移動される。ケーシング3内を移動されるバケット5は回転機構6によって回転されつつ噴射ノズル7から過熱蒸気が吹き付けられる。
【効果】 バケット5内の食品2を全周にわたって万遍なく焼成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品処理装置に関し、より詳しくは、例えば魚や野菜やコーヒー豆などの食品に蒸気を吹き付けて加熱調理や殺菌処理を行う食品処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、野菜などの食品に過熱蒸気を吹き付けて加熱調理や殺菌処理を行う食品処理装置は知られている(例えば特許文献1)。こうした従来の食品処理装置は、ネットコンベヤ上に食品を載せて搬送しつつ、ネットコンベヤの上下から蒸気を噴射して食品を加熱処理するようになっている。
また、野菜を収容した円筒状の容器を搬送しながら回転させて、容器内の食品を加熱調理する装置として例えば特許文献2が知られている。
【特許文献1】特開2004−33202号公報
【特許文献2】特開平9−37957号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、処理対象である食品がカット野菜や栗の場合には、それらの食品の全周に蒸気を吹き付けて加熱調理することが好ましいが、上記特許文献1のように処理対象となる食品をネットコンベヤに載置して搬送しながら加熱するだけでは、それら食品の全周に蒸気を吹き付けることは不可能であった。
それに対し、上記特許文献2のように円筒状の容器に食品を収容して、容器を回転させながら加熱すれば、食品の全周を加熱することが可能となる。
しかしながら、上記特許文献2では、食品の容器内への収容および取り出しを人手により行っており、自動化に対応したものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した事情に鑑み、本発明は、鉛直面で循環走行される循環走行手段と、上記循環走行手段に回転自在に設けられるととも常時閉鎖される開閉扉を有して食品を収容可能な複数のバケットと、 少なくとも食品が供給される供給位置において上記バケットの開閉扉を開放させる開放機構と、上記バケットの移動軌跡に沿って配置されて各バケット内に収容された食品を加熱処理する加熱手段と、上記加熱手段によって加熱処理される領域において各バケットを回転させる回転機構とを備えた食品処理装置であって、
上記供給位置において上記開放機構によってバケットの開閉扉を開放させて各バケット内に食品を供給し、その後、食品を収容し、かつ開閉扉を閉鎖した状態で移動されるバケットを上記回転機構で回転させながら上記加熱機構により加熱処理するようにしたものである。
【発明の効果】
【0005】
このような構成によれば、自動で処理対象となる食品の全周に対して万遍なく加熱処理を施すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下図示実施例について本発明を説明すると、図1において1は食品処理装置であり、この食品処理装置1は、加工対象である食品2を過熱蒸気によって加熱して焼成(調理)するようになっている。この食品処理装置1による加工対象となる食品2は、肉や魚の切り身あるいは所要の大きさに切り分けられたカット野菜やコーヒー豆などであり、本実施例では、カット野菜を処理している。
本実施例の食品処理装置1は、長手方向の一端側の壁部に入口3Aを開口させるとともに長手方向の他端側の壁部に出口3Bを開口させたケーシング3と、上記入口3Aの隣接外方位置から上記出口3Bの隣接外方位置にわたってケーシング3内を貫通させて水平に配置された循環走行手段4と、この循環走行手段4に所定間隔毎に設けられ食品2を収容する多数のバケット5とを備えている。また、食品処理装置1は、上記ケーシング3内を移動される各バケット5を回転させる回転機構6を備えるとともに、上記ケーシング3内に配置されてケーシング3内を移動する各バケット5に向けて過熱蒸気を吹き付ける噴射ノズル7を備えている。
【0007】
循環走行手段4は、水平にかつ相互に平行となるように配置されて図示しないブラケットによって回転自在に軸支された一対の回転軸8,8’と、それら各回転軸8、8’の両端部に嵌着された一対のスプロケット11、11と、両回転軸8、8’の両端部における対向位置のスプロケット11、11にわたって掛け渡されて鉛直面で循環走行される左右1対のチェーン12とを備えている。これら左右一対のチェーン12にわたって、それらの走行方向の所定間隔ごとに概略筒状をしたバケット5を回転自在に取付けている。
下流側の回転軸8’の近くにモータ13を配置してあり、このモータ13の駆動軸に嵌着した歯車14と上記回転軸8’に嵌着した歯車14’とにわたってチェーン15を掛け渡している(図7参照)。上記モータ13は図示しない制御装置によって作動を制御されるようになっており、制御装置によってモータ13が回転駆動されると、左右一対のチェーン12が垂直面において図1から見て反時計方向に循環走行されるとともに、両チェーン12に取付けた各バケット5が水平状態を保ってチェーン12と同様の移動軌跡を描いて循環して移動されるようになっている。
【0008】
両チェーン12が下方側走行領域から上方側走行領域へ反転される上流側のスプロケット8の上方に、供給コンベヤ16の下流側の端部をオーバラップさせて位置させてあり、この供給コンベヤ16の隣接下流側の箇所を供給位置Aとしている。また、左右のチェーン12が上方側走行領域から下方側走行領域へ反転される下流側のスプロケット8’の下方側に排出コンベヤ17の上流側端部をオーバラップさせて位置させてあり、この排出コンベヤ17の上流側端部となる箇所を排出位置Bとしている。
上記制御装置によってモータ13が駆動されると、両チェーン12がモータ13に連動して循環走行されることで、各バケット5は供給位置A、ケーシング3内、排出位置Bおよびケーシング3内を図1や図6に示す矢印方向に循環して連続的に移動されるようになっている。
【0009】
後に詳述するが、バケット5が供給位置Aに位置すると該バケット5の開閉扉5Aは上面側に位置し、かつ第1開放機構18によって開放されるので、開閉扉5Aを開放されたバケット5へ供給コンベヤ16から食品2が落下して供給されるようになっている(図4、図6参照)。その後、食品2を収容したバケット5は開閉扉5Aが閉鎖されてからケーシング3内に導入されてその内部を移動されるようになっており(図5参照)、そのようにケーシング3内を移動される際に各バケット5自体が回転機構6によって回転されるとともに噴射ノズル7から過熱蒸気が吹き付けられるようになっている。それにより、バケット5内の食品2が過熱蒸気によって焼成されるようになっている。その後、バケット5がケーシング3の外部へ移動されてから反転されて排出位置Bまで移動されると、バケット5は開閉扉5Aが下面側に位置するように逆さまの状態となり、かつ第2開放機構19によってバケット5の開閉扉5Aが開放されるので、この排出位置Bにおいてバケット5内から焼成後の食品2が自重によって排出コンベヤ17上に排出されるようになっている(図7参照)。
【0010】
図2〜図5に示すように、本実施例のバケット5は、上面側となる開口部に一対の開閉扉5Aを設けた細長い箱部材21を有し、この箱部材21は上記左右一対のチェーン12の長手方向と直交するように配置されている。そして、箱部材21の両端部となる両方の壁部21Aの中央にそれぞれ支持軸22の一端を連結してあり、各支持軸22の中央部は上記両チェーン12の対向位置に設けた軸受部材23によって回転自在に軸支されている。これにより、各箱部材21からなるバケット5は水平に支持されて上述した循環移動経路を移動されるとともに、両支軸22を回転中心として回転できるようになっている。
箱部材21の底部21Bと側壁部21Cと開閉扉5Aには無数の小さな開口部を形成してあるので、バケット5がケーシング3内に導入されて、噴射ノズル7によって過熱蒸気が噴射されると、箱部材21内に収容された食品2に対して上記箱部材21に設けた無数の開口部を介して蒸気が吹き付けられるようになっている。
また、箱部材21の底部21Bにおける前後位置に丸棒状の重り部材24を連結している。これにより、バケット5が両チェーン12における上方側走行領域を移動される際には、上記開閉扉5Aを設けた開口部が上方側を向けられるようになっている。
【0011】
箱部材21における側壁部21Cの上端には、相互に対向させてかつ、平行に一対の支持軸25、25’を回転自在に取付けてあり、これら支持軸25、25’に開閉扉5Aの基部(側部)を連結している。
開閉扉5Aは薄板状の長方形に形成されており、通常では箱部材21における左右の壁部21Aに設けた閉鎖機構20によって閉鎖されるようになっている。この閉鎖機構20によって開閉扉5Aが閉鎖されるとそれらの自由端が実質的に重合するので、箱部材21の開口部を完全に閉鎖して箱部材21内に収容した食品2が箱部材21から脱落しないようになっている。そして、供給位置Aと排出位置Bにおいて、箱部材21の閉鎖機構20を両開放機構18、19によって強制的に移動させることで、支持軸25、25’が同期して逆方向に回転されて開閉扉5Aが開放されるようになっている。
【0012】
図3〜図5に示すように、箱部材21の壁部21Aの外面には概略U字形をした昇降部材26を重合させて配置してあり、この昇降部材26によって上記支持軸22の下方と前後を囲んでいる。昇降部材26における2箇所の鉛直部26Aの上方部にそれぞれラック27を鉛直方向に連結してあり、これらのラック27は、上記支持軸25の先端外周部に嵌着したピニオン28にそれぞれ噛みあわされている。
支持軸22の隣接上方となる壁部21Aには、板状のストッパ部材31を水平に連結してあり、このストッパ部材31の両端部とそれに対向する昇降部材26の水平部26Bとにわたって2本のコイルばね32を弾装している。
これらのコイルばね32の弾発力および昇降部材26とラック27の重量によって、昇降部材26及びラック27は常時鉛直下方に向けて付勢されており、そのため、供給位置Aと排出位置B以外のバケット5の移動領域では上記ラック27の下端の端面がストッパ部材31に当接している(図5参照)。この状態では、ラック27に噛み合ったピニオン28と支持軸25を介して開閉扉5Aが閉鎖されるようになっている。
上記昇降部材26、ラック27、ピニオン28、ストッパ部材31およびコイルばね32によって閉鎖機構20を構成している。そして、上述したように、閉鎖機構20は箱部材21の左右の壁部21Aにそれぞれ配置している。
【0013】
各バケット5の開閉扉5Aは通常では上記閉鎖機構20により閉鎖されるようになっているが、供給位置Aおよび排出位置Bにおいては、第1開放機構18および第2開放機構19によってバケット5の開閉扉5Aを強制的に開放させるようになっている。
すなわち、上記バケット5の昇降部材26における下端中央部にカムフォロア33を回転自在に取付けている。また、上流側のスプロケット11の隣接下流側であって、かつチェーン12の上方側走行領域の下方側、すなわち供給位置Aの下方側の左右両側にチェーン12と平行に固定カム部材34を配置している(図6参照)。これにより、バケット5がチェーン12によって供給位置Aを移動される際に、バケット5の左右の昇降部材26に設けたカムフォロア33が固定カム部材34に係合することで、コイルばね32が圧縮されるとともにカムフォロア33を取付けた昇降部材26とラック27が壁部21Aに対して上昇され、そのラック27の上昇によって両ピニオン28が閉鎖方向とは逆方向に回転される。それにより、開閉扉5Aが供給位置Aにおいて開放されるようになっている(図4、図6参照)。
供給位置Aにおいて移動するバケット5の上方に供給コンベヤ16が配置されている。供給コンベヤ16は、図示しない駆動モータにより食品処理装置1の処理能力に応じた速度で連続走行されるようになっている。
供給コンベヤ16により移動されてきた食品2は供給コンベヤ16の下流側端部で下方に落下され、開閉扉5Aが開放された状態のベケット5内に収容されるようになっている。
このように本実施例においては、各バケット5のカムフォロア33と供給位置Aの固定カム部材34とによって上記第1開放機構18を構成している。
バケット5に設けた一対の開閉扉5Aは、基部から自由端(先端)までの長さを異ならせてあり、移動方向前方側の開閉扉5Aの長さを移動方向後方側の開閉扉5Aの長さよりも所定寸法だけ長くしている。そして、供給位置Aにおいて第1開放機構18によって各バケット5の開閉扉5Aが開放される際には、隣り合うバケット5における移動方向前方側の開閉扉5Aが隣接前方側のバケット5における移動方向後方側の開閉扉5Aに覆い被さるようになっている(図6参照)。これにより、供給コンベヤ16から連続的に食品2が落下しても相前後するバケット5のいずれかに確実に食品2を収容することができるようになっている。
【0014】
また、下流側のスプロケット11の隣接上流側であって、かつチェーン12の下方側走行領域の上方側、すなわち排出位置Bの上方の左右両側にはチェーン12と平行に固定カム部材35を配置している(図7参照)。
排出位置Bのスプロケット11によってチェーン12は上方側走行領域から下方側走行領域に反転され、それに伴って排出位置Bのバケット5も開閉扉5が下方を向けるように逆さまとなる。そのバケット5における左右のカムフォロア33が固定カム部材35に係合することで、カムフォロア33と昇降部材26およびラック27が壁部21Aに対して下降され、そのラック27に連動したピニオン28が閉鎖方向とは逆方向に回転されるので、開閉扉5Aが排出位置Bにおいて開放される。これにより、バケット5内に収容されていた食品2は自重によってバケット5から落下して排出コンベヤ17上に排出されるようになっている。
このように、供給位置Aおよび排出位置Bを移動されるバケット5は、第1開放機構18および第2開放機構19によって開閉扉5Aを強制的に開放されるようになっており、供給位置Aおよび排出位置B以外の移動領域、つまりケーシング3内を移動される際には閉鎖機構20によって各バケット5の開閉扉5Aは常に閉鎖されるようになっている。
【0015】
さらに本実施例においては、上記供給位置Aにおいて開閉扉5Aを開放させた状態のバケット5が確実に開口部を上方に向けた状態が維持されるように第1回転防止機構36を設けている(図6参照)。
図3に示すように、バケット5の支持軸22の一端外周部には円板37の中央部を嵌着するとともに、支持軸22の一端の先端部にカムフォロア38を回転自在に取付けている。また、上記円板37の端面の所定位置には、上記カムフォロア38と同じ大きさのカムフォロア39を回転自在に設けている(図2参照)。これら両カムフォロア38,39は、軸心が相互に平行となっており、かつ支持軸22と直交する同一平面上に所定距離を隔てて配置されている。
図6に示すように、チェーン12の上方側走行領域となる供給位置Aとその前後の領域にわたって、チェーン12に沿って上下一対の固定カム部材41を設けている。チェーン12によってバケット5が供給位置Aを移動される際には、バケット5の両カムフォロア38、39が同時に固定カム部材41と係合するので、支持軸22を中心としてバケット5が回転されるのが阻止されるようになっている。これにより、供給位置Aのバケット5は開口部とそこに設けた開閉扉5Aが確実に上方側を向けられるとともに、上述したように第1開放機構18によってバケット5の開閉扉5Aが開放されるようになっている。
【0016】
チェーン12の上方側走行領域における下流側端部であってスプロケット11の隣接位置にも一対の固定カム部材40を固定して配置している(図7参照)。これら両固定カム部材40は上記カムフォロア38,39が転動しながら通過できる間隔に維持されており、また、両固定カム部材40のカム面の上流端は、上流側が大きく拡開するように形成されている。
ケーシング3の出口から外部へ排出されたバケット5は自重によって開口部が上を向くように正立されるようになっているが、仮に少し傾斜している場合であっても、バケット5のカムフォロア38、39が両固定カム部材40と係合してそれらの間を通過することで、開閉扉5Aが正確に上方を向けるようにバケット5の姿勢が矯正されるようになっている。
【0017】
また、排出位置Bにおいて逆さになったバケット5の開口部が確実に下方側に向けられるように、排出位置Bからチェーン12の下方側走行領域の全域に沿って第2回転防止機構42を設けている。この第2回転防止機構42は、排出位置Bから上流側のスプロケット11の位置にわたってチェーン12の下方側走行領域に沿って配置した断面コ字形のレールから構成されている。
チェーン12が下流側のスプロケット11によって反転されることに伴って、スプロケット11の位置でバケット5が開閉扉5Aを下方に向けた逆さまとなり、排出位置Bに移動されると、該バケット5の両カムフォロア38、39が同時に第2回転防止機構42としてのレールに係合するので、支持軸22を中心としてバケット5が回転されるのが阻止される。これにより、排出位置Bのバケット5は開口部が確実に下方側を向けた状態に維持されるとともに、上記第2開放機構19によって該バケット5の開閉扉5Aが開放されるようになっている。
バケット5が排出位置Bを通過するとバケット5の開閉扉5Aは閉鎖機構20によって閉鎖されるとともに、そのように開閉扉5Aを閉鎖された状態のバケット5は逆さまの状態を維持されて上流側のスプロケット11の位置まで移動されるようになっている。
【0018】
さらに、上流側及び下流側のスプロケット11の半周分を囲むように、断面コ字形をした円弧状のレール43を固定して設けている。上流側のレール43は第1回転防止機構36の固定カム部材41の位置から第2回転防止機構42のレールの一端にわたって配置されている。また、下流側のレール43は、上記固定カム部材40の端部から第2回転防止機構42のレールの他端にわたって配置されている。
これにより、各バケット5が上下のスプロケット11の位置で反転される際には、バケット5のカムフォロア38、39がレール43に係合することで、バケット5が円滑に反転されるようになっている。
【0019】
次に、本実施例においては、上記チェーン12が上方側走行領域を走行される際に、チェーン12によってケーシング3内を移動されるバケット5を回転させるために上記回転機構6をケーシング3内に配置している。
すなわち、ケーシング3内には、係合部材としてのレール44を左右のチェーン12に沿って水平に固定して配置している。チェーン12によって各バケット5が入口3Aからケーシング13内に導入されて移動される際には、各バケット5の円板37が上記レール44に係合して摩擦力によって回転されるので、開閉扉5Aが閉鎖された状態の各バケット5が支持軸22を回転中心として回転されるようになっている。レール44と各バケット5の円板37とによって回転機構6を構成している。
噴射ノズル7は、ケーシング3内を移動されるバケット5の移動軌跡に沿ってそれらに近接する上下位置に配置してあり、図示しない過熱蒸気発生手段から供給される過熱蒸気をバケット5に向けて過熱蒸気を噴出させることができるようになっている。
これにより、ケーシング3内を移動される各バケット5は上記回転機構6によって回転されながら上記噴射ノズル7により上下から過熱蒸気を吹き付けられるようになっている。
【0020】
以上の構成において、食品処理装置1によって食品2を加熱処理する場合には、
制御装置によりモータ13を駆動させてチェーン12を走行させてバケット5を循環移動させてあり、かつ噴射ノズル7によって過熱蒸気がバケット5に向けて噴射されている。
チェーン12の循環走行に伴って各バケット5が供給位置Aに移動され、かつ
第1開放機構18によって開閉扉5Aが開放される。この状態においては、第1回転防止機構36によって開口部が上方を向けた状態に維持されている。
その状態で供給コンベヤ16から連続的に落下する食品2は各バケット5内に収容される。
制御装置は回転検出器としてのエンコーダからの入力によりチェーン12の走行速度に合わせて供給コンベヤ16を連続的に走行させるので、供給コンベヤ16の端部から食品2が落下して開閉扉5Aを開放させた各バケット5内に収容される。
【0021】
その後、チェーン12の走行に伴ってバケット5が供給位置Aを通過すると、バケット5の開閉扉5Aが閉鎖機構20によって閉鎖され、そのように開閉扉5Aを閉鎖されて内部に食品2を収容したバケット5が入口3Aからケーシング3内に導入される。
ケーシング3内に導入されて出口3Bに向けて移動されるバケット5は、回転機構6によって回転されるとともに、噴射ノズル7によって上下から過熱蒸気を吹き付けられる。これにより、バケット5内に収容された食品2はバケット5内で転動されながら過熱蒸気が吹き付けられるので、食品2の全周に万遍なく過熱蒸気を吹き付けることができる。
このようにして、バケット5はケーシング3内を回転されながら移動されてからケーシング3の出口3Bから外部へ移動すると回転機構6によるバケット5の回転は中止され、一旦開閉扉5Aが上面側となる正立状態に戻るようになっている。その後、下流側のスプロケット11の位置でチェーン12が反転されるのに伴って、バケット5のカムフォロア38,39が固定カム部材40、レール43に係合しながらバケット5自体も逆さまに反転されて排出位置Bへ移動されるようになっている。
【0022】
反転されたバケット5のカムフォロア38,39は第2回転防止機構42と係合して開閉扉5Aが下方を向いた逆さまの状態を維持され、かつ第2開放機構19によって開閉扉5が開放される。それにより、バケット5内の焼成済(調理済み)の食品2が排出コンベヤ17に落下して、該排出コンベヤ17によって下流側へ搬送されるようになっている。
その後、空になったバケット5は排出位置Bを過ぎると閉鎖機構20によって開閉扉5Aが閉鎖されるとともに、第2回転防止機構42によって逆さまとなったままで上流側のスプロケット11の位置まで移動されるようになっている。
この後、空のバケット5は上流側のスプロケット11の位置において、カムフォロア38,39がレール43と係合しながら逆さまから正立状態に反転されて上記供給位置Aへ移動されるようになっている。
【0023】
以上のように、本実施例においては、バケット5内に食品2を収容した後に開閉扉5Aを閉鎖し、その後、ケーシング3内でバケット5を移動させながら回転させ、かつそのように回転中のバケット5に過熱蒸気を吹き付けて焼成するようにしている。そのため、処理対象となる食品2の全周に万遍なく過熱蒸気を吹き付けることができる。したがって、食品2の全周をむら無く加熱処理することができる。
また、バケット5は両開放機構18,19によって供給位置Aおよび排出位置Bで自動的に開放されるので、バケット5内への食品2の供給およびバケット5からの食品2の排出を自動処理することができ、作業者による食品2の供給作業及び排出作業を省略することができる。
なお、上記実施例においては、上記食品処理装置1によって食品を加熱処理して焼成するようにしているが、食品2を蒸気で加熱して殺菌するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施例を示す断面図。
【図2】図1のII―II線に沿う要部の断面図。
【図3】図2の要部の拡大図。
【図4】図3のIV―IV線に沿う要部の断面図。
【図5】図4に示した各部材の図4とは異なる状態を示す図。
【図6】図1の要部の拡大図。
【図7】図1の要部の拡大図。
【符号の説明】
【0025】
1…食品処理装置 2…食品
4…循環走行手段 5…バケット
6…回転機構 7…噴射ノズル(加熱手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直面で循環走行される循環走行手段と、上記循環走行手段に回転自在に設けられるととも常時閉鎖される開閉扉を有して食品を収容可能な複数のバケットと、少なくとも食品が供給される供給位置において上記バケットの開閉扉を開放させる開放機構と、上記バケットの移動軌跡に沿って配置されて各バケット内に収容された食品を加熱処理する加熱手段と、上記加熱手段によって加熱処理される領域において各バケットを回転させる回転機構とを備えた食品処理装置であって、
上記供給位置において上記開放機構によってバケットの開閉扉を開放させて各バケット内に食品を供給し、その後、食品を収容し、かつ開閉扉を閉鎖した状態で移動されるバケットを上記回転機構で回転させながら上記加熱機構により加熱処理することを特徴とする食品処理装置。
【請求項2】
食品を排出する排出位置に上記バケットの開閉扉を開放させる第2の開放機構を設けて、排出位置に位置したバケットの開閉扉を上記第2の開放機構によって開放させて加熱処理済の食品をバケットから外部へ排出させることを特徴とする請求項1に記載の食品処理装置。
【請求項3】
上記開放機構は、各バケット毎に設けられてその開閉扉と連動させたカムフォロアと、各バケットの移動軌跡に沿って配置されて上記カムフォロアと係合する固定カム部材とからなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の食品処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−6219(P2008−6219A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−182432(P2006−182432)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(390008305)エスアイ精工株式会社 (39)
【Fターム(参考)】